IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

<>
  • 特許-水田作業機 図1
  • 特許-水田作業機 図2
  • 特許-水田作業機 図3
  • 特許-水田作業機 図4
  • 特許-水田作業機 図5
  • 特許-水田作業機 図6
  • 特許-水田作業機 図7
  • 特許-水田作業機 図8
  • 特許-水田作業機 図9
  • 特許-水田作業機 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】水田作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/10 20060101AFI20240226BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A01B63/10 E
A01C11/02 342J
A01C11/02 342S
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020119138
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2022015943
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田尾 哲也
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-065904(JP,A)
【文献】特開2014-198011(JP,A)
【文献】特開2000-270628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 63/10
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の後部に昇降可能に支持され、田面に資材を供給する作業装置と、
前記機体に対して前記作業装置を昇降操作可能な昇降機構と、
前記作業装置の下部に昇降可能に支持され、田面に接地追従するフロートと、
側面視で、前記作業装置における前記フロートの前端部よりも後側の部分に設けられた高さセンサーと、
前記フロートと前記高さセンサーとに亘って接続され、前記高さセンサーが前記フロートから前記作業装置までの作業高さを検出するように、前記作業装置に対する前記フロートの昇降作動を前記高さセンサーに伝達するリンク機構と、
前記高さセンサーの検出値に基づいて、前記作業高さが、事前に設定された設定高さとなるように、前記昇降機構を作動させる制御部とが備えられている水田作業機。
【請求項2】
前記リンク機構は、
左右方向に沿った支持軸芯周りに揺動可能に前記作業装置に支持され、前記支持軸芯から前側に延出されて前記フロートに接続された第1部分が設けられ、前記支持軸芯から上側に延出された第2部分が設けられた揺動部材と、
前後方向に沿って配置され、前記高さセンサーの入力部と前記第2部分とに亘って接続された接続部材とを有している請求項1に記載の水田作業機。
【請求項3】
前記入力部が前記高さセンサーから下側に延出され、前記入力部の下部と前記接続部材の後部とが接続されている請求項2に記載の水田作業機。
【請求項4】
バネ支持部が、前記揺動部材に対して後側に設けられ、
引っ張りバネが、前記第1部分と前記バネ支持部とに亘って接続されて、
前記引っ張りバネの付勢力により、前記フロートが前記揺動部材を介して前記作業装置に対して下側に付勢されている請求項2又は3に記載の水田作業機。
【請求項5】
前記作業装置に対する前記フロートの支持位置を上下に変更することにより、前記設定高さを変更可能な設定高さ変更部が備えられ、
前記設定高さ変更部の作動により、前記設定高さが高側に変更されるのに伴って、前記支持軸芯の位置を前記作業装置に対して低側に変更し、前記設定高さが低側に変更されるのに伴って、前記支持軸芯の位置を前記作業装置に対して高側に変更する連動部が備えられている請求項2~4のうちのいずれか一項に記載の水田作業機。
【請求項6】
バネ支持部が、前記揺動部材に対して後側に設けられ、
引っ張りバネが、前記第1部分と前記バネ支持部とに亘って接続されて、
前記引っ張りバネの付勢力により、前記フロートが前記揺動部材を介して前記作業装置に対して下側に付勢され、
前記設定高さ変更部の作動により、前記バネ支持部の位置を前後方向に沿って変更して、前記引っ張りバネの付勢力を一定に維持するバネ連動部が備えられている請求項5に記載の水田作業機。
【請求項7】
支持フレームが、前記作業装置における前記フロートの前端部よりも後側の部分に、左右方向に沿って配置され、
田面に資材を供給する作業部が、前記支持フレームに連結されて、前記支持フレームから後側に延出され、
前記高さセンサーが、側面視で、前記支持フレームよりも後側に設けられている請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の水田作業機。
【請求項8】
右及び左の前記支持フレームが設けられ、
右の前記支持フレームにおける前記作業装置の左右中央側の中央側端部と、左の前記支持フレームにおける前記作業装置の左右中央側の中央側端部とが、間隔を空けて突き合わされて、右及び左の前記支持フレームが左右方向に沿って配置された作業状態と、
右及び左の前記支持フレームが前後方向に沿った姿勢で、左右方向に並んで配置された非作業状態とが設定され、
前記作業装置を前記作業状態及び前記非作業状態に切換可能な切換機構が備えられ、
前記リンク機構が、平面視で、前記作業状態での右及び左の前記支持フレームの中央側端部の間に配置されている請求項7に記載の水田作業機。
【請求項9】
支持部材が、右及び左のうちの一方の前記支持フレームの中央側端部に取り付けられ、
前記高さセンサー及び前記リンク機構が、前記支持部材に支持されている請求項8に記載の水田作業機。
【請求項10】
前記非作業状態は、前記支持フレームの中央側端部が、前記支持フレームにおける中央側端部の反対側の端部に対して、後側に配置されるように、前記支持フレームが前後方向に沿った姿勢に配置される請求項9に記載の水田作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の水田作業機において、機体の後部の作業装置の昇降操作の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
水田作業機の一例である乗用型田植機では、特許文献1に開示されているように、田面に接地追従するフロートが作業装置の下部に昇降可能に支持され、高さセンサーが作業装置に取り付けられて、フロートと高さセンサーとに亘ってロッドが接続されている。
これにより、フロート(田面)から作業装置までの作業高さが、高さセンサーにより検出され、作業高さが、事前に設定された設定高さとなるように、作業装置が昇降操作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-59267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水田作業機では、走行に伴って機体から後方に泥や水が飛ばされるので、後方に飛ばされた泥や水が高さセンサーに付着し難いようにするという面で、改善の余地がある。
本発明は、機体の後部に作業装置が支持された水田作業機において、機体から後方に飛ばされた泥や水が高さセンサーに付着し難いようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の水田作業機は、機体の後部に昇降可能に支持され、田面に資材を供給する作業装置と、前記機体に対して前記作業装置を昇降操作可能な昇降機構と、前記作業装置の下部に昇降可能に支持され、田面に接地追従するフロートと、側面視で、前記作業装置における前記フロートの前端部よりも後側の部分に設けられた高さセンサーと、前記フロートと前記高さセンサーとに亘って接続され、前記高さセンサーが前記フロートから前記作業装置までの作業高さを検出するように、前記作業装置に対する前記フロートの昇降作動を前記高さセンサーに伝達するリンク機構と、前記高さセンサーの検出値に基づいて、前記作業高さが、事前に設定された設定高さとなるように、前記昇降機構を作動させる制御部とが備えられている。
【0006】
本発明によると、機体の後部の作業装置に、フロート及び高さセンサーが設けられて、フロートと高さセンサーとに亘ってリンク機構が接続された状態において、高さセンサーが、フロートの前端部よりも後側に配置されており、機体から後方に離れて配置されている。
これにより、機体から後方に泥や水が飛ばされても、泥や水が高さセンサーに付着し難くなるのであり、泥や水の付着による高さセンサーの耐久性の低下を防止することができる。
【0007】
本発明において、前記リンク機構は、左右方向に沿った支持軸芯周りに揺動可能に前記作業装置に支持され、前記支持軸芯から前側に延出されて前記フロートに接続された第1部分が設けられ、前記支持軸芯から上側に延出された第2部分が設けられた揺動部材と、前後方向に沿って配置され、前記高さセンサーの入力部と前記第2部分とに亘って接続された接続部材とを有していると好適である。
【0008】
本発明によると、フロートと高さセンサーとに亘って接続されるリンク機構に、揺動部材と接続部材とが設けられている。田面に接地追従するフロートに対して作業装置の作業高さが変化すると、これに伴ってリンク機構の揺動部材が支持軸芯周りに揺動し、接続部材が前後動して、作業装置に対するフロートの昇降作動が高さセンサーに伝達されて、フロートから作業装置までの作業高さが高さセンサーにより検出される。
【0009】
本発明によると、揺動部材に、支持軸芯から上方に延出された第2部分が設けられ、前後方向に沿った接続部材が、高さセンサーの入力部と揺動部材の第2部分とに亘って接続されている。揺動部材の第2部分により、高さセンサーがフロート(田面)から比較的高い位置に配置されるのであり、泥や水が高さセンサーに付着し難くなるという面で有利になる。
【0010】
本発明において、前記入力部が前記高さセンサーから下側に延出され、前記入力部の下部と前記接続部材の後部とが接続されていると好適である。
【0011】
本発明によると、高さセンサーの入力部と揺動部材の第2部分とに亘って接続部材が接続される場合、高さセンサーの入力部が、高さセンサーから下側に延出されている。
これにより、高さセンサーの入力部が下側に延出される分だけ、高さセンサーの位置が揺動部材に対して高くなるので、高さセンサーがフロート(田面)から比較的高い位置に配置されることにより、泥や水が高さセンサーに付着し難くなるという面で有利になる。
【0012】
本発明において、バネ支持部が、前記揺動部材に対して後側に設けられ、引っ張りバネが、前記第1部分と前記バネ支持部とに亘って接続されて、前記引っ張りバネの付勢力により、前記フロートが前記揺動部材を介して前記作業装置に対して下側に付勢されていると好適である。
【0013】
水田作業機では、フロートを作業装置に対して下側に付勢するバネが設けられることがある。
本発明によると、引っ張りバネが、揺動部材の第1部分に接続されて、揺動部材の第1部分から後側に延出される状態となるので、引っ張りバネが比較的低い位置にコンパクトに配置される。引っ張りバネが低い位置に配置されることにより、引っ張りバネが高さセンサーの配置に影響を及ぼすことは少ない。
【0014】
本発明において、前記作業装置に対する前記フロートの支持位置を上下に変更することにより、前記設定高さを変更可能な設定高さ変更部が備えられ、前記設定高さ変更部の作動により、前記設定高さが高側に変更されるのに伴って、前記支持軸芯の位置を前記作業装置に対して低側に変更し、前記設定高さが低側に変更されるのに伴って、前記支持軸芯の位置を前記作業装置に対して高側に変更する連動部が備えられていると好適である。
【0015】
乗用型田植機等の水田作業機では、作業装置に対するフロートの支持位置を上下に変更することにより、設定高さを変更可能な設定高さ変更部が備えられたものがある。乗用型田植機では、フロート(田面)から苗植付装置(作業装置)までの設定高さが変更されることにより、苗植付装置による苗の植付深さが変更される。
【0016】
本発明によると、設定高さ変更部の作動により設定高さが変更されるのに伴って、揺動部材の支持軸芯の位置が、フロートの支持位置と同様に変更されるので、設定高さが変更されても、フロートと揺動部材の支持軸芯の上下方向の位置関係に変化は少ない。
これに対して、高さセンサーは作業装置に設けられているので、設定高さ変更部によりフロートの支持位置が変更されると、フロート及び揺動部材の支持軸芯と、高さセンサーとにおいて、上下方向の位置関係は変化する。
【0017】
本発明によると、高さセンサーの入力部と揺動部材の第2部分とに亘って接続部材が接続されているので、前述のように、フロート及び揺動部材の支持軸芯と高さセンサーとの上下方向の位置関係が変化しても、接続部材が揺動部材の第2部分との接続点周りに揺動すること、並びに、接続部材が高さセンサーの入力部との接続点周りに揺動することにより、前述の上下方向の位置関係の変化が吸収される。
これにより、設定高さ変更部によりフロートの支持位置が変更されても、作業装置に対するフロートの昇降作動が高さセンサーに適切に伝達されて、フロートから作業装置までの作業高さが高さセンサーにより適切に検出される。
【0018】
本発明において、バネ支持部が、前記揺動部材に対して後側に設けられ、引っ張りバネが、前記第1部分と前記バネ支持部とに亘って接続されて、前記引っ張りバネの付勢力により、前記フロートが前記揺動部材を介して前記作業装置に対して下側に付勢され、前記設定高さ変更部の作動により、前記バネ支持部の位置を前後方向に沿って変更して、前記引っ張りバネの付勢力を一定に維持するバネ連動部が備えられていると好適である。
【0019】
水田作業機では、フロートを作業装置に対して下側に付勢するバネが設けられることがある。
本発明によると、引っ張りバネが、揺動部材の第1部分に接続されて、揺動部材の第1部分から後側に延出される状態となるので、引っ張りバネが比較的低い位置にコンパクトに配置される。引っ張りバネが低い位置に配置されることにより、引っ張りバネが高さセンサーの配置に影響を及ぼすことは少ない。
【0020】
本発明によると、前述のように設定高さ変更部の作動により設定高さが変更されて、引っ張りバネが接続される揺動部材の支持軸芯の位置が変更された場合、バネ連動部によりバネ支持部の位置が前後方向に沿って変更され、揺動部材の第1部分とバネ支持部との前後間隔の変化が小さいものに抑えられて、引っ張りバネの付勢力が一定に維持される。
これにより、設定高さが変更されて、フロートの支持位置が上下に変更されても、フロートは田面に安定して接地追従する。
【0021】
本発明において、支持フレームが、前記作業装置における前記フロートの前端部よりも後側の部分に、左右方向に沿って配置され、田面に資材を供給する作業部が、前記支持フレームに連結されて、前記支持フレームから後側に延出され、前記高さセンサーが、側面視で、前記支持フレームよりも後側に設けられていると好適である。
【0022】
水田作業機では、支持フレームが作業装置に左右方向に沿って配置され、田面に資材を供給する作業部が支持フレームに連結され後側に延出されて、作業装置の全体の剛性を向上させるように構成されたものがある。この構成において、支持フレームが作業装置におけるフロートの前端部よりも後側の部分に配置されることがある。
【0023】
本発明によると、前述の構成において、高さセンサーが側面視で支持フレームよりも後側に設けられることにより、高さセンサーが機体から後方に離れて配置されるので、泥や水が高さセンサーに付着し難くなるという面で有利になる。
【0024】
本発明において、右及び左の前記支持フレームが設けられ、右の前記支持フレームにおける前記作業装置の左右中央側の中央側端部と、左の前記支持フレームにおける前記作業装置の左右中央側の中央側端部とが、間隔を空けて突き合わされて、右及び左の前記支持フレームが左右方向に沿って配置された作業状態と、右及び左の前記支持フレームが前後方向に沿った姿勢で、左右方向に並んで配置された非作業状態とが設定され、前記作業装置を前記作業状態及び前記非作業状態に切換可能な切換機構が備えられ、前記リンク機構が、平面視で、前記作業状態での右及び左の前記支持フレームの中央側端部の間に配置されていると好適である。
【0025】
水田作業機では、作業装置において右及び左の支持フレームが設けられ、右及び左の支持フレームが突き合わされた状態で左右方向に沿って配置された作業状態と、右及び左の支持フレームが前後方向に沿った姿勢で左右方向に並んで配置された非作業状態とに切換可能に構成されたものがある。作業装置の非作業状態において、作業装置の横幅が小さくなるので、水田作業機の運搬や格納に有利なものとなる。
【0026】
本発明によると、作業装置の作業状態において、右の支持フレームの中央側端部と左の支持フレームの中央側端部とが、間隔を空けて突き合わされるように構成して、作業装置の左右中央部付近に空間を確保している。
【0027】
本発明によると、リンク機構が平面視で作業装置の作業状態での右及び左の支持フレームの中央側端部の間に配置されることにより、リンク機構が作業装置の左右中央部付近に無理なく配置され、作業装置の左右中央部付近のフロートとリンク機構とを接続することが、無理なく行われるのであり、作業装置の左右中央部付近のフロートに基づいて作業高さを検出する構成が容易に得られる。
【0028】
本発明において、支持部材が、右及び左のうちの一方の前記支持フレームの中央側端部に取り付けられ、前記高さセンサー及び前記リンク機構が、前記支持部材に支持されていると好適である。
【0029】
本発明によると、前述のようにリンク機構が平面視で作業装置の作業状態での右及び左の支持フレームの中央側端部の間に配置されるように構成する場合、右及び左のうちの一方の支持フレームの中央側端部に取り付けられた支持部材に、高さセンサー及びリンク機構を支持させることにより、高さセンサー及びリンク機構の位置が安定する。
【0030】
本発明において、前記非作業状態は、前記支持フレームの中央側端部が、前記支持フレームにおける中央側端部の反対側の端部に対して、後側に配置されるように、前記支持フレームが前後方向に沿った姿勢に配置されると好適である。
【0031】
本発明によると、作業装置を非作業状態に設定すると、支持フレームの中央側端部が後側(機体の後部の反対側)に位置することになり、作業者は機体の影響を受けることなく高さセンサー及びリンク機構のメンテナンス作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】乗用型田植機の左側面図である。
図2】乗用型田植機の平面図である。
図3】苗植付装置の作業状態での平面図である。
図4】苗植付装置の非作業状態での平面図である。
図5】苗植付装置の作業状態でのセンターフロート、高さセンサー及びリンク機構の付近の平面図である。
図6】苗植付装置の作業状態でのセンターフロート、高さセンサー及びリンク機構の付近の正面図である。
図7】センターフロート、高さセンサー及びリンク機構の分解斜視図である。
図8】苗植付装置の昇降制御の形態を示す概略図である。
図9】設定高さ(設定植付深さ)が最低高さ(最深)に設定された状態を示すセンターフロート、高さセンサー及びリンク機構の付近の左側面図である。
図10】設定高さ(設定植付深さ)が最高高さ(最浅)に設定された状態を示すセンターフロート、高さセンサー及びリンク機構の付近の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1図10に、水田作業機の一例である10条植え型式の乗用型田植機が示されている。図1図10において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0034】
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び図2に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2を備えた機体30の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降操作する油圧シリンダ4(昇降機構に相当)が備えられ、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されている。
【0035】
以上の構成により、田面Gに苗(資材に相当)を植え付ける苗植付装置5が、機体30の後部に昇降可能に支持され、油圧シリンダ4により苗植付装置5が機体30に対して昇降操作可能な状態となっている。
【0036】
(苗植付装置、施肥装置及び薬剤散布装置の全体構成)
図1及び図2に示すように、苗植付装置5に、左右方向に所定間隔を置いて配置された5個の植付伝動ケース6(作業部に相当)、植付伝動ケース6の右部及び左部に回転可能に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に支持された植付アーム8、1個のセンターフロート9(フロートに相当)、4個のフロート10、苗のせ台11等が設けられている。
【0037】
機体30の後部及び苗植付装置5に亘って、施肥装置12が支持されており、施肥装置12に、ホッパー13、繰り出し部14、ブロア15、作溝器16及びホース17等が設けられている。
【0038】
運転座席18が、機体30の後部に支持されている。施肥装置12において、機体30における運転座席18の後側の部分に、肥料を貯留するホッパー13及び繰り出し部14が設けられており、繰り出し部14の左の横外側にブロア15が設けられている。センターフロート9及びフロート10に作溝器16が取り付けられており、繰り出し部14と作溝器16とに亘ってホース17が接続されている。
【0039】
苗植付装置5において、苗のせ台11が横送り駆動されながら、植付アーム8(回転ケース7)が回転駆動されるのであり、植付アーム8が苗のせ台11の下部から苗を取り出して田面Gに植え付ける(供給する)。
【0040】
施肥装置12において、ホッパー13の肥料が繰り出し部14により繰り出されて、ブロア15の搬送風によりホース17を通って作溝器16に供給されるのであり、作溝器16により田面Gに溝が形成されながら、作溝器16から田面Gの溝に肥料が供給される。
【0041】
中央の植付伝動ケース6に連結された支持フレーム29に、薬剤散布装置28が支持されている。薬剤散布装置28から、除草剤等の薬剤が苗植付装置5の後方の田面Gに散布される。
【0042】
(苗植付装置における作業状態及び非作業状態へ切り換えの構成)
図6に示すように、正面視で枠状の支持フレーム19が設けられている。支持フレーム19に、左右方向に沿って配置された上部分19a及び下部分19b、上部分19a及び下部分19bに亘って連結された右及び左の縦部分19c、下部分19bに連結されたブラケット19d等が設けられている。支持フレーム19のブラケット19dが、リンク機構3の後部の縦リンク3a(図1参照)に、前後方向に沿った軸芯P3周りにローリング可能に支持されている。
【0043】
図3及び図6に示すように、右及び左の支持アーム20(切換機構に相当)が、上下方向に沿った軸芯P1周りに揺動可能に、支持フレーム19の上部分19a及び下部分19bの右部及び左部に持されている。
【0044】
図3に示すように、右及び左の支持フレーム21,22が設けられており、右及び左の支持フレーム21,22に、連結部23が連結されている。右の支持フレーム21の連結部23が、上下方向に沿った軸芯P2周りに揺動可能に、右の支持アーム20の端部に支持されている。左の支持フレーム22の連結部23が、上下方向に沿った軸芯P2周りに揺動可能に、左の支持アーム20の端部に支持されている。
【0045】
3個の植付伝動ケース6が、右の支持フレーム21に連結されて右の支持フレーム21から後側に延出されており、センターフロート9及び2個のフロート10が、右の支持フレーム21に支持されている。2個の植付伝動ケース6が、左の支持フレーム22に連結されて左の支持フレーム22から後側に延出されており、2個のフロート10が、左の支持フレーム22に支持されている。
【0046】
図5,8,9,10に示すように、苗植付装置5において、右及び左の支持フレーム21,22が、側面視及び平面視で、センターフロート9及びフロート10の前端部9a,10aよりも後側の部分に、左右方向に沿って配置されている。
【0047】
図1,2,3に示す状態は、右の支持フレーム21の左端部である苗植付装置5の左右中央側の中央側端部21aと、左の支持フレーム22の右端部である苗植付装置5の左右中央側の中央側端部22aとが、間隔を空けて突き合わされて、右及び左の支持フレーム21,22が左右方向に沿って配置された作業状態A1である。
【0048】
苗植付装置5における作業状態A1から非作業状態A2への切換操作は、以下の説明のように行う。
苗のせ台11を6条の右部分11aと4条の左部分11bとの境界部分で分離するのであり、苗のせ台11の右部分11aは右の支持フレーム21に属し、苗のせ台11の左部分11bは左の支持フレーム22に属する。
【0049】
次に、右の支持フレーム21を軸芯P2周りに図3の反時計方向に揺動させて、左の支持フレーム22を軸芯P2周りに図3の時計方向に揺動させながら、右及び左の支持アーム20を軸芯P1周りに後方に揺動させる。
【0050】
これにより、図4に示すように、苗植付装置5において、右及び左の支持フレーム21,22が前後方向に沿った姿勢で、左右方向に並んで配置された苗植付装置5の非作業状態A2が設定される。
【0051】
苗植付装置5の非作業状態A2において、支持フレーム21,22の中央側端部21a,22aが、支持フレーム21,22における中央側端部21a,22aの反対側の端部21b,22bに対して、後側に配置されるように、支持フレーム21,22が前後方向に沿った姿勢に配置される。
【0052】
(センターフロート及びフロートの支持の構成)
図5図8に示すように、右及び左の支点フレーム25,26が設けられている。右の支点フレーム25が、左右方向に沿った軸芯P4周りに回転可能に、右の支持フレーム21に連結された3個の植付伝動ケース6の下部に支持されている。左の支点フレーム26が、左右方向に沿った軸芯P4周りに回転可能に、左の支持フレーム22に連結された2個の植付伝動ケース6の下部に支持されている。
【0053】
右の支点フレーム25の左端部に咬合部24が連結され、左の支点フレーム26の右端部に咬合部24が連結されている。苗植付装置5の作業状態A1において、右及び左の支点フレーム25,26の咬合部24が咬合して、右及び左の支点フレーム26が一体で回転可能な状態となる。
【0054】
フロートアーム25a,26aが、支点フレーム25,26に連結されて後側に延出されており、センターフロート9及びフロート10の後部が、左右方向に沿った軸芯P5周りに上下に揺動可能に、フロートアーム25a,26aの後部に支持されている。これにより、センターフロート9及びフロート10が、田面Gに接地追従するように、苗植付装置5の下部に昇降可能に支持されている。
【0055】
(センターフロート(田面)から苗植付装置(植付伝動ケース)までの設定高さの設定)
図5,6,8に示すように、苗植付装置5において、左の支持フレーム22に属する部分の上部に、扇型の操作ギヤ27が、前後方向に沿った軸芯P6周りに揺動可能に支持されており、操作ギヤ27に咬合するピニオンギヤ31aを有するギヤ機構31、ギヤ機構31を駆動する電動モータ32(設定高さ変更部に相当)が設けられている。左の支持フレーム22の咬合部24と操作ギヤ27とに亘って、連係ロッド35が接続されている。
【0056】
図1,2,8に示すように、前輪1を操向操作する操縦ハンドル34の近傍に、ダイヤルスイッチ型式の設定高さ操作具33(設定高さ変更部に相当)が設けられており、機体30に設けられた制御装置40(制御部に相当)に、設定高さ操作具33の操作位置が入力されている。
【0057】
苗植付装置5の作業状態A1において、機体30に搭乗する運転者が設定高さ操作具33を操作すると、設定高さ操作具33の操作位置に基づいて、制御装置40により電動モータ32が作動操作され、操作ギヤ27が上下に揺動操作され、連係ロッド35を介して支点フレーム25,26が軸芯P4周りに回転操作される。支点フレーム25,26が回転操作されることにより、支点フレーム25,26のフロートアーム25a,26aの位置が上下に変更され、軸芯P5の位置が上下に変更される。
【0058】
これにより、田面Gに接地追従するセンターフロート9及びフロート10に対して、センターフロート9及びフロート10(田面G)から苗植付装置5(植付伝動ケース6)までの設定高さH1が設定されるのであり、設定高さ操作具33が操作されることにより、苗植付装置5(植付伝動ケース6)に対するセンターフロート9(フロート10)の支持位置(軸芯P5の位置)が上下に変更されて、設定高さH1が変更される。
【0059】
(高さセンサーの構成)
図5図9に示すように、支持部材36が、右の支持フレーム21の中央側端部21aに連結されている。支持部材36に連結されたブラケット37に、ポテンショメータ型式の高さセンサー38が支持されており、高さセンサー38のアーム状の入力部38aが、左右方向に沿った軸芯P7周りに揺動可能に高さセンサー38に設けられて、高さセンサー38から下側に延出されている。
【0060】
これにより、側面視及び平面視で、苗植付装置5におけるセンターフロート9及びフロート10の前端部9a,10aよりも後側の部分に,高さセンサー38が設けられ、右及び左の支持フレーム21,22に対して後側に、高さセンサー38が設けられている。高さセンサー38は、側面視で、支点フレーム25の上方に配置されており、植付伝動ケース6の上面部と略同じ高さに配置されている。
【0061】
(リンク機構の構成)
図5図9に示すように、センターフロート9の前部と高さセンサー38の入力部38aとに亘って、リンク機構39が接続されており、リンク機構39は、揺動部材41と接続部材42とを有している。
【0062】
天秤状の連動部43が、左右方向に沿った軸芯P8周りに揺動可能に、支持部材36に支持されており、支点フレーム25に連結されて前側に延出されたアーム25bが、連動部43の後部に接続されて、連動部43の姿勢が設定されている。
【0063】
連動部43の前部の左右方向に沿った軸芯P9(支持軸芯に相当)周りに、揺動部材41が揺動可能に支持されており、揺動部材41が連動部43を介して苗植付装置5に揺動可能に支持されている。揺動部材41に、軸芯P9から前側に延出された第1部分41aと、軸芯P9から上側に延出された第2部分41bとが設けられており、第1部分41aの前部が、リンク部材44を介してセンターフロート9の前部に接続されている。
【0064】
接続部材42が、前後方向に沿って配置されており、接続部材42の前部と揺動部材41の第2部分41bの上部とが接続され、接続部材42の後部と高さセンサー38の入力部38aの下部とが接続されて、接続部材42が、高さセンサー38の入力部38aと、揺動部材41の第2部分41bとに亘って接続されている。これにより、高さセンサー38及びリンク機構39が、支持部材36に支持されている。
【0065】
(引っ張りバネの構成)
図5図9に示すように、支持部材36の後部に連結されたブラケット45に、天秤状のバネ支持部46が、左右方向に沿った軸芯P10周りに揺動可能に支持されており、バネ支持部46がリンク機構39の揺動部材41に対して後側に設けられている。支点フレーム25に連結されて後側に延出されたアーム25c(バネ連動部に相当)が、バネ支持部46の前部に接続されて、バネ支持部46の姿勢が設定されている。
【0066】
コイルバネ状の引っ張りバネ47が、揺動部材41の第1部分41aの下部と、バネ支持部46の後部とに亘って接続されている。引っ張りバネ47は、揺動部材41、連動部43及び支点フレーム25に対して下側の低い位置を前後方向に沿って配置されている。
【0067】
引っ張りバネ47の付勢力により、揺動部材41が図8及び図9の反時計方向に付勢されて、センターフロート9が揺動部材41及びリンク部材44を介して、苗植付装置5(植付伝動ケース6)に対して下側に付勢されており、センターフロート9が田面Gに接地追従する。
【0068】
(高さセンサー及びリンク機構と苗植付装置の作業状態及び非作業状態との関係)
図3,5,6に示すように、苗植付装置5の作業状態A1において、右の支持フレーム21の中央側端部21aと、左の支持フレーム22の中央側端部22aとが、間隔を空けて突き合わされて、右及び左の支持フレーム21,22が左右方向に沿って配置されている。
【0069】
苗植付装置5の作業状態A1において、リンク機構39及び高さセンサー38、引っ張りバネ47が、平面視で、右及び左の支持フレーム21,22の中央側端部21a,22aの間に配置されている。センターフロート9が、平面視及び側面視で、右及び左の支持フレーム21,22の中央側端部21a,22aの間の下方に配置されている。
【0070】
図4に示すように、苗植付装置5の非作業状態A2において、右及び左の支持フレーム21,22の中央側端部21a,22aが、支持フレーム21,22における中央側端部21a,22aの反対側の端部21b,22bに対して、後側に配置されるように、右及び左の支持フレーム21,22が前後方向に沿った姿勢に配置される。
【0071】
右の支持フレーム21の中央側端部21aに連結された支持部材36に、高さセンサー38及びリンク機構39、引っ張りバネ47が支持されている。苗植付装置5の非作業状態A2において、右及び左の支持フレーム21,22の中央側端部21a,22aが後側(機体30の後部の反対側)に位置することになり、高さセンサー38及びリンク機構39、引っ張りバネ47、センターフロート9が、後側(機体30の後部の反対側)に位置する。
【0072】
(苗植付装置の昇降制御)
図8に示すように、油圧シリンダ4に作動油を給排操作して油圧シリンダ4を作動させる制御弁48が設けられており、制御装置40により制御弁48が以下の説明のように操作される。
【0073】
田面Gに接地追従するセンターフロート9に対して、苗植付装置5(植付伝動ケース6)が昇降作動して、センターフロート9(田面G)から苗植付装置5(植付伝動ケース6)までの作業高さH2が変化すると、これに伴いリンク機構39において、揺動部材41が軸芯P9周りに揺動し、接続部材42が前後動して、苗植付装置5(植付伝動ケース6)に対するセンターフロート9の昇降作動が、高さセンサー38の入力部38aに伝達される。
【0074】
これにより、センターフロート9(田面G)から苗植付装置5(植付伝動ケース6)までの作業高さH2が高さセンサー38により検出されて、高さセンサー38により検出された作業高さH2が、制御装置40に入力される。
【0075】
制御装置40は、高さセンサー38により検出された作業高さH2が、事前に設定された設定値となるように、制御弁48を操作し、油圧シリンダ4を作動させて、苗植付装置5(植付伝動ケース6)を機体30に対して昇降操作する。設定値は、高さセンサー38の検出範囲の略中央に設定された値で、高さセンサー38に対して固定された値であり、設定高さH1に対応する。
【0076】
高さセンサー38により検出された作業高さH2が設定値(設定高さH1)となるように、苗植付装置5(植付伝動ケース6)が昇降操作されることにより、苗植付装置5(植付伝動ケース6)が田面Gから設定高さH1に維持される。
【0077】
苗植付装置5において、回転ケース7及び植付アーム8は一定の軌跡で回転駆動されるので、苗植付装置5(植付伝動ケース6)が田面Gから設定高さH1に維持されることによって、植付アーム8による苗の植付深さが、設定植付深さに維持される。設定高さH1は、設定植付深さに対応する。
【0078】
(設定高さの変更)
前述の(センターフロート(田面)から苗植付装置(植付伝動ケース)までの設定高さの設定)及び図8に示すように、設定高さ操作具33が操作されることにより、設定高さH1(設定植付深さ)が変更される。
【0079】
図8に示す状態は、設定高さH1(設定植付深さ)が最低高さ(最深)と最高高さ(最浅)との間に設定された中間状態である。
図9に示す状態は、支点フレーム25,26が図8の反時計方向に回転操作されて、設定高さH1(設定植付深さ)が最低高さ(最深)に設定された状態である。
【0080】
図9に示す状態において、苗植付装置5(植付伝動ケース6)がセンターフロート9に向かって下方に接近するので、支点フレーム25の,26が図8の反時計方向に回転操作されることにより、支点フレーム25のアーム25bにより、連動部43が図8の時計方向に揺動して、揺動部材41の軸芯P9の位置が、苗植付装置5(植付伝動ケース6)に対して高側に変更される。これと同時に支点フレーム25のアーム25cにより、バネ支持部46が図8の時計方向に揺動して、バネ支持部46における引っ張りバネ47の接続部分が前方に移動する。
【0081】
図10に示す状態は、支点フレーム25,26が図8の時計方向に回転操作されて、設定高さH1(設定植付深さ)が最高高さ(最浅)に設定された状態である。
【0082】
図10に示す状態において、苗植付装置5(植付伝動ケース6)がセンターフロート9から上方に離れるので、支点フレーム25の,26が図8の時計方向に回転操作されることにより、支点フレーム25のアーム25bにより、連動部43が図8の反時計方向に揺動して、揺動部材41の軸芯P9の位置が、苗植付装置5(植付伝動ケース6)に対して低側に変更される。これと同時に支点フレーム25のアーム25cにより、バネ支持部46が図8の反時計方向に揺動して、バネ支持部46における引っ張りバネ47の接続部分が後方に移動する。
【0083】
以上のように、設定高さH1(設定植付深さ)が変更されても、センターフロート9と揺動部材41の軸芯P9の上下方向の位置関係に変化は少ない。
設定高さH1(設定植付深さ)の変更に伴って、バネ支持部46が揺動操作されることにより、揺動部材41の第1部分41aとバネ支持部46との前後間隔に変化は小さく、設定高さH1(設定植付深さ)が変更されても、引っ張りバネ47の付勢力が一定に維持される。
【0084】
これに対して、高さセンサー38は苗植付装置5(植付伝動ケース6)に設けられているので、前述のように設定高さH1(設定植付深さ)が変更されると、センターフロート9及び揺動部材41の軸芯P9と、高さセンサー38とにおいて、上下方向の位置関係は変化する。
【0085】
この場合、高さセンサー38の入力部38aと揺動部材41の第2部分41bとに亘って接続部材42が接続されているので、前述のように、センターフロート9及び揺動部材41の軸芯P9と高さセンサー38との上下方向の位置関係が変化しても、接続部材42が揺動部材41の第2部分4bとの接続点周りに揺動すること、並びに、接続部材42が高さセンサー38の入力部38aとの接続点周りに揺動することにより、前述の上下方向の位置関係の変化が吸収される。
【0086】
これにより、高さセンサー38の入力部38aの設定値に対応する姿勢は変化しないのであり、設定高さH1(設定植付深さ)が変更されても、変更された設定高さH1(設定植付深さ)が、高さセンサー38の設定値に対応する。
【0087】
変更された設定高さH1(設定植付深さ)が高さセンサー38の設定値に対応することによって、前述の(苗植付装置の昇降制御)に記載のように、高さセンサー38により検出された作業高さH2が設定値となるように、苗植付装置5(植付伝動ケース6)が昇降操作されることにより、苗植付装置5(植付伝動ケース6)が変更された設定高さH1に維持される(苗の植付深さが変更された設定植付深さに維持される)。
【0088】
このことについて言い換えると、設定高さH1(設定植付深さ)が変更された場合、揺動部材41の軸芯P9の位置が上下に変更されることにより、高さセンサー38により検出された作業高さH2に、揺動部材41の軸芯P9の位置変更の分だけ加算又は減算が行われると見なすことができる。
【0089】
これにより、設定高さH1(設定植付深さ)が変更された場合、高さセンサー38により検出され加算又は減算が行われた作業高さH2が、変更された設定高さH1(設定植付深さ)となるように、苗植付装置5(植付伝動ケース6)の昇降操作が行われると見なすことができる。
【0090】
(発明の実施の第1別形態)
右の支持フレーム21と左の支持フレーム22との関係を逆転して、3個の植付伝動ケース6、センターフロート9及び2個のフロート10が、左の支持フレーム22に支持され、2個の植付伝動ケース6及び2個のフロート10が、右の支持フレーム21に支持されるように構成されてもよい。
【0091】
この構成において、左の支持フレーム22の中央側端部22aに、支持部材36が連結され、高さセンサー38及びリンク機構39、引っ張りバネ47が支持部材36に支持されるように構成されてもよい。
【0092】
(発明の実施の第2別形態)
高さセンサー38において、高さセンサー38の入力部38aが高さセンサー38から上側に延出されるように構成されてもよい。
【0093】
(発明の実施の第3別形態)
設定高さ操作具33及び電動モータ32に代えて、植付深さレバー(図示せず)を支点フレーム25,26に連結して、運転者が植付深さレバーを操作して支点フレーム25,26を回転操作し、設定高さH1を変更するように構成してもよい。
【0094】
(発明の実施の第4別形態)
苗植付装置5が、8条植え型式や、6条植え型式、5条植え型式、4条植え型式に構成されてもよい。
この構成において、右及び左の支持フレーム21,22を廃止し、1個の支持フレーム(図示せず)が左右方向に沿って配置されてもよい。
【0095】
(発明の実施の第5別形態)
左右方向に沿った軸芯周りに回転駆動されることにより田面Gを整地する整地装置(図示せず)が、右及び左の支持フレーム21,22に対して前側に支持されるように構成されてもよい。
【0096】
この構成において、苗植付装置5が非作業状態A2に設定された場合、整地装置が、支持フレーム19に対応する部分、右の支持フレーム21に対応する部分、左の支持フレーム22に対応する部分に分離されて、整地装置の右及び左の支持フレーム21,22に対応する部分が、右及び左の支持フレーム21,22と一緒に移動するように構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、乗用型田植機ばかりではなく、田面Gに種子(資材に相当)を供給する播種装置(作業装置に相当)を機体30の後部に支持した乗用型直播機や、田面Gに薬剤(資材に相当)を供給する薬剤供給装置を機体30の後部に支持した乗用型管理機にも適用できる。
【符号の説明】
【0098】
4 油圧シリンダ(昇降機構)
5 苗植付装置(作業装置)
6 植付伝動ケース(作業部)
9 センターフロート(フロート)
9a 前端部
20 支持アーム(切換機構)
21 支持フレーム
21a 中央側端部
21b 端部
22 支持フレーム
22a 中央側端部
22b 端部
25c アーム(バネ連動部)
30 機体
32 電動モータ(設定高さ変更部)
33 設定高さ操作具(設定高さ変更部)
36 支持部材
38 高さセンサー
38a 入力部
39 リンク機構
40 制御装置(制御部)
41 揺動部材
41a 第1部分
41b 第2部分
42 接続部材
43 連動部
46 バネ支持部
47 引っ張りバネ
A1 作業状態
A2 非作業状態
G 田面
H1 設定高さ
H2 作業高さ
P9 軸芯(支持軸芯)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10