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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】ガスケット
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/06 20060101AFI20240226BHJP
   F16J 15/12 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
F16J15/06 N
F16J15/12 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021510917
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 GB2019052432
(87)【国際公開番号】W WO2020044058
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】1814134.1
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】502254213
【氏名又は名称】フレキシタリック インベストメンツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FLEXITALLIC INVESTMENTS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ボンド、スティーブン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ショー、スチュアート ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ユンブラ オルベス、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ナッシュ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リー、イー
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0138718(US,A1)
【文献】特開2004-308761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/06
F16J 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を画定すると共に剛性を有するコアを含むガスケットであって、前記コアは、その上側外面及び下側外面の少なくとも一方に鋸歯状プロファイルを有し、前記コアは、前記それぞれの外面及び前記外面の反対側の内面をそれぞれ有する上部及び下部に分割され、内部絶縁層は、それが前記上部及び下部間の電気伝導を実質的に低減するように動作可能であるように前記上部及び下部間に配置され、前記内部絶縁層は、少なくとも50μmでありかつ300μm以下の平均厚さを有していると共に、フィルム又はシートの形態である、ガスケット。
【請求項2】
少なくとも1つの外側鋸歯状プロファイル表面にシール表層材層をさらに備える、請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記内部絶縁層は、20℃及び55%の湿度で少なくとも10kVmm-1 絶縁耐力を有する、請求項1又は2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記内部絶縁層は、前記上部及び下部が互いに接触しないように前記上部及び下部間に延びる、請求項1~のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項5】
少なくとも一方、典型的には両方のコア部分の前記内面は、前記ガスケットによって画定される前記開口に最も近接する、前記内部絶縁層に接触する縁部において、円形リング状ガスケットでは前記内部絶縁層に接触する半径方向に最も内側の縁部において面取りされる、請求項1~のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項6】
少なくとも1つのコア部分の前記内面は、64マイクロインチ(1.63μm)未満の表面粗さRaを有する、請求項1~のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項7】
少なくとも1つのコア部分の前記内面は、32マイクロインチ(0.81μm)未満の表面粗さRaを有する、請求項1~のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項8】
前記コア部分は金属である、請求項1~のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項9】
前記コア部分は、鋼、典型的にはステンレス鋼、ハステロイC、モネル400、合金20、インコネル625、600又はX-750、混粒ステンレス鋼、チタン及びニッケル400から選択される適切な材料で作られる、請求項1~のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項10】
前記内部絶縁層は、実質的に非圧縮性の又はほとんど圧縮しないポリマー材料を含むか又はそれからなり、及び前記シール表層材層は、圧縮可能な材料を含むか又はそれからなる、請求項に記載のガスケット。
【請求項11】
使用前の未圧縮時の前記シール表層材層の厚さは、少なくとも2の比によって前記内部絶縁層の厚さを超え、及び使用時に圧縮されたときの前記シール表層材層の厚さ対前記内部絶縁層の厚さの比は、少なくとも1.5である、請求項2又は10に記載のガスケット。
【請求項12】
圧縮リングであって、前記コアによって画定された前記開口に配置され、且つ第2の開口をその中に画定する圧縮リングを含み、前記圧縮リングは、前記第2の開口を画定する内縁と、前記圧縮リングが前記コア部分によって確実に保持されるように前記コア部分に固定されるように設計された外側領域とを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項13】
前記圧縮リングの厚さは、前記剛性を有するコアと任意のシール表層材層とを合わせたものよりも大きく、それにより、前記圧縮リングは、前記コアとその任意のシール表層材層とを合わせたものよりも大きい程度まで圧縮するように動作可能である、請求項12に記載のガスケット。
【請求項14】
前記圧縮リングは、2つの軸方向に変位された部分と、電荷漏れを防ぐためのそれらの間の誘電的により強い材料とに形成される、請求項12又は13に記載のガスケット。
【請求項15】
前記圧縮リングは、より大きい誘電抵抗を提供するためにガラス強化エポキシ樹脂で作られる、請求項14に記載のガスケット。
【請求項16】
前記上部の前記内面及び前記下部の前記内面は、前記内部絶縁層に当接する当接領域をそれぞれ含み、前記内部絶縁層のプロファイルは、前記上部及び下部の前記内面の前記当接領域のプロファイルと実質的に一致するか、又は前記当接領域のプロファイルを超えて延びるように構成される、請求項1~15のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項17】
外部部材を含み、前記外部部材は、前記コアの径方向外側に配置され、且つ前記コアに当接する、請求項1~16のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項18】
前記上部及び前記下部の少なくとも一方は、1つ又は複数の凹部を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のガスケット。
【請求項19】
前記圧縮リングは、前記上部及び前記下部の少なくとも一方の1つ又は複数の凹部に受け入れられるように構成された1つ又は複数の突起を含む、請求項12に記載のガスケット。
【請求項20】
前記外部部材は、前記上部及び前記下部の少なくとも一方の1つ又は複数の凹部に受け入れられるように構成された1つ又は複数の突起を含む、請求項17に記載のガスケット。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載のガスケットを製造する方法であって、
上部及び下部接合部分を有するコアであって、各部分は、開口を有し、及び各部分は、外面及び内面を有し、少なくとも1つの部分は、前記コア部分の前記外面において前記開口の周りの同心鋸歯状部のセットを有する、コアを提供すること、
前記コア部分間に内部絶縁層を配置すること、及び
前記上部及び下部の前記内面が、対向する構成であり、且つ前記内部絶縁層によって直接接触することを防止されるように、前記内部絶縁層を前記上部及び下部間に固定することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケットに関し、特にフランジジョイントシールガスケットに関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0002】
シール用途にガスケットを使用することは、多くの産業で一般的である。ガスケットのよく知られている用途は、容易な組み立て及び分解のために且つより良いシール性のために合わせ面が一般にフランジジョイントの形態である隣接する管又は導管の2つの端部間などの2つの合わせ面間の流体シールを提供するためである。フランジジョイントシールガスケットは、一般に、シールされる導管に一致するサイズの開口を画定する圧縮可能リングと、フランジ合わせ面の寸法に一致する本体とを含む。
【0003】
高圧シール用途では、1つの好ましいガスケットは、カンプロファイル(Kammprofile)ガスケットとして知られている。これは、効果的に一方又は両方の接合面上に一連の同心円状の鋸歯状部、すなわち蛇腹様の輪郭を有するガスケットである。輪郭は、一連の同心円状の鋸歯状部により、通常、金属である中実コアに重ね合わされる。シーリングプロセス中、上に横たわる(一般に表層材とよばれる)圧縮可能リングのより軟質なシール材料が鋸歯状部間の間隙に押し込まれ、応力集中をシール表面及びシール性のわずかな不完全性をフランジ上に誘導することによってシール性を改善する。鋸歯状部は、表層材のシール材料の横の移動も最小化する一方、金属コアは、剛性及び吹出し抵抗性を提供する。このような輪郭は、ガスケットに高圧用途向けに追加の強度を付加する。用途に依存して、表層材は、例えば、膨張黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のもの又は雲母若しくは薄片化バーミキュライトなどの層状ケイ酸塩材料のものであり得る。
【0004】
カンプロファイルガスケット中の表層材は、圧縮可能であること、良好なシール性を提供すること及びクリープに耐えることが要求される。ガスケットの意図された用途に応じて、表層材は、1種以上の良好な耐薬品性、良好な耐高温性(150℃超など)及び良好な誘電特性を有することが要求される場合がある。
【0005】
しかしながら、本発明者らの見解では、要求され得る全ての特徴を有する表層材のための材料を見つけることは、可能であると証明されなかった。例えば、優れた耐熱性を有する材料は、適切な耐薬品性も良好な誘電特性も有さない場合がある。例は、黒鉛及び薄片化バーミキュライトである。これらの一般的に使用される材料は、優れた耐熱性及び耐薬品性を有するが、誘電特性が劣り、すなわち、黒鉛は、本質的に導電体であり、薄片化バーミキュライトは、水を含み、水がその絶縁抵抗を低下させる。これらの特性は、高い誘電特性を必要とするガスケットでのこれらの材料の使用を制限する。例えば、電流がパイプラインのフランジジョイントを通過できないようにジョイントを電気的に絶縁する場合又は陰極防食が採用される場合、特定の問題が生じる。これは、パイプラインにエチレンオキシド又は精製炭化水素などの可燃性又は爆発性の物質が含まれている場合に特に当てはまる。
【0006】
一部の用途では、フランジジョイントの耐火性が重要であるため、ガスケットは、この点で発生するリスクを防ぐ必要がある。本明細書における耐火性という用語は、API規格6FB、典型的には非曲げ試験、オンショア又はオープンオフショアに準拠していると見なすことができる。
【0007】
表層材材料として使用される別の材料は、ポリテトラフルオロエチレンである。これは、良好な誘電特性及び良好な耐薬品性を有するが、その耐熱性及び機械的特性に関して妥協が存在し、それが特定の用途におけるその使用を妨げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、既存のカンプロファイルガスケットの欠点のいくつか又は全てが克服されるカンプロファイルガスケットを提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、開口を画定する剛性コアを含むガスケットが提供され、コアは、その上側外面及び下側外面の少なくとも一方に鋸歯状プロファイルを有し、コアは、前記それぞれの外面及びまた外面の反対側の内面をそれぞれ有する上部及び下部に分割され、ガスケットは、少なくとも1つの外側鋸歯状プロファイル表面に任意選択的なシール表層材をさらに含み、内部絶縁層は、それが前記上部及び下部間の電気伝導を実質的に低減するように動作可能であるように前記上部及び下部間に配置される。
【0010】
内部絶縁層は、フィルム又はシートの形態であり得る。通常、この層は、上部及び下部間に広がり、それらの2つの部分が互いに接触しないようにする。
【0011】
典型的には、内部絶縁層は、20℃及び55%の相対湿度で少なくとも10、より典型的には少なくとも15、最も典型的には少なくとも20又は少なくとも25kVmm-1の、層の厚さにわたるkVmm-1単位での印加電位差に耐えることができる。好ましくは、内部層は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどのポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン及びガラス充填ポリテトラフルオロエチレンなどの非導電性フィルムである。
【0012】
好ましくは、内部層は、少なくとも一方、典型的には両方のコア部分の近位(開口に対して)縁の領域まで延びる。好ましくは、内部層は、少なくとも一方、任意選択的に両方のコア部分の遠位(開口に対して)縁の領域まで延びる。好ましくは、内部層は、開口に対して少なくとも一方のコア部分の近位縁の領域から遠位縁の領域まで延びる。
【0013】
好ましくは、少なくとも一方、典型的には両方のコア部分の内面は、ガスケットによって画定される開口に最も近接する、内部層に接触する縁部において、リング状ガスケットでは内部層に接触する半径方向に最も内側の縁部において面取りされる。縁部の面取りにより、使用中に縁部が内部層に切り込む可能性が低減される。さらに、面取りにより、2つのコア部分が縁部で接触することが防止される。任意選択的に、少なくとも一方、典型的には両方のコア部分の内面は、内部層に接触する半径方向に最も外側の縁部で面取りされる。半径方向に最も外側の縁部の面取りにより、使用中に縁部が内部層に切り込む可能性が低減される。さらに、面取りにより、2つのコア部分が半径方向に最も外側の縁部で接触することが防止される。
【0014】
上部及び下部の内面は、内部層と接触していることが理解されるであろう。好ましくは、少なくとも一方、典型的には両方のコア部分の内面は、64マイクロインチ(1.63μm)未満、より典型的には32マイクロインチ(0.81μm)未満のRa表面粗さを有する内面などの表面仕上げを有する。Raは、ASME B46.1によって定義され得る。
【0015】
これらの値未満のRa表面粗さを提供することは、上部及び下部の内面の粗さのために絶縁層が損傷されない、例えば切断されないことを意味する。
【0016】
シール性を改善するために、コア部分の内面のRa表面粗さは、少なくとも16マイクロインチ(0.41μm)、より典型的には少なくとも20マイクロインチ(0.51μm)、最も典型的には少なくとも24マイクロインチ(0.61μm)であるべきであることが見出された。したがって、コア部分の内面のRa表面粗さは、16~64マイクロインチ(0.41μm~1.63μm)、より典型的には20~48マイクロインチ(0.51μm~1.22μm)、最も典型的には24~32’マイクロインチ(0.61μm~0.81μm)の範囲であり得る。これらの値でRa表面粗さを提供することは、上部、下部及び絶縁層間に十分なシールが存在することを意味する。換言すると、Ra表面粗さが少なくとも16マイクロインチ(0.41μm)である場合、ガスケット内で発生する可能性のある漏れ経路の数が減少する。上部及び下部間に絶縁層を提供することにより、少なくとも16マイクロインチ(0.41μm)のRa表面粗さが存在する場合に漏れ経路がシールされる。
【0017】
Raは、「評価長さ内に記録された、平均線からのプロファイル高さ偏差の絶対値の算術平均」として定義することができる。これは、以下のように表すことができる。
【数1】
式中、
L=評価長さ
Z(x)=プロファイル高さ関数
である。
【0018】
換言すると、Raは、表面の山及び谷の個々の測定値のセットの平均であり、表面粗さの測定値を提供する。
【0019】
好ましくは、コア部分は、適切な材料で作られる。コア部分に適切な材料は、鋼、典型的にはステンレス鋼、ハステロイC、モネル400、合金20、インコネル625、600又はX-750、混粒ステンレス鋼、チタン及びニッケル400から選択され得る。より典型的なステンレス鋼は、316ステンレス鋼、316L、304、310、321、347及び430から選択され得る。
【0020】
適切には、内部層は、予め形成されたフィルムを含む。
【0021】
代替の実施形態では、流動性コーティングをコア部分の一方の1つの内面又は両方のコア部分の両方の内面に塗布することができる。流動性コーティングは、乾燥又は硬化して内部層を形成し得る。
【0022】
内部層は、その機能を果たすのに十分な厚さを有することが重要である。驚くべきことに、本発明者らは、比較的薄い内部層がガスケット、特に耐火ガスケットの全体的な特性に大きい違いをもたらし得ることを見出した。本発明者らは、内部層が適切に少なくとも50μmの平均厚さを有し、好ましくは少なくとも75μmの平均厚さを有する本発明のそのような実施形態において良好な性能の向上が達成され得ることを見出した。
【0023】
ガスケットの全体的な特性に最大可能な違いをもたらすために、内部層を厚くするべきであることが予想されていた可能性がある。しかしながら、本発明者らは、驚くべきことに、厚い内部層が耐火用途におけるカンプロファイルガスケットの機能に悪影響を及ぼし得ることを見出した。本発明者らは、そのような実施形態における内部層が300μm以下、好ましくは200μm以下の平均厚さを適切に有することを見出した。
【0024】
したがって、本発明者らは、耐火ガスケットのための内部層が50~200μmの範囲の平均厚さを有すると好ましく、75~200μmの範囲の平均厚さを有すると最も好ましいことを見出した。
【0025】
他の用途の場合、内部層は、上記の範囲の下限のいずれかを含む、上で定義された厚さのいずれかに従い得るが、さらに最大0.5mm以上又は最大1mm以上の厚さであり得る。
【0026】
適切には、内部層は、接着剤組成物によって上部及び下部の一方又は両方の内面に固定される。接触接着剤、典型的にはアクリル接触接着剤などの適切な接着剤組成物である。適切な接着剤は、3M77スプレー接着剤である。代替的又は追加的に、内部層は、適切な非導電性の留め具又は固定具によって内面に固定され得る。適切な固定具は、ポリマー材料又は複合材料などの非導電性材料から作られたボルトである。
【0027】
好ましくは、ガスケットは、耐火ガスケットである。典型的には、耐火ガスケットは、上記のようにAPI規格6FB、非曲げ試験、オンショア又はオープンオフショアに準拠している。
【0028】
好ましくは、内部層を使用することから所望の利益を達成するために、内部層は、通常であれば使用中に交わるであろう上部及び下部の内面を完全に覆う。例えば、コア部分が鋼である場合、ガスケットが誘電抵抗の利点を有するために、絶縁している内部層が鋼を完全に覆う必要がある。適切には、内部層は、コア部分の内面と同じフットプリントを有するか、又はコア部分のフットプリントを越えて延びるフットプリントを有する。
【0029】
適切な内部層は、実質的に非圧縮性の又はほとんど圧縮しない材料である。適切には、それは、そのバルク構造により許された非常に限定された範囲まで圧縮可能な未膨張熱可塑性材料である。
【0030】
適切には、任意選択的なシール表層材は、圧縮可能な材料であり、好ましくは特にシート又は繊維質の形態であり得る。使用時、ガスケットが圧縮荷重下で管又は導管の対向する表面間に配置されるとき、表層材層は、圧縮される。典型的には、使用時の表層材層の圧縮は、30~90%の使用時圧縮((初期-最終)/初期厚さ×100)範囲内、より典型的には40~80%、最も典型的には50~70%の圧縮である。いずれの場合も、表層材層は、典型的には30%を超える圧縮、より典型的には40%を超える圧縮、最も典型的には50%を超える使用時圧縮を有する。適切な圧縮試験は、室温 - 25℃で実施されるASTM F36-15である。
【0031】
適切には、使用前の未圧縮時の表層材層の平均厚さは、少なくとも0.2mm、好ましくは少なくとも0.4mm及び少なくとも0.5mmであり、いくつかの実施形態では少なくとも0.6mmである。
【0032】
適切には、使用前の未圧縮時の表層材層の平均厚さは、最大4mm、好ましくは最大2mm、最も好ましくは最大1mmである。
【0033】
好適には、使用前の未圧縮時の表層材層の厚さは、内部層の厚さを超える。好適には、使用前の未圧縮時の表層材層の厚さ対内部層の厚さの比は、少なくとも2、好ましくは少なくとも3、最も好ましくは少なくとも4である。
【0034】
適切には、使用時に圧縮されたときの表層材層の厚さは、内部層の厚さを超える。好適には、使用時に圧縮されたときの表層材層の厚さ対内部層の厚さの比は、少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2である。
【0035】
鋸歯状プロファイルと反対の表層材層の側と接触する第3の層を設けることは、本発明の実施において除外されない。第3の層が設けられる場合、それは、表層材層及び/又は内部層にないか又は不十分である機械的、化学的又は電気的特性を導入又は増強し得る。第3の層が使用される場合、それは、内部層と同一であるか又は異なり得る。異なる場合、それは、好ましくは、概ね内部層に関して上述したとおりである。しかしながら、好ましい実施形態において、表層材は、内部層及び表層材層のみで構成される。
【0036】
しかしながら、2つの内部層が存在するように、各内面は、その上に内層を有することが可能である。これらの内部層は、同じであるか又は異なり得る。好ましくは、それらは、同じ材料である。一般に、1つの内部層のみが利用される。
【0037】
良好な機械的特性並びに良好な耐熱性及び耐薬品性と並行して良好な誘電特性を有するカンプロファイルガスケットを得るには、特別な困難がある。ここで説明される本発明の好ましい実施形態は、この特別の困難に対処し、したがって誘電特性の改善を達成する一方、他の特性を維持することに重点を置く。しかしながら、これは、本発明の例であること及び表層材層の材料中の不足している特性を導入又は増強するために内部層を使用するという原理がより一般的な適用可能性の原理であることの説明であることを理解されたい。
【0038】
いくつかの既存のガスケットでは、単層表層材は、黒鉛であり、黒鉛は、優れた機械的特性並びに耐熱性及び耐薬品性を有するが、導電体であり、誘電特性が極めて劣る。これにより、既存のガスケットは、フランジジョイントの電気的絶縁を必要とするパイプラインのためのガスケットとして又は陰極保護システムのガスケットとして不適切となる。これは、特に、パイプラインがエチレンオキシド又は精製炭化水素などの可燃性又は爆発性の物質を含むときにあてはまる。他の既存のガスケットでは、単層表層材は、層状ケイ酸塩製品、例えば薄片化バーミキュライトを含有するものである。しかしながら、薄片化バーミキュライトは、その構造中の水のために劣った誘電特性も有する。
【0039】
本発明によれば、内部層は、高い絶縁耐力と、任意選択的に高い耐熱性(150℃超など)及び高い耐薬品性の1つとを有する熱可塑性又は熱硬化性ポリマーから好ましくは形成される。好ましいポリマーは、少なくとも高い絶縁耐力及び高い耐熱性(150℃超など)又は高い耐薬品性及び高い絶縁耐力を有する。特に好ましいポリマーは、高い耐熱性(150℃超など)、高い耐薬品性及び高い絶縁耐力の3つ全てを有する。
【0040】
適切には、内部層は、好ましくは、以下のクラス:
ポリアリールエーテルケトン(PAEK)(その特に好ましい例は、ポリエーテルエーテルケトン、PEEKである)
ポリイミド(PI)
フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)
ポリエーテルイミド(PEI)
ポリエーテルスルホン(PES)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー(E-CTFE)
エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)
ポリカーボネート(PC)
ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
から選択される熱可塑性ポリマーを含むか又はそれからなる。
【0041】
代わりに、内部層は、好ましくは、以下のクラス:
シリコーンポリマー
ポリイミド(熱硬化性)
ビス-マレイミド(BMI)
エポキシポリマー
フタロニトリル樹脂
から選択される熱硬化性ポリマーを含むか又はそれからなり得る。
【0042】
記載される熱可塑性及び熱硬化性ポリマーは、未充填で使用され得るか、又は無機包含物、例えばガラス繊維若しくはガラス微小球で充填され得る。現在入手可能な製品には、ポリカーボネート-30重量%ガラス繊維フィルム及びポリテトラフルオロエチレン-25重量%ガラス繊維フィルムが含まれる。
【0043】
以下のポリマーは、良好な耐熱性を良好な耐薬品性及び誘電特性などの他の適切な特性に加えて有し、内部層での使用に好ましい:
ポリアリールエーテルケトン(PAEK)(その特に好ましい例は、ポリエーテルエーテルケトン、PEEKである)
ポリイミド(PI)
フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)
ポリエーテルイミド(PEI)
ポリエーテルスルホン(PES)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)。
【0044】
内部層としての使用に特に好ましいポリマーは、ポリイミド(PI)及びポリアリールエーテルケトン(PAEK)であり、特にポリエーテルエーテルケトン、PEEKである。これらの材料は、優れた誘電特性、耐熱性及び耐薬品性並びに厳しい使用条件中にカンプロファイルの2つの部分間に配置されたときに層の一体性を保持するのに適した機械的特性を有する。ポリアリールエーテルケトンは、主鎖アリール(一般にフェニル)、ケトン及びエーテル基の存在を特徴とするポリマーのクラスである。それらは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)及びポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)を含むポリマーのいくつかの重要なサブクラスを含む。
【0045】
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、本発明で使用するのに特に好ましいクラスのポリアリールエーテルケトンであり、以下の構造によって一般に例を示され得る。
【化1】
【0046】
ポリエーテルエーテルケトンのフィルムは、Victrexから調達することができる。
【0047】
他のポリアリールエーテル化合物は、以下の構造を有する。
【0048】
ポリエーテルケトン(PEK)は、以下の構造を有する。
【化2】
【0049】
ポリエーテルケトンケトン(PEKK)は、以下の構造を有する。
【化3】
【0050】
ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)は、以下の構造を有する。
【化4】
【0051】
ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)は、以下の構造を有する。
【化5】
【0052】
ポリイミドは、二無水物とジアミンとの反応又は二無水物とジイソシアネートとの反応によって形成され、以下の一般構造を有する。
【化6】
【0053】
ポリイミドは、熱可塑性又は熱硬化性であり得る。
【0054】
ポリイミドは、商標ユーピレックス(UPILEX)(宇部興産のRTM)の下でフィルムの形態で入手可能である。ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの重縮合反応の生成物であり、以下の構造を有すると考えられるユーピレックス(UPILEX)。
【化7】
【0055】
ポリイミドは、デュポンからカプトンの商標で入手することもできる。フッ素化エチレンプロピレンコポリマーは、ヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマーである。それらは、デュポンから調達することができる。
【0056】
ポリエーテルイミドは、主鎖エーテル基を有するアリーレンポリマーである。それらは、Sabicから調達することができる。
【0057】
ポリエーテルスルホンは、サブユニット-O-アリール-SO-アリールによって特徴付けられる。それらは、Goodfellow Corp.から調達することができる。
【0058】
ポリテトラフルオロエチレンは、テトラフルオロエチレンのポリマーであり、デュポンから調達することができる。
【0059】
エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマーは、部分フッ素化、部分塩素化脂肪族コポリマーである。それらは、ソルベイから調達することができる。
【0060】
エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマーは、ポリテトラフルオロエチレンよりも低いフッ素化度を有する脂肪族フッ素化ポリマーである。それらは、デュポンから調達することができる。
【0061】
ポリカーボネートは、ポリマー主鎖中にカーボネート基(-O-(C=O)-O-)を含むアリーレンポリマーである。それらは、Tekraから調達することができる。
【0062】
ポリクロロトリフルオロエチレンは、脂肪族塩素化及びフッ素化ポリマーである。それらは、Allied Signalから調達することができる。
【0063】
ポリフッ化ビニリデンは、脂肪族フッ素化ポリマーである。それは、ソルベイから調達することができる。シリコーンポリマーは、分岐ポリシロキサン材料であり、Tego Chemieから調達することができる。
【0064】
ビス-マレイミド(BMI)は、ジアミンと無水マレイン酸との縮合反応によって製造することができる。それらは、熱硬化性ポリマーの比較的若いクラスである。BMIポリマーのさらなる情報は、ウェブページ:https://polycomp.mse.iastate.edu/files/2012/01/6-Bismaleimide-Resins.pdfで見ることができる。
【0065】
エポキシポリマーは、エポキシ含有前駆体、例えばビスフェノールA又はFが硬化剤、典型的には酸、酸無水物、フェノール、アルコール、チオール又は(最も一般的に)及びアミンによって硬化されるポリマーであり、エポキシポリマーは、Alchemie Ltd.から調達することができる。
【0066】
フタロニトリル樹脂は、ビスフタロニトリルモノマー及び芳香族ポリアミンを含む種々の硬化剤から誘導される。さらなる情報は、ウェブページ:http://fire.nist.gov/bfrlpubs/fire96/PDF/f96127.pdfで見ることができるウェブページ:フタロニトリル樹脂/複合材の燃焼性能、S.B.Sastri、J.P.Armistead,T.M.Keller及びU.Sorathiaで見ることができる。
【0067】
本発明での使用に好ましいポリマーは、ASTM F152-95(2009)の方法に従って引張り特性を試験した場合、少なくとも50%、好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも100%、最も好ましくは200%の破断値までの伸びを有する。伸張する内部層の能力は、加えられた応力に応答し、ガスケットアセンブリの良好な結果を達成するのに重要であると考えられる。
【0068】
本発明によれば、表層材層は、劣った誘電特性を有し、これまで高い絶縁強度を必要とする特定の適用領域から除外されたであろう材料を含む広範囲の材料から選択され得る。材料の選択は、最終用途によって決定される。必要に応じて、耐火材料を利用することができる。好ましくは、表層材層の材料は、優れた耐熱性を有する。表層材層に好ましい材料は、層状ケイ酸塩、セラミック及び黒鉛を含む無機材料である。表層材層に特に好ましい材料には、層状ケイ酸塩及び黒鉛が含まれる。本明細書における層状ケイ酸塩という用語は、雲母及びバーミキュライトを含む。そのような材料の混合物を使用することができる。本明細書におけるバーミキュライトという用語は、黒雲母、ハイドロバイオタイト(hydrobiotite)及び金雲母(phlogopite)(この分野での名称は、論争中である)と呼ばれることもある材料を含むことに留意されたい。雲母は、それらの良好な誘電特性のために本発明において有用である。
【0069】
本発明での使用に好ましいバーミキュライトは、薄片化バーミキュライトであるか又はそれを含み、薄片化バーミキュライトは、化学的に薄片化されたバーミキュライト(CEV)若しくは熱的に薄片化されたバーミキュライト(TEV)又はCEVとTEVとの混合物であり得る。それは、他の鉱物と混合され得る。したがって、他の好ましい材料は、他の鉱物、例えばタルク、雲母及び黒鉛の1つ又は複数との混合物中の薄片化バーミキュライト(CEV若しくはTEV又はCEVとTEVとの混合物を含み得る)を含む。
【0070】
表層材層に特に好ましい材料には、薄片化バーミキュライト、好ましくは化学的に薄片化されたバーミキュライト及び膨張黒鉛が含まれ、バーミキュライトの場合、任意選択的にさらなる鉱物材料と混合される。
【0071】
したがって、表層材層の材料の誘電特性が劣っていた場合でも、ガスケットは、内部層に適切な材料を選択すると、全体的に良好な誘電特性をなおも有することができる。
【0072】
1つの好ましい実施形態では、内部層は、ポリイミドを含むか又はそれからなり、表層材層は、薄片化バーミキュライト、好ましくは化学的に薄片化されたバーミキュライトを含むか又はそれからなる。
【0073】
1つの好ましい実施形態では、内部層は、ポリエーテルエーテルケトンを含むか又はそれからなり、表層材層は、薄片化バーミキュライト、好ましくは化学的に薄片化されたバーミキュライトを含むか又はそれからなる。
【0074】
1つの好ましい実施形態では、内部層は、ポリイミドを含むか又はそれからなり、表層材層は、膨張黒鉛を含むか又はそれからなる。
【0075】
1つの好ましい実施形態において、内部層は、ポリエーテルエーテルケトンを含むか又はそれからなり、表層材層は、膨張黒鉛を含むか又はそれからなる。
【0076】
別の実施形態では、内部層は、ポリテトラフルオロエチレンを含むか又はそれからなり、表層材層は、薄片化バーミキュライト、好ましくは化学的に薄片化されたバーミキュライトを含むか又はそれからなる。
【0077】
別の実施形態では、内部層は、ポリテトラフルオロエチレンを含むか又はそれからなり、表層材層は、膨張黒鉛を含むか又はそれからなる。
【0078】
ポリテトラフルオロエチレンは、良好な誘電特性及び良好な耐薬品性を有するが、その耐熱性及び機械的特性に関して妥協点があり、それにより特定の厳密な用途でのその使用が阻まれることが上で言及された。この記述は、表層材材料としてのポリテトラフルオロエチレンの使用に関連した。ポリテトラフルオロエチレンは、本発明において、表層材の内部層の材料として依然として価値があり得る。ポリテトラフルオロエチレンの内部層は、表層材の絶縁抵抗及び耐薬品性を向上させることができる。
【0079】
上記及び請求項1に示されているように、本発明は、剛性コアであって、開口を例えば上部及び下部鋸歯状プロファイル表面とともに画定する剛性コアを有するガスケットのタイプ、すなわちカンプロファイルガスケットで実施することができる。以下の段落は、本発明での使用に特に適したカンプロファイルガスケットを記載する。
【0080】
本発明で使用することができるカンプロファイルガスケットの分割コアは、任意の設計のものであり得る。例えば、それは、表層材のリング形状に実質的に一致するリング形状であり得るか;それは、同様に上部及び下部に分割され得るか、又は上部又は下部の一方のみと一体であり得、鋸歯状部及び表層材を越えて遠位に(開口に対して)延びる一体型の外側ガイド部分を有することができるか;それは、同様に上部と下部とに分割することができ、鋸歯状部及び表層材を越えて遠位に延びる、別個の緩くフィットする外側ガイド部分を有することができるか;それは、鋸歯状部及び表層材を越えて遠位又は近位に延びる突起又はラグを有することができるか;又はそれは、鋸歯状コア部分及び表層材の近位縁から近位方向に延びる圧縮部分、典型的にはシール特性を改善するために近位に配置された密に円周方向にフィットする圧縮リングを有することができる。近位に配置された圧縮リングは、コア及び表層材よりも厚い場合がある。この種の適切な内部圧縮リングは、国際公開第2011/077148号パンフレットに記載されている。コア部分に適した材料は、鋼、典型的にはステンレス鋼、ハステロイC、モネル400、合金20、インコネル625、600又はX-750、混粒ステンレス鋼、チタン及びニッケル400から選択され得る。より典型的なステンレス鋼は、316L、304、310、321、347及び430から選択され得る。
【0081】
上記の外側ガイド部分は、コアの上部及び下部の両方に接触し得、使用中に絶縁体として破損しないように、誘電的に強い材料の絶縁体から作ることができる。適切な断熱材料は、上記のものなどの熱硬化性ポリマー、例えばガラス強化エポキシ樹脂であり得る。外側ガイド部分は、必ずしも全体にわたって連続している必要はなく、材料の使用を減らすために、その周囲で間隔を空けてコア部分に接合されたスポーク構造などの他の構造を有し得る。
【0082】
一般に、本発明のガスケットは、リング形状であり、典型的には中央に配置された開口を画定する。したがって、圧縮リングがこの開口に配置されるとき、それは、一般にリング形状でもあり、圧縮リングの外周に沿ったコア部分の近位周縁との密にフィットする係合を提供し得るように寸法が決められる。圧縮リングは、一般に、第2の開口を有するため、所定の位置に配置されると、コアによって画定される開口ではなく、この第2の開口がガスケットの開口になる。
【0083】
本発明のガスケットは、ガスケットの種類にかかわらず、100KPa~43,000KPa、より典型的には10,000KPa~20,000KPaの標準作動圧力下で作動することが要求され得る。
【0084】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様のガスケットを製造する方法が提供され、方法は、
- 上部及び下部接合部分を有するコアであって、各部分は、開口を有し、及び各部分は、外面及び内面を有し、少なくとも1つの部分は、前記コア部分の外面において開口の周りの同心鋸歯状部のセットを有する、コアを提供すること、
任意選択的に、少なくとも1つのコア部分の外面に表層材層を配置すること、
コア部分間に内部絶縁層を配置すること、及び
上部及び下部の内面が、対向する構成であり、且つ内部層によって直接接触することを防止されるように、内部層を上部及び下部間に固定すること
を含む。
【0085】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様のガスケットの、少なくとも120℃の温度で使用され得、且つ内部層の厚さにわたって印加される少なくとも15kVの電位差の適用時に絶縁破壊抵抗性を提供するシールガスケットとしての使用が提供される。いくつかの例では、シールガスケットは、少なくとも150℃の温度で使され得、且つ好ましくは内部層の厚さにわたって印加される少なくとも15kVの電位差の適用時に絶縁破壊抵抗性を提供する。
【0086】
本発明の第4の態様によれば、少なくとも200℃の温度で使用され得、且つ内部層の厚さにわたって印加される少なくとも25kVの電位差の適用時に絶縁破壊抵抗性を提供するシールガスケットの使用が提供される。一例では、シールガスケットは、少なくとも250℃の温度で使用され得、且つ内部層の厚さにわたって印加される少なくとも25kVの電位差の適用時に絶縁破壊抵抗性を提供する。
【0087】
適切には、第3及び第4の態様は、良好な機械的特性及び耐薬品性も有するシールガスケットを使用する。
【0088】
絶縁破壊は、例えば、ASTM D149-09を使用して、絶縁破壊電圧又は破壊電圧として測定することができる。適切な試験は、以下のように実施することもできる。内部層の誘電材料の有効性は、ガスケットの反対表面に印加されたアノード及びカソードを使用する実験室試験によって調べることができる。商用電力周波数(60Hz)の交流電圧が試験ガスケットに印加された。試験下のガスケットは、25mm四方であり、デシケータに入れる前に100℃のオーブンに1時間入れて調整した。アノード及びカソード電極は、0.8mmの半径に丸められたエッジを有する直径6.4mmの対向円筒ロッドからなる。電極は、ステンレス鋼製であった。アノード及びカソードは、高い電位差を与えるために試験ガスケットの両方の表面に適用された。電位差は、絶縁破壊が生じるまで増大された。試験の開始電圧は、2.5kVであり、合計で10秒間保持した。破損が検出されなかった場合、電圧を0.5kV上げ、再び10秒間保持した。試験片の絶縁破損が起こるまでこれを繰り返した。破損は、ほとんどの場合、適切な電圧を印加してから1~2秒以内に起こった。絶縁破壊すると、絶縁抵抗が大幅に低減されるか又は完全に失われ、大電流が流れることが許容された。この大電流は、それぞれ回路に接続された音響装置及びライトによって通知された。試験は、適切な温度で実施することができる。反対の情報がない場合、kV値は、20℃の温度及び55%の相対湿度に関連すると仮定することができる。
【0089】
第1の内部層は、少なくとも上部及び下部のそれぞれの内面が通常であれば互いに接触するであろう場所で上部及び下部のそれぞれの内面と概ね接触する。
【0090】
任意選択的に、1つ又は複数のさらなる内部層は、上部及び下部間に提供され得る。さらなる内部層は、第1の又は他の内部層と隣接する場合もあれば又はしない場合もある。さらなる内部層は、第1の内部層と重なり得るか、又は他の層にわたって部分的にのみ延び得る。
【0091】
さらなる内部層は、望ましい特性を高め得るものであり、例えば耐火性を高めるための内部絶縁層の上面のグラファイト又は薄片化バーミキュライトなどのバーミキュライトの部分的なリングであり得る。
【0092】
ガスケットは、上部又は下部の一方に形成されている、さらなる内部層のための保持機能を有し得る。保持機能は、さらなる内部層を保持するために上部又は下部の一方に形成され得る。
【0093】
保持機能は、さらなる内部層に対してシールを提供するために鋸歯状部又はリップシールを含み得る。さらに、第1の内部層は、これにより、シール材料、鋸歯状部又は上部及び/若しくは下部から保護され得る。有利には、そのような配置は、高圧シール用途に役立つ可能性がある。
【0094】
上記のように、本明細書の実施形態のいずれかにおいて、コア部分は、国際公開第2011/077148号パンフレットに記載されているものなど、近位に配置された圧縮リングも収容し得る。本出願の目的のために、圧縮リングは、その中に第2の開口を画定する変形可能な材料を含むと言うことができ、リングは、第2の開口を画定する近位内縁と、圧縮リングがコア部分によって確実に保持されるようにコア部分に固定されるように設計された外側遠位領域とを含む。圧縮リングの厚さは、典型的には、剛性コアとそのシール表層材とを合わせた厚さよりも大きいため、使用中、圧縮リングは、コア及び任意選択的な表層材よりも大きい程度まで圧縮する。本発明によれば、圧縮リングは、その間に誘電的に強い材料を配置することによって電荷漏れを防ぐために、2つの軸方向に変位された部分にも形成され得る。一実施形態では、圧縮リングは、より大きい誘電抵抗を提供するために、前記2つの部分間において、ガラス強化エポキシ樹脂など、誘電的により強い材料の熱硬化性ポリマーを有する。圧縮リングは、接着剤、摩擦嵌め、相互に重なり合う部分若しくは機械的固定又はそれらの任意の組み合わせによってコア部分に固定することができる。
【0095】
圧縮リング部分に適した材料には、PTFEが含まれ、このPTFEは、好ましくは、外部部分のシール表層材よりも柔らかく、より好ましくは高圧縮性の二軸配向マイクロセルラーPTFEベースの材料である。軸方向に変位された圧縮リング部分間に配置された誘電抵抗性材料は、一般に、その任意選択的な表層材と合わせたコアの厚さよりも薄くなる。
【0096】
上記のように、圧縮リングは、好ましくは、コア表層材よりも圧縮性が高いため、使用中、その内部材料は、より圧縮性が低い外部部分が許す範囲でのみ圧縮される。
【0097】
本明細書の任意の実施形態において、より厚い圧縮リングは、その面がコア及びその上面及び下面の両方の任意選択的な表層材を越えて、より典型的には概ね均等な程度まで軸方向に延びるように配置される。
【0098】
一実施形態において、内面及び外面をそれぞれ含む第1の部分及び第2の部分を含む剛性コアであって、第1の部分の外面及び第2の部分の外面の少なくとも一方は、鋸歯状プロファイルを含む、剛性コアと;第1の部分と第2の部分との間の電気伝導を実質的に低減するための、第1の部分の内面と第2の部分の内面との間の絶縁層とを含むガスケットが提供される。第1の部分及び第2の部分は上記の上部及び下部の均等物であり得、上記の特徴のすべては、この実施形態にも適用可能である。
【0099】
これらの特徴を含むガスケットの提供は、ガスケットのコアの第1の部分と第2の部分との間の電気絶縁を改善する。したがって、ガスケットのコアの一方の部分が電荷又は電流にさらされる場合、絶縁層は、他方の部分への電荷又は電流の移動を防止又は低減し得る。したがって、ガスケットは、ガスケットにわたる電気絶縁が重要な状況において使用することができる。
【0100】
ガスケットは、少なくとも1つの外側鋸歯状プロファイル表面にシール表層材を含み得る。表層材層は、上で他の実施形態に関連して記載してきた。
【0101】
第1の部分の内面及び第2の部分の内面は、絶縁層に当接する当接領域をそれぞれ含み得、絶縁層のプロファイルは、第1の部分及び第2の部分の内面の当接領域のプロファイルと実質的に一致する。内面の当接領域及び絶縁層に一致するプロファイルを提供することは、絶縁層が、第1の部分と、第2の部分の内面の当接領域の範囲との間に限定されることを意味する。したがって、ガスケットのコアを越えて延びる余分な絶縁層は、存在しない。
【0102】
第1の部分の内面及び第2の部分の内面は、絶縁層に当接する当接領域をそれぞれ含み得、絶縁層のプロファイルは、第1の部分及び第2の部分の内面の当接領域のプロファイルを越えて延びるように構成される。絶縁層は、第1の部分及び第2の部分の内面の当接領域のプロファイルを越えて延びるため、絶縁層は、内部部材又は外部部材などの隣接する要素間にも保持され得る。したがって、絶縁層は、例えば、内部部材及び外部部材の位置決め溝間で使用中により確実に保持され得る。
【0103】
ガスケットは、外部部材を含み得、外部部材は、コアの外側に配置され、且つコアに当接する。一例では、外部部材は、エポキシ樹脂などの非導電性材料で作られる。
【0104】
外部部材は、エポキシ樹脂で作ることができ、したがってガスケットにさらなる電気絶縁を提供する。
【0105】
ガスケットは、内部部材を含み得、内部部材は、コア内に配置され、且つコアに当接する。内部部材は、開口を画定し、使用中、開口からコアを分離し得る。したがって、内部部材は、コアと、ガスケットを通過する流体との間に断熱を提供し得る。いくつかの例では、内部部材は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの非導電性材料で作られる。一例では、内部部材は、ガラス充填エポキシ材料で作られる。上述のように、非導電性の内部部材及び非導電性の外部部材を提供することにより、ガスケットにわたる電気アークが大幅に減少する。
【0106】
コアは、圧入を介して内部部材及び/又は外部部材に結合され得る。圧入により、コアが内部部材と外部部材との間に確実に保持されることが保証される。
【0107】
一例では、内部部材は、内部リングであり、及び外部部材は、外部リングである。
【0108】
コア、内部部材及び外部部材は、コアを外部部材及び内部部材に結合するための相補的な形状であり得る。外部部材は、第1の外部部材及び第2の外部部材を含み得、第1の外部部材及び第2の外部部材は、内面及び外面をそれぞれ含む。上記のように、絶縁層は、第1の外部部材と第2の外部部材との間で結合されるように延び得る。
【0109】
第1の外部部材の内面の少なくとも一部は、第2の外部部材の内面の少なくとも一部に当接するように構成され得る。
【0110】
内部部材は、第1の内部部材及び第2の内部部材を含み得、第1の内部部材及び第2の内部部材は、内面及び外面をそれぞれ含む。上記のように、絶縁層は、第1の外部部材と第2の外部部材との間で結合されるように延び得る。
【0111】
第1の内部部材の内面の少なくとも一部は、第2の内部部材の内面の少なくとも一部に当接するように構成され得る。
【0112】
特に、内部部材が内部リングであり、コアが実質的にリング形状であり、外部部材が外部リングである実施形態では、内部部材、コア及び外部部材を一緒に組み立てることは、困難である可能性がある。外部部材を第1の外部部材と第2の外部部材とに分割し、内部部材を第1の内部部材と第2の内部部材とに分割することにより、組み立ての難しさが軽減される。例えば、第1の外部部材の一部は、それらが互いに係合するようにコアの一部と重なり得る。さらに、第1の内部部材の一部は、それらが互いに係合するようにコアの一部と重なり得る。さらに、後述するように、分割は、1つ又は複数のラグの提供に対応し得る。
【0113】
第1の部分及び第2の部分の少なくとも一方は、1つ又は複数のラグを含み得る。使用中、ラグは、第1の部分と第2の部分との当接面積を増加させ、それによってガスケットのコアの第1の部分と第2の部分との間で荷重を分散させ、それによって絶縁層への荷重を低減する。ラグを設けることにより、絶縁層にかかる応力も減少し、これにより絶縁層の局所的なクリープが減少する。
【0114】
1つ又は複数のラグ又は突起は、第1の部分及び第2の部分の少なくとも一方の内面に向かって配置され得、それにより、第1の部分及び第2の部分の少なくとも一方の内面のプロファイルは、第1の部分及び第2の部分の少なくとも一方の外面のプロファイルを越えて延びる。
【0115】
内部部材及び外部部材の少なくとも一方は、1つ又は複数のラグを受け入れるように構成された1つ又は複数の凹部を含み得る。
【0116】
凹部及びラグ又は突起を設けることは、コアと内部部材及び外部部材との結合を支援し、組み立て又は使用中にそれらが分離する可能性を低減する。
【0117】
第1の部分及び第2の部分の少なくとも一方は、1つ又は複数の凹部を含み得る。
【0118】
内部部材及び外部部材の少なくとも一方は、第1の部分及び第2の部分の少なくとも一方の1つ又は複数の凹部に受け入れられるように構成された1つ又は複数の突起を含み得る。
【0119】
次に、添付の図面を参照して例として本発明をさらに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1a】本発明によるガスケットの平面図を示す。
図1b図1aのガスケットの斜視図を示す。
図1c図1aの線A-Aに沿った断面を示す。
図1d】層状構成を明らかにするリングの断面の拡大図を示す。
図1e】説明の目的で層が分離された図1dの図を示す。
図2a】本発明による別のガスケットの平面図を示す。
図2b図2aのガスケットの斜視図を示す。
図2c図2aの線A-Aに沿った断面を示す。
図2d】層状構成を明らかにするリングの断面の拡大図を示す。
図2e】説明の目的で層が分離された図2dの図を示す。
図3a】本発明によるさらに別のガスケットの平面図を示す。
図3b図3aのガスケットの斜視図を示す。
図3c図3aの線A-Aに沿った断面を示す。
図3d】層状構成を明らかにするリングの断面の拡大図を示す。
図3e】説明のために層が分離された図3dの図を示す。
図4a】本発明によるさらに別のガスケットの平面図を示す。
図4b図4aのガスケットの斜視図を示す。
図4c図4aの線A-Aに沿った断面を示す。
図4d】層状構成を明らかにするリングの断面の拡大図を示す。
図4e】説明の目的で層が分離された図4dの図を示す。
図5】本発明によるさらに別のガスケットの断面図を示す。
図6】本発明によるさらに別のガスケットの断面図を示す。
図7a図4の実施形態の変形形態の断面図を示す。
図7b図7aの実施形態の変形形態を示す。
図8a】本発明によるガスケットの断面図を示す。
図8b図8aのガスケットの分解図を示す。
図9a】本発明によるガスケットの断面図を示す。
図9b図9aのガスケットの分解図を示す。
図10a】本発明によるガスケットの断面図を示す。
図10b】本発明によるガスケットの断面図を示す。
図11】シェルMESC3.3.2漏洩排出試験の結果を示す。
図12】内面の様々な表面粗さRA値の漏れ率比較の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図1a~図1eは、上側及び下側表層材12、14を有する「カンプロファイル」ガスケットのリング形状のスチールコア2を示す。スチールコアは、大きい中央開口4と、上面及び下面とを有する。図1d及び図1eを参照すると、上面6aには、開口及びリングの外周間のほぼ中間で終端する、開口4の周りの一連の同心の「カンプロファイル」鋸歯状部8と、鋸歯状部分を円周方向に取り囲む外側非鋸歯状部9a、9bとが形成されていることが分かる。図1a及び図1bでは見えない下面6bは、上面6aと同一である。同じく図1a~図1eに示されているのは、上側及び下側表層材12、14である。これらは、シール材料の同一のリングであり、コア2の上面6a及び下面6bにそれぞれ形成された同心鋸歯状部上に係合するように設計されている。
【0122】
外側の非鋸歯状部分には、固定手段(図示せず)を収容するために4つの等円周間隔の開口10a、10b、10c、10dが形成されている。固定手段は、プラスチックボルトなどの誘電的により強い及び/又は電気的に絶縁性の材料から製造することもできる。
【0123】
図1d及び図1eにおいてより明確に見られるように、スチールコア2は、軸方向に分離された上部2a及び下部2bなど、第1の部分2a及び第2の部分2bに分割されている。絶縁フィルム40は、分離された部分2a、2b間に配置される。フィルム40は、リング2の形状と一致し、それと円周方向に整列されて、ガスケットが組み立てられるとき、分離された上部2a及び下部2b間にバリアを提供する。
【0124】
フィルム層の材料は、本明細書に示されるいずれかの材料のものであり得る。例えば、それは、ポリイミドであり得る。
【0125】
ガスケットの組み立て時、第1及び第2の表層材層12、14は、カンプロファイル鋸歯状部8と直接接触し、スプレー接着剤によってそれに付着される。同様に、フィルム層40は、上部及び下部の内側表層面42、44と直接接触する。さらに記載される本発明の好ましい実施形態では、フィルム層の平均厚さは、25μm、50μm、75μm、125μm及び200μmであり、表層材層の平均厚さは、0.5mmである。さらに記載される本発明の好ましい実施形態では、フィルム層に使用される材料は、ポリエーテルエーテルケトン及びポリイミドポリマーである。表層材層に使用される材料は、膨張黒鉛又は薄片化バーミキュライトである。
【0126】
このような表面材材料は、圧縮可能であり、ガスケットの組み立て及び取り付け時、通常、元の厚さの40%~80%に圧縮される。圧縮には、カンプロファイルのトラフの充填及びガスケットの面全体への表面材材料の広がりが伴う。
【0127】
上で述べたように、膨張黒鉛及び薄片化バーミキュライトは、ガスケットの表面材に使用するのに多くの優れた特性、特に優れた機械的特性、高い耐熱性及び非常に優れた耐薬品性を有する。それらは、良好な誘電特性を有さない。しかしながら、フィルム層のポリエーテルエーテルケトン及びポリイミドポリマーは、優れた誘電特性を有する。したがって、本明細書に記載の軸方向に分離されたガスケットは、万能の優れた特性を有することができる。
【0128】
図1a~図1eから明らかなように、一度結合された外側の非鋸歯状部分は、表層材層を有する内側鋸歯状部分ほどの厚さを有さない。したがって、実際には、ガスケットがその間に配置されているフランジパイプ又は他の接続導管の合わせ面は、外側の非鋸歯状部分ではなく、内側の表層材材料のみと接触する可能性がある。
【0129】
図2a~図2eを参照すると、代替の実施形態が示されている。図2a~図2eは、軸方向に分離されたリング状の2部型カンプロファイルコア102も示す。しかしながら、上部102a及び下部102bは、鋸歯状部分108a及び108bに関してのみ一致し、非鋸歯状部分109a及び109bに関して異なる構造を有する。鋸歯状部分108aを円周方向に取り囲む上部非鋸歯状部分109aは、図1a~図1eのものと同様の構造であるが、その範囲が半径方向により制限されている。下部102bは、いくつかのさらなる特徴を有する。第1に、非鋸歯状部分109bは、上部109aの円周方向の限界を超えて半径方向に延在し、その外周縁126に形成された円周方向の半径方向凹部124内にさらに外側のガイドリング130を収容する。下部102bは、一体の外周フランジ部分122を有し、円周方向凹部124は、このフランジ122の外縁126に形成される。下部102bに排他的に配置されることによる外側リング130は、導電性又は非導電性材料で作ることができ、ガスケットを所定の位置に配置して操作するように一般的に使用され、通常、ボルトサークルでの取り付けを支援するガイドリングとして機能するようにする。
【0130】
外周フランジ122は、下部102bと一体的に形成され、上部102aの円形凹部を表す。凹部の中央に位置する場合、上部(102a)及びその表層材112の半径方向内縁は、下部(102b)及びその表層材114の半径方向内縁と整列される一方、上部の外縁150及びフランジ122の内縁152は、円周方向の軸方向チャネル154を画定するために互いに離間される。リング状のフィルム140は、上部及び下部(102a及び102b)間で凹部に配置され、フランジ122の内縁152から開口115まで延びる。
【0131】
図2a~図2eに示される実施形態は、いくつかのさらなる有利な特徴も有する。上部及び下部の両方は、開口部の向かい合う面に面取りされた縁部(156、158)を有する。フィルム140の半径方向に最も内側の縁部は、それが面取りされた縁部と交わるところで終端する。このように、2つの部分が一緒に固定されている場合、フィルムが切断される可能性が低くなる。さらに、上部及び下部(102a、102b)の両方は、それら部分が一緒に固定されると、開口115を直接取り囲む円周方向の半径方向凹部164を形成するように互いに向き合うL字形断面の内周溝(160、162)を有する。
【0132】
上部102aは、その外周の内面に一致する外側の面取りされた縁部(166)も有し、縁部がフィルム(140)に食い込むことを防ぐ。
【0133】
図3a~図3eは、図2a~図2eの実施形態の変形形態を示す。この実施形態では、フランジ222は、下部202bと一体ではなく、別個の金属リングである。他の点では、この実施形態は、図2a~図2eについて記載したとおりである。
【0134】
図4a~図4eは、前の実施形態のさらに別の変形形態を示す。この実施形態は、図2a~図2e及び図3a~図3eに記載されたものと同様であるが、別個のフランジも下部と一体のフランジも含まない。代わりに、外側ガイドリング430は、下部402bの半径よりも小さい開口を有し、その半径方向の内縁でその内面に軸方向の切り欠きを含み、それにより、それは、下部402bに確実に配置され得る。下部402bの外周縁部470は、外側リング430の下面にある切り欠き半径方向内縁472に隣接し、それと密接に当接係合する。溶接を使用して、それらの部分を一緒に固定することができる。
【0135】
図5は、図2a~図2eの実施形態の変形形態を示す。Oリングシール556は、軸方向の円周方向凹部554に配置され、Cリングの形態の圧力通電リップシール565(ばね(図示せず)を含む)が、開口515を囲む半径方向の円周方向凹部564に提供される。図5では、内側対向面542は、グラファイトリングであるが、同様にバーミキュライト複合体であり得るさらなるリング形状の内側層590を収容するようにさらに修正されている。グラファイトリング590は、内側層540上に配置され、それと接触している。さらなる内側層590の半径方向の広がりは、一次内側層540の半径方向の広がりの約1/5であり、リング590の内側開口は、一次内側層540よりも大きい一方、直径は、一次内側層よりも小さいため、さらなる内側層は、開口縁部と、一次内側層540の円周方向縁部との間に位置する。前述のように、内側面542は、修正されている。2つの主な修正がある。鋸歯状表面592は、使用中にこれがさらなる内側層590と接触できるように、さらなる内側層590の真上において、それと同一の広がりで対向面542上に形成される。さらに、内側対向面542は、専ら外周縁部から最も外側の内向き鋸歯状部592まで下面544及び内側層540と平行であり、次にそれが開口を囲む半径方向の円周方向凹部564と交わるまで内側層(540、590)から離れるように角度が付けられていることが分かる。これにより、さらなる内側層590が使用中に開口に向かって内側に広がることが可能になる。
【0136】
図6は、図5の変形形態を示し、ここでは、Cリングは、開口を囲む半径方向の円周方向凹部に位置するOリング665に置き換えられている。
【0137】
図7a及び図7bは、図4の実施形態の変形形態の断面図を示す。図7aでは、外側ガイドリング730は、ガラス強化エポキシ樹脂で作られている。このような材料は、誘電的に強く、導電率が低い。したがって、下部カンプロファイル部分702bの外周面770及び上部カンプロファイル部分702aの外周面750の両方は、外側ガイドリング730の半径方向内縁に沿って、それぞれ外側リング730の下面の切り欠き半径方向内縁772及び外側リング730の上部の半径方向最内縁774に沿って外側ガイドリング730に当接し、それぞれの密接な当接係合を実現する。接着剤を使用して、外側ガイドリング730をカンプロファイル部分702a、702bに固定することができるが、図7a~図7bでは、外側ガイドリング730を適所に固定するマッチングねじが下部702bの半径方向に重なり合う部分のねじ付き軸方向開口を貫く形の機械的固定が使用される。さらに、外側ガイドリングのカンプロファイル部分への摩擦嵌合又は圧入も想定される。図7aでは、上部カンプロファイル部分702aの外周面750は、その上部外縁がその下部外縁の半径内に位置するように鋭角で延びる。図7aでは、外側ガイドリング730の厚さは、下部702a)及びb)の合計厚さ未満であるが、この変形形態が可能であり、外側ガイドリングは、組み合わされた下部及び上部の厚さと均等な厚さを有し得る。
【0138】
図7bにおいて、図7aの修正形態は、圧縮リング880を含み、圧縮リングは、その中に第2の開口882を画定する変形可能な材料を含む。圧縮リングは、第2の開口を画定する半径方向内縁884と、圧縮リングがコア部分によって確実に保持されるように、その半径方向内周縁に沿ってコア部分802a、802bに固定されるように設計された半径方向外周領域886とを有する。圧縮リングの厚さは、コア部分の厚さよりも大きく、それにより、使用中、圧縮リングは、コア部分よりも大きい程度まで変形する。圧縮リングは、発泡PTFEで作られる。圧縮リング880は、2つの均等に軸方向に変位された部分890、892にも形成され、その間に耐誘電性材料で作られたほぼ隣接するリング894を配置することによって電荷漏れを防止する。隣接するリングは、誘電抵抗を提供するためにガラス強化エポキシ樹脂で作られる。圧縮リング880は、接着剤及び相互に重なり合うフランジによってコア部分802a、802bに固定される。下部802bは、半径方向内側に延びるフランジ810を有し、その結果、下部圧縮リング部分892は、その下に延在して、その外周縁でコア802の鋸歯状プロファイルの内周縁に当接し、隣接するリング894は、上部コア部分802aに当接する前にコアフランジ810上に延びる相補的な半径方向外向きに延びるフランジ812を有する。
【0139】
図8aは、本発明によるガスケット900の断面図を示し、図8bは、図8aに示されるガスケット900の例の構成要素の分解図を示す。この例では、ガスケット900は、第1の部分902a及び第2の部分902bを含む剛性コア902を備える。いくつかの例では、第1の部分902a及び第2の部分902bは、それぞれ上部及び下部であるが、他の例では、第1の部分902a及び第2の部分902bは、横並びであり得る。剛性コア902は、リング形状であり得る。
【0140】
この例では、第1の部分902a及び第2の部分902bは、内面942、944及び外面908a、908bをそれぞれ含む。換言すると、第1の部分902aは、内面942及び外面908aを有し、第2の部分902bは、内面944及び外面908bを有する。
【0141】
第1の部分902aの外面908a及び第2の部分902bの外面908bの少なくとも一方は、鋸歯状プロファイルを含む。
【0142】
コア902aは、使用中に鋸歯状プロファイルと係合するように構成された上側及び下側表層材912、914を有する「カンプロファイル」ガスケットの一部であり得る。ガスケット900の組み立て時、第1及び第2の表層材層912、914は、外面908の鋸歯状プロファイルと直接接触し、スプレー接着剤によってそれに付着することができる。表層材層の平均厚さは、約0.5mmであり得る。
【0143】
ガスケット900は、第1の部分902aの内面942と第2の部分902bの内面944との間に絶縁層940も含み、第1の部分902aと第2の部分902との間の電気伝導を実質的に低減する。換言すると、絶縁層940は、第1の部分902aと第2の部分902bとの間に電気絶縁を提供して、第1の部分902aと第2の部分902bとの間を通過する電流又は電荷の量を低減する。絶縁層940は、コア902の形状と一致し、それと整列されて、ガスケット900が組み立てられるとき、分離された第1の部分902aと第2の部分902bとの間にバリアを提供し得る。
【0144】
絶縁層940は、第1及び第2の部分902a、902bの内面942、944と直接接触する。いくつかの例では、絶縁層940の平均厚さは、約50μm~300μmである。例えば、フィルム層の平均厚さは、50μm、75μm、125μm、200μm又は300μmであり得る。50μm~300μmの厚さの絶縁層940を提供することにより、時間の経過とともに絶縁層940のクリープが減少する。クリープは、絶縁層940の有効性を損なう可能性があるため、絶縁層に50μm~300μmの厚さを提供することにより、ガスケット900のシール性が改善される。
【0145】
いくつかの例では、絶縁層940は、フィルム又はシートであり得る。絶縁層940の材料は、本明細書に示される任意の材料のものであり得る。例えば、それは、ポリエーテルエーテルケトン及びポリイミドポリマーで作られ得る。さらに、絶縁層940は、上記のような絶縁耐力を有し得る。絶縁層940のポリエーテルエーテルケトン及びポリイミドポリマーは、優れた誘電特性を有する。したがって、本明細書に記載の軸方向に分離されたガスケット900は、万能の優れた特性を有することができる。
【0146】
第1の部分902aの内面942及び第2の部分902bの内面944は、絶縁層940に当接する当接領域をそれぞれ含み得る。図8a及び図8bに示される例では、第1の部分902aの内面942のすべてが当接領域である。なぜなら、この例では、第1の部分902aの内面942のすべては、使用中、絶縁層940に当接するように構成されているからである。第2の部分902bの内面944のすべても同じ理由で当接領域である。いくつかの例では、絶縁層940のプロファイル又は形状は、第1の部分902a及び第2の部分902bの内面942、944の当接領域のプロファイル又は形状と実質的に一致するように構成される。内面及び絶縁層の当接領域に一致するプロファイルを提供することは、絶縁層940が第1の部分902a及び第2の部分902bの内面942、944の当接領域の範囲間に制限されることを意味する。したがって、ガスケット900のコア902を越えて延びる余分な絶縁層940は、存在しない。
【0147】
図8a及び図8bに示される例では、絶縁層940のプロファイル又は形状は、第1及び第2の部分902a、902bの当接領域を越えて延びる。これにより、絶縁層940を、第1の部分902a及び第2の部分902bに加えて、追加の構成要素間で保持することが可能になる。例えば、絶縁層940は、以下でより詳細に記載されるように、外部部材968と内部部材970との間にも保持され得る。
【0148】
図8a及び図8bに示されるように、ガスケット900は、外部部材968を含み得る。外部部材968は、コア902の外側に配置され、使用中にコア902に当接するように構成される。
【0149】
コアに当接する外部部材968の提供は、使用中、コア902への応力が減少することを意味する。なぜなら、ガスケット900にわたる当接構成要素のより大きい表面積があるからである。外部部材968は、エポキシ樹脂で作ることができ、したがってガスケット900内にさらなる電気絶縁を提供する。外部部材968は、ガスケット900を中心に置き、コア902がガスケット900内に正しく配置されることを確実にするために使用される。
【0150】
ガスケット900は、コア902内に配置され、コア902に当接する内部部材970も含み得る。
【0151】
内部部材970は、開口(図8aの右側の方に存在する)を画定し得、使用中、コア902を開口から分離し得る。したがって、内部部材970は、コア902と、ガスケット900を通過する流体との間に断熱を提供し得る。例では、内部部材970は、PTFE、ポリテトラフルオロエチレンなどの非導電性材料で作られる。いくつかの例では、内部部材970は、ガラス充填エポキシで作られる。上述のように、非導電性内部部材970及び非導電性外部部材968を提供することは、ガスケット900にわたる電気アークを実質的に低減する。
【0152】
いくつかの例では、内部部材970は、例えば、海水による腐食によって引き起こされたコア902の不完全性を埋める。
【0153】
コア902が実質的にリング形状である例では、内部部材970は、内部リングであり、外部部材968は、外部リングである。
【0154】
コア902、内部部材970及び外部部材968は、コア902を外部部材968及び内部部材970の両方に結合するように相補的に成形することができる。
【0155】
外部部材968は、第1の外部部材968a及び第2の外部部材968bを含み得、第1の外部部材968a及び第2の外部部材968bは、内面974a、974b及び外面976a、976bをそれぞれ備える。外部部材968を第1の外部部材968aと第2の外部部材968bとに分割することは、絶縁層940が、第1の外部部材968aと第2の外部部材968bとの間で結合されるように延び得ることを意味する。
【0156】
内部部材970は、第1の内部部材970a及び第2の内部部材970bを含み得、第1の内部部材970a及び第2の内部部材970bは、内面978a、978b及び外面980a、980bをそれぞれ備える。内部部材970を第1の内部部材970a及び第2の内部部材970bに分割することは、絶縁層940が、第1の内部部材970aと第2の内部部材970bとの間で結合されるように延び得ることを意味する。
【0157】
驚くべきことに、内部部材970を第1の内部部材970a及び第2の内部部材970bに分割し、外部部材968を第1の外部部材968a及び第2の外部部材968bに分割し、絶縁層940の存在と組み合わせると、ガスケット900を通る、生じ得る漏れ経路が低減されることが見出された。なぜなら、上記のように、絶縁層940は、第1の内部部材970aと第2の内部部材970bとの間及び第1の外部部材968aと第2の外部部材968bとの間に保持されるように延び得るからである。絶縁層940のこの配置は、ガスケット900を通る可能な空気経路が著しく長くなるため、ガスケットにわたる電気アークの可能性も低減する。内部部材970と外部部材968とを分割することは、コア902に1つ又は複数のラグを提供することもより容易にする。
【0158】
特に、内部部材970が内部リングであり、コア902が実質的にリング形状であり、外部部材968が外部リングである実施形態では、内部部材970、コア902及び外部部材968を一緒に組み立てることは、困難である可能性がある。外部部材968を第1の外部部材968a及び第2の外部部材968bに分割し、内部部材970を第1の内部部材970a及び第2の内部部材970bに分割することは、組み立ての困難さを軽減する。例えば、第1の外部968a部材の一部は、それらが一緒に係合するようにコア902の一部と重なり得る。さらに、第1の内部部材970aの一部は、それらが互いに係合するようにコア902の一部と重なり得る。第1の内部部材970a及び/又は第1の外部部材968aの一部をコア902の一部と重ねると、空気経路の長さが増加するため、ガスケット900を通る漏れ率が減少する。
【0159】
第1の内部部材980aの内面978aの少なくとも一部は、第2の内部部材970bの内面978bの少なくとも一部に当接するように構成され得る。
【0160】
一例では、外部部材968は、絶縁層940を位置決めし且つ受け入れるための位置決め溝982を備える。いくつかの例では、位置決め溝は、例えば、インデント又は凹部として第1の外部部材968a及び第2の外部部材968bの内面に配置される。内部部材970も位置決め溝を含み得る。いくつかの例では、位置決め溝は、例えば、インデント又は凹部として第1の内部部材970a及び第2の内部部材970bの内面に配置される。
【0161】
第1の外部部材968aの内面974aの少なくとも一部は、第2の外部部材968bの内面974bの少なくとも一部に当接するように構成され得る。
【0162】
第1の外部部材968aは、接着剤によって第2の外部部材968bに結合され得る。第1の内部部材970aは、Loctite A331などの接着剤によって第2の内部部材970bに結合され得る。いくつかの例では、接着剤に加えて、Loctite 7387などの活性剤が使用される。2液型接着剤系を使用すると、活性剤が接着剤に接触するまで反応が開始されないため、製造上の利点がある。
【0163】
図8a及び図8bに示される例では、コア902の第1の部分902a及び第2の部分902bは、1つ又は複数のラグ972a、972b又は突起を含む。ラグ972a、972bは、実際上、第1の部分902a及び第2の部分902bの内面942、944の方のコア902の肥大化部分又は拡幅化部分である。換言すると、1つ又は複数のラグ972a、972bは、第1の部分902a及び第2の部分902bの少なくとも一方の内面942、944に向かって配置され得、それにより、第1の部分902a及び第2の部分902bの少なくとも一方の内面942、944のプロファイルは、第1の部分902a及び第2の部分902bの少なくとも一方の外面908a、908bのプロファイルを越えて延びる。
【0164】
使用中、ラグ972a、972bは、第1の部分902a及び第2の部分902bの当接領域を増加させ、それによりガスケット900のコア902の第1の部分902aと第2の部分902bとの間で荷重を分散させる。ラグ972a、972bは、絶縁層940にかかる応力を低減する。
【0165】
内部部材970及び外部部材968の少なくとも一方は、1つ又は複数のラグ972a、972bを受け入れるように構成された1つ又は複数の凹部984を含み得る。換言すると、内部部材970及び外部部材968の形状は、シールを形成するためにコア902の形状と係合するように構成される。
【0166】
図9aは、本発明によるガスケット1000の断面図を示し、図9bは、図9aの例に示されるガスケット1000の構成要素の分解図を示す。図9a及び図9bの参照記号は、図8a及び図8bに示されている参照記号と同じであるが、100の増分がある。
【0167】
図9a及び図9bに示される例は、コア1002の第1の部分1002a及び第2の部分1002bのラグの1つ1072bが凹部1086によって置き換えられていることを除いて、図8a及び図8bに示される例と実質的に同一である。さらに、内部部材1070の凹部は、シールを形成するようにコア1002の凹部1086と結合するために突起1088で置き換えられている。
【0168】
図9a及び図9bに示される例では、内部部材1070は、コア1002の凹部に受け入れられるように構成された突起1088を含むが、他の例では、外部部材1068は、コア1002の凹部に受け入れられるように構成された突起1088を含む。
【0169】
内部部材1070及び外部部材1068の少なくとも一方は、コア1002の第1の部分1002a及び第2の部分1002bの少なくとも一方における1つ又は複数の凹部1086に受け入れられるように構成された1つ又は複数の突起1088を含み得る。
【0170】
凹部1086及び突起1088を提供することは、コア1002と内部部材1070及び外部部材1068との結合を支援し、組み立て又は使用中にそれらが分離する可能性を低減する。さらに、いくつかの例では、コア1002の1つ又は複数の凹部1086と係合するように構成された1つ又は複数の突起1088を内部部材1070に設けることは、いくつかの例では、内部部材1070が単一片で形成できることを意味するが、電気アークに対する耐性の向上と製造の容易さという上記の利点が依然として感じられる。
【0171】
図10aは、本発明によるガスケット1100の断面図を示し、図10bは、図10aのガスケット1100の例の構成要素の分解図を示す。図10a及び図10bの参照記号は、図9a及び図9bに示されている参照記号と同じであるが、100の増分がある。
【0172】
この例では、内部部材1170は、単一片で形成されているが、実際には、それは、第1の内部部材及び第2の内部部材に分割され得る。さらに、外部部材1168は、単一片で形成されているが、実際には、それは、第1の外部部材及び第2の外部部材に分割され得る。
【0173】
コア1102は、圧入を介して内部部材1170及び外部部材1168に結合され得る。圧入により、コア1102が内部部材1170と外部部材1168との間に確実に保持されることが保証される。この例では、コア1102の形状と内部部材1170及び外部部材1168の形状とは、相補的な形状を有し、その結果、コア1102は、内部部材1170と外部部材1168との間の開口部に押し込まれ、次いで弾性的に所定の位置に保持され得る。一例では、コア1102は、コア1102の外面1108と比較して比較的大きいサイズのウエスト部分を有するように成形される。換言すると、コア1102は、外側の領域と比較して比較的大きいサイズを有する中央領域に向かってテーパ状になっている。この例では、内部部材1170及び外部部材1168は、相補的なテーパを有し、その結果、コアが外部部材1168及び内部部材1170に受け入れられるとき、ガスケット全体に形成されたシールが存在する。
【0174】
一例では、第1及び第2の部分1102a、1102bの両方は、面取りされた縁部1190を有する。一例では、絶縁層1140は、面取りされた縁部の前で終了し、その結果、絶縁層1140は、第1の部分1102a及び第2の部分1102bが一緒に固定されるときに切断される可能性が低い。
【0175】
図11は、図8a及び図8bに示すようなガスケットに対するシェルMESC3.3.2漏洩排出試験の結果を示す。
【0176】
ガスケットを周囲温度及び150℃の両方で漏れ率(mg/m/s)について試験した。また、グラフのX軸に示されているように、ガスケットを様々な応力(MPa)で試験した。
【0177】
図11に示すように、漏れ率(mg/m/s)は、150℃においてガスケット応力による変化がほとんどない。これは、漏れ率が、加えられた応力とほぼ無関係であることを示している。さらに、漏れ率(mg/m/s)は、周囲温度においてガスケット応力による変化がほとんどない。これは、漏れ率が、加えられた応力とほぼ無関係であることを示している。
【0178】
150℃及び周囲温度の両方において、漏れ率(mg/m/s)は、クラスAの閾値及びクラスBの閾値(ガスケットに最適なクラス)を下回っている。
【0179】
API 6FB(第3版、1988年11月)非曲げ、オンショア燃焼試験をYarmouth Research and Technology LLC,North Yarmouth,MEで実施した。
【0180】
燃焼及び冷却試験の結果を以下に示す。
【0181】
【表1】
【0182】
図8aに示されるガスケットは、APR標準6FB第3版に準拠して実施した燃焼試験に合格した。
【0183】
図12は、第1の部分902a及び第2の部分902bのそれぞれの内面942、944の表面粗さが漏れ率に及ぼす影響を示すグラフを示す。
【0184】
上記のように、第1の部分902aの内面942及び第2の部分902bの内面942は、絶縁層940と接触している。第1の部分902a及び第2の部分902bの内面942、944の表面粗さは、ガスケット900内の漏れ率(mg/m/s)に影響を及ぼす。上記のように、表面粗さRaが低過ぎる場合、絶縁層940と、コア902の第1の部分902a及び第2の部分902bとの間に1つ又は複数の空気経路が存在し得る。
【0185】
さらに、表面粗さRaが高過ぎる場合、第1の部分902aの内面942及び第2の部分902bの内面944が絶縁層940に切り込み、それによって絶縁層940を損傷し、使用中、その効果を下げる可能性がある。なぜなら、絶縁層940の絶縁特性が低下又は破壊されるためである。
【0186】
図12は、様々な表面粗さ(Ra-マイクロインチ)について、ガスケット応力(MPa)に対する漏れ率(mg/m/s)を示す。上記のように、Raは、Raによって定義され得、ASME B46.1によって定義され得る。
【0187】
図12に示すように、鏡面仕上げ線は、最も滑らかな仕上げであり、漏れ率は、ほとんどの応力で最も高い。これは、絶縁層940と、第1の部分902a及び第2の部分902bとの間に1つ又は複数の空気経路が存在し得るためである。
【0188】
フィルム線は、絶縁層940が、表面粗さを有する構成要素間でそれ自体試験された試験を表す。これらの結果が、鏡面仕上げの金属部品と比較して改善されたシール性を示すという事実は、絶縁体に接触するより高い表面粗さを備えた構成要素が、鏡面仕上げの構成要素とは対照的にシール能力を改善するという理論を裏付けた。
【0189】
内面のRa表面粗さが32マイクロインチ(0.81μm)の場合、漏れ率は、20MPaにおける約1E-3から40MPaにおける1E-6に低下し、ガスケット応力が増加するにつれて低下し続ける。
【0190】
内面のRa表面粗さが63マイクロインチ(1.60μm)の場合、漏れ率は、20MPaにおける約1E-3から40MPaにおける1E-5に低下し、ガスケット応力が増加するにつれて低下し続ける。60MPa~120MPaでは、内面のRa表面粗さが63マイクロインチ(1.60μm)の場合に漏れ率が最も低い。
【0191】
内面のRa表面粗さが125マイクロインチ(3.18μm)の場合、漏れ率は、20MPaにおける約1E-3から60MPaにおける1E-6に低下するが、その後、80MPaまでわずかに上昇する。これは、第1の部分902a及び第2の部分902bの内面942、944が絶縁層940に切り込むためである。
【0192】
シール性を改善するために、コア部分の内面のRa表面粗さは、少なくとも16マイクロインチ(0.41μm)、より典型的には少なくとも20マイクロインチ(0.51μm)、最も典型的には少なくとも24マイクロインチ(0.61μm)であるべきであることが見出された。
【0193】
シール性を改善するために、コア部分の内面のRa表面粗さは、64マイクロインチ(1.63μm)未満、より典型的には48マイクロインチ(1.22μm)未満、最も典型的には32マイクロインチ(0.81μm)未満であるべきであることが見出された。
【0194】
したがって、コア部分の内面のRa表面粗さは、16~64マイクロインチ(0.41μm~1.63μm)、より典型的には20~48マイクロインチ(0.51μm~1.22μm)、最も典型的には24~32マイクロインチ(0.61μm~0.81μm)の範囲であり得る。いくつかの例では、コア部分の内面のRa表面粗さは、16~32マイクロインチ(0.41μm~0.81μm)である。
【0195】
これらの値を超えるRa表面粗さを提供することは、上部、下部及び絶縁層間に十分なシールが存在することを意味し、これは、絶縁層、上部及び下部間に空気経路が形成される問題が予想されなかったため、驚くべき進展である。
【0196】
これらの値よりも小さいRa表面粗さを提供することは、上部及び下部の内面の粗さのために絶縁層が損傷されない、例えば切断されないことを意味する。
【0197】
本出願に関連して本明細書と同時に又はそれよりも先に出願され、且つ本明細書とともに公開された全ての論文及び文献に注意が向けられ、全てのそのような論文及び文献の内容は、参照により本明細書に援用される。
【0198】
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)に開示された全ての特徴及び/又はそのように開示された方法若しくはプロセスの全てのステップは、任意の組み合わせで組み合わせることができるが、そのような特徴及び/又はステップの少なくともいくつかが互いに排他的である組合せを除く。
【0199】
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)に開示された各特徴は、明示的に別途記載のない限り、同じ、均等な又は同様の目的を果たす代わりの特徴で置き換えられ得る。したがって、明示的に別途記載のない限り、開示された各特徴は、包括的な一連の均等な又は同様の特徴の一例に過ぎない。
【0200】
本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書及び図面を含む)に開示された特徴のあらゆる新規のもの、又はあらゆる新規の組合せ、又はそのように開示された方法又はプロセスのあらゆる新規のもの、又はあらゆる新規の組合せまで及ぶ。
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図1(d)】
図1(e)】
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図2(e)】
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図3(e)】
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図4(d)】
図4(e)】
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
図11
図12