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特許7442545シミュレーション磁気共鳴画像を使用した磁気共鳴画像の補正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】シミュレーション磁気共鳴画像を使用した磁気共鳴画像の補正
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
A61B5/055 376
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021558553
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2020059225
(87)【国際公開番号】W WO2020201336
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】19166575.1
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルヴァノ ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】デ ウェールト エルウィン
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/036986(WO,A1)
【文献】特表2016-519994(JP,A)
【文献】HEIGL, Herbert,CUDA powered MRI reconstruction with variational constraints,Master Thesis,オーストリア,Graz University of Technology,2019年01月
【文献】ASSLAENDER, Jakob, et al.,Low Rank Alternating Direction Method of Multipliers Reconstruction for MR Fingerprinting,Magnetic Resonance in Medicine,米国,Willey,2017年01月22日,Vol.79,pp.83-96
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/20-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシン実行可能命令を記憶するメモリと、
医療イメージングシステムを制御するためのプロセッサと
を備える、医療イメージングシステムであって、前記マシン実行可能命令の実行は、前記プロセッサに、
対象者の第1の関心領域を記述する測定された磁気共鳴イメージングデータを受信することと、
各々が前記対象者の第2の関心領域を記述する、B0マップと、横断方向緩和マップ(T2マップ及び/又はT2マップ)及び長手方向緩和マップ(T1マップ)のうちの少なくとも一方と、磁化マップとを受信することであって、前記対象者の前記第1の関心領域及び前記対象者の前記第2の関心領域は両方とも、重複する関心領域を含む、受信することと、
前記測定された磁気共鳴イメージングデータを取得するように磁気共鳴イメージングシステムを制御するパルスシーケンスコマンドを受信することと、
少なくともB0マップと、横断方向緩和マップ(T2マップ及び/又はT2マップ)及び長手方向緩和マップ(T1マップ)のうちの少なくとも一方と、前記磁化マップと、前記パルスシーケンスコマンドとをブロッホ方程式モデルへの入力として使用して、前記重複する関心領域のシミュレーション磁気共鳴画像を計算することと、
逆問題を解くことによって、前記重複する関心領域について前記測定された磁気共鳴イメージングデータから補正された磁気共鳴画像を再構成することであって、前記逆問題は、前記シミュレーション磁気共鳴画像から形成されるコスト関数及び正則化項の最適化を含む、再構成することと、
磁気共鳴フィンガープリンティングプロトコルに従って取得される磁気共鳴フィンガープリントデータを受信することであって、前記磁気共鳴フィンガープリントデータは前記第2の関心領域を記述する、受信することと、
磁気共鳴イメージングプロトコルに従って磁気共鳴フィンガープリンティング辞書を使用して前記磁気共鳴フィンガープリントデータからB0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップのうちの少なくとも1つを再構成することと
を行わせる、医療イメージングシステム。
【請求項2】
前記正則化項はTikhonov正則化であり、前記Tikhonov正則化は、前記重複する関心領域の各ボクセルについての、前記補正された磁気共鳴イメージングデータから計算される第1の画像強度を、前記シミュレーション磁気共鳴画像から計算される第2の画像強度によって除算した推定値を含む、請求項1に記載の医療イメージングシステム。
【請求項3】
前記逆問題は、エコープラナーイメージング幾何学補正問題である、請求項1に記載の医療イメージングシステム。
【請求項4】
前記コスト関数は、歪み演算子と前記補正された磁気共鳴イメージングデータとの積と、前記測定された磁気共鳴画像との間の差のユークリッドノルムを含む、請求項3に記載の医療イメージングシステム。
【請求項5】
前記逆問題は、並列イメージング展開問題である、請求項1に記載の医療イメージングシステム。
【請求項6】
前記コスト関数は、畳み込み演算子とコイル感度マップと前記補正された磁気共鳴イメージングデータとの積と、前記測定された磁気共鳴画像との間の差のユークリッドノルムを含む、請求項5に記載の医療イメージングシステム。
【請求項7】
前記逆問題は、並列イメージング展開問題と組み合わせた圧縮センシングである、請求項1に記載の医療イメージングシステム。
【請求項8】
前記コスト関数は、アンダーサンプリングフーリエ変換とコイル感度マップと前記補正された磁気共鳴イメージングデータとの積と、前記測定された磁気共鳴画像との間の差のユークリッドノルムを含む、請求項7に記載の医療イメージングシステム。
【請求項9】
前記B0マップ、前記T1マップ、前記T2マップ、及び前記磁化マップは第1の解像度を有し、前記磁気共鳴イメージングは第2の解像度を有し、前記第1の解像度は、前記第2の解像度よりも低い、請求項1に記載の医療イメージングシステム。
【請求項10】
前記マシン実行可能命令の実行は更に、前記プロセッサに、前記シミュレーション磁気共鳴画像を計算する前に前記測定された磁気共鳴イメージングデータと幾何学的に一致させるために、前記B0マップ、前記T1マップ、前記T2マップ、及び前記磁化マップのマルチプラナーリフォーマッティングを実施させる、請求項1に記載の医療イメージングシステム。
【請求項11】
前記医療イメージングシステムは、前記磁気共鳴イメージングシステムを更に備え、前記メモリは、前記測定された磁気共鳴イメージングデータを取得するための磁気共鳴イメージングパルスシーケンスコマンドを更に含み、前記メモリは、前記磁気共鳴フィンガープリンティングプロトコルに従って前記磁気共鳴フィンガープリントデータを取得するための磁気共鳴フィンガープリンティングパルスシーケンスコマンドを更に含み、前記マシン実行可能命令の実行は更に、前記プロセッサに、
前記磁気共鳴フィンガープリンティングパルスシーケンスコマンドによって、前記磁気共鳴フィンガープリントデータを取得するように、前記磁気共鳴イメージングシステムを制御することと、
前記磁気共鳴イメージングパルスシーケンスコマンドによって、前記測定された磁気共鳴イメージングデータを取得するように、前記磁気共鳴イメージングシステムを制御することと
を行わせる、請求項1に記載の医療イメージングシステム。
【請求項12】
医療イメージングシステムを制御するためのプロセッサによる実行のためのマシン実行可能命令を備える、非一時的コンピュータプログラムであって、前記マシン実行可能命令の実行は、前記プロセッサに、
対象者の第1の関心領域を記述する測定された磁気共鳴イメージングデータを受信することと、
各々が前記対象者の第2の関心領域を記述する、B0マップと、横断方向緩和マップ(T2マップ及び/又はT2マップ)及び長手方向緩和マップ(T1マップ)のうちの少なくとも一方と、磁化マップとを受信することであって、前記対象者の前記第1の関心領域及び前記対象者の前記第2の関心領域は両方とも、重複する関心領域を含む、受信することと、
前記測定された磁気共鳴イメージングデータを取得するように磁気共鳴イメージングシステムを制御するパルスシーケンスコマンドを受信することと、
少なくともB0マップと、横断方向緩和マップ(T2マップ及び/又はT2マップ)及び長手方向緩和マップ(T1マップ)のうちの少なくとも一方と、前記磁化マップと、前記パルスシーケンスコマンドとをブロッホ方程式モデルへの入力として使用して、前記重複する関心領域のシミュレーション磁気共鳴画像を計算することと、
逆問題を解くことによって、前記重複する関心領域について前記測定された磁気共鳴イメージングデータから補正された磁気共鳴画像を再構成することであって、前記逆問題は、前記シミュレーション磁気共鳴画像から形成されるコスト関数及び正則化項の最適化を含む、再構成することと、
磁気共鳴フィンガープリンティングプロトコルに従って取得される磁気共鳴フィンガープリントデータを受信することであって、前記磁気共鳴フィンガープリントデータは前記第2の関心領域を記述する、受信することと、
磁気共鳴イメージングプロトコルに従って磁気共鳴フィンガープリンティング辞書を使用して前記磁気共鳴フィンガープリントデータからB0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップのうちの少なくとも1つを再構成することと
を行わせる、非一時的コンピュータプログラム。
【請求項13】
医療イメージングシステムの作動方法であって、前記方法は、
対象者の第1の関心領域を記述する測定された磁気共鳴イメージングデータを受信するステップと、
各々が前記対象者の第2の関心領域を記述する、B0マップと、横断方向緩和マップ(T2マップ及び/又はT2マップ)及び長手方向緩和マップ(T1マップ)のうちの少なくとも一方と、磁化マップとを受信するステップであって、前記対象者の前記第1の関心領域及び前記対象者の前記第2の関心領域は両方とも、重複する関心領域を含む、受信するステップと、
前記測定された磁気共鳴イメージングデータを取得するように磁気共鳴イメージングシステムを制御するパルスシーケンスコマンドを受信するステップと、
少なくともB0マップと、横断方向緩和マップ(T2マップ及び/又はT2マップ)及び長手方向緩和マップ(T1マップ)のうちの少なくとも一方と、前記磁化マップと、前記パルスシーケンスコマンドとをブロッホ方程式モデルへの入力として使用して、前記重複する関心領域のシミュレーション磁気共鳴画像を計算するステップと、
逆問題を解くことによって、前記重複する関心領域について前記測定された磁気共鳴イメージングデータから補正された磁気共鳴画像を再構成するステップであって、前記逆問題は、前記シミュレーション磁気共鳴画像から形成されるコスト関数及び正則化項の最適化を含む、再構成するステップと、
磁気共鳴フィンガープリンティングプロトコルに従って取得される磁気共鳴フィンガープリントデータを受信するステップであって、前記磁気共鳴フィンガープリントデータは前記第2の関心領域を記述する、受信するステップと、
磁気共鳴イメージングプロトコルに従って磁気共鳴フィンガープリンティング辞書を使用して前記磁気共鳴フィンガープリントデータからB0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップのうちの少なくとも1つを再構成するステップと
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージングに関し、特に磁気共鳴イメージングのための画像再構成に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の身体内の画像を生成するための手順の一部として、原子の核スピンを整列させるために、磁気共鳴イメージング(MRI)スキャナによって大規模な静磁場が使用される。この大規模な静磁場は、B0磁場又は主磁場と称される。時間依存磁場勾配及び無線周波数(RF)パルスを印加することによって、対象者の様々な量又は特性を空間的に測定することができる。しかしながら、特定のイメージングプロトコルに応じて、様々な歪み又はアーティファクトが再構成画像内に存在する。
【0003】
米国特許出願公開第20050270024号は、並列磁気共鳴イメージング再構成における並列イメージング再構成の方法を開示している。磁気共鳴データが、別個のRF受信コイルのアレイによって並列に取得される。アレイコイル素子からの空間情報における幾何学的相関に起因するSNR損失を低減するために、Tikhonov正則化に基づく再構成方法が提示されている。再構成のノイズ振幅を低減するために、いわゆる「g因子」基準走査が最終的な再構成画像の事前情報として利用されて、L曲線技法を使用した再構成のための正則化推定値が提供される。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、独立請求項において、医療イメージングシステム、コンピュータプログラムプロダクト、及び方法を提供する。実施形態が従属請求項において与えられる。
【0005】
磁気共鳴画像内に歪み又はアーティファクトが提示されるとき、歪み又はアーティファクトを除去又は低減するために使用することができる様々な方法が存在する。実施形態は、画像再構成又は測定された磁気共鳴イメージングデータの画像補正のいずれかを、逆問題(最適化問題)として定式化することによって、この問題を解決する。逆問題は、シミュレーション磁気共鳴画像から得られる値に依存するコスト関数を有する。
【0006】
シミュレーション磁気共鳴画像は、B0マップと、横断方向緩和マップ(T2マップ及び/又はT2マップ)及び長手方向緩和マップ(T1マップ)のうちの少なくとも一方又は好ましくは両方と、磁化マップと、パルスシーケンスコマンドとを、ブロッホ方程式モデル又は解法への入力として使用して、計算される。シミュレーション磁気共鳴画像を、B0マップ及び横断方向緩和マップ又は長手方向緩和マップのうちの一方を使用して導出することができると考えられる。横断方向緩和マップは、T2マップ及び/又はT2マップを含む。長手方向緩和マップは、T1マップを含む。短いエコー時間における磁気共鳴イメージングデータが画像情報の大部分を占める場合、横断方向緩和マップは無視される。他方、非常に長い繰り返し時間にわたる寄与が画像情報の大部分を占める場合、長手方向回復、したがって長手方向緩和が無視される。パルスシーケンスコマンドは、測定された磁気共鳴イメージングデータを取得するために使用されたものと同じパルスシーケンスコマンドである。これは、シミュレーション磁気共鳴画像及び測定された磁気共鳴イメージングデータから再構成される画像のコントラストが、ほぼ同じであることを意味する。本発明の洞察は、最適化問題における基準として有用であるシミュレーション磁気共鳴画像を、B0マップ、並びに、長手方向緩和マップ及び横断方向緩和マップのうちの少なくとも一方に基づいて計算することができるということである。また、シミュレーション磁気共鳴画像には、測定された磁気共鳴イメージングデータには存在するアーティファクト又は歪みもない。したがって、シミュレーション磁気共鳴画像を使用することによって、画像再構成又は補正を改善することが可能になる。B0マップ、T1マップ、T2マップ及び磁化マップは、様々なソースに由来するが、これらの値を提供する簡便な手法は、磁気共鳴イメージングフィンガープリンティングを使用した走査を介したものである。
【0007】
1つの態様において、本発明は、医療イメージングシステムを提供する。医療イメージングシステムは、マシン実行可能命令を記憶するためのメモリと、医療イメージングシステムを制御するためのプロセッサとを備える。マシン実行可能命令の実行は、プロセッサに、対象者の第1の関心領域を記述する測定された磁気共鳴イメージングデータを受信させる。測定された磁気共鳴イメージングデータは、例えば、画像又はk空間のいずれかにある。マシン実行可能命令の実行は、更に、プロセッサに、各々が対象者の第2の関心領域を記述する、B0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップを受信させる。対象者の第1の関心領域及び対象者の第2の関心領域は両方とも、重複する関心領域を含む。
【0008】
マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、測定された磁気共鳴イメージングデータを取得するように磁気共鳴イメージングシステムを制御するように構成されているパルスシーケンスコマンドを受信させる。マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、少なくともB0マップ、T1マップ、T2マップ、磁化マップ及びパルスシーケンスコマンドをブロッホ方程式モデルへの入力として使用して、重複する関心領域のシミュレーション磁気共鳴画像を計算させる。ブロッホ方程式モデルは、例えば、磁気共鳴イメージングデータの取得をシミュレーションするために使用される。
【0009】
マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、逆問題を解くことによって、重複する関心領域について測定された磁気共鳴イメージングデータから補正された磁気共鳴画像を再構成させる。逆問題は、シミュレーション磁気共鳴画像から形成されるコスト関数及び正則化項の最適化を含む。場合によっては、コスト関数及び正則化項は、画像空間内で定式化される。他の例において、コスト関数及び正則化項は、k空間内で定式化される。
【0010】
本明細書において使用される場合、医療イメージングシステムは、画像処理及び様々な数学の計算を実施するために使用されるコンピュータ又は処理システムの両方を包含する。医療イメージングシステムはまた、測定された磁気共鳴イメージングデータを取得するために使用される他の構成要素も備える。
【0011】
幾つかの例において、対象者の第1の関心領域及び対象者の第2の関心領域は同一であり得る。
【0012】
別の実施形態において、横断方向緩和マップは、T2マップ及び/又はT2マップを含む。
【0013】
別の実施形態において、正則化項は、Tikhonov正則化である。Tikhonov正則化は、重複する関心領域の各ボクセルについての、補正された磁気共鳴イメージングデータから計算される第1の画像強度を、シミュレーション磁気共鳴画像から計算される第2の画像強度によって除算した推定値を含む。この実施形態は、様々な状況において補正された磁気共鳴画像を構成する一般的な手段を提供するため、有益である。
【0014】
別の実施形態において、逆問題は、エコープラナーイメージング幾何学再構成である。
【0015】
別の実施形態において、コスト関数は、歪み演算子と補正された磁気共鳴イメージングデータとの積と、測定された磁気共鳴画像との間の差のユークリッドノルムを含む。この実施形態は、別の実施形態において、コスト関数が、測定された磁気共鳴画像から、歪み演算子と補正された磁気共鳴イメージングデータとの積を引いたユークリッドノルムを含む、と言い換えることができる。この実施形態は、別の実施形態において、コスト関数が、歪み演算子と補正された磁気共鳴イメージングデータとの積から、測定された磁気共鳴画像を引いたユークリッドノルムを含む、と更に言い換えることができる。
【0016】
別の実施形態において、コスト関数は、歪み演算子×補正された磁気共鳴イメージングデータと測定された磁気共鳴画像との間の差のユークリッドノルムを含む。この実施形態は、別の実施形態において、コスト関数が、歪み演算子×補正された磁気共鳴イメージングデータ-測定された磁気共鳴画像のユークリッドノルムを含む、と言い換えることができる。この実施形態は、別の実施形態において、コスト関数が、測定された磁気共鳴画像-歪み演算子×補正された磁気共鳴イメージングデータのユークリッドノルムを含む、と言い換えることができる。この演算は、ボクセルごとに実施される。
【0017】
別の実施形態において、逆問題は、並列イメージング展開である。この実施形態は、並列画像磁気共鳴画像を展開する一般的な手段を提供するので、有益である。1つの例において、並列イメージング展開はSENSE展開である。
【0018】
別の実施形態において、コスト関数は、畳み込み演算子とコイル感度マップと補正された磁気共鳴画像との積と、測定された磁気共鳴画像との間の差のユークリッドノルムを含む。この実施形態は、別の実施形態において、コスト関数は、畳み込み演算子とコイル感度マップと補正された磁気共鳴画像との積から測定された磁気共鳴画像を引いたユークリッドノルムを含む、と言い換えることができる。この実施形態は、別の実施形態において、コスト関数は、測定された磁気共鳴画像から、畳み込み演算子とコイル感度マップと補正された磁気共鳴画像との積を引いたユークリッドノルムを含む、と言い換えることができる。この演算は、例えば、ボクセルごとの値を使用して実施される。これは、並列画像展開を行う一般的な手段を提供する。
【0019】
別の実施形態において、逆問題は、並列イメージングに基づく再構成と組み合わされた圧縮センシングである。
【0020】
別の実施形態において、コスト関数は、アンダーサンプリングフーリエ変換とコイル感度マップと補正された磁気共鳴画像との積から測定された磁気共鳴画像を引いたユークリッドノルムを含む。この実施形態は、圧縮検知及び並列イメージングに基づく再構成の逆問題を定式化する手段を提供するので、有益である。
【0021】
別の実施形態において、B0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップは、第1の解像度を有する。磁気共鳴イメージングは、第2の解像度を有する。第1の解像度は、第2の解像度よりも低い。この実施形態は、B0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップの非常に大まかな値がコスト関数の定式化には有用であるので、有益である。
【0022】
マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、シミュレーション磁気共鳴画像を計算する前に測定された磁気共鳴イメージングデータと幾何学的に一致させるために、B0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップのマルチプラナーリフォーマッティングを実施させる。画像空間において、これは、ボクセルの様々な値を補間することである。k空間において、これは、k空間を測定された磁気共鳴イメージングデータと同じサンプリングパターンに再サンプリングすることを含む。
【0023】
別の実施形態において、マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、磁気共鳴フィンガープリンティングプロトコルに従って取得される磁気共鳴フィンガープリントデータを受信させる。磁気共鳴フィンガープリントデータは、第2の関心領域を記述する。マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、磁気共鳴イメージングプロトコルに従って磁気共鳴フィンガープリンティング辞書を使用して磁気共鳴フィンガープリントデータからB0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップのうちの少なくとも1つを再構成させる。
【0024】
この実施形態は、B0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップが全て、磁気共鳴フィンガープリンティングを使用して相対的に迅速に計算されるので、有益である。全ての様々なマップが磁気共鳴フィンガープリンティングを使用して再構成されるが、一部のマップは、他のソース又はイメージングプロトコルから得られる。
【0025】
別の実施形態において、マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、磁気共鳴イメージングプロトコルに従って磁気共鳴イメージングデータを受信させる。磁気共鳴イメージングデータは、第1の関心領域を記述する。マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、磁気共鳴イメージングデータから磁気共鳴画像を再構成させる。場合によっては、測定された磁気共鳴イメージングデータが、コスト関数において直接的に使用される。他の例において、測定された磁気共鳴画像が代わりに使用される。
【0026】
別の実施形態において、医療イメージングシステムは、磁気共鳴イメージングシステムを更に備える。メモリは、磁気共鳴イメージングデータを取得するように構成されている磁気共鳴イメージングパルスシーケンスコマンドを更に含む。メモリは、磁気共鳴フィンガープリンティングプロトコルに従って磁気共鳴フィンガープリントデータを取得するように構成されている磁気共鳴フィンガープリンティングパルスシーケンスコマンドを更に含む。マシン実行可能命令の実行は、プロセッサに、磁気共鳴フィンガープリンティングパルスシーケンスコマンドによって、磁気共鳴フィンガープリントデータを取得するように、磁気共鳴イメージングシステムを制御させる。マシン実行可能命令の実行は、プロセッサに、磁気共鳴イメージングパルスシーケンスコマンドによって、測定された磁気共鳴イメージングデータを取得するように、磁気共鳴イメージングシステムを制御させる。
【0027】
別の態様において、本発明は、医療イメージングシステムを制御するプロセッサによって実行するための機械実行可能命令を備えるコンピュータプログラムプロダクトを提供する。マシン実行可能命令の実行は、プロセッサに、対象者の第1の関心領域を記述する測定された磁気共鳴イメージングデータを受信させる。マシン実行可能命令の実行は、更に、プロセッサに、各々が対象者の第2の関心領域を記述する、B0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップを受信させる。対象者の第1の関心領域及び対象者の第2の関心領域は両方とも、重複する関心領域を含む。マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、磁気共鳴イメージングデータを取得するように磁気共鳴イメージングシステムを制御するように構成されているパルスシーケンスコマンドを受信させる。
【0028】
マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、少なくともB0マップ、T1マップ、T2マップ、磁化マップ及びパルスシーケンスコマンドをブロッホ方程式モデルへの入力として使用して、重複する関心領域のシミュレーション磁気共鳴画像を計算させる。マシン実行可能命令の実行は更に、プロセッサに、逆問題を解くことによって、重複する関心領域について測定された磁気共鳴イメージングデータから補正された磁気共鳴画像を再構成させる。逆問題は、シミュレーション磁気共鳴画像から形成されるコスト関数及び正則化項の最適化を含む。この利点は、上記で論じられている。
【0029】
別の態様において、本発明は更に、医療イメージングシステムを動作させる方法を提供する。方法は、対象者の第1の関心領域を記述する測定された磁気共鳴イメージングデータを受信するステップを有する。方法は、各々が対象者の第2の関心領域を記述する、B0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップを受信するステップを更に有する。対象者の第1の関心領域及び対象者の第2の関心領域は両方とも、重複する関心領域を含む。方法は、磁気共鳴イメージングデータを取得するように磁気共鳴イメージングシステムを制御するように構成されているパルスシーケンスコマンドを受信するステップを更に有する。
【0030】
方法は、少なくともB0マップ、T1マップ、T2マップ、磁化マップ及びパルスシーケンスコマンドをブロッホ方程式モデルへの入力として使用して、重複する関心領域のシミュレーション磁気共鳴画像を計算するステップを更に有する。方法は、逆問題を解くことによって、重複する関心領域について測定された磁気共鳴イメージングデータから補正された磁気共鳴画像を再構成するステップを更に有する。逆問題は、シミュレーション磁気共鳴画像から形成されるコスト関数及び正則化項の最適化を含む。この利点は、上記で論じられている。
【0031】
本発明の上述の実施形態のうちの1つ又は複数は、組み合わせられた実施形態が相互排他的でない限り、組み合わせられることを理解されたい。
【0032】
当業者には理解されるように、本発明の態様は、装置、方法又はコンピュータプログラムプロダクトとして具体化され得る。したがって、本発明の態様は、全面的にハードウェア実施形態、全面的にソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)又は本明細書において全て一般的に「回路」、「モジュール」若しくは「システム」と称され得るソフトウェア及びハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形態をとり得る。更に、本発明の態様は、コンピュータ可読媒体上で具現化されたコンピュータ実行可能コードを有する1つ又は複数のコンピュータ可読媒体において具体化されたコンピュータプログラムプロダクトの形態をとり得る。
【0033】
1つ又は複数のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせが利用されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読ストレージ媒体でもよい。本明細書で使用される「コンピュータ可読ストレージ媒体」は、コンピューティングデバイスのプロセッサによって実行可能な命令を保存することができる任意の有形ストレージ媒体を包含する。コンピュータ可読ストレージ媒体は、コンピュータ可読非一時的ストレージ媒体と称される場合もある。コンピュータ可読ストレージ媒体はまた、有形コンピュータ可読媒体と称される場合もある。一部の実施形態では、コンピュータ可読ストレージ媒体はまた、コンピューティングデバイスのプロセッサによってアクセスされることが可能なデータを保存可能であってもよい。コンピュータ可読ストレージ媒体の例は、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ハードディスクドライブ、半導体ハードディスク、フラッシュメモリ、USBサムドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、光ディスク、磁気光学ディスク、及びプロセッサのレジスタファイルを含むが、これらに限定されない。光ディスクの例は、例えば、CD-ROM、CD-RW、CD-R、DVD-ROM、DVD-RW、又はDVD-Rディスクといったコンパクトディスク(CD)及びデジタル多用途ディスク(DVD)を含む。コンピュータ可読ストレージ媒体という用語は、ネットワーク又は通信リンクを介してコンピュータデバイスによってアクセスされることが可能な様々な種類の記録媒体も指す。例えば、データは、モデムによって、インターネットによって、又はローカルエリアネットワークによって読み出されてもよい。コンピュータ可読媒体上で具現化されたコンピュータ実行可能コードは、限定されることはないが、無線、有線、光ファイバケーブル、RF等を含む任意の適切な媒体、又は上記の任意の適切な組み合わせを用いて送信されてもよい。
【0034】
コンピュータ可読信号媒体は、例えばベースバンドにおいて又は搬送波の一部として内部で具体化されたコンピュータ実行可能コードを備えた伝搬データ信号を含んでもよい。このような伝搬信号は、限定されることはないが電磁気、光学的、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含む様々な形態のいずれかをとり得る。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読ストレージ媒体ではない及び命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって又はそれと関連して使用するためのプログラムを通信、伝搬、若しくは輸送できる任意のコンピュータ可読媒体でもよい。
【0035】
「コンピュータメモリ」又は「メモリ」は、コンピュータ可読ストレージ媒体の一例である。コンピュータメモリは、プロセッサに直接アクセス可能な任意のメモリである。「コンピュータストレージ」又は「ストレージ」は、コンピュータ可読ストレージ媒体の更なる一例である。コンピュータストレージは、任意の不揮発性コンピュータ可読記憶媒体である。幾つかの実施形態において、コンピュータストレージはまたコンピュータメモリでもあり、又は、その逆も真である。
【0036】
本明細書で使用される「プロセッサ」は、プログラム、マシン実行可能命令、又はコンピュータ実行可能コードを実行可能な電子コンポーネントを包含する。「プロセッサ」を含むコンピューティングデバイスへの言及は、場合により、2つ以上のプロセッサ又は処理コアを含むと解釈されるべきである。プロセッサは、例えば、マルチコアプロセッサである。プロセッサは、また、単一のコンピュータシステム内の、又は複数のコンピュータシステムの中へ分配されたプロセッサの集合体も指す。コンピュータデバイスとの用語は、各々が1つ又は複数のプロセッサを有するコンピュータデバイスの集合体又はネットワークを指してもよいと理解されるべきである。コンピュータ実行可能コードは、同一のコンピュータデバイス内の、又は複数のコンピュータデバイス間に分配された複数のプロセッサによって実行される。
【0037】
コンピュータ実行可能コードは、本発明の態様をプロセッサに行わせるマシン実行可能命令又はプログラムを含んでもよい。本発明の態様に関する動作を実施するためのコンピュータ実行可能コードは、Java(登録商標)、Smalltalk(登録商標)、又はC++等のオブジェクト指向プログラミング言語及び「C」プログラミング言語又は類似のプログラミング言語等の従来の手続きプログラミング言語を含む1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい及びマシン実行可能命令にコンパイルされてもよい。場合によっては、コンピュータ実行可能コードは、高水準言語の形態又は事前コンパイル形態でもよい及び臨機応変にマシン実行可能命令を生成するインタプリタと共に使用されてもよい。
【0038】
コンピュータ実行可能コードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアローンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で及び部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行することができる。後者の場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを通してユーザのコンピュータに接続されてもよい、又はこの接続は外部コンピュータに対して(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用したインターネットを通して)行われてもよい。
【0039】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラムプロダクトのフローチャート、図及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート、図、及び/又はブロック図の各ブロック又は複数のブロックの一部は、適用できる場合、コンピュータ実行可能コードの形態のコンピュータプログラム命令によって実施され得ることが理解されよう。相互排他的でなければ、異なるフローチャート、図、及び/又はブロック図におけるブロックの組み合わせが組み合わせられてもよいことが更に理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行する命令がフローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/行為を実施するための手段を生じさせるようにマシンを作るために、汎用コンピュータ、特定用途コンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサへと提供されてもよい。
【0040】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体に保存された命令がフローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/行為を実施する命令を含む製品を作るように、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスにある特定の方法で機能するように命令することができるコンピュータ可読媒体に保存されてもよい。
【0041】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能装置上で実行する命令がフローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/行為を実施するためのプロセスを提供するように、一連の動作ステップがコンピュータ、他のプログラム可能装置又は他のデバイス上で行われるようにすることにより、コンピュータ実施プロセスを生じさせるために、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイス上にロードされてもよい。
【0042】
本明細書で使用される「ユーザインタフェース」は、ユーザ又はオペレータがコンピュータ又はコンピュータシステムとインタラクトすることを可能にするインタフェースである。「ユーザインタフェース」は、「ヒューマンインタフェースデバイス」と称される場合もある。ユーザインタフェースは、情報若しくはデータをオペレータに提供することができる及び/又は情報若しくはデータをオペレータから受信することができる。ユーザインタフェースは、オペレータからの入力がコンピュータによって受信されることを可能にしてもよい及びコンピュータからユーザへ出力を提供してもよい。つまり、ユーザインタフェースはオペレータがコンピュータを制御する又は操作することを可能にしてもよい、及びインタフェースはコンピュータがオペレータの制御又は操作の結果を示すことを可能にしてもよい。ディスプレイ又はグラフィカルユーザインタフェース上のデータ又は情報の表示は、情報をオペレータに提供する一例である。キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、指示棒、グラフィックタブレット、ジョイスティック、ゲームパッド、ウェブコム、ヘッドセット、ペダル、有線グローブ、リモコン、及び加速度計を介したデータの受信は、オペレータから情報又はデータの受信を可能にするユーザインタフェース要素の全例である。
【0043】
本明細書で使用される「ハードウェアインタフェース」は、コンピュータシステムのプロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置とインタラクトする及び/又はそれを制御することを可能にするインタフェースを包含する。ハードウェアインタフェースは、プロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置へ制御信号又は命令を送ることを可能にしてもよい。ハードウェアインタフェースはまた、プロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置とデータを交換することを可能にしてもよい。ハードウェアインタフェースの例は、ユニバーサルシリアルバス、IEEE1394ポート、パラレルポート、IEEE1284ポート、シリアルポート、RS-232ポート、IEEE488ポート、ブルートゥース(登録商標)接続、無線LAN接続、TCP/IP接続、イーサネット(登録商標)接続、制御電圧インタフェース、MIDIインタフェース、アナログ入力インタフェース、及びデジタル入力インタフェースを含むが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で使用される「ディスプレイ」又は「ディスプレイデバイス」は、画像又はデータを表示するために構成された出力デバイス又はユーザインタフェースを包含する。ディスプレイは、視覚、音声、及び/又は触覚データを出力してもよい。ディスプレイの例は、コンピュータモニタ、テレビスクリーン、タッチスクリーン、触覚電子ディスプレイ、点字スクリーン、陰極線管(CRT)、蓄積管、双安定ディスプレイ、電子ペーパー、ベクターディスプレイ、平面パネルディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ(VF)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、エレクトロルミネッセントディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プロジェクタ、及びヘッドマウントディスプレイを含むが、これらに限定されない。
【0045】
磁気共鳴(MR)データ又は補正された磁気共鳴イメージングデータは、本明細書においては、磁気共鳴イメージングスキャン中に磁気共鳴装置のアンテナを使用して原子スピンによって放出される無線周波数信号の記録測定値であるものとして定義される。MRF磁気共鳴フィンガープリント(MRF)データは、磁気共鳴データの一例である。磁気共鳴データは医療画像データの一例である。磁気共鳴イメージング(MRI)画像又はMR画像は、本明細書においては、磁気共鳴イメージングデータ内に含まれる解剖学的データの再構成された二次元又は三次元視覚化であるものとして定義される。この視覚化は、コンピュータを使用して実施することができる。
【0046】
以下において、例としてのみ、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】医療イメージングシステムの一例を示す図である。
図2図1の医療イメージングシステムを使用する方法を示すフローチャートである。
図3】医療イメージングシステムの更なる例を示す図である。
図4図3の医療イメージングシステムを使用する方法を示すフローチャートである。
図5】歪みのあるEPI磁気共鳴画像を示す図である。
図6図5の補正バージョンを示す図である。
図7図5の更なる補正バージョンを示す図である。
図8図5の更なる補正バージョンを示す図である。
図9図7の再構成に使用される正則化画像を示す図である。
図10図8の再構成に使用される正則化画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図において似通った参照番号を付された要素は、等価な要素であるか、同じ機能を実行するかのいずれかである。先に考察された要素は、機能が等価である場合は、後の図においては必ずしも考察されない。
【0049】
図1は、医療イメージングシステム100の一例を示す。図1に示す医療イメージングシステム100は、コンピュータ102を備える。コンピュータは、プロセッサ104を備える。プロセッサ104は、1つ又は複数のプロセッサ又は処理コアを表すように意図されている。プロセッサ104はまた、複数のコンピュータシステム102の間で分散される。プロセッサ104に接続されているハードウェアインタフェース106が存在する。ハードウェアインタフェース106は、例えば、他のコンピュータシステムとのネットワーク接続を形成し、医療イメージングシステム100の他の構成要素を制御し、又は、他の機器とインタフェースするために使用される。同じくプロセッサ104に接続されているユーザインタフェース108も存在する。同じくプロセッサ104に接続されているメモリ110が存在する。メモリ110は、プロセッサ104にとってアクセス可能であるメモリの任意の組み合わせである。これは、フラッシュRAM、ハードドライブ、又は他のストレージデバイスなど、メインメモリ、キャッシュメモリ、更には不揮発性メモリなどのようなものを含む。幾つかの例では、メモリ110は、非一時的コンピュータ可読媒体であると見なされる。
【0050】
メモリ110は、マシン実行可能命令120を含むものとして示されている。マシン実行可能命令120は、プロセッサが、ハードウェアインタフェース106を介して医療イメージングシステム100の他の構成要素を制御することを可能にする。加えて、マシン実行可能命令120は、プロセッサ104が、様々なデータ処理及び画像処理計算及び技法を実施することを可能にする。メモリ110は、測定された磁気共鳴イメージングデータ122を含むものとして更に示されている。メモリ110は、B0マップ124、T1マップ126、T2マップ128及び磁化マップ1300を含むものとして更に示されている。これらの様々なマップ126,128,130は、磁気共鳴フィンガープリンティング取得に由来する。
【0051】
メモリ110は、ブロッホ方程式モデル1340を含むものとして更に示されている。ブロッホ方程式モデル134は、磁気共鳴イメージングデータのシミュレートされた取得を可能にする。メモリ110は、シミュレーション磁気共鳴画像136を含むものとして示されている。ブロッホ方程式モデル134は、例えば、図示されていないシミュレーション磁気共鳴画像を計算するために使用される。
【0052】
メモリ110は、測定された磁気共鳴イメージングデータ122から再構築された補正された磁気共鳴画像138を含むものとして更に示されている。これは、コスト関数において使用される正則化項を形成するためにシミュレーション磁気共鳴画像136を使用して実施される。最適化は次いで、補正された磁気共鳴画像138を再構成するために使用される。
【0053】
図2は、図1の医療イメージングシステム100を動作させる方法を示すフローチャートを示す。最初に、ステップ200において、測定された磁気共鳴イメージングデータ122が受信される。測定された磁気共鳴イメージングデータは、対象者の第1の関心領域を記述する。次に、ステップ202において、B0マップ124、T1マップ126、T2マップ128、及び磁化マップ130が受信される。これらは各々、対象者の第2の関心領域を記述する。第1の関心領域及び対象者の第2の関心領域は、第1の関心領域及び第2の関心領域の両方の中に存在する重複する関心領域を含む。
【0054】
次いで、ステップ204において、パルスシーケンスコマンド132が受信される。パルスシーケンスコマンド132は、測定された磁気共鳴イメージングデータ122を取得するように磁気共鳴イメージングシステムを制御するために使用されたパルスシーケンスコマンド132である。次に、ステップ206において、シミュレーション磁気共鳴画像136が、ブロッホ方程式モデル134を使用して計算される。B0マップ124、T1マップ126、T2マップ128、磁化マップ130、及びパルスシーケンスコマンド132が、ブロッホ方程式モデル134に対する入力として使用される。最後に、ステップ208において、逆問題を解くことによって、重複する関心領域について測定された磁気共鳴イメージングデータ122から、補正された磁気共鳴画像138が再構成される。逆問題は、シミュレーション磁気共鳴画像から形成されるコスト関数及び正則化項の最適化を含む。コスト関数及び正則化項は両方とも、画像空間又はk空間のいずれかにおいて定式化される。
【0055】
図3は、医療イメージングシステム300の更なる例を示す。図3の医療イメージングシステム300は、このシステムが磁気共鳴イメージングシステム302を更に備えることを除いて、図1の医療イメージングシステム100と同様である。
【0056】
磁石304は、ボア306がそれを貫通する超伝導円筒型磁石である。異なるタイプの磁石を使用することも可能であり、例えば、分割円筒磁石といわゆる開放型磁石の両方を使用することも可能である。分割円筒磁石は、磁石のアイソ面へのアクセスを可能にするためにクライオスタットが2つのセクションに分離されていることを除いて、標準的な円筒磁石と同様であり、そのような磁石は例えば、荷電粒子ビーム療法に関連して使用される。開放型磁石は一方が他方の上方にある2つの磁石セクションを有し、その間の空間は対象者を受け入れるのに十分大きく、2つのセクションの配置はヘルムホルツコイルと同様である。開放型磁石は、対象者があまり閉じ込められないため、人気がある。円筒型磁石のクライオスタット内部には、超伝導コイルの集合がある。円筒型磁石304の孔306内には、磁場が磁気共鳴イメージングを実行するために十分強く且つ一様であるイメージングゾーン308がある。第1の関心領域308及び第2の関心領域309が、イメージングゾーン308内に示されている。それら2つの間の重複する関心領域が、311とラベリングされている。この場合、関心領域307及び311は同一である。対象者318は、対象者320の少なくとも一部分がイメージングゾーン308及び関心領域309内にあるように、対象者支持手段318によって支持されるものとして示されている。
【0057】
磁石のボア306内には、磁石304のイメージングゾーン308内で磁気スピンを空間的に符号化するために、予備磁気共鳴データの取得のために使用される磁場勾配コイル310のセットもある。磁場勾配コイル310は、磁場勾配コイル電源312に接続される。磁場勾配コイル310は代表的なものであることが意図される。一般的に、磁場勾配コイル310は、3つの直交空間方向で空間的に符号化するためのコイルの3つの別個のセットを含む。磁場勾配電源は、電流を磁場勾配コイルに供給する。磁場勾配コイル310に供給される電流は、時間の関数として制御され、傾斜化されるか又はパルス化される。
【0058】
イメージングゾーン308に隣接するのは、イメージングゾーン308内の磁気スピンの配向を操作するため及び同じくイメージングゾーン308内のスピンから無線伝送を受信するための無線周波数コイル314である。無線周波数アンテナは、複数のコイル素子を含む。無線周波数アンテナは、チャネル又はアンテナとも呼ばれる。無線周波数コイル314は、無線周波数トランシーバ316に接続される。無線周波数コイル316及び無線周波数トランシーバ314は、別個の送信及び受信コイル並びに別個の送信機及び受信機と置き換えられる。無線周波数コイル314及び無線周波数トランシーバ316は代表的なものであることを理解されたい。無線周波数コイル314は、専用送信アンテナ及び専用受信アンテナをも表すように意図される。同様に、トランシーバ316は、別個の送信機及び受信機をも表す。無線周波数コイル314は、複数の受信/送信コイル素子をも有し、無線周波数トランシーバ316は、複数の受信/送信チャネルを有する。例えば、SENSEのような並列イメージング技法が実施される場合、無線周波数コイル314は複数のコイル素子を有することになる。
【0059】
トランシーバ316及び勾配コントローラ312は、コンピュータシステム102のハードウェアインタフェース106に接続されるものとして示されている。メモリ110は、磁気共鳴イメージングパルスシーケンスコマンド330を含むものとして更に示されている。磁気共鳴イメージングパルスシーケンスコマンド330によって磁気共鳴イメージングシステム302を制御することによって、プロセッサ104は、第1の関心領域307の測定された磁気共鳴イメージングデータ122を取得することが可能である。メモリ110は、磁気共鳴フィンガープリントパルスシーケンスコマンド332を含むものとして更に示されている。磁気共鳴フィンガープリントパルスシーケンスコマンド332は、第2の関心領域309から磁気共鳴フィンガープリントデータ334を取得するように磁気共鳴イメージングシステム302を制御するために使用される。磁気共鳴フィンガープリントデータ334も、メモリ110に記憶されるものとして示されている。
【0060】
メモリ110はまた、磁気共鳴フィンガープリンティング辞書336も含むものとして更に示されている。磁気共鳴フィンガープリントデータ334は、一連の磁気共鳴画像を再構成するために使用することができる。特定のボクセルの値又は強度は、磁気共鳴フィンガープリンティング辞書336と比較されるベクトルを含む。これによって、磁気共鳴フィンガープリントデータ334からB0マップ124、T1マップ126、T2マップ128、及び磁化マップ130を決定することが可能になる。
【0061】
図4は、図3の医療イメージングシステム300を動作させる方法を示すフローチャートを示す。方法はステップ400から進む。ステップ400において、磁気共鳴イメージングシステム302が、磁気共鳴フィンガープリンティングパルスシーケンスコマンド332によって、磁気共鳴フィンガープリントデータ334を取得するように制御される。次に、ステップ402において、磁気共鳴イメージングシステム302が、磁気共鳴イメージングパルスシーケンスコマンド330によって、測定された磁気共鳴イメージングデータ122を取得するように制御される。方法ステップ402と400とは交換されてもよい。次に、ステップ404において、磁気共鳴フィンガープリントデータが受信される。測定された磁気共鳴イメージングデータは、異なるパルスシーケンスを使用して複数回取得することができる。MRF走査からのB0マップ124、T1マップ126、T2マップ128、及び磁化マップ130を、その都度再使用することができる。
【0062】
磁気共鳴フィンガープリントデータは、第2の関心領域309を記述する。次いで、ステップ406において、磁気共鳴フィンガープリンティング辞書336を使用して、磁気共鳴フィンガープリントデータ334からB0マップ124、T1マップ126、T2マップ128、及び磁化マップ130が再構成される。ステップ406が実施された後、方法は、次いで、図2に示すようにステップ200~208に進む。
【0063】
(場合によっては低解像度の)磁気共鳴フィンガープリンティング(MRF)事前走査の出力を使用して、B0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化などの様々な空間依存値を決定することができる。次いで、これらの値は、磁気共鳴イメージングデータの取得をシミュレーションするために使用することができる。
【0064】
これによって、コントラストに関して後続の臨床走査(測定された磁気共鳴イメージングデータ122から再構成される画像)に一致する、合成データ(136)シミュレーション磁気共鳴画像を生成することが可能になる。この合成データを予備知識のソースとして使用して、臨床データの再構成における正則化(例えば、SENSE再構成における、又は、SENSE展開問題のための正則化)を改善することができる。
【0065】
逆問題を解くことによるMR再構成がより一般的になってきている。幾つかの関連する例は、SENSE再構成及び圧縮SENSE再構成のためのものである。場合によっては、逆問題は不良設定且つ/又は悪条件である。これらの不良設定問題は、正則化の形態として逆問題に含まれる予備知識を使用することによって解決される。
【0066】
場合によっては、予備知識のソースが画像コントラストに関して臨床走査に一致していると有用である。これは、最適な結果を目指す画像再構成を更に含む。
【0067】
例えば、ここで、EPI歪み補正における重複する領域の問題が考慮される。これは不良設定問題であり、正則化は、可能な最良の結果を求めるのに役立ち得る。これは下記において図5図10に示されている。
【0068】
図5図10は、EPIすなわちエコープラナーイメージング画像内の歪みの補正の異なる例を示すために使用される。図5は、歪みを含むEPI画像500を示す。
【0069】
図6は、予備知識を使用しない歪み補正を伴うEPI画像600を示す。図6において、システムは不良設定であり、前頭野に組織分裂が生じている。
【0070】
図7は、事前走査又は代替的な走査からの水画像に基づく正則化を使用する歪み補正を伴うEPI画像700を示す。図700において、依然として、非常に目立つ歪みのある領域が存在することが分かる。この図においては、水信号がどこに存在すると予測されるかの予備知識を使用することによって、前頭野の分裂が低減される。
【0071】
図8は、元のEPI画像500と同様のコントラストを有するT2重み付き画像に基づく正則化を使用する歪み補正を伴う更なるEPI画像800を示す。EPI画像800は、本明細書において開示されているような実施例に従う。
【0072】
図9は、図7に示す実施例に使用された正則化画像900を示す。図10は、図8における画像800の補正に使用された更なる正則化画像1000を示す。図10において、皮膚からの信号の抑制が、図8に見られるように、EPI歪み問題の解をより良好に制約することが可能である。図9において、元の画像と同様のコントラストを有するT2重み付き画像が使用された。
【0073】
図7及び図8を比較すると、図700よりも図800において歪みがより少ないことが容易に分かる。図800は、本明細書において開示されている方法及び技法を使用する利点の一例である。最後の事例において、予備知識が、不良設定逆問題であるEPI歪み問題の解をより制約することが可能であることは明らかである。
【0074】
たとえこの例がEPI歪み補正のために明白であっても、これは、逆問題の解に基づく全ての再構成の共通の特徴である(再構成が圧縮検知、圧縮センシングなどであるかを問わず)。
【0075】
しかしながら、対応する逆問題に対して使用されるべき全ての可能なコントラストの画像の取得は、多くの取得を必要とするため、実際的ではない。
【0076】
全ての可能なコントラストの画像を取得することを回避することによって、臨床走査とコントラストが一致している予備知識のソースを得る方法が開示される。
【0077】
幾つかの例は、予備知識のソースを生成するために同じ解剖学的構造の(場合によっては低解像度の)画像の磁気共鳴フィンガープリンティング(MRF)取得を使用する。
【0078】
この取得は、事前走査の形態で、試験の始まりに使用されることになる高速3D取得であり得る。T1、T2、磁化値、及びB0マップに関するそのような事前走査情報から、空間分布を抽出することができる。
【0079】
これらの値は後に、後続の走査において取得される画像とコントラストが同様である合成画像を生成するために使用することができる。
【0080】
この合成画像は、第2の走査の再構成において予備知識のソースとして使用することができる。
【0081】
幾つかの例は、2つの主要部分に分かれる。
【0082】
1.MRF事前走査取得及び再構成。T1、T2及び磁化値の導出、並びに、その後のこの情報のデータベース内への記憶。
これは従来のMRF再構成と異ならない。
【0083】
2.全ての後続の臨床走査について、以下を行う。
a)データベースからB0、T1、T2及び磁化値を得る。
b)臨床走査の幾何学に関する事前走査データを再サンプリングするためにマルチプラナーリフォーマッティング(MPR)動作を実施する。
c)ブロッホ方程式を使用して合成画像を生成するために、ポイントb)において取り出される情報を走査取得パラメータ(例えば、エコー時間、繰り返し時間、フリップ各及び他のシーケンスパラメータ)と共に使用する。
d)この画像を、臨床データの再構成のための予備知識のソースとして使用する。これは、一般的に、逆問題として構成される。画像xとデータyとの間の関係の一般的なモデルfを所与とすると、以下が成り立つ。
y=f(x)
逆問題は、データyから開始してxの推定値を生成しようと試行することである。これは、典型的には、データ一貫性関数C及び幾つかの正則化項Riによって構成されるコスト関数を最小化することによって達成される。
【数1】
このフレームワークにおいて、信号位置特定に関する予備知識情報を、正則化項として含めることができる。
【数2】
式中、xは事前情報(ポイント2cにおいて生成される合成画像)であり、αは一般スケーリング係数である。この式において、事前知識の異なるソースがあり得るため、正則化項の総和は維持される。
【0084】
以下の3つの例は、ステップ2dの3つの異なる実施態様(及び目的)を詳述するために与えられる。
【0085】
1.EPI幾何学補正
この事例において、問題は、歪んだ画像yを歪みのない画像xと関係付ける線形システムとしてモデル化される。歪み演算子をDを用いて示す場合、モデルは以下のようになる。
y=Dx
【0086】
提案されている方法による歪み補正は、以下を解くことによって達成される。
【数3】
式中、xは標的EPI走査(これがfMRI、灌流、又は拡散画像であるかを問わない)のコントラストを模倣しようと試行する、前述のように得られる画像である。
【0087】
2.並列イメージング(すなわち、SENSE)展開
この事例において、問題は、畳み込まれたチャネル画像yを元の画像xと関係付ける線形システムとしてモデル化される。畳み込み演算子をFを用いて示し、コイル感度マップをSを用いて示す場合、モデルは以下のようになる。
y=FSx
提案されている方法による並列イメージング展開は、以下を解くことによって達成される。
【数4】
式中、xは標的臨床走査(並列イメージングが現在適用されているものであり得る任意の走査)のコントラストを模倣しようと試行する、前述のように得られる画像である。
【0088】
3.圧縮並列イメージング(すなわち、圧縮SENSE)
この事例においても、線形モデルがデータ取得を表す。
y=ASx
式中、Aはアンダーサンプリングフーリエ変換を表す。再構成は以下のように得られる。
【数5】
式中、Ψは疎領域における変換(例えば、ウェーブレット変換)を表す。
【0089】
本発明は、図面及び前述の記載において詳細に図示及び説明されたが、このような図示及び記載は、説明的又は例示的であって限定するものではないと見なされるべきである。すなわち本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。
【0090】
開示された実施形態のその他の変形が、図面、本開示及び添付の請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解されて実現され得る。請求項において、「含む、備える」という単語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、単数形は、複数を除外するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが請求項に記載された幾つかのアイテムの機能を果たす。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に用いられないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に若しくは他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体等の適当な媒体に保存/分配されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線の電気通信システムを介して等の他の形式で分配されてもよい。請求項における任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0091】
100 医療イメージングシステム
102 コンピュータ
104 プロセッサ
106 ハードウェアインタフェース
108 ユーザインタフェース
110 メモリ
120 マシン実行可能命令
122 測定された磁気共鳴イメージングデータ
124 B0マップ
126 T1マップ
128 T2マップ
130 磁化マップ
132 パルスシーケンスコマンド
134 ブロッホ方程式モデル
136 シミュレーション磁気共鳴画像
138 補正された磁気共鳴画像
200 対象者の第1の関心領域を記述する測定された磁気共鳴イメージングデータを受信する
202 各々が対象者の第2の関心領域を記述する、B0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップを受信する
204 測定された磁気共鳴イメージングデータを取得するように磁気共鳴イメージングシステムを制御するように構成されているパルスシーケンスコマンドを受信する
206 少なくともB0マップ、T1マップ、T2マップ、磁化マップ及びパルスシーケンスコマンドをブロッホ方程式モデルへの入力として使用して、重複する関心領域のシミュレーション磁気共鳴画像を計算する
208 逆問題を解くことによって、重複する関心領域について測定された磁気共鳴イメージングデータから補正された磁気共鳴画像を再構成する
300 医療イメージングシステム
302 磁気共鳴イメージングシステム
304 磁石
306 磁石のボア
307 第1の関心領域
308 イメージングゾーン
309 第2の関心領域
310 磁場勾配コイル
311 重複する関心領域
312 磁場勾配コイル電源
314 無線周波数コイル
316 トランシーバ
318 対象者
320 対象者支持手段
330 磁気共鳴イメージングパルスシーケンスコマンド
332 磁気共鳴フィンガープリントパルスシーケンスコマンド
334 磁気共鳴フィンガープリントデータ
336 磁気共鳴フィンガープリンティング辞書
400 磁気共鳴フィンガープリンティングパルスシーケンスコマンドによって、磁気共鳴フィンガープリントデータを取得するように、磁気共鳴イメージングシステムを制御する
402 磁気共鳴イメージングパルスシーケンスコマンドによって、磁気共鳴イメージングデータを取得するように、磁気共鳴イメージングシステムを制御する
404 磁気共鳴フィンガープリンティングプロトコルに従って取得される磁気共鳴フィンガープリントデータを受信する、磁気共鳴フィンガープリントデータは、第2の関心領域を記述する
406 磁気共鳴イメージングプロトコルに従って磁気共鳴フィンガープリンティング辞書を使用して磁気共鳴フィンガープリントデータからB0マップ、T1マップ、T2マップ、及び磁化マップのうちの少なくとも1つを再構成する
500 歪みを含むEPI画像
600 歪み補正を伴うEPI画像、予備知識なし
700 DIXON事前走査からの水画像に基づく正則化を使用した歪み補正を伴うEPI画像
800 EPI走査と同様のコントラストを有するT2重み付き画像に基づく正則化を使用した歪み補正を伴うEPI画像
900 画像700の正則化画像
1000 画像800の正則化画像
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