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特許7442577モバイルデバイス間のコンテンツ配信ネットワークデータ共有
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】モバイルデバイス間のコンテンツ配信ネットワークデータ共有
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/06 20090101AFI20240226BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240226BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20240226BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20240226BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20240226BHJP
   H04N 21/4788 20110101ALI20240226BHJP
【FI】
H04W4/06 170
H04M1/00 V
H04W92/18
H04W8/00 110
H04W84/18
H04N21/4788
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022102812
(22)【出願日】2022-06-27
(65)【公開番号】P2023043828
(43)【公開日】2023-03-29
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】63/245,070
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/731,067
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クハティ, ドュラヴ
(72)【発明者】
【氏名】ミネニ, クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】ナラ, シヴァ, クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】バラスブラマニアン, サンジーヴィ
(72)【発明者】
【氏名】マガンティ, アンジャネユル
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103036973(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0049100(US,A1)
【文献】特開2013-046108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0037444(US,A1)
【文献】Feasibility of Content Dissemination Between Devices in Moving Vehicles,CoNEXT09,2009年12月01日,https://www.microsoft.com/en-us/research/wp-content/uploads/2016/02/conext14-oshea.pdf
【文献】Apple,The impact on HO by the validity of the UL sync assistance info,3GPP TSG RAN WG2 #119-e R2-2207441,2022年08月10日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04M 1/72412
H04M 1/00
H04N 21/4788
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル通信デバイスであって、
送信機と、
第1のコンテンツ配信ネットワーク(CDN)データを記憶するように構成されているメモリと、
前記メモリ及び前記送信機に通信可能に結合されており、前記第1のCDNデータの第1の発信日が閾値時間量よりも古い場合に、前記送信機に、第2のCDNデータに関するCDNデータ共有要求を示すビーコン信号を、ピアツーピア(P2P)ネットワークを介して送信させるように構成されている処理回路と、を備えるモバイル通信デバイス。
【請求項2】
前記処理回路が、前記P2Pネットワークとは異なる無線サービスへのアクセスを前記モバイル通信デバイスが有さない場合に、前記送信機に、前記P2Pネットワークを介して前記ビーコン信号を送信させるように構成されている、請求項1に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項3】
前記第1のCDNデータは、衛星エフェメリス情報を含む、請求項1に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項4】
前記第1のCDNデータが、モバイル基地局の位置及び移動に関連する情報を含む、請求項1に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項5】
前記処理回路が、前記送信機に、前記P2Pネットワークを介して、前記第1の発信日に対応する前記第1のCDNデータの経過時間に応じたレートで、複数のビーコン信号を送信させるように構成されており、前記複数のビーコン信号が、前記ビーコン信号を含む、請求項1に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項6】
前記第1のCDNデータの前記経過時間が閾値経過時間未満である場合、前記レートは第1のレートであり、前記第1のCDNデータの前記経過時間が前記閾値経過時間を超える場合、前記レートは第2のレートであり、前記第1のレートが、前記第2のレートよりも低い、請求項5に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項7】
前記処理回路が、前記送信機に、前記P2Pネットワークを介して、前記モバイル通信デバイスのバッテリの充電状態(SOC)に応じたレートで、複数のビーコン信号を送信させるように構成されており、前記複数のビーコン信号が、前記ビーコン信号を含む、請求項1に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項8】
前記バッテリの前記SOCがバッテリSOC閾値未満である場合、前記レートは第1のレートであり、前記バッテリの前記SOCが前記バッテリSOC閾値を超える場合、前記レートは第2のレートであり、前記第1のレートが、前記第2のレートよりも低い、請求項7に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項9】
前記処理回路が、前記送信機に、前記P2Pネットワークを介して、緊急事態を示す入力が前記モバイル通信デバイスによって受信されているかどうかに応じたレートで、複数のビーコン信号を送信させるように構成されており、前記複数のビーコン信号が、前記ビーコン信号を含む、請求項1に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項10】
前記処理回路が、前記送信機に、前記P2Pネットワークを介して、前記モバイル通信デバイスのバッテリの充電状態と、前記第1の発信日に対応する前記第1のCDNデータの経過時間とに応じたレートで、複数のビーコン信号を送信させるように構成されており、前記複数のビーコン信号が、前記ビーコン信号を含む、請求項1に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項11】
モバイル通信デバイスであって、
送受信機と、
コンテンツ配信ネットワーク(CDN)データを記憶するように構成されているメモリと、
前記メモリ及び前記送受信機に通信可能に結合されており、前記送受信機に、
追加的モバイル通信デバイスから、ピアツーピア(P2P)ネットワークを介して、前記CDNデータに関するCDNデータ共有要求と、前記追加的モバイル通信デバイス上に記憶されている追加的CDNデータの第1の発信日とを示すビーコン信号を受信し、
前記第1の発信日が前記CDNデータの第2の発信日よりも古い場合に、前記P2Pネットワークを介して、前記CDNデータを前記追加的モバイル通信デバイスに送信することを行わせるように構成されている処理回路と、を備える、モバイル通信デバイス。
【請求項12】
ディスプレイを備え、前記処理回路が、
前記ディスプレイ上に、前記追加的モバイル通信デバイスと前記CDNデータを共有するオプションを提示し、
前記追加的モバイル通信デバイスと前記CDNデータを共有する前記オプションの選択を示す入力を受信し、
前記送受信機に、前記P2Pネットワークを介して、前記入力に基づいて、前記CDNデータを前記追加的モバイル通信デバイスに送信させるように構成されている、請求項11に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項13】
前記第1のCDNデータは、衛星エフェメリス情報を含む、請求項11に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項14】
前記処理回路が、前記送受信機に、Wi-Fiネットワーク及びセルラネットワークへのアクセスを前記モバイル通信デバイスが有さない場合に、前記P2Pネットワークを介して、前記追加的CDNデータに関する追加的CDNデータ共有要求を示す追加的ビーコン信号を送信させるように構成されている、請求項11に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項15】
前記処理回路が、前記送受信機に、前記P2Pネットワークを介して、前記モバイル通信デバイスのバッテリの充電状態、又は前記モバイル通信デバイスの前記メモリ上に記憶されている前記CDNデータの経過時間に応じたレートで、複数の追加的ビーコン信号を送信させるように構成されており、前記複数の追加的ビーコン信号が、前記追加的ビーコン信号を含む、請求項14に記載のモバイル通信デバイス。
【請求項16】
命令を記憶している1つ以上の有形の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
モバイル通信デバイスがWi-Fiネットワーク及びセルラネットワークへのアクセスを有さない場合に、前記モバイル通信デバイスの送信機を介して、かつピアツーピア(P2P)ネットワークを介して、緊急事態を示す入力に応じた、又は前記モバイル通信デバイス上に記憶されているコンテンツ配信ネットワーク(CDN)データの経過時間に応じたレートで、複数のビーコン信号を送信することであって、前記複数のビーコン信号は、CDNデータに関するCDNデータ共有要求を示すビーコン信号を含む、ことと、
前記モバイル通信デバイスの受信機を介して、かつ前記P2Pネットワークを介して、追加的モバイル通信デバイスから前記CDNデータを受信することを行わせるように構成されている、1つ以上の有形の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記CDNデータは、衛星エフェメリス情報を含む、請求項16に記載の1つ以上の有形の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記レートは、前記モバイル通信デバイスのバッテリの充電状態に応じたものである、請求項16に記載の1つ以上の有形の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
前記モバイル通信デバイスが配置されている領域を含むマップを、前記モバイル通信デバイスのディスプレイ上に、オフラインモードで提示し、
前記マップ上に、前記モバイル通信デバイスの第1の位置の第1のインジケーションを提示し、
前記マップ上に、前記第1の位置よりも高い密度でモバイル通信デバイスを含むと予想される第2の位置の第2のインジケーションを提示することを行わせるように構成されている、請求項16に記載の1つ以上の有形の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月16日出願の、「CONTENT DELIVERY NETWORK DATA SHARING BETWEEN MOBILE DEVICES」と題された米国特許仮出願第63/245,070号に対する優先権を主張するものであり、同出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、全般的に、モバイル通信デバイス間のデータ共有に関する。より具体的には、本開示は、モバイル通信デバイス間のコンテンツ配信ネットワーク(Content Delivery Network;CDN)データ共有に関する。
【0003】
モバイル通信デバイスは、セルラネットワーク、Wi-Fiネットワーク、地上及び非地上系(例えば、衛星)ネットワークなどの種々のネットワークを利用して、データを送信及び/又は受信することができる。特定の状況では、モバイル通信デバイスは、セルラネットワーク又は衛星ネットワークなどの第1のネットワークに、モバイル通信デバイスがアクセスすることを可能にする情報を含む、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)データなどの、ネットワークデータを受信する。例えば、ネットワークデータは、予測される経時的なネットワークノード位置、第1のネットワークによって利用されると予測される経時的な周波数チャネルなどの、第1のネットワークの予測される経時的な特性を含み得る。残念ながら、ネットワークデータが定期的にリフレッシュされない場合には、予測される特性からの、第1のネットワークの実際の特性の乖離は、時間の経過と共に増大し得る。それゆえ、ネットワークデータ、及び対応する第1のネットワークの予測される特性は、信頼性を欠くものとなり得る。更には、又は代替的に、モバイル通信デバイスによって受信されるネットワークデータは、2週間などの限られた期間にわたる、第1のネットワークの予測される特性を含み得る。それゆえ、ネットワークデータ、及び対応する第1のネットワークの予測される特性は、限られた期間中は信頼性のあるものであっても、その限られた期間が経過した後には、期限切れとなる。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、モバイル通信デバイスは、送信機と、第1のコンテンツ配信ネットワーク(CDN)データを記憶するように構成されている、メモリと、メモリ及び送信機に通信可能に結合されており、送信機に、ピアツーピア(P2P)ネットワークを介して、第2のCDNデータに関するCDN共有要求を示すビーコン信号を送信させるように構成されている、処理回路とを含む。
【0005】
別の実施形態では、モバイル通信デバイスは、送受信機と、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)データを記憶するように構成されている、メモリと、メモリ及び送受信機に通信可能に結合されており、送受信機に、追加的モバイル通信デバイスから、ピアツーピア(P2P)ネットワークを介して、CDNデータに関するCDN共有要求を示すビーコン信号を受信させるように構成されている、処理回路とを含む。この処理回路はまた、送受信機に、P2Pネットワークを介して、追加的モバイル通信デバイスにCDNデータを送信させるようにも構成されている。
【0006】
更に別の実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、命令を含んでおり、これらの命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、モバイル通信デバイスがWi-Fiネットワーク及びセルラネットワークへのアクセスを有さない場合に、モバイル通信デバイスの送信機を介して、かつピアツーピア(P2P)ネットワークを介して、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)データに関するCDNデータ共有要求を示すビーコン信号を送信させるように構成されている。これらの命令はまた、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、モバイル通信デバイスの受信機を介して、かつP2Pネットワークを介して、追加的モバイル通信デバイスからCDNデータを受信させるようにも構成されている。
【0007】
本開示の様々な態様に関連して、上述の特徴の様々な改良が存在し得る。更なる特徴もまた、これらの様々な態様において、同様に組み込むことができる。これらの改良及び追加的特徴は、個別に、又は任意の組み合わせで存在し得る。例えば、例示される実施形態のうちの1つ以上に関連して以下で論じられる様々な特徴は、本開示の上述の態様のうちのいずれにも、単独で、又は任意の組み合わせで、組み込むことができる。上記で提示された概要は、特許請求される主題を限定することなく、本開示の実施形態の特定の態様及び文脈を読者に周知させることのみを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の「発明を実施するための形態」を読了し、かつ以下の図面を参照することにより、本開示の様々な態様を、より良好に理解することができる。以下の図面では、同様の番号は同様の部分を指す。
【0009】
図1】本開示の実施形態による、電子デバイスのブロック図である。
【0010】
図2】本開示の実施形態による、図1の電子デバイスの機能図である。
【0011】
図3】本開示の実施形態による、ピアツーピア(P2P)ネットワークを介した、図1の電子デバイスと追加的電子デバイスとの間の通信結合を示すブロック図である。
【0012】
図4】本開示の実施形態による、図1の電子デバイスと追加的電子デバイスとの間で、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)データなどのネットワークデータを共有する方法のプロセスフロー図である。
【0013】
図5】本開示の実施形態による、図1の電子デバイスが、追加的電子デバイスからネットワークデータを要求する頻度又はレートを判定する、時間ベースの基準を示す概略図である。
【0014】
図6】本開示の実施形態による、図1の電子デバイスが、追加的電子デバイスからネットワークデータを要求する頻度又はレートを判定する、優先度指数の表を示す概略図である。
【0015】
図7】本開示の実施形態による、図6の優先度指数の表に基づいて、図1の電子デバイスと追加的電子デバイスとの間でネットワークデータを共有する方法のプロセスフロー図である。
【0016】
図8】本開示の実施形態による、図1の電子デバイスのディスプレイ上に提示され、ネットワークデータを共有するために追加的電子デバイスとの十分な近接性に到達するために電子デバイスのユーザによって利用される、マップの図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、ピアツーピア(P2P)ネットワークを介して、モバイル通信デバイス間でコンテンツ配信ネットワーク(CDN)データなどのネットワークデータを共有することを目的とする。例えば、モバイル通信デバイスは、様々なネットワークを利用して、データを送信及び/又は受信することができる。モバイル通信デバイスは、第1のネットワークの予測される特性を含む、CDNデータなどのネットワークデータを介して、第1のネットワーク(例えば、非地上系ネットワーク、衛星ネットワーク)にアクセスすることができる。第1のネットワークの予測される特性は、所与の時点に関する第1のネットワークの予測されるネットワークノード位置、所与の時点に関する第1のネットワークによって利用されると予測される周波数チャネルなどを含み得る。しかしながら、第1のネットワークの実際の特性は、予測される特性から乖離する場合がある。更には、予測される特性からの、第1のネットワークの実際の特性の乖離は、時間の経過と共に、その程度が増大し得る。したがって、予測される特性は、信頼性を欠くものとなる可能性があり、モバイル通信デバイスは、第1のネットワークにアクセスすることが不可能となる恐れがある。
【0018】
更には、モバイル通信デバイスによって受信されるネットワークデータの各インスタンスは、2週間などの限られた期間にわたる、第1のネットワークの予測される特性を含み得る。したがって、ネットワークデータが、限られた期間にわたって十分に信頼性のあるものであっても、そのネットワークデータは、最終的に期限切れとなり得る。一般に、モバイル通信デバイスは、モバイル通信デバイスが、Wi-Fi又はセルラネットワークなどの、第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続されている間に、データソースから、更新されたネットワークデータを定期的にダウンロードする。実際に、第1のネットワークに対応するネットワークデータは、第1のネットワークを介してダウンロードするには過度に大きい場合があり、第1のネットワークは、モバイル通信デバイスに対する第1のネットワークのネットワークノードの位置が不適合であることにより、定期的にアクセス不可能となる場合があり、かつ/又は、第1のネットワークは、緊急シナリオの間にのみ、モバイル通信デバイスによってアクセスされる場合がある。
【0019】
本実施形態によれば、モバイル通信デバイスは、第2のネットワーク(例えば、Wi-Fi又はセルラネットワーク)の場合などに、モバイル通信デバイスが、中央サーバに接続されることなくネットワークデータを受信することを可能にするように構成されている、特徴を含み得る。そのようなことは、第2のネットワークへのアクセスを提供しない遠隔地に、モバイル通信デバイスが配置されている場合に当てはまり得る。例えば、モバイル通信デバイスは、第1のネットワーク及び第2のネットワークとは異なる、P2Pネットワークなどの第3のネットワークを介して、モバイル通信デバイスが追加的モバイル通信デバイスからネットワークデータを受信することを可能にする、構成部品及び制御ロジックを装備することができる。モバイル通信デバイスは、P2Pネットワークを介して、更新されたネットワークデータ(例えば、CDNデータ)に関するネットワークデータ共有要求を示すビーコン信号を、定期的に送信することができる。様々な基準に基づいて、モバイル通信デバイスは、どのくらいの頻度でビーコン信号を送信するかを判定することができる。基準としては、例えば、モバイル通信デバイス上に記憶されているネットワークデータの発信日、発信日と現在日との間の時間量、モバイル通信デバイスのバッテリ健全性、モバイル通信デバイスが(例えば、モバイル通信デバイスのユーザに関連付けられる)緊急事態を示す入力を受信したかどうか、及び、以下で詳細に説明される他の基準を挙げることができる。いくつかの実施形態では、モバイル通信デバイスは、モバイル通信デバイスが、P2Pネットワークを介して、追加的モバイル通信デバイスのうちの1つから、更新されたネットワークデータを受信する可能性を高めるために、追加的モバイル通信デバイスを比較的高い密度で有すると予想される領域を、モバイル通信デバイスが位置特定することを可能にする、特徴を含み得る。
【0020】
本実施形態によれば、モバイル通信デバイスはまた、ネットワークデータを要求している追加的モバイル通信デバイスに、モバイル通信デバイスがネットワークデータを送信することを可能にする、特徴も含み得る。例えば、モバイル通信デバイスは、追加的モバイル通信デバイスから、ネットワークデータに関するネットワークデータ共有要求を示す、ビーコン信号を受信することができる。モバイル通信デバイスは、モバイル通信デバイス上に存在しているネットワークデータを、追加的モバイル通信デバイスに転送することを承認するオプションを、モバイル通信デバイスのユーザに提示することができる。いくつかの実施形態では、モバイル通信デバイスは、最初に、追加的モバイル通信デバイス上に存在している追加的ネットワークデータが、モバイル通信デバイス上に存在しているネットワークデータよりも古いことを判定することができ、次いで、モバイル通信デバイス上に存在しているネットワークデータを、追加的モバイル通信デバイスに転送することを承認するオプションを提示することができる。更には、特定の状況では、モバイル通信デバイスは、モバイル通信デバイスがビーコン信号を受信する前に、ユーザがネットワークデータ転送を事前承認している場合などに、モバイル通信デバイスがビーコン信号を受信することに応じて、追加的モバイル通信デバイスに、ネットワークデータを自動的に送信することができる。
【0021】
本明細書の実施形態は、モバイル通信デバイスが、別の手段を介して(例えば、Wi-Fiネットワーク接続又はセルラネットワーク接続を介して、別のデータソースから)ネットワークデータを受信することが不可能な場合に、モバイル通信デバイスが、別のモバイル通信デバイスから、CDNデータなどの信頼性のあるネットワークデータを受信することを可能にするための、様々な装置及び技術を提供する。更には、本明細書の実施形態は、モバイル通信デバイスが、CDNデータを要求している別のモバイル通信デバイスに、CDNデータなどの信頼性のあるネットワークデータを送信することを可能にするための、様々な装置及び技術を提供する。これらの特徴及び他の特徴が、図面を参照して以下で詳細に説明される。
【0022】
上記を踏まえて、図1は、本開示の実施形態による、電子デバイス又はモバイル通信デバイス10のブロック図である。電子デバイス10は、とりわけ、1つ以上のプロセッサ12(本明細書では便宜上シングルプロセッサと総称され、任意の好適な形態の処理回路として実装することが可能なもの)、メモリ14、不揮発性記憶装置16、ディスプレイ18、入力構造体22、入出力(I/O)インタフェース24、ネットワークインタフェース26、及び電源29を含み得る。図1に示されている様々な機能ブロックは、(回路を含めた)ハードウェア要素、(機械実行可能命令を含めた)ソフトウェア要素、あるいは、ハードウェア要素及びソフトウェア要素の双方の組み合わせ(ロジックと称され得るもの)を含み得る。プロセッサ12、メモリ14、不揮発性記憶装置16、ディスプレイ18、入力構造体22、入出力(I/O)インタフェース24、ネットワークインタフェース26、及び/又は電源29は、それぞれが、互いの間でデータを送信及び/又は受信するために、直接的に、又は間接的に(例えば、別の構成要素、通信バス、ネットワークを介して)、互いに通信可能に結合されていてもよい。図1は特定の実施態様の一例に過ぎず、電子デバイス10内にあってもよい構成要素のタイプを示すものであることに留意されたい。
【0023】
例として、電子デバイス10は、デスクトップ又はノートブックコンピュータ(例えば、Apple Inc.(Cupertino,California)より入手可能なMacBook(登録商標)、MacBook(登録商標) Pro、MacBook Air(登録商標)、iMac(登録商標)、Mac(登録商標) mini、又はMac Pro(登録商標)の形態のもの)、無線電子デバイス若しくはスマートフォン(例えば、Apple Inc.(Cupertino,California)より入手可能なiPhone(登録商標)のモデルの形態のもの)などのポータブル電子デバイス又はハンドヘルド電子デバイス、タブレット(Apple Inc.(Cupertino,California)より入手可能なiPad(登録商標)のモデルの形態のもの)、ウェアラブル電子デバイス(例えば、Apple Inc.(Cupertino,California)より入手可能なApple Watch(登録商標)の形態のもの)、及び他の同様のデバイスを含めた、任意の好適なコンピューティングデバイスを含み得る。図1のプロセッサ12及び他の関連項目は、全般的に、本明細書では「データ処理回路」と称され得る点に留意されたい。そのようなデータ処理回路は、全体として、又は部分的に、ソフトウェアとして、ハードウェアとして、又はその双方として具現化することができる。更には、図1のプロセッサ12及び他の関連項目は、単一の内蔵型処理モジュールとすることができ、あるいは、電子デバイス10内の他の要素のいずれかの中に、全体として、又は部分的に組み込むこともできる。プロセッサ12は、汎用マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor;DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array;FPGA)、プログラマブル論理デバイス(programmable logic device;PLD)、コントローラ、状態マシン、ゲートロジック、別個のハードウェア構成要素、専用のハードウェア有限状態マシン、又は、情報の計算若しくは他の操作を実行することが可能な任意の他の好適なエンティティの、任意の組み合わせで実装することができる。プロセッサ12は、本明細書で説明される様々な機能を実行することができる。
【0024】
図1の電子デバイス10では、プロセッサ12は、メモリ14及び不揮発性記憶装置16と動作可能に結合されて、様々なアルゴリズムを実行することができる。プロセッサ12によって実行される、そのようなプログラム又は命令は、1つ以上の有形のコンピュータ可読媒体を含めた、任意の好適な製造物品内に記憶させることができる。有形のコンピュータ可読媒体は、命令若しくはルーチンを記憶するための、メモリ14及び/又は不揮発性記憶装置16を、個別に、又は一括して含み得る。メモリ14及び不揮発性記憶装置16は、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、書き換え可能フラッシュメモリ、ハードドライブ、及び光ディスクなどの、データ及び実行可能命令を記憶するための任意の好適な製造物品を含み得る。更には、そのようなコンピュータプログラム製品上に符号化されているプログラム(例えば、オペレーティングシステム)はまた、様々な機能を電子デバイス10が提供することを可能にするためにプロセッサ12によって実行することが可能な、命令も含み得る。
【0025】
特定の実施形態では、ディスプレイ18は、電子デバイス10上で生成された画像をユーザが視認することを容易にし得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイ18は、電子デバイス10のユーザインタフェースとのユーザ対話を容易にすることが可能な、タッチスクリーンを含み得る。更には、いくつかの実施形態では、ディスプレイ18は、1つ以上の液晶ディスプレイ(liquid crystal display;LCD)、発光ダイオード(light-emitting diode;LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode;OLED)ディスプレイ、アクティブマトリクス式有機発光ダイオード(active-matrix organic light-emitting diode;AMOLED)ディスプレイ、あるいは、これらのディスプレイ技術及び/又は他のディスプレイ技術の何らかの組み合わせを含み得る点を理解されたい。
【0026】
電子デバイス10の入力構造体22は、ユーザが電子デバイス10と対話すること(例えば、ボタンを押すことにより音量レベルを増減させること)を可能にし得る。I/Oインタフェース24は、ネットワークインタフェース26と同様に、電子デバイス10が様々な他の電子デバイスとインタフェースすることを可能にし得る。いくつかの実施形態では、I/Oインタフェース24は、Apple Inc.(Cupertino,California)によって提供されているLightningコネクタ、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus;USB)、若しくは他の同様のコネクタ及びプロトコルなどの、標準的なコネクタ及びプロトコルを使用して、充電及び/又はコンテンツ操作するための、有線接続用のI/Oポートを含み得る。
【0027】
ネットワークインタフェース26は、例えば、地上(例えば、陸上ベースの)ネットワーク若しくは非地上系ネットワーク(non-terrestrial network;NTN)用、ピアツーピア接続用、超広帯域(ultra-wideband;UWB)若しくはBLUETOOTH(登録商標)ネットワークなどのパーソナルエリアネットワーク(personal area network;PAN)用、IEEE802.11xプロトコルファミリのうちの1つ(例えば、WI-FI(登録商標))を採用するネットワークなどの、ローカルエリアネットワーク(local area network;LAN)若しくは無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network;WLAN)用、並びに/あるいは、例えば第3世代(3G)セルラネットワーク、ユニバーサル移動体通信システム(universal mobile telecommunication system;UMTS)、第4世代(4G)セルラネットワーク、ロングタームエボリューション(long term evolution;LTE(登録商標))セルラネットワーク、ロングタームエボリューションライセンス補助アクセス(long term evolution license assisted access;LTE-LAA)セルラネットワーク、第5世代(5G)セルラネットワーク、及び/又は、ニューレディオ(New Radio;NR)セルラネットワークなどを含めた、第3世代パートナーシッププロジェクト(Third Generation Partnership Project;3GPP(登録商標))に関連する任意の標準規格などの、広域ネットワーク(wide area network;WAN)用の、1つ以上のインタフェースを含み得る。ネットワークインタフェース26は更に、送信のために空中用又は宇宙用ビークル(例えば、人工衛星)を使用する、NTN、又はそのようなネットワークのセグメントを介して、通信することができる。本明細書で使用される場合、空中用ビークルとは、典型的には8~50キロメートルの、準定常の高度で運用されている、人工衛星、無人航空機システム(Unmanned Aircraft System;UAS)(テザー付きUAS、軽航空機UAS、及び重航空機UASを含めたもの)を包含する、高高度プラットフォーム(High Altitude Platform;HAP)を指す。特に、ネットワークインタフェース26は、例えば、ミリメートル波(ミリ波)の周波数範囲(例えば、24.25~300ギガヘルツ(gigahertz;GHz))を含む5G仕様のセルラ通信規格を使用するための、1つ以上のインタフェースを含み得る。電子デバイス10のネットワークインタフェース26は、前述のネットワーク(例えば、5G、Wi-Fi、LTE-LAAなど)を介した通信を可能にし得る。ネットワークインタフェース26はまた、例えば、広帯域固定無線アクセスネットワーク(例えば、WIMAX(登録商標))、モバイル広帯域無線ネットワーク(モバイルWIMAX(登録商標))、非同期デジタル加入者回線(例えば、ADSL、VDSL)、デジタルビデオ地上波放送(digital video broadcasting-terrestrial;DVB-T(登録商標))ネットワーク及びその拡張DVBハンドヘルド(DVB Handheld;DVB-H(登録商標))ネットワーク、UWBネットワーク、交流(AC)電力線などに関する、1つ以上のインタフェースも含み得る。ネットワークインタフェース26は、例えば、前述のネットワークのうちの1つを使用してデータを通信するための、送受信機30を含み得る。電子デバイス10の電源29は、充電式リチウムポリマー(Li-poly)バッテリ及び/又は交流(AC)電力変換器などの、任意の好適な電力源を含み得る。
【0028】
図2は、本開示の実施形態による、図1の電子デバイス10又はモバイル通信デバイスの機能図である。図示のように、プロセッサ12、メモリ14、送受信機30(30A~30Nとして示され、送受信機30と総称されるもの)、送受信機30の送信機52、送受信機30の受信機54、及び/又はアンテナ55(55A~55Nとして示され、アンテナ55と総称されるもの)は、互いの間でデータを送信及び/又は受信するために、直接的に、又は間接的に(例えば、別の構成要素、通信バス、ネットワークを介して)、互いに通信可能に結合されていてもよい。
【0029】
電子デバイス10は、例えばネットワーク(例えば、基地局を含むもの)又は直接接続を介した、電子デバイス10と外部デバイスとの間のデータの送信及び受信をそれぞれ可能にする、送信機52及び/又は受信機54を含み得る。図示のように、送信機52と受信機54とを組み合わせて、送受信機30とすることもできる。電子デバイス10はまた、送受信機30に電気的に結合されている、1つ以上のアンテナ55A~55Nも有し得る。アンテナ55A~55Nは、無指向性又は指向性の構成で、シングルビーム、デュアルビーム、又はマルチビーム配置などで構成することができる。各アンテナ55を、1つ以上のビーム及び様々な構成に関連付けることができる。いくつかの実施形態では、アンテナのグループ又はモジュールの、アンテナ55A~55Nのうちの複数のアンテナを、個別の送受信機30に通信可能に結合することができ、各アンテナは、強め合うように及び/又は弱め合うように組み合わされてビームを形成し得る、無線周波数信号を発信することができる。電子デバイス10は、様々な通信規格に対して好適となるような、複数の送信機、複数の受信機、複数の送受信機(例えば、送受信機30A~30N)、及び/又は複数のアンテナを含み得る。例えば、電子デバイス10は、第1の無線通信(例えば、衛星又は非地上系)ネットワークを使用してメッセージを送受信するための第1の送受信機30Aと、第2の無線通信(例えば、Wi-Fi又はセルラ)ネットワークを使用してメッセージを送受信するための第2の送受信機30Bと、第3の無線通信(例えば、P2P)ネットワークを使用してメッセージを送受信するための第3の送受信機30Nとを含み得るが、これらの送受信機のいずれか又は全てを、単一の送受信機に組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、送信機52及び受信機54は、他の有線システム又は有線手段を介して情報を送受信することができる。
【0030】
電子デバイス10はまた、(例えば、入力構造体22の一部として)1つ以上のカメラ又は画像センサ若しくは光センサも含み得る。1つ以上のカメラ又は画像センサ若しくは光センサ(本明細書では「カメラ56」と総称されるもの)は、画像をキャプチャすること、又は電子デバイス10の周囲の光の量を判定することができる。いくつかの実施形態では、カメラ56は、(例えば、ディスプレイ18を有する電子デバイス10の表示面上に配置されている)前面カメラ、及び/又は(例えば、電子デバイス10の表示面の反対側の、基底面又は後面上に配置されている)背面カメラを含み得る。
【0031】
電子デバイス10は、(例えば、入力構造体22の一部として)1つ以上の動きセンサ58を含み得る。1つ以上の動きセンサ(本明細書では「動きセンサ58」と総称されるもの)は、電子デバイス10の向き(例えば、ピッチ、ヨー、ロールなどを含むもの)及び/又は動きを検出するか、若しくはそれらの判定を容易にする、加速度計、ジャイロスコープ、ジャイロメータなどを含み得る。
【0032】
図示のように、電子デバイス10の様々な構成要素を、バスシステム60によって一体に結合することができる。バスシステム60は、データバスを含み得るが、例えば、データバスに加えて、電力バス、制御信号バス、及びステータス信号バスも同様に含み得る。電子デバイス10の構成要素は、何らかの他の機構を使用して、一体に結合されるか、又は互いに入力を受け入れるか若しくは提供することもできる。
【0033】
前述のように、また本開示によれば、電子デバイス10は、様々なネットワークにアクセスして、データを送信及び/又は受信することができる。例えば、電子デバイス10は、Wi-Fi又はセルラネットワークにアクセスして、データを送信及び/又は受信することができる。特定の条件では、電子デバイス10は、Wi-Fiネットワーク及びセルラネットワークにアクセスすることが不可能となる場合がある。それゆえ、電子デバイス10は、電子デバイス10がWi-Fiネットワーク及びセルラネットワークにアクセスすることが不可能な場合に、衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークなどの、異なるネットワークにアクセスすることができる。例えば、電子デバイス10は、衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークにアクセスするために、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)データなどの、ネットワークデータを受信して利用することができる。
【0034】
ネットワークデータは、所与の時点に関する衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークのネットワークノード(例えば、衛星、HAP)の位置、所与の時点に関する衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークの周波数チャネルなどの、衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークの予測される経時的な特性を含み得る。予測される特性は、時間の経過と共に、衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークの実際の特性から乖離する場合がある。更には、予測される特性に関連する情報を含むネットワークデータは、最終的に期限切れとなり得る。それゆえ、ネットワークデータが、信頼性を欠くものとなり、かつ/又は期限切れに近づくと、電子デバイス10は、更新されたネットワークデータをダウンロードすることができる。電子デバイス10が、衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークに関連する、更新されたネットワークデータをダウンロードするために、Wi-Fiネットワーク、セルラネットワーク、衛星ネットワーク、及び非地上系ネットワークにアクセスすることが不可能な場合、本開示による電子デバイス10は、追加的電子デバイスから、電子デバイス10と追加的電子デバイスとの間のピアツーピアネットワークを介して、更新されたネットワークデータを要求することができる。ピアツーピアネットワーク又はデバイスツーデバイスネットワークは、集中管理システムを使用することなく互いの間でリソースを共有する、相互接続されたノード又は「ピア」(例えば、電子デバイス10及び追加的電子デバイスを含めたもの)のネットワークを含み得る点を理解されたい。それゆえ、ピアツーピアネットワークは、中央サーバを使用せずに動作することができる。
【0035】
上記を踏まえて、図3は、ピアツーピア(P2P)ネットワークを介した、図1の電子デバイス10と追加的電子デバイス110との間の通信結合100の一実施形態を示すブロック図である。図示の実施形態における通信結合100は、P2P通信結合である。図3に示されている電子デバイス10及び追加的電子デバイス110は、図1及び図2に示された電子デバイス10と比べて簡略化されているが、図3の電子デバイス10及び追加的電子デバイス110は、図1及び図2に提示されたものと同じ特徴若しくは同様の特徴を含み得る点に留意されたい。例えば、追加的電子デバイス110は、追加的プロセッサ112、追加的メモリ114、追加的ディスプレイ118、追加的電源129、追加的送受信機130、及び1つ以上の追加的アンテナ155を含む。更には、電子デバイス10は、以下では第1のモバイル通信デバイス10と称され、追加的電子デバイス110は、以下では第2のモバイル通信デバイス110と称される。
【0036】
前述のように、特定の状況では、第1のモバイル通信デバイス10は、Wi-Fiネットワーク及び/又はセルラネットワークなどの、特定のネットワークにアクセスすることが不可能となる場合がある。Wi-Fi及びセルラネットワークの代替として、第1のモバイル通信デバイス10は、衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークなどの、異なるネットワークにアクセスすることを試みる場合がある。衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークへのアクセスは、例えば、第1のモバイル通信デバイス10が、衛星ネットワーク又は非地上系の予測される特性(例えば、所与の時点におけるネットワークノード位置、所与の時点における周波数チャネルなど)を含む、CDNデータなどの、そのモバイル通信デバイス上に記憶されているネットワークデータを利用することを条件とし得る。例えば、CDNデータは、エフェメリスデータ(例えば、現在の時刻又は将来の時刻を含めた特定の時刻における、ネットワークノード位置又は予測されるネットワークノード位置の正確な判定を可能にする、パラメータのセット)を含み得る。衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークの、実際の特性と予測される特性との乖離により、ネットワークデータが信頼性を欠く場合には、又は、ネットワークデータが期限切れである場合には、第1のモバイル通信デバイス10は、衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークにアクセスすることが不可能となる場合がある。
【0037】
更には、特定の状況では、第1のモバイル通信デバイス10は、ネットワークデータが信頼性のあるものであり、期限切れではない場合であっても、衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークにアクセスすることが不可能となる(あるいは、そうではなくても、衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークへのアクセスを介してネットワークデータを受信することが不可能となる)場合がある。例えば、ネットワークノード位置は、第1のモバイル通信デバイス10の位置と、定期的に不適合となる場合があり、又は、ネットワークデータを含むファイルサイズが、衛星ネットワークを介して第1のモバイル通信デバイス10に送信するには過度に大きい場合もある。本実施形態によれば、第1のモバイル通信デバイス10は、第2のモバイル通信デバイス110から、更新されたネットワークデータを受信することを試みる際に、第1のモバイル通信デバイス10と第2のモバイル通信デバイス110との間の、P2P通信結合100を利用することができる。
【0038】
例えば、第1のモバイル通信デバイス10は、第1のモバイル通信デバイス10上に記憶されている(例えば、メモリ14、記憶装置16、又は別個の記憶場所上に記憶されている)ネットワークデータが、期限切れか、比較的古いか、又はそうではなくても、信頼性を欠いているか若しくは信頼性が低下しつつあることを、判定することができる。第1のモバイル通信デバイス10のプロセッサ12は、第1のモバイル通信デバイス10の送受信機30及び対応するアンテナ55を介して、ビーコンの送信を開始することができ、このビーコンは、第2のモバイル通信デバイス110からの更新されたネットワークデータに関する、ネットワークデータ共有要求に対応している。第1のモバイル通信デバイス10と第2のモバイル通信デバイス110との間のP2P通信結合100は、モバイル通信デバイス10、110が互いに十分に近接している場合か、第1のモバイル通信デバイス10のプロセッサ12によって開始されたビーコンに応じてか、又はそれらの組み合わせにより、確立することができる。
【0039】
第2のモバイル通信デバイス110は、P2P通信結合100を介して、第1のモバイル通信デバイス10からのビーコンを受信する。いくつかの実施形態では、第2のモバイル通信デバイス110は、そのディスプレイ118上に、ビーコンを示すデータを提示する。第2のモバイル通信デバイス110のユーザは、第2のモバイル通信デバイス110上に記憶されている(例えば、メモリ114又は別の記憶場所に記憶されている)ネットワークデータの、第1のモバイル通信デバイス10への送信を承認することができる。いくつかの実施形態では、ビーコンは、第1のモバイル通信デバイス10上に記憶されているネットワークデータの発信日を示すデータを含む。そのような実施形態では、第2のモバイル通信デバイス110は、最初に、第2のモバイル通信デバイス110上に記憶されているネットワークデータが、第1のモバイル通信デバイス10上に記憶されているネットワークデータよりも最近のものであることを判定して、次いで、第2のモバイル通信デバイス110のディスプレイ118上に、P2P通信結合100を介してネットワークデータを送信又は共有するオプションを提示することができる。第2のモバイル通信デバイス110は、ネットワークデータを送信又は共有するオプションの選択に応じて、第1のモバイル通信デバイス10にネットワークデータを送信する。
【0040】
上述のように、P2P通信結合100は、第1のモバイル通信デバイス10及び第2のモバイル通信デバイス110が互いに十分に近接している場合に、例えば第1のモバイル通信デバイス10からのビーコンを介して確立することができる。更には、第2のモバイル通信デバイス110から第1のモバイル通信デバイス10への、更新されたネットワークデータの送信は、第2のモバイル通信デバイス110のユーザが送信を承認することを条件とし得る。これらの理由により、とりわけ、第1のモバイル通信デバイス10は、更新されたネットワークデータを受信するまで、複数のビーコン信号を送信することができる。第1のモバイル通信デバイス10が、ビーコン信号を送信する頻度又はレートは、モバイル通信デバイス上に存在しているネットワークデータの発信日、発信日と現在日との間の時間量、モバイル通信デバイスのバッテリ健全性、モバイル通信デバイスが(例えば、モバイル通信デバイスのユーザに関連付けられる)緊急事態を示す入力を受信したかどうかなどを含めた、様々な基準に基づき得る。これらの特徴及び他の特徴が、以降の図面を参照して以下で詳細に説明される。
【0041】
図4は、図1の電子デバイス10(以下では第1のモバイル通信デバイス10と称されるもの)と追加的電子デバイス110(以下では第2のモバイル通信デバイス110と称されるもの)との間で、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)データなどのネットワークデータを共有する方法160のプロセスフロー図である。図示の実施形態では、方法160は、第1のモバイル通信デバイス10によって取られるアクションと、第2のモバイル通信デバイス110によって取られるアクションとが(例えば、ライン162を介して)区分けされている。ブロック164で、第1のモバイル通信デバイス10は、第1のモバイル通信デバイス10上に記憶されている第1のCDNデータの第1の発信日が、閾値時間量よりも古いかどうかを判定する。換言すれば、第1のモバイル通信デバイス10は、現在日と第1の発信日との差が、閾値時間量よりも大きいかどうかを判定する。この閾値量は、閾値時間量よりも古いネットワークデータが、信頼性を欠き、かつ/又は期限切れの可能性があることに基づき得る。一実施例として、閾値時間量は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、又は、最大で14日の(又は、いくつかの実施形態では、より多くの)任意の日数とすることができる。
【0042】
第1のモバイル通信デバイス10上に記憶されているネットワークデータの第1の発信日が、閾値時間量よりも古くはない場合には、方法160は、ブロック164に戻ることができる。いくつかの実施形態では、方法160は、ブロック166で、ブロック164に戻る前に或る程度の持続時間で待機するか、又は、第1の発信日が閾値時間量よりも古くなるまで待機してから、ブロック168へと続けることを含む。
【0043】
ブロック168で、第1のモバイル通信デバイス10は、第1の発信日よりも最近の第2の発信日を有する第2のネットワークデータ(例えば、CDNデータ)に関する、ネットワークデータ共有要求を示すビーコン信号を、P2Pネットワークを介して送信する。以降の図面及びその説明に鑑みて理解されるように、第1のモバイル通信デバイス10は、第1の発信日の経過時間、第1のモバイル通信デバイス10のバッテリ健全性、緊急事態を示す(例えば、第1のモバイル通信デバイス10のユーザが道に迷ったか又は負傷していることを示す)入力を第1のモバイル通信デバイス10が受信したかどうかなどの様々な基準に基づいて、第1のモバイル通信デバイス10によって判定されたレート又は頻度で、複数のビーコン信号を送信する。
【0044】
ブロック170で、第2のモバイル通信デバイス110は、P2Pネットワークを介して、第1のモバイル通信デバイス10からのビーコン信号を受信する。前述のように、図3に示されているP2P通信結合100は、第1のモバイル通信デバイス10及び第2のモバイル通信デバイス110が互いに十分に近接している場合に確立される。P2Pネットワークとしては、例えば、Bluetoothネットワーク、Bluetooth低エネルギー(「Bluetooth LE」)ネットワーク、P2P Wi-Fiネットワーク、近距離無線通信ネットワークなどを挙げることができる。第2のモバイル通信デバイス110の複数のインスタンスが、第1のモバイル通信デバイス10からのビーコン信号を受信し得ることにより、第2のモバイル通信デバイス110のうちの1つ以上が、第1のモバイル通信デバイス10に更新されたネットワークデータを送信する可能性が高まる点に留意されたい。
【0045】
ブロック172で、第2のモバイル通信デバイス110は、第2のモバイル通信デバイス110上に記憶されているネットワークデータ(例えば、CDNデータ)の第2の発信日が、第1のモバイル通信デバイス10上に記憶されているネットワークデータ(例えば、CDNデータ)の第1の発信日よりも最近であるかどうかを判定する。例えば、いくつかの実施形態では、第1のモバイル通信デバイス10によって第2のモバイル通信デバイス110に送信されるビーコン信号は、第1の発信日を示すデータを含み、第2のモバイル通信デバイス110は、その第1の発信日を、第2のモバイル通信デバイス110上に記憶されているネットワークデータに関連付けられている第2の発信日と比較する。第2の発信日が、第1の発信日よりも最近ではない場合には、第2のモバイル通信デバイス110によるアクションは、ブロック174で終了する。
【0046】
第2のモバイル通信デバイス110が、第2の発信日が第1の発信日よりも最近であると判定した場合には、方法160は、ブロック176へと続く。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2のモバイル通信デバイス110によって受信されるビーコン信号は、第1のモバイル通信デバイス10に関連付けられている第1の発信日を示すデータを含まず、その場合、方法160は、ブロック170からブロック176へと直接進む。ブロック176で、第2のモバイル通信デバイス110は、第2のネットワークデータ(例えば、第2のCDNデータ)を第1のモバイル通信デバイス10と共有するオプションを、(例えば、第2のモバイル通信デバイス110のディスプレイ118に)提示する。第2のモバイル通信デバイス110のユーザは、第2のネットワークデータを第1のモバイル通信デバイス10と共有するか又は共有しないかを選択することができる。いくつかの実施形態では、第2のモバイル通信デバイス110は、他の(例えば、第1のモバイル通信デバイス10を含めた)モバイル通信デバイスと第2のネットワークデータを共有するように、又は共有しないように、ユーザによって構成するか若しくは初期設定することができる。
【0047】
ブロック178で、第2のモバイル通信デバイス110は、P2Pネットワークを介して、かつ第2のネットワークデータを共有するオプションの選択に応じて、第1のモバイル通信デバイス10に第2のネットワークデータを送信する。ブロック180で、第1のモバイル通信デバイス10は、第2のモバイル通信デバイス110から第2のネットワークデータを受信する。第1のモバイル通信デバイス10は、第2のネットワークデータをダウンロードして、第2のモバイル通信デバイス110から受信した第2の(又は、更新された)ネットワークデータに関連付けられているネットワーク(例えば、衛星ネットワーク又は非地上系ネットワーク)にアクセスするために、その第2のネットワークデータを利用する。
【0048】
前述のように、第1のモバイル通信デバイス10は、ビーコン信号が第2のモバイル通信デバイス110のインスタンスによって受信されて確認応答されるまで、(例えば、ブロック168で)ビーコン信号を送信し続ける。第1のモバイル通信デバイス10上に記憶されている(すなわち、更新されたネットワークデータを受信する前の)ネットワークデータの信頼性は、経時的に低下して、最終的に期限切れとなり得る。したがって、更新されたネットワークデータ(例えば、CDNデータ)に対する必要性は、時間の経過と共に増大し得る。更には、更新されたネットワークデータに関して、P2Pネットワークを介してビーコン信号を送信することは、第1のモバイル通信デバイス10の電源29のバッテリ寿命を枯渇させる傾向があり得る。したがって、以下で詳細に説明されるように、第1のモバイル通信デバイス10は、ビーコン信号が応答されるまでビーコン信号を送信する際の、レート又は頻度(例えば、どのくらいの頻度か)を判定するために、様々な基準(例えば、第1のモバイル通信デバイス10上に記憶されているネットワークデータの経過時間、第1のモバイル通信デバイス10の電源29のバッテリ寿命など)を考慮することができる。
【0049】
図5は、第1のモバイル通信デバイス10が、第2のモバイル通信デバイス110から更新されたネットワークデータを要求する頻度又はレート200を判定する、時間依存基準の一実施形態を示す概略図である。レート200は、例えば、モバイル通信デバイス10によって送信される、1分当たりのビーコン信号の数を含み得るものであり、このレート200は、モバイル通信デバイス10上に記憶されているネットワークデータの経過時間201(例えば、ネットワークデータの発信日から経過した日数)に依存する。図示の実施形態では、レート200は、ネットワークデータの経過時間201が3日(204)~6日(206)である場合には、120分当たり1つのビーコン信号の、第1のレート205を含む。レート200は、経過時間201が6日(206)~9日(208)である場合には、60分当たり1つのビーコン信号の、第2のレート207を含む。レート200は、経過時間201が9日(208)~12日(210)である場合には、20分当たり1つのビーコン信号の、第3のレート209を含む。レート200は、経過時間201が12日(210)~14日(212)である場合には、2分ごとに1つのビーコン信号の、第4のレート211を含む。前述のように、どのくらいの頻度でビーコン信号を送信するかに関して、モバイル通信デバイス10によって判定されたレート200は、図4に示された方法160のブロック168で(例えば、ビーコン信号が、図4のブロック178及びブロック180に示されるように応答されるまで)採用することができる。図5は、単に一実施例として提供されているに過ぎず、モバイル通信デバイス10上に記憶されているネットワークデータの経過時間201に基づいてビーコン信号送信のレート200を判定するための制御ロジックは、異なるものであってもよい点に留意されたい。
【0050】
CDNデータなどのネットワークデータを要求するレートを、モバイル通信デバイス10が判定する、他の技術もまた可能である。実際に、更新されたネットワークデータに関するネットワーク共有要求を示す、ビーコン信号を送信するレートを判定する際に、モバイル通信デバイス10上に記憶されているネットワークデータの経過時間201以外の基準を、モバイル通信デバイス10によって考慮することができる。例えば、図6は、図1の電子デバイス10(以下ではモバイル通信デバイス10と称されるもの)が、追加的モバイル通信デバイス110からネットワークデータを要求するレートを判定する、優先度指数の表230を示す概略図である。図6の説明の後に以下で詳細に説明される図7は、図6の優先度指数の表230に基づいて、モバイル通信デバイス10と追加的モバイル通信デバイス110との間で、CDNデータなどのネットワークデータを共有する方法250のプロセスフロー図である。
【0051】
図6では、表230は、優先度指数欄232及び基準欄234を含む。優先度指数欄232は、ゼロの優先度指数236、デフォルトの優先度指数238、第1の優先度指数240、第2の優先度指数242、及び第3の優先度指数244を含む。ゼロの優先度指数236は、基準欄234内のゼロの基準セット237に対応し、デフォルトの優先度指数238は、基準欄234内のデフォルトの基準セット239に対応し、第1の優先度指数240は、基準欄234内の第1の基準セット241に対応し、第2の優先度指数242は、基準欄234内の第2の基準セット243に対応し、第3の優先度指数244は、基準欄234内の第3の基準セット245に対応している。
【0052】
ゼロの優先度指数236に対応しているゼロの基準セット237は、モバイル通信デバイス10上のネットワークデータ(例えば、CDNデータ)の経過時間が、ゼロ日~5日である場合に満たされる。すなわち、ゼロの基準セット237は、モバイル通信デバイス10のバッテリ健全性(例えば、充電状態のパーセンテージ)に関わりなく、かつ、ネットワークデータ要求に関連付けられる、モバイル通信デバイス10へのいずれのユーザ入力にも関わりなく満たされる。デフォルトの優先度指数238に対応しているデフォルトの基準セット239は、他の基準セット237、241、243、245のいずれもが満たされていない場合に満たされる。
【0053】
第1の優先度指数240に対応している第1の基準セット241は、モバイル通信デバイス10のバッテリ健全性(例えば、充電状態のパーセンテージ)が低く(例えば、第1のバッテリ健全性閾値を下回る)、モバイル通信デバイス10に緊急事態入力が入力されておらず(又は、非緊急入力が入力されている)、かつ、モバイル通信デバイス10上に記憶されているネットワークデータの経過時間がゼロ日~10日間である場合に満たされる。第1のバッテリ健全性閾値は、例えば、10%の充電状態、20%の充電状態、又は30%の充電状態とすることができる。第2の優先度指数242に対応している第2の基準セット243は、モバイル通信デバイス10に緊急事態入力が入力されており、かつ、モバイル通信デバイス10上に記憶されているネットワークデータの経過時間が5~15日である場合に満たされる。それゆえ、第2の基準セット243は、モバイル通信デバイス10のバッテリ健全性(例えば、充電状態のパーセンテージ)を含まない。第3の優先度指数244に対応している第3の基準セット245は、モバイル通信デバイス10上に記憶されているネットワークデータが期限切れである場合に(又は、モバイル通信デバイス10上にネットワークデータが記憶されていない場合に)満たされる。
【0054】
図6は、モバイル通信デバイス10が、様々な基準(例えば、モバイル通信デバイス10上に記憶されているネットワークデータの経過時間、緊急事態が存在しているかどうか、モバイル通信デバイス10のバッテリ健全性)を、どのように考慮し得るかの、単なる一実施例として提供されているに過ぎず、様々な優先度指数に様々な基準をどのように配分するかの相違を含めた、他の制御ロジックを採用することができる点に留意されたい。更には、上述の基準セット237、239、241、243、245のうちの特定の基準セットは、重複するパラメータを含む場合があり、モバイル通信デバイス10の状態は、複数の基準セット237、239、241、243、245を満たし得る点に留意されたい。しかしながら、以下の説明に鑑みて理解されるように、モバイル通信デバイス10は、基準セット237、239、241、243、245を、一連の順序付けで考慮することができる。それゆえ、基準セット237、239、241、243、245のうちの1つが満たされると、モバイル通信デバイス10は、対応する優先度指数236、238、240、242、244を選択することができ、残りの基準セットを考慮しなくてもよい。
【0055】
図7は、前述のように、図6の優先度指数の表230に基づいて、モバイル通信デバイス10と追加的モバイル通信デバイス110との間で、CDNデータなどのネットワークデータを共有する方法250のプロセスフロー図である。ブロック252で、図示の実施形態では、モバイル通信デバイス10は、Wi-Fi又はセルラネットワークのカバー圏内から、カバー圏外に移行する。それゆえ、モバイル通信デバイス10は、衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークなどの別のネットワークに対応する、更新されたネットワークデータ(例えば、CDNデータ)を、Wi-Fi又はセルラネットワーク接続を介してダウンロードすることが不可能となる。
【0056】
ブロック254で、モバイル通信デバイス10のプロセッサ12は、CDNデータを自動的に共有及び受信するオプション、CDNデータの検索を手動でトリガするオプション、及び/又は緊急事態のインジケーションを入力するオプションを含めた、ネットワークデータ共有に関連付けられる1つ以上のオプションの、インジケーション又は選択を受信する。いくつかの実施形態では、CDNデータの検索を手動でトリガするオプションは、緊急事態を自動的にトリガする。すなわち、CDNデータの検索を手動でトリガするオプションは、緊急事態を示す入力をモバイル通信デバイス10に入力することに対応し得る。上述のように、また以下でより詳細に説明されるように、様々な利用可能なオプションの選択は、モバイル通信デバイス10が、更新されたCDNデータに関するCDNデータ共有要求を示すビーコン信号を送信するレートに、影響を及ぼし得る。
【0057】
ブロック256で、モバイル通信デバイス10のプロセッサ12は、モバイル通信デバイス10上に記憶されているCDNデータの経過時間が、ゼロ日~5日の経過であるかどうかを判定する。モバイル通信デバイス10上に記憶されているCDNデータが、0~5日の経過である場合には、バッテリ健全性(例えば、充電状態のパーセンテージ)及びユーザ入力に関わりなく、プロセッサ12は、240分ごとに1回ビーコン信号を送信することに対応する、図6からのゼロの基準セット237に対応しているゼロの優先度指数236が適用されることを判定する。CDNデータの経過時間が、ゼロ日~5日の経過ではないことを、プロセッサ12が判定した場合には、方法250は、ブロック260へと続く。
【0058】
ブロック260で、モバイル通信デバイス10のプロセッサ12は、バッテリ健全性(例えば、充電状態のパーセンテージ)が低く(例えば、最小バッテリ健全性閾値を下回り)、緊急入力が入力されておらず(又は、非緊急入力が入力されており)、かつ、CDNデータの経過時間がゼロ日~10日であるかどうかを判定する。換言すれば、モバイル通信デバイス10は、図6からの第1の基準セット241及び対応する第1の優先度指数240が適用されるかどうかを判定する。適用される場合には、方法250は、ブロック262へと続き、プロセッサ12は、送信機52を介して、更新されたCDNデータに関するCDNデータ共有要求を示すビーコン信号を、60分ごとに1回送信する。適用されない場合、方法250は、ブロック264へと続く。
【0059】
ブロック264で、モバイル通信デバイス10のプロセッサ12は、バッテリ健全性(例えば、充電状態のパーセンテージ)に関わりなく、緊急事態を示す入力が入力されており、かつ、モバイル通信デバイス10上に記憶されているCDNデータの経過時間が5日~15日であるかどうかを判定する。換言すれば、プロセッサ12は、図6からの第2の基準セット243及び対応する第2の優先度指数242が適用されるかどうかを判定する。適用される場合には、方法250は、ブロック266へと続き、プロセッサ12は、送信機52を介して、更新されたCDNデータに関するCDNデータ共有要求を示すビーコン信号を、20分ごとに1回送信する。適用されない場合、方法250は、ブロック268へと続く。
【0060】
ブロック268で、モバイル通信デバイス10のプロセッサ12は、バッテリ健全性(例えば、充電状態のパーセンテージ)に関わりなく、かつ、ユーザによってモバイル通信デバイス10に入力される、いずれの入力にも関わりなく、モバイル通信デバイス10上に記憶されているCDNデータが期限切れであるかどうかを判定する。換言すれば、モバイル通信デバイス10は、図6からの第3の基準セット245及び対応する第3の優先度指数244が適用されるかどうかを判定する。適用される場合には、方法250は、ブロック270へと続き、プロセッサ12は、送信機52を介して、更新されたCDNデータに関するCDNデータ共有要求を示すビーコン信号を、3分ごとに1回送信する。適用されない場合、方法250は、ブロック272へと続く。
【0061】
ブロック272で、モバイル通信デバイス10のプロセッサ12は、図6からのデフォルトの基準セット239及び対応するデフォルトの優先度指数238が適用されることを(例えば、他の全ての基準セット及び優先度指数を除外した後に)判定する。次いで、方法250は、ブロック274へと続き、プロセッサ12は、送信機52を介して、更新されたCDNデータに関するCDNデータ共有要求を示すビーコン信号を、120分ごとに1回送信する。図示の方法250におけるブロック276は、ブロック258、262、266、270、又はブロック274でモバイル通信デバイス10のプロセッサ12によって判定されたレートでの、CDNデータに関するCDNデータ共有要求を示すビーコン信号の送信を示すものである。
【0062】
前述のように、本開示は、P2Pネットワークを介した、モバイル通信デバイス10、110間のネットワークデータ共有(例えば、CDNデータ共有)を目的とする。P2Pネットワーク接続は、モバイル通信デバイス10、110間の近接性を条件とする。したがって、更新されたネットワークデータを要求するモバイル通信デバイス10には、モバイル通信デバイス10のディスプレイ上でのマップの表示を容易にする構成部品が装備されており、このマップは、モバイル通信デバイスとネットワークデータを共有することが可能な他のモバイル通信デバイス110を比較的高い密度で有する領域に、ユーザがモバイル通信デバイス10を移動させることを可能にし得る。図8は、図1の電子デバイス10(以下ではモバイル通信デバイス10と称されるもの)のディスプレイ18上に提示された、マップ300の図である。
【0063】
いくつかの実施形態では、モバイル通信デバイス10は、他のモバイル通信デバイス110を比較的高い密度で有すると予想される領域を、ユーザが位置特定することを可能にするための、ネットワーク接続を必要としない、オフラインモードでマップ300を提示する。例えば、モバイル通信デバイス10が1つ以上のネットワークへのアクセスを有している間に、モバイル通信デバイス10の開始位置302を、マップ300上にマークすることができる。その後、モバイル通信デバイス10は、ネットワークアクセスを失う場合がある。開始位置302からのモバイル通信デバイス10の移動304は、動作するためにネットワーク接続を必要としない、モバイル通信デバイス10上の特徴部(例えば、加速度計、ジャイロスコープ、ジャイロメータなどのセンサ)によって、追跡することができる。モバイル通信デバイス10の現在位置306もまた、マップ300上に示すことができる。
【0064】
更には、境界インジケーション(例えば、公園境界インジケーション)310内に配置されているランドマークインジケーション308(例えば、軌跡の起点のインジケーション)を、マップ300上に含めることができ、他のモバイル通信デバイス110を比較的高い密度で、又は現在の密度よりも高い密度で含む可能性が高い領域を、モバイル通信デバイス10のユーザに示すことができる。モバイル通信デバイス10のユーザは、(示されている開始位置302、示されている移動304、示されている現在位置306、境界インジケーション310内のランドマークインジケーション308、及び他のマップ特徴部を含む)マップ300を利用して、追加的モバイル通信デバイス110を比較的高い密度で、又は現在の密度よりも高い密度で有すると予想される領域に、移動することができる。このようにして、ユーザは、モバイル通信デバイス10と追加的モバイル通信デバイス110との間のP2Pネットワークを介したデータ共有を可能にするために、モバイル通信デバイス10が、追加的通信デバイス110のうちの1つ以上に十分に接近する可能性を高めることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、マップ300は、モバイル通信デバイス10の開始位置302、開始位置302からのモバイル通信デバイス10の移動304、及び/又はモバイル通信デバイス10の現在位置306を示さない。しかしながら、マップ300は、マップ300上のランドマークインジケーション308を介して識別されているランドマークを、モバイル通信デバイス10のユーザが(例えば、直接)認識することを依然として可能にし得る。
【0066】
本開示の実施形態は、衛星ネットワーク又は非地上系ネットワークにアクセスするために利用されるCDNデータなどのネットワークデータを、P2Pネットワークを介して送受信する、モバイル通信デバイスを目的とする。例えば、第1のモバイル通信デバイスは、第1のモバイル通信デバイスがWi-Fi及びセルラネットワークへのアクセスを有さないことにより、Wi-Fi及びセルラネットワークを介して、更新されたCDNデータをダウンロードすることが不可能な場合に、CDNデータに関するCDNデータ共有要求を示すビーコン信号を、第2のモバイル通信デバイスに送信することができる。本開示の実施形態に関連付けられる技術的効果は、特に第1のモバイル通信デバイスがWi-Fi及びセルラネットワークへのアクセスを有さない場合に、CDNデータに関連付けられる衛星ネットワークなどのネットワークに接続するための、改善された能力を含む。
【0067】
個人特定可能な情報の使用は、ユーザのプライバシーを維持するための業界又は政府の要件を満たすか若しくは超えるものとして一般に認識されている、プライバシーポリシー及びプライバシー慣行に従うべきであることが十分に理解されよう。特に、個人特定可能な情報データは、非意図的又は無許可のアクセス若しくは使用のリスクを最小限に抑えるように、管理及び処理されるべきであり、許可された使用の性質は、ユーザに明確に示されるべきである。
【0068】
上述の特定の実施形態は、例として示されたものであり、これらの実施形態は、様々な修正形態及び代替形態の影響を受けやすいものであり得る点を理解されたい。更には、特許請求の範囲は、開示される特定の形態に限定されるものではなく、むしろ、本開示の趣旨及び範囲に含まれる全ての修正形態、等価物、及び代替形態を包含することが意図されている点を理解されたい。
【0069】
本明細書で提示され、かつ特許請求される技術は、本技術分野を実証可能に改善する、実用的な性質の有形物及び具体例に言及し、適用されるものであり、それゆえ、抽象的な、無形の、又は純粋に理論的なものではない。更には、本明細書の末尾に添付されている、いずれかの特許請求の範囲が、「~[機能]を[実行]するための手段」又は「~[機能]を[実行]するためのステップ」として指定されている1つ以上の要素を含む場合には、そのような要素は、米国特許法第112条(f)に従って解釈されるべきであることが意図されている。しかしながら、任意の他の方式で指定されている要素を含む、いずれかの特許請求の範囲に関しては、そのような要素は、米国特許法第112条(f)に従って解釈されるべきではないことが意図されている。
図1
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図8