(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】粉末剤の流体化及び送達のための機器
(51)【国際特許分類】
A61M 31/00 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
A61M31/00
(21)【出願番号】P 2021517742
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(86)【国際出願番号】 US2019054001
(87)【国際公開番号】W WO2020072449
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-27
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ピック、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ラプラカ、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデン、ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ライアン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】キング、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】スミス、アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】グリムズビー、ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ファブロー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ライデッカー、ローレン
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-530769(JP,A)
【文献】特表2012-527974(JP,A)
【文献】実開昭59-046550(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0193574(US,A1)
【文献】特開2002-355317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投与機器を貫通する第1流体通路を有する投与機器と、
前記投与機器に移動可能に取り付けられた容器
であって、前記容器と前記投与機器は、前記容器と前記投与機器とを貫通する第2流体通路を有し、前記容器は、前記第2流体通路
の近位部と遠位部
の間の中間位置にある内部チャンバを含
む、容器と、
前記内部チャンバ内を延びる管であって、前記内部チャンバ内に収容された薬剤を受け入れるためのポートを含む管と、を備え、
前記内部チャンバは、
前記ポートが覆われているときに、前記容器
に対する前記管の第1位置で前記第2流体通路の前記
遠位部から流体的に隔離され、前記内部チャンバは、
前記ポートが覆われていないときに、前記容器
に対する前記管の第2位置で前記第2流体通路の前記近位部と遠位部とに流体的に接続されており、
前記第1流体通路は、前記容器を迂回しており、
前記第1流体通路を通る流体の通過は、前記第2流体通路を通る流体の通過とは別々に制御可能である、医療機器。
【請求項2】
第2容器であって、噴射流体を備え、
前記投与機器の前記第1流体通路が前記第2容器からの前記噴射流体と流体的に接続されるように前記投与機器の入口に取り付けられる前記第2容器をさらに備える、請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記投与機器が、前記投与機器に前記第2容器を固定するためのロック機構をさらに含む、請求項2に記載の医療機器。
【請求項4】
前記ロック機構が、
前記投与機器に回転可能に連結されたレバーと、
前記レバーに連結され、前記第2容器に接触しているピストンとを備え、
前記レバーの第1位置で、前記第2容器が前記投与機器から流体的に分離され、前記レバーの第2位置で、前記第2容器が前記投与機器に流体的に接続される、請求項3に記載の医療機器。
【請求項5】
突出部が、前記入口に向かって前記ピストンの表面から延びており、空隙が、前記ピストンに対向する表面から前記
第2容器内に延びており、前記突出部が、前記空隙内に延びており、前記ピストンに対する前記
第2容器の固定位置を維持している、請求項4に記載の医療機器。
【請求項6】
前記容器が、(a)前記内部チャンバと前記第2流体通路の前記近位部との間のチャンバ入口と、(b)チャンバフィルタと
を備え、
前記フィルタが、前記第2流体通路の前記近位部から前記内部チャンバに流体が入ることを可能にするように構成されており、
前記フィルタが、前記容器内に配置されている物質が前記第2流体通路の前記近位部に入ることを防ぐように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項7】
前記内部チャンバが、前記内部チャンバの底面から前記内部チャンバ内に延びている1以上の突出部を有し、
前記1以上の突出部が、前記内部チャンバ内の前記噴射流体の流体通路を変更する、
請求項2に記載の医療機器。
【請求項8】
前記内部チャンバが、(a)出口ポートを有する管と、(b)前記管の周りに配置されるシースとを有し、
前記容器が前記第1位置にあるとき、前記出口ポートは前記シースによって覆われており、
前記容器が前記第2位置にあるとき、前記出口ポートは前記シースから露出されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項9】
前記内部チャンバが、前記シースと前記容器の外面とに固定的に取り付けられた取り付け部材をさらに備え、前記外面の回転が、前記シースに、前記管上での縦方向の動きをもたらす、請求項8に記載の医療機器。
【請求項10】
前記投与機器が、第1端部と第2端部とを有する溝を有し、
前記容器が、前記容器の前記外面から延びているカムを有し、
前記カムが、前記溝内を移動可能であり、
前記容器が前記第1位置にあるとき、前記カムは前記溝の前記第1端部に配置され、
前記容器が前記第2位置にあるとき、前記カムは前記溝の前記第2端部に配置される、請求項9に記載の医療機器。
【請求項11】
前記投与機器が、第1駆動機器と第2駆動機器とをさらに備え、
前記第1駆動機器が、前記第1流体通路での前記噴射流体を制御し、
前記第2駆動機器が、前記第2流体通路での前記噴射流体を制御する、
請求項2に記載の医療機器。
【請求項12】
前記第2流体通路が、前記第2流体通路での流体の圧力が閾値を超えているときに流体を放出するように構成されている圧力解放機構を備え、前記閾値が、前記第2流体通路の出口での流体の所望の圧力よりも大きい、請求項1~11のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項13】
前記圧力解放機構が破裂ディスクを有し、かつ前記容器の前記内部チャンバ内に配置されている、請求項12に記載の医療機器。
【請求項14】
前記投与機器の前記入口が第2圧力解放機構を含み、前記第2圧力解放機構の駆動が、前記第2容器から前記噴射流体を放出させる、
請求項2に記載の医療機器。
【請求項15】
ルアー連結部を介して前記第2流体通路の前記遠位部の出口に取り付けられているカテーテルをさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧流体を送達するための医療システム及び医療機器一般に関し、より詳細には、止血薬を制御して、適切な圧力及び流速でその薬との適切な組織接触を実現するための方法及びツールに関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置時に、様々な物質、例えば粉末を供給するために、送達システム及び送達機器が使用されている。これらの処置には、流体、たとえば適切な圧力及び流速又は適切な圧力もしくは流速の範囲内の噴射流体、を使用して粉末を供給することを含めてもよい。これらの粉末には、特定の投与のために、適切な圧力及び流速又は適切な圧力もしくは流速で組織に最適に送達される止血薬を含めてもよい。
【0003】
患者に流体、粉末及び/又は試薬を分注するための従来の内視鏡機器は、患者内の標的部位にカテーテルを進め、次いで流体を分注することを含む。従来の機器の欠点は、たとえば、流体又は粉末によるカテーテルの目詰まり、カテーテルのねじれ、分注時の流体の流速及び圧力の大きな変動ならびに標的部位に分注される物質の非一貫性を含む。さらに、医療用流体送達システムは、しばしば、投与に適したより低い圧力で高圧貯蔵タンクから流体を組織まで送達することを必要とする。流体は、一定の流速及び一定の圧力で投与されるべきである。さらに、医療用流体送達システムは、しばしば、高圧流体を組織への投与に適した圧力に適切に変換するために、複数のレギュレータを必要とする。複数のレギュレータによって、レギュレータに流体シリンダを組み込む機能が妨げられ、しばしば費用が高くなり、また操作の容易さのためにハンドヘルド機器にレギュレータを組み込むことが困難となる。さらに、従来のレギュレータは、レギュレータとの間に摩擦力を生じるワッシャ又はOリングを含んでおり、これが、一定の流速及び一定の圧力で流体を分注することを困難にする。これらの欠点によって、流体及び物質又は流体もしくは物質の適切な量が標的位置に排出されることが妨げられる場合があり、それによって、これらの従来の機器を使用する処置の精度が低下し、時間及び費用が増加する。よって、流体、粉末及び/又は試薬が標的位置に適切かつ一定に分注されることを確実にすることが望ましい。本開示によって、当技術分野でのこれらの問題点又は他の問題点の1以上を解決することが可能である。しかしながら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されるものであり、かつ特定の問題点を解決する能力ではない。
【発明の概要】
【0004】
一例によれば、医療機器は、第1流体通路を有する投与機器と、投与機器に移動可能に取り付けられた容器と、を含む。容器と投与機器は、容器と投与機器とを貫通する第2流体通路を有し、容器は、第2流体通路の中間の近位部と遠位部とにある内部チャンバを含み、内部チャンバは、容器の第1位置で第2流体通路の近位部から流体的に隔離され、内部チャンバは、容器の第2位置で第2流体通路の近位部と遠位部とに流体的に接続されている。第1流体通路は、容器を迂回しており、第1流体通路を通る流体の通過は、第2流体通路を通る流体の通過とは別々に制御可能である。
【0005】
医療機器は、噴射流体を有する第2容器をさらに含み、かつ投与機器の入口に取り付けられるように構成されていてもよい。
投与機器は、投与機器に第2容器を固定するためのロック機構をさらに含んでもよい。
【0006】
ロック機構は、レバーの第1位置で、第2容器が投与機器から流体的に分離されてもよく、レバーの第2位置で、第2容器が投与機器に流体的に接続されてもよいように、投与機器に回転可能に連結されたレバーと、レバーに連結され、第2容器に接触しているピストンと、を含んでもよい。
【0007】
突出部は、入口に対してピストンの表面から延びていてもよく、空隙は、ピストンに対向する表面から容器内に延びていてもよい。突出部は、ピストンに対する容器の固定位置を維持するために、空隙内に延びていてもよい。
【0008】
容器は、内部チャンバと第2流体通路の近位部との間のチャンバ入口及びチャンバフィルタを含んでもよく、フィルタは、第2流体通路の近位部から内部チャンバに流体が入ることを可能にするように構成されていてもよく、またフィルタは、容器内に配置されている物質が第2流体通路の近位部に入ることを防ぐように構成されていてもよい。
【0009】
内部チャンバは、内部チャンバの底面から内部チャンバ内に延びている1以上の突出部を含んでもよく、1以上の突出部は、内部チャンバ内の流体通路を変更するように構成されていてもよい。
【0010】
容器が第1位置にあるとき、出口ポートはシースによって覆われていてもよく、容器が第2位置にあるとき、出口ポートはシースから露出されていてもよいように、内部チャンバは、出口ポートを有する管と、管の周りに配置されるシースと、を含んでもよい。
【0011】
内部チャンバは、シースと容器の外面とに固定的に取り付けられた取り付け部材を含んでもよく、外面の回転によって、シースは管上で長手方向に動く。
投与機器は、第1端部と第2端部とを有する溝を含んでもよく、容器は、容器の外面から延びているカムを含んでもよく、カムは、溝内を移動可能であり、容器が第1位置にあるとき、カムは溝の第1端部に配置されていてもよく、容器が第2位置にあるとき、カムは溝の第2端部に配置されていてもよい。
【0012】
投与機器は、第1駆動機器と第2駆動機器とを含んでもよく、第1駆動機器は、第1流体通路での噴射流体を制御するように構成されていてもよく、第2駆動機器は、第2流体通路での噴射流体を制御するように構成されていてもよい。
【0013】
第2流体通路は、第2流体通路での流体の圧力が閾値を超えているときに流体を放出するように構成されている圧力解放機構を含んでもよく、閾値は、第2流体通路の出口での流体の所望の圧力よりも大きくてもよい。
【0014】
圧力解放機構は破裂ディスクを含んでもよく、かつ容器の内部チャンバ内に配置されていてもよい。
投与機器の入口は第2圧力解放機構を含み、第2圧力解放機構の駆動が、第2容器から噴射流体を放出させてもよい。
【0015】
カテーテルは、ルアー連結部を介して第2流体通路の遠位部の出口に取り付けられてもよい。
他の例によれば、医療機器は、投与機器を貫通する第1流体通路を有する投与機器と、投与機器に移動可能に取り付けられた容器と、を含み、容器と投与機器は、容器と投与機器とを貫通する第2流体通路を有し、容器は、第2流体通路の近位部に流体的に接続されるように構成されている入口と、第2流体通路の遠位部に流体的に接続されるように構成されている出口とを有する内部チャンバを有し、容器は、容器内に供給されている物質が第1流体通路の近位部に入ることを防ぐように構成されているフィルタを含み、容器が第1位置にあるとき、内部チャンバは、第2流体通路の近位部から流体的に分離されており、容器が第2位置にあるとき、内部チャンバは、第2流体通路の近位部と遠位部とに流体的に接続されている。
【0016】
内部チャンバは、出口ポートを有する管と、管の周りに配置されるシースと、を含んでもよく、容器が第1位置にあるとき、出口ポートはシースで覆われていてもよく、容器が第2位置にあるとき、出口ポートはシースから露出されていてもよい。
【0017】
投与機器は、第1端部と第2端部とを有する溝を含んでもよく、容器は、容器の外面から延びているカムを含んでもよく、カムは溝内にあってもよく、容器が第1位置にあるとき、カムは溝の第1端部に配置されていてもよく、容器が第2位置にあるとき、カムは、溝の第2端部に配置されていてもよい。
【0018】
さらに他の例によれば、医療機器は、第1流体通路、入口及び出口を有する投与機器ならびに投与機器に取り付けられた容器を含み、容器と投与機器は、容器と投与機器とを貫通する第2流体通路を有し、容器は、第2流体通路の遠位部と近位部との間に内部チャンバを含み、内部チャンバは、第2流体通路の近位部に流体的に接続されるように構成されている流入物と、第2流体通路の遠位部に流体的に接続されるように構成されている流出物と、を含み、内部チャンバは、内部チャンバ内に延びている少なくとも1つの突出部を含む。第1流体通路における流体は、容器を迂回して、入口から出口まで動き、第2流体通路は、第2流体通路の圧力が閾値を超えているときに第2流体通路から流体を放出するように構成されているリリーフ弁を含む。
【0019】
医療機器は、噴射流体を含む第2容器とロック機構とをさらに含んでもよく、ロック機構は、投与機器に回転可能に連結されたレバー、レバーに接続され、第2容器と接触しているピストンを含んでもよく、レバーの第1位置において、第2容器が投与機器から流体的に分離されてもよく、レバーの第2位置において、第2容器が投与機器に流体接続されてもよい。
【0020】
さらに他の態様において、流体の圧力を制御するための機器は、流体を受け入れるための投入口を有するボディと、流体を送達するための排出口と、投入口と排出口との間にあって投入口と排出口と流体連通しているチャンバと、を含む。チャンバは、チャンバ開口部と、ボディと接触しており、チャンバ開口部を密封被覆している第1表面を有する柔軟膜と、流体の圧力を制御するために膜の位置を制御するための第1表面の反対側の膜の第2表面に隣接するピストンとを画定する。
【0021】
機器は、投入口に隣接し、流体を格納するように構成されている格納装置のシールに穴をあけるように構成されている、チャンバ内のピアスピンを含んでもよい。
ボディは、チャンバ内に延びており、チャンバを、投入口に隣接する第1チャンバと、排出口に隣接する環状チャンバとに分けている突出部を含んでもよく、機器は、突出部の少なくとも一部を囲んでおり、膜の第1表面と接触しているアクチュエータを含んでもよい。
【0022】
突出部は、第1チャンバと環状チャンバとを流体的に連結している第1孔を含んでもよく、アクチュエータのプロングは、第1孔内に延びていてもよい。
機器は、第1チャンバ内に配置され、第1孔に向かってボールベアリングを押すように構成されている第1バネを含んでもよい。
【0023】
機器は、ボールベアリングと第1孔との間に設けられているOリングを含んでもよい。
アクチュエータの壁は、環状チャンバと第1チャンバとの間にあって環状チャンバと第1チャンバと流体連通している第2孔を含んでもよい。
【0024】
機器は、ボディに取り付けられた第1端部と、ピストンが移動可能に納められた捕捉部材チャンバを画定する第2端部とを有する捕捉部材を含んでもよく、捕捉部材の開口部を覆うために、第2端部に隣接する捕捉部材にキャップが取り付けられてもよい。
【0025】
膜は、ボディと捕捉部材との間に固定されてもよい。
機器は、ピストンとキャップとの間に配置され、膜に向かってピストンを押すように構成されている第2バネを含んでもよい。
【0026】
環状チャンバは、Oリングを含んでいなくてもよい。
流体通路は、投入口から、第1チャンバを通り、第1孔を通り、環状チャンバを通って、排出口外に延びていてもよい。
【0027】
機器は、第1孔に隣接する第1チャンバ内に配置されるOリングを含んでもよく、ボールベアリングは、第1孔とは反対側のOリングに隣接する第1チャンバ内に配置されてもよく、バネは、ボールベアリング及びピアスピンと接触し、ボールベアリングをOリングに向かって付勢するように構成されている第1チャンバ内に設けられてもよい。
【0028】
機器は、第1チャンバと環状チャンバとを流体的に連結している突出部内に第1孔を含んでもよく、Oリングは、第1孔に隣接する第1チャンバ内に配置されてもよく、ポペットは、ボディを囲む環状リングを有し、第1孔とは反対側のOリングに隣接する、第1チャンバ内に配置されるボディ部を含んでもよく、ポペットは、ボディ部から、環状リングと直角に、Oリング及び孔を通じて延びており、ボディに接触している長尺部材を含んでもよい。
【0029】
他の態様によれば、流体を分注するための送達システムは、流体を格納するように構成されている格納装置と、格納装置に連結され、流体を分注するように構成されている投与機器であって、格納装置から流体を受け入れるために格納装置に連結されるように構成されている入口と、入口と流体連通しており、流体の放出を制御するように構成されているレギュレータとを備える投与機器と、を含む。レギュレータは、流体を受け入れるための投入口と、流体を送達するための排出口と、投入口及び排出口と流体連通しているチャンバとを有するボディを含み、チャンバは、チャンバ開口部と、ボディと接触しており、チャンバ開口部を密封被覆している第1表面を有する柔軟膜と、第1表面の反対側の膜の第2表面に隣接し、流体の圧力を制御するために膜の位置を制御するように構成されているピストンとを画定する。
【0030】
システムは、ピストンの環状壁間又は環状壁内に画定されるピストンチャンバを含んでもよく、バネは、ピストンチャンバ内に配置され、ピストンが膜に押し付けられるように構成されていてもよい。
【0031】
システムは、駆動装置と、駆動装置の駆動によって、投与機器から分注されるように構成されている流体と、を含んでもよい。
さらに他の態様において、患者の身体への流体送達を制御するための方法は、レギュレータの投入口に対してレギュレータのピストン及び柔軟膜を動かすことと、投入口が格納装置から流体を受け入れることと、レギュレータのアクチュエータを膜と接触させてレギュレータの投入口から排出口への流体通路を開くことと、流体を放出させることと、を含む。
【0032】
方法は、投入口に隣接するバネを圧縮することと、投入口と排出間の流体シールを破壊してレギュレータの投入口と排出口との間の流体通路を開くことと、を含んでもよい。
他の態様によれば、流体の圧力を制御するように構成されている機器は、流体を受け入れるための投入口と流体を送達するための排出口とを有する第1ボディを含み、第1ボディは、チャンバ内に延びており、チャンバを、投入口に隣接する第1チャンバと、排出口に隣接する第2チャンバとに分けている突出部を含み、突出部は、第1チャンバと第2チャンバとを流体的に連結している孔と、孔に隣接する第1チャンバ内に配置されるXリングと、第1チャンバ内に配置され、孔とは反対側のXリングに隣接する第2ボディと、を含む。
【0033】
突出部は、第1表面と、第1表面に略垂直な第2表面とを有していてもよく、第1表面と第2表面のそれぞれは、第1チャンバに面していてもよい。
Xリングは、第1表面と第2表面うちの少なくとも1つの、2つの分断部と接触していてもよい。
【0034】
Xリングは、第1表面と第2表面のそれぞれの2つの分断部と接触していてもよい。
Xリングは、4つの突出部を含んでもよく、第2ボディは、機器の少なくとも1つの状態において、4つの突出部の1つと接触するように構成されていてもよい。
【0035】
Xリングと第2ボディは、機器の少なくとも1つの状態において、流体が孔を通過することを防ぐように構成されていてもよい。
機器は、第1チャンバ内に配置され、孔に向かって第2ボディを押すように構成されている第1バネをさらに含んでもよい。
【0036】
流体通路は、投入口から、第1チャンバを通り、孔を通り、第2チャンバを通って、排出口外に延びていてもよい。
第2チャンバは、チャンバ開口部を画定してもよく、機器は、ボディに接触しており、チャンバ開口部を密封被覆している第1表面を有する柔軟膜をさらに含んでもよい。
【0037】
機器は、突出部の少なくとも一部を囲んでおり、膜の第1表面と接触しているアクチュエータをさらに含んでもよい。
機器は、第1表面の反対側の膜の第2表面に隣接し、膜の位置を制御するように構成されているピストンをさらに含んでもよい。
【0038】
機器は、ピストンとキャップとの間に配置され、膜に向かってピストンを押すように構成されている第2バネをさらに含んでもよい。
第2ボディは、ゴムを含んでもよい。
【0039】
Xリングは、シリコーンを含んでもよい。
第2ボディとXリングの特性は、第2ボディとXリングが、-50Cの温度に適合するようなものであってもよい。
【0040】
他の態様によれば、機器は、流体の圧力を制御するように構成されており、機器は、流体を受け入れるための投入口と、流体を送達するための排出口と、投入口と排出口との間のチャンバを有する第1ボディと、を含み、チャンバは、チャンバ開口部と、第1ボディに接触しており、チャンバ開口部を密封被覆している第1表面を有する柔軟膜と、チャンバ内に配置されるXリングと、Xリングに隣接してチャンバ内に配置される第2ボディと、第2ボディに接触しており、Xリングに向かって第2ボディを付勢するように構成されている、チャンバ内に設けられているバネと、を画定する。
【0041】
チャンバは、第1表面と第2表面とによって少なくとも部分的に画定されてもよく、Xリングは、第1表面と第2表面のうちの少なくとも1つの、2つの分断部に接触していてもよい。
【0042】
Xリングは、4つの突出部を含んでもよく、第2ボディは、機器の少なくとも1つの状態において、4つの突出部の1つと接触するように構成されていてもよい。
一態様によれば、機器は、流体の圧力を制御するように構成されていてもよく、機器は、流体を受け入れるための投入口と、流体を送達するための排出口と、投入口と排出口との間にあって投入口と排出口と流体連通しているチャンバとを有する第1ボディと、チャンバ内に配置されるXリングと、Xリングに隣接してチャンバ内に配置される第2ボディと、チャンバ内に設けられ、第2ボディと接触しており、Xリングに向かって第1方向に第2ボディを付勢するように構成されている第1バネと、ピストンと、Xリングに向かって、第1方向とは反対の第2方向にピストンを押すように構成されている第2バネと、を含んでもよい。
【0043】
チャンバは、第1表面と第2表面とによって少なくとも部分的に画定されてもよく、Xリングは、第1表面と第2表面のうちの少なくとも1つの、2つの分断部と接触していてもよい。
【0044】
他の態様によれば、粉末剤を流体化し送達するための機器は、第1端部から第2端部まで長手方向に延びており、粉末剤を受け入れる内部空間を画定するキャニスタと、その中に受け入れられている粉末剤を流体化して流体混合物を作成するために内部空間にガスを供給するためのガス源に連結可能な入口と、それを通じてガス混合物が治療の標的領域に送達される出口と、出口と連通している第1端部から、内部空間内に延びている第2端部まで延びている管であって、内部空間から、第2端部及びスロットを介して、出口を通じてガス混合物が通過可能なように、その壁を通じて延びているスロットを含んでいる管と、キャニスタの内部空間に開いているスロットの寸法を制御するためにドアがスロット上で移動可能なように、管に移動可能に連結されたドアと、を備える。
【0045】
一態様において、ドアは、管の上に移動可能に取り付けられたオーバーチューブとして構成されていてもよい。
一態様において、機器は、キャニスタに対して管を固定するために、オーバーチューブからキャニスタの内面まで径方向外側に延びている安定化リングをさらに備えてもよい。
【0046】
一態様において、キャニスタは、管に対して長手方向にオーバーチューブを動かし、内部空間に開いているスロットの寸法を制御するために、管に対して回転可能であってもよい。
【0047】
一態様において、機器は、内部空間と、蓋を通じて延びている開口部として構成されている入口と出口とを密閉するために、キャニスタに連結可能な蓋をさらに備えてもよい。
一態様において、機器は、出口に連結可能な送達カテーテルであって、標的領域に内視鏡のワーキングチャネルを通じて挿入されるような寸法と形状とにされている送達カテーテルをさらに備えてもよい。
【0048】
本態様は、粉末剤を流体化し送達するための機器であって、第1端部から第2端部に長手方向に延びており、粉末剤を受け入れる第1内部空間を含んでいるキャニスタと、受け入れられている粉末剤を流体化し、流体混合物を作成するために内部空間にガスを供給するためのガス源に連結可能な第1入口と、それを通じて第1内部空間から治療の標的領域にガス混合物が送達される出口と、充填剤入口を介して第1内部空間と連通している充填剤チャンバであって、その中に物質の実質的に一定の量を維持するために、充填剤チャンバから第1内部空間に通過可能な充填物質を含む充填剤チャンバにおいて、物質が、粉末剤及び充填物質のうちの少なくとも1つを含む充填剤チャンバと、を備える機器にも関する。
【0049】
一態様において、充填物質は、模擬粒子、ビーズ、バウンス・ボール及び発泡材のうちの1つを含んでもよい。
一態様において、充填物質は、充填物質が出口を通過することができないような寸法や形状にされていてもよく、またそのように構成されていてもよい。
【0050】
一態様において、充填剤チャンバは、充填剤チャンバから第1内部空間内に充填物質を動かすためにガスを供給されてもよい。
一態様において、充填剤チャンバは、キャニスタによって画定される第2内部空間として構成されていてもよい。
【0051】
一態様において、第2内部空間は、充填剤入口に充填物質を導く傾斜面を含んでもよい。
一態様において、充填物質はさらなる粉末剤であってもよい。
【0052】
一態様において、機器は、ドアが充填剤入口を覆う第1構成と、重力によって、充填剤入口を通じて充填剤チャンバから第1内部空間に充填物質が通過するのを許容するようにドアが充填剤入口を開けている第2位置との間で充填剤入口に対して移動可能なドアをさらに備えてもよい。
【0053】
一態様において、機器は、充填剤入口内に収納されたパドルに連結されたタービンであって、タービンを収納する流路内にガスの流れを受け入れるときにタービンが回転し、それに応じてパドルを回転させ、充填剤チャンバ内の充填物質が、そこから第1内部空間内に能動的に動かされるようにガスの流れによって駆動されるタービンをさらに備えてもよい。
【0054】
本態様は、粉末剤を流体化するために粉末剤が受け入れられているキャニスタ内の内部空間にガスを供給することと、流体混合物を作成して内視鏡のワーキングチャネルを通じて標的領域に挿入された送達カテーテルによって患者の体内の標的領域に流体混合物を送達することと、を備える方法であって、流体混合物の送達中に、管の上に移動可能に取り付けられたドアが、内部空間に露出されるスロットの寸法又はその一部を制御するために、送達カテーテルと連通しているキャニスタの内部空間内に延びている管の壁を通じて延びているスロットに対して動かされる方法にも関する。
【0055】
本態様は、粉末剤を流体化し送達するための機器であって、第1端部から第2端部まで長手方向に延びており、粉末剤が受け入れられている内部空間を画定するキャニスタと、受け入れられている粉末剤を流体化して流体混合物を作成するために内部空間にガスを供給するためのガス源に接続可能な入口と、それを通じてガス混合物が治療の標的領域に送達される出口と、キャニスタに移動可能に連結されたピストンであって、標的領域への流体混合物の送達中に粉末剤の量が減少されるにしたがって、内部空間の容量を減少させるように、ピストンがキャニスタの第1端部に連結された最初の構成から、キャニスタの第2端部に対して移動可能なピストンと、を備える機器にも関する。
【0056】
一態様において、入口と出口のそれぞれは、ピストンの一部を通じて延びていてもよい。
一態様において、出口は、内視鏡のワーキングチャネルを通じて標的領域に挿入されるような寸法と形状とにされている送達カテーテルに接続可能であってもよい。
【0057】
一態様において、ピストンは、空気圧シリンダ及びモータのうちの1つによって移動可能であってもよい。
一態様において、機器は、キャニスタの内部空間に対向するピストンの側にあるキャニスタ上の第1端部に連結されたチャンバであって、膨張性混合物が膨張して、キャニスタの第2端部に向かってピストンを動かすように、流体混合物の送達中にガスを受け入れるように構成されている膨張性部材を収納するチャンバをさらに備えてもよい。
【0058】
一態様において、膨張性部材は、膨張性部材からのガスの流れを妨げつつ、膨張性部材へのガスの流れを許容する一方向弁を含む連結部材によってガス源に連結されるように構成されていてもよい。
【0059】
一態様において、機器は、キャニスタの第1端部に連結され、ネジ棒によってピストンに連結されたバイパスであって、ネジ棒に連結されたタービンを収納し、流体混合物の送達中にバイパスを通じてガスが流れるときにタービンとネジ棒が回転して、キャニスタの第2端部に向かってピストンを動かすように、それを通じてガスの流れを受け入れるように構成されているバイパスをさらに備えてもよい。
【0060】
本態様は、粉末剤を流体化し送達するための機器であって、第1端部から第2端部に長手方向に延びており、粉末剤が受け入れられている第1内部空間を含むキャニスタと、受け入れられている粉末剤を流体化して流体混合物を作成するために内部空間にガスを供給するためのガス源に接続可能な入口と、それを通じてガス混合物が治療の標的領域に送達される出口と、最初の付勢構成と、標的領域への流体混合物の送達中にその中の粉末剤の量が減少するにしたがって、その量を減少させるように膨張性部材の一部が第1内部空間内に延びるように膨張性部材が変形している膨張構成との間で移動可能な膨張性部材と、を備える機器に関する。
【0061】
一態様において、キャニスタは、標的領域への流体混合物の送達中にその中にガスを受け入れるように構成されている第2内部空間をさらに含んでもよい。
一態様において、第1内部空間と第2内部空間は、膨張性部材によって相互に分離されていてもよく、第1内部空間と第2内部空間との間の圧力差によって、膨張性部材を第1内部空間内に変形させてもよい。
【0062】
一態様において、膨張性部材はダイヤフラムであってもよい。
一態様において、第1内部空間は、膨張性部材の内壁によって画定されてもよく、第2内部空間は、膨張性部材の外壁と、キャニスタの内面とによって画定されてもよい。
【0063】
一態様において、膨張性部材は、実質的に円筒形であってもよい。
一態様において、膨張性部材は、キャニスタの第1端部からキャニスタの第2端部に延びていてもよい。
【0064】
一態様において、膨張性部材は、キャニスタ内に収容され、バルーンが膨張するにしたがって、バルーンが第1内部空間を占めるようにその中にガスを受け入れるように構成されているバルーンであってもよい。
【0065】
本態様は、粉末剤を流体化するために粉末剤が受け入れられているキャニスタ内の内部空間にガスを供給することと、流体混合物を作成して内視鏡のワーキングチャネルを通じて標的領域に挿入された送達カテーテルによって患者の体内の標的領域に流体混合物を送達することと、を備える方法であって、流体混合物の送達中に、流体混合物の送達速度が実質的に一定に保たれるように、キャニスタの内部空間の容量が、粉末剤の量の減少に対応して減少される方法にも関する。
【0066】
本明細書の一部に組み込まれそれを構成する添付図面は、様々な例示的な実施形態を例示し、説明とあわせて、開示される実施形態の原理を説明する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図2】
図1の医療システムのアプリケータハンドルの断面図。
【
図5】一実施形態によるレギュレータを含む、
図3のアプリケータハンドルの断面図。
【
図9】一実施形態によるレギュレータのボディの斜視図。
【
図10】一実施形態によるレギュレータの捕捉シリンダの斜視図。
【
図11A】さらにもう1つの実施形態によるレギュレータの断面図。
【
図11B】さらにもう1つの実施形態によるレギュレータの断面図。
【
図15】第1構成における、他の実施形態によるチャンバの模式図。
【
図17】本開示の他の実施形態による機器の模式図。
【
図18】本開示の代替実施形態による機器の模式図。
【
図19】本開示のさらに他の実施形態による機器の模式図。
【
図21】本開示の他の実施形態による機器の模式図。
【
図22】第1構成における、本開示のさらに他の実施形態による機器の模式図。
【
図24】第1構成における、本開示の代替実施形態による機器の模式図。
【
図27】本開示の代替実施形態による機器の模式図。
【
図28】本開示の他の代替実施形態による機器の模式図。
【
図30】本開示の他の実施形態による機器の模式図。
【
図31】本開示のさらに他の実施形態による機器の模式図。
【
図33】本開示のさらに他の実施形態による機器の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0068】
次に、物質の分注に使用してもよい例示的な医療機器を参照して本開示を説明する。しかしながら、特定の方法への言及は、便宜のためにのみ提供されるものであり、本開示を限定することを意図するものではないことに留意すべきである。当業者は、開示された機器及び投与方法の基礎をなす概念を、医療又はその他の任意の適切な方法に使用してもよいことを認識するであろう。本開示は、以下の説明と、同じ要素に同じ参照番号が付されている添付図面とを参照することにより理解してもよい。
【0069】
説明を簡単にするために、機器ならびにその構成要素又は機器もしくはその構成要素の、部分/領域/端部は、近位及び遠位端部/領域と呼ぶ。投与機器に関する場合、用語「近位」は、投与機器の噴射ガスの入口により近い端部/領域(たとえば、噴射ガスが格納装置から投与機器に放出される投与機器の位置)を指し、投与機器に関する場合、用語「遠位」は、本明細書において、噴射ガス及び任意の物質のうちの少なくとも一方が、投与機器から標的領域に放出される端部/領域を指すか、又はカテーテルが投与機器に取り付けられている場合にはカテーテルから標的領域に放出される端部/領域を指すために用いられるものとすることに留意すべきである。同様に、「遠位に」延びているとは、部品が遠位方向に延びていることを示し、「近位に」延びているとは、部品が近位方向に延びていることを示す。前述の一般的な説明と、下記の詳細な説明は、いずれも、例示的かつ説明的なものに過ぎず、特許請求される特徴を限定するものではない。ここで使用される、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「有している(having)」、「含んでいる(including)」又は他のそれらの語尾変化形は、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品又は装置が、それらの要素のみを含むわけではなく、明示的には記載されていないか、又はそのようなプロセス、方法、物品又は装置に固有の他の要素を含んでもよいような非排他的な包含を含むものとする。本開示において、たとえば、「約」、「実質的に」、「一般に」及び「おおよそ」などの相対的な用語は、記載された値又は特性における±10%の起こりうるばらつきを示すために用いられる。
【0070】
図1を参照すると、一実施形態による医療システム、たとえば送達システム10が示されている。送達システム10は、格納装置20と、投与機器30(たとえば導管22によってそれに連結されたハンドヘルド機器)と、を含む。本明細書に記載されるように、投与機器30は、その間に導管22なく、格納装置20に直接取り付けられてもよく、又は別様にそれに組み込まれてもよい(たとえば
図2参照)。
図1~
図3にさらに示されるように、投与機器30は、入口32と、出口34と、駆動装置36a、駆動装置36bと、を含む。一例によれば、出口34は、オス又はメスのルアーフィッティングであってもよいが、この構成に限定するものではない。本明細書で説明されるように、噴射流体及び任意のさらなる物質のうちの少なくとも一方は出口34を介してカテーテル190に排出され、所望の位置で噴射流体を排出することをユーザに可能にする。粉末剤を送達するための装置の例は、「粉末剤を送達するための装置及び方法」と題された、2019年1月28日に出願された米国特許出願第16/259024号明細書に見いだされ、その完全な開示は、参照によって本願に組み込まれる。
【0071】
図1を参照すると、格納装置20は、ガスなどの流体(たとえば二酸化炭素又は当技術分野で公知の流体である任意の他のガス)を格納するように構成されている。ボックスで示されているが、格納装置20は、任意の形状、たとえば魚雷型(たとえば
図2参照)、球又は、ガスを格納するために当技術分野で公知の任意の他の形状であってもよい。たとえば、格納装置20は、典型的には病院などの医療現場に設けられる二酸化炭素タンク又はシリンダであることができるであろう。格納装置20は、1以上の内部チャンバ(図示せず)であって、流体を格納するように構成されている内部チャンバを画定する1以上の外壁を含む。格納装置20の壁は、流体を格納するのに適した任意の物質、たとえば、限定するものではないが、金属合金、セラミック又は当技術分野で公知の他の物質で構成されていてもよい。格納装置20の内部チャンバ内に格納される流体は、加圧下であってもよい。よって、壁は、たとえば、少なくともおおよそ6.89MPa(1000重量ポンド毎平方インチ(PSI))、又はおおよそ5.86MPa(850PSI)の圧力で流体を格納するために適切な物質及び厚さで又は適切な物質もしくは厚さで形成される。たとえば、格納装置20に格納されてもよいガスは、典型的な機器温度でおおよそ2,000~8,000kPaの蒸気圧を有する二酸化炭素(CO
2)又は、典型的な機器温度で40MPa未満の蒸気圧を有する窒素(N2)を含む。当然のことながら、これらのガスは例であって、格納装置20に格納されるガスの種類を限定するものではない。
【0072】
引き続き
図1を参照すると、投与機器30は、導管22によって格納装置20に取り付けられている。導管22は、加圧下で格納装置20から投与機器30に流体を供給してもよい。本明細書でより詳細に説明されるように、駆動装置36aと駆動装置36bの駆動は、流体を、格納装置20から導管22を通じて投与機器30まで動かし、カテーテル190を介して所望の位置に流体を排出することをユーザに可能にする。導管22は、導管22が流体の圧力に耐えることを可能にしつつ導管22の自由な動きを可能にする任意の物質、たとえば強化ゴム又は適切なプラスチックによって作られてもよい。導管22は、ネジ式コネクタ、高圧洗浄アダプタ又は当技術分野で公知の任意の他の機器を含むがこれに限定されない任意の装着機器によって、格納装置20及び投与機器30に取り付けられてもよい。
【0073】
他の実施形態によれば、
図2に示すように、投与機器30は、介在する構造体なく、格納装置20’に直接連結されてもよい。たとえば、入口32は、ネジ式連結部、高圧洗浄アダプタなどを使用して格納装置20’の突起などの排出口に直接連結されてもよい。格納装置20’の突起は、投与機器30の入口32内に延びていてもよく、直接、又は介在する構造体(たとえば内腔)によってレギュレータ40に連結してもよい。送達システム10のより優れた携帯性を可能にするために、たとえば、おおよそ5g~75gの圧縮されたガス又は好適にはおおよそ12g~40gの圧縮されたガスを格納する小容量格納装置20’にとって、格納装置20’に投与機器30を直接連結することが適している可能性がある。
【0074】
図1を参照すると、投与機器30の駆動装置36a、駆動装置36bの駆動によって、投与機器30の出口34を通じて送達システム10から流体が出ている。当然のことながら、いくつかの実施形態においては、駆動装置36a、駆動装置36bを1つだけ駆動させればよい。この代わりに、又はこれに加えて、たとえば、安全対策として流体を放出するために、複数の駆動装置36a、駆動装置36bを同時に駆動してもよい。本明細書に記載されるように、駆動装置36a、駆動装置36bの駆動は、所定の圧力でレギュレータ40に格納装置20’から流体を放出させて、送達システム10内の圧力上昇を解放する。投与機器30は、たとえば(ガーデンホースハンドル又は他のピストル様構成などの)ハンドルであってもよい。駆動装置36a、駆動装置36bは、本明細書でより詳細に説明されるように、駆動されると弁を開いて流体を放出させる、任意の押しボタン、トリガ機構又は他の機器であってもよい。
【0075】
図2を参照すると、投与機器30は、介在する構造体なく、魚雷型格納装置20’に直接取り付けられている。格納装置20’は、ネジ式コネクタ、高圧洗浄アダプタ、ピアスピン及びシール装置又は当技術分野で公知の任意の他の機器を含むがこれに限定されない、任意の装着機器38によって投与機器30の入口32に取り付けられてもよい。格納装置20’を投与機器30に取り付けるための装着機器38又は任意の他の機器は、格納装置20’及び投与機器30のうちの少なくとも一方に取り付けられた破裂ディスク又は圧力解放弁を開くか又は破るためのアクチュエータ39(たとえばタブ、ボタンなど)を含んでもよいことも理解されるであろう。アクチュエータ39は、格納装置30から一切の残りの噴射流体を排出する手順の終わりに駆動されてもよい。格納装置20’が投与機器30に取り付けられるときに、触覚アラート又は警告音などのアラートが生成されてもよい。あるいは、以下により詳しく説明するように、ロック機構50によって、格納装置20’が投与機器30に取り付けられてもよい。さらに、投与機器30のハンドル31にスクリューフィット、スナップフィット、又は任意の他の装着機構によってキャップ150が取り付けられてもよい。たとえば、装着機器38の反対側のハンドル31の端部にキャップ150が取り付けられてもよい。キャップ150は、投与機器30に格納装置20’を固定するためのさらなるサポートを提供してもよい。
【0076】
図5~
図11Bを参照してより詳細に説明するように、上記のように、特定の圧力で格納装置20’から放出される、ある量の噴射流体の制御を、1以上のレギュレータ40が支援してもよい。たとえば、レギュレータ40は二段式レギュレータであってもよく、また、レギュレータ40は、たとえば直列に配置された2つのピストンレギュレータなどの2つの一段レギュレータであってもよい。以下により詳細に説明するように、レギュレータ40は、格納装置20’が投与機器30に取り付けられるときに格納装置20’のシールに穴をあけるためのピアスピン670(
図6A参照)を含んでもよい。あるいは、格納装置20’のシールを破るためのピアスピン又は他の機構などの別の機器が、投与機器30の入口32に備えられてもよい。さらに、入口32は、入口32での漏出を防ぐために、たとえば、ガスケット又はワッシャ(図示せず)を使用して、格納装置20’が投与機器30に完全に取り付けられるか、又は完全にそれから剥離されるか、のオール・オア・ナッシングシナリオを提供してもよい。噴射流体圧は、レギュレータ40の後に直列に設けられた膜レギュレータ44によってさらに調整されてもよい。レギュレータ40と膜レギュレータ44との組み合わせによって、許容される出口圧力(すなわち出口34でのガス及び任意の物質の圧力)まで、格納装置20’からのガスの圧力を減少させてもよい。レギュレータ40、レギュレータ44の後の、及び患者の標的領域での送達システム10内のガスの圧力は、ガス及び物質が分注される組織に基づいて、予め定められていてもよい。出口34での許容される圧力は、標的圧力からおおよそ±40%の偏差であってもよく、より好適には、標的圧力からおおよそ±25%の偏差であってもよい。たとえば、レギュレータ40は、分注する噴射流体の入口圧力をおおよそ0.34~1.03MPa(50~150PSI)まで減少させてもよく、続いて膜レギュレータ44は、噴射流体をおおよそ0.13~0.34MPa(20~50PSI)まで減少させてもよい。一例によれば、レギュレータ40及び膜レギュレータ44は、製造時の所定の設定に基づいて、噴射流体を、噴射流体の所望の排出圧力まで減少させる。この代わりに、又はこれに加えて、レギュレータ40及び膜レギュレータ44のうちの1つ又は両方は、各レギュレータからの噴射流体排出の圧力を調整するための機構(図示せず)を含んでもよい。さらに、膜レギュレータ44の出口での噴射流体の圧力は、出口34での噴射流体の圧力とおおよそ等しくてもよい。あるいは、出口34での噴射流体の圧力は、膜レギュレータ44の出口での噴射流体の圧力とは異なっていてもよい。
【0077】
図2及び
図3を参照すると、2つの流体通路は、膜レギュレータ44の出口のちょうど末端にあるYコネクタ45で分岐している。パージ通路であってもよく、物質格納容器を迂回してもよい第1流体通路46は、駆動装置36bによって制御されてもよい。たとえば、第1流体通路46は、膜レギュレータ44から噴射流体を出口34に直接放出するために容器100を迂回してもよい。第1流体通路46は、格納装置20’からの噴射流体が、カテーテル190の中にもたらされた一切の破片を除去するためにカテーテル190をパージすることを可能にする。第2流体通路48は、膜レギュレータ44から容器100を通じて噴射流体を出口34まで導くために、駆動装置36aによって制御されてもよい。第2流体通路48は、以下により詳細に説明するように、分注される粉末剤又は他の物質を含む容器100に噴射流体を入れ、その中に格納されている粉末剤又は物質を混合し、カテーテル190によって出口34を通じて標的部位に混合物を送ることを可能にする。一例によれば、噴射流体は、おおよそ8~12標準リットル毎分(SLPM:standard liters per minute)で、又は好適にはおおよそ10SLPMで、第1流体通路46を通って動く。あるいは、噴射流体は、おおよそ4~6SLPMで、又は好適にはおおよそ5SLPMで、第1流体通路46を通って動いてもよい。噴射流体は、おおよそ0.5~4.5SLPMで、又は好適にはおおよそ2SLPMで、第2流体通路48を通って動く。
【0078】
流体通路46及び流体通路48を含む噴射流体の流路は、
図3に示されている。噴射流体は、レギュレータ40から、膜レギュレータ44を通って、第1通路Jに沿って、第1流体通路46と第2流体通路48との接合部に流れる。第1流体通路46と第2流体通路48との接合部において、通路Jは、第2通路Kと第3通路Mとに分かれる。第2通路Kは、第1流体通路46に沿って第2駆動装置36bまで動く。第2駆動装置36bは、駆動されると、出口34で終端する第4通路L(第2駆動装置36bに対して遠位の)に沿って分注流体を分注する。第1通路J、第2通路K及び第4通路Lは、第1流体通路46を形成する。あるいは、第1通路Jからの噴射流体は、第3通路Mを経て第1駆動装置36aまで進んでもよい。第1駆動装置36aは、駆動されると、第5通路N(第1駆動装置36aに対して遠位の)と、フィルタ孔104a(
図12参照)を通じて容器100に噴射流体を提供する複数の第6通路Oのそれぞれとに沿って噴射流体を分注する。本明細書に記載されるように、噴射流体は、容器100(
図12に示すように、理解しやすくするため、容器100のハウジング107は
図3に図示していない)内に提供されている物質と混ざり合い、この混合物は、容器100の出口(下記に説明する)からチャンバ出口114(
図14A及び
図14B参照)に導く第7通路O’及び、チャンバ出口114に沿って出口34に導く第8通路Pに沿って容器100から動く。第1、第3、第5、第6、第7及び第8通路J、M、N、O、O’、Pは、それぞれ、第2流体通路48を形成する。さらに、第1、第3及び第5通路J、M及びNは、第2流体通路48の近位部を形成し、第8通路Pは、第2流体通路48の遠位部を形成し、第6及び第7通路O、O’は、第2流体通路48の中間部を形成する。
図3に示すように、第1~第8通路J~Pは、医療機器10の要素を通じて延びているとともに相互接続するか又は医療機器10の要素を通じて延びているかもしくは相互接続する、管又は内腔である。これらの管及び内腔のうちの少なくとも一方は、医療機器10の全体を通して噴射流体及び物質のうちの少なくとも一方を動かすために、医療グレードのプラスチック、金属、セラミック又は任意の他の適切な物質で形成されてもよい。
【0079】
図4を参照して、格納装置20’を固定するためのロック機構50を説明する。ロック機構50は、
図2におけるキャップ150と置き換えてもよい。ロック機構50は、ピボット軸Rにおいて投与機器30のハンドル31に回転可能に連結されたレバー52を含む。レバー52は、湾曲通路を画定するカム通路54と、カム通路54の一端にあるロックノッチ56とを含む。ピン57は、大略的にシャフト60から垂直に延びており、ピン57は、ロックノッチ56とカム通路54の反対端との間でカム通路54に沿って動く。シャフト60は、ハンドル31の縦軸に沿って延びており、ピン57の反対側のシャフト60の端部に取り付けられたピストンヘッド58を含む。
図4に示すように、格納装置20’の底面は、ピストン58の頂面に置かれている。レバー52は、ロック機構50がロック解除されるときに(たとえば格納装置20’をハンドル31に取り付けるか又はハンドル31から除去するときに)、ハンドル31に対して角度を持っている。レバー52は、ピボット軸Rの周りを回転し、ピン57は、第1端部からロックノッチ56までカム通路54に乗る。ピン57は、レバー52がハンドル31に対して実質的に平行なとき、ロックノッチ56に嵌まり込む。カム通路56の湾曲は、格納装置20’の底面に対してシャフト60及びピストン58を押し、ピアスピン(図示せず、たとえば
図6Aのピアスピン670を参照)に向かって格納装置20’を動かし、ピアスピンに格納装置20’のシール(図示せず)を破壊させ、格納装置20’を投与機器30に流体的に連結する。一例において、空隙20aは、格納装置20’の底面に延びており、ピストン58の最表面から延びている突出部58aを受け入れ、それによって格納装置20’とピストン58とを着脱可能に連結し、格納装置20’がピストン58に対して滑動することを防ぐ。この代わりに、又はこれに加えて、ピストン58の最表面及び格納装置20の最底面のうちの少なくとも一方は、格納装置20’とピストン58との間の摩擦を増強させて格納装置20’とピストン58との相対位置を維持するために、摩耗、ナール、空隙、スロット又は任意の他の摩擦増強コーティングなどのテクスチャ表面を含んでもよい。この構成は、格納装置20’がピアスピンに向かって適切に付勢され、格納装置20’を投与機器30に適切にシールする助けとなる可能性がある。
【0080】
図5を参照すると、レギュレータ40の位置を示すために、投与機器30の多くの要素が取り除かれている。当然のことながら、投与機器30内のレギュレータ40の位置は単なる例に過ぎず、
図5に示されるものに限定するものではない。
【0081】
図6A及び
図8を参照すると、一実施形態によるレギュレータ40が説明されている。レギュレータ40は、ボディ650(それぞれ、外部環境への連通のための、投入口652及び排出口654を含む)、キャップ700、及び捕捉シリンダ710(たとえば捕捉部材)を含む。膜730は、ピストン690とアクチュエータ680との間に設けられている。
図6Aにさらに示されるように、レギュレータ40は、ピアスピン670、第1及び第2バネ740、742、ボールベアリング750(又は他のタイプのボディ)、ならびにOリング760を含む。
【0082】
図6A及び
図9を参照すると、レギュレータ40のボディ650は大略的に筒形であり、中心軸Aを有している。ボディ650は、レギュレータ壁656、ならびに、それぞれレギュレータ壁656内に画定される第1チャンバ658(投入口652に隣接する)と第2チャンバ660とを含む。本明細書で述べたように、レギュレータ壁656は、さらなる構造体への取り付けのために、壁656の径方向外面の上にネジ山を含んでもよい。第1チャンバ658内のレギュレータ壁656の内径は、第2チャンバ660内のレギュレータ壁656の内径よりも小さい。筒状突出部662は第2チャンバ660内に延びており、筒状突出部662は、その上端に中心軸Aに対して横断しかつ中心軸Aと同軸の孔664を有する。孔664は、筒状突出部662の内壁662aによって画定される第3チャンバ666と流体連通している。第3チャンバ666は、第1チャンバ658と第2チャンバ660との間にあって第1チャンバ658と第2チャンバ660と流体連通している。一実施形態によれば、第2チャンバ660内には、それによってアクチュエータ680の移動時にレギュレータ壁656とアクチュエータ680との間の摩擦力を除去するOリング又は他のシール部材が設けられていない。さらに、ボディ650は、金属合金、セラミック及び/又は樹脂を含むがこれに限定されない、当技術分野で公知の任意の物質であってもよい。
【0083】
図6Aに示すように、Oリング760は、第3チャンバ666内に、内壁662aに隣接して配置され、孔664に隣接して位置する。ボールベアリング750は、孔664とは反対側のOリング760に隣接する。本明細書に記載されるように、ボールベアリング750及びOリング760は、第3チャンバ666との連通から孔664をシールすることができる。第2バネ742は、ピアスピン670とボールベアリング750との間に、それらの両方に接触して第3チャンバ666内に配置される。第2バネ742は、第2バネ742と内壁662aとの間に摩擦力を生じることなく膨張及び収縮することができるように、内壁662aの直径よりも小さい外径を有するような寸法にされている。Oリング760とボールベアリング750は、それぞれの外径が、内壁662aの内径よりも小さいような寸法にされている。そのように、Oリング760及びボールベアリング750のうちの少なくとも一方が孔664をシールしていないとき、流体は、チャンバ666内、内壁662aとボールベアリング750との間、Oリング760内及びその周囲又はOリング760内もしくはその周囲、を流れ、孔664を通じてチャンバ660に流れる。一例によれば、ボールベアリング750がOリング760に対してシールする場合のシール有効径は、おおよそ1.27mm~3.55mm(0.05インチ~0.14インチ)であり、好適にはおおよそ2.03mm~2.79mm(0.08インチ~0.11インチ)である。
【0084】
引き続き
図6Aを参照すると、第1チャンバ658は、ピアスピン670内のピアスピンチャンバ676によって第3チャンバ666と流体連通している。第1チャンバ658は、第1直径(壁面656aによって画定される)と、より小さな第2直径(壁面656bによって画定される)とを有する領域を含む。第1チャンバ658の表面は、格納装置20’に穴をあけるために使用してもよい部品を収容するためのネジ山(図示せず)を含んでもよい。あるいは、第1チャンバ658の表面のネジ山は、ネジを切った格納装置20’を収容してもよい。たとえば、(たとえばネジ山を使用して)格納装置20’を第1チャンバ658にねじ込むとき、ピアスピン670は格納装置20’に穴をあけてもよい。第3チャンバ666は、チャンバ658の第2直径部位に隣接し、該第2直径部位よりも小さい直径を有する。チャンバ658の第2直径部位と第3チャンバ666との合流点は、第3チャンバ666の外側にあって第3チャンバ666の境界に沿ったノッチ668を画定する。ノッチ668は、その上部に、環状フランジ面668aを画定する。
【0085】
図6Aに、ピアスピン670が示されている。一実施形態によれば、ピアスピン670は、ノッチ668内に配置され、フランジ面668aに隣接してもよい。一実施形態によれば、ピアスピン670は、チャンバ658の第2直径部位の内径と等しい外径を有していてもよい。ピアスピン670は、ボディ部672と、ボディ部672からチャンバ658内に延びている突出部674とを含み、ピアスピン670は、両方の端部において開口しており、ボディ672と突出部674とを通じて延びているピアスピンチャンバ676を画定する。第1チャンバ658は、開口部675を介して、ピアスピンチャンバ676と流体連通していてもよい。チャンバ666に隣接するチャンバ676の第1の部分は、チャンバ658に隣接するチャンバ676の第2の部分よりも大きい直径を有する。一実施形態によれば、突出部674は、中心軸Aに対して角度を持った、好適には中心軸Aに対して直角ではない端壁674aを含む。ピアスピン670は、たとえば、接着剤、ボディ650とピアスピン670との間の摩擦、溶接、ネジ山などによってボディ650に固定されてもよい。これに加えて、あるいはこれに代えて、ピアスピン670は、たとえば付加製造技術によって、ボディ650との単一構造体として形成されてもよい。ピアスピン670は、たとえば、矢印形状(図示せず)を含む任意の適切な幾何学的形状を有していてもよい。このような構成において、突出部674を有する代わりに、ピアスピン670の表面は、開口部675に隣接する狭隘部から径方向外側に傾斜していてもよい。傾斜面は、肩部で終端してもよく、肩部から第3チャンバ666に延びているステムを含んでもよい。矢印形状ピアスピン670は、格納装置20’内に比較的大きな孔を作成するのを容易にしてもよい。空気は、開口部675とステム部とを通じて第3チャンバ666内に流れてもよい。
【0086】
一実施形態によれば、ピアスピン670の突出部674は、格納装置620又は導管622のガスケットに穴をあける。この代わりに、又はこれに加えて、突出部674は、機器でロックしたり、レギュレータ40と格納装置20’又は導管22との間の流体接続を提供したり、といったように、格納装置20’又は導管22に関する機器(図示せず)と相互作用する。一実施形態によれば、ピアスピン670は、金属合金、セラミック及び/又は樹脂を含むがこれに限定されない、当技術分野で公知の任意の物質であってもよい。
【0087】
図6Aは、アクチュエータチャンバ684を画定する外部アクチュエータ壁682と頂壁683とを有する筒状部材である、アクチュエータ680をさらに示す。アクチュエータチャンバ684は、アクチュエータ680の一端で開口しており、端部は、頂壁683の反対側の
図6Aの下部に対向している。一実施形態によれば、かつ
図6Aに示すように、アクチュエータ680は、本明細書でより詳細に説明されるように、頂壁683の近くのアクチュエータ壁682にスルーホール686を含んでもよい。一実施形態によれば、スルーホール686の中心軸は、プロング688に対して直角である。さらに、
図6Aに示すように、プロング688は、頂壁683からチャンバ684内に延びていてもよい。プロング688は、頂壁683に対して直角であり、中心軸Aに沿って、孔664を通じてチャンバ666内に延びていてもよい。組み立てられたとき、アクチュエータ680は第2チャンバ660内に設けられ、筒状突出部662の少なくとも一部を環状に囲む。アクチュエータ680及び筒状突出部662は、筒状突出部662の外壁662bが、アクチュエータ680の内壁680aの直径よりも小さい直径を有するような寸法にされており、それによってアクチュエータ680と筒状突出部662との間に環状空間665を形成する。これにより、アクチュエータ680は中心軸Aに沿って滑動する(動く)ことができ、流体は、空間665においてアクチュエータ680と筒状突出部662との間を流れることができる。一実施形態によれば、アクチュエータ680は、金属合金、セラミック及び/又は樹脂を含むがこれに限定されない、当技術分野で公知の任意の物質であってもよい。
【0088】
引き続き
図6Aを参照すると、ピストン690は、大略的に筒状形状であり、外部ピストン壁692及び底壁693を含み、ピストン壁692の内面と壁693の上面とがピストンチャンバ694を画定し、壁693の反対側の上端でピストンチャンバ694が開放されている。一実施形態によれば、ピストン690は、金属合金、セラミック及び/又は樹脂を含むがこれに限定されない、当技術分野で公知の任意の物質であってもよい。
【0089】
キャップ700も、大略的に筒状形状であり、キャップ外壁702及び上部キャップ壁703を有し、ともにキャップチャンバ704を画定し、キャップチャンバ704は一端で開放されている。突起706は、上部キャップ壁703から延びており、上部キャップ壁703に対して大略的に直角である。
図6Aに示すように、バネ740はピストンチャンバ694内に設けられている。バネ740の第1端部は、ピストン壁693の内部上面に接触する。バネ740は、第1端部の反対側のバネ740の端部が上部キャップ壁703の内部下面に接触するように、突起706の少なくとも一部まで延びておりかつそれを取り囲む。孔(図示せず)は、チャンバ707とピストンチャンバ694とが空気と流体連通してもよいように、突起706の壁によって形成される突起チャンバ707の上の上部キャップ703において形成されてもよい。膜732が下記のように動くときに、このような孔で、ピストンチャンバ694内で高まった真空又は圧力を緩和してもよい。
【0090】
図6及び
図10は、大略的に筒状形状の捕捉シリンダ710を示す。第1壁712は、第1チャンバ716を画定し、段部720によって第1壁712に連結された第2壁714は、第2チャンバ718を画定する。第1チャンバ716と第2チャンバ718とは流体的に連結され、捕捉シリンダ710は、第1チャンバ716と第2チャンバ718との端部において開放されている。一実施形態によれば、第1チャンバ716の直径は、第2チャンバ718の直径よりも大きい。しかしながら、捕捉シリンダ710は、この構成に限定されない。
図6Aに示すように、ピストンチャンバ694の開放端と第2チャンバ718の開放端とが同じ方向を向くように、ピストン690は第2チャンバ718内の位置を占める(
図6Aの上部)。本明細書でより詳細に説明されるように、ピストン690は、第2チャンバ718内で滑動するための寸法と形状とにされている。たとえば、ピストン690の壁692aの外径は、捕捉シリンダ710の内壁714aの直径よりも小さく、それによって、ピストン690と捕捉シリンダ710との間の摩擦力が減少して除去されるか、又はかかる摩擦力が減少されるかもしくは除去される。この摩擦の減少は、要素間の動きにより多くの自由を提供し、それによって流体の排出圧力及び流速の一貫性を改善する。
【0091】
図6及び
図10に示すように、第2壁714の外側部分は、厚い環状領域724を含む。領域724は、第2壁714のうちのより薄い領域に対して先細になる、壁722を含む。一実施形態によれば、第1壁712と第2壁714は、大略的に中心軸Aに対して平行であり、壁720に対して直角であるが、この構成に限定するものではない。
図6Aに示すように、領域724は、キャップ700が捕捉シリンダ710に固定的に取り付けられて捕捉シリンダ710をシールすることを可能にする。たとえば、キャップ700は、当技術分野で公知の任意の方法で、捕捉シリンダ710にスナップフィットされ、溶接され、接着され、ねじ込まれ、又は取り付けられてもよい。捕捉シリンダ710へのキャップ700の装着は、たとえばネジ山を使用して、キャップ700を除去することを可能にしてもよい。あるいは、キャップ700は、たとえば、捕捉シリンダ710にキャップ700を溶接することによって、シリンダ710に固定的に固定され、レギュレータ40を破壊することなく除去することができなくてもよい。加圧流体がレギュレータ40内に流入しない/加圧流体がレギュレータ40通って流れないとき、キャップ700は、レギュレータ40の緩和状態における所定の量によって、バネ740を圧縮するように構成されていてもよい。バネ740の所定の圧縮が、投入口652を通って高圧流体が流れるときに排出口654を介して排出される圧力を決定してもよい。キャップ700によるバネ740の圧縮は、(たとえば、排出圧力の変更を許容するために)レギュレータ40が組み立てられた後に調整可能であってもよく、また、レギュレータ40の組立時に固定されることもできる。
【0092】
引き続き
図6Aを参照すると、膜730は捕捉シリンダ710の第1チャンバ716内に設けられている。膜730は、基部732を含み、壁734は、基部732の外周に沿って延びており、大略的に、基部732に対して直角である。一実施形態によれば、膜730はシリコーン物質で形成されるが、それに限定されるものではない。たとえば。膜730は、柔軟性があり、膜730と、レギュレータ40の他の構造体との間の摩擦係数を減少させる任意の物質であってもよい。
【0093】
図6Aに示すように、膜730は、頂壁683と、ボディ650の第2チャンバ660の上部開口部とを覆う。壁734の内径は、ボディ650のレギュレータ壁656の上部の外径とおおよそ等しく、膜730が、第2チャンバ660の上部開口部をシールすることを可能にする。本明細書で説明するように、これによって、レギュレータ40の操作時に、ボディ650から(排出口654を通じる以外に)流体が逃げることが防がれる。組み立てられたとき、捕捉シリンダ710の段部720の下面は、基部732の頂面に接触し、基部650に膜730を固定する。そのようにして、膜730は、シリンダ710と基部650との間に押し付けられる。たとえば、
図6Aに示すように、捕捉シリンダ710はボディ650にねじ込まれるが、当技術分野で公知のいかなる方法でスナップフィットされ、溶接され、接着され、又は取り付けられてもよい。この代わりに、又はこれに加えて、膜730は、捕捉シリンダ710とは独立して、たとえば接着剤を使用して基部650に固定されてもよい。一例によれば、入口632において変化する圧力に対する感受性を減少させるために、膜730に接触している第2チャンバ660の外径である膜の有効径は、おおよそ15.24mm~31.75mm(0.6インチ~1.25インチ)であり、好適には17.78mm~25.4mm(0.7インチ~1.0インチ)である。
【0094】
次に、レギュレータ40の操作を説明する。
図6Aは、第3チャンバ666がシールされている構成でのレギュレータ40を示すが、これは、流体が孔664を通過しなくてもよいことを意味し、また第3チャンバ666が、第2チャンバ660及び排出口654と流体連通していないことを意味する。
図6Bは、第3チャンバ666がシールされていない(第3チャンバ666が第2チャンバ660及び排出口654と流体連通するように、流体が孔664を通過してもよい)が、レギュレータ40が、格納装置20、格納装置20’などの流体供給源から高圧を受けていない構成でのレギュレータ40を示す。
図6Cは、第3チャンバ666がシールされておらず(第3チャンバ666が第2チャンバ660及び排出口654と流体連通するように、流体が孔664を通過してもよい)、レギュレータ40が、格納装置20、格納装置20’などの流体供給源から高圧を受けている構成でのレギュレータ40を示す。
【0095】
図6Bを参照すると、レギュレータ40が何の高圧にも暴露されていないとき(たとえば、格納装置20、格納装置20’(
図6A~
図6Cには図示せず)が設置されていないとき、又はピアスピン670が格納装置20、格納装置20’にまだ穴をあけていないとき)、
図6Bに示すように、レギュレータ40は、静止状態の均衡にある。静止状態において、バネ740は、ピアスピン670に向かって、中心軸Aに沿って第1方向に力を及ぼしてもよい。バネ740からの第1方向の力は、ピストン690及び膜730に伝えられてもよく、これは、アクチュエータ680(プロング688を含む)に対して第1方向の力を伝えてもよい。プロング688がボールベアリング750に接触しているとき、プロング688は、第1方向の力をボールベアリング750に、ひいてはバネ742に伝えてもよい。
【0096】
一方、バネ742は、上部キャップ壁703に向かって(バネ740によって及ぼされる力の反対方向)、中心軸Aに沿った反対方向の第2方向に力を及ぼしてもよい。バネ742からの力は、ボールベアリング750に伝えられてもよく、これは、プロング788との接触を介して、アクチュエータ780、膜730、ピストン690及びバネ740に、第2方向の力を及ぼしてもよい。バネ742は、Oリング760に向かって、第2方向にボールベアリング750を付勢するように構成されていてもよい。
【0097】
バネ740のバネ定数は、バネ742のバネ定数よりも大きくてもよい(すなわち、バネ740はバネ742よりも硬くてもよい)。バネ740のより大きなバネ定数によって、バネ740はバネ742に対して優位であってもよい。
図6Bの静止状態において、膜730は、膜730がピアスピン670に向かって第1方向に突出するように変形されてもよい。プロング688は、ボールベアリング150とOリング160との間に隙間があるようにボールベアリング750に対して第1方向に押し付けてもよく、第3チャンバ666は、流体が孔664を通過し、第3チャンバ666が第2チャンバ660及び排出口654と流体連通してもよいように、シールされていない/開放されている。
【0098】
レギュレータ40に高圧が導入された後、
図6Cに示すように、高圧流体は、投入口652を通り、ピアスピンチャンバ676を通って、第3チャンバ666内まで通過してもよい。それから、流体は、ボールベアリング750と孔664との間の隙間を通って、アクチュエータチャンバ684内まで通過してもよい。それから、流体は、アクチュエータ680と突出部662との間を流れ、第2チャンバ660まで流れてもよい。
図6Cに示すように、流体はまた、スルーホール686を介して第2チャンバ660まで通過してもよい。続いて、流体は、排出口654(矢印Eによって示される)を通って、流体として通過する。
【0099】
駆動装置634が駆動されないとき、弁(図示せず)は閉じており、流体は、送達システム10を通って流れない。流体は、駆動装置36a、駆動装置36bによって制御される送達システム10の一部(たとえば弁)の下流(出口34に対して)を通過することを妨げられてもよい。したがって、圧力は、送達システム10のその部分(たとえば弁)の上流(出口34から離れて)にあるシステム10の部分において高まってもよい。レギュレータ40は、その部分(たとえば弁)の上流にあってもよく、したがって圧力はレギュレータ40において高まってもよい。
【0100】
レギュレータ40内の圧力上昇は、レギュレータ40の様々な構成要素に影響を及ぼす可能性があり、レギュレータ40を、
図6Cの構成(開放されている/シールされていない)から、
図6Aにおいて示される構成(閉鎖されている/シールされている)へ移行させてもよい。たとえば、第2チャンバ660内に蓄積された加圧流体が、結果として、膜730における第2方向への力となってもよい。この力は、ピストン690及びバネ740に伝えられてもよい。第3チャンバ666内の加圧流体も、ボールベアリング750における第2方向の力となってもよい。ボールベアリング750へのこの力は、アクチュエータ680、膜730、ピストン690及びバネ740に伝えられてもよい。
【0101】
第1方向のこれらのさらなる力は、ボールベアリング750、アクチュエータ680、膜730及びピストン690が、上部キャップ壁703に向かって第2方向に動くように、第1方向のバネ740の力に打ち勝ってもよい。示されるように、膜730は、
図6Aに示される構成において平ら又はおおよそ平らであってもよい。膜730は、膜730が第2方向に突出するように、第2方向にさらに変形することも可能であってもよい。たとえば、膜730は、十分に加圧された構成におけるように、ボールベアリング750に十分な力が及ぼされるとき、第2方向に突出するか又は湾曲してもよい。当然のことながら、
図6A~
図6Cは単に例示であって、レギュレータ40の構成要素のさまざまな位置が可能である。たとえば、静止状態の均衡において(レギュレータ40が加圧流体に暴露されていないとき)、膜730はまっすぐであってもよく、レギュレータ40が加圧されているとき、第2方向に突出してもよい。
【0102】
図7Aの構成において、ボールベアリング750は、Oリング760に押し付けて、ボールベアリング750とOリング760との間のシールを形成してもよい。ボールベアリング750とOリング760とがシールされているとき、第3チャンバ666は、流体が、孔664を通じてアクチュエータチャンバ684内に動かないようにシールされてもよい。
図6Aにおける矢印は、流体が投入口652に流入するが孔664を出ることはできない流体流路を示す。それによって、第2チャンバ660(及び排出口654の下流の領域)での流体の圧力は、一定の値(たとえば、以下に述べるように、0.17~0.68MPa(25~100PSI)に制御された圧力)に制限されてもよい。以下にさらに詳細に説明するように、第2チャンバ660での圧力のこの制御は、駆動装置634が駆動されている場合にも、駆動装置634が駆動されていない場合にも、いずれも行われる。この圧力制御は、送達システム10の構成要素を保護するだけでなく、送達システム10を使用する手順の対象者も保護する。最終的には、別々の格納装置20、格納装置20’が使用されるとき、第3チャンバ666内の圧力は、投入口652を通じて格納装置20、格納装置20’から流体が流れなくなるように、格納装置20、格納装置20’の圧力と等しくしてもよい。
【0103】
駆動装置36a、駆動装置36bが開いているときは下流の弁が開放されているため、流体は出口34から自由に移動してもよい。したがって、流体は第2チャンバ660から流れ、排出口654から流れ出てもよく、それによって、第2チャンバ660と投与機器30の周囲の空気との間の圧力を等しくする。第2チャンバ660は、もはや高圧ではないため、第2チャンバ660内の流体は、膜730に対して、もはや第2方向に力を及ぼさなくてもよい。その結果、第2方向に沿った合力は低下してもよく(高圧流体は、ボールベアリング750に対して第2方向に力を及ぼし続けるものの)、レギュレータ40は、
図6Cに示されるような構成に移行してもよい。ピストン690及び膜730に対する、第1方向に押すバネ740の力は、中心軸Aに沿って、ピアスピン670に向かってアクチュエータ680を動かしてもよい。ピアスピン670に向かうアクチュエータ680の動きは、プロング688に、バネ742に向かってボールベアリング750を押させ、それによって、突出部662の孔664を通じて開口部を提供する。当然のことながら、(バネ740によって及ぼされる)第1方向の力と(バネ742と、膜730及びボールベアリング750上の高圧流体とによって及ぼされる)第2方向の力とのバランスに応じて、孔664が開放される量は異なる可能性がある。
図6Cは、例示的な開放構成を示す。しかしながら、膜730、アクチュエータ680及び/又はボールベアリング750などの部分は、その時に作用している力のバランスに応じてそれらの位置が異なる場合があり、多かれ少なかれ流体が孔664を通過することを可能にする。孔664を通過する流体のさまざまな量が、第2チャンバ660を所望の制御された圧力に維持することを容易にしてもよい(以下にさらに詳細に説明する)。
【0104】
第3チャンバ666がシールされていない間(
図6C)、加圧流体は、格納装置20、格納装置20’から投入口652及び孔664を通って流れてもよい。たとえば、
図6Cに示すように、流路(
図6Cにおける矢印)は、投入口652を通じた流体入力Iを示す。流体は、矢印の方向に、ピアスピンチャンバ676を通じて第3チャンバ666に流れ込む。流体は、孔664を通じてアクチュエータチャンバ684に流れ込み、アクチュエータ680と突出部662との間を第2チャンバ660まで流れる。
図6Cに示すように、流体はまた、スルーホール686を介して第2チャンバ660まで通過してもよい。流体は、続いて、排出口654(矢印Eによって示される)を通じて流体として通過する。流体排出は、本明細書で説明されているように、レギュレータ40によって制御される。示していないが、本明細書で詳細に説明するように、流体を所望の位置に供給するのを支援するために、管、カテーテル又は投与チップなどの1以上の機器が、出口34に取り付けられてもよい。
【0105】
高圧流体が第2チャンバ660に蓄積されると、前述のように、膜730に対して圧力が第2方向に力を及ぼして、第2方向に膜730を動かす可能性がある。この力は、ピストン690に伝えられてもよい。第3チャンバ666内の加圧流体も、上記のように、ボールベアリング750に対する第2方向の力となってもよい。これらの力は、一緒に又は別々に、第3チャンバ666がボールベアリング750とOリング760とを介してシールされている(
図6Aに示すように)構成に、レギュレータ40を移行させてもよい。前述の相互作用は、第3チャンバ666がシールされている構成と第3チャンバ666がシールされていない構成との間の反復的移行をレギュレータ40に行わせる。
【0106】
本明細書に記載の機構を用いて、レギュレータ40は、排出口654を通じて供給する流体圧を制御する。たとえば、圧力は、一方の側のバネ740と、ボールベアリング750及び膜730に対して反対側に押すバネ742及び流体と、の対向する力を制御することによって制御される。
【0107】
バネ740及びバネ742のバネ力は、分散される流体の所望の圧力と、流体が分散される所望の速度とに基づいて予め定められている。たとえば、より低い率(すなわち、バネを25.4mm(1インチ)圧縮するための重量の最低量)とより高い圧縮/圧縮率とを有するバネによって、排出口654を通した流体の圧力に対してより優れた制御を実現してもよい。たとえば、一実施形態によれば、レギュレータ40は、おおよそ0.17~0.68MPa(25~100PSI)の圧力で、より具体的にはおおよそ0.27~0.41Mpa(40~60PSI)の圧力で、かつおおよそ5~15リットル毎分(LPM:liters per minute)の速度で、より具体的には7~10LPMの速度で、組織に止血薬を供給するために設計されてもよい。レギュレータ40は、格納装置20、格納装置20’から、一定の圧力及び一定の流体の流れを提供する。
【0108】
流体が格納装置20、格納装置20’から放出されるとき、格納装置20、格納装置20’から放出される圧力は、たとえば、高圧(おおよそ5.86MPa(850PSI))から、格納装置20、格納装置20’が空の場合のゼロMPa(ゼロPSI)まで変化する。格納装置20、格納装置20’における圧力が低下するにつれて、ボールベアリング750及び膜730に対する流体の圧力は変化(たとえば減少)し、バネ740に対して第2方向に及ぼされる力は減少する。したがって、格納装置20、格納装置20’における圧力が低下すると、バネ740の力は、孔664の大部分を開口させ、それによって、出力口654での流体供給の一定の流速及び圧力を提供する。しかしながら、格納装置20、格納装置20’からの流体の圧力は、圧力の制御が必要な場合、ボールベアリング750とOリング760との間の接触を介してチャンバ666のシールを提供するために、ボールベアリング750に対して力を及ぼし続けるのに十分に大きくてもよい。
【0109】
図6Aに示される構成は、流体の流速及び排出圧力の一貫性を改善する。たとえば、膜730は、シリコーン又は他の摩擦低減物質である。シリコーンは、格納装置20、格納装置20’からの流体の高い流速によってレギュレータ40内に存在する低温において柔軟性を維持してもよい。すなわち、アクチュエータ680が中心軸Aに沿って動くとき、第2チャンバ660内に、アクチュエータ680とボディ650のレギュレータ壁656の内面との間に、これらに接触する構造体(Oリングなど)が存在しない。このような構造体は、摩擦力の原因となり、アクチュエータ680の移動を困難にし、それによって、流体の流速と排出圧力とが維持される一貫性が低下するであろう。これにより、
図6Aのレギュレータ40は、アクチュエータ680とピストン690とが中心軸Aに沿って動くとき、摩擦力を最小限にし、流体の流速と排出圧力とに改善された一貫性を提供する。
【0110】
図7に、レギュレータ40’の他の実施形態を示す。
図7での同様の要素は、
図6Aでのものと同様の参照文字を有する。
図7に示すように、レギュレータ40’は、流体の流れと圧力とを制御するための、いくつかの異なる構造体を有する。さらに、レギュレータ40’は、捕捉シリンダ710’とボディ650’との間のスナップフィット連結部を示している。たとえば、
図7に示す実施形態において、レギュレータ壁656’は、捕捉シリンダ710’の第1壁712’とスナップフィットされる。加えて、及び/又は代わりに、捕捉シリンダ710’及びボディ650’は、接着剤、溶接又は当技術分野で公知の任意の他の装着機構によって取り付けられてもよい。
【0111】
図7に示すように、アクチュエータ680’はポペット770と相互作用する。ポペット770は、ボディ772、タブ774及び突出部776を含む。突出部776の一端は、アクチュエータ680’に接触するように構成されている。突出部776は、本明細書でより詳細に説明されるように、突出部776とアクチュエータ680’とを一緒に動かすことを可能にするために、例、接着又は溶接によってアクチュエータ680’に固定されてもよい。突出部776は、基部650’において孔664を通じて延びており、Oリング760’は、孔664とタブ774との間の空間をシールする。Oリング760’は、開口部を流体的にシールするための樹脂又は、当技術分野で公知の任意の他の物質(たとえばシリコーン)であってもよい。一例によれば、Oリング760’が孔674とタブ774との間の空間に対してシールする場合のシール有効径は、おおよそ1.27mm~3.55mm(0.05インチ~0.14インチ)であり、好適にはおおよそ2.03mm~2.79mm(0.08インチ~0.11インチ)である。
図7にさらに示されるように、ボディ772は、ピアスピン670に対してポペット770が軸方向に動くように、ピアスピン670のチャンバ676内に延びている。たとえば、ポペット770の外壁770aは、チャンバ676の内壁676aの直径よりも小さい直径を有する。これにより、流体が投入口652から第3チャンバ666に流れてもよい。
図7の実施形態において、第2チャンバ660内にバネ744が設けられ、筒状突出部662の周りに環状に配置され、本明細書に記載されるように、アクチュエータ680’を中心軸Aに沿って動かす。
【0112】
図6Aと同様に、
図7のOリング760’は、第3チャンバ666内の内壁662aに隣接して配置され、孔664に隣接して位置する。タブ774は、孔664の反対側のOリング760’に隣接する。Oリング760’は、タブ774に対して固定されてもよい。たとえば、タブ774は、Oリング760’を受け入れるための溝又は代替構造を含んでもよい。本明細書に記載されるように、タブ774及びOリング760は、Oリング760’が内壁662aに対して押し付けられるとき、第3チャンバ666との連通から孔664をシールすることができる。第3バネ744は、アクチュエータ680’と基部650との間に、これら両方に接触して、第2チャンバ660内に配置される。第3バネ744は、第3バネ744が、第3バネ744と第2チャンバ660の外壁との間に摩擦力を生じることなく膨張し収縮することができるように、第2チャンバ660の外径よりも小さい外径を有するような寸法にされている。Oリング760’とタブ774は、それぞれの外径が内壁662aの直径よりも小さいような寸法にされている。そのように、Oリング760’及びタブ774のうちの少なくとも一方が孔664をシールしていないとき、流体は、内壁662aとタブ774及び/又はOリング760’の間を流れ、孔664を通じてチャンバ660に流れる。
【0113】
次に、レギュレータ40’の操作について説明する。
図7のレギュレータ40’は、
図6Aを参照して説明されたのと同様に作動する。レギュレータ40’は、Oリング760’が内壁662aに対して押し付けられ、流体が、Oリング760と内壁662aとの間、又はOリング760’とタブ774との間を通過しないようにシールを形成する、シールされている第1構成(
図7に示す)を有していてもよい。これにより、流体は、孔664を通過することができなくてもよく、レギュレータ40’は、流体が孔664を通って流れないように、Oリング760’が、内壁662a及びタブ774のうちの少なくとも一方とのシールを形成しない、シールされていない第2構成(図示せず)を有していてもよい。
【0114】
バネ744は、バネ740に、対向する力を提供する。投与機器30の駆動装置36a、駆動装置36bの1以上が操作されるとき、第2チャンバ660と投与機器630の周囲の空気との間の圧力は等しくされ、それによって、シールされている
図7の構成(Oリング760’が、孔664を通る流体の通過を妨げる)から、シールされていない構成(Oリング760’が、孔664を通る流体の通過を妨げない)へとレギュレータ40’が移行し、それによって流体を放出する。本明細書で述べたように、流体の放出時に、バネ740は、膜730に対してピストン690を押し付け、それによって、ピアスピン670に向けてアクチュエータ680’を押す。ピアスピン670に向かうアクチュエータ680’の動きは、Oリング760’を含むポペット770を、ピアスピン670に向かって第1方向に動かす。ポペット770が第1方向に動くとき、Oリング760’と内壁662aとの間に空間がうまれる。格納装置20、格納装置20’からの流体は、Oリング760と内壁662aとの間の空間を通って流れ、孔664を通過してもよい。あるいは、ポペット770のタブ774をOリング760の周りで緩め、それによって第3チャンバ666と孔664との間の開口部を作成する。流体は、
図7での流路によって示されるように、格納装置20、格納装置20’から、ピアスピン670のチャンバ676を通じて第2チャンバ660内に動き、排出口654を通って動いてもよい。レギュレータ40’は、タブ774とOリング760’との間のシールによって、流体が排出口654を通過しない構成で示されているが、
図7での流路は、Oリング760’の周りでタブ774を緩めるときにどのように流体が流れるかを示す。
図7に示される構成は、流体の流速及び排出圧力の一貫性を同様に改善する。
図7の構成によって、特に、Oリング760’、タブ774、及び内壁662aの間のシール径を減少させてもよい。この減少した直径は、流体の通過が、所望の制御された圧力からの偏差をもたらす場合、孔664からの流体の通過を妨げるための、さらなるシールを可能にしてもよい。
図6A~
図6Cを参照して説明したように、膜730及びアクチュエータ680’の動きによって、孔664を通過して排出口654を出る一定量の流体の動的調整を可能にしてもよい。
【0115】
本明細書で述べたように、膜730は、アクチュエータ680とボディ650との間の摩擦を減少させる。この摩擦の減少は、要素間の動きにより多くの自由を提供し、それによって流体の排出圧力及び流速の一貫性を改善する。また、本明細書で説明されているように、スルーホール686はアクチュエータ680内に設けられてもよい。スルーホール686は、排出口654からの流体の流れの一定の圧力及び一定の速度を提供するのに役立ってもよい。
【0116】
図11A及び
図11Bは、前述のレギュレータ40又はレギュレータ40’の特性のいずれかを有してもよく、送達システム10と組み合わせて使用してもよいさらなる例示的なレギュレータ40’’を示す。レギュレータ40の特徴に対応するレギュレータ40’’の特徴のすべてが以下の記載で説明されているわけではないが、それ以外の場合が明示的に述べられている場合を除き、当然のことながら、それらの特徴がレギュレータ40’’に存在してもよい。同様の参照番号は、対応する構造体を意味する。
図11Aは、シールされている第3チャンバ666を有するレギュレータ40’’を示し、
図11Bは、シールされていない第3チャンバ666を有するレギュレータ40’’を示す。
【0117】
レギュレータ40’’は、Xリングシール760’’(たとえば四角形リングシール)を含んでもよい。Xリングシール760’’は、角丸を有し、X字型に近い断面を有していてもよい。Xリングシール760’’は、中央外周と、中央外周から径方向外側に延びている4つの突出部762、764、766、768を有していてもよい。あるいは、Xリングシール760’’は、他の適切な数の突出部を有していてもよい。Xリングシール760は、Xリングシール760’’が5つ以上の突出部を有する、アスタリスクに似た断面を有していてもよい。
【0118】
Xリングシール760’’は、筒状突出部662の内壁662aに取り付けられてもよい。たとえば、内壁662aは、Xリングシール760’’が受け入れられてもよい1つ又は複数の溝を有していてもよい。突出部764、766及び768はそれぞれ内壁662aの1以上の表面に接触してもよい。たとえば、以下に述べるように、内壁662aの表面662aa、表面662abは、Xリングシール760’’が受け入れられてもよいコーナーを形成してもよい。表面662aa及び662abのそれぞれは、第3チャンバ666に面してもよい。
【0119】
Oリングと比較して、Xリングシール760’’は、内壁662aへのさらなる接触点を提供する。当然のことながら、本明細書で接触点が言及される場合、Xリングシール760’’と内壁662aとの間の接触は、単なる1以上の点の上に延びていてもよく、より大きな(そしておそらくは連続的な)領域を含んでもよい。
【0120】
Xリングシール760’’は、内壁662aへの4つの接触点を提供してもよい。内壁662aの第1表面662aaは、軸Aに垂直又は略垂直であってもよい。内壁662aの第2表面662abは、軸Aに平行又は略平行であってもよい。第1表面662aaと第2表面662abはコーナーで交わってもよい。突出部768は、点W(
図11Aの挿入画像で示される)で第1表面662aaに接触してもよい。突出部764は、点Xで第2表面662abに接触してもよい。突出部766は、第2表面662ab(点Yで)及び第1表面662aa(点Zで)の両方への接触点を有していてもよい。対照的に、Oリングは、第1表面662aaへの1つの接触点及び第2表面662abへの1つの接触点を提供するだけである。したがって、Xリングシール760’’は、さらなる個別の接触点を提供することによって、Oリングよりも、より重複したシールを提供する。点W、X、Y及びZは、隙間又は空間によって相互に分離していてもよい。1以上の接触点が破られても、他の接触点がシールを提供する。Xリングシール760’’は、2つ(又は3つ)の接触点が破られてもシールを維持することができるであろうが、2つの接触点が破られたOリングは、シールを提供することができないであろう。さらに、分離された接触点W、X、Y、Zを有することによって、シールを強化する、吸引効果を提供してもよい。
【0121】
Xリングシール760’’と内壁662aとの間の接触W、X、Y、Zのそれぞれの表面積は、Oリングと内壁662aとの間で接触するそれぞれの表面積よりも小さくてもよい。Oリング760と比較して、Xリングシール760’’の突出部762、764、766、768は、Xリングシール760’’と内壁662aとの間のより狭い、より集中的な接触点を提供してもよい。突出部762、764、766及び768のそれぞれの曲率半径は、Oリングの曲率半径よりも小さくてもよく、より画定された接触点を生じる。
【0122】
ボールベアリング750’’(又は別の種類のボディ)をXリングシール760’’に(少なくとも1点で)押し付けて、Xリングシール760’’に(少なくとも1点で)接触するとき、より集中的なこれらの接触は、Oリングと比較してさらなるシールを提供してもよい。Oリングと比較して、より小さい領域に対してボールベアリング750’’によって同じ(又は同様な)力が及ぼされるため、より大きな圧力がXリングシール760’’の突出部762、764、766、768に及ぼされてもよく、それによってさらなるシールを提供してもよい。突出部762、764、766、768の形状によって、Xリングシール760’’とボールベアリング750’’又は内壁662aとの間の各接触点で及ぼされる圧力は、Oリングの対応する圧力よりも大きくてもよい。以下にさらに詳細に説明するように、ボールベアリング750’’が比較的小さな力を及ぼす場合(たとえば、圧力が格納装置20、格納装置20’内で低下したとき)でも、Xリングシール760’’は、Oリングと比較して、ボールベアリング750’’に対してより信頼性のあるシールを提供する可能性がある。
【0123】
Xリングシール760’’は、以下に述べる所望のシール特性をもたらすために選択されるデュロメータ寸法を有していてもよい。たとえば、デュロメータ寸法は、70又はおおよそ70であってもよい。シール760’’のデュロメータ寸法は、おおよそ55~おおよそ90の範囲であってもよく、より具体的には、おおよそ70~おおよそ80の範囲であってもよい。Xリングシール760’’は、送達システム10の操作時にレギュレータ40’’に存在してもよいような条件(たとえば、おおよそ-50℃のような低温で(たとえば、おおよそ-40℃~おおよそ-60℃で))でエラストマー特性を維持するためにXリングシール760’’を可能にする物質で形成されてもよい。たとえば、Xリングシール760’’は、すべてシリコーン、ゴム(ニトリルゴムなど)及び/又はポリウレタンで形成されてもよく、又はそれを含んでもよい。Xリングシール760’’の品質を有するXリングシールを、上記のレギュレータ40、レギュレータ40’でのOリング760又はOリング760’の代わりとして使用してもよい。Oリング760又はOリング760’は、前述のXリングシール760’’のデュロメータ及び材料特徴のうちの少なくとも一方を有していてもよい。
【0124】
レギュレータ40’’は、ボールベアリング750’’も含んでもよい。ボールベアリング750’’(又はその部分)を形成する物質は、以下に述べる、ボールベアリング750’’とXリングシール760’’との間の所望のシールを実現するために選択されるデュロメータ寸法を有していてもよい。たとえば、ボールベアリング750’’のデュロメータ寸法は、90又はおおよそ90であってもよい。ボールベアリング750’’のデュロメータ寸法は、おおよそ80~おおよそ90の範囲であってもよい。ボールベアリング750’’の組成は、固体、液体及び/又は凍結ガスの二酸化炭素に暴露されたときに、ボールベアリング750’’がレギュレータ40’’の他の部品に凍り付かないようなものであってもよい。たとえば、ボールベアリング750’’は、すべてゴム、シリコーン、ニトリル、ポリウレタン、スチール及び/又はセラミックスで形成されてもよく、又はそれを含んでもよい。ボールベアリング750’’の特徴を有するボールベアリングは、Xリングシール760’’と組み合わせて、又は別々に、のいずれかで、上記のレギュレータ40でのボールベアリング750の代わりとして使用してもよい(すなわち、レギュレータ40は、Xリングシール760’’及びボールベアリング750’’の一方又は両方の品質を有する構造体を使用してもよい)。
【0125】
Xリングシール760’’は、1.58mm(1/16インチ)の断面(線Bに沿って測定され、
図11Aの挿入図に示される)、1.98mm~2.77mm(5/64~7/64インチ)の内径(線Cに沿って測定され、
図11Aに示される)及び5.15mm~5.95mm(13/64~15/64インチ)の外径(線Dに沿って測定され、
図11Aに示される)を有していてもよい。Xリングシール760’’は、おおよそ0.79mm(1/32インチ)とおおよそ2.38(3/32インチ)の間の断面、おおよそ1.58mm(1/16インチ)とおおよそ3.17mm(1/8インチ)の間の内径及び、おおよそ4.76mm(6/32インチ)とおおよそ3.17mm(1/8インチ)の間の外径を有していてもよい。ボールベアリング750’’は、おおよそ4.77mm(0.188インチ)の直径を有していてもよい。システム10で使用するためのレギュレータ40’’、又は代替システムに使用するためのレギュレータ40’’のいずれかにおいて、同様な、又は代替の寸法を使用してもよい。ボールベアリング750’’の寸法は、第3チャンバ666の直径を超えなくてもよく、Xリングシール760’の内径を超えてもよい。たとえば、ボールベアリング750’’は、3.17mm(0.125インチ)と6.35mm(0.25インチ)の間の直径を有していてもよい。たとえば、代替システムで使用されるレギュレータ40’’は、システム10で使用されるレギュレータ40’’とは異なる寸法を有していてもよい。
【0126】
次に、レギュレータ40’’の操作を説明する。
図11A~
図11Bのレギュレータ40’’は、
図6A~
図6Cを参照して説明されたのと同様に作動する。したがって、レギュレータ40’’の操作は、別途に詳細に説明はしない。レギュレータ40とレギュレータ40’’の間の操作の違いを以下に述べる。
【0127】
ボールベアリング750及びOリング760と同様に、ボールベアリング750’’及びXリングシール760’’は、第3チャンバ666との連通から孔664をシールしてもよい。
図11Aは、流体が孔664を通過することができないように第3チャンバ666がシールされている、レギュレータ40’’を示す。レギュレータ40’’の特定の構成(
図11Aに示すように)において、ボールベアリング750’’は、Xリングシール760’’の突出部762に対して力を及ぼしてもよい。このような構成は、レギュレータ40について前述されている。
【0128】
上記のように、ボールベアリング750’’とXリングシール760’’との間のシールは、ボールベアリング(たとえばボールベアリング750)とOリングシール(たとえばOリング760)との間のシールよりも強くてもよい。上記のように、突出部762は、Oリング760よりも小さい曲率湾曲を有している。したがって、所与の力に対しては、ボールベアリング750’’は、突出部762に対してより大きな圧力を及ぼし、それは、Xリングシール760’’とボールベアリング750’’との間により強いシールを提供する。
【0129】
ボールベアリング750’’を突出部762に押し付けるとき、第2、第3、及び第4突出部である764、766、768は、それぞれ、点W、X、Y及びZにおいて表面662aa及び表面662abに対して押し付けてもよい。上記のように、突出部664、666及び668は、接触点の数の増加によって、重複したシールを提供してもよい。
【0130】
ボールベアリング650’’及びXリングシール660’’によって提供されるさらなるシールは、レギュレータ40’’の性能を向上させてもよい。たとえば、圧力が制御される必要があり、第3チャンバ666がシールされている必要がある場合には、さらなるシールによって、孔664を通じて流体が漏れることを防いでもよい。さらに、レギュレータ40について前述したように、格納装置20、格納装置20’から放出される流体の圧力は、時間の経過とともに変化してもよい。特に、格納装置20、格納装置20’からの圧力は、時間の経過とともに減少してもよい。格納装置20、格納装置20’からの圧力が低下するにつれて、加圧流体によってボールベアリング750’’に対して第2方向に及ぼされる力は低下してもよい。しかしながら、所望の制御された圧力を実現するためには、チャンバ666のシールが必要な可能性がある。Oリングが使用されるとき、ボールベアリング750’’が及ぼす力が減少すると、シールチャンバ666に対してもたらされる圧力が不十分になる可能性がある。突出部762の領域/容量がより小さいため、Xリングシール760’’にシール圧を及ぼすために、より小さい力が必要な可能性がある。したがって、格納装置20、格納装置20’からの圧力が低下するときに、Xリングシール760’’は、必要に応じて、チャンバ666のシールを維持してもよいが、一方で、Oリングは、同様な状況下で、あまり一貫したシールを維持しなくてもよい。Xリングシール760’’によって達成されるさらなるシールによって、レギュレータ40’’の性能を向上させてもよい。
【0131】
レギュレータ40、レギュレータ40’、レギュレータ40’’の特徴の多くは筒状として記載されているが、要素の形状はそれに限定されるものではない。むしろ、特徴は、格納装置20、格納装置20’からの流体分散を適切に制御するために、レギュレータ40、レギュレータ40’、レギュレータ40’’に適した任意の形状であってもよい。さらに、特段の記載がない限り、投与機器30及びレギュレータ40、レギュレータ40’、レギュレータ40’’、のうちの少なくとも一方の構造要素は、金属合金、セラミック及び/又は樹脂を含むがこれに限定されない当技術分野で公知の任意の物質であってもよい。
【0132】
図12を参照すると、一実施形態によるリリーフ弁62が示されている。リリーフ弁62は、たとえば、膜レギュレータ44又はレギュレータ40の1以上が作動しないときに、格納装置20、格納装置20’から噴射流体を排出するために、膜レギュレータ44と容器100(理解しやすくするため、容器100のハウジング107は
図12には図示せず)との間の第2流体通路48に沿って配置される。たとえば、リリーフ弁62は、リリーフ弁62での圧力が、最終的な所定の制御された圧力(たとえば、適切に機能し適切に調節されたレギュレータ40及び膜レギュレータ44を通過した後の噴射流体の圧力)を超えるときに破裂してもよい破裂ディスク62aを含む。破裂ディスク62aが破裂する圧力は、おおよそ0.13MPa~1.03MPa(20PSI~150PSI)であってもよく、より好適にはおおよそ0.34MPa~0.48Mpa(50PSI~70PSI)であってもよく、より好適にはおおよそ0.41Mpa(60PSI)であってもよい。当然のことながら、破裂ディスク62aの破裂圧力は変更されてもよく、又は、膜レギュレータ44からの所望の排出圧力に基づいて、異なる破裂圧力を有する破裂ディスク62aを使用してもよい。リリーフ弁62は、破裂ディスク62aに限定されるものではなく、所望の排出圧力を超える圧力で噴射流体を排気するのに適した任意のリリーフ弁、たとえばパイロット弁などであってもよいことも理解されるであろう。リリーフ弁62は、
図12に示すように配置されることに限定されるものではなく、噴射流体及び噴射流体と物質の混合物又は噴射流体もしくは噴射流体と物質の混合物が所望の圧力を超えて投与機器30から放出されることを防ぐために、格納装置20、格納装置20’と出口34との間の任意の位置に配置されてもよいこともさらに理解されるであろう。これに加えて、あるいはこれに代えて、リリーフ弁62は、流体圧を放出するために、流体通路に沿った任意の位置に設置されてもよい。
【0133】
一実施形態による容器100は、
図13に示される。上記のように、容器100は、格納装置20、格納装置20’からの噴射流体と混合され、出口34を通じてカテーテル190に分注される粉末、流体又は他の物質を格納してもよい。容器100は、容器100のハウジング107と、内部チャンバ106の最底面を画定する投与機器30の表面109とによって画定される、内部チャンバ106を格納する。内部チャンバ106は、粉末、流体又は他の物質を含む。一例によれば、ハウジング107は、内部チャンバ106を視覚化するための透明な物質であるが、本発明はそれに限定されるものではない。噴射流体は、第2流体通路48から、チャンバ入口102を介して容器100に入る(
図14A及び
図14B参照)。噴射流体は、容器100(前述のように、噴射流体は、フィルタ孔104aを介して複数の第6通路Oを通じて容器100に入る)の、粉末又は流体を格納する内部チャンバ106の最底面109でのフィルタ孔104a内に設けられたフィルタ104を通過する。
図13には、2つのフィルタ孔104aが示されているが、容器100は、任意の数のフィルタ孔104a、たとえば1~4のフィルタ孔104aを含んでもよい。フィルタ104は、投与機器30を詰まらせて汚染させる可能性のある、又は、投与機器30を詰まらせるかもしくは汚染させる可能性のある、内部チャンバ106からの粉末又は流体が、内部チャンバ106から第2流体通路48まで遡って通過することを防ぐため、直径でおおよそ25~50ミクロンの孔を有する寸法にされていてもよい。
【0134】
引き続き
図13を参照すると、内部チャンバ106は、チャンバリリーフ弁108を含む。チャンバリリーフ弁108は、リリーフ弁62と類似していてもよく、たとえば、破裂ディスク又は当技術分野で公知の任意の他の圧力逃がし弁であってもよい。リリーフ弁62と同様に、チャンバリリーフ弁108は、投与機器30内(特にチャンバ106内)の圧力が最終的な制御された圧力を超えるときに圧力を緩和する。たとえば、リリーフ弁108の破裂圧力は、おおよそ0.13MPa~1.03MPa(20PSI~150PSI)、より好適にはおおよそ0.34MPa~0.48Mpa(50PSI~70PSI)、より好適にはおおよそ0.41Mpa(60PSI)であってもよい。チャンバリリーフ弁108は、内部チャンバ106の最底面内に設けられるが、リリーフ弁108の位置は、それに限定されるものではない。示していないが、リリーフ弁108は、内部チャンバ106の最底面109内に設けられた内腔を通じて噴射ガスを排出してもよい。
【0135】
管110、たとえばハイポチューブが、内部チャンバ106の最底面109から、大略的にそれと直角に、内部チャンバ106の最表面に向かって延びているが、この構成に限定されるものではない。
図12及び
図13に示すように、スロット112が、内部チャンバ106の最底面近くの管110に、かつ管110の壁内に設けられる。スロット112は、出口34に連結するチャンバ出口114(
図14A及び
図14B参照)に流体的に連結され、噴射流体と、内部チャンバ106からの流体、又は流体と粉末との混合物が、内部チャンバ106から出口34に分注されることを可能にする。この代わりに、又はこれに加えて、内部チャンバ106からのさらなる分注出口を提供してもよい、管110の縦軸Aの周りに周方向に配置された複数のスロット112が存在してもよい。他の例によれば、スロット112は、管110内に設けられた1以上の円形の(又は他の形の)孔であってもよい。スロット112の形状、数及び配置は、内部チャンバ106からチャンバ出口114への、噴射流体と粉末の混合物の適切な量の分注を支援してもよく、スロット112の数は、所望の排出に応じて変更してもよい。一例によれば、スロット112の面積(1つのスロット112の面積又はすべてのスロット112の面積の合計のいずれか)は、噴射流体と物質の混合物の所望の送達速度に応じて、おおよそ1.61mm
2~19.35mm
2(0.0025平方インチ~0.030平方インチ)であってもよく、より好適には2.96mm
2~16.12mm
2(0.0046平方インチ~0.025平方インチ)であってもよい。さらに、スロット112は、フィルタ孔104aからおおよそ1.27mm~5.08mm(0.05~0.2インチ)であってもよい。
【0136】
容器100は、内部チャンバ106の最底面から延びている1以上のスペーサ216(
図12参照)を含んでもよい。以下により詳しく説明するように、スペーサ216は、容器100を通じた物質及び噴射流体又は物質もしくは噴射流体の動きを変えてもよい。当然のことながら、容器100は、スペーサ216なしで構成されていてもよい。
【0137】
図13、
図14A及び
図14Bに示すように、リング又はホイール型取り付け部材116は、スポーク116aを含み、シース118(以下で詳細に説明されている)に取り付けられてシース118から延びており、ハウジング107の内面に取り付けられている。取り付け部材116は、ハウジング107の動きが、シース118の同時移動をもたらすように、シース118をハウジング107に連結させてもよい。取り付け部材116(及び、スペーサ216を含む実施形態におけるスペーサ216)は、その中の物質の動きを変えるために、内部チャンバ106内の1以上の空隙を埋めてもよい。たとえば、取り付け部材116とスペーサ216は、物質と内部チャンバ106内に配置された物質との適切な混合と、スロット112を通じた混合物の適切な分注と、の両方又は一方を妨げるであろう空隙を埋めてもよい。取り付け部材116とスペーサ216は、噴射流体と物質との組み合わせが内部チャンバ106を通過するための、新たな通路及びさらなる通路のうちの少なくとも一方を、さらに作成してもよい。たとえば、
図14A及び
図14Bに示すように、取り付け部材116のスポーク116aの間に、容器100内の流体と物質の流れパターンを変えつつ、噴射流体と物質がその間に流れるのを可能にする空間が存在する。これらのさらなる通路は、噴射流体と物質の混合を改善してもよく、また、より一定の量の物質が内部チャンバ106から排出されるのを確実にしてもよい。
【0138】
引き続き
図13を参照すると、シース118は、管110の外面に管110と同軸に設けられる。さらに、円錐形部材120は、内部チャンバ106の最表面に隣接し、ハウジング107と一体に形成されるか、又は別様にハウジング107に固定されてもよい。閉鎖構成において、たとえば、
図14Aに示すように、内部チャンバ106が投与機器30に流体的に連結されていないとき、シース118は、スロット112を覆ってシールし、円錐形部材120は、管110の最遠位端部110a内に延びて最遠位端部110aをシールする。この閉鎖構成は、内部チャンバ106内に提供されている物質が汚染されることを防ぎ、医師がその物質を分注する準備を整える前にその物質が分注されることを防ぐ。対照的に、
図14Bに示すように、内部チャンバ106が開放構成であり、内部チャンバ106が投与機器30に流体的に連結されているとき、スロット112は露出され、管110の最遠位端部110aは内部チャンバ106に開放されている。開放構成は、内部チャンバ106内の噴射流体と物質の混合物が、スロット112を通じて出口34に分注されることを可能にする。
【0139】
図14Aにさらに示されるように、1以上のカム122は、ハウジング107の内面又は外面に取り付けられ、カムシャフト124内に配置され、カムシャフト124に沿って移動可能である。カムシャフト124は傾斜路形であり、内部チャンバ106からチャンバ入口102に向かって下方に傾斜している。
図14Aの矢印Yの方向に容器100をねじることによって実現される閉鎖構成において、カム122は、内部チャンバ106の近くに配置されるカムシャフト124の第1端部124bに配置される。
図14Bにおいて、矢印Xの方向に容器100をねじることによって実現される開放構成において、
図14Bに示すように、カム122は、カムシャフト124の、第1端部124bの反対側にある第2端部124aに配置される。容器100が矢印Xの方向にねじられると、
図14Bに示すように、ハウジング107は上方に動く。取り付け部材116は、ハウジング107の内側に取り付けられるため、また、取り付け部材116は、シース118にも取り付けられるため、矢印Xの方向に容器100をねじることによって、シース118も上方に動いてスロット112を露出する。さらに、ハウジング107の内側には円錐形部材120も取り付けられるため、容器100を上方に動かすことによって、管110の最遠位端部110aが露出される。
【0140】
投与機器30をハウジング107に取り付けるために、カム122は、カムシャフト124のU字型溝124cに配置される。次に、ハウジング107は、前述のように、矢印Yの方向にねじって容器100を閉鎖してもよいし、又は、矢印X(閉鎖位置から)の方向にねじって容器100を開放してもよい。一例によれば、1以上のOリング及びシール部材又は1以上のOリングもしくはシール部材は、シールハウジング107を投与機器30に流体的にシールすることを支援するために、ハウジング107と投与機器30との間に設けられてもよい。
【0141】
次に、医療機器10の操作方法を説明する。投与機器30及び格納装置20’のうちの少なくとも一方は、それが取り付けられた容器100とともにパッケージされてもよく、又は、別々に投与機器に取り付けられた容器100も可能である。容器100が投与機器30に取り付けられた後で、格納装置20’が入口42に取り付けられてもよい。たとえば、格納装置20’は、ロック機構50を使用して投与機器30に取り付けられてもよい。一例によれば、格納装置20’は、
図4に示すように、レバー52が第1位置にあるとき、ピストン58の表面に配置されてもよい。続いて、ピボット軸Rの周りのハンドル31に向かってレバー52が押され、装着機器38を介して、入口42に向かって格納装置20’を付勢する。投与機器30上のピアスピン(図示せず)は格納装置20’のシール(図示せず)を破壊し、格納装置20’と投与機器30とを流体連通させる。レバー52は、カム57がロックノッチ56に収まっているときに、ハンドル31に隣接するレバー52の位置を維持するとともに入口42に向かって格納装置20’を維持するためのロック位置に保持される。
【0142】
図2を参照すると、第1アクチュエータ36aと第2アクチュエータ36bの駆動は、投与機器30を通じた噴射流体の放出を独立して制御してもよい。たとえば、第2アクチュエータ36bの駆動は、第1流体通路46に沿って、すなわち、
図3に示すように、噴射流体を、第1通路J、第2通路K及び第4通路Lを通じて出口34まで移動させる。カテーテル190が投与機器30に取り付けられている場合(
図2参照)、この第1流体通路46の使用は、ユーザに、出口34及びカテーテル190のうちの少なくとも一方から物質をパージすることを可能にする。投与機器30内に放出される噴射流体の圧力は、レギュレータ40を参照して本明細書で説明されているように制御されてもよい。
【0143】
図14A及び
図14Bを参照すると、ユーザは、X方向に容器100を回転させることによって、第1位置(
図14A)から第2位置(
図14B)まで容器100を動かす。
図14Bに示すように、スロット112は内部チャンバ106に露出される。さらに、第2位置において、第6通路O及び第7通路O’を含む中間部は、第8通路Pを含む遠位部と、第2流体通路48の第1、第3及び第5通路J、M及びNを含む近位部とに流体的に連結されている。続いて、ユーザは、第2駆動機器36aを駆動させて、噴射流体を、第2流体通路48の近位部を通じて内部チャンバ106内に移動させる。噴射流体は、容器100内で粉末などの物質と混ざり合い、物質と噴射剤の混合物は、スロット112を通じて第2流体通路48の遠位部内に排出される。噴射流体と物質の混合物は出口34で投与機器を出て、カテーテル190を下って、遠位端193まで移動する(
図35参照)。ユーザは、異なる位置に遠位端193を移動させることによって、標的位置に混合物を導くことができる。
【0144】
図15及び
図16を参照して、他の実施形態による、生体内の部位(たとえば標的部位)に粉末剤(たとえば粉末治療薬)を流体化し送達するための機器100’。一例による機器(たとえば容器)100’は、管110の長さに沿って動いてスロット112の上に延びてスロット112の開口部の寸法を制御するように管110の一部に移動可能に取り付けられた、オーバーチューブ(たとえばシース)118’をさらに備える。スロット寸法を増やすことによって粉末送達速度が上昇する一方、スロット寸法を減少させることによって粉末送達速度が減少することが、試験によって示されている。オーバーチューブ118’は、最初の構成から管110に対して移動可能であり、該最初の構成において、オーバーチューブ118’は、開放構成に向けてスロット112の少なくとも一部を覆い、また、該最初の構成において、オーバーチューブ118’は、粉末が分注されるにしたがってキャニスタ107’内の粉末剤の量が減少するときであっても流体化粉末送達の送達速度が閾値レベルよりも高く維持されても(たとえば、経時的に実質的に一定に保たれても)よいように、治療手順の過程でスロット112の寸法を徐々に増やすために、管110の長さに沿って動かされる。当然のことながら、流体化粉末/物質は、限定するものではないが、その中に又はそれを通じて噴射流体(たとえばガス)を通過させることによって流体の特徴を獲得する粉末/物質と、さらに、噴射流体について行く物質又は噴射流体によって推し進められる物質である撹拌された粉末/物質と、を含む。
【0145】
一実施形態によれば、標的送達速度は、たとえば、毎5秒ごとに1グラムの送達を超えてもよい。機器100’は、キャニスタ107’が、粉末剤によっておおよそ45%~80%充填されているときに、最良の送達結果を提供してもよい。たとえば、80%充填では、標的速度は、30送達秒維持されてもよい。この送達速度は、機器100’が送達のために使用してよいガスの量によっても決定される。流体化粉末混合物が、それを通じてキャニスタ107’を出るスロット112の寸法を徐々に増やすことによって、キャニスタ107’内の粉末剤の量が減少するときであっても、送達速度は(たとえば30送達秒を超えて)維持されてもよい。
【0146】
この実施形態におけるキャニスタ107’は、粉末剤をその中に受け入れるように構成されている内部チャンバ106’を画定するために、開放第1端部119から閉鎖第2端部121まで長手方向に延びている。蓋(たとえば表面)109’は、内部チャンバ106’を密閉し、粉末剤及びガスのうちの少なくとも一方が内部チャンバ106’から漏れることを防ぐために、第1端部119に連結されている。一実施形態において、蓋109’は第1端部119内に受け入れられ、第1端部119に連結されている。この実施形態における入口(たとえばフィルタ孔)104’及び(スロット112を介した)出口のうちの少なくとも一方は、蓋109’を通じて延びている開口部として構成されている。しかしながら、粉末剤に高流量ガスを供給して粉末剤を流体化し、流体化粉末混合物を標的部位に送達するために、入口104’と出口とがそれぞれガス源と送達部材とに接続可能である限りは、入口104’と出口とが様々な構成のいずれかを有していてもよいことは当業者には明らかであろう。たとえば、入口104’は、ガス源を入口104’に連結する連結部材(たとえば第2流体通路)48’に連結されてもよい。一実施形態において、ガスは、0.03~0.13MPa(5~20psi)の範囲の圧力及び8~15標準リットル毎分の流速のうちの少なくとも一方でキャニスタ107’に供給されてもよい。この実施形態における出口は、カテーテル190’(生体内の標的部位に軟性内視鏡のワーキングチャネルを通じて挿入されるような寸法、形状、及び構成にされている)に連結されている。一例において、カテーテル190’は、1.65mm~2.79mm(0.065インチ~0.11インチ)の内径を有していてもよい。他の実施形態において、入口104’と出口は、キャニスタ107’の一部を通じて延びていてもよい。
【0147】
管110は、内部空間106’内に延びている第2端部(たとえば最遠位端部)110a’への出口に連結された第1端部128から延びている。前述のように、
図15及び
図16における管110は、管110の壁を通じて延びているスロット112も含む。この実施形態におけるスロット112は、管110の第2端部110a’と第1端部128に近位のスロット112とのうちのの1つを介して流体化粉末混合物がキャニスタ107’の内部空間106’を出てもよいように、第1端部128の近位に配置される。
【0148】
オーバーチューブ118’は、管110の長さの部分の上に移動可能に取り付けられている。オーバーチューブ118’は、管110に対して移動可能であり、オーバーチューブ118’が管110の上を動くのにしたがって、オーバーチューブ118’によって覆われたスロット112の面積を、内部空間106’に露出されるスロット112の一部の寸法を制御するために変化させ、流体化粉末混合物は、スロット112を通じてキャニスタ107’の内部空間106’を出てもよい。たとえば、最初の構成において、オーバーチューブ118’は、スロット112が完全に覆われ、一切の流体化粉末混合物がスロット112を通じて出ることを防ぐように、スロット112全体の上に延びている。しかしながら、標的部位の治療の過程で、オーバーチューブ118’は、所望のレベル(たとえば閾値送達速度を超えて)の流体化粉末混合物の送達速度を維持するために流体化粉末がそれを通じて出る、スロット112の露出された部分の寸法を増やすために、管110に対して動かされてもよい。たとえば、
図16は、オーバーチューブ118’の一部によって部分的に覆われたスロット112を示し、
図15は、すべて露出されたスロット112を示す。この実施形態は、スロット112全体が覆われている最初の構成を記載しているが、最初の構成において、それを通じて流体化粉末が出てもよいスロット112の寸法が、キャニスタ107’内の粉末が分注されるにしたがって治療の過程で増やされる限りは、オーバーチューブ118’がスロット112に対する様々な位置のいずれを有していてもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0149】
オーバーチューブ118’が、様々な機構のいずれによって管110に対して動かされてもよいことも、当業者には明らかであろう。一実施形態において、オーバーチューブ118’は、オーバーチューブ118’の位置をキャニスタ107’に固定するために、たとえば、オーバーチューブからキャニスタ107’の内面まで径方向外側に延びている安定化リング116’に連結されてもよい。この例におけるキャニスタ107’と管110は、それを通じて流体化粉末混合物が出てもよいスロット112の寸法を増やす(又は、回転の方向に応じて、減らす)ために、管110に対してキャニスタ107’が回転されるとき、オーバーチューブ118’もそれに応じて管110に対して長手方向に移動しつつ、管110の周りを回転するように、互いに回転可能に連結される。一例において、そこから管110が延びている蓋109’は、キャニスタ102ひいては管110が蓋109’及び管110に対して回転されるとき、オーバーチューブ118’が管110に対して長手方向に動くように、その中にキャニスタ107’の係合特徴(たとえば、
図14A及び
図14Bにおける突出部122)が乗る、部分的に螺旋状の通路に沿って延びるカム通路124を含む。当業者には明らかなように、カム通路124と、対応するキャニスタ107’の係合特徴は、オーバーチューブ118’と管110との間の所望の相対移動を実現するために、キャニスタ107’と蓋109’との間の螺合と同様に機能する。
【0150】
本実施形態は、オーバーチューブ118’によって制御されたとおりに流体化粉末混合物が出るように流体化粉末混合物に利用可能なスロット112の部分の寸法を記載しているが、キャニスタ107’からの治療薬の所望の流速を維持するために治療手順の過程で「ドア」を徐々に開くことが可能な限りは、スロット112の寸法は、様々な構造体及び幾何学的形状のいずれかを有する任意の「ドア」によって制御されてもよい。オーバーチューブ118’又は任意の他の「ドア」の動きは、(たとえば、オーバーチューブ118’を物理的にねじることによって)機械的に駆動してもよく、又はガスの流れによって空気圧で駆動してもよい。さらに、本実施形態は、単一のスロット112を示し説明するが、管110は、必要に応じて、前述のように、いくつかのドア機構のいずれかを介して覆われていてもよく、及び/又は露出されてもよい、2以上のスロット112を含んでもよい。
【0151】
機器100’を使用する方法の一例によれば、機器100’の組立の前に、キャニスタ107’には、粉末剤、たとえば止血薬が充填される。所望の量の粉末治療薬がキャニスタ107’に充填された後、粉末剤をその中にシールするために、キャニスタ107’に蓋109’が取り付けられる。次いで、入口104’は、たとえば、連結部材48’を介してガス源に連結され、出口は、カテーテル190’に連結される。次いで、カテーテル190’は、生体内の標的部位に(たとえば、送達機器((内視鏡など)のワーキングチャネルを通じて)挿入される。高流量ガスをキャニスタ107’の内部空間106’内に導入して、流体化粉末混合物を形成する。ユーザは、トリガ又は他の制御器を押し下げて、流体混合物を噴霧し、標的領域(たとえば出血部位)に流体混合物を送達し、そこの治療を提供してもよい。流体化粉末混合物を標的部位に送達する際、ユーザは、管110に対してキャニスタ107’を物理的に回転させて、それを通じて流体混合物が内部空間106’に存在するスロット112の寸法を増やして、所望の流量レベルを維持してもよい。あるいは、流体化粉末混合物の送達を制御するためにトリガを使用する場合には、トリガが押し下げられると、(それを通じて流体混合物が内部空間を出てもよい)スロット112のより多くの断面積が露出されて、スロット112の寸法を増やすように、空気圧シリンダ又はモータがキャニスタ107’に対して蓋109’を回転させて動かすように操作されてもよい。したがって、キャニスタ107’内の粉末剤の量の減少にしたがって、露出されるスロット112の断面積は、流体化粉末混合物の実質的に一定な送達速度を維持するように増加させられる。あるいは、所望の流速を維持することを確実にするために、センサが、流速を検出してスロット112の開口部を自動的に制御してもよい。
【0152】
図17に示される、本開示の他の実施形態による機器200は、特に記載のない限り、前述の機器100’と実質的に同様である。機器200は、その中に粉末剤が受け入れられる内部空間204を画定するキャニスタ202を備える。機器100、機器100’と同様に、内部空間204は、入口206介して内部空間204に高流量ガスが供給されたときに、内部空間204内に格納されている粉末剤が流体化粉末混合物を形成するように、内部空間204に連結された蓋222によって密閉される。流体化粉末混合物は、出口208を介して内部空間204を出て、治療時に患者内の標的部位に送達される。内部空間204内の粉末剤の量が治療の過程で減少するにしたがって、所望の送達速度を維持するために、蓋222はタービュレータプレート230を含む。ガスがタービュレータプレート230を通過するとき、タービュレータプレート230は、キャニスタ202内に格納されている粉末剤の沈降を防ぐか又は少なくとも減少させるために、振動してガラガラ鳴るか又は振動するかもしくはガラガラ鳴る。タービュレータプレート230がない場合、治療の過程で、一部の粉末剤が別様に平衡状態になり、流体化に抵抗し、治療薬の所望の送達速度を維持することが困難になる。
【0153】
キャニスタ107’と同様に、キャニスタ202は、開放第1端部218から閉鎖第2端部220まで長手方向に延びて、内部空間204を画定する。蓋222は、第1端部218に連結されて、内部空間204を密閉し、粉末剤をその中に格納する。入口206と出口208は、内部空間204と連通している蓋222を通じて延びている開口部として構成されている。示していないが、機器100’と同様に、出口208は、そこから内部空間204内に延びている管を含み、管を介して流体化粉末混合物が出口208を出ることを可能にする。
【0154】
この実施形態におけるタービュレータプレート230は、内部空間204ではない方を向く蓋222の一部に沿って延びている。この実施形態において、タービュレータプレート230は、その壁234を通じて延びているとともにたとえば接続要素224を介してガス源に連結されるように構成されている、開口部232を含む。タービュレータプレート230は、開口部232が入口206と連通するように、蓋222に沿って延びている。それによって、ガスは、タービュレータプレート230を通過し、入口206を介して内部空間204内に入る。タービュレータプレート230の内部236は、それを通り抜けるガスの流れを乱してタービュレータプレート230に振動応答を引き起こす複数の構造体238(たとえば、リブ、バンプ又は突起など)を含む。そして今度は、この振動が、粉末剤の蓋222への沈降を妨げる。したがって、タービュレータプレート230を通じた内部空間204内へのガスの流れは、タービュレータプレート230の振動と、キャニスタ202内の動力剤の流体化の両方をもたらす。振動の大きさは、当業者には明らかなように、タービュレータプレート230を通過するガスの速度を制御することによって制御されてもよい。この実施形態において、タービュレータプレート230の振動の大きさは、ユーザが、ガスをキャニスタ202に供給するためのトリガを押し下げている間、経時的に一定に保持される。流体化粉末剤は、タービュレータプレート230の内部236と連通していない出口208を介してキャニスタ202を出る。この実施形態における出口208は、流体化粉末混合物を標的部位に送達するための送達カテーテル226に連結されている。
【0155】
別の実施形態において、
図18に示すように、特に記載のない限り、機器200’は、前述の機器200と実質的に同様である。この実施形態において、タービュレータプレート230’は、キャニスタ202’によって画定される内部空間204’を密閉する蓋222’の一部に沿って延びており、その壁234’を通じて延びている第1開口部232’及び第2開口部240’を含む。第1開口部232’と第2開口部240’のどちらも、機器200’の入口206’と出口208’に連通していない。入口206’と第1開口部232’は、それぞれ、ガスを内部空間204’に供給するためのガス源とタービュレータプレート230’とに連結されるように構成されている。入口206’と第1開口部232’は、それぞれ、同一又は異なるガス源に連結される。
【0156】
第1開口部232’を介してタービュレータプレート230’に供給されたガスは、タービュレータプレート230’を通過し、第2開口部240’を介してタービュレータプレート230’を出る。たとえば、ガスは、一定の大きさの振動を維持するために、粉末剤が流体化されて標的部位に送達されている間、一定速度でタービュレータプレート230’に供給されてもよい。あるいは、タービュレータプレート230’に供給されるガスの流れは、流体化粉末混合物の送達速度を最適化するために、必要に応じて、経時的又は断続的に変更されて、振動の大きさを変えてもよい。しかしながら、タービュレータプレート230’の機能は、その他では機器200と同じであり、蓋222’への粉末剤の沈降を阻止することは、当業者には明らかであろう。
【0157】
図19及び
図20に示すように、本開示の他の実施形態による機器300は、特に記載のない限り、機器100’、機器200と実質的に同様である。機器300は、その中に粉末剤(たとえば止血薬)が受け入れられ、治療のために標的部位(たとえば出血部位)に送達するために高流量ガスを介して流体化される内部空間304を画定するキャニスタ302を備える。内部空間304は、キャニスタ302の開放端に取り付けられた蓋322を介して密閉され、ガスは、蓋322を通じて延びている入口306を介して内部空間304に供給される。得られた流体化粉末混合物は、蓋322を通じて延びている出口308を介して内部空間304を出て、標的部位に送達される。機器300は、出口308に連結された第1端部328から、内部空間304内に延びている第2端部314まで延びている管310も含む。しかしながら、管310の壁を通じて延びている単一スロットではなくむしろ、管310は、キャニスタ302内の粉末剤の不均一な分布を防ぎ、流体化粉末混合物の送達速度を減少させる可能性のある管310の任意の側への粉末剤のビルドアップを防ぐために、管310の周りに配置される複数のスロット312を含む。
【0158】
一実施形態において、
図20に示すように、管310は、管310の周りに配置され、互いに等距離に間隔をあけた4つのスロット312を含む。この実施形態におけるスロット312は、第1端部328の近位に配置される。しかしながら、スロット312の数、位置及び構成は様々であってもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0159】
図21に示すように、本開示の他の実施形態による機器400は、特に記載のない限り、前述の機器100’、機器200及び機器300と実質的に同様である。機器400は、粉末剤405がその中に受け入れられ、生体内の標的部位への送達のために流体化されて流体化粉末混合物を形成する内部空間404を画定するキャニスタ402を備える。同様に、機器400は、それを介してガスが内部空間404に供給されて粉末剤405を流体化する入口406と、それを介して流体化粉末剤がキャニスタ402を出て標的部位に送達される出口408とともに内部空間404を密閉する、蓋422を含んでもよい。機器400は、出口408と連通している内部空間404内に延びている管410を含んでもよい。機器400は、キャニスタ402の内部空間404と連通している、キャニスタ402に連結された充填剤チャンバ450をさらに備える。充填剤チャンバ450は、流体化粉末混合物が標的部位に送達される際の粉末剤の量の低下を埋め合わせるために、流体化粉末混合物がキャニスタ402を出るのにしたがってキャニスタ402に注入される充填物質452(たとえば、模擬粒子、ビーズ、小さな「バウンス・ボール」又は発泡材など)を収納する。充填物質452は、物質(たとえば粉末剤及び充填剤)の量と、キャニスタ402内のガスの量との一定の比率を維持して、標的部位への流体化粉末混合物の所望の送達速度を維持するために、キャニスタ402に注入される。
【0160】
充填剤チャンバ450は、充填物質452が、充填剤チャンバ450から、充填剤入口454を介してキャニスタ402まで通過するように、キャニスタ402に連結されてもよい。一実施形態において、充填剤チャンバ450は、ユーザが、たとえばトリガを押すことによって標的部位への流体化粉末混合物の送達を駆動させたときに、キャニスタ402と充填剤チャンバ450との両方にガスが供給されるように、ガス入口456も含んでもよい。充填剤チャンバ450内に供給されるガスは、充填剤チャンバ450からの充填物質452をキャニスタ402まで動かす。充填剤チャンバ450は、必要に応じて、キャニスタ402に供給される充填物質452の量を制御してキャニスタ402を出る粉末剤405の量に対応するためにガス入口圧力を制御する、圧力レギュレータを含んでもよい。一実施形態において、充填剤入口454は、キャニスタ402への充填物質452(たとえばビーズ)の、キャニスタ402を通じた単一の流れの通過を容易にするような寸法と形状に、及び/又は別様に構成されていてもよい。
【0161】
充填物質452は、キャニスタ402の内部空間404に入ることができるように構成されていてもよいが、流体化粉末混合物の送達中にキャニスタ402を出ることは妨げられる。一実施形態において、これは、充填物質452の個々の粒子のサイジングによって達成される。たとえば、充填物質452は、それが管410及び出口408のうちの少なくとも一方に入るのを妨げるような寸法及び形状又は寸法もしくは形状にされていてもよい。言い換えれば、充填物質452の各ビーズ又は粒子は、管410の開口部及び出口408の開口部のうちの少なくとも一方より大きいように選択される。充填物質452は、粉末剤が内部空間404内を動かされ、流体化されて機器400の目詰まりを防ぐようにキャニスタ402の壁403を跳ね返るように構成されていると同時に、充填物質がキャニスタ402を出ることを妨げるように十分大きい寸法と形状とにされている。
【0162】
このように、使用中、流体化粉末剤の送達中に機器400のキャニスタ402は粉末を失うが、同時に、対応する量の充填物質452をキャニスタ402に供給することによって低下が補われる。キャニスタ402への充填物質452の送達速度は、流体化粉末混合物の送達速度を考慮して、失われた粉末剤の量を算出し、充填物質452対粉末剤405の量と流速との違いに基づいてそれを調整することによって決定してもよい。キャニスタ402内への充填物質452の送達速度は、粉末剤405の量の低下を補って、実質的に一定な流体化粉末混合物の送達速度を維持するように選択される。キャニスタ402の入口406と、充填剤チャンバ450のガス入口456が単一ガス源に連結されているとして示され説明されているが、入口406とガス入口456は、それぞれ個別のガス源に連結されてもよく、標的部位への流体化粉末混合物の送達が駆動されてトリガされるとき、又は、標的部位への流体化粉末混合物の送達が駆動されるかもしくはトリガされるとき、これらはいずれも、入口406及びガス入口456にガスを供給することは、当業者には明らかであろう。
【0163】
図22及び
図23に示すように、機器500は、特に記載のない限り、機器400と実質的に同様であってもよい。機器500は、その中に粉末剤が受け入れられ、流体化されて、治療のために患者の標的部位に流体化粉末混合物を送達するための第1内部空間504を画定するキャニスタ502を備える。しかしながら、キャニスタ502は、個別の充填剤チャンバではなくむしろ、第1内部空間504と、機器500が操作位置にあるときに第1内部空間504の上に延びている第2内部空間550との両方を画定する。さらに、一定量の物質(粉末剤及び充填剤のうちの少なくとも一方)をその中に維持するために充填物質で第1内部空間504を占めるのではなくむしろ、第2内部空間550は、流体化粉末混合物が第1内部空間504を出て標的部位に送達される際に、重力によって第1内部空間504に供給されてもよいさらなる粉末剤を収納する。第1内部空間504内に格納されている粉末剤のみが流体化されて流体化粉末混合物を形成し、第1内部空間504内の粉末剤のみが、機器500から標的部位に出ることを許可されるように、入口と出口(図示せず)は、第1内部空間504と連通している。
【0164】
第2内部空間550は、その間に延びている開口部554を介して第1内部空間504と連通していてもよい。機器500は、さらに、
図22に示すような、治療手順の開始前の第1構成と、
図23に示すような、治療の工程中の第2構成との間に、移動可能なドア558を備える。第1構成において、ドア558は、流体化粉末混合物が送達されていないときに、第2内部空間550から第1内部空間504までの任意の粉末剤の通過を妨げるために、開口部554の上に延びていてもよい。
図22における点線によって示されるように、第1内部空間504は、所与の量の粉末剤をその中に含む。
【0165】
ユーザが、流体化粉末混合物の送達を駆動及びトリガ又は駆動もしくはトリガすると、
図23に示すように、ドア558が開いて、開口部554が露出され、第2内部空間550から第1内部空間504までの粉末剤の通過が可能になるように、ドア558の移動が引き起こされてもよい。ドア558の駆動は、いくつかの異なる方法のいずれで引き起こされてもよい。たとえば、ドア558は、機器500の駆動後に作動であるモータ、作動後に磁気を用いてドア558を開く磁気機構、及び/又は、機器駆動後に圧力増加によってうまれる圧力差を含んでもよい。第2内部空間550は、ドア558が開いているときに、第2内部空間550内の粉末剤が第1内部空間504内に落ちることが可能になるように、開口部554に向かって粉末剤を導く傾斜面560を含んでもよい。したがって、第1内部空間504は、重力によってさらなる粉末剤を受動的に供給される。
図23における点線によって示されるように、流体化粉末混合物は、送達されるときに第1内部空間504へは第2内部空間550を介して供給されるため、第1内部空間504内の粉末剤の量は、治療の過程で一定を保つ必要がある。開口部554は、粉末剤の量を、第1内部空間504内で実質的に一定に保つように選択された制御された速度で開口部554を通じて粉末剤が落ちるのを可能にするような寸法にされていてもよく、及び/又は別様に構成されていてもよい。
【0166】
第2内部空間550内のさらなる粉末剤が、重力によって第1内部空間504内に受動的に送り込まれるように記載されているが、別の実施形態において、
図24及び
図25に示すように、機器500’のキャニスタ502’の第2内部空間550’内の粉末剤は、たとえば、ガス流によって動かされてもよいタービン562’を介して、キャニスタ502’の第1内部空間504’に能動的に送り込まれてもよい。この実施形態において、回転可能パドル564’が、第1内部空間504’と第2内部空間550’との間に延びている開口部554’内に取り付けられる。回転可能パドル564’は、キャニスタ502’の外側に沿って配置され、ガス流路566’内に収容されるタービン562’に連結される。ガス流路566’は、ガス源を、それを通じて第1内部空間504内へのガスの通過を許容する入口(図示せず)に連結する接続要素524’として構成されていてもよい。したがって、この実施形態において、接続要素524’は、タービン562’を収容するために、キャニスタ502’の外部側に沿って延びている。
【0167】
図24に示すように、流体化粉末混合物の送達が駆動されず、したがって流路566’を通じて流れるガスがない機器500’の第1構成において、タービン562’は回転せず、したがって、第2内部空間550’から第1内部空間504’まで通過することを可能にされる粉末剤はない。
図25に示すように、第2構成において、流体化粉末混合物の送達が駆動されると、タービン562’は、ガス流路566’を通過するガスの流れによって回転される。タービン562’の回転は、それに応じてパドル564’を回転させ、開口部554’を通じて第2内部空間550’内の粉末剤を第1内部空間504’内に能動的に動かす。流体化粉末混合物の標的部位への送達をユーザが駆動させるか及び/又は別様にトリガするときにガスの流れが開始されるため、第2内部空間550’から第1内部空間504’への粉末剤の供給は、第1内部空間504’内に実質的に一定量の粉末剤を維持するために、第1内部空間504’から粉末剤(たとえば流体化粉末混合物)が出るのと同時に行われる。第1内部空間504’内の粉末剤の量を維持することは、それに応じて、流体化粉末混合物の実質的に一定な送達速度が維持されることとなる。
【0168】
上記の実施形態は、単一のガス源/ガス供給を記載しているが、第2内部空間550’から第1内部空間504’に供給される粉末剤の量が、第1内部空間504’を出る粉末剤の量に対応する限りは、タービン562’は、機器500’の入口に連結されたガス源とは個別のガス源によって駆動されてもよいことは、当業者には明らかであろう。さらに、本実施形態は、ガス動力のタービンによる粉末剤の能動輸送を記載しているが、第2内部空間550’から第1内部空間504’への能動輸送は、他の機構によっても行われてよい。
【0169】
図26に示すように、本開示の一実施形態による粉末剤(たとえば止血薬)を流体化し送達するための機器1200は、キャニスタ1202と、キャニスタ1202に移動可能に連結されたピストン1204と、を備える。キャニスタ1202は、その内部空間106内に粉末剤を受け入れるように構成されている。続いて、キャニスタ1202は、たとえば管状部材1212によって、ガス源に連結されてもよい入口1208を介してガスで充填される。粉末剤は、ガスによって流体化され、出口1210に連結されたカテーテル1214を介して標的部位(たとえば出血部位)に噴霧されてもよい二相混合物を形成する。カテーテル1214は、患者の体内の標的部位に(たとえば、体の天然の開口部を通じてアクセスされる体内管腔を介して軟性内視鏡によって横切られる蛇行した経路に沿って)内視鏡的に挿入されるための寸法と形状とにされており、また、かかる挿入に対応する十分な柔軟性がある。標的部位への混合物の実質的に一定な送達速度を維持するために、ピストン1204は、標的部位の治療の過程で、内部空間1206の容量を減少させるために、キャニスタ1202に対して移動可能である。それによって、キャニスタ1202内の粉末剤の量の減少にしたがって、内部空間1206の容量も、実質的に一定な粉末量対キャニスタ容量比を維持するように減少される。ピストン1204は、いくつかの異なる方法のいずれかでキャニスタ1202に対して動かされてもよい。この実施形態において、ピストン1204は、空気圧シリンダ又はモータ1216によって動かされる。
【0170】
この実施形態のキャニスタ1202は、ガスとともに粉末剤を受け入れて、そこに対する治療を提供するために標的部位に噴霧されるガス状流体混合物を形成するように構成されている内部空間1206を画定するための硬質物質で形成される。キャニスタ1202は、開放第1端部1216から閉鎖第2端部1218まで長手方向に延びている。ピストン1204は、第1端部1216においてキャニスタ1202に移動可能に連結されており、内部空間1206の容量を減少させるために、第2端部1218に向かって移動可能である。ピストン1204は、粉末、ガス及び/又はガス混合物が、キャニスタ1202から漏れず、出口1210を介してキャニスタ1202を出て、そこからカテーテル1214内に出て標的部位に向けて出るように、内部空間1206を密閉する。したがって、この実施形態のピストン1204は、開放第1端部1216内に受け入れられ、第1端部1216における開口部の寸法と形状とに実質的に対応するような寸法と形状とにされている。一例において、キャニスタ1202は実質的に筒状である一方で、ピストン1204は、キャニスタ1202の開放第1端部1216内に受け入れられるために実質的に円盤状である。キャニスタ1202は、内部空間1206の容量を減少させつつ、内部空間1206内に受け入れられている一切の流体/物質の漏出を防ぐために、ピストン1204が、第2端部1218に向かって、その長さの少なくとも一部に沿って移動可能なような寸法と形状とにされている。一例において、ピストン1204は、一切の粉末剤、ガス及び/又は流体がピストン1204を通じて漏出することを防ぐために、その外周の周りに延びているシールリングを含む。
【0171】
前述のように、機器1200は、それを介してガスが内部空間1206内に導入される入口1208と、それを介して流体化粉末がカテーテル1214に送達されて標的部位に達する出口1210と、も含む。一実施形態において、入口1208と出口1210はそれぞれ、ピストン1204の一部を通じて延びて、管状部材1212とカテーテル1214とにそれぞれ連結される開口部として構成される。しかしながら、入口1208が、内部空間1206を通じて、又は内部空間1206の中に高圧ガスを受け入れるように構成され、出口1210が、送達要素(たとえば内部空間1206から標的部位まで流体混合物を送達するカテーテル1214など)に接続可能である限りは、入口1208と出口1210は、キャニスタ1202及びピストン1204のうちの少なくとも一方の任意の部分の上又は該部分に沿って配置されてもよいことは、当業者には明らかであろう。入口1208は、管状部材1212を介してガス源に連結されるように記載されているが、十分なガス流が管状部材1212を通じて送達可能である限りは、入口1208は、いくつかの連結のいずれかを介してガス源に連結されてもよいことも当業者には明らかであろう。さらに、出口1210は、ピストン1204を通じて延びている開口部として示され記載されているが、出口1210は、内部空間1206内で形成される流体混合物が、カテーテル1214を通じて標的部位に送達されるためにハイポチューブ内に受け入れられてもよいように、内部空間1206内に延びているハイポチューブを含むように構成されていてもよいことは当業者には明らかであろう。
【0172】
この実施形態において、ピストン1204は、空気圧シリンダ又はモータ1220によって、キャニスタ1202に対して移動可能である。機器1200は、1以上の入力、たとえば時間などを含むようにプログラムされてもよい。流体混合物を標的部位に送達することが所望されるときに、ユーザは、トリガなどの制御器を使用して送達を開始してもよい。たとえば、ユーザが、流体混合物を送達するためにトリガを押し下げると、ピストン1204は、予め設定された速度で第2端部1218に向けて動く。ユーザがトリガを放すと、ピストン1204は停止することが可能であり、ユーザがトリガを再び押し下げるまで、キャニスタ1202に対するその位置を維持することが可能である。これに代えて、あるいはこれに加えて、機器1200は、他の入力、たとえば、キャニスタ1202、入口1208及び/又は出口1210の内部空間1206内のフローセンサ及び圧力センサ又はフローセンサもしくは圧力センサなどに基づく入力を使用してもよい。
【0173】
機器1200のピストン1204は、空気圧シリンダ又はモータ1220によって駆動されるように記載され示されているが、ピストン1204は、様々な異なる駆動機構(それらの例は、以下にさらに詳細に説明する)のいずれかによって、第1端部1216に近位のその最初の位置から第2端部1218に対して動かされてもよいことは当業者には明らかであろう。さらに、ピストン1204は、キャニスタ1202の基部(たとえば下部)を形成するように示されているが、ピストン1204は、いくつかの構成のいずれかにおいてキャニスタ1202に連結されてもよいことは当業者には明らかであろう。特に、ピストン1204は、また、キャニスタ1202の蓋(たとえば上部)として構成されていてもよい。さらなる実施形態において、機器1200は、その内部空間1206の容量を減少させるために、そのそれぞれがキャニスタ1202に対して移動可能である2以上のピストン1204を含んでもよい。
【0174】
機器1200を使用する方法例によれば、キャニスタ1202には、機器1200の組立の前に、たとえば止血薬などの粉末剤が充填されてもよい。所望量の粉末剤でキャニスタ1202を充填した後に、キャニスタ1202とピストン1204とが組み立てられ、入口1208は、たとえば管状部材1212を介してガス源に連結され、出口1210はカテーテル1214に連結される。それから、カテーテル1214は、内視鏡などの送達機器のワーキングチャネルを通じて体内の標的部位に挿入されてもよい。ユーザは、キャニスタ1202の内部空間1206内に高流量ガスを導入して、流体混合物を形成し、流体混合物を標的部位(たとえば出血部位)に送達してそこに対する治療を提供するために、トリガ又は他の制御器を押し下げてもよい。トリガが押し下げられると、空気圧シリンダ又はモータ1220は、第2端部1218に向けてピストン1204を動かすように操作され、内部空間1206内に残っている粉末剤の量の減少に対応する量で内部空間1206の容量が減少し、減少するにつれて、粉末剤は、出口1210を介してキャニスタ1202を出る。ユーザがトリガを放すと、流体混合物の送達とピストン1204の移動のいずれもが停止される。それによって、ピストン1204は、流体混合物が送達されている間だけ動き、したがって、内部空間1206の容量の減少は、内部空間1206内に収容されて残った粉末の容量の減少に対応する。前述のように、ピストン1204の移動の速度は、たとえば、キャニスタ1202、入口1208及び出口1210内の時間、流れ及び/又は圧力などの入力に基づいてもよい。一実施形態において、ピストン1204は、実質的に一定な流体混合物の送達速度を維持するために、残りの粉末に対する、キャニスタ1202内で利用可能な内部空間1206の容量の実質的に一定な比を維持する速度で動かすように構成されている。
【0175】
図27に示すように、他の実施形態による機器1300は、機器1200と実質的に同様であり、キャニスタ1302と、それに移動可能に連結されたピストン1304と、を備え、流体化粉末混合物が標的部位に送達されるときに、キャニスタ1302の第1端部1316に近位の最初の位置から第2端部1318に向けて動かして、キャニスタ1302の内部空間1306の容量を減少させる。機器1200と同様に、キャニスタ1302内に受け入れられている粉末を流体化して、体内の標的部位への送達のために流体混合物を形成するために、内部空間1306に高流量ガスが送達される。ガスは、たとえば、管状部材1312を介してガス源に連結される入口1308を介してキャニスタ1302内に受け入れられる。流体混合物は、機器1300の出口1310に連結された送達カテーテル1314を介して標的部位に送達される。しかしながら、この実施形態において、ピストン1304は、その中にガスを受け入れるにつれて膨張する膨張性部材1322を含むチャンバ1320によって動かされる。特に、ユーザが、標的部位に流体混合物を送達するために制御器をトリガする(たとえばトリガを押し下げる)と、
図27において破線で示すように、ガスが膨張性部材1322を膨張させることによって第2端部1318に向けてピストン1304を移動させるように、ガスの一部が膨張性部材1322に転じられる。
【0176】
この実施形態における、膨張性部材1322を収納するチャンバ1320は、膨張性部材1322が膨張するにつれてピストン1304がキャニスタ1302の第2端部1318に向けて動かされるように、内部空間1306の反対側のピストン1304の側でキャニスタ1302の第1端部1316に連結される。膨張性部材1322は、ガスがそれを通じて膨張可能なチャンバ1322内に第1方向に通過してもよいが膨張可能なチャンバ1322から第2方向に流れることを妨げられるような一方向弁を含む連結部材1324を介して、ガス源にも連結される。前述のように、ガスは、内部空間1306の容量の減少が、キャニスタ1302内の粉末剤の量の減少に対応するように、流体混合物が標的部位に送達されている間だけチャンバ1320に導かれる。機器1200と同様に、機器1300は、ピストン1304が、第2端部1318に向けて動かされる速度を制御してもよい、流れ、圧力及び/又は時間に対応する入力を受信してもよい。機器1200と実質的に同様な方法で機器1300を使用してもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0177】
図28及び
図29に示すように、その内部空間1406内に粉末剤を受け入れるためのキャニスタ1402と、キャニスタ1402に移動可能に連結されたピストン1404と、を備える、他の実施形態による機器1400は、前述の機器1200、機器1300と実質的に同様であってもよい。高流量ガスは、機器1400の出口1410に連結された送達カテーテル1414を介して標的治療領域に送達するための流体化粉末混合物を形成するために、ガス源に連結される入口1408を介して内部空間1406に送達される。ピストン1404は、内部空間1406内の粉末剤の量の減少にしたがって内部空間1406の容量を減少させるために、キャニスタ1402の第1端部1416に近位の最初の位置から第2端部1418に向けて移動可能である。しかしながら、機器1400は、ピストン1404が螺合連結されたネジ棒1428に連結されたタービン1426をさらに含む。タービン1426は、キャニスタ1402の第1端部1416に連結されたバイパス1424内に収容される。流体混合物を送達するためにユーザが制御器をトリガすると、ガスの一部はバイパス1424を通じて迂回させられる。バイパス1424を通じたガスの流れはタービン1426を回し、それによって、その縦軸の周りにネジ棒1428を回転させる。ネジ棒1428が回転される、ピストン1424は、第2端部1418に向けて、それに沿って長手方向に動かされる。
【0178】
図29に示すように、バイパス1424は、ガスが、第1開口部1430から第2開口部1432までバイパス1424を通じて流れて、その中に収容したタービン1426を回転させるように、それを通じてガスを受け入れる第1開口部1430と、それを通じてガスが出る第2開口部1432と、を含む。ネジ棒1428は、タービン1426の回転がネジ棒1428の回転をもたらすように、タービン1426に連結される。ピストン1404は、ロッド1428に螺合されているため、ネジ棒1428の回転は、ピストン1404を、それに沿って長手方向に動かす。ピストン1404は、バイパス1424を通じたガスの流れによるネジ棒1428の回転が、第2端部1418に向けたピストン1404の縦方向の移動をもたらすように、ロッド1428に螺合されている。機器1300と同様に、内部空間の容量の減少が、内部空間1406内に残っている粉末の容量に対応するように、ガスの一部は、流体混合物の送達中に、バイパス1424を通じてのみ迂回させられる。前述のように、機器1200、機器1300と実質的に同様な方法で機器1400を使用してもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0179】
図30に示すように、ガスによる流体化のために粉末剤をその中に受け入れるように構成されているキャニスタ1602を備える、本開示の他の実施形態による機器1600は、前述の機器1200、機器1300及び機器1400と実質的に同様であってもよい。機器1200、機器1300及び機器1400と同様に、キャニスタ1602の内部空間1606の容量は、治療のために流体混合物が標的部位に送達されるのにしたがって減少される。しかしながら、移動可能なピストンを介して内部空間1606の容量を減少させるのではなくむしろ、その容量を減少させるために、
図30において破線で示すように、機器1600は、キャニスタ1602の内部空間1606内に膨張する膨張性部材1604を含む。
【0180】
機器1200、機器1300及び機器1400と同様に、ガスは、連結部材1612を介してガス源に連結されてもよい入口1608を介して、キャニスタ1602内に供給される。流体混合物は、出口1610に連結される送達カテーテル1614を介して標的部位に送達される。機器1600は、キャニスタ1602に連結された第2チャンバ1620をさらに備える。前述の機器1300と同様に、ガス源からのガスの一部は、流体混合物の送達中に第2チャンバ内に迂回させられてもよい。第2チャンバ1620の内部空間1634は、膨張性部材1604を介してキャニスタ1602の内部空間1606から分離される。この実施形態において、膨張性部材1604は、ガスが第2チャンバ1620の内部空間1634内に受け入れられるときに第2チャンバ1620の内部空間1634とキャニスタ1602の内部空間1606との間の圧力差が(
図30において破線で示すように)膨張性部材をキャニスタ1602内に逸らして内部空間1606の容量を減少させるようにキャニスタ1602と第2チャンバ1620との間に延びている、膨張可能なダイヤフラムとして構成されている。
【0181】
機器1300、機器1400を参照して前述したように、ガスは、流体混合物の送達中に、第2チャンバ1620内にのみ迂回させられる。送達がトリガされると、ガスは第2チャンバ1620に迂回させられる。ユーザが、送達のためのトリガを放すと、第2チャンバ1620へのガスの送達は停止される。同様に上記したように、第2チャンバ1620に迂回させられる流量は、機器1600内で検出される時間、圧力及び/又は流量によって決定されてもよい。より多くのガスが第2チャンバ1620内に流れ込むと、その圧力は増加して、ダイヤフラムを、キャニスタ1602の内部空間1606内にさらに押しやる。したがって、機器1600は、前述の機器と実質的に同様な方法で使用してもよい。
【0182】
機器1600は、単一の膨張可能なダイヤフラムを示し、それに関して説明されているが、機器1600は2以上の膨張可能なダイヤフラムを含んでもよく、また、膨張性部材が様々な形状及び構成のいずれを有していてもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0183】
図31に示すように、受け入れている粉末剤が流体化されて治療のために標的部位に送達されるのにつれて膨張してキャニスタ1702の第1内部空間1706の容量を減少させる膨張性部材1704を含むキャニスタ1702を備える、他の実施形態による機器1700は、前述の機器1600と実質的に同様であってもよい。しかしながら、この実施形態において、膨張性部材1704は、その中で粉末剤が流体化される第1内部空間1706と、その中にガスの一部を迂回させて第1内部空間1706内に膨張性部材1704を逸らし、その量を減少させる第2内部空間1708と、の両方を画定するキャニスタ1702内に収容されてもよい。キャニスタ1702の第1端部1716は、基部1740によって実質的に閉鎖されていてもよい。第1内部空間1706内にガスを供給するための入口1708と、それを介して流体混合物が標的部位に送達される出口1710は、第1内部空間1706と連通している基部1740を通じて延びていてもよい。
【0184】
膨張性部材1704は、一例において、実質的に筒状構成を有していてもよい。円筒形の膨張性部材1704は、膨張性部材1704の内部が、粉末剤がその中に収容された後に入口1708を介して該粉末剤に対してガス源から供給される高流量ガスによって該粉末剤が流体化される第1内部空間1706を画定するように、キャニスタ1702内に収容される。第2内部空間1720は、出口1710に連結された送達カテーテル1714を介して流体混合物が第1内部空間1706によって標的部位に送達され、接続要素1724を介してガス源ガスからのガスの一部が第2内部空間1738内に迂回させられるように、膨張性部材1704の外面1736とキャニスタ1702の内面1738とによって画定される。第1内部空間1706と第2内部空間1720との間の圧力差は、
図31において破線で示すように、第1内部空間1706を、
図31において破線で示すように、膨張構成に向けて膨張性部材1704を逸らし、第1内部空間1706における粉末の量が減少されるのにしたがって、第1内部空間1706の容量を減少させる。一実施形態において、膨張構成において、膨張性部材1704は、実質的に砂時計形状を形成してもよい。しかしながら、膨張性部材1704が、膨張したときに、第1内部空間1706の容量を減少させる限りは、膨張性部材1704が様々な形状及び構成のいずれを有していてもよいことは、当業者には明らかであろう。前述の機器と同様に、ガスは、流体混合物の送達中に、第2内部空間1720にのみ迂回させられ、機器1700内の時間、及び/又は流量及び/又は圧力を含む入力によって制御されてもよい。
【0185】
機器1700は、実質的に円筒形の膨張性部材1704を含むように示され記載されているが、前述のように、膨張性部材が第1内部空間1706と第2内部空間1720とを画定する限りは、膨張性部材1704が様々な形状のいずれを有していてもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0186】
図32に示すように、ガス源からのガスによって粉末剤が流体化されて流体混合物を形成する第1内部空間1806と、標的治療領域への流体混合物の送達中にガス源から迂回させられるガスの一部を受け入れる第2内部空間1820とを画定するキャニスタ1802及び膨張性部材1804を備える、他の実施形態による機器1800は、前述の機器1700と実質的に同様であってもよい。第1内部空間606は、膨張性部材1804の内壁1805によって画定される。第2外部空間1820は、膨張性部材1806の外壁1836と、キャニスタ1802の内面1838とによって画定される。しかしながら、この実施形態において、最初の付勢構成において、膨張性部材1804が形状において実質的にキャニスタ1802に対応してもよいように、膨張性部材1804は、キャニスタ1802の第1端部1816から、キャニスタ1802の第2端部1818まで延びている。しかしながら、迂回させられたガスによって第2内部空間1820が充填されると、
図32において破線で示すように、膨張性部材1804は第1内部空間1806内に逸れ、第2内部空間1820の容量を増やし、それによって第2内部空間1820の容量を減少させる。
【0187】
機器1700と同様に、機器1800は、第1内部空間1806と第2内部空間1820とを密閉するために、キャニスタ1802の第1端部1816に基部1840も含む。その中で粉末剤を流体化するために、入口1808を介してそれに対してガスが供給されてもよいように、また、出口1810を介して流体混合物が標的部位に送達されてもよいように、入口1808と出口1810は、第1内部空間1806と連通している基部1840を通じて延びている。ガス源からのガスの一部は、第2内部空間1820と連通している基部1840に沿って配置されてもよい接続要素1824を介して、第2内部空間1820内に迂回させられてもよい。
【0188】
前述のように、標的部位への流体混合物の送達中に、
図32において破線で示すように、第1内部空間1806と第2内部空間1820との間の圧力差が、膨張性部材を径方向内側に迂回させて第1内部空間1806の容量を減少させるように、ガスの一部が、第2内部空間1820内に迂回させられる。したがって、第1内部空間1806内の粉末剤の量が減少されるのにしたがって、第1内部空間1806の容量は、流体混合物の実質的に一定な送達速度を維持するために、それに応じて減少される。迂回構成において、膨張性部材1804は、実質的に円錐形状をとってもよい。しかしながら、その壁内の第1内部空間1806と、膨張性部材1804とキャニスタ1802の壁との間の第2内部空間1820と、の両方を画定する、柔軟性があり偏向可能な物質で膨張性部材1804が形成される限りは、膨張性部材1804は、構成、形状及び寸法のいずれを有していてもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0189】
図33に示すように、キャニスタ1902と、粉末剤が流体化されて治療のために標的部位に送達されるときに膨張してキャニスタ1902の内部空間1906の容量を減少させる膨張性部材1904と、を備える、他の実施形態による機器1900は、前述の機器1600、機器1700及び機器1800と実質的に同様であってもよい。内部空間1906の容量は、内部空間1906内の粉末剤の量の減少に対応するために減少される。しかしながら、この実施形態における膨張性部材1904は、内部空間1906内に収容された膨張可能なバルーンとして構成されてもよい。したがって、バルーン1904の容量その膨張につれて増加すると、内部空間1906の容量は減少する。
【0190】
機器1600、機器1700及び機器1800と同様に、機器1900は、粉末剤を流体化するために内部空間1906にガスを供給するための入口1908と、それを介して流体混合物が標的部位に送達される出口1910と、を含む。入口1908と、出口1910は、キャニスタ1902の端部に連結されて内部空間1906を画定する機器1900の基部1940を通じて延びていてもよい。機器1900に供給されるガスの一部は、接続要素1924を介して膨張性部材1904に迂回させられて、バルーンを膨張させ、内部空間1906を充填してもよい。前述のように、入口1908は、様々な構成のいずれを有していてもよく、また、一実施形態において、内部空間1906内に延びているハイポチューブ1911を含んでもよい。ハイポチューブ1911は、その一部に沿ってその壁を通じて延びているスロット1944を含んでもよい。膨張した膨張性部材1904は、スロット1944を通じたガス及び粉末の流れを制限することなく、ハイポチューブ1911の周りの空間を占めてもよい。ハイポチューブ1911は、スロット1944を含むとして記載されているが、用語「スロット」は、その壁を通じて延びている任意の開口部又は孔を指すことは、当業者には明らかであろう。
【0191】
接続要素1924は、示されるように、膨張性部材1904にガスを送達するために、基部1940に連結されてもよい。本実施形態において、接続要素1920は、内部空間1906を通じて延びて、膨張性部材1904に連結してもよいことは当業者には明らかであろう。あるいは、
図34に示すように、機器1900’は、その中に収容している膨張性部材1904’にガスを供給するための、キャニスタ1902’の一部を通じて延びている個別の供給ライン1924’を有していてもよい。バルーン構成を有する膨張性部材1904、膨張性部材1904’が、様々な機構のいずれかを介して膨張性部材を膨張させるためにガスの供給を受けてもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0192】
カテーテル190は、
図35において、コイル状の巻かれた構成で示されている。カテーテル190は、近位端191と、遠位端193と、近位端191と遠位端193とを接続している中間部192と、を含む。近位端191は、ネジ又はスナップフィット機構などの任意の機構によって出口34に連結されてもよい。あるいは、近位端191は、出口34に設けられるルアーに対して相補的なルアー、たとえばオス又はメスのルアーであってもよい。
図35に示すように、近位端191は、カテーテル190を投与機器30にねじ込むか、又は別様に取り付けるのを支援するための蝶型機器を含んでもよい。噴射流体と物質の混合物が投与機器30から分注されるときに、混合物は、(好適には、巻きを解かれた構成の)カテーテル190を通じて移動してもよく、また、遠位端193から標的部位に分注されてもよい。カテーテル190は、内視鏡が通過するときにカテーテル190が曲がらないように柱強度を維持しつつ患者に機器を導入するために適切な、任意の寸法であってもよい。たとえば、カテーテル190は、おおよそ200~275cmであってもよく、好適にはおおよそ210~250cmであってもよい。さらに、カテーテル190の直径は、おおよそ2.3~2.7mm(七(7)~八(8)French)であってもよく、カテーテル190の壁厚は、おおよそ1.27mm~3.81mm(0.05~0.15インチ)であってもよく、又は、好適にはおおよそ2.54mm(0.1インチ)であってもよい。さらに、カテーテル190は、ナイロン又は任意の他の適切な物質であってもよい。しかしながら、カテーテルの寸法及び物質は、それに限定されるものではない。
【0193】
多くの特徴が筒状として記載されているが、要素の形状は、それに限定されるものではない。むしろ、特徴は、格納装置20、格納装置20’からの流体分散を適切に制御するために、レギュレータ40に適した任意の形状であってもよい。さらに、特に記載がない限り、投与機器30とレギュレータ40、レギュレータ40’とのうちの少なくとも一方の構造要素は、金属合金、セラミック及び/又は樹脂を含むがこれに限定されない、当技術分野で公知の任意の物質であってもよい。さらに、上記の実施形態は、ピストンの移動又は膨張性部材の膨張を駆動するために、ガス源/ガス供給からガスの一部を迂回させるものとして記載されているが、前述の機器は、双方の内部空間にガスを提供するために、及び、ピストンを駆動して膨張性部材の膨張を引き起こすために又はピストンを駆動するかもしくは膨張性部材の膨張を引き起こすために、1以上のガス源を含んでもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0194】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示された機器に様々な修正及び変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。たとえば、任意の物質又は流体が、チャンバ内に格納されてもよく、また、噴射流体と混合されて投与機器から標的位置に排出されてもよい。これに加えて、あるいはこれに代えて、特に記載のない限り、本明細書に記載の医療機器は、医療用途に使用するのに適した任意の金属、プラスチックもしくはセラミック又はその任意の組み合わせで形成されてもよい。本開示の他の実施形態は、本明細書の検討及び、本明細書に開示された発明の実施から、当事者には明らかであろう。本明細書及び実施例は例示として考慮されるに過ぎず、本発明の真の趣旨と範囲は、下記の請求項によって示されるものとする。