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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】車両トランスミッション
(51)【国際特許分類】
   F16H 9/12 20060101AFI20240226BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20240226BHJP
【FI】
F16H9/12 Z
F16H57/04 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020168551
(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公開番号】P2022060834
(43)【公開日】2022-04-15
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田中 和宏
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-204988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 9/12
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動プーリと、従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとに亘って巻回される無端回動体とからなる無段変速装置と、
前記無段変速装置を収容する収容空間を形成する収容体と、
外部から前記収容空間へ空気を取り込む空気取り込み装置と、
前記空気取り込み装置によって取り込まれた空気を冷却風として前記無端回動体に向けて導く導風体と、を備え、
前記空気取り込み装置には、回転軸の突出端に固定された前記駆動プーリ及び前記従動プーリの少なくとも一方の側面に対面配置された円盤状のフィンプレートである起風ユニットと、前記起風ユニットを覆うドーム状形状のユニットケースとが含まれ、前記ユニットケースの頂部にエアインテークが設けられ、
前記導風体は、前記ユニットケースの裾部からに延びたダクトである車両トランスミッション。
【請求項2】
前記起風ユニットは、前記駆動プーリ又は前記従動プーリに設けられるとともに、前記ユニットケースで覆われたフィンである請求項1に記載の車両トランスミッション。
【請求項3】
前記導風体の先端部には、前記無端回動体に前記冷却風を吹き付けるノズルが設けられている請求項1または2に記載の車両トランスミッション。
【請求項4】
前記ノズルは前記無端回動体の直線部分に向けられている請求項3に記載の車両トランスミッション。
【請求項5】
前記ノズルは前記無端回動体の巻回り部分に向けられている請求項3に記載の車両トランスミッション。
【請求項6】
前記ノズルから吹き付けられた前記冷却風の向きは、前記無端回動体の進み方向と向き合っている請求項4または5に記載の車両トランスミッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動プーリと従動プーリと前記駆動プーリと前記従動プーリとに亘って巻回される無端回動体とからなる無段変速装置を備えた車両トランスミッションに関する。
【背景技術】
【0002】
無段変速装置が駆動されると、駆動プーリと無端回動体との間、及び、従動回転体と無端回動体との間に、摩擦による熱が生じる。この熱を逃がすために、外部から無段変速装置の内部空間に冷却風が取り込まれる。例えば、特許文献1による作業車は、無段変速装置と収容体とを備え、無段変速装置は、エンジンの動力が入力される駆動プーリと、従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとに亘って巻回される無端回動体とを有し、収容体には、駆動プーリ、従動プーリ、及び、無端回動体を収容する収容空間が形成され、さらに、収容空間には、外部から取り込んだ空気を従動プーリ側から駆動プーリ側に向けて流して外部に排出する風路が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許公開2017/0002920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1による作業車では、冷却風が駆動プーリ及び従動プーリの側面を流れる。しかしながら、無端回動体を挟み付けている駆動プーリ及び従動プーリが無端回動体に比べて大きいことから、無端回動体の相当な部分が駆動プーリ及び従動プーリによって覆われてしまうことで、無端回動体が十分に冷却されないという問題が生じる。
本発明の目的は、無端回動体が十分に冷却される無段変速装置を備えた車両トランスミッションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による車両トランスミッションは、駆動プーリと従動プーリと前記駆動プーリと前記従動プーリとに亘って巻回される無端回動体とからなる無段変速装置、前記無段変速装置を収容する収容空間を形成する収容体、外部から前記収容空間へ空気を取り込む空気取り込み装置、前記空気取り込み装置によって取り込まれた空気を冷却風として前記無端回動体に向けて導く導風体を備え、
前記空気取り込み装置には、回転軸の突出端に固定された前記駆動プーリ及び前記従動プーリの少なくとも一方の側面に対面配置された円盤状のフィンプレートである起風ユニットと、前記起風ユニットを覆うドーム状形状のユニットケースとが含まれ、前記ユニットケースの頂部にエアインテークが設けられ、前記導風体は、前記ユニットケースの裾部からに延びたダクトである。
【0006】
この構成では、駆動プーリと従動プーリと無端回動体とを収容している収容空間に、空気取り込み装置によって取り込まれた空気は、導風体によって無端回動体に向けて導かれる。無端回動体に照準を合わせて冷却風が送り込まれるので、効率よく無端回動体を冷却することができる。導風体に向かった冷却風は無端回動体に衝突して、周囲に拡散するので、拡散された冷却風によって駆動プーリや従動プーリも冷却される。
【0007】
本発明では、前記空気取り込み装置には、エアインテークと、起風ユニットと、前記エアインテークと接続するとともに前記起風ユニットを収容するユニットケースとが含まれ、前記導風体は前記ユニットケースに接続している。ユニットケースに起風ユニットが収容されているので強制的に冷却風を無端回動体に送り込むことができる。このユニットケースにエアインテークが一体形成されると、無段変速装置を空冷するための空気取り込み装置がユニット化され、好都合である。
【0008】
さらに、この発明では、前記導風体は、前記ユニットケースから延びたダクトとして形成されている。これにより、ユニットケース内で起風ユニットによって作り出された冷却風は、実質的に密封された状態で、直接ダクトを通じて無端回動体に吹き付けることができ、効率のよい冷却が実現する。
【0009】
本発明では、前記起風ユニットは、前記駆動プーリ又は前記従動プーリに設けられたフィンで構成され、ユニットケースで覆われている。この構成では、起風ユニットは、エンジン等によって駆動される駆動プーリ又は前記従動プーリに設けられたフィンによって起風するので、専用の回転動力機器が不要となり、コスト的に有利である。また、フィンはユニットケースで覆われているので、フィンが何らかの物体と干渉することが回避される。
【0010】
前記導風体の先端部に、前記無端回動体に前記冷却風を吹き付けるノズルが設けられると、無端回動体の幅が小さくても、無端回動体に照準を合わせて冷却風を吹き付けることができるので、効率よく無端回動体を冷却することができる。
【0011】
無端回動体の空中に位置している部分に冷却風を吹き付けると、冷却風が無端回動体の表面、裏面、側面に回り込むように行き渡ることで、冷却効果が向上する。このため、本発明の一例では、前記ノズルは前記無端回動体の直線部分に向けられている。
【0012】
また、無端回動体のプーリと係合している部分に冷却風を吹き付けると、冷却風が無端回動体だけでなく、プーリも直接冷却することができる利点が得られる。このため、本発明の一例では、前記ノズルは前記無端回動体の巻回り部分に向けられている。
【0013】
さらに、無端回動体の進み方向と向き合うように、冷却風を吹き付けると、冷却風
と無端回動体との衝突力が増加し、冷却効果が向上する。このため、本発明の一例では、前記ノズルから吹き付けられた前記冷却風の向きは、前記無端回動体の進み方向と向き合っている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】多目的車両を示す側面図である。
図2】多目的車両を示す平面図である。
図3】ベルト式無段変速装置の断面図である。
図4】ベルト式無段変速装置の内部の側面図である。
図5】別実施形態でのベルト式無段変速装置の断面図である。
図6】別実施形態でのベルト式無段変速装置の内部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による車両トランスミッションの実施形態の一つについて説明する。なお、以下の説明では、多目的作業車に関し、図1に示される矢印Fの方向を「車体前方」、矢印Bの方向を「車体後方」、矢印Uの方向を「車体上方」、矢印Dの方向を「車体下方」、紙面表側の方向を「車体左方」、紙面裏側の方向を「車体右方」とする。
図1図2に示される多目的車両は、荷の運搬やレクリエーション等の多目的な用途に用いられる。多目的車両は、車両トランスミッションと、操向可能且つ駆動可能な左右一対の前車輪11と、駆動可能な左右一対の後車輪12とを備えている。機体の前後中央部には、運転部13が備えられている。機体における運転部13の後部には、荷台14が備えられている。機体における荷台14よりも下方には、原動部15が備えられている。
【0016】
図2に示すように、運転部13には、操縦者が着座可能な運転座席16と、搭乗者が着座可能な補助席17と、操舵操作を行うためのステアリングホイール18と、変速操作を行うための変速レバー19と、機体の車速を変更するためのアクセルペダル(図示なし)等が備えられている。
【0017】
図1に示すように、運転部13は、保護フレーム21に周囲を囲われて保護されている。運転座席16の後方において、前後向きの面を有する縦向きの窓部材28が保護フレーム21に架設されている。運転座席16の側方には防護パネル29が設けられている。
【0018】
図2に示される原動部15には、水冷式のガソリンエンジン(以下、単に、「エンジン30」と称する)、車両用トランスミッションとして、無段変速装置4、ギヤ式変速機構32等が備えられている。エンジン30は、クランク軸が横向きとなる横置き姿勢で備えられている。
【0019】
図2に示されるように、ギヤ式変速機構32は、ミッションケース36に収容されている。ミッションケース36は、エンジン30の後部側に位置している。無段変速装置4は、エンジン30及びミッションケース36の側部側に位置している。図3に示すように、エンジン30のクランク軸に直結しているエンジン出力軸37には、無段変速装置4の駆動軸43が接続されている。
【0020】
図2から理解できるように、エンジン30の動力は、無段変速装置4に伝達され、エンジン30の回転速度に応じて変速される。無段変速装置4の出力は、ギヤ式変速機構32に伝達される。ギヤ式変速機構32は、変速レバー19の操作に基づいて、前進一速状態、前進二速状態、中立状態、後進状態に、出力状態を切り換えることが可能に構成されている。ギヤ式変速機構32の出力は、左右の後車輪12に伝達されるように構成されている。また、ギヤ式変速機構32の出力は、推進軸39を介して左右の前車輪11にも伝達可能に構成されている。ギヤ式変速機構32には、伝動クラッチ(図示なし)が備えられている。伝動クラッチを入り状態にすると、左右の前車輪11及び左右の後車輪12に動力が伝達される状態(四輪駆動状態)となる。一方、伝動クラッチを切り状態にすると、左右の後車輪12のみに動力が伝達される状態(二輪駆動状態)となる。
【0021】
図3に示されるように、無段変速装置4には、ベルト巻回径の変更が可能な駆動プーリ40と、ベルト巻回径の変更が可能な従動プーリ41と、駆動プーリ40と従動プーリ41とに亘って巻回される無端ベルト42(「無端回動体」の一例)と、が備えられている。
【0022】
また、無段変速装置4には、駆動プーリ40を一体回転させる駆動軸43と、駆動プーリ40のベルト巻回径を変更する巻回径調節機構46と、従動プーリ41を一体回転させる出力軸45と、従動プーリ41に対してベルト巻回径を大きくする方向に付勢力を及ぼすコイルバネ44とが備えられている。
【0023】
駆動プーリ40、従動プーリ41、無端ベルト42、駆動軸43、巻回径調節機構46、出力軸45、コイルバネ44は、無段変速装置4のケーシングである収容体48内に形成される収容空間Sに収容されている。
【0024】
エンジン出力軸37と、駆動軸43との間には、遠心クラッチ49が介装されている。遠心クラッチ49は、駆動プーリ40に対するエンジン30からの動力伝達を入り切り可能に構成されている。エンジン30の回転速度が設定値未満の際は、遠心クラッチ49は、遮断状態となり、エンジン出力軸37から駆動プーリ40の駆動軸43には動力が伝達されない。一方、エンジン30の回転速度が設定値以上の際は、遠心クラッチ49は、連結状態に達し、エンジン出力軸37から駆動プーリ40の駆動軸43に動力が伝達される。
【0025】
駆動プーリ40には、駆動側固定シーブ50と、駆動側可動シーブ51と、が備えられている。駆動側固定シーブ50は、駆動軸43の基端側(エンジン30に近接する側)に配置されている。駆動側可動シーブ51は、駆動軸43の先端側に配置されている。巻回径調節機構46は、駆動軸43の突出端に備えられている。
【0026】
従動プーリ41には、従動側可動シーブ52と、従動側固定シーブ53と、が備えられている。従動側可動シーブ52は、出力軸45に配置されている。従動側固定シーブ53は、出力軸45の先端側に配置されている。コイルバネ44は、従動側可動シーブ52を従動側固定シーブ53に接近させる方向に付勢するように出力軸45に装着されている。
【0027】
エンジン出力軸37の回転速度が設定値から増加するにつれて、巻回径調節機構46の作用により、駆動側可動シーブ51が、駆動側固定シーブ50に接近する方向に移動し、これにより、駆動プーリ40のベルト巻回径が大きくなる。これに伴い、無端ベルト42の張力により、コイルバネ44の付勢力に抗して、従動側可動シーブ52が、従動側固定シーブ53から離間する方向に移動し、これにより、従動プーリ41のベルト巻回径が小さくなる。
【0028】
また、エンジン出力軸37の回転速度が高回転速度から減少する際は、巻回径調節機構46による押圧力が減少し、コイルバネ44の付勢力により、従動側可動シーブ52が、従動側固定シーブ53に接近する方向に移動し、これにより、従動プーリ41のベルト巻回径が大きくなる。これに伴い、無端ベルト42の張力により、巻回径調節機構46の押圧力に抗して、駆動側可動シーブ51が、駆動側固定シーブ50から離間する方向に移動し、これにより、駆動プーリ40のベルト巻回径が小さくなる。
【0029】
エンジン出力軸37の回転速度が設定値以上の低回転速度であり、無段変速装置4における減速比が1より大きくなる場合は、駆動プーリ40に対して従動プーリ41が減速側となる。これは、走行機体の低速走行時に対応する。
【0030】
また、エンジン出力軸37の回転速度が低回転速度よりも大きな高回転速度であり、無段変速装置4における減速比が1より小さくなる場合は、駆動プーリ40に対して従動プーリ41が増速側となる。これは、走行機体の高速走行時に対応する。
【0031】
図3に示されるように、収容体48は、第1ケース48Aと第2ケース48Bとからなる2つ割れ構造体である。第2ケース48Bはエンジン30に近い側に位置し、第1ケース48Aはエンジン30に遠い側に位置するように、ボルト連結されている。連結された第1ケース48Aと第2ケース48Bとの内側に形成される空間が、無段変速装置4を収容する収容空間Sである。
【0032】
第1ケース48Aには、外方に突出した円筒状の第1筒部481と第2筒部482とが形成されている。第1筒部481は、駆動軸43とほぼ同軸状に位置しており、第2筒部482は、出力軸45とほぼ同軸状に位置している。第2ケース48Bには、駆動軸43が貫通する第1開口部483と、出力軸45が貫通する第2開口部484とが形成されている。
【0033】
外部から収容空間Sへ空気を取り込む空気取り込み装置60が、第1ケース48Aと従動プーリ41との間の収容空間Sに設けられている。さらに、空気取り込み装置60によって取り込まれた空気を冷却風として無端ベルト42に向けて導く導風体90が収容空間Sに設けられている。
【0034】
空気取り込み装置60は、起風ユニット70と、この起風ユニット70を収容するユニットケース80とを備えている。この実施形態では、起風ユニット70は、円盤の外面に1つ以上のフィン71が設けられているフィンプレート72である。フィンプレート72は、従動プーリ41の側面部または出力軸45の突出端に取り換え可能に固定されている。エンジン30の回転速度が設定値から大きくなる程、フィンプレート72の回転速度も大きくなって、フィン71よって発生する風の強さも強くなる。
【0035】
ユニットケース80は、フィンプレート72を覆うドーム状形状を有する。ユニットケース80の頂部には、第1ケース48Aの第2筒部482に嵌入する嵌入部81が形成されている。嵌入部81及び第2筒部482は、空気取り込み装置60のエアインテークとして機能する。ユニットケース80の裾部には、導風体90が接続している。導風体90は、ユニットケース80の裾部から無端ベルト42の直線部分に延びるダクトであり、その先端部には、無端ベルト42に冷却風を吹き付けるノズル91が形成されている。フィンプレート72が回転することにより、フィン71によって生じた空気流が冷却風として、エアインテークからノズル91に流れる。なお、この実施形態では、図4に示すように、ノズル91は、無端ベルト42の直線部分の裏面に対して傾斜角をもって冷却風を吹き付けるように、方向づけられている。その際、ノズル91からの冷却風の吹き付け方向は、吹き付けられる無端ベルト42の進み方向と向き合っている。なお、導風体90は、ユニットケース80と一体的に形成することができる。
【0036】
ノズル91からの冷却風は、無端ベルト42を通過した後、駆動プーリ40及び従動プーリ41を含む収容空間Sを冷却しながら流れ、第1ケース48Aの第1筒部481から外部に流れ出る。
【0037】
図1図2とにおいて模式的に示されているだけであるが、第2筒部482には、空気導入ダクト55が接続され、第1筒部481には、空気導出ダクト56が接続されている。この2つのダクトにより、車両における適切な箇所から空気を導入し、車両における適切な箇所に空気を放出することができる。
【0038】
図5図6には、導風体90の別な実施形態が示されている。図3図4に示された導風体90は、無端ベルト42の直線部分に冷却風を吹き付けるのに対して、図5図6に示された導風体90は無端ベルト42の巻回り部分、つまり無端ベルト42の従動プーリ41に係合している部分に冷却風を吹き付ける。このため、導風体90は、ユニットケース80の裾部から、略U字状に屈曲して、その先端部に形成されたノズル91が、従動プーリ41の従動側可動シーブ52と従動側固定シーブ53との間のV字状断面空間に向き合うように、延びている。ここでも、ノズル91からの冷却風の吹き付け方向は、吹き付けられる無端ベルト42の進み方向と向き合うように、ノズル91が方向づけられると好都合である。
【0039】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態では、空気取り込み装置60を構成する起風ユニット70は、従動プーリ41に設けられていたが、収容空間S内の空気の流れを高めるために駆動プーリ40にも起風ユニット70を設けてもよい。
(2)上記実施形態では、起風ユニット70が従動プーリ41に設けられ、導風体90が、従動プーリ41の周辺に設けられていたが、空気取り込み装置60が駆動プーリ40に設けられ、導風体90が、駆動プーリ40の周辺に設けられてもよい。また、空気取り込み装置60及び導風体90が従動プーリ41と駆動プーリ40との両方に設けられ、双方の導風体90からの冷却風で無端ベルト42を冷却してもよい。
(3)導風体90に複数のノズル91が設けられてもよい。
(4)上記実施形態では、「無端回動体」として無端ベルト42を用いる無段変速装置4が例示されているが、その材質はゴムや金属あるいはその複合体であってもよい。さらに「無端回動体」として複数のチェーンを用いるチェーン式無段変速装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、上記した多目的車両以外にも、トラクタ、草刈機等の種々の作業車において利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
4 :無段変速装置
11 :前車輪
12 :後車輪
40 :駆動プーリ
41 :従動プーリ
42 :無端ベルト(無端回動体)
43 :駆動軸
45 :出力軸
48 :収容体
48A :第1ケース
48B :第2ケース
60 :空気取り込み装置
70 :起風ユニット
71 :フィン
72 :フィンプレート
80 :ユニットケース
81 :嵌入部(エアインテーク)
90 :導風体
91 :ノズル
481 :第1筒部
482 :第2筒部(エアインテーク)
S :収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6