(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】複合部材の様々な材料層を分離するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01L 31/046 20140101AFI20240226BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
H01L31/04 532Z
B09B5/00 Z ZAB
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022188536
(22)【出願日】2022-11-25
(62)【分割の表示】P 2018566348の分割
【原出願日】2018-01-25
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】102017101564.7
(32)【優先日】2017-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102017108417.7
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/064614
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518442952
【氏名又は名称】グロース・レアンダー・キリアン
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(73)【特許権者】
【識別番号】518442963
【氏名又は名称】グロース・マシャ・エリー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】グロース・ハーラルト
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-72293(JP,A)
【文献】特開2015-217372(JP,A)
【文献】特開2004-134672(JP,A)
【文献】国際公開第2016/175654(WO,A2)
【文献】特開2009-302533(JP,A)
【文献】特開2011-173099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/20
B09B 1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光起電モジュールの
複数の
異なる材料層を分離する方法であって、前記
光起電モジュールが、40%を超える透過率を有する、可視光について透明な少なくとも1つの材料層と、
発電材料層と、該発電材料層に隣接する少なくとも1つの別の材料層とを含んでおり、外部の光源の光が、前記少なくとも1つの透明な材料層を通って前記
発電材料層へ入射し、そこで少なくとも部分的に吸収される、前記方法において、
前記外部の光源の光が、少なくとも1つの気体放電ランプを用いて提供され、これにより、
以下ではまとめて光を吸収する材料層と呼ばれる、前記発電し、かつ、光を吸収す
る材料層が
、1秒よりも短い時間照射されるとともに
数百ケルビンだけ加熱されること、
前記照射が
、前記光起電モジュールの表面の少なくとも一部を含む露光フィールドにおいて行われること、
前記露光フィールドにおける前記照射が、露光時間の一時点において一定の強度を有しているこ
と
前記光を吸収す
る材料層の加熱の結果、前記
光起電モジュールの少なくとも2つの材料層
の互い
の分離が
もたらされること
、及び
前記光起電モジュールの前記少なくとも2つの材料層の分離が、熱機械的な応力及び/又は光作用の下で引き起こされる化学的なプロセスの結果としてもたらされることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記光を吸収する材料層の加熱の結果として、前記光起電モジュールの少なくとも3つの材料層が互いに分離されることを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記
光を吸収する材料層
が、前記透明な材料層に直接又は他
の材料層
を介して接す
ることを特徴とする請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記光を吸収す
る材料層が
シリコンウエハ又は薄膜太陽電池モジュールの発電層で形成されていることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記
光起電モジュールの照射される面の割合が、表面の少なくとも5
%であることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
2つより多くの材料層の
光起電モジュールについて、第1の強度での第1の露光時間により、前記
光起電モジュールの2つの材料層が互いに分離され、その結果、前記
光起電モジュールが分離によって2つの構成要素へ分解され、前記
光起電モジュールの少なくとも1つの構成要素の、別の構成要素への別の分解が、少なくとも1つの別の露光時間及び少なくとも1つの別の強度によって行われることを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記
光起電モジュールの別の分解において、露光時間及び強度というパラメータのうち少なくとも1つが、それ以前の分解に比べて大きいことを特徴とする請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
第1の露光時には、前記
光起電モジュールの少なくとも一部がシャドウマスクによって覆われており、別の露光時には、シャドウマスクなしに、露光時間及び強度というパラメータのうち少なくとも1つが、シャドウマスクを伴う前記第1の露光とは異なっていることを特徴とする請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
第1の露光がシャドウマスクなしに実行され、別の露光がシャドウマスクを伴って実行されることを特徴とする請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の露光時に、光起電モジュー
ルの縁部封止部が露光されることを特徴とする請求項
8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記
光起電モジュールの少なくとも1つの材料
層の、前記
光起電モジュールの
前記別の材料層からの分離が、ポータブル装置の少なくとも1つの気体放電ランプを用いて前記複合部材の
動作場所、保管場所、製造場所又はリサイクル場所において行わ
れることを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合部材の様々な種類の材料層を分離する方法であって、複合部材が、40%を超える透過率を有する、可視光について透明な少なくとも1つの材料層と、少なくとも1つの別の材料層とを含んでおり、外部の光源の光が、少なくとも1つの透明な材料層を通って少なくとも1つの別の材料層へ入射し、そこで少なくとも部分的に吸収される、前記方法に関するものである。
【0002】
本発明は、複合部材の様々な材料層を分離する装置に関するものでもあり、複合部材は、複合部材がガラスについて50%以上の重量割合を有している場合に有利であることが分かった。よりわずかなガラスの重量割合における応用も同様に可能である。
【背景技術】
【0003】
太陽電池モジュールは、「電子機器廃棄物」のカテゴリに含まれ、EU(欧州連合)基準によればリサイクルされる必要がある。モジュールは、構造に応じて、シリコンウエハ及び銀のような貴重な構成要素や、インジウム、ガリウム又はテルルのような希少物質を含んでいる。
【0004】
典型的には、ソーラーモジュールは、細かく砕かれ、つづいて、粒状物質において含まれる物質が、機械的かつ化学的な方法によって互いに分離される。より新たな方法では、モジュール全体が炉において加熱され、その結果、含まれる合成樹脂が燃焼する。例えばガラス及びシリコンウエハのようなその他の残った構成部材は、炉のプロセス後に機械的に互いに分離され、つづいて、化学的に選別(aufbereitet)されるとともに洗浄され、その結果、構成部材は、再び生産において用いられることが可能である。
【0005】
薄膜太陽電池モジュールは、本質的に、それぞれ約2.0~3.0ミリメートルの厚さを有する2つのガラスプレートと、これらの間に積層された、約0.2~0.4ミリメートルの厚さを有する、例えばEVA(エチレンビニルアセテート)から成るフィルムと、このフィルムと両ガラスプレートの間に埋入された約0.003ミリメートルの厚さを有する発電層とで構成されている。したがって、体積に関して、薄膜太陽電池モジュールは主要部分がガラスで構成されており、このガラスにより、リサイクル手法としての上述の粉砕及びこれにつづく材料の化学的な分離が不経済的なものとなってしまう。上述の炉のプロセスのための高いエネルギー需要及びこれに関連する部分的に複数時間の長いプロセス時間は、代替的なリサイクル方法の追求に対する高いモチベーションを提供する。
【0006】
特許出願「薄膜太陽電池モジュールのためのリサイクル方法」(特許文献1)には、薄膜太陽電池モジュールの表面においてレーザビームを走査することで、モジュールの、光吸収性の、これにより発電する層が加熱され、これにより両ガラス層の分離が生じる方法が記載されている。つづいて、化学浴において発電層が剥離されることができるとともに、EVAフィルムが機械的に引きはがされることが可能である。このとき、ガラスプレートの互いの分離により、初めて、ガラスプレートの間に含まれる層への化学物質の有効な作用が可能となる。
【0007】
薄膜太陽電池モジュールのためのレーザ方法の高い投資コスト以外の最大の欠点は、約1~1.5平方メートルのソーラーモジュールの一方側の全面積にわたるビームの走査のための数分の大規模な必要時間である。300メガワットの最大出力を有するソーラーパークの今日の通常の大きさを想定すると、そこには、約200万個の薄膜太陽電池モジュールが取り付けられている。したがって、レーザは、ソーラーパークのモジュールの両ガラスプレートを粉砕するために多数年にわたって時間をさくこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、太陽電池モジュールのリサイクルにかかるコスト及び時間を削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1によれば、複合部材の光を吸収する別の材料層が、少なくとも1つの気体放電ランプにより生成される光を用いて、複合部材の表面の少なくとも一部を含む露光フィールドにおいて1秒よりも短い時間照射されるとともに加熱される方法が開発された。1つの気体放電ランプ又は複数の気体放電ランプを用いて、露光フィールド全体を同時に照射することができるとともに、光を吸収する材料層を加熱することが可能である。
【0011】
したがって、露光フィールドにおいては、適当な熱的なプロセスを利用して、若しくは光作用で生じる化学的なプロセスを利用して、又は、材料の温度勾配若しくは異なる熱膨張係数の結果である熱機械的な応力によって、又は以下では一般的に分離プロセスと呼ぶこれらプロセスの組合せによって、複合部材の材料層の分離が生じる。このとき、多くの場合、数ミリメートルの厚さの層のみが、分離されるべき材料の境界面に沿って、初期温度、例えば室温から必要なプロセス温度へ典型的には数百ケルビンだけ加熱されることで十分である。したがって、特にできる限り薄い層の加熱時には、高い加熱率及び/又は冷却率と、これに伴い1秒より短い照射時間とが使用され、これらは、必要なエネルギー密度をもって、気体放電ランプによって提供されることが可能である。
【0012】
照射時間は、複合部材において用いられる材料、複合部材の大きさあるいは照射される部分面その他のような様々なパラメータに依存して変更されることが可能である。したがって、1ミリ秒、10ミリ秒、20ミリ秒、50ミリ秒、100ミリ秒、500ミリ秒以上又はこれらの間の値の照射時間を用いることが可能である。当業者は、シミュレーション若しくは実験又は両者の組合せによって、処理されるべき複合材料についての最適な照射時間を算出及び選択することができるため、複合材料へ入力されるエネルギーは、複合材料全体の温度の無視できる上昇をもたらすものである。
【0013】
気体放電ランプを用いて、ランプの光は、光について透明な複合材料の材料層を通って入射するとともに、1つの別の材料層又は複数の別の材料層によって吸収される。光吸収によって引き起こされる分離プロセス、例えば数百ケルビンの温度上昇又は光作用により生じる化学結合の解除は、境界面の近傍で、複合部材の少なくとも2つの材料層の互いの分離を生じさせる。上述の方法により、透明な材料層に隣接する別の材料層及び/又は透明な材料層から離れて位置する別の材料層のうち少なくとも1つを、1つ又は複数の隣接する材料層から分離することが可能である。露光フィールド全体において一定の光の強度により、露光の適宜の時点において、面において均等な分離プロセスが露光フィールドにおいて引き起こされ、材料層の均一な分離が達成される。
【0014】
少なくとも1つの気体放電ランプは、オプションで、フラッシュランプとして動作されることができ、その結果、複合部材へ入力されるエネルギーにより、複合部材全体の温度の無視できる温度上昇がもたらされる。材料層の実際の分離は、以下に例示的に、かつ、これに限定することなく記載される別の方法ステップを必要とし、この方法ステップは、本質的に、具体的な分離を可能とするか、又は境界面の互いの剥離によって行われる。補足的な方法ステップを、別々に、及び後の時点で実行することが可能である。
【0015】
露光フィールドの大きさ、すなわち露光により処理される複合材料の表面の割合は、複合部材の層構造、物理的な特性及び化学的な特性を有するその材料、複合材料の全体の大きさ、用いられる熱的なプロセスに必要で光源によって達成可能な出力密度、利用可能な空間のような様々なパラメータ及びその他のパラメータに合わせて、非常に異なって選択されることが可能である。実験において、円筒状かつ平行に配置された複数の気体放電ランプのフィールドがモジュールの全面を均等に照射することができることが示され、その結果、例えば、光起電モジュールにおいては、モジュール全体のガラスプレートの分離が、露光によってのみ、及びこれに伴い1秒未満で可能である。
【0016】
この方法は、例えば光起電モジュール、例えば薄膜モジュールのガラスプレート及び層材料、いわゆる「集光型太陽光発電」のディスプレイ又は構成要素のリサイクルにおいて用いられる。
【0017】
透明な層及び別の光吸収性の層への材料層の類別は、分離プロセスに用いられ、支配的な光学的な特性に従って行われる。したがって、透明な材料層は、少なくとも外部の視認可能な光源のための、複合部材への入射窓を形成しているとともに、この目的のために、用いられるスペクトル範囲についての透明性を有している。40%を超える可視光についての透明性を有する材料層は、利用可能なプロセスにとって適切であることが明らかとなり、透明性のパーセンテージは、規則的に広帯域で発出される気体放電ランプの発光スペクトルに関するものである。用いられる気体放電ランプ、その動作パラメータ、用いられる分離プロセス及び層材料に依存して、スペクトル透明性が、例えばUV(紫外線)範囲及び/又はIR(赤外線)範囲における光のような、可視範囲のほかに、発光スペクトルの他の範囲も含むことができる。
【0018】
方法は、透明な材料層がより高い透過率を有するか、又は該当するスペクトル範囲に調和された透過プロファイルを有する複合部材にも適用されることができる。透明性(透過性)は、1つの透明な材料層又は互いに重ねて位置する複数の透明な材料層によって決定されることができる。
【0019】
外部の光源又はビーム源の概念は、複合部材の構成部材ではない光源又はビーム源を表す。
【0020】
材料層の分離は、複合材料の2つ又は複数の材料層の互いの分離にかかわる様々な実施形態に合わせて、及び複合部材の様々な境界面における層分離のための上述のプロセスによって行われることが可能である。
【0021】
したがって、少なくとも1つの気体放電ランプは、ランプから発出されるUV光が以下では第1の層とも呼ばれる透明な材料層を通って入射し、これに隣接する、以下では第2の層とも呼ばれる別の材料層において結合を破壊するようにガイドされ、したがって、材料層の分離が伴うように構成及び動作されることが可能である。このとき、UV光は、上述の定義によれば透明な1つ又は複数の材料層を通過する。補足して、UV光は、もはや定義には含まれない別のUV光を十分に透過させる別の材料層へ入射することができる。後者は、以下では、第3の層、第4の層などとも呼ばれる。第1の場合には、透明な材料層からの第2の層又はこの層上の積層の分離が直接行われる。第2の場合には、積層の内部で別の材料層からの分離が行われる。互いに相前後して行われる方法ステップによる両バリエーションの組合せも可能である。
【0022】
同様に、分離プロセスによる分離も、複合部材の様々な平面において行うことが可能である。このために、少なくとも1つの気体放電ランプは、ランプから発出される可視光が第1の層である透明な材料層を通って入射し、これに隣接する、第2の層である別の材料層において、加熱によって両層を互いに分離するために、吸収されるように構成及び動作される。
【0023】
これに代えて、又はこれに補足して、気体放電ランプの光は、第1の層を通って入射し、第2の層を分離することなくこの第2の層を加熱する。第2の層における熱導入により、第2の層と第3の層の間の境界面が、第2の層が第3の層から分離されるように加熱される。したがって、第2の層及びこの上につづく層の熱的特性、透過特性及び吸収特性に依存して、他の境界面も所望の規模で加熱し、材料層を互いに分離することが可能である。
【0024】
露光により処理される複合材料の表面の割合は、複合部材の層構造、物理的な特性及び化学的な特性を有するその材料、複合材料の全体の大きさ、用いられる熱的なプロセスに必要で光源によって達成可能な出力密度、利用可能な空間のような様々なパラメータ及びその他のパラメータに合わせて、非常に異なって選択されることが可能である。実験において、円筒状の複数の気体放電ランプのフィールドがモジュールの全面を均等に照射することができることが示され、その結果、例えば、光起電モジュールにおいては、モジュール全体のガラスプレートの分離が1秒未満で可能である。これにより、ソーラーパークについての上述の例の多数年の時間が1か月未満に短縮される。さらに、気体放電ランプのフィールドに対する投資コストは、従来技術によるレーザについてのコストの端数部分のみで済む。1つ又は複数の気体放電ランプの適切な構成により、パーセントステップにおける面積割合を個別に調整することができる。様々な用途について、例えば光起電モジュール、ディスプレイ、「集光型太陽光発電」設備及びその他について、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%の照射表面の割合を照射するときに、方法の構成に合わせて材料層の効果的な分離がなされることが判明し、より大きな割合及びよりわずかな割合並びに上述の値の間の割合も可能である。
【0025】
同時かつ均等な照射割合は、方法の効率の最適化と、複合部材の材料及びデザイン、光源、その他のような、その各用途への適合とによって設定されることが可能である。このとき、露光フィールドの縁部における、物理的な原因による強度低下のパーセントによる面積割合は、露光面が増えるのに伴って低下する。さらに、より大きい、又は唯一の、複合部材全体をカバーする露光フィールドに比して多く小さな露光フィールドの必要なオーバーラップにより、エネルギー損失を低減することができる。加えて、露光フィールドと、既に互いに分離された材料のこれにより生じる多重露光とにより、不都合な分解(Degradation)を回避することができるか、又は少なくとも回避することができる。少なくとも1つの気体放電ランプの使用により、大きな面積の露光に必要なエネルギーの提供が許容される。
【0026】
光吸収性の材料として、様々な材料が考慮に値する。したがって、この材料は、例えばケイ素で構成されることができる。これは、光吸収性の材料層が、例えば周囲に存在する汚濁物又は補足的な材料構成要素である別の材料を含むこと、及び材料層の光を吸収する機能が分離プロセスに対して保証されていることを含む。
【0027】
例示的であるが制限的でない、薄膜太陽電池モジュールへの方法の適用においては、第1の露光を用いて、モジュールの第2の材料層としてのガラスプレートが互いに分離される。モジュールの構造に応じて、分離後、まだ、異なる材料層が複合材料の存在する両構成要素、通常は両ガラスプレートに存在する。とりわけより高い強度で実行される各構成要素の第2の露光時には、材料層の別の分解が可能となる。例えば、薄膜太陽電池モジュールの発電層は、モリブデンのような2つの電極層と、透明な導電性の酸化物と、これらの間に存在する、太陽光を吸収し、電流へ変換する層とで構成されている。個々の材料の互いの付着及びその光の吸収は異なる大きさであるため、化学物質の作用なしに発電層の材料を互いに分離することが可能である。最も重要なステップは、残りの構成要素からのガラスプレートの分離のままである。なぜなら、これらガラスプレートは、90%を超える重量割合及び体積割合を形成しているためである。このとき、電気的な接続部及び場合によってはモジュールのフレームがあらかじめ取り外されていることが前提である。
【0028】
いわゆるCIGS薄膜モジュールにおいては、生産において、発電層が典型的には背面側のガラス(モジュールにおける太陽とは反対側のガラス)において分離され、つづいて、EVAフィルムを用いて前側のガラス(モジュールにおける太陽へ向いた側のガラス)に結合される。この場合、比較的わずかな強度及び例えば1ミリ秒の継続時間における第1の露光においては、高い温度勾配により生じる熱-機械的な応力により、背面側のガラスが前側のガラスから分離され得る。最大のプロセス温度は、通常、分離されるべき材料の蒸発温度未満である。このとき、CIGS層のモリブデン-電極は背面側のガラスに維持され、EVAフィルムを含む発電層の残りの材料は、前側のガラスに付着する。その後、モリブデン層は、より高い強度であるものの類似の継続時間における第2の露光によって、ここでも熱-機械的な応力により背面側のガラスから取り外される。分離されたモリブデン層は、粒子の形態で、空気流により、例えば掃除機の原理による捕集容器へ落下する。これに代えて、粒子は、モジュールの下方に位置する槽へ重力により落下することが可能である。同様に、発電層の残りの材料を、前側のガラスに付着しているEVAフィルムから化学的な結合の温度による解除によって取り外すことが可能であるとともに、粒子として第2の捕集容器に捕集することが可能である。したがって、化学物質を用いることなく、モリブデンを発電層の残りの材料から分離することが可能である。例えば500ミリ秒の継続時間及び比較的わずかな強度での前側のガラスの第3の露光時には、EVAフィルムの剥離が生じる。したがって、CIGSモジュールの材料複合物は、2つのガラスプレートと、モリブデン粒子と、モリブデンを有さないCIGS粒子と、EVAフィルムとへ分解されている。他のリサイクル手法とは異なり、前側のガラスも、また背面側のガラスも化学物質と接触しないため、別の利用前のガラスの洗浄も省略することが可能である。複合部材の構造及びこのとき用いられる材料に応じて、気体放電ランプの動作パラメータを露光継続時間、光強度及び露光の数に関して適合することが好都合である。
【0029】
方法の一形態によれば、モジュールの分解は可搬性のユニットによって行われ、このユニットは、場合によっては部分的に構成要素へ分割されつつ、一般的にISOコンテナ、貨物コンテナ若しくは船舶コンテナ又は輸送コンテナとも呼ばれる標準化された貨物コンテナに配置されているとともに、船舶輸送、鉄道輸送及びトラック輸送に、これら境界を越えて用いられる。このような貨物コンテナは、物品の容易かつ迅速な荷積み、搬送、保管及び荷下ろしを可能とする、鋼製の規格化された大空間容器である。貨物コンテナを用いて、可搬性のユニットは、ソーラーパークへ、又はリサイクル施設又は光起電モジュールのための生産場所又は一般的に複合部材の需要の場所へ、すなわちその動作、保管、製造の場所又は複合部材がリサイクルされるべきその他の場所へ搬送される。つづいて、複合材料の主な重量割合を形成し、分解後に通常のリサイクル方法に比べてわずかな汚濁物を含む複合部材又は複数の複合部材のガラスプレートは、上述の方法によってその他の層材料から分離され、再利用のためのガラス工場へ直接搬送される。比較的わずかな重量割合のみを有する他の材料は、更なる選別及び利用のために対応するリサイクル場所へ搬送される。可搬性のユニットは、ガラスについての搬送されるべき量に関して、より短い搬送経路により高いコストを削減するものである。例えば15キログラムのモジュール重量においては、300メガワットの最大出力を有する上述のソーラーフィールドに対して、3万トンのガラスが生じる。生産において通常の処理量を有する材料従来のリサイクル設備は、空間全体を占めるため、ISOコンテナにおける可搬性のバージョンを実現することができない。
【0030】
シリコンウエハを用いて電流を発生させる光起電モジュールは、統合された全てのモジュールの主な割合を形成するとともに、存在する生産キャパシティによってのみ多くの年数にわたって維持される。当該モジュールは、典型的及び本質的に、前側のガラスと、水及び光をほぼ透過させない、モジュールにおける太陽とは反対側の背面側のフィルムとで構成されている。より新たなモジュールにおいては、水を透過させないフィルムの代わりに背面側のガラスが用いられる。シリコンウエハは、例えば、EVAフィルムによって、その前側及び後ろ側で前側のガラスと背面側のフィルムの間に埋設されている。目下最も頻繁に生産されるモジュールにおいては、透光性の背面側のフィルムに基づき、モジュールにおけるウエハの背面側(ウエハにおける太陽とは反対側)が直接露光されず、したがって加熱されないため、前側(太陽に向いた側)からの露光のみが問題となる。しかし、ガラスあるいは合成樹脂フィルムに比しておよそ150~650倍高いケイ素の熱伝導性により、本発明の請求項4及び請求項5により、例えば50ミリ秒の時間的に比較的長い継続時間によって前側をウエハ全体を加熱することができ、その結果、EVAフィルムが前側及び後ろ側(背側)において剥離される。このとき、これに必要なエネルギーは、150~450μmの厚さのシリコンウエハの大きな熱容量に起因して、薄膜太陽電池モジュールの約3μmの発電層に比して本質的に大きい。ただし、ウエハが埋設されるEVAフィルムの伝熱は、ガラスに比して本質的にわずかである。そのため、熱エネルギーは、露光中に、薄膜モジュールとは異なりシリコンウエハへより緩慢に伝導される。したがって、シリコンウエハを基礎とするモジュールにおけるエネルギー需要は、光吸収性の層の厚さのみに基づき期待されるものよりも大幅に小さい。
【0031】
背面側のガラスを有する、薄膜太陽電池モジュール又はウエハを基礎とする光起電モジュールにおいては、寿命を延長するために、10~15ミリメートルの幅を有する、例えばブチルゴム又はシリコンから成るいわゆる縁部封止部(Randverkapselung)が用いられ、この縁部封止部は、モジュールの縁部においてガラスプレート間に設けられている。通常は、縁部封止部の光学的な特性及び熱的な特性は、モジュールの残りの面とは区別されるため、ガラスプレートを2つの露光へ分割するために第1の露光を分割することも事情によっては望ましいことがある。
【0032】
このために、モジュールは、露光されるべき側をその縁部まで影で覆うシャドウマスクによって部分的に覆われており、その後、高い強度において第1の露光が実行される。よりわずかな強度を有する第2の露光によって、シャドウマスクが除去され、その結果、元々影で覆われている範囲も露光され、ガラスプレートの分離がなされる。つづいて、各ガラスプレートに対する第3の露光によって、ここでも高い強度における別の分解を行うことができる。シャドウマスクが取り外されると、第3の露光による別の分解はもはや不可能であり得る。
【0033】
シャドウマスクは、例えば1ミリメートルの厚さを有する、比較的大きな熱容量のための1つ又は複数の金属プレートで製造されることができ、当該金属プレートはマスクの担持材料としてガラスプレートに接着されている。わずかな露光エネルギーにおいては、これに代えてより薄い金属マスク(Metallschablone)も用いることが可能である。シャドウマスクの他の構成及び材料も可能である。いくつかの場合には、シャドウマスクを有さない第1の露光をわずかな強度において実行し、つづいて、シャドウマスクを高い強度における露光に用いることが合目的であり得る。
【0034】
これまで述べてきた方法は、複合材料の、可視光に対して透明な材料層と、これに隣接する光吸収性の材料層とから成る原理的に類似の構造により、ディスプレイにも応用されることが可能である。同様に、このことは、本質的にガラス支持部におけるミラーと、ガラスパイプにおける光吸収性の層とで構成され得る「集光型太陽光発電」における構成要素についても当てはまる。ミラーの湾曲に起因して、パイプを通して圧送される液体を吸収によって加熱するガラスパイプへ太陽光が集光される。ミラーの薄い層が気体放電ランプから発出される光のかなりの割合を反射するにもかかわらず、UV範囲において吸収あるいは発出される光は、薄い層をガラス支持部から分離するのに十分である。これに対して、光を吸収するパイプにおいては、比較的わずかな強度により、露光時に光吸収性の層の剥離に至る。
【0035】
冒頭で言及した従来技術による、複合部材の表面における点状のレーザビームの走査時には、分離されるべき材料層の境界面において、レーザ委ビームの箇所で気泡が生じ得る。モジュールの表面全体の露光のために複数分が経過するため、特に露光時間中に生じる気体が漏れ得る場合に、ビームによって局所的に生じる気体圧がガラス層の分離にわずかにのみ貢献する。これとは異なり、本発明では、気体放電ランプのフィールドの場合に該当するように、モジュールの分離されるべき材料層の境界面全体における、1秒未満での気体体積の突然の発生は、層の分離に貢献し得る。このとき、理想的には、モジュールの境界面の100%が1秒未満で同時に露光される。しかし、いくつかの場合には、材料層の分離のために気体圧を用いるために、境界面の約10%の露光で十分である。この場合、境界面全体を処理するために、同一の強度及び露光時間における全体としておよそ10の連続した露光が必要となる。
【0036】
気体放電ランプが、高い電流密度で、例えば1平方センチメートル当たり3000アンペアを超える電流密度を有するフラッシュランプとして動作される場合、発生される光のかなりの割合がUV範囲で発出される。UV光は、合成樹脂における結合を解除するか、又は主にUV範囲において光を吸収するが、例えば銀鏡のような光の可視範囲においては光を吸収しない材料を加熱することができる。
【0037】
これに対して、他の場合には、わずかなUV割合自体が方法にとって望ましくない。例えば可視光がこの波長範囲において透過する合成樹脂を通して入射されるべき場合、及びこれに隣接する材料が可視範囲において光を吸収する場合には、加熱により、境界面における材料層の分離がなされる。UV光は、合成樹脂の損傷を引き起こし得るため、材料の分離は、境界面において行われず、例えば合成樹脂層の中央において行われる。例えば、気体放電ランプのガラス体が構造上セリウムで添加されているため、UV光は発出されない。
【0038】
上述の方法を実行するための装置は、1つ又は複数の分離チャンバと、この分離チャンバ内に配置された外部の光源とを含んでおり、光源は、上述の説明による、1秒よりもわずかな照射時間で複合部材を照射するように形成された少なくとも1つの気体放電ランプである。分離チャンバの外部に位置する設備構成要素及び作業力が、方法の作用、例えば強い光、特にUV光、騒音、気体形成又はその他から保護されているように包囲されている作業範囲は、分離チャンバと呼ばれる。
【0039】
オプションで、別のチャンバ又はチャンバにおける複数のセクションは、対応する動作ユニット及び/又は結合ユニットと共に配置されることが可能であり、これらユニットは、補足的な方法ステップに寄与するものである。これは、複合部材、その構成要素又は動作ユニットの操作、搬送、例えば洗浄のような準備されたステップ、マスキング又は支持であり得る。方法ステップの実行に寄与する装置の構成要素は、まとめて分離装置と呼ばれるべきである。分離装置は、クラスタ設備又はインライン設備として形成されることが可能である。
【0040】
オプションで、装置は、上述の説明による標準化された少なくとも1つの貨物コンテナを含むことができ、この貨物コンテナは、少なくとも1つの貨物コンテナにおいて分離装置を使用及び/又は搬送するのに適している。これは、分離装置が1つ又は複数の貨物コンテナに配置されているとともに方法が少なくとも大部分においてコンテナにおいて実行可能であること、又は分離装置が、場合によっては分解されて1つ又は複数のコンテナに配置されることを含んでおり、その結果、分離装置は、内部で、必要となる箇所へ搬送されることが可能である。このことは、分離装置が動作中にコンテナの外部において少なくとも部分的に配置されていることを含み得る。
【0041】
以下に、本発明を、実施例に基づいて例示的に、かつ、限定することなく詳細に説明する。当業者は、有益であり合理的であると思われる限り、本発明の様々な構成において上述及び後述において実現される特徴を別の実施形態において組み合わせる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明による方法を実行するためのポータブル装置の平面図である。
【
図2】電極チャンバ内において本発明による方法の実行を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1には、40フィートの長さを有するISOコンテナ(110)に配置されたポータブル装置(100)についての一例が示されている。露光プロセス中に光、騒音、ガス又は塵埃が出ることを防止するために、この装置は、それぞれ少なくとも1つのプロセスステップのための約2.0m×1.5mの設置面積を有する様々なセグメント(121~126)と、各セグメント間のゲートとで構成されている。
【0044】
図に示されているように、セグメントがコンテナの中央の長手軸線に配置されれば、メンテナンス作業又は修理作業のために、コンテナからの取外しなしに各セグメントへ良好にアクセス可能である。以下では、個々のセグメントにおけるプロセスの説明において、上述のCIGS薄膜ソーラーモジュールの分解に焦点を当て、本実施例ではモジュールと呼ぶ複合部材の他の構造態様のためのいくつかのセグメントにおけるわずかな差異が生じ得る。
【0045】
第1のセグメント(121)には、水平に、したがって設置面に対して平行に積層されたモジュールを有するカセット1が配置されており、モジュールは、第1のプロセスステップの前にコンテナの外部で、コンテナのカバーに対して上側におけるモジュールの前面ガラス側で満たされる。モジュールは、このカセット1から搬送システム、例えば搬送ベルトを介して第2のセグメント(122)であるマスクチャンバへ搬送され、光、騒音、ガス又は塵埃がセグメント(122)から出るのを防止するために、第1の露光前にそれぞれ第1のセグメントと第2のセグメントの間のゲートと、第2のセグメントと第3のセグメント(123)の間のゲートが閉鎖される。
【0046】
つづいて、セグメント(122)におけるモジュールへのシャドウマスクがモジュールの上方から前面ガラス側へ降下し、このシャドウマスクは、第1の露光時に、縁部封止部までモジュールの全ての範囲を影で覆い、そして、シャドウマスクを通して、気体放電ランプによってシャドウマスクの上方でモジュールを露光する。この第1の露光後、まず、セグメント(122)とセグメント(123)の間のゲートが開放され、分離チャンバであるセグメント(123)へモジュールが転移した後、セグメント(122)とセグメント(123)の間のゲートが再び閉鎖され、最後に、モジュールに二回目の露光がなされ、いまや前面側ガラスの上側全体が露光される。
【0047】
第2の露光後、薄膜モジュールの両ガラスプレートはもはや互いに結合されていない。前面側ガラスは、例えば吸盤を用いて、その下に位置する背面側ガラスから取り外され、つづいて、セグメント(124)の吸収チャンバへおかれ、前面側ガラスにはまだEVAフィルム及び発電層が存在する。これに対して、上に残ったモリブデン層を含む背面側ガラスは、セグメント(124)の反転チャンバへ更に搬送される。このとき、吸収チャンバ及び反転チャンバは、例えば互いに重ねて配置されており、その結果、各ガラスプレートは、設備の互いに分離された範囲で更に加工されることが可能である。
【0048】
吸収チャンバにおける前面側ガラスの第3の露光(露光3a)前に、セグメント(123)の吸収チャンバとセグメント(124)の吸収チャンバの間のゲートが閉鎖される。これに対して、反転チャンバでは背面側ガラスが反転され、その結果、モリブデン層が下方へ向く。露光3a時には、発電層がはがされる。セグメント(124)とセグメント(125)の間のゲートの開放後、前面側ガラスは、まずフィルムチャンバへ搬送され、更なるステップにおいてゲートが閉鎖され、その後、第4の露光(露光4a)を用いてEVA層が前面側ガラスから分離される。これに対して、その下に位置する電極チャンバでは、モリブデン層が、第3の露光(露光3b)を用いて背面側ガラスから取り外される。
【0049】
前面側ガラス及び背面側ガラスは、最終的に、セグメント(126)における異なるカセット2a,2bに分類して入れられる。なぜなら、ガラスは典型的には異なる暑さ及び材料組成を有しているためである。通常、前面ガラスは、安全ガラスであり、背面側ガラスとは異なりわずかな鉄割合に基づきより高い透明性を有している。
【0050】
図2には、セグメント(125)の電極チャンバ(200)において露光(3a)を用いて行われるプロセスと、チャンバの構成要素とが例示的に図示されている。基板の搬送方向あるいはISOコンテナの長手方向は、紙面に対して垂直である。ここで、図には、設備セグメントの簡易化された断面が示されており、重力は、紙面において下方へ向いている。
【0051】
搬送方向における円筒状のフラッシュランプ(220)から成るフィールドは光(210)を生成し、この光は、背面側ガラス(230)を通過し、モリブデン層(240)によって吸収される。空気流250a及び別の空気流250bは、はがされたモリブデン粒子(不図示)を、背面側ガラスと設備壁部(260)の一部の間の間隔で形成された通路に沿って吹き飛ばす。つづいて、粒子は、開口部(260a)を通って捕集容器(260b)へ落下し、この捕集容器内には、粒子の大部分がとどまる。モリブデン粒子の残りの割合、特に非常に小さな質量を有する粒子は、空気流が外部へ導出される前に塵埃フィルタ(260c)によって捕捉される。上述の通路を形成するために、空気流250aあるいは250bが通過し、面(240)全体において空気流を均等に分配するスペーサ(270)が用いられる。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.複合部材の様々な種類の材料層を分離する方法であって、前記複合部材が、40%を超える透過率を有する、可視光について透明な少なくとも1つの材料層と、少なくとも1つの別の材料層とを含んでおり、外部の光源の光が、前記少なくとも1つの透明な材料層を通って前記少なくとも1つの別の材料層へ入射し、そこで少なくとも部分的に吸収される、前記方法において、
前記外部の光源の光が、少なくとも1つの気体放電ランプを用いて提供され、これにより、光を吸収する前記別の材料層が、前記複合部材の表面の少なくとも一部を含む露光フィールドにおいて、1秒よりも短い時間照射されるとともに加熱されること、前記露光フィールドにおける前記照射が、露光時間の一時点において一定の強度を有していること、及び光を吸収する前記別の材料層の加熱の結果、前記複合部材の少なくとも2つの材料層が互いに分離されることを特徴とする方法。
2.前記気体放電ランプから発出されるUV光が、前記透明な材料層を通過して、光を吸収する前記材料層の少なくとも1つの層において結合の解除と、したがって複合システムの互いに接する材料層の分離を引き起こすように、前記少なくとも1つの気体放電ランプが構成され、作動されることを特徴とする上記1.に記載の方法。
3.前記気体放電ランプから発出される可視光が、前記透明な材料層を通過して、光を吸収する前記材料層の加熱と、したがって複合システムの互いに接する材料層の分離を引き起こすように、前記少なくとも1つの気体放電ランプが構成され、作動されることを特徴とする上記1.又は2.に記載の方法。
4.前記透明な材料層に直接又は他の別の材料層の介して接する別の材料層が加熱されることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の方法。
5.光を吸収する前記材料層がケイ素から成ることを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の方法。
6.前記複合部材の照射される面の割合が、表面の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%であることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の方法。
7.2つより多くの材料層の複合部材について、第1の強度での第1の露光時間により、前記複合部材の2つの材料層が互いに分離され、その結果、前記複合部材が分離によって2つの構成要素へ分解され、前記複合部材の少なくとも1つの構成要素の、別の構成要素への別の分解が、少なくとも1つの別の露光時間及び少なくとも1つの別の強度によって行われることを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載の方法。
8.前記複合部材の別の分解において、露光時間及び強度というパラメータのうち少なくとも1つが、それ以前の分解に比べて大きいことを特徴とする上記7.に記載の方法。
9.第1の露光時には、前記複合部材の少なくとも一部がシャドウマスクによって覆われており、別の露光時には、シャドウマスクなしに、露光時間及び強度というパラメータのうち少なくとも1つが、シャドウマスクを伴う前記第1の露光とは異なっていることを特徴とする上記7.に記載の方法。
10.第1の露光がシャドウマスクなしに実行され、別の露光がシャドウマスクを伴って実行されることを特徴とする上記8.に記載の方法。
11.前記複合部材が、光起電モジュール、ディスプレイ、「集光型太陽光発電」の分野の構成要素であることを特徴とする上記1.~10.のいずれか1つに記載の方法。
12.前記第1の露光時に、光起電モジュール又はディスプレイの縁部封止部が露光されることを特徴とする上記9.~11.のいずれか1つに記載の方法。
13.前記複合部材の少なくとも1つの材料層、好ましくはガラス層の、前記複合部材の他の材料層からの分離が、ポータブル装置の少なくとも1つの気体放電ランプを用いて前記複合部材の需要場所において行われ、以下では分離装置とも呼ばれる、前記材料層を分離する装置が、少なくとも1つの標準化された貨物コンテナに少なくとも部分的に配置されていることを特徴とする上記1.~12.のいずれか1つに記載の方法。
14.上記1.~13.のいずれか1つに記載の方法を実行するために形成された装置であって、以下では分離装置と呼ばれる分離チャンバと、該分離チャンバ内に配置された外部の光源とを有する前記装置において、
前記光源が、1秒よりもわずかな照射時間で複合部材を露光フィールドにおいて照射するように形成された気体放電ランプであることを特徴とする装置。
15.当該装置が、前記分離装置を収容するために、少なくとも1つの標準化された貨物コンテナを含んでいることを特徴とする上記14.に記載の装置。
【符号の説明】
【0052】
100 ポータブル装置
110 ISOコンテナの輪郭
121 カセット1
122 マスクチャンバ
123 分離チャンバ
124 吸収チャンバ及び反転チャンバ
125 フィルムチャンバ及び電極チャンバ
126 カセット2a及びカセット2b
200 セグメント(125)における電極チャンバの断面
210 気体放電ランプの光ビーム
220 フィールド円筒状の気体放電ランプ
230 背面側ガラス
240 背面側ガラス(230)におけるモリブデン層
250a 空気流
250b 空気流
260 設備壁部の一部
260a 設備壁部における開口部
260b 捕集容器
260c 塵埃フィルタ
270 スペーサ