IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスピーシー サンフラワー プラスティック コンパウンド ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許-多層シート、とりわけ封止シート 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】多層シート、とりわけ封止シート
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240226BHJP
   B32B 23/06 20060101ALI20240226BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B23/06 ZAB
B32B27/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020572404
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2019066785
(87)【国際公開番号】W WO2020002304
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】102018115236.1
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514119247
【氏名又は名称】エスピーシー サンフラワー プラスティック コンパウンド ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】SPC SUNFLOWER PLASTIC COMPOUND GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、セバスツィアン
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/063680(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/186743(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/177591(WO,A2)
【文献】特開2018-089979(JP,A)
【文献】特開2017-100718(JP,A)
【文献】国際公開第2018/197676(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーカプセルを封止するための多層シートであって、
該多層シートは、第1の層、第2の層及び第3の層から構成されること
前記第1の層は40~100μmの厚みの多孔性フィルタ紙からなること、
前記第2の層はガス不透過性フィルムから構成され、該ガス不透過性フィルムは酢酸セルロース及び/又は再生セルロースから構成されかつ片側及び/又は両側がポリ塩化ビニリデンでコーティングされている層を構成すること、
前記第2の層は10μm~30μmの範囲の厚みを有しかつ前記第1の層に続いて配されていること、及び
前記第3の層は30~100μmの厚みの多孔性フィルタ紙から構成されておりかつ前記第2の層に続いて配されていること
を特徴とする多層シート。
【請求項2】
請求項1に記載の多層シートにおいて、
多層シートは、0.2mm未満の全厚を有すること
を特徴とする多層シート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多層シートを含む、コーヒーカプセル
【請求項4】
コーヒーカプセルのための封止シートとして、請求項1又は2に記載の多層シートを使用することを特徴とする、コーヒーカプセルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層シート、とりわけ封止シートに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックシートは多くの種類のものがあり、これらのシートはしばしば包装材として使用されるか又は極めて特定の機能を有する。これについては、とりわけ、食品包装の際に、例えば、飲料カプセルのための、例えばコーヒー、紅茶、あらゆる種類の機能性飲料のための封止(密封ないしシール)材として使用される封止シート(フィルム)の機能が挙げられるが、この場合、一方では、シートはカプセルの充填内容物即ちコーヒー、紅茶、ハーブ等を気密に封止し、他方では、カプセルには夫々の装置のニードルが挿し込まれ、中空ニードルを介して液体が例えば熱湯が所定の圧力でカプセル内に注入されることも可能である。最後に、外部への機械的作用によるのではなく、シートを先が尖っていないピラミッド状突起を有するプレートに押し付け、破断伸びが超過されてシートの破断が生じるよう変形させる水圧によって、シートの破断(穿孔)を引き起こすことも可能である。
【0003】
そのように使用する場合、カプセル材料は、カプセル壁部と、カプセル底部と、カプセル底部の反対側に、開口部と、その周囲を一定に(一定の幅で)包囲するフランジ状縁部を有する。
【0004】
この場合、このカプセル開口部には、カプセルが所望の飲料パウダ即ち例えばコーヒー、紅茶等(のパウダ)が充填された後、封止シートが適用される。
【0005】
コーヒーマシーン(コーヒーメーカー)において相応の注入器がカプセル底部を貫通して挿入され、それによって、所定の温度の水が所定の圧力でカプセル内に注入されると(注入後)、切断要素又はニードル等によって封止シートは貫通(穿孔)、切開等されて、液体即ち例えばコーヒー、紅茶、機能性飲料等はカプセルから注ぎ出されることができる。
【0006】
封止シートの形成のために既に多くの提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】DE 102013216309
【文献】DE 102013208876
【文献】WO 2013/072146
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、封止シートが封止シートとしてのその機能を充足することが望まれる場合だけではなく、封止シートを含むカプセル全体が自家堆肥化性(homekompostierbar:家庭等で堆肥化可能)であること、即ち比較的短い時間で生物分解可能であることが望まれる場合に、特別な問題がある。
【0009】
例えば封止シートが例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等のような伝統的な標準プラスチックから形成される場合、シートの従ってカプセル全体のそのような自家堆肥化性は得られない。
【0010】
カプセル本体が例えばSPC-PBSのような自家堆肥化性プラスチックから形成されかつ封止シートが伝統的プラスチックから形成される場合、堆肥化の前に封止シートをカプセル本体から分離することは可能ではあろうが、これは極めて煩雑であり、技術的に殆ど意味がなく、結局のところコスト上の理由からも経済的ではない。
【0011】
本出願においてSPC-PBS又はSPC-PBSA又はSPC-PBS/PBSAのタイプの自家堆肥化性プラスチックに言及する場合、これは特許出願WO 2017/186743においても説明されかつ開示されている材料を意味する。この出願の内容は本出願の対象にされる(即ち繰り込み記載されている)ものとする。SPC-PBSないしSPC-PBSA又はSPC-PBS/PBSAはバイオコンポジットである。ここで、生物成分(SPC)殻(外皮)材料はヒマワリ種子の殻の粉砕された殻材料であり、PBSはポリブチレンサクシネート(直鎖状脂肪族ポリエステルの群の化合物)であり、PBSAはポリブチレンサクシネート・アジペートである。PBSないしPBSAはそれ自体は生物分解性材料として既知である。
【0012】
従来技術として、更に、DE 102013216309、DE 102013208876及びWO 2013/072146が参照される。
【0013】
カプセルを、更には(カプセルを)カバーするシートも、プラスチックではなく、例えばアルミニウムのような金属で製造することも既知である。薄いアルミニウムホイルの形成も既知ではあるが、カプセルに、とりわけシートに使用されるそのような材料は、自家堆肥化性についての要件を満たさない。
【0014】
最後に、「バイオ」又は「堆肥化性」と称される(宣伝される)限り、封止シートとしてさまざまな種類の紙が使用されることも既知ではある。この種の紙の欠点は、これらが良好な酸素バリア性を有しないこと、従って、カプセルの内部のコーヒーは急速に品質が低下し、最終的に酸素によって劣化されて、極めて不快なほどに風味が悪くなる。
【0015】
本発明は、とりわけ、極めて良好な酸素バリア性(作用)を有し、自家堆肥化性であり、かつ、コーヒーマシーンの既知の手段によって封止(シール)シートを良好に開く(穿孔する)ことができるよう所望の破断(破壊)挙動(特性)をも有する封止シート、とりわけ飲料用カプセルのための封止シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の視点により、コーヒーカプセルを封止するための多層シートが提供される。
該多層シートは、第1の層、第2の層及び第3の層から構成されること
前記第1の層は40~100μmの厚みの多孔性フィルタ紙からなること、
前記第2の層はガス不透過性フィルムから構成され、該ガス不透過性フィルムは酢酸セルロース及び/又は再生セルロースから構成されかつ片側及び/又は両側がポリ塩化ビニリデンでコーティングされている層を構成すること、
前記第2の層は10μm~30μmの範囲の厚みを有しかつ前記第1の層に続いて配されていること、及び
前記第3の層は30~100μmの厚みの多孔性フィルタ紙から構成されておりかつ前記第2の層に続いて配されていることを特徴とする(形態1)。
(形態2)形態1の多層シートにおいて、
該多層シートは、0.2mm未満の全厚を有することが可能である。
本発明の第2の視点により、本発明の多層シートを含む、コーヒーカプセルが提供される(形態3)。
本発明の第3の視点により、コーヒーカプセルの製造方法が提供される。該製造方法は、コーヒーカプセルのための封止シートとして、本発明の多層シートを使用することを特徴とする(形態4)。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1本発明に応じたシートの一例の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記の課題は、例えばSPC-PBSをベースとして開発されたシート(ないしフィルム)によって解決される。シートの厚みは50μm~1,500μmであり得るが、300μmのものがとりわけ有利に使用することができる。
【0019】
本発明の課題は、更に、凡そ15~50μm、好ましくは凡そ30μmのPVOH又は「Gポリマ」の中間層が使用される多層コンポジットの形でのシートによっても解決される。これによって、シートは0.4cm/m×day×barまでの酸素バリア性を達成(実現)することができる。
【0020】
多層法はカプセル壁の材料にも適用可能である。そのために、コーヒーカプセルは、バリア層がPVOH又はGポリマで形成される対流法(Konvektionverfahren)で製造される。これによって、同様に、高い酸素バリア値を達成することができる。これは本発明の好ましい一変形形態をなす。
【0021】
上記の課題を解決するための更なる一変形形態は多層シートから構成される。この多層シートは1つ又は2つのレイヤのフィルタ紙(これは原理的には紅茶フィルタのためにも使用される紙である)とプラスチックフィルム(ポリマフィルム)からなる1つのレイヤ(Lage)(層(Schicht))から構成される。フィルタ紙の層と例えばSPC-PBS、PBS、PBS/PBSA、PLA、PHA等からなるプラスチックフィルムはラミネート(貼り合わせないし積層)プロセス(Kaschierprozess)によって相互に結合される、例えば貼り合わせられる(積層化される)。
【0022】
プラスチックフィルムとしては、本発明に応じ、とりわけ、PBS/PBSAの混合物も考慮される。
【0023】
紙レイヤの利点はこれが本質的に多孔性である点にあり、プラスチックフィルムの利点はこれがガス不透過性である点にある。プラスチックフィルムが自家堆肥化性プラスチック、例えばSPC-PBS、PBS PLA等から形成される場合も(ガス不透過性という利点に)十分に当て嵌まる。
【0024】
フィルタ紙レイヤは、代替的に、1つのレイヤ/層、例えば、例えばSPC-PBS、PBS、PBSA、PBS/PBSA混合物、PLA、PHA又はこれらの種々の混合物のような、堆肥化性原料、とりわけ自家堆肥化性原料からなるプラスチックファイバ(ポリマファイバ)からなる(1つの)ウェブ層(Vliesschicht)によって形成されることも可能である。
【0025】
多層コンポジットの上記のフィルムレイヤ(複数)は、シートが、全体として、好ましくは0.2mm未満の全厚を有するよう構成可能である。
【0026】
このシートについての図面において説明される一例は図1に記載されている。
【0027】
封止(シール)シートは第1の層、第2の層及び(任意の)第3の層から形成されていること、詳しくは、第1の層が凡そ40~100μmの厚みの多孔性フィルタ紙からなることが、図において良好に見出すことができる。
【0028】
更に、第1の層には、10μm~30μmの範囲の、好ましくは13μm~25μmの範囲の、とりわけ好ましくは14μm~19μmの範囲の厚みを有するガス不透過性フィルム(第の2層)が続いて(配されて)いる。
【0029】
更に、ガス不透過性フィルム(第2の層)には、凡そ30~100μmの厚みの多孔性フィルタ紙(第3の層)が続いて(配されて)いる。
【0030】
上記の3つの層からなるこのシートは、カプセル壁部のフランジ状縁部に接着、貼着(積層)、溶着等されている(即ち、密封シールを形成している)。カプセル壁部は、この場合、カプセルの側壁を形成している。
【0031】
シートの図示の3層構成の代わりに、2層構成も可能である。この場合、多孔性フィルタ紙からなる外層又は多孔性フィルタ紙からなる内層が省略される。ガス不透過性フィルムは、十分な酸素バリア性(作用)を提供するために、常に必要とされる。
【0032】
格別に薄いないし格別に多孔性のフィルタ紙は、紙に追加のプラスチックファイバ(ポリマファイバ)がなくても封止性をより大きくする。
【0033】
12g/m未満の坪量及び凡そ40μm厚みの紙は格別に薄いといえる。格別に多孔性であるとは、紙が1500l(リットル)/m×sec超の空気透過率(通気度)を有する場合と理解される。
【0034】
本発明は、従って、封止シートと相応の飲料カプセル材料によって、自家堆肥化の解決策を提供するだけではなく、カプセル及びシート自体による当該カプセルのカバー(封止)のみによって十分な酸素バリアをもたらす解決策を提供することをも目的としている。
【0035】
例えば封止シートが紙のみから形成される既知の解決策では、十分な酸素バリア性を形成するためには、充填された飲料カプセル全体は追加の(酸素)バリアパッケージ内に格納(包装)される必要があり、このバリアパッケージは、通常、PE、アルミニウム又はPE-EVOH-PE等からなるか又はこれらを含有する。飲料カプセルを使用する前に、カプセルはバリアパッケージから取り出されなければならないが、これにより、バリアパッケージの形で追加の廃棄物が発生する。このバリアパッケージはまさに自家堆肥化性ではなく、通常のプラスチックないし廃棄物処理にかけられなければならない。
【0036】
従って、過度に多くのこの種の廃棄物を回避するために、しばしば、多数の、例えば10個のカプセルが共通の(同じ)外袋に包装される。しかしながら、最初のカプセルを取り出すために、この袋を引き裂くと、早くも他の製品(カプセル)について品質保持性が低下し始める。なぜなら、外袋内に侵入する空気は飲料カプセル充填物の内容物(成分)をも劣化、変質させるからである。
【0037】
純粋な紙シートを封止シートとして使用するとすれば、カプセルの内容物即ち例えばコーヒーは一日で傷み、最早食欲を催す製品とはいえない程に風味が落ちるであろう。
【0038】
(1つの)プラスチックフィルム(ポリマフィルム)のみを飲料カプセルのための蓋(カバー)として使用することも可能であろう。尤も、これは、既述の通り、通常はフレキシブル(しなやか)過ぎて、必要な瞬間に破ることができないであろう。適切な瞬間に破れる脆性のフィルムであっても、加圧熱湯及びこれによって生じるフィルム材料の軟化によって、その後、自動抽出機の抽出フィルタの穴を塞いでしまう。
【0039】
酢酸セルロースの代わりに再生セルロースを使用すること、又は酢酸セルロースと再生セルロースの混合物を使用することも可能である。再生セルロースとしては、既知のすべての再生セルロース材料を使用することができるが、ビスコース(レーヨン繊維)及び/又はセルロース水和物(セロファン)が好ましい。
【0040】
図示の例では、ガス不透過性フィルム(ガス不透過膜)は酢酸セルロースから形成されるか又は酢酸セルロースを含有することが好ましい。厚み10~50μmのそのような酢酸セルロースは1cm/m×24時間までの優れた酸素バリア性と20g/m×24時間の水蒸気バリア性を保証する。これは、酢酸セルロースフィルムがポリ塩化ビニリデン(PVDC)でコーティングされることによって保証される。尤も、このコーティングされたシート(フィルム)が食品容器のための封止シートとして使用される場合、これにより、ネスプレッソ(規格)互換性の飲料カプセルに使用する場合、コーヒー入れ工程(ブリューイング工程:Bruehvorgang)中に装置が詰まる。これを阻止するために、ブリューイング中にシートに作用する圧力は低減されることが望ましい。しかしながら、これにより、満足できるブリューイング結果が最早達成されない程大きく圧力が低下することは許されない。なぜなら、常に十分な圧力が、この圧力によって引き起こされるシートの破れ(裂け)及びそれによる飲料の放出を保証するために、封止シートに印加されていなければならないからである。本発明の課題は、例えば、下側紙レイヤ(層)が1,600l(リットル)/m×sec超の気孔率を有する紙(フィルタ紙)によっても解決することができる。
【0041】
この目的のための減圧器(減圧手段)としては、坪量が10~30g/mのセルロース高含有紙が適合的であることが(本発明により)見出された。この紙の気孔率はEN ISO 9237に従って凡そ80~1,600l/m×secの間で変化する。
【0042】
ここまでに多層として、例えば2層としても説明した封止シートの構造は、場合によっては、紙及びフィルムが破れる際に飲料パウダ、例えばコーヒーパウダが(中から)出てきて一緒にカップの中に入ってはならないことに関する(入り得るという)欠点を有する。これを回避するために、同様に既述の紙で形成されかつシートのまだフリーの側(カプセルと接触していない側)に載置可能な第3の層が導入された。これによって、ブリューイング工程中にカプセルからコーヒー(パウダ)が出てくる問題及びそれに伴うカプセル式自動装置(コーヒーメーカー等)の詰り(閉塞)の問題を回避することができる。
【0043】
2層ないし3層シートをカプセル充填装置に導入可能にするためには、シートの層(複数)は互いに永続的に結合している必要がある。このために、3つの個別要素-シート即ち紙-酢酸セルロースフィルム(-紙)が種々のローラ(複数)を介してラミネート装置(貼合装置)へ一緒に導かれ、120~200℃で互いに結合、例えば接着される。
【0044】
ここで、接着剤としては、酢酸セルロースフィルム(上)に既に存在しているPVdC(ポリ塩化ビニリデン)が利用される。そのようにして相互に貼り合わされて完成した封止シートは、その後、任意の幅に切断され、移送され、充填されたカプセルに適用されることができる。
【0045】
既述の通り、(封止)シートは、例えば飲料カプセル/コーヒーカプセル等のような食品容器を封止(密封)し、しかも酸素遮断(バリア)性かつ水分遮断(バリア)性に封止し、以って、その内部に含まれている食品即ち飲料パウダ、コーヒーパウダ等を長期にわたり新鮮に保存するという課題を有する。これは、とりわけコーヒーの場合、格別な課題である。なぜなら、コーヒーは少量の酸素にも反応して風味が変化/劣化するからである。カプセルでの保存期間は一年以上になり得るため、カプセルの製造時には消費(賞味)期限は特定できない。従って、カプセルと(封止)シートは極めて長期間にわたってカプセル内部、従ってそこに存在する飲料パウダ、コーヒー(パウダ)等から酸素を遠ざけておく必要があり、そのため、(封止)シートの酸素透過率は可及的に小さいことが最良であり、カプセルも勿論そうである。
【0046】
更に、(封止)シートは種々の食品について最適なブリューイング結果を保証することが望まれる。そのため、例えばカフェ・ルンゴ(110mlコーヒー)の場合、例えば凡そ40秒のブリューイング時間の間コーヒー、カプセル及び(封止)シートが協働している必要がある。この数値が明白に下回られる場合、コーヒーは明らかに抽出不足であり、味は薄く(水っぽく)なり、少ない色合いとボリュームを伴う僅かなクレマ(Crema)のみが得られる。この数値が明白に上回られる場合、コーヒーは抽出過剰になり、風味も好ましくない程に強く(濃く)(ロブスタコーヒーに類似)、クレマは非常に黒みがかる。尤も、嗜好(味)、コーヒーの種類及び調製方法(淹れ方)は極めて多様であるため、最適なコーヒーを求める要求には、ただ1つの(封止)シートでは対応することはできない。従って、本発明の課題は、コーヒー(種類、焙煎度、粒度、マシーンのブリューイング時間等)に応じて満足できる結果をもたらす多層シートのポートフォリオを提供することである。
【0047】
同時に、本発明に応じ、(封止)シートは堆肥化可能であることが望ましく、これは、既述のように、酢酸セルロースと紙によって与えられる。
【0048】
既述のように、フィルタ紙からなる少なくとも1つの層と水[ガス]不透過性フィルムはラミネート(貼り合わせないし積層)プロセスによって互いに結合される。
【0049】
この構成の封止性(密閉性)を改善するために、ラミネートプロセスにおいて紙レイヤ(紙層)とフィルムの間にプラスチックパウダ(ポリマパウダ)も分散して配することができ、その結果、このプラスチックパウダは、ラミネートプロセス後、紙レイヤとプラスチックフィルムの間に存在する。この場合に使用されるプラスチックパウダは、好ましくは、例えばSPC、PBS、PBSA、PBS/PBSA、PLA、PHA等のような堆肥化性の、とりわけ好ましくは自家堆肥化性の材料から形成される。
【0050】
パウダは、この場合、50~500μmの、とりわけ好ましくは200~400μmの範囲の粒径を有することが好ましい。
【0051】
本願において自家堆肥化性の性質に言及される場合、これについての相応の基準即ちEN13432を満たすものであると理解されるものとする。自家堆肥化性は工業的な堆肥化性とは異なる。
【0052】
後者(工業的堆肥化性)は、堆肥化のために堆肥化されるべき材料が工場で、タンクの中で、人工的(合成)雰囲気に暴露されることを前提とし、それによって堆肥化が達成される。これに対し、自家堆肥化性とは、例えば庭で、堆肥(化材料)の山(堆積状態)において進行する堆肥化と理解されるものである。
【0053】
以下に本発明の好ましい形態を付記する。
[付記1]食品包装材として、とりわけ食品容器、飲料カプセル、コーヒーカプセル等のための包装材として好適な多層シート、とりわけ封止シート。
該シートは、少なくとも、第1の層及び第2の層から構成される。
[付記2]上記のシートにおいて、該シートは、少なくとも、第1の層、第2及び第3の層ないしシートレイヤ(Folienlage)から構成される。
[付記3]上記のシートにおいて、第1の層は紙、好ましくはフィルタ紙から形成され、及び、少なくとも第2の層はガス不透過性フィルムから構成される。
[付記4]上記のシートにおいて、ガス不透過性フィルムは酢酸セルロース及び/又は再生セルロースを含有するか又は酢酸セルロース及び/又は再生セルロースから構成される。
[付記5]上記のシートにおいて、ガス不透過性フィルム層は、酢酸セルロース及び/又は再生セルロースから構成され及び/又は酢酸セルロース及び/又は再生セルロースを含有し、及び、片側及び/又は両側がポリ塩化ビニリデン等でコーティングされている層を構成する。
[付記6]上記のシートにおいて、ガス不透過性フィルムは、気密プラスチックから構成されるか又は気密プラスチックを含有する。
[付記7]上記のシートにおいて、該シートの複数の層の少なくとも1つは、生物分解性及び自家堆肥化性プラスチックである。
[付記8]上記のシートにおいて、第1の層及び/又は第3の層はポリマーウェブ(Kunststoffvlies)によって構成され、及び、以下の材料:
・PBS/PBSA
・PLA
・PHA
・S PC-PBS
・S PC-PBSA
・S PC PBS/PBSA
又はこれらの混合物から構成される。
図1