(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】旨味製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/46 20060101AFI20240226BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240226BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240226BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240226BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240226BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240226BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240226BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240226BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240226BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20240226BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240226BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
A61K47/46
A61K9/20
A61K31/519
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/34
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/04
A61P17/04
A61P37/08
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2021549085
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 US2020018762
(87)【国際公開番号】W WO2020172232
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-08-18
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515230154
【氏名又は名称】ゾエティス・サービシーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】シン,パラムジット
(72)【発明者】
【氏名】パンダ,デベンドラ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】プライス,ジェフリー・エリス
(72)【発明者】
【氏名】バドハン,アトゥール・チャガン
(72)【発明者】
【氏名】カニンガム,ニコラス・フィン
【審査官】植原 克典
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533959(JP,A)
【文献】特表2016-505064(JP,A)
【文献】特表2014-532041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0169008(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00320320(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0160067(US,A1)
【文献】特表2005-500307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 31/33-33/44
A23G 1/00- 9/52
A23K 10/00-40/35
A23K 50/15
A23L 31/00-33/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物であって、
a.治療有効量の獣医学的活性剤
、ここで、治療有効量が約4w/w%~約5w/w%であり、前記活性剤が、オクラシチニブまたはその獣医学的に許容される塩である、
b.
約45w/w%~約55w/w%の量の、ブタ肝臓粉末である動物ベースのパラタント、
c.
約10w/w%~約15w/w%の量の、ビール酵母である非動物ベースのパラタント、
d.
獣医学的に許容される賦形剤であって、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセロール、およびこれらの混合物である滑沢剤、並びに約10w/w%~約15w/w%の量の湿潤剤の1つずつを含む、賦形剤、
ただし、前記組成物は、脂肪及び油を含まない、
を含み、かつ
前記ソフトチュアブル錠剤が回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている、
ここで、w/w%の値は、前記錠剤の総重量に基づいている、
組成物。
【請求項2】
前記獣医学的に許容される活性剤が
オクラシチニブマレイン酸塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびこれらの混合物である崩壊剤をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記崩壊剤が、
クロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムの混合物であり、前記錠剤の総重量の約10w/w%~約15w/w%の量である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ポリエチレングリコール、ガム、およびこれらの混合物から選択される結合剤をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール3350であり、かつ前記ガムがキサンタンガムである、請求項
5に記載の組成物。
【請求項7】
前記結合剤がポリエチレングリコール3350およびキサンタンガムの混合物であり、かつ前記混合物が前記錠剤の総重量の約5w/w%~約7w/w%を構成する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記湿潤剤が、グリセロールである、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記滑沢剤が、
約1w/w%~約2w/w%の量のステアリン酸マグネシウムおよびモノステアリン酸グリセロールの混合物であり、かつ前記組成物が
さらに約1w/w%~約3w/w%の滑剤および約0.4w/w%~約0.6w/w%の香味修飾剤を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項10】
旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物であって、
a.
約4w/w%~約5w/w%の量である治療有効量のオクラシチニブマレイン酸塩、
b.
約46w/w%~約52w/w%の量の、ブタ肝臓粉末に由来する動物ベースのパラタント、
c.
約10w/w%~約15w/w%の量の、ビール酵母である非動物ベースのパラタント、
d.
獣医学的に許容される賦形剤であって、
クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびこれらの混合物から選択される崩壊剤、
ポリエチレングリコール、キサンタンガム、およびこれらの混合物から選択される結合剤、
約10w/w%~約15w/w%の量の湿潤剤、
ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセロール、およびこれらの混合物である滑沢剤、
滑剤、および香味修飾剤の1つずつを含む賦形剤、ただし、前記組成物は、脂肪及び油を含まない、
を含み、かつ
前記ソフトチュアブル錠剤が回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている、
ここで、w/w%の値は、前記錠剤の総重量に基づいている、
組成物。
【請求項11】
前記崩壊剤が、約10w/w%~約15w/w%の量のクロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムの混合物であり、前記結合剤が、約5w/w%~約7w/w%の量のポリエチレングリコール3350およびキサンタンガムの混合物であり、前記湿潤剤が約11w/w%~約14w/w%の量のグリセロールであり、前記滑沢剤が、約1w/w%~約2w/w%の量のステアリン酸マグネシウムおよびモノステアリン酸グリセロールの混合物であり、前記滑剤がコロイド状二酸化ケイ素であり、かつ前記香味修飾剤が塩化ナトリウムである、
ここで、w/w%の値は、前記錠剤の総重量に基づいている、
請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
伴侶動物におけるアトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎と関連付けられる掻痒、およびアレルギーの治療または予防のための医薬を製造するための請求項1~11のいずれかに記載の旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物の使用。
【請求項13】
イヌである伴侶動物におけるアレルギー性皮膚炎と関連付けられる掻痒およびアトピー性皮膚炎の治療または予防のための、請求項
12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの獣医学的に許容される活性成分、少なくとも1つの動物ベースのパラタント(palatant)、少なくとも1つの非動物ベースのパラタント、および少なくとも1つの追加の獣医学的に許容される賦形剤を含む安定な、旨味ソフトチュアブル組成物、ならびにがん、心臓血管疾患、アレルギー、喘息および他の呼吸器疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、および他の代謝障害が挙げられるがこれらに限定されない多くの疾患を治療および/または予防するための使用方法を記載する。ソフト咀嚼錠は、押出しなしで調製され、回転式錠剤プレスを用いて圧縮される。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼは、タンパク質中の特有の残基のリン酸化を触媒する酵素のファミリーであり、チロシンおよびセリン/スレオニンキナーゼに広く分類される。突然変異、過剰発現、または不適切な調節、調節不全(dis-regulation)もしくは脱調節の他に、増殖因子もしくはサイトカインの過剰もしくは過小産生から生じる不適切なキナーゼ活性は、がん、アレルギー、喘息および他の呼吸器疾患、自己免疫疾患、ならびに炎症性疾患が挙げられるがこれらに限定されない多くの疾患に結び付けられている。不適切なキナーゼ活性は、細胞成長、細胞分化、生存、アポトーシス、有糸分裂誘発、細胞周期制御、および細胞モビリティに関する様々な生物学的細胞応答のトリガーとなる。
【0003】
そのため、プロテインキナーゼは、治療的介入のための標的としての酵素の重要なクラスとして登場した。特に、JAKファミリーの細胞タンパク質チロシンキナーゼ(JAK-1、JAK-2、JAK-3、およびTyk-2)はサイトカインシグナル伝達において中心的役割を果たす(Kisselevaら、Gene、2002、285、1;Yamaokaら、Genome Biology 2004、5、253)。サイトカインがそれらの受容体に結合すると、サイトカインはJAKを活性化させ、これが次にサイトカイン受容体をリン酸化し、それにより、シグナル伝達分子、特に、遺伝子発現に最終的に繋がるシグナルトランスデューサーおよび転写活性化因子(STAT)ファミリーのメンバーのためのドッキング部位が作出される。JAKファミリーを活性化させる多数のサイトカインが公知である。
【0004】
旨味チュアブル投薬形態などの食用医薬品への薬物(すなわち、活性剤)の製剤化は、特に、錠剤またはカプセルの嚥下、ならびに苦いおよび/または顆粒状の投薬形態の咀嚼に抗う傾向がある動物において、対象の医薬品許容性を増加させることができる。ある程度の旨味性を投薬形態に提供するために香味剤およびポリマーコーティングが一般的に使用されている。チュアブル組成物は、活性獣医学的成分を油、脂肪、ワックス、および水と共に顆粒化して押出し加工用のドウ(dough)様組成物を調製することにより調製することができる。これらの組成物は、しかしながら、油状かつゴム状になる傾向がある。他のチュアブル組成物を類似した方式で調製することができるが、ドウは異なる厚さのシートになるように巻かれ、次に適切なサイズにパンチカットされる。本発明は、回転圧縮を介して錠剤に圧縮できる旨味ソフト咀嚼用組成物を達成する。
【0005】
ソフト咀嚼物は以前に記載されている。しかしながら、以前の旨味錠剤の調製は、非動物ベースのパラタントの使用(WO2004/016252)、部分アルファ化デンプンの使用(WO2005/013714)、錠剤に「脂ぎった」感触を付与する傾向がある5~30%の重量の脂肪、ワックス、および油を有する製剤(WO2014/033230)、低せん断条件下でAPI(油ありまたはなし)を乾燥賦形剤とブレンドし、熱不安定な活性物質のために各加工工程が熱の導入なしに実行されること(WO2007/067582)、回転式成形機を用いる圧縮用のドウ様組成物の形成(WO2014/079825)、甘い充填剤としての糖(5~75%)の使用(WO2004/014143)、ならびに5~20%の油および5~20%のグリセロールを含むソフト(<2kp)錠剤の製造(WO2017/106812)で為されている。本発明の組成物は、脂肪、油、アルファ化デンプン、および糖などを組み込まず、むしろ回転式錠剤プレスを使用して錠剤に容易に圧縮できる一般的なブレンドおよび粉砕された顆粒を調製する。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、本発明の経口組成物は、安定、旨味があり、安全、かつ有効であることが発見された。安定性の増加は、貯蔵寿命、そして最適には有効性の増加と相関し、旨味性は患者のコンプライアンスを増加させる。追加的に、顆粒化は、回転式錠剤プレスを用いて圧縮され得る。
【0007】
一態様では、本発明は、ソフト咀嚼用獣医学的組成物であって、獣医学的活性成分、少なくとも1つの動物ベースのパラタント、少なくとも1つの非動物ベースのパラタント、および少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤を含むまたは含有する、組成物を記載する。別の態様では、少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤は、崩壊剤、結合剤、湿潤剤、滑剤(glidant)、および滑沢剤(lubricant)を少なくとも1つずつ含み、かつ組成物は回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている。
【0008】
一態様では、本発明は、ソフト咀嚼用獣医学的組成物であって、JAK阻害剤である獣医学的活性成分、少なくとも1つの動物ベースのパラタント、少なくとも1つの非動物ベースのパラタント、ならびに崩壊剤、結合剤、湿潤剤、滑剤、および滑沢剤を少なくとも1つずつ含む少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤を含みまたは含有し、組成物が回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている、組成物を記載する。
【0009】
一態様では、本発明は、ソフト咀嚼用獣医学的組成物であって、JAK阻害剤、オクラシチニブ、N-メチル-1-{トランス-4-[メチル(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ]シクロヘキシル}-メタンスルホンアミド、またはその獣医学的に許容される塩である、獣医学的活性成分、少なくとも1つの動物ベースのパラタント、少なくとも1つの非動物ベースのパラタント、および少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤を含むまたは含有する、組成物を記載する。別の態様では、活性成分はオクラシチニブマレイン酸塩(Apoquel(登録商標);N-メチル-1-{トランス-4-[メチル(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ]シクロヘキシル}-メタンスルホンアミド(2Z)-2-ブテン二酸塩(マレイン酸塩))であり、かつ組成物は、少なくとも1つの動物ベースのパラタント、少なくとも1つの非動物ベースのパラタント、ならびに崩壊剤、結合剤、湿潤剤、滑剤、および滑沢剤の少なくとも1つずつから選択される少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤を含む。一態様では、オクラシチニブマレイン酸塩の量は錠剤の総重量の約4w/w%~5w/w%の量である。一態様では、オクラシチニブマレイン酸塩の量は錠剤の総重量の約4w/w%(4.03w/w%)の量である。
【0010】
本発明の別の態様では、組成物は、1つの動物ベースのパラタントおよび1つの非動物ベースのパラタントを含む、約55w/w%~約70w/w%の量の少なくとも2つのパラタントを含むまたは含有する。本発明の別の態様では、動物ベースのパラタントは総錠剤重量の約45w/w%~約55w/w%の量である。別の態様では、動物ベースのパラタントは錠剤の総重量の約46w/w%~約52w/w%の量である。動物ベースのパラタントの好ましい量は錠剤の総重量の約48w/w%~約50w/w%である。好ましい動物ベースのパラタントはブタに由来する。より好ましい動物ベースのパラタントはブタ肝臓に由来する。最も好ましい動物ベースのパラタントはブタ肝臓粉末である。本発明の別の態様では、非動物ベースのパラタントは錠剤の総重量の約10w/w%~約15w/w%の量である。別の態様では、非動物ベースのパラタントの好ましい量は錠剤の総重量の約11w/w%~約14w/w%の量である。好ましい非動物ベースのパラタントは酵母である。好ましい酵母はビール酵母である。本発明の別の態様では、組成物は、約46w/w%~約52w/w%の動物ベースのパラタントおよび約11w/w%~約14w/w%の非動物ベースのパラタントを含み、両方は錠剤の総重量のw/w%に相当する。
【0011】
本発明の別の態様では、組成物は、錠剤の総重量の約0.4w/w%~約0.6w/w%の香味修飾剤を含むまたは含有する。好ましい香味修飾剤は塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである。好ましい香味修飾剤は塩化ナトリウムである。
【0012】
本発明の別の態様では、組成物は、崩壊剤、結合剤、湿潤剤、滑沢剤、および滑剤の少なくとも1つずつから選択される少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤をさらに含むまたは含有する。
【0013】
本発明の一態様では、少なくとも1つの崩壊剤は錠剤の総重量の約8w/w%~約18w/w%の量である。さらに別の態様では、少なくとも1つの崩壊剤は錠剤の総重量の約10w/w%~約15w/w%の量である。一態様では、崩壊剤は、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、またはこれらの混合物からなる群から選択される。別の態様では、崩壊剤は、ステアリン酸マグネシウムおよびモノステアリン酸グリセリルの混合物である。
【0014】
本発明のさらに別の態様では、少なくとも1つの結合剤は錠剤の総重量の約5w/w%~約7w/w%の量である。別の態様では、結合剤は錠剤の総重量の約5w/w%~約6.5w/w%の量である。一態様では、少なくとも1つの結合剤は、ポリエチレングリコール、ガム、またはこれらの混合物からなる群から選択される。好ましいポリエチレングリコールはポリエチレングリコール3350であり、かつ好ましいガムはキサンタンガムである。一態様では、組成物は、ポリエチレングリコール3350およびキサンタンガムの混合物を含むまたは含有する。一態様では、ポリエチレングリコール3350の量は錠剤の総重量の約5w/w%~約6w/w%の量である。
【0015】
本発明の別の態様では、少なくとも1つの湿潤剤は錠剤の総重量の約10w/w%~約15w/w%の量である。別の態様では、湿潤剤は錠剤の総重量の約11w/w%~約14w/w%の量である。一態様では、湿潤剤はグリセロールである。
【0016】
本発明の別の態様では、少なくとも1つの滑沢剤は錠剤の総重量の約1w/w%~約2w/w%である。別の態様では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセロール、またはこれらの混合物からなる群から選択される。別の態様では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムおよびモノステアリン酸グリセリルの混合物である。
【0017】
本発明の別の態様では、少なくとも1つの滑剤は錠剤の総重量の約1w/w%~約3w/w%の量である。滑剤の好ましい量は錠剤の総重量の約1.5w/w%~約2.5w/w%である。一態様では、滑剤はコロイド状二酸化ケイ素である。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物であって、約4w/w%~約5w/w%の量の治療有効量のオクラシチニブマレイン酸塩、約46w/w%~約52w/w%の量の動物ベースのパラタント、約11w/w%~約14w/w%の量の非動物ベースのパラタント、約0.4w/w%~約0.6w/w%の量の香味修飾剤、約10w/w%~約15w/w%の量の少なくとも1つの崩壊剤、約5w/w%~約7w/w%の量の少なくとも1つの結合剤、11w/w%~約14w/w%の量の少なくとも1つの湿潤剤、約1w/w%~約3w/w%の量の少なくとも1つの滑剤、および約1w/w%~約2w/w%の量の少なくとも1つの滑沢剤を含みまたは含有し、かつw/w%のそれぞれが錠剤の総重量に基づく、組成物である。本発明のさらに別の態様は、旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物であって、約4w/w%~約5w/w%の量の治療有効量のオクラシチニブマレイン酸塩、約46w/w%~約52w/w%の量の動物ベースのパラタント、約11w/w%~約14w/w%の量の非動物ベースのパラタント、約0.4w/w%~約0.6w/w%の量の香味修飾剤、約10w/w%~約15w/w%の量の少なくとも1つの崩壊剤、約5w/w%~約7w/w%の量の少なくとも1つの結合剤、11w/w%~約14w/w%の量の少なくとも1つの湿潤剤、約1w/w%~約3w/w%の量の少なくとも1つの滑剤、および約1w/w%~約2w/w%の量の少なくとも1つの滑沢剤を含有し、かつw/w%のそれぞれが錠剤の総重量に基づき、かつ錠剤が回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている、組成物である。
【0019】
本発明のさらに別の態様は、旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物であって、約4w/w%~約5w/w%の量の治療有効量のオクラシチニブマレイン酸塩、約46w/w%~約52w/w%の量のブタ肝臓粉末である動物ベースのパラタント、約11w/w%~約14w/w%の量のビール酵母である非動物ベースのパラタント、約0.4w/w%~約0.6w/w%の量の塩化ナトリウムである香味修飾剤、約10w/w%~約15w/w%の量のクロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムの混合物である少なくとも1つの崩壊剤、約5w/w%~約7w/w%の量のポリエチレングリコール3350およびキサンタンガムの混合物である少なくとも1つの結合剤、約11w/w%~約14w/w%の量のグリセロールである湿潤剤、約1w/w%~約3w/w%の量のコロイド状二酸化ケイ素である滑剤、ならびに約1w/w%~約2w/w%の量のモノステアリン酸グリセロールおよびステアリン酸マグネシウムの混合物である少なくとも1つの滑沢剤を含みまたは含有し、かつw/w%のそれぞれが錠剤の総重量に基づく、組成物である。本発明のさらに別の態様は、旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物であって、約4w/w%~約5w/w%の量の治療有効量のオクラシチニブマレイン酸塩、約46w/w%~約52w/w%の量のブタ肝臓粉末である動物ベースのパラタント、約11w/w%~約14w/w%の量のビール酵母である非動物ベースのパラタント、約0.4w/w%~約0.6w/w%の量の塩化ナトリウムである香味修飾剤、約10w/w%~約15w/w%の量のクロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムの混合物である少なくとも1つの崩壊剤、約5w/w%~約7w/w%の量のポリエチレングリコール3350およびキサンタンガムの混合物である少なくとも1つの結合剤、約11w/w%~約14w/w%の量のグリセロールである湿潤剤、約1w/w%~約3w/w%の量のコロイド状二酸化ケイ素である滑剤、ならびに約1w/w%~約2w/w%の量のモノステアリン酸グリセロールおよびステアリン酸マグネシウムの混合物である少なくとも1つの滑沢剤を含有し、かつw/w%のそれぞれが錠剤の総重量に基づき、かつ錠剤が回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている、組成物である。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物であって、約4w/w%~約5w/w%の量の治療有効量のオクラシチニブマレイン酸塩、約48w/w%~約50w/w%の量のブタ肝臓粉末である動物ベースのパラタント、約11w/w%~約14w/w%の量のビール酵母である非動物ベースのパラタント、約0.4w/w%~約0.6w/w%の量の塩化ナトリウムである香味修飾剤、約10w/w%~約15w/w%の量のクロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムの混合物である少なくとも1つの崩壊剤、約5w/w%~約7w/w%の量のポリエチレングリコール3350およびキサンタンガムの混合物である少なくとも1つの結合剤、約11w/w%~約14w/w%の量のグリセロールである湿潤剤、約1.5w/w%~約2.5w/w%の量のコロイド状二酸化ケイ素である滑剤、ならびに約1w/w%~約2w/w%の量のモノステアリン酸グリセロールおよびステアリン酸マグネシウムの混合物である少なくとも1つの滑沢剤を含みまたは含有し、かつw/w%のそれぞれが錠剤の総重量に基づく、組成物である。本発明のさらに別の態様は、旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物であって、約4w/w%~約5w/w%の量の治療有効量のオクラシチニブマレイン酸塩、約48w/w%~約50w/w%の量のブタ肝臓粉末である動物ベースのパラタント、約11w/w%~約14w/w%の量のビール酵母である非動物ベースのパラタント、約0.4w/w%~約0.6w/w%の量の塩化ナトリウムである香味修飾剤、約10w/w%~約15w/w%の量のクロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムの混合物である少なくとも1つの崩壊剤、約5w/w%~約7w/w%の量のポリエチレングリコール3350およびキサンタンガムの混合物である少なくとも1つの結合剤、約11w/w%~約14w/w%の量のグリセロールである湿潤剤、約1.5w/w%~約2.5w/w%の量のコロイド状二酸化ケイ素である滑剤、ならびに約1w/w%~約2w/w%の量のモノステアリン酸グリセロールおよびステアリン酸マグネシウムの混合物である少なくとも1つの滑沢剤を含有し、かつw/w%のそれぞれが錠剤の総重量に基づき、かつ錠剤が回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている、組成物である。
【0021】
本発明のさらに別の態様は、ソフトチュアブル錠剤組成物を経口的に投与することによる、伴侶動物におけるがん、喘息、アトピー性皮膚炎、自己免疫障害、アレルギー性皮膚炎と関連付けられる掻痒、アレルギー、および慢性呼吸器疾患の治療または予防方法であって、組成物が、約4w/w%~約5w/w%の量の治療有効量のオクラシチニブマレイン酸塩、約46w/w%~約52w/w%の量の動物ベースのパラタント、約11w/w%~約14w/w%の量の非動物ベースのパラタント、約0.4w/w%~約0.6w/w%の量の香味修飾剤、約10w/w%~約15w/w%の量の少なくとも1つの崩壊剤、約5w/w%~約7w/w%の量の少なくとも1つの結合剤、約11w/w%~約14w/w%の量の湿潤剤、約1w/w%~約3w/w%の量の滑剤、ならびに約1w/w%~約2w/w%の量の少なくとも1つの滑沢剤を含みまたは含有し、かつw/w%のそれぞれが錠剤の総重量に基づき、かつ錠剤が回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている、方法である。
【0022】
好ましくは、組成物は、伴侶動物におけるアトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎と関連付けられる掻痒およびアレルギーの治療および予防のためのものである。好ましくは、伴侶動物はイヌまたはウマである。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、ソフトチュアブル錠剤組成物をそれを必要とする伴侶動物に経口的に投与することによる、伴侶動物におけるがん、喘息、アトピー性皮膚炎、自己免疫障害、アレルギー性皮膚炎と関連付けられる掻痒、アレルギー、および慢性呼吸器疾患の治療または予防のためのソフトチュアブル錠剤組成物の使用であって、組成物が、約4w/w%~約5w/w%の量の治療有効量のオクラシチニブマレイン酸塩、約46w/w%~約52w/w%の量の動物ベースのパラタント、約11w/w%~約14w/w%の量の非動物ベースのパラタント、約0.4w/w%~約0.6w/w%の量の香味修飾剤、約10w/w%~約15w/w%の量の少なくとも1つの崩壊剤、約5w/w%~約7w/w%の量の少なくとも1つの結合剤、約11w/w%~約14w/w%の量の湿潤剤、約1w/w%~約3w/w%の量の滑剤、約1w/w%~約2w/w%の量の少なくとも1つの滑沢剤を含みまたは含有し、かつw/w%のそれぞれが錠剤の総重量に基づき、かつ錠剤が回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている、使用である。好ましくは、使用は、伴侶動物におけるアトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎と関連付けられる掻痒およびアレルギーの治療および予防のためのものである。好ましい伴侶動物はイヌまたはウマである。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、伴侶動物におけるがん、喘息、アトピー性皮膚炎、自己免疫障害、アレルギー性皮膚炎と関連付けられる掻痒、アレルギー、および慢性呼吸器疾患の治療または予防用の医薬を調製するためのソフトチュアブル組成物の使用であって、組成物が、約4w/w%~約5w/w%の量の治療有効量のオクラシチニブマレイン酸塩、約46w/w%~約52w/w%の量の動物ベースのパラタント、約11w/w%~約14w/w%の量の非動物ベースのパラタント、約0.4w/w%~約0.6w/w%の量の香味修飾剤、約10w/w%~約15w/w%の量の少なくとも1つの崩壊剤、約5w/w%~約7w/w%の量の少なくとも1つの結合剤、約11w/w%~約14w/w%の量の湿潤剤、約1w/w%~約3w/w%の量の滑剤、約1w/w%~約2w/w%の量の少なくとも1つの滑沢剤を含みまたは含有し、かつw/w%のそれぞれが錠剤の総重量に基づき、かつ錠剤が回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている、使用である。好ましくは、伴侶動物におけるアトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎と関連付けられる掻痒およびアレルギーの治療および予防のためのものである。好ましい伴侶動物はイヌまたはウマである。
【0025】
本発明のさらに別の態様は、伴侶動物用のソフトトリート(soft treat)を調製するためのソフトチュアブル組成物であって、組成物が、約45w/w%~約55w/w%の量の動物ベースのパラタント、約10w/w%~約15w/w%の量の非動物ベースのパラタント、約0.4w/w%~約0.6w/w%の量の香味修飾剤、約8w/w%~約18w/w%の量の少なくとも1つの崩壊剤、約5w/w%~約7w/w%の量の少なくとも1つの結合剤、約10w/w%~約15w/w%の量の湿潤剤、約1w/w%~約3w/w%の量の滑剤、約1w/w%~約2w/w%の量の少なくとも1つの滑沢剤を含みまたは含有し、かつw/w%のそれぞれが錠剤の総重量に基づき、かつ前記トリートが回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている、組成物である。
【0026】
本発明の態様には、以下のものも含まれる。
態様1
旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物であって、
a.治療有効量の獣医学的活性剤、
b.前記錠剤の総重量の約45w/w%~約55w/w%の量の少なくとも1つの動物ベースのパラタント、
c.前記錠剤の総重量の約10w/w%~約15w/w%の量の少なくとも1つの非動物ベースのパラタント、
d.少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤
を含み、かつ
前記ソフトチュアブル錠剤が回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている、
組成物。
態様2
前記獣医学的に許容される活性剤がオクラシチニブであり、かつ前記動物ベースのパラタントが粉末化ブタ肝臓である、態様1に記載の組成物。
態様3
前記少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤が、崩壊剤、結合剤、湿潤剤、滑沢剤、滑剤、および香味修飾剤の少なくとも1つずつから選択され、かつ前記非動物ベースのパラタントが酵母である、態様2に記載の組成物。
態様4
前記獣医学的に許容される崩壊剤が、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、またはこれらの混合物である、態様3に記載の組成物。
態様5
前記崩壊剤が、クロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムの混合物であり、かつ前記錠剤の総重量の約10w/w%~約15w/w%の量で組み合わせられている、態様4に記載の組成物。
態様6
前記獣医学的に許容される結合剤が、ポリエチレングリコール、ガム、またはこれらの混合物を含む、態様3に記載の組成物。
態様7
前記ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール3350であり、かつ前記ガムがキサンタンガムであり、かつポリエチレングリコールおよび前記ガムの前記混合物が前記錠剤の総重量の約5w/w%~約7w/w%を構成する、態様6に記載の組成物。
態様8
前記獣医学的に許容される湿潤剤が、前記錠剤の総重量の約10w/w%~約15w/w%の量のグリセロールである、態様3に記載の組成物。
態様9
前記獣医学的に許容される滑沢剤がステアリン酸マグネシウムおよびモノステアリン酸グリセロールの混合物であり、かつ前記組成物が約1w/w%~約3w/w%の滑剤および約0.4w/w%~約0.6w/w%の香味修飾剤を含む、態様3に記載の組成物。
態様10
旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物であって、
a.前記錠剤の総重量の約4w/w%~約5w/w%の量である治療有効量のオクラシチニブマレイン酸塩、
b.ブタ肝臓に由来する少なくとも1つの動物ベースのパラタント、
c.ビール酵母である少なくとも1つの非動物ベースのパラタント、
d.崩壊剤、結合剤、湿潤剤、滑沢剤、滑剤、および香味修飾剤の1つずつである少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤
を含み、
かつ前記ソフトチュアブル錠剤が回転式錠剤プレスを用いて圧縮されている、
組成物。
態様11
前記ブタ肝臓が粉末化されており、かつ前記錠剤の総重量の約46w/w%~約52w/w%の量であり、かつ前記ビール酵母が前記錠剤の総重量の約11w/w%~約14w/w%の量である、態様10に記載の組成物。
態様12
前記少なくとも1つの崩壊剤が、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、またはこれらの混合物からなる群から選択され、かつ前記錠剤の総重量の約10w/w%~約15w/w%の量であり、前記少なくとも1つの結合剤が、ポリエチレングリコール3350、キサンタンガム、またはこれらの混合物からなる群から選択され、かつ前記錠剤の総重量の約5w/w%~約7w/w%の量であり、前記少なくとも1つの湿潤剤がグリセロールであり、かつ前記錠剤の総重量の約11w/w%~約14w/w%の量であり、前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセロール、またはこれらの混合物からなる群から選択され、かつ前記錠剤の総重量の約1w/w%~約2w/w%の量であり、前記少なくとも1つの滑剤が前記錠剤の総重量の約1w/w%~約3w/w%の量のコロイド状二酸化ケイ素であり、かつ前記香味修飾剤が前記錠剤の総重量の約0.4w/w%~0.6w/w%の量の塩化ナトリウムである、態様11に記載の組成物。
態様13
旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物であって、
a.前記錠剤の総重量の約4w/w%の量の治療有効量のオクラシチニブマレイン酸塩、
b.動物ベースのパラタントおよび非動物ベースのパラタントを含む前記錠剤の総重量の約55w/w%~約70w/w%の量のパラタントの混合物、
c.ポリエチレングリコール3350およびキサンタンガムから選択される前記錠剤の総重量の約5w/w%~約7w/w%の量の結合剤の混合物、
d.クロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムを含む前記錠剤の総重量の約8w/w%~約18w/w%の量の崩壊剤の混合物、
e.前記錠剤の総重量の約11w/w%~約14w/w%の量の湿潤剤グリセロール、
f.前記錠剤の総重量の約0.4w/w%~約0.6w/w%の量の香味修飾剤、
g.前記錠剤(the table)の総重量の約1w/w%~約3w/w%の量の滑剤コロイド状二酸化ケイ素
を含み、
かつ前記ソフトチュアブル錠剤が回転式錠剤プレスで圧縮されている、
組成物。
態様14
伴侶動物におけるがん、喘息、アトピー性皮膚炎、自己免疫障害、アレルギー性皮膚炎と関連付けられる掻痒、アレルギー、および慢性呼吸器疾患の治療または予防のための旨味ソフトチュアブル錠剤獣医学的組成物の使用であって、前記組成物が、
a.治療有効量のオクラシチニブ、
b.動物ベースのパラタント、非動物ベースのパラタント、および香味修飾剤、
c.ならびに崩壊剤、結合剤、湿潤剤、滑沢剤、および滑剤の少なくとも1つずつ
を含み、
かつ前記ソフトチュアブル錠剤が回転式錠剤プレスで圧縮されている、
使用。
態様15
イヌである伴侶動物におけるアレルギー性皮膚炎と関連付けられる掻痒およびアトピー性皮膚炎の治療または予防のための、態様14に記載の使用。
定義
本出願において記載およびクレームされるような本発明の目的のために、以下の用語および語句は以下のように定義される。
【0027】
「動物」は、本明細書において使用される場合、他に指し示されなければ、分類学的クラス動物界のメンバーである非ヒトの脊椎動物を指す。動物の非排他的な例としては、伴侶動物および家畜動物が挙げられる。伴侶動物の非排他的な例としては、イヌ(イヌ科動物)、ネコ(ネコ科動物)、およびウマ(ウマ科動物)が挙げられる。好ましい伴侶動物はイヌおよびネコである。イヌがより好ましい。家畜動物の非排他的な例としては、ブタ、ヤギ、ヒツジ、およびウシが挙げられる。該用語はまた、他の動物、例えば、シカ、フェレット、モルモット、ウサギ、動物園動物(例えば、クマ、大型ネコ科動物、ラクダ、およびカンガルーなど)を指す。
【0028】
「少なくとも1つ」は、本明細書において使用される場合、他に指し示されなければ、1つまたは複数の剤を指し、例えば、少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤は1つの賦形剤を意味し、それはまた、2つの賦形剤、3つの賦形剤、および4つの賦形剤などを指す。
【0029】
「本発明の組成物」、または「組成物」は、本明細書において使用される場合、他に指し示されなければ、動物、好ましくはイヌ科動物、ネコ科動物、またはウマ科動物への経口投与が意図された安定な、旨味のある、ソフトチュアブル組成物を指す。
【0030】
「治療有効量」は、本明細書において使用される場合、他に指し示されなければ、治療されている動物において1つまたは複数の症状を治療し、予防し、減弱させ、寛解させ、遅延させ、または排除する活性剤または活性剤の組合せの量を指す。
【0031】
「治療」、および「治療する」などは、本明細書において使用される場合、他に指し示されなければ、例えば、掻痒(pruritis)、喘息、およびアレルギー性皮膚炎などを逆転させ、和らげ、または阻害することを指す。本明細書において使用される場合、これらの用語はまた、動物の状態に依存して、障害もしくは状態、または障害もしくは状態と関連付けられる症状の開始を予防することを包含し、これには、障害もしくは状態またはそれと関連付けられる症状の重症度を前記状態の罹患前に低減させることが含まれる。そのため、治療は、投与の時点において前記状態に罹患していない動物への少なくとも1つの獣医学的剤を含む組成物の投与を指すことができる。治療はまた、それと関連付けられる症状の再発を予防することを包含する。
【0032】
「獣医学的に許容される」は、本明細書において使用される場合、他に指し示されなければ、物質または組成物が、製剤、組成物、および/またはそれを用いて治療されている動物を含む他の成分と、化学的および/または毒物学的に適合性であることを指し示す。
【0033】
本明細書において使用される場合、組成物の成分のパーセントはチュアブル錠剤の総重量のパーセンテージを指し、「%w/w」または「w/w%」として言及され、これは、式mi/mtot×100(式中、miは組成物中に存在する目的の物質の質量であり、mtotは組成物の総質量である)にしたがって決定される、パーセンテージとして表現される組成成分の質量比率を定義する。w/w%はまた、顆粒化混合物中の活性成分または他の組成成分の量、例えば、チュアブル顆粒化におけるパラタントの量を定義する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、治療有効量の獣医学的に許容される活性剤の経口投与用の安定な、旨味のある、ソフトチュアブル組成物であって、前記チュアブル錠剤が回転圧縮式錠剤プレスで圧縮されている、組成物を提供する。
【0035】
錠剤プレスは、均一なサイズおよび重量の錠剤に粉末(すなわち、顆粒化およびまたはブレンド物)を圧縮する機械的デバイスである。錠剤を形成させるために、顆粒化される材料は、2つのパンチおよびダイにより形成されるキャビティ中に計量されなければならず、次に大きな力を用いてパンチをプレスして材料を一緒になるように融合させなければならない。錠剤は、2つのパンチおよびダイの組み合わせたプレス行為により形成される。典型的な操作の第1の工程において、顆粒化されるフィードストックが供給されるキャビティを作出するダイに底部パンチを降ろす。下パンチの正確な深さは、キャビティを満たす粉末の量を計量するために精密に制御することができる。過剰分をダイの上部からかき取り、下パンチを引き下ろし、一時的にカバーして漏出を防止する。次に、カバーを取り外しつつ上パンチを降ろして粉末と接触させる。圧縮の力が高圧力の圧縮ロールにより伝えられ、顆粒化した材料は硬化した錠剤となるように融合される。圧縮後に、下パンチを上げて錠剤を排出する。
【0036】
2種類の錠剤プレス:シングルパンチおよび回転式錠剤プレスがある。最高速度の錠剤プレスは、任意の数のパンチを保持する回転タレットの形態をとる。パンチがタレットの周りを回転する際に、パンチは、パンチの鉛直位置を制御するカムと接触する。パンチおよびダイは各応用のために通常カスタムメードされ、多様なサイズ、形状において作ることができ、製造者コードおよびスコアリングラインを用いてカスタマイズすることができる。錠剤サイズ、形状、材料、およびプレス構成に依存して、典型的な現代のプレスは、1時間に250000個から1000000個を超える錠剤を製造することができる。錠剤プレスの一般的な製造者としては、Natoli、Stokes、Fette Compacting、Korsch、Kikusui、Manesty、B&D、PTK、IMAおよびCourtoyが挙げられる。
【0037】
ソフトチュアブル錠剤は、典型的には、蝋状の、油状のドウを使用して、ブレンディングおよび押出し、ブレンディングおよびノックアウト、ならびに注入モールドの使用により製造されている。押出しのために、予備混合された成分は、シングルまたはツインスクリューを有する押出機バレルに導入され、次に混合、凝固、膨張およびせん断でブレンド混合物とされ、続いて適切な押出しのために追加の熱または水が適用される。ブレンドおよび押出しされた混合物は次にダイプレート上で所望の形状に成形され、個々のユニットに切断される。押出しされた材料のバッチ毎の咀嚼物の触感、形状および重量は一貫性がなく、効率を欠く傾向があり得る。
【0038】
回転式成形機(例えば、Formax CorporationによるFormax F6(商標))は、回転式モールドローラーの間のドウの移動およびモールドからの除去によりパンチ機構なしで働く。射出成形は、高圧力、および潜在的に高温、材料を任意の所望の形状に成形するモールドへの原材料の注入からなる。それは、同じパーツが連続して何千またはさらには何百万回も作出される大量製造方法において最も典型的に使用される。モールドは、単一キャビティまたは複数キャビティのものであり得る。複数キャビティのモールドにおいて、各キャビティは同一で同じパーツを形成することができ、または独特で単一サイクルの間に複数の異なる幾何形状を形成することができる。一般に、最終製造物をモールドから移動させなければならない。押出機、成形機および回転式成形機の使用は、最終投薬形態の重量および物理的形態と関連付けられる問題を呈する。さらに、そのような技術の使用は、形成される構造物の形状および構造の強化(consolidation)のために最終投薬形態のコンディショニング(例えば、最終の形成された構造の乾燥または硬化)を要求することがある。そのような技術、機器および方法の使用は、複雑、面倒であり、また典型的な薬学的経口固体投薬形態製造装置において伝統的に使用されるものではない。
【0039】
本明細書に記載されるように、安定な、旨味のある、ソフト咀嚼錠は、標準的な回転式錠剤圧縮機を用いて圧縮される。
【0040】
本発明によれば、好ましい獣医学的に許容される活性剤は、オクラシチニブ、またはその獣医学的に許容される塩である。オクラシチニブは、式1:
【化1】
の化合物であり、化学名:N-メチル-1-{トランス-4-[メチル(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ]シクロヘキシル}メタンスルホンアミドを有する。式(1)の化合物およびその商用の塩、マレイン酸塩は、本明細書においてApoquel(登録商標)と称され、上記に描写される。
【0041】
オクラシチニブの追加の獣医学的に許容される塩としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、ケトグルタル酸塩(etoglutarate)、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩が挙げられるがこれらに限定されない。
【0042】
Apoquelは、ヤヌスキナーゼ-1(JAK-1)、ヤヌスキナーゼ-2(JAK-2)およびヤヌスキナーゼ-3(JAK-3)、特にJAK-1に対して有効性を有する、ヤヌスキナーゼ阻害剤(JAK-i)である。よって、それは、がん、喘息、アトピー性皮膚炎、自己免疫障害、掻痒の制御、アレルギー、慢性呼吸器疾患、ならびに免疫抑制および/または免疫調節が所望される他の適応症の治療剤として有用である。好ましい使用は、伴侶動物、特にイヌにおける、アレルギー性皮膚炎と関連付けられる掻痒の制御およびアトピー性皮膚炎の制御のためのものである。
【0043】
よって、式1の化合物またはその獣医学的に許容される塩および獣医学的組成物は、以下のものなどの様々な状態または疾患を治療するために使用することができる:
- 喘息および他の閉塞性気道疾患、例えば、慢性または難治性喘息、遅発性喘息、気道過敏症、気管支炎、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息、回帰性気道閉塞、および慢性閉塞性肺疾患;
- 自己免疫疾患または障害、例えば、単一臓器または単一細胞種自己免疫障害として指摘されるもの、例えば、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血の自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性睾丸炎、自己免疫性血小板減少症、交感性眼炎、潰瘍性大腸炎および膜性糸球体症、全身性自己免疫障害を伴うとして指摘されるもの、例えば、全身性ループスエリトマトーデス(systemic lupus erythematosis)、全身性硬化症、および水疱性類天疱瘡、変形性関節症(すなわち、関節変性疾患)、非びらん性免疫媒介性多発性関節炎、外傷性関節炎、ならびにO細胞(液性)ベースまたはT細胞ベースであり得る追加の自己免疫疾患、例えば、自己免疫性脱毛症および甲状腺炎;
- がんまたは腫瘍、例えば、消化管/胃腸管がん、結腸がん、肝臓がん、皮膚がん、例えば、肥満細胞腫瘍および扁平細胞癌、乳がん(breast cancerおよびmammary cancer)、卵巣がん、前立腺がん、リンパ腫、白血病、例えば、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病、腎臓がん、肺がん、筋肉がん、骨がん、膀胱がん、脳がん、黒色腫、例えば、口腔および転移性黒色腫、カポジ肉腫、骨髄腫、例えば、多発性骨髄腫、骨髄増殖性障害、増殖性糖尿病網膜症、ならびに血管新生関連障害、例えば、固形腫瘍;
- 目の疾患、障害または状態、例えば、目の自己免疫疾患、角結膜炎および乾性角結膜炎(ドライアイ);
- 腸の炎症、アレルギーまたは状態、例えば、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、および肥胖細胞症;
- 皮膚の疾患、状態または障害、例えば、アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬、強皮症、掻痒および他の掻痒性状態;
- アレルギー性反応、例えば、ウマアレルギー性疾患を含む動物におけるアレルギー性皮膚炎、例えば、咬傷過敏症、夏季湿疹および皮膚掻痒。
【0044】
式1の化合物は、単独、または動物の免疫系をモジュレートする1つもしくは複数の追加の剤もしくは抗炎症剤との組合せのいずれかで獣医学的に許容される形態(例えば、ソフト咀嚼錠)で投与されてもよい。これらの剤としては、サイクロスポリンA、ラパマイシン、FK-506(タクロリムス)、レフルノミド、デオキシスパガリン、ミコフェノレート、アザチオプリン、ダクリズマブ、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、および抗炎症性ステロイド(例えば、プレドニゾロンまたはデキサメタゾン)を挙げることができるがこれらに限定されない。これらの剤は、当業者に公知の標準的な獣医学的プラクティスにしたがって、同じまたは別々の投薬形態の部分として、同じまたは異なる投与経路を介して、同じまたは異なる投与スケジュールで投与されてもよい。
【0045】
本発明によれば、Apoquel(登録商標)の他に旨味ソフト咀嚼用組成物に製剤化され得る他の獣医学的活性JAK阻害剤としては、3-(3-((2-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)-3-オキソプロパンニトリルおよび1-((3R,4S)-4-シアノテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-3-((2-フルオロ-6-メトキシピリジン-4-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドが挙げられる。JAK阻害剤に加えて、以下の非限定的な獣医学的活性剤を本発明の旨味ソフト咀嚼用組成物と共に製剤化することができ、これには以下が含まれる:抗微生物剤/抗菌剤(例えば、キノロン、フルオロキノロン、セファロスポリン(第一、第二、第三、および第四世代)、テトラサイクリン、ペニシリン、β-ラクタム、マクロライド、フェニコール、パモ酸(エンボン酸)ピランテル、およびカルバペネムなど);抗寄生虫剤、例えば、イソオキサゾールアナログ(例えば、(S)-1-(5’-(5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3’H-スピロ[アゼチジン-3,1’-イソベンゾフラン]-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタン-1-オン(サロラネル);4-(5-(3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-N-(2-オキソ-2-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)エチル)-1-ナフトアミド(アフォキソラネル);4-(5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-2-メチル-N-(2-オキソ-2-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)エチル)-ベンズアミド(フルララネル);および3-メチル-N-{2-オキソ-2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル}-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロ-1,2-オキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミド(ロチラネル));大環状ラクトンおよびミルベマイシン(例えば、ドラメクチン、エプリノメクチン、イベルメクチン、モキシデクチン、およびミルベマイシンオキシムなど);抗原虫剤(例えば、メトロニダゾール、ドキシサイクリン、アンプロリウム、アトバコン、およびベンズニダゾールなど);抗真菌剤(例えば、ケトコナゾール、およびフルコナゾールなど);変力剤(例えば、ピモベンダン);神経剤(例えば、ガバペンチン、プレガバリン、ジアゼパム、およびフェノバルビタールなど);心臓血管剤(例えば、ACE阻害剤(例えば、ベナゼプリル、リシノプリル、アクプリル、およびラミプリルなど)、ベータ遮断剤(例えば、ナドロール(nadalol)、メトプロロール、アテノロール、およびプロプラノロールなど)、および5HT2B阻害剤);NSAIDおよび他の鎮痛剤(カルプロフェン、ケトプロフェン、デラコキシブ、フルニキシン、ニメスリド、フィロコキシブ、マバコキシブ、ロベナコキシブ、メロキシカム、トラマドール、アマンタジン、およびデキサメタゾンなど);甲状腺剤(例えば、レボチロキシン、およびメチマゾールなど);ステロイド(例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、およびデキサメタゾンなど);ならびに行動修飾剤および鎮静剤(例えば、ジアゼパム、キシラジン、アルプラゾラム、アセプロマジン、デトミジン、アミトリプチリン、クロミプラミン、およびミダゾラムなど)。
【0046】
本発明の好ましい態様では、組成物は、錠剤の総重量の約4w/w%~約5w/w%の量の活性獣医学的剤:オクラシチニブマレイン酸塩(Apoquel(登録商標))を含むまたは含有する。活性剤、オクラシチニブマレイン酸塩の好ましい量は約4w/w%(例えば、4.03w/w%)である。
【0047】
本発明の組成物は、少なくとも1つの動物ベースのパラタントおよび1つの非動物ベースのパラタントを含むまたは含有する。パラタントは、総錠剤重量の約55w/w%~約70w/w%の量である。パラタントは、肉および野菜などの天然の食品製品の香味を変更もしくは増強するため、またはスナックおよび経口医薬品などの所望の香味を有しない食品製品のための追加の香味を作り出すために使用される。パラタントのほとんどの種類は、匂いおよび味に焦点を合わせている。人工パラタントは、食品に香味付けするために使用される化学的に合成された化合物であり、多くの場合に、天然パラタント中に見出される同じ化学的化合物を用いて製剤化される。ほとんどの人工香味剤は、天然の香味を模倣または増強するための特異の天然に存在する香味化合物の特有かつ多くの場合に複雑な混合物である。これらの混合物は、食品製品に独特の香味を与え、かつ異なる製造バッチの間またはレシピ変更後に香味の一貫性を維持するために調香師により製剤化される。公知の香味剤のリストは数千の分子性化合物を含み、これらを組み合わせて、鶏肉、七面鳥肉、牛肉、豚肉、ラム肉、魚肉、卵、チーズ、海産食物、燻製、および多くの他のもののような香味を達成することができる。天然パラタントは、スパイス、果実もしくは果実ジュース、野菜もしくは野菜ジュース、食用酵母(活性および不活性)、植物の草木、樹皮、芽、根、葉もしくは任意の他の食用部分、肉、海産食物、家禽、卵、乳製品、またはこれらの発酵製品に由来する香味構成要素を含有する精油、オレオレジン、エッセンスもしくは抽出物、タンパク質加水分解生成物、蒸留物、または焙焼、加熱もしくは酵素性分解の任意の生成物として定義され、食品におけるその主要な機能は栄養よりむしろ香味付けである、スクロースのような甘味剤を含むことができる。天然パラタントとしては、鶏肉、七面鳥肉、牛肉、豚肉、ラム肉、魚肉、卵、チーズ、海産食物、野菜および植物性物質、酵母(例えば、ビール酵母)ならびにこれらの混合物が挙げられる。酵母抽出物もまた天然香味剤に含まれる。香味(味)修飾因子、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムもまた、本明細書においてパラタントとして解釈される。天然の肉パラタントは、肉、食肉製品、内臓肉、酵母抽出物、植物性物質、およびこれらの混合物から得ることができる。例えば、経口獣医学的組成物医薬は、動物製品ベースの香味剤、例えば、乾燥または粉末化した肉および肉部分、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉、七面鳥肉、魚肉、およびラム肉;内臓肉、例えば、肝臓および腎臓;肉粉、骨粉および粉砕した骨;ならびに動物由来食品、例えば、カゼイン、ミルク(乾燥形態および低脂肪形態、例えば、ドライスキムミルクを含むことができる)、ヨーグルト、ゼラチン、チーズおよび卵(総称的に「動物起源香味剤」)を含むことができ、これらを利用することができる。天然製品は、熱または他の種類の放射線、例えば、ガンマ放射線により滅菌されてもよく、または滅菌されなくてもよい。安定な、旨味のある、チュアブル組成物のための好ましいパラタントは天然の動物ベースのパラタントである。本発明の組成物は、チュアブル錠剤の総重量の約55w/w%~約70w/w%の量の少なくとも2つのパラタントを含むまたは含有する。組成物は、錠剤の総重量の約45w/w%~約55w/w%の量の少なくとも1つの動物ベースのパラタントを含むまたは含有する。好ましい動物ベースのパラタントは錠剤の総重量の約46w/w%~約52w/w%の量である。好ましい動物ベースのパラタントは錠剤の総重量の約48w/w%~50w/w%の量である。好ましい動物ベースのパラタントは内臓肉に由来する。好ましい内臓肉はブタ肝臓に由来する。好ましい動物ベースのパラタントはブタ肝臓粉末である。組成物は、錠剤の総重量の約10w/w%~約15w/w%、好ましくは錠剤の総重量の約11w/w/%~約14w/w%の非動物ベースのパラタントを含むまたは含有する。好ましくは、非動物ベースのパラタントは酵母である。好ましい酵母はビール酵母である。組成物はまた、錠剤の総重量の約0.4w/w%~約0.6w/w%の香味修飾剤を含むまたは含有する。好ましい香味修飾剤は塩化ナトリウムである。組成物は、錠剤の総重量の約48w/w%~約50w/w%の動物ベースのパラタント、約11w/w%~約14w/w%の非動物ベースのパラタントを含みまたは含有し、かつw/w%は錠剤の総重量に基づく。
【0048】
安定な、旨味チュアブル組成物は、少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤を含むまたは含有する。獣医学的に許容される賦形剤としては、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、滑剤、湿潤剤、抗酸化剤、および着色剤として解釈される賦形剤が挙げられる。ソフト咀嚼錠は、活性剤、オクラシチニブマレイン酸塩、動物ベースのパラタント、非動物ベースのパラタント、香味修飾剤、ならびに結合剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、および滑剤を少なくとも1つずつ含みまたは含有し、かつ回転式錠剤プレスを使用して圧縮されている。
【0049】
結合剤は、組成物に凝集性を加え、それにより、凝集物を形成するためおよび好適なコンパクトな錠剤形態を確実にするために必要な結合を提供するために使用される。これらの結合剤は直接圧縮錠剤において慣習的に使用されており、Liebermanら、Veterinary Dosage Forms、2 Ed.、Vol.1(1990)に記載されている。獣医学的に許容される結合剤の非限定的な例としては、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン(例えば、ポビドン(Kollidon 25、30、および90)およびコポビドン(Kollidon VA 64)、ポリエチレングリコール(PEG)、アカシア、コーンシロップ固体、トラガカントガム、キサンタンガム、ゼラチン、カルナバ蝋、アルギン酸塩、ならびにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。ポリエチレングリコール(PEG)は、工業生産から薬剤まで、多くの応用を有するポリエーテル化合物である。PEGは、その分子量に依存して、ポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレン(POE)としても公知である。PEGの構造は、H(OCH2CH2)nOH(式中、nは≧3の整数である)として一般的に表される。PEGはエチレンオキシドの重合により調製され、300g/mol~10000000g/molの広範囲の分子量にかけて商業的に入手可能である。PEGは商業的に入手可能である。9のnを有するPEGは約400ダルトン(g/モル)の平均重量を有し、好都合にはPEG400として標識される。同様に、45のnを有するPEGは約2000ダルトンの平均重量を有し、好都合にはPEG2000として標識される。PEG3350は、3350g/molの分子量を有するPEGである。それは、薬学および獣医学産業において一般的に使用される。本発明の組成物は、錠剤の総重量の約5w/w%~約7w/w%の少なくとも1つの結合剤を含むまたは含有する。本発明の組成物のための好ましい結合剤はPEG3350である。組成物は、錠剤の総重量の約0.3w/w%~約0.7w/w%、好ましくは錠剤の総重量の約0.4w/w%~約0.6w/w%、より好ましくは錠剤の総重量の約0.5w/w%の量の、トラガカントガム、キサンタンガム、アラビアガム、セルロースガム、グアーガム、ローカストビーンガム、またはこれらの混合物からなる群から選択されるガム、好ましくはキサンタンガムである少なくとも1つの結合剤をさらに含むまたは含有する。組成物は、錠剤の総重量の約5w/w%~約6w/w%のPEG3350を含むまたは含有する。
【0050】
安定な、旨味組成物は、崩壊剤である少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤を含みまたは含有し、崩壊剤は、投薬形態が、湿潤時により容易に膨張および溶解しかつ/または咀嚼されている間に解体するための手段を提供する。崩壊剤は直接圧縮錠剤において慣習的に使用されており、Liebermanら、Veterinary Dosage Forms、2 Ed.、Vol.1、(1990)に記載されている。獣医学的に許容される崩壊剤の非排他的な例としては、アルファ化および加工デンプンを含むデンプン、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、グアーガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、キトサン、クロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac-Di-Sol(登録商標))、およびデンプングリコール酸ナトリウムなど、ならびにこれらの混合物が挙げられる。好ましい崩壊剤は、デンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、およびデンプングリコール酸ナトリウム、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましい崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドン、またはこれらの混合物である。最も好ましい崩壊剤は、クロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムの混合物である。組成物中の崩壊剤の量は錠剤の総重量の約8w/w%~約18w/w%である。組成物中の崩壊剤の好ましい量は錠剤の総重量の約10w/w%~約15w/w%である。組成物は、錠剤の総重量の約4w/w%~約9w/w%のクロスポビドンおよび錠剤の総重量の約4w/w%~約9w/w%のデンプングリコール酸ナトリウムを含むまたは含有する。
【0051】
安定な、旨味組成物は、湿潤剤である少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤を含むまたは含有する。湿潤剤は、組成物に水分を付与するという点で吸湿性であると考えられる。組成物用の湿潤剤の非限定的な例としては、グリセリン(グリセロール)、ヒアルロン酸、ソルビトール、尿素、アルファヒドロキシ酸、糖、乳酸、プロピレングリコール、三酢酸グリセリル、塩化リチウム、ポリオール、例えば、ソルビトール、キシリトールおよびマルチトール、ポリマーポリオール、例えば、ポリデキストロース、天然抽出物、例えば、キラヤ、アジピン酸、乳酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸およびリノール酸のヘキサデシル、ミリスチル、イソデシルおよびイソプロピルエステルの他に、それらの対応するアルコールエステルの多く(例えば、イソステアロイル-2-乳酸ナトリウム、カプリル乳酸ナトリウム(sodium capryl lactylate))が挙げられるがこれらに限定されない。好ましい湿潤剤はグリセロールであり、錠剤の総重量の約10w/w%~約15w/w%の量である。湿潤剤の好ましい量は錠剤の総重量の約11w/w%~約14w/w%である。
【0052】
安定な、旨味組成物は、滑沢剤である少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤を含むまたは含有する。滑沢剤は、粒子間摩擦を低減させることにより製造物の流動性を増強するためならびに組成成分の凝集および錠剤パンチへの固着を防止するために使用される。滑沢剤はまた、錠剤の形成および排出が錠剤およびダイ壁の間の低い摩擦と共に起こり得ることを確実にする。滑沢剤の非限定的な例としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセリル、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム(sodium olete)、酢酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましい滑沢剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム、およびモノステアリン酸グリセリルが挙げられる。より好ましい滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセロール、およびこれらの混合物である。組成物は、錠剤の総重量の約1w/w%~約2w/w%の量の滑沢剤としてのモノステアリン酸グリセロールおよびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0053】
安定な、旨味組成物は、滑剤である少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤を含むまたは含有する。滑剤は、粒子間の摩擦および凝集を低減させることにより粉末の流動性を促進するために使用される。これらは、ダイ壁の摩擦を低減させる能力を有しないので、滑沢剤と組み合わせて使用される。例としては、フュームドシリカ、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、および炭酸マグネシウムが挙げられる。好ましい滑剤はコロイド状二酸化ケイ素であり、錠剤の総重量の約1w/w%~約3w/w%の量である。組成物中の滑剤の好ましい量は錠剤の総重量の約1.5w/w%~約2.5w/w%である。
【0054】
安定な、旨味組成物は、抗酸化剤である少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤をさらに含むまたは含有することができる。抗酸化剤の非排他的な例としては、アスコルビン酸、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンE誘導体、メタ重亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル(ascrobyl palmitate)、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(butylated hydroxanisole)(BHA)、およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、およびチオグリセロールなど、ならびにこれらの混合物が挙げられる。好ましい抗酸化剤としては、BHA、BHT、クエン酸、および没食子酸プロピル、ならびにこれらの混合物が挙げられる。組成物中の抗酸化剤の量は錠剤の総重量の約0w/w%~約0.05w/w%の範囲内であり得る。
【0055】
安定な、旨味組成物はまた、着色剤である少なくとも1つの獣医学的に許容される賦形剤を含むまたは含有することができる。着色剤は、組成物の物理的外観を増強するために組成物に加えることができ、錠剤の総重量の約1w/w%(またはそれ未満)の量であり得る。
【0056】
安定な、旨味組成物は、一般の顆粒化、ブレンディング、粉砕、ふるい分け、圧縮、および包装手順により製造され得る同じw/w%値の活性剤、パラタント、および賦形剤を用いて異なる錠剤サイズに錠剤化され得る一般的なブレンド物として調製される。
【0057】
本発明の組成物は、一般的なブレンド物の製造および回転圧縮を介する錠剤化のための公知の手順により調製され得る。
【0058】
結合剤溶液は、約90~100℃の温度で結合剤、PEG3350を滑沢剤(モノステアリン酸グリセリル)およびグリセロールと共に融解および混合して結合剤溶液(A)を調製することにより調製される。代替的に、グリセロール中に可溶化したキサンタンガムを含有する第2の結合剤溶液を調製して結合剤溶液(B)を調製することができる。活性香味付け乾燥ブレンド顆粒化は、高せん断造粒機において活性剤(例えば、オクラシチニブマレイン酸塩)をパラタント、崩壊剤、結合剤(キサンタンガム)、香味修飾剤、および滑剤と共に混合(ブレンド)および顆粒化することにより調製される。乾燥ブレンド物は粉砕され、次に結合剤溶液(A)と混合されて湿潤顆粒化が調製される。代替的に、活性香味付け乾燥ブレンド顆粒化は、結合剤溶液(A)の添加およびさらなる混合の前にグリセロールの部分と最初に混合されて湿潤顆粒化が調製される。追加的に、活性香味付け乾燥ブレンド顆粒化(結合剤なし)を結合剤溶液(A)および(B)と混合して湿潤顆粒化を調製することができる。湿潤顆粒化は粉砕され、次に流体床ドライヤー中約45℃~65℃で約1~3時間硬化される。滑剤、パラタント、および崩壊剤を含む余剰顆粒状組成物を、一緒になるように成分をブレンドすることにより調製し、次に粉砕した。硬化した活性香味付け顆粒化および余剰顆粒状組成物を低せん断ビン型ブレンダー中で一緒になるようにブレンドし、滑沢剤をふるいにかけてブレンド物に加える。最終ブレンド物は次に、回転式錠剤プレスを使用して圧縮される。最終錠剤をHDPEボトルおよび/またはブリスター中に包装した。
【0059】
完成した錠剤は、錠剤の総重量の約4.03w/w%のオクラシチニブマレイン酸塩を含む。錠剤サイズに依存して、好ましい錠剤強度は、錠剤当たり3.6mg、5.4mg、および16.0mgのオクラシチニブである。さらに、この組成物は一般的なブレンド物であるので、圧縮の間の錠剤ダイのサイズを変更することにより、追加の分数量、例えば、2.5、7.7、12.3、16.6、および22.3などを含めて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、7、18、19、20、21、22、23、24、および25mgなどの任意のオクラシチニブを有するように錠剤を調製することができる。
【0060】
イヌにおけるオクラシチニブの治療有効用量は、1日2回14日間まで経口投与され、次に維持療法のために1日1回投与される0.4~0.6mg/kg体重である。イヌの体重に依存して、単一のチュアブル錠剤を投与することができ、または複数の錠剤を投与して、有効なmg/kg用量がより大型種のイヌに投与されることを確実にすることができる。追加的に、適切な用量をネコ、ウマ、および他の動物に投与することができ、これらの用量は、動物および非イヌ科動物におけるオクラシチニブの半減期薬物動態に依存して異なってもよく、0.1~1mg/kg体重の範囲内であり得る。
【0061】
一般的ブレンド物apoquelチュアブル組成物からの平均錠剤加工中結果を表1に示す。
【表1】
【実施例】
【0062】
組成物の実施例
本発明を以下の実施例によりさらに説明し、該実施例は、本発明を実例を以ってさらに説明するものであり、本発明の範囲を限定することは意図されず、そのように解釈されるべきではない。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0063】
生物学
オクラシチニブマレイン酸塩を含有する旨味ソフト咀嚼用組成物を調製し、旨味性および安定性について評価した。
【0064】
旨味性
旨味性を評価するために、成熟した3~9歳齢のビーグル犬(N=48)を2シークエンス2期間クロスオーバーデザイン研究に無作為に割り当てた。動物にプラセボ(T01)ソフト咀嚼錠または5.4mgのApoquel(登録商標)を含有する試験ソフト咀嚼錠(T02-組成物1)を与えた。1つの錠剤を各群のイヌ(N=24/群)に連続する3日間1日毎に自由な経口消費のために与えた。プラセボ(T01)およびApoquel(登録商標)(T02)ソフト咀嚼錠の忍容性はそれぞれ79.9%および78.5%であった。
【0065】
別の旨味性研究において、>1歳齢の雑種イヌ(N=96)を4期間クロスオーバーデザイン研究に無作為に割り当てた。動物にプラセボ(T01)ソフト咀嚼錠または5.4mgのApoquel(登録商標)を含有する試験ソフト咀嚼錠[T02-組成物1;T03-組成物2;およびT04-組成物3]を与えた。1つの錠剤を各群のイヌ(N=24/群)に連続する3日間1日毎に自由な経口消費のために与えた。プラセボおよびApoquel(登録商標)ソフト咀嚼錠の忍容性は、85%(T01)、84%(T02)、83%(T03)、および83%(T04)であった。全体的に、オクラシチニブを含有する組成物は旨味があった。
【0066】
安定性
ソフト咀嚼錠は、3.6mg、5.4mg、および16mgのソフト咀嚼錠についてHDPEボトル中40℃/75%の相対湿度において1および2か月時に安定であることが示され、アッセイ(ラベルクレームの%)結果は98.3~101.5%に及んだ。