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特許7442544ステンシル装置および熱交換器プレートにろう材をステンシル印刷する方法およびその使用
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  • 特許-ステンシル装置および熱交換器プレートにろう材をステンシル印刷する方法およびその使用 図1
  • 特許-ステンシル装置および熱交換器プレートにろう材をステンシル印刷する方法およびその使用 図2a
  • 特許-ステンシル装置および熱交換器プレートにろう材をステンシル印刷する方法およびその使用 図2b
  • 特許-ステンシル装置および熱交換器プレートにろう材をステンシル印刷する方法およびその使用 図2c
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】ステンシル装置および熱交換器プレートにろう材をステンシル印刷する方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/00 20060101AFI20240226BHJP
   B23K 3/06 20060101ALI20240226BHJP
   B41F 15/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
B23K3/00 310G
B23K3/06 W
B41F15/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021557279
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 SE2020050339
(87)【国際公開番号】W WO2020204798
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】1950419-0
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502298310
【氏名又は名称】スウェップ インターナショナル アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】アンデション スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ダールベルク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ボルネゴード ニクラス
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503655(JP,A)
【文献】特開2014-185803(JP,A)
【文献】特開2000-161877(JP,A)
【文献】実開平07-002775(JP,U)
【文献】特開2000-337789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00 - 3/08、31/02、33/00
B41F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器プレート(200)の隆起(R)、ポート開口部を囲む領域、および周辺スカート(210)に、ろう材を同時にステンシル印刷するためのステンシル装置(100,150)であって、前記ステンシル装置が、前記熱交換器プレートの隆起(R)、およびポート開口部を囲む領域に、ろう材を適用するための開口部(120,130)を有する上部ステンシル(100)と、前記熱交換器プレート(200)を受け入れて前記熱交換器プレートの前記周辺スカートの外周に接触するための大開口部(190)を有するステンシルを印刷する下部ステンシル(150)と、を備え、前記大開口部(190)の内面(195)は、前記周辺スカートにろう材を適用するためのろう材出口(180)を備えることを特徴とする、ステンシル装置。
【請求項2】
請求項1に記載のステンシル装置であって、前記隆起(R)は、隣り合う熱交換器プレート(200)の交差する溝部(G)との接触点を形成するように適合された隆起部である、ステンシル装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のステンシル装置であって、ろう材をろう材出口(180)に運ぶために、カナル(160)が、上部ステンシル(100)の周辺開口部(140)と、ろう材出口(180)と、の間に配置されている、ステンシル装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のステンシル装置であって、前記上部ステンシル(100)は、シートメタル、ゴム、プラスチックまたは布から製造されている、ステンシル装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のステンシル装置であって、前記上部ステンシル(100)の開口部(120)は、対にして配置され、各対の各開口部は、隣り合う熱交換器プレートの溝部と、隆起部との間の接触点に近接して位置するが、その接触点に位置しないように、配置される、ステンシル装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のステンシル装置であって、前記ステンシルを印刷する下部ステンシル(150)は、高密度物質(例えば、プラスチックや金属)から作られ、熱交換器プレート(200)の周辺スカート(210)の高さを超える厚さTを有する、ステンシル装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のステンシル装置であって、前記ステンシルを印刷する下部ステンシル(150)の前記内面(195)は、ろう材が適用される前記熱交換器プレートの周辺スカート(210)の外面と前記内面との間でろう材が漏れるのを防ぐために、弾性材料で覆われている、ステンシル装置。
【請求項8】
請求項7に記載のステンシル装置であって、前記弾性材料は、前記周辺スカートの前記外面への緊密な適合を確保するために膨張可能である、ステンシル装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のステンシル装置であって、印刷される前記熱交換器プレートをホストするように適合されたトレイの少なくとも1つの隆起部分を、さらに備え、前記少なくとも1つの隆起部分は、前記熱交換器プレート(200)の前記周辺スカート(210)の内周に対応する外周を有する、ステンシル装置。
【請求項10】
請求項9に記載のステンシル装置であって、前記隆起部分には、前記熱交換器プレートを所定の位置に保持するための手段が設けられている、ステンシル装置。
【請求項11】
請求項10に記載のステンシル装置であって、前記手段は、前記プレートを所定の位置に保持する真空である、ステンシル装置。
【請求項12】
請求項10に記載のステンシル装置であって、前記手段は、前記隆起部分の前記外周から横方向に延びる引き込み可能なロックピンであり、前記ロックピンは、前記熱交換器プレートを前記隆起部分にロックするために前記周辺スカート(210)の前記内周に係合し、前記熱交換器プレートを前記隆起部分から解放するために引き込まれる、ステンシル装置。
【請求項13】
ろう付けされる熱交換器プレートにろう材コーティングを適用するための請求項1から12のいずれか1項に記載のステンシル装置の使用。
【請求項14】
熱交換器プレート(200)の隆起(R)、ポート開口部を囲む領域、および周辺スカート(210)にろう材を同時にステンシル印刷する方法であって、前記方法は、
前記熱交換器プレート(200)をステンシルを印刷する下部ステンシル(150)の開口部(190)に配置して、前記ステンシルを印刷する下部ステンシル(150)の内面を前記熱交換器プレートの前記周辺スカート(210)の外周に接触させるステップと、
上部ステンシル(100)を前記熱交換器プレートに配置するステップと、
前記上部ステンシル(100)の開口部(120,130)を通して前記熱交換器プレートのポート開口部を囲む領域および隆起(R)にろう材を適用するステップと、
前記ステンシルを印刷する下部ステンシル(150)の前記内面(195)のろう材出口(180)を通して前記周辺スカート(210)にろう材を適用するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記上部ステンシル(100)の周辺開口部(140)と、前記ろう材出口(180)と、の間に配置されたカナル(160)によって、ろう材を前記ろう材出口(180)に運ぶステップを含む、方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器プレートの隆起部、ポート開口部を囲む領域、および周辺スカートにろう材を同時にステンシル印刷するステンシル装置に関する。本発明は、そのような装置の使用に、および熱交換器プレートにろう材を印刷する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ろう付けプレート熱交換器は、一般に、プレートを互いに距離を保つように適合された隆起部および溝部のプレスされたパターンを備えたシートメタルから作られたプレートから製造され、熱交換する媒体のためのプレート間流路がプレート間に形成されるようになっている。プレートを共に保持するために、それらは、隣り合うプレートの隆起部と溝部との間の接点で互いにろう付けされる。ポート開口部が、多くの場合熱交換器プレートの角部付近に、設けられ、ポート開口部を囲む領域が、ポート開口部とプレート間流路との間の選択的流体連通が実現するように、異なる高さに設けられる。
【0003】
熱交換する流体が、熱交換器プレートによって形成されたプレート間流路から逃げないように、プレート間流路をシールするために、ある種の周辺シールが必要である。多くの場合、周辺シールは、各プレートの周辺に沿って延びるスカートによって提供される。スカートは、熱交換器プレートの平面に対して垂直に近い平面に延び、互いに重なり合って接触するように適合され、従って周辺シールを提供する。
【0004】
ろう付け熱交換器を製造する場合、共にろう付けされることになっている表面にろう材を提供することが必要であり、すなわち、多くの場合、そのようなろう材は、熱交換器プレート間にろう材の箔(例えば、熱交換器プレートがステンレス鋼から作られている場合は、銅またはニッケル)を配置することによって提供される。
【0005】
しかしながら、基材、すなわち熱交換器プレートが製造される材料が、ろう材よって溶解される場合(例えば、融点降下剤を含む鉄系ろう材が、ステンレス鋼製の熱交換器プレートをろう付けするのに使用される場合)、ろう材を箔状で提供することは多くの欠点がある。そのようなろう材/基材の組み合わせを用いる場合、それ故に、熱交換器プレート間の接点にまたはその近傍にろう材を提供するのが一般的である。
【0006】
そのようなろう材を熱交換器プレートに提供する効率的な方法の1つは、熱交換器プレートにろう材をステンシル印刷することである。例えば、特許文献1を参照されたい。別の日本の特許公報である特許文献2は、熱交換器プレートの周辺に配置されたフラットろう付けシール縁のステンシル印刷を開示している。しかしながら、ステンシル印刷によって周辺「スカートシール」にろう材を供給することは今までできなかった。むしろ、そのようなスカートシールは、今まで、分配、はけ塗り、噴霧、または塗料様スラリー中に分配されたろう材のプールに、スカートを浸漬することによって、ろう材が適用されてきた。これは、生産経済の点で欠点である。
【0007】
本発明の目的は、ステンシル印刷によって周辺に延びるスカートにろう材を適用する方法を提供することである。本発明の別の目的は、そのようなステンシル印刷を可能にするステンシルを提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第337789号公報
【文献】特開平09178384号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、熱交換器プレートの隆起、ポート開口部を囲む領域、および周辺スカートに、ろう材を同時にステンシル印刷するためのステンシル装置を提供することによって、ステンシル装置が、熱交換器プレートの隆起、およびポート開口部を囲む領域に、ろう材を適用するための開口部を有する上部ステンシルと、熱交換器プレートを受け入れて熱交換器プレートの周辺スカートの外周に接触するための大開口部を有する下部印刷ステンシルとを備えているという点において、上記および他の問題を解決する。大開口部の内面は、周辺スカートにろう材を適用するためのろう材出口を備える。
【0010】
ろう材出口にろう材を供給するために、カナルが、上部ステンシルの周辺開口部とろう材出口との間に配置されてよく、ろう材が、周辺開口部からカナルを通してろう材出口に押されるようになっている。
【0011】
ステンシル装置の製造を容易にするために、上部ステンシルは、シートメタル、ゴム、プラスチック、布などから製造されてよい。
【0012】
ろう材の必要量を最小限にするために、上部ステンシルの開口部は、対にして配置されてよい。各対の各開口部は、隣り合う熱交換器プレートの窪みと、隆起との間の接触点に近接して位置するが、その接触点に位置しないように、配置される。
【0013】
ステンシルを印刷する下部ステンシルは、高密度物質(例えば、プラスチックや金属)から作られてよく、それは、熱交換器プレートの周辺スカートの高さを超える厚さを有する。
【0014】
ステンシルを印刷する下部ステンシルの内面は、ろう材が適用される熱交換器プレートの周辺スカートの外面と前記の内面との間でろう材が漏れるのを防ぐために、弾性材料で覆われてよい。
【0015】
さらに、弾性材料は、周辺スカートの外面への緊密な適合を確保するために膨張可能であってよい。
【0016】
本発明の一実施形態では、隆起は、熱交換器プレートが互いの上部に積み重ねられたときに、隣り合うプレートの溝部との接触を形成するように適合された隆起部の形態であってよい。
【0017】
また、熱交換器プレートの隆起、ポート開口部を囲む領域、および周辺スカートにろう材を同時にステンシル印刷する方法も開示され、その方法は、熱交換器プレートをステンシルを印刷する下部ステンシルの開口部に配置して、ステンシルを印刷する下部ステンシルの内面を熱交換器プレートの周辺スカートの外周に接触させるステップと、上部ステンシルを熱交換器プレートに配置するステップと、上部ステンシルの開口部を通して熱交換器プレートのポート開口部を囲む領域および隆起にろう材を適用するステップと、ステンシルを印刷する下部ステンシルの内面のろう材出口を通して周辺スカートにろう材を適用するステップと、を含む。
【0018】
ろう材は、上部ステンシルの周辺開口部とろう材出口との間に配置されたカナルによって、ろう材出口に運ばれることができる。
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態によるステンシル装置の上部ステンシルの平面図である。
図2a図1の上部ステンシルと、一実施形態によるステンシルを印刷する下部ステンシルとを備えるステンシル装置の断面図である。
図2b図2aの円で示された領域の拡大断面図である。
図2c図2a-2bのステンシル装置の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
当業者によく知られているように、ステンシル印刷は技術である。ステンシルは、印刷される物品と印刷材料のアプリケータとの間に設けられる。開口部がステンシルに設けられ、印刷材料が、穴が設けられている場所で印刷される物品に適用されるようになっている。
【0022】
「先行技術」の部分で述べたように、本発明は、ろう付け熱交換器に備えられる熱交換器プレートにろう材を適用する方法および装置を提供することを目的とする。ろう付け熱交換器は、当業者によく知られており、隣り合うプレートの隆起部および溝部に接触するように適合された隆起部および溝部のプレスパターンが設けられた多数の熱交換器プレートを備え、熱交換器プレートが、熱交換する媒体のためのプレート間流路の形成下で互いに距離を保つようになっている。プレート間流路は、各熱交換器プレートに設けられたポート開口部と選択的に流体連通する。この選択性は、ポート開口部を囲む領域を異なる高さに配置することによって提供され、隣り合う熱交換器プレートのポート開口部を囲む領域が互いに接触しない場合には、ポート開口部とプレート間流路との間に連通があり、隣り合う熱交換器プレートのポート開口部を囲む領域が互いに接触する場合には、ポート開口部とプレート間流路との間に連通がないようになっている。最後に、周辺に延びるスカートが、各熱交換器プレートに設けられる。隣り合う熱交換器プレートのスカートは、重なり合って互いに接触するように配置され、プレート間流路が、熱交換器プレートの周囲での漏れに対してシールされるようになっている。
【0023】
熱交換器のろう付けが行われるときに、互いに接触する隣り合う熱交換器プレートのポート開口部を囲む領域、隣り合う熱交換器プレートの隆起部と溝部との間の接触点、および重なり合って接触する周辺スカートは、共にろう付けされ、熱交換器をシールし、熱交換器に内圧がかかったときにプレートを共に保持するようになっている。それ故に、これらすべての領域にろう材を提供する必要がある。
【0024】
図1を参照すると、熱交換器プレートにろう材をステンシル印刷するためのステンシル100が示されている。ステンシル100は、平坦な基材110に基づき、それは、例えば、シートメタル、ゴム、プラスチック、布などから製造されてよい。ステンシル100には、隣り合う熱交換器プレートの隆起部と溝部との間の接触点にろう材を適用するための開口部120が設けられている。しかしながら、隆起部と溝部は、隆起部と溝部以外の他の形状で、例えば、隣り合うプレート間の接触点を形成するように適合された隆起しているドットとして、形作られてよいことに留意すべきである。開口部120は、対で配置されていることに留意すべきである。各対の各開口部は、隣り合う熱交換器プレートの隆起部と溝部との間の接触点の近くに位置するが、その接触点には位置しないように、配置される。本発明の他の実施形態では、開口部はそのような対で配置されず、隣り合う熱交換器プレートの隆起部と溝部との間の接触点に配置される。
【0025】
また、印刷される熱交換器プレートのポート開口部を囲む領域にろう材を適用するための2つのリング状開口部130が設けられている。リング状開口部の内側部分は開いておらず、むしろ、ブリッジ135によってリング状開口部130のそれぞれの中の適所に保持されたステンシル部分があることに、留意されたい。この中央ステンシル部分は、ポート開口部を囲む領域に過剰な量のろう材が適用されるのを妨げる。場合によっては、ブリッジ135は、ポート開口部を囲む領域のろう付け接続の漏れをもたらし得るが、そのような漏れは、各ポート開口部の周りに二重のリング状開口部130を設けることによって低減され得る。ブリッジ135は、互いに対して角度的にオフセットされている。
【0026】
さらに、ステンシル100には、周辺開口部140が設けられている。周辺開口部140は、ろう材が提供される熱交換器プレートの周辺の外側に配置され、その機能は図2aおよび2bを参照して説明される。開口部120およびリング状開口部130を備えるステンシル部分を所定の位置に保持するために、スポーク145が、開口部120およびリング状開口部130を備えるステンシル部分および周辺開口部140の外側の領域から延びている。
【0027】
図2aおよび2bでは、ステンシルを印刷する下部ステンシル150を含むステンシル装置の断面図が示されている。ステンシル装置は、ステンシル100とステンシルを印刷する下部ステンシル150を備える。ステンシル100は、上部ステンシルである。ステンシルを印刷する下部ステンシル150は、高密度物質(例えば、プラスチックや金属)から作られ、熱交換器プレート200の周辺スカート210の高さを超える厚さを有する。ステンシルを印刷する下部ステンシルは、大開口部190を備え、その内面195は、熱交換器プレート200の周辺スカート210の外面に密着するように配置されている。
【0028】
内面195には、多数のろう材出口180が設けられ、それは、カナル160によって口部170と流体連通している。ろう材出口、カナルおよび口部は、ステンシル100の周辺開口部140と嵌合するように、配置される。
【0029】
ステンシル印刷動作中、ろう付けされる熱交換器プレート200は、大開口部190に配置され、装置は、内面195が、熱交換器プレートの周辺スカート210の外面に密接に適合するように、および、ステンシル100が、ろう材でステンシル印刷される熱交換器プレート200のポート開口部を囲む領域および隆起部Rおよびに密着するように、共に押圧される。
【0030】
次に、熱交換器プレートをステンシル印刷するために、ろう材ペーストが、熱交換器プレート200と係合していないステンシルの側に、好ましくは、ステンシル100上でろう材の「ソーセージ」状のひもを押すことによって、適用される。ろう材のひもをステンシル100上で押すとき、ろう材は、開口部120を通して押され、従ってろう材を、隣り合う熱交換器プレートの隆起部と溝部との間の接触点にまたはその接触点の近くに提供し、リング状開口部130を通して、ろう材を、ポート開口部を囲む領域におよび周辺開口部140を通して提供する。
【0031】
周辺開口部140を通して押されたろう材は、口部170に入り、それは、カナル160を介してろう材出口180に流体接続され、従って、周辺スカート210の外面には、ろう材が提供される。
【0032】
ステンシル印刷工程が行われるときに、ステンシル100およびステンシルを印刷する下部ステンシルは、熱交換器プレートから慎重に取り除かれ、熱交換器プレートは、熱交換器にろう付けされる熱交換器プレートパックを形成するために、他の熱交換器プレートと積み重ねて配置される。
【0033】
ろう材出口外への漏れを避けるために、大開口部190の内面195と周辺スカート210の外面との間に緊密なシールを得るために、内面195は、例えばゴムなどの弾性材料でコーティングされてよいことに、留意されたい。また、弾性材料が、液体または気体によって膨張可能であり、熱交換器プレート200が、その内面195に接触することなく大開口部190に入れたり大開口部190から離したりして配置され得るようになっていると、有利であり、一方、接触は、ろう付け動作中に弾性材料を膨張させ、ろう付け動作後にそれを収縮させることによって、確立されてよい。
【0034】
ステンシル印刷動作中、熱交換器プレート200は、印刷される熱交換器プレートをホストするように適合されたトレイ(図示せず)の隆起部分(図示せず)によって所定の位置に保持される。トレイは、同時に印刷されることになっている熱交換器プレートの数に応じて、1つ以上のそのような隆起部分を備えてよい。
【0035】
隆起部分は、熱交換器プレート200の周辺スカート210の内周に対応する外周を有し、熱交換器プレートが、ステンシル印刷動作中に所定の位置に保持されるようになっている。隆起部分の上面は、熱交換器プレートのポート開口部を囲む領域と、ステンシル印刷される隆起部および/または溝部とのためのサポートを提供するように設計される。
【0036】
本発明の一実施形態では、熱交換器プレートは、トレイ上に配置され、隆起部分が熱交換器プレートを所定の位置に保持するようになっている。これは、ステンシル印刷動作には十分である。しかしながら、ろう材のレオロジー特性によっては、ステンシル印刷動作が終了し、上下のステンシルが熱交換器プレートとの接触から取り除かれると、熱交換器プレートを隆起部分にロックする必要があり得る。これは、いくつかの方法で達成されてよく、そのうちの2つが言及に値する。
1.上下のステンシルを取り外す間、真空がプレートを所定の位置に保持するように、真空源を隆起部分に適用する。
2.隆起部分の外周から横方向に延びる引き込み可能なロックピンであって、前記のロックピンは、熱交換器プレートを隆起部分にロックするために周辺スカート210の内周に係合し、熱交換器プレートを隆起部分から解放するために引き込まれる。周辺スカートの変形を回避するために、ロックピンは、好ましくは、隆起部分の外周の角に位置する。
【0037】
本発明によるステンシル装置およびステンシル印刷方法は、ろう付けによって接合される熱交換器プレート間の接触点のまたはその接触点の近傍の領域にろう材を提供することを目的とする。ろう材は、好ましくは、ピーナッツバターの特性に似たレオロジー特性を有するペーストの形態で提供される。
【0038】
ろう材ペーストは、ろう材の粒子、すなわち、熱交換器プレートが製造される材料よりも低い融点を有する金属または合金の粒子と、ろう材が熱交換器プレートに適用された後に気化し得る溶媒と、溶媒が気化した後にろう材粒子を所定の位置に保持するバインダーと、を備える。バインダーは、ろう材が溶融するまでろう材を共に保持するのに十分な耐熱性を有していなければならない。
【0039】
また、ろう材ペーストは、スカートに適切に接着するために、優れた接着特性を有していなければならない。
【0040】
良好に機能することが実証されているろう材ペーストの一例は、ホガナスBrazeLet(登録商標)ペーストであって、92±1重量%の金属含有量を有するペースト中に分散された、106ミクロン未満の粒径である粉末ろう材合金、残りの結合剤および溶媒を含むものである。21℃でのペーストのブルックフィールド粘度、TD-スピンドル2.5rpm=450±50Pas。


図1
図2a
図2b
図2c