(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】ファイバ供給レーザ誘起白色光システム
(51)【国際特許分類】
F21V 8/00 20060101AFI20240226BHJP
H01S 5/02251 20210101ALI20240226BHJP
H01S 5/022 20210101ALI20240226BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20240226BHJP
F21S 41/176 20180101ALI20240226BHJP
F21S 41/16 20180101ALI20240226BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20240226BHJP
F21V 25/02 20060101ALI20240226BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240226BHJP
【FI】
F21V8/00 250
H01S5/02251
H01S5/022
G02B6/42
F21S41/176
F21S41/16
F21V9/32
F21V25/02
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2021535928
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 US2019068091
(87)【国際公開番号】W WO2020132592
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-11
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514108104
【氏名又は名称】キョウセラ エスエルディー レイザー,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KYOCERA SLD LASER, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ロメロ,オスカー
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン,ジム
(72)【発明者】
【氏名】ゴーテイン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ラリング,ジェイムス ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ルディー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ダミン
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-066480(JP,A)
【文献】特表2018-525836(JP,A)
【文献】特開2013-187145(JP,A)
【文献】特開2003-322756(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0062953(US,A1)
【文献】特開2011-123368(JP,A)
【文献】特開平11-002746(JP,A)
【文献】特開2005-010484(JP,A)
【文献】特開2016-100469(JP,A)
【文献】特開2011-129375(JP,A)
【文献】特開2016-164671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 1/00- 8/00
F21V 9/00-15/04
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 23/00-99/00
H01S 5/02251
H01S 5/022
G02B 6/42
F21V 25/02
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光を遠隔供給するための装置であって、
マルチピンコネクタを有する電子基板部材を囲むパッケージケースと、
前記パッケージケース内の前記電子基板部材に差し込まれたサブパッケージにおいて構成されたレーザモジュールと、ここで、前記サブパッケージは、支持部材と、前記支持部材に取り付けられた少なくとも1つのガリウムおよび窒素含有レーザダイオードデバイスとを含み、前記少なくとも1つのガリウムおよび窒素含有レーザダイオードデバイスは、395nm~490nmの範囲の第1の波長によって特徴付けられる電磁放射のビームを放出するように構成され、
前記電磁放射のビームを前記サブパッケージの出力ポートにコリメートするように前記サブパッケージにおいて構成されたコリメートレンズと、
電気的フィードスルーに結合された前記マルチピンコネクタを伴う前記パッケージケースを密封する蓋部材と、
前記出力ポートに結合された第1の端部を有し、前記電磁放射を受け取り、主伝搬方向、ビーム直径および発散を伴って第2の端部を出るように任意の長さを介して前記電磁放射を供給する光ファイバを含むファイバアセンブリと、
前記光ファイバの前記第2の端部に結合された光ヘッド部材に遠隔配置された蛍光体部材と、ここで、前記蛍光体部材は、前記光ファイバの前記第2の端部を出る前記電磁放射を受け取り、前記第1の波長の前記電磁放射の少なくとも一部を第2の波長の蛍光体発光に波長変換するように構成された表面を有し、前記第2の波長は前記第1の波長よりも長く、
前記蛍光体部材の前記表面と前記光ファイバの前記第2の端部との間の距離を設定し、前記第2の端部を出る前記電磁放射の前記主伝搬方向と前記蛍光体部材の前記表面に平行な方向との間の入射角を設定して、25μm~5mmの範囲の直径で、前記蛍光体部材の前記表面に前記電磁放射の励起スポットを生成するように構成された前記光ヘッド部材における機械的固定具と、を含み、前記励起スポットは、前記第1の波長の前記電磁放射と前記第2の波長の前記蛍光体発光との混合によって特徴付けられる白色発光を生成
し、
前記機械的固定具は、前記光ファイバの前記第2の端部を支持して、前記光ファイバを出る前記電磁放射の主伝播方向と前記蛍光体部材の前記表面に平行な前記方向との間の前記入射角を、25度~30度までの1つ、または30度~35度までの1つ、または35度~40度までの1つ、または40度よりも大きいが90度よりも小さいものの1つから選択されるようにする傾斜金属本体を含み、
前記光ヘッド部材は、前記傾斜金属本体の底部領域で前記蛍光体部材を支持するヒートシンクと、前記光ヘッド部材を密封し、前記白色発光を通過させるために、前記傾斜金属本体を覆う窓ガラスと、をさらに含み、
前記光ヘッド部材は、前記光ファイバから出て、かつ前記蛍光体部材の前記表面から反射される前記電磁放射の前記ビームの一部を遮断するために、前記傾斜金属本体の下端部に取り付けられたビームブロック部材をさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記電子基板部材は、複数のソケットを有するように構成されたプログラム可能な抵抗器回路基板を含み、これにより、前記レーザモジュールの前記複数のピンの直接プラグインを可能にし、はんだによる固定を可能にする請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
オートヘッドライト用のファイバ供給レーザ誘起白色光源であって、
回路基板に差し込まれた金属ケースにパッケージされたレーザモジュールと、ここで、前記金属ケースは、支持部材と、前記支持部材に取り付けられ、395nm~490nmの範囲の波長によって特徴付けられたレーザビームを放出するように構成された少なくとも1つのレーザダイオードデバイスと、前記レーザビームを出力ポートに導くように構成されたコリメートレンズと、を囲み、
前記レーザビームを受け取り、制限するために、前記金属ケースの外側から前記出力ポートに結合されたフォーカスレンズと、
前記フォーカスレンズから前記レーザビームを受け取り、前記レーザビームを光ファイバを介して第2の端部に供給するために、前記出力ポートに整列して結合された第1の端部を有する前記光ファイバを埋め込むファイバアセンブリと、
前記光ファイバの前記第2の端部を蛍光体材料の近くに保持するオートヘッドライトモジュールに遠隔配置された光ヘッド部材とを含み、前記光ヘッド部材は、前記蛍光体材料で、前記レーザビームと前記蛍光体材料の表面に平行な方向との間の5度~90度の範囲の入射角で、前記光ファイバの前記第2の端部から出る前記レーザビームを方向付け、50μm~5mmの範囲のスポットを生成するように構成され、前記スポットにおける前記レーザビームは、前記レーザビームと部分的に混合される蛍光体励起発光を誘起し、前記オートヘッドライトモジュールの照明および投影光源としての白色発光を生成することを特徴とするファイバ供給レーザ誘起白色光源。
【請求項4】
前記少なくとも1つのレーザダイオードデバイスは、395nm~425nmの波長範囲、425nm~490nmの波長範囲、および490nm~550nmの範囲から選択された1つの波長で動作するガリウムおよび窒素含有発光領域を有するチップオンサブマウントのレーザダイオード(LD)チップを含む請求項
3に記載の白色光源。
【請求項5】
前記白色発光は、100~500cd/mm
2、500~1000cd/mm
2、1000~2000cd/mm
2、2000~5000cd/mm
2、および5000cd/mm
2より大きい輝度を有する白色光を生成するように構成される請求項
3に記載の白色光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年12月21日に出願された米国特許出願第16/230,158号の優先権を主張し、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
1800年代後半、トーマス・エジソンは電球を発明した。一般に「エジソン電球」と呼ばれる従来の電球は、照明やディスプレイなど様々な用途に100年以上使用されてきた。従来の電球は、ベースに密封されたガラスバルブに囲まれたタングステンフィラメントを使用しており、ソケットにねじ込まれている。ソケットはAC電源またはDC電源に接続されている。従来の電球は一般に、家庭、建物、および屋外照明、ならびにライトまたはディスプレイを必要とする他の領域に見られる。残念ながら、従来の電球には欠点が存在する。
従来の電球は熱エネルギーとして使用されるエネルギーの90%以上を放散する。
従来の電球はフィラメント素子の熱膨張および収縮のために、日常的に故障する。
従来の電球は広いスペクトルにわたって光を放出し、その多くは人間の目によって知覚されない。
従来の電球はすべての方向に発光するが、これは強い方向性または焦点を必要とする用途、例えば、投影ディスプレイ、光学データ記憶装置などには望ましくない。
【0003】
従来の電球の欠点の幾つかを克服するために、特に、蛍光ランプ、水銀蒸気ランプ、ナトリウム蒸気ランプ、他の高輝度放電(HID)ランプ、ネオンランプのようなガス放電ランプを含む幾つかの代替物が開発された。これらのランプ技術は一般に、エジソンランプと同様の問題に悩まされ、また、独自の欠点を有する。例えば、蛍光ランプは始動するために高い電圧を必要とし、これは、大型ランプに対して千ボルトの範囲となり、また、複数のスペクトル線によって支配される非常に非理想的なスペクトルを放出する。
【0004】
過去10年間、固体照明は、それが従来の照明技術に比べて有するいくつかの主要な利点のため、重要性を増してきた。固体照明は、光子を放出するように設計および最適化されたダイオードなどの半導体デバイスから派生した照明である。固体照明技術によって提供される高効率、長寿命、低コスト、無毒性のために、発光ダイオード(LED)が最適な照明技術として急速に出現した。LEDは通常、p-i-n接合ダイオードに基づく2リード半導体光源であり、活性化されると電磁放射を放出する。LEDからの発光は自発的であり、典型的にはランバートパターン(Lambertian pattern)である。リードに適切な電圧を印加すると、デバイス内で電子と正孔が再結合し、光子の形でエネルギーを放出する。この効果はエレクトロルミネセンスと呼ばれ、光の色は半導体のエネルギーバンドギャップによって決まる。
【0005】
1962年に実用的な電子部品として登場した最も初期のLEDは、低強度の赤外光を放出した。赤外線LEDはいまだに、多種多様な家庭用電子機器のリモコンなどで、リモコン回路の送信素子として頻繁に使用されている。最初の可視光LEDも低強度であり、赤色に限定された。今のLEDは、可視波長、紫外線波長および赤外線波長にわたって利用可能であり、非常に高い輝度を有する。
【0006】
最も初期の青色および紫色窒化ガリウム(GaN)ベースのLEDは、p型GaNの欠如のために、金属-絶縁体-半導体構造を用いて製造された。最初のp-n接合GaNLEDは、LEEBI処理を用いてAmano et al.によって実証され、1989年にp型GaNを得た。それらはLEDの電流-電圧(I-V)曲線およびエレクトロルミネセンスを得たが、LEDの出力電力または効率を記録しなかった。Nakamura et al.は、20mAで出力42μWにて、1991年に、低温GaNバッファとLEEBI処理を用いて、p-n接合GaNLEDを実証した。最初のp‐GaN/n‐InGaN/n‐GaN DH青色LEDは、1993年にNakamura et al.によって実証された。そのLEDは、順方向バイアス条件(forward biased condition)下で発光波長440nmの青色波長領域において、InGaNの強いバンド端発光を示した。順方向電流20mAで、出力電力は125μWであり、EQEは0.22%であった。1994年、Nakamura et al.は、出力1.5mW、EQE2.7%および発光波長450nmの商業的に利用可能な青色LEDを実証した。2014年10月7日、「明るく省エネ型の白色光源を実現した効率的な青色発光ダイオードの発明」に対して、すなわち簡単に言えばLEDランプに対して、赤崎勇、天野浩、中村修二に「ノーベル物理学賞」が授与された。
【0007】
GaNベースLEDと蛍光体(phosphors)などの波長変換材料を組み合わせることにより、固体白色光源が実現された。より低いエネルギー消費、より長い寿命、改善された物理的ロバスト性、より小さなサイズ、およびより速いスイッチングを含む、白熱光源に対する多くの利点の結果として、白色光を生成するためにGaNベースLEDおよび蛍光体材料を利用するこの技術は、現在、我々の世界中を照らしている。LEDは、現在、航空照明、自動車ヘッドランプ、広告、一般照明、交通信号、およびカメラフラッシュのような多様な用途に使用されている。LEDは、新しいテキスト、ビデオディスプレイ、およびセンサの開発を可能にしたが、それらの高いスイッチングレートは通信技術において非常に有用である。しかし、LEDは、唯一の固体光源ではなく、特定の照明用途に関して好ましい光源ではない場合がある。レーザダイオード(LD)またはスーパールミネッセント発光ダイオード(SLED)のような誘導放出(stimulated emission)を利用する代替の固体光源は、LEDよりも有利に多くの独特な特徴を提供する。
【0008】
1960年、レーザはマリブのヒューズ研究所のTheodore H. Maimanによって実証された。このレーザは、固体フラッシュランプで励起される合成ルビー結晶を利用して、694nmで赤色レーザ光を生成した。初期の可視光レーザ技術は、非線形光学特性を有する特殊な結晶を用いて可視光に変換された出力波長を有するランプ励起赤外線固体レーザ(lamp pumped infrared solid state lasers)から構成されていた。例えば、緑色ランプ励起固体レーザは、ランプに電力を供給する、1064nmでレーザ発振する利得結晶をランプが励起する、可視光532nmに変換する周波数変換結晶へ1064nmが進む、という3段階を有していた。得られた緑色および青色レーザは「第二高調波発生(second harmonic generation)を伴うランプ励起固体レーザ」(SHGを伴うLPSS)と呼ばれ、ウォールプラグ効率が~1%であり、Arイオンガスレーザよりも効率的であったが、それでも、特殊な科学および医療用途以外に広く展開するには、非効率的であり、大型で、高価であり、かつ、壊れやすかった。これらの可視光レーザの効率を改善するために、高出力ダイオード(または半導体)レーザが利用された。これらの「SHGを伴うダイオード励起固体レーザ(diode pumped solid state lasers)」(SHGを伴うDPSS)は、808nmダイオードレーザの電力を供給し、808nmが利得結晶を励起して1064nmでレーザ発振し、可視光532nmに変換する周波数変換結晶へ1064nmが進むという3段階を有していた。高出力レーザダイオードが進化し、新しい特殊なSHG結晶が開発されると、赤外線ダイオードレーザの出力を直接変換して青色および緑色レーザ光出力を生成することが可能になった。これらの「直接倍増ダイオードレーザ(directly doubled diode lasers)」またはSHGダイオードレーザは、1064nmの半導体レーザの電力を供給し、可視光532nmの緑色光に変換する周波数変換結晶へ1064nmが進むという2段階を有していた。これらのレーザ設計は、DPSS-SHGレーザと比較して、効率、コストおよびサイズを改善することを意図しているが、要求される特殊なダイオードおよび結晶が、今日このことを困難なものにしている。
【0009】
固体レーザ光源は、効率的なスペクトルフィルタリング、高変調率および短いキャリア寿命を可能にし、また、LEDと比較して、小型であり、はるかに大きな表面輝度を可能にするスペクトルの狭さに起因して、照明器具、照明システム、ディスプレイ、プロジェクタ等を含む多くの用途において、高帯域幅で情報を送信する手段として、可視光源としてより好ましいものとなる。改良されたプロセスに基づく新しいGaNベースの青色レーザ技術の進歩は、製造コストを実質的に低減し、変調されたレーザ信号および光スポットを直接利用する機会を開き、これにより、周囲の環境を測定しおよび/または相互作用し、他の電子システムにデータを送信し、種々のセンサからの入力に動的に応答する。このような用途は、「スマート照明」用途と呼ばれ、本明細書全体を通して開示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ファイバ供給蛍光体放出白色光システム(fiber-delivered phosphor-emitted white light system)およびその製造方法を提供する。単なる例として、本発明は、ガリウムおよび窒素含有レーザダイオードからのレーザ励起蛍光体光源、パッケージングにおいてファイバ付き蛍光体と一体化された白色光源、およびレーザポンプ光供給構成(laser pump-light delivery configuration)を提供する。本発明は、静的照明装置および方法、動的照明装置および方法、LIDAR、LiFiおよび可視光通信装置および方法、ならびに、一般照明、商業照明およびディスプレイ、自動車照明および通信、防衛およびセキュリティ、産業プロセッシング、インターネット通信、およびその他の用途における上記の様々な組合せを含む多くの用途に適用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特定の実施形態は、レーザダイオードまたは他のガリウムおよび窒素含有デバイス(本出願の発明者の1人によって出願された米国特許第9,666,677号および第9,379,525号に示される)を製造するための、転写されたガリウムおよび窒素含有材料プロセスを使用し、従来の製造技術を超える利益を可能にする。
【0012】
いくつかの実施形態では、MEMS走査ミラーのようなビーム成形素子、および集積センサフィードバックによりトリガされる通信が採用され、スマートレーザ照明を生成する。スマートレーザ照明は、強化されたシステム機能および/または強化されたLIDAR機能のために、LIDAR技術と組み合わせることができる。本発明の特定の実施形態は、レーザダイオードまたは他のガリウムおよび窒素含有デバイスを製造するために、転写されたガリウムおよび窒素含有材料プロセス(米国特許第9,666,677号および第9,379,525号)を使用し、従来の製造技術を超える利益を可能にする。
【0013】
任意に、ファイバ供給スマートレーザ照明システムで使用される蛍光体材料は、Ceでドープされたセラミックイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、またはCeでドープされた単結晶YAG、またはバインダ材料を含む粉末YAGから構成される。蛍光体は、光学ワット当たり50ルーメンを超える光学変換効率、光学ワット当たり100ルーメンを超える光学変換効率、光学ワット当たり200ルーメンを超える光学変換効率、または光学ワット当たり300ルーメンを超える光学変換効率を有する。
【0014】
任意に、導波路素子を使用して、レーザ励起ポンプ源(laser excitation pump source)を蛍光体素子などの遠隔波長変換器素子へ送る。好ましい実施形態では、輸送導波路が光ファイバであり、光ファイバは、コア直径が約1um~10um、約10um~50um、約50um~150um、約150um~500um、約500um~1mm、または1mmより大きい、シングルモードファイバ(SMF)またはマルチモードファイバ(MMF)で構成することができる。光学コア材料は、シリカガラスのようなガラスから成り、シリカガラスは、最適化された伝搬損失特性のために、種々の成分でドープされ、所定の水酸基(OH)レベルを有する。ガラス繊維材料はまた、フッ化物ガラス、リン酸塩ガラス、またはカルコゲニドガラスから構成されてもよい。代替実施形態では、プラスチック光ファイバが使用され、レーザポンプ光を輸送する。
【0015】
任意に、蛍光体材料は、第1のピーク波長を有する第1のレーザビームを受け取り第2のピーク波長を有する発光を励起することに関連して、反射モード、透過モード、および反射モードと透過モードの組合せから選択されたモードで動作するように構成される。
【0016】
任意に、集積パッケージは、遠隔励起蛍光体(remote pumped phosphor)として構成された波長変換部材と、レーザビームをガリウムおよび窒素含有レーザダイオードから遠隔励起蛍光体に導くための光ファイバとを含む。
【0017】
任意に、少なくとも1つのガリウムおよび窒素含有レーザダイオードは、2つのレーザダイオード、3つのレーザダイオード、または4つのレーザダイオードなどの複数のレーザダイオードを備え、2つのレーザビーム、3つのレーザビーム、または4つのレーザビームをそれぞれ生成する。複数のレーザビームは、波長変換部材上に励起スポットを形成する。
【0018】
任意に、複数のレーザダイオードのそれぞれは、420nm~485nmの青色範囲の複数の第1のピーク波長のうちの1つによって特徴付けられる。複数の第1のピーク波長により、白色光の色品質が改善される。
【0019】
任意に、波長変換部材は、第1のピーク波長を有する第1のレーザビームによって励起されて第2のピーク波長の第1の発光を生成するように構成された第1の蛍光体材料と、そのレーザビームによって励起されて第3のピーク波長を有する第2の発光を生成するように構成された第2の蛍光体材料とを備える。
【0020】
任意に、ガリウムおよび窒素含有レーザダイオードは、紫色の範囲の第1のピーク波長を有する第1のレーザビームによって特徴付けられる。第1の蛍光体材料は、青色範囲の第2のピーク波長を有する第1の発光によって特徴付けられる。第2の蛍光体材料は、黄色範囲の第3の波長を有する第2の発光によって特徴付けられる。白色光は、少なくとも第1の発光と第2の発光とから構成される。
【0021】
任意に、ビームプロジェクタは、遠隔目標物体を横切ってセンシング光信号のビームを動的に走査するように構成された、MEMSまたは他のマイクロ制御スキャナーもしくはディスプレイモジュール、マイクロミラー、マイクロレンズを備える。
【0022】
任意に、青色レーザ光は、25%を超える範囲、50%を超える範囲、75%を超える範囲および100%を超える範囲のそれぞれにおいて、相対湿度レベルを有する湿った条件下で遠隔目標物体をセンシングし、マッピングすることができる1mW~10mW、10mW~100mW、100mW~1Wおよび1W~10Wから選択される1つの範囲内の高出力レベルによって特徴付けられる。
【0023】
特定の実施形態では、本発明は白色光を遠隔供給するための装置を提供する。当該装置は、少なくとも1つのレーザダイオードデバイスを備える。当該装置は、ドライバからの電力を少なくとも1つのレーザダイオードデバイスに結合するように構成された電気フィードスルーを有するパッケージ部材をさらに備える。パッケージ部材は支持部材を備える。少なくとも1つのレーザダイオードデバイスは、支持部材に設けられ、ドライバによって駆動されて、395nm~490nmの範囲の第1の波長によって特徴付けられるレーザ電磁放射のビームを放出する。さらに、当該装置は、レーザ電磁放射を受け取るためにパッケージ部材に結合された第1の端部と、伝搬方向、ビーム直径および発散(divergence)を伴って第2の端部を出るための長さを介してレーザ電磁放射を供給する導波路輸送部材と、を有する導波路アセンブリを備える。当該装置は、光ヘッド部材に配置され、第2の端部から出たレーザ電磁放射を受け取る表面を有するように構成された蛍光体部材をさらに備える。蛍光体部材は、第2の波長の蛍光体発光への第1の波長のレーザ電磁放射の少なくとも一部の波長変換を提供する。第2の波長は第1の波長よりも長い。さらに、当該装置は、レーザ電磁放射の主伝搬方向と蛍光体部材の表面に平行な方向との間の5度~90度の範囲の入射角で、蛍光体部材および導波路アセンブリの第2の端部を支持するように構成された光ヘッド部材内の機械的固定具を備える。導波路アセンブリの第2の端部から出るレーザ電磁放射は、蛍光体部材の表面に入射レーザ電磁放射の励起スポットを形成する。励起スポットは、25μm~5mmの範囲の直径によって特徴付けられる。励起スポットは、第1の波長のレーザ電磁放射と第2の波長の蛍光体発光との混合によって特徴付けられる実質的に白色発光を生成する。
【0024】
別の特定の実施形態では、本発明は白色光を遠隔供給するための装置を提供する。当該装置は、マルチピンコネクタを有する電子基板部材を囲むパッケージケースを備える。当該装置は、パッケージケース内の電子基板部材に差し込まれたサブパッケージに設けられたレーザモジュールをさらに備える。サブパッケージは、支持部材と、支持部材上に搭載されるように構成された少なくとも1つのガリウムおよび窒素含有レーザダイオードデバイスを備える。少なくとも1つのガリウムおよび窒素含有レーザダイオードデバイスは、395nm~490nmの範囲の第1の波長によって特徴付けられる電磁放射のビームを放出するように構成される。さらに、当該装置は、サブパッケージに設けられたコリメートレンズを備え、電磁放射のビームをサブパッケージの出力ポートにコリメートする。また、当該装置は、電気的フィードスルーと結合されたマルチピンコネクタを伴うパッケージケースを密封した蓋部材を備える。さらに、当該装置は、光ファイバを含むファイバアセンブリを備え、光ファイバは、出力ポートに結合された第1の端部を有し、電磁放射を受け取り、主伝搬方向、ビーム直径および発散を伴って第2の端部を出るように任意の長さを介して電磁放射を供給する。当該装置は、光ファイバの第2の端部に結合された光ヘッド部材に遠隔配置された蛍光体部材をさらに備える。蛍光体部材は、光ファイバの第2の端部から出る電磁放射を受け取り、第1の波長の電磁放射の少なくとも一部を第2の波長の蛍光体発光へ波長変換するように構成された表面を有し、第2の波長は第1の波長よりも長い。さらに、当該装置は、蛍光体部材の表面と光ファイバの第2の端部との間の距離を設定し、第2の端部を出る電磁放射の主伝搬方向と蛍光体部材の表面に平行な方向との間の入射角を設定して、25μm~5mmの範囲の直径で、蛍光体部材の表面に電磁放射の励起スポットを作り出すように構成された光ヘッド部材内の機械的固定具を備える。励起スポットは、第1の波長の電磁放射と第2の波長の蛍光体発光との混合によって特徴付けられる白色発光を生成する。
【0025】
さらに別の特定の実施形態では、本発明がオートヘッドライト用のファイバ供給レーザ誘起白色光源を提供する。白色光源は、回路基板に差し込まれた金属ケースにパッケージ化されたレーザモジュールを備える。金属ケースは、支持部材と、支持部材に搭載され、395nm~490nmの範囲の波長によって特徴付けられるレーザビームを放出するように構成された少なくとも1つのレーザダイオードデバイスと、レーザビームを出力ポートに導くように構成されたコリメートレンズと、を囲む。さらに、白色光源は、レーザビームを受け取り、制限するために、金属ケースの外部から出力ポートに結合されたフォーカスレンズを備える。さらに、白色光源は、出力ポートに整列して結合された第1の端部を有する光ファイバを埋め込むファイバアセンブリを備え、フォーカスレンズからレーザビームを受け取り、光ファイバを介してレーザビームを第2の端部に供給する。さらに、白色光源は、蛍光体材料の近くで光ファイバの第2の端部を保持するオートヘッドライトモジュール内に遠隔配置された光ヘッド部材を備える。光ヘッド部材は、蛍光体材料で、レーザビームと蛍光体材料の表面に平行な方向との間の5度~90度の範囲の入射角で、光ファイバの第2の端部から出るレーザビームを方向付け、50μm~5mmの範囲のスポットを作り出すように構成される。スポットにおけるレーザビームは、レーザビームと部分的に混合される蛍光体励起発光(phosphor-excited emission)を誘起し、オートヘッドライトモジュールの照明および投影光源としての白色発光を生成する。
【0026】
単なる例として、本発明は、白色照明、白色スポット照明、フラッシュライト、自動車用途、自動車ヘッドライトまたは他の照明および通信機能、自律車両、全地形車両照明、サーフィン、ランニング、レーシング、ボートなどのレクリエーションスポーツに使用される光源、ドローン、飛行機、ロボット、他の移動またはロボット用途に使用される光源、陸上、海上、または航空機などの自律デバイスとテクノロジー、安全性、防衛用途における対策、マルチカラー照明、フラットパネル照明、医療、計測、ビームプロジェクタおよび他のディスプレイ、高輝度ランプ、分光、娯楽、劇場、音楽、およびコンサート、分析偽造検出(analysis fraud detection)および/または認証、ツール、水処理、レーザダズラー、ターゲティング、通信、LiFi、可視光通信(VLC)、センシング、検出、距離検出、光検出および測距(LIDAR)、変換、輸送、レベリング、硬化その他の化学的処理、加熱、切断および/またはアブレーション、ポンピングする他の光学デバイス、他のオプトエレクトロニクスデバイスなどの用途、ならびに、光源など、関連する用途に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下の図面は、様々な開示された実施形態による例示目的のための単なる例であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】
図1は、デバイスの発光層におけるキャリア濃度についてのレーザダイオードにおける内部量子効率(internal quantum efficiency)の依存性を示す概略図である。
【
図2】
図2は、高出力青色発光ダイオードと比較した、高出力青色レーザダイオードについての電流密度の関数としての外部量子効率(external quantum efficiency)のプロットである。
【
図3】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、切断またはエッチングされたミラーで終わる方向にキャビティが整列した状態で、ガリウムおよび窒素含有基板上に形成されたレーザダイオードの簡略化された概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態によるレーザデバイスの断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態による、ガリウムおよび窒素含有基板技術上に形成された従来のレーザダイオードに基づくチップオンサブマウント(CoS)を示す概略図である。
【
図6】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、選択的領域接合(selective area bonding)を伴うダイ拡張プロセスの概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態による、リフトオフおよび転写されたエピタキシャルガリウムおよび窒素含有層(lifted off and transferred epitaxial gallium and nitrogen containing layers)に基づくCoSを示す概略図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明の一実施形態による、青色ポンプレーザおよび波長変換素子を含むレーザベースの白色光源の機能ブロック図である。
【
図8B】
図8Bは、本発明の別の一実施形態による、複数の青色ポンプレーザおよび波長変換素子を含むレーザベースの白色光源の機能ブロック図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明の一実施形態によるレーザベースのファイバ供給白色光源の機能ブロック図である。
【
図9B】
図9Bは、本発明の別の一実施形態によるレーザベースのファイバ供給白色光源の機能ブロック図である。
【
図9C】
図9Cは、本発明のさらに別の一実施形態によるマルチレーザベースのファイバ供給白色光源の機能ブロック図である。
【
図10A】
図10Aは、本発明の実施形態による、光結合器で構成された複数のレーザバーを示す簡略図である。
【
図10B】
図10Bは、本発明の特定の実施形態による、包囲自由空間レーザモジュール(enclosed free space laser module)の概略図である。
【
図10C】
図10Cは、本発明の別の特定の実施形態による、延長供給ファイバと蛍光体変換器(extended delivery fiber plus phosphor converter)を備えた包囲自由空間マルチチップレーザモジュールの概略図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態による、ファイバアセンブリを介して互いに連結された一般的なレーザパッケージおよび光ヘッド部材を備えるファイバ供給白色光源の斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態による、
図11の一般的なレーザパッケージの上面図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態による、回路基板上に取り付けられた青色レーザモジュールを備える、
図12の一般的なレーザパッケージの内部素子の上面図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態による、蓋が開いた状態の青色レーザモジュールの上面図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態による青色レーザモジュールの斜視図である。
【
図16】
図16は、(A)一般的なレーザパッケージの上面図、(B)青色レーザモジュールを含む一般的なレーザパッケージの内部素子の上面図、および(C)本発明の別の実施形態による青色レーザモジュールの上面図である。
【
図17】
図17は、本発明の一実施形態による、ファイバアセンブリの端部の部分断面図である。
【
図18】
図18は、本発明の別の実施形態による、ファイバアセンブリの端部の部分断面図である。
【
図20】
図20は、本発明の一実施形態による、機械的突合せカプラ(mechanical butt coupler)によって作製されたファイバ結合ジョイントの例示的な図を示す。
【
図21】
図21は、本発明の一実施形態による、街灯用途のためのファイバ供給白色光源の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、ファイバ供給蛍光体放出白色光システムおよびその製造方法を提供する。単なる例として、本発明は、ガリウムおよび窒素含有レーザダイオードからのレーザ励起蛍光体光源、パッケージングにおいてファイバ付き蛍光体を有する白色光源およびポンプ光供給構成を提供する。本発明は、動的照明装置および方法、LIDAR、LiFi、および可視光通信装置および方法、ならびに一般照明、商業照明およびディスプレイ、自動車照明および通信、防衛およびセキュリティ、産業プロセッシング、インターネット通信、およびその他の用途における上記の様々な組合せを含む多くの用途に適用可能である。
【0029】
背景技術として、LEDベースの光源は、白熱灯ベースの光源よりも大きな利点を提供するが、LEDデバイスの物理学に関連する課題および制限が依然として存在する。第1の制限は、GaNベースのLEDを悩ませる、いわゆる「ドループ(droop)」現象である。ドループ効果は、電流密度が増加した電力ロールオーバーをもたらし、LEDを、10~200A/cm
2範囲の非常に低い電流密度でピーク外部量子効率に到達させる。
図1は、レーザダイオード[LD]またはスーパールミネッセントLEDのような誘導放出が著しい発光デバイスおよび発光ダイオード[LED]の発光層における内部量子効率[IQE]とキャリア濃度との関係の概略図を示す。IQEは、デバイスにおける総再結合速度(total recombination rate)に対する放射再結合速度(radiative recombination rate)の比率として定義される。低いキャリア濃度では、結晶欠陥でのShockley-Reed-Hall再結合が再結合速度を支配し、IQEが低くなる。中程度のキャリア濃度では、IQEが比較的高くなるように、自発的放射再結合(spontaneous radiative recombination)が支配的である。高いキャリア濃度では、IQEが再び比較的低くなるように、非放射オージェ再結合(non-radiative auger recombination)が支配的である。LDまたはSLEDのようなデバイスでは、非常に高いキャリア密度での誘導放出は、IQEが比較的高い第4の領域をもたらす。
図2は、典型的な青色LEDおよび高出力青色レーザダイオードについての外部量子効率[EQE]のプロットを示す。EQEは、IQEと、デバイスを出ることができる生成された光子の割合との積として定義される。青色LEDは、非常に低い電流密度で非常に高いEQEを達成するが、高い電流密度ではオージェ再結合が支配的なため、高い電流密度で非常に低いEQEを示す。しかしながら、LDは、高い電流密度で誘導放出によって支配され、非常に高いEQEを示す。低い電流密度では、LDは、デバイス内の光子の再吸収により、比較的EQEが乏しい。従って、LEDベースの光源の効率を最大にするために、電流密度は、光出力も制限される低い値に制限されなければならない。その結果、LEDダイ[flux]の単位面積あたりの出力電力が低くなり、これにより、ほとんどの用途の輝度要件を満たすために大きなLEDダイ領域の使用が強制される。例えば、典型的なLEDベースの電球は、3mm
2~30mm
2のエピ領域(epi area)を必要とする。
【0030】
LEDの第2の制限はそれらの輝度にも関連しており、より具体的には、それらの空間的輝度に関連している。従来の高輝度LEDは、エピ領域のmm2当たり~1Wを放出する。いくつかの進歩とブレークスルーにより、これは5~10倍まで増加し、エピ領域のmm2当たり5~10Wとなる。最後に、従来のc面GaN上に作製したLEDは強い内部分極場(internal polarization fields)を受け、これが電子と正孔の波動関数を空間的に分離し、不十分な放射再結合効率をもたらす。この現象は、増加した波長発光のために増加したインジウム含有量を有するInGaN層においてより顕著になるので、UVまたは青色GaNベースのLEDの性能を、青緑色または緑色領域に拡張することは困難であった。
【0031】
レーザダイオードに基づくエキサイティングな新しいクラスの固体照明が急速に出現している。LEDと同様に、レーザダイオードは、電磁放射を放出する2リード半導体光源である。しかし、主に自然放出であるLEDからの出力とは異なり、レーザダイオードの出力は、主に誘導放出から構成される。レーザダイオードは、電子正孔対の再結合を介して発光を提供するように機能する利得媒質と、利得媒質からの発光のための共振器として機能するキャビティ領域とを含む。利得媒質を十分にポンピングするようにリードに適切な電圧を印加すると、キャビティ損失は利得によって克服され、レーザダイオードはいわゆるしきい値条件(threshold condition)に達する。ここで、光出力対電流入力特性の急激な増加が観測される。しきい値条件ではキャリア密度がクランプし、誘導放出が発光を支配する。LEDを悩ますドループ現象はキャリア密度に依存するので、レーザダイオード内のクランプされたキャリア密度はドループ課題に対する解決策を提供する。さらに、レーザダイオードは、LEDよりも桁違いに高い空間輝度で、指向性が高くコヒーレントな光を放出する。例えば、市販のエッジ発光GaNベースのレーザダイオードは幅15μm×高さ約0.5μmのアパーチャにおいて約2Wの電力を確実に生成することができ、これは250,000W/mm2を超えることに相当する。この空間的輝度は、LEDよりも5桁以上高く、換言すれば、LEDよりも10,000倍明るい。
【0032】
GaNLEDに関する本質的にすべての先駆的な研究に基づいて、GaN技術に基づく可視光レーザダイオードが、過去20年の間に急速に出現した。現在、唯一実行可能なダイレクト青色および緑色レーザダイオード構造は、ウルツ鉱型AlGaInN材料システム(wurtzite AlGaInN material system)から製造されている。GaN関連材料からの発光ダイオードの製造は、Si、SiCおよびサファイアのような異質基板(foreign substrates)上のGaNのヘテロエピタキシャル成長に支配される。レーザダイオードデバイスは、ヘテロエピタキシャル成長に関連する結晶欠陥が許容できないような高電流密度で動作する。このため、欠陥密度が非常に低く、独立したGaN基板が、GaNレーザダイオード製造のために好ましい基板となっている。残念ながら、このようなバルクGaN基板は高価であり、大きな直径では広く入手できない。例えば、2インチの直径は、今日最も一般的なレーザー品質のバルクGaNc面基板サイズであり、最近の進歩により4インチの直径が可能になった。これは、成熟した基板技術で市販されている6インチ以上の直径と比較してまだ比較的小さい。本発明のさらなる詳細は、本明細書を通して、より詳細には以下で、確認することができる。
【0033】
本発明を用いて、既存の技術よりも優れた付加的な利点が達成される。特に、本発明は、費用対効果の高いレーザベースの遠隔供給白色光源を可能にする。特定の実施形態では、本光学デバイスが比較的単純かつ費用対効果の高い方法で製造される。実施形態に応じて、本装置および方法は、当業者によれば、従来の材料および/または方法を使用して実現される。本発明のいくつかの実施形態では、ガリウムおよび窒素含有レーザダイオード源がc面窒化ガリウム材料に基づいており、他の実施形態では、レーザダイオードが非極性または半極性ガリウムおよび窒化物材料に基づいている。一実施形態では、白色光源がレーザのチップオンサブマウント(chip on submount (CoS))から構成され、レーザ光が、導波路によって、遠隔配置されたサブマウントおよび/または遠隔支持部材に支持された蛍光体に供給され、遠隔供給白色光源を形成する。いくつかの実施形態では、導波路は、CoSと結合された中間サブマウント上に統合された半導体導波路である。いくつかの実施形態では、導波路は、空間またはカスタムレイアウトにおいて実質的に自由に配置された光ファイバを備える。これにより、白色光源をファイバ供給白色光源とする。いくつかの実施形態では、白色光源は、ビームコリメーション素子およびフォーカス素子を備え、レーザ光を導波路またはファイバに結合する。いくつか実施形態では、白色光源は、独立に、または同一パッケージに一緒にパッケージングされた複数のレーザチップを備え、蛍光体部材は、遠隔ケースにパッケージングされた別個のサブマウントヒートシンクに支持される。いくつかの実施形態では、蛍光体からの白色光を成形または制御するために含まれる追加のビーム成形光学素子があってもよい。
【0034】
様々な実施形態において、レーザデバイスおよび蛍光体デバイスは、それぞれの支持部材上に別々にパッケージまたは取り付けられ、蛍光体材料は、反射モードで動作され、白色発光レーザベースの光源をもたらす。追加の様々な実施形態では、レーザデバイスからの電磁放射は、自由空間結合や、光ファイバケーブルまたは他の固体導波路物質などの導波路での結合等の手段を介して、蛍光体デバイスに遠隔結合される。ここで、蛍光体材料は、反射モードで動作され、白色発光レーザベースの光源をもたらす。単なる例として、本発明は、白色照明、白色スポット照明、フラッシュライト、自動車ヘッドライト、全地形車両照明、カメラフラッシュなどのフラッシュ光源、サイクリング、サーフィン、ランニング、レーシング、ボートなどのレクリエーションスポーツに使用される光源、ドローン、飛行機、ロボット、他の移動またはロボット用途に使用される光源、安全性、防衛用途における対策、マルチカラー照明、フラットパネル照明、医療、計測、ビームプロジェクタおよび他のディスプレイ、高輝度ランプ、分光、娯楽、劇場、音楽、およびコンサート、分析偽造検出(analysis fraud detection)および/または認証、ツール、水処理、レーザダズラー、ターゲティング、通信、LiFi、可視光通信(VLC)、センシング、検出、距離検出、光検出および測距(LIDAR)、変換、自律型車両、輸送、レベリング、硬化その他の化学的処理、加熱、切断および/またはアブレーション、ポンピングする他の光学デバイス、他のオプトエレクトロニクスデバイスなどの用途、ならびに、光源など、関連する用途に適用することができる。
【0035】
レーザダイオードは蛍光体励起源(phosphor excitation sources)として理想的である。従来のLEDの10,000倍以上の空間輝度(単位面積あたりの光強度)と、レーザ発光の極度の指向性により、レーザダイオードは、LEDなどの光源では不可能な特性を実現する。具体的には、1W超、5W超、10W超、または、さらに100W超のレーザダイオード出力ビームを、直径1mm未満、直径500μm未満、直径100μm未満、または、さらに直径50μm未満の非常に小さなスポットサイズに集束させることができるので、1W/mm2、100W/mm2、または、さらに2,500W/mm2を超える電力密度(power densities)を達成することができる。レーザ励起光のこの非常に小さく強力なビームが蛍光体材料に入射されると、白色光の究極の点光源を達成することができる。励起光の光学ワット当たり200ルーメンの放出白色光の蛍光体変換比(phosphor conversion ratio)を仮定すると、5W励起パワーは、100μmまたは50μm以下のビーム直径で1000ルーメンを生成することができる。このような点光源は、放物面反射器またはレンズ光学系が点光源に組み合わせられる、スポットライトや測距測定のような用途で画期的なものであり、LEDまたは電球技術を使用する従前可能だったものよりも大幅に長い距離を移動できる高度にコリメートされた白色光スポットを作り出すことができる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態では、ガリウムおよび窒素含有発光デバイスは、レーザデバイスでなく、代わりに、スーパールミネッセントダイオードまたはスーパールミネッセント発光ダイオード(SLED)デバイスとして構成されてもよい。本発明の目的のために、SLEDデバイスおよびレーザダイオードデバイスを交換可能に使用することができる。SLEDは、電流を注入すると光学的に活性になり、広範囲の波長にわたって増幅自然放出(ASE)と利得を生成するという電気駆動接合(electrically driven junction)に基づいているので、レーザダイオードに類似する。光出力がASEによって支配されるようになると、光出力対電流(LI)特性に急な折れ曲がりがあり、光出力の単位は、注入電流の単位当たり劇的に大きくなる。LI湾曲のこの急な折れ曲がりはレーザダイオードのしきい値に似ているが、はるかに緩やかである。SLEDデバイスの利点は、SLEDが高発光パワーと極めて高い空間輝度のレーザダイオードのユニークな特性を組み合わせることができるので、広いスペクトル幅(>5nm)を有する高効率のロングスロー照明および高輝度蛍光体励起用途に理想的なものとなり、場合によっては、眼の安全性および画質の向上をもたらす。スペクトル幅が広いため、LEDと同様にコヒーレンス長が低くなる。低いコヒーレンス長は、目の安全性が向上するなど、改善された安全性を提供する。さらに、広いスペクトル幅は、ディスプレイまたは照明用途における光学歪み(optical distortions)を大幅に減少させることができる。例えば、「スペックル」と呼ばれる周知の歪みパターンは、表面上または観察面における1組の波面の相互干渉によって生成される強度パターンの結果である。スペックルの度合いを定量化するために典型的に使用される一般的な方程式は、スペクトル幅に反比例する。本明細書ではレーザダイオード(LD)デバイスおよびスーパールミネッセント発光ダイオード(SLED)デバイスの両方を、単に「レーザデバイス」と呼ぶこともある。
【0037】
ガリウムおよび窒素含有レーザダイオード(LD)またはスーパールミネッセント発光ダイオード(SLED)は、活性領域およびキャビティ部材を有するガリウムおよび窒素含有デバイスを少なくとも含み得、光子の誘導放出によって生成される放出スペクトルによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、赤色レーザ光、すなわち約600nm~750nmの波長の光を放出するレーザデバイスが提供される。これらの赤色レーザダイオードは、少なくとも、活性領域およびキャビティ部材を有するガリウムリンおよびヒ素含有デバイス(gallium phosphorus and arsenic containing device)を含み得、光子の誘導放出によって生成される放出スペクトルによって特徴付けられる。ディスプレイ用途のための赤色デバイスの理想的な波長は~635nmであり、緑色の場合は~530nmであり、青色の場合は440~470nmである。目が他の波長よりもいくつかの波長に敏感であるので、異なる波長レーザを使用してディスプレイでレンダリングされる色と、ディスプレイの明るさの程度との間にはトレードオフがあるかもしれない。
【0038】
本発明によるいくつかの実施形態では、複数のレーザダイオード源は、同じ蛍光体または蛍光体ネットワークを励起するように構成される。複数のレーザ源を組み合わせることにより、本発明による多くの潜在的な利点を提供することができる。第1に、ビーム結合によって励起パワーを増加させ、より強力な励起スポットを提供し、従ってより明るい光源を生成することができる。いくつかの実施形態では、個別のレーザチップがレーザ蛍光体光源内に構成される。1W、2W、3W、4W、5W以上のパワーをそれぞれ放出する複数のレーザを備えることによって、励起パワーを増加させることができ、従って、光源の明るさを増加させることができる。例えば、白色光の明るさを2倍とするために、同じ蛍光体領域を励起する2つの3Wレーザを備えることにより、励起パワーを6Wまで増加させることができる。1ワットのレーザ励起パワー当たり約200ルーメンの白色が生成される例では、白色光出力は600ルーメンから1200ルーメンに増加する。各単一レーザダイオードエミッタのパワーをスケーリングすること以上に、白色光源の全光束(total luminous flux)は、レーザダイオードの総数を増加させ続けることによって増加させることができる。これは、数十から数百、さらには数千までの範囲のレーザダイオードエミッタとすることができ、その結果、数十から数百kWのレーザダイオード励起パワーが得られる。レーザダイオードエミッタの数をスケーリングすることは、共同パッケージ内に複数のレーザを含む方法、従来の屈折光学系または偏光結合を介して組み合わせる空間ビーム結合など、多くの方法で達成することができる。さらに、各レーザチップが多数の隣接するレーザダイオードエミッタを備える場合には、レーザダイオードバーまたはアレイ、およびミニバーを利用することができる。例えば、バーは、約10ミクロンから約400ミクロン離間して配置された2~100個のレーザダイオードエミッタを備えることができる。同様に、より低い駆動条件で複数のソースを使用して、より高い電流および電圧といったより過酷な条件で駆動される単一のソースと同じ励起パワーを達成することによって、ソースの信頼性を高めることができる。
【0039】
光源用途の特定の分野では、自動車のヘッドランプがある。半導体ベースの発光ダイオード(LED)ヘッドライト源は、最初の固体光源として2004年に開発された。これらの特徴は高効率、信頼性、およびコンパクト性であったが、デバイスあたりの光出力および輝度が制限されたために、光学系およびヒートシンクは依然としてかなり大きく、自動車用途における高温要件は困難なものであった。青色LED励起黄色蛍光体(blue LED excited yellow phosphor)からの色の均一性は、特別なリフレクタ設計で管理される必要があった。単一のLED故障はヘッドランプ全体を廃棄する必要があることを意味し、その結果、保守、修理、および保証のための厳しいコストをもたらした。さらに、LEDコンポーネントは、自然放出に基づいており、従って、3Dセンシング(LiDAR)または光通信(LiFi)のような高度な用途に必要な高速変調には貢献しない。また、低輝度は、MEMSまたは液晶デバイスのような空間変調器(spatial modulators)を利用する空間的に動的な自動車照明システム(spatially dynamic automotive lighting systems)についての課題を生み出す。半導体レーザダイオード(LD)ベースのヘッドライトは、レーザ励起蛍光体構造(laser pumped phosphor architectures)に基づいて2014年に製造を開始した。これは、R-G-Bレーザのような直接放出レーザは、道路上に展開するのに安全ではないためであり、また、R-G-B源は、スペクトルにギャップを残し、黄色またはオレンジのような一般的な道路側対象が、目に十分に反射しないままになるためである。レーザ励起蛍光体は、固体光源であり、従って、LEDと同じ利点があるが、より高輝度であり、よりコンパクトなヘッドランプリフレクタの範囲に及ぶ。当初、これらの光源は、より新しい技術であることに起因して、LEDと比較して、高いコスト、低い信頼性を示した。レーザと蛍光体とを単一ユニットで組み合わせている場合もあれば、青色レーザ光をファイバによって遠隔配置された蛍光体モジュールへ供給して白色発光を生成する場合もあった。受動的および能動的な安全対策を用いて安全な白色発光が発生することを確実にするために、特別な予防措置が必要であった。青色レーザ励起黄色蛍光体からの色の均一性は、特別なリフレクタ設計で管理される必要があった。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の本発明は、レーザ光を放出するための1つ以上のガリウムおよび窒素含有可視光レーザダイオードからなるファイバ供給ヘッドライトに適用され、それは、導波路(光ファイバなど)に効率的に結合されて、光ファイバの他端に設けられた遠隔蛍光体部材にレーザ発光を供給する。このレーザ発光は、蛍光体部材を励起し、高輝度白色光を生成する役割を果たす。ヘッドライト用途では、蛍光体部材白色光生成は、最終的なヘッドライトモジュールにおいて発生し、そこから光はコリメートされ、所望の光パターンを達成するように道路上に成形される。
【0041】
本開示は、ガリウムおよび窒素含有レーザダイオードから遠隔蛍光体部材への可視レーザ光のファイバ供給を利用して、高輝度の白色発光を生成し、他のアプローチに対していくつかの主要な利点を有する。一つの利点は、小型ヘッドライトモジュールのフットプリントにおけるモジュール設計を用いて、ロービームまたはハイビームのための制御可能な光出力または光量を生成することにある。別の利点は、高輝度および長距離の可視性(visibility)を提供することである。例えば、最近の走行速度および安全な停止距離に基づいて、1mm2当たり1000cdの光源を有する35mm未満の光学構造体を使用して、道路上に200ルーメンから、800メートル~1kmの範囲が可能である。より高い輝度の光源を使用することにより、同じ光学系サイズに対してより長い範囲の可視性を達成することができる。ファイバ供給白色光ヘッドライトのさらなる利点は、高いコントラストを提供可能なことである。グレアを最小限に抑え、対向車、歩行者、動物、前方の同一車線のドライバーなどを含むドライバー等の安全性および可視性を最大限にすることが重要である。自動車照明用の鋭い光勾配および特定の調整された光パターンを生成するためには、高輝度が必要である。さらに、光ファイバのような導波路を用いて、発光プロファイルにおけるコアからクラッドまで存在する決定的な光カットオフ(light cutoff)を再成形し投影することにより、極めて鋭い光勾配と極めて安全なグレア低減が可能となる。
【0042】
本発明の別の利点は、豊富なスペクトルの白色光を提供することである。レーザ励起蛍光体は、広帯域の固体光源であり、従って、LEDと同じ利点があるが、より高い輝度を有する。R-G-Bレーザのような直接放出レーザは、R-G-B源がスペクトル内にギャップを残し、黄色またはオレンジのような一般的な道路側対象が、目に十分に反射しないままになるので、道路上に展開するのに安全ではない。また、光源の遠隔性(remote nature)のために、ヘッドライトモジュールは、車両の任意の場所に配置される適切な熱質量(thermal mass)を有する既存のヒートシンクに取り付けられ、ヘッドライト内のヒートシンクを必要としない。
【0043】
一つの大きな利点は、光源の小さな形状因子と、グレア軽減のために光を回転させ、空力性能を高めるための低コストソリューションである。例えば、ヘッドライトモジュールにおいて直径1cm未満の小型光学系を利用して、ファイバからの光のほぼ100%を捕捉することができる。白色光は、小さな拡散板(diffusers)または単純な光学素子を用いてコリメートおよび成形され、道路上に所望のビームパターンを生成することができる。車両のスタイリングのために極めて小さい光学サイズを有することが望まれている。より高い輝度の光源を使用することにより、同じ範囲の可視性に対してより小さな光学系サイズを達成することができる。このヘッドライト設計により、ヘッドライトモジュールを、グリル中、ホイールカバー上、フードとフロントバンパーの継ぎ目等に統合することができる。このヘッドライト設計は、質量が極めて低く軽量であるヘッドライトモジュールを採用しているため、車の前部の重量を最小限に抑え、安全性、燃費、速度/加速性能に貢献している。電気自動車にとっては、これは車両の航続距離の増加を意味する。さらに、分離されたファイバ供給構造は、車に既に存在する既存のヒートシンクの熱質量を使用し、車の重量をさらに最小化する。さらに、このヘッドライトモジュールは、固体光源に基づいており、10,000時間を超える長い寿命を有する。冗長性と互換性は、ファイバ供給レーザ光源を交換するだけでなされる。
【0044】
ファイバ供給レーザ誘起白色光ヘッドライトモジュールの設計におけるファイバ構成のために、信頼性は、レーザ誘起光源をエンジンおよび他の熱発生部品の近くの高温領域から離して配置することによって最大化される。これにより、ヘッドライトモジュールは、100°Cを超える極めて高い温度で動作することが可能になる一方、レーザモジュールは、十分なヒートシンクを有するクールスポットで動作することが可能になる。特定の実施形態では、本発明は、熱的に安定な軍事標準スタイルのテルコディア型パッケージング技術(telcordia type packaging technology)を利用する。車のフロントに露出される唯一の素子は、極小のマクロ光学素子から構成される複雑に受動的なヘッドライトモジュールである。ヘッドライトモジュールに直接展開されるレーザはなく、内部にインコヒーレントな白色光と反射蛍光体アーキテクチャのみがある。R‐G‐Bレーザのような直接放出レーザは、高出力での道路上への展開が安全ではなく、この設計において使用されない。車両を製造中に、このファイバ供給白色光源を車に組み立てることは、安全かつコスト効率が良い。
【0045】
LEDベースのヘッドライトでは、1つの高出力LED素子が故障すれば、通常、ヘッドランプ全体が廃棄される。ファイバ供給ヘッドライト設計により、光源の「プラグアンドプレイ(plug and play)」交換が可能になり、故障したコンポーネントに起因するヘッドライトの完全な廃棄という無駄を排除する。プラグアンドプレイは、バッテリーの交換のように、アライメントなしで実現でき、保証コストを最小限に抑えることができる。これは、過剰な交換コスト、顧客の待ち時間、危険な運転状態および高価な貸出車両を不要とする。新しい光パターンを生成することが容易であり、ルーメンスケーリングに対するモジュラーアプローチのために、このファイバ供給光源は、全く新しいヘッドランプのための刷新なしに、任意の領域についてルーメンおよびビームパターンを変更可能である。ビームパターンを変更するこの便利な機能は、新しい大型リフレクタのための刷新の代わりに、小さな光学系およびまたは拡散板を変更することで達成できる。さらに、ファイバ供給白色光源は、トランスポートまたはサイドエミッションのプラスチック光ファイバ(POF)を使用して、室内ライトおよび日中走行用ライト(DRL)に使用できる。
【0046】
空間的に動的なビーム成形デバイスには、デジタル光処理(DLP)、液晶ディスプレイ(LCD)、1または2MEMSまたはGalvoミラーシステム、軽量スイベル(lightweight swivels)、走査ファイバ先端(scanning fiber tips)などがある。将来の空間的に動的な光源は、MEMSまたは液晶コンポーネントを使用して道路上で高精細な空間光変調(spatial light modulation)を生成するために、光源からの5000~10000ルーメンのような、さらに明るい光を必要とする場合がある。このような動的照明システムは、光源、電子機器、ヒートシンク、光学系および光変調器ならびに二次光学系を一緒に設置する場合、非常にかさばり、かつ高価である。従って、それらは、コンパクトでよりコスト効率の良い方法で空間光変調を可能にするために、ファイバ供給の高輝度白色光を必要とする。
【0047】
複数のレーザダイオードエミッタからの発光を組み合わせるさらなる利点は、第1の自由空間発散楕円形レーザビーム(free space diverging elliptical laser beam)を、第2の自由空間発散楕円形レーザビームに対して90度だけ回転させ、中心の楕円を蛍光体上に重ねることによって、より円形のスポットができる可能性である。あるいは、第1の自由空間発散楕円レーザビームを第2の自由空間発散楕円レーザビームに対して180度だけ回転させ、蛍光体上に楕円を中心から外れるように重ねて、遅軸発散方向(slow axis diverging direction)のスポット直径を増大させることによって、より円形のスポットを達成することができる。別の構成では、2つを超えるレーザが含まれ、上述のビーム成形スポット幾何学的成形の組合せが達成される。第3の重要な利点は、発光デバイス内の多色レーザが、可視スペクトルのバイオレット/ブルーおよびシアン領域内のスペクトル充填(fill of the spectra)を改善することによって、色品質(CRIおよびCQS)を大幅に改善可能なことである。例えば、わずかに離調された波長(例えば、5nm、10nm、15nm等)を有する2つ以上の青色励起レーザを含めて、黄色蛍光体を励起し、より大きな青色スペクトルを生成することができる。
【0048】
本明細書で使用されるように、GaN基板という用語は、出発材料として使用される、GaN、InGaN、AlGaNまたは他のIII族含有合金もしくは組成物を含むIII族窒化物ベースの材料に関連する。このような出発材料は、極性GaN基板(すなわち、最大面積の表面が名目上(h k l)面であり、h=k=0であり、lが非ゼロである基板)、非極性GaN基板(すなわち、最大面積の表面が、上述の極性配向から(h k l)面に向かって、約80~100度の範囲の角度で配向されている基板材料であって、ここで、l=0であり、hおよびkのうちの少なくとも1つが非ゼロである基板材料)、または半極性GaN基板(すなわち、最大面積の表面が、上述の極性配向から(h k l)面に向かって、約+0.1~80度または110~179.9度の範囲の角度で配向されている基板材料であって、l=0であり、hおよびkのうちの少なくとも1つが非ゼロである基板材料)を含む。もちろん、他の変更、修正および代替があってもよい。
【0049】
レーザダイオードデバイスは、極性c面のようなガリウムおよび窒素含有膜または基板(例えば、GaN)の従来の配向上、m面のような非極性配向上、または{30-31}、{20-21}、{30-32}、{11-22}、{10-11}、{30-3-1}、{20-2-1}、{30-3-2}のような半極性配向上、または、c面に向かって+/-10度以内、および/またはa面に向かって+/-10度以内、および/またはm面に向かって+/-10度以内のこれら極性面、非極性面および半極性面のいずれかのオフカット上に製造することができる。いくつかの実施形態では、ガリウムおよび窒素含有レーザダイオードは、ガリウムおよび窒素含有基板を含む。基板部材は、ガリウムおよび窒素含有基板の極性{0001}面(c面)、非極性面(m面、a面)、および半極性平坦面({11-22}、{10-1-1}、{20-21}、{30-31})または他の面上に表面領域を有していてもよい。レーザデバイスは、約390nm~約540nmの1つ以上の波長によって特徴付けられるレーザビームを放出するように構成することができる。
【0050】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、切断またはエッチングされたミラーで終わる方向にキャビティが整列した状態で、ガリウムおよび窒素含有基板上に形成されたレーザダイオードの簡略化された概略図である。一例では、基板表面101は、極性c面であり、レーザストライプ領域110は、実質的にm方向10におけるキャビティ配向(cavity orientation)によって特徴付けられ、これは実質的にa方向20に対して垂直であるが、実質的にa方向におけるキャビティ配列(cavity alignment)のような他のものとすることができる。レーザストライプ領域110は、第1の端部107および第2の端部109を有し、互いに対向する一対の切断またはエッチングされたミラー構造を有する{0001}ガリウムおよび窒素含有基板上にm方向に形成される。別の例では、基板表面101は半極性面であり、レーザストライプ領域110は、実質的にc方向10のプロジェクションにおけるキャビティ配向によって特徴付けられるが、これは、a方向20に対して実質的に垂直であるが、実質的にa方向におけるキャビティ配列のような他のものとすることができる。レーザストライプ領域110は、第1の端部107および第2の端部109を有し、{40-41}、{30-31}、{20-21}、{40-4-1}、{30-3-1}、{20-2-1}、{20-21}などの半極性基板上に、またはc面およびa面ガリウムおよび窒素含有基板から+/-5度以内のこれらの面のオフカット上に形成される。任意に、窒化ガリウム基板部材は非極性または半極性の結晶表面領域を有することを特徴とするバルクGaN基板であるが、他のものであってもよい。バルクGaN基板は、10
5cm
-2未満または10
5~10
7cm
-2の表面転位密度(surface dislocation density)を有していてもよい。窒化物結晶またはウェハは、Al
xIn
yGa
1-x-yNを含んでいてもよい。ここで、0≦x、y、x+y≦1である。特定の一実施形態では、窒化物結晶がGaNを含む。いくつかの実施形態では、GaN基板は、約10
5cm
-2および約10
8cm
-2の間のコンセントレーションで、その表面に対して実質的に直角または斜めの方向に貫通転位(threading dislocations)を有する。
【0051】
図3の例示的なレーザダイオードデバイスは一対の切断またはエッチングされたミラー構造109および107を有し、それらは互いに対向する。第1の切断またはエッチングされたファセット109は反射コーティングを含み、第2の切断またはエッチングされたファセット107はコーティングを含まず、反射防止コーティングを含み、またはガリウムおよび窒素含有材料を露出させる。第1の切断またはエッチングされたファセット109は、第2の切断またはエッチングされたファセット107と実質的に平行である。第1および第2の切断ファセット109および107は、一実施形態によるスクライブおよびブレイク処理(scribing and breaking process)によって、あるいは、反応性イオンエッチング(RIE)、誘導結合プラズマエッチング(ICP)もしくは化学支援イオンビームエッチング(CAIBE)などのエッチング技術を使用するエッチング技術、または他の方法によって提供される。反射コーティングは、二酸化ケイ素、ハフニア、およびチタニア、五酸化タンタル、ジルコニア、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、これらの組合せなどから選択される。設計に応じて、ミラー表面は、反射防止コーティングを含むこともできる。
【0052】
特定の実施形態では、ファセット形成の方法は、パターン形成のために基板にレーザを当てることを含む。好ましい実施形態では、パターンが、リッジレーザ用の一対のファセット(a pair of facets for a ridge laser)を形成するように構成される。好ましい実施形態では、一対のファセットが互いに向き合い、互いに平行に整列している。好ましい実施形態では、この方法がUV(355nm)レーザを使用してレーザバーをスクライブする。特定の実施形態では、レーザが異なるパターンおよびプロファイルに構成された正確なスクライブラインを可能にするシステム上に構成される。いくつかの実施形態では、レーザスクライブが、用途に応じて、裏側、表側またはその両方で実施される。もちろん、他の変更、修正および代替があってもよい。
【0053】
特定の実施形態では、本方法は、裏側レーザスクライブ(backside laser scribing)等を使用する。裏側レーザスクライブにより、本方法は、好ましくは、GaN基板の裏側に、レーザバーに垂直な連続ラインレーザスクライブを形成する。特定の実施形態では、レーザスクライブは、一般に、約15~20μmの深さまたは他の適切な深さである。好ましくは、裏側スクライブが有利であり得る。すなわち、レーザスクライブ処理は、レーザバーのピッチまたは他の同様のパターンに依存しない。従って、裏側レーザスクライブは、好ましい実施形態によれば、各基板上により高密度のレーザバーをもたらすことができる。しかしながら、特定の実施形態では、裏側レーザスクライブが、ファセット上にテープからの残留物をもたらすことがある。特定の実施形態では、裏側レーザスクライブが、しばしば、テープ上で基板が下向きになることを要求する。表側レーザスクライブ(front-side laser scribing)では、基板の裏側がテープに接触する。もちろん、他の変更、修正および代替があってもよい。
【0054】
化学支援イオンビームエッチング(CAIBE)、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング、または反応性イオンエッチング(RIE)のようなエッチング技術が、平滑で垂直にエッチングされた側壁領域をもたらすことがよく知られており、これは、エッチングされたファセットレーザダイオードにおけるファセットとして有用である。エッチングされたファセット処理では、マスキング層がウェハの表面上に堆積され、パターン化される。エッチングマスク層は、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SixNy)、それらの組合せ、または他の誘電体材料などの誘電体から構成することができる。さらに、マスク層は、NiまたはCrなどの金属層から構成することができるが、金属および誘電体を含むスタックまたは金属組合せスタック(metal combination stacks)から構成することができる。別の手法では、フォトレジストマスクが、単独で、あるいは、誘電体および/または金属との組合せにおいて使用される。エッチングマスク層は、従来のフォトリソグラフィおよびエッチング工程を用いてパターン化される。アライメントリソグラフィ(alignment lithography)は、コンタクトアライナーまたはステッパーアライナー(contact aligner or stepper aligner)で実施され得る。このようなリソグラフィで画定されたミラーは、設計エンジニアに高度の制御を提供する。エッチングマスクの上にフォトレジストマスクのパターニングが完了した後、次いで、ウェットエッチングまたはドライエッチング技術を用いて、その中のパターンをエッチングマスクに転写する。最後に、CAIBE、ICP、RIEおよび/または他の技術から選択されるドライエッチング技術を用いて、ファセットパターンをウェハにエッチングする。エッチングされたファセット表面は、ウェハの表面から約87~約93度の間、または約89~約91度の間で高度に垂直でなければならない。エッチングされたファセット表面領域は、約50nm、20nm、5nm、または1nm未満の二乗平均平方根粗さ(root mean square roughness)の値を有し、非常に平滑でなければならない。最後に、エッチングされたものは、損傷を実質的に含まないものでなければならず、これにより、非放射再結合中心(nonradiative recombination centers)として作用し、従って、壊滅的な光学ミラー損傷(COMD)のしきい値を低減し得る。CAIBEは、エッチングの化学的性質により、非常に滑らかで、損傷の少ない側壁を提供することが知られているが、一方、それは、ウェハステージを傾斜させ、エッチングにおける任意の固有角度を補う能力により、高度に垂直なエッチングを提供することができる。
【0055】
レーザストライプ110は、長さおよび幅によって特徴付けられる。長さは、約50μm~約3000μmであり、望ましくは約10μm~約400μm、約400μm~約800μm、または約800μm~約1600μmであるが、他の範囲でもよい。また、ストライプは、約0.5μm~約50μmの範囲の幅を有し、好ましくはシングル横モード操作(single lateral mode operation)については約0.8μm~約2.5μmの間、またはマルチ横モード操作(multi-lateral mode operation)については約2.5μm~約50μmの間であるが、他の寸法であってもよい。特定の実施形態では、本デバイスが約0.5μm~約1.5μmの範囲の幅、約1.5μm~約3.0μmの範囲の幅、約3.0μm~約50μmの範囲の幅などを有する。特定の実施形態では、幅は、実質的に一定の寸法であるが、わずかな変動があってもよい。幅および長さは、当技術分野で一般的に使用されているマスキングおよびエッチングプロセスを使用して形成されることが多い。
【0056】
レーザストライプ領域110は、ドライエッチングまたはウェットエッチングから選択されるエッチングプロセスによって提供される。また、デバイスは、重なった誘電体領域(overlying dielectric region)を有し、p型接点領域を露出させる。接点領域に重なっているものは、金属または導電性酸化物またはそれらの組合せであってもよい接点材料である。p型電気接点は、熱蒸着、電子ビーム蒸着、電気メッキ、スパッタリング、または別の適切な技術によって堆積されてもよい。基板の研磨された領域に重なっているものは、第2の接点材料であり、それは、金属、導電性酸化物、またはそれらの組合せであってもよく、n型電気接点を含む。n型電気接点は、熱蒸着、電子ビーム蒸着、電気メッキ、スパッタリング、または別の適切な技術によって堆積されてもよい。
【0057】
特定の実施形態では、レーザデバイスが600nm~750nmの中心波長を有する赤色光を放出してもよい。このような装置は、AlxInyGa1-x-yAszP1-zの様々な組成の層を含んでよい。ここで、x+y≦1であり、z≦1である。赤色レーザデバイスは、少なくとも、n型およびp型クラッド層と、n型クラッドよりも屈折率の高いn型SCHと、p型クラッドよりも屈折率の高いp型SCHと、光が放出される活性領域とを備える。特定の実施形態では、レーザストライプがドライエッチングまたはウェットエッチングから選択されるエッチングプロセスによって提供される。好ましい実施形態では、エッチングプロセスはドライであるが、他のものであってもよい。また、デバイスは、接点領域を露出する重なった誘電体領域を有する。特定の実施形態では、誘電体領域が二酸化ケイ素などの酸化物であるが、他のものであってもよい。もちろん、他の変更、修正および代替があってもよい。レーザストライプは、長さおよび幅によって特徴付けられる。長さは、約50μm~約3000μm、望ましくは10μm~400μm、約400μm~800μm、約800μm~1600μmであるが、1600μm超などの他の範囲でもよい。また、ストライプは、約0.5μm~約80μmの範囲の幅を有するが、シングル横モード操作については0.8μm~2.5μmの間の幅、またはマルチ横モード操作については2.5μm~60μmの間の幅であることが好ましいが、他の寸法であってもよい。レーザストライプ領域は、互いに対向する一対の切断またはエッチングされたミラー構造を有する第1の端部および第2の端部を有する。第1のファセットは反射コーティングを含み、第2のファセットはコーティングを含まず、反射防止コーティングを含み、またはガリウムおよび窒素含有材料を露出させる。第1のファセットは、第2の切断またはエッチングされたファセットと実質的に平行である。
【0058】
ガリウムおよび窒素含有基板の高いコスト、ガリウムおよび窒素含有基板サイズのスケールアップの困難さ、小さなウェハの処理における固有の非効率性、および潜在的な供給制限を考慮すると、利用可能なガリウムおよび窒素含有基板および重なるエピタキシャル材料の利用を最大化することが極めて望ましい。側面キャビティレーザダイオード(lateral cavity laser diodes)の製造においては、通常、レーザキャビティ幅によってではなく、ワイヤ接合パッドまたは機械的な取扱い上の考慮事項のようなデバイスコンポーネントによって最小ダイサイズが決定される。ダイサイズを最小化することは、より小さなダイサイズが1回の処理において1枚のウェハ上により多くのデバイスを製造することを可能にするので、製造コストを低減するために重要である。本発明は、ダイ拡張プロセス(die expansion process)を介してキャリアウェハ上にエピタキシャル材料を広げることによって、所与のガリウムおよび窒素含有基板および重なったエピタキシャル材料から製造することができるデバイスの数を最大にする方法である。
【0059】
エッジ発光レーザダイオードと同様に、SLEDは、通常、エッジ発光デバイス(edge-emitting device)として構成される。ここで、高輝度、高指向性の光学発光が、半導体チップの側面から外側に向けられた導波路から出る。SLEDは、導波路に沿って発生する自然放出に対して高い単一通過の利得または増幅(single pass gain or amplification)を有するように設計されている。しかしながら、レーザダイオードとは異なり、それらは、利得が導波路キャビティ内の全損失に等しいレーザ条件(lasing condition)を達成するために、キャビティ内に不十分なフィードバックを提供するように設計されている。典型的な例では、導波路の端部またはファセットのうちの少なくとも1つは、導波路内に戻る反射率が非常に低くなるように設計される。いくつかの方法を使用して、導波路の端部またはファセットの反射率を低減させることができる。1つのアプローチにおいて、光学コーティングはファセットの少なくとも1つに適用される。ここで、光学コーティングは、1%未満、0.1%未満、0.001%未満、または0.0001%未満の反射率のような低い反射率のために設計される。反射率を低減するための別のアプローチでは、チップ内に反射して戻る光がキャビティ内の光と建設的に干渉してフィードバックを提供しないように、導波路の端部は、光伝播方向に対して傾斜または角度が付けられるように設計される。最適なパフォーマンスのために、反射率対角度の関係においておよそゼロに(around a null in the reflectivity versus angle relationship)、傾斜角を注意深く設計する必要がある。傾斜または角度を付けるファセットアプローチは、光伝播方向に対して最適化された角度、側面角度(lateral angle)で設計されるエッチングされたファセットを提供することを含む、多くの方法で達成され得る。傾斜の角度は、リソグラフィによって画定されたエッチングされたファセットパターンによって予め決定される。あるいは、角度付き出力は、半導体チップ内の所定の結晶面上に形成される切断ファセット(cleaved facet)に対して導波路を湾曲させる、および/または角度を付けることによって達成することができる。反射率を低減する別のアプローチは、キャビティへのフィードバックを低減するように、ファセット上に粗面化されたまたはパターン化された表面を提供することである。粗面化(roughening)は、化学エッチングおよび/またはドライエッチングを用いて、または代替技術を用いて達成することができる。もちろん、SLEDデバイスを形成するためにキャビティへのフィードバックを低減する他の方法があってもよい。多くの実施形態では、光伝播に対して角度または傾斜の付いた出力ファセットと組み合わせて、低反射率コーティングを使用することを含む、ファセット反射率を低減するための多くの技術を組み合わせて使用することができる。
【0060】
非極性Ga含有基板の特定の実施形態では、デバイスは、自然放出光が、c方向に実質的に垂直に偏光されることを特徴とする。好ましい実施形態では、自然放出光は、c方向に垂直な0.1超~約1の偏光比によって特徴付けられる。好ましい実施形態では、自然放出光は、青色発光を生じるために約430ナノメートル~約470nmの範囲の波長、または緑色発光を生じるために約500ナノメートル~約540ナノメートルの範囲の波長、およびその他によって特徴付けられる。例えば、自然放出光は、紫色(例えば、395~420ナノメートル)、青色(例えば、420~470nm)、緑色(例えば、500~540nm)、またはその他であり得る。好ましい実施形態では、自然放出光は、高度に偏光され、0.4より大きい偏光比によって特徴付けられる。半極性{20-21}Ga含有基板の別の特定の実施形態では、デバイスは、自然放出光が、キャビティ方向に垂直またはa方向に実質的に平行に偏光されることを特徴とし、これは、c方向のプロジェクションにおいて配向される。
【0061】
特定の実施形態では、本発明は、リッジレーザ実施形態において、501nm以上の光を放出することができる代替デバイス構造を提供する。本デバイスは、次のエピタキシャル成長素子、すなわち、
5×1017cm-3~3×1018cm-3のSiドーピングレベルを有する厚さ100nm~3000nmのn-GaNまたはn-AlGaNクラッド層と、
2%~15%のインジウムのモル分率および20nm~250nmの厚さを有するInGaNで構成されるn側SCH層と、
1.5nm以上、任意に約12nmまでのGaNまたはInGaNバリアによって分離された、少なくとも2つの2.0nm~8.5nmのInGaN量子ウェルで構成されたシングル量子ウェルまたはマルチ量子ウェル活性領域と、
1%~10%の間のインジウムのモル分率および15nm~250nmの厚さを有するInGaNで構成されるp側SCH層、または上部GaNガイド層と、
アルミニウムのモル分率が0%~22%であり、厚さが5nm~20nmであり、MgでドープされたAlGaNで構成される電子ブロック層と、
2×1017cm-3~2×1019cm-3のMgドーピングレベルを有する400nm~1500nmの厚さのp-GaNまたはp-AlGaNクラッド層と、
1×1019cm-3~1×1021cm-3のMgドーピングレベルで、20nm~40nmの厚さのp++-GaN接点層と、を備えている。
【0062】
ガリウムおよび窒素含有レーザダイオードレーザデバイスは、活性領域を選択的に励起するための複数の金属電極、埋め込みヘテロ構造アーキテクチャ(buried heterostructure architecture)および/または表面リッジアーキテクチャ(surface ridge architecture)のような他の構造を備えていてもよい。例えば、活性領域は、第1および第2のガリウムおよび窒素含有クラッド層と、第1および第2のクラッド層の間に配置されたインジウムおよびガリウム含有発光層とを含んでもよい。レーザデバイスは、n型ガリウムおよび窒素含有材料と、n型ガリウムおよび窒素含有材料に重なるn型クラッド材料とをさらに備えてもよい。特定の実施形態では、デバイスは、重なったn型窒化ガリウム層と、活性領域と、レーザストライプ領域として構造化された重なったp型窒化ガリウム層とを有する。加えて、デバイスは、他の特徴の中でも特に、n側分離制限ヘテロ構造(n-side separate confinement heterostructure (SCH))、p側導波層またはSCH、p-AlGaN EBLを含んでもよい。特定の実施形態では、デバイスは、p++型窒化ガリウム材料を有し、接点領域を形成する。特定の実施形態では、p++型接点領域は、適切な厚さを有し、約10nm~50nm、または他の厚さの範囲とすることができる。特定の実施形態では、ドーピングレベルは、p型クラッド領域および/またはバルク領域よりも高くすることができる。特定の実施形態では、p++型領域は、約1019~1021Mg/am3などの範囲のドーピング濃度を有する。p++型領域は、半導体領域と重なる金属接点領域との間のトンネリング(tunneling)を引き起こすことが好ましい。特定の実施形態では、これらの領域のそれぞれは、少なくとも、有機金属気相成長法(metal organic chemical vapor deposition (MOCVD))、分子線エピタキシー法(molecular beam epitaxy (MBE))、またはGaN成長に適した他のエピタキシャル成長技術のエピタキシャル堆積技術(epitaxial deposition technique)を使用して形成される。特定の実施形態では、エピタキシャル層は、n型窒化ガリウム層を覆う高品質のエピタキシャル層である。いくつかの実施形態では、高品質層は、例えば、SiまたはOでドープされ、約1016cm-3~1020cm-3のドーパント濃度で、n型材料を形成する。
【0063】
図4は、本開示のいくつかの実施形態によるレーザデバイス200の断面図である。図示のように、レーザデバイスは、n型金属背面接点領域201を下側に有する窒化ガリウム基板203を備える。例えば、基板203は、半極性配向または非極性配向によって特徴付けられてもよい。また、デバイスは、重なるn型窒化ガリウム層205と、活性領域207と、レーザストライプ領域209として構造化された重なるp型窒化ガリウム層とを有する。これらの領域のそれぞれは、少なくとも、有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー法(MBE)、またはGaN成長に適した他のエピタキシャル成長技術のエピタキシャル堆積技術を使用して形成される。エピタキシャル層は、n型窒化ガリウム層を覆う高品質のエピタキシャル層である。いくつかの実施形態では、高品質層は、例えば、SiまたはOでドープされ、約10
16cm
-3~10
20cm
-3のドーパント濃度で、n型材料を形成する。
【0064】
n型AluInvGa1-u-vN層(0≦u、v、u+v≦1)が基板上に堆積される。キャリア濃度は、約1016cm-3~1020cm-3の間にあってもよい。堆積は、有機金属気相成長法(MOCVD)または分子線エピタキシー法(MBE)を用いて行うことができる。
【0065】
例えば、バルクGaN基板は、MOCVD反応器内のサセプタ(susceptor)上に配置される。反応器を閉じ、排気し、大気圧まで(またはロードロック構成(load lock configuration)を使用して)再充填(back-filling)した後、サセプタは、窒素含有ガスの存在下で、約1000~約1200℃の間の温度に加熱される。サセプタは、アンモニア流下で、約900~1200℃に加熱される。トリメチルガリウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)などのガリウム含有有機金属前駆体の流れは、キャリアガス中で、約1~50標準立方センチメートル/分(standard cubic centimeters per minute (sccm))のトータルレートで開始される。キャリアガスは、水素、ヘリウム、窒素、またはアルゴンを含んでもよい。成長中のV群前駆体(アンモニア)の流量とIII群前駆体(トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジウム、トリメチルアルミニウム)の流量との比は、約2000~約12000である。約0.1sccm~10sccmの総流量で、キャリアガス中のジシランの流れが開始される。
【0066】
一実施形態では、レーザストライプ領域はp型窒化ガリウム層209である。レーザストライプはドライエッチングプロセスによって提供されるが、ウェットエッチングを使用することもできる。ドライエッチングプロセスは、塩素含有種(chlorine bearing species)を使用する誘導結合プロセス、または類似の化学物質を使用する反応性イオンエッチングプロセスである。塩素含有種は、一般に、塩素ガスなどに由来する。また、デバイスは、接点領域213を露出する、重なった誘電体領域を有する。誘電体領域は、二酸化ケイ素または窒化ケイ素などの酸化物であり、接点領域は、重なる金属層215に結合される。重なる金属層は、好ましくは、金および白金(Pt/Au)、パラジウムおよび金(Pd/Au)、またはニッケル金(Ni/Au)、またはそれらの組合せを含む多層構造である。いくつかの実施形態では、バリア層およびより複雑な金属スタックが含まれる。
【0067】
活性領域207は、好ましくは、発光のために、1~10個の量子ウェル領域または二重ヘテロ構造領域を備える。n型AluInvGa1-u-vN層を堆積して、所望の厚さを達成した後、活性層を堆積する。量子ウェルは、好ましくは、それらを分離するGaN、AlGaN、InAlGaN、またはInGaNバリア層を有するInGaNである。他の実施形態では、ウェル層およびバリア層がそれぞれAlwInxGa1-w-xNおよびAlyInzGa1-y-zNを含む。ここで、0≦w、x、y、z、w+x、y+z≦1であり、また、w<u、yおよび/またはx>v、zであり、ウェル層のバンドギャップは、バリア層およびn型層のバンドギャップよりも小さい。ウェル層およびバリア層はそれぞれ、約1nm~約20nmの厚さを有する。活性層の組成および構造は、予め選択された波長で発光を提供するように選択される。活性層はドープされない(または意図せずにドープされた)ままであってもよいし、ドープされたn型またはp型であってもよい。
【0068】
活性領域は、電子ブロック領域と、分離制限ヘテロ構造とを備えることができる。電子ブロック層は、活性層より高いバンドギャップを有し、AlsIntGa1-s-tNを含み、0≦s、t、s+t≦1であり、ドープされたp型であってもよい。特定の一実施形態では、電子ブロック層は、AlGaNを含む。別の実施形態では、電子ブロック層は、AlGaN/GaN超格子構造を含み、AlGaNとGaNの交互の層を含み、それぞれの層の厚さは約0.2nm~約5nmである。
【0069】
上述のように、p型窒化ガリウムまたは窒化アルミニウムガリウム構造(p-type gallium nitride or aluminum gallium nitride structure)は、電子ブロック層および活性層の上方に堆積される。p型層は、約5nm~約1000nmの間の厚さで、約1016cm-3~1022cm-3の間のレベルまで、Mgでドープされてもよい。p型層の最も外側の1~50nmは、向上した電気接点を可能にするように、層の残りの部分よりも多くドープされてもよい。また、デバイスは、接点領域213を露出する、重なった誘電体領域、例えば、二酸化ケイ素を有する。
【0070】
金属接点は、銀、金、アルミニウム、ニッケル、白金、ロジウム、パラジウム、クロムなどの適切な材料で作られる。接点は、熱蒸着、電子ビーム蒸着、電気メッキ、スパッタリング、または別の適切な技術によって堆積されてもよい。好ましい実施形態では、電気接点が光学デバイスのp型電極として機能する。別の実施形態では、電気接点が光学デバイスのn型電極として機能する。上述の
図3および
図4に図示したレーザデバイスは、通常、低出力用途に適している。
【0071】
様々な実施形態において、本発明は、ダイオードレーザからの高出力パワーを実現するが、それは、レーザキャビティ部材の一部を、1.0~3.0μmのシングル横モード領域から5.0~20μmのマルチ横モード範囲に広げることによって実現される。場合によっては、50μm以上の幅のキャビティを有するレーザダイオードが用いられる。
【0072】
レーザストライプの長さ、またはキャビティの長さは、100~3000μmの範囲であり、2010年4月13日に出願された米国特許出願第12/759,273号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるような成長および製造技術を採用する。一例として、レーザダイオードは非極性または半極性ガリウム含有基板上に製造され、ここで、内部電界は、極性c面配向デバイスに対して、実質的に排除または軽減される。内部電界の減少は、しばしば、より効率的な放射再結合を可能にすることが理解されるべきである。さらに、重い正孔質量は、非極性および半極性基板上でより軽いと期待され、レーザからのより良い利得特性が達成され得る。
【0073】
任意に、
図4は、ガリウムおよび窒素ベースのレーザダイオードデバイスの例示的な断面図を示す。エピタキシャルデバイス構造は、ガリウムおよび窒素含有基板部材203の上部に形成される。基板部材は、Oおよび/またはSiドーピングでn型ドープされてもよい。エピタキシャル構造は、GaN、AlGaN、またはAlInGaNで構成されるn型クラッド層、およびGaN、AlGaN、AlINGaN、またはInGaNで構成されるn型バッファ層などのn側層205を含むだろう。n型層は、0.3μmから、約3μmまたは約5μmの厚さを有してもよく、1×10
16cm
-3~1×10
19cm
-3の濃度までSiまたはOなどのn型キャリアでドープされてもよい。n型層に重なっているものは、活性領域および導波路層207である。この領域は、モードの光学誘導(optical guiding)を助けるために、n側導波路層またはInGaNのような分離制限ヘテロ構造(SCH)を含むことができる。InGaN層は、約30nm~約250nmの範囲の厚さを有し、1~15%モル分率のInNで構成され、Siなどのn型種でドープされてもよい。SCH層に重なっているものは、二重ヘテロ構造または量子ウェル活性領域で構成され得る発光領域である。量子ウェル活性領域は、InGaNで構成される厚さ1nm~20nmの範囲の1~10個の量子ウェルで構成され得る。GaN、InGaNまたはAlGaNで構成されるバリア層は、量子ウェル発光層を分離する。バリアの厚さは1nm~約25nmの範囲である。発光層に重なっているものは、任意に、5%~約35%のAlNを有するAlGaNまたはInAlGaN電子ブロック層であり、任意にMgなどのp型種がドープされる。また、任意に、モードの光学誘導を助けるために、InGaNなどのSCHまたはp側導波路層がある。InGaN層は、30nm~約250nmの範囲の厚さを有し、1~15%モル分率のInNで構成され、Mgのようなp型種でドープされてもよい。活性領域、および任意の電子ブロック層およびp側導波路層に重なっているものは、pクラッド領域およびp++接点層である。p型クラッド領域は、GaN、AlGaN、AlINGaNまたはこれらの組合せで構成される。p型クラッド層の厚さは、0.3μm~約2μmであり、1×10
16cm
-3~1×10
19cm
-3の範囲の濃度まで、Mgがドープされる。リッジ211は、ドライエッチング処理またはウェットエッチング処理から選択されるエッチング処理を使用して、導波路における横方向制限(lateral confinement)のために、pクラッド領域に形成される。二酸化シリコンまたは窒化シリコンなどの誘電体材料213が、デバイスの表面領域上に堆積され、リッジの上部に開口部が形成されて、p++GaN層の一部を露出させる。p接点215は、デバイスの上部に堆積され、露出したp++接点領域に接触する。p型接点は、Au、Pd、Pt、Ni、Ti、またはAgを含む金属スタックで構成されてもよく、電子ビーム堆積、スパッタ堆積または熱蒸着によって堆積されてもよい。n接点201が、基板部材の底部に形成される。n型接点は、Au、Al、Pd、Pt、Ni、Ti、またはAgを含む金属スタックで構成されてもよく、電子ビーム堆積、スパッタ堆積または熱蒸着によって堆積されてもよい。
【0074】
本発明による複数の実施形態では、デバイス層がスーパールミネッセント発光ダイオードまたはSLEDを含む。すべての適用可能な実施形態において、SLEDデバイスは、本発明に記載される方法およびアーキテクチャに従って、レーザダイオードデバイスと交換され得る、またはレーザダイオードデバイスと組み合わされ得る。SLEDは、多くの点で、エッジ発光レーザダイオードに類似するが、デバイスの放出ファセットは非常に低い反射率を有するように設計される。SLEDは、電流を注入すると光学的に活性になり、広範囲の波長にわたって増幅自然放出(ASE)および利得を発生するという電気駆動接合に基づいているので、レーザダイオードに類似する。光出力がASEによって支配されるようになると、光出力対電流(LI)特性に急な折れ曲がりがあり、光出力の単位は、注入電流の単位当たり劇的に大きくなる。LI湾曲のこの急な折れ曲がりはレーザダイオードのしきい値に似ているが、はるかに緩やかである。SLEDは横方向に誘導される光学モードが形成されるように、より低い光学指数(optical index)の材料で上下にクラッドされた層または発光層を有するように設計された層構造を有するであろう。また、SLEDは、横方向光制限を提供する特徴を有するように製造されるであろう。これらの横方向制限特徴(lateral confinement features)は、エッチングされたリッジから構成されてもよく、低光学指数クラッドを提供し、リッジを取り囲む空気、真空、金属または誘電体材料を有する。また、横方向制限特徴は、注入された電流がデバイス内の有限領域に制限されるように、電気接点を成形することによって提供されてもよい。このような「利得誘導」構造(“gain guided” structure)において、注入されたキャリア密度を有する発光層の光学指数における分散(dispersion)は、光学モードの横方向制限を提供するために必要な光学指数コントラスト(optical-index contrast)を提供する。
【0075】
一実施形態において、LDまたはSLEDデバイスは、不均一な幅を有するリッジによって特徴付けられる。リッジは、均一な幅の第1の部分と、様々な幅の第2の部分とから構成される。第1の部分の長さは、100~500μmであるが、より長くてもよい。第1の部分は、1~2.5μmの幅を有し、好ましくは1~1.5μmの幅を有する。リッジの第2の部分は、第1の端部および第2の端部を有する。第1の端部はリッジの第1の部分に接続し、リッジの第1の部分と同じ幅を有する。リッジの第2の部分の第2の端部はリッジの第1の部分よりも幅が広く、5~50μmの幅を有し、より好ましくは15~35μmの幅を有する。リッジ導波路の第2の部分は、その第1の端部と第2の端部との間の幅が滑らかに変化する。いくつかの実施形態では、リッジのテーパが線形であるように、リッジの幅対長さの二次導関数(second derivative)はゼロである。いくつかの実施形態では、二次導関数が正または負であるように選択される。一般に、幅の増加率は、リッジの幅が光学モードよりも大幅に速く拡大しないように選択される。特定の実施形態では、導波路のテーパ部分の一部のみが電気的に注入されるように、電気的注入領域(electrically injected area)がパターン化される。
【0076】
一実施形態では、異なる波長で放出する複数のレーザーダイス(multiple laser dice)は、互いに近接して、好ましくは互いに1ミリメートル以内で、より好ましくは互いに約200マイクロメートル以内で、最も好ましくは互いに約50μm以内で、同じキャリアウェハに転写される。レーザダイ波長は、それらのスペクトルの半値全幅の少なくとも2倍だけ波長が分離されるように選択される。例えば、440nm、450nmおよび460nmでそれぞれ放出する3つのダイスは、ダイによって放出されるレーザ光の中心間の全横方向分離が200μm未満であるように、50μm未満のダイと50μm未満のダイ幅との間の分離を伴って、単一キャリアチップに転写される。レーザダイの近接によって、それらの発光を、同じ光学トレインまたは光ファイバ導波路内に容易に結合させることができ、または遠方場に投影されて重なり合うスポットにすることができる。ある意味で、複数のレーザを、単一のレーザ光源として効果的に動作させることができる。
【0077】
このような構成は、DCオフセットに重畳されたRF信号の周波数および位相変調を例えば用いて、情報を伝えるために、各個々のレーザ光源を独立して動作させることができるという利点を提供する。各信号のDCオフセットを調整することにより、異なる光源からの光の時間平均比率(time-averaged proportion)を調整することができる。受光器では、個々のレーザ源からの信号は、白色光スペクトルの蛍光体由来成分と、レーザ源の1つ以外の全てからのポンプ光の両方をフィルタで除去する個々の光検出器上のノッチフィルタを使用することによって、逆多重化されるであろう。このような構成は、LEDベースの可視光通信(VLC)源に比べて、帯域幅がレーザエミッタの数により容易にスケールするという利点を提供するであろう。もちろん、同様の利点を有する同様の実施形態を、SLEDエミッタから構成することができる。
【0078】
以上のようにレーザダイオードチップの製造後は、レーザダイオードをサブマウンドに取り付けることができる。いくつかの例では、サブマウントは、AlN、SiC、BeO、ダイヤモンド、または金属、セラミックもしくは複合材料などの他の材料から構成される。あるいは、サブマウントは、蛍光体材料が取り付けられる共通支持部材に取り付けられるように意図された中間サブマウントとすることができる。サブマウント部材は、幅、長さおよび厚さによって特徴付けられてもよい。サブマウントが蛍光体およびレーザダイオードチップの共通支持部材である例では、サブマウントの寸法は、約0.5mmから約5mmまたは約15mmまでの範囲の幅および長さ、および約150μmから約2mmの範囲の厚さである。なお、サブマウントがレーザダイオードチップと共通支持部材との間の中間サブマウントである例では、その寸法が、約0.5mm~約5mmの範囲の幅および長さ、約50μm~約500μmの範囲の厚さによって特徴付けられる。レーザダイオードは、接合プロセス、はんだ付けプロセス、接着プロセスまたはこれらの組合せを用いて、サブマウントに取り付けられる。一実施形態では、サブマウントが電気的に絶縁性であり、上部に堆積された金属接合パッドを有する。レーザチップは、それらの金属パッドのうちの少なくとも1つに取り付けられる。レーザチップは、p側を下にした構成、またはp側を上にした構成において取り付けられる。レーザチップを接合した後、最終的なチップオンサブマウント(CoS)が完成し、統合の準備が整うように、ワイヤ接合が、チップからサブマウントに形成される。
【0079】
本発明によるガリウムおよび窒素含有基板技術上に形成された従来のレーザダイオードに基づくCoSを示す概略図を
図5に示す。CoSは、レーザダイオードチップ302と最終取り付け面との間の中間材料として作用するように構成されたサブマウント材料301から構成される。サブマウントは、Auのような堆積金属層で形成され得る電極303および305で構成される。一例では、電極にはTi/Pt/Auが使用される。ワイヤ接合304は、サブマウント上の電極303および305からの電力をレーザダイオードチップに結合して、レーザダイオードからのレーザビーム出力306を生成するように構成される。電極303および305は、レーザドライバ、電流源、または電圧源のような外部電源への電気的接続のために構成される。ワイヤ接合304が電極上に形成され、電力をレーザダイオードデバイスに結合し、レーザを作動させることができる。
【0080】
別の実施形態では、ガリウムおよび窒素含有レーザダイオード製造は、エピタキシャル剥離工程(epitaxial release step)を含み、エピタキシャル成長したガリウムおよび窒素層をリフトオフし、レーザ製造後にサブマウントを含み得るキャリアウェハに転写するためにそれらを準備する。転写工程は、レーザダイオードデバイスへのエピタキシャル層の後続処理を可能にするために、キャリアウェハ上にエピタキシャル層を正確に配置することを必要とする。キャリアウェハへの取り付けプロセスは、金属-金属、半導体-半導体、ガラス-ガラス、誘電体-誘電体、またはこれらの組合せからなる接合インターフェースを伴うウェハ接合工程を含むことができる。
【0081】
この実施形態では、ガリウムおよび窒素含有エピタキシャル層は、バルクガリウムおよび窒素含有基板上に成長する。エピタキシャル層スタックは、犠牲剥離層(sacrificial release layer)と、剥離層に重なるレーザダイオードデバイス層とを少なくとも含む。バルクガリウムおよび窒素含有基板上のエピタキシャル層の成長に続いて、半導体デバイス層は、犠牲層を選択的に除去し、キャリアウェハへのデバイス層の剥離を可能にするように構成されたPECエッチングなどの選択的ウェットエッチングプロセスによって、基板から分離される。一実施形態において、接合材料は、半導体デバイス層に重なる表面上に堆積される。接合材料は、キャリアウェハ上にパターン化されるか、ブランケットコーティング(blanket coating)として堆積される。標準的なリソグラフィプロセスが使用され、半導体デバイス層を選択的にマスクする。次いで、ウェハは、ドライエッチング処理またはウェットエッチング処理のようなエッチング処理に供されて、メサ構造の側壁上の犠牲層を露出させるビア構造を画定する。本明細書で使用されるように、用語「メサ領域(mesa region)」または「メサ」は、ガリウムおよび窒素含有基板上のパターン化されたエピタキシャル材料を説明するために使用され、キャリアウェハへ転写するために準備される。メサ領域は、長方形、正方形、三角形、円形、楕円形、多面体形、または他の形状を含む任意の形状または形態とすることができる。メサという用語は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0082】
メサの定義に続いて、選択的エッチング処理が実行され、半導体デバイス層を損傷させないままにしつつ、犠牲層を完全にまたは部分的に除去する。得られた構造体は、エピタキシャルデバイス層からなるアンダーカットメサ(undercut mesas)を含む。アンダーカットメサはダイスに対応し、ダイスから半導体デバイスが形成される。いくつかの実施形態では、保護パッシベーション層(protective passivation layer)をメサ領域の側壁上に使用して、エッチング選択性が完全でないときにデバイス層が選択的エッチングにさらされるのを防止することができる。他の実施形態では、デバイス層が選択的エッチングにセンシティブでないため、またはアノードおよびカソードを短絡させるなどのセンシティブ層のエッチングを防止するための措置がとられるため、保護パッシベーションは必要とされない。次いで、半導体デバイス層に重なる接合材料がキャリアウェハ上の接合材料と接合される接合技術を用いて、デバイスダイスに対応するアンダーカットメサをキャリアウェハに転写する。得られた構造体は、接合領域に重なるガリウムおよび窒素含有エピタキシャルデバイス層を含むキャリアウェハである。
【0083】
好ましい実施形態では、犠牲層を除去するための選択的エッチングとしてPECエッチングが展開される。PECは、光支援ウェットエッチング技術(photo-assisted wet etch technique)であり、GaNおよびその合金をエッチングするために使用される。このプロセスは、バンドギャップ超え励起源(above-band-gap excitation source)と、半導体および電解質溶液によって形成される電気化学セルとを含む。この場合、露出した(Al、In、Ga)N材料表面はアノードとして作用し、一方、半導体上に堆積した金属パッドはカソードとして作用する。バンドギャップ超え光源は、半導体中に電子正孔対を生成する。電子はカソードを介して半導体から取り出され、一方、正孔は材料の表面に拡散して酸化物を形成する。表面への正孔の拡散は、正孔の集まりを有利にするための表面でのバンド曲げ(band bending at the surface to favor a collection of holes)を必要とするので、PECエッチングは、p型材料をエッチングするためにいくつかの方法が開発されているが、典型的にはn型材料に対してのみ作用する。次いで、酸化物は電解質によって溶解され、半導体のウェットエッチングをもたらす。HCl、KOH,HNO3を含む様々な種類の電解質が、GaNおよびその合金のPECエッチングに効果的であることが示されている。エッチング選択性およびエッチング速度は、好ましい電解質を選択することによって最適化することができる。また、半導体とカソードとの間に外部バイアスを生成して、PECエッチングプロセスを支援することも可能である。
【0084】
好ましい実施形態では、下側に犠牲領域を有する半導体デバイスエピタキシー材料(semiconductor device epitaxy material)が、重なった半導体デバイス層を有するガリウムおよび窒素含有バルク基板上のメサの密なアレイ(dense array of mesas)へと製造される。メサは、パターニングおよびウェットまたはドライエッチングプロセスを用いて形成される。ここで、パターニングは、リソグラフィ工程を含み、メサ領域のサイズおよびピッチを画定する。反応性イオンエッチング、誘導結合プラズマエッチング、または化学支援イオンビームエッチングなどのドライエッチング技術が候補となる方法である。あるいは、ウェットエッチングを使用することができる。エッチングは、デバイス層の下の犠牲領域で、または犠牲領域の下で終わるように構成される。これに続いて、PECのような選択的エッチングプロセスが行われ、メサがアンダーカットされるように、露出した犠牲領域を完全にまたは部分的にエッチングする。このアンダーカットメサパターンのピッチを「第1のピッチ」と呼ぶ。第1のピッチは、多くの場合、基板上のエピタキシャル領域のそれぞれを製造するのに適した設計幅であるが、所望の完成半導体デバイス設計に十分な大きさではない。これは、多くの場合、より大きな非活性領域または接点等のための領域を望む。例えば、これらのメサは、約5μmから、約500μmまたは約5000μmまでの範囲の第1のピッチを有するであろう。これらのメサのそれぞれは「ダイ」である。
【0085】
好ましい実施形態では、これらのダイは、キャリアウェハ上の第2のピッチがガリウムおよび窒素含有基板上の第1のピッチよりも大きくなるように、選択的接合プロセスを使用して、第2のピッチでキャリアウェハに転写される。この実施形態では、ダイスが、いわゆる「ダイ拡張」のために拡張されたピッチ上にある。一例では、第2のピッチは、キャリアウェハの一部を有する各ダイが、接点および他のコンポーネントを含む半導体デバイスであることを可能にするように、ダイスで構成される。例えば、第2のピッチは、約50μmから、約1000μmまたは約5000μmであるが、用途のために大きな半導体デバイスチップが必要とされる場合には約3~10mm以上の大きさであってもよい。より大きな第2のピッチは、高価なガリウムおよび窒素含有基板およびエピタキシャル材料の費用なしでより容易な機械的取扱いを可能にし、高価なガリウムおよび窒素含有基板およびエピタキシャル材料を必要としない接合パッドなど、半導体デバイスチップに追加の特徴のための領域を追加することを可能にし、および/または、エピタキシャル層を含むより小さなガリウムおよび窒素含有エピタキシャルウェハが、処理コストを低減するため、後続の処理のために非常に大きなキャリアウェハに載置されることを可能にする。例えば、4対1のダイ拡張比は、ガリウムおよび窒素含有材料の密度を4分の1に減少させ、従って、ガリウムおよび窒素含有基板よりも4倍大きいキャリアウェハ上の領域に載置できる。これは、2インチのガリウムおよび窒素基板を4インチのキャリアウェハに変えることに等しい。特に、本発明は、元のエピタキシーウェハに対してダイピッチがキャリアウェハ上で増加するような方法で、エピタキシー材料の個々のダイをキャリアウェハに転写する選択的領域接合プロセスを介して、基板ウェハおよびエピタキシー材料の利用を増加させる。エピタキシー材料の配置は、高価なガリウムおよび窒素含有基板の存在を必要とせず、ガリウムおよび窒素含有基板上にしばしば製造される重なったエピタキシー材料を必要としないデバイスコンポーネントが、より低コストのキャリアウェハ上に製造されることを可能にし、ガリウムおよび窒素含有基板および重なったエピタキシー材料のより効率的な利用を可能にする。
【0086】
図6は、本発明による選択的領域接合を伴うダイ拡張プロセスの概略図である。デバイスウェハは、本発明の実施形態に従って接合のために準備される。デバイスウェハは、基板606と、バッファ層603と、完全に除去される犠牲層609と、デバイス層602と、接合媒体601と、カソード金属605と、アンカー材料604とからなる。犠牲層609は、アンカー材料604が保持された状態で、PECエッチングにおいて除去される。ガリウムおよび窒素含有エピタキシャルウェハに形成されたメサ領域は、処理を介して画定された剥離層と、エピタキシャル材料のダイスとを形成する。個々のエピタキシャル材料ダイは、第1のピッチで形成される。キャリアウェハ基板607と、第2のピッチの接合パッド608とからなるキャリアウェハが準備される。第1のピッチを有するガリウムおよび窒素含有基板606上のメサのサブセットが第2のピッチでキャリアウェハ607上の接合パッド608のサブセットと整列するように、キャリアウェハ607に基板606を整列させる。第1のピッチが第2のピッチよりも大きく、メサがデバイスダイを含むので、ダイ拡張の基礎が確立される。接合プロセスが実行され、キャリアウェハ607から基板が分離されると、基板606上のメサのサブセットがキャリアウェハ607に選択的に転写される。次いで、キャリアウェハ607がエピタキシャルメサによって完全に載置されるまで、キャリアウェハ607上の接合パッド608およびメサの第2のセットによってプロセスが繰り返される。ガリウムおよび窒素含有エピタキシー基板201は、再使用のために任意に準備され得る。
【0087】
図6に示される例では、エピタキシーウェハ606上のエピタキシャルダイスの1/4がこの第1の選択的接合工程で転写され、エピタキシーウェハ606上に4分の3を残す。次に、選択的領域接合工程が繰り返されて、エピタキシャルダイの第2のクォータ、第3のクォータおよび第4のクォータが、パターン化されたキャリアウェハ607に転写される。この選択領域接合は、任意の回数繰り返されてもよく、
図6に示される4つの工程に限定されない。その結果が、エピタキシーウェハ606上の元のダイピッチよりも幅広いダイピッチを有するキャリアウェハ607上のエピタキシャルダイのアレイである。エピタキシャルウェハ606上のダイピッチをピッチ1と呼び、キャリアウェハ607上のダイピッチをピッチ2と呼び、ピッチ2はピッチ1より大きい。
【0088】
一実施形態では、キャリアウェハと、エピタキシャル層を有するガリウムおよび窒素含有基板との間の接合は、キャリアに適用された接合層と、エピタキシャル層を有するガリウムおよび窒素含有基板との間で実行される。接合層は、金属-金属、酸化物-酸化物、はんだ付け合金、フォトレジスト、ポリマー、ワックスなどを含む様々な接合対とすることができる。キャリアウェハ607上の接合パッド608と接触しているエピタキシャルダイスのみが接合する。市販のダイボンダーでは、サブミクロンのアライメント公差が可能である。次いで、エピタキシーウェハ606を引き離し、所望のエピタキシャル層がキャリアウェハ607上に残るように、弱められたエピタキシャル剥離層609でエピタキシー材料を破壊する。本明細書では、「選択的領域接合工程」がこのプロセスの単一の反復として定義される。
【0089】
一実施形態では、キャリアウェハ607は、選択されたメサのみがキャリアウェハ607上の金属接合パッド608と接触するような方法で、パターン化される。エピタキシー基板606が引き離されると、接合されたメサは、弱められた犠牲領域で破壊され、一方、接合されていないメサは、エピタキシー基板606に取り付けられたままである。次いで、この選択的領域接合プロセスを繰り返して、残りのメサを所望の構成に転写することができる。このプロセスは、任意の数の反復を介して繰り返すことができ、
図6に示される2つの反復に限定されるものではない。キャリアウェハは、約2インチ、3インチ、4インチ、6インチ、8インチ、および12インチを含むがこれに限定されない任意のサイズとすることができる。全ての所望のメサが転写された後、第2のバンドギャップ選択的PECエッチングを任意に使用して、残っている犠牲領域材料を除去して滑らかな表面を得ることができる。この時点で、標準的な半導体デバイスプロセスをキャリアウェハ上で実行することができる。本発明の別の実施形態は、選択的領域接合工程の前に、高密度エピタキシーウェハ上のデバイスコンポーネントの製造を組み込む。
【0090】
一例では、本発明は、所与のエピタキシャル表面積から製造することができるガリウムおよび窒素含有半導体デバイスの数を増加させるための方法を提供する。ここで、ガリウムおよび窒素含有エピタキシャル層はガリウムおよび窒素含有基板を覆う。ガリウムおよび窒素含有エピタキシャル材料は第1のダイピッチを有するダイにパターン化される。第1のピッチを有するガリウムおよび窒素含有エピタキシャル材料からのダイがキャリアウェハに転写されて、キャリアウェハ上に第2のダイピッチを形成する。第2のダイピッチは第1のダイピッチよりも大きい。
【0091】
一例では、各エピタキシャルデバイスダイは、幅約1μm~約100μmの間、または幅約100μm~約500μmの間、または幅約500μm~約3000μmの間、および長さ約100~約3000μmの間のピッチを有するエッチングされたメサである。一例では、キャリアウェハ上の第2のダイピッチは、約100μm~約200μm、または約200μm~約1000μm、または約1000μm~約3000μmである。一例では、キャリアウェハ上の第2のダイピッチは、エピタキシーウェハ上のダイピッチよりも約2倍~約50倍大きい。一例では、半導体LEDデバイス、レーザデバイスまたは電子デバイスは、エピタキシャル転写(epitaxial transfer)後にキャリアウェハ上に製造される。一例では、半導体デバイスは、GaN、AlN、InN、InGaN、AlGaN、InAlN、および/またはInAlGaNを含む。一例では、ガリウムおよび窒素含有材料は、極性面、非極性面または半極性面上に成長する。一例では、1つ以上の半導体デバイスがエピタキシャル材料の各ダイ上に製造される。一例では、エピタキシー材料を必要としないデバイスコンポーネントが、エピタキシーダイの間の空間に配置される。
【0092】
一実施形態では、デバイスダイスは、ダイ間の距離が、横断方向と横方向(transverse as well as lateral directions)の両方において拡大されるように、キャリアウェハに転写される。これは、基板上のデバイスダイの間隔よりも大きなピッチで、キャリアウェハ上の接合パッドの間隔をあけることによって達成することができる。
【0093】
本発明の別の実施形態では、複数のエピタキシャルウェハからのデバイスダイスは、キャリアウェハ上の各設計幅が、複数のエピタキシャルウェハからのダイスを含むように、キャリアウェハに転写される。複数のエピタキシャルウェハから近い間隔でダイスを転写する場合、エピタキシャルウェハ上の転写されていないダイスが、キャリアウェハにすでに転写されたダイに不用意に接触し接合しないことが重要である。これを達成するために、第1のエピタキシャルウェハからのエピタキシャルダイスは、上述の方法を用いてキャリアウェハに転写される。次いで、接合パッドの第2のセットがキャリアウェハ上に堆積され、第2のパッドの接合面が、転写されたダイの第1のセットの上面よりも高くなるような厚さで作られる。これは、第2のエピタキシャルウェハからのダイスの接合のための適切なクリアランスを提供するために行われる。第2のエピタキシャルウェハは、ダイスの第2のセットをキャリアウェハに転写する。最後に、半導体デバイスが製造され、パッシベーション層が堆積され、続いて、各ダイを個々に駆動することを可能にする電気接点層が堆積される。第1および第2の基板から転写されたダイスは、キャリアウェハの第2のピッチよりも小さいピッチで離間している。このプロセスは、任意の数のエピタキシャル基板からのダイスの転写、および各エピタキシャル基板からのダイス当たりの任意の数のデバイスの転写に拡張することができる。
【0094】
本発明によるリフトオフおよび転写されたエピタキシャルガリウムおよび窒素含有層に基づくCoSを示す概略図が
図7に示されている。CoSは、エピタキシー902内に設けられたレーザダイオードと、転写されたエピタキシャル材料を伴う、キャリアウェハから構成されたサブマウント材料901で構成されている。電極903および904は、レーザダイオードデバイスのn側およびp側に電気的に結合され、レーザダイオードからレーザビーム出力905を生成するために、外部ソースからレーザダイオードに電力を送るように構成される。電極は、レーザドライバ、電流源または電圧源などの外部電源への電気的接続のために構成される。ワイヤ接合が、電極上に形成され、電力をレーザダイオードデバイスに結合することができる。転写エピタキシャル材料を有するこの統合CoSデバイスは、低い熱インピーダンスのために、サイズ、コストおよび性能等、従来の構成を超える利点を提供する。
【0095】
未加工のガリウムおよび窒素含有基板から転写されたガリウムおよび窒素含有エピタキシャル層に形成されたレーザダイオードを説明するこの実施形態のさらなるプロセスおよびデバイスの説明は、米国特許出願第14/312,427号および米国特許公開第2015/0140710号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。一例として、GaN転写のこの技術は、より低いコスト、より高い性能、およびより高度に製造可能なプロセスフローを可能にする。
【0096】
蛍光体の選択は、レーザベースの統合白色光源内での重要な考慮事項である。蛍光体は、レーザ励起スポットによって誘起される極端な光強度とそれに伴う加熱に、重大な劣化なしで耐えることができなければならない。蛍光体の選択のために考慮すべき重要な特性には、以下のものが含まれる。
光励起パワーの白色光ルーメンへの高い変換効率。黄色蛍光体を励起する青色レーザダイオードの例では、光学ワットあたり150ルーメン超、または光学ワットあたり200ルーメン超、または光学ワットあたり300ルーメン超の変換効率が望まれる。
1mm、500μm、200μm、100μm、または50μmの直径を有するスポットにおいて、1~20Wのレーザ出力に耐えることができる高い光損傷しきい値。
150℃超の温度、200℃超の温度、または300℃超の温度に、分解することなく耐えることができる高い熱損傷しきい値。
蛍光体が、150℃、200℃、または250℃を超える温度に達しても効率を維持するような低い熱消光特性(thermal quenching characteristic)。
熱を放散し、温度を調節するための高い熱伝導率。3W/m-K超、5W/m-K超、10W/m-K超、さらに15W/m-K超の熱伝導率が望ましい。
用途に適した蛍光体発光色。
熱伝導率または光学効率の許容できない減少なしに、コヒーレント励起の所望の散乱をもたらす適切な多孔率特性(porosity characteristic)。
用途に適した形状因子。そのような形状因子には、ブロック、プレート、ディスク、球、シリンダ、ロッド、または同様の幾何学的要素が含まれるが、これらに限定されない。適切な選択は、蛍光体が透過モードで動作するか反射モードで動作するか、および蛍光体における励起光の吸収長に応じたものになるであろう。
用途に最適化された表面条件。一例では、蛍光体表面は、改善された光抽出のために意図的に粗面化される。
【0097】
好ましい実施形態では、420nm~480nmの波長範囲で動作する青色レーザダイオードは、レーザダイオードの青色発光と混合されると白色光が生成されるように、560nm~580nm範囲の黄色発光を提供する蛍光体材料と組み合わされるであろう。例えば、黒体線上の白色点を満たすために、組み合わされたスペクトルのエネルギーは、青色レーザ発光からの約30%および黄色蛍光体発光からの約70%から構成されてもよい。他の実施形態では、赤色、緑色、黄色、さらには青色の発光を有する蛍光体を、紫色、紫外線または青色の波長範囲でレーザダイオード励起源と組み合わせて使用して、混色による白色光を生成することができる。このような白色光システムは、2つ以上の蛍光体部材の使用に起因してより複雑になり得るが、改善された演色性などの利点を達成することができる。
【0098】
一例では、レーザダイオードから放出された光が、蛍光体素子によって部分的に変換される。一例では、蛍光体素子で生成され放出された部分的に変換された光が、外観が白色である色点(color point)をもたらす。一例では、白色光の色点が、点のプランク黒体軌跡上に位置する。一例では、白色光の色点が、点のプランク黒体軌跡(Planckian blackbody locus of points)の0.010未満のdu’v’内に位置する。一例では、白色光の色点が、好ましくは点のプランク黒体軌跡の0.03未満のdu’v’内に位置する。
【0099】
蛍光体材料は、透過モード、反射モード、または透過モードと反射モードの組み合わせ、または他のモードで動作させることができる。蛍光体材料は、変換効率、熱損傷に対する耐性、光学的損傷に対する耐性、熱消光特性、励起光を散乱するための多孔率、および熱伝導率によって特徴付けられる。好ましい実施形態では、蛍光体材料は、光学ワット当たり100ルーメンを超える変換効率、光学ワット当たり200ルーメンを超える変換効率、または光学ワット当たり300ルーメンを超える変換効率を有するCeでドープされた黄色発光YAG材料から構成され、多結晶セラミック材料または単結晶材料とすることができる。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態では、蛍光体の周囲は、コストをほとんどまたは全く追加せずに、高効率をもたらすように独立して調整される。レーザダイオード励起のための蛍光体最適化には、高い透明度、散乱または非散乱特性、およびセラミック蛍光体プレートの使用が含まれ得る。低下した温度感度は、ドーピングレベルによって決定することができる。セラミック蛍光体の裏面にリフレクタを付加することができ、損失を低減することができる。蛍光体は、インカップリングを増加させ、アウトカップリングを増加させ、および/または後方反射を低減させるように成形され得る。表面の粗面化は、固形材料からの光の抽出を増加させるための周知の手段である。コーティング、ミラー、またはフィルタを蛍光体に付加して、非主発光面(non-primary emission surfaces)を出る光の量を減らし、光が主発光面を介してより効率的に出ることを促進し、レーザ励起光のより効率的なインカップリングを促進することができる。もちろん、追加の変更、修正および代替があり得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、特定のタイプの蛍光体が、レーザ励起源を伴うこの要求の厳しい用途に最も適している。一例として、Ce3+イオンがドープされたセラミックイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、またはYAGベースの蛍光体が、理想的な候補であり得る。それらは、適切な発光色を達成するためにCeなどの種でドープされ、励起源の光を散乱させるための多孔率特性で構成されることが多く、レーザ励起におけるコヒーレンスを良好に解消する。その立方結晶構造の結果として、YAG:Ceは、高透明性単結晶および多結晶バルク材料として用意される。透明度およびルミネセンスの程度は、化学量論的組成、ドーパントの含有量、ならびに全処理および焼結経路に依存する。透明度および散乱中心の程度は、青色光および黄色光の均一な混合に対して最適化することができる。YAG:Ceは、緑色発光を放出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、YAGがEuでドープされ、赤色発光を放出することができる。
【0102】
本発明による好ましい実施形態では、白色光源が、光学励起ワット当たり100ルーメンを超える光学変換効率、光学励起ワット当たり200ルーメンを超える光学変換効率、または光学励起ワット当たり300ルーメンを超える光学変換効率を含むセラミック多結晶YAG:Ce蛍光体で構成される。加えて、セラミックYAG:Ce蛍光体は、150℃を超える、200℃を超える、または250℃を超える温度消光特性と、5~10W/m-Kの高い熱伝導率とによって特徴付けられ、ヒートシンク部材へ熱を効果的に放散させ、蛍光体を動作可能温度に保つ。
【0103】
本発明による別の好ましい実施形態では、白色光源は、YAG:Ceなどの単結晶蛍光体(SCP)で構成される。一例では、Ce:Y3Al5O12SCPは、チョクラルスキー技術によって成長させることができる。本発明によるこの実施形態では、YAG:Ceに基づくSCPは、光学励起ワット当たり100ルーメンを超える光学変換効率、光学励起ワット当たり200ルーメンを超える光学変換効率、または光学励起ワット当たり300ルーメンを超える光学変換効率によって特徴付けられる。さらに、単結晶YAG:Ce蛍光体は、150℃を超える、200℃を超える、または300℃を超えるの温度消光特性と、8~20W/m-Kの高い熱伝導率とによって特徴付けられ、ヒートシンク部材へ熱を効果的に放散させ、蛍光体を動作可能温度に保つ。高い熱伝導率、高い熱消光しきい値、および高い変換効率に加えて、レーザで励起されたときに理想的な「点」源として作用し得る微小な形態に蛍光体を成形する能力は、魅力的な特徴である。
【0104】
いくつかの実施形態では、YAG:Ceは、黄色発光を放出するように構成され得る。別の実施形態または同一実施形態において、YAG:Ceは、緑色発光を放出するように構成され得る。さらに別の実施形態または同一実施形態では、YAGにEuをドープして赤色発光を放出することができる。いくつかの実施形態では、LuAGが放出のために構成される。代替実施形態では、窒化ケイ素またはアルミニウム-オキシ窒化物(aluminum-oxi-nitrides)を、赤色発光、緑色発光、黄色発光または青色発光のための結晶ホスト材料として使用することができる。
【0105】
代替実施形態では、黄色蛍光体または緑色蛍光体などの粉末単結晶またはセラミック蛍光体が含まれる。粉末蛍光体は、透過モード動作のために透明部材上に、または反射モードで動作するために、蛍光体と固体部材との間にもしくは蛍光体の裏面に反射層を有する固体部材上に分配され得る。蛍光体粉末は、バインダ材料を使用して固体構造中に一緒に保持することができる。ここで、バインダ材料は、高い光学損傷しきい値および好ましい熱伝導率を有する無機材料において好ましい。蛍光体パワーは、着色蛍光体から構成されてもよく、青色レーザビームによって励起され、青色レーザビームと組み合わされるか、または紫色レーザビームによって励起されると、白色光を放出するように構成されてもよい。粉末蛍光体は、YAG、LuAG、または他の種類の蛍光体で構成することができる。
【0106】
本発明の一実施形態では、蛍光体材料は、イットリウムアルミニウムガーネットホスト材料および希土類ドーピング元素などを含有する。一例では、波長変換素子は、Ce、Nd、Er、Yb、Ho、Tm、Dy、Smおよびこれらの組合せから選択される希土類ドーピング元素などを含有する蛍光体である。一例では、蛍光体材料は、高密度蛍光体素子である。一例では、高密度蛍光体素子が、純粋なホスト結晶の90%を超える密度を有する。セリム(III)がドープされたYAG(YAG:Ce3+、またはY3Al5O12:Ce3+)を使用することができる。ここで、蛍光体は青色レーザダイオードから光を吸収し、緑色から赤色までの広い範囲で放出し、出力の大部分は黄色である。残りの青色発光と組み合わされたこの黄色発光は「白色」光を与え、これは暖色(黄色)または寒色(青色)としての色温度へ調整可能である。Ce3+:YAGの黄色発光は、テルビウムおよびガドリニウムなどの他の希土類元素でセリウムを置換することによって調整することができ、YAG中のアルミニウムの一部または全部をガリウムで置換することによってさらに調整することができる。
【0107】
代替例では、有機染料、共役ポリマー(conjugated polymer)、AlInGaPまたはInGaNなどの半導体、Ce3+イオンでドープされたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)(Y1-aGda)3(Al1-bGab)5O12:Ce3+、SrGa2S4:Eu2+、SrS:Eu2+、テルビウムアルミニウム系ガーネット(TAG)(Tb3Al5O5)、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdSe、またはCdTeを含むコロイド量子ドット薄膜を含む様々な蛍光体を本発明に適用することができるが、これらに限定されない。
【0108】
さらなる代替例では、いくつかの希土類ドープSiAlONが蛍光体として機能する。ユーロピウム(II)ドープβ-SiAlONは、紫外線および可視光スペクトルにおいて吸収し、強い広帯域可視発光を放出する。その輝度とカラーは、温度安定の結晶構造のため、温度によって大きく変化しない。別の例では、緑色と黄色のSiAlON蛍光体と赤色のCaAlSiN3ベースの(CASN)蛍光体が使用されてもよい。
【0109】
さらに別の例では、白色光源は、近紫外発光レーザダイオードを、高効率のユーロピウムベースの赤色発光蛍光体と青色発光蛍光体との混合物に加え、緑色発光の銅およびアルミニウムをドープした硫化亜鉛(ZnS:Cu,Al)と組み合わせることによって作られる。
【0110】
一例では、蛍光体または蛍光体ブレンドは、(Y、Gd、Tb、Sc、Lu、La)3(Al、Ga、In)5O12:Ce3+、SrGa2S4:Eu2+、SrS:Eu2+、およびCdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdSe、またはCdTeを含むコロイド量子ドット薄膜から選択することができる。一例では、蛍光体は実質的に赤色光を放射することができる。ここで、蛍光体は、(Gd、Y、Lu、La)2O3:Eu3+、Bi3+;(Gd、Y、Lu、La)2O2S:Eu3+、Bi3+;(Gd、Y、Lu、La)VO4:Eu3+、Bi3+;Y2(O、S)3:Eu3+;Ca1-xMo1-ySiyO4(0.05<x<0.5、0<y<0.1);(Li、Na、K)5Eu(W、Mo)O4;(Ca、Sr)S:Eu2+;SrY2S4:Eu2+;CaLa2S4:Ce3+;(Ca、Sr)S:Eu2+;3.5MgO×0.5MgF2×GeO2:Mn4+(MFG);(Ba、Sr、Ca)MgxP2O7:Eu2+、Mn2+;(Y、Lu)2WO6:Eu3+、Mo6+;(Ba、Sr、Ca)3MgxSi2O8:Eu2+、Mn2+(1<x<2);(RE1-yCey)Mg2-xLixSi3-xPxO12(REは、Sc、Lu、Gd、YおよびTbの少なくとも1つであり、0.0001<x<0.1および0.001<y<0.1である);(Y、Gd、Lu、La)2-xEuxW1-yMoyO6(0.5<x<1.0、0.01<y<1.0);(SrCa)1-xEuxSi5N8(0.01<x<0.3);SrZnO2:Sm+ 3;MmOnX(Mは、Sc、Y、ランタニド、アルカリ土類金属およびそれらのミクスチャの群から選択され;Xはハロゲンであり;1<m<3;1<n<4であり、ランタニドドーピングレベルは、0.1~40%のスペクトル重量の範囲とすることができる);Eu3+活性化リン酸塩蛍光体またはホウ酸塩蛍光体;および、それらのミクスチャからなる群から選択される。他の蛍光体の種類および関連技術のさらなる詳細は、2015年2月17日に発行され一般に共有される、Raringらの米国特許第8,956,894号の明細書(タイトル:非極性または半極性ガリウム含有材料および蛍光体を使用する白色光装置)で確認することができ、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態において、セラミック蛍光体材料は、シリコンなどのバインダ材料に埋め込まれる。この構成は、バインダ材料がしばしば低い熱伝導率を有し、従って非常に高温になり、急速に劣化さらには燃焼するので、一般的にはあまり好ましくない。このような「埋め込まれた」蛍光体は、スピニングホイールが蛍光体を冷却し、放射状パターンで蛍光体の周囲に励起スポットを広げるカラーホイールのような動的蛍光体用途においてしばしば使用される。
【0112】
蛍光体からの十分な熱放散は、レーザダイオード励起に基づく統合白色光源のための重要な設計上の考慮事項である。具体的には、光学的にポンピングされた蛍光体システムは、蛍光体中に損失源を有し、それは、結果として熱エネルギーとなり、従って、最適な性能のためにヒートシンクに放散されなければならない。2つの主な損失源はストークス損失であり、これは、エネルギーの差が結果としてシステムの損失となり、熱の形態で放散されるように、より高いエネルギーの光子をより低いエネルギーの光子に変換する結果である。加えて、再放出に成功した吸収光子の割合を測定する量子効率または量子収率は、非変換光子に関連する他の内部吸収過程からの熱生成があるように、一様ではない。励起波長と変換された波長によっては、ストークス損失が、10%を超える、20%を超える、および30%を超える、さらには、より大きな入射光パワーの損失をもたらし、放散しなければならない熱パワーをもたらす。量子損失は、追加の10%、20%を超える、および30%を超える、さらにはより大きな入射光パワーをもたらし、結果として、放散されなければならない熱パワーをもたらす。直径1mm未満、直径500μm未満、またはさらに直径100μm未満のスポットサイズに集束された1W~100Wの範囲のレーザビームパワーでは、1W/mm2、100W/mm2、またはさらに2,500W/mm2を超えるパワー密度を生成することができる。一例では、スペクトルが、青色励起光の30%および変換された黄色光の70%から構成され、ストークス損失および量子損失に関する最良のケースシナリオを仮定すると、蛍光体における10%の全損失について、熱の形態での放散パワー密度を0.1W/mm2、10W/mm2または250W/mm2超と計算することができる。従って、この最良のケースシナリオの例であっても、これは放散するのに膨大な量の熱である。高強度レーザ励起下で蛍光体内に発生するこの熱は、蛍光体変換性能、色品質、寿命を制限する可能性がある。
【0113】
最適な蛍光体性能および寿命のためには、蛍光体材料自体が高い熱伝導率を有する必要があるだけでなく、それは、高い熱伝導率の接合部材を伴うサブマウントまたは共通支持部材に取り付けられ、蛍光体からヒートシンクへ熱を逃がす必要がある。本発明において、蛍光体は、別個のアセンブリにパッケージされた遠隔サブマウント部材に取り付けられている。いくつかの実施形態では、ヒートシンクを使用して、波長変換中に生成された熱を放出するために蛍光体を支持することができる。理想的には、蛍光体接合界面は、界面の蛍光体側と支持部材側の両方に平坦な表面を備えた実質的に大きな面積を有するであろう。
【0114】
本発明において、レーザダイオード出力ビームは、蛍光体材料に入射して、蛍光体を励起するように構成されなければならない。いくつかの実施形態において、レーザビームは、蛍光体に直接入射してもよく、別の実施形態として、レーザビームは、蛍光体に入射する前に、光学系、反射器、導波路またはビームを操作するためのそれ以外の物体と相互作用してもよい。このような光学系の例としては、ボールレンズ、非球面コリメータ、非球面レンズ、速軸コリメータまたは遅軸コリメータ、ダイクロイックミラー、回転ミラー、光アイソレータが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
いくつかの実施形態において、本装置は、典型的には、レーザデバイスから蛍光体材料へのレーザビームの放出を伝達する非誘導レーザビーム特性を備えた自由空間を有する。レーザビームのスペクトル幅、波長、サイズ、形状、強度、および偏光は、蛍光体材料を励起するように構成される。レーザビームは、蛍光体からの正確な距離に位置決めすることによって、レーザダイオードのビーム発散特性を利用し、所望のスポットサイズが得られるように構成することができる。一実施形態において、レーザダイオードから蛍光体への入射角は、蛍光体上に所望のビーム形状が達成されるように最適化される。例えば、レーザアパーチャの非対称性およびビームの速軸および遅軸上の異なる発散角に起因して、蛍光体に直角となるように構成されたレーザから生成された蛍光体上のスポットは、一般的に、速軸の直径が遅軸の直径よりも大きい楕円形になるであろう。これを補正するために、蛍光体上のレーザビーム入射角を最適化して、レーザビームが蛍光体上でより円形となるように、遅軸方向にレーザビームを引き伸ばすことができる。別の実施形態では、コリメートレンズのような自由空間光学素子を用いて、蛍光体への入射前にレーザビームを成形することができる。ビームは、50%超かつ100%未満の偏光純度(polarization purity)によって特徴付けられる。本明細書で使用する場合、用語「偏光純度」は、発せられた電磁放射の50%を超えるものが、横方向電気(transverse electric (TE))偏光状態または横方向磁気(transverse magnetic (TM))偏光状態などと実質的に類似する偏光状態にあることを意味するが、通常の意味と一致する他の意味を持つこともできる。
【0116】
また、白色光装置は、レーザビームを生成して蛍光体材料を励起するために、電気入力パワーをレーザダイオードデバイスに結合するように構成された電気入力インターフェースを有する。一例として、蛍光体に入射するレーザビームは、0.1W未満、0.1W超、0.5W超、1W超、5W超、10W超または20W超のパワーを有する。白色光源は、1ルーメン、10ルーメン、100ルーメン、1000ルーメン、10000ルーメンを超える、またはより大きな白色光出力を生成するように構成される。
【0117】
支持部材は、少なくとも1つのレーザダイオードデバイスおよび蛍光体材料からヒートシンクへ熱エネルギーを伝えるように構成される。支持部材は、レーザデバイスからヒートシンクへの熱経路を特徴付ける、放散パワーのワット当たりで、10℃未満、5℃未満または3℃未満の熱インピーダンスを提供するように構成される。支持部材は、約400W/(m-K)の熱伝導率を有する銅、約200W/(m-K)の熱伝導率を有するアルミニウム、約370W/(m-K)の熱伝導率を有する4H-SiC、約490W/(m-K)の熱伝導率を有する6H-SiC、約230W/(m-K)の熱伝導率を有するAlN、約1000W/(m-K)超の熱伝導率を有する合成ダイヤモンド、サファイアもしくは他の金属、セラミック、または半導体などの熱伝導性材料で構成される。支持部材は、SiC、AlN、または合成ダイヤモンドなどの成長プロセスから形成され、次いでマシニング、カッティング、トリミングまたはモールディングによって機械的に成形されてもよい。あるいは、銅、銅タングステン、アルミニウム、または他の金属から、マシニング、カッティング、トリミングまたはモールディングによって支持部材を形成してもよい。
【0118】
現在、固体照明は、青色または紫色発光ダイオード(LED)を利用して、より広いスペクトルで放出する蛍光体を励起するシステムが主流である。いわゆるポンプLEDと蛍光体との組合せスペクトルは、制御可能な色点と良好な演色評価指数(color rendering index)を有する白色光スペクトルを生じるように最適化することができる。最先端のLEDに対するピークウォールプラグ効率(Peak wall plug efficiencies)は、かなり高く、70%を超えており、LEDベースの白色電球は、現在、発光効率に関して主要な照明技術である。レーザ光源として、特に、ガリウムおよび窒素含有材料をベースとする、新規な製造プロセスから作られた高出力青色レーザダイオードは、従来のLEDと比較して、量子効率、パワー密度、変調率、表面輝度に関する多くの有利な機能を示している。これにより、可視光を用いて高帯域幅で情報を送信する手段として、固体光源に基づいて照明器具、照明システム、ディスプレイ、プロジェクタなどを使用する機会が開かれた。また、変調レーザ信号または直接レーザ光スポット操作を利用して、周囲環境を測定および/または周囲環境と相互作用して、他の電子システムにデータを送信し、様々なセンサからの入力に動的に応答することができる。このような用途は、本明細書において「スマート照明」用途と呼ばれる。
【0119】
いくつかの実施形態において、本発明は、可視光通信システムなどの通信システムにおけるガリウムおよび窒素含有レーザダイオードの新規な使用および構成を提供する。より具体的には、本発明は、フィードバックループまたは制御回路を用いて、1つ以上のセンサに組み合わされ、1つ以上の所定の応答およびスマート照明と可視光通信との組合せで反応するように光源をトリガするガリウムおよび窒素ベースのレーザ光源を備えたスマート照明用途に関連する通信システムを提供する。このようなシステムにおいて、光は、1つ以上のレーザドライバによって電力供給されるレーザデバイスを使用して生成される。いくつかの実施形態では、別個のレーザデバイスが使用され、光学素子が設けられて、赤色、緑色および青色のスペクトルを合成して白色光スペクトルとする。別の実施形態では、青色または紫色のレーザ光が、レーザ源によって提供され、白色光スペクトルが生成されるように、波長変換素子によってより広いスペクトルのより長い波長の光へ部分的または完全に変換される。
【0120】
青色または紫色のレーザデバイスは、波長変換素子に光を照射し、この波長変換素子が、ポンプ光の一部を吸収し、より広いスペクトルのより長い波長の光を再放出する。波長変換素子によって吸収される光は、「ポンプ」光(“pump” light)と呼ばれる。光エンジンは、波長変換素子からの光と非変換ポンプ光との両方の一部が、この光エンジンから放出されるように構成される。非変換青色ポンプ光と、波長変換素子によって放出される、より長い波長の光とが組み合わされる場合、それらが、白色光スペクトルを形成してもよい。一例として、波長変換素子において生成され放出された部分的に変換された光は、外観が白色である色点をもたらす。一例として、白色光の色点は、点のプランク黒体軌跡上に位置する。一例として、白色光の色点は、点のプランク黒体軌跡から0.010未満のdu'v'内に位置する。一例として、白色光の色点は、点のプランク黒体軌跡から0.03未満のdu'v'内に位置するのが好ましい。
【0121】
一例において、波長変換素子は、ガーネットホスト材料およびドーピング成分を含有する蛍光体である。一例において、波長変換素子は、イットリウムアルミニウムガーネットホスト材料および希土類ドーピング成分並びに他の材料を含有する蛍光体である。一例において、波長変換素子は、Nd、Cr、Er、Yb、Nd、Ho、Tm、Cr、Dy、Sm、TbおよびCeのうちの1種以上またはこれらの組合せ等から選択される希土類ドーピング成分を含有する蛍光体である。一例として、波長変換素子は、希土類ドーピングの有無にかかわらず、Ca、Sr、Ba、Si、Alの1つ以上を含有する酸窒化物を含有した蛍光体である。一例において、波長変換素子は、M2SiO4:Eu2+(Mは、Ba2+、Sr2+およびCa2+の1つ以上)のようなアルカリ土類シリケートを含む蛍光体である。一例において、波長変換素子は、Sr2LaAlO5:Ce3+、Sr3SiO5:Ce3+またはMn4+ドープフッ化物蛍光体を含む蛍光体である。一例として、波長変換素子は、高密度蛍光体素子である。一例において、波長変換素子は、90%を超える密度の純粋なホスト結晶を有する高密度蛍光体素子である。一例として、波長変換材料は粉末である。一例として、波長変換材料は、ガラス、セラミック、またはポリマーマトリックス中に懸濁または埋め込まれた粉末である。一例として、波長変換材料は単結晶部材である。一例において、波長変換材料は、完全緻密材料(fully dense material)の75%を超える密度に焼結された粉末である。一例として、波長変換材料は、様々な組成および/または屈折率を有する粉末の焼結混合物である。一例として、波長変換素子は、ガラス状マトリックスまたはポリマーマトリックス中に懸濁された1種以上の蛍光体の粉末または顆粒である。一例として、波長変換素子は半導体である。一例として、波長変換素子は、半導体材料の量子ドットを含む。一例として、波長変換素子は、半導体の粉末または顆粒によって構成される。
【0122】
レーザダイオードの場合、蛍光体はレーザダイから離間していてもよく、これにより、蛍光体を十分に放熱することができ、高い入力電力密度が可能になる。これは、一般的に蛍光体がLEDダイに接しているLEDと比較して有利な構成である。蛍光体を離間したLEDも存在するが、LEDの面積が大きく、発光角度が広いため、LED用の離間された蛍光体は、LED光の全てを効率的に吸収して変換するために、非常に大きな体積の蛍光体を必要とし、その結果、発光領域が大きく、輝度が低い白色発光体をもたらすという欠点がある。
【0123】
LEDの場合、蛍光体から放出された光が、LEDダイに戻り、ここで、蛍光体からの光が吸収によって失われ得る。レーザダイオードモジュールの場合、蛍光体の周辺環境は独立して調整することが可能であり、コストをほとんどまたは全く追加せずに、高効率を達成することができる。レーザダイオードモジュールのための蛍光体の最適化には、高透明、非散乱の、セラミック蛍光体プレートを含めることができる。低下した温度感度は、ドーピングレベルによって決定することができる。セラミック蛍光体の裏側にリフレクタを付加することが可能であり、損失を低減することができる。この蛍光体は、インカップリングを増加させ、戻り反射を減少させるように成形することができる。当然ながら、更なる変形、修正および代替があってもよい。
【0124】
レーザダイオードの場合、蛍光体または波長変換素子は、透過モードまたは反射モードのいずれかで動作させることができる。透過モードでは、レーザ光は、波長変換素子を介して見える。透過モードデバイスからの白色光スペクトルは、蛍光体に吸収されないレーザ光と、波長変換素子によって放出されたスペクトルとの組合せである。反射モードでは、レーザ光が波長変換素子の第1の面に入射する。レーザ光の一部は、鏡面反射と拡散反射の組合せによって、第1の面から反射される。レーザ光の一部は蛍光体に入り、吸収されて、より長い波長の光に変換される。反射モードデバイスによって放出される白色光スペクトルは、波長変換素子からのスペクトル、波長変換素子の第1の面から拡散反射されるレーザ光の一部、および波長変換素子の内部から散乱される任意のレーザ光によって構成される。
【0125】
特定の実施形態において、レーザ光は、反射モードで波長変換素子に照射される。すなわち、レーザ光は、波長変換素子の同じ面に入射して集光される。波長変換素子は、エミッタパッケージに熱を逃がすか、積極的に冷却されてもよい。粗い表面は、散乱用であり、平滑な表面は鏡面反射用である。単結晶蛍光体などのいくつかの場合には、波長変換素子のARコーティングの有無にかかわらず、粗い表面が設けられ、励起光の大部分を変換およびランバート発光(Lambertian emission)のために蛍光体に取り込む一方、励起光の一部を、放出、変換された光と同様のランバートパターンで、この粗い表面から散乱させる。内部に散乱中心が組み込まれたセラミック蛍光体が波長変換素子として用いられるような他の実施形態では、平滑な表面が設けられ、全てのレーザ励起光を蛍光体に入れて、ここで、青色光および波長変換された光が同様のランバートパターンで出ることを可能にする。
【0126】
特定の実施形態において、レーザ光は、透過モードで波長変換素子に照射される。すなわち、レーザ光は、波長変換素子の片側に入射し、蛍光体を通過し、波長変換素子によって部分的に吸収され、蛍光体の反対側から収集される。
【0127】
波長変換素子は、一般に、それ自体に散乱素子を設けることができる。レーザ光が波長変換素子に吸収されると、波長変換素子からのより長い波長の光は、広い範囲の方向にわたって放出される。透過モードおよび反射モードの両方において、集光光学素子上のすべての点から見て、得られる白色光スペクトルが実質的に同一であることを確実にするために、入射レーザ光は、同様の角度分布に散乱されなければならない。レーザ光を十分に散乱させるために、散乱素子が波長変換素子に追加されてもよい。このような散乱素子は、ボイドなどの低屈折率介在物(low index inclusions)、異なる屈折率のマトリックス内に蛍光体の粒子を懸濁させるか、または異なる組成および屈折率の粒子を一緒に焼結することによって例えばもたらすことができるような、波長変換素子の光学屈折率における空間的変動、波長変換素子の第1の表面または第2の表面のテクスチャリングなどを含んでいてもよい。
【0128】
特定の実施形態において、レーザまたはSLEDドライバモジュールが提供される。例えば、レーザドライバモジュールは、駆動電流を生成し、この駆動電流は、画像のデジタル符号化されたフレーム、オーディオ記録およびビデオ記録のデジタルまたはアナログ符号化信号、またはバイナリ値の任意のシーケンスなどの1つ以上の信号を送信するようにレーザダイオードを駆動するのに適合したものとされる。特定の実施形態において、レーザドライバモジュールは、約50MHz~300MHz、300MHz~1GHz、または1GHz~100GHzの周波数の範囲でパルス変調信号を生成するように構成される。別の実施形態において、レーザドライバモジュールは、約50MHz~300MHz、200MHz~1GHz、または1GHz~100GHzの周波数の範囲で、複数の独立したパルス変調信号を生成するように構成される。一実施形態において、レーザドライバ信号は、アナログ電圧信号またはアナログ電流信号によって変調することができる。
【0129】
図8Aは、本発明の一実施形態による、青色ポンプレーザおよび波長変換素子を備えるレーザベース白色光源の機能ブロック図である。いくつかの実施形態において、白色光源は、静的照明、動的光、VLCまたはスマート照明用途の「光エンジン」として使用される。
図8Aを参照すると、390nmと480nmとの間の中心点波長を有するスペクトルを放出する青色または紫色のレーザデバイス1202が設けられる。青色のレーザデバイス1202からの光は、波長変換素子1203に入射し、当該波長変換素子1203は、この青色光の一部または全部を、白色光スペクトルが生成されるように、より長い波長の光のより広範なスペクトルに変換する。また、レーザデバイス1202に電力を供給するレーザドライバ1201が設けられる。好ましい実施形態として、レーザダイオードデバイスは、395nm~425nmの波長範囲、425nm~490nmの波長範囲または490nm~550nmの範囲で動作するガリウムおよび窒素含有レーザダイオードデバイスである。例えば、レーザダイオードは、出力電力が1W未満、または約1W~約4W、または約4W~約10Wの青色レーザダイオードである。いくつかの実施形態では、1つ以上のビーム成形光学素子1204は、白色光スペクトルを成形または集束するために提供され得る。任意に、1つ以上のビーム成形光学素子1204は、遅軸コリメートレンズ、速軸コリメートレンズ、非球面レンズ、ボールレンズ、全反射(TIR)光学系、放物線レンズ光学系、屈折光学系、またはそれらの組合せから選択される1つとすることができる。他の実施形態では、1つ以上のビーム成形光学素子1204は、波長変換素子1203に入射するレーザ光の前に配置することができる。
【0130】
図8Bは、本発明の別の実施形態による、複数の青色ポンプレーザと、波長変換素子とを備えるレーザベース白色光源の機能ブロック図である。
図8Bを参照すると、レーザドライバ1205が設けられ、このレーザドライバ1205は、制御された量の電流を十分に高い電圧で供給し、3つのレーザダイオード1206、1207、1208を動作させる。好ましい実施形態では、レーザダイオードデバイスは、395nm~425nmの波長範囲、425nm~490nmの波長範囲または490nm~550nmの範囲で動作するガリウムおよび窒素含有レーザダイオードデバイスである。例えば、3つのレーザダイオードは、1W未満、または約1W~約6W、または約6W~約12W、または約12W~30Wの集約出力パワー(aggregated output power)を有する青色レーザダイオードである。3つの青色レーザデバイス1206、1207および1208は、それらの放出光が、透過モードまたは反射モードのいずれかで波長変換素子1209に入射するように構成される。波長変換素子1209は、青色レーザ光の一部または全部を吸収し、より長い波長の光子を放出する。波長変換素子1209によって放出されたスペクトルおよび残りのレーザ光は、光を好ましい方向およびビーム形状で方向付けるレンズまたはミラーなどのビーム成形光学素子1210によって収集される。任意に、波長変換素子1209は、蛍光体ベース材料である。任意に、複数の波長変換素子を使用することができる。任意に、ビーム成形光学素子は、遅軸コリメートレンズ、速軸コリメートレンズ、非球面レンズ、ボールレンズ、全反射(TIR)光学系、放物線レンズ光学系、屈折光学系などのリストから選択された1つまたは組合せとすることができる。任意に、ビーム成形光学素子は、レーザ光が波長変換素子に当たる前で実装される。
【0131】
別の実施形態では、光ファイバが導波路素子として使用される。ここで、ファイバの一端で、1つ以上のレーザダイオードからの電磁放射がファイバに入るようにインカップリングされ、ファイバの他端で、電磁放射がファイバから出るようにアウトカップリングされ、そして、それは蛍光体部材に入射する。光ファイバは、100μm~約100m、または約1km、またはそれ以上の範囲の輸送長さ(transport length)を有することができる。光ファイバは、コア直径が約1μm~10μm、約10μm~50μm、約50μm~150μm、約150μm~500μm、約500μm~1mm、または1mmを超えるシングルモードファイバ(SMF)またはマルチモードファイバ(MMF)で構成することができる。光学コア材料は、シリカガラスのようなガラスから構成されてもよい。ここで、シリカガラスは、最適化された伝搬損失特性のために、種々の成分でドープされ、所定の水酸基(OH)レベルを有する。ガラス繊維材料はまた、フッ化物ガラス、リン酸塩ガラス、またはカルコゲニドガラスから構成されてもよい。代替実施形態では、プラスチック光ファイバが使用され、レーザポンプ光を輸送する。
【0132】
図9Aは、本発明の一実施形態による、レーザ誘起ファイバ供給白色光源の機能ブロック図である。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者は、多くの変形、代替および修正を認識するであろう。図示のように、レーザ誘起ファイバ供給白色光源は、1つ以上の駆動電流もしくは電圧または変調制御信号を提供するように構成されたレーザドライバ1211を有する。また、レーザ誘起ファイバ供給白色光源は、約385nm~約485nmの範囲の青色波長を有するレーザ光を放出するように構成された少なくとも1つの青色レーザデバイス1212を備える。任意に、少なくとも1つのレーザダイオードデバイス1212は、395nm~425nmの波長範囲、425nm~490nmの波長範囲および490nm~550nmの範囲から選択される1つの波長で動作するガリウムおよび窒素含有発光領域を有するチップオンサブマウント形態として構成されるLDチップである。任意に、少なくとも1つのレーザダイオードデバイス1212は、1組の複数のレーザダイオード(LD)チップを備える。それぞれは、レーザ光を放出するためにレーザドライバ1211からの独立した駆動電流または電圧によって駆動されるように構成されたGaNベースの発光ストライプを備える。複数のLDチップからの全放出光は、1つの電磁放射ビームへ結合され得る。任意に、複数のLDチップは、1W未満、または約1W~約10W、または約10W~約30W、または約30W~100W、またはそれ以上の集約出力パワーを有する青色レーザダイオードである。任意に、各放出光は、別々に駆動され、誘導される。
【0133】
本実施形態では、レーザ誘起ファイバ供給白色光源は、少なくとも1つのレーザダイオードデバイス1212からのレーザ光を結合して遠隔目的地へ供給するように構成された導波路デバイス1214を備える。任意に、導波路デバイス1214は、任意のカスタム設計光システムにおいて比較的柔軟に配置されるための光ファイバである。光ファイバは、コア直径が約1μm~10μm、約10μm~50μm、約50μm~150μm、約150μm~500μm、約500μm~1mm、または1mmを超える範囲のシングルモードファイバまたはマルチモードファイバを備える。任意に、導波路デバイス1214は、任意のカスタム設計照明システムにおける比較的柔軟な光路に適合するように、半導体基板上に事前に製造された半導体導波路である。導波路デバイス1214は、遠隔目的地に配置された光ヘッド部材で終わる導波路輸送部材を介してレーザ電磁放射を供給するために、任意の長さを有することができる。任意に、光ヘッドから出射するレーザ光は、1μm~5mmの範囲のビーム直径と、0度~200度の全角の範囲の発散(divergence ranging from 0 degree to 200 degrees full angle)とによって特徴付けられる。
【0134】
本実施形態では、レーザ誘起ファイバ供給白色光源は、遠隔目的地で光ヘッド部材に配置された波長変換素子1215も備える。任意に、波長変換素子1215は、レーザダイオードデバイス1212から完全に分離されたサブマウント材料上に配置された単一プレートまたは画素化プレート(pixelated plate)であるように構成された蛍光体材料である。任意に、ファイバ供給レーザ照明システムで使用される蛍光体材料は、Ceでドープされたセラミックイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、またはCeでドープされた単結晶YAG、またはバインダ材料を含む粉末YAGから構成される。蛍光体材料は、第1の波長の(例えば、青色スペクトルの)入射するレーザ電磁放射を、第2の波長の蛍光体発光に少なくとも部分的に変換するように構成される。第2の波長は第1の波長よりも長い。任意に、第2の波長は黄色スペクトル範囲にある。任意に、蛍光体材料は、光学ワット当たり50ルーメンを超える、光学ワット当たり100ルーメンを超える、光学ワット当たり200ルーメンを超える、または光学ワット当たり300ルーメンを超える光学変換効率を有する。
【0135】
任意に、蛍光体材料1215は、導波路デバイス1214から出射されたレーザ電磁放射を受け取るために、光ヘッド部材内の光ファイバまたは半導体導波路の端部の近傍に配置される表面を有する。任意に、レーザ電磁放射は、蛍光体材料の表面の方向に対して20度~90度に近い範囲の入射角になるように構成された主伝搬方向を有する。任意に、レーザ電磁放射の入射角は、25~35度に制限される。任意に、レーザ電磁放射の入射角は、35~40度に制限される。任意に、光ヘッド部材内の導波路デバイス1214の端部は、蛍光体材料の表面に対して近接して配置され、レーザ電磁放射が表面に着地して25μm~5mmの範囲の励起スポットを形成できる。任意に、励起スポットは、50μm~500μm内に制限される。励起スポットでのレーザ電磁放射は、蛍光体材料に吸収されて、入射する電磁放射の第1の波長よりも長い波長のスペクトルを有する蛍光体発光を誘起する。第1の波長のレーザ電磁放射を伴う部分混合物と第2の波長の蛍光体発光の組合せは、白色発光を生成する。任意に、白色発光は、蛍光体材料の表面から実質的に反射され、様々な用途に使用される白色光ビームとして方向転換または成形される。任意に、蛍光体材料からの白色発光は、10~100lm、100~500lm、500~1000lm、1000~3000lm、および3000lmより大きい範囲であってもよい。または、白色光源として光ヘッド部材からの白色発光は、100~500cd/mm2、500~1000cd/mm2、1000~2000cd/mm2、2000~5000cd/mm2、5000cd/mm2を超える輝度を有する。
【0136】
図9Bは、本発明の別の実施形態によるレーザ誘起ファイバ供給白色光源の機能ブロック図である。この図は単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者は、多くの変形、代替および修正を認識するであろう。図示のように、レーザ誘起ファイバ供給白色光源は、レーザドライバ1221によって駆動される青色レーザデバイス1222を備え、395nm~550nmの波長範囲によって特徴付けられる青色発光を有するレーザ光を放出する。任意に、レーザデバイスは、395nm~425nmの波長範囲、425nm~490nmの波長範囲および490nm~550nmの範囲から選択される第1の波長で動作するGaNベースの発光領域を有する、チップオンサブマウント形態として構成されるレーザダイオード(LD)チップである。レーザ光は、比較的大きな発散を伴う電磁放射のビームとして、発光領域から出射する。
【0137】
任意に、レーザ誘起ファイバ供給白色光源は、電磁放射ビームを制限するように、または成形するように構成された1つ以上のビームコリメーションおよびフォーカス素子1223を備える。1つ以上のビームコリメーションおよびフォーカス素子1223は、コリメートレンズ、フォーカスレンズ、フィルタ、電磁放射のビームを、ビーム直径が小さく、発散がより小さい特定の方向に導くためのビームスプリッタを備えることができる。本実施形態では、レーザ誘起ファイバ供給白色光源が導波路デバイス1224も備える。任意に、導波路デバイス1224は、前述のセクションで説明した導波路デバイス1214と実質的に同様である。導波路デバイス1224は、青色レーザデバイス1222を保持するレーザパッケージの出力ポートに適切に位置合わせされたレーザビームを受け取り、60%超または80%超の十分に高い効率で、狭められた光路にレーザ電磁放射を結合するように構成される。導波路デバイス1224は、種々の特定の用途のために、レーザ電磁放射を遠隔目的地に供給するように構成される。
【0138】
本実施形態では、レーザ誘起ファイバ供給白色光源は、波長変換素子1225をさらに備える。任意に、波長変換素子1225は、レーザデバイスから完全に分離された遠隔位置に配置された蛍光体材料を少なくとも備え、導波路デバイス1224を出るレーザ電磁放射を受け取ることができる。レーザ電磁放射は、励起スポット内の蛍光体材料と相互作用して、レーザ電磁放射の第1の波長よりも長い第2の波長を有する蛍光体発光を誘起する。第1の波長のレーザ電磁放射の一部と第2の波長の蛍光体発光との混合物は、白色発光を生成する。白色発光は、静的および動的に多くの照明および投影用途に使用される。任意に、蛍光体材料からの白色発光は、10~100lm、100~500lm、500~1000lm、1000~3000lm、および3000lmを超えて達成される。あるいは、レーザ誘起により発生した白色光は、100~500cd/mm2、500~1000cd/mm2、1000~2000cd/mm2、2000~5000cd/mm2、および5000cd/mm2を超える輝度を有する。
【0139】
図9Cは、本発明のさらに別の実施形態によるマルチレーザベースのファイバ供給白色光源の機能ブロック図である。この図は単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者は、多くの変形、代替および修正を認識するであろう。図示のように、マルチレーザベースのファイバ供給白色光源は、レーザドライバ1231によって一般的に駆動される、第1の青色レーザデバイス1232と、第2の青色レーザデバイス1233と、第3の青色レーザデバイス1234とを備える。任意に、1つ以上のレーザドライバによって駆動される3つを超えるレーザデバイスが存在可能である。任意に、各レーザデバイスは、395nm~550nmの範囲の1つの波長において青色発光を有するレーザ光を放出するように構成される。任意に、波長範囲は、395nm~425nmの波長範囲、425nm~490nmの波長範囲および490nm~550nmの範囲から選択される1つに制限することができる。任意に、各青色レーザデバイス1232、1233および1234は、青色レーザ光を放出するためにガリウムおよび窒素含有発光領域を有するチップオンサブマウント形態で構成されたレーザダイオード(LD)チップを備える。任意に、複数のレーザダイオードデバイスから放出されるすべての青色レーザ光は、1つ以上のビーム結合素子1235によって1つのレーザビームに結合される。任意に、マルチレーザベースのフィルタ供給白色光源の結合された1つのレーザビームは、1W未満、または約1W~約10W、または約10W~約30W、またはそれ以上の集約出力パワーを有する青色スペクトルにおいて第1の波長の電磁放射ビームを提供するように構成される。
【0140】
本実施形態では、マルチレーザベースのファイバ供給白色光源は、電磁放射の結合レーザビームにファイバコアを位置合わせするように構成されたファイバアセンブリ1236を含み、その結果、約60%以上、または80%以上の効率の電磁放射の結合レーザビームが、ファイバアセンブリ1236内に埋め込まれた光ファイバに結合され得る。ファイバアセンブリ1236は、任意の長さ(例えば、100m超)を有する光ファイバにおける可撓性またはカスタマイズされた光路を介して、遠隔目的地にレーザ電磁放射を供給するための導波路デバイス1214および1224と実質的に同様である。光ファイバの端部で、第1の波長のレーザ電磁放射が、制限されたビーム直径と制限された発散を伴って出る。
【0141】
本実施形態において、マルチレーザベースのファイバ供給白色光源は、光ファイバの端部を出るレーザビームを受け取るために、遠隔目的地で光ヘッド部材に配置された波長変換素子1237を備える。特定の実施形態では、波長変換素子1237は、光ファイバの端部の近傍で光ヘッド部材内に配置された蛍光体プレートまたは画素化蛍光体プレートを備え、これにより、光ファイバから出た電磁放射のビームは、約50μm~5mmの範囲に制限されたスポットサイズを有する蛍光体プレートの表面のスポットに、到達することができる。任意に、ファイバ供給レーザ照明システムで使用される蛍光体プレートは、Ceでドープされたセラミックイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、またはCeでドープされた単結晶YAG、またはバインダ材料を含む粉末YAGから構成される。蛍光体プレートは、光学ワット当たり50ルーメンを超える、光学ワット当たり100ルーメンを超える、光学ワット当たり200ルーメンを超える、または光学ワット当たり300ルーメンを超える光学変換効率を有する。蛍光体プレートは、第1の波長の電磁放射ビームをレーザ発振する青色発光を吸収して、黄色または紫色スペクトル範囲の第2の波長の蛍光体発光を誘起する。任意に、第2の波長の蛍光体発光は、第1の波長の電磁放射の入射/反射ビームの一部と部分的に混合されて、白色光ビームを生成する。任意に、光ヘッド部材は、光ファイバの端部の相対位置を傾斜した本体上に設定して、蛍光体プレートの表面方向に対する出射電磁放射の入射角が5度~90度の範囲になるように構成される。任意に、入射角は、25度~35度または35度~40度のより小さい範囲に狭められる。任意に、白色発光は、蛍光体プレートから十分に反射される。
【0142】
本実施形態では、マルチレーザベースのファイバ供給白色光源は、任意に、1つ以上のビーム成形光学素子1238を備える。一実施形態では、1つ以上のビーム成形光学素子1238は、光ヘッド部材を備え、これは、レーザ電磁放射を出力するため、およびサブマウントを介して蛍光体プレートを支持するために、光ファイバの端部を保持するための機械的固定具を提供する。任意に、機械的固定具は、傾斜した金属本体の底部領域に配置された蛍光体プレートに対して角度をつけた方向に光ファイバの端部を支持する傾斜した金属本体を備える。任意に、機械的固定具は、サブマウントに関連付けられたヒートシンクを備え、高出力を有するレーザビームが蛍光体プレートの表面上の小径の励起スポットに照射されるとき、加熱された波長変換プロセス中に、熱い蛍光体材料からヒートシンクへの熱伝導を容易にするために、蛍光体プレートを支持する。任意に、機械的固定具は、蛍光体プレートの表面からの白色発光の収集を容易にするための反射セミコーン構造(reflecting semi-cone structure)を備える。別の実施形態では、1つ以上のビーム成形光学素子1238は、マルチレーザベースのファイバ供給白色光源によって生成される白色発光を取り扱うための追加の二次光学素子を備える。これらの二次光学素子は、静的自由空間光学素子、ファイバベースの光学素子、半導体ベースの光学素子、またはスマート照明情報もしくは情報投影を提供するために動的に制御される1つ以上の光学素子を備える。
【0143】
図10Aは、本発明の実施形態による光結合器で構成された複数の個別レーザを示す簡略図である。図に示すように、この図は、複数のレーザダイオード発光デバイス用のパッケージまたはエンクロージャを含む。好ましい実施形態では、レーザダイオード発光デバイスは、395nm~425nmの波長範囲、425nm~490nmの波長範囲または490nm~550nmの範囲で動作するガリウムおよび窒素含有レーザダイオードデバイスである。例えば、複数のレーザダイオードエミッタは、1W未満、または約1W~約10W、または約10W~約30W、または約30W~100W、またはそれ以上の集約出力パワーを有する青色レーザダイオードである。各デバイスは、共通のヒートシンクに配置された、セラミック上の複数のチップまたは単一のセラミック上に構成される。図示のように、パッケージは、ファイバもしくは他の導波路媒体内で再集束された、または自由空間出力のために空間的にもしくは偏光的に多重化された、すべてが独立した光結合器、コリメータ、ミラーを備える。一例として、パッケージは、低プロファイルを有し、フラットパックセラミックの多層または単層を備えていてもよい。この層は、銅、バタフライパッケージまたは被覆CTマウントなどの銅タングステンベース、Qマウントなどを含んでいてもよい。特定の実施形態では、レーザデバイスは、低熱抵抗(例えば、AlN、ダイヤモンド、ダイヤモンド化合物)を有するCTE整合材料上にはんだ付けされ、セラミック上にサブアセンブルされたチップを形成する。次いで、サブアセンブルされたチップは、銅のような低熱抵抗を有する第2の材料上に一緒に組み立てられ、例えば、活性冷却(すなわち、単純な水チャネルまたはマイクロチャネル)を含むか、またはピンのような全ての接続部を備えたパッケージの基部を直接形成する。フラットパックには、生成された光をガイドするためのファイバまたはコネクタ、自由空間光学系、窓などの光学的インターフェース、および環境保護のためのカバーが装備されている。
【0144】
図10Bは、包囲自由空間レーザモジュールの一例である。ケース1400は、自由空間ミラーベースのレーザ結合器を組み立てるために使用される。レーザモジュールは、レーザダイオード1430用の駆動電圧を提供するための2つの給電ピン1410を備える。好ましい実施形態では、レーザダイオードデバイスは、395nm~425nmの波長範囲、425nm~490nmの波長範囲または490nm~550nmの範囲で動作するガリウムおよび窒素含有レーザダイオードデバイスである。例えば、複数のレーザダイオードエミッタは、1W未満、または約1W~約10W、または約10W~約30W、またはそれ以上の集約出力パワーを有する青色レーザダイオードである。ケース1400は、一連のミラー1450を介してすべてのレーザダイオード1430から組み合わされた光ガイド出力(light guide output)と結合するためのファイバ1460用の孔を備える。アクセス蓋(access lid)1420は、アセンブリ内の自由空間光学素子1440に容易にアクセスできるように設計される。コンパクトなプラグアンドプレイ設計は、多くの柔軟性と使い易さを提供する。
【0145】
図10Cは、本発明の特定の実施形態による、延長供給ファイバと蛍光体変換器を備えた、包囲自由空間マルチチップレーザモジュールの概略図である。図示のように、包囲自由空間マルチチップレーザモジュールは紫色光または青色光スペクトルのレーザ光ビームを生成するために、2つの給電ピン1410を備えた
図10Aに示されるものと実質的に類似する。自由空間光学ユニット1455を備えたパッケージ内の複数のレーザチップ1430は、多くの新しい用途に望まれる光源用に、実質的に高い強度を提供する。加えて、一端を有する延長光ファイバ1465は、特定の用途のために、レーザ光ビームを100mまでまたはそれ以上の所望の距離にさらに導くために、光ガイド出力と結合される。任意に、光ファイバは、シリコンフォトニクス統合(silicon photonics integration)を適合させるための平面構造内に組み込まれた複数の導波路によって置換され得る。光ファイバの他端には蛍光体ベースの波長変換器1470がレーザ光を受け取るように配置されてもよい。ここで、紫色または青色のレーザ光は白色光1475に変換され、アパーチャまたはコリメーションデバイスを介して放出される。その結果、小型で、遠隔ポンプ、フレキシブルな配置を備えた白色光源が提供される。
【0146】
図11は、本発明の一実施形態による、ファイバアセンブリを介してレーザパッケージと光ヘッド部材とが互いに連結された、一般的なレーザパッケージと、波長変換蛍光体部材を有する光ヘッド部材とを備えるファイバ供給白色光源の斜視図である。この図は単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者は、多くの変形、代替および修正を認識するであろう。図示のように、ファイバ供給白色光源1500は、少なくとも、レーザ用の一般的なレーザパッケージ1510と、ファイバアセンブリ1530によって接続された光ヘッド部材1520とを備える。一般的なレーザパッケージ1510は、内部にレーザモジュールを取り囲むための金属ケースであり、ケース内のデバイスに給電するためにカバー部材1511を介して配置された電気コネクタ1512を有する。底面側(図示せず)は、発熱するレーザデバイスの外に熱を分散するための熱伝導ベースに取り付けるためのものである。光ヘッド部材1520は、傾斜形状を有し、傾斜ファセットを覆うガラス窓1522を有する金属ケースであり、ファイバアセンブリ1530によって供給されたレーザ光を受け取り、レーザ発光を白色発光に変換するために、内部に蛍光体材料(図示せず)を取り囲む。光ヘッド部材1530の底面側(図示せず)は、蛍光体材料によって生成された熱を効率的に分散するために、金属または他の熱伝導性材料によって作られる。
図11に示されるファイバアセンブリ1530は、一般的なレーザパッケージ1510に結合された第1の端部および遠隔目的地で光ヘッド部材1520に結合された第2の端部から延長された長さ全体にわたって、内部の光ファイバを保護するために使用される半可撓性金属被覆体(semi-flexible metal armor)を有する。延長された長さは、100m超とすることができる。
【0147】
図12は、本発明の実施形態による
図11の一般的なレーザパッケージの上面図である。この図は単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者は、多くの変形、代替および修正を認識するであろう。図示のように、複数のピンを有する電気コネクタ1512は、一般的なレーザパッケージ1510の上部カバー部材1511で電気的フィードスルーを介して配置される。一般的なレーザパッケージの反対側は、用途において、一般的なレーザパッケージ1510を取り付けるために使用される底部部材である。底部部材は、ヒートシンク上に取り付け、パッケージ1510内のレーザデバイスによって生成される熱を迅速に分散するために、金属または金属合金材料、例えば、AlN、AlO、BeO、ダイヤモンド、CuW、Cu、または銀、または他の高熱伝導性材料によって作られることが好ましい。
【0148】
図13は、本発明の実施形態による、電子回路基板上に取り付けられた青色レーザモジュールを備える、
図12の一般的なレーザパッケージの内部素子の上面図である。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者は、多くの変形、代替および修正を認識するであろう。
図13の一般的なレーザパッケージ1510Bは、上部カバー部材1511が取り外された状態の
図12の一般的なレーザパッケージ1510と実質的に同一である。図示のように、一般的なレーザパッケージ1510Bは、電気コネクタ1512ならびに複数の抵抗器およびコンデンサまたは他の電子部品が実装される基板部材1515を取り囲む。主に、青色レーザモジュール1580は、複数の電気ピンが基板部材1515に差し込まれた状態で、中央領域に配置される。青色レーザモジュール1580の取り付けを固定するために、固定部材1516が青色レーザモジュール1580の上部に配置される。出力ポート1587は、その一方の側から青色レーザモジュール1580に結合され、また、ファイバアセンブリに結合される(光ファイバの金属被覆体が部分的に図示される)。本実施形態では、青色レーザモジュール1580は、ファイバ供給白色光源1500(
図11)用に、高出力レーザ光を生成するように構成される。例えば、青色レーザモジュールは、1W未満、または約1W~約3W、または約3W~約10W、または約10W~100W、または100Wを超えるパワーを有する青色スペクトル範囲の第1の波長のレーザ電磁放射を生成するように構成されたガリウムおよび窒素含有発光領域を有する1つ以上のレーザダイオードチップを備える。
【0149】
図14は、本発明の一実施形態による、蓋を開けた状態の青色レーザモジュールの上面図である。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者は、多くの変形、代替および修正を認識するであろう。図示のように、青色レーザモジュール1800は、複数のコンポーネントを支持するための支持部材1802を取り囲む金属ケース1801(蓋を開いた状態)として構成される。複数のコンポーネントは、少なくとも、1つのレーザダイオードデバイス1810、コリメートレンズ1820、サーミスタ1830、ビームスプリッタ1840、第1の光検出器1850、フォーカスレンズ1860、出力ポート1870、および第2の光検出器1880である。任意に、レーザダイオードデバイス1810は、415nm~485nmの青色領域において主発光スペクトルを有するレーザ光を発生するように駆動されるガリウムおよび窒素(GaN)含有活性領域を有するチップオンサブマウント(CoS)デバイスであるように構成される。任意に、レーザダイオードデバイス1810は、支持部材1802上のセラミックベース部材上に取り付けられる。一実施形態によれば、セラミックベース部材は、レーザダイオードとそのドライバを接続するために、その内部に電気伝導体を埋め込み、動作中のレーザダイオードのために十分に効率的な熱伝導を提供するように構成された高温同時焼成セラミック(High Temperature Co-fired Ceramic (HTCC))サブマウント構造である。
【0150】
一実施形態によれば、レーザダイオードデバイス1810によって生成されたレーザ光は、コリメートレンズ1820中へ大きな広がりで出て、縮小されたスポットサイズおよび狭められた広がり範囲を有するレーザビームを形成する。任意に、コリメートレンズ1820は、CoSチップ1810のGaN活性領域の出口ファセットの前に配置され、溶接クリップによって固定される。サーミスタ1830は、動作中の温度を監視するための温度センサとしてレーザダイオードデバイス1810の近くに配置される。任意に、静電気放電(electrostatic discharge (ESD))ツェナーダイオードが含まれ、レーザダイオードデバイスを静電気ショックから保護する。
【0151】
本実施形態では、ビームスプリッタ1840が、コリメートされたレーザビームの経路に配置される。任意に、ビームスプリッタ1840はフィルタである。任意に、ビームスプリッタ1840は、前面ファセットおよび背面ファセットを有する光学結晶である。ビームスプリッタの前面ファセットは入射するレーザビームに面しており、透過率を高めるために反射防止薄膜で被覆される。任意に、少量のレーザ光が依然として反射される。第1の光検出器1850は、反射光を検出するように(左側に)配置される。任意に、フォトダイオード1850は、レーザダイオードデバイス1810の安全センシングのための主に青色発光を検出することを特徴とする第1の光検出器である。ビームスプリッタの背面ファセットは、レーザビームの第1の主要部分が第1の方向に出射される一方、青色発光が実質的にフィルタリングされた第2のマイナー部分が第1の方向から逸脱した第2の方向に分割されることを可能にする。第2の光検出器1880は、青色発光が実質的にフィルタされた状態のレーザビームの第2の部分を監視するために、黄色スペクトルを検出するように(右側に)配置される。任意に、追加のフィルタが第2の光検出器1880の前に配置される。
【0152】
本実施形態では、ビームスプリッタ1840から出たレーザビームの第1の主要部分が、金属ケース1801内に配置されたフォーカスレンズ1860へ導かれる。任意に、フォーカスレンズ1860は、光ファイバ中へ結合可能な非常に小さなサイズにレーザビームを制限するように構成される。任意に、光ファイバ中へのレーザビームの結合効率は、80%を超えて達成され、維持される。任意に、フォーカスレンズ1860は、金属ケース1801の内側から出力ポート1870に取り付けられる。光ポート1870は、金属ケース1801の一方の側壁での貫通孔における360度レーザ溶接である。
図13を参照すると、ファイバアセンブリ1530の第1の端部は、1587として示される出力ポートと結合するように構成される。
【0153】
本実施形態では、青色レーザモジュール1800は、金属ケース1801の対向する2つの側面に配置される複数のピン1890を備える。各ピンの一端は、セラミックベース部材に埋め込まれた電気コネクタに接続される。各ピンの他端は、下方に曲げられて、基板部材1515に差し込まれ(
図13参照)、その結果、青色レーザモジュール1800は電気ドライバ/制御信号を受け取ることができる。
【0154】
図15は、本発明の実施形態による青色レーザモジュールの斜視図である。
図15を参照すると、本明細書で言及される各コンポーネントの構造レイアウトをより良く示すために、
図14の実質的に同じ青色レーザモジュールが示されている。
【0155】
図16は、(A)一般的なレーザパッケージの上面図、(B)青色レーザモジュールを備える一般的なレーザパッケージの内部素子の上面図、および(C)本発明の別の実施形態による青色レーザモジュールの上面図である。これらの図は、単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定すべきではない。当業者は、多くの変形、代替および修正を認識するであろう。
図16に示される実施形態において、パートAでは、一般的なレーザパッケージ2010の上部カバー部材2011は、その中に配置された電気コネクタ2012と一緒に示されている。出力ポート2017は、ファイバアセンブリと結合するように構成される。パートBでは、一般的なレーザパッケージ2010Bが、上部カバー部材2011なしで示されている。電気コネクタ2012は、基板部材2015に取り付けられている。青色レーザモジュール2080は、部分的に示されており、2つ対向する側面に見えるように配置されたいくつかのピンによって基板部材2015上に取り付けられる一方、固定クリップ2016の大部分が、青色レーザモジュール2080の上部に配置される。フォーカスレンズ2087は、青色レーザモジュール2080の外側に配置され、出力ポート2017でファイバアセンブリと結合される(パートA参照)。パートCでは、青色レーザモジュール2080は、蓋が開いた状態の金属ケース2081として示される。本実施形態における青色レーザモジュール2080は、レーザ光を生成するように支持部材2087上に配置されたレーザダイオードデバイス2082と、レーザ光の光路においてレーザダイオードデバイス2082の発光ストライプの1つのファセットに配置および整列されたコリメートレンズ2088と、レーザ光の光路の下流に配置されたビームスプリッタ2084とを少なくとも備える。任意に、チップオンサブマウントLDチップとしてそれぞれ構成される複数のレーザダイオードデバイスは、より高いレーザパワーを達成するために、青色レーザモジュールの金属ケース2081に配置され得る。任意に、複数のLDチップからの複数のレーザビームを組み合わせて、より明るい白色光を得るために、6W、または12W、または15Wの統合パワーに到達させることができる。
【0156】
本実施形態において、レーザダイオードデバイス2082は、一端ファセットから光を放出するように構成された発光ストライプを有する窒化ガリウムによって作られた活性領域を備える。任意に、放出光は、415nm~485nmの範囲の波長を有する実質的に青色発光である。支持部材2087は、任意に、その中に電気伝導性ワイヤを埋め込むように構成された高温同時焼成セラミック(HTCC)サブマウント構造である。このタイプのセラミック支持部材は、レーザダイオード2082によって生成された熱を、支持部材2087と接触するヒートシンクへ効率的に放散させるための高い熱伝導率を提供する。また、セラミック支持部材2087は、ESDが防止され、モジュール全体の熱管理が改善され得るように、最適化された伝導ワイヤレイアウト(conduction wire layout)を可能にする。
図16のパートCを参照すると、少なくとも2つの電気ピン2089は、レーザダイオード2082用の外部駆動信号を提供するために、HTTCセラミックサブマウント構造における伝導性ワイヤと接続するように構成される。任意に、青色レーザモジュール2080は、レーザダイオード2082の位置から比較的遠く離れて、支持部材上の金属ケース内に配置され得る温度センサ2083を備える。
【0157】
本実施形態では、レーザダイオードデバイス2082によって生成された光は、コリメートレンズ2088内に導かれ、その結果、光はより小さな広がり範囲で制限され、第1の方向(x)に沿ってレーザビームを形成することができる。任意に、ビームスプリッタ2084は、第1の方向xに沿った光路の下流に配置され、少なくとも、第1の方向xにおける主に第1の部分と、第2の方向yに方向転換される第2の部分とに、レーザビームを分割するように構成される。レーザビームの第1の部分は、主に青色発光のままである。第2の部分は、マイナーな黄色スペクトルを保持しながら、青色スペクトルを除去するためにフィルタリングされてもよい。本実施形態において、青色レーザモジュール2080は、黄色スペクトルを検出するために、金属ケース2081内の第2の方向yの経路に配置されたフォトダイオード2085をさらに備える。
【0158】
図17は、本発明の一実施形態によるファイバアセンブリの端部の部分断面図である。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者は、多くの変形、代替および修正を認識するであろう。図示のように、本実施形態では、ファイバアセンブリ1700の端部がレーザモジュール1800と結合されることが想定されている(
図15参照)。光ファイバ1701は、ファイバアセンブリ1700に埋め込まれる。任意に、光ファイバ1701は、約1um~10um、約10um~50um、約50um~150um、約150um~500um、約500um~1mm、または1mmを超える範囲のコア直径を有するシングルモードファイバ(SMF)またはマルチモードファイバ(MMF)から構成される。光学コア材料は、シリカガラスのようなガラスから構成されてもよい。ここで、シリカガラスは、最適化された伝搬損失特性のために、種々の成分でドープされ、所定の水酸基(OH)レベルを有する。ガラス繊維材料はまた、フッ化物ガラス、リン酸塩ガラス、またはカルコゲニドガラスから構成されてもよい。代替実施形態では、プラスチック光ファイバが使用され、レーザポンプ光を輸送する。任意に、ファイバアセンブリ1700の中央部の光ファイバの大部分は、ファイバジャケットによって保護される。
図17は、フェルール1702内のファイバアセンブリの端部が、ファイバ終端アダプタ1710内で終点となっていることを示す。任意に、フェルール1702は、ガラス、またはセラミック材料、または金属材料によって作られる。
図15および
図17を参照すると、ファイバ終端アダプタ1710は、レーザ溶接によって出力ポートと結合される。特定の実施形態では、ファイバ終端アダプタ1710は、その周囲でレーザ溶接されるために作られた精密円形リム(precision circular rim)を備え、気密封止のために、レーザモジュールサブパッケージ1800の側壁における孔の内径を有する(
図15参照)。ファイバ終端アダプタ1710はさらに、その端面1720が、気密封止のために本質的にフォーカスレンズ1870であるレンズと一緒にレーザ溶接されている(
図15参照)。任意に、フォーカスレンズ1730(
図17)も、レンズ構造1860(
図15)において、その周囲にわたって気密封止される。任意に、ファイバ結合プロセスの間、アクティブアライメントプロセスが実行され、フォーカスレンズ1730を介してレーザダイオードから放出される最大量の放射電力がファイバ1701内に集束されるように、フォーカスレンズ1730(または
図15の1860)をファイバコア1701に同時に位置合わせする。フォーカスレンズ1730とファイバ1701の両方は、ミクロン精度内でX、Y、Z直線方向において操作されなければならない。さらに、アライメントプロセス中に、各軸の角回転も制御する必要がある。同時に、ファイバコア、フェルール、ファイバ終端アダプタを含むファイバアセンブリ1700は、結合効率が60%を超えて保持されるか、またはさらに80%を超えて保持されるように、ファイバとフォーカスレンズとの間の良好なアライメントに加えて、気密封止されたアセンブリを必要とする。
【0159】
図18は、本発明の別の実施形態によるファイバアセンブリの端部の部分断面図である。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者は、多くの変形、代替および修正を認識するであろう。図示のように、代替実施形態では、ファイバアセンブリ1900は、ファイバコアの小さな部分を除いて、その中に光ファイバ1901を取り囲むフェルール1902を有する端部を備える。ファイバアセンブリ1900の残部(中央部)では、光ファイバ1901がファイバジャケットによって保護される。フェルール1902は、ファイバ終端アダプタ1910によってキャップされる。本実施形態では、ファイバ終端アダプタ設計は、その終端でレンズ1930を備えるように作られ、レンズ1930とファイバコア1901との間のいくつかの相対位置のパッシブアライメントを可能にする。本実施形態において、レンズ1930は、機械的基準を介して同心位置に配置され、レンズのX、Y移動要求(X, Y motion requirement)を排除することができる。精密スペーサー(図示せず)により、Z軸位置が受動的に得られ、十分に高い結合効率で所望のアライメントを達成することができる。ファイバ終端アダプタ1910は、その周囲でレーザ溶接されるための精密リムを有し、レーザモジュール2080の側壁における孔の内径を有する(
図16参照)。任意に、ファイバアセンブリ1900は、レーザモジュール2080とのその溶接プロセス中に、緩和された要件でレーザダイオードから放出される放射電力に対して、能動的に位置合わせすることができる。例えば、精度要件は、ミクロン精度への限定の代わりに、数十ミクロンに緩和され得る。
【0160】
図19は、本発明の一実施形態による
図11の光ヘッド部材の斜視図である。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者は、多くの変形、代替および修正を認識するであろう。図示のように、斜視図の光ヘッド部材2300は、傾斜付き本体2310を有するセミオープン金属ケース2301を備える。ファイバアセンブリ1530の第2の端部は、入力ポート2320を通過し、傾斜付き本体2310と平行に曲げられる光ファイバ1535を有するように構成される。傾斜付き本体2310は、下部に形成された反射セミコーン2330をさらに備える。ここで、角度を伴って蛍光体材料2350の表面へレーザビームを誘導するために、光ファイバ1535がファイバヘッド1538で終了する。任意に、反射セミコーン2330は、白色光のための高反射性材料でコーティングされる。
【0161】
本実施形態では、蛍光体材料2350は、反射セミコーン2330の底部領域に配置される。ファイバヘッド1538によって導かれるレーザビームの角度は、蛍光体材料2350の表面に対して相対的である。任意に、蛍光体の表面に当たるレーザビームの角度は、30度~35度の範囲に設定することができる。青色発光を有するレーザビームは、ファイバヘッド1538から蛍光体材料2350の表面の小さなスポット2355へ方向付けられるので、蛍光体材料2350を励起して、受け取った青色発光を、より長い波長を有する蛍光体励起発光(例えば、紫色発光)に変換する。任意に、蛍光体材料2350の表面上のスポットサイズは、500μm以内に、さらには50μmまで制限される。蛍光体励起発光とレーザビームの青色発光との混合は、反射セミコーン2330から上方に出る(または実質的に反射される)白色光ビーム2340を形成する。任意に、蛍光体材料は、高出力レーザ発光によって照射されたときに、励起蛍光体材料から熱を素早く逃がすように伝導するために、ヒートシンク上に取り付けられる。任意に、ガラス窓材料は、傾斜した本体に重なって配置され、白色光ビームが通過して白色光源として機能することを可能にする。任意に、白色光源は、250、500、1000、3000、および10,000cd/mm2の高輝度の光束を有する実質的に純粋な白色光を生成するように構成される。
【0162】
一実施形態において、ファイバ供給レーザ誘起白色光システム1500に一体化されたファイバアセンブリ1530は(
図11参照)、システムの用途がメンテナンスのためにより柔軟になるように、取り外し可能である。例えば、故障した部品の一部は、システム全体を中断することなく容易に交換することができる。任意に、
図11を参照すると、システム1500は、メインレーザパッケージ1510と結合されたファイバアセンブリ1530の入力ポートに、取り外し可能なファイバ終端アダプタ(fiber termination adaptor (FTA))を設けることができる。任意に、ファイバアセンブリ1530の中央部分の任意の場所は、機械的ファイバ間結合機構(mechanical fiber-to-fiber coupling mechanism)または光学的再結合機構(optical recoupling mechanism)のいずれかを使用して、ファイバ結合ジョイントを形成するために選択される。
図20は、本発明の一実施形態による、機械的突合せカプラによって作られたファイバ結合ジョイントの例示的な図を示す。図示のように、ファイバアセンブリ1530の2つの取り付け可能部のそれぞれは、2つのコネクタ2100およびコネクタ2200でそれぞれ終端となる。任意に、コネクタ2100は、コネクタ長さL2に加えてブーツ2130およびコネクタサイズHを含む全長L1によって特徴付けられる。各コネクタ(2100)は、フェルール構造2110を介して光ファイバ(明示されていない)と結合され、一端は、ファイバコアオフセットを最小限に抑えるようなアライメントでコネクタ2100に挿入され、目の損傷を防止し、また、塵埃を防止する。フェルールの他端は、曲げ保護ブーツ2130に挿入される前に、最初にスリーブ部材2120に結合される。2つのコネクタ2100およびコネクタ2200は、それぞれ嵌合アダプタ2010の2つの入口に挿入されると、互いに嵌合する。結合ジョイントの位置は、既存製品に簡単に実装できる。
【0163】
別の実施形態では、結合ジョイントを形成するためのファイバコネクタセットは、光学的再結合のためのレンズを伴って作られる。この場合、機械的なミスアライメントが実質的にない良好な光結合を確保するために、自由空間光学素子が使用される。任意に、光再結合セットは、クリーニングに好都合である窓を備える。
【0164】
さらに別の実施形態において、
図11を参照すると、システム1500は、光ヘッド部材1520と結合されたファイバアセンブリ1530の出力ポートで、取り外し可能なファイバ終端アダプタ(FTA)を備えることができる。このオプションは、入力ポートでのFTAのように実質的に達成される。
【0165】
図21は、本発明の一実施形態による街路照明のためのファイバ供給白色光源の用途を示す。この図は、単なる例であり、特許請求の範囲を過度に限定するものではない。当業者は、多くの変形、代替および修正を認識するであろう。図示のように、街路照明用のファイバ供給白色光源は、ユーティリティボックス内に遠隔配置された、または地下に埋め込まれたレーザダイオードバンク(laser diode bank)2800(1つ以上のガリウムおよび窒素含有レーザダイオードチップを含む)を備える。一実施形態では、実質的に青色発光のレーザビームは、光ファイバ2806を介して、街灯柱2805の底部から、蛍光体部材2810が設置されているその頂部へ供給される。本実施形態において、蛍光体部材2810は、光ファイバによって供給された入射レーザビームを受け取り、白色光ビームを生成するように構成される。任意に、白色光ビームは、1つ以上の光学素子によって成形され、広角ビーム2815となる。街灯柱2805の一定の高さが与えられると、広角ビーム2815は、街路2820に沿って長尺状に広がった照明領域2825をもたらす。100倍高い輝度を有するこのような街灯の照明領域のワイドな広がり角度により、街灯システム全体の電柱の数を3~5倍減少させることを可能にする。さらに、レーザダイオードバンクは地上または地下に遠隔配置されているので、電球を交換するためにリフトを必要としない。これにより、照明システムの交換コストまたはメンテナンスコストが大幅に削減される。また、全ての電子機器および照明の重量を支持する必要がないので、街灯柱をより安価にすることができる。
【0166】
代替実施形態では、類似のファイバ供給白色光源を橋照明のために開発することができる。ここで、レーザダイオードバンク2800は、容易にアクセスできるように海岸線上の橋の両端に配置することができる一方、橋上に配置された全ての照明素子のそれぞれは、蛍光体部材2810を含む光ヘッド部材を備えるように構成され、レーザダイオードバンク2800から光ファイバ2806のような導波路輸送素子によって供給されるレーザ電磁放射を受け取ることができる。複数のファイバを使用して、レーザダイオードバンク2800から複数の異なる光ヘッド部材にそれぞれレーザを供給することができる。光ファイバによって供給されたレーザは、各光ヘッド部材内の蛍光体部材の表面に到達し、照明のための白色発光を生成するための蛍光体発光を生成する。任意に、光学系設計は、各蛍光体部材2810に対応する広がった照明領域2825を、橋の寸法および曲率に基づいてそれぞれ構成することを可能にし、蛍光体部材2810を含む光ヘッド部材の位置、角度、高さの最も経済的な配置で、最良の照明または装飾効果を達成する。
【0167】
さらに別の実施形態では、同様の白色光源を、トンネル照明、ダウンホール照明、スタジアム照明の用途、およびファイバ供給白色光源を介した超強力な可視光照明の遠隔供給を利用できる他の多くの特殊照明用途のために開発することができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、ファイバ供給白色光源は、光源から信号を受信するように構成されたデバイスへのデータ送信に使用することができる。例えば、レーザベースの光源は、Li-Fiおよび可視光通信(VLC)用途に使用されて、1Gb/sを超える、5Gb/sを超える、10Gb/sを超える、50Gb/sを超える、または100Gb/sを超える高いデータレートで送信することができる。レーザダイオードで可視光スペクトルを使用することにより可能となるこのような高いデータレートは、インターネットオブシングス(IOT)、スマート照明、車間通信、モバイルマシン通信、街路照明と車の通信などといった用途のための新しい機能を可能にする。さらに、ファイバ供給白色光源は、LIDAR用途に適用され得る。
【0169】
上記は特定の実施形態の十分な説明であるが、様々な修正、代替の構成および均等物を使用することができる。一例として、パッケージ化されたデバイスは、本明細書に記載のないものおよび上述の素子の任意の組合せを備えることができる。上述の実施形態は、レーザダイオードに関して説明したが、方法およびデバイス構造は他の誘導発光デバイス(stimulated light emitting devices)にも適用することができる。従って、上述の説明および例示は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を制限するものではない。