(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】半導体パッケージ用非導電性接着フィルム及びこれを用いる半導体パッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240226BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20240226BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20240226BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240226BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20240226BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20240226BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20240226BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240226BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20240226BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240226BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
C09J7/35
C09J11/04
C09J11/06
C09J163/00
H01L23/30 D
H01L25/08 C
(21)【出願番号】P 2021537929
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 KR2019010782
(87)【国際公開番号】W WO2020138632
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0170634
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504408236
【氏名又は名称】ドゥーサン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チェ、テ ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウ ジョン
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-055245(JP,A)
【文献】国際公開第2015/083587(WO,A1)
【文献】特開2006-335843(JP,A)
【文献】特表2012-502166(JP,A)
【文献】特開2014-204084(JP,A)
【文献】特開2013-219286(JP,A)
【文献】特開2011-228399(JP,A)
【文献】特開2014-210880(JP,A)
【文献】特開2016-076722(JP,A)
【文献】特開2015-233150(JP,A)
【文献】特開2015-086359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60 - 21/607
H01L 21/50 - 21/52
H01L 21/58
H01L 21/301
H01L 21/56
H01L 23/28 - 23/31
H01L 25/00 - 25/18
C09J 7/00 - 7/50
C09J 163/00 -163/10
C09J 11/00 - 11/08
C08L 63/00 - 63/10
C08G 59/18 - 59/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材;及び
前記基材の一面に配置される接着層;
を含み、
前記接着層は、(a)液状エポキシ樹脂、及び次の式1で示されるエポキシ基含有フェノキシ樹脂を含む互いに異なる2種以上のエポキシ樹脂、(b)硬化剤、(c)次の式2で示される化合物及び次の式3で示される化合物からなる群から選択される1種以上の硬化促進剤、及び(d)ナノシリカを含む接着用樹脂組成物から形成されたものである、半導体パッケージ用非導電性接着フィルム:
【化1】
式1
(前記式1において、
a及びbは、それぞれ1~4の整数であり、
複数のR
1及び複数のR
2は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C
1~C
10のアルキル基、C
3~C
20のシクロアルキル基、C
5~C
20のアリール基、及びニトロ基からなる群から選択され、
R
3~R
8は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、水素、又はヒドロキシ基であり、但し、R
3~R
8のうちの少なくとも1つがヒドロキシ基であり、
X
1は、単結合であるか、又はC
1~C
10のアルキレン基であり、
Y
1及びY
2は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシ、又はエポキシ基であり、但し、Y
1及びY
2のうちの少なくともいずれか1つは、エポキシ基であり、
nは、30~400の整数である。)
【化2】
式2
【化3】
式3
(前記式2及び式3において、
n1は、1又は2であり、
n2は、それぞれ0~2であり、
X
1~X
6は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、N、又はC(R
1)であり、但し、X
1~X
6のうちの
2つが、Nであり、
Y
1~Y
6は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、N(R
2)、又はC(R
3)(R
4)であり、但し、Y
1~Y
6のうちの
2つが、N(R
2)であり、
このとき、複数のC(R
1)は、互いに同一又は異なり、複数のN(R
2)は、互いに同一又は異なり、複数のC(R
3)(R
4)は、互いに同一又は異なり、
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、水素、重水素(D)、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C
1~C
20のアルキル基、C
2~C
20のアルケニル基、及びC
2~C
20のアルキニル基からなる群から選択される。)。
【請求項2】
前記接着層は、熱重量分析(TGA)によって250℃で1%以下の重量減少率を有する、請求項1に記載の半導体パッケージ用非導電性接着フィルム。
【請求項3】
前記接着層は、160~200℃のオンセット温度(Onset Temperature)を有する、請求項1に記載の半導体パッケージ用接着フィルム。
【請求項4】
前記接着用樹脂組成物は、当該樹脂組成物の総量に対して、
40~80重量%のエポキシ樹脂;
5~20重量%の硬化剤;
0.01~1重量%の硬化促進剤;及び、
残部のナノシリカ;
を含む、請求項1に記載の半導体パッケージ用非導電性接着フィルム。
【請求項5】
前記硬化剤は、脂環族酸無水物、芳香族アミン系硬化剤、脂肪族アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、及び潜在性硬化剤からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の半導体パッケージ用非導電性接着フィルム。
【請求項6】
前記ナノシリカの平均粒径は、10~100nmの範囲である、請求項1に記載の半導体パッケージ用非導電性接着フィルム。
【請求項7】
(S100)基板上に、請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の非導電性接着フィルムの接着層と、少なくとも一面に接続端子が配置されたTSV構造の半導体素子とを順次交互に積層して、複数層の積層体を形成するステップ;
(S200)前記積層体を熱圧着し、前記積層体中の各半導体素子の接続端子を互いに接合するステップ;及び、
(S300)前記熱圧着された積層体中の接着層を硬化させるステップ;
を含む、半導体パッケージの製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(S100)において、前記半導体素子を20~100Nの圧力で前記接着層上に加圧積層させる、請求項7に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項9】
前記半導体素子は、50~100℃の温度で加圧積層される、請求項8に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項10】
前記ステップ(S200)は、200~300℃の温度、及び50~200Nの圧力下で行われる、請求項7に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項11】
前記ステップ(S300)において、前記接着層を160~200℃の温度で硬化させる、請求項7に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項12】
(a)液状エポキシ樹脂、及び次の式1で示されるエポキシ基含有フェノキシ樹脂を含む互いに異なる2種以上のエポキシ樹脂、
(b)硬化剤、
(c)次の式2で示される化合物及び次の式3で示される化合物からなる群から選択される1種以上の硬化促進剤、及び
(d)ナノシリカ
を含む、接着用樹脂組成物:
【化4】
式1
(前記式1において、
a及びbは、それぞれ1~4の整数であり、
複数のR
1及び複数のR
2は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C
1~C
10のアルキル基、C
3~C
20のシクロアルキル基、C
5~C
20のアリール基、及びニトロ基からなる群から選択され、
R
3~R
8は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、水素、又はヒドロキシ基であり、但し、R
3~R
8のうちの少なくとも1つがヒドロキシ基であり、
X
1は、単結合であるか、又はC
1~C
10のアルキレン基であり、
Y
1及びY
2は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシ、又はエポキシ基であり、但し、Y
1及びY
2のうちの少なくともいずれか1つは、エポキシ基であり、
nは、30~400の整数である。)
【化5】
式2
【化6】
式3
(前記式2及び式3において、
n1は、1又は2であり、
n2は、それぞれ0~2であり、
X
1~X
6は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、N、又はC(R
1)であり、但し、X
1~X
6のうちの
2つが、Nであり、
Y
1~Y
6は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、N(R
2)、又はC(R
3)(R
4)であり、但し、Y
1~Y
6のうちの
2つが、N(R
2)であり、
このとき、複数のC(R
1)は、互いに同一又は異なり、複数のN(R
2)は、互いに同一又は異なり、複数のC(R
3)(R
4)は、互いに同一又は異なり、
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に、水素、重水素(D)、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C
1~C
20のアルキル基、C
2~C
20のアルケニル基、及びC
2~C
20のアルキニル基からなる群から選択される。)。
【請求項13】
前記接着用樹脂組成物は、当該樹脂組成物の総量に対して、
40~80重量%のエポキシ樹脂;
5~20重量%の硬化剤;
0.01~1重量%の硬化促進剤;及び、
残部のナノシリカ;
を含む、請求項12に記載の接着用樹脂組成物。
【請求項14】
前記硬化剤は、脂環族酸無水物、芳香族アミン系硬化剤、脂肪族アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、及び潜在性硬化剤からなる群から選択される1種以上を含む、請求項12に記載の接着用樹脂組成物。
【請求項15】
前記ナノシリカの平均粒径は、10~100nmの範囲である、請求項12に記載の接着用樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ用非導電性接着フィルム及びこれを用いる半導体パッケージの製造方法に関し、具体的には、半導体パッケージの反り(warpage)変形を極力抑制することができる、半導体パッケージ用非導電性接着フィルム及びこれを用いる半導体パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体産業の発達とともにデバイス(device)の処理速度、デザイン(design)、及び高機能性がさらに要求されている。特に、携帯電話、タブレットPCのようなモバイルデバイス(mobile device)の場合、高性能化とともに小型化、薄型化、及び軽量化が要求されている。このような要求によって、最近、デバイス素子の3次元積層方式に関する研究が行われている。特に、シリコン貫通電極(through silicon via、TSV)を用いた3次元パッケージング技術(以下、「TSV 3Dパッケージング技術」という)は、配線距離を大きく短縮することができるため、素子の高速化、低消費電力化、小型化などの側面で大きな長所をもっている。さらに、超微細金属配線と多数の金属及び誘電体層を形成することができ、既存の半導体工程装備をそのまま使用することもできるため、TSV 3Dパッケージング技術の適用は、今後大きく拡大すると予測されている。
【0003】
TSV 3Dパッケージング技術は、ウェハー(wafer)にシリコン貫通電極を形成するTSVドリル及び充填工程、超薄型ウェハーをキャリアウェハー(carrier wafer)上に仮接合型接着素材(temporary bonding and debonding adhesives)を用いて接着する仮ボンディング(temporary bonding)及びディボンディング(debonding)工程、ウェハーを薄型化するための裏面研削(back-grinding)工程、製作された超薄型半導体チップを3次元的に積層してボンディングする工程に区分される。
【0004】
ここで、半導体チップの3D積層の際に、最近、非導電性接着フィルムを用いて半導体チップのボンディングを行っている。しかし、従来、非導電性接着フィルムと半導体チップとの間の熱膨張係数の差によって、温度又は時間の経過とともに半導体パッケージに反り変形が起こり、これによって接続不良が発生して信頼性が低下している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、半導体パッケージの反り(warpage)変形を極力抑制することができる、半導体パッケージ用非導電性接着フィルムを提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、前記非導電性接着フィルムを用いて、工程の単純化及び生産効率性の向上を図るとともに、半導体パッケージの信頼性を向上させる半導体パッケージの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基材、及び前記基材の一面に配置され、25℃での貯蔵弾性率(storage modulus)が2~4GPaである接着層を含む半導体パッケージ用非導電性接着フィルムを提供する。
【0008】
一例として、前記接着層は、熱重量分析(TGA)によって250℃で1%以下の重量減少率を有する。
【0009】
他の一例として、前記接着層は、160~200℃のオンセット温度(Onset Temeperature)を有する。
【0010】
また、本発明は、(S100)基板上に、上述の非導電性接着フィルムの接着層と、少なくとも一面に接続端子が配置されたTSV構造の半導体素子とを順次交互に積層して、複数層の積層体を形成するステップ;(S200)前記積層体を熱圧着して、前記積層体中の各半導体素子の接続端子を互いに接合するステップ;及び、(S300)前記熱圧着された積層体中の接着層を硬化させるステップ;を含む半導体パッケージの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、半導体素子のパッケージングの際に、反り変形やスリップ性を最小化させ、パッケージの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例に係る半導体パッケージ用非導電性接着フィルムを概略的に示す断面図である。
【
図2】本発明の他の実施例に係る半導体パッケージ用非導電性接着フィルムを概略的に示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る半導体パッケージの製造工程を概略的に示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る半導体パッケージの製造工程を概略的に示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る半導体パッケージの製造工程を概略的に示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る半導体パッケージの製造工程を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳述する。
【0014】
<半導体パッケージ用非導電性接着フィルム>
【0015】
図1は、本発明の第1の実施例に係る半導体パッケージ用非導電性接着フィルムを概略的に示す断面図であり、
図2は、本発明の第2の実施例に係る半導体パッケージ用非導電性接着フィルムを概略的に示す断面図である。
【0016】
本発明に係る非導電性接着フィルム10Aは、半導体パッケージングの際に使用される接着フィルムであって、
図1に示されるように、基材11、及び前記基材の一面上に配置される接着層12を含む。選択的に、前記接着層の他面に配置される他の基材(以下、「第2の基材」という)13をさらに含むことができる(
図2参照)。
【0017】
以下、
図1に基づいて、本発明の第1の実施例に係る半導体パッケージ用非導電性接着フィルム10Aについて説明する。
【0018】
1)基材
【0019】
本発明に係る非導電性接着フィルムにおいて、基材11は、接着層を支持しながら接着層の表面を保護するものであって、非導電性接着フィルムの使用時に剥離除去される。
【0020】
このような基材11としては、当業界で周知のプラスチックフィルムであって剥離可能なものであれば、特に制限なく使用可能であり、離型紙を使用することもできる。
【0021】
使用可能なプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルムなどが挙げられるが、これらに制限されない。このようなプラスチックフィルムは、透明あるいは半透明であることができ、又は着色あるいは無着色であることもできる。一例として、基材11は、ポリエチレンテレフタレート(PET)であることができる。他の一例としては、基材11は、ポリイミド(PI)である。
【0022】
このようなプラスチックフィルム上には、離型層を設けることができる。離型層は、基材が接着層からの分離時、接着層が損なわれることなく形状が維持できるように、分離を容易化する機能を有する。ここで、離型層は、一般に使用されるフィルムタイプの離型物質であることができる。
【0023】
離型層に使用される離型剤成分としては、特に限定されず、当業界で周知の離型剤成分を使用することができる。例えば、エポキシ基盤の離型剤、フッ素樹脂からなる離型剤、シリコン系離型剤、アルキド樹脂系離型剤、水溶性高分子などが挙げられるが、これらに制限されない。また、必要に応じて、離型層成分として、粉末状フィラー、例えば、シリコン、シリカなどを含むことができる。なお、微粒子状の粉末フィラーは、2タイプの粉末フィラーを混用することができ、この時、これらの平均粒度は、形成される表面粗さを考慮して、適宜選択することができる。
【0024】
このような離型層の厚さは、当業界で周知の範囲内で適切に調節することができる。
【0025】
本発明において、基材11の厚さは、特に限定されず、当業界で周知の範囲内で調節可能であり、例えば、25~150μmであることができ、具体的に約30~100μm、より具体的に約30~50μmである。
【0026】
このような基材の離型力は、特に限定されず、例えば、約1~500gf/inchであることができ、具体的に約10~100gf/inchの範囲である。
【0027】
離型層を形成する方法は、特に限定されず、熱プレス、熱ロールラミネート、押出ラミネート、コーティング液の塗布、乾燥など、公知の方法を採用することができる。
【0028】
2)接着層
【0029】
本発明に係る非導電性接着フィルムにおいて、接着層12は、基材11の一面上に配置されるものであって、半導体パッケージングの際に、基板と半導体素子とを、又は半導体素子同士を互いに接続させ、また、アンダーフィル(underfill)として、基板と半導体素子との間の熱膨張係数の差により発生する応力と歪みを再分配する機能を果たすものである。
【0030】
本発明の接着層12は、25℃で2~4GPaの貯蔵弾性率(storage modulus)を有する。よって、本発明の非導電性接着フィルムは、半導体素子の3次元積層による半導体パッケージングの際に半導体パッケージの反り(warpage)発生を極力抑制するとともに、半導体素子のスリップ(slip)によるハンドリング問題を極力抑制することができるため、半導体パッケージの信頼性が向上される。
【0031】
一例として、本発明の接着層は、(a)互いに異なる2種以上のエポキシ樹脂、(b)硬化剤、(c)硬化促進剤、及び(d)ナノシリカを含む組成物から形成される。
【0032】
前記接着用樹脂組成物において、互いに異なる2種以上のエポキシ樹脂は、当業界で周知のエポキシ樹脂であれば、特に制限なく使用可能である。ここで、エポキシ樹脂は、エポキシ基を含有する高分子を意味する。
【0033】
一例として、互いに異なる2種以上のエポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂、及びエポキシ基含有フェノキシ樹脂を含むことができる。この場合、本発明の接着層では、バンプ間ボイド(void)発生が減少し、バンプの充填性が向上し、バンプ接合信頼性が確保されるとともに、ウェハや基板に対する接着力が向上して剥離(delamination)が防止され、さらには、耐熱性が向上される。
【0034】
ここで、液状エポキシ樹脂とエポキシ樹脂含有フェノキシ樹脂との混合割合は、特に限定されない。但し、液状エポキシ樹脂とエポキシ樹脂含有フェノキシ樹脂との混合割合が1:0.5~3重量比、具体的に1:0.5~1.5重量比である場合、接着層が低貯蔵弾性率を有することができる。
【0035】
本発明に係る互いに異なる2種以上のエポキシ樹脂において、液状エポキシ樹脂は、25±5℃で液体状態であるエポキシ樹脂であって、熱硬化性を示す樹脂である。このような第1のエポキシ樹脂は、接着用樹脂組成物に接着性、硬化性を付与し、硬化後の接着層に硬化均一性を付与する。
【0036】
本発明において使用可能な液状エポキシ樹脂としては、例えば、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、液状ナフタレン型エポキシ樹脂、液状アミノフェノール型エポキシ樹脂、液状水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、液状脂環式エポキシ樹脂、液状アルコールエーテル型エポキシ樹脂、液状環状脂肪族型エポキシ樹脂、液状フルオレン型エポキシ樹脂、液状シロキサン系エポキシ樹脂などが挙げられ、このなかで液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、液状ナフタレン型エポキシ樹脂が、接着性、硬化性、耐久性、耐熱性の点から好適である。これらは、単独で使用、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0037】
具体的に、液状エポキシ樹脂の製品としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂「YDF8170」(商品名、新日鉄化学製)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EXA-850CRP」(商品名、DIC(株)製)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂「YDF870GS」(商品名、新日鉄化学製)、ナフタレン型エポキシ樹脂「HP4032D」(商品名、DIC(株)製)、アミノフェノール型エポキシ樹脂(グレード:JER630、JER630LSD、三菱化学製)、シロキサン系エポキシ樹脂「TSL9906」(商品名、メモンティブパフォーマンス製)、1,4-シクロヘキサンジメタノールグジリシジルエーテル「ZX1658GS」(商品名、新日鉄化学株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明に係る2種以上のエポキシ樹脂において、エポキシ基含有フェノキシ樹脂は、少なくとも1つ末端にエポキシ基を含有している熱可塑性高分子であって、分子中、エポキシ基は、分子量に比べて当量が非常に小さいため、硬化には参与するが、高温で流動性を付与することができる。このようなエポキシ基含有フェノキシ樹脂によって、本発明の接着層は、常温(約25±5℃)で半硬化(B-stage)状態のフィルム形状に成形可能である。
【0039】
本発明において使用可能なエポキシ基含有フェノキシ樹脂としては、高分子鎖中にフェノキシ基を含有するとともに少なくとも1つの末端にエポキシ基を含有する高分子であれば、特に限定されない。
【0040】
【0041】
前記化1において、
【0042】
a及びbは、それぞれ1~4の整数であり、
【0043】
複数のR1及び複数のR2は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1~C10のアルキル基、C3~C20のシクロアルキル基、C5~C20のアリール基、及びニトロ基からなる群から選択され、具体的に、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1~C5のアルキル基、C3~C10のシクロアルキル基、C5~C10のアリール基、及びニトロ基からなる群から選択され、
【0044】
R3~R8は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、水素、又はヒドロキシ基であり、但し、R3~R8のうちの少なくとも1つがヒドロキシ基であり、
【0045】
X1は、単結合であるか、又はC1~C10のアルキレン基であり、具体的に、単結合であるか、又はC1~C5のアルキレンであり、
【0046】
Y1及びY2は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシ、又はエポキシ基であり、但し、Y1及びY2のうちの少なくともいずれか1つは、エポキシ基であり、
【0047】
nは、30~400の整数である。
【0048】
本発明に係る2種以上のエポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂及びエポキシ基含有フェノキシ樹脂の他に、当業界で周知のエポキシ樹脂、好ましくは、多官能性エポキシ樹脂をさらに含むことができる。
【0049】
一例として、2種以上のエポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、及び多官能性エポキシ樹脂を含むことができる。この場合、液状エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、及び多官能性エポキシ樹脂の混合割合は、特に限定されず、例えば、液状エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、及び多官能性エポキシ樹脂の混合割合が1:0.5~3:0.5~3重量比、具体的に1:0.5~1.5:0.5~1.5重量比であることができる。この場合、本発明の接着層は、接着性に優れ、かつ低い貯蔵弾性率を有するとともにヒューム(fume)発生を極力抑制することができる。
【0050】
本発明において使用可能な多官能性エポキシ樹脂は、2つ以上のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂である。このような多官能性エポキシ樹脂は、接着層に、電気絶縁性、耐熱性、化学的安定性、強靱性(toughness)、及び成形性を付与する。
【0051】
本発明において使用可能な多官能性エポキシ樹脂としては、分子(単量体)当たり2つ以上、具体的に2~5個のエポキシ基を含有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。
【0052】
多官能性エポキシ樹脂としては、例えば、フェノール又はアルキルフェノール類とヒドロキシベンスアルデヒドとの縮合物をエポキシ化することで得られるエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル(biphenyl)型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、キシロキシ型エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ボスフェノールA/ビスフェノールF/ビスフェノールADのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/ビスフェノールF/ビスフェノールADのグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、ビスヒドロキシビフェニル系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに制限されない。このなかで、25±5℃で非液状である多官能性エポキシ樹脂が好ましい。ここで、25±5℃で非液状であるとは、25±5℃で半固体状又は固体状であるエポキシ樹脂を指し、固体状に近いエポキシ樹脂も含む。
【0053】
前記接着用樹脂組成物は、硬化剤を含む。前記硬化剤は、2種以上のエポキシ樹脂を硬化させる成分である。
【0054】
本発明において使用可能な硬化剤としては、当該技術分野で通常エポキシ樹脂を硬化させる成分として公知のものであれば、制限なく使用することができる。例えば、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、ピロメリット酸無水物などの酸無水物系硬化剤;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミン系硬化剤;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族アミン系硬化剤;フェノールアラルキル型フェノール樹脂、フェノールノボラック型フェノール樹脂、キシロキシ型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ナフトール型フェノール樹脂、テルペン型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、ビスフェノールAとレゾールから合成されたノボラック型フェノール樹脂などのようなフェノール系硬化剤;ジシアンジアミド(dicyandiamide)などの潜在性硬化剤などが挙げられるが、これらは、単独で使用、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0055】
前記接着用樹脂組成物は、硬化促進剤を含む。但し、本発明では、硬化速度を調節するだけでなく、接着層の高温安定性を確保するため、次の化2で示される化合物及び次の化3で示される化合物からなる群から選択される1種以上を、硬化促進剤として含む。
【0056】
【0057】
【0058】
前記化2及び化3において、
【0059】
n1は、1又は2であり、
【0060】
n2は、それぞれ0~2の整数であり、
【0061】
X1~X6は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、N、又はC(R1)であり、但し、X1~X6のうちの1つ以上が、Nであり、
【0062】
Y1~Y6は、互いに同一又は異なり、それぞれ独立に、N(R2)、又はC(R3)(R4)であり、但し、Y1~Y6のうちの1つ以上が、N(R2)であり、
【0063】
このとき、複数のC(R1)は、互いに同一又は異なり、複数のN(R2)は、互いに同一又は異なり、複数のC(R3)(R4)は、互いに同一又は異なり、
【0064】
R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、水素、重水素(D)、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1~C20のアルキル基、C2~C20のアルケニル基、及びC2~C20のアルキニル基からなる群から選択される。
【0065】
具体的に、前記化2において、X1~X6のうちの1~2つは、Nであり、残りは、C(R3)(R4)であることができる。
【0066】
また、前記化3において、Y1~Y6のうちの1~2つは、N(R2)であり、残りは、C(R3)(R4)であることができる。
【0067】
また、前記化2及び化3において、R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、水素、重水素(D)、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1~C12のアルキル基、C2~C12のアルケニル基、及びC2~C12のアルキニル基からなる群から選択される。
【0068】
前記化2で示される硬化促進剤としては、例えば、次の化2aで示される化合物、次の化2bで示される化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
【0070】
【0071】
前記化3で示される化合物としては、例えば、次の化3aで示される化合物などが挙げられるが、これに限定されない。
【0072】
【0073】
一例として、硬化促進剤は、前記化2aの化合物、前記化2bの化合物、及び前記化3aの化合物からなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0074】
本発明の接着用樹脂組成物において、硬化促進剤の含有量は、2種以上のエポキシ樹脂の含有量や、硬化剤の種類及び含有量を考慮して調節することが好ましい。
【0075】
一例として、本発明の接着用樹脂組成物において、2種以上のエポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物の総量に対して、約40~80重量%の範囲であり、硬化剤の含有量は、樹脂組成物の総量に対して、約5~20重量%の範囲であり、硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物の総量に対して、約0.01~1重量%の範囲であることができる。この場合、本発明の接着層は、常温で低い貯蔵弾性率を有するだけでなく、取り扱いやすく、接着力に優れ、かつ発泡性ボイドを最小化することができ、接続性不良が発生しない。
【0076】
前記接着用樹脂組成物は、ナノシリカを含む。ナノシリカは、粘度及び作業性を調節することができ、接着性を向上させながら熱膨張係数(CTE)を下げることができる。従って、本発明に係る非導電性接着フィルムを用いて半導体パッケージングを行う時、反り特性及び耐クラック性を向上することができる。
【0077】
このようなナノシリカの形状は、特に制限されず、例えば、角状、球状などであることができる。
【0078】
なお、ナノシリカの平均粒径は、特に制限されず、例えば、10~100nmの範囲であることができる。ナノシリカの平均粒径が上述の範囲内である場合は、硬化物の機械的物性がさらに向上される。
【0079】
本発明の接着用樹脂組成物において、ナノシリカの含有量は、特に限定されず、例えば、接着用樹脂組成物の総量が100重量%となるように調節する残部であることができ、具体的に当該接着用樹脂組成物の総量に対して、約10~50重量%であることができる。ナノシリカの含有量が上述の範囲内である場合は、低い熱膨張係数(CTE)を有する接着層が形成され、基板及び半導体素子間の熱膨張係数の差が少ないため、反り(warpage)やクラック(crack)発生を極力抑制することができる。
【0080】
本発明の接着用樹脂組成物は、必要に応じて、上述の成分の他に、当該技術分野で周知の添加剤を、当該組成物の使用目的及び使用環境に応じて選択的にさらに含むことができる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、エチルアセテートなどの溶媒、粘着増進剤、カップリング剤、帯電防止剤、密着力増進剤、濡れ性向上剤、レベリング剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
このような添加剤の含有量は、特に限定されず、当該技術分野で周知の範囲内で使用することができる。例えば、当該樹脂組成物の総量に対して、約0.01~10重量%である。
【0082】
前記接着用樹脂組成物は、当該技術分野で周知の常法に従って製造することができる。例えば、互いに異なる2種以上のエポキシ樹脂(例えば、液状エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、及び多官能性エポキシ樹脂からなる群から選択される1種以上)、硬化剤、硬化促進剤、ナノシリカ、及び選択的に添加剤を、ボールミル、ビーズミル、3本ロールミル(3roll mill)、バスケットミル(basket mill)、ダイノーミル(dyno mill)、プラネタリー(planetary)などの混合装備を用いて、室温から適切に昇温された温度で混合及び攪拌して接着用樹脂組成物を製造することができる。
【0083】
本発明に係る接着層の厚さは、特に限定されず、例えば、約1~100μm、具体的に約5~50μmであることができる。但し、接着層の厚さが上述の範囲内である場合、フィルムの製膜性、厚さ均一性などが向上される。
【0084】
本発明に係る接着層は、約160~200℃のオンセット温度を有することができる。このように、本発明の接着層は、オンセット温度が高いため、高温で安定した硬化特性が発揮される。
【0085】
また、本発明の接着層は、熱重量分析(TGA)による250℃での重量減少率が1%以下であることができる。このように本発明の接着層は、優れた高温安定性を有する。このため、本発明の非導電性接着フィルムからのヒューム(fume)発生が極力抑制され、これによって、本発明の非導電性接着フィルムは、環境親和的かつ経済的に半導体素子のパッケージングを行うことができる。
【0086】
本発明に係る非導電性接着フィルムは、当該技術分野で周知の常法に従って製造することができる。例えば、上述の方法で得られた接着用樹脂組成物を、必要に応じて、希釈可能な有機溶剤で希釈し、塗膜製造が容易な適正濃度でミキシングした後、これを基材に塗布し、乾燥する方法で非導電性接着フィルムを製造することができる。
【0087】
前記塗布及び乾燥方式は、バーコーティング法、グラビアコーティング法、コンマロールコーティング法、ロールリバースコーティング法、ロールナイフコーティング法、ダイコーティング法、リップコーティング法など、塗膜を形成することができる方法であれば、特に限定されない。
【0088】
上述のような本発明の非導電性接着フィルムは、貯蔵弾性率が低く、熱膨張係数(CTE)が低いため、半導体パッケージの反り変形など、信頼性に優れ、かつ高温安定性が高いため、高温でパッケージングを行うことができるため、工程性に優れている。また、本発明の非導電性接着フィルムは、バンプ充填性が向上し、バンプ接合信頼性を確保することができ、また、ウェハや基板に対する接着力が向上することで、剥離(delamination)が防止され、さらには、耐熱性が向上する。
【0089】
以下、
図2に示された本発明の第2の実施例に係る非導電性接着フィルム10Bについて説明する。
【0090】
図2に示されるように、本発明の非導電性接着フィルム10Bは、基材(以下、「第1の基材’」11;前記基材の一面上に配置された接着層12;及び、前記接着層12の他面に配置された他の基材(以下、「第2の基材’」)13;を含むことができる。
【0091】
第2の実施例に係る非導電性接着フィルム10Bは、第2の基材を除く他の構成、即ち、第1の基材11及び接着層12は、第1の実施例に記載と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
本発明において、第2の基材13は、接着層13の他面に配置され、接着層を支持するとともにその表面を保護するものであって、剥離可能であるため、非導電性接着フィルムの使用時に剥離除去される。
【0093】
このような第2の基材13は、第1の基材と同一又は異なり、詳細な説明は、上記の第1の基材と同様であるため、省略する。
【0094】
<半導体パッケージの製造方法>
【0095】
さらに、本発明は、前記非導電性接着フィルム10A、10Bを用いて、様々な半導体パッケージの製造方法を提供することができる。特に、前記非導電性接着フィルムは、室温での低い貯蔵弾性率を有しているため、半導体パッケージの反り問題を極力抑制し、信頼性を向上させることができる。従って、本発明は、半導体素子を、前記非導電性接着フィルムを用いて3次元的に積層し、半導体パッケージの集積度を向上させることができる。
【0096】
一例として、半導体パッケージの製造方法は、(S100)基板上に、前記非導電性接着フィルムの接着層と、少なくとも一面に接続端子が配置されたTSV構造の半導体素子とを順次交互に積層して、複数層の積層体を形成するステップ;(S200)前記積層体を熱圧着し、前記積層体中の各半導体素子の接続端子を互いに接合するステップ;及び、(S300)前記熱圧着された積層体中の接着層を硬化させるステップ;を含む。但し、上述のような本発明に係る製造方法は、必要に応じて、各工程のステップを変更又は選択的に混用して行うことができる。
【0097】
以下、
図3~
図6を参照して、本発明に係る半導体パッケージの製造方法を、各工程のステップ別に分けて説明すると、次の通りである。
【0098】
(S100)積層体の形成ステップ
【0099】
基板上に、上述のような非導電性接着フィルムの接着層と半導体素子とを順次交互に積層して複数層の積層体を形成する。
【0100】
一例として、ステップ(S100)では、
図3(a)に示されるように、半導体素子30の一面上に非導電性接着フィルム10A、10Bの接着層12を配置して設けられた第1の単位体100-1を、基板20の一面上に積層して、第1の積層体200を形成する。このとき、前記接着層12が基板20に接触されるように積層する。次に、
図3(b)に示されるように、前記第1の積層体200の半導体素子20上に、第2の単位体100-2を、前記接着層12が前記第1の単位体100-1の半導体素子30に接触されるように積層して、第2の積層体300を形成する。次に、
図4に示されるように、前記第2の積層体300上に、第3の単位体100-3~第nの単位体100-nを順次積層して、複数層の積層体400を形成する(ここで、nは、3以上、具体的に3~10の自然数であり得る)。このとき、各単位体中、半導体素子は、それぞれ同一または異なる。
【0101】
他の例として、図示していないが、ステップ(S100)では、基板の一面上に前記非導電性接着フィルムの接着層を配置した後、前記接着層の他面上に半導体素子を配置するような方式で繰り返して行うことで、前記非導電性接着フィルムの接着層と半導体素子とが順次交互に積層された複数層の積層体を形成することができる。
【0102】
本発明において使用可能な基板20は、一面に回路パターン21が形成された基板であって、例えば、プリント回路基板(PCB)、各種のリードフレーム、基板表面に抵抗素子やコンデンサなどの電子部品が実装される基板などであることができる。
【0103】
本発明において使用可能な半導体素子30は、DRAM、SRAMなどのメモリチップや、ロジックチップ、MEMSチップ、HBM(High Bandwidth Memory)DRAMチップであることができる。このような半導体素子30は、TSV(Through Silicon Via)構造を有するものであって、例えば、半導体基板31、前記半導体基板の内部に形成された複数の貫通電極(TSV)32、及び前記複数の貫通電極のうち少なくともいずれか1つに配置された接続端子33、及び前記接続端子に配置されたソルダー層(例えば、ソルダーボール)34を含む(
図3参照)。
【0104】
前記半導体基板31としては、例えば、シリコン基板、SiC基板、GaS基板が挙げられる。
【0105】
前記貫通電極32は、半導体基板を垂直方向に貫通させたホールに、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)などの金属や炭素成分の伝導性物質を充填させ、基板の上部と下部とを電気的に直接連結する電極である。このような貫通電極32は、複数個であるが、これらの一部は、外部に露出されている。露出された複数の貫通電極32のうち少なくとも一部には、接続端子33が配置されている。
【0106】
前記接続端子300は、バンプ(bump)、導電性スペーサ(conductive spacer)、ピングリッドアレイ(Pin Grid Array、PGA)、リードグリッドアレイ(lead grid array)、及びこれらの組み合わせであることができる。例えば、前記接続端子は、貫通電極に配置されたバンプであることができる。このような接続端子33には、ソルダー層34が配置されているため、積層体の熱圧着の際に、半導体素子は、ソルダー接合によって電気的に接続される。
【0107】
本ステップでは、前記半導体素子を、前記接着層上に、約20~100Nの圧力で加圧積層することができる。また、必要であれば、前記半導体素子を、前記接着層のオンセット温度より低い温度、例えば、50~100℃の温度で加圧積層することができる。このとき、接着層は、半硬化状態(B-stage)で、基板と半導体素子とを、及び半導体素子同士を、互いに接着させる。
【0108】
(S200)積層体の熱圧着ステップ
【0109】
前記ステップ(S100)で得られた複数層の積層体400を熱圧着する。これによって、熱圧着された積層体500中、各半導体素子の接続端子同士が互いに接合される。
【0110】
本ステップは、約200~300℃の温度、及び約50~200Nの圧力下で行われる。例えば、
図5に示されるように、積層体の上下部を、加熱圧着可能な装置を用いて熱圧着する。このとき、積層体中の接続端子は、ソルダー層が溶融されることでソルダー接合によって電気的に接続されるようになる。
【0111】
(S300)接着層の硬化ステップ
【0112】
前記ステップ(S200)において熱圧着された積層体500中の接着層20を硬化させる。
【0113】
前記接着層は、約160~200℃のオンセット温度を有するため、本ステップは、前記オンセット温度より高い温度、例えば、約160~200℃の範囲、好ましくは、約170~200℃の温度で行われる。
【0114】
前記接着層の硬化時間は、硬化温度によって調節され、例えば、約1~3時間である。
【0115】
以下、本発明を実施例に基づいて詳述するが、後述の実施例及び実験例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲は、後述の実施例及び実験例によって制限されない。
【0116】
[実施例1~3及び比較例1:非導電性接着フィルムの製造]
【0117】
1-1.接着用樹脂組成物の製造
【0118】
次の表1に記載の組成に従って各成分を混合して、実施例1~3及び比較例1の接着用樹脂組成物を製造した。表1に記載の各成分の含有量の単位は、重量%であり、当該樹脂組成物の総量を基準にしている。
【0119】
1-2.非導電性接着フィルムの製造
【0120】
PET製の離型フィルム(厚さ:50μm)の一面上に、実施例1-1で製造された接着用樹脂組成物をそれぞれダイコーティングした後、乾燥し、接着層(厚さ:20μm)を形成して、非導電性接着フィルムを製造した。
【0121】
【0122】
[実験例1:物性評価]
【0123】
実施例1~3及び比較例1でそれぞれ製造した非導電性接着フィルムの物性を、下記のようにそれぞれ測定し、この結果を次の表2に示す。
【0124】
1)オンセット温度(Onset Temperature)
【0125】
示差走査熱量分析器(Differential Scanning Calorimetry、DSC)を用いて、非導電背接着フィルムのオンセット温度を測定した。
【0126】
2)重量減少率(Volatile contents)
【0127】
熱重量分析器を用いて、非導電性接着フィルムを、10℃/分で、30℃から800℃まで昇温しながら、重量減少率を測定した。
【0128】
3)貯蔵弾性率
【0129】
動的熱特性分析装置(Dynamic Mechanical Analysis、DMA)を用いて、非導電性接着フィルムを、10℃/分で、80℃から270℃まで昇温しながら、貯蔵弾性率を測定した。
【0130】
【符号の説明】
【0131】
10A、10B:非導電性接着フィルム、11:基材、12:接着層、20:基板、30:半導体素子、31:半導体基板、32:貫通電極、33:接続端子、34:ソルダー層、100-1、100-2、100-n:単位体(unit body)、200、300、400:積層体。