(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】積み卸し装置とその装置を用いた積み卸しシステムおよびその積み卸し方法
(51)【国際特許分類】
B66C 19/00 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
B66C19/00 E
(21)【出願番号】P 2023118754
(22)【出願日】2023-07-21
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2022116057
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390035312
【氏名又は名称】東光産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591075641
【氏名又は名称】東鉄工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390041449
【氏名又は名称】株式会社レンタルのニッケン
(74)【代理人】
【識別番号】100141221
【氏名又は名称】山田 和明
(72)【発明者】
【氏名】前田 知樹
(72)【発明者】
【氏名】笹川 透
(72)【発明者】
【氏名】大野 晃由
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕明
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-014427(JP,A)
【文献】特開平06-107397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00-23/94
B60P 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両に設けられ被搬送物を積み卸しする積み卸し装置であって、
車両の荷台の左右いずれか一方の側に設けられた支持柱と、この支持柱の上端に旋回可能に枢支された案内部材と、一端がこの案内部材に接続されこの案内部材に案内されて他端が車両の外側に突出可能な走行桁と、この走行桁の他端に連結された支持脚とを備えて構成される
とともに、案内部材は、走行桁が長手方向に往復動自在に変位するよう接続されることを特徴とする積み卸し装置。
【請求項2】
支持脚は、走行桁に揺動可能に連結され、高さを調整可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の積み卸し装置。
【請求項3】
支持柱は、荷台に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の積み卸し装置。
【請求項4】
走行桁に走行自在に載置されるトロリと、このトロリに吊支され被搬送物を吊り上げ可能に保持するチェーンブロックとを備えたことを特徴とする請求項
1に記載の積み卸し装置。
【請求項5】
被搬送物は長尺または短寸の重量物であることを特徴とする請求項
1に記載の積み卸し装置。
【請求項6】
支持柱は、荷台の左右いずれか一側の前後方向所望の位置に単独に設けられることを特徴とする請求項
1に記載の積み卸し装置。
【請求項7】
支持柱は、荷台の左右いずれか一側の前後方向に所定の間隔を隔てて設けられることを特徴とする請求項
1に記載の積み卸し装置。
【請求項8】
案内部材は、支持柱に遊びを設けて枢支されることを特徴とする請求項
1に記載の積み卸し装置。
【請求項9】
支持柱は、上端に支持台を備えて構成され、
案内部材は、この支持台に旋回可能に取り付けられ支持台上面を摺動する受け部材と、この受け部材上に往復動自在に配置され、走行桁の一端部側が連結されるリニアガイドとを備えて構成されることを特徴とする請求項
1に記載の積み卸し装置。
【請求項10】
リニアガイドは支持桁に取り付けられ、この支持桁を走行桁の一端部側と揺動可能に軸支し、走行桁の一端部には、走行桁の起伏角度を調整可能な角度調整具を設けたことを特徴とする請求項9に記載の積み卸し装置。
【請求項11】
受け部材の長手方向一端側には、旋回方向に沿った切り欠きを、支持台には、この切り欠きに合致してねじ孔をそれぞれ形成し、これら切り欠きとねじ孔を合致させて螺合具を着脱自在に螺挿し、受け部材の回転止めと浮き上がりを防ぐ抑止機構を構成したことを特徴とする請求項
9に記載の積み卸し装置。
【請求項12】
受け部材の長手方向一端側には、旋回方向に沿った切り欠きを、支持台には、この切り欠きに合致してねじ孔をそれぞれ形成し、これら切り欠きとねじ孔を合致させて螺合具を着脱自在に螺挿し、受け部材の回転止めと浮き上がりを防ぐ抑止機構を構成したことを特徴とする請求項10に記載の積み卸し装置。
【請求項13】
軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両に設けられ被搬送物を積み卸しする積み卸しシステムであって、
積み卸し装置は、車両の荷台の左右いずれか一方の側に設けられた支持柱と、この支持柱の上端に旋回可能に枢支された案内部材と、一端がこの案内部材に接続されこの案内部材に案内されて他端が車両の外側に突出可能な走行桁と、この走行桁の他端に連結された支持脚とを備えて構成され、
車両に積み卸し装置を配置すると、走行桁を案内部材側に変位させて荷台上に配して車両を走行させ、車両が作業場所に達すると、走行桁の他端を走行路外側の作業場所に延長して支持脚で支持し、走行桁を車両と走行路外側の作業場所との間に配置させ、被搬送物を車両と作業場所との間で走行桁に沿って移動させて積み卸しすることを特徴とする積み卸しシステム。
【請求項14】
軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両と走行路外側の作業場所との間で被搬送物を積み卸しする積み卸し方法であって、
積み卸し装置を、車両の荷台の左右いずれか一方の側に設けられた支持柱と、この支持柱の上端に旋回可能に枢支された案内部材と、一端がこの案内部材に接続されこの案内部材に案内されて他端が車両の外側に突出可能な走行桁と、この走行桁の他端に連結された支持脚とを備えて構成
するとともに、案内部材は、走行桁が長手方向に往復動自在に変位するよう接続され、
走行桁を
案内部材側に変位させて旋回させ、荷台上に配置する第1のステップと、
荷台上に走行桁が配置された車両を作業場所まで走行させる第2のステップと、
車両が作業場所に達すると、走行桁を旋回させて他端を走行路外側の
作業場所に変位させて突出させ、作業場所に配して支持脚で支持し、走行桁を車両と走行路外側の作業場所との間に配置する第3のステップと、
被搬送物を作業場所と車両との間で走行桁に沿って移動可能に積み卸しする第4のステップとを有することを特徴とする積み卸し方法。
【請求項15】
第1のステップで、荷台上に被搬送物を積み込み、第4のステップで、被搬送物を車両から作業場所に移動させることを特徴とする請求項
14に記載の積み卸し方法。
【請求項16】
第4のステップで、作業場所から荷台上に被搬送物を積み込むことを特徴とする請求項
14に記載の積み卸し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両に設けられ被搬送物を積み卸しする積み卸し装置とその装置を用いた積み卸しシステムおよびその積み卸し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道や地下鉄のプラットホーム(乗降場)の補修の際には、交換される古い床材等を撤去して搬出し、新たな資材(重量部材)を運び込んで設置される。新たにプラットホームを構築する際には、構築場所に構築用資材が運び込まれる。従来、床材のPC板のような重量部材(被搬送物、長尺重量物、短寸重量物)を作業現場に搬出入するには、走行車輪を備えた車台上に、クレーンを設け、このクレーンを、上下方向に伸縮し水平方向に回動可能な支柱と、この支柱の頂部に横方向に延びるリフトアームの基端部を枢支させ、リフトアームの先端側を所定の範囲で上下動させる昇降機構と、このリフトアームに長さ方向に沿って移動可能な吊持装置とを備えて構成し、車台上または作業場所の重量物を積み卸しするようにしている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この作業方法では、電車動力用電力を鉄道事業者の変電所から線路上の架空電車線(トロリー線)へ供給するき電を停止するき電停止作業を行い、電気を止めて作業する必要があった。また、長尺物(5.0m以上)や重量物(1.0t/枚以上)の場合は、トロ運搬台車に積載して別途、軌陸車で牽引して搬入出する必要があった。
また、上記従来の積み卸し装置では、車台の左右両側の前後からそれぞれ支持脚を外方に張り出せて積み卸し時の安定を確保するようにしている。しかしながら、駅のプラットホームやトンネル内の作業場所など狭隘な空間で作業する際には、支持脚を張り出すスペースを確保することができないという問題があった。
【0003】
そこで、本出願人等は、これら課題を解決するため、たとえ狭隘な作業空間であっても制約されることがなく、しかも簡素な構成で、重量があり嵩張る被搬送物でも、長尺物の被搬送物でも、効率的に安全かつ容易に積み卸しすることができる積み卸し装置を提案している。この積み卸し装置は、案内桁と、案内桁の延長他端に取り付けられ、軌道に臨む作業場所に接地可能な支持脚とを備えている。案内桁は、鋼材からなり、長さが、荷台の横幅のほぼ1.5倍の長寸に形成され、これら案内桁は、一端側が支持柱に連結され、支持柱を中心に走行方向に対し異なる方向に変位し荷台上から外側に旋回され、走行方向に対し直角の角度をとると、延長端部が、外側の最も遠い位置で、軌道に臨む軌道外側の作業場所の上方に配置されるようになっている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭51-89663号公報
【文献】特開2022-14427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の積み卸し装置では、案内桁が長寸であるため、大型の車両でないと案内桁を荷台に収容して車両を走行させにくいという問題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、小型の車両であっても、十分に積み卸し経路を確保することができる積み卸し装置とその装置を用いた積み卸しシステムおよびその積み卸し方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る積み卸し装置は、軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両に設けられ被搬送物を積み卸しする積み卸し装置であって、車両の荷台の左右いずれか一方の側に設けられた支持柱と、この支持柱の上端に旋回可能に枢支された案内部材と、一端がこの案内部材に接続されこの案内部材に案内されて他端が車両の外側に突出可能な走行桁と、この走行桁の他端に連結された支持脚とを備えて構成されることを特徴としている。
【0008】
本発明の請求項1に係る積み卸し装置では、軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両に設けられ被搬送物を積み卸しする積み卸し装置であって、車両の荷台の左右いずれか一方の側に設けられた支持柱と、この支持柱の上端に旋回可能に枢支された案内部材と、一端がこの案内部材に接続されこの案内部材に案内されて他端が車両の外側に突出可能な走行桁と、この走行桁の他端に連結された支持脚とを備えて構成されるようにしたことにより、車両の走行時または非作業時には、走行桁を案内部材側に後退させて車両上に配し、作業時には、走行桁を変位させて他端を走行路の外側に配して支持脚により支持し、走行桁を車両と走行路の外側との間に配置するようになっている。このため、被搬送物を車両と走行路外側の作業場所との間で走行桁に沿って移動可能に積み卸しすることができ、作業が効率化される。また、走行桁は、案内部材側に後退させて車両上に配することができるので、たとえ荷台が小さくとも荷台上に走行桁を収納することができ、小型の車両であっても対応することができる。
【0009】
本発明に係る積み卸し装置は、支持脚が、走行桁に揺動可能に連結され、高さを調整可能に構成されることが好ましい。係る構成とすることにより、走行桁の、荷台への収納時、支持脚を折りたたむことができるので、荷台の空間を有効に利用することができる。さらに、支持脚は高さが調整できるので、カントにも対応させることができる。また、案内部材は、支持柱に遊びを設けて枢支されることが好ましい。係る構成とすることにより、カントに対してより細かく微調整することができる。さらに、支持柱は、荷台に着脱自在に取り付けられることが好ましい。係る構成とすることにより、積み卸し装置そのものを車両から取り外しできるので、車両の用途の制限をなくすことができ、作業に機動的に対応させることができる。また、走行桁に走行自在に載置されるトロリと、このトロリに吊支され被搬送物を吊り上げ可能に保持するチェーンブロックとを備えることが好ましい。係る構成とすることにより、荷台と作業場所との間で、被搬送物の積み卸しを容易にかつ効率的に行うことができる。さらに、被搬送物は長尺または短寸の重量物であることが好ましい。係る構成とすることにより、重量物の大きさや長さに制約されることなく作業効率を向上させることができる。また、支持柱は、荷台の左右いずれか一側の前後方向所望の位置に単独に設けられることが好ましい。係る構成とすることにより、短寸の重量物であっても支持柱の位置に応じて支持柱の左右方向の荷台上と作業場所との間で線状に積み卸しすることができ、作業効率が向上する。さらに、支持柱は、荷台の左右いずれか一側の前後方向に所定の間隔を隔てて設けることが好ましい。係る構成とすることにより、長尺の重量物であっても、複数の支持柱の走行桁により長尺の重量物の両側を支持して荷台上と作業場所との間で積み卸しすることができるので、安全にかつ効率的に作業を行うことができる。
【0010】
また、本発明に係る積み卸し装置は、支持柱は、上端に支持台を備えて構成され、案内部材は、この支持台に旋回可能に取り付けられ支持台上面を摺動する受け部材と、この受け部材上に往復動自在に配置され、走行桁の一端部側が連結されるリニアガイドとを備えて構成されることが好ましい。係る構成とすることにより、受け部材の長手方向寸法をより長く取ることができ、走行桁の後方への変位量を大きく取ることができ作業性が向上する。さらに、リニアガイドは支持桁に取り付けられ、この支持桁を走行桁の一端部側と揺動可能に軸支し、走行桁の一端部には、走行桁の起伏角度を調整可能な角度調整具を設けることが好ましい。係る構成とすることにより、走行桁を作業場所に設置する前後や、撤収する前後に、上げ下げすることができ、作業性が向上する。また、受け部材の長手方向一端側には、旋回方向に沿った切り欠きを、支持台には、この切り欠きに合致してねじ孔をそれぞれ形成し、これら切り欠きとねじ孔を合致させて螺合具を着脱自在に螺挿し、受け部材の回転止めと浮き上がりを防ぐ抑止機構を構成することが好ましい。係る構成とすることにより、走行桁を引き出して作業を行う際や格納時に、受け部材の旋回を阻止するとともに浮き上がりを阻止するので安全に作業を行うことができる。
【0011】
本発明の請求項9に係る積み卸しシステムは、軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両に設けられ被搬送物を積み卸しする積み卸しシステムであって、積み卸し装置は、車両の荷台の左右いずれか一方の側に設けられた支持柱と、この支持柱の上端に旋回可能に枢支された案内部材と、一端がこの案内部材に接続されこの案内部材に案内されて他端が車両の外側に突出可能な走行桁と、この走行桁の他端に連結された支持脚とを備えて構成され、車両に積み卸し装置を配置すると、走行桁を案内部材側に変位させて荷台上に配して車両を走行させ、車両が作業場所に達すると、走行桁の他端を走行路外側の作業場所に延長して支持脚で支持し、走行桁を車両と走行路外側の作業場所との間に配置させ、被搬送物を車両と作業場所との間で走行桁に沿って移動させて積み卸しすることを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項9に係る積み卸しシステムでは、軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両に設けられ被搬送物を積み卸しする積み卸しシステムであって、積み卸し装置は、車両の荷台の左右いずれか一方の側に設けられた支持柱と、この支持柱の上端に旋回可能に枢支された案内部材と、一端がこの案内部材に接続されこの案内部材に案内されて他端が車両の外側に突出可能な走行桁と、この走行桁の他端に連結された支持脚とを備えて構成され、車両に積み卸し装置を配置すると、走行桁を案内部材側に変位させて荷台上に配して車両を走行させ、車両が作業場所に達すると、走行桁の他端を走行路外側の作業場所に延長して支持脚で支持し、走行桁を車両と走行路外側の作業場所との間に配置させ、被搬送物を車両と作業場所との間で走行桁に沿って移動させて積み卸しするようにしたことにより、車両の走行時または非作業時には、走行桁を案内部材側に後退させて車両上に配し、作業時には、走行桁を変位させて他端を走行路の外側に配して支持脚により支持し、走行桁を車両と走行路の外側との間に配置するようになっている。このため、被搬送物を車両と走行路外側の作業場所との間で走行桁に沿って移動可能に積み卸しすることができ、作業が効率化される。また、走行桁は、案内部材側に後退させて車両上に配することができるので、たとえ荷台が小さくとも荷台上に走行桁を収納することができ、小型の車両であっても対応することができる。
【0013】
また、本発明の請求項10に係る積み卸し方法は、軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両と走行路外側の作業場所との間で被搬送物を積み卸しする積み卸し方法であって、積み卸し装置を、車両の荷台の左右いずれか一方の側に設けられた支持柱と、この支持柱の上端に旋回可能に枢支された案内部材と、一端がこの案内部材に接続されこの案内部材に案内されて他端が車両の外側に突出可能な走行桁と、この走行桁の他端に連結された支持脚とを備えて構成し、走行桁を荷台上に配置する第1のステップと、荷台上に走行桁が配置された車両を作業場所まで走行させる第2のステップと、車両が作業場所に達すると、走行桁を旋回させて他端を走行路外側の作業場所に配して支持脚で支持し、走行桁を車両と走行路外側の作業場所との間に配置する第3のステップと、被搬送物を作業場所と車両と間で走行桁に沿って移動可能に積み卸しする第4のステップとを有することを特徴としている。
【0014】
本発明の請求項10に係る積み卸し方法では、軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両と走行路外側の作業場所との間で被搬送物を積み卸しする積み卸し方法であって、積み卸し装置を、車両の荷台の左右いずれか一方の側に設けられた支持柱と、この支持柱の上端に旋回可能に枢支された案内部材と、一端がこの案内部材に接続されこの案内部材に案内されて他端が車両の外側に突出可能な走行桁と、この走行桁の他端に連結された支持脚とを備えて構成し、走行桁を荷台上に配置する第1のステップと、荷台上に走行桁が配置された車両を作業場所まで走行させる第2のステップと、車両が作業場所に達すると、走行桁を旋回させて他端を走行路外側の作業場所に配して支持脚で支持し、走行桁を車両と走行路外側の作業場所との間に配置する第3のステップと、被搬送物を作業場所と車両と間で走行桁に沿って移動可能に積み卸しする第4のステップとを有することにより、車両の走行時または非作業時には、走行桁を案内部材側に後退させて車両上に配し、作業時には、走行桁を変位させて他端を走行路の外側に配して支持脚により支持し、走行桁を車両と走行路の外側との間に配置するようになっている。このため、被搬送物を車両と走行路外側の作業場所との間で走行桁に沿って移動可能に積み卸しすることができ、作業が効率化される。また、走行桁は、案内部材側に後退させて車両上に配することができるので、たとえ荷台が小さくとも荷台上に走行桁を収納することができ、小型の車両であっても対応することができる。
【0015】
本発明に係る積み卸し方法は、第1のステップで、荷台上に被搬送物を積み込み、第4のステップで、被搬送物を車両から作業場所に移動させることが好ましい。係る構成とすることにより、荷台に積み込んだ被搬送物を効率的に作業場所に積み卸すことができる。また、第4のステップで、作業場所から荷台上に被搬送物を積み込むことが好ましい。係る構成とすることにより、作業場所の被搬送物を効率的に荷台に積み込むことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に係る積み卸し装置は、軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両に設けられ被搬送物を積み卸しする積み卸し装置であって、車両の荷台の左右いずれか一方の側に設けられた支持柱と、この支持柱の上端に旋回可能に枢支された案内部材と、一端がこの案内部材に接続されこの案内部材に案内されて他端が車両の外側に突出可能な走行桁と、この走行桁の他端に連結された支持脚とを備えて構成されるようにしたので、作業が効率化される。また、走行桁は、案内部材側に後退させて車両上に配することができるので、たとえ荷台が小さくとも荷台上に走行桁を収納することができ、小型の車両であっても対応することができる。
【0017】
本発明の請求項9に係る積み卸しシステムは、軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両に設けられ被搬送物を積み卸しする積み卸しシステムであって、積み卸し装置は、車両の荷台の左右いずれか一方の側に設けられた支持柱と、この支持柱の上端に旋回可能に枢支された案内部材と、一端がこの案内部材に接続されこの案内部材に案内されて他端が車両の外側に突出可能な走行桁と、この走行桁の他端に連結された支持脚とを備えて構成され、車両に積み卸し装置を配置すると、走行桁を案内部材側に変位させて荷台上に配して車両を走行させ、車両が作業場所に達すると、走行桁の他端を走行路外側の作業場所に延長して支持脚で支持し、走行桁を車両と走行路外側の作業場所との間に配置させ、被搬送物を車両と作業場所との間で走行桁に沿って移動させて積み卸しするようにしたので、作業が効率化される。また、走行桁は、案内部材側に後退させて車両上に配することができるので、たとえ荷台が小さくとも荷台上に走行桁を収納することができ、小型の車両であっても対応することができる。
【0018】
本発明の請求項10に係る積み卸し方法は、軌道または道路のうち少なくとも何れか一方の走行路を走行する車両と走行路外側の作業場所との間で被搬送物を積み卸しする積み卸し方法であって、積み卸し装置を、車両の荷台の左右いずれか一方の側に設けられた支持柱と、この支持柱の上端に旋回可能に枢支された案内部材と、一端がこの案内部材に接続されこの案内部材に案内されて他端が車両の外側に突出可能な走行桁と、この走行桁の他端に連結された支持脚とを備えて構成し、走行桁を荷台上に配置する第1のステップと、荷台上に走行桁が配置された車両を作業場所まで走行させる第2のステップと、車両が作業場所に達すると、走行桁を旋回させて他端を走行路外側の作業場所に配して支持脚で支持し、走行桁を車両と走行路外側の作業場所との間に配置する第3のステップと、被搬送物を作業場所と車両と間で走行桁に沿って移動可能に積み卸しする第4のステップとを有するようにしたので、作業が効率化される。また、走行桁は、案内部材側に後退させて車両上に配することができるので、たとえ荷台が小さくとも荷台上に走行桁を収納することができ、小型の車両であっても対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る積み卸し装置を示す斜視図で、作業場所に到着し、走行桁を荷台上に収納した状態を示す。
【
図2】
図2は、
図1の積み卸し装置の走行桁を作業場所に配置した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の積み卸し装置の走行桁を作業場所に配置した後、作業開始前に手摺りをセットした状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の積み卸し装置の走行桁と手摺りがセットされ、作業開始の状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5の積み卸し装置のVI-VI線から見た背面図である。
【
図7】
図7は、
図5の積み卸し装置のVII-VII線から見た背面図である。
【
図8】
図8は、
図1の積み卸し装置の案内部材に走行桁が取り付けられる前の状態を示す平面図で、手摺り支持板を倒伏させた状態を示す。
【
図9】
図9は、荷台に
図1の積み卸し装置を取り付けた状態を示す平面図である
【
図11】
図11は、
図1の積み卸し装置の走行桁を荷台上に収納した状態を示す側面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る積み卸し装置を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、走行桁を荷台に格納し重量物を積載した際の、
図12の積み卸し装置の斜視図である。
【
図23】
図23の(A)、(B)はそれぞれ、リニアガイドを構成するレールとブロックを示す要部の斜視図および断面図である。
【
図24】
図24は、重量物を積載し走行桁を作業場所に配置した際の、
図12の積み卸し装置の斜視図である。
【
図25】
図25の(A)、(B)はそれぞれ、角度調整具により走行桁を最大角度上方に上げた場合と、走行桁を最大角度下方に下げた場合を示す説明図である。
【
図26】
図26は、案内部材のリニアガイドによるスライド量を示す説明である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に示す第1の実施形態により本発明を説明する。本発明の第1の実施形態に係る積み卸し装置2は、
図1ないし
図4に示すように、軌道(走行路)Rまたは道路(走行路)を選択可能に走行する軌陸車(車両)3の荷台4に設けられる。この軌陸車3は、PC板等の長尺の重量物(被搬送物)Wを倉庫等から載置して道路から軌道Rに乗り入れ、この軌道R上を走行して軌道Rに臨む作業場所Pまでこれら重量物Wを搬送し、積み卸し装置2により重量物Wを作業場所Pに積み卸すようになっている。また、逆に、作業場所Pの重量物Wを積み卸し装置2により荷台4に積み込み、所望の場所に搬送するようになっている。
【0021】
積み卸し装置2は、
図5ないし
図8に示すように、軌陸車3の荷台4の左右いずれか一方の側(本実施形態では、左側)に前後方向に所定の間隔を隔てるとともに、高さを異ならせて設けられ、荷台4に対して垂直に立ち上がる支持柱10、11と、これら支持柱10、11の上端に、それぞれ旋回可能に枢支され長さが異なる案内部材12、13と、これら案内部材12、13に、一端14A、15Aが変位可能に接続され他端14B、15Bが車両3の外側に突出可能な走行桁14、15と、これら走行桁14、15の他端14B、15Bに揺動可能に連結されるとともに、高さが調整可能で、軌道Rに臨む作業場所Pに接地可能な支持脚16、17とを備えて構成される。
【0022】
支持柱10、11は、荷台4に対して連結具5を介して前後方向の所望の位置に着脱自在に取り付けられるようになっている。これら前側支持柱10と後側支持柱11の上端部10A、11Aには、それぞれピン20、21が設けられ、これらピン20、21は、案内部材12、13の底面部30に穿設された孔に遊嵌されるようになっている。
【0023】
前側案内部材12と後側案内部材13はそれぞれ、底面部30と、この底面部30の両側端に形成された折曲部31A、31Bと、これら折曲部31A、31Bの内側に形成されたガイド壁32A、32Bとを備えて構成される。ガイド壁32A、32Bにはそれぞれ、長手方向に沿ってスリット33が形成される。これら折曲部31A、31Bとガイド壁32A、32Bとにより、後述するローラ41、42の走行溝34が形成される。これら案内部材12、13は、支持柱10、11のピン20、21に遊びを設けて嵌まっているので、支持柱10、11の上端部10A、11Aに対して旋回可能となっているとともに、上下方向に遊び分揺動可能となっている。本実施形態では、前側案内部材12の長手方向寸法を後側案内部材13より長くしているがこれに限られるものではなく、荷台4の形状や大きさに対応させて、ほぼ同じ長さとしてもよいし、逆に後側案内部材13を長寸にしてもよい。
【0024】
ところで、これら前後の案内部材12、13にはそれぞれ、長さの異なる走行桁14、15が転動可能に接続される。走行桁14、15の一端14A、15Aには、軸40を介してローラ41、42が設けられる。軸40は、両端がガイド壁32A、32Bのスリット33を貫通してローラ41、42が取り付けられ、これらローラ41,42は走行溝34を転動するようになっている。走行桁14、15の上面14C、15Cには、トロリ50が走行自在に載置されるようになっている。トロリ50は、走行桁14、15の上面14C、15Cを走行するようになっている。このトロリ50には、重量物Wを吊り上げ可能に保持するチェーンブロック(図示せず)が吊支される。なお、トロリ50は、本実施形態では、手動のトロリを用いているが、これに限られるものではなく、電動トロリを用いてもよい。走行桁14、15は、荷台4の形状や大きさに対応させて、荷台4に収納できる長さに設定される。このため、走行桁14、15は、非作業時あるいは車両3の走行時、
図9に示すように、走行桁14、15の一端14A、15A側を案内部材12、13の他端側に移動させて、案内部材12、13を旋回させ、荷台4(車両3)上に収納することができるようになっている。また、前後の支持柱10、11は、
図1および
図11に示すように、高さを異ならせて構成され、前方側の支持柱10は長寸に、後方側の支持柱11は短寸にそれぞれ形成され、案内部材12、13の旋回時、走行桁14、15が干渉しないようになっている。このとき、走行桁12、13は、案内部材12、13に対して、案内部材12.13は支持柱10、11に対して、それぞれ図示しないロックピンによりロックされるようになっている。そして、作業時には、
図5に示すように、図示しないロックピンを外して、案内部材12、13は支持柱10、11に対して旋回自在に、また、走行桁12、13は案内部材12に対して進退自在に変位させることができるようになっている。
【0025】
支持脚16、17は、
図2に示すように、上側支持脚部60と上側支持脚部60に挿通可能な管状の接地脚部61とから構成される。接地脚部61には、上下に所定間隔毎に高さ調整孔62が形成され、上側支持脚部60の孔63と合致させて図示しないピンを挿入すると、支持脚16、17の高さを調整することができるようになっている。このため、作業場所Pにカントがあっても支持脚16、17の高さを調整し、水平を確保することができるようになっている。カントが小さい場合、案内部材12、13はピン20、21に遊びを持って旋回可能に連結されているので、案内部材12、13の上下方向に傾斜させて対応できるようになっている。また、支持脚16,17は、走行桁14、15の他端14B、15Bに揺動可能に連結されているので、走行桁15が、荷台4上に収納される際、干渉を避けて折り畳みロックすることができるようになっている。なお、干渉しない場合、一方の支持脚16については、高さを調整して荷台4に載置させるようにしてもよい。
【0026】
軌陸車3の荷台4の右側には、荷台4と作業場所Pの間に配置される渡り足場70が倒伏可能に立設される。渡り足場70の倒伏時、渡り足場70と支持柱11との間に手摺り71が取り付けられるようになっている。
【0027】
次に、本発明の第1の実施形態に係る積み卸し装置を用いた積み卸しシステムおよび積み卸し方法について、上記実施形態に係る積み卸し装置2の動作に基づいて説明する。上記実施形態に係る積み卸し装置2は、軌陸車3の荷台4に連結具5を介して取り付けられ、この軌陸車3は、軌道Rまたは道路のいずれの走行路も走行可能になっている。積み卸し装置2は、
図9に示すように、まず、走行桁14、15を案内部材12、13側に変位させ、案内部材12、13を旋回させて、荷台4上に配し、図示しないロックピンにより、走行桁12、13は、案内部材12、13に対して、また、案内部材12.13は支持柱10、11に対して、それぞれロックする(第1のステップS1)。このとき、荷台4に重量物Wを積み込んで作業場所Pまで運ぶようにしてもよい。次に,荷台4上に走行桁14、15が配置されてロックされると、軌陸車3を作業場所Pまで走行させる(第2のステップS2)。次に、
図1に示すように、作業場所Pに到着すると、案内部材12、13と走行桁14、15とのロックを解除する。そして、
図2に示すように、案内部材12、13を旋回させて軌間方向に配置し、走行桁14、15を作業場所P側に引き出し、支持脚16、17の高さを調整して作業場所Pに接地させ、ロックする。このとき、渡り足場70を倒伏させ、渡り足場70と支持柱11との間に手摺り71を取り付ける(
図3参照)。こうして、走行桁14、15を軌陸車3の荷台4と軌道R外側の作業場所Pとの間に配置させる(第3のステップS3)。次に、荷台4に作業場所Pに運び込む重量物Wが積み込まれている場合には、走行桁14、15上のトロリ50と図示しないチェーンブロックとにより重量物Wを作業場所Pに積み卸し、作業場所Pから荷台4に重量物Wを積み込む場合には(
図4参照)、トロリ50とチェーンブロックとをまず作業場所P側に移動させて重量物Wを吊り上げ、荷台4に積み込むようになっている(第4のステップS4)。
【0028】
このように、本実施形態に係る積み卸し装置2を用いた積み卸しシステムでは、軌陸車3の走行時または非作業時には、走行桁14、15を案内部材12、13側に変位させ、案内部材12、13を旋回させて、荷台4上に配し、軌陸車3を走行させて作業場所Pに到着すると、走行桁14、15の他端14B、15Bを軌道R外側の作業場所Pに延ばして支持脚16、17で支持し、走行桁14、15を軌陸車3と軌道R外側の作業場所Pとの間に配置させ、重量物Wを軌陸車3と作業場所Pとの間で走行桁14、15に沿って移動させて積み卸しすることができるようになっている。このため、簡素な構成で、重量物Wを軌陸車3と作業場所Pとの間で走行桁14、15に沿って移動可能に積み卸しすることができるので、作業が効率化される。また、走行桁14、15は、案内部材12、13側に後退させて荷台4上に配することができるので、走行桁14、15を短寸化して移動量を稼ぐことができ、たとえ荷台4が小さくとも荷台4上に走行桁14、15を収納することができ、小型の車両であっても対応することができる。
【0029】
また、本実施形態に係る積み卸し装置2を用いた積み卸し方法では、第1のステップS1では、走行桁14、15を案内部材12、13側に変位させ、案内部材12、13を旋回させて、荷台4上に配し、第2のステップでは、荷台4上に走行桁14、15が配置されてロックされると、軌陸車3を作業場所Pまで走行させ、第3のステップS3では、走行桁14、15を軌陸車3の荷台4と軌道R外側の作業場所Pとの間に配置させ、第4のステップS4では、走行桁14、15を軌陸車3と軌道R外側の作業場所Pとの間に配置させ、重量物Wを軌陸車3と作業場所Pとの間で走行桁14、15に沿って移動させて積み卸しするようにしている。このため、荷台4に作業場所Pに運び込む重量物Wが積み込まれている場合であっても、作業場所Pから荷台4に重量物Wを積み込む場合であっても、効率的に作業を行うことができる。そして、作業終了後、走行桁14、15を荷台4上に配置すると速やかに撤収することができ、作業が効率化されるとともに省力化を図ることができる。さらに、渡り足場70の倒伏時、手摺り71を取り付けているので、安全に作業を行うことができる。
【0030】
次に本発明の第2の実施形態に係る積み卸し装置102について説明する。本発明の第2の実施形態に係る積み卸し装置102は、上記第1の実施形態に係る積み卸し装置2では、案内部材12、13を、走行溝34を転動するローラ41、42とスリット33を貫通する軸40により走行桁14、15を直線状に変位させるよう構成しているのに対し、
図12ないし
図17に示すように、案内部材112、113を、支持柱110、111の上端に設けられた支持台110A、111Aに旋回可能に取り付けられ、この支持台110A、111A上面を摺動する受け部材130、131と、これら受け部材130、131上に往復動自在に配置され、走行桁114、115の一端部114A、115Aに連結されたリニアガイド(LMガイド(登録商標))140とを備えて構成した点が異なっている。
【0031】
この積み卸し装置102では、支持柱110、111はそれぞれ、
図12、
図16および
図18に示すように、軌陸車103の荷台104の左右いずれか一方の側に前後方向に所定の間隔を隔て、高さを異ならせて設けられ、荷台104に対して垂直に立ち上がるようになっている。これら支持柱110、111の上端には、上面に樹脂プレートが貼付された支持台110A、111Aが設けられる。前後の支持柱110、111間には、手摺りや工具等を収納する収納ボックス118が設けられる。これら支持台110A、111Aにはそれぞれ、
図13および
図22に示すように、矩形の受け部材130、131がスラスト玉軸受120,121により旋回可能に取り付けられ、支持台110A、111Aの樹脂プレート上面を滑らかに摺動するようになっている。
【0032】
受け部材130、131の長手方向一端側にはそれぞれ、旋回方向に沿った切り欠き132が形成される。受け部材130、131は、旋回方向の両側端部と車外側の長手方向端部がそれぞれ折曲されて脱落防止を図るようになっている。受け部材130、131の旋回方向の両側折曲端部は案内部材112、113が旋回方向に脱落するのを防止するようになっている。受け部材130、131の長手方向折曲端部は、案内部材112、113が後方に予め設定した最大のスライド量変位した際、案内部材112、113に当接してそれ以上の変位を阻止するようになっている。支持台110A、111Aには、この切り欠き132の終端部に合致してねじ孔110B、111Bがそれぞれ形成され、これら切り欠き132とねじ孔110B、111Bを合致させて螺合具133を着脱自在に螺挿するようにしている。螺合具133は、有頭ボルトを支持台110A、111A側から挿通し突出端に座金を入れて受け部材130、131上に載置しナットで螺締するようになっている。これら切り欠き132と螺合具133とで受け部材130,131の回転止めと浮き上がりを防ぐ抑止機構134が構成される。
【0033】
受け部材130、131には、
図21に示すように、下面にリニアガイド140を備えた支持桁141が載置される。支持桁141は、断面コ字状の一対の長尺金具141A、141Bにより構成される。この支持桁141は、走行桁114、115の一端側と回動軸123により連結され、
図25の(A)、(B)に示すように、走行桁114、115の他端側114B、115Bが支持桁141に対して上下にそれぞれ最大数度の起伏角度で変位可能に軸支されるようになっている。
【0034】
走行桁114、115の一端側端部114A、115Aにはそれぞれ、角度調整具150が設けられ、走行桁114、115を所望の起伏角度で傾斜させて保持することができるようになっている。角度調整具150は、
図13、
図19および
図20に示すように、走行桁114、115の一端側端部114A、115Aに取り付けられたブラケット151に走行桁傾斜調整ボルト152が螺挿される。この走行桁傾斜調整ボルト152の下部152Aは支持桁141の両長尺金具141A、141B間を連結するコ字状金具153に螺合するようになっている。走行桁傾斜調整ボルト152には、ブラケット151とコ字状金具153との間にナット154が上下位置を調整可能に螺嵌され、走行桁傾斜調整ボルト152を正逆に回すことにより、走行桁114、115を所望の起伏角度に保持するようになっている。符号155は、取っ手で走行桁114、115を変位させる際に用いられる。
【0035】
ところで、本実施形態に係る積み卸し装置102では、
図20、
図21および
図23の(A)、(B)に示すように、支持桁141の下面にリニアガイド140が設けられる。リニアガイド140は、各長尺金具141A、141Bの底部下面の中央に沿って設けられたリニアガイドレール(LMレール(登録商標))142と、このリニアガイドレール142に取り付けられリニアガイドレール142に沿って摺動するリニアガイドブロック(LMブロック(登録商標))143とを備えて構成される。リニアガイドブロック143は、受け部材130、131の所定の位置に配置される。このため、走行桁114、115の取っ手155を押したり引いたりすると、走行桁114、115は、受け部材130、131上を直線状に往復動するようになっている。そして、走行桁114、115が荷台104上に配置され、受け部材130、131が支持台110A、111A上を旋回すると、受け部材130,131と一体に旋回するようになっている。
【0036】
次に、本実施形態に係る積み卸し装置102を用いた積み卸しシステムおよび積み卸し方法について、上記実施形態に係る積み卸し装置102の動作に基づいて説明する。上記実施形態に係る積み卸し装置102は、
図16および
図17に示すように、まず、走行桁114、115を受け部材130、131側に変位させ、抑止機構134の螺合具133を外し、受け部材130、131を旋回させて、走行桁114、115を荷台104上に配し、図示しないロックピンにより、走行桁114、115は、支持柱110、111に対して、また、受け部材130、131は螺合具133の装着により支持柱110、111に対して、それぞれロックされる(第1のステップS101)。このとき、荷台104に重量物Wを積み込んで作業場所Pまで運ぶようにしてもよい。また、角度調整具150を操作して、前方側走行桁114を下方に傾斜させてもよい。次に,荷台104上に走行桁114、115が配置されてロックされると、軌陸車103を作業場所Pまで走行させる(第2のステップS102)。次に、
図18に示すように、作業場所Pに到着すると、走行桁114、115と支持柱110、111とのロックを、受け部材130、131と支持柱110、111とのロックをそれぞれ解除する。そして、
図14および
図15および
図24に示すように、受け部材130、131を旋回させて軌間方向に配置し、走行桁114、115の起伏角度を角度調整具150により調整し、これら走行桁114、115を作業場所P側に引き出し、支持脚16、17の高さを調整して作業場所Pに接地させ、ロックする。こうして、走行桁114、115が作業場所と荷台104との間にセットされると、螺合具133を装着し、受け部材130,131の旋回を阻止するとともに浮き上がりを阻止するようになっている。このとき、渡り足場70を倒伏させ、渡り足場70と支持柱111との間に手摺り71を取り付ける。こうして、走行桁114、115を軌陸車103の荷台104と軌道R外側の作業場所Pとの間に配置させる(第3のステップS103)。次に、荷台104に作業場所Pに運び込む重量物Wが積み込まれている場合には、走行桁114、115上のトロリ50と図示しないチェーンブロックとにより重量物Wを作業場所Pに積み卸し、作業場所Pから荷台4に重量物Wを積み込む場合には、トロリ50とチェーンブロックとをまず作業場所P側に移動させて重量物Wを吊り上げ、荷台104に積み込むようになっている(第4のステップS104)。
【0037】
本実施形態に係る積み卸し装置102では、受け部材130、131を支持台110A、111A上で回動させる構成としているので、支持台110A、111Aの面積をより広く確保し、受け部材130、131の長手方向寸法をより長く取ることができるようになっている。このため、
図26に示すように、支持桁141の寸法を長く取ることができ、走行桁114、115の長手方向ほぼ真ん中近くまで配置することができ、走行桁114、115のスライド量を大きくすることができるようになっている。つまり、格納時に軌陸車103から走行桁114、115をはみ出さないようにしている。後方に大きくスライドすることで、重心が受け部材130、131の回転中心に近づき、走行桁114、115を回転させるための負荷軽減につながっている。本実施形態では、スライド量は基準位置Ps(
図26参照)から1141mmまで後方にスライドさせることができるようになっている。また、
図25の(A)、(B)に示すように、角度調整具150の操作により、走行桁114、115を作業場所Pに設置する前後や、撤収する前後に、上げ下げすることができるので、干渉を避けたり、設置しやすくなり、作業性が向上する。さらに、走行桁を引き出して作業を行う際や格納時に、螺合具133を装着するようにしているので、受け部材130,131の旋回を阻止するとともに浮き上がりを阻止するので安全に作業を行うことができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、長尺の重量物WをPC板としているが、これに限られるものではなく、例えば、断面概略コ字状のホームウォール(ホーム用床板と土留め用擁壁を兼ねたホームドアの設置が可能な駅のホーム構築用ブロック)のような短尺の重量物(ベース:1,300mm、高さ:1,650mm,床幅:1,100mm)の積み卸しでは、上記実施形態に係る積み卸し装置2のように、荷台4の左側前後端に2台の支持柱10、11を設ける必要はなく、例えば、1台の支持柱を荷台4の左側で前後方向の所望の位置に設けるようにしてもよい。このようにすることにより、短寸の重量物(ホームウォール)であっても支持柱の位置に応じて支持柱の左右方向の荷台4上と作業場所Pとの間で線状に積み卸しすることができ、作業効率が向上する。また、短寸の重量物(ホームウォール)が、荷台4に2台載る場合であれば、これら短寸の重量物(ホームウォール)の載せ方に応じて、2台の支持柱を、3台載る場合であれば、3台の支持柱を、それぞれ所定の間隔を隔てて設けるようにしてもよい。このように、支持柱は荷台4の一側に被搬送物Wに対応して所望の位置に着脱自在に設けているので、積み卸し作業の効率化を図ることができるようになっている。
【0039】
また、上記実施形態では、車両を、鉄道と道路のいずれの走行路も走行可能な軌陸車3としているが、これに限られるものではなく、走行路外側の作業場所と車両との間で積み卸しを行うものであれば、鉄道専用の走行台車(トロ運搬台車)や道路専用の作業車であってもよい。また、上記実施形態では、支持柱10、11の高さを異ならせているがこれに限られるものではなく、同じ高さとしてもよい。さらに、上記実施形態では、走行桁を2本で構成しているが、これに限られるものではなく、荷台が前後に長い場合、2本以上設けてもよいことは言うまでもない。また、上記実施形態では、被搬送物を長尺でもあり重量物でもあるPC板としているがこれに限られるものではなく、長尺の重量物がレールや軌框等であってもよいし、短寸の重量物が、転轍機や分岐器のようなものであってもよい。さらに、走行桁14、15、114,115の強度を、耐荷重1tに設定している。また、支持柱10、11、支持柱110、111を荷台4、104に載置した台座に設け、これら台座の前後方向中央部に収縮装置を設け、前後の支持柱10、11、110、111間の間隔を調整可能に構成してもよい。係る構成により軌陸車3の車種に対応させることができる。
【符号の説明】
【0040】
2 積み卸し装置
3 軌陸車(車両)
4 荷台
10、11 支持柱
12、13 案内部材
14、15 走行桁
16、17 支持脚
R 軌道(走行路)