(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】高性能外筒形スプリングピン
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
G01R1/067 C
(21)【出願番号】P 2022565525
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 KR2020010275
(87)【国際公開番号】W WO2021137379
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2019-0177228
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522260609
【氏名又は名称】チョウ,ジュンドン
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ジュンドン
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-026772(JP,A)
【文献】特表2008-516398(JP,A)
【文献】国際公開第2012/093479(WO,A1)
【文献】特表2016-507751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06-1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4方向から取り囲むことができる側面を有する圧縮スプリングと、
外部との接触のための上部プローブ部、及び前記上部プローブ部からそれぞれ延長されるが、前記圧縮スプリング
の側面
を互いに対向する2つの
方向からそれぞれ取り囲む2つの上部プローブ側壁部を一体に含む一体型上部プローブと、
外部との接触のための下部プローブ部、及び前記下部プローブ部からそれぞれ延長されるが、前記圧縮スプリング
の側面
を、前記上部プローブ側壁部が取り囲む
方向とは異なりつつ互いに対向する2つの方向からそれぞれ取り囲む2つの下部プローブ側壁部を一体に含む一体型下部プローブと、を備え、
前記上部プローブ側壁部及び前記下部プローブ側壁部は、
長さ方向の両端に外力が加わるとき、互いに接触した状態で長さ方向に互いにスライディング可能であ
り、
前記上部プローブ側壁部のそれぞれは、
前記上部プローブ部から長さ方向に延長され、前記圧縮スプリングの側面を取り囲む平面を構成する直線型プレートと、
前記直線型プレートから長さ方向に延長される板形状の加圧ヘッドと、を含んで構成され、
前記下部プローブ側壁部のそれぞれは、
前記下部プローブ部から長さ方向に延長され、前記圧縮スプリングの側面を取り囲む平面を構成する直線型プレートと、
前記直線型プレートから長さ方向に延長される板形状の加圧ヘッドと、を含んで構成される、
前記上部プローブ側壁部の加圧ヘッドの内側面は、前記下部プローブ側壁部の直線型プレートの側面を加圧した状態でスライディングされ、
前記下部プローブ側壁部の加圧ヘッドの内側面は、前記上部プローブ側壁部の直線型プレートの側面を加圧した状態でスライディングされ、
前記上部プローブ側壁部及び前記下部プローブ側壁部における前記加圧ヘッドは、前記直線型プレートよりも幅が大きい、
外筒形スプリングピン。
【請求項2】
前記上部プローブ部と2つの上部プローブ側壁部は、U字形状を有するように構成され、
前記下部プローブ部と2つの下部プローブ側壁部は、U字形状を有するように構成される、
請求項1に記載の外筒形スプリングピン。
【請求項3】
前記上部プローブ側壁部のそれぞれは、
前記
直線型プレートの側面から突出されるストップ突起をさらに含み
、
前記下部プローブ側壁部のそれぞれは、
前記
直線型プレートの側面から突出されるストップ突起をさらに含
む、
請求項2に記載の外筒形スプリングピン。
【請求項4】
前記上部プローブ側壁部において、前記加圧ヘッドの幅は、前記
直線型プレートの幅よりも広く突出され、前記下部プローブ側壁部の加圧ヘッドの下方離脱を限定し、
前記下部プローブ側壁部において、前記加圧ヘッドの幅は、前記
直線型プレートの幅よりも広く突出され、前記上部プローブ側壁部の加圧ヘッドの上方離脱を限定する、
請求項
1に記載の外筒形スプリングピン。
【請求項5】
前記2つの上部プローブ側壁部及び前記2つの下部プローブ側壁部は、四角の筒形状を構成することで前記圧縮スプリングの外筒となりながら、相互スライディング可能な電気的通路となる、
請求項1に記載の外筒形スプリングピン。
【請求項6】
外筒形スプリングピンの製造方法であって、
パンチング及びベンディングを含むプログレッシブスタンピングで金属板状材を加工して一体型上部プローブ及び一体型下部プローブを製造するスタンピング段階と、
圧縮スプリングを中心に置いて前記一体型上部プローブ及び前記一体型下部プローブを組み立てる組立段階と、を備え、
前記スタンピング段階において、
前記一体型上部プローブを製造するとき、外部との接触のための上部プローブ部を中心に両方向に延長される2つの上部プローブ側壁部としてU字形状を有するようにベンディングする過程と、
前記一体型下部プローブを製造するとき、外部との接触のための下部プローブ部を中心に両方向に延長される2つの下部プローブ側壁部としてU字形状を有するようにベンディングする過程と、を含
み、
前記上部プローブ側壁部のそれぞれは、
前記上部プローブ部から長さ方向に延長され、前記圧縮スプリングの側面を取り囲む平面を構成する直線型プレートと、
前記直線型プレートから長さ方向に延長される板形状の加圧ヘッドと、を含んで構成され、
前記下部プローブ側壁部のそれぞれは、
前記下部プローブ部から長さ方向に延長され、前記圧縮スプリングの側面を取り囲む平面を構成する直線型プレートと、
前記直線型プレートから長さ方向に延長される板形状の加圧ヘッドと、を含んで構成される、
外筒形スプリングピンの製造方法。
【請求項7】
前記組立段階では、前記上部プローブ側壁部と前記下部プローブ側壁部とを互いに入れ違うようにした状態で、前記上部プローブ側壁部の加圧ヘッドが前記下部プローブ側壁部の加圧ヘッドを乗り越えるようにするか、又は前記下部プローブ側壁部の加圧ヘッドが前記上部プローブ側壁部の加圧ヘッドを乗り越えるようにして組み立て、前記組立段階の前に、前記一体型上部プローブ及び前記一体型下部プローブをめっきする
めっき段階と、をさらに備える、
請求項
6に記載の外筒形スプリングピンの製造方法。
【請求項8】
複数の請求項1に記載の外筒形スプリングピンと、
第1平面と前記第1平面に対向する第2平面との間を貫通する貫通孔をアレイとして設ける絶縁性本体と、を備え、
前記貫通孔毎に前記外筒形ス
プリングピンが載置される、
テストソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高性能を実現するための外筒形スプリングピンに関する。
【背景技術】
【0002】
スプリングピン(別名、「ポゴピン」という)は、大きく2つの形態に分類できるが、スプリングの外側に外筒を設け、このような外筒を経由して信号及び電流などが伝達されるスプリングピン(以下、「外筒形スプリングピン」と称する)と、スプリングの外側に外筒を設けずにスプリングの内側に設ける導電性ブリッジなどを用いて信号及び電流などが伝達されるスプリングピンがある。
【0003】
図1は、代表的かつ伝統的な外筒形スプリングピンの一例を示す図である。
【0004】
図1に示すように、スプリングピンは、上部プローブ1及び下部プローブ2、並びに上部プローブ1及び下部プローブ2に弾性力を加えるスプリング3と、上部プローブ1の下端、下部プローブ2の上端及びスプリング3を収容する円筒形本体4(又は「外筒」ともいう)と、を備える。
【0005】
上部プローブ1及び下部プローブ2は、その一端が円筒形本体4に掛かって円筒形本体4から外部への離脱が防止され、スプリング3によって弾性力を受ける。
【0006】
ところで、スプリング4は、弾性力付加という物理特性に合わせられたものであり、電気的インピーダンスは非常に高いため、スプリング4を通る電気的経路は大きな意味を有しない。
【0007】
したがって、電気的経路は、円、形本体4を通らなければならないが、例えば半導体素子テストなどの目的のため使用されるとき、上部プローブ1及び下部プローブ2の両端が加圧されると、上部プローブ1及び下部プローブ2は、わずかに中心を失いながら円筒形本体4の開口部にそれぞれ接触する。
【0008】
電気信号は、上部プローブ1から円筒形本体4に伝達され、そして円筒形本体4から再び下部プローブ2に伝達されるものとして、その経路上に上部プローブ1と円筒形本体4とが接触する部分、円筒形本体4と下部プローブ2とが接触する部分で信号及び電流の損失が主に発生される。
【0009】
ところで、円筒形本体4と上部プローブ1、並びに円筒形本体4と下部プローブ2は互いに相対的に運動可能でなければならず、アプリケーションによっては10万回以上の上下移動が必要となるため、上部プローブ1又は下部プローブ2と円筒形本体4の開口部は、一定の距離間隔(遊び)を維持する必要がある。
【0010】
しかしながら、このような間隔(遊び)は、電気信号の円滑な伝達のためにこれらが互いに安定して接触されなければならない要件とは互いに背馳される。
【0011】
仮に、スプリングピンでの電気信号の毀損を最小限に抑えるために、円筒形本体4の上側開口部の内径面41と上部プローブ1の上側外径面11との間の間隔と、円筒形本体4の下側開口部の内径面42と下部プローブ2の下側外径面12との間の間隔とが小さすぎたり、なかったりすれば、プローブの円滑な移動を妨げるようになり、仮に間隔が大きすぎれば電気的経路を構成する、上記した接触にエラー又は高いインピーダンスを発生させる確率が増加する。
【0012】
このような事情により、従来の円筒形スプリングピンでは厳しい公差管理を求められる問題があり、厳しい公差管理は高い製造コストにつながる。
【0013】
なお、このような努力と高い製造コストにもかかわらず、上部プローブ1及び下部プローブ2と円筒形本体4との電気的接触では接触面積がそれほど大きくないため、高性能が要求されるアプリケーションでは満足できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、製造コストをより節減することができる外筒形スプリングピン、及びこれを用いたテストソケットと外筒形スプリングピンの製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明は、電気的特性をより向上させることができる外筒形スプリングピン、及びこれを用いたテストソケットと外筒形スプリングピンの製造方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態による外筒形スプリングピンは、圧縮スプリング30と、外部との接触のための上部プローブ部11、及び前記上部プローブ部11からそれぞれ延長されるものの、前記圧縮スプリング30の4つの側面のうち、互いに対向する2つの側面を取り囲む2つの上部プローブ側壁部12を一体に含む一体型上部プローブ10と、外部との接触のための下部プローブ部21、及び前記下部プローブ部21からそれぞれ延長されるものの、前記圧縮スプリング30の4つの側面のうち、前記上部プローブ側壁部12が取り囲む2つの側面の間の他の2つの側面を取り囲む2つの下部プローブ側壁部22を一体に含む一体型下部プローブ20と、を備え、前記上部プローブ側壁部12及び前記下部プローブ側壁部22は、互いに接触した状態で外力が加わるとき、互いにスライディング可能であることを特徴とする。
【0017】
上記した外筒形スプリングピンにおいて、前記上部プローブ部11と2つの上部プローブ側壁部12は、U字形状を有するように構成され、前記下部プローブ部21と2つの下部プローブ側壁部22は、U字形状を有するように構成される。
【0018】
上記した外筒形スプリングピンにおいて、前記上部プローブ側壁部12のそれぞれは、前記上部プローブ11から長さ方向に延長される一字型プレート122と、一字型プレート122から長さ方向に延長される板形状の加圧ヘッド121と、を備え、 前記下部プローブ側壁部22のそれぞれは、前記下部プローブ11から長さ方向に延長される一字型プレート222と、一字型プレート222から長さ方向に延長されるプレート形状の加圧ヘッド221と、を備える。
【0019】
上記した外筒形スプリングピンにおいて、前記上部プローブ側壁部12のそれぞれは、前記一字型プレート122の側面から突出するストップ突起123と、をさらに備え、外筒形スプリングピンが収納される絶縁性本体40の段差部によって前記上部プローブ10の上方移動を限定し、前記下部プローブ側壁部22のそれぞれは、前記一字型プレート222の側面から突出するストップ突起223と、をさらに備え、外筒形スプリングピンが収納される絶縁性本体40の段差部によって前記下部プローブ20の下方移動を限定することができる。
【0020】
上記した外筒形スプリングピンにおいて、前記上部プローブ側壁部12の加圧ヘッド121は、前記下部プローブ側壁部22の一字型プレート222の側面S2を加圧した状態でスライディングされ、前記下部プローブ側壁部22の加圧ヘッド221は、前記上部プローブ側壁部12の一字型プレート122の側面S1を加圧した状態でスライディングされる。
【0021】
上記した外筒形スプリングピンにおいて、前記上部プローブ側壁部12における前記加圧ヘッド121の幅は、前記一字型プレート122の幅よりも広く突出し、前記下部プローブ側壁部2の加圧ヘッド221の下方離脱を限定し、前記下部プローブ側壁部22における前記加圧ヘッド221の幅は前記字型プレート222の幅より広く突出し、前記上部プローブ側壁部12の加圧ヘッド121の上方離脱を限定することができる。
【0022】
上記した外筒形スプリングピンにおいて、前記圧縮スプリング30は、線形スプリング鋼を円筒形状でコイリングしたものであり、前記一体型上部プローブ10及び一体型下部プローブ20は、金属板状材をパンチング及びベンディングを含むプログレッシブスタンピングで加工したものであってもよい。
【0023】
上記した外筒形スプリングピンにおいて、前記2つの上部プローブ側壁部12及び前記2つの下部プローブ側壁部22とは、4角の筒形状を構成することによって前記圧縮スプリング30の外筒となりながら、互いにスライディング可能な電気的通路となり得る。
【0024】
外筒形スプリングピンの製造方法であって、パンチング及びベンディングを含むプログレッシブスタンピングで金属板状材を加工して一体型上部プローブ10及び一体型下部プローブ20を製造するスタンピング段階と、圧縮スプリング30を中央に置いて前記一体型上部プローブ10及び一体型下部プローブ20を組み立てる組立段階と、を備え、前記スタンピング段階において前記一体型上部プローブを製造するとき、外部との接触のための上部プローブ部11を中心に両方向に延長される2つの上部プローブ側壁部12としてU字形状を有するようにベンディングする過程、及び前記一体型下部プローブ20を製造するとき、外部と接触のための下部プローブ部21を中心に両方向に延長する2つの下部プローブ側壁部22としてU字形状を有するようにベンディングする過程を含むことを特徴とする。
【0025】
上記した外筒形スプリングピンの製造方法であって、前記組立段階では、前記上部プローブ側壁部12と前記下部プローブ側壁部22とを互いに入れ違うようにした状態で、前記上部プローブ側壁部12の加圧ヘッド121が前記下部プローブ側壁部22の加圧ヘッド221を乗り越えるようにするか、又は前記下部プローブ側壁部22の加圧ヘッド221が前記上部プローブ側壁部12の加圧ヘッド121を乗り越えるようにして組み立て、前記組立段階の前に、前記一体型上部プローブ10及び前記一体型下部プローブ20をめっきするめっき段階と、をさらに備える。
【0026】
本発明の一実施形態によるテストソケットは、上記した複数の外筒形スプリングピンと、第1平面と前記第1平面に対向する第2平面との間を貫通する貫通孔をアレイとして設ける絶縁性本体と、を備え、前記貫通孔毎に前記外筒形スピリングピンが載置されることを特徴とする
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、外筒形でありながらより多くの接触面積を有することになるため、電気的特性を大幅に向上させる効果がある。
【0028】
なお、本発明によれば、従来の外筒形スプリングピンのように、外筒及び上部プローブ、並びに外筒及び下部プローブが互いに分離されていた構造において必要とされた厳しい公差管理がもはや必要なく、外筒形スプリングピンの製造コストを大幅に節減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】代表的かつ伝統的な外筒形スプリングピンの一例を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による外筒形スプリングピンの外観斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による外筒形スプリングピンを分解して示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による外筒形スプリングピンにおいて、上部プローブ部及び下部プローブ部を展開して示す展開図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による外筒形スプリングピンに対して、長さ方向の両端に外力が加わって長さが短縮されたときの外観斜視図である。
【
図6】(a)は、本発明の第2実施形態による外筒形スプリングピンを示す斜視図であり、(b)は、本発明の第2実施形態による外筒形スプリングピンの部分側面図である。
【
図7a】本発明の第2実施形態による外筒形スプリングピンを絶縁性本体に収納した状態を示す断面図である。
【
図7b】本発明の第2実施形態による外筒形スプリングピンを絶縁性本体に収納した状態においてA-Aを基準とした断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、
図2~
図5を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
【0031】
図2は、本発明の第1実施形態による外筒形スプリングピンの外観斜視図であり、
図3は本発明の第1実施形態による外筒形スプリングピンを分解して示す分解斜視図であり、
図4は本発明の第1実施形態による外筒形スプリングピンにおいて上部プローブ部及び下部プローブ部を展開して示す展開図である。
図5は、本発明の第1実施形態による外筒形スプリングピンに対して長さ方向の両端に外力が加わって長さが短縮されたときの外観斜視図である。
【0032】
本発明の第1実施形態による外筒形スプリングピンは、長さ方向の伸縮が可能でありながら、電気的接続が必要なところに用いられるが、代表的には半導体素子のテストソケット及び半導体素子の装着用ソケットなどに用いられる。
【0033】
本発明の第1実施形態による外筒形スプリングピンは、一体型上部プローブ10、一体型下部プローブ20及び圧縮スプリング30を含んで構成される。
【0034】
圧縮スプリング30は、一体型上部プローブ10及び一体型下部プローブ20に対してスプリング力を付与するが、圧縮スプリング30の一端は、一体型上部プローブ10の上部プローブ部11の内側面に支持され、圧縮スプリング30の他端は、一体型下部プローブ20の下部プローブ部21の内側面に支持され、両者を圧縮させるときに圧縮に抵抗するスプリング力を与える。
【0035】
一体型上部プローブ10は、外部との接触のための上部プローブ部11、及び上部プローブ部11から両側にそれぞれ延長延されるが、圧縮スプリング30の4側面のうち、互いに対向する2つの側面を取り囲む2つの上部プローブ側壁部12を一体に含む。
【0036】
そして、一体型下部プローブ20は、外部との接触のための下部プローブ部21、及び下部プローブ部21からそれぞれ延長されるが、圧縮スプリング30の4側面のうち、前記上部プローブ側壁部12が取り囲む2つの側面の間の他の2つの側面を取り囲む2つの下部プローブ側壁部22を一体に含む。
【0037】
上部プローブ部11及び下部プローブ部21は、外部、例えばPCBの導電性パッド、半導体素子の端子などと接触するためのものであり、クラウン、三角錐、又は円錐などを有することができ、このようなクラウン、三角錐又は円錐などは単数でもあり得るが、複数でもあり得る。なお、このようなクラウン、三角錐又は円錐がなく、平らな形状でもあり得る。
【0038】
上部プローブ部11及び下部プローブ部21は、スプリングピンの外部への電気的接触のためのいかなる形状であってもよく、主に接触されるべき外部構成要素の形態又は特性に合わせて選択されてもよい。
【0039】
一体型上部プローブ10は、上部プローブ部11を中心に両側に延長される2つの上部プローブ側壁部12を有し、2つの上部プローブ側壁部12は互いに対向しており、互いに同じ形状を有し得る。スプリングピンの組立後、2つの上部プローブ側壁部12は、上部プローブ部11の基底部に対して約90°程度に傾いた角度を有する。しかしながら、組立てる前の2つの上部プローブ側壁部12の自由端の間の間隔は、組立後に比べてより近くなるように製造されることにより、組立後2つの自由端の間に介在する下部プローブ側壁部22に対して弾性接触されるようにする。
【0040】
一体型下部プローブ20は、下部プローブ部21を中心に両側に延長される2つの下部プローブ側壁部22を有し、2つの下部プローブ側壁部12は互いに対向しており、互いに同じ形状を有し得る。スプリングピンの組立後、2つの下部プローブ側壁部22は、下部プローブ部21の基底部に対して約90°程度に傾いた角度を有する。しかしながら、組立てる前の2つの下部プローブ側壁部22の自由端の間の間隔は、組立後に比べてより近くなるように製造されることにより、組立後2つの自由端の間に介在する上部プローブ側壁部12に対して弾性接触されるようにする。
【0041】
2つの上部プローブ側壁部12及び2つの下部プローブ側壁部22は、互いに相対側の開放側面を満たしてやるために交互に結合している。
【0042】
2つの上部プローブ側壁部12及び2つの下部プローブ側壁部22は、圧縮スプリング30の側面を4方向から取り囲む形態であるが、圧縮スプリング30の側面全体を取り囲むよりは、部分的に圧縮スプリングを露出しながら取り囲んでいる。スプリングピンが外力を受けない状態から外力を受けてスプリングピンの長さが短くなるほど、開放面積に対比した取り囲む面積の割合が増加する。
【0043】
一体型上部プローブ10は大略U字形状を有するが、上部プローブ部11と2つの上部プローブ側壁部12は、U字形状を有するように構成される。一体型下部プローブ20も大略U字形状を有するが、下部プローブ部21及び2つの下部プローブ側壁部22は、U字形状を有するように構成される。
【0044】
上部プローブ側壁部12のそれぞれは、上部プローブ部11から長さ方向に延長される一字型プレート122、及び一字型プレート122から長さ方向に延長される板形状の加圧ヘッド121を含んで構成される。一字型(直線型)プレート122は上部プローブ部11から延長されるが、上部プローブ部11の折り曲げられた場所から長さ方向(すなわち、垂直方向)に長く延長される。一字型プレート122のそれぞれは、圧縮スプリング30の一側面を取り囲む主平面を構成すると同時に、一字型プレート122の側面S1は、下部プローブ側壁部22の加圧ヘッド221がスライディングすることのできる滑走面を提供し、滑走面を提供するために、一字型プレート122の側面は直線であることが好ましい。
【0045】
下部プローブ側壁部22のそれぞれは、下部プローブ部21から長さ方向に延長される一字型プレート222、及び一字型プレート222から長さ方向に延長される板形状の加圧ヘッド221を含んで構成される。一字型(直線型)プレート222は下部プローブ21から延長されるが、下部プローブ21の折り曲げられた場所から長さ方向(すなわち、垂直方向)に長く延長される。一字型プレート222のそれぞれは、圧縮スプリング30の一側面を取り囲む主平面を構成すると同時に、一字型プレート222の側面S2は、上部プローブ側壁部12の加圧ヘッド221がスライディングすることのできる滑走面を提供し、滑走面を提供するために、一字型プレート222の側面は直線であることが好ましい。
【0046】
上部プローブ側壁部12及び下部プローブ側壁部22は、互いに接触した状態で外力が加わるとき、互いにスライディング可能である。スプリングピンの両端に外力が加わるとき、従来の外筒に対応される上部プローブ側壁部12及び下部プローブ側壁部22は相対的にスライディング可能であり、電気的通路の役割を行う。 2つの上部プローブ側壁部12及び2つの下部プローブ側壁部22は、四角の筒形状を構成することで圧縮スプリング30の外筒となりながら、相互スライディング可能な電気的通路となる。
【0047】
スプリングピンの両端に外力が加わるとき、スプリングピンは長さ方向に伸縮可能であるが、上部プローブ側壁部12の加圧ヘッド121は、下部プローブ側壁部22の一字型プレート222の側面S2を加圧した状態でスライディングされ、下部プローブ側壁部22の加圧ヘッド221は、上部プローブ側壁部12の一字型プレート122の側面S1を加圧した状態でスライディングされる。
【0048】
上部プローブ側壁部12において、一字型プレート122と加圧ヘッド121との間には段差を形成するものの、加圧ヘッド221の幅は一字型プレートの幅より広く突出され、これによって下部プローブ側壁部22の加圧ヘッド221の下方離脱を限定する。そして下部プローブ側壁部22において、一字型プレート222と加圧ヘッド221との間には段差を形成するものの、加圧ヘッド221の幅は、一字型プレート222の幅よりも広く突出され、これにより上部プローブ側壁部12の加圧ヘッド121の上方離脱を限定する。
【0049】
製造過程において、圧縮スプリング30を間に置いて一体型上部プローブ10と一体型下部プローブ20とを結合してからは、上記した構造によって一体型上部プローブ10及び一体型下部プローブ20の自然な分離が防止されるため、両者の組立てに後続する製造工程をより容易にする利点がある。
【0050】
上部プローブ側壁部12のそれぞれは、一字型プレート122の側面から突出されるストップ突起123をさらに含み、下部プローブ側壁部22のそれぞれは、前記一字型プレート222の側面から突出されるストップ突起223をさらに含む。これらに対しては後述する。
【0051】
電気信号及び電流は、外部に接触される上部プローブ部11と下部プローブ部21との間で伝達されるが、このとき2つの上部プローブ側壁部12及び2つの下部プローブ側壁部22を介して伝達される。
【0052】
2つ上部プローブ側壁部12と2つの下部プローブ側壁部22との間の接触面を見ると、総計8つの接触面を有することが分かる。一方の上部プローブ側壁部12の一字型プレート122の両側面S1には、2つの下部プローブ側壁部22の加圧ヘッド221がそれぞれ接触する面を構成しており、同一の上部プローブ側壁部部12の加圧ヘッド121の底面にも2つの下部プローブ側壁部22の加圧ヘッド221がそれぞれ接触する面を構成しており、総計4つの接触面を構成する。なお、他方の上部プローブ側壁部12を介しても同様に総計4つの接触面を構成する。
【0053】
電気的接触において、接触面の面積が増加するほど電気的特性の低下をもたらすインピーダンスは減少するが、本発明の一実施形態によるスプリングピンは外筒形でありながらも、より多くの接触面積を有するようになるため、電気的特性を大幅に向上させることができる効果がある。
【0054】
以下では、
図2~
図5、特に
図4を参照しながら、本発明の第1実施形態による外筒形スプリングピンの製造方法について簡単に察して見る。
【0055】
外筒形スプリングピンの製造方法は、大きくスタンピング段階、めっき段階及び組立段階を含んで構成される。
【0056】
スタンピング段階では、パンチング及びベンディングなどを含むプログレッシブスタンピング(Progress Stamping)で金属板状材を加工して一体型上部プローブ10及び一体型下部プローブ20を製造する。プログレッシブスタンピングでは、金属板状材、例えば長い帯状の金属板状材に対して、一回又は複数回のパンチングにより
図4に示す展開図のように裁断されたものを得たり、側面に一連の部品を連結する連結部(フレーム)(後で除去される)がさらにあるものを得たりするようになる。前記実施形態では、一体型上部プローブ及び一体型下部プローブの形状が同じであるが、プローブ部の形状の差異などによって両者は互いに異なる形状を有することもできる。
【0057】
そして、上部プローブ部11において、外部接触のためのクラウンなどとなる部分の形状を作るために折り曲げ線L12を基準にベンディングする過程と、上部プローブ部11を中心に両方向に延長される2つの上部プローブ側壁部12がU字形状になるように折り曲げ線L11を基準にベンディングする過程と、を備える。上部プローブ部11の形状に応じて、クラウンなどの形状を形成するためのベンディング過程は省略されたり、コイニングなどの過程が使用されたりすることもある。U字形状を形成するためのベンディング過程では、加圧ヘッドと一字型プレートとの間の弾性接触のために、ベンディング角度が90°よりもっと大きくベンディングされることが好ましい。
【0058】
そして、下部プローブ部21において、外部接触のためのクラウンなどとなる部分の形状を作るために折り曲げ線L22を基準にベンディングする過程と、下部プローブ部21を中心に両方向に延長される2つの下部プローブ側壁部22がU字形状になるように折り曲げ線L21を基準にベンディングする過程と、を備える。下部プローブ部21の形状に応じて、クラウンなどの形状を形成するためのベンディング過程は省略されたり、コイニングなどの過程が使用されたりすることもある。 U字形状を形成するためのベンディング過程では、加圧ヘッドと一字型プレートとの間の弾性接触のために、ベンディング角度が90°よりもっと大きくベンディングされることが好ましい。
【0059】
圧縮スプリング30は、線形スプリング鋼などを円筒形状にコイリングした通常のスプリングが使用され、一体型上部プローブ10及び一体型下部プローブ20は、金属板状材をパンチング及びベンディングを含むプログレッシブスタンピングで加工したものである。
【0060】
そして、組立段階の前に、電気特性をより向上させるために一体型上部プローブ10及び一体型下部プローブ20をめっきするめっき段階を含み得る。
【0061】
そして、圧縮スプリング30を中心に置いて一体型上部プローブ10及び一体型下部プローブ20を組み立てる組立段階を備える。組立段階では、上部プローブ側壁部12と下部プローブ側壁部22とを互いに入れ違うようにした状態で、上部プローブ側壁部12の加圧ヘッド121が下部プローブ側壁部22の加圧ヘッド221を乗り越えるようにするか、又は下部プローブ側壁部22の加圧ヘッド221が上部プローブ側壁部12の加圧ヘッド121を乗り越えるようにして組み立てる。
【0062】
本発明によれば、上側プローブ部及び下側プローブ部から延長される各側壁部が、外筒の機能を果たすため、従来の外筒形スプリングピンのように、外筒及び上部プローブ、並びに外筒及び下部プローブが互いに分離されていた構造において必要とされた厳しい公差管理がもはや不要になり、したがって外筒形スプリングピンの製造コストを大幅に節減できる効果がある。
【0063】
図6の(a)は、本発明の第2実施形態による外筒形スプリングピンを示す斜視図であり、
図6の(b)は本発明の第2実施形態による外筒形スプリングピンの部分側面図である。
【0064】
第2実施形態の外筒形スプリングピンは、第1実施形態による外筒形スプリングピンと比較して、下部プローブ部21の形状、上部プローブ側壁部12及び下部プローブ側壁部22の構造が若干異なっており、大部分の構成が同一又は類似であり、同一又は類似の構成については該当する説明が省略される。
【0065】
下部プローブ部21は、基底部から延長され厚さを有する円盤状の添付を有し、円盤状の添付は、三角錐形状の添付に比較して外部のパッド又は端子に加わるスクラッチが小さくなるようにするアプリケーションにさらに適している。
【0066】
上部プローブ側壁部12は、加圧ヘッド121の下方に延長される延長プレート124が構成され、延長プレート124は一字型プレート122と同様に圧縮スプリングを取り囲む。下部プローブ側壁部22は、加圧ヘッド221の上方に延長される延長プレート224が構成され、延長プレート224は、一字型プレート222と同様に圧縮スプリングを取り囲む。
【0067】
より長い長さを有するスプリングピンにおいて、延長プレート124、224の構成は、圧縮スプリングの側面を取り囲む面積を増大させる効果を有し、絶縁性本体40の貫通孔43(
図7参照)内でスプリングピンの直立安定性を助ける。
【0068】
上部プローブ側壁部12及び下部プローブ側壁部22の先端部、具体的には延長プレート124、224の先端部には傾斜部Eを設け、傾斜部Eは、一字型プレートの側面(より正確には、2つの一字型プレートの側面を連結した延長平面)や圧縮スプリングとの間に延長プレート124、224の端部に行くほど増加する空間を有するように設けられるが、平面又は曲面で構成されうる。傾斜部Eは、延長プレートの先端部に形成される面取りされた形状であってもよく、研磨や先端を押さえる成形又はコイニングなどの方法で形成されてもよい。
【0069】
このような傾斜部Eは、第1実施形態における加圧ヘッドの先端部に構成されることもある。
【0070】
傾斜部Eは、組立過程で加圧ヘッドの側面を乗り越えることをより容易にし、作動過程で圧縮スプリングとの干渉を確実に排除する効果を有する。
【0071】
図7aは、本発明の第2実施形態による外筒形スプリングピンを絶縁性本体に収納した状態を示す断面図であり、
図7bは本発明の第2実施形態による外筒形スプリングピンを絶縁性本体に収納した状態でA-Aを基準とした断面図である。
【0072】
絶縁性本体40は、第1平面と第1平面に対向する第2平面との間を貫通する貫通孔43を備えているが、絶縁性本体40の1つにはこのような貫通孔が2次元アレイで構成される。例えば、1000個の端子をテストするためのテストソケットでは、1000個の貫通孔がアレイで構成される。
【0073】
テストソケットには、上述した絶縁性本体40が設けられており、絶縁性本体40の各貫通孔43毎に1つずつの外筒形スプリングピンが載置される。テストソケの組立過程において、絶縁性本体40の第1本体部41及び第2本体部42の一方に外筒形スプリングピンが載置された後、他方を覆ってボルト(図示せず)などによって両方を結合する方式で組み立てられる。
【0074】
上部プローブ側壁部12のそれぞれは、一字型プレート122の側面から突出するストップ突起123をさらに含み、外筒形スプリングピンが収納される絶縁性本体40の段差部44aによって上部プローブ10の上方移動を限定する。下部プローブ側壁部22のそれぞれは、一字型プレート222の側面から突出するストップ突起223をさらに含み、外筒形スプリングピンが収納される絶縁性本体40の段差部44bによって下部プローブ20の下方移動を限定する。
【0075】
貫通孔40では、前記段差部を形成するために、より大きい内径の第1内径D1、及びより小さい内径の第2内径D2を有する。貫通孔40における第1貫通孔部43aの内径D1は、第2貫通孔部43b及び第3貫通孔部43cの内径D2よりも大きい。そして、ストップ突起223の外径D3は、貫通孔40の第1内径D1より小さく、貫通孔40の第2内径D2よりも大きい。