(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】センサシート及びタッチセンサモジュール
(51)【国際特許分類】
H01H 36/00 20060101AFI20240226BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240226BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240226BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
H01H36/00 J
G06F3/041 490
G06F3/041 660
G06F3/044 122
G02B5/02 B
(21)【出願番号】P 2020205544
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】北村 幸治
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-182620(JP,A)
【文献】特表2015-534698(JP,A)
【文献】国際公開第2016/039127(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/199165(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、前記基材層上に設けられた機能層と、前記機能層の前記基材層とは反対側の表面に設けられたセンサ電極と、を備え、
前記機能層が、
光拡散物質と樹脂バインダとを含み、前記センサ電極を形成する導電ペーストの印刷ダレを抑制する
受容層と、光を拡散する
光拡散層とを兼ね備えている、センサシート。
【請求項2】
前記基材層が光拡散フィルムからなる、請求項1に記載のセンサシート。
【請求項3】
基材層と、前記基材層上に設けられた機能層と、前記機能層の前記基材層とは反対側の表面に設けられたセンサ電極と、を備え、
前記基材層が、
光拡散物質が配合された光拡散フィルムからなり、
前記機能層が、
樹脂を含み、前記センサ電極を形成する導電ペーストの印刷ダレを抑制する機能を備えている、センサシート。
【請求項4】
前記基材層の前記機能層とは反対側に接着層が設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のセンサシート。
【請求項5】
前記機能層の前記センサ電極が設けられている側に前記センサ電極を覆う保護層が設けられ、前記保護層の前記機能層とは反対側に接着層が設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のセンサシート。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のセンサシートを備えたタッチセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサシート及びタッチセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
入力をタッチ操作によって行う静電容量式のセンサシートは、車載用等の様々な分野の電子機器に採用されている。例えば、操作パネルの背面にセンサシートが貼り付けられることで、操作パネルの操作面へのタッチ操作を検知できる。
【0003】
特許文献1には、内部光源によって照光する操作パネルの背面に取り付けるセンサシートとして、ベースシート上に導電性細線がパターニングされてセンサ電極が形成され、さらにセンサ電極を覆う光拡散層が形成されたセンサシートが開示されている。特許文献1のセンサシートは、光拡散層が内部光源側となるように操作パネルに取り付けられる。これにより、照光時に内部光源から生じる光が光拡散層で拡散され、導電性細線が見えにくくなる。
【0004】
しかし、特許文献1のセンサシートでは、スクリーン印刷によってセンサ電極を形成する際に導電ペーストの印刷ダレが発生しやすい。導電ペーストの印刷ダレを抑制する方法としては、導電ペーストに含まれる溶剤成分を吸収する受容層を設ける方法が知られている(例えば特許文献2)。しかし、特許文献1のセンサシートに特許文献2のような技術を適用し、受容層をさらに追加すると、製造工程が増え、製造が煩雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6712373号公報
【文献】特公平06-085333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光拡散性を有し、センサ電極を形成する導電ペーストの印刷ダレを抑制できるうえ、簡便に製造できるセンサシート、及びタッチセンサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]基材層と、前記基材層上に設けられた機能層と、前記機能層の前記基材層とは反対側の表面に設けられたセンサ電極と、を備え、
前記機能層が、前記センサ電極を形成する導電ペーストの印刷ダレを抑制する機能と、光を拡散する機能とを兼ね備えている、センサシート。
[2]前記基材層が光拡散フィルムからなる、[1]に記載のセンサシート。
[3]基材層と、前記基材層上に設けられた機能層と、前記機能層の前記基材層とは反対側の表面に設けられたセンサ電極と、を備え、
前記基材層が、光拡散フィルムからなり、
前記機能層が、前記センサ電極を形成する導電ペーストの印刷ダレを抑制する機能を備えている、センサシート。
[4]前記基材層の前記機能層とは反対側に接着層が設けられている、[1]~[3]のいずれかに記載のセンサシート。
[5]前記機能層の前記センサ電極が設けられている側に前記センサ電極を覆う保護層が設けられ、前記保護層の前記機能層とは反対側に接着層が設けられている、[1]~[3]のいずれかに記載のセンサシート。
[6][1]~[5]のいずれかに記載のセンサシートを備えたタッチセンサモジュール。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光拡散性を有し、センサ電極を形成する導電ペーストの印刷ダレを抑制できるうえ、簡便に製造できるセンサシート、及びタッチセンサモジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態のセンサシートの一例を示した断面図である。
【
図2】実施形態のセンサシートの一例を示した断面図である。
【
図3】実施形態のセンサシートの一例を示した断面図である。
【
図4】実施形態のセンサシートの一例を示した断面図である。
【
図5】
図2のセンサシートを備えたタッチセンサモジュールを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[センサシート]
本発明のセンサシートは、基材層と、基材層上に設けられた機能層と、機能層の基材層とは反対側の表面に設けられたセンサ電極と、を備える静電容量式のセンサシートである。以下、本発明のセンサシートの実施形態の一例を示して説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0011】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態のセンサシート1は、基材層10と、機能層12と、センサ電極14と、保護層16と、を備えている。機能層12は、基材層10の厚さ方向の第1面10aに設けられている。センサ電極14は、機能層12の基材層10とは反対側の表面12aに設けられている。保護層16は、機能層12のセンサ電極14側にセンサ電極14を覆うように設けられている。
【0012】
基材層10としては、例えば、樹脂フィルムを使用できる。基材層10には、光拡散フィルムを使用することもできる。基材層10に光拡散フィルムを用いることで、内部光源から発せられた光のセンサシート1による拡散性がさらに向上するため、操作パネルの文字等の照光がさらに容易になる。光拡散フィルムとしては、特に限定されず、例えば、光拡散物質が配合された樹脂フィルムを例示できる。
【0013】
樹脂フィルムを形成する樹脂は、透明であることが好ましい。ここで、「透明」とは、JIS K7136に従って測定した光線透過率が50%以上であることを意味する。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリカーボネート(PC)を例示できる。樹脂フィルムを形成する樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0014】
光拡散フィルムに含有される光拡散物質としては、特に限定されず、例えば、酸化チタン、シリカ、中空シリカ、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、樹脂ビーズ(アクリル樹脂ビーズ、スチレン樹脂ビーズ等)を例示できる。光拡散フィルムに含有される光拡散物質は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0015】
基材層10を形成する樹脂フィルムの機能層12側には、紫外線照射、エキシマ光照射、コロナ処理、プラズマ処理、表面コート等の易接着処理が施されていることが好ましい。なお、それらの易接着処理は、基材層10の両面に施されていてもよい。
基材層10の平面視形状及びサイズは、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。
【0016】
基材層10の平均厚さは、10μm以上250μm以下が好ましく、25μm以上188μm以下がより好ましい。基材層10の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度及び剛性を確保しやすい。基材層10の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、センサシートの薄型化が容易になる。なお、基材層の平均厚さは、基材層の任意の10箇所について測定した厚さの平均値である。
【0017】
機能層12は、センサ電極14を形成する導電ペーストの印刷ダレを抑制する機能と、光を拡散する機能とを兼ね備えた層である。すなわち、機能層12は、受容層と光拡散層を兼ねた層である。機能層12は、センサ電極14を形成する導電ペーストに含まれる溶剤成分を吸収して定着させることができ、かつ光を拡散できる材料を含む。
【0018】
機能層12を構成する材料としては、例えば、光拡散物質と樹脂バインダとを含む光拡散用インクを例示できる。光拡散物質としては、特に限定されず、例えば、光拡散フィルムで例示したものと同じものを例示できる。光拡散用インクに含まれる光拡散物質は、1種でもよく、2種以上でもよい。樹脂バインダとしては、特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂を例示できる。光拡散用インクに含まれる樹脂バインダは、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0019】
光拡散用インクとしては、光拡散物質としてシリカを含み、樹脂バインダとしてポリエステル樹脂、アクリル樹脂から選ばれる1種以上を含む光拡散用白色インクが好ましい。
なお、機能層12を構成する材料は、センサ電極14を形成する導電ペーストに含まれる溶剤成分を吸収して定着させることができ、かつ光を拡散できる材料であれば、光拡散用インクには限定されない。
【0020】
機能層12の平均厚さは、0.1μm以上50μm以下が好ましく、1.0μm以上20μm以下がより好ましい。機能層12の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分に導電ペーストの印刷ダレを抑制させることができ、かつ光を拡散できる。機能層12の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、センサシートの薄型化が容易になる。なお、機能層の平均厚さは、機能層の任意の10箇所について測定した厚さの平均値である。
【0021】
センサ電極14は、導体の接触又は近接を検知するための電極である。センサ電極14は、自己容量方式であってもよく、相互容量方式であってもよい。
自己容量方式のセンサ電極14の態様としては、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形等のベタ電極や、ダイヤモンドパターンを例示できる。
相互容量方式のセンサ電極14の態様としては、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形等のベタ電極や、櫛歯電極を例示できる。
【0022】
センサ電極14は、操作パネルを効率良く照光できる点から、透明電極とすることが好ましい。透明電極とは、JIS K7361に従って測定した光線透過率が50%以上である電極を意味する。なお、センサ電極14は、光線透過率が50%未満の電極であってもよい。
【0023】
センサ電極14は、導電ペーストを印刷することによって形成でき、例えば透明導電膜を例示できる。「導電」とは、電気抵抗値が1MΩ未満であることを意味する。
導電ペーストに含まれる導電物質としては、例えば、導電性高分子(ポリチオフェン系導電性ポリマー(PEDOT/PSS)、インジウムドープ酸化錫(ITO)等)、導電性ナノワイヤー(銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等)、金属粒子(銀粒子、銅粒子、金粒子等)、導電性金属酸化物粒子(ITO粒子等)、カーボン(カーボンブラック、グラファイト等)を例示できる。導電ペーストに含まれる導電物質は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0024】
センサ電極14の平均厚さは、0.05μm以上30μm以下が好ましく、0.1μm以上20μm以下がより好ましい。センサ電極14の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、断線を抑制しやすい。センサ電極14の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、センサシートの薄型化が容易になる。なお、センサ電極の平均厚さは、センサ電極の任意の10箇所について測定した厚さの平均値である。
【0025】
保護層16を構成する材料は、透明であることが好ましい。ここで、「透明」とは、JIS K7136に従って測定した光線透過率が50%以上であることを意味する。
保護層16を構成する材料としては、特に限定されず、センサ電極14を保護できるものであればよく、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂を例示できる。保護層16に含まれる樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0026】
保護層16の形状及び寸法は、特に限定されず、センサ電極14の形状等に応じて適宜設定できる。
保護層16の平均厚さは、0.1μm以上80μm以下が好ましく、1μm以上30μm以下がより好ましい。保護層16の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度が得られ、センサ電極14の保護効果が得られやすい。保護層16の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、センサシートを容易に薄型化できる。なお、保護層の平均厚さは、保護層におけるセンサ電極を覆う部分の任意の10箇所について測定した厚さの平均値である。
【0027】
センサシート1の製造方法は、特に限定されず、例えば、下記の工程(a)~(c)を含む方法を例示できる。
工程(a):基材層10の第1面10aに光拡散用インクを印刷して機能層12を形成する。
工程(b):機能層12の基材層10とは反対側の表面12aに導電ペーストを印刷してセンサ電極14を形成する。
工程(c):機能層12のセンサ電極14側に樹脂を含むインクを印刷して保護層16を形成する。
【0028】
光拡散用インクの印刷法としては、特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷を例示できる。なかでも、生産性、材料調製の容易性の点から、スクリーン印刷法が好ましい。
【0029】
導電ペーストの印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷を例示でき、電気抵抗、製造コスト削減の点から、スクリーン印刷法が好ましい。
【0030】
保護層16を形成するインクの印刷法としては、特に限定されず、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット印刷を例示できる。なかでも、製造コスト削減の点から、スクリーン印刷法が好ましい。
【0031】
以上説明したセンサシート1は、機能層12を備えているため、光拡散性を有しているうえ、センサ電極14を形成する導電ペーストの印刷ダレが抑制される。また、センサシート1は、機能層12が受容層と光拡散層を兼ねているために構成が簡素であり、受容層と光拡散層を別々に設ける態様に比べて印刷等の製造工程を低減でき、簡便に製造できる。また、基材層10に光拡散フィルムを用いることで、さらに優れた光拡散性が得られる。
【0032】
なお、第1実施形態のセンサシートは、
図1に例示したセンサシート1には限定されない。例えば、
図2に示すように、センサシート1において、基材層10の第1面10aとは反対側の第2面10bに接着層18が設けられていてもよい。これにより、接着によってセンサシート1を容易に操作パネルに取り付けることができる。
【0033】
接着層18の材料としては、特に限定されず、例えば、公知の硬化型接着剤(接着前は液状の接着剤)、粘着剤(接着前はゲル状の感圧性接着剤)を例示できる。また、各接着層は、基材シートの両面に接着剤又は粘着剤が配置された基材型接着層であってもよい。基材型接着層としては、例えば公知の両面テープを例示できる。
【0034】
接着剤及び粘着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体を例示できる。硬化型接着剤は、硬化時に揮発する溶剤を含む溶剤型であってもよく、ホットメルト型、UV硬化型であってもよい。
【0035】
接着層18の平均厚さは、1μm以上300μm以下が好ましく、10μm以上125μm以下がより好ましい。接着層18の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な接着力が得られやすい。接着層18の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、センサシートを容易に薄型化できる。なお、接着層の平均厚さは、接着層の任意の10箇所について測定した厚さの平均値である。
【0036】
また、基材層10の第2面10b(基材層の外面)に接着層を設ける態様には限定されず、
図3に示すように、センサシート1において、保護層16の機能層12とは反対側の表面16aに接着層18が設けられていてもよい。
【0037】
(第2実施形態)
図4に示すように、第2実施形態のセンサシート2は、基材層10Aと、機能層20と、センサ電極14と、保護層16と、を備えている。機能層20は、基材層10Aの厚さ方向の第1面10aに設けられている。センサ電極14は、機能層20の基材層10Aとは反対側の表面20aに設けられている。保護層16は、機能層20のセンサ電極14側にセンサ電極14を覆うように設けられている。
図4における
図1と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
【0038】
基材層10Aは、光拡散フィルムからなる層である。すなわち、基材層10Aは、基材層と光拡散層を兼ねた層である。光拡散フィルムとしては、基材層10で例示した光拡散フィルムと同じものを例示できる。
基材層10Aの好ましい平均厚さは、基材層10の好ましい平均厚さと同じである。
【0039】
機能層20は、センサ電極を形成するインクを受容する機能を備えている層である。機能層20は、光を拡散する機能は兼ね備えていない。すなわち、この態様の機能層20は、受容層であり、光拡散層としては機能しない。
【0040】
機能層20を構成する材料としては、例えば、光拡散物質を含まず、樹脂を含むインクを例示できる。機能層20を形成するインクに含まれる樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂を例示できる。機能層20を形成するインクに含まれる樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0041】
機能層20の平均厚さは、0.1μm以上50μm以下が好ましく、1.0μm以上20μm以下がより好ましい。機能層20の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分に導電ペーストの印刷ダレを抑制させることができる。機能層20の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、センサシートの薄型化が容易になる。
【0042】
センサシート2の製造方法は、特に限定されず、例えば、基材層10として光拡散フィルムを用い、光拡散用インクの代わりに機能層20を形成するインクを用いる以外は、センサシート1と同様の方法で製造できる。
【0043】
以上説明したセンサシート2は、基材層10Aによって光拡散性が得られるうえ、機能層20によってセンサ電極14を形成する導電ペーストの印刷ダレが抑制される。また、センサシート2は、基材層10Aが基材層と光拡散層を兼ねているために構成が簡素であり、基材層と光拡散層を別々に設ける態様に比べて印刷等の製造工程を低減でき、簡便に製造できる。
【0044】
なお、第2実施形態のセンサシートは、
図4に例示したセンサシート2には限定されない。例えば、センサシート1と同様に、基材層10Aの第1面10aとは反対側の第2面10bや、保護層16の機能層12とは反対側の表面16aに接着層が設けられていてもよい。
【0045】
[タッチセンサモジュール]
本発明のタッチセンサモジュールは、本発明のセンサシートを備えたタッチセンサモジュールである。本発明のタッチセンサモジュールは、本発明のセンサシートを備えている以外は、公知の態様を採用できる。本発明のタッチセンサモジュールでは、例えば、本発明のセンサシートを操作パネルの背面に取り付ける。以下、本発明のタッチセンサモジュールの一例について説明する。
【0046】
図5に示すように、本実施形態のタッチセンサモジュール100(以下、「モジュール100」とも記す。)は、操作面112を有する操作パネル110と、フレーム部材120と、内部光源130と、センサシート1と、を備えている。
【0047】
操作パネル110とフレーム部材120とは、互いに離間した状態でバネ140によって固定されている。センサシート1は、基材層10の第2面10bに設けられた接着層18を介して操作パネル110の背面に貼り付けられている。モジュール100では、操作パネル110におけるセンサシート1と反対側の表面が操作面112となっている。センサシート1のセンサ電極14の静電容量の変化によって、操作パネル110の操作面112へのタッチ操作を検知できる。
【0048】
センサシート1を操作パネル110に貼り付ける方法は、特に限定されず、例えば、ダイアフラム方式、ローラー方式を例示できる。なかでも、センサシート1の接着層18と操作パネル110との間に気泡が混入することを抑制しやすく、センサシート1を綺麗に貼り付けやすい点から、ダイアフラム方式が好ましい。
【0049】
操作パネル110としては、特に限定されず、例えば、パネル本体と、パネル本体の表面に形成された加飾層と、を備えるものを例示できる。パネル本体を構成する材料としては、例えば、PC、アクリル樹脂等の樹脂、ガラスを例示できる。
【0050】
パネル本体の平均厚さは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下がより好ましい。パネル本体の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度が得られやすい。パネル本体の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、モジュール100が過度に厚くなることを抑制しやすい。
【0051】
加飾層は、装飾、文字、図形、記号、絵柄、これらの組み合わせ、あるいはこれらと色彩との組み合わせによる任意の装飾が施された層である。加飾層は、例えば、パネル本体に印刷を施すことにより形成できる。なお、操作パネル110は、加飾層を有しないものであってもよい。
【0052】
フレーム部材120を形成する材料としては、例えば、樹脂、ガラス、無機物を例示できる。フレーム部材を形成する樹脂としては、例えば、パネル本体を形成する樹脂として例示した樹脂と同じものを例示できる。
【0053】
モジュール100においては、フレーム部材120のセンサシート1側で、かつセンサシート1の操作パネル110とは反対側に内部光源130が配置されている。これにより、モジュール100では、内部光源130から発せられた光がセンサシート1の機能層12によって拡散され、操作パネル110の操作面112の文字等が照光される。
【0054】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、フレーム部材120のセンサシート1側の表面に静電容量検知部(IC)を設け、フレーム部材120を制御基板としてもよい。さらに、制御基板がコネクターを介してセンサシート1と接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,2…センサシート、10,10A…基材層、12…機能層、14…センサ電極、16…保護層、18…接着層、20…機能層、100…タッチセンサモジュール、110…操作パネル、112…操作面、120…フレーム部材、130…内部光源、140…バネ。