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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】スライドレール組立体
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/493 20170101AFI20240226BHJP
【FI】
A47B88/493
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023063842
(22)【出願日】2023-04-11
【審査請求日】2023-04-11
(31)【優先権主張番号】111139169
(32)【優先日】2022-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】楊 順和
(72)【発明者】
【氏名】張 維成
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-035949(JP,A)
【文献】特開2021-178163(JP,A)
【文献】特開2021-079074(JP,A)
【文献】特開2022-013568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンネルを含む第1レールと、
前記第1レールの前記チャンネルに可動に取り付けられている第2レールであり、前記第1レールに対して変位可能である第2レールと、
前記第1レールと前記第2レールとの間に可動に取り付けられているスライド促進装置であり、係合特徴部を含むスライド促進装置と、
前記第1レールに設けられ、本体部分と、弾性部分と、所定部分とを含む作動部材であり、前記弾性部分は、前記本体部分を支持するように構成され、前記所定部分は、前記本体部分に接続されている、作動部材とを備え、
前記第1レールは、前記作動部材の前記弾性部分を支持する支持部分を有し、
前記第1レールに対して開放方向に変位した後、前記第2レールを前記第1レールの前記チャンネルの外へ移動させた場合に、前記スライド促進装置は所定位置にあり、前記スライド促進装置の前記係合特徴部が前記作動部材の前記所定部分と係合する、スライドレール組立体。
【請求項2】
前記第1レールは、第1壁と、第2壁と、前記第1レールの前記第1壁と前記第2壁との間に接続された長手方向壁とを含み、前記第1レールの前記第1壁と、前記第2壁と、前記長手方向壁とは、組み合わせにより前記チャンネルを画定する、請求項1記載のスライドレール組立体。
【請求項3】
前記作動部材は、前記第1レールの前記長手方向壁に可動に取り付けられている、請求項2記載のスライドレール組立体。
【請求項4】
前記作動部材の前記本体部分は、前記第1レールの前記長手方向壁に枢軸的に接続されている、請求項3記載のスライドレール組立体。
【請求項5】
前記作動部材の前記弾性部分は、第1区間と第2区間とを有し、前記作動部材の前記弾性部分の前記第1区間は、前記本体部分に接続され、前記作動部材の前記弾性部分の前記第2区間と前記作動部材の前記本体部分との間に、所定の空間が規定される、請求項3記載のスライドレール組立体。
【請求項6】
前記作動部材の前記所定部分は、第1ガイド特徴部と、第2ガイド特徴部と、前記第1ガイド特徴部と前記第2ガイド特徴部との間に位置する孔とを含み、前記孔は、複数の孔壁により画定され、前記スライド促進装置の前記係合特徴部との係合のために構成され、前記スライド促進装置の前記係合特徴部は、係合フックである、請求項5記載のスライドレール組立体。
【請求項7】
前記孔は、サイズが前記係合特徴部よりも大きい、請求項6記載のスライドレール組立体。
【請求項8】
前記第2レールは、解除特徴部を含み、前記第2レールが、前記第1レールの前記チャンネルの外側から前記第1レールの前記チャンネルに後退方向に再挿入される間に、前記第2レールの前記解除特徴部は、前記第1ガイド特徴部と前記第2ガイド特徴部とのうちの1つに接触し、これにより、前記作動部材を移動させ、その結果、前記スライド促進装置の前記係合特徴部は、前記作動部材の前記所定部分の前記孔から係合解除され、前記スライド促進装置が前記後退方向で前記所定位置から変位することを可能にし、
前記第2レールは、前端と後端とを有し、前記解除特徴部は、前記第2レールの前記後端に隣接し、前記第1レールは、前端と後端とを有し、前記作動部材は、前記第1レールの前記前端に隣接し、
前記解除特徴部と前記第2レールの前記後端との間の距離は、前記作動部材と前記第1レールの前記前端との間の距離よりも大きいか、又はわずかに大きい、請求項6記載のスライドレール組立体。
【請求項9】
前記スライド促進装置は、さらに、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に接続された長手方向部分とを含み、前記第1部分と、前記第2部分と、前記長手方向部分とは、それぞれ前記第1レールの前記第1壁と、前記第2壁と、前記長手方向壁とに対応し、
前記スライド促進装置の前記第1部分は、前記第1レールの前記第1壁を支持する複数の転動ボールを有し、前記スライド促進装置の前記第2部分は、前記第1レールの前記第2壁を支持する複数の転動ボールを有する、請求項2記載のスライドレール組立体。
【請求項10】
前記作動部材の前記所定部分は、前記孔に隣接する延長区間を有し、前記スライド促進装置の前記係合特徴部は、前記作動部材の前記所定部分の前記孔の中へ延びる場合に、前記延長区間に対応する、請求項6記載のスライドレール組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、確実に使用できるスライドレール組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、引き出しの軌道装置のスライド補助部材の保持構造を開示する。軌道装置は、第1軌道と、第2軌道と、スライド補助部材と、保持部材とを備えている。スライド補助部材は、第1軌道と第2軌道との間に可動に取り付けられ、前端に係合ノッチを有する。保持部材は、第1軌道のチャンネルの開口部に設けられている。第1軌道に対して第2軌道を開放方向に変位させた後、第2軌道を第1軌道のチャンネルの外へ移動させた場合に、保持部材の弾性フックロッド(さらに具体的にはそのフック)をスライド補助部材の係合ノッチに係合させて、スライド補助部材が第1軌道に対して任意にスライドすることを防止する。これにより、安定的に又は支持された状態で、第2軌道を第1軌道のチャンネルに再挿入することを可能にする。
【0003】
特許文献2は、引き出しスライドベアリングキャリアの定位装置を開示する。定位装置は、キャリアレールと、スライド移動レールと、ベアリングキャリアとを備えている。キャリアレールは、前端にサポート台を有し、スライド移動レールは、サポート台の上にもたせ掛けられ、サポート台に沿ってスライド可能である。サポート台は、フックユニットを有する。フックユニットは、ブロックに枢軸的に接続され、旋回可能である。ブロックは、キャリアレールの前端に固定され、サポート台の一部を覆う。サポート台は、槽孔(貫通孔)と、槽孔の内側に形成された弾力棒とを含む。弾力棒は、フックユニットが旋回した後に元の位置に復帰するように付勢する弾性力を加えることができる。ベアリングキャリア(軸キャリア部品)は、スライド移動レールとキャリアレールとの間に設けられ、スライド移動レールとキャリアレールとの間のスライド媒体となるローラ(ボール)を有する。また、ベアリングキャリアは、その前端にフック部を有する。ベアリングキャリアをサポート台へ移動させた場合に、ベアリングキャリアの前端がブロックによって押され、フック部がフックユニットと係合して、ベアリングキャリアを所定位置に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6,851,773B2号
【文献】米国特許第7,648,214B2号
【発明の概要】
【0005】
上記の特許は、スライド補助部材の保持構造と、ベアリングキャリアの定位装置との技術的特徴を開示している。しかし、異なったユーザニーズでは、異なったスライドレール製品を開発する価値がある。
【0006】
本発明は、使用において信頼性のあるスライドレール組立体を提供する。
【0007】
本発明の1つの態様によれば、スライドレール組立体は、第1レールと、第2レールと、スライド促進装置と、作動部材とを備えている。第1レールは、チャンネルを含む。第2レールは、第1レールのチャンネルに可動に取り付けられ、第1レールに対して変位可能である。スライド促進装置は、第1レールと第2レールとの間に可動に取り付けられ、係合特徴部を含む。作動部材は、第1レールに設けられ、本体部分と、弾性部分と、所定部分とを含む。弾性部分は、本体部分を支持するように構成されている。所定部分は、本体部分に接続されている。第1レールは、作動部材の弾性部分を支持する支持部分を有する。第1レールに対して開放方向に変位した後、第2レールを第1レールのチャンネルの外へ移動させた場合に、スライド促進装置は所定位置にあり、スライド促進装置の係合特徴部が作動部材の所定部分と係合する。
【0008】
好ましくは、第1レールは、第1壁と、第2壁と、第1レールの第1壁と第2壁との間に接続された長手方向壁とを含む。第1レールの第1壁と、第2壁と、長手方向壁とは、組み合わせによりチャンネルを画定する。
【0009】
好ましくは、作動部材は、第1レールの長手方向壁に可動に取り付けられている。
【0010】
好ましくは、作動部材の本体部分は、第1レールの長手方向壁に枢軸的に接続されている。
【0011】
好ましくは、作動部材の弾性部分は、第1区間と第2区間とを有する。作動部材の弾性部分の第1区間は、本体部分に接続され、作動部材の弾性部分の第2区間と作動部材の本体部分との間に、所定の空間が規定される。
【0012】
好ましくは、作動部材の所定部分は、第1ガイド特徴部と、第2ガイド特徴部と、第1ガイド特徴部と第2ガイド特徴部との間に位置する孔とを含み、孔は、複数の孔壁により画定され、スライド促進装置の係合特徴部との係合のために構成されている。
【0013】
好ましくは、孔は、サイズが係合特徴部よりも実質的に大きい。
【0014】
好ましくは、第2レールは、解除特徴部を含み、第2レールが、第1レールのチャンネルの外側から第1レールのチャンネルに後退方向に再挿入される過程で、第2レールの解除特徴部は、第1ガイド特徴部と第2ガイド特徴部とのうちの1つに接触し、これにより、作動部材の所定部分を移動させ、その結果、スライド促進装置の係合特徴部は、作動部材の所定部分の孔から係合解除され、スライド促進装置が後退方向で所定位置から変位することを可能にする。
【0015】
好ましくは、スライド促進装置は、さらに、第1部分と、第2部分と、第1部分と第2部分との間に接続された長手方向部分とを含む。第1部分と、第2部分と、長手方向部分とは、それぞれ第1レールの第1壁と、第2壁と、長手方向壁とに対応する。好ましくは、スライド促進装置の第1部分は、第1レールの第1壁を支持する複数の転動ボールを有し、スライド促進装置の第2部分は、第1レールの第2壁を支持する複数の転動ボールを有する。
【0016】
好ましくは、スライド促進装置の係合特徴部は、係合フックである。
【0017】
本発明の別の態様によれば、スライドレール組立体は、第1レールと、第2レールと、スライド促進装置と、作動部材とを備えている。第1レールは、チャンネルを含む。第2レールは、第1レールのチャンネルに可動に取り付けられ、第1レールに対して変位可能である。スライド促進装置は、第1レールと第2レールとの間に可動に取り付けられ、係合特徴部を含む。作動部材は、第1レールに設けられ、本体部分と、弾性部分と、所定部分とを含む。弾性部分は、本体部分を支持するように構成されている。所定部分は、本体部分に接続され、複数の孔壁により画定される孔を含む。第1レールに対して開放方向に変位した後、第2レールを第1レールのチャンネルの外へ移動させた場合に、スライド促進装置の係合特徴部が作動部材の所定部分の孔の中へ延び、スライド促進装置が第1レールに対して任意に変位するのを防止する。
【0018】
好ましくは、第1レールは、第1壁と、第2壁と、第1レールの第1壁と第2壁との間に接続された長手方向壁とを含む。そして、第1レールの第1壁と、第2壁と、長手方向壁とは、組み合わせによりチャンネルを画定する。
【0019】
好ましくは、作動部材は、第1レールの長手方向壁に可動に取り付けられている。
【0020】
好ましくは、作動部材の本体部分は、第1レールの長手方向壁に枢軸的に接続されている。
【0021】
好ましくは、作動部材の弾性部分は、第1区間と第2区間とを有する。作動部材の弾性部分の第1区間は、本体部分に接続され、作動部材の弾性部分の第2区間と作動部材の本体部分との間に、所定の空間が規定される。
【0022】
好ましくは、作動部材の所定部分は、第1ガイド特徴部と第2ガイド特徴部とを含み、孔は、第1ガイド特徴部と第2ガイド特徴部との間に位置する。
【0023】
好ましくは、孔は、サイズが係合特徴部よりも実質的に大きい。
【0024】
好ましくは、第2レールは、解除特徴部を含み、第2レールが、第1レールのチャンネルの外側から第1レールのチャンネルに後退方向に再挿入される過程で、第2レールの解除特徴部は、第1ガイド特徴部と第2ガイド特徴部とのうちの1つに接触し、これにより、作動部材の所定部分を移動させ、その結果、スライド促進装置の係合特徴部は、作動部材の所定部分の孔から係合解除され、スライド促進装置が後退方向で所定位置から変位することを可能にする。
【0025】
好ましくは、スライド促進装置は、さらに、第1部分と、第2部分と、第1部分と第2部分との間に接続された長手方向部分とを含む。第1部分と、第2部分と、長手方向部分とは、それぞれ第1レールの第1壁と、第2壁と、長手方向壁とに対応する。好ましくは、スライド促進装置の第1部分は、第1レールの第1壁を支持する複数の転動ボールを有し、スライド促進装置の第2部分は、第1レールの第2壁を支持する複数の転動ボールを有する。
【0026】
好ましくは、作動部材の所定部分は、孔に隣接する延長区間を有し、スライド促進装置の係合特徴部は、作動部材の所定部分の孔の中へ延びる場合に、延長区間に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態によるスライドレール組立体の組み立て斜視図である。
図2】本発明の実施形態によるスライドレール組立体の分解斜視図である。
図2A】本発明の実施形態によるスライドレール組立体の作動部材の斜視図である。
図3】本発明の実施形態によるスライドレール組立体の第1レールの斜視図である。
図4】本発明の実施形態によるスライドレール組立体の第2レールが、第1レールに対して開放方向に変位していることを示す概略図である。
図4A】本発明の実施形態によるスライドレール組立体の第2レールが、第1レールに対して開放方向に変位していることを示す別の1つの概略図である。
図5】スライドレール組立体の第2レールが、さらに、第1レールに対して開放方向に変位していることを示す概略図である。
図5A】スライドレール組立体の第2レールが、さらに、第1レールに対して開放方向に変位していることを示す別の1つの概略図である。
図6】スライドレール組立体の第2レールが、またさらに、第1レールに対して開放方向に変位していることを示す概略図である。
図6A】スライドレール組立体の第2レールが、またさらに、第1レールに対して開放方向に変位していることを示す別の1つの概略図である。
図7】本発明の実施形態によるスライドレール組立体の第1レールが第3レールに対して伸長位置にあり、第2レールが、第1レールのチャンネルの外へ開放方向に移動していることを示す。
図8】スライドレール組立体の第2レールが、第1レールのチャンネルに後退方向に再挿入されていることを示す概略図である。
図9】スライドレール組立体の第2レールが、さらに、第1レールに対して後退方向に変位していることを示す概略図である。
図9A】スライドレール組立体の第2レールが、さらに、第1レールに対して後退方向に変位していることを示す別の1つの概略図である。
図10】スライドレール組立体の第2レールが、またさらに、第1レールに対して後退方向に変位していることを示す概略図である。
図10A】スライドレール組立体の第2レールが、またさらに、第1レールに対して後退方向に変位していることを示す別の1つの概略図である。
図11】スライドレール組立体の第2レールが、さらになお、第1レールに対して後退方向に変位していることを示す概略図である。
図11A】スライドレール組立体の第2レールが、さらになお、第1レールに対して後退方向に変位していることを示す別の1つの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態によるスライドレール組立体20は、第1レール22と、第2レール24と、スライド促進装置26と、作動部材28と、好ましくはさらに、第3レール30とを備えている。第1レール22は、第3レール30と第2レール24との間に可動に取り付けられ、第1レール22は、第3レール30に対して第2レール24を変位させることができる距離を増加させる役割を果たす。この実施形態では、第3レール30(例えば、外側レール)と、第1レール22(例えば、中間レール)と、第2レール24(例えば、内側レール)とは、相互に対して長手方向に変位可能である。ここで、長手方向(又はスライドレールの長さ方向)は、図1のX軸により定義され、横断方向(又はスライドレールの横方向)は、Y軸により定義され、垂直方向(又はスライドレールの高さ方向)は、Z軸により定義される。
【0029】
第1レール22は、チャンネル32を含む。第1レール22は、第1壁34aと、第2壁34bと、第1レール22の第1壁34aと第2壁34bとの間に接続された長手方向壁36とを含むことが好ましい。第1レール22の第1壁34aと、第2壁34bと、長手方向壁36とは、組み合わせによりチャンネル32を画定する。第1レール22は、前端22aと後端22bとを有する。
【0030】
第2レール24は、第1レール22のチャンネル32に可動に取り付けられ、第2レール24は、第1レール22に対して長手方向に変位可能である。第2レール24は、第1壁38aと、第2壁38bと、第2レール24の第1壁38aと第2壁38bとの間に接続された長手方向壁40とを含む。第2レール24は、突起などの解除特徴部37を含み、解除特徴部37は、第1ガイド構造39aと第2ガイド構造39bとを含む。第1ガイド構造39aと第2ガイド構造39bとは、それぞれ傾斜面又は曲面であってよい。本発明は、この点に関して制限を有さない。第2レール24は、前端24aと後端24bとを有し、解除特徴部37は、第2レール24の後端24bに隣接する。
【0031】
スライド促進装置26は、第1レール22と第2レール24との間に可動に取り付けられ、スライド促進装置26は、係合フックなどの係合特徴部42を含む。好ましくは、スライド促進装置26はさらに、第1部分44aと、第2部分44bと、第1部分44aと第2部分44bとの間に接続された長手方向部分46とを含む。第1部分44aと、第2部分44bと、長手方向部分46とは、それぞれ第1レール22の第1壁34aと、第2壁34bと、長手方向壁36とに対応する。スライド促進装置26の第1部分44aと第2部分44bとには、それぞれ複数の転動ボール48(視野角の制限により、ただ第2部分44bの転動ボール48のみが、図1及び図2の中に見える)が設けられている。第1部分44aの転動ボール48は、第1レール22の第1壁34aと、第2レール24の第1壁38aとを支持するために使用され、第2部分44bの転動ボール48は、第1レール22の第2壁34bと、第2レール24の第2壁38bとを支持するために使用される。転動ボール48は、第2レール24と第1レール22とが、相互に対して変位できる滑らかさを増加させることを助ける。
【0032】
図2図3図4に示すように、作動部材28は、第1レール22の長手方向壁36に設けられ、作動部材28は、第1レール22の前端22aに隣接する。解除特徴部37と第2レール24の後端24bとの間の距離は、作動部材28と第1レール22の前端22aとの間の距離よりも大きい(又はわずかに大きい)。作動部材28は、本体部分50と、弾性部分52と、所定部分54とを含む(図2A参照)。
【0033】
好ましくは、作動部材28は、第1レール22の長手方向壁36に可動に取り付けられている。例えば、作動部材28の本体部分50は、軸56を介して、第1レール22の長手方向壁36に枢軸的に接続されている。しかしながら、本発明はこの点に関して制限を有さない。
【0034】
限定はされないが、例えば弾性アームなどの弾性部分52は、本体部分50を支持するように構成されている。所定部分54は、本体部分50に接続されている。
【0035】
好ましくは、第1レール22の長手方向壁36は、作動部材28の弾性部分52を支持する支持部分58を有する(図3図4参照)。
【0036】
好ましくは、作動部材28の本体部分50は、それぞれ第1端部E1と第2端部E2として定義された2つの反対側の端部を有する。所定部分54は、本体部分50の第1端部E1に隣接する(図2A参照)。
【0037】
好ましくは、作動部材28の弾性部分52は、第1区間60aと、第1区間60aから延びる第2区間60bとを有する。第1区間60aは、本体部分50に接続され、本体部分50の第2端部E2に隣接する。第2区間60bと本体部分50とは、その間に所定の空間Jを規定する(図2A参照)。作動部材28が第1状態S1にある場合に、作動部材28の本体部分50と弾性部分52の第2区間60bとは、所定の空間Jによって距離Gだけ離れている。
【0038】
好ましくは、作動部材28の所定部分54は、第1ガイド特徴部62と、第2ガイド特徴部64と、第1ガイド特徴部62と第2ガイド特徴部64との間に位置する孔66とを含む。第1ガイド特徴部62と第2ガイド特徴部64とのそれぞれは、傾斜面又は曲面であってよい。孔66は、複数の孔壁により画定される。例えば、所定部分54は、第1孔壁68aと、第2孔壁68bと、第3孔壁68cと、第4孔壁68dとを含み、孔壁68a,68b,68c,68dは、組み合わせにより孔66(図2A参照)を画定する。
【0039】
好ましくは、作動部材28が単一のコンポーネントとして存在するように、本体部分50と、弾性部分52と、所定部分54とは、1つのユニットに統合されている(図2A参照)。
【0040】
図4を参照すると、スライド促進装置26の係合特徴部42は、長手方向部分46に位置し、ガイド区間70を有する。ガイド区間70は傾斜面又は曲面であってよい。作動部材28は、第1状態S1として図4に示され、第1レール22の長手方向壁36の支持部分58は、作動部材28の弾性部分52の第2区間60bの少なくとも一部を支持する。また、作動部材28の所定部分54には、孔66に隣接して延長区間72が設けられている。例えば、延長区間72は、第1孔壁68aから第1レール22の第2壁34bに向かって延びている。
【0041】
第1レール22に対して後退位置から開放方向D1に変位した後、第2レール24が所定位置に達した場合に、解除特徴部37が作動部材28の所定部分54を容易に越して移動できるように、解除特徴部37の第1ガイド構造39aは、第1ガイド特徴部62に接触する。さらにスライド促進装置26は、開放方向D1に移動することによって第2レール24の変位に応答し、そのプロセスの間にスライド促進装置26の係合特徴部42(さらに具体的にはそのガイド区間70)は、作動部材28の所定部分54の第1ガイド特徴部62(図4及び図4A参照)に接触する。上記の動作は当業者なら容易に理解することができるため、なお詳細には説明しない。
【0042】
図5及び図5Aを参照すると、第2レール24が第1レール22に対して開放方向D1にさらに変位した場合に、スライド促進装置26の係合特徴部42(さらに具体的にはそのガイド区間70)と、作動部材28の所定部分54の第1ガイド特徴部62との接触は、例えば、作動部材28を第1状態S1から第2状態S2に所定回転方向Rに旋回させることにより、作動部材28を第1状態S1から第2状態S2に移動させる作用力を生じる。作動部材28の弾性部分52は、第2状態S2で弾性力を蓄える。
【0043】
好ましくは、第1レール22の長手方向壁36の支持部分58と、作動部材28の弾性部分52の第2区間60bとの相互支持により、作動部材28が第1状態S1から第2状態S2に旋回可能である支点が生じる。作動部材28が第2状態S2に旋回する過程では、所定の空間Jによって、作動部材28の本体部分50と弾性部分52の第2区間60bとが互いに接近することを可能にする。これにより、作動部材28の弾性部分52に上述の弾性力が蓄えられた状態で、作動部材28の弾性部分52の第1区間60aは、第2区間60b(又は第1レール22の長手方向壁36の支持部分58)に対して所定角度で上方に傾く。
【0044】
好ましくは、作動部材28はさらに、本体部分50の第1端部Eから延びる曲げ区間55を含む。第1レール22の長手方向壁36は、対応する空間57を有し、対応する空間57の中へ、曲げ区間55が伸長でき、これにより、第1レール22の長手方向壁36が曲げ区間55を支持し、作動部材28が安定的に移動(例えば旋回)できるようにする。
【0045】
図6図6A図7を参照すると、第2レール24を第1レール22に対してさらに開放方向D1に変位させた後、第1レール22のチャンネル32の外へ移動させた場合に、スライド促進装置26の係合特徴部42が、作動部材28の所定部分54の孔66と係合した状態で、スライド促進装置26は、第1レール22の前端22aに隣接する所定位置Kに変位する。
【0046】
さらに具体的には、スライド促進装置26が所定位置Kに到達した場合に、スライド促進装置26の係合特徴部42は、所定部分54の孔66に対応し、作動部材28の弾性部分52は、そこに蓄えられた弾性力を解放し、これにより作動部材28を第2状態S2から第1状態S1(例えば、ロック状態)に復帰させる。スライド促進装置26の係合特徴部42は、作動部材28の所定部分54の孔66の中へ延び、第1孔壁68a(及び延長区間72)に対応するようになり、これにより、スライド促進装置26が第1レール22に対して任意に変位するのを防止する。例えば、第1孔壁68aは(延長区間72とともに)、係合特徴部42をブロックすることができ、これにより、スライド促進装置26が所定位置Kから第1レール22に対して後退方向D2に変位するのを防止する(図6参照)。
【0047】
図8では、スライド促進装置26は所定位置Kにあり、作動部材28は、スライド促進装置26の係合特徴部42を所定位置にロックするために第1状態S1(例えば、ロック状態)にある。第1レール22のチャンネル32の外側から、第2レール24が、第1レール22のチャンネル32に後退方向D2に再挿入された場合に、挿入プロセスの初期には、第2レール24の第1壁38aと第2壁38bとが、それぞれスライド促進装置26の第1及び第2部分44a,44bの転動ボール48によって支持されることが可能である。なぜならば、解除特徴部37と第2レール24の後端24bとの間の距離の方が、作動部材28と第1レール22の前端22aとの間の距離よりも大きく(又はわずかに大きく)なり、第2レール24を第1レール22のチャンネル32に後退方向D2に、安定的又は滑らかに挿入することを可能にするからである。
【0048】
図9図9A図10図10A図11,及び図11Aを参照すると、第2レール24が第1レール22のチャンネル32に後退方向D2に挿入され続ける過程で、第2レール24の解除特徴部37は、作動部材28を移動させ、これによりスライド促進装置26の係合特徴部42を、作動部材28の所定部分54の孔66から係合解除する。これにより、スライド促進装置26は、所定位置Kから後退方向D2に変位することが可能にされる。
【0049】
さらに具体的には、第2レール24が第1レール22のチャンネル32に後退方向D2に挿入され続けている間に、第2レール24の解除特徴部37の第2ガイド構造39bは、作動部材28の所定部分54の第2ガイド特徴部64に接触し、例えば、作動部材28を第1状態S1から第2状態S2に所定回転方向Rに旋回させることで、作動部材28を第1状態S1(例えば、図9及び図9Aに示すロック状態)から第2状態S2(例えば、図10及び図10Aに示すロック解除状態)へ移動させる作用力を発生させる。結果として、スライド促進装置26の係合特徴部42は、作動部材28の所定部分54の孔66から係合解除される。
【0050】
好ましくは、第1レール22の長手方向壁36の支持部分58と、作動部材28の弾性部分52の第2区間60bとの相互支持により、作動部材28が第1状態S1(図9及び図9A参照)から第2状態S2(図10及び図10A参照)に旋回可能である支点が生じる。作動部材28が第2状態S2に旋回する過程では、所定の空間Jによって、作動部材28の本体部分50と弾性部分52の第2区間60bとが互いに接近する(図10及び図10A参照)ことを可能にする。これにより、作動部材28の弾性部分52に弾性力が蓄えられた状態で、作動部材28の弾性部分52の第1区間60aは、第2区間60b(又は第1レール22の長手方向壁36の支持部分58)に対して所定角度で上方に傾く。
【0051】
第2レール24が、第1レール22に対して後退方向D2にさらに変位した場合に、スライド促進装置26は、所定位置Kから後退方向D2に移動して、第2レール24の変位に応答する。作動部材28の弾性部分52は、そこに蓄えられていた弾性力を解放して、作動部材28を第2状態S2(図10及び図10A参照)から第1状態S1(図11及び図11A参照)に復帰させる。
【0052】
なお、図9及び図9Aを参照すると、所定部分54の孔66は、サイズがスライド促進装置26の係合特徴部42よりも実質的に大きいことは、言及に値する。さらに具体的には、第1孔壁68a及び第2孔壁68bがその間の孔66の長さ寸法を規定し、孔66の長さ寸法は、係合特徴部42の長さ寸法(例えば、係合フック)よりも相当(実質的に)大きい(又はわずかに大きい)ため、係合特徴部42は、孔66内で所定の度合いの緩みで受け入れられる。第2レール24を第1レール22のチャンネル32に後退方向D2に挿入することに応答して、作動部材28が、第2レール24の解除特徴部37(又はさらに具体的にはその第2ガイド構造39b)によって、第1状態S1から第2状態S2に移動された場合に、所定の度合いの緩みは、スライド促進装置26の係合特徴部42が、作動部材28の所定部分54の孔66から容易に係合解除されることを可能にする。もし係合特徴部42と孔66とをそのサイズに形成することで、係合特徴部42と孔66の孔壁(例えば、第1孔壁68a及び第2孔壁68b)とが容易に解除できないほど強く係合したり、過度の係合の緊密さのために係合解除されたりした場合には、結果としてスライド促進装置26の係合特徴部42と作動部材28の所定部分54とは、変形又は損傷する可能性がある。
【0053】
以上のことから、本発明の上述の実施形態によるスライドレール組立体20は、好ましくは、以下の特徴を有することが分かる。
【0054】
1.作動部材28の所定部分54に外力(例えば、上記の作用力のいずれか)が加わった場合に、作動部材28の所定部分54が外力によって変形しないように、第1レール22に対する作動部材28の移動(例えば、旋回運動)と作動部材28の弾性部分52の弾性とによって、外力を緩和することができる。これにより、スライドレール組立体20の使用の信頼性を上昇させることを助ける。
【0055】
2.所定部分54の孔66のサイズは、スライド促進装置26の係合特徴部42のサイズよりも、相当(実質的に)大きい。
【0056】
3.作動部材28を単一のコンポーネントとするために、本体部分50と、弾性部分52と、所定部分54とは、1つのユニットに統合してよい。
【0057】
本発明は、上記の好ましい実施形態として開示されているが、実施形態は、本発明の範囲を制限することを意図していない。出願人が求める特許保護の範囲は、添付の請求項によって定義される。
【要約】      (修正有)
【課題】確実に使用できるスライドレール組立体を提供する。
【解決手段】スライドレール組立体は、第1レール22と、第2レールと、スライド促進装置26と、作動部材28とを備えている。第2レールは、第1レールのチャンネルに可動に取り付けられ、第1レールに対して変位可能である。スライド促進装置は、レール間に可動に取り付けられ、係合特徴部を含む。作動部材は、第1レールに設けられ、本体部分50と、本体部分を支持する弾性部分52と、本体部分に接続された所定部分54とを含む。第1レールは、作動部材の弾性部分を支持する支持部分58を含む。係合特徴部は、スライド促進装置が所定位置にある場合に、作動部材の所定部分と係合する。
【選択図】図3
図1
図2
図2A
図3
図4
図4A
図5
図5A
図6
図6A
図7
図8
図9
図9A
図10
図10A
図11
図11A