(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定方法及び電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定構造
(51)【国際特許分類】
H04N 23/57 20230101AFI20240226BHJP
H01R 13/00 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
H04N23/57
H01R13/00
(21)【出願番号】P 2023210984
(22)【出願日】2023-12-14
【審査請求日】2023-12-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悟
(72)【発明者】
【氏名】笹木 仁人
【審査官】吉田 千裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-26568(JP,A)
【文献】特開2021-166161(JP,A)
【文献】特開2018-6162(JP,A)
【文献】特開2009-93935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N23/00
H01R13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法であって、
前記電子機器を内装するケースは、貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔と連通し、外部に突出する筒状のハウジングを有する第1のケースと、撮像素子を収容する第2のケースと、を備え、前記第1のケースと前記第2のケースとを接合して構成され、
前記端子モジュールは、基端側に先端側よりも拡径したフランジ部を有する筒状の導体であるシェルと、前記シェルの中心軸に沿って内側に配置された中心コンタクトと、前記シェルと前記中心コンタクトとの間に介在し、前記中心コンタクトを保持する絶縁部材と、を備え、
同一材料若しくは異なる材料からなる複数の部材を接合する熱接着フィルムを前記第1のケースの内面側における前記貫通孔の外縁の周囲に形成されたフランジ受け部に配置する工程と、
前記フランジ部が前記フランジ受け部と前記熱接着フィルムを介して接する位置まで前記端子モジュールを前記先端側から前記貫通孔に挿入する工程と、
前記端子モジュールを前記貫通孔に挿入した後に、更に前記端子モジュールを前記ハウジング内に向けて押圧して前記貫通孔内に圧入する工程と、
前記圧入の後に、前記フランジ受け部の周囲を加熱する工程と、を含む電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法。
【請求項2】
前記端子モジュールを前記貫通孔内に圧入する工程において、前記端子モジュールの圧入位置は、前記ハウジングの内周面に形成された規制部により前記端子モジュールの前記先端側で規制されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法であって、
前記電子機器を内装するケースは、貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔と連通し、外部に突出する筒状のハウジングを有する第1のケースと、撮像素子を収容する第2のケースと、を備え、前記第1のケースと前記第2のケースとを接合して構成され、
前記端子モジュールは、基端側に先端側よりも拡径したフランジ部を有する筒状の導体であるシェルと、前記シェルの中心軸に沿って内側に配置された中心コンタクトと、前記シェルと前記中心コンタクトとの間に介在し、前記中心コンタクトを保持する絶縁部材と、を備え、
同一材料若しくは異なる材料からなる複数の部材を接合する熱接着フィルムを前記第1のケースの内面側における前記貫通孔の外縁の周囲に形成されたフランジ受け部に配置する工程と、
前記フランジ部が前記フランジ受け部と前記熱接着フィルムを介して接する位置まで前記端子モジュールを前記先端側から前記貫通孔に挿入する工程と、
前記端子モジュールを前記貫通孔に挿入した後に、更に前記端子モジュールを前記ハウジング内に向けて押圧して前記貫通孔内に圧入しつつ、前記フランジ受け部の周囲を加熱する工程と、を含む電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法。
【請求項4】
電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法であって、
前記電子機器を内装するケースは、貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔と連通し、外部に突出する筒状のハウジングを有する第1のケースと、撮像素子を収容する第2のケースと、を備え、前記第1のケースと前記第2のケースとを接合して構成され、
前記端子モジュールは、基端側に先端側よりも拡径したフランジ部を有する筒状の導体であるシェルと、前記シェルの中心軸に沿って内側に配置された中心コンタクトと、前記シェルと前記中心コンタクトとの間に介在し、前記中心コンタクトを保持する絶縁部材と、を備え、
同一材料若しくは異なる材料からなる複数の部材を接合する熱接着フィルムを前記フランジ部の前記先端側の面に配置する工程と、
前記フランジ部が前記第1のケースの内面側における前記貫通孔の外縁の周囲に形成されたフランジ受け部と前記配置された前記熱接着フィルムを介して接する位置まで前記端子モジュールを前記先端側から前記貫通孔に挿入する工程と、
前記端子モジュールを前記貫通孔に挿入した後に、更に前記端子モジュールを前記ハウジング内に向けて押圧して前記貫通孔内に圧入する工程と、
前記圧入の後に、前記フランジ受け部の周囲を加熱する工程と、を含む電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法。
【請求項5】
電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定構造であって、
前記電子機器を内装するケースは、貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔と連通し、外部に突出する筒状のハウジングを有する第1のケースと、撮像素子を収容する第2のケースと、を備え、前記第1のケースと前記第2のケースとを接合して構成され、
前記端子モジュールは、基端側に先端側よりも拡径したフランジ部を有する筒状の導体であるシェルと、前記シェルの中心軸に沿って内側に配置された中心コンタクトと、前記シェルと前記中心コンタクトとの間に介在し、前記中心コンタクトを保持する絶縁部材と、を備え、
前記端子モジュールは、前記先端側が前記ハウジングの内周面に形成された規制部により規制されているとともに、前記フランジ部と、前記第1のケースの内面側における前記貫通孔の周囲に形成されたフランジ受け部とが、前記フランジ部と前記フランジ部との間に挟持された同一材料若しくは異なる材料からなる複数の部材を接合する熱接着フィルムにより接着されていることで、前記電子機器を内装するケースに対して固定されていることを特徴とする電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定方法及び電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器を内装するケースとして、例えば、カメラを収容するカメラケースに対し、カメラケース内のカメラを含むカメラモジュールと、外部のケーブル等とを接続させ、導通させる端子モジュールを固定することが行われている。このようなカメラケースと端子モジュールの固定構造は、内部に水等の液体が入り込まないようにするため高い防水性が求められている。
【0003】
このようなカメラケースと端子モジュールの固定構造として、端子モジュール30の第一筒状シェル3とプラグケース10Aとを、第一筒状シェル3の周囲に外部シール部材6を備えてプラグケース10Aに挿入し、第一筒状シェル3を押し潰して形成された複数の係止リブ32により固定する方法による固定構造が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示された固定構造は、外部シール部材6がプラグケース10Aの内周面及び第一筒状シェル3の外周面に接触することで、プラグケース10Aの円筒空間への液体の浸入を抑制している。
【0004】
また、カメラケース以外の分野においては、スマートフォン、タブレット端末等において、端子部材30を筐体10に防水固定するために、端子部材30の取付面に防水部材40として両面テープ、接着剤を用いる固定方法も開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2022-174604号公報
【文献】特開2021-166158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された端子モジュール30をプラグケース10Aに固定する方法においては、止水するためにシール部材6を端子モジュール30の第一筒状シェル3に着用させる工程を事前に行い、更に、端子モジュール30をプラグケース10Aに固定するために第一筒状シェル3にあらかじめ複数の押し潰し形状(係止リブ32)を形成した上で、それぞれを潰す工程が必要となる。このためプラグケース10Aに対して端子モジュール30を固定する際に、防水機能を持たせるためシール部材6を適用しようとすると組み立て工数が多くなってしまう問題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されたように両面テープ、接着剤を用いて筐体10に端子部材30を固定しようとした場合、工数としては特許文献1に開示された方法よりも少なくなる一方で、組み立て時の作業性が悪いという問題がある。具体的には、筐体10に端子部材30を固定するという作業に関し、両面テープによる接着は一度で適切な配置に張り付けることが必要であり、また、接着剤による接着は液量や塗布位置の精密な管理や端子などの導電部に付着する懸念があることから、高度な注意を払う必要があり、容易な作業ではないことから、組み立て時の作業性が悪い。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、電子機器を内装するケースに対して端子モジュールを固定する際に、防水機能を持たせ、組み立て工数を減らすことができるとともに、組み立て時の作業性を向上することができる電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定方法、及び、電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法は、上記目的を達成するため、電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法であって、前記電子機器を内装するケースは、貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔と連通し、外部に突出する筒状のハウジングを有する第1のケースと、撮像素子を収容する第2のケースと、を備え、前記第1のケースと前記第2のケースとを接合して構成され、前記端子モジュールは、基端側に先端側よりも拡径したフランジ部を有する筒状の導体であるシェルと、前記シェルの中心軸に沿って内側に配置された中心コンタクトと、前記シェルと前記中心コンタクトとの間に介在し、前記中心コンタクトを保持する絶縁部材と、を備え、同一材料若しくは異なる材料からなる複数の部材を接合する熱接着フィルムを前記第1のケースの内面側における前記貫通孔の外縁の周囲に形成されたフランジ受け部に配置する工程と、前記フランジ部が前記フランジ受け部と前記熱接着フィルムを介して接する位置まで前記端子モジュールを前記先端側から前記貫通孔に挿入する工程と、前記端子モジュールを前記貫通孔に挿入した後に、更に前記端子モジュールを前記ハウジング内に向けて押圧して前記貫通孔内に圧入する工程と、前記圧入の後に、前記フランジ受け部の周囲を加熱する工程と、を含む。
【0010】
この構成により、本発明に係る電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法は、熱接着フィルムを第1のケースのフランジ受け部に配置し、端子モジュールを貫通孔に挿入してから圧入し、フランジ部とフランジ受け部とに挟持された熱接着フィルムを加熱することで熱接着フィルムが軟化し、端子モジュールと第1のケースとが接着され、固定される。
【0011】
したがって、従来の、事前にOリング等のシール部材を端子モジュールの周囲等に着用し、端子モジュールにシール部材を係止する係止構造を形成し、係止構造を変形させてシール部材を固定してから、端子モジュールを電子機器を内装するケースに挿入し、圧入することで電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法と比較すると本発明に係る方法は、組み立て工数を減らすことができる。
【0012】
また、端子モジュールと第1のケースとがフランジ部及びフランジ受け部で接着されることで、電子機器を内装するケースの外部から貫通孔を通じて電子機器を内装するケースの内部に液体が入り込む、或いは逆に電子機器を内装するケースの内部から貫通孔を通じて電子機器を内装するケースの外部に液体が流出することがなくなり、電子機器を内装するケースは防水機能を有する。
【0013】
また、熱接着フィルムは、常温では粘着性がなく、位置調整が容易であるためフランジ受け部に熱接着フィルムを配置することは比較的容易である。更に、端子モジュールを電子機器を内装するケースの貫通孔内に圧入した後に、熱接着フィルムを加熱するだけで、電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定することができるので、作業として比較的容易である。
【0014】
一方で、従来の両面テープや接着剤による固定は、貼り付け位置や液量等の適切な管理が必要であり高度な注意を払う必要があることから容易な作業ではない。したがって、本発明に係る方法は比較的容易な作業工程を含むことから組み立て時の作業性を向上させることができる。
【0015】
上述した電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法において、前記端子モジュールを前記貫通孔内に圧入する工程において、前記端子モジュールの圧入位置は、前記ハウジングの内周面に形成された規制部により前記端子モジュールの前記先端側で規制されてもよい。
【0016】
この構成により、端子モジュールは、基端側においてフランジ部が熱接着フィルムによりフランジ受け部に固定されるとともに、先端側においてハウジングの内周面に形成された規制部により規制されることで固定される。したがって、端子モジュールの一端側でのみ固定される場合よりも強固に安定して端子モジュールが電子機器を内装するケースに対し固定される。
【0017】
本発明に係る電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法は、電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法であって、前記電子機器を内装するケースは、貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔と連通し、外部に突出する筒状のハウジングを有する第1のケースと、撮像素子を収容する第2のケースと、を備え、前記第1のケースと前記第2のケースとを接合して構成され、前記端子モジュールは、基端側に先端側よりも拡径したフランジ部を有する筒状の導体であるシェルと、前記シェルの中心軸に沿って内側に配置された中心コンタクトと、前記シェルと前記中心コンタクトとの間に介在し、前記中心コンタクトを保持する絶縁部材と、を備え、同一材料若しくは異なる材料からなる複数の部材を接合する熱接着フィルムを前記第1のケースの内面側における前記貫通孔の外縁の周囲に形成されたフランジ受け部に配置する工程と、前記フランジ部が前記フランジ受け部と前記熱接着フィルムを介して接する位置まで前記端子モジュールを前記先端側から前記貫通孔に挿入する工程と、前記端子モジュールを前記貫通孔に挿入した後に、更に前記端子モジュールを前記ハウジング内に向けて押圧して前記貫通孔内に圧入しつつ、前記フランジ受け部の周囲を加熱する工程と、を含む。
【0018】
この構成により、本発明に係る電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法は、熱接着フィルムを第1のケースのフランジ受け部に配置し、端子モジュールを貫通孔に挿入してから圧入しつつ、同時にフランジ部とフランジ受け部とに挟持された熱接着フィルムを加熱することで熱接着フィルムが軟化し、端子モジュールと第1のケースとが接着され、固定される。
【0019】
したがって、従来の、事前にOリング等のシール部材を端子モジュールの周囲等に着用し、端子モジュールにシール部材を係止する係止構造を形成し、係止構造を変形させてシール部材を固定してから、端子モジュールを電子機器を内装するケースに挿入し、圧入することで電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法と比較すると本発明に係る方法は、組み立て工数を減らすことができる。また、端子モジュールの圧入と熱接着フィルムの加熱とを同時に行うことで、別々に行う場合よりも作業時間を短縮することができる。
【0020】
また、端子モジュールと第1のケースとがフランジ部及びフランジ受け部で接着されることで、電子機器を内装するケースの外部から貫通孔を通じて電子機器を内装するケースの内部に液体が入り込む、或いは逆に電子機器を内装するケースの内部から貫通孔を通じて電子機器を内装するケースの外部に液体が流出することがなくなり、電子機器を内装するケースは防水機能を有する。
【0021】
また、熱接着フィルムは、常温では粘着性がなく、位置調整が容易であるためフランジ受け部に熱接着フィルムを配置することは比較的容易である。更に、端子モジュールを電子機器を内装するケースの貫通孔内に圧入した後に、熱接着フィルムを加熱するだけで、電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定することができるので、作業として比較的容易である。
【0022】
一方で、従来の両面テープや接着剤による固定は、貼り付け位置や液量等の適切な管理が必要であり高度な注意を払う必要があることから容易な作業ではない。したがって、本発明に係る方法は比較的容易な作業工程を含むことから組み立て時の作業性を向上させることができる。
【0023】
本発明に係る電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法は、電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法であって、前記電子機器を内装するケースは、貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔と連通し、外部に突出する筒状のハウジングを有する第1のケースと、撮像素子を収容する第2のケースと、を備え、前記第1のケースと前記第2のケースとを接合して構成され、前記端子モジュールは、基端側に先端側よりも拡径したフランジ部を有する筒状の導体であるシェルと、前記シェルの中心軸に沿って内側に配置された中心コンタクトと、前記シェルと前記中心コンタクトとの間に介在し、前記中心コンタクトを保持する絶縁部材と、を備え、同一材料若しくは異なる材料からなる複数の部材を接合する熱接着フィルムを前記フランジ部の前記先端側の面に配置する工程と、前記フランジ部が前記第1のケースの内面側における前記貫通孔の外縁の周囲に形成されたフランジ受け部と前記配置された前記熱接着フィルムを介して接する位置まで前記端子モジュールを前記先端側から前記貫通孔に挿入する工程と、前記端子モジュールを前記貫通孔に挿入した後に、更に前記端子モジュールを前記ハウジング内に向けて押圧して前記貫通孔内に圧入する工程と、前記圧入の後に、前記フランジ受け部の周囲を加熱する工程と、を含む。
【0024】
この構成により、本発明に係る電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法は、熱接着フィルムを端子モジュールのフランジ部の先端側の面に配置し、端子モジュールを貫通孔に挿入してから圧入し、フランジ部とフランジ受け部とに挟持された熱接着フィルムを加熱することで熱接着フィルムが軟化し、端子モジュールと第1のケースとが接着され、固定される。
【0025】
したがって、従来の、事前にOリング等のシール部材を端子モジュールの周囲等に着用し、端子モジュールにシール部材を係止する係止構造を形成し、係止構造を変形させてシール部材を固定してから、端子モジュールを電子機器を内装するケースに挿入し、圧入することで電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定する方法と比較すると本発明に係る方法は、組み立て工数を減らすことができる。
【0026】
また、端子モジュールと第1のケースとがフランジ部及びフランジ受け部で接着されることで、電子機器を内装するケースの外部から貫通孔を通じて電子機器を内装するケースの内部に液体が入り込む、或いは逆に電子機器を内装するケースの内部から貫通孔を通じて電子機器を内装するケースの外部に液体が流出することがなくなり、電子機器を内装するケースは防水機能を有する。
【0027】
また、熱接着フィルムは、常温では粘着性がなく、位置調整が容易であるためフランジ部に熱接着フィルムを配置することは比較的容易である。更に、端子モジュールを電子機器を内装するケースの貫通孔内に圧入した後に、熱接着フィルムを加熱するだけで、電子機器を内装するケースに対し端子モジュールを固定することができるので、作業として比較的容易である。
【0028】
一方で、従来の両面テープや接着剤による固定は、貼り付け位置や液量等の適切な管理が必要であり高度な注意を払う必要があることから容易な作業ではない。したがって、本発明に係る方法は比較的容易な作業工程を含むことから組み立て時の作業性を向上させることができる。
【0029】
本発明に係る電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定構造は、電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定構造であって、前記電子機器を内装するケースは、貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔と連通し、外部に突出する筒状のハウジングを有する第1のケースと、撮像素子を収容する第2のケースと、を備え、前記第1のケースと前記第2のケースとを接合して構成され、前記端子モジュールは、基端側に先端側よりも拡径したフランジ部を有する筒状の導体であるシェルと、前記シェルの中心軸に沿って内側に配置された中心コンタクトと、前記シェルと前記中心コンタクトとの間に介在し、前記中心コンタクトを保持する絶縁部材と、を備え、前記端子モジュールは、前記先端側が前記ハウジングの内周面に形成された規制部により規制されているとともに、前記フランジ部と、前記第1のケースの内面側における前記貫通孔の周囲に形成されたフランジ受け部とが、前記フランジ部と前記フランジ受け部との間に挟持された同一材料若しくは異なる材料からなる複数の部材を接合する熱接着フィルムにより接着されていることで、前記電子機器を内装するケースに対して固定されている。
【0030】
この構成により、本発明に係る電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定構造は、端子モジュールと第1のケースとがフランジ部及びフランジ受け部で接着されることで、電子機器を内装するケースの外部から貫通孔を通じて電子機器を内装するケースの内部に液体が入り込む、或いは逆に電子機器を内装するケースの内部から貫通孔を通じて電子機器を内装するケースの外部に液体が流出することがなくなり、電子機器を内装するケースは防水機能を有する。
【0031】
また、端子モジュールは、基端側においてフランジ部が熱接着フィルムによりフランジ受け部に固定されるとともに、先端側においてハウジングの内周面に形成された規制部により規制されることで固定される。したがって、端子モジュールの一端側でのみ固定される場合よりも強固に安定して端子モジュールが電子機器を内装するケースに対し固定される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、電子機器を内装するケースに対して端子モジュールを固定する際に、防水機能を持たせ、組み立て工数を減らすことができるとともに、組み立て時の作業性を向上することができる電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定方法、及び、電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施の形態に係るカメラケースを示す模式図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るリアケースを示す図であり、
図2(a)は、上側から視た斜視図、
図2(b)は、下側から視た斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る端子モジュールを示す図であり、
図3(a)は、上側から視た斜視図、
図3(b)は、下側から視た斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る熱接着フィルムを示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する前の状態を示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する工程において、熱接着フィルムをフランジ受け部に配置した状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する工程において、端子モジュールをリアケースの貫通孔に挿入している状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する工程において、端子モジュールをリアケースの貫通孔に挿入している状態を示す上面図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する工程において、端子モジュールをリアケースの貫通孔に挿入している状態を示す
図8におけるA-A断面での断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する工程において、端子モジュールをリアケースの貫通孔に圧入した状態を示す斜視図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する工程において、端子モジュールをリアケースの貫通孔に圧入した状態を示す
図8におけるA-A断面での断面図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する工程において、端子モジュールをリアケースの貫通孔に圧入した後に加締めた状態を示す斜視図である。
【
図13】本発明の実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する工程において、端子モジュールをリアケースの貫通孔に圧入した後に加締めた状態を示す
図8におけるA-A断面での断面図である。
【
図14】本発明の実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する工程において、端子モジュールをリアケースの貫通孔に加締めた後に熱接着フィルムを加熱している状態を示す
図8におけるA-A断面での断面図である。
【
図15】本発明の実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する工程において、端子モジュールをリアケースの貫通孔に加締めつつ、熱接着フィルムを加熱している状態を示す
図8におけるA-A断面での断面図である。
【
図16】本発明の実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する工程において、熱接着フィルムをフランジ部に配置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本実施の形態に係るカメラケース101について
図1~
図16を参照して説明する。
【0035】
図1は、本実施の形態に係るカメラケース101の組み立て前の状態を示す模式図である。
図1中のX方向は横方向、Y方向は奥行き方向、Z方向は高さ方向、又は軸方向といい、
図2以降においても同様である。Z方向の正の側を上側や基端側、負の側を下側や先端側ということもある。
【0036】
(カメラケース)
図1に示すように、カメラケース101は、フロントケース102とリアケース110とを備えている。カメラケース101はフロントケース102とリアケース110とが互いに対向するように接合され、後述するカメラモジュール103等を収容する空間を形成する。フロントケース102とリアケース110とは、例えば、接着剤により接合されるが、他の機械的方法や、溶接等の方法によって接合してもよい。カメラケース101は、本発明に係る電子機器を内装するケースを構成する。フロントケース102は、本発明に係る第2のケースを構成する。リアケース110は、本発明に係る第1のケースを構成する。ここでいう電子機器は、カメラ等(スマートフォンやタブレット端末等を含む。)であり、本実施の形態では車載カメラ用のカメラケースであるカメラケース101を例に説明するが、カメラケース101は必ずしも車載カメラ用のカメラケースでなく、他の電子機器を内装するケースであってもよい。
【0037】
後述する固定方法によりカメラケース101に対して、端子モジュール130が固定される。カメラケース101に対し、端子モジュール130が固定されることで、カメラケース101を組み立てた際に、ケーブル107aを有する外部コネクタ107と、カメラモジュール103とが端子モジュール130を介して電気的に接続される。
【0038】
(カメラモジュール)
カメラモジュール103は、カメラ基板104と撮像素子106とを含んで構成される。カメラモジュール103は、カメラケース101の内部の収容空間に設置される。カメラモジュール103は、フロントケース102に形成されたレンズ孔よりカメラケース101の外部を撮像する。
【0039】
カメラ基板104は、例えば、プリント回路基板(PCB)であり、CCD又はCMOSなどの撮像素子106が実装される。カメラ基板104は基板側コネクタ105を有する。カメラ基板104は、基板側コネクタ105が、後述する端子モジュール130と接触し、かつ端子モジュール130が、外部コネクタ107と接触することで外部コネクタ107と電気的に接続される。
【0040】
(フロントケース)
フロントケース102は、カメラ基板104と撮像素子106を含むカメラモジュール103を収容し、後述するリアケース110と接合されることでカメラケース101を構成する。本実施の形態では、フロントケース102は、アルミ製であるが、銅など他の金属製としてもよく、また、ABS、ポリカーボネートなどの樹脂製であってもよい。
【0041】
(リアケース)
リアケース110は、
図2(a)、(b)に示すようにリアケース表面111からリアケース内面112にかけて貫通孔115が形成されている。リアケース110は、貫通孔115と連通し、カメラケース101の外部に突出する筒状の後述するハウジング120を有する。リアケース110は、フロントケース102と接合されることでカメラケース101を構成する。本実施の形態では、リアケース110は、アルミ製であるが、銅など他の金属製としてもよく、また、ABS、ポリカーボネートなどの樹脂製であってもよい。
【0042】
リアケース110は、
図2(a)、(b)に示すように、リアケース表面111、リアケース内面112、リアケース側面113a、113b、113c、113dを外面として有している。リアケース内面112は、カメラケース101の内面側の面である。リアケース内面112における貫通孔115の外縁の周囲にはフランジ受け部112aが形成されている。フランジ受け部112aは、リアケース内面112よりもZ方向負方向に窪んだ円環状の領域である。フランジ受け部112aは、Z方向に垂直であり、XY平面上に形成されている。フランジ受け部112aには、後述する熱接着フィルム160を配置することが可能である。
【0043】
リアケース110の内部において、貫通孔115の周囲には、4つのリアケース係合部114a、114b、114c、114dが形成されている。リアケース係合部114a、114b、114c、114dは、後述するシェル140の切欠き係合部148a、148b、148c、148dと係合するようになっている。本実施の形態ではリアケース係合部、切欠き係合部をそれぞれ4つずつ設けたが、個数は必ずしもこれに限られず、より多い個数であっても、より少ない個数であってもよい。
【0044】
リアケース表面111の下側(Z方向負方向)には、後述するハウジング120が、カメラケース101の外部に突出するよう形成されており、ハウジング120内に圧入されたシェル140と外部コネクタ107とが嵌合可能となっている。
【0045】
(ハウジング)
ハウジング120は、リアケース110の貫通孔115と連通し、カメラケース101の外部に突出する筒状の部材である。ハウジング120は、基端側(Z方向正方向)の基端ハウジング部121と、先端側(Z方向負方向)の筒状部122と、を有する。ハウジング120の内部には、後述する端子モジュール130が挿入され、圧入されるとともに固定される。
【0046】
基端ハウジング部121は、リアケース表面111上に形成されており、筒状部122よりも大きな径を有している。筒状部122は、基端ハウジング部121上に形成されている筒状の部位であり、内側は中空となっている。基端ハウジング部121及び筒状部122の内側の中空部分には、後述する端子モジュール130を挿入可能である。
【0047】
図9に示すように筒状部122の内側の面である筒状部内周面122aには、後述するシェル140の第1係止部146、第2係止部147の動きを規制し、固定するための第1規制部123、第2規制部124が形成されている。第1規制部123は、第2規制部124よりも基端側(Z方向正方向)に形成されている。
【0048】
第1規制部123は、筒状部内周面122aに沿って後述する第2規制部124からZ軸正方向に進んだときに筒状部内周面122aに半径方向の凹部が形成された部位である。第1の規制部123を形成する凹部の内径は、第2規制部124が形成する段差部分の内径よりも小さい。凹部が形成されることで、ハウジング120内にシェル140の第1係止部146が圧入された際に、第1係止部146が第1規制部123に引っ掛かり、軸方向の動きが規制される。即ち、第1規制部123は、シェル140がハウジング120内に圧入される際の圧入位置を定める。
【0049】
第2規制部124は、筒状部内周面122aに沿って先端側からZ軸正方向に進んだときに筒状部内周面122aの内径が局所的に縮径し、段差が形成された部位であり、第1規制部123よりも筒状部内周面122aの軸方向の先端側に形成されている。第2規制部124が形成する段差部分の内径は、第1の規制部123が形成する凹部の内径よりも大きい。段差が形成されることで、ハウジング120内にシェル140の第2係止部147が圧入された後に加締められた際に、第2係止部147が第2規制部124に引っ掛かり、軸方向の動きが規制される。即ち、第2規制部124は、シェル140がハウジング120内に加締められる際の位置を定める。
【0050】
このように端子モジュール130は、先端側においてハウジング120の筒状部内周面122aに形成された第1規制部123、第2規制部124により規制されるとともに、後述するように基端側において基端フランジ部142が熱接着フィルム160によりフランジ受け部112aに固定されることでカメラケース101に対し固定される。したがって、端子モジュール130の一端側でのみ固定される場合よりも強固に安定して端子モジュール130がカメラケース101に対し固定される。
【0051】
(端子モジュール)
図3(a)、(b)及び
図9に示すように端子モジュール130は、シェル140と、中心コンタクト131と、インシュレーター135を備えている。端子モジュール130は、リアケース110の貫通孔115に挿入された後に、ハウジング120内に向けて軸方向に押圧され、貫通孔115内とハウジング120内に圧入され、さらに加熱されることでカメラケース101に対し、固定される。
【0052】
端子モジュール130は、先端側(Z方向負方向)において外部コネクタ107と接触し、基端側においてカメラ基板104の基板側コネクタ105と接触することで、カメラ基板104と外部コネクタ107とを電気的に接続させることができる。
【0053】
(シェル)
図3は、本実施の形態に係るシェル140を示し、
図3(a)は、上側(Z方向正方向)から視た斜視図、
図3(b)は、下側(Z方向負方向)から視た斜視図である。シェル140は、例えば、亜鉛ダイカスト等の金属製であり、筒状部分を有する導体である。シェル140は、基端側(Z方向正方向)に基端シェル部141、先端側(Z方向負方向)に先端シェル部145を有する。シェル140は、本発明に係るシェルを構成する。
【0054】
図9に示すように、シェル140の内部には、中心軸に沿って後述する中心コンタクト131、及び、シェル140と中心コンタクト131との間に介在し、中心コンタクト131を保持する後述するインシュレーター135が設けられている。
【0055】
基端シェル部141は、基端フランジ部142、基端筒状部143、基端片部144a、144b、144c、144dを有する。基端フランジ部142は、
図3(a)、(b)に示すように先端側の先端シェル部145に連接し、先端シェル部145よりも拡径している。基端フランジ部142は、本発明に係るフランジ部を構成する。
【0056】
基端フランジ部142の基端側の面を基端フランジ部上面142aといい、先端側の面を基端フランジ部下面142bという。基端フランジ部142は、
図11に示すように、端子モジュール130を貫通孔115に挿入し、圧入する際に、基端フランジ部下面142bが後述する熱接着フィルム160を介してフランジ受け部112aと接する。
【0057】
基端筒状部143は、基端フランジ部142に基端側で連接する筒状の部位である。基端筒状部143は、後述する基端片部144a、144b、144c、144dとともに、基板側コネクタ105と嵌合可能となっている。
【0058】
基端片部144a、144b、144c、144dは、基端筒状部143に基端側で連接する4つの金属片であり、
図3(a)に示すように外部から荷重がかかっていない状態で基端筒状部143よりもそれぞれ外側に折れて、広がっている。基端片部144a、144b、144c、144dは、端子モジュール130を基板側コネクタ105と嵌合させる際に、軸方向正方向に荷重を加えることで、さらに外側に折れ、変形する。
【0059】
先端シェル部145は、基端シェル部141の基端フランジ部142に先端側で連接する部位である。先端シェル部145は、切欠き係合部148a、148b、148c、148dと先端筒状部149を有する。切欠き係合部148a、148b、148c、148dは、基端フランジ部142の下面側である基端フランジ部下面142b上に4つ形成されている。本実施の形態では、切欠き係合部を4つ設けたが、個数は必ずしもこれに限られず、リアケース係合部の個数に応じて、より多い個数であっても、より少ない個数であってもよい。
【0060】
切欠き係合部148a、148b、148c、148dは、基端フランジ部142より径が小さい円柱状の部分を
図3(a)に示すように切欠いて形成される。切欠き係合部148a、148b、148c、148dは、端子モジュール130がリアケース110の貫通孔115に挿入され、圧入される際に、それぞれリアケース係合部114a、114b、114c、114dと係合するようになっている。
【0061】
先端筒状部149は、切欠き係合部148a、148b、148c、148dに先端側で連接する筒状の部位である。先端筒状部149の外周面には、局所的に拡径した第1係止部146と第2係止部147とが形成されている。第1係止部146は、第2係止部147よりも基端側(Z方向正方向)に形成されている。
【0062】
図11に示すように、第1係止部146は、端子モジュール130がハウジング120内にZ方向負方向に圧入されると押し込まれて変形し、ハウジング120の第1規制部123に引っ掛かることで、端子モジュール130の軸方向の動きが規制される。
【0063】
図13に示すように、第2係止部147は、端子モジュール130がハウジング120内にZ方向負方向に圧入された後に、加締められると押し込まれて変形し、ハウジング120の第2規制部124に引っ掛かることで、端子モジュール130の軸方向の動きが規制される。
【0064】
このように端子モジュール130は、先端側においてハウジング120の筒状部内周面122aに形成された第1規制部123、第2規制部124により規制されるとともに、後述するように基端側において基端フランジ部142が熱接着フィルム160によりフランジ受け部112aに固定されることでカメラケース101に対し固定される。したがって、端子モジュール130の一端側でのみ固定される場合よりも強固に安定して端子モジュール130がカメラケース101に対し固定される。
【0065】
(インシュレーター)
インシュレーター135は、シェル140と後述する中心コンタクト131との間に介在し、中心コンタクト131を保持する絶縁性の部材である。インシュレーター135は、例えば、ポリアミド等の樹脂で構成され、中心コンタクト131を外部から絶縁する。インシュレーター135は、本発明に係る絶縁部材を構成する。
【0066】
図11、
図13等に示すように、インシュレーター135の内部には、Z方向の中心軸に沿って中心コンタクト131を保持するための貫通孔135bが形成されている。貫通孔135bの内周面には、後述する中心コンタクト131の係合片131aと係合するインシュレーター係合部135aが複数個形成されている。インシュレーター係合部135aが係合片131aと係合することで、中心コンタクト131がインシュレーター135に保持される。インシュレーター135は、図示しない固定手段によりシェル140に固定されている。
【0067】
(中心コンタクト)
中心コンタクト131は、シェル140の中心軸に沿ってシェル140の内側のインシュレーター135の内側に配置されている。中心コンタクト131は、基端側(Z方向正方向)で基板側コネクタ105と接触し、先端側(Z方向負方向)で外部コネクタ107と接触し、導通する。中心コンタクト131は、例えば、銅合金で構成されるが、他の金属で構成してもよい。
【0068】
図11、
図13等に示すように、中心コンタクト131には、径方向に突出した係合片131aが複数個形成されている。係合片131aがインシュレーター係合部135aと係合することで、中心コンタクト131がインシュレーター135に保持される。
【0069】
(熱接着フィルム)
熱接着フィルム160は、熱を利用することで、同一材料若しくは異なる材料からなる複数の部材を接合するフィルムである。熱接着フィルム160は、ポリプロピレンやポリエチレンなどの難接着性樹脂や金属材料等に適応可能である。熱接着フィルム160は、リアケース110のフランジ受け部112aと端子モジュール130の基端フランジ部142とを接着し、固定する。
図4に示すように、熱接着フィルム160は、円環状の形状を有し、フランジ受け部112aに配置することが可能なサイズとなっている。本実施の形態では、熱接着フィルムを用いたが、類似の接着手段として、熱圧着フィルム、熱圧着シートを用いてもよい。
【0070】
熱接着フィルム160は、配合成分として熱可塑性樹脂を含み、常温では粘着性は、ほぼ無いが、例えば、150℃以上に加熱することで複数の部材を接着させることが可能となる。加熱する温度は、熱接着フィルム160の物性に応じて変更してもよい。熱接着フィルム160に対する加熱は、後述する端子モジュール130の圧入工程を行った後に、誘導加熱装置161を用いて行う。誘導加熱装置161は、公知の誘導加熱装置であってよく、非接触で対象部材を加熱することが可能である。
【0071】
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、フェノキシ系樹脂及びポリエステル系樹脂等の樹脂のいずれかを使用することが望ましい。
【0072】
このように端子モジュール130は、先端側においてハウジング120の筒状部内周面122aに形成された第1規制部123、第2規制部124により規制されるとともに、基端側において基端フランジ部142が熱接着フィルム160によりフランジ受け部112aに固定されることでカメラケース101に対し固定される。したがって、端子モジュール130の一端側でのみ固定される場合よりも強固に安定して端子モジュール130がカメラケース101に対し固定される。
【0073】
通常、熱接着フィルムは、部材同士を接着する目的で用いられるが、出願人は、試験、研究を重ねた結果、リアケース110と端子モジュール130を接着する手段として熱接着フィルム160を用いることは、単に接着だけでなく以下の(1)-(4)の特徴があることを見出した。
【0074】
(1)防水機能
出願人は、熱接着フィルム160を用いて、後述するカメラケース101に対する端子モジュール130の固定を行うことで、カメラケース101の外部から貫通孔115を通じてカメラケース101の内部に液体が入り込む、或いは逆にカメラケース101の内部から貫通孔115を通じてカメラケース101の外部に液体が流出することがなくなり、カメラケース101に対する防水効果があることを見出した。また、この防水効果は、熱接着フィルム160を用いず、端子モジュール130の周囲にOリング等のシール部材を着用した場合と同等以上であることを見出した。よって、本実施の形態では、端子モジュール130の周囲にOリング等のシール部材を着用していない。
【0075】
(2)工数削減
熱接着フィルム160を用いて、後述するカメラケース101に対する端子モジュール130の固定を行うことで、上述の通り端子モジュール130の周囲にOリング等のシール部材を着用することが不要となる。例えば、Oリングを用いた場合、端子モジュール130にOリングを係止する係止構造を形成し、係止構造を変形させてOリングを固定してから、端子モジュール130をカメラケース101に挿入し、圧入することでカメラケース101に対し端子モジュール130を固定する必要がある。よって、熱接着フィルム160を用いた場合、カメラケース101を組み立てる工数を削減することができる。
【0076】
(3)作業性
熱接着フィルム160は、常温では粘着性がなく、位置調整が容易であるためフランジ受け部112aに熱接着フィルム160を配置することは比較的容易である。更に、端子モジュール130をカメラケース101の貫通孔115内に圧入した後に、熱接着フィルム160を加熱するだけで、カメラケース101に対し端子モジュール130を固定することができるので、作業として比較的容易である。
【0077】
(4)固定機能
本実施の形態における端子モジュール130の圧入は、
図11に示すように第1規制部123が第1係止部146を規制することで行われる。圧入を一箇所で行い、カメラケース101に対し端子モジュール130を固定した場合、全体としてZ方向に長く形成された端子モジュール130をZ方向において圧入した或る一部のみで固定することになる。そのため、端子モジュール130に対し、XY方向の力がかかると、固定した箇所から離れた箇所(例えば、中心コンタクト131の基端側の突出した端部)において、てこの原理により大きな力がかかり、XY方向の変位が生じやすくなる。よって圧入のみによる固定は、Z方向に対しては強い固定であるが、XY方向に対する固定は必ずしも強くない。 しかしながら、本実施の形態では、圧入に加えて、熱接着フィルム160を用いてZ方向に垂直な面であるフランジ受け部112aと基端フランジ部142においてカメラケース101に対し端子モジュール130を接着することで固定をしている。このように圧入に加えて、Z軸方向における圧入した部位とは離れた位置においてZ軸に垂直な面で固定をすることで、Z軸方向の2箇所(圧入箇所と熱接着箇所)での固定となり、そのうち1箇所(熱接着箇所)はZ軸に垂直な面での固定であるため、XY方向に加わる力に対しても強固な固定を実現することができる。
【0078】
さらに、例えば、カメラケース101をシェル140とは異なる金属材質や樹脂製とした場合、金属製のシェル140とは線膨張係数が異なるため、外的負荷や熱負荷がカメラケース101に対しかかった場合、カメラケース101と端子モジュール130との接触面(フランジ受け部112aと基端フランジ部142)において膨張等により位置ずれが起こる可能性がある。しかしながら、熱接着フィルム160を用いてフランジ受け部112aと基端フランジ部142においてカメラケース101に対し端子モジュール130を接着することで外的負荷や熱負荷がカメラケース101に対しかかっても、カメラケース101と端子モジュール130の位置ずれは起こり難くなる。
【0079】
<カメラケースに対し端子モジュールを固定する方法>
以下、
図5-
図14を用いて、本実施の形態に係るカメラケースに対し端子モジュールを固定する方法(以下では、単に、固定方法ともいう。)を説明する。本実施の形態に係る固定方法は、熱接着フィルム配置工程、端子モジュール挿入工程、圧入工程、加締め工程、加熱工程を含んでいる。
【0080】
<熱接着フィルム配置工程>
図5は、カメラケース101に対し端子モジュール130を固定する前の状態を示す分解斜視図である。熱接着フィルム配置工程においては、
図6に示すように熱接着フィルム160をリアケース110のフランジ受け部112a上に配置する。熱接着フィルム160は、常温では粘着性がないため、熱接着フィルム160の位置調整は容易に行うことができる。
【0081】
<端子モジュール挿入工程>
熱接着フィルム配置工程の完了後、端子モジュール130を先端側から貫通孔115、及び貫通孔115に連通するハウジング120内に軸方向に沿って挿入する。
図7は、端子モジュール130をリアケース110の貫通孔115、ハウジング120に挿入している状態を示す斜視図であり、
図8は、その上面図、
図9は、
図8におけるA-A断面での断面図である。
図7-
図9は、端子モジュール130の挿入の途中の状態であり、
図9に示すように基端フランジ部142がフランジ受け部112a上の熱接着フィルム160に接していないが、基端フランジ部142がフランジ受け部112と熱接着フィルム160を介して接する位置まで挿入し、挿入完了時には基端フランジ部142が熱接着フィルム160に接した状態となる。挿入完了状態においては、まだ加熱を行っていないため、基端フランジ部142とフランジ受け部112aとは熱接着フィルム160による接着はされておらず、基端フランジ部142をフランジ受け部112aから容易に離すことが可能である。
【0082】
<圧入工程>
端子モジュール挿入工程の完了後、端子モジュール130を貫通孔115、ハウジング120内に向けて押圧して貫通孔115、ハウジング120内に圧入する。圧入に際しては、図示しない公知の圧入用治具又は装置を用いる。
図10は、端子モジュール130をリアケース110の貫通孔115、ハウジングに圧入した状態を示す斜視図であり、
図11は、
図8におけるA-A断面と同じ位置の断面での断面図である。
図11に示すように、ハウジング120内にシェル140の第1係止部146が圧入されると、第1係止部146が第1規制部123に引っ掛かり、軸方向の動きが規制される。圧入の完了後、後述するように加締めや熱接着フィルム160により、より強固にカメラケース101と端子モジュール130が固定されるが、圧入が完了した状態においても、カメラケース101と端子モジュール130が容易には離れない程度に固定されている。
【0083】
<加締め工程>
圧入工程の完了後、端子モジュール130を貫通孔115、ハウジング120内に向けて押圧して加締める。加締めに際しては、図示しない公知の加締め用治具又は装置を用いる。
図12は、端子モジュール130をリアケース110の貫通孔115、ハウジング120に圧入した後に加締めた状態を示す斜視図であり、
図13は、
図8におけるA-A断面と同じ位置の断面での断面図である。
図13に示すように、端子モジュール130が加締められると、第2係止部147が第2規制部124に引っ掛かり、軸方向の動きが規制される。端子モジュール130が加締められた状態においても圧入時の第1係止部146が第1規制部123に引っ掛かった状態は維持されている。よって、加締め工程が完了した状態では、圧入工程が完了した状態よりもより強固に、カメラケース101と端子モジュール130が固定される。
【0084】
<加熱工程>
加締め工程の完了後、フランジ受け部112aの周囲を加熱することで、フランジ受け部112aと基端フランジ部142に挟持された熱接着フィルム160を加熱し、フランジ受け部112aと基端フランジ部142を接着する。
図14は、端子モジュールを貫通孔115、ハウジング120に加締めた後に熱接着フィルム160を加熱している状態を示す
図8におけるA-A断面と同じ位置の断面での断面図である。加熱は、誘導加熱装置161を用いて行う。誘導加熱装置161は、公知の誘導加熱装置であってよく、非接触で対象部材を加熱することが可能である。加熱する温度は、熱接着フィルム160の物性に応じて決定してよく、例えば、加熱温度は150℃以上である。
【0085】
加熱工程が完了すると熱接着フィルム160の接着機能により、フランジ受け部112aと基端フランジ部142を接着して固定することができるとともに、フランジ受け部112aと基端フランジ部142との間の隙間から水が浸入することを防ぐこともできる。
【0086】
<カメラケースに対し端子モジュールを固定する方法の変形例>
以下では、上述したカメラケースに対し端子モジュールを固定する方法の変形例を説明する。
【0087】
<変形例1>
図15は、端子モジュール130をリアケース110の貫通孔115、ハウジング120に加締めつつ、熱接着フィルム160を加熱している状態を示す
図8におけるA-A断面と同じ位置の断面での断面図である。この変形例では、上述のように加締め工程の後に加熱工程を行うのではなく、加締め工程と加熱工程を同時に行うこととなる。端子モジュール130の加締めと熱接着フィルム160の加熱とを同時に行うことで、これらを別々に行う場合よりも作業時間を短縮することができる。
【0088】
<変形例2>
図16は、熱接着フィルム160を基端フランジ部142の基端フランジ部下面142bに配置した状態を示す斜視図である。この変形例では、上述の熱接着フィルム配置工程とは異なり、フランジ受け部112aではなく、基端フランジ部142の基端フランジ部下面142bに熱接着フィルム160を配置する。必要があれば、加熱して熱接着フィルム160を基端フランジ部142に接着してもよい。熱接着フィルム配置工程以降の端子モジュール挿入工程、圧入工程、加締め工程、加熱工程は、上述の方法と同じである。
【0089】
<他の変形例>
他の変形例として、圧入によりカメラケース101と端子モジュール130が固定の強度が充分である場合は、加締め工程を行わず、圧入工程の後に加熱工程を行ってもよい。或いは、圧入工程を行いながら加熱工程を行ってもよい。
【0090】
以上のように、本実施の形態に係るカメラケース101に対し端子モジュール130を固定する方法において、カメラケース101は、貫通孔115が形成されるとともに、貫通孔115と連通し、外部に突出する筒状のハウジング120を有するリアケース110と、撮像素子106を収容するフロントケース102と、を備え、リアケース110とフロントケース102とを接合して構成され、端子モジュール130は、基端側に先端側よりも拡径した基端フランジ部142を有する筒状の導体であるシェル140と、シェル140の中心軸に沿って内側に配置された中心コンタクト131と、シェル140と中心コンタクト131との間に介在し、中心コンタクト131を保持するインシュレーター135と、を備えている。
【0091】
本実施の形態に係るカメラケース101に対し端子モジュール130を固定する方法は、同一材料若しくは異なる材料からなる複数の部材を接合する熱接着フィルム160をリアケース110の内面側における貫通孔115の外縁の周囲に形成されたフランジ受け部112aに配置する工程と、基端フランジ部142がフランジ受け部112aと熱接着フィルム160を介して接する位置まで端子モジュール130を先端側から貫通孔115に挿入する工程と、端子モジュール130を貫通孔115に挿入した後に、更に端子モジュール130をハウジング120内に向けて押圧して貫通孔115内に圧入する工程と、圧入の後に、端子モジュール130を貫通孔115、ハウジング120内に向けて押圧して加締める工程と、加締めの後に、フランジ受け部112aの周囲を加熱する工程と、を含み、端子モジュール130を貫通孔115内に圧入する工程において、端子モジュール130の圧入位置は、ハウジング120の筒状部内周面122aに形成された第1規制部123により端子モジュール130の先端側の第1係止部146で規制され、圧入の後に、端子モジュール130を貫通孔115、ハウジング120内に向けて押圧して加締める工程において、端子モジュール130の加締め位置は、ハウジング120の筒状部内周面122aに形成された第2規制部により端子モジュール130の先端側の第2係止部147で規制される。
【0092】
この構成により、本実施の形態に係るカメラケース101に対し端子モジュール130を固定する方法は、熱接着フィルム160をリアケース110のフランジ受け部112aに配置し、端子モジュール130を貫通孔115に挿入してから圧入し、基端フランジ部142とフランジ受け部112aとに挟持された熱接着フィルム160を加熱することで熱接着フィルム160が軟化し、端子モジュール130とリアケース110とが接着され、固定される。
【0093】
したがって、従来の、事前にOリング等のシール部材を端子モジュールの周囲等に着用し、端子モジュールにシール部材を係止する係止構造を形成し、係止構造を変形させてシール部材を固定してから、端子モジュールをカメラケースに挿入し、圧入することでカメラケースに対し端子モジュールを固定する方法と比較すると本実施の形態に係る方法は、組み立て工数を減らすことができる。
【0094】
また、端子モジュール130とリアケース110とが基端フランジ部142及びフランジ受け部112aで接着されることで、カメラケース101の外部から貫通孔115を通じてカメラケース101の内部に液体が入り込む、或いは逆にカメラケース101の内部から貫通孔115を通じてカメラケース101の外部に液体が流出することがなくなり、カメラケース101は防水機能を有する。
【0095】
また、熱接着フィルム160は、常温では粘着性がなく、位置調整が容易であるためフランジ受け部112aに熱接着フィルム160を配置することは比較的容易である。更に、端子モジュール130をカメラケース101の貫通孔115内に圧入した後に、熱接着フィルム160を加熱するだけで、カメラケース101に対し端子モジュール130を固定することができるので、作業として比較的容易である。
【0096】
一方で、従来の両面テープや接着剤による固定は、貼り付け位置や液量等の適切な管理が必要であり高度な注意を払う必要があることから容易な作業ではない。したがって、本実施の形態に係る方法は比較的容易な作業工程を含むことから組み立て時の作業性を向上させることができる。
【0097】
端子モジュール130は、基端側において基端フランジ部142が熱接着フィルム160によりフランジ受け部112aに固定されるとともに、先端側において第1係止部146、第2係止部147がハウジング120の筒状部内周面122aに形成された第1規制部123、第2規制部124により規制されることで固定される。したがって、端子モジュール130の一端側でのみ固定される場合よりも強固に安定して端子モジュール130がカメラケース101に対し固定される。
【0098】
本実施の形態に係るカメラケース101に対し端子モジュール130を固定する方法は、端子モジュール130を貫通孔115に挿入した後に、更に端子モジュール130をハウジング120内に向けて押圧して貫通孔115内に圧入しつつ、フランジ受け部112aの周囲を加熱する工程を含んでもよい。
【0099】
この構成により、本実施の形態に係るカメラケース101に対し端子モジュール130を固定する方法は、端子モジュール130の圧入と熱接着フィルム160の加熱とを同時に行うことで、別々に行う場合よりも作業時間を短縮することができる。
【0100】
本実施の形態に係るカメラケース101に対し端子モジュール130を固定する方法は、同一材料若しくは異なる材料からなる複数の部材を接合する熱接着フィルム160を基端フランジ部142の先端側の面であるに基端フランジ部下面142bに配置する工程を含んでもよい。
【0101】
本実施の形態に係るカメラケース101に対する端子モジュール130の固定構造は、カメラケース101に対する端子モジュール130の固定構造であって、カメラケース101は、貫通孔115が形成されるとともに、貫通孔115と連通し、外部に突出する筒状のハウジング120を有するリアケース110と、撮像素子106を収容するフロントケース102と、を備え、リアケース110とフロントケース102とを接合して構成され、端子モジュール130は、基端側に先端側よりも拡径した基端フランジ部142を有する筒状の導体であるシェル140と、シェル140の中心軸に沿って内側に配置された中心コンタクト131と、シェル140と中心コンタクト131との間に介在し、中心コンタクト131を保持するインシュレーター135と、を備え、端子モジュール130は、前記先端側がハウジング120の筒状部内周面122aに形成された第1規制部123、第2規制部124により規制されているとともに、基端フランジ部142と、リアケース110の内面側における貫通孔115の周囲に形成されたフランジ受け部112aとが、基端フランジ部142とフランジ受け部112aとの間に挟持された同一材料若しくは異なる材料からなる複数の部材を接合する熱接着フィルム160により接着されていることで、カメラケース101に対して固定されている。
【0102】
この構成により、本実施の形態に係るカメラケース101に対しする端子モジュール130の固定構造は、端子モジュール130とリアケース110とが基端フランジ部142及びフランジ受け部112aで接着されることで、カメラケース101の外部から貫通孔115を通じてカメラケース101の内部に液体が入り込む、或いは逆にカメラケース101の内部から貫通孔115を通じてカメラケース101の外部に液体が流出することがなくなり、カメラケース101は防水機能を有する。
【0103】
また、端子モジュール130は、基端側において基端フランジ部142が熱接着フィルム160によりフランジ受け部112aに固定されるとともに、先端側において第1係止部146、第2係止部147がハウジング120の筒状部内周面122aに形成された第1規制部123、第2規制部124により規制されることで固定される。したがって、端子モジュールの一端側でのみ固定される場合よりも強固に安定して端子モジュール130がカメラケース101に対し固定される。
【0104】
以上説明したように、本発明に係る電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定方法及び電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定構造は、電子機器を内装するケースに対して端子モジュールを固定する際に、防水機能を持たせ、組み立て工数を減らすことができるとともに、組み立て時の作業性を向上することができるという効果を有し、電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定方法及び電子機器を内装するケースに対する端子モジュールの固定構造全般に有用である。
【符号の説明】
【0105】
101 カメラケース(電子機器を内装するケース)
102 フロントケース(第2のケース)
103 カメラモジュール
104 カメラ基板
105 基板側コネクタ
106 撮像素子
107 外部コネクタ
107a ケーブル
110 リアケース(第1のケース)
111 リアケース表面
112 リアケース内面
112a フランジ受け部
113a、113b、113c、113d リアケース側面
114a、114b、114c、114d リアケース係合部
115 貫通孔
120 ハウジング
121 基端ハウジング部
122 筒状部
122a 筒状部内周面
123 第1規制部(規制部)
124 第2規制部
130 端子モジュール
131 中心コンタクト
131a 係合片
135 インシュレーター(絶縁部材)
135a インシュレーター係合部
135b 貫通孔
140 シェル
141 基端シェル部
142 基端フランジ部(フランジ部)
142a 基端フランジ部上面
142b 基端フランジ部下面
143 基端筒状部
144a、144b、144c、144d 基端片部
145 先端シェル部
146 第1係止部
147 第2係止部
148a、148b、148c、148d 切欠き係合部
149 先端筒状部
160 熱接着フィルム
161 誘導加熱装置
【要約】
【課題】組み立て工数を減らすとともに、組み立て時の作業性を向上する。
【解決手段】カメラケース101に対し端子モジュール130を固定する方法は、熱接着フィルム160をフランジ受け部112aに配置する工程と、端子モジュール130を貫通孔115に挿入する工程と、挿入した後に、更に端子モジュール130をハウジング120内に圧入する工程と、圧入の後に、端子モジュール130を加締める工程と、加締めの後に、フランジ受け部112aの周囲を加熱する工程と、を含み、端子モジュール130を貫通孔115内に圧入する工程において、端子モジュール130の圧入位置は、第1規制部123により端子モジュール130の先端側の第1係止部146で規制され、圧入の後に、端子モジュール130を加締める工程において、端子モジュール130の加締め位置は、第2規制部により端子モジュール130の先端側の第2係止部147で規制される。
【選択図】
図14