(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】チェーン駆動ジョーシステム用の張力調整装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/30 20060101AFI20240226BHJP
F16H 7/08 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
B65B51/30
F16H7/08 B
(21)【出願番号】P 2020515078
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2018074175
(87)【国際公開番号】W WO2019052923
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-01
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】フレドリック・ニルソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス・ニルソン
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ダーメル
(72)【発明者】
【氏名】スタッファン・リンデン
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-508678(JP,A)
【文献】特開平11-070921(JP,A)
【文献】国際公開第2007/054523(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/30
F16H 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装充填機内のチェーン駆動ジョーシステム用の張力調整装置(100)であって、前記チェーン駆動ジョーシステムは、固定カム(101)と、従動子としてチェーン(102)とを有し、
前記チェーン駆動ジョーシステムの中心(C)から離れる方に向けられるように構成された外側面(104)に前記チェーンを受け入れるような形状及び角度にされたチェーン張力調整要素(103)であって、ピボット連結部(105)を含むチェーン張力調整要素(103)
を含む、張力調整装置(100)において、
前記チェーン張力調整要素は、前記ピボット連結部において前記固定カムと一体化されるように構成されて、前記チェーン張力調整要素が、前記ピボット連結部において前記固定カムに当接し、前記ピボット連結部の連結部分の両側が前記固定カム内に配置されるように構成され、
前記チェーン張力調整要素(103)の外側ピボット面(104’)と前記固定カム(101)のカム外側面(107’)との間は滑らかに移行するように形成され、前記外側ピボット面(104’)と前記カム外側面(107’)との間には間隙が存在せず、且つ前記チェーンに張力をかけるように動くことができるようにすることを特徴とする、張力調整装置(100)。
【請求項2】
前記ピボット連結部は、前記チェーン張力調整要素の第1の端部(106)に配置され、前記外側面は、前記第1の端部及びその前記ピボット連結部へと延在して、前記チェーン張力調整要素の外側ピボット面(104’)を形成し、前記外側ピボット面は、前記第1の端部において、前記チェーン張力調整要素が前記ピボット連結部を介して組み込まれるように構成されている前記固定カムの第1の部分(107)のカム外側面(107’)への滑らかな直接移行部を形成するように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の張力調整装置。
【請求項3】
前記外側ピボット面の接線(108)は、前記第1の部分に対する前記チェーン張力調整要素の少なくとも1つの位置において、前記第1の部分の前記カム外側面の接線(109)と平行して位置合わせされるように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の張力調整装置。
【請求項4】
前記外側ピボット面は、前記固定カムの前記カム外側面への中断なしの移行部を形成するように構成されているため、前記チェーンは、前記外側ピボット面及び前記カム外側面に架けられたときに、連続的に支持されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の張力調整装置。
【請求項5】
前記チェーン張力調整要素は、前記第1の端部に対向して、自由端部となる第2の端部(110)を含み、及び前記第2の端部は、前記外側面を横切って前記第1の端部へと続けて案内するために、前記チェーンを受け入れるように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の張力調整装置。
【請求項6】
前記チェーン張力調整要素は、前記チェーン駆動ジョーシステムの前記中心から外向きに前記チェーン張力調整要素を押すように構成されたバネを含み、及び前記バネは、前記ピボット連結部、及び前記チェーン張力調整要素が一体化されるように構成されている前記固定カムの前記第1の部分(107)に隣接して配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の張力調整装置。
【請求項7】
包装充填機用のチェーン駆動ジョーシステム(200)であって、
少なくとも1つの固定カム(101)、及び従動子としてチェーン(102)、
請求項1~6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの張力調整装置(100、100’)
を含む、チェーン駆動ジョーシステム(200)。
【請求項8】
前記チェーンが搬送される経路(112)であって、前記チェーンが前記固定カムと当接する第1のセクション(113)と、前記チェーンが前記チェーン張力調整要素と当接する第2のセクション(114)とを有する、経路を含み、
それにより、前記経路は、実質的に平行である前記第1及び第2のセクションの少なくとも一部を含む第1の長手方向部分(115)を含み、
それにより、前記チェーンが、前記第1の長手方向部分に沿って、前記第1のセクションと第2のセクションとの間にブリッジ部分(116)を形成する箇所で、前記ブリッジ部分は、前記ピボット連結部を横切って延在する、請求項7に記載のチェーン駆動ジョーシステム。
【請求項9】
前記ピボット連結部は、前記チェーン張力調整要素の第1の端部(106)に配置され、前記外側面は、前記第1の端部及びその前記ピボット連結部へと延在して、前記チェーン張力調整要素の外側ピボット面(104’)を形成し、前記外側ピボット面は、前記第1の端部において、前記ピボット連結部を介して前記チェーン張力調整要素が組み込まれている前記固定カムの第1の部分(107)のカム外側面(107’)への滑らかな移行部を形成するように配置されている、請求項7又は8に記載のチェーン駆動ジョーシステム。
【請求項10】
前記外側ピボット面の接線(108)は、前記第1の部分に対する前記チェーン張力調整要素の少なくとも1つの位置において、前記第1の部分の前記カム外側面の接線(109)に平行して位置合わせされている、請求項9に記載のチェーン駆動ジョーシステム。
【請求項11】
前記固定カムの前記第1の部分は、前記第1の部分と前記チェーン駆動ジョーシステムの前記中心との間の距離が、前記第1の部分から、前記第1の部分に対して、前記チェーン駆動ジョーシステムの対向端部(117、118)の最も近い位置までの、前記チェーン張力調整要素が延在する長手方向(119)に沿った距離よりも短くなるように、配置されている、請求項9又は10に記載のチェーン駆動ジョーシステム。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか1項に記載のチェーン駆動ジョーシステム、又は請求項1~6のいずれか1項に記載の張力調整装置を含む、充填機。
【請求項13】
固定カム(101)と、従動子としてチェーン(102)とを有する、包装充填機用のチェーン駆動ジョーシステム(200)内にあるチェーンに張力をかける方法(300)であって、
前記チェーン駆動ジョーシステムの中心(C)から離れる方に向けられた外側面(104)に前記チェーンを受け入れるような形状及び角度にされたチェーン張力調整要素(103)を含むチェーン張力調整装置を提供すること(301)であって、前記チェーン張力調整要素は、ピボット連結部(105)において前記固定カムと一体化されるように構成されて、前記チェーン張力調整要素が、前記ピボット連結部において前記固定カムに当接するようにし、前記ピボット連結部の連結部分の両側が前記固定カム内に配置されるように構成され、
前記チェーン張力調整要素(103)の外側ピボット面(104’)と前記固定カム(101)のカム外側面(107’)との間は滑らかに移行するように形成され、前記外側ピボット面(104’)と前記カム外側面(107’)との間には間隙が存在せず、及び前記チェーンに張力をかけるように動くことができるようにする、提供すること、及び
前記チェーン張力調整装置によって前記チェーンに張力をかけること(302)を含む、方法。
【請求項14】
複数の張力調整装置を使用することによって、複数のチェーンに張力をかけること(303)を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装充填機内のチェーン駆動ジョーシステムのための張力調整装置、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
充填機用のチェーン駆動システム内にあるチェーンは、ジョー及びカウンタージョーのローラをジョーのカムと接触した状態に保つために、張力をかける必要があることが知られている。そのような配置構成の例が欧州特許第0887269号明細書に開示されており、ここでは、例えば
図2に関して、部分P3、Q3に沿って、チェーン15、27が、チェーンに張力をかけるためのそれぞれの対のテンショナー56と協働して、ジョー12及びカウンタージョー13のローラ52、53が確実にそれぞれのカム50、51と接触して維持されるようにすることを開示している。各テンショナー56は、壁6又は7に固定された支持体に、水平軸の周りで蝶番で取り付けられた可動シュー57を含む。壁6又は7から見て外方を向く面に、シュー57は、2つの隣り合った転動軌道60、61を含み、これらは、バネ59によって、ジョー12又はカウンタージョー13のそれぞれのローラ52及び53と協働する。
【0003】
例えば欧州特許第0887269号明細書に開示されているような配置構成での問題は、チェーンによって駆動されるローラが、テンショナーを配置することによって、高度の摩擦及びチェーンに対するハンマリングに曝されることである。さらに、チェーンを駆動するサーボモータの作業負荷は、例えば摩擦の増大によって増加し、及び配置構成はまた、チェーンの衝撃力に起因して、固定カムの余分な摩耗を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ、改良型の張力調整装置、ジョーシステム、充填機及び方法が、好都合であり、及び特に、チェーン駆動ジョーシステムの摩耗を減少させること、及び関連のモータ駆動部での作業負荷を減少させることを含む、上述の問題及び妥協点を、より回避できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明の例は、好ましくは、添付の特許請求の範囲に従う装置を提供することによって、上記で特定したような、単独の又はいずれかの組み合わせでの、当業界における欠陥、欠点又は問題のうちの1つ以上を軽減、緩和又は除去する。
【0006】
第1の態様によれば、包装充填機内のチェーン駆動ジョーシステム用の張力調整装置が提供される。チェーン駆動ジョーシステムは、固定カムと、従動子としてチェーンとを有する。張力調整装置は、チェーン駆動ジョーシステムの中心から離れる方に向けられるように構成された外側面にチェーンを受け入れるような形状及び角度にされたチェーン張力調整要素を含み、チェーン張力調整要素はピボット連結部を含み、及びチェーン張力調整要素は、ピボット連結部において固定カムと一体化されるように構成されて、チェーン張力調整要素が、ピボット連結部において固定カムと当接するようにし、及びチェーンに張力をかけるように動くことができるようにする。
【0007】
第2の態様によれば、包装充填機用のチェーン駆動ジョーシステムが提供される。チェーン駆動システムは、少なくとも1つの固定カム、従動子としてチェーン、及び少なくとも1つの張力調整装置を含み、張力調整装置は、チェーン駆動ジョーシステムの中心から離れる方に向けられた外側面にチェーンを受け入れるような形状及び角度にされたチェーン張力調整要素を含み、チェーン張力調整要素はピボット連結部を含み、及びチェーン張力調整要素は、ピボット連結部において固定カムと一体化されて、チェーン張力調整要素が、ピボット連結部において固定カムと当接するようにし、及びチェーンに張力をかけるように動くことができるようにする。
【0008】
第3の態様によれば、第2の態様に記載のチェーン駆動ジョーシステム、又は第1の態様に記載の張力調整装置を含む、充填機が提供される。
【0009】
第4の態様によれば、カムと、従動子としてチェーンとを有する、包装充填機用のチェーン駆動ジョーシステム内にあるチェーンに張力をかける方法が提供される。方法は、チェーン駆動ジョーシステムの中心から離れる方に向けられた外側面にチェーンを受け入れるような形状及び角度にされたチェーン張力調整要素を含むチェーン張力調整装置を提供することであって、チェーン張力調整要素は、ピボット連結部において固定カムと一体化されるように構成されて、チェーン張力調整要素が、ピボット連結部において固定カムと当接するようにし、及びチェーンに張力をかけるように動くことができるようにすること、及び張力調整装置によってチェーンに張力をかけることを含む。
【0010】
本発明のさらなる例が、従属請求項に定義されており、ここでは、本開示の第2及び第3の態様の特徴は、変更すべきところは変更して、第1の態様に関するものである。
【0011】
本開示のいくつかの例は、チェーン駆動ジョーシステムの摩耗を減少させる。
【0012】
本開示のいくつかの例は、チェーン駆動ジョーシステムのモータ駆動部の作業負荷を減少させる。
【0013】
本開示のいくつかの例は、チェーン駆動ジョーシステムにおける振動を減少させる。
【0014】
本開示のいくつかの例は、チェーン駆動ジョーシステム内にあるチェーンのより滑らかな動きをもたらす。
【0015】
本開示のいくつかの例は、チェーン駆動ジョーシステムのより予測可能及び効率的な保守計画を提供する。
【0016】
本明細書で使用されるときには、用語「含む(comprises/comprising)」は、説明した特徴、完全体(integers)、ステップ又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、完全体、ステップ、構成要素又はそれらの群の存在又は追加を除外するものではないと取られることを強調する。
【0017】
本発明の例が可能であるこれらの及び他の態様、特徴及び利点は、添付図面を参照して、本発明の例の以下の説明から明白であり、及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1a-b】本開示の例による張力調整装置及びチェーン駆動ジョーシステムの概略図である。
【
図2】本開示の例によるチェーン駆動ジョーシステム内にある張力調整装置の概略図である。
【
図3】本開示の例によるチェーン駆動ジョーシステム内にある張力調整装置の斜視図での概略図である。
【
図4】本開示の例によるチェーン駆動ジョーシステム内にある張力調整装置の斜視図での概略図である。
【
図5a】本開示の例によるチェーン駆動ジョーシステム内にあるチェーンに張力をかける方法のフローチャートである。
【
図5b】本開示の例によるチェーン駆動ジョーシステム内にあるチェーンに張力をかける方法の別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の具体例を、ここで、添付図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実現されてもよく、及び本明細書で説明する例に限定されるとみなされるべきではなく、むしろ、これらの例は、本開示が徹底的且つ完全となり、及び本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように、提供される。添付図面で説明される例の詳細な説明において使用される用語法は、本発明の限定を意図するものではない。図面では、同様の符号は同様の要素を指す。
【0020】
図1aは、包装充填機内のチェーン駆動ジョーシステム200用の張力調整装置100の概略図である。チェーン駆動ジョーシステム200は、固定カム101と、従動子としてチェーン102とを有する。固定カム101は、湾曲した外側軌道を有し、それに沿って、チェーン102(破線で示される)がローラを介して搬送される。張力調整装置100は、チェーン駆動ジョーシステム200の中心(C)から離れる方に向けられるように構成された外側面104でチェーン102を受け入れるような形状及び角度にされたチェーン張力調整要素103を含む。
図2及び
図3は、チェーン張力調整要素103の、それぞれ詳細な側面図及び斜視図の、概略図である。それゆえ、面104は、固定カム101の外側軌道に沿って搬送されるときに、チェーン102に当接するように配置されている。チェーン張力調整要素103はピボット連結部105を含み、その周りで、チェーン張力調整要素103が旋回し得る。チェーン張力調整要素103は、ピボット連結部105において固定カム101と一体化されるように構成されて、チェーン張力調整要素103が、ピボット連結部105において固定カム101に当接できるようにし、且つチェーン102に張力をかけるように動くことができるようにする。固定カム101と一体化されるように、すなわちピボット連結部105において固定カム101と当接して構成されたチェーン張力調整要素103を有することによって、チェーン102は、十分に張力がかけられながらも、チェーン張力調整要素103からカム101上へと滑らかに動き得る。対照的に、関連のチェーンがカムから分離されるように、チェーン張力調整要素とカムとの間に、支持されていないブリッジを形成する従来技術の張力調整要素は、チェーンのより不規則かつ、制御されていない動きの経路を生じ、損害を与える振動のリスクを上昇させ、構成要素の摩耗を増大させる。それゆえ、張力調整要素103を固定カム101と一体化し、外側面104を、カム101の外側軌道へ直接移行できるようにすることによって、チェーン102への連続的な支持、並びに振動及び摩耗の減少をもたらす。振動の減少はまた、チェーン102のモータ駆動部への作業負荷の減少、並びにチェーン102がより滑らかに摺動し且つ何かに当たる傾向が少なくなる(そうでなければ、モータの不要な加速及び/又は減速を生じ得る)ため、より長い寿命又はより長いサービス期間をもたらす。例えば
図1a及び
図2に示すように、旋回中心105は、固定カム101の外側軌道にすぐ隣接して固定カム101に組み込まれ得るため、下記でより詳細に説明するように、チェーン張力調整要素103とカム101の外側軌道との間は滑らかに移行する。
【0021】
チェーン張力調整要素103は、湾曲した外側面104を有し、そこで、例えば
図1aの例に示すように、チェーン102が滑り得る。湾曲した外側面104を有することによって、チェーン張力調整要素103が、チェーン102の経路に従うことができるようになるため、チェーン張力調整要素103によって導入される抵抗は最小限であるが、同時に、次第にチェーン102をピーンと張るようにする。
【0022】
図2を参照して説明すると、ピボット連結部105は、張力調整要素103の第1の端部106に配置され得る。外側面104は、第1の端部106及びそのピボット連結部105へと延在して、チェーン張力調整要素103の外側ピボット面104’を形成し得る。上述の通り、第1の端部106にある外側ピボット面104’は、チェーン張力調整要素103がピボット連結部105を介して組み込まれるように構成される固定カム101の第1の部分107のカム外側面107’への滑らかな直接移行部を形成するように配置され得る。
図2は、動作中のチェーン102、カム101及びチェーン張力調整要素103の振動及び摩耗を減少させる、第1の部分107のカム外側面107’への滑らかな直接移行部を形成するように配置された外側ピボット面104’を概略的に示す。従って、これはまた、過度の摩耗のリスクなく、システム200、並びに張力調整装置100及びシステム200が配置され得る充填機(図示せず)のスループットを高めるために、チェーン駆動ジョーシステム200をより高速で動作できるようにする。
【0023】
外側ピボット面104’の接線108は、
図2に概略的に示すように、第1の部分107に対するチェーン張力調整要素の少なくとも1つの位置において、第1の部分107のカム外側面107’の接線109と平行して位置合わせされるように構成され得る。そのような配置構成は、張力、すなわちチェーン張力調整要素103の角度が変更されるときにも、外側ピボット面104’とカム外側面107’との間の滑らかな移行を可能にし、これは、接線108、109が初期較正位置において平行しており、及び上述の角度のわずかな変化のみが、張力をさらに調整するために必要とされ得ることが考えられるためである。
【0024】
外側ピボット面104’は、固定カム101のカム外側面107’への中断なしの移行部を形成するように構成され得るため、チェーン102は、外側ピボット面104’及びカム外側面107’に架けられるときに、連続的に支持される。従って、外側ピボット面104’とカム外側面107’との間には間隙がないとし得、チェーン102の支持を改善し、且つ振動のリスクを減少させる。
【0025】
チェーン張力調整要素103は、第1の端部106に対向して、自由端部となる第2の端部110を含み得る。第2の端部110は、外側面104を横切って第1の端部106へと続けて案内するために、チェーン102を受け入れるように構成され得る。自由端部となる第2の端部110を有することによって、チェーン102は、チェーン102が動く方法とほぼ無関係に、第2の端部110上へと滑り込み、その後、再度、カム101の他方の第1の端部106における正しい位置内へと案内され得る。
【0026】
チェーン張力調整要素103は、チェーン駆動ジョーシステム200の中心(C)からチェーン張力調整要素103を外向きに押すように構成されたバネ120を含み得る。バネ120は、ピボット連結部105、及びチェーン張力調整要素103が組み込まれるように構成されている固定カム101の第1の部分107に隣接して配置され得る。チェーン張力調整要素103をチェーン102の方へ押すバネ120を有することによって、チェーン102は、張力がかけられ得るが、同時に、バネ120は、いくつかの力の方向において、ある程度の可撓性を持たせることを可能にする。ピボット連結部105及び固定カム101の第1の部分107に隣接して配置されるように構成されたバネ120を有することによって、上述の張力調整を可能にしながら、第1の部分107と一体化されたチェーン張力調整要素103に関して上述の利益をもたらす。バネ120は、ピボット連結部105と一体化されて、張力調整装置100により少数の構成要素を提供し得る。
【0027】
第1の端部106と第2の端部110との間に接続されたバネ120を有することによって、バネ120の効果を変化させて、張力調整を最適にすることが可能である。
【0028】
包装充填機用のチェーン駆動ジョーシステム200が提供される。チェーン駆動システム200は、上述の通り、少なくとも1つの固定カム101と、従動子としてのチェーン102とを含む。チェーン駆動ジョーシステム200は、少なくとも1つの張力調整装置100、100’を含む。張力調整装置100、100’は、チェーン駆動ジョーシステム200の中心(C)から離れる方に向けられた外側面104上にチェーンを受け入れるような形状及び角度にされたチェーン張力調整要素103を含む。チェーン張力調整要素103はピボット連結部105を含み、及びチェーン張力調整要素103は、ピボット連結部105において固定カム101と一体化されて、チェーン張力調整要素103が、ピボット連結部105において固定カム101に当接するようにし、及びチェーン102に張力をかけるように動くことができるようにする。それゆえ、チェーン駆動ジョーシステム200は、張力調整装置100及び
図1~3に関して上述したような、好都合な利益をもたらす。チェーン駆動ジョーシステム200は、
図4に概略的に示すように、互いに平行に配置された少なくとも2つの張力調整装置100、100’を含み得る。チェーン張力調整装置100、100’のうちの少なくとも2つを含むチェーン駆動ジョーシステム200が、複数のチェーン101を滑らかに、同時に互いに平行に延びることができるようにし、及びより複雑なジョーシステム200を可能にする。
【0029】
チェーン駆動ジョーシステム200は経路112を含み、それに沿って、チェーン102が搬送される。経路112は、
図1bに概略的に示すように、チェーン102が固定カム101と当接する第1のセクション113と、チェーン102がチェーン張力調整要素103と当接する第2のセクション114とを含む。すなわち、経路112は、固定カム101及びチェーン張力調整要素103の外側面又は外側軌道を辿る。経路112は、第1及び第2のセクション113、114の少なくとも一部を含む第1の長手方向部分115を含み、これら第1及び第2のセクションは、第1の部分107に対するチェーン張力調整要素103の少なくとも1つの位置において、実質的に平行であり、且つ長手方向において端と端が位置合わせされている。それゆえ、チェーン102は、第1の長手方向部分115に沿った第1のセクション113と第2のセクション114との間にブリッジ部分116を形成し得るため、ブリッジ部分116は、ピボット連結部105を横切って延在する。そのような配置構成は、同様に、張力、すなわちチェーン張力調整要素103の角度が変更されるときに、外側ピボット面104’とカム外側面107’との間の滑らかな移行を可能にし、これは、第1及び第2のセクション113、114が初期較正位置において平行とし得、及び上述の角度のわずかな変化のみが張力をさらに調整するために必要とされ得ることが考えられるためである。
【0030】
上述の通り、ピボット連結部105は、チェーン張力調整要素103の第1の端部106に配置され得る。外側面104は、第1の端部106及びそのピボット連結部105へと延在して、張力調整要素103の外側ピボット面104’を形成し得る。第1の端部106において、外側ピボット面104’は、チェーン張力調整要素103がピボット連結部105を介して組み込まれている固定カム101の第1の部分107のカム外側面107’への滑らかな移行部を形成するように配置され得る。
【0031】
及び、さらに説明するように、外側ピボット面104’の接線108は、第1の部分107に対する張力調整要素103の少なくとも1つの位置において、第1の部分107のカム外側面107’の接線109と平行して位置合わせされ得る。
【0032】
固定カム101の第1の部分107は、第1の部分107とチェーン駆動ジョーシステム200の中心(C)との間の距離が、第1の部分107から、第1の部分107に対して、チェーン駆動ジョーシステム200の対向端部117、118の最も近い位置までの、チェーン張力調整要素103が延在する長手方向119に沿った距離よりも短くなるように、配置され得る(
図1a参照)。それゆえ、第1の部分は、中心(C)に隣接して、又は対向端部117、118のいずれかよりも中心の近くに配置され得る。また、ピボット連結部105は第1の部分107と一体化されるため、同じ配置構成がピボット連結部105に適用される、すなわち、ピボット連結部105は、中心(C)に隣接して、又は対向端部117、118のいずれかよりも中心の近くに配置され得る。チェーン張力調整要素103は、ピボット連結部105において固定カム101に配置されるため、その対向端部117と118との間のカム101の全距離に沿って、チェーン102を支持できるようにし、中心(C)に隣接して中断がないようにする。
【0033】
図1~4に関して上述したような、チェーン駆動ジョーシステム200を含む充填機(図示せず)が提供される、及び/又は充填機は、
図1~4に関して上述したような張力調整装置100を含む。それゆえ、充填機は、張力調整装置100及びチェーン駆動ジョーシステム200、及び
図1~4に関して上述したような、好都合な利益をもたらす。それゆえ、充填機は、より高い動作速度でも、その構成要素の振動及び/又は摩耗の量が減少された状態で動作され得る。
【0034】
図5aは、包装充填機用のチェーン駆動ジョーシステム200内にあるチェーンに張力をかける方法300のフローチャートを示す。方法200のステップが説明及び図示される順序は、限定とみなされるべきではなく、ステップは、様々な順序で実施され得ると考えられる。それゆえ、方法200は、チェーン駆動ジョーシステム200の中心(C)から離れる方に向けられた外側面104にチェーンを受け入れるような形状及び角度にされたチェーン張力調整要素103を含む張力調整装置100を提供すること301を含んで提供される。チェーン張力調整要素103は、ピボット連結部105において固定カム101と一体化されるように構成されて、チェーン張力調整要素103が、ピボット連結部105において固定カム101に当接するようにし、及びチェーン102に張力をかけるように動くことができるようにする。方法300は、張力調整装置100によってチェーン102に張力をかけること302を含む。それゆえ、方法300は、張力調整装置100及びチェーン駆動ジョーシステム200、及び
図1~4に関して上述したような、好都合な利益をもたらす。それゆえ、張力調整装置100を使用することによって、チェーン102での張力は保証され、同時に、チェーン張力調整要素103から固定カム101へのより滑らかな移行がもたらされる。
【0035】
図5bは、包装充填機用のチェーン駆動ジョーシステム200内にあるチェーン102に張力をかける方法300’のさらなるフローチャートを示す。方法300’のステップが説明及び図示される順序は、限定とみなされるべきではなく、ステップは、様々な順序で実施され得ると考えられる。それゆえ、方法300’は、方法300のステップを含み得、且つまた、複数の張力調整装置100、100’を使用して、複数のチェーン102に張力をかける。
【0036】
本発明について、具体例を参照して上記で説明した。しかしながら、上記以外の他の例が、本発明の範囲内で等しく可能である。本発明の異なる特徴及びステップは、説明したもの以外の組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0037】
より一般的には、当業者は、本明細書で説明する全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成が、例示を意味すること、及び実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が使用される特定の1つ又は複数の適用例に依存することを容易に理解する。