(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】搬送装置の調整方法
(51)【国際特許分類】
B65G 47/86 20060101AFI20240226BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
B65G47/86 B
B65G43/08 F
(21)【出願番号】P 2020206881
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡本 遼
(72)【発明者】
【氏名】久保 智
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-095458(JP,A)
【文献】特開2016-064840(JP,A)
【文献】特開2017-105564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/86
B65G 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送するように構成された循環式の搬送装置の調整方法であって、
前記物品は、第1の無端軌道に沿って移動する複数の第1の保持部を有する第1の搬送装置と、第2の無端軌道に沿って移動する複数の第2の保持部を有する第2の搬送装置と、の間で搬送され、
前記複数の第1の保持部の各々は、前記物品の第1の位置を保持するように構成され、
前記複数の第2の保持部の各々は、
物品の高さ方向において前記第1の位置とは異なる前記物品の第2の位置を保持するように構成され、
当該調整方法は、
前記複数の第1の保持部のなかから第1の代表保持部を決定することと、
前記複数の第1の保持部が前記第1の無端軌道に沿って移動している間に、前記複数の第1の保持部の各々についての前記第1の代表保持部に対する前記
物品の高さ方向における偏差を、非接触の距離センサを用いて連続的に測定することと、
前記複数の前記第1の保持部の各々について、測定された偏差に基づいて、前記第1の代表保持部に対する前記
物品の高さ方向における位置を調整することと、
前記複数の第2の保持部のなかから第2の代表保持部を決定することと、
前記第2の代表保持部について、前記第1の代表保持部に対する前記
物品の高さ方向における位置を調整することと、
前記複数の第2の保持部が前記第2の無端軌道に沿って移動している間に、前記複数の第2の保持部の各々についての前記第2の代表保持部に対する前記
物品の高さ方向における偏差を、非接触の距離センサを用いて連続的に測定することと、
前記複数の前記第2の保持部の各々について、測定された偏差に基づいて、前記第2の代表保持部に対する前記
物品の高さ方向における位置を調整することと、
を含む、調整方法。
【請求項2】
前記第1の保持部の偏差の測定及び前記第2の保持部の偏差の測定には、1つの共通の距離センサが用いられ、前記共通の距離センサは、第1の搬送装置と第2の搬送装置との間の物品の引き渡し位置において、複数の第1の保持部及び複数の第2の保持部を検出するように配置される、請求項1に記載の調整方法。
【請求項3】
前記第1の保持部の偏差の測定及び前記第2の保持部の偏差の測定には、別々の2つの距離センサが用いられる、請求項1に記載の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、搬送装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物品(例えば、飲料用の容器等)を搬送するために、各々が複数の保持部を有する、複数の循環式の搬送装置が使用される場合がある(例えば、特許文献1-4を参照)。この場合、一方の搬送装置の保持部によって、物品のある部分が保持され、他方の搬送装置の保持部によって、物品の他の部分が保持されるように、物品が引き渡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-113167号公報
【文献】特開2016-94224号公報
【文献】特開2017-105564号公報
【文献】特許第6384769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような搬送装置では、保持部の保持位置がばらつくと、物品を落とす又は破損する等の問題が発生し得る。
【0005】
本発明は、上記のような問題を考慮して、複数の搬送装置の間で物品の保持位置を容易に調整することができる、循環式の搬送装置のための調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、物品を搬送するように構成された循環式の搬送装置の調整方法であって、物品は、第1の無端軌道に沿って移動する複数の第1の保持部を有する第1の搬送装置と、第2の無端軌道に沿って移動する複数の第2の保持部を有する第2の搬送装置と、の間で搬送され、複数の第1の保持部の各々は、物品の第1の位置を保持するように構成され、複数の第2の保持部の各々は、所定の方向において第1の位置とは異なる物品の第2の位置を保持するように構成され、当該調整方法は、複数の第1の保持部のなかから第1の代表保持部を決定することと、複数の第1の保持部が第1の無端軌道に沿って移動している間に、複数の第1の保持部の各々についての第1の代表保持部に対する所定の方向における偏差を、非接触の距離センサを用いて連続的に測定することと、複数の第1の保持部の各々について、測定された偏差に基づいて、第1の代表保持部に対する所定の方向における位置を調整することと、複数の第2の保持部のなかから第2の代表保持部を決定することと、第2の代表保持部について、第1の代表保持部に対する所定の方向における位置を調整することと、複数の第2の保持部が第2の無端軌道に沿って移動している間に、複数の第2の保持部の各々についての第2の代表保持部に対する所定の方向における偏差を、非接触の距離センサを用いて連続的に測定することと、複数の第2の保持部の各々について、測定された偏差に基づいて、第2の代表保持部に対する所定の方向における位置を調整することと、を含む、調整方法である。
【0007】
本開示の一態様に係る調整方法によれば、複数の第1の保持部及び複数の第2の保持部の偏差がそれぞれ連続的に測定されるので、位置を調整すべき第1の保持部及び第2の保持部を容易に見つけ出すことができる。したがって、複数の第1の保持部の間で、及び、複数の第2の保持部の間で、物品の保持位置を容易に調整することができる。同時に、第1の代表保持部及び第2の代表保持部の間で保持位置が調整されるので、第1の搬送装置及び第2の搬送装置の間で物品の保持位置が調整される。したがって、複数の搬送装置の間で物品の保持位置を容易に調整することができる。
【0008】
第1の保持部の偏差の測定及び第2の保持部の偏差の測定には、1つの共通の距離センサが用いられてもよく、共通の距離センサは、第1の搬送装置と第2の搬送装置との間の物品の引き渡し位置において、複数の第1の保持部及び複数の第2の保持部を検出するように配置されてもよい。この場合、1つの共通の距離センサによって第1の保持部及び第2の保持部の双方が検出されるので、装置を簡素化することができる。
【0009】
第1の保持部の偏差の測定及び第2の保持部の偏差の測定には、別々の2つの距離センサが用いられてもよい。この場合、第1の保持部及び第2の保持部が別々の距離センサによって独立して検出されるので、第1の搬送装置及び第2の搬送装置の調整後に、2つの距離センサは、第1の搬送装置及び第2の搬送装置が動作中に、第1の保持部及び第2の保持部の位置を監視するために使用されることができる。したがって、動作中に、第1の保持部又は第2の保持部の位置が所望の位置からずれた場合には、問題が起きる前に第1の保持部又は第2の保持部の位置を調整することができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、複数の搬送装置の間で物品の保持位置を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る第1の搬送装置、第2の搬送装置及び検査装置を示す概略的な側面図である。
【
図2】
図1に示す第1の搬送装置、第2の搬送装置及び検査装置を示す概略的な平面図である。
【
図3】搬送対象の物品の一例を示す概略的な側面図である。
【
図4】実施形態に係る調整方法を示すフローチャートである。
【
図5】他の実施形態に係る第1の搬送装置、第2の搬送装置及び検査装置を示す概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る搬送装置の調整方法を説明する。同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。理解を容易にするために、図の縮尺は変更されている場合がある。
【0013】
図1は、実施形態に係る第1の搬送装置10、第2の搬送装置20及び検査装置30を示す概略的な側面図であり、
図2は、
図1に示す第1の搬送装置10、第2の搬送装置20及び検査装置30を示す概略的な平面図である。なお、より良い理解のために、
図2では、搬送対象である物品1、及び、検査装置30のいくつかの構成要素は、図示されていないことに留意されたい。
図1を参照して、本実施形態では、本開示に係る調整方法が、飲料用の容器(例えば、プラスチックボトル(本開示において、単に「ボトル」とも称され得る))1を搬送する生産システム100に適用されている。なお、本明細書において、プラスチックボトルとは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)のようなプラスチックから構成されるボトルを意味し、ペットボトルに限定されないことに留意されたい。また、容器1は、ビン又は缶であってもよい。容器1は、飲料以外の他の物体を収容するために使用されてもよい。また、搬送対象である物品は、容器以外の他の物品であってもよい。
【0014】
図3は、搬送対象の物品1の一例を示す概略図であり、飲料用のプラスチックボトルを示している。ボトル1は、キャップ(不図示)と嵌合する口部1aと、口部1aと隣接する胴部1bと、胴部1bの一方の端部を閉塞する底部1cと、を有している。口部1aの外周面には、キャップの雌ネジと螺合する雄ネジが形成されている。ボトル1の口部1a側の端部は開いている。口部1aは、カブラ1dと、サポートリング1eと、を含んでいる。カブラ1d及びサポートリング1eの各々は、ボトル1の太さ方向に放射状に突出しており、フランジ状を呈している。カブラ1d及びサポートリング1eは、ボトル1の高さ方向(所定の方向)において互いに離間しており、カブラ1dがサポートリング1eの上方に位置している。カブラ1dの下面と、サポートリング1eの下面とは、ボトル1の高さ方向において、距離d1だけ互いに離間している。
【0015】
図1を参照して、このようなボトル1を搬送する生産システム100は、例えば、第1の搬送装置10と、第2の搬送装置20と、検査装置30と、を備えている。生産システム100は、他の構成要素を更に備えてもよい。例えば、生産システム100は、3つ以上の搬送装置を備えてもよい。例えば、第1の搬送装置10及び第2の搬送装置20は、ボトル1を製造するためのブロー成形機、ボトル1に飲料を充填するためのフィラー、及び、ボトル1にキャップを取り付けるためのキャッパー等の装置の間で、ボトル1を搬送するように構成されていてもよい(不図示)。
【0016】
図2を参照して、第1の搬送装置10は、本体部11と、複数のグリッパ(第1の保持部)12と、を有している。例えば、本体部11は、円形のホイールであることができ、例えばサーボモータ等の駆動源によって、第1の回転軸線O1を中心に回転するように構成されている。これによって、本体部11は、円形の第1の無端軌道T1を規定する。なお、本体部11は、例えばチェーン等を含んでもよく、この場合、本体部11は、円形以外の他の形状(楕円又は長円等)を有する無端軌道を規定してもよい。複数のグリッパ12は、本体部11の外周に沿って取り付けられており、本体部11が移動(回転)するのに伴って、第1の無端軌道T1に沿って移動する。各グリッパ12は、一対の爪12L,12Rを含んでいる。グリッパ12は、カム等の機構によって開閉するように構成されている。グリッパ12は、回転軸線O1に平行な方向(ボトル1の高さ方向)における位置の調整機構を含んでいる。この位置は、爪12L,12Rの各々について調整されてもよい。
【0017】
第2の搬送装置20は、第1の搬送装置10と同様に構成されていてもよく、本体部21と、複数のグリッパ(第2の保持部)22と、を有している。例えば、本体部21は、円形のホイールであることができ、例えばサーボモータ等の駆動源によって、第2の回転軸線O2を中心に回転するように構成されている。これによって、本体部21は、円形の第2の無端軌道T2を規定する。なお、本体部21は、例えばチェーン等を含んでもよく、この場合、本体部21は、円形以外の他の形状(楕円又は長円等)を有する無端軌道を規定してもよい。複数のグリッパ22は、本体部21の外周に沿って取り付けられており、本体部21が移動(回転)するのに伴って、第2の無端軌道T2に沿って移動する。各グリッパ22は、一対の爪22L,22Rを含んでいる。グリッパ22は、カム等の機構によって開閉するように構成されている。グリッパ22は、回転軸線O2に平行な方向(ボトル1の高さ方向)における位置の調整機構を含んでいる。この位置は、爪22L,22Rの各々について調整されてもよい。
【0018】
図1を参照して、第1の搬送装置10のグリッパ12は、ボトル1のカブラ1dの下方の位置(第1の位置)を保持するように構成されている。このような構成によって、カブラ1dがグリッパ12に引っ掛かる。第2の搬送装置20のグリッパ22は、ボトル1のサポートリング1eの下方の位置(第2の位置)を保持するように構成されている。このような構成によって、サポートリング1eがグリッパ22に引っ掛かる。第1の搬送装置10のグリッパ12の上面と、第2の搬送装置20のグリッパ22の上面とは、ボトル1の高さ方向において、距離d2だけ互いに離間している。
【0019】
図2を参照して、第1の搬送装置10及び第2の搬送装置20では、引き渡し位置P1において、複数のボトル1が、第1の搬送装置10のグリッパ12から第2の搬送装置20のグリッパ22へ、又は、第2の搬送装置20のグリッパ22から第1の搬送装置10のグリッパ12へ、順番に搬送される。引き渡し位置P1は、例えば、第1の無端軌道T1と第2の無端軌道T2とが最も接近する位置を含んでもよい。また、引き渡し位置P1は、第1の回転軸線O1と第2の回転軸線O2とを結ぶ直線上の位置を含んでもよい。
【0020】
図1を参照して、検査装置30は、非接触式の距離センサ(本開示において、単に「センサ」とも称され得る)31と、増幅器32と、A/D変換機33と、PC34と、を有しており、これらの構成要素は、配線によって又は無線で通信可能に接続されている。センサ31は、様々な距離センサであることができ、例えば、発光素子と受光素子とを含む光学式の距離センサ(例えば、レーザ発信素子とレーザ受信素子とを含むレーザ距離センサ)であることができる。センサ31は、引き渡し位置P1において、第1の搬送装置10のグリッパ12、及び、第2の搬送装置20のグリッパ22を検出するように配置されている。具体的には、センサ31は、ボトル1の高さ方向において、グリッパ12の上面までの距離、及び、グリッパ22の上面までの距離を測定するように、引き渡し位置P1の上方の位置に下向きに配置されている。センサ31は、他の位置に他の向きに配置されていてもよい。センサ31は、増幅器32及びA/D変換機33を介して、PC34に信号を送信するように構成されている。
【0021】
増幅器32は、センサ31からの信号(例えば、アナログ信号)を増幅するように構成されている。A/D変換機33は、センサ31からのアナログ信号をデジタル信号に変換するように構成されている。例えば、増幅器32及びA/D変換機33には、公知の様々な構成が使用されてもよい。PC34は、センサ31からの信号を処理(例えば、解析及び/又は表示等)するように構成されている。例えば、PC34は、一般的なパーソナルコンピュータであってもよい。
【0022】
続いて、実施形態に係る調整方法について説明する。
【0023】
図4は、実施形態に係る調整方法を示すフローチャートである。まず、第1の搬送装置10の複数のグリッパ12のなかから、1つの代表グリッパ(第1の代表保持部)12を決定する(ステップS100)。例えば、代表グリッパ12は、複数のグリッパ12のなかからランダムに選択されてもよい。続いて、駆動源によって本体部11を回転させ、複数のグリッパ12を第1の無端軌道T1に沿って移動させる(ステップS102)。続いて、グリッパ12が移動している間に、複数のグリッパ12の各々について、代表グリッパ12に対する偏差を、センサ31を用いて連続的に測定する(ステップS104)。具体的には、グリッパ12が移動している間に、センサ31からの信号がPC34に連続的に送られる。第1の搬送装置10がサーボモータによって駆動される場合、各グリッパ12の位置を把握することが可能であることから、センサ31からの信号におけるどの部分が、センサ31から各グリッパ12までの距離を示しているかを判別することができる。各グリッパ12に関する距離は、複数の測定点に基づいて求められてもよい(例えば、平均値)。また、各グリッパ12に関する距離は、爪12L,12Rの各々に対して求められてよい。センサ31から各グリッパ12までの距離から、センサ31から代表グリッパ12までの距離を減ずることによって、各グリッパ12についての代表グリッパ12に対する偏差を測定することができる。
【0024】
続いて、第1の搬送装置10の各グリッパ12について、測定された偏差に基づいて、代表グリッパ12に対するボトル1の高さ方向における位置を調整する(ステップS106)。具体的には、各グリッパ12の偏差が所定の範囲(例えば、0±数十ミクロン)内にある場合には、グリッパ12の位置を調整せず、各グリッパ12の偏差が所定の範囲内にない場合には、偏差がゼロになるように又は所定の範囲内に入るように、グリッパ12のボトル1の高さ方向における位置を調整する。この際に、各グリッパ12について、爪12L,12Rの各々の位置が調整されてもよい。これによって、第1の搬送装置10の複数のグリッパ12の間で、ボトル1の保持位置が揃えられる。
【0025】
続いて、第2の搬送装置20の複数のグリッパ22のなかから、1つの代表グリッパ(第2の代表保持部)22を決定する(ステップS108)。例えば、代表グリッパ22は、複数のグリッパ22のなかからランダムに選択されてもよい。続いて、第2の搬送装置20の代表グリッパ22について、第1の搬送装置10の代表グリッパ12に対して、ボトル1の高さ方向における位置を調整する(ステップS110)。具体的には、
図1を参照して、例えば、第1の搬送装置10の代表グリッパ12の上面と、第2の搬送装置20の代表グリッパ22の上面との間の距離d2を、デプスゲージ等の測定器具を用いて測定してもよい。測定された距離d2が所定の範囲r1(例えば、カブラ1dの下面とサポートリング1eの下面との間の距離d1±数十ミクロン)内にある場合には、代表グリッパ22の位置を調整せず、測定された距離d2が範囲r1内にない場合には、距離d2が距離d1と一致するように、又は、距離d2が範囲r1内に入るように、代表グリッパ22の位置を調整する。
【0026】
図4を参照して、続いて、駆動源によって本体部21を回転させ、複数のグリッパ22を第2の無端軌道T2に沿って移動させる(ステップS112)。具体的には、
図1を参照して、第2の搬送装置20のグリッパ22は、第1の搬送装置10のグリッパ12の下方に位置することから、センサ31が、隣接するグリッパ12の間から、又は、グリッパ12の爪12L,12Rの間から、グリッパ22の上面を検出できるように、第1の搬送装置10のグリッパ12を配置する。この状態で、第2の搬送装置20のグリッパ22を移動させる。
【0027】
図4を参照して、続いて、グリッパ22が移動している間に、複数のグリッパ22の各々について、代表グリッパ22に対する偏差を、センサ31を用いて連続的に測定する(ステップS114)。具体的には、グリッパ22が移動している間に、センサ31からの信号がPC34に連続的に送られる。第2の搬送装置20がサーボモータによって駆動される場合、各グリッパ22の位置を把握することが可能であることから、センサ31からの信号におけるどの部分が、センサ31から各グリッパ22までの距離を示しているかを判別することができる。各距離は、複数の測定データに基づいて求められてもよい(例えば、平均値)。センサ31から各グリッパ22までの距離から、センサ31から代表グリッパ22までの距離を減ずることによって、各グリッパ22についての代表グリッパ22に対する偏差を測定することができる。
【0028】
続いて、第2の搬送装置20の各グリッパ22について、測定された偏差に基づいて、代表グリッパ22に対するボトル1の高さ方向における位置を調整し(ステップS116)、一連の調整方法が終了する。具体的には、各グリッパ22の偏差が所定の範囲(例えば、0±数十ミクロン)内にある場合には、グリッパ22の位置を調整せず、各グリッパ22の偏差が所定の範囲内にない場合には、偏差がゼロになるように又は所定の範囲内に入るように、グリッパ22のボトル1の高さ方向における位置を調整する。この際に、各グリッパ22について、爪22L,22Rの各々の位置が調整されてもよい。これによって、第2の搬送装置20の複数のグリッパ22の間で、ボトル1の保持位置が揃えられる。また、第1の搬送装置10の代表グリッパ12と第2の搬送装置20の代表グリッパ22との間で保持位置が調整されているので、第1の搬送装置10及び第2の搬送装置20の間でも、ボトル1の保持位置が調整される。
【0029】
以上のような実施形態に係る調整方法によれば、複数のグリッパ12及び複数のグリッパ22の偏差が連続的に測定されるので、位置を調整すべきグリッパ12,22を容易に見つけ出すことができる。したがって、第1の搬送装置10の複数のグリッパ12の間で、及び、第2の搬送装置20の複数のグリッパ22の間で、ボトル1の保持位置を容易に調整することができる。同時に、第1の搬送装置10の代表グリッパ12及び第2の搬送装置20の代表グリッパ22の間でも保持位置が調整されるので、第1の搬送装置10及び第2の搬送装置20の間でボトル1の保持位置が調整される。したがって、複数の搬送装置10,20の間で、ボトル1の保持位置を容易に調整することができる。
【0030】
また、上実施形態に係る調整方法では、第1の搬送装置10のグリッパ12の偏差の測定及び第2の搬送装置20のグリッパ22の偏差の測定には、1つの共通のセンサ31が用いられており、共通のセンサ31は、第1の搬送装置10と第2の搬送装置20との間のボトル1の引き渡し位置Pにおいて、グリッパ12及びグリッパ22を検出するように配置されている。したがって、1つの共通のセンサ31によってグリッパ12及びグリッパ22の双方が検出されるので、検査装置30を簡素化することができる。
【0031】
搬送装置の調整方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解するだろう。また、当業者であれば、上記のステップは、上記の順番で実施される必要はなく、矛盾が生じない限り、他の順番で実施可能であることを理解するだろう。
【0032】
例えば、上記の実施形態では、第1の搬送装置10のグリッパ12の偏差の測定及び第2の搬送装置20のグリッパ22の偏差の測定には、1つの共通のセンサ31が用いられている。しかしながら、他の実施形態では、これらに別々の2つの距離センサが使用されてもよい。
【0033】
例えば、
図5は、他の実施形態に係る第1の搬送装置10、第2の搬送装置20及び検査装置30を示す概略的な側面図である。この実施形態では、検査装置30は、上記のセンサ31に代えて、別々の第1の距離センサ(本開示において、単に「第1のセンサ」とも称され得る)31aと、第2の距離センサ(本開示において、単に「第2のセンサ」とも称され得る)31bと、を有している。
図5の実施形態は、他の構成要素については、
図1,2の実施形態と同様であってもよい。
【0034】
第1のセンサ31aは、ボトル1の高さ方向において、第1の搬送装置10のグリッパ12の上面までの距離を測定するように、位置P2の上方の位置に下向きに配置されている。例えば、位置P2は、1つのグリッパ12分だけ、引き渡し位置P1の隣であることができる。第1のセンサ31aは、他の位置に他の向きに配置されていてもよい。第1のセンサ31aは、上記のセンサ31と同様に、PC34に信号を送信するように構成されている。第2のセンサ31bは、ボトル1の高さ方向において、第2の搬送装置20のグリッパ22の上面までの距離を測定するように、位置P3の上方の位置に下向きに配置されている。例えば、位置P3は、1つのグリッパ22分だけ、位置P2とは反対方向に引き渡し位置P1の隣であることができる。第2のセンサ31bは、他の位置に他の向きに配置されていてもよい。第2のセンサ31bは、上記のセンサ31と同様に、PC34に信号を送信するように構成されている。
【0035】
このような実施形態においても、
図1,2の実施形態と同様に、複数の搬送装置10,20の間で、ボトル1の保持位置を容易に調整することができる。
【0036】
また、本実施形態では、第1の搬送装置10のグリッパ12及び第2の搬送装置20のグリッパ22の位置を、それぞれ第1のセンサ31a及び第2のセンサ31bで独立して測定することができるので、例えば、
図4に示される第1の搬送装置10及び第2の搬送装置20の調整後に、第1のセンサ31a及び第2のセンサ31bは、第1の搬送装置10及び第2の搬送装置20が動作中に、グリッパ12及びグリッパ22の位置を監視するために使用されることができる。したがって、動作中、グリッパ12又はグリッパ22の位置が所望の位置からずれた場合には、問題が起きる前にグリッパ12又はグリッパ22の位置を調整することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 プラスチックボトル(物品)
10 第1の搬送装置
12 グリッパ(第1の保持部、第1の代表保持部)
20 第2の搬送装置
22 グリッパ(第2の保持部、第2の代表保持部)
31 距離センサ
31a 第1の距離センサ
31b 第2の距離センサ
P1 引き渡し位置
T1 第1の無端軌道
T2 第2の無端軌道