(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】車両の位置等調整装置、及び、それを用いた車両の位置等調整方法
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
G01M17/007 C
G01M17/007 R
(21)【出願番号】P 2022089819
(22)【出願日】2022-06-01
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000117467
【氏名又は名称】安全自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】鴨下 隆
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸夫
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-215172(JP,A)
【文献】特開2006-194594(JP,A)
【文献】特開平10-19556(JP,A)
【文献】特開平1-141311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M17/00-17/10
B62D17/00-25/08
25/14-29/04
G01B21/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成ユニットを有し、各構成ユニットは、固定部に対し水平方向に移動可能であるとともに、固定部に対し回動可能に設けた移動部材を有し、該移動部材は、車両の車輪を載置し回転できる2本のローラを有し、
前記移動部材に対し第1係合部を設け、前記固定部に対し前記第1係合部に係合する第2係合部を設け、この第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第1伸縮部材により、前記移動部材を、2本のローラにおける車両の前後方向の前側又は後側に位置する回転軸を中心として回動できるようにしたことを特徴とする車両の位置等調整装置。
【請求項2】
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、前記回転軸を、案内部材に沿って移動できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両の位置等調整装置。
【請求項3】
第2伸縮部材を設け、前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、前記第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記回転軸を移動できるようにしたことを特徴とする請求項2記載の車両の位置等調整装置。
【請求項4】
前記移動部材と、前記第1伸縮部材を連結させたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両の位置等調整装置。
【請求項5】
前記移動部材と、前記第1伸縮部材と連結されていないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両の位置等調整装置。
【請求項6】
複数の構成ユニットを有し、各構成ユニットは、固定部に対し水平方向に移動可能であるとともに、固定部に対し回動可能に設けた移動部材を有し、該移動部材は、車両の車輪を載置し回転できる2本のローラを有し、
前記移動部材に対し第1係合部を設け、前記固定部に対し前記第1係合部に係合する第2係合部を設け、この第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第1伸縮部材により、前記移動部材を、2本のローラにおける車両の前後方向の前側又は後側に位置する回転軸を中心として回動できるようにした車両の位置等調整装置を用い、
前記ローラ上に車輪を載置させ、前記第1係合部と前記第2係合部を係合させた後に、
少なくとも2つの構成ユニットにおいて、前記ローラと前記車輪を共に回転させながら、前記第1伸縮部材により、前記移動部材を、前記回転軸を中心として回動させることで、前記車輪を、前記ローラに対して移動させて、車両の位置等を調整することを特徴とする車両の位置等調整方法。
【請求項7】
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、前記回転軸を、案内部材に沿って移動できるようにしたことを特徴とする請求項6記載の車両の位置等調整方法。
【請求項8】
複数の構成ユニットを有し、各構成ユニットは、固定部に対し水平方向に移動可能であるとともに、固定部に対し回動可能に設けた移動部材を有し、該移動部材は、車両の車輪を載置し回転できる2本のローラを有し、
前記移動部材に対し第1係合部を設け、前記固定部に対し前記第1係合部に係合する第2係合部を設け、この第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第1伸縮部材を伸縮させることにより、前記移動部材を、2本のローラにおける車両の前後方向の前側又は後側に位置する回転軸を中心として回動できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記回転軸を移動できるようにした車両の位置等調整装置を用い、
前記ローラ上に車輪を載置させ、前記第1係合部と前記第2係合部を係合させた後に、
少なくとも2つの構成ユニットにおいて、前記ローラと前記車輪を共に回転させながら、前記第1伸縮部材を伸縮させず、前記第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記移動部材における車両の前後方向に対する角度を変化させることで、前記車輪を、前記ローラに対して移動させて、車両の位置等を調整することを特徴とする車両の位置等調整方法。
【請求項9】
複数の構成ユニットを有し、各構成ユニットは、固定部に対し水平方向に移動可能であるとともに、固定部に対し回動可能に設けた移動部材を有し、該移動部材は、車両の車輪を載置し回転できる2本のローラを有し、
前記移動部材に対し第1係合部を設け、前記固定部に対し前記第1係合部に係合する第2係合部を設け、この第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第1伸縮部材を伸縮させることにより、前記移動部材を、2本のローラにおける車両の前後方向の前側又は後側に位置する回転軸を中心として回動できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記回転軸を移動できるようにした車両の位置等調整装置を用い、
前記ローラ上に車輪を載置させ、前記第1係合部と前記第2係合部を係合させた後に、
少なくとも2つの構成ユニットにおいて、前記ローラと前記車輪を共に回転させながら、第1伸縮部材と前記第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記移動部材における車両の前後方向に対する角度を変化させることで、前記車輪を、前記ローラに対して移動させて、車両の位置等を調整することを特徴とする車両の位置等調整方法。
【請求項10】
センサーの測定値を基に算出した車両のトレッドの算出値と、予め設定されたその車両に対するローラトレッドの設定値との間に差が生じた場合に、
前記車両の位置を調整するとともに、前記第1伸縮部材と前記第2伸縮部材を伸縮させることにより、車両のトレッドを前記ローラトレッドの設定値となるように調整することを特徴とする請求項9記載の車両の位置等調整方法。
【請求項11】
複数の構成ユニットを有し、各構成ユニットは、固定部に対し水平方向に移動可能であるとともに、固定部に対し回動可能に設けた移動部材を有し、該移動部材は、車両の車輪を載置し回転できる2本のローラを有し、
前記移動部材に対し第1係合部を設け、前記固定部に対し前記第1係合部に係合する第2係合部を設け、この第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第1伸縮部材を伸縮させることにより、前記移動部材を、2本のローラにおける車両の前後方向の前側又は後側に位置する回転軸を中心として回動できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記回転軸を移動できるようにした車両の位置等調整装置を用い、
前記第1係合部と前記第2係合部を非係合状態とするとともに、前記固定部に対し前記移動部材が移動可能な状態で、車両のアライメントの調整を行っている際において、
車両が、所定位置から移動した場合、前記第1伸縮部材を伸縮させることにより、車両の位置等の調整を行うことを特徴とする車両の位置等調整方法。
【請求項12】
複数の構成ユニットを有し、各構成ユニットは、固定部に対し水平方向に移動可能であるとともに、固定部に対し回動可能に設けた移動部材を有し、該移動部材は、車両の車輪を載置し回転できる2本のローラを有し、
前記移動部材に対し第1係合部を設け、前記固定部に対し前記第1係合部に係合する第2係合部を設け、この第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第1伸縮部材を伸縮させることにより、前記移動部材を、前記ローラにおける車両の前後方向の前側又は後側に位置する回転軸を中心として回動できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記回転軸を移動できるようにした車両の位置等調整装置を用い、
車両の車輪を静止させた状態で、前記第1伸縮部材を伸縮させることにより、車両の位置等の調整を行うことを特徴とする車両の位置等調整方法。
【請求項13】
前記移動部材と前記第1伸縮部材を、連結させたことを特徴とする請求項6乃至12の何れか1項に記載の車両の位置等調整方法。
【請求項14】
前記移動部材と、前記第1伸縮部材が、連結されていないことを特徴とする請求項6乃至12の何れか1項に記載の車両の位置等調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両におけるホイールアライメントの測定前等の正対調整等に用いることができる車両の位置等調整装置と、それを用いた車両の位置等調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車生産工場等において、トー調整などのホイールアライメントの調整が行われている。ホイールアライメントを調整する際には、ホイールアライメントを精度良く計測する必要がある。
【0003】
ホイールアライメントを精度良く計測するためには、車両のセンターを、ホイールアライメント計測装置におけるセンター等の基準位置に合わせる、車両の正対調整が必要となる。
【0004】
従来、
図17に示すように、車両101の車輪102を載置し、車輪と共に回転するローラ103を2つ備えたローラーテーブル104を、各車輪102に対応した位置に設け、車輪102を回転させた状態で、センタリングローラ105をタイヤサイドウォール102aの横から押して、ローラ103に対し車輪102を移動させて、車両101を正対させることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、車両101を正対させる際に、センタリングローラ105によりタイヤサイドウォール102aを横から押すため、タイヤサイドウォール102aに直接外力を与えることとなり、アライメントの測定精度や、調整精度に影響を与えてしまうという問題がある。
【0007】
また、近年、車両101のタイヤサイドウォール102aが低扁平化したことにより、センタリングローラ105が、タイヤサイドウォール102aではなくホイールにあたってしまうという問題が生じている。
【0008】
そこで、本発明は、車両の車輪の側面に接触することなく、車両を正対等させることができる車両の位置等調整装置、及び、それを用いた車両の位置等調整方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明は、複数の構成ユニットを有し、各構成ユニットは、固定部に対し水平方向に移動可能であるとともに、固定部に対し回動可能に設けた移動部材を有し、該移動部材は、車両の車輪を載置し回転できる2本のローラを有し、
前記移動部材に対し第1係合部を設け、前記固定部に対し前記第1係合部に係合する第2係合部を設け、この第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第1伸縮部材により、前記移動部材を、2本のローラにおける車両の前後方向の前側又は後側に位置する回転軸を中心として回動できるようにしたことを特徴とする車両の位置等調整装置である。
【0010】
また、前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、前記回転軸を、案内部材に沿って移動できるようにしてもよい。
【0011】
また、第2伸縮部材を設け、前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、前記第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記回転軸を移動できるようにしてもよい。
【0012】
また、前記移動部材と、前記第1伸縮部材を連結させてもよい。
【0013】
また、記移動部材と、前記第1伸縮部材と連結されていなくてもよい。
【0014】
また、複数の構成ユニットを有し、各構成ユニットは、固定部に対し水平方向に移動可能であるとともに、固定部に対し回動可能に設けた移動部材を有し、該移動部材は、車両の車輪を載置し回転できる2本のローラを有し、
前記移動部材に対し第1係合部を設け、前記固定部に対し前記第1係合部に係合する第2係合部を設け、この第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第1伸縮部材により、前記移動部材を、2本のローラにおける車両の前後方向の前側又は後側に位置する回転軸を中心として回動できるようにした車両の位置等調整装置を用い、
前記ローラ上に車輪を載置させ、前記第1係合部と前記第2係合部を係合させた後に、
少なくとも2つの構成ユニットにおいて、前記ローラと前記車輪を共に回転させながら、前記第1伸縮部材により、前記移動部材を、前記回転軸を中心として回動させることで、前記車輪を、前記ローラに対して移動させて、車両の位置を調整することを特徴とする車両の位置等調整方法である。
【0015】
また、前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、前記回転軸を、案内部材に沿って移動できるようにしてもよい。
【0016】
また、複数の構成ユニットを有し、各構成ユニットは、固定部に対し水平方向に移動可能であるとともに、固定部に対し回動可能に設けた動部材を有し、該移動部材は、車両の車輪を載置し回転できる2本のローラを有し、
前記移動部材に対し第1係合部を設け、前記固定部に対し前記第1係合部に係合する第2係合部を設け、この第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第1伸縮部材を伸縮させることにより、前記移動部材を、2本のローラにおける車両の前後方向の前側又は後側に位置する回転軸を中心として回動できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記回転軸を移動できるようにした車両の位置等調整装置を用い、
前記ローラ上に車輪を載置させ、前記第1係合部と前記第2係合部を係合させた後に、
少なくとも2つの構成ユニットにおいて、前記ローラと前記車輪を共に回転させながら、前記第1伸縮部材を伸縮させず、前記第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記移動部材における車両の前後方向に対する角度を変化させることで、前記車輪を、前記ローラに対して移動させて、車両の位置を調整することを特徴とする車両の位置等調整方法である。
【0017】
また、複数の構成ユニットを有し、各構成ユニットは、固定部に対し水平方向に移動可能であるとともに、固定部に対し回動可能に設けた移動部材を有し、該移動部材は、車両の車輪を載置し回転できる2本のローラを有し、
前記移動部材に対し第1係合部を設け、前記固定部に対し前記第1係合部に係合する第2係合部を設け、この第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第1伸縮部材を伸縮させることにより、前記移動部材を、2本のローラにおける車両の前後方向の前側又は後側に位置する回転軸を中心として回動できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記回転軸を移動できるようにした車両の位置等調整装置を用い、
前記ローラ上に車輪を載置させ、前記第1係合部と前記第2係合部を係合させた後に、
少なくとも2つの構成ユニットにおいて、前記ローラと前記車輪を共に回転させながら、第1伸縮部材と前記第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記移動部材における車両の前後方向に対する角度を変化させることで、前記車輪を、前記ローラに対して移動させて、車両の位置等を調整することを特徴とする車両の位置等調整方法である。
【0018】
また、センサーの測定値を基に算出した車両のトレッドの算出値と、予め設定されたその車両に対するローラトレッドの設定値との間に差が生じた場合に、
前記車両の位置を調整するとともに、前記第1伸縮部材と前記第2伸縮部材を伸縮させることにより、車両のトレッドを前記ローラトレッドの設定値となるように調整してもよい。
【0019】
また、複数の構成ユニットを有し、各構成ユニットは、固定部に対し水平方向に移動可能であるとともに、固定部に対し回動可能に設けた移動部材を有し、該移動部材は、車両の車輪を載置し回転できる2本のローラを有し、
前記移動部材に対し第1係合部を設け、前記固定部に対し前記第1係合部に係合する第2係合部を設け、この第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第1伸縮部材を伸縮させることにより、前記移動部材を、2本のローラにおける車両の前後方向の前側又は後側に位置する回転軸を中心として回動できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記回転軸を移動できるようにした車両の位置等調整装置を用い、
前記第1係合部と前記第2係合部を非係合状態とするとともに、前記固定部に対し前記移動部材が移動可能な状態で、車両のアライメントの調整を行っている際において、
車両が、所定位置から移動した場合、前記第1伸縮部材を伸縮させることにより、車両の位置等の調整を行うことを特徴とする車両の位置等調整方法である。
【0020】
また、複数の構成ユニットを有し、各構成ユニットは、固定部に対し水平方向に移動可能であるとともに、固定部に対し回動可能に設けた移動部材を有し、該移動部材は、車両の車輪を載置し回転できる2本のローラを有し、
前記移動部材に対し第1係合部を設け、前記固定部に対し前記第1係合部に係合する第2係合部を設け、この第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第1伸縮部材を伸縮させることにより、前記移動部材を、前記ローラにおける車両の前後方向の前側又は後側に位置する回転軸を中心として回動できるようにし、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合した状態において、第2伸縮部材を伸縮させることにより、前記回転軸を移動できるようにした車両の位置等調整装置を用い、
車両の車輪を静止させた状態で、前記第1伸縮部材を伸縮させることにより、車両の位置等の調整を行うことを特徴とする車両の位置等調整方法である。
【0021】
また、前記移動部材と前記第1伸縮部材を、連結させてもよい。
【0022】
また、前記移動部材と、前記第1伸縮部材が、連結されていなくてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、移動部材における車両の前後方向に対する角度を変化させることで、車輪を、ローラに対して移動させて、車両の位置等の調整を行うため、アライメントの測定精度や、調整精度に影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例1に係る位置等調整装置の上面図。
【
図2】本発明の実施例1に用いる構成ユニットの上面図。
【
図5】
図2の状態から、第1伸縮部材を伸縮させた状態の移動部材と第1伸縮部材の上面図。
【
図6】本発明の実施例2に用いる構成ユニットの上面図。
【
図10】
図7の状態から、第1伸縮部材を伸縮させた状態の移動部材と第1伸縮部材の上面図。
【
図11】本発明の実施例2に係る車両の位置等調整装置を用いた車両の位置調整方法を説明するための図。
【
図12】
図11の状態から車両の位置を調整した状態を示す上面図。
【
図13】本発明の実施例3に用いる構成ユニットの上面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0026】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る車両の位置等調整装置1の模式図である。車両の位置等調整装置1は、車両10の各車輪11が位置する位置の4カ所に各構成ユニット2が設けられている。構成ユニット2の数は、車両10の車輪11の数に応じて任意に設定する。
図2~
図4に示す構成ユニット2は、
図1の車両10の右側に位置する構成ユニットを示し、左側に位置する構成ユニット2は、
図2~
図4に示すものとは左右反転したものである。
【0027】
各構成ユニット2は、
図2~
図4に示すように、複数のセンサー3を有し、各センサー3から車輪11のタイヤまでの距離を測定し、構成ユニット2上に位置する車輪11のタイヤ11aに関するトー角、キャンバー角等のホイールアライメントを算出するとともに、センサー3から車輪11のタイヤ11aまでの距離を測定することができるようになっている。
【0028】
各構成ユニット2は、
図2~
図4に示すように、地面等に対し固設された固定部4を有し、固定部4に対しセンサー3が固設されている。摺動部材8により、移動部材5が、固定部4に対して、
図1の上下、左右等の任意の水平方向への移動できるとともに、移動部材5が固定部4に対し回動可能に設けられている。本実施例では、摺動部材8として、ボールローラを用いて、移動部材5を固定部4に対し、水平方向に移動可能に設けた。なお、摺動部材8として、ボールローラ以外にも、移動部材5を、固定部4に対し水平方向に移動できれば任意の部材を用いることができる。
【0029】
図示しない初期化部により、移動部材5を、固定部4に対して所定の位置となるように移動させることができるようになっている。また、図示しない第1ロック部によりロックをすることにより、移動部材5が、固定部4に対して移動することを阻止し、第1ロック部のロックを解除することにより、移動部材5が、固定部4に対して移動できるようになっている。
【0030】
移動部材5は、
図2~
図4に示すように、底板5aを有し、底板5aの両側部に側板5b,5bが設けられ、側板5b,5b間には、円筒状のローラ9が、2個平行に設けられるとともに、各軸芯を中心として回動可能に設けられている。2個のローラ9上に車輪11を載置し、図示しないモータにより少なくとも一方のローラ9を回動させることにより、車輪11を回動させることができるようになっている。また、ローラ9は、図示しない第2ロック部によりロックすることにより、ローラ9が回動しないようにし、第2ロック部のロックを解除することにより、ローラ9を回動できるようになっている。
【0031】
移動部材5における車両10の前後方向の前側には、
図2,
図4に示すように、前側方向に突出する突出部材13が固設されている。突出部材13には、上下方向に貫通する取付孔13aからなる第1係合部が設けられ、移動部材5に設けた2本のローラ9と9における車両10の前後方向の前側に取付孔13aからなる第1係合部が設けられている。なお、本実施例では、突出部材13に取付孔13aを設けたが、移動部材5におけるローラ9の車両10の前後方向の前側に延在させ、移動部材5における2本のローラ9の前側に取付孔13aを設けてもよい。
【0032】
固定部4には、第1係合部である取付孔13aに係合可能な可動ピン14からなる第2係合部が、直動アクチュエータ等により上下方向に移動可能に設けられている。なお、移動部材5側にピンを固設して第1係合部とし、固定部4側に、ピンと係合可能な取付孔からなる第2係合部を、上下方向に移動可能に設けてもよい。
【0033】
本実施例では、可動ピン14を上昇させると、取付孔13aと可動ピン14が係合し、可動ピン14を下降させると、取付孔13aと可動ピン14の係合を解除することができるようにした。これにより、第1係合部と第2係合部が、係合状態と非係合状態とに変更できるようになっている。
【0034】
なお、第1係合部と第2係合部を、係合状態と非係合状態とに変更できるとともに、その軸芯を中心として、移動部材5を回動できるようにすれば、第1係合部と第2係合部として、任意の部材を用いることができる。
【0035】
取付孔13aと可動ピン14を係合した状態で、可動ピン14の軸芯を第1回転軸16として、移動部材5を回動することができるようになっている。すなわち、移動部材5は、
図5に示すように、ローラ9における車両10の前後方向の前側に位置する第1回転軸16を中心として回動することができようになっている。
【0036】
固定部4には、
図2~
図4に示すように、軸方向の長さを伸縮できる直動アクチュエータ等からなる第1伸縮部材17の一端部17aが、上下方向に設けた軸芯を中心として回動可能に設けられている。第1伸縮部材17は、移動部材5の側板5bに設けた図示しない連通孔に挿通され、第1伸縮部材17の他端部17bは、移動部材5の底板5aの中心に設けた第2回転軸18を中心に回動可能に連結されている。なお、第1伸縮部材17の他端部17bを、移動部材5の底板5aの中心以外の任意の位置に連結するようにし、移動部材5の第2回転軸18が、底板5aの中心以外に位置するようにしてもよい。
【0037】
上記の構造により、取付孔13aと可動ピン14が係合した状態において、第1伸縮部材17を伸縮させることにより、
図5に示すように、第1回転軸16を中心として、移動部材5を回動することができる。
【0038】
次に、車両の位置等調整装置1を用いた車両の正対方法について説明する。
【0039】
先ず、全ての構成ユニット2において、初期化部により、移動部材5を、固定部4に対して所定の位置となるように移動させ、この移動部材5の位置を第1ロック部により保持する。また、第2ロック部によりローラ9が回動しないようにする。また、可動ピン14を下降させ、取付孔13aと可動ピン14の係合は解除されている。
【0040】
次に、車両を、
図1に示すように、各構成ユニット2の2本ローラ9上に、車両10の各車輪11が載置するように、車両10を車両の位置等調整装置1に乗り入れる。各構成ユニット2の夫々のセンサー3により、各センサー3から車輪11のタイヤまでの距離を測定した後に、図示しない制御部により、タイヤに関するトー角、キャンバー角等のホイールアライメントを算出し、その後、車両10を、どのように移動させれば、車両10を基準位置に移動させることができるか演算する。
【0041】
次に、全ての構成ユニット2において、可動ピン14を上昇させ、第1係合部である取付孔13aと、第2係合部である可動ピン14を係合させる。
【0042】
次に、全ての構成ユニット2において、第1ロック部のロック状態を解除し、移動部材5は、第1回転軸16を中心として回動できるようにする。
【0043】
次に、全ての構成ユニット2において、第2ロック部のロック状態を解除し、ローラ9を回動できるようにした後に、ローラ9を回動させて、車両10の車輪11を前進方向に回転させる。
【0044】
次に、センサー3の測定値からの演算に基づき、車輪11とともにローラ9を回動させた状態で、4つ全ての構成ユニット2、又は、車両の右側又は左側に位置する2つの構成ユニットにおける第1伸縮部材17を伸縮させることにより、第1回転軸16を中心として、移動部材5を回動させ、
図2,
図5に示すように、移動部材5のローラ9における車両10の前後方向に対する角度を変化させることで、車輪11を、ローラ9の軸芯方向に移動させる。その後、センサー3の測定結果を基に、第1伸縮部材17の伸縮を繰り返し行い、車両10が装置に対して正対位置や、リヤトーのスラスト角度が0度になるなどの意図した所定位置等に移動させることができる。
【0045】
次に、車輪11を停止させ、全ての構成ユニット2において、可動ピン14を下降させ、取付孔13aと可動ピン14の係合は解除するとともに、第1伸縮部材17の伸縮量を固定しないことで、移動部材5は、固定部4に対して、任意の水平方向に移動可能とし、アライメント調整に対し、車両の位置等調整装置1が影響を与えることはない。なお、車輪11を回転させたまま、アライメント調整を行うようにしてもよい。
【0046】
また、アライメント調整により、車両10が所定位置より移動した場合には、一時的に第1伸縮部材17を伸縮させて移動部材5を所定方向に移動させることにより、車両10を所定位置に戻すことができる。
【0047】
なお、上記実施例1においては、移動部材5を、2本のローラ9と9における車両10の前後方向の前側に位置する部分を旋回中心として回動するようにしたが、車両10の位置調整を行う際に、車両10の車輪11を後進方向に回転させて行う場合には、移動部材5を、2本のローラ9と9における車両10の前後方向の後側に位置する部分を旋回中心として回動するようにしてもよい。
【0048】
上記のように、本願は、車両10の車輪11の側面に接触することなく、車両10の位置等を調整することができ、アライメントの測定精度や、調整精度に影響を与えることがない。
【0049】
[実施例2]
本実施例2に係る車両の位置等調整装置の構成ユニット21は、上記実施例1の位置等調整装置1の第1回転軸16を、少なくとも、第1係合部と第2係合部が係合した状態において移動可能としたものである。
図6~
図9に示す構成ユニット2は、
図1の車両10の右側に位置する構成ユニットを示し、左側に位置する構成ユニット21は、
図6~
図9に示すものとは左右反転したものである。
【0050】
構成ユニット21は、
図6~
図9に示すように、固定部4に対し、直動ベアリングからなる案内部材22が固設され、この案内部材22に沿って、第2係合部である可動ピン24(第1回転軸16)を移動できるようになっている。
【0051】
軸方向の長さを伸縮できる直動アクチュエータ等からなる第2伸縮部材23は、
図6,
図7に示すように、その一端部23aが、可動ピン24に連結され、他端部23bを、固定部4に対して固定されている。これにより、第2伸縮部材23を伸縮させることにより、可動ピン24からなる第1回転軸16を、案内部材22に沿って移動できる。可動ピン24は、上記実施例1と同様に、上下方向に移動できるようになっている。
【0052】
なお、移動部材5側にピンを固設して第1係合部とし、ピンと係合可能な取付孔からなる第2係合部を、案内部材22に沿って移動可能に設け、第1係合部と第2係合部が係合した状態において、第2伸縮部材23を伸縮させることにより、第1回転軸16を移動できるようにしてもよい。
【0053】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0054】
次に、構成ユニット21を有する車両の位置等調整装置を用いた車両の正対方法について説明する。
【0055】
先ず、全ての構成ユニット21において、初期化部により、移動部材5を、固定部4に対して所定の位置となるように移動させ、この移動部材5の位置を第1ロック部により保持する。また、第2ロック部によりローラ9が回動しないようにする。また、可動ピン24を下降させ、取付孔13aと可動ピン24の係合は解除されている。
【0056】
次に、上記実施例1と同様に、車両10を車両の位置等調整装置に乗り入れた後に、各センサー3から車輪11のタイヤまでの距離を測定した後に、図示しない制御部により、タイヤに関するトー角、キャンバー角等のホイールアライメントを算出し、その後、車両10を、どのように移動させれば、車両10を基準位置に移動させることができるか演算する。
【0057】
次に、全ての構成ユニット21において、可動ピン24を上昇させ、取付孔13aと可動ピン24を係合させる。
【0058】
次に、全ての構成ユニット21において、第1伸縮部材17が伸縮できないようにロックした後に、第1ロック部のロック状態を解除し、移動部材5を、固定部4に対して移動できるようにする。
【0059】
次に、全ての構成ユニット21において、第2ロック部のロック状態を解除し、ローラ9を回動できるようにする。その後に、ローラ9を回動させて、車両10の車輪11を前進方向に回転させる。
【0060】
次に、センサー3の測定値からの演算に基づき、車輪11とともにローラ9を回動させた状態で、4つ全ての構成ユニット21、又は、車両の右側又は左側に位置する2つの構成ユニット21における第2伸縮部材23を伸縮させることにより、可動ピン24(第1回転軸16)を案内部材22に沿って移動させる。これにより、移動部材5を、底板5aの第2回転軸18を中心として回動させ、
図10に示すように、移動部材5のローラ9における車両10の前後方向に対する角度を変化させることで、車輪11を、ローラ9の軸芯方向に移動させる。その後、センサー3の測定結果を基に、第1伸縮部材17の伸縮を繰り返し行い、車両10が装置に対して正対位置や、リヤトーのスラスト角度が0度になるなどの意図した所定位置等に移動させることができる。
【0061】
なお、車両10の位置調整を行う際に、第1伸縮部材17が伸縮できないようにロックせず、第1伸縮部材17と、第2伸縮部材23の両方を伸縮させて、移動部材5のローラ9における車両10の前後方向に対する角度を変化させるようにしてもよい。
【0062】
また、車両10の位置調整と同時に、センサー3の測定値を基に算出した車両10のトレッドの算出値が、予めその車両に対し設定されたローラトレッドの設定値との間に差異が生じた場合に、第1伸縮部材17と、第2伸縮部材23を同量伸縮等させて、車両10のトレッドとローラトレッドが同じとなるように調整してもよい。これにより、
図11に示す状態から
図12に示す状態へと、各構成ユニット21の移動部材5を移動させながら、車両10を正対位置等の所定位置に移動させることができる。
【0063】
また、車両10の位置調整と同時に、そのトレッドが意図した数値となるように調整してもよい。
【0064】
その他アライメントの調整等は、上記実施例1と同様に行うことができる。
【0065】
また、本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0066】
本実施例2に係る車両の位置等調整装置を用いることにより、次のようなことも行うことができる。
【0067】
車両10を車両の位置等調整装置に乗り入れた後に、センサー3の測定値を基に、演算した車両10のトレッドの値(測定値)が、予めその車両に対し設定された設定値との間に誤差等が生じた場合に、第1係合部である取付孔13aと、第2係合部である可動ピン14を非係合状態のままで、第1ロック部のロック状態を解除し、移動部材5を、固定部4に対して移動できるようにする。
【0068】
また、車両10を車両の位置等調整装置に乗り入れる前に、全ての構成ユニット21において、初期化部により、移動部材5を、固定部4に対して所定の位置となるように移動させた後に、第1伸縮部材17と、第2伸縮部材23を伸縮させることにより、各構成ユニット21の移動部材5を移動させ、車両10のトレッドとローラトレッドが同じとなるように調整することもできる。
【0069】
その他の車両の位置等調整方法等は、上記実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0070】
また、本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用、効果を奏することができる。
【0071】
[実施例3]
本実施例3は、上記実施例2の変形例である。
【0072】
本実施例3の車両の位置等調整装置の構成ユニット31は、
図13~
図16に示すように、上記実施例2の車両の位置等調整装置と同様に、第1回転軸16を、案内部材22に沿って移動できるようにするが、上記実施例2の第2伸縮部材23を設けず、第1伸縮部材37の伸長により、第1回転軸16を、案内部材22に沿って移動できるようにしたものである。
図13~
図16に示す構成ユニット31は、
図1の車両10の右側に位置する構成ユニットを示し、左側に位置する構成ユニット31は、
図13~
図16に示すものとは左右反転したものである。
【0073】
第2係合部である可動ピン24(第1回転軸16)は、
図13~
図16に示すように、板状のブレーキプレート32が固設され、ブレーキプレート32は可動ピン24とともに、案内部材22に沿って移動できるようになっている。ブレーキプレート32には、固定部4に対して固定されたブレーキプキャリパーからなる第3ロック部33で挟持され、第3ロック部33によりロックすることにより、可動ピン24の移動を抑制し、解除することにより可動ピン24が案内部材22に沿って移動できるようになっている。
【0074】
軸方向の長さを伸縮できる直動アクチュエータ等からなる第1伸縮部材37は、そのロッド37aが固定部4に対して固設されている。第1伸縮部材37における移動部材5側の先端37bは、
図13~
図16に示すように、ゴムや金属等で半円球状や、水平方向に回動する回転体等で形成され、移動部材5とは連結されていない。
【0075】
その他の構造は、上記実施例1、2と同様であるため説明を省略する。
【0076】
次に、構成ユニット31を有する車両の位置等調整装置を用いた車両の正対方法について説明する。
【0077】
先ず、全ての構成ユニット31において、初期化部により、移動部材5を、固定部4に対して所定の位置となるように移動させ、この移動部材5の位置を第1ロック部により保持する。また、第2ロック部によりローラ9が回動しないようにする。また、可動ピン24を下降させ、取付孔13aと可動ピン24の係合は解除されている。
【0078】
次に、上記実施例1,2と同様に、車両10を車両の位置等調整装置に乗り入れた後に、各センサー3から車輪11のタイヤまでの距離を測定した後に、図示しない制御部により、タイヤに関するトー角、キャンバー角等のホイールアライメントを算出し、その後、車両10を、どのように移動させれば、車両10を基準位置に移動させることができるか演算する。
【0079】
次に、全ての構成ユニット31において、可動ピン24を上昇させ、取付孔13aと可動ピン24を係合させる。
【0080】
次に、全ての構成ユニット31において、第1ロック部のロック状態を解除し、移動部材5を、固定部4に対して移動できるようにするとともに、第3ロック部33を解除し、可動ピン24が案内部材22に沿って移動できるようにする。これにより、移動部材5は前後方向の移動は規制されるものの、左右方向に移動することはできるようになる。
【0081】
次に、車両10の右側又は左側に位置する2つの構成ユニット31において、第1伸縮部材37を伸長させ、その先端37bを、移動部材5の側板5bに当接させた後に、さらに伸長させ、移動部材5が所定位置となるまで伸長させて、車両10の位置を移動させる。また、移動させた構成ユニット31の左右方向の反対側に位置する構成ユニット31において、第1伸縮部材37を収縮させ、第1伸縮部材37の先端37bが、移動部材5の側板5bに当接しないようにする。
【0082】
次に、全ての構成ユニット31において、第2ロック部のロック状態を解除し、ローラ9を回動できるようにした後に、ローラ9を回動させて、車両10の車輪11を前進方向に回転させる。また、同時に第3ロック部33をロックし、可動ピン24の移動を抑制するとともに、移動部材5は、第1回転軸16を中心として回動できるようになる。
【0083】
次に、センサー3の測定値からの演算に基づき、車輪11とともにローラ9を回動させた状態で、4つ全ての構成ユニット31、又は、車両の右側又は左側に位置する2つの構成ユニット31における第1伸縮部材37を伸長させることにより、移動部材5を、第1回転軸16を中心として回動させ、移動部材5のローラ9における車両10の前後方向に対する角度を変化させることで、車輪11を、ローラ9の軸芯方向に移動させる。その後、センサー3の測定結果を基に、第1伸縮部材17の伸縮を繰り返し行い、車両10が装置に対して正対位置や、リヤトーのスラスト角度が0度になるなどの意図した所定位置等に移動させることができる。
【0084】
その他アライメントの調整等は、上記実施例1,2と同様に行うことができる。
【0085】
また、本実施例3においても、上記実施例1,2と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0086】
1 車両の位置等調整装置
2,21,31 構成ユニット
5 移動部材
9 ローラ
10 車両
11 車輪
13 突出部材
13a 取付孔(第1係合部)
14 可動ピン(第2係合部)
16 回転軸
17,37 第1伸縮部材
22 案内部材
23 第2伸縮部材