(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】空気圧縮機装置
(51)【国際特許分類】
F04B 41/00 20060101AFI20240226BHJP
F04B 39/12 20060101ALI20240226BHJP
F04B 39/14 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
F04B41/00 A
F04B39/12 G
F04B39/14
(21)【出願番号】P 2022083867
(22)【出願日】2022-05-23
【審査請求日】2022-05-23
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501164676
【氏名又は名称】周 文三
(73)【特許権者】
【識別番号】519443952
【氏名又は名称】周 承賢
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】周 文三
(72)【発明者】
【氏名】周 承賢
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-097936(JP,A)
【文献】特開2020-094585(JP,A)
【文献】特開2018-123809(JP,A)
【文献】特開2015-224630(JP,A)
【文献】特開2018-110468(JP,A)
【文献】登録実用新案第3238384(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0061540(KR,A)
【文献】中国実用新案第206283384(CN,U)
【文献】特開2016-169736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 25/00-37/20、
39/12、39/14、
41/00-41/06
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
H02K 5/00- 5/26
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧縮機と、前記空気圧縮機を中に収容する筐体とを備えた、空気圧縮機装置であって、
前記空気圧縮機は、フレーム、シリンダー、モータ及び伝動機構を有し、
前記フレームは、複数の位置決め孔を有し、前記位置決め孔は、第1の位置決め孔及び第2の位置決め孔を含み、
前記シリンダーは、前記フレームに結合されるとともに、空気貯蔵ユニットと連通し、
前記モータは、前記フレーム上に組み立てられ、前記フレームの前記第1の位置決め孔には、前記モータの芯端に設けた小歯車が挿入され、前記モータの内軸受座が前記第1の位置決め孔内に収容され、
前記伝動機構は、前記シリンダー内でピストン本体を往復運動させて圧縮空気を発生させ、
前記モータには、位置決め部が延設され、前記位置決め部を介して前記フレームと係合され、ねじを使用しなくても前記モータを前記フレームに組み立てて確実に固設し得、
前記モータには、金属材料からなる電導コイルが嵌設され、前記電導コイルが導磁作用を有するため、前記モータが仕事をする際、前記モータの効率が高められ、
前記モータのハウジングに嵌設された前記電導コイルには、互いに対称な2つの前記位置決め部が延設され、
2つの前記位置決め部の末端部には、幅が縮小した首部が設けられ、前記首部の末端には、前記位置決め部の元の幅と同じテールウィングが延設され、前記フレームの左右両側には、2つの前記位置決め部の前記テールウィングに対応するように、2つの位置決め槽が形成され、前記位置決め槽は、左溝槽及び右溝槽を含み、前記テールウィングは、前記フレームの前記位置決め槽に着座し、圧力工具により力を加えて、前記位置決め槽の前記左溝槽及び前記右溝槽に前記テールウィングを挿入して圧接させ、折り曲げて左テールウィング及び右テールウィングを成形し、前記左テールウィング及び前記右テールウィングを前記フレームの前記位置決め槽に圧接させて固定すると、ねじを使用しなくても前記モータを前記フレームに組み立てて確実に固設させ得、
前記筐体の上ハウジング及び下ハウジングの内側壁に予め設けられた押付け部には、前記筐体の内側壁に設けたバンプが含まれ、
前記バンプの壁面は、前記位置決め部の前記テールウィングを前記モータと前記フレームとの間で位置拘束し、前記テールウィングは、前記空気圧縮機を使用する際、又は不用意に落下させるなどして外力を受けた際に緩んでしまうことを防ぐことを特徴とする、空気圧縮機装置。
【請求項2】
前記モータのハウジングの円柱形周面上には、放熱口が設けられ、
前記放熱口は、前記モータのハウジング内部と、前記モータのハウジング外部とに気体を流通させて放熱することを特徴とする請求項1に記載の空気圧縮機装置。
【請求項3】
前記小歯車を一端に有する前記モータの頭端面は、内軸受座の外周に形成された複数の凹孔を有し、前記フレームの後部の前記第1の位置決め孔の外周には、前記凹孔に対応する複数のピンが突設され、前記モータを前記フレームに位置決めする際、前記モータの前記頭端面の複数の前記凹孔を前記フレーム上の複数の前記ピン上に対応して係合させると、前記モータが位置決めされるため、前記モータが駆動するときの回転力に対する抵抗力が高まることを特徴とする請求項1に記載の空気圧縮機装置。
【請求項4】
前記モータ及び前記フレームを対向させて結合した後にも、複数の流通孔が依然として結合面に残り、前記フレーム上の前記ピンが前記モータの前記頭端面の前記凹孔の空間に係合されても流通孔が依然として残ることを特徴とする請求項3に記載の空気圧縮機装置。
【請求項5】
互いに結合された前記モータと前記フレームとを着脱部材により分離させる際は、前記フレームの前記位置決め槽中に前記着脱部材を伸ばし入れ、前記フレーム上の前記位置決め部に係合された前記左テールウィング及び前記右テールウィングに反対方向の力を加えると係合状態が解除され、前記モータを移動させて前記モータと前記フレームとの相対位置を変えると、前記モータと前記フレームとが容易かつ迅速に分離されることを特徴とする請求項1に記載の空気圧縮機装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧縮機装置に関し、特に、ねじを使用せずにモータをフレームに確実に固設することができるとともに、空気圧縮機を筐体内に収容することができる、空気圧縮機装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気圧縮機は、フレームと、前記フレームに結合されたシリンダーと、フレームに取付けられたモータと、モータにより駆動されシリンダー内で往復運動するピストン本体と、を含み、モータによりシリンダー内でピストン本体を往復運動させることにより、ガスの吸入・圧縮を行い、加圧ガスを排出させ、空気圧縮機全体を筐体内に配設する。
【0003】
一般に、従来の空気圧縮機のモータの大部分は、ねじによりフレーム上にねじ止めされていたが、空気圧縮機を長期間使用すると、ねじが外れたり緩んだりして使用寿命が短くなることがあった。また、ねじはフレーム本体に挿通し、モータのハウジングのねじ孔に螺着しなければならなかったが、空間により制限され、ねじを締め付ける工具をフレーム本体及びその周辺部品に挿通させることが出来ないことがあり、その場合ねじを使用してモータをフレーム上にスムーズにねじ止めすることが困難となることがあった。本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、本発明者は、長年にわたり研究・開発に力を注ぎ、空気圧縮機装置を発明した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の課題は、空気圧縮機が筐体内に収容され、空気圧縮機内に配設されたモータが複数の凹孔をフレーム上の複数のピン上に対応して係合すると、モータから延びた少なくとも1つの位置決め部を介してフレーム上に係合され、ねじを使用しなくてもモータをフレームに組み立てて確実に固設することができる空気圧縮機装置を提供することにある。
【0005】
本発明の第2の課題は、互いに結合されたモータとフレームとを着脱部材により分離する際、着脱部材を利用してフレーム上に係合された位置決め部に圧力を加えて係合状態を解除し、モータを移動させてモータとフレームとの相対位置を変えると、モータとフレームとを容易かつ迅速に分離させることができる空気圧縮機装置を提供することにある。
【0006】
本発明の第3の課題は、空気圧縮機が筐体内に収容され、筐体の上ハウジング及び下ハウジングの内側壁に予め設けられた押付け部を利用し、押付け部は、筐体の内側壁に設けたバンプを含み、バンプの壁面は、位置決め部のテールウィングを前述したモータとフレームとの間で位置拘束し、テールウィングは、空気圧縮機を使用する際、又は不用意に落下させるなどして外力を受けた際に緩んでしまうことを防ぐことができる空気圧縮機装置を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る空気圧縮機装置の一部の部材を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る空気圧縮機装置の一部の部材の別の角度からの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る空気圧縮機装置を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る空気圧縮機装置を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る空気圧縮機装置の一部を拡大し、着脱部材を使用する説明図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るモータの複数の凹孔がフレームの複数のピンに対応して係合され、両者を対向するように結合した後にも流通孔が依然として残っている状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の別のフレーム及びモータの一部を示す分解斜視図である。
【
図12】
図12は、
図8の空気圧縮機が筐体内に収容される状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0009】
図12を参照する。
図12に示すように、本発明の一実施形態に係る空気圧縮機装置は、空気圧縮機10を含む。空気圧縮機10は、筐体8の内空部に収容される。また、
図1~
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る空気圧縮機10は、フレーム1と、フレーム1に結合されたシリンダー2と、フレーム1上に組み立てるモータ4と、モータ4により駆動されてシリンダー2内で往復運動するピストン本体5と、を含む。
【0010】
フレーム1は、複数の位置決め孔を有する。複数の位置決め孔は、第1の位置決め孔11及び第2の位置決め孔12を含む。第1の位置決め孔11には、モータ4の芯端に設けた小歯車61が挿入され、モータ4の内軸受座41が第1の位置決め孔11内に収容される。第2の位置決め孔12内には、軸受121が設けられる。前述したモータ4のハウジングの円柱形周面上には、完全に貫通されて形成された2つの放熱口43が互いに対称に設けられる。放熱口43は、モータ4のハウジング内部と、モータ4のハウジング外部とに気体を流通させ、放熱機能を得る。前述したモータ4には、金属材料からなる電導コイル44が嵌設され、電導コイル44が導磁作用を有するため、モータ4が仕事をする際、モータ4の効率が高い。
【0011】
シリンダー2は、フレーム1に一体成形される。シリンダー2は、空気貯蔵ユニット3と連通する。空気貯蔵ユニット3には、気体を出力するホース31と、圧力計32とが取り付けられる少なくとも1つのマニホールド30が設けられる。
【0012】
伝動機構6は、カウンターウェイトブロックを有する大歯車62を含む。大歯車62は、前述した小歯車61と噛合される。大歯車62は、軸杆を介して前述した軸受121に接続される(これは従来技術であるため図示しない)。伝動機構6は、前述したシリンダー2内でピストン本体5を往復運動させて圧縮空気を発生させる。
【0013】
図1~
図3を参照する。
図1~
図3に示すように、本発明の特徴は、小歯車61を一端に有するモータ4の頭端面42が、内軸受座41の外周に形成された複数の凹孔420を有する。フレーム1後部の第1の位置決め孔11の外周には、前述した凹孔420に対応する複数のピン110が突設されている。モータ4をフレーム1に位置決めする際、モータ4の頭端面42の複数の凹孔420をフレーム1上の複数のピン110上に対応して係合させると、モータ4が位置決めされるため、モータ4が駆動するときの回転力に対する抵抗力が高まり、モータ4及びフレーム1を対向させて結合しても、複数の流通孔70が結合面7に依然として残り(
図6を併せて参照する)、フレーム1上のピン110がモータ4の頭端面42の凹孔420の空間に係合されても流通孔70が残るとともに、モータ4の頭端面42の内軸受座41をフレーム1上の第1の位置決め孔11内に収容し、少なくとも1つの位置決め部45を介してフレーム1とモータ4とを係合させて組み立てることができる。即ち、位置決め部45の一端がモータ4から延び、位置決め部45の他端をフレーム1上に係合させることにより、ねじを使用しなくてもモータ4をフレーム1に組み立てて確実に固設することができる。
【0014】
図1~
図4を参照する。
図1~
図4に示すように、前述したモータ4のハウジングの頭端面42には、互いに対称な2つの位置決め部45が延設される。フレーム1は、位置決め部45に対向した箇所に上下に貫通されて形成された2つの穿孔13を有し、これら2つの穿孔13の隣り合う箇所には凹槽14がそれぞれ形成され、前述した2つの位置決め部45は、フレーム1上の2つの穿孔13に挿通され、2つの位置決め部45の末端部は、圧力工具(図示せず)により力を加えて折り曲げて形成された対称な2つの位置決めサイドウィング451を有する。位置決めサイドウィング451は、前述したフレーム1の表面に押し当てて固定することができるため、ねじを使用しなくてもモータ4をフレーム1に組み立てて確実に固設することができる。
【0015】
図5を参照する。
図5に示すように、本実施形態では、互いに結合されたモータ4とフレーム1とを着脱部材9により分離し、着脱部材9を前述したフレーム1の凹槽14に伸ばし入れ、フレーム1上に係合された位置決め部45の位置決めサイドウィング451に反対方向の力を加えると変形して係合状態が解除され、モータ4を移動させてモータ4とフレーム1との相対位置を変えると、モータ4とフレーム1とを容易かつ迅速に分離させることができる。前述した着脱部材9は、例えばドライバーなど一般の工具でもよい。
【0016】
図7~
図10を参照する。
図7~
図10に示すように、本発明の他の実施形態では、モータ4のハウジングに嵌設された電導コイル44には、互いに対称な2つの位置決め部46が延設される。2つの位置決め部46の末端部には、幅が縮小した首部461が設けられる。首部461の末端には、前述した位置決め部46の元の幅と同じテールウィング47が延設される。フレーム1の左右両側には、2つの位置決め部46のテールウィング47に対応するように、2つの位置決め槽15が形成される。この位置決め槽15は、左溝槽151及び右溝槽152を含む。前述したテールウィング47は、フレーム1の位置決め槽15に着座し、圧力工具(図示せず)により力を加えて、前述した位置決め槽15の左溝槽151及び右溝槽152にテールウィング47を挿入して圧接し、折り曲げて左テールウィング471及び右テールウィング472を成形する。左テールウィング471及び右テールウィング472を、前述したフレーム1の位置決め槽15に圧接させて固定すると、ねじを使用しなくてもモータ4をフレーム1に組み立てて確実に固設することができる。
図11を参照する。
図11に示すように、本実施形態は、着脱部材9を利用すると、互いに結合されたモータ4とフレーム1とを分離させることができる。即ち、フレーム1の位置決め槽15中に着脱部材9を伸ばし入れ、フレーム1上の位置決め部46に係合された左テールウィング471及び右テールウィング472に反対方向の力を加えると係合状態が解除され、モータ4を移動させてモータ4とフレーム1との相対位置を変えると、モータ4とフレーム1とを容易かつ迅速に分離させることができる。
【0017】
図12及び
図13を参照する。
図12及び
図13は、筐体8内に空気圧縮機10を収容する状態の説明図であり、筐体8の上ハウジング及び下ハウジングの内側壁に予め設けられた押付け部81には、筐体8の内側壁に設けたバンプ82が含まれる。バンプ82の壁面は、位置決め部46のテールウィング47を前述したモータ4とフレーム1との間で位置拘束し、テールウィング47は、空気圧縮機10を使用する際、又は不用意に落下させるなどして外力を受けた際に緩んでしまうことを防ぐことができる。
【0018】
上述したことから分かるように、本発明に係る空気圧縮機装置は、モータ4の複数の凹孔420をフレーム1上の複数のピン110上に対応して係合させると、モータ4が位置決めされ、モータ4が駆動するときの回転力に対する抵抗力が高まり、モータ4から延びた少なくとも1つの位置決め部45を介してフレーム1を係合して組み立て、ねじを使用しなくてもモータ4をフレーム1に組み立てて確実に固設することができる。空気圧縮機10は、筐体8内に収容され、筐体8の上ハウジング及び下ハウジングの内側壁に予め設けられた押付け部81を利用し、位置決め部46のテールウィング47を前述したモータ4とフレーム1との間で位置拘束し、テールウィング47は、空気圧縮機10を使用する際、又は不用意に落下させるなどして外力を受けた際に緩んでしまうことを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0019】
1:フレーム
2:シリンダー
3:空気貯蔵ユニット
4:モータ
5:ピストン本体
6:伝動機構
7:結合面
8:筐体
9:着脱部材
10:空気圧縮機
11:第1の位置決め孔
12:第2の位置決め孔
13:穿孔
14:凹槽
15:位置決め槽
30:マニホールド
31:ホース
32:圧力計
41:内軸受座
42:頭端面
43:放熱口
44:電導コイル
45:位置決め部
46:位置決め部
47:テールウィング
61:小歯車
62:大歯車
70:流通孔
81:押付け部
82:バンプ
110:ピン
121:軸受
151:左溝槽
152:右溝槽
420:凹孔
451:位置決めサイドウィング
461:首部
471:左テールウィング
472:右テールウィング