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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】改装サッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
E06B1/56 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020176059
(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公開番号】P2022067377
(43)【公開日】2022-05-06
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】砂原 光宏
(72)【発明者】
【氏名】岩田 奈穂
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-17073(JP,U)
【文献】特開2013-217111(JP,A)
【文献】特開2011-196100(JP,A)
【文献】実開昭60-1878(JP,U)
【文献】特開2002-4724(JP,A)
【文献】実開昭48-107230(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00 - 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設枠の開口内に新設枠が設置される改装サッシであって、
前記既設枠の内周側には前記新設枠に取付可能な改装枠が配置され、
前記改装枠および前記新設枠の間には少なくとも一つの見付け調整枠が配置され、
前記見付け調整枠の外周側は前記改装枠に取付可能な第一取付部を有し、
前記見付け調整枠の内周側は前記新設枠および前記第一取付部のいずれにも取付可能な第二取付部を有する
ことを特徴とする改装サッシ。
【請求項2】
請求項1に記載の改装サッシにおいて、
前記新設枠には下地材が取り付けられ、
前記下地材の端部は前記改装枠および前記見付け調整枠の端部を覆って配置され、
前記改装枠および前記見付け調整枠の端部と前記下地材の端部との間にはシール材が設置される
ことを特徴とするサッシ。
【請求項3】
請求項1に記載の改装サッシにおいて、
前記改装枠は前記見付け調整枠が取付可能な改装縦枠であり、
前記新設枠は新設上枠を備え、
前記新設上枠には上枠下地材が取り付けられ、
前記上枠下地材の端部は前記改装縦枠および前記見付け調整枠の上端を覆って配置され、
前記改装縦枠および前記見付け調整枠の上端と前記上枠下地材の端部との間にはシール材が設置され、
前記見付け調整枠は前記上枠下地材を固定する固定具と締結される被固定部を有し、
前記シール材は当該固定具および前記被固定部の締結によって圧縮される
ことを特徴とする改装サッシ。
【請求項4】
請求項3に記載の改装サッシにおいて、
前記見付け調整枠は、室外見付け面部、室内見付け面部、外周見込み面部および内周見込み面部を有し、
前記被固定部は前記外周見込み面部に形成される
ことを特徴とする改装サッシ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の改装サッシにおいて、
前記改装枠および前記見付け調整枠の間と、前記見付け調整枠および前記新設枠の間とには、気密材が各枠に沿ってそれぞれ設けられる
ことを特徴とする改装サッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室などに設置された既設サッシを新設サッシに改装する改装サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、改装サッシとして、浴室に設置された既設サッシの既設枠の開口内に新設サッシの新設枠を取り付けるジョイント枠を備えた浴室改装サッシが知られている(特許文献1参照)。既設枠は、既設上枠、既設下枠および左右の既設縦枠を備えている。新設枠は、新設上枠(上部新設上枠)、新設下枠(下部新設下枠)および左右の新設縦枠を備えている。ジョイント枠は、新設上枠を既設上枠に取り付けるジョイント上枠と、新設下枠を既設下枠に取り付けるジョイント下枠と、左右の新設縦枠を左右の既設縦枠に取り付ける左右のジョイント縦枠とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-217111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、左右の既設縦枠間の開口幅寸法は、地域等に応じて異なる各種寸法に設定されるが、特許文献1に記載の浴室改装サッシでは、ジョイント縦枠によって新設縦枠を既設縦枠に取り付けているので、前述した各種寸法に対応すべく既設縦枠および新設縦枠の間の見付寸法を調整するには、見付け寸法が異なる複数種類のジョイント縦枠を準備する必要があり、製造コストがかかる。
【0005】
本発明の目的は、既設枠および新設枠の間の見付け寸法を調整可能な改装サッシを低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の改装サッシは、既設枠の開口内に新設枠が設置される改装サッシであって、前記既設枠の内周側には前記新設枠に取付可能な改装枠が配置され、前記改装枠および前記新設枠の間には少なくとも一つの見付け調整枠が配置され、前記見付け調整枠の外周側は前記改装枠に取付可能な第一取付部を有し、前記見付け調整枠の内周側は前記新設枠および前記第一取付部のいずれにも取付可能な第二取付部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、既設枠および新設枠の間の見付け寸法を調整可能な改装サッシを低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る改装サッシを示す内観姿図。
図2】前記実施形態に係る改装サッシを示す縦断面図。
図3】前記実施形態に係る改装サッシを示す横断面図。
図4】前記実施形態に係る改装サッシの要部を示す横断面図。
図5】前記実施形態に係る改装サッシの要部のシール箇所を示す説明図。
図6】本発明の第一の変形例に係る改装サッシの要部を示す説明図。
図7】本発明の第二の変形例に係る改装サッシの腰部を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図3において、本実施形態に係る改装サッシ1は、浴室の開口部に設置された既設枠10の開口内に新設枠20が設置されて室内外を区画するものである。既設枠10は、サッシを改装する際に、建物躯体2に取り付けられていた既設サッシから既設パネルが取り外され、当該建物躯体2に残存したものである。本実施形態では新設枠20内に障子5,6(新設パネル)が引き違い可能に配置された引き違い窓が新設サッシとして構成されている。
以下の説明において、改装サッシ1の左右方向をX軸方向とし、改装サッシ1の上下方向をY軸方向とし、改装サッシ1の見込み方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
既設枠10は、既設上枠11、既設下枠12および左右の既設縦枠13,14を枠組みして構成されている。既設上枠11は建物躯体2のまぐさに固定されており、既設下枠12は建物躯体2の窓台に固定されており、左右の既設縦枠13,14は建物躯体2の柱にそれぞれ固定されている。
新設枠20は、新設上枠21、新設下枠22および左右の新設縦枠23,24を枠組みして構成されており、新設上枠21および新設下枠22には、障子5,6をX軸方向に案内するレールが形成されている。
【0011】
新設上枠21は、図2に示すように、アルミ製の上枠本体211と、上枠本体211と係合して当該新設上枠21の室内部分を構成する樹脂製の上枠室内材212とを有している。上枠本体211は、既設上枠11の内周側に設置される上枠下地材30(下地材)にネジ止めされており、上枠室内材212には上額縁71がネジ止めされている。
ここで、上枠下地材30は、上枠見込み片部31と、上枠見込み片部31から下方に延出した室内見付け片部32と、上枠見込み片部31から室内側に延出した断面略L字状の固定片部33とを有したアルミ押出形材によって形成されている。上枠見込み片部31はX軸方向に沿った複数箇所で上枠本体211に対してネジ7AによってY軸方向にネジ止めされている。上枠見込み片部31の端部は、後述する改装縦枠50および見付け調整枠60の上端を覆って配置されている。室内見付け片部32は上枠本体211に対してネジ7BによってZ軸方向にネジ止めされている。固定片部33は建物躯体2のまぐさに対してネジ7Cによってネジ止めされている。上枠下地材30の室内部分にはシート材91が設置されている。シート材91は、上枠見込み片部31の室内部分から既設上枠11の室内見付け面部にわたって設けられており、固定片部33および後述するアングル材81の室内部分を室内側から覆っている。このシート材91は、既設上枠11および上枠下地材30の間を止水している。また、上枠見込み片部31にはX軸方向に沿った気密材35が設けられている。上枠見込み片部31には、下方に突出した位置決め突部311が形成されており、位置決め突部311に沿わせて気密材35を配置することで、気密材35の見込み位置決めを簡単に行える。この気密材35は、ネジ7Aに対して室内側であってネジ7Bに対して室外側に配置されていると共に、上枠本体211に当接している。
建物躯体2のまぐさには、アングル材81を介して上カバー材82が取り付けられている。上カバー材82は、既設上枠11を室外側から覆って配置されていると共に、上枠本体211の室外見付け面に当接している。このように上枠本体211の室外見付け面部213が上カバー材82に当接することで、新設枠20を設置する際における新設上枠21の見込み位置決めを簡単に行える。
【0012】
新設下枠22は、図2に示すように、アルミ製の下枠本体221と、下枠本体221に係合された樹脂製のカバー材222,223とを有している。下枠本体221は、既設下枠12の内周側に設置される下枠下地材40(下地材)と、室内アタッチメント224とにネジ止めされており、カバー材222よりも室内側にあるカバー材223には下額縁72がネジ止めされていると共に新設下枠22の室内部分を構成している。
ここで、下枠下地材40は、下枠見込み片部41と、下枠見込み片部41から下方に延出した室外見付け片部42と、下枠見込み片部41から室内側に延出した断面略L字状の固定片部43と、下枠見込み片部41の室内端部から上方に延出した下枠固定片部44とを有したアルミ押出形材によって形成されている。下枠見込み片部41の室外端部には、下枠本体221と係合する室外係合部411が形成されている。室外見付け片部42には、既設縦枠13に載せられる金具83がネジ止めされていると共に、既設下枠12を室外側から覆う下カバー材84が装着されている。固定片部43はネジ7Cによって建物躯体2の窓台にネジ止めされている。下枠固定片部44にはネジ7Bによって下枠本体221がネジ止めされている。下枠下地材40の室内部分にはシート材92が設置されている。シート材92は、固定片部43から既設下枠12の室内見付け面部121にわたって設けられている。このシート材92は既設下枠12および下枠下地材40の間を止水している。また、下枠見込み片部41にはX軸方向に沿った気密材45が設けられている。下枠見込み片部41のZ軸方向における中間位置には上方に立ち上げられた立上片部412が形成されており、気密材45は、立上片部412に沿わせて気密材45を配置することで気密材45の見込み位置決めを簡単に行える。この気密材45の見込み位置は、下枠下地材40に取り付けられるネジ7Bに対して室外側の位置であって、気密材35の見込み位置と同じ位置である。
【0013】
新設縦枠23は、図3および図4に示すように、アルミ製の縦枠本体231と、縦枠本体231と係合して当該新設縦枠23の室内部分を構成する樹脂製の縦枠室内材232とを有しており、縦枠室内材232には縦額縁73がネジ止めされている。
縦枠本体231は、縦枠見込み片部233と、縦枠見込み片部233から内周側に延出した室外見付け片部234と、縦枠見込み片部233および室外見付け片部234の連続部分から外周側(既設縦枠13側)に突出して鉤状に形成された第一係合部235と、第一係合部235に対して室内側に位置すると共に縦枠見込み片部233から外周側に突出して片状に形成された第一固定部236と、第一係合部235および第一固定部236の間において縦枠見込み片部233から外周側に延出した押え片部237とを有しており、押え片部237の先端は後述する気密材65を押さえやすいように室内側に折曲されている。縦枠見込み片部233の内周側の面(障子5,6側の面)には、縦枠室内材232が係合可能な室内材係合部238が形成されている。
この新設縦枠23と既設縦枠13との間には改装縦枠50(改装枠(改装枠材))および見付け調整枠60が配置されている。本実施形態では、改装縦枠50および新設縦枠23の間に配置される見付け調整枠60は一つである。また、既設縦枠13および改装縦枠50の間には縦枠アタッチメント100が配置されている。改装縦枠50、見付け調整枠60および縦枠アタッチメント100はアルミ押出形材によって形成されている。
【0014】
縦枠アタッチメント100は、縦見込み片部101と、縦見込み片部101の室外端部からX軸方向における両側に延出した縦見付け片部102とを有しており、縦見付け片部102には、縦見込み片部101よりも外周側で室内側に延出した二つの延出片部103と、縦見込み片部101よりも内周側で室内側に延出した当接片部104とが形成されており、二つの延出片部103の間には気密材105が設けられている。
縦見込み片部101は、その室外端部でネジ7Dによって建物躯体2の柱にネジ止めされている。
二つの延出片部103のうち縦見込み片部101側に位置する延出片部103は既設縦枠13の室外見付け面部131に当接しており、これにより、縦枠アタッチメント100の既設縦枠13に対する見込み位置が位置決めされている。気密材105は既設縦枠13の室外見付け面部131に当接しており、縦見付け片部102および室外見付け面部131の間を気密に閉塞している。
【0015】
改装縦枠50は、図3および図4に示すように既設縦枠13の内周側に設置されており、室外見付け面部51および室内見付け面部52と、室外見付け面部51および室内見付け面部52に連続した外周見込み面部53および内周見込み面部54と、室外見付け面部51および内周見込み面部54の連続部分から内周側(新設縦枠23側)に突出し且つ先端に鉤部541が形成された第二係合部56と、第二係合部56に対して室内側に位置すると共に内周見込み面部54の室内端部から内周側に突出して片状に形成された第二固定部57と、第二係合部56および第二固定部57の間において内周見込み面部54から内周側に折曲された段部58とを有している。
室外見付け面部51は、縦枠アタッチメント100の当接片部104に当接しており、これにより、改装縦枠50の見込み位置が位置決めされている。外周見込み面部53のうち既設縦枠13側の面は平坦面によって形成されている。外周見込み面部53のうち室内見付け面部52よりも室内側に位置する室内部分にはシート材93が設置されている。シート材93は、外周見込み面部53の室内部分から既設縦枠13の室内見付け面部132にわたって設けられており、縦枠アタッチメント100の縦見込み片部101の室内部分を覆っている。このシート材93は、既設縦枠13および改装縦枠50の間を止水している。外周見込み面部53の室内部分は建物躯体2の柱に対してネジ7Cによってネジ止めされている。
内周見込み面部54には、気密材55がY軸方向に沿って設けられている。気密材55はその室内側縁が段部58に当てられながら内周見込み面部54に貼り付けられており、このため、気密材55の見込み位置決めを簡単に行える。気密材55に対してX軸方向における外周側には室内見付け面部52が配置されている。このため、気密材55が後述する押え片部637によってX軸方向に押えられても、押えられる気密材55を内周見込み面部54で強固に受けることができ、改装縦枠50および見付け調整枠60の間を気密に塞げる。
【0016】
見付け調整枠60は、図3および図4に示すように改装縦枠50および新設縦枠23の間に配置されており、室外見付け面部61および室内見付け面部62と、室外見付け面部61および室内見付け面部62に連続した外周見込み面部63および内周見込み面部64と、室外見付け面部61および外周見込み面部63の連続部分から外周側(既設縦枠13側)に突出して鉤状に形成された第一係合部635と、第一係合部635に対して室内側に位置すると共に外周見込み面部63から外周側に突出して片状に形成された第一固定部636と、第一係合部635および第一固定部636の間において外周見込み面部63から外周側に延出した押え片部637と、室外見付け面部61および内周見込み面部64の連続部分から内周側(新設縦枠23側)に突出し且つ先端に鉤部641が形成された第二係合部66と、第二係合部66に対して室内側に位置すると共に内周見込み面部64の室内端部から内周側に突出して片状に形成された第二固定部67と、第二係合部66および第二固定部67の間において内周見込み面部64から内周側に折曲された段部68と、第一係合部635および押え片部637の間(気密材55に対して室外側)において外周見込み面部63に形成された被固定部としてのビスホール69とを有している。室外見付け面部61および室内見付け面部62は予め設定された所定の見付け寸法とされている。内周見込み面部64には気密材65がY軸方向に沿って設けられている。気密材65はその室内側縁が段部68に押し当てられながら内周見込み面部64に貼り付けられており、このため、気密材65の見込み位置決めを簡単に行える。押え片部637の先端は気密材55を押さえやすいように室内側に折曲されている。
【0017】
第一係合部635は改装縦枠50の第二係合部56と係合し、第一固定部636は改装縦枠50の第二固定部57にネジ7Eによってネジ止めされている。また、第二係合部66は新設縦枠23の第一係合部235と係合し、第二固定部67は新設縦枠23の第一固定部236にネジ7Eによってネジ止めされている。このとき、室外見付け面部61は、新設縦枠23の室外見付け片部234および改装縦枠50の室外見付け面部51とX軸方向に沿って配置され、室内見付け面部62および押え片部637は、新設縦枠23の押え片部237および改装縦枠50の室内見付け面部52とX軸方向に沿って配置される。また、気密材65に対してX軸方向における外周側には室内見付け面部62が配置されている。このため、気密材65が押え片部237によってX軸方向に押えられても、押えられる気密材65を内周見込み面部64で強固に受けることができ、見付け調整枠60および新設縦枠23の間を気密に塞げる。
【0018】
ここで、新設縦枠23の第一係合部235および改装縦枠50の第二係合部56は互いに係合可能に構成されており、新設縦枠23の第一固定部236および改装縦枠50の第二固定部57は互いにネジ止め可能に構成されている。このため、見付け調整枠60の第一係合部635および第一固定部636は、改装縦枠50の第二係合部56および第二固定部57のほか、他の見付け調整枠60の第二係合部66および第二固定部67とも係合、ネジ止め可能な第一取付部601を構成しており、この第一取付部601は見付け調整枠60の外周側に配置されている。また、見付け調整枠60の第二係合部66および第二固定部67は、新設縦枠23の第一係合部235および第一固定部236のほか、他の見付け調整枠60の第一係合部635および第一固定部636とも係合、ネジ止め可能な第二取付部602を構成しており、この第二取付部602は見付け調整枠60の内周側に配置されている。加えて、新設縦枠23の第一係合部235および第一固定部236は、改装縦枠50の第二係合部56および第二固定部57に係合、固定可能である。このため、新設縦枠23を見付け調整枠60を介さずに改装縦枠50に直接に取り付けることもできる。
【0019】
また、改装縦枠50および見付け調整枠60の上端と上枠下地材30の端部との間には、図5に示すように、これらの間を塞ぐシール材8が配置されており、上枠下地材30の当該端部はネジ7Fによって見付け調整枠60の上端に固定されている。具体的には、ネジ7Fが上枠下地材30を通って見付け調整枠60のビスホール69に螺合締結している。これにより、上枠下地材30の端部が改装縦枠50および見付け調整枠60の上端から上方に撓んで浮き上がってシール性が低下することがなく、また、シール材8を適切に圧縮できて改装縦枠50および見付け調整枠60の上端と上枠下地材30の端部との間のシール性を向上できる。また、このように見付け調整枠60に上枠下地材30を固定するので、例えばこのように固定しなくても、上枠下地材30の端部が撓まない程度にまでその厚さ寸法を大きくして強度を高める必要がなく、上枠下地材30の薄肉化を図り得る。
なお、ビスホール69のZ軸方向における見込み位置は、上枠下地材30を新設上枠21にネジ止めするネジ7Aの見込み位置と同じ位置とされており、この見込み位置でも、上枠下地材30の端部をネジ止めするネジ7Fがビスホール69に螺合締結することで、気密材55,65の上端を上枠下地材30に設けられた気密材35に対して十分に気密に当接させることができる。本実施形態ではこのように構成されているが、例えばビスホール69を気密材65に更に近い位置に形成することで、当該ビスホール69およびネジ7Fの螺合締結によって気密材55,65の上端を気密材35に更に気密に当接させて気密性を向上させてもよい。
また、気密材55,65は押え片部637,237によって押えられるので、気密材55,65のX軸方向における厚さ寸法を、内周見込み面部54および外周見込み面部63の間を埋められる寸法および内周見込み面部64および縦枠見込み片部233の間を埋められる寸法よりも小さい寸法にできて薄肉化を図れる。
【0020】
新設縦枠24は、図3に示すように、新設縦枠23と同様に構成されて左右逆向きに配置され、既設縦枠14に対して縦枠アタッチメント100、改装縦枠50および見付け調整枠60を介して取り付けられており、既設縦枠14および改装縦枠50の間はシート材93によってシールされている。ここでの縦枠アタッチメント100、改装縦枠50および見付け調整枠60は、既設縦枠13および新設縦枠23の間に配置された縦枠アタッチメント100、改装縦枠50および見付け調整枠60とは左右逆向きに配置されている。
なお、気密材55,65は気密材35,45と気密に当接して四周連続した気密ラインを構成する。シート材91,92,93は四周連続したシールラインを構成する。
【0021】
[変形例]
前記実施形態では、改装縦枠50および新設縦枠23の間に一つの見付け調整枠60が配置されているが、これに限らず、例えば図6に示すように、二つ以上の見付け調整枠60が配置されてもよい。また、改装縦枠50および新設縦枠23の間にも同様に二つ以上の見付け調整枠60が配置されてもよい。
前記実施形態では、第一取付部601は第一係合部635および第一固定部636によって構成され、第二取付部602は第二係合部56および第二固定部57によって構成されているが、これに限らず、新設縦枠23(新設縦枠24)および改装縦枠50に対する取付構造に応じて適宜構成される。例えば第一係合部635および第二係合部56に代えて、固定具等で固定される固定部が採用されてもよく、また、第一固定部636および第二固定部57に代えて、鉤状等の係合部が採用されてもよい。
前記実施形態では、見付け調整枠60にはビスホール69が被固定部とされているが、例えば、ネジ7Fが締結する裏当て板などであってもよい。また、この被固定部は外周見込み面部63に形成されているが、これに限らず、ネジ7Fとの締結時に、上枠下地材30の撓みを抑制でき、且つ、改装縦枠50および見付け調整枠60の上端と上枠下地材30の端部との間のシール材8を適切に圧縮できる位置であればよく、例えば室外見付け面部61や室内見付け面部62に形成されていてもよい。更に、上枠下地材30自体が高い強度をもっており、上枠下地材30を見付け調整枠60に固定しなくても、シール材8を適切に圧縮できる場合には、見付け調整枠60を上枠下地材30に締結しなくてもよく、前述した被固定部の構成を省略してもよい。
改装サッシ1は、浴室の開口部に設置された既設枠10の開口内に新設枠20が設置されるものとしたが、浴室の開口部に限らず、建物の各種の開口部に設置された既設枠の開口内に新設枠を設置するものとしてもよい。また、改装サッシ1は、本実施形態では引き違い窓としたが特定の窓種に限定されず、片引き窓、内開き窓、上げ下げ窓、すべり出し窓、外開き窓などの開閉する窓、または嵌め殺し窓などの開閉しない窓でもよい。
【0022】
前記実施形態では、既設下枠12に下枠下地材40が取り付けられ、下枠下地材40に新設下枠22が取り付けられているが、例えば図7に示す変形例のように、下枠下地材40および新設下枠22の間に少なくとも一つの見付け調整枠60Aが配置されてもよく、この場合、下枠下地材40は改装下枠40A(改装枠(改装枠材))を構成する。
新設下枠22は、下枠本体221の室外下端部から外周側(既設下枠12側)に突出して鉤状に形成された第一係合部225と、第一係合部225に対して室内側に位置すると共に下枠本体221における室内見付け面部228の下端部に形成された片状の第一固定部226と、第一係合部225および第一固定部226の間において下枠本体221から外周側(既設下枠12側)に延出した押え片部227とを有しており、押え片部227の先端は前述した気密材45を押さえやすいように室内側に折曲されている。
改装下枠40Aの室外係合部411は第二係合部56Aとして第一係合部225に係合可能に鉤状に形成されており、改装下枠40Aの下枠固定片部44は第二固定部57Aとして第一固定部226にネジ止め可能に形成されている。第二係合部56Aおよび第二固定部57Aの間には下枠見込み片部41において内周側(新設下枠22側)に折曲された立上片部412(段部)が形成されている。下枠見込み片部41には気密材45が立上片部412に押し当てられながら貼り付けられており、後述する段部69Aによって下方に押えられている。
見付け調整枠60Aによっても前述した見付け調整枠60と同様の作用効果を発揮可能である。見付け調整枠60Aの構成は次の通りである。見付け調整枠60Aは、室外見付け面部61Aおよび室内見付け面部62Aと、室外見付け面部61Aおよび室内見付け面部62Aに連続した外周見込み面部63Aおよび内周見込み面部64Aと、室外見付け面部61Aおよび外周見込み面部63Aの連続部分から外周側(既設下枠12側)に突出して鉤状に形成された第一係合部635Aと、室内見付け面部62Aの下部に形成された片状の第一固定部636Aと、内周見込み面部64Aにおいて内周側(新設下枠22側)に折曲された段部68Aと、室外見付け面部61Aおよび内周見込み面部64Aの連続部分から内周側(新設下枠22側)に突出した鉤状の第二係合部66Aと、第二係合部66Aに対して室内側に位置すると共に内周見込み面部64Aの室内端部から内周側に突出して片状に形成された第二固定部67Aと、外周見込み面部63Aにおいて内周側(新設下枠22側)に折曲された段部69Aとを有しており、見付け調整枠60Aの内周面には、左右の改装縦枠50にネジ止めされる被固定部としてのビスホール70Aが複数形成されている。第一固定部636Aは第一係合部635Aに対して室内側に位置している。室外見付け面部61Aおよび室内見付け面部62Aは予め設定された所定の見付け寸法とされている。内周見込み面部64Aには、気密材45が段部68Aに押し当てられながら貼り付けられており、前述した押え片部227によって下方に押えられている。
第一係合部635Aは改装下枠40Aの第二係合部56Aと係合し、第一固定部636Aは、改装下枠40Aの第二固定部57Aにネジ7Eによってネジ止めされている。また、第二係合部66Aは新設下枠22の第一係合部225と係合し、第二固定部67Aは新設下枠22の第一固定部226にネジ7Bによってネジ止めされている。
ここで、新設下枠22の第一係合部225および改装下枠40Aの第二係合部56Aは互いに係合可能に構成されており、新設下枠22の第一固定部226および改装下枠40Aの第二固定部57Aは互いにネジ止め可能に構成されている。このため、見付け調整枠60Aの第一係合部635Aおよび第一固定部636Aは、改装下枠40Aの第二係合部56Aおよび第二固定部57Aのほか、他の見付け調整枠60Aの第二係合部66Aおよび第二固定部67Aとも係合、ネジ止め可能な第一取付部611を構成しており、この第一取付部611は見付け調整枠60Aの外周側に配置されている。また、見付け調整枠60Aの第二係合部66Aおよび第二固定部67Aは、新設下枠22の第一係合部225および第一固定部226のほか、他の見付け調整枠60Aの第一係合部635Aおよび第一固定部636Aとも係合、ネジ止め可能な第二取付部612を構成しており、この第二取付部612は見付け調整枠60Aの内周側に配置されている。加えて、新設下枠22の第一係合部225および第一固定部226は、改装下枠40Aの第二係合部56Aおよび第二固定部57Aに係合、固定可能である。
なお、改装サッシ1が、改装下枠40Aに沿った見付け調整枠60Aを備える場合、左右の改装縦枠50に沿った見付け調整枠60は省略される。
【0023】
[本発明のまとめ]
本発明の改装サッシは、既設枠の開口内に新設枠が設置される改装サッシであって、前記既設枠の内周側には前記新設枠に取付可能な改装枠が配置され、前記改装枠および前記新設枠の間には少なくとも一つの見付け調整枠が配置され、前記見付け調整枠の外周側は前記改装枠に取付可能な第一取付部を有し、前記見付け調整枠の内周側は前記新設枠および前記第一取付部のいずれにも取付可能な第二取付部を有することを特徴とする。
本発明の改装サッシによれば、改装枠および新設枠の間に見付け調整枠を配置することで、改装枠に新設枠を取り付ける場合と比べて既設枠および新設枠の間の見付け寸法を大きく調整できる。このため、改装枠を新設枠に直接に取り付けたり、これらの間に少なくとも一つの見付け調整枠を配置したりすることで、既設枠間の各種の開口幅寸法に応じて既設枠および新設枠の間の見付け寸法を調整でき、複数種類の改装枠を準備する必要をなくすことができて低コスト化を図ることができる。
【0024】
本発明の改装サッシでは、前記新設枠には下地材が取り付けられ、前記下地材の端部は前記改装枠および前記見付け調整枠の端部を覆って配置され、前記改装枠および前記見付け調整枠の端部と前記下地材の端部との間にはシール材が設置されてもよい。
このような構成によれば、前述したシール材によって改装枠および見付け調整枠の双方の端部を塞ぐことができる。
【0025】
本発明の改装サッシでは、前記改装枠は前記見付け調整枠が取付可能な改装縦枠であり、前記新設枠は新設上枠を備え、前記新設上枠には上枠下地材が取り付けられ、前記上枠下地材の端部は前記改装縦枠および前記見付け調整枠の上端を覆って配置され、前記改装縦枠および前記見付け調整枠の上端と前記上枠下地材の端部との間にはシール材が設置され、前記見付け調整枠は前記上枠下地材を固定する固定具と締結される被固定部を有し、前記シール材は当該固定具および前記被固定部の締結によって圧縮されてもよい。
このような構成によれば、例えば改装縦枠に新設縦枠を直接に取り付ける場合には既設縦枠および新設縦枠の間の見付け寸法が小さいので、上枠下地材を新設上枠に取り付けることで、上枠下地材を改装縦枠に固定具によって固定しなくても、上枠下地材および改装縦枠の間のシール材を適切に圧縮可能だが、改装縦枠および新設縦枠の間に見付け調整枠を配置する場合には、新設縦枠および改装縦枠の間の見付け寸法が大きくなり、改装縦枠および見付け調整枠と上枠下地材との間のシール材を圧縮し難くなるところ、見付け調整枠の被固定部に固定具を締結することで、シール材を適切に圧縮できる。このため、改装縦枠および見付け調整枠の上端と上枠下地材の端部との間におけるシール性を維持できる。
【0026】
本発明の改装サッシでは、前記見付け調整枠は、室外見付け面部、室内見付け面部、外周見込み面部および内周見込み面部を有し、前記被固定部は前記外周見込み面部に形成されてもよい。
このような構成によれば、見付け調整枠において被固定部が外周見込み面部に形成されているので、例えば内周見込み面部に被固定部が形成される場合と比べて、新設縦枠側から外周側に離れた位置で上枠下地材を固定できる。このため、固定具および被固定部の締結によってシール材をより適切に圧縮できてシール性を向上できる。
【0027】
本発明の改装サッシでは、前記改装枠および前記見付け調整枠の間と、前記見付け調整枠および前記新設枠の間とには、気密材が各枠に沿ってそれぞれ設けられてもよい。
このような構成によれば、雨水等が見付け調整枠の被固定部と固定具との締結箇所から室内側に浸入することを、被固定部に対して室内側に位置する気密材によって抑制できる。
【符号の説明】
【0028】
1…改装サッシ、10…既設枠、100…縦枠アタッチメント、105,35,45,55,65…気密材、11…既設上枠、12…既設下枠、121,132,52,62…室内見付け面部、13,14…既設縦枠、131,213,51,61…室外見付け面部、2…建物躯体、20…新設枠、21…新設上枠、22…新設下枠、23,24…新設縦枠、225,235,635,635A…第一係合部、226,236,636,636A…第一固定部、227,237,637…押え片部、30…上枠下地材(下地材)、40…下枠下地材(下地材)、40A…改装下枠(改装枠)、411…室外係合部、412…立上片部(段部)、5,6…障子、50…改装縦枠(改装枠)、53,63…外周見込み面部、54,64…内周見込み面部、56,56A,66,66A…第二係合部、57,57A,67,67A…第二固定部、58,68,68A,69A…段部、60,60A…見付け調整枠、601,611…第一取付部、602,612…第二取付部、69,70A…ビスホール(被固定部)、7A~7F…ネジ、8…シール材、91~93…シート材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7