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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ固定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/01 20060101AFI20240226BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61B1/01 512
A61B1/018 512
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021520959
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2019056561
(87)【国際公開番号】W WO2020081701
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】16/161,163
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/163,828
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンスフィールド リチャード ピー
(72)【発明者】
【氏名】ペリエッロ マイケル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】キン アンディ ケイ
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-500559(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183366(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0162465(US,A1)
【文献】国際公開第2016/059908(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/192520(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61F 2/82-2/97
A61M 25/00-29/04
A61M 35/00-36/08
A61M 37/00
A61M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤが延伸するように構成された開口を含む本体と、
上側ワイヤガイド部および下側ワイヤガイド部により規定されたチャネルと、
前記ワイヤのある区分を固定するように構成されたワイヤ固定機構と、
を備えた装置であって、
前記チャネルが、前記本体と前記ワイヤ固定機構との間の経路に沿って前記ワイヤをガイドするように構成され
前記上側ワイヤガイド部が、
第1の場所で前記ワイヤに接触するように構成された第1のワイヤ接触機構と、
第2の場所で前記ワイヤに接触するように構成された第2のワイヤ接触機構であって、前記チャネルの側壁の内側面である第2のワイヤ接触機構と、
を含む、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項に記載の装置であって、前記第1のワイヤ接触機構が、前記開口の方向で下方に傾斜した傾斜面を含むフィンガであることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記フィンガが、前記開口の上方で横方向に位置付けられたことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項に記載の装置であって、前記第2の場所が、前記第1の場所の近位にあることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項に記載の装置であって、前記第2のワイヤ接触機構が、前記上側ワイヤガイド部の天井であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の装置であって、前記チャネルが、前記開口の延伸方向に沿う中心軸と実質的に垂直な中心軸に沿って延びたことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の装置であって、前記ワイヤ固定機構が、前記上側ワイヤガイド部上に位置付けられ、前記下側ワイヤガイド部が、別のワイヤ固定機構を備えたことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の装置であって、前記上側ワイヤガイド部上の前記ワイヤ固定機構が、前記下側ワイヤガイド部上の前記ワイヤ固定機構と大略位置合わせされたことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の装置であって、前記チャネルが、前記ワイヤを挟んでルーティングする対向壁を備えたことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項に記載の装置であって、前記対向壁の一方の一端と前記下側ワイヤガイド部との間に間隙が規定され、前記ワイヤが、前記間隙を通って前記チャネル中へとルーティングされたことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の装置であって、前記本体が、医療機器のアクセスポートに係合するように構成された1つ以上の可撓性フィンガを備えたことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載の装置であって、前記ワイヤが延伸するように構成されたキャップを備えたことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、前記キャップが、開口を含み、前記本体が、前記開口に係合して前記キャップおよび前記本体を接続するように構成されたバーブを備えたことを特徴とする装置。
【請求項14】
ワイヤが延伸するように構成された開口を含む本体と、
上側ワイヤガイド部および対向する下側ワイヤガイド部により規定されたチャネルを含むワイヤガイドと、
を備えた装置であって、
前記上側ワイヤガイド部が、
第1の場所で前記ワイヤに接触するように構成された第1のワイヤ接触機構と、
第2の場所で前記ワイヤに接触するように構成された第2のワイヤ接触機構であって、前記チャネルの側壁の内側面である第2のワイヤ接触機構と、
を含み、
前記ワイヤのある区分が前記チャネル中へとルーティングされるように構成されており、
記第1の場所は、前記チャネル中へとルーティングされる前記ワイヤの前記区分の遠位である、ことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、前記第1のワイヤ接触機構が、前記開口の方向で傾斜したフィンガであることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置であって、前記第2の場所が、前記チャネル中へとルーティングされる前記ワイヤの前記区分にあることを特徴とする装置。
【請求項17】
ワイヤが延伸するように構成された開口を含む本体と、
上側ワイヤガイド部および下側ワイヤガイド部により規定されたチャネルと、
前記ワイヤのある区分を固定するように構成されたワイヤ固定機構と、
を備えた装置であって、
前記チャネルが、前記本体と前記ワイヤ固定機構との間の経路に沿って前記ワイヤをガイドするように構成され、
前記上側ワイヤガイド部が、
上面と、
前記上面に対向する底面と、
前記底面から離れる方向に延び、第1の場所で前記ワイヤに接触するように構成された第1のワイヤ接触機構と、
前記底面に配置され、第2の場所で前記ワイヤに接触するように構成された第2のワイヤ接触機構と、
を含み、
前記下側ワイヤガイド部が、
前記上側ワイヤガイド部の底面に対向する上面であって、前記上側ワイヤガイド部の底面とともに前記チャネルを規定する上面と、
前記下側ワイヤガイド部の上面の端部にある前縁と、
を含み、前記第1のワイヤ接触機構は、前記前縁を越えて延び、
前記第2のワイヤ接触機構は、前記下側ワイヤガイド部の上面に向かって延びる、
ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示内容は、医療機器に関し、より詳細には、ガイドワイヤの移動のガイドならびに/または制限もしくは防止のための1つ以上の特徴を有するガイドワイヤ固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2018年10月16日に出願された米国特許出願第16/161,163号および2018年10月18日に出願された米国特許出願第16/163,828号に対する優先権を主張するものであり、両者のすべての内容を本願に引用して援用する。
【0003】
さまざまな医療処置において、視覚化が困難な生体構造のエリアおよび/または事前の開放手術を必要とし得る生体構造のエリアにアクセスするため、内視鏡が用いられる場合がある。
【0004】
ガイドワイヤは、生体構造の通路をナビゲートし得る長くて比較的柔軟なワイヤである。医療処置中は、ガイドワイヤが内視鏡のワーキングチャネルを通って、生体構造の関心部位へとナビゲートされ得る。この長くて柔軟なガイドワイヤは、関心部位に達した後、当該関心部位で静止位置に手動保持・維持するのが煩雑になる可能性がある。
【0005】
一部の医療処置においては、複数のガイドワイヤおよび/または医療器具が手術部位に存在し得る。他のガイドワイヤを静止位置に維持しつつ、1つ以上のガイドワイヤおよび/または医療器具を操作するのは、煩雑になる場合がある。さらに、1つ以上のガイドワイヤおよび/または医療器具を操作すると、1つ以上の他のガイドワイヤの不慮の移動または関心部位からの脱落によって、患者の外傷、医師のフラストレーション、および/または医療処置の不要な長期化を招来する可能性がある。
【0006】
ガイドワイヤの静止位置での安定化および/または維持に役立ついくつかの装置が過去に提案されており、米国特許出願公開第2004/0162465号、米国特許第7,637,863号、および米国特許第6,893,393号に開示の装置が挙げられるが、これらすべてを、あらゆる目的のために本願に引用して援用する。
【0007】
ただし、上記利用可能な装置のうちの少なくとも一部は、運用が困難または煩雑である。
【0008】
さらに、上記利用可能な装置のうちの一部は、ワイヤループの形成を防止できない。ワイヤループは、内視鏡とワイヤ固定機構との間またはこれらに隣り合うエリア、特に、ガイドワイヤが屈曲するエリアにおいて形成され得る。ワイヤループによって、ガイドワイヤの遠位端が意図せず移動、シフト、または生体構造の関心部位から脱落することにより、患者の外傷、医師のフラストレーション、および/または医療処置の長期化を招来する可能性がある。
【0009】
少なくとも上記に鑑みて、当技術分野における改善が望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本教示内容は、上述のニーズのうちの少なくとも一部に対処する装置を提供する。
【0011】
本教示内容は、本体、チャネル、およびワイヤ固定機構を有する装置を提供する。本体は、ワイヤが延伸するように構成された開口を有する。チャネルは、上側ワイヤガイド部および下側ワイヤガイド部により規定されている。ワイヤ固定機構は、ワイヤのある区分の固定またはワイヤの移動の制限もしくは抑制を行うように構成されている。チャネルは、本体とワイヤ固定機構との間の経路に沿ってワイヤをガイドするように構成されている。
【0012】
本教示内容は、本体を有する装置を提供する。本体は、ワイヤが延伸するように構成された開口を有する。この装置は、上側ワイヤガイド部および対向する下側ワイヤガイド部により規定されたチャネルを有するワイヤガイドを有する。ワイヤのある区分がチャネル中へとルーティングされるように構成されている。ワイヤガイドは、第1の場所でワイヤに接触するように構成された第1のワイヤ接触機構を備える。第1の場所は、チャネル中へとルーティングされるワイヤの上記区分の遠位である。
【0013】
本教示内容は、本体、チャネル、およびワイヤ固定機構を有する装置を提供する。本体は、ワイヤが延伸するように構成された開口を有する。チャネルは、上側ワイヤガイド部および下側ワイヤガイド部により規定されている。チャネルは、開口とワイヤ固定機構との間でワイヤをガイドするように構成されている。上側ワイヤガイド部は、突起を備える。ワイヤは、チャネルへの当該ワイヤの挿入中に、突起をすり抜けるように構成されている。
【0014】
本教示内容は、医療機器とワイヤ固定機構との間でチャネルを通してワイヤをルーティングするステップを含む方法を提供する。このルーティングステップに先立って、ワイヤが突起をすり抜ける。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】医療機器の斜視図である。
図2図1の医療機器のアクセスポートの拡大斜視図である。
図3図1の医療機器と併用するワイヤ固定装置の斜視図である。
図4】ワイヤ固定装置の斜視図である。
図5】ワイヤ固定装置の分解斜視図である。
図6】ワイヤ固定装置の部分斜視図である。
図7】ワイヤ固定装置の部分斜視図である。
図8】ワイヤ固定装置の後面図である。
図9】ワイヤ固定装置の底部の斜視図である。
図10】医療機器に搭載されたワイヤ固定装置の斜視図である。
図11】医療機器から取り外しまたは分離されたワイヤ固定装置の斜視図である。
図12】医療機器のアクセスポートに係合したワイヤ固定装置の固定機構またはフィンガの模式図である。
図13】医療機器のアクセスポートに係合したワイヤ固定装置の固定機構またはフィンガの模式図である。
図14】ワイヤ固定装置の斜視図である。
図15】ワイヤ固定装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本教示内容は、医療機器を提供する。この医療機器は、1つ以上のワイヤまたは医療器具が通過し得る如何なる装置であってもよい。この医療機器は、内視鏡であってもよい。この医療機器は、気管支鏡、結腸鏡、食道鏡、またはその他任意の種類の内視鏡であってもよい。
【0017】
この医療機器は、1つ以上のワイヤまたは他の医療器具が挿通または通過するように構成可能な1つ以上の内部チャネルまたは通路を含んでいてもよい。水、空気、吸引物、薬剤、またはこれらの組合せが医療機器の1つ以上のチャネルまたは通路を通過するようになっていてもよい。
【0018】
この医療機器は、その1つ以上のチャネルまたは通路へのアクセスを提供する1つ以上のアクセスポートを含む。1つ以上のアクセスポートは、医療機器に対する1つ以上のワイヤ、医療器具、または両者の挿入もしくは挿通または取り外しを可能にする1つ以上の開口を有する。本教示内容に係るワイヤ固定装置が医療機器の各アクセスポートに係合するように構成されていてもよい。
【0019】
本教示内容は、ワイヤ固定装置を提供する。このワイヤ固定装置は、医療機器、内視鏡、患者、生体構造、関心部位、またはこれらの組合せに対する固定位置または静止位置にて1つ以上のガイドワイヤ(本明細書においては、「ワイヤ」とも称する)または1つ以上の他の医療器具を維持するように機能し得る。固定位置または静止位置は、1つ以上のワイヤまたは医療器具の軸方向、横方向、回転方向、またはこれらの組合せの移動が抑制、制限、または防止されることを意味する。ワイヤ固定装置が1つ以上のワイヤの移動を固定または防止するように機能し得る一方、医師は、この1つ以上のワイヤが意図せず移動または滑動し得るリスクを伴わずに、別のワイヤまたは他の医療器具を移動または操作する。このワイヤ固定装置は、医療機器と1つ以上のワイヤ固定機構との間の場所で、ワイヤのうちの1つ以上のループまたは屈曲の形成の制限もしくは防止またはその機会の抑制もしくは排除を行うように機能し得る。形成されるループは、1つ以上のワイヤの遠位端を関心部位に対して移動または再位置決めさせるように機能する場合がある。
【0020】
このワイヤ固定装置は、アクセスポートを含む医療機器の任意の部分に係合していてもよいし、接続されていてもよい。このワイヤ固定装置は、スナップ嵌合、摩擦嵌合、接着、機械式締結具、またはこれらの組合せによって、医療機器またはアクセスポートに係合していてもよい。
【0021】
このワイヤ固定装置は、使い捨ての装置であってもよく、1回の使用後の処分が意図される。あるいは、このワイヤ固定装置は、2回以上の医療処置に使用されるようになっていてもよく、このため、オートクレーブ可能であってもよい。
【0022】
このワイヤ固定装置は、1つ以上のチャネルを含んでいてもよい。1つ以上のチャネルは、1つ以上のワイヤまたは医療器具を医療機器からワイヤ固定機構までガイドするように機能し得る。チャネルは、1つ以上のワイヤが医療機器とワイヤ固定機構との間を通過するための通路、ルート、経路、またはエリアを提供するように機能し得る。チャネルは、1つ以上のワイヤの1つ以上の部分に接触し、摩擦力を印加することによって、当該チャネル内での1つ以上のワイヤの移動(たとえば、軸方向および/または回転方向)を制限または抑制するように機能し得る。チャネルは、ループを形成する傾向にあるワイヤの1つ以上のエリア(たとえば、ワイヤが屈曲または転回するエリア)において、1つ以上のワイヤに接触することにより、当該エリアにおいてループが形成される機会を抑制または排除するように機能し得る。
【0023】
チャネルは、1つ以上の部分または表面により規定されていてもよい。たとえば、チャネルは、大略矩形または長円の断面であってもよい。たとえば、チャネルは、1つ以上の部分または表面(上側ワイヤガイド部もしくは上側ワイヤガイド面、対向する下側ワイヤガイド部もしくは下側ワイヤガイド面、1つ以上の側壁もしくは突起、またはこれらの組合せが挙げられる)により規定されていてもよい。
【0024】
チャネルまたはその1つ以上の部分もしくは表面は、実質的に滑らかであること、および/または、低摩擦係数を有することにより、チャネルを通して1つ以上のワイヤ固定機構までルーティングする際の1つ以上のワイヤがその上で容易に摺動可能となるようにしてもよい。
【0025】
チャネルまたはその1つ以上の部分もしくは表面は、1つ以上のワイヤに摩擦または抵抗を追加または印加して、チャネル内での1つ以上のワイヤの移動を低速化、抑制、または制限するように機能し得る1つ以上の隆起部、突起部、または高摩擦係数の摩擦エリアを含んでいてもよい。これは、ワイヤ固定機構から分離または脱落した場合のワイヤの移動を低速化するように機能し得る。
【0026】
装置が2つ以上のチャネルを含む場合、これらのチャネルは、相互に重なり合っていてもよい。
【0027】
ワイヤガイド装置は、1つ以上のワイヤ接触機構を具備していてもよい。ワイヤ接触機構は、1つ以上のワイヤの1つ以上の区分または部分に対して、接触、移動、付勢、圧力、力、もしくは摩擦の印加、方向の変更、再ルーティング、またはこれらの組合せを行うように機能し得る。
【0028】
1つ以上のワイヤ接触機構は、1つ以上のワイヤが屈曲または方向が変化する1つ以上のエリアにおいて、1つ以上のワイヤに対する接触および/または支持により、当該エリアにおける1つ以上のワイヤのループの形成を抑制または防止するように機能し得る。たとえば、1つ以上のワイヤ固定機構を介してワイヤがその近位端で固定され、屈曲または転回するとともに、当該屈曲または転回の場所にワイヤ接触機構を含まない場合、当該ワイヤは、シフトまたはスナップによって、屈曲または転回の場所にループを形成する場合があり、これは、ワイヤの遠位端の位置を関心部位に対して意図せず移動させるように機能する場合がある。
【0029】
ワイヤ接触機構は、実質的に滑らかで、当該機構に沿う1つ以上のワイヤの移動または摺動を可能にするものであってもよいし、ワイヤ接触面は、1つ以上のワイヤに摩擦を追加または印加して、当該面に沿う1つ以上のワイヤの移動を制限または抑制するように機能し得る1つ以上の隆起部、突起部、または摩擦エリアを含んでいてもよい。
【0030】
ワイヤ接触機構は、チャネルの如何なる部分であってもよいし、区分であってもよいし、エリアであってもよい。ワイヤ接触機構は、チャネルを規定する壁または機構の如何なる内側面であってもよい。たとえば、ワイヤ接触機構は、上側ワイヤガイド部の内側面または天井であってもよいし、下側ワイヤガイド部の内側面または床であってもよいし、1つ以上の壁または突起であってもよいし、これらの組合せであってもよい。
【0031】
ワイヤガイド装置の一端は、本体または本体の開口の方向に傾斜した傾斜面またはフィンガを含んでいてもよい。傾斜面またはフィンガは、ワイヤ接触面であってもよい。フィンガの傾斜の角度は、1つ以上のワイヤに力を印加し、ワイヤを歪曲または屈曲させてチャネルに入れ込むとともに、屈曲場所でのループの形成を制限または防止するのに十分であってもよい。フィンガまたは傾斜面は、チャネルに入る前の場所で屈曲したワイヤに接触して、屈曲または支持していてもよい。
【0032】
ワイヤガイド装置は、1つ以上のワイヤ固定機構を具備していてもよい。ワイヤ固定機構は、ワイヤのうちの1つ以上の移動を制限または防止するように機能するワイヤ固定装置上の如何なる機構であってもよい。すなわち、1つ以上のワイヤは、ワイヤ固定機構のうちの1つに係合すると、固定され、軸方向、回転方向、または両方向の移動が実質的に防止される。言い換えると、ワイヤ固定機構は、ワイヤの遠位端が関心部位に対して移動しないように、ワイヤを所望の所定位置に固定するように機能する。
【0033】
ワイヤガイド装置は、任意数のワイヤ固定機構を具備していてもよい。たとえば、上側ワイヤガイド部は、ワイヤ固定機構を具備していなくてもよいし、1つ以上のワイヤ固定機構を具備していてもよいし、2つ以上のワイヤ固定機構を具備していてもよいし、3つ以上の機構を具備していてもよい。たとえば、下側ワイヤガイド部は、ワイヤ固定機構を具備していなくてもよいし、1つ以上のワイヤ固定機構を具備していてもよいし、2つ以上のワイヤ固定機構を具備していてもよいし、3つ以上の機構を具備していてもよい。
【0034】
ワイヤ固定機構はそれぞれ、スロットもしくはチャネル、ウェル、ならびにアンダーカットもしくはテーパ状部を含んでいてもよい。各機構は、ワイヤを適所に保持するように協働する。ワイヤは、ワイヤのルーティングを容易化する導入部または広い開口を有し得るスロットに挿入可能である。チャネルは、開口からアンダーカットまたはテーパ状部まで内方に狭まっていてもよいし、テーパ状になっていてもよい。ワイヤは、アンダーカットまたはテーパ状部を通過してウェルに入るように強制することが必要となる場合がある。ワイヤは、アンダーカットまたはテーパ状部の強制通過の後、ウェルにスナップするようになっていてもよく、これにより可聴クリック音または振動が発生して、ワイヤがウェルに係入したことが医師に通知されるようになっていてもよい。アンダーカットまたはテーパ状部は、ワイヤをウェルに保持するとともに、ワイヤがウェルから出ないように機能し得る。ウェル内からワイヤを取り出すには、ワイヤがアンダーカットまたはテーパ状部を通過してウェルから出るように強制することが必要となる場合がある。これは、ワイヤが予定より早く、または、意図せずウェルから出る機会を抑制または防止するように機能し得る。
【0035】
上側ワイヤガイド部上のワイヤ固定機構のスロットは、下側ワイヤガイド部上のワイヤ固定機構のスロットと、軸に沿って実質的に位置合わせされていてもよい。あるいは、対向するガイド機構上のスロットは、位置合わせの必要がない代わりに、相互にオフセットしていてもよい。
【0036】
ワイヤガイド装置は、1つ以上のキャップを具備していてもよい。キャップは、生検キャップであってもよい。キャップは、アクセスポートまたは医療機器への開口を閉鎖するように機能するカバーであってもよいし、シールであってもよいし、蓋であってもよい。キャップは、アクセスポートまたは医療機器の内側への外来物または異物の侵入を制限または防止するように機能し得る。キャップは、アクセスポートからの体液の充溢を制限または防止するように機能し得る。キャップは、医療機器のワーキングチャネルへの流体および/または空気障壁を形成するように機能し得る。
【0037】
キャップは、本体との一体形成または本体上への一体形成がなされていてもよいし、本体に対して取り外し可能に取り付けられていてもよい。キャップは、本体に規定された開口および/または医療機器のアクセスポートの開口と実質的に位置合わせされた開口を含んでいてもよい。キャップの開口は、キャップを通って延びる1つ以上のワイヤに適合して、アクセスポートまたは医療機器の内側への外来物または異物の侵入を制限または防止するようになっていてもよい。すなわち、キャップの開口は、2つ以上のワイヤが通過する場合に広がり、ワイヤが1つしか通過しない場合は狭まるようになっていてもよい。
【0038】
キャップは、ゴムで構成されていてもよいし、ポリマー材料で構成されていてもよい。キャップは、可撓性の柔軟な材料で構成されていてもよい。キャップは、剛性のプラスチック材料で構成されていてもよい。キャップは、本体と同じ材料で構成されていてもよい。キャップは、本体と異なる材料で構成されていてもよい。
【0039】
1つ以上のワイヤまたは他の医療機器もしくは器具が上記医療機器、ワイヤ固定装置、または両者を通過するようになっていてもよい。1つ以上のワイヤは、低侵襲または非侵襲の医療処置中に身体の狭い通路へのアクセスの確保および維持に使用可能な細長くて比較的柔軟な部材であってもよい。
【0040】
図1は、医療機器10を示している。医療機器10は、1つ以上のワイヤ、ガイドワイヤ、および/または医療器具が通過し得る如何なる装置であってもよい。医療機器10は、内視鏡であってもよい。
【0041】
医療機器10は、近位端12および対向する遠位端14を備える。医療機器10は、その内側に規定されたチャネルまたは通路に対して、ガイドワイヤ18(または、単にワイヤ)、2つ以上のワイヤ、および/または他の医療器具を提供可能な開口、ポート、またはアクセスポート16を含む。ワイヤ18は、医療機器10のチャネルまたは通路を通って遠位方向にガイドまたはナビゲートされた後、遠位端14に規定された開口を通って医療機器10から延出するようになっていてもよい。1つ以上のワイヤ18または器具は、医療機器10から生体構造中の関心部位までガイドまたはナビゲートされるようになっていてもよい。
【0042】
図2は、図1の医療機器10のアクセスポート16を示している。アクセスポート16は、医療機器10の内側に規定された通路へのアクセスを提供する。アクセスポート16は、フレア20を備える。フレアは、医療機器10に接続された基部22と、基部22の上部に取り付けられたリング24とを有する。リング24は、基部22よりも大きなサイズもしくは直径または基部22から外方に広がったサイズもしくは直径を有する。以下により詳しく論じる通り、ワイヤ固定装置100(図3以降)が医療機器10のアクセスポート16に対して接触、係合、および/または接続されるように構成されている。1つ以上のガイドワイヤ18、ワイヤ、または他の医療器具は、アクセスポート16の開口を通過し、医療機器10内に規定された1つ以上のチャネルまたは通路に入った後、医療機器10の遠位端14から出るように構成されている(図1)。
【0043】
図3は、ワイヤ固定装置100を示している。装置100は、本体102を備える。本体102は、1つ以上のワイヤ18が延伸するように構成された開口104を有する。本体102には、キャップまたはカバー105が取り付けられている。また、キャップ105は、1つ以上のワイヤ18が延伸するように構成された開口を有する。装置100もしくは本体102の一部であるか、装置100もしくは本体102に接続されるか、または装置100もしくは本体102と一体構成されたキャップ105を有することによって、ワイヤ18の形状を制御可能であるとともに、医療機器10とワイヤ固定装置100との間で確実にルーティング可能である。すなわち、開口104と以下により詳しく論じるワイヤガイド106との間にワイヤ18が延びることで、ワイヤの湾曲または屈曲をより好適に制御可能であり、ワイヤループの形成を抑えられるため都合が良い。
【0044】
ワイヤ固定装置100は、本体102に隣り合って位置付けられたワイヤガイド106(アームとも称し得る)を備える。ワイヤガイド106またはアームは、上側ワイヤガイド部110および対向する下側ワイヤガイド部112により規定されたチャネル108を含む。チャネル108は、本体102と1つ以上のワイヤ固定機構との間の経路に沿って1つ以上のワイヤ18をガイドするように構成されており、ワイヤ固定機構は、以下により詳しく論じる通り、ワイヤ18が対応するワイヤ固定機構中にルーティングされた場合に、ワイヤ10のある区分に係合して固定するように構成されている。
【0045】
ワイヤ固定機構は、いずれも上側ワイヤガイド部110上に位置付けられた第1のワイヤ固定機構114および第2のワイヤ固定機構116ならびに下側ワイヤガイド部112上に位置付けられたワイヤ固定機構120を含む。これらの機構 116,118,120については、図6~9、図14、および図15において、より詳しく示す。
【0046】
上側ワイヤガイド部110は、第1の場所124でワイヤ18に接触するように構成された第1のワイヤ接触機構122を備える。第1のワイヤ接触機構122は、下側ワイヤガイド部112の前縁111およびチャネル108を越えて延びることにより、チャネル108の内側に位置付けられたワイヤ18の区分に対して遠位に位置付けられたワイヤ18の部分に接触するように構成されている。
【0047】
第1のワイヤ接触機構122は、開口104の方向で傾斜するか、または下方に角度が付いた傾斜面を含むフィンガである。第1のワイヤ接触機構122すなわちフィンガは、開口104の上方で横方向に位置付けられている。また、第1のワイヤ接触機構122は、図4図6および図8にも見られる。
【0048】
上側ワイヤガイド部110は、第2の場所128でワイヤ18に接触するように構成された第2のワイヤ接触機構126を備える。第2のワイヤ接触機構126は、上側ワイヤガイド部110の天井136であってもよい(図4および図5)。第2のワイヤ接触機構126は、チャネル108を規定する側壁130,132の一方または両方の内側面であってもよい(図4および図5)。第2のワイヤ接触機構126は、第1のワイヤ接触機構122がワイヤ18に接触するように構成されたワイヤ18の場所に近位の場所でワイヤ18に接触するように構成されている。
【0049】
第1および第2のワイヤ接触機構122,126は、開口104からワイヤ固定機構116,118,120のうちの1つ以上まで延びる際のワイヤ18の垂直方向、水平方向、および/または横方向の動きを制限する支持部、停止部、拘束部、または境界として機能し得る。別の言い方をすれば、1つ以上のワイヤ18は、屈曲、転回、または方向が変化する場所で1つ以上のループを形成する場合がある。ワイヤ18が屈曲、転回、または方向が変化し得るこれらのエリアでワイヤ18の支持またはワイヤ18との接触をなすワイヤ接触機構122,126を有することにより、ループの形成が制限または防止される。ワイヤループが形成されると、患者または生体構造の関心部位の内側からワイヤ18が意図せず引っ張られることにより、生体構造の内側でワイヤ18の位置が損なわれる場合があるため望ましくない。したがって、このようなワイヤループの形成を防止するのが望ましい。さらに、ワイヤ接触機構122,126は、ワイヤ18に摩擦力を印加するように構成されており、これは、ワイヤ18に抵抗を追加することにより、ワイヤ18の軸方向、横方向、または回転方向の移動を抑制または防止するように機能する。
【0050】
図4は、明瞭化のためワイヤ18を除いた状態のワイヤ固定装置100を示している。チャネル108は、開口104が延びる方向に沿う軸A2に対して大略的および/または実質的に垂直な長手方向軸A1に沿って延びる。
【0051】
チャネル108を規定する上側ワイヤガイド部110および対向する下側ワイヤガイド部112のほか、チャネル108は、対向する側壁130,132も具備する。壁130,132は、1つ以上のワイヤ18が内部にルーティングされた後、チャネル108内でワイヤ18を横方向に維持するように構成されている。壁130,132は、上側および下側ワイヤガイド部110,112に対して大略垂直な壁であってもよい。壁130,132は、上側および下側ワイヤガイド部110,112に対して斜めになっていてもよい。
【0052】
側壁130(突起とも称し得る)は、上側ワイヤガイド部110から下側ワイヤガイド部112に向かって下方に延びるが、下側ワイヤガイド部112に接触はしていない。側壁すなわち突起130の下端と下側ワイヤガイド部112との間には、間隙134が規定されている。
【0053】
いくつかの構成においては、代替として、突起すなわち側壁130が下側ワイヤガイド部112から上側ワイヤガイド部110に向かって上方に延びていてもよい。このような構成においては、側壁すなわち突起130の端部と上側ワイヤガイド部110との間に間隙134が規定されることになる。
【0054】
側壁132を規定する2つの区分または部分間には間隙または切り欠きを示しているが、この間隙または切り欠きは、単一の一体的な連続壁132となるように除外されてもよい。
【0055】
また、図4は、第2のワイヤ接触機構126を示すが、これは、上側ワイヤガイド部110の天井136の如何なる部分であってもよい。この追加または代替として、第2のワイヤ接触機構126は、チャネル108の内側に面する側壁130,132の内側面137、139の一方または両方であってもよい。突起130の内側面137は、大略平坦かつ平面状の表面である(図5も参照)。
【0056】
図5は、キャップ105が本体102から分離された状態の装置100を示している。突起130は、チャネル108の内側の反対を向いた曲線状の外側面137を有する。ワイヤ18は、曲面137に沿って下方に摺動した後、経路135に沿ってチャネル108に入るように、曲面137に押し付けた後にわずかな下方への力を印加することによって、チャネル108に挿入可能である。ワイヤ18は、摺動してチャネル108に入ると、上方にスナップして、上側ワイヤガイド部110の天井136に接触するようになっていてもよい。スナップは、突起130の周りで下向きにワイヤが屈曲した後、ワイヤ18がチャネル108に含まれた後に真っ直ぐになるときに、ワイヤ18が、ばねと同様にポテンシャルエネルギーを蓄積した後、ポテンシャルエネルギーを運動エネルギーに突然変換することによって、生じ得る。天井136(ならびに/または、側壁130,132および/もしくは下側ワイヤガイド部112の底面)に対するワイヤ18の接触によって、可聴クリック音および/または振動が発生または生起し得るため、ワイヤ18がチャネル108中に位置付けられたことの触覚フィードバックが得られる。
【0057】
この追加または代替として、ワイヤ18は、上側ワイヤガイド部110と対向する下側ワイヤガイド部112との間に規定された間隙134と位置合わせした後、チャネル108への圧入または押し込みによって、チャネル108に挿入可能である。
【0058】
本体102は、キャップ105のテザーまたはストラップ142に規定された開口140と協働するように構成された取り付け機構138を備える。これにより、キャップ105に汚染、損傷、または摩耗が発生した場合に、キャップ105を本体102から取り外して洗浄および/または交換することができるようになるため都合が良い。いくつかの構成においては、キャップ105および本体102の一方または両方を損傷することなくキャップ105を本体102から分離することが不可能となるように、本体102とキャップ105とを永久に取り付けることも可能である。
【0059】
本体102は、開口104の周りに規定されたフレア144を備える。フレア144は、キャップ105の下面に規定された対応するフレア係合機構146と協働して、キャップ105を本体102に接続するように構成されている。機構144,146の協働によって、医療機器10の取り扱い時に、キャップ105が本体102に取り付けられた状態を維持する干渉嵌合が形成される。キャップ105は、プルタブ148を具備する。プルタブ148は、キャップ105を本体102から取り外す際に役立つように、ユーザが持ち上げ可能である。キャップ105は、ワイヤ18がキャップ105を通過するように、本体102の開口104と大略位置合わせされた開口150を含む。
【0060】
図6は、上側ワイヤガイド部110の一部であって、第1および第2のワイヤ固定機構114,116を示している。この図では、下側ワイヤガイド部112上のワイヤ固定機構120を示していないが、その構造および機能は、第1および第2のワイヤ固定機構114,116と実質的に類似する。したがって、第1および第2のワイヤ固定機構114,116の構造および機能に関する説明は、ワイヤ固定機構120の構造および機能にも適用可能と考えられる。
【0061】
第1および第2のワイヤ固定機構114,116はそれぞれ、スロット152およびウェル154を含む。各スロット152は、チャネル108が延びる方向に沿う軸A1に対して実質的に垂直な対応軸A3に沿って延びる。各スロット152は、開放端から対応するウェル154まで内方にテーパ状となっている。
【0062】
図7を別途参照して、各スロット152は、ウェル154に隣り合って位置付けられ、当該スロット152の中心軸A3に向かって内方にテーパ状となったテーパ状壁156またはアンダーカットを備える。ウェル154は、テーパ状部156よりもサイズまたは直径が大きい。ワイヤ18は、ワイヤ固定機構114,116,120の内側に係合させて移動を制限、防止、または抑制するため、方向157にて対応するチャネル152に挿入し(図6)、方向158にて対応するテーパ状壁156またはアンダーカットの周りで屈曲させ(図7)、その後、対応するウェル154にスナップ挿入可能である。ワイヤ18がテーパ状部156の周りで屈曲し、ウェル154にスナップ挿入されると、ワイヤ18に蓄えられたポテンシャルエネルギーが解放され得るため、可聴クリック音および/または振動が生起または発生して、ワイヤ18がワイヤ固定機構114,116,120に係合されたことの触覚フィードバックが得られる。
【0063】
図8を参照して、上側ワイヤガイド部110上のワイヤ固定機構114のチャネル152および下側ワイヤガイド部112上のワイヤ固定機構120のチャネル152は、チャネル108の軸A1に対して実質的および/または大略的に垂直な共通軸A4上で実質的および/または大略的に位置合わせされている。ワイヤ固定機構116のチャネル152は、軸A4に対して実質的および/または大略的に平行かつ軸A1に対して大略的および/または実質的に垂直な軸A5に沿って延びる。
【0064】
ここで図9を参照して、本体102は、1つ以上のスナップ嵌合機構またはフィンガ160を備える。本体102は、縁部162と、開口104を囲む3つの壁または表面164a,164b,164cを含むスカートとを備える。装置100では、縁部162にスカート面は存在しない。スカート面164a,164b,164cは、開口104から下方に延びており、縁部162よりも長い。
【0065】
本体102は、開口104の周りで等間隔の3つのスナップ嵌合機構またはフィンガ160を備えるのが好ましい。ただし、いくつかの構成において、本体102は、2つ以下のスナップ嵌合機構またはフィンガ160を有していてもよいし、4つ以上のスナップ嵌合機構またはフィンガを有していてもよい。いくつかの構成において、スナップ嵌合機構またはフィンガ160は、開口104の周りで等間隔になっていなくてもよい。
【0066】
スナップ嵌合機構またはフィンガ160は、少なくとも部分的に可偏、可撓、および/または弾性となるように構成されるとともに、ワイヤ固定装置100の医療機器10への搭載において、ワイヤ固定装置100が医療機器10のアクセスポート16に最初に接触または係合する際に(図1図2図10)、開口104の中心から離れる外方に少なくとも部分的に偏向するように構成されている。
【0067】
また、スナップ嵌合機構またはフィンガ160は、ワイヤ固定装置100を医療機器10から分離できるように、医療機器10のアクセスポート16からのワイヤ固定装置100の取り外しまたは分離が開始となった際に(図1図2図11)、開口104の中心から離れる外方に偏向するように構成されている。
【0068】
さらに図1図2、および図10を参照して、ワイヤ固定装置100は、ある方法に従って医療機器10に搭載可能である。この方法は、本明細書に開示のステップのうちの1つ以上を含んでいてもよい。ワイヤ固定装置100は、医療機器10のアクセスポート16との位置合わせによって、医療機器10に取り付けまたは搭載可能である。ワイヤ固定装置100は、スカート面164a,164b,164cおよび縁部162がアクセスポート16を囲むように、医療機器10に対して位置合わせされるようになっていてもよい。そして、ワイヤ固定装置100は、スナップ嵌合機構またはフィンガ160がリング24に接触するまで、方向155にてアクセスポート16へと下方に移動するようになっていてもよい。方向155にてアクセスポート16へと装置100が継続的に下方移動することによって、開口104から離れる外方へと広がるようにアクセスポート16がフィンガ160を移動または強制することにより、アクセスポート16がフィンガ160間に嵌合する余地が生まれる。
【0069】
ワイヤ固定装置100がアクセスポート16へとさらに下方移動することにより、フィンガ160は最終的に、開口104に向かって内方に弾性偏向またはスナップバックして、それぞれの定常状態位置に収まる。フィンガ160は、基部22および/またはリング24の下側に対するクリッキングまたはスナップバックを行うようになっていてもよく、これにより可聴クリック音、触覚音、または振動がもたらされ得るため、ユーザは、装置100が医療機器10に搭載され、適正に配置されていることを把握可能である。
【0070】
スナップ嵌合機構またはフィンガ160は、リング24の底面に係合して、アクセスポート16および医療機器10上のワイヤ固定装置100の接続を固定・維持するように構成されたアンダーカットまたはタブ166を有していてもよい(図12および図13参照)。また、アクセスポート16を囲むスカート面164a,164b,164cは、ワイヤ固定装置100のアクセスポート16に対する回転またはアクセスポート16周りの回転を制限または防止するように構成された回転防止機構として機能し得る。
【0071】
ここで図11を参照して、医療機器10からのワイヤ固定装置100の取り外しまたは分離のため、ユーザは、ワイヤ固定装置100を把持するとともに、方向157での本体102、アーム、もしくはワイヤガイド106の押し込みまたは揺動力もしくは枢動力の印加によって、ワイヤ固定装置100が縁部162上または縁部162周りで傾斜、揺動、または枢動した後(図9も参照)、医療機器10から分離されるようにしてもよい。
【0072】
さらに図12を参照して、この傾斜、押し込み、枢動、および/または揺動の動作中に方向157で装置100および/またはフィンガ160に印加される力Fにより、フィンガ160は、開口104から離れる外方および互いに離れる外方に偏向および拡大することで、アンダーカット機構166とともに基部22から離れ、ワイヤ固定装置100がリング24から係合解除されて医療機器10から分離可能となるのに十分な空間をもたらすことになる。
【0073】
対照的に、ここで図13を参照して、縁部162に向かわない力F’が装置100またはフィンガ160に印加される場合(すなわち、力F’が方向159または垂直方向であって、図12のように縁部162に向かう押し込み力でもなければ、斜め方向の力でも揺動力でもない場合)、対応するスナップ嵌合機構、フィンガ160、またはアンダーカット166は、力F’が上方に伝達されないようにして、医療機器10からのワイヤ固定装置100の取り外しまたは分離を制限または防止することになる。代わりに、アクセスポート16のリング24がスナップ嵌合機構またはフィンガ160のうちの1つ以上に押し付けられることにより、医療機器10に対するワイヤ固定装置100の把持力が増大する。
【0074】
図14および図15はそれぞれ、3つのワイヤ18,18’,18’’がワイヤ固定機構114,116,120のうちの対応する1つにそれぞれ係合したワイヤ固定装置100を示している。
【0075】
一実施形態において、装置100は、使用中に予想される条件および力となった場合に、医療機器10のアクセスポート16の場所に固定維持される一方、必要に応じて当該装置100を取り外す際に使用する力が比較的小さくて済むように設計されている。上述の通り、装置100は、同じくガイドワイヤを適所に固定および取り付け可能なシールとして作用し得る。使用時にガイドワイヤを適所に効果的に固定するには、固定用構成要素がポートに対して非常に正確に位置決めされることが重要である。これは、2つの構成要素を一体的に組み合わせることにより実現可能である。ただし、一体的な組合せは、シールがその範囲から離れ落ちることなく、ワイヤの固定に必要な力に耐え得る一方で、ユーザが取り外したい場合には依然として容易に取り外し可能である必要があることを意味する。
【0076】
一実施形態において、装置100は、医療機器10に固定された場合に、下方および医療機器10のアクセスポート16の周りに延びるプロファイル整合スカートである。図9図11に示すように、このプロファイルは、3つの側面で下方に延びるが、4つ目の側面では延びずに、装置100の容易な取り外しを可能にする。スカートが異なる構成で延びているなら、固定が不安定になるか、または、医療機器10からの取り外しが困難になる。スカートの内面は、医療機器10のアクセスポート16に押し付けられて、ユーザが固定機構においてワイヤを係合させる際に、アクセスポート16の周りで軸方向に固定が回転しないようにする。ワイヤの係合または取り外しのため、生検チャネルポートの中心軸周りにトルクが生成され、スカートが医療機器10(たとえば、内視鏡のハンドル)の周りで力を一様に分散させることにより、内視鏡および装置100の損傷を最小限に抑える。
【0077】
また、スカートは、装置100の接続時の考え得る配向を制限することができる。回転方向および横方向の両方向の制御によって、接続機構が適正に位置合わせされるとともに、ワイヤがユーザの前方および右方に向かう状態で装置100が配向されるが、これは、医療処置中にアシスタントが位置する最も一般的な場所である。
【0078】
本明細書に開示の方法のステップは事実上、如何なる順序でも実行可能であることが了解される。さらに、以下の方法のステップのうちの1つ以上は、他のステップとの組合せ、省略もしくは除外、繰り返し、ならびに/または個々のステップもしくは付加的なステップへの分離が可能である。
【0079】
本明細書に提示の説明および図示は、他の当業者による本発明、その原理、およびその実用の理解を意図したものである。上記説明は、例示を意図したものであり、何ら限定的なものではない。当業者であれば、特定の使用の要件に最も適するように、本発明をさまざまな形態で適応および適用可能である。
【0080】
したがって、上述の本発明の特定の実施形態は、何ら網羅的でもなければ、本教示内容を制限するものでもない。このため、本教示内容の範囲は、上記説明を参照して決定すべきではなく、代わりに、添付の特許請求の範囲のほか、このような特許請求の範囲の権利が及ぶ同等物の全範囲を参照して決定すべきである。本明細書に開示の主題の任意の態様に関する以下の特許請求の範囲における省略は、このような主題の免責事項でもなければ、本発明に係る開示の主題の一部としては本発明者らが考えていないものと見なすべきことでもない。
【0081】
統合された単一の要素またはステップによって、複数の要素またはステップを提供可能である。あるいは、単一の要素またはステップが複数の別個の要素またはステップへと分割されるようになっていてもよい。
【0082】
要素またはステップを説明する際の「a」または「one」の開示は、付加的な要素またはステップの排除を意図するものではない。
【0083】
本明細書においては、さまざまな要素、構成要素、領域、層、および/または区分の説明のため、「第1(first)」、「第2(second)」、「第3(third)」等の用語を使用する場合があるが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/または区分は、これらの用語により制限されるべきではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、または区分を別の領域、層、または区分から識別するのに使用可能である。本明細書において使用する場合の「第1(first)」、「第2(second)」等の数字は、文脈上の明確な指定のない限り、並びも順序も暗示するものではない。このため、後述の第1の要素、構成要素、領域、層、または区分は、本教示内容から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、または区分と称することも可能である。
【0084】
本明細書において、「内側(inner)」、「外側(outer)」、「直下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」等の空間的に相対的な用語は、図面に示すように、ある要素または機構と別の要素または機構との関係を説明する記述を容易化するために使用している場合がある。空間的に相対的な用語は、図面に示す配向のほか、使用または動作中の装置の異なる配向を含むことが意図され得る。たとえば、図面の装置がひっくり返されると、他の要素または機構の「下方(below)」または「直下(beneath)」として記載された要素は、他の要素または機構の「上方(above)」に配向されることになる。このため、例示的な用語「下方(below)」は、上方および下方の両配向を含み得る。本明細書においては、装置が異なる配向(90°回転等の他の配向)となり、それに応じて、空間的に相対的な記述が解釈されるようになっていてもよい。
【0085】
事実上、特許出願および公開を含むすべての文献および参考文献を本願に引用して援用する。また、以下の特許請求の範囲から得られるように、他の組合せも可能であり、本明細書において、本願に引用して援用する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15