(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】インナウェザーストリップの取付構造とインナウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
B60J 10/30 20160101AFI20240226BHJP
B60J 10/75 20160101ALI20240226BHJP
B60J 10/235 20160101ALI20240226BHJP
B60J 10/22 20160101ALI20240226BHJP
【FI】
B60J10/30
B60J10/75
B60J10/235
B60J10/22
(21)【出願番号】P 2021060063
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000219705
【氏名又は名称】東海興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136113
【氏名又は名称】伊藤 寿浩
(72)【発明者】
【氏名】小川 篤志
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-177505(JP,A)
【文献】特開2004-074830(JP,A)
【文献】特開2005-254915(JP,A)
【文献】米国特許第05561003(US,A)
【文献】特開2017-144990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/30
B60J 10/75
B60J 10/235
B60J 10/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ドアのドアパネルの上縁に沿って長尺なインナウェザーストリップが取り付けられた、インナウェザーストリップの取付構造であって、
前記ドアパネルの上縁にフランジが形成され、該フランジに前記インナウェザーストリップが取り付けられており、
前記インナウェザーストリップは、車内側側壁部と、車外側側壁部と、前記車内側側壁部と前記車外側側壁部の上縁同士を連結する頂壁部とを備え、前記車内側側壁部と前記車外側側壁部との間に前記フランジを挿入した状態で前記ドアパネルに取り付けられ、
前記フランジの長手方向における一部には、車内
側に向けて突出し、前記フランジの長手方向中央側に向く当接面を備える突出部が形成されており、
前記車内側側壁部における少なくとも前記突出部に臨む部位を車内側に向けて凹ませて、前記インナウェザーストリップの長手方向と交差する方向に延びる位置決め面を形成し、
前記インナウェザーストリップは、少なくとも長手方向一端部に、射出成形により成形された射出成形部を有し、その他の部位は押出成形により成形された押出成形部となっており、
前記車内側側壁部において前記押出成形部の長手方向一端部の車内側外面に前記射出成形部が重なるように成形し、
前記押出成形部の長手方向一端面が前記位置決め面となっており、
前記突出部の当接面が前記位置決め面に当接している、インナウェザーストリップの取付構造。
【請求項2】
自動車ドアのドアパネルの上縁に沿って長尺なインナウェザーストリップが取り付けられた、インナウェザーストリップの取付構造であって、
前記ドアパネルの上縁にフランジが形成され、該フランジに前記インナウェザーストリップが取り付けられており、
前記インナウェザーストリップは、車内側側壁部と、車外側側壁部と、前記車内側側壁部と前記車外側側壁部の上縁同士を連結する頂壁部とを備え、前記車内側側壁部と前記車外側側壁部との間に前記フランジを挿入した状態で前記ドアパネルに取り付けられ、
前記フランジの長手方向における一部には、車内
側に向けて突出し、前記フランジの長手方向中央側に向く当接面を備える突出部が形成されており、
前記車内側側壁部における少なくとも前記突出部に臨む部位を車内側に向けて凹ませて、前記インナウェザーストリップの長手方向と交差する方向に延びる位置決め面を形成し、
前記インナウェザーストリップは、少なくとも長手方向一端部に、射出成形により成形された射出成形部を有し、その他の部位は押出成形により成形された押出成形部となっており、
前記車内側側壁部において前記押出成形部の長手方向一端部の車内側外面に前記射出成形部が重なるように成形し、
前記押出成形部の長手方向一端面を覆うように前記射出成形部から車外側へ向けて凸片を突出形成し、
前記凸片の長手方向一端面が前記位置決め面となっており、
前記突出部の当接面が前記位置決め面に当接している、インナウェザーストリップの取付構造。
【請求項3】
前記突出部は、前記ドアパネルのフランジの一部を切り起して形成されている、請求項1または請求項2に記載のインナウェザーストリップの取付構造。
【請求項4】
前記突出部は、前記ドアパネルのフランジを構成するインナドアパネルの一部を切り起して形成されている、請求項1または請求項2に記載のインナウェザーストリップの取付構造。
【請求項5】
自動車ドアのドアパネルの上縁に沿って形成されたフランジに取り付けられる、長尺なインナウェザーストリップであって、
車内側側壁部と、車外側側壁部と、前記車内側側壁部と前記車外側側壁部の上縁同士を連結する頂壁部とを備え、
前記車内側側壁部と前記車外側側壁部との間に、前記ドアパネルのフランジを挿入した状態で取り付けられ、
前記フランジの長手方向における一部に、車内側に向けて突出形成され、前記フランジの長手方向中央側に向く当接面を備える突出部が形成されて
おり、
前記車内側側壁部における少なくとも前記突出部に臨む部位を車内側に向けて凹ませて、前記インナウェザーストリップの長手方向と交差する方向に延びる位置決め面が形成されており、
少なくとも長手方向一端部に、射出成形により成形された射出成形部を有し、
その他の部位は押出成形により成形された押出成形部となっており、
前記車内側側壁部において前記押出成形部の長手方向一端部の車内側外面に前記射出成形部が重なるように成形し、
前記押出成形部の長手方向一端面が前記位置決め面となっており、
前記ドアパネルに取り付けた状態では、前記突出部の当接面が前記位置決め面に当接する、インナウェザーストリップ。
【請求項6】
自動車ドアのドアパネルの上縁に沿って形成されたフランジに取り付けられる、長尺なインナウェザーストリップであって、
車内側側壁部と、車外側側壁部と、前記車内側側壁部と前記車外側側壁部の上縁同士を連結する頂壁部とを備え、
前記車内側側壁部と前記車外側側壁部との間に、前記ドアパネルのフランジを挿入した状態で取り付けられ、
前記フランジの長手方向における一部に、車内側に向けて突出形成され、前記フランジの長手方向中央側に向く当接面を備える突出部が形成されて
おり、
前記車内側側壁部における少なくとも前記突出部に臨む部位を車内側に向けて凹ませて、前記インナウェザーストリップの長手方向と交差する方向に延びる位置決め面が形成されており、
少なくとも長手方向一端部に、射出成形により成形された射出成形部を有し、
その他の部位は押出成形により成形された押出成形部となっており、
前記車内側側壁部において前記押出成形部の長手方向一端部の車内側外面に前記射出成形部が重なるように成形し、
前記押出成形部の長手方向一端面を覆うように前記射出成形部から車外側へ向けて凸片を突出形成し、
前記凸片の長手方向一端面が前記位置決め面となっており、
前記ドアパネルに取り付けた状態では、前記突出部の当接面が前記位置決め面に当接する、インナウェザーストリップ。
【請求項7】
前記位置決め面の大きさは、前記突出部の当接面より大きい、請求項5または請求項6に記載のインナウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドアのドアパネルの上縁に沿って長尺なインナウェザーストリップが取り付けられたインナウェザーストリップの取付構造と、インナウェザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、例えば下記特許文献1がある。特許文献1では、ドアインナパネル2Aの上縁に内装トリム21を介してガラスインナウエザストリップ5Aが取付けられている。ガラスインナウエザストリップ5Aの後端末は、ガラスラン4の型成形接続部4B1と隙間をおいて衝き合されている(段落[0014])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ガラスインナウエザストリップ5Aをドアインナパネル2Aの上縁に取り付ける際、ガラスインナウエザストリップ5Aをドアインナパネル2Aの上方から差し込むように取り付けられる。このとき、ガラスインナウエザストリップ5A及びドアインナパネル2Aには、ガラスインナウエザストリップ5Aのドア前後方向位置を規定する位置決め構造は特に設けられていない。したがって、ガラスインナウエザストリップ5Aをガラスラン4の型成形接続部4B1と隙間をおいて衝き合せるとしても、そのドア前後方向位置は、取付作業者の感覚で微調整するしかない。これでは、ガラスインナウエザストリップ5Aの位置決め作業が煩雑であると共に、製品(車両)ごとにガラスインナウエザストリップ5Aの取り付け位置が微妙に異なる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、ドアパネルにインナウェザーストリップを取り付ける際に、インナウェザーストリップのドア前後方向位置を容易に位置決め可能なインナウェザーストリップの取付構造と、そのためのインナウェザーストリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのための手段として、本発明は次の手段を採る。
(1)自動車ドアのドアパネルの上縁に沿って長尺なインナウェザーストリップが取り付けられた、インナウェザーストリップの取付構造であって、
前記ドアパネルの上縁にフランジが形成され、該フランジに前記インナウェザーストリップが取り付けられており、
前記インナウェザーストリップは、車内側側壁部と、車外側側壁部と、前記車内側側壁部と前記車外側側壁部の上縁同士を連結する頂壁部とを備え、前記車内側側壁部と前記車外側側壁部との間に前記フランジを挿入した状態で前記ドアパネルに取り付けられ、
前記フランジの長手方向における一部には、車内側に向けて突出し、前記フランジの長手方向中央側に向く当接面を備える突出部が形成されており、
前記車内側側壁部における少なくとも前記突出部に臨む部位を車内側に向けて凹ませて、前記インナウェザーストリップの長手方向と交差する方向に延びる位置決め面を形成し、
前記インナウェザーストリップは、少なくとも長手方向一端部に、射出成形により成形された射出成形部を有し、その他の部位は押出成形により成形された押出成形部となっており、
前記車内側側壁部において前記押出成形部の長手方向一端部の車内側外面に前記射出成形部が重なるように成形し、
前記押出成形部の長手方向一端面が前記位置決め面となっており、
前記突出部の当接面が前記位置決め面に当接している、インナウェザーストリップの取付構造。
(2)自動車ドアのドアパネルの上縁に沿って長尺なインナウェザーストリップが取り付けられた、インナウェザーストリップの取付構造であって、
前記ドアパネルの上縁にフランジが形成され、該フランジに前記インナウェザーストリップが取り付けられており、
前記インナウェザーストリップは、車内側側壁部と、車外側側壁部と、前記車内側側壁部と前記車外側側壁部の上縁同士を連結する頂壁部とを備え、前記車内側側壁部と前記車外側側壁部との間に前記フランジを挿入した状態で前記ドアパネルに取り付けられ、
前記フランジの長手方向における一部には、車内側に向けて突出し、前記フランジの長手方向中央側に向く当接面を備える突出部が形成されており、
前記車内側側壁部における少なくとも前記突出部に臨む部位を車内側に向けて凹ませて、前記インナウェザーストリップの長手方向と交差する方向に延びる位置決め面を形成し、
前記インナウェザーストリップは、少なくとも長手方向一端部に、射出成形により成形された射出成形部を有し、その他の部位は押出成形により成形された押出成形部となっており、
前記車内側側壁部において前記押出成形部の長手方向一端部の車内側外面に前記射出成形部が重なるように成形し、
前記押出成形部の長手方向一端面を覆うように前記射出成形部から車外側へ向けて凸片を突出形成し、
前記凸片の長手方向一端面が前記位置決め面となっており、
前記突出部の当接面が前記位置決め面に当接している、インナウェザーストリップの取付構造。
(3)前記突出部は、前記ドアパネルのフランジの一部を切り起して形成されている、(1)または(2)に記載のインナウェザーストリップの取付構造。
(4)前記突出部は、前記ドアパネルのフランジを構成するインナドアパネルの一部を切り起して形成されている、(1)または(2)に記載のインナウェザーストリップの取付構造。
(5)自動車ドアのドアパネルの上縁に沿って形成されたフランジに取り付けられる、長尺なインナウェザーストリップであって、
車内側側壁部と、車外側側壁部と、前記車内側側壁部と前記車外側側壁部の上縁同士を連結する頂壁部とを備え、
前記車内側側壁部と前記車外側側壁部との間に、前記ドアパネルのフランジを挿入した状態で取り付けられ、
前記フランジの長手方向における一部に、車内側に向けて突出形成され、前記フランジの長手方向中央側に向く当接面を備える突出部が形成されており、
前記車内側側壁部における少なくとも前記突出部に臨む部位を車内側に向けて凹ませて、前記インナウェザーストリップの長手方向と交差する方向に延びる位置決め面が形成されており、
少なくとも長手方向一端部に、射出成形により成形された射出成形部を有し、
その他の部位は押出成形により成形された押出成形部となっており、
前記車内側側壁部において前記押出成形部の長手方向一端部の車内側外面に前記射出成形部が重なるように成形し、
前記押出成形部の長手方向一端面が前記位置決め面となっており、
前記ドアパネルに取り付けた状態では、前記突出部の当接面が前記位置決め面に当接する、インナウェザーストリップ。
(6)自動車ドアのドアパネルの上縁に沿って形成されたフランジに取り付けられる、長尺なインナウェザーストリップであって、
車内側側壁部と、車外側側壁部と、前記車内側側壁部と前記車外側側壁部の上縁同士を連結する頂壁部とを備え、
前記車内側側壁部と前記車外側側壁部との間に、前記ドアパネルのフランジを挿入した状態で取り付けられ、
前記フランジの長手方向における一部に、車内側に向けて突出形成され、前記フランジの長手方向中央側に向く当接面を備える突出部が形成されており、
前記車内側側壁部における少なくとも前記突出部に臨む部位を車内側に向けて凹ませて、前記インナウェザーストリップの長手方向と交差する方向に延びる位置決め面が形成されており、
少なくとも長手方向一端部に、射出成形により成形された射出成形部を有し、
その他の部位は押出成形により成形された押出成形部となっており、
前記車内側側壁部において前記押出成形部の長手方向一端部の車内側外面に前記射出成形部が重なるように成形し、
前記押出成形部の長手方向一端面を覆うように前記射出成形部から車外側へ向けて凸片を突出形成し、
前記凸片の長手方向一端面が前記位置決め面となっており、
前記ドアパネルに取り付けた状態では、前記突出部の当接面が前記位置決め面に当接する、インナウェザーストリップ。
(7)前記位置決め面の大きさは、前記突出部の当接面より大きい、(5)または(6)に記載のインナウェザーストリップ。
【0007】
なお、本発明における「ドアパネル」及び「フランジ」とは、インナウェザーストリップが取り付けられる部位がインナドアパネルのみで構成されている場合は、当該インナドアパネル及びその上縁のフランジがそのまま「ドアパネル」及び「フランジ」に相当するが、インナドアパネルが補強板(例えばリインフォースメント)を重ねて補強される場合は、「ドアパネル」及び「フランジ」はインナドアパネルと補強板及びそれらの上縁のフランジも含む概念である。
【0008】
また、本発明において車内側側壁部又は車外側側壁部を「凹ませる」とは、車内側側壁部又は車外側側壁部の一部に「窪んで面一となっていない部分を設ける」という意味であって、凹部ないし薄肉部を形成するだけでなく、貫通孔を形成する場合も含む概念である。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、ドアパネルの(フランジの)一部に突出部を形成すると共に、インナウェザーストリップの対応位置を凹ませて位置決め面を形成している。これにより、突出部の当接面にインナウェザーストリップの位置決め面を当接させた状態でインナウェザーストリップをドアパネルに取り付けるだけで、インナウェザーストリップのドア前後方向位置を容易に位置決めすることができる。
【0010】
ドアパネルの一部を切り起すだけであれば、インナウェザーストリップを位置決めするためにわざわざ複雑構造にする必要が無く、突出部を容易に形成することができる。更に、インナドアパネルの一部を切り起こして突出部を形成しても良い。
【0011】
インナウェザーストリップの位置決め面の大きさを突出部の当接面より大きくしておけば、位置決め面を当接面へ当接させ易い。
【0012】
インナウェザーストリップは長尺なため、基本的には押出成形により成形されるが、少なくとも長手方向一端部を射出成形部としておけば、当該長手方向一端部周辺の構造等に的確に対応した形状とすることができる。
【0013】
押出成形部の長手方向一端面を位置決め面とした場合に、押出成形部の長手方向一端部の車内側外面に射出成形部を重ねておけば、突出部が位置決め面に当接している部位を射出成形部によって覆い隠せるので、見栄えの低下を避けることができる。
【0014】
押出成形部の長手方向一端面を覆うように射出成形部から凸片を突出形成して、当該凸片の長手方向一端面を位置決め面としておけば、押出成形部の長さにバラつきがあり長手方向一端面のドア前後方向位置に多少バラつきがあったとしても、凸片は射出成形により形成されているので、押出成形部の長手方向一端面の位置のバラつきを吸収し、所定位置に位置決め面を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】インナウェザーストリップ後端側周辺の斜視図である。
【
図6】
実施形態
2における
図2のIV-IV線断面図である。
【
図7】
参考形態における
図2のIV-IV線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
図1~
図3に示すように、インナウェザーストリップ10は、自動車のドア1の窓開口部2の下縁に配設される長尺部材であって、窓開口部2内を昇降する窓板3に弾接し、ドア1を構成しているドアパネル5と窓板3との間をシールする等のために配される。詳しくは、ドアパネル5の上縁にはインナドアパネル5aを折り曲げ形成したフランジ6が立設されており、このフランジ6をインナウェザーストリップ10が上方から覆うように取り付けられている。
【0017】
なお、
図1にはドア1の一例としてフロントドアを例示しているが、インナウェザーストリップ10が取り付けられるドアとしては、リアドアも挙げられる。ウェザーストリップとしては窓板3の車外側に配設される図外のアウタウェザーストリップもあるが、本発明は車内側のインナウェザーストリップ10に関する。したがって、
図1及び
図2は、ドア1の車内側から見た図である。
図2は、ドアパネル5を覆う内装トリム4を取り外した状態の斜視図である。
図2や
図4等において、符号50はサッシュパネル、符号51は窓板3の側面に沿って上下方向に延在するランチャンホルダー、符号52はランチャンホルダー51に取り付けられ、窓板3の側縁に弾接するガラスランチャンネルである。
【0018】
インナウェザーストリップ10は、基本的には長手方向全体に亘って一様な形状の押出成形品であって、車外側側壁部11と、車内側側壁部12と、両側壁部11・12の上縁同士を連結する頂壁部13とを有する断面略逆U字状を呈する。車内側側壁部12の内面には、保持リップ14が長手方向に沿って連続形成されている。車内側側壁部12の下面には、遮蔽リップ15が長手方向に沿って連続形成されている。車外側側壁部11の外面には、シールリップ16が長手方向に沿って連続形成されている。車外側側壁部11と頂壁部13との角部には、装飾リップ17が長手方向に沿って連続形成されている。本実施形態1では、保持リップ14及びシールリップ16が上下に2本形成されているが、これに限られず、1本又は3本以上としてもよい。一方、車外側側壁部11の内面にはリップが形成されておらず、車外側側壁部11が直接フランジ6(インナドアパネル5a)に当接する。
【0019】
インナウェザーストリップ10のうち、後述する押出成形部10pは押出成形可能な材料からなるが、車外側側壁部11、車内側側壁部12、及び頂壁部13は各リップに比べて剛性の高い材料からなり、保持リップ14、遮蔽リップ15、シールリップ16、及び装飾リップ17は車外側側壁部11等に比べて軟質な材料からなる。
【0020】
車外側側壁部11、車内側側壁部12、及び頂壁部13には、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、ゴム等が使用可能である。具体的には、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系エラストマー(TPS)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリプロピレン樹脂(PP)、及びエチレンープロピレンージエン共重合体(EPDM)等が挙げられる。中でも、JIS K 7215によるデュロメーター硬さ(タイプD)がHDD50~80のものが好適に用いられる。
【0021】
保持リップ14、遮蔽リップ15、シールリップ16、及び装飾リップ17には、車外側側壁部11等よりもよりも軟らかく弾性変形可能な、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂、ゴム等が使用可能である。具体的には、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系エラストマー(TPS)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリプロピレン樹脂(PP)、及びエチレンープロピレンージエン共重合体(EPDM)等が挙げられる。中でも、JIS K 7215によるデュロメーター硬さ(タイプA)がHDA50~90のものが好適に用いられる。
【0022】
インナウェザーストリップ10は、車外側側壁部11と車内側側壁部12の間にドアパネル5のフランジ6を挿入した状態で取り付けられる。これにより、インナウェザーストリップ10がドアパネル5の上縁に沿って配設される。インナウェザーストリップ10をドアパネル5に取り付けた状態では、保持リップ14がフランジ6に弾接し、車外側側壁部11と共にフランジ6を挟持している。遮蔽リップ15はドアパネル5に弾接し、シールリップ16は窓板3と弾接する。装飾リップ17は、インナウェザーストリップ10と窓板3との隙間を隠している。
【0023】
図4,
図5に示すように、ドアパネル5のフランジ6には、その長手方向(ドア前後方向)の一部のインナドアパネル5aにスリットを入れて車内側へ切り起した突出部5cが形成されている。本実施形態1では、突出部5cはインナウェザーストリップ10の後端部に臨む部位に設けられており、ドア前後方向の中央側に向けてある。これにより、突出部5cは、ドア前後方向の中央側を向き、その面方向がドア前後方向と交差する当接面F
1を有する。
【0024】
また、本実施形態1では、インナドアパネル5aの一部にリインフォースメント5bを重ねて補強してあり、インナウェザーストリップ10の後端部では、ドアパネル5がインナドアパネル5aとリインフォースメント5bによって構成されている。
【0025】
インナウェザーストリップ10は、押出成形品を所定長さ毎に切断して得られる。但し、
図2や
図4等に示すように、後端部は車内側側壁部12及びここから延びる保持リップ14と遮蔽リップ15が所定寸法切除され、当該切除領域が射出成形により
成形された射出成形部10sで覆われている。すなわち、本実施形態1では、インナウェザーストリップ10の後端部に、射出成形により成形された射出成形部10sを有し、その他の部位は押出成形により
成形された押出
成形部10pとなっている。これにより、インナウェザーストリップ10の後端部形状を、その周辺構造に適応した形状に
成形することができる。本実施形態1では、インナウェザーストリップ10の後端部が、本発明の「長手方向一端部」に相当する。車内側側壁部12等を切除する際、インナウェザーストリップ10をフランジ6に取り付けた状態において、押出成形部10pの後端がフランジ6(インナドアパネル5a)の突出部5cの当接面F
1とドア前後方向位置が一致するように切除する。
【0026】
射出成形部10sは、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー製であり、JIS K 7215によるデュロメーター硬さ(タイプA)がHDD50~80のものが好適に用いられる。この射出成形部10sは、射出成型用金型のキャビティ内に押出成形部10pの一部(後端部)を予め装填し、インサート成形することで押出成形部10pと一体化されている。そのうえで、
図4,
図5に示すように、射出成形部10sは、その前端部が押出成形部10pの後端部外面に重なっている。詳しくは、押出成形部10pのうち、車内側側壁部12と頂壁部13の外面に重なっている。
【0027】
特に、車内側側壁部12においては、射出成形部10sが押出成形部10pの車内側外面から押出成形部10pの後端面(位置決め面F2)よりも後方に車内側押出成形部10pと平行に延びており、押出成形部10pの後端面F2から後方に所定寸法離れた位置では車外側に入り込んで押出成形部10pと平行に延びており、そのさらに後方ではドアパネル5に沿って傾斜した形状に成形され、押出成形部10pの車外側側面と射出成形部10sの車外側側面との間に段差が形成されている。これにより、車内側側壁部12においては、突出部5cに臨む部位を車内側に向けて凹ませて、インナウェザーストリップ10の長手方向と交差する方向に延びる位置決め面F2が形成されている。なお、位置決め面F2の大きさは、突出部5cの当接面F1より大きい。
【0028】
インナウェザーストリップ10をフランジ6に取り付ける際は、インナウェザーストリップ10をフランジ6の上方から被せるようにして車外側側壁部11と車内側側壁部12の間にフランジ6を挿入する。このとき、インナウェザーストリップ10を後方側へスライドさせることで、インナウェザーストリップ10の位置決め面F2がフランジ6(インナドアパネル5a)の当接面F1に当接することで、インナウェザーストリップ10のドア前後方向位置を容易に位置決めすることができる。
【0029】
(実施形態2)
図6に、本発明の実施形態2を示す。実施形態2も実施形態1と基本構成は同様であり、フランジ6(インナドアパネル5a)の突出部5cが車内側に向けて突出形成されている。また、車内側側壁部12において、押出成形部10pの後端部の車内側外面に、射出成形部10sが重なるように
成形されている。そのうえで、実施形態1と異なる点は、押出成形部10pの後端面を覆うように射出成形部10sから車外側へ向けて凸片12aを突出形成し、当該凸片12aの後端面を位置決め面F
2としている。この場合の位置決め面F
2も、突出部5cの当接面F
1より大きい。なお、
図6では位置決め面F
2と押出成形部10pの後端面の面積は同じだが、位置決め面F
2が押出成形部10pの後端面よりも大きくなるように凸片12aを形成しても良い。その他は実施形態1と同じなので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0030】
(
参考形態)
図7,
図8に、本発明の
参考形態を示す。
参考形態では、突出部5cが車外側に向けて突出形成されている。詳しくは、ドアパネル5のフランジ6を構成するリインフォースメント5bの一部を切り起して突出部5cが形成されている。この場合も、突出部5cは、ドア前後方向の中央側を向き、その面方向がドア前後方向と交差する当接面F
1を有する。そのため、インナウェザーストリップ10を取り付けた状態において、リインフォースメント5bに当接する車外側側壁部11に位置決め面F
2を形成している。具体的には、車外側側壁部11の内面を一部切除して段差を形成して車外側へ凹ませることで、インナウェザーストリップ10の長手方向と交差する位置決め面F
2を形成している。そのため、車内側側壁部12は、その一部を車内側へ凹ませる必要はない。したがって、押出成形部10pと射出成形部10sは、面一状態で連続している。その他は実施形態1と同じなので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0031】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、これに限られることは無く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、突出部5cはインナウェザーストリップ10の後端部に臨む部位のみならず、インナウェザーストリップ10の中央部や先端部に設けることもできる。これらの場合でも、当接面F1はドア前後方向の中央側を向くように形成し、位置決め面F2は当接面F1と対向して形成する。
【0032】
実施形態1において、車内側側壁部12を凹ませて位置決め面F2を形成する方法としては、射出成形部10sと押出成形部10pとを面一状態で連続させたうえで、一部を切除して薄肉化したり、内外貫通孔を穿設することもできる。参考形態において、車外側側壁部11を凹ませて位置決め面F2を形成する方法としても、車外側側壁部11の一部に内外貫通孔を穿設することもできる。
【0033】
インナドアパネル5aがリインフォースメント5bによって補強されている場合は、フランジ6を構成するリインフォースメント5bもインナドアパネル5aと共に切り起して、リインフォースメント5bとインナドアパネル5aとによって当接面F1を形成することもできる。一方、リインフォースメント5bが配されていない場合は、インナドアパネル5aの一部を切り起して突出部5cを形成する。
【0034】
位置決め面F2の大きさは、必ずしも当接面F1より大きくなくてもよい。射出成形部10sも、必ずしも形成する必要はない。
【符号の説明】
【0035】
1 ドア
3 窓板
5 ドアパネル
5a インナドアパネル
5b リインフォースメント
5c 突出部
6 フランジ
10 インナウェザーストリップ
10p 押出成形部
10s 射出成形部
11 車外側側壁部
12 車内側側壁部
13 頂壁部
14 保持リップ
15 遮蔽リップ
16 シールリップ
17 装飾リップ
F1 当接面
F2 位置決め面