(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】ラミネート積層基板における埋め込み垂直インダクタ
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20240226BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20240226BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240226BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20240226BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20240226BHJP
H05K 1/16 20060101ALI20240226BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
H01F17/00 C
H01F41/04 C
H05K3/46 Q
H05K1/14 E
H05K3/36 B
H05K1/16 B
H01L23/12 301Z
(21)【出願番号】P 2020531599
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018064782
(87)【国際公開番号】W WO2019118366
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-11-26
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・デイク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ボンフン・クー
(72)【発明者】
【氏名】ババク・ネジャティ
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/024762(WO,A1)
【文献】特開2015-026762(JP,A)
【文献】特開2014-232837(JP,A)
【文献】特開2014-160751(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0353022(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 41/04
H05K 3/46
H05K 1/14
H05K 3/36
H05K 1/16
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直インダクタ構造であって、
前記垂直インダクタ構造の第1の部分を形成する第1のラミネート基板と、
前記第1のラミネート基板上に取り付けられ、前記垂直インダクタ構造の第2の部分を形成する第2のラミネート基板とを備え、
前記第1のラミネート基板および前記第2のラミネート基板の各々は、
前記第1のラミネート基板の層に埋め込まれ
、且つ前記第1のラミネート基板の表面に平行な方向に配列された複数の第1のトレースおよび前記第2のラミネート基板の層に埋め込まれ
、且つ前記第1のラミネート基板の表面に平行な方向に配列された複数の第1のトレースであって、銅または任意の他の導電材料で構成された複数の第1のトレースと、
複数の第1の垂直カラムであって、その各々が前記複数の第1のトレースのうちのそれぞれの第1のトレースの第1の端部に電気的かつ機械的に結合された、複数の第1の垂直カラムと、
複数の第2の垂直カラムであって、その各々が前記複数の第1のトレースのうちのそれぞれの第1のトレースの第2の端部に電気的かつ機械的に結合された、複数の第2の垂直カラムとを含み、
前記複数の第1および第2の垂直カラムの各々が複数の積層された金属充填ビアを含み、
前記第1のラミネート基板の前記第1の垂直カラムの各々は、前記第1の端部の所でバンプにより前記第2のラミネート基板のそれぞれの第1の垂直カラムに電気的かつ機械的に結合され、前記第1のラミネート基板の前記第2の垂直カラムの各々は、前記第2の端部の所で別のバンプにより前記第2のラミネート基板のそれぞれの第2の垂直カラムに電気的かつ機械的に結合され、それによって、前記第1のラミネート基板の前記複数の第1の垂直カラムの各々が前記第2のラミネート基板の前記複数の第1の垂直カラムのそれぞれに電気的かつ機械的に結合され、前記第1のラミネート基板の前記複数の第2の垂直カラムの各々が前記第2のラミネート基板の前記複数の第2の垂直カラムのそれぞれに電気的かつ機械的に結合されるようになって
おり、
前記第1のラミネート基板内の前記複数の第1のトレースのうちの一つは、前記第2のラミネート基板内の前記第1のトレース、前記第1の垂直カラムおよび前記第2の垂直カラムを介して、前記第1のラミネート基板内の前記複数の第1のトレースの他の一つに電気的に結合されており、
前記第2のラミネート基板内の前記複数の第1のトレースのうちの一つは、前記第1のラミネート基板内の前記第1のトレース、前記第1の垂直カラムおよび前記第2の垂直カラムを介して、前記第2のラミネート基板内の前記複数の第1のトレースの他の一つに電気的に結合されている、垂直インダクタ構造。
【請求項2】
前記第1のラミネート基板および前記第2のラミネート基板の各々は、複数の第2のトレースを含み、前記複数の第2のトレースは、前記複数の第1のトレースに平行であり、
前記第1のラミネート基板および前記第2のラミネート基板の各々の第2の層に埋め込まれ
ており、
前記第1のラミネート基板および前記第2のラミネート基板の各々は、前記第1および第2の垂直カラムに配設された複数の金属充填ビアをさらに含み、前記複数の金属充填ビアは、前記複数の第1のトレースの各々を前記複数の第2のトレースのそれぞれに電気的かつ機械的に結合する、請求項1に記載の垂直インダクタ構造。
【請求項3】
前記第1のラミネート基板および前記第2のラミネート基板の各々は、
複数の第3の垂直カラムであって、その各々が前記複数の第1のトレースのそれぞれの前記第1の端部に近接した位置に結合された、複数の第3の垂直カラムと、
複数の第4の垂直カラムであって、その各々が前記複数の第1のトレースのそれぞれの前記第2の端部に近接した位置に結合された、複数の第4の垂直カラムとをさらに含み、
前記複数の第3および第4の垂直カラムの各々は、複数の積層された金属充填ビアを含み、
前記第1のラミネート基板の前記複数の第3の垂直カラムの各々は、前記第2のラミネート基板の前記複数の第3の垂直カラムのそれぞれに結合され、前記第1のラミネート基板の前記複数の第4の垂直カラムの各々は、前記第2のラミネート基板の前記複数の第4の垂直カラムのそれぞれに結合される、請求項2に記載の垂直インダクタ構造。
【請求項4】
前記複数の第1および第2の垂直カラムの各々は、複数のキャプチャパッドをさらに含み、前記複数のキャプチャパッドの各々は、前記複数の積層された金属充填ビアの各々の間に配設される、請求項1に記載の垂直インダクタ構造。
【請求項5】
前記バンプは、フリップチップバンプ、ボールグリッドアレイ、ソルダーオンパッド(SOP)、および銅ピラーからなる群から選択される接続部を含む、請求項1に記載の垂直インダクタ構造。
【請求項6】
シールド層とモールディングとをさらに備え、前記モールディングは、前記第2のラミネート基板を前記シールド層から分離する、請求項1に記載の垂直インダクタ構造。
【請求項7】
前記モールディングは、ポリマー材料で構成される、請求項
6に記載の垂直インダクタ構造。
【請求項8】
前記第1のラミネート基板は、第1の層数を含み、前記第2のラミネート基板は、第2の層数を含む、請求項1に記載の垂直インダクタ構造。
【請求項9】
前記第1の層数および前記第2の層数の各々は、2層から10層の範囲である、請求項
8に記載の垂直インダクタ構造。
【請求項10】
前記第1の層数は、前記第2の層数に等しい、請求項
8に記載の垂直インダクタ構造。
【請求項11】
垂直インダクタ構造を製造する方法であって、
前記垂直インダクタ構造の第1の部分を形成する第1のラミネート基板を設けるステップと、
前記第1のラミネート基板上に第2のラミネート基板を取り付けるステップであって、前記第2のラミネート基板が、前記垂直インダクタ構造の第2の部分を形成する、ステップとを含み、
前記第1のラミネート基板および前記第2のラミネート基板の各々は、
前記第1のラミネート基板の層に埋め込まれ
、且つ前記第1のラミネート基板の表面に平行な方向に配列された複数の第1のトレースおよび前記第2のラミネート基板の層に埋め込まれ
、且つ前記第1のラミネート基板の表面に平行な方向に配列された複数の第1のトレースであって、銅または任意の他の導電材料で構成された複数の第1のトレースと、
複数の第1の垂直カラムであって、その各々が前記複数の第1のトレースのうちのそれぞれの第1のトレースの第1の端部に電気的かつ機械的に結合された、複数の第1の垂直カラムと、
複数の第2の垂直カラムであって、その各々が前記複数の第1のトレースのうちのそれぞれの第1のトレースの第2の端部に電気的かつ機械的に結合された、複数の第2の垂直カラムとを含み、
前記複数の第1および第2の垂直カラムの各々が複数の積層された金属充填ビアを含み、
前記第1のラミネート基板上に前記第2のラミネート基板を取り付ける前記ステップは、バンプを使用することにより前記第1のラミネート基板の前記複数の第1の垂直カラムの各々を前記第2のラミネート基板の前記複数の第1の垂直カラムのそれぞれに電気的かつ機械的に結合するステップと、別のバンプを使用することにより前記第1のラミネート基板の前記複数の第2の垂直カラムの各々を前記第2のラミネート基板の前記複数の第2の垂直カラムのそれぞれに電気的かつ機械的に結合するステップとを含
み、
前記第1のラミネート基板内の前記複数の第1のトレースのうちの一つは、前記第2のラミネート基板内の前記第1のトレース、前記第1の垂直カラムおよび前記第2の垂直カラムを介して、前記第1のラミネート基板内の前記複数の第1のトレースの他の一つに電気的に結合されており、
前記第2のラミネート基板内の前記複数の第1のトレースのうちの一つは、前記第1のラミネート基板内の前記第1のトレース、前記第1の垂直カラムおよび前記第2の垂直カラムを介して、前記第2のラミネート基板内の前記複数の第1のトレースの他の一つに電気的に結合されている、方法。
【請求項12】
前記第1のラミネート基板および前記第2のラミネート基板の各々は、複数の第2のトレースを含み、前記複数の第2のトレースは、前記複数の第1のトレースに平行であり、
前記第1のラミネート基板および前記第2のラミネート基板の各々の第2の層に埋め込まれ、
前記第1のラミネート基板および前記第2のラミネート基板の各々は、前記第1および第2の垂直カラムに配設された複数の金属充填ビアをさらに含み、前記複数の金属充填ビアは、前記複数の第1のトレースの各々を前記複数の第2のトレースのそれぞれに結合し、
前記第1のラミネート基板および前記第2のラミネート基板の各々は、
複数の第3の垂直カラムであって、その各々が前記複数の第1のトレースのそれぞれの前記第1の端部に近接した位置に結合された、複数の第3の垂直カラムと、
複数の第4の垂直カラムであって、その各々が前記複数の第1のトレースのそれぞれの前記第2の端部に近接した位置に結合された、複数の第4の垂直カラムとをさらに含み、
前記複数の第3および第4の垂直カラムの各々は、複数の積層された金属充填ビアを含み、
前記第1のラミネート基板上に前記第2のラミネート基板を取り付ける前記ステップは、前記第1のラミネート基板の前記複数の第3の垂直カラムの各々を前記第2のラミネート基板の前記複数の第3の垂直カラムのそれぞれに電気的かつ機械的に結合するステップと、前記第1のラミネート基板の前記複数の第4の垂直カラムの各々を前記第2のラミネート基板の前記複数の第4の垂直カラムのそれぞれに電気的かつ機械的に結合するステップとを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のラミネート基板の上にモールディングを設けるステップと、
前記モールディングの上にモジュールシールド層を設けるステップとをさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の垂直インダクタ構造を含む、無線周波数(RF)フロントエンドモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる、2018年12月5日に出願された「Embedded Vertical Inductor in Laminate Stacked Substrates」と題する米国出願第16/210594号、および2017年12月15日に出願された「Embedded Vertical Inductor in Laminate Stacked Substrates」と題する米国仮出願第62/599397号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、インダクタに関し、より詳細には、高品質(Q)値無線周波数(RF)用途のためのラミネート積層基板における埋め込み垂直インダクタに関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル無線周波数(RF)チップ構成(たとえば、モバイルRFトランシーバ)は、コストおよび電力消費量の問題に起因してディープサブミクロンプロセスノードに移行している。モバイルRFトランシーバの設計については、キャリアアグリゲーションなどの通信拡張機能をサポートするための追加の回路機能によってさらに複雑さが増している。モバイルRFトランシーバに関する設計上のさらなる問題には、不適合、ノイズ、および性能面のその他の問題を含むアナログ/RF性能面の問題が含まれる。モバイルRFトランシーバの設計は、たとえば共振を抑制し、かつ/またはフィルタ処理、バイパスおよび結合を実行するために、インダクタおよびキャパシタなどの受動デバイスを使用することを含む。モバイルRFトランシーバがより高度にかつ複雑になるにつれて、モバイルRFトランシーバの様々な構成要素は、性能を維持または向上させながらサイズ/フットプリントを縮小するなど、サイズと性能の制約の増大に直面する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
添付の図面に関して以下に記載する詳細な説明は、様々な構成の説明として意図され、本明細書で説明する概念が実践され得る唯一の構成を表すものではない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解をもたらすための具体的な詳細を含む。しかしながら、これらの概念がこれらの具体的な詳細なしに実践され得ることは、当業者には明らかであろう。場合によっては、そのような概念を曖昧にするのを回避するために、よく知られている構造および構成要素がブロック図の形態で示される。本明細書において説明されるときに、「および/または」という用語の使用は、「包含的論理和」を表すことが意図されており、「または」という用語の使用は、「排他的論理和」を表すことが意図されている。
【0005】
モバイルRFトランシーバは、コストおよび電力消費量の問題に起因してディープサブミクロンプロセスノードに移行している。モバイルRFトランシーバの設計は、キャリアアグリゲーションなどの通信拡張機能をサポートするための追加の回路機能によってさらに複雑さが増している。モバイルRFトランシーバに関する設計上のさらなる問題には、不適合、ノイズ、および性能面のその他の問題を含むアナログ/RF性能面の問題が含まれる。モバイルRFトランシーバの設計には、インダクタおよびキャパシタなどの受動デバイスを使用して、たとえば、共振を抑制すること、および/またはフィルタ処理、バイパス、および結合を実行することが含まれる。モバイルRFトランシーバがより高度化しより複雑になるにつれて、モバイルRFトランシーバの様々な構成要素は、サイズの増大、および性能を維持するかまたは向上させつつサイズ/フットプリントを縮小することなどの性能上の制約に直面する。
【0006】
インダクタは、インダクタンス値に従ってワイヤコイル内の磁場にエネルギーを一時的に蓄積するために使用される電気デバイスの例である。このインダクタンス値は、インダクタを通過する電流の変化率に対する電圧の比率の測度である。インダクタ内を流れる電流が変化する間、コイル内の磁場にエネルギーが一時的に蓄積される。インダクタは、その磁場蓄積機能に加えて、無線機器などの交流(AC)電子機器において使用されることが多い。たとえば、モバイルRFトランシーバの設計には、高周波数(たとえば、500メガヘルツ(MHz)~5ギガヘルツ(GHz)RF範囲)における磁気損失を低減させつつ、インダクタンス密度を向上させたインダクタを使用することが含まれる。
【0007】
本開示の態様によれば、デュプレクサが、電力増幅器(PA)集積デュプレクサ(PAMID)モジュールまたは集積デュプレクサ(FEMID)モジュールを有するフロントエンドモジュール内に配置されてもよく、デュプレクサは、ラミネート集積インダクタなどのラミネート基板インダクタと一体化される。間隔の制約に起因してRFフロントエンドモジュール内に表面実装デバイスを使用する代わりに、単一基板ラミネート集積インダクタを使用してもよい。残念なことに、基板(たとえば、パッケージ基板)内でラミネート集積インダクタによって占有される面積も、顧客仕様に起因して制約を受けることがある。たとえば、基板は一般に、ラミネート集積インダクタとデュプレクサとの間の干渉を回避するために絶縁仕様を満たすための接地面を含む。さらに、インダクタの垂直高さは、顧客仕様に起因して制限されることがある。残念なことに、基板の接地面は、単一基板ラミネート集積インダクタの磁場を圧縮することがあり、それによって、ラミネート集積インダクタが単一ラミネート基板内に配置されるときにQ値が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様では、高Q値RF用途向けのラミネート積層基板に埋め込まれた垂直インダクタ構造について説明する。一構成では、垂直インダクタ構造は、垂直インダクタ構造の第1の部分を形成する第1のラミネート基板と、垂直インダクタ構造の第2の部分を形成する第2のラミネート基板とを含む。第2のラミネート基板は、第1のラミネート基板上に取り付けられる。第1および第2のラミネート基板の各々は、ラミネート基板の層に埋め込まれた複数のトレースと、複数の第1の垂直カラムと、複数の第2の垂直カラムとを含む。トレースの各々は、第1の端部の所で第1の垂直カラムのうちの1つに結合され、第2の端部の所で第2の垂直カラムのうちの1つに結合される。第2のラミネート基板は第1のラミネート基板上に取り付けられ、それによって、第1のラミネート基板の第1の垂直カラムの各々が第2のラミネート基板のそれぞれの第1の垂直カラムに結合され、第1のラミネート基板の第2の垂直カラムの各々が第2のラミネート基板のそれぞれの第2の垂直カラムに結合される。
【0009】
従来の単一基板ラミネートインダクタとは異なり、改良されたインダクタ設計は、複数のラミネート積層基板に埋め込まれた垂直インダクタである。2枚のラミネート基板に垂直インダクタを埋め込むと、インダクタのフットプリントを縮小しながら目標インダクタ性能を実現するうえで融通性がもたらされる。各ラミネート基板は、任意の数の層、たとえば、2層から10層の間の数の層を有してもよく、インダクタ構造の垂直高さは、50μmから600μmの間の範囲であり、特定のQ値を実現するように最適化されてもよい。さらに、第1のラミネート基板内の層は、インダクタと基板の接地面との間に所望の分離を実現することがあり、したがって、インダクタの磁場が圧縮されなくなり、それによってインダクタのQ値が向上する。同様に、インダクタの磁場を上端の所で圧縮しないように、インダクタをモジュールシールドグラウンドから離すようにインダクタの上面の上に追加の層またはモールディングが設けられもよい。面積が0.6mm2未満の改良された垂直インダクタ構造は、800MHzおよび85℃において2.5nHが得られるようにQ値が最大40であってもよい。
【0010】
ワイヤレス通信業界を推進する1つの目標は、増加した帯域幅を顧客に提供することである。現世代の通信におけるキャリアアグリゲーションの使用は、この目標を達成するための1つの可能な解決策をもたらす。ワイヤレス通信では、受動デバイスが、キャリアアグリゲーションシステムにおいて信号を処理するために使用される。これらのキャリアアグリゲーションシステムでは、信号は、高帯域周波数と低帯域周波数の両方によって通信される。RFフロントエンド(RFFE)モジュールにおいて、電力増幅器(PA)が受動デバイス(たとえば、デュプレクサ)と一体化されてPAMIDモジュールを形成する。さらに、フロントエンドモジュールがデュプレクサと一体化されてFEMIDモジュールを形成してもよい。デュプレクサ(たとえば、音響フィルタ)は、キャリアアグリゲーションをサポートするように同じ帯域(たとえば、低帯域)内で送信と受信を同時に行うように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】開示の一態様による無線周波数(RF)通信システムの図である。
【
図2A】本開示の態様によるラミネート積層基板における垂直インダクタ構造の斜視図である。
【
図2B】ラミネート積層基板に埋め込まれるように示された、
図2Aの垂直インダクタ構造の端面図である。
【
図2C】ラミネート積層基板に埋め込まれた垂直インダクタ構造を示す、概ね
図2Aの線A-Aに沿った断面図である。
【
図2D】ラミネート積層基板に埋め込まれた垂直インダクタ構造を示す、概ね
図2Aの線A-Aに沿った断面図である。
【
図3B】本開示の態様によるラミネート積層基板に埋め込まれた垂直インダクタ構造を示す、概ね
図3Aの線A-Aに沿った断面図である。
【
図4B】本開示のさらなる態様によるラミネート積層基板に埋め込まれた垂直インダクタ構造を示す、概ね
図4Aの線A-Aに沿った断面図である。
【
図5B】本開示のさらなる態様によるラミネート積層基板に埋め込まれた垂直インダクタ構造を示す、概ね
図5Aの線A-Aに沿った断面図である。
【
図6】本開示の態様によるラミネート積層基板における埋め込み垂直インダクタ構造を製造する方法を示す流れ図である。
【
図7】本開示の構成が有利に利用される場合がある例示的なワイヤレス通信システムを示すブロック図である。
【
図8】一構成による半導体構成要素の回路設計、レイアウト設計、および論理設計のために使用される設計用ワークステーションを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本開示の一態様に従ってデュプレクサ180と一体化された垂直インダクタ構造を含むRF通信システム100の概略図である。典型的には、RF通信システム100は、本開示の一態様による、キャリアアグリゲーションを実現するためのチップセット160用の、第1のデュプレクサ190-1を含むWiFiモジュール170と、第2のデュプレクサ190-2を含むRFフロントエンドモジュール150とを含む。WiFiモジュール170は、アンテナ192をワイヤレスローカルエリアネットワークモジュール(たとえば、WLANモジュール172)に通信可能に結合する第1のダイプレクサ190-1を含む。RFフロントエンドモジュール150は、アンテナ194をデュプレクサ180を介してワイヤレストランシーバ(WTR)120に通信可能に結合する第2のダイプレクサ190-2を含む。ワイヤレストランシーバ120およびWiFiモジュール170のWLANモジュール172は、電力管理集積回路(PMIC)156を介して電源152によって電力を供給されるモデム(移動局モデム(MSM)、たとえばベースバンドモデム)130に結合される。
【0013】
チップセット160は、信号完全性を実現するためにキャパシタ162および164ならびにインダクタ166も含む。PMIC156、モデム130、ワイヤレストランシーバ120、およびWLANモジュール172の各々は、キャパシタ(たとえば、158、132、122、および174)を含み、クロック154に従って動作する。チップセット160における様々なインダクタ構成要素およびキャパシタ構成要素の形状および配置によって、各構成要素間の電磁結合が低減し得る。RF通信システム100は、デュプレクサ180(たとえば、PAMIDモジュール)と一体化された電力増幅器(PA)を含んでもよい。デュプレクサ180は、周波数、挿入損失、拒絶、または他の同様のパラメータを含む様々な異なるパラメータに応じて入出力信号をフィルタ処理する。本開示の態様によれば、デュプレクサ180は、たとえば、
図2A~
図5Bに示すように、ラミネート積層基板において埋め込み垂直インダクタと一体化されてもよい。
【0014】
図2Aは、本開示の態様による垂直インダクタ構造210の斜視図を示す。
図2B~
図2Dは、ラミネート積層基板に埋め込まれた垂直インダクタ構造210の端面図および断面図を示す。垂直インダクタ構造210は、第1の部分212と第2の部分214とを含んでもよい。垂直インダクタ構造210の第1の部分212は、第1のラミネート基板216内に形成されてもよく、第2の部分214は、第2のラミネート基板218内に形成されてもよい。第1のラミネート基板216および第2のラミネート基板218の各々は、任意の数の複数の層、たとえば、2層から10層の間の数の層を有してもよい。たとえば、第1のラミネート基板216は、8つの層を含んでもよく、一方、第2のラミネート基板218は、同じ数の層、この例では8つの層を含んでもよく、または第2のラミネート基板218は、第1のラミネート基板216よりも多いかもしくは少ない数の層を含んでもよい。
【0015】
第1のラミネート基板216および第2のラミネート基板218はそれぞれ、垂直インダクタ構造210の一部を形成する複数のトレース220(1)および220(2)を含んでもよい。トレース220(1)、220(2)の各々はそれぞれ、それぞれの第1のラミネート基板216および第2のラミネート基板218の単一の層222(1)、222(2)に設けられてもよい。
図2A~
図2Dに示すように、第1のラミネート基板216のトレース220(1)は、垂直インダクタ構造210の底部トレースを形成してもよく、一方、第2のラミネート基板218のトレース220(2)は、垂直インダクタ構造210の頂部トレースを形成してもよい。トレース220(1)、220(2)は、銅または任意の他の導電材料で構成されてもよい。
【0016】
第1のラミネート基板216は、それぞれの第1の端部226および第2の端部228の所でトレース220(1)に結合された垂直カラム224(1)、224(2)をさらに含んでもよい。同様に、第2のラミネート基板218は、それぞれの第1の端部226および第2の端部228の所でトレース220(2)に結合された垂直カラム224(3)、224(4)を含んでもよい。垂直カラム224(1)~224(4)は、積層された、金属充填ビア230とキャプチャパッド232で構成されてもよい。銅は、垂直カラム224(1)~224(4)の金属充填ビア230およびキャプチャパッド232を形成するために使用されることがある1つの導電性金属であるが、他の導電材料が使用されてもよい。
【0017】
垂直インダクタ構造210を完成させるために、第2のラミネート基板218が第1のラミネート基板216上に取り付けられてもよい。第1の端部226の所で、第1のラミネート基板216の垂直カラム224(1)の各々は、バンプ234によって、第2のラミネート基板218のそれぞれの垂直カラム224(3)に電気的かつ機械的に結合されてもよい。同様に、第2の端部228の所で、第1のラミネート基板216の垂直カラム224(2)の各々は、バンプ234によって、第2のラミネート基板218のそれぞれの垂直カラム224(4)に電気的かつ機械的に結合されてもよい。バンプ234は、はんだボールであってもよく、導電材料で構成されてもよい。代替として、バンプ234は、フリップチップバンプ、ボールグリッドアレイバンプ、ソルダーオンパッド(SOP)、または銅ピラーなどの電気的および機械的接続部を形成する他の種類のバンプであってもよい。
【0018】
引き続き
図2B~
図2Dを参照すると、垂直インダクタ構造210は、任意のモジュールグラウンド236を含んでもよい。モジュールグラウンド236は、第1のラミネート基板216の最下部M8層内に形成されてもよい。垂直インダクタ構造210は、第2のラミネート基板218の上方および/または周りに設けられたモールディング238、ならびにモジュールシールド層240をさらに含んでもよい。モールディング238は、ポリマー材料で構成されてもよい。
【0019】
上述のように、第1のラミネート基板216および第2のラミネート基板218の各々は、任意の複数の層を備えてもよい。たとえば、
図2Bおよび
図2Cにおいて、第1のラミネート基板216は、垂直インダクタ構造210の底部トレース220(1)をモジュールグラウンド236から分離する4つの層を含む。垂直インダクタ構造210の底部トレース220(1)とモジュールグラウンド236との間に設けられる層の数を増減させることによって底部トレース220(1)とモジュールグラウンド236との間の距離を調整して、モジュールグラウンド236からの磁場の圧縮および結合を防止してもよい。
図2Bおよび
図2Cにおける第2のラミネート基板218は、垂直インダクタ構造210の頂部トレース220(2)をモールディング238から分離する4つの層を有するようにも示されている。第2のラミネート基板218のこれらの層は、モールディング238とともに、垂直インダクタ構造210の頂部トレース220(2)とモジュールシールド層240との間の分離部を形成し、同じくモジュールシールドからの磁場の圧縮および結合を防止してもよい。第2のラミネート基板218が、垂直インダクタ構造210の頂部トレース220(2)の上方により少ないかまたはより多い数の層を備えてもよく、その代わりに、モールディング238の厚さを増減させてモジュールシールド層240からの所望の分離を実現してもよいことに留意されたい。
【0020】
本開示の態様は、同等の性能を有する単一基板インダクタ、またはガラス貫通ビア(TGV)もしくは基板貫通ビア(TSV)モジュール内に形成された単一基板インダクタよりもフットプリントが小さいフレキシブルな設計を有する多重基板垂直インダクタ構造210を提供する。たとえば、垂直カラム224(1)~224(4)の高さは、目標インダクタ性能を実現するために50μm~600μmの範囲内の任意の高さであってもよい。さらに、追加の層またはモールディング238を使用して垂直インダクタ構造210のトレース220(1)、220(2)をモジュールグラウンド236およびモジュールシールド層240から離してもよい。
【0021】
図3Aは、本開示の他の態様による垂直インダクタ構造310の斜視図を示し、
図3Bは、ラミネート積層基板に埋め込まれた垂直インダクタ構造310の断面図を示す。垂直インダクタ構造310は、垂直インダクタ構造310が各ラミネート基板内にトレースの2つの層を含むことを除いて、
図2A~
図2Dの垂直インダクタ構造210と同様である。
【0022】
垂直インダクタ構造310は、第1のラミネート基板316内に形成された第1の部分312と、第2のラミネート基板318内に形成された第2の部分314とを含んでもよい。第1のラミネート基板316および第2のラミネート基板318の各々は、任意の数の複数の層、たとえば、2層から10層の間の数の層を有してもよく、他のラミネート基板と同じ数の層を有する必要はない。
【0023】
第1のラミネート基板316および第2のラミネート基板318はそれぞれ、垂直インダクタ構造310の一部を形成する、複数の第1のトレース320(1)および320(2)と複数の第2のトレース320(3)および320(4)とを含んでもよい。トレース320(1)、320(2)の各々はそれぞれ、それぞれの第1のラミネート基板316および第2のラミネート基板318の単一の層322(1)、322(2)に設けられてもよい。同様に、第2のトレース320(3)、320(4)の各々はそれぞれ、それぞれの第1のラミネート基板316および第2のラミネート基板318の別の単一の層322(3)、322(4)に設けられてもよい。トレース320(1)~320(4)は、銅または任意の他の導電材料で構成されてもよい。
【0024】
第1のラミネート基板316は、第1の端部326の所で第1のトレース320(1)および第2のトレース320(3)に結合された垂直カラム324(1)と、第2の端部328の所で第1のトレース320(1)および第2のトレース320(3)に結合された垂直カラム324(2)とをさらに含んでもよい。同様に、第2のラミネート基板318は、第1の端部326の所で第1のトレース320(2)および第2のトレース320(4)に結合された垂直カラム324(3)と、第2の端部328の所で第1のトレース320(2)および第2のトレース320(4)に結合された垂直カラム324(4)とを含んでもよい。垂直カラム324(1)~324(4)は、銅または任意の他の導電材料で作られてもよく、積層された金属充填ビアとキャプチャパッドとで構成されてもよい。
【0025】
垂直インダクタ構造310を完成させるために、第2のラミネート基板318が第1のラミネート基板316上に取り付けられてもよい。第1の端部326の所で、第1のラミネート基板316の垂直カラム324(1)の各々は、バンプ334によって、第2のラミネート基板318のそれぞれの垂直カラム324(3)に電気的かつ機械的に結合されてもよい。同様に、第2の端部328の所で、第1のラミネート基板316の垂直カラム324(2)の各々は、バンプ334によって、第2のラミネート基板318のそれぞれの垂直カラム324(4)に電気的かつ機械的に結合されてもよい。バンプ334は、はんだボールであってもよく、導電材料で構成されてもよい。代替として、バンプ334は、フリップチップバンプ、ボールグリッドアレイバンプ、ソルダーオンパッド(SOP)、または銅ピラーなどの電気的および機械的接続部を形成する他の種類のバンプであってもよい。
【0026】
図2A~
図2Dの垂直インダクタ構造210と同様に、垂直インダクタ構造310は、第1のラミネート基板316の底部層からの任意のモジュールグラウンド336と、モールディング338と、モジュールシールド層340とを備えてもよい。上述のように、第1のラミネート基板316は、第1のトレース320(1)の下方に追加の層を備えてモジュールグラウンド336と垂直インダクタ構造310との間に所望の距離を与えてもよい。同様に、第2のラミネート基板318は、第1のトレース320(2)の上方に追加の層を備えてもよく、ならびに/またはモールディング338の厚さを増減させて垂直インダクタ構造310とモジュールシールド層340との間の距離を調整してもよい。
【0027】
図4Aは、引き続き本開示の他の態様による垂直インダクタ構造410の斜視図を示し、
図4Bは、ラミネート積層基板に埋め込まれた垂直インダクタ構造410の断面図を示す。垂直インダクタ構造410は、多くの点で
図3Aおよび
図3Bの垂直インダクタ構造310と同様であり、簡単のために、同じ部分には同じ参照符号を使用する。2つの垂直インダクタ構造間の違いは、垂直インダクタ構造410が、各ラミネート基板においてトレースの2つの層を結合する金属充填ビア442をさらに含んでもよいことである。第1のラミネート基板316は、第1のラミネート基板316の第1のトレース320(1)を第2のトレース320(3)に結合する金属充填ビア442(1)を含んでもよい。同様に、第2のラミネート基板318は、第2のラミネート基板318の第1のトレース320(2)を第2のトレース320(4)に結合する金属充填ビア442(2)を含んでもよい。金属充填ビア442(1)、442(2)は、第1の端部326と第2の端部328との間でそれぞれの第1のトレース320(1)、320(2)およびそれぞれの第2のトレース320(3)、320(4)に結合される。金属充填ビア442(1)、442(2)はトレース320(1)~320(4)のインダクタンスを向上させる。任意の数の金属充填ビア442(1)、442(2)がトレース320(1)~320(4)に沿って設けられてもよい。たとえば、
図4Bには、第1のトレース320(1)、320(2)と第2のトレース320(3)、320(4)との間に2つの金属充填ビア442(1)、442(2)を有する垂直インダクタ構造410が示されているが、トレース320(1)~320(4)間には3つ以上の金属充填ビア442(1)、442(2)が設けられてもよい。代替として、垂直インダクタ構造410は、第1のトレース320(1)、320(2)と第2のトレース320(3)、320(4)との間に単一の金属充填ビア442(1)、442(2)を含んでもよい。金属充填ビア442(1)、442(2)は、銅または任意の他の導電材料で構成されてもよい。
【0028】
図5Aは、引き続き本開示の他の態様による垂直インダクタ構造510の斜視図を示し、
図5Bは、ラミネート積層基板に埋め込まれた垂直インダクタ構造510の断面図を示す。垂直インダクタ構造510は、
図4Aおよび
図4Bの垂直インダクタ構造410に非常に類似しており、簡単のために、ここでも同じ部分には同じ参照符号を使用する。2つの垂直インダクタ構造間の違いは、垂直インダクタ構造510が、第1のラミネート基板316の第1のトレース320(1)および第2のトレース320(3)を第2のラミネート基板318の第1のトレース320(2)および第2のトレース320(4)に結合するために追加の垂直カラムをさらに含んでもよいことである。
【0029】
第1のラミネート基板316は、垂直カラム324(1)、324(2)に加えて、垂直カラム544(1)、544(2)をさらに含んでもよい。垂直カラム544(1)は、第1の端部326に近接したトレース320(1)、320(3)に結合され、一方、垂直カラム544(2)は、第2の端部328に近接したトレース320(1)、320(3)に結合される。同様に、第2のラミネート基板318は、それぞれ、第1の端部326および第2の端部328に近接したトレース320(2)、320(4)に結合された垂直カラム544(3)、544(4)を含んでもよい。垂直カラム544(1)~544(4)は、積層された、金属充填ビア330とキャプチャパッド332で構成されてもよい。銅は、垂直カラム544(1)~544(4)の金属充填ビア330およびキャプチャパッド332を形成するために使用されることがある1つの導電性金属であるが、他の導電材料が使用されてもよい。垂直カラム544(1)~544(4)は、垂直インダクタ構造510の垂直部分における抵抗を低下させる。
【0030】
垂直インダクタ構造510を完成させるために、第2のラミネート基板318が第1のラミネート基板316上に取り付けられてもよい。第1の端部326の所で、バンプ334が、第1のラミネート基板316の垂直カラム324(1)、544(1)の各々を第2のラミネート基板318のそれぞれの垂直カラム324(3)、544(3)に電気的および機械的に結合してもよい。同様に、第2の端部328の所で、バンプ334が、第1のラミネート基板316の垂直カラム324(2)、544(2)の各々を第2のラミネート基板318のそれぞれの垂直カラム324(4)、544(4)に電気的および機械的に結合してもよい。バンプ334は、はんだボールであってもよく、導電材料で構成されてもよい。代替として、バンプ334は、フリップチップバンプ、ボールグリッドアレイバンプ、ソルダーオンパッド(SOP)、または銅ピラーなどの電気的および機械的接続部を形成する他の種類のバンプであってもよい。
【0031】
図6は、本開示の態様によるラミネート積層基板における埋め込み垂直インダクタ構造を製造する方法600を示す流れ図である。ブロック602において、垂直インダクタ構造の第1の部分を形成する第1のラミネート基板216、316を設ける。第1のラミネート基板は、トレース220(1)の単一の層を有する
図2A~
図2Dの垂直インダクタ構造210の第1のラミネート基板216であってもよい。代替として、第1のラミネート基板316は、以下のうちのいずれか、すなわち、
図3Aおよび
図3Bの垂直インダクタ構造310のようにトレース320(1)、320(3)の2つの層、
図4Aおよび
図4Bの垂直インダクタ構造410のようにトレース320(1)、320(3)の2つの層、ならびにそれぞれ、第1および第2のトレース320(1)および320(3)を結合する金属充填ビア442(1)、ならびに
図5Aおよび
図5Bの垂直インダクタ構造510のように、トレース320(1)、320(3)の2つの層、金属充填ビア442(1)、および追加の垂直カラム544(1)、544(2)を備えてもよい。第1のラミネート構造はまた、任意のモジュールグラウンド236、336を備えてもよい。
【0032】
ブロック604において、第1のラミネート基板216、316上に第2のラミネート基板218、318を設けてもよい。第2のラミネート基板218、318は、垂直インダクタ構造の第2の部分を形成する。第2のラミネート基板は、トレース220(2)の単一の層を有する
図2A~
図2Dの垂直インダクタ構造210の第2のラミネート基板218であってもよい。代替として、第2のラミネート基板318は、以下のうちのいずれか、すなわち、
図3Aおよび
図3Bの垂直インダクタ構造310のようにトレース320(2)、320(4)の2つの層、
図4Aおよび
図4Bの垂直インダクタ構造410のようにトレース320(2)、320(4)の2つの層、ならびにそれぞれ、第1および第2のトレース320(2)および320(4)を結合する金属充填ビア442(2)、ならびに
図5Aおよび
図5Bの垂直インダクタ構造510のように、トレース320(2)、320(4)の2つの層、金属充填ビア442(2)、および追加の垂直カラム544(3)、544(4)を備えてもよい。
【0033】
第2のラミネート基板218、318は、バンプ234、334を使用して第1のラミネート基板216、316に電気的および機械的に結合される。バンプ234、334は、はんだボールであってもよく、導電材料で構成されてもよい。代替として、バンプ234、334は、フリップチップバンプ、ボールグリッドアレイバンプ、ソルダーオンパッド(SOP)、または銅ピラーなどの電気的および機械的接続部を形成する他の種類のバンプであってもよい。
ブロック606において、モールディング238、338は、第1のラミネート基板216、316の上方および第2のラミネート基板218、318の周りに設けられる。モールディングはまた、第1のラミネート基板216、316と第2のラミネート基板218、318との間の隙間を充填する。モールディング238、338は、ポリマー材料で構成される。
ブロック608において、モールディング238、338の上にモジュールシールド層240、340を設けてもよい。ステップ606において、垂直インダクタ構造の磁場を圧縮しないように、モールディング338の厚さを制御して垂直インダクタ構造210、310、410、510の頂部トレース220(2)、320(3)とモジュールシールド層240、340との間に所望の分離を設けてもよい。
【0034】
図7は、本開示の一態様が有利に利用されることがある例示的ワイヤレス通信システム700を示すブロック図である。説明の目的で、
図7は、3つのリモートユニット720、730、および750と、2つの基地局740とを示す。ワイヤレス通信システムがこれよりも多くのリモートユニットおよび基地局を有してもよいことが認識されよう。リモートユニット720、730、750の各々は、開示されたインダクタを含むRFフロントエンドモジュールを有するICデバイス725A、725C、および725Bを含む。基地局、スイッチングデバイス、RFフロントエンドモジュールを含むネットワーク機器などの他のデバイスも、開示されたインダクタを含んでもよいことが認識されよう。
図7は、基地局740からリモートユニット720、730、および750への順方向リンク信号780と、リモートユニット720、730、および750から基地局740への逆方向リンク信号790とを示す。
【0035】
図7では、リモートユニット720は、モバイル電話として示され、リモートユニット730は、ポータブルコンピュータとして示され、リモートユニット750は、ワイヤレスローカルループシステム内の固定位置リモートユニットとして示される。たとえば、リモートユニット720、730、および750は、モバイルフォン、ハンドヘルドパーソナル通信システム(PCS)ユニット、携帯情報端末(PDA)などのポータブルデータユニット、GPS対応デバイス、ナビゲーションデバイス、セットトップボックス、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテインメントユニット、メーター読取り機器などの固定位置データユニット、またはデータもしくはコンピュータ命令を記憶するかもしくは取り出す、RFフロントエンドモジュールを含む通信デバイス、あるいはそれらの組合せであってもよい。
図7は本開示の態様によるリモートユニットを示すが、本開示はこれらの例示的に示されるユニットに限定されない。本開示の態様は、開示されたデバイスを含む、多くのデバイスにおいて適切に利用することができる。
【0036】
図8は、上記で開示したインダクタなど、半導体構成要素の回路設計、レイアウト設計、および論理設計のために用いられる、設計用ワークステーションを示すブロック図である。設計用ワークステーション800は、オペレーティングシステムソフトウェアと、サポートファイルと、CadenceまたはOrCADなどの設計ソフトウェアが入っているハードディスク802を含む。設計用ワークステーション800はまた、回路806の設計または、インダクタなどの半導体構成要素808の設計を容易にするために、ディスプレイ804を含む。記憶媒体810が、回路806または半導体構成要素808の設計を有形に記憶するために設けられる。回路806または半導体構成要素808の設計は、GDSIIまたはGERBERなどのファイルフォーマットにおいて記憶媒体810上に記憶することができる。記憶媒体810は、CD-ROM、DVD、ハードディスク、フラッシュメモリ、または他の適切なデバイスであり得る。さらに、設計用ワークステーション800は、記憶媒体810から入力を受け取るか、または記憶媒体810に出力を書き込むための、ドライブ装置812を含む。
【0037】
記憶媒体810上に記録されるデータは、論理回路構成、フォトリソグラフィマスク用のパターンデータ、または電子ビームリソグラフィなどの連続描画ツール用のマスクパターンデータを明示してもよい。データはさらに、論理シミュレーションに関連したタイミング図やネット回路などの論理検証データを含んでもよい。記憶媒体810上にデータを備えると、半導体ウエハを設計するためのプロセス数が減ることによって、回路806または半導体構成要素808の設計が容易になる。
【0038】
ファームウェア実施態様および/またはソフトウェア実装形態の場合、方法は、本明細書で説明した機能を実行するモジュール(たとえば、手順、関数など)を用いて実装されてもよい。本明細書で説明される方法を実装する際に、命令を有形に具現する機械可読媒体を使用することができる。たとえば、ソフトウェアコードがメモリに記憶され、プロセッサユニットによって実行され得る。メモリは、プロセッサユニット内またはプロセッサユニットの外部に実装されてよい。本明細書において使用される「メモリ」という用語は、長期メモリ、短期メモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、または他のメモリのタイプを指し、特定のタイプのメモリもしくは特定の数のメモリ、またはメモリが格納される媒体のタイプに限定すべきではない。
【0039】
機能は、ファームウェアおよび/またはソフトウェアにおいて実装される場合、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして記憶されてもよい。例には、データ構造を用いて符号化されたコンピュータ可読媒体、およびコンピュータプログラムを用いて符号化されたコンピュータ可読媒体が含まれる。コンピュータ可読媒体は、物理的なコンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスすることができる利用可能な媒体であってもよい。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気記憶デバイス、あるいは所望のプログラムコードを命令またはデータ構造の形式で記憶するために使用することができる、コンピュータによってアクセス可能な任意の他の媒体を含むことができ、本明細書で使用する場合、ディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザーディスク(登録商標)(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、およびBlu-ray(登録商標)ディスク(disc)を含み、ディスク(disk)は通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)はデータをレーザーで光学的に再生する。上記の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0040】
コンピュータ可読媒体上のストレージに加えて、命令および/またはデータは、通信装置に含まれる伝送媒体上の信号として備えられてもよい。たとえば、通信装置は、命令およびデータを表す信号を有するトランシーバを含んでもよい。命令およびデータは、1つまたは複数のプロセッサに、特許請求の範囲において概説する機能を実装させるように構成される。
【0041】
本開示およびその利点が詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の技術から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換、および改変が可能であることを理解されたい。たとえば、「上」および「下」などの関係語が、基板または電子デバイスに関して使用される。当然、基板または電子デバイスが反転される場合、上は下に、下は上になる。加えて、横向きの場合、上および下は、基板または電子デバイスの側面を指すことがある。さらに、本出願の範囲は、本明細書で説明したプロセス、機械、製造、ならびに組成物、手段、方法、およびステップの特定の構成に限定されることを意図していない。本開示から当業者が容易に諒解するように、本明細書で説明する対応する構成と実質的に同じ機能を実行するかまたは実質的にそれと同じ結果を達成する、現存するかまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップが、本開示に従って利用されてもよい。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップをそれらの範囲内に含むことを意図する。
【0042】
さらに、本明細書で本開示に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組合せとして実装されてもよいことを当業者は理解されよう。ハードウェアとソフトウェアとのこの互換性について明確に例示するために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、上で全般にそれらの機能性に関して説明された。そのような機能性が、ハードウェアとして実装されるのか、それともソフトウェアとして実装されるのかは、具体的な適用例および全体的なシステムに課される設計制約によって決まる。当業者は、説明された機能性を具体的な適用例ごとに様々な方法で実現することができるが、そのような実装形態の決定は、本開示の範囲からの逸脱を引き起こすものと解釈されるべきではない。
【0043】
本明細書の開示に関して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、本明細書で説明される機能を実行するように設計された、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートもしくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、またはそれらの任意の組合せを用いて、実装または実行されてもよい。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってもよいが、代わりに、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携した1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装されてもよい。
【0044】
本開示に関して説明した方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアにおいて直接具現化されてもよく、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールにおいて具現化されてもよく、またはその2つの組合せにおいて具現化されてもよい。ソフトウェアモジュールは、RAM、フラッシュメモリ、ROM、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で知られている任意の他の形態の記憶媒体内に存在してもよい。プロセッサが記憶媒体から情報を読み取ること、および記憶媒体に情報を書き込むことができるように、例示的な記憶媒体がプロセッサに結合される。代替として、記憶媒体は、プロセッサに一体化されてもよい。プロセッサおよび記憶媒体は、ASICの中に存在してもよい。ASICは、ユーザ端末の中に存在してもよい。代替として、プロセッサおよび記憶媒体は、個別の構成要素としてユーザ端末の中に存在してよい。
【0045】
上記の説明は、いかなる当業者も、本明細書で説明した様々な態様を実践することを可能にするように提供されている。これらの態様への様々な変更は、当業者に容易に明らかとなり、本明細書で定義される一般原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく他の変形に適用される場合がある。したがって、本開示は、本明細書で説明された例および設計に限定されるものでなく、本明細書で開示された原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【符号の説明】
【0046】
100 RF通信システム
120 ワイヤレストランシーバ
130 モデム
150 RFフロントエンドモジュール
152 電源
154 クロック
156 電力管理集積回路
160 チップセット
162、164 キャパシタ
166 インダクタ
170 WiFiモジュール
172 WLANモジュール
180 デュプレクサ
190-1 第1のデュプレクサ、第1のダイプレクサ
190-2 第2のデュプレクサ、第2のダイプレクサ
192 アンテナ
194 アンテナ
210 垂直インダクタ構造
212 第1の部分
214 第2の部分
216 第1のラミネート基板
218 第2のラミネート基板
220(1)、220(2) トレース
222(1)、222(2) 単一の層
224(1)、224(2)、224(3)、224(4) 垂直カラム
226 第1の端部
228 第2の端部
230 金属充填ビア
232 キャプチャパッド
234 バンプ
236 モジュールグラウンド
238 モールディング
240 モジュールシールド層
310 垂直インダクタ構造
312 第1の部分
314 第2の部分
316 第1のラミネート基板
318 第2のラミネート基板
320(1)、320(2) 第1のトレース
320(3)、320(4) 第2のトレース
322(1)~322(4) 単一の層
324(1)~324(4) 垂直カラム
326 第1の端部
328 第2の端部
334 バンプ
336 モジュールグラウンド
338 モールディング
340 モジュールシールド層
410 垂直インダクタ構造
442(1)、442(2) 金属充填ビア
510 垂直インダクタ構造
544(1)~544(4) 垂直カラム
600 方法
700 ワイヤレス通信システム
720、730、750 リモートユニット
725A~725C ICデバイス
740 基地局
780 順方向リンク信号
790 逆方向リンク信号
800 設計用ワークステーション
802 ハードディスク
804 ディスプレイ
806 回路
808 半導体構成要素
810 記憶媒体
812 ドライブ装置