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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】二軸揺動角主軸ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B23B 19/00 20060101AFI20240226BHJP
   B23Q 1/70 20060101ALI20240226BHJP
   B23Q 1/44 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
B23B19/00
B23Q1/70
B23Q1/44 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022543734
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 CN2020132125
(87)【国際公開番号】W WO2021232732
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】202010426603.3
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517012970
【氏名又は名称】科徳数控股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】KEDE NUMERICAL CONTROL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.8 Huanghai Street, Economic and Technological Development Zone, Dalian, Liaoning 116600 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 虎
(72)【発明者】
【氏名】侯 延星
(72)【発明者】
【氏名】湯 洪涛
(72)【発明者】
【氏名】張 海波
(72)【発明者】
【氏名】劉 廷輝
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲伝▼思
(72)【発明者】
【氏名】范 春宏
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110052882(CN,A)
【文献】特開2003-048135(JP,A)
【文献】特開昭58-077428(JP,A)
【文献】特開2002-144176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 19/00
B23Q 1/70
B23Q 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A軸揺動軸(1)と、B軸揺動構造(2)と、主軸ヘッド(3)と、直線プッシュプル機構(4)と、ラム(5)と、サドル(6)と、を含み、
前記B軸揺動構造(2)は、B軸回転軸(21)と、第1回転軸(22)と、第2回転軸(23)と、揺動リンク(24)と、B軸プッシュプル機構(25)と、筐体(26)と、を含み、
前記B軸プッシュプル機構(25)は、B軸プッシュプルスライドプレート(251)と、B軸駆動構造(252)と、を含み、
前記B軸プッシュプルスライドプレート(251)は前記ラム(5)の上方に設置され、前記B軸プッシュプルスライドプレート(251)の一端と前記揺動リンク(24)の一端は前記第1回転軸(22)を介して可動的に接続され、前記揺動リンク(24)の他端は前記第2回転軸(23)を介して前記筐体(26)に可動的に接続され、前記B軸駆動構造(252)は前記B軸プッシュプルスライドプレート(251)を駆動して前記ラム(5)に沿って直線運動させ、
前記主軸ヘッド(3)は前記筐体(26)内に位置し、前記主軸ヘッド(3)の軸線は前記B軸回転軸(21)の軸線と垂直に交差し、前記筐体(26)はB軸回転軸(21)を介して前記ラム(5)の前端に可動的に接続され、
前記A軸揺動軸(1)はフランジを介して前記主軸ヘッド(3)に接続され、前記A軸揺動軸(1)の軸線とB軸回転軸(21)の軸線は同一平面上にあることにより、前記主軸ヘッド(3)と前記B軸回転軸(21)の偏心による前記ラム(5)の軸ストロークの増大を回避することができ
前記ラム(5)の下方に前記サドル(6)が設置され、前記サドル(6)に前記直線プッシュプル機構(4)が設けられ、前記直線プッシュプル機構(4)は前記ラム(5)を駆動して前記サドル(6)上で直線運動させ
前記第1回転軸(22)の軸線は前記B軸回転軸(21)と前記第2回転軸(23)との間の位置に設置され、前記筐体(26)が前記B軸回転軸(21)を中心に-35°から+35°を両端とする限界位置を実現する場合、前記B軸回転軸(21)と、第1回転軸(22)と、第2回転軸(23)の軸心で構成される三角形における最小の内角の角度は30°以上であることを特徴とする、二軸揺動角主軸ヘッド。
【請求項2】
前記B軸プッシュプルスライドプレート(251)の一端と前記揺動リンク(24)の一端は前記第1回転軸(22)を介してヒンジ接続され、前記揺動リンク(24)の他端は前記第2回転軸(23)を介して前記筐体(26)にヒンジ接続され、前記筐体(26)はB軸回転軸(21)を介して前記ラム(5)の前端にヒンジ接続されることを特徴とする、請求項1に記載の二軸揺動角主軸ヘッド。
【請求項3】
前記主軸ヘッド(3)は前記A軸揺動軸(1)の軸線に対して-45°から+45°の夾角範囲内の回転を実現し、前記主軸ヘッド(3)はB軸回転軸(21)を中心に-35°から+35°の夾角範囲内の回転を実現することができることを特徴とする、請求項1に記載の二軸揺動角主軸ヘッド。
【請求項4】
前記B軸プッシュプル機構(25)、直線プッシュプル機構(4)、A軸揺動軸(1)はいずれもサーボモータによって駆動されることを特徴とする、請求項1に記載の二軸揺動角主軸ヘッド。
【請求項5】
前記サドル(6)は上下に移動することを特徴とする、請求項1に記載の二軸揺動角主軸ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は旋盤加工技術分野に関し、特に二軸揺動角主軸ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、横型フラップ式5軸マシニングセンタはその高精度、高剛性、高効率、5軸連動等の特徴から航空機や宇宙船、防衛軍需産業等のハイエンド産業の分野でますます応用されており、主に航空機構造部品等の複雑な成形面を有する高精度部品の加工に用いられている。
【0003】
横型フラップ式5軸マシニングセンタは、現在アルミニウム合金及びチタン合金等の材料の複雑な成形面部品を加工するために用いられることが多く、除去率は90%以上に達する。図6に示すように、従来技術の二軸揺動フライスヘッドの剛性、トルク及び精度はいずれも向上させる必要があり、且つ体積が大きすぎて、動的性能が低く、揺動角の範囲は加工要件を完全に満たすことができない。
【0004】
従来のフラップ式フライス揺動ヘッドは3つのグリップの並列構造によって実現され、従来技術のうちドイツDST社製のSprint Z3並列主軸ヘッドは、3ロッド並列運動機構を採用し、3ロッド並列運動機構は3つのサーボモータがそれぞれボールねじを介して駆動し、120°ごとに配置される3つの移動装置で構成されるものであり、ボールねじの駆動で、スライドプレートはそれぞれベース上のリニアガイドレールに沿って移動し、スライドプレートの移動は揺動可能なロッド部材を推進し、さらにユニバーサルヒンジを介して移動プラットフォームを駆動して、移動プラットフォーム上の主軸にZ軸方向の移動と、A軸及びB軸方向の偏向を行わせ、主軸ヘッドは±40°の円錐範囲内で揺動することができる。該従来技術は複雑な空間曲面部品の加工における応用に成功したが、全体の体積が大きく、重量が大きく、その3本の分岐ロッド構造が同じであり、対称に配置されており、メカニズムの運動における強い結合性が生じ、制御の難易度を増加させるなどの欠陥が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記技術的課題を克服する二軸揺動角主軸ヘッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、A軸揺動軸と、B軸揺動構造と、主軸ヘッドと、直線プッシュプル機構と、ラムと、サドルと、を含み、前記B軸揺動構造は、B軸回転軸と、第1回転軸と、第2回転軸と、揺動リンクと、B軸プッシュプル機構と、筐体と、を含み、前記B軸プッシュプル機構は、B軸プッシュプルスライドプレートと、B軸駆動構造と、を含み、前記B軸プッシュプルスライドプレートは前記ラムの上方に設置され、前記B軸プッシュプルスライドプレートの一端と前記揺動リンクの一端は前記第1回転軸を介して可動的に接続され、前記揺動リンクの他端は前記第2回転軸を介して前記筐体に可動的に接続され、前記B軸駆動構造は前記B軸プッシュプルスライドプレートを駆動して前記ラムに沿って直線運動させ、前記主軸ヘッドは前記筐体内に位置し、前記主軸ヘッドの軸線は前記B軸回転軸の軸線と垂直に交差し、前記筐体はB軸回転軸を介して前記ラムの前端に可動的に接続され、前記A軸揺動軸はフランジを介して前記主軸ヘッドに接続され、前記A軸揺動軸の軸線とB軸回転軸の軸線は同一平面上にあり、前記ラムの下方に前記サドルが設置され、前記サドルに前記直線プッシュプル機構が設けられ、前記直線プッシュプル機構は前記ラムを駆動して前記サドル上で直線運動させる、二軸揺動角主軸ヘッドである。
【0007】
さらに、前記B軸プッシュプルスライドプレートの一端と前記揺動リンクの一端は前記第1回転軸を介してヒンジ接続され、前記揺動リンクの他端は前記第2回転軸を介して前記筐体にヒンジ接続され、前記筐体はB軸回転軸を介して前記ラムの前端にヒンジ接続される。
【0008】
さらに、第1回転軸の軸線はB軸回転軸と、第2回転軸との間の位置に設置され、筐体がB軸回転軸を中心に-35°から+35°を両端とする限界位置を実現する場合、B軸回転軸と、第1回転軸と、第2回転軸の軸心で構成される三角形における最小の内角の角度は30°以上である。
【0009】
さらに、前記主軸ヘッドはA軸揺動軸の軸線に対して-45°から+45°の夾角範囲内の回転を実現し、前記主軸ヘッドはB軸回転軸を中心に-35°から+35°の夾角範囲内の回転を実現する。
【0010】
さらに、前記B軸プッシュプル機構、直線プッシュプル機構、A軸揺動軸にいずれも駆動モータが接続され、前記駆動モータはサーボモータである。
【0011】
さらに、前記サドルは上下に移動する。
【発明の効果】
【0012】
本発明はフランジを介して主軸ヘッドに接続されるA軸揺動軸を用い、主軸ヘッドのX軸方向における揺動を実現する。第1回転軸、第2回転軸、B軸回転軸、揺動リンク及び筐体の組み合わせにより、B軸プッシュプル機構のプッシュプル作用で、主軸ヘッドがY軸方向に沿って揺動することを実現する。直線プッシュプル機構の作用で、ラムとサドルとの間の直線送り運動を実現し、主軸ヘッドがZ軸方向に沿って伸縮することを実現する。これらにより主軸ヘッドの自由度による可動範囲を向上させ、主軸ヘッドの剛性、トルク及び精度を強化し、主軸ヘッド装置の体積及び重量を減少させる。
【0013】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は本発明の幾つかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本発明の二軸揺動角主軸ヘッドの全体構造概略図である。
図2図2は本発明の二軸揺動角主軸ヘッドの側面図である。
図3図3は本発明のサドル部分の構造概略図である。
図4図4は本発明のA軸揺動軸線とB軸回転軸線の同一平面の構造概略図である。
図5図5は本発明の筐体がB軸回転軸を中心に-35°から+35°を両端とする限界位置を実現する場合の構造概略図である。
図6図6は従来技術における二軸揺動角フライスヘッドの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確、完全に説明するが、明らかな点として、説明される実施例は本発明の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく取得した全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0016】
本発明は、A軸揺動軸1と、B軸揺動構造2と、主軸ヘッド3と、直線プッシュプル機構4と、ラム5と、サドル6と、を含む二軸揺動角主軸ヘッドであって、前記B軸揺動構造2は、B軸回転軸21と、第1回転軸22と、第2回転軸23と、揺動リンク24と、B軸プッシュプル機構25と、筐体26と、を含み、B軸プッシュプル機構25は、B軸プッシュプルスライドプレート251と、B軸駆動構造252と、を含み、B軸プッシュプルスライドプレート251は前記ラム5の上方に設置され、B軸プッシュプルスライドプレート251の一端と揺動リンク24の一端は第1回転軸22を介して可動的に接続され、揺動リンク24の他端は第2回転軸23を介して筐体26に可動的に接続され、B軸駆動構造252はB軸プッシュプルスライドプレート251を駆動してラム5に沿って直線運動させる。主軸ヘッド3は筐体26内に位置し、主軸ヘッド3の軸線はB軸回転軸21の軸線と垂直に交差する。筐体26はB軸回転軸21を介してラム5の前端に可動接続される。A軸揺動軸1はフランジを介して主軸ヘッド3に接続され、A軸揺動軸1の軸線とB軸回転軸21の軸線は同一平面上にある。ラム5の下方にサドル6が設置され、サドル6に直線プッシュプル機構4が設けられ、直線プッシュプル機構4はラム5を駆動してサドル6上で直線運動させる。
【0017】
具体的には、図1に示すように、B軸回転軸21は装置の水平上向きに設置され、B軸回転軸21、第1回転軸22、第2回転軸23、揺動リンク24、B軸プッシュプル機構25、筐体26はB軸揺動構造2を構成し、ここで、B軸プッシュプル機構25はB軸プッシュプルスライドプレート251及びB軸駆動構造252で構成され、第1回転軸22、第2回転軸23、B軸回転軸21及び揺動リンク24は共にクランクリンク機構を構成し、筐体26はB軸回転軸21を介してラム5に可動的に接続され、B軸プッシュプルスライド板251はB軸駆動構造252に設置され、B軸プッシュプルスライドプレート251はB軸駆動構造252の駆動作用でラム5に沿って直線運動することができ、それにより第1回転軸22、第2回転軸23、B軸回転軸21を駆動して同時に回転させ、さらに筐体及びその内部に設置された主軸ヘッド3を駆動して上下に揺動運動させる。リンク機構はB軸の回転を実現する過程において、軌跡を対称的に制御して、主軸ヘッドとB軸回転軸21の偏心によりラム5の軸ストロークが増大し、さらにラムのオーバーハングが増加して、全体の剛性の低下が生じるという課題を回避する。
【0018】
図1に示すように、A軸揺動軸1は装置の縦方向に設置され、A軸揺動軸1はフランジを介して主軸ヘッド3に接続され、A軸揺動軸1が回転すると主軸ヘッド3を駆動して左右に揺動運動させることができる。
【0019】
図3に示すように、直線プッシュプル機構4の作用で、ラム5がサドル6に沿って直線送り運動を行うことを実現する。
【0020】
主軸ヘッド3の軸線がB軸回転軸21の軸線と垂直に交差しない場合、B軸回転軸21が主軸ヘッド3の揺動を実現する時に非対称になり、夾角が小さい辺の回転速度が速く、夾角が大きい辺の回転速度が遅くなり、両辺が同じ加工パラメータに達すると、ラムをZ軸方向に沿って伸縮させる必要があるため、図4に示すように、本実施例においては、主軸ヘッド3の軸線がB軸回転軸21の軸線と垂直に交差するように設置される。本実施例の設置を採用することで、B軸回転軸21が主軸ヘッド3を駆動して揺動させる時に、構造が対称で、等速で回転することを保証することができ、それにより主軸ヘッド3が回転する時に、ラムがZ軸に沿って伸縮する量が常に一致することを保証し、装置全体のレイアウトの合理性を向上させ、主軸ヘッド3の剛性及び精度を強化し、空間を節約する。
【0021】
さらに、B軸プッシュプルスライドプレート251の一端と揺動リンク24の一端は第1回転軸22を介してヒンジ接続され、揺動リンク24の他端は第2回転軸23を介して筐体26にヒンジ接続され、筐体26はB軸回転軸21を介してラム5の前端にヒンジ接続される。
【0022】
具体的には、図2に示すように、第1回転軸22、第2回転軸23、B軸回転軸21及び揺動リンク24で構成されたクランクリンク機構がヒンジ接続構造を採用しており、せん断力及び軸力に効果的に抵抗することができ、揺動リンク24が変形しにくくなり、軸受の摩耗を低減し、B軸揺動構造2の耐用年数を延ばす。
【0023】
さらに、第1回転軸22の軸線はB軸回転軸21と、第2回転軸23との間の位置に設置され、筐体6がB軸回転軸21を中心に-35°から+35°を両端とする限界位置を実現する場合、B軸回転軸21と、第1回転軸22と、第2回転軸23の軸心で構成される三角形における最小の内角の角度は30°以上である。
【0024】
具体的には、図5に示すように、B軸プッシュプルスライドプレート251が移動する距離は300mm~350mmの間であり、すなわち筐体6がB軸回転軸21を中心に-35°から+35°を両端とする限界位置を実現することができる。B軸回転軸21と、第1回転軸22と、第2回転軸23の軸心は三角形の3つの頂点を構成することができ、三角形の内角における最小の鋭角は30度以上である。第2回転軸23はB軸駆動構造252のプッシュプル方向の垂直方向に投影し、Oヒンジ点からOヒンジ点までの距離Aは定数であり、構造空間が許容される場合、A値が大きいほど好ましい。Oヒンジ点からOヒンジ点までの距離はB軸の回転過程において変数であり、2つの限界位置の距離はそれぞれ変数B及び変数Cである。限界位置であるか又は中間過程位置であるかは問わず、O、O、Oの3点は三角形を構成し、B軸駆動構造252のプッシュプル方向の垂直方向の投影において、Oは必ずOとOとの間に配置されて共線状態に達することを回避する。本実施例の該三角形における内角の最小の角度は30度以上である。さらにいくつかの機械構造におけるリンクの等価長さを制約して、合理的な範囲内に制御する。
【0025】
さらに、主軸ヘッド3はA軸揺動軸1の軸線に対して-45°から+45°の夾角範囲内の回転を実現し、主軸ヘッド3はB軸回転軸21を中心に-35°から+35°の夾角範囲内の回転を実現することができる。
【0026】
具体的には、業界における典型的なAB軸フライスヘッドの揺動角範囲はその大部分が-30°から+30°の間であり、加工要件を完全に満たすことができない。図1に示すように、主軸ヘッド3の外側に固定するための主軸ヘッド筐体を設置することができ、A軸揺動軸1とB軸回転軸はそれぞれ主軸ヘッド筐体に接続され、主軸ヘッド筐体と筐体26はA軸揺動軸1の軸方向に沿って接続され、筐体26に主軸ヘッド筐体を取り付ける開口幅を合理的に設定することによって、A軸揺動軸1が主軸ヘッドをA軸揺動軸1の軸線に対して駆動することを制限でき、A軸揺動軸の-45°~+45°の夾角範囲内の回転を実現する。B軸回転軸21に対応して主軸ヘッド3を駆動し揺動させる角度は、第1回転軸22、第2回転軸23、B軸回転軸21及び揺動リンク24が共にクランクリンク機構を構成することによって決定されるものであり、B軸プッシュプル機構25がクランクリンク機構を駆動して直線運動させる場合、B軸プッシュプルスライドプレート251が移動する距離は300mm~350mmの間であり、すなわちB軸揺動筐体を、B軸回転軸を中心に-35°~+35°の夾角範囲内で回転させることができる。この設計によりフライス加工の範囲を拡大すると同時に占有空間を節約することができる。
【0027】
さらに、B軸プッシュプル機構25、直線プッシュプル機構4、A軸揺動軸1にいずれも駆動モータが接続され、駆動モータはサーボモータである。
【0028】
具体的には、図1図3に示すように、B軸プッシュプル機構25、直線プッシュプル機構4、A軸揺動軸1はいずれもサーボモータで駆動制御され、サーボモータは軸受カップリングを介して、B軸プッシュプル機構25、直線プッシュプル機構4の精密ボールねじに接続され、軸方向トルクを伝達し、それによりB軸プッシュプル機構25、直線プッシュプル機構4に直線運動の推力を伝動させる。サーボモータを採用して位置、速度及びトルクの閉ループ制御を高精度で実現することができ、回転速度は2000~3000回転に達し、同時に、過負荷特性が高く、低速運転が安定し、加減速の動きへの反応時間が短く、発熱及び騒音が少ない等の利点を有し、該発明の応用ニーズに適する。
【0029】
図2に示すように、サドル6の直線プッシュプル機構4に接続される端面に、直線プッシュプル機構4を接続するためのスライドレール接続構造7、リードスクリュー接続構造8を有し、且つ動力装置に接続されて上下の移動を実現し、主軸ヘッドの可動範囲及び機能を大いに発揮する。
【0030】
最後に説明すべきことは、以上の各実施例は本発明の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。前記各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者は以下のことを理解すべきである。それは依然として前記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はそのうち一部又は全部の技術的特徴を等価置換することができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させるものではない。
【符号の説明】
【0031】
1 A軸揺動軸
2 B軸揺動構造
3 主軸ヘッド
4 直線プッシュプル機構
5 ラム
6 サドル
7 スライドレール接続構造
8 リードスクリュー接続構造
21 B軸回転軸
22 第1回転軸
23 第2回転軸
24 揺動リンク
25 B軸プッシュプル機構
26 筐体
251 B軸プッシュプルスライドプレート
252 B軸駆動構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6