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特許7442762プラント図面ライン検出システム、プラント図面ライン検出方法、およびプラント図面ライン検出プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】プラント図面ライン検出システム、プラント図面ライン検出方法、およびプラント図面ライン検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/18 20200101AFI20240227BHJP
   G06F 30/12 20200101ALI20240227BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20240227BHJP
   G06F 30/27 20200101ALI20240227BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240227BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240227BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F30/12
G06F30/13
G06F30/27
G06Q50/04
G06Q50/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023100331
(22)【出願日】2023-06-19
【審査請求日】2023-06-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年11月16日パシフィコ横浜において開催されたYOKOGAWAみなとみらい展2022で公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 高明
(72)【発明者】
【氏名】神戸 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】奥山 伸
(72)【発明者】
【氏名】浅輪 智
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-348849(JP,A)
【文献】国際公開第2019/229911(WO,A1)
【文献】特開昭59-002190(JP,A)
【文献】特開平06-089316(JP,A)
【文献】特開平05-313557(JP,A)
【文献】特開2022-063599(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0175211(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/18
G06F 30/12
G06F 30/13
G06F 30/27
G06Q 50/04
G06Q 50/08
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの建設、運転、および保守に用いる図面を取得し、
取得した前記図面を表示し、
表示した前記図面にある複数のラインの中から所望するラインの選択を受け付け、
選択を受け付けた前記ラインのパターンを登録し、
表示した前記図面の中から、選択に用いた前記ラインを含めて、登録した前記パターンと形状が一致する全てのラインを検出し、
前記ラインに関する検出結果を、提供する、
処理を実行する制御部を備えるプラント図面ライン検出システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記図面として、デジタルデータにより生成された複数のラインを含む図面データを取得し、
利用者端末に表示された前記図面上で、利用者の操作により選択されたラインを受け付け、
前記デジタルデータを用いて選択を受け付けたラインのパターンとして、ラインの太さ、線種および色のうち少なくとも1つを特定し、
前記図面に含まれる複数のラインから、前記パターンが一致する全てのラインを検出する、
請求項1に記載のプラント図面ライン検出システム。
【請求項3】
前記制御部は、
選択を受け付けたラインの向きをさらに特定し、
前記図面に含まれる複数のラインから、前記向きが一致する全てのラインを検出する、
請求項2に記載のプラント図面ライン検出システム。
【請求項4】
前記制御部は、
選択を受け付けたラインに付属するラインナンバーをさらに特定し、
前記図面に含まれる複数のラインから、前記ラインナンバーが一致する全てのラインを検出する、
請求項2に記載のプラント図面ライン検出システム。
【請求項5】
前記制御部は、
シンボルに関する前記検出結果として、検出したラインを強調表示した前記図面、および検出したラインの一覧のうち少なくとも1つを生成する、
請求項1に記載のプラント図面ライン検出システム。
【請求項6】
前記制御部は、
表示した前記図面にある複数のシンボルの中から所望するシンボルの選択を受け付け、
選択を受け付けたシンボルのパターンを登録し、
表示した前記図面の中から、選択に用いたシンボルを含めて、登録したシンボルのパターンと形状が一致する全てのシンボルを検出し、
シンボルに関する検出結果を提供する、
請求項1に記載のプラント図面ライン検出システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記図面における流体、または信号の流れ方向を検出し、
検出した前記流れ方向に関する検出結果を利用者に提供する、
請求項6に記載のプラント図面ライン検出システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記図面のデジタルデータおよびラインのパターンの入力に応じて前記図面に含まれるラインを出力する学習済みの機械学習モデルを用いて、検出したラインの検出漏れ、または誤検出を利用者に通知する、
請求項1から7のいずれか1項に記載のプラント図面ライン検出システム。
【請求項9】
コンピュータが、
プラントの建設、運転、および保守に用いる図面を取得し、
取得した前記図面を表示し、
表示した前記図面にある複数のラインの中から所望するラインの選択を受け付け、
選択を受け付けたラインのパターンを登録し、
表示した前記図面の中から、選択に用いたラインを含めて、登録した前記パターンと形状が一致する全てのラインを検出し、
ラインに関する検出結果を提供する、
処理を実行するプラント図面ライン検出方法。
【請求項10】
コンピュータに、
プラントの建設、運転、および保守に用いる図面を取得し、
取得した前記図面を表示し、
表示した前記図面にある複数のラインの中から所望するラインの選択を受け付け、
選択を受け付けたラインのパターンを登録し、
表示した前記図面の中から、選択に用いたラインを含めて、登録した前記パターンと形状が一致する全てのラインを検出し、
ラインに関する検出結果を提供する、
を実行させるプラント図面ライン検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント図面ライン検出システム、プラント図面ライン検出方法、およびプラント図面ライン検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラントの建屋図、配置図、P&ID(Piping and Instrument Diagram:配管計装図)、ECWD(Elementary Control Wiring Diagram:展開接続図)、IBD(Interlock Block Diagram:インターロックブロック図)、単結線図、ソフトロジック図等のラスタ形式図面をベクタ形式図面に変換して構造化する技術が知られている。また、プラントに関する図面に描かれた計器等を示すシンボルの認識の精度を向上する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-206250号公報
【文献】特開2022-063599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、プラントの建設、運転、および保守に用いる図面(適宜、「プラント図面」)から、シンボルに関する情報を効率的に提供することは難しい。例えば、上記技術では、プラント図面に含まれる複数のラインの中から利用者が所望するラインのパターンを登録し、当該プラント図面の中から登録したパターンの形状が一致するすべてのラインを検出して提供することは難しい。
【0005】
本発明は、プラント図面の利用者であるプラント管理者(プラントオーナー、プラントオペレーター、システムユーザー)、プラントエンジニア、プラント建設事業者等に対して、プラントに関する図面からラインに関する情報を効率的に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プラントの建設、運転、および保守に用いる図面を取得し、取得した前記図面を表示し、表示した前記図面にある複数のラインの中から所望するラインの選択を受け付け、選択を受け付けた前記ラインのパターンを登録し、表示した前記図面の中から、選択に用いた前記ラインを含めて、登録した前記パターンと形状が一致する全てのラインを検出し、前記ラインに関する検出結果を、提供する、処理を実行する制御部を備えるプラント図面ライン検出システムを提供する。
【0007】
また、本発明は、コンピュータが、プラントの建設、運転、および保守に用いる図面を取得し、取得した前記図面を表示し、表示した前記図面にある複数のラインの中から所望するラインの選択を受け付け、選択を受け付けたラインのパターンを登録し、表示した前記図面の中から、選択に用いたラインを含めて、登録した前記パターンと形状が一致する全てのラインを検出し、ラインに関する検出結果を提供する、処理を実行するプラント図面ライン検出方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、コンピュータに、プラントの建設、運転、および保守に用いる図面を取得し、取得した前記図面を表示し、表示した前記図面にある複数のラインの中から所望するラインの選択を受け付け、選択を受け付けたラインのパターンを登録し、表示した前記図面の中から、選択に用いたラインを含めて、登録した前記パターンと形状が一致する全てのラインを検出し、ラインに関する検出結果を提供する、を実行させるプラント図面ライン検出プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プラントに関する図面からラインに関する情報を効率的に提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る情報提供システムの構成例および処理例を示す図である。
図2】実施形態1に係る情報提供システムの各装置の構成例を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係るサーバ装置のプラント図面情報記憶部の一例を示す図である。
図4】実施形態1に係るサーバ装置のシンボルパターン情報記憶部の一例を示す図である。
図5】実施形態1に係るサーバ装置のシンボル検出情報記憶部の一例を示す図である。
図6】実施形態1に係るサーバ装置の検出モデル記憶部の一例を示す図である。
図7】実施形態1に係るプラント管理者端末の表示画面の具体例1を示す図である。
図8】実施形態1に係るプラント管理者端末の表示画面の具体例2を示す図である。
図9】実施形態1に係るプラント管理者端末の表示画面の具体例3を示す図である。
図10】実施形態1に係る情報提供システム全体の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図11】実施形態2に係る情報提供システムの構成例および処理例を示す図である。
図12】実施形態2に係る情報提供システムの各装置の構成例を示すブロック図である。
図13】実施形態2に係るサーバ装置のラインパターン情報記憶部の一例を示す図である。
図14】実施形態2に係るサーバ装置のライン検出情報記憶部の一例を示す図である。
図15】実施形態2に係るプラント管理者端末の表示画面の具体例1を示す図である。
図16】実施形態2に係るプラント管理者端末の表示画面の具体例2を示す図である。
図17】実施形態2に係るプラント管理者端末の表示画面の具体例3を示す図である。
図18】実施形態2に係る情報提供システム全体の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図19】実施形態3に係る情報提供システムの構成例および処理例を示す図である。
図20】実施形態3に係る情報提供システムの各装置の構成例を示すブロック図である。
図21】実施形態3に係るサーバ装置の流れ方向検出情報記憶部の一例を示す図である。
図22】実施形態3に係るプラント管理者端末の表示画面の具体例1を示す図である。
図23】実施形態3に係るプラント管理者端末の表示画面の具体例2を示す図である。
図24】実施形態3に係るプラント管理者端末の表示画面の具体例3を示す図である。
図25】実施形態3に係る情報提供システム全体の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図26】実施形態1~3に係るハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態1~3に係る情報提供システム(プラント図面シンボル検出システム、またはプラント図面ライン検出システム)、情報提供方法(プラント図面シンボル検出方法、またはプラント図面ライン検出方法)および情報提供プログラム(プラント図面シンボル検出プログラム、またはプラント図面ライン検出プログラム)を、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0012】
〔実施形態1〕
以下に、実施形態1に係るプラント図面シンボル検出システムである情報提供システム100-1の構成および処理、情報提供システム100-1の各装置の構成および処理、情報提供システム100-1の処理の流れを順に説明し、最後に実施形態1の効果を説明する。
【0013】
〔1.情報提供システム100-1の構成および処理〕
図1を用いて、実施形態1に係る情報提供システム100-1の構成および処理を詳細に説明する。図1は、実施形態1に係る情報提供システム100-1の構成例および処理例を示す図である。以下では、情報提供システム100-1全体の構成例、情報提供システム100-1の処理例、および情報提供システム100-1の効果について説明する。
【0014】
(1-1.情報提供システム100-1全体の構成例)
実施形態1に係る情報提供システム100-1全体の構成例について説明する。情報提供システム100-1は、情報提供装置(プラント図面シンボル検出装置)であるサーバ装置10-1、およびプラント管理者Oが使用するプラント管理者端末20を有する。ここで、サーバ装置10-1とプラント管理者端末20とは、図示しない所定の通信網(ネットワーク)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、所定の通信網には、インターネットや専用線等の各種通信網を採用することができる。また、図1に示した情報提供システム100-1には、複数台のサーバ装置10-1または複数台のプラント管理者端末20が含まれてもよい。
【0015】
(1-2.情報提供システム100-1全体の処理例)
実施形態1に係る情報提供システム100-1全体の処理例について説明する。なお、下記のステップS1~S7の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS1~S7の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0016】
(1-2-1.プラント図面情報送信処理)
第1に、プラント管理者端末20は、プラント図面情報をサーバ装置10-1に送信する(ステップS1)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラント図面情報をサーバ装置10-1に送信する。このとき、サーバ装置10-1は、プラント図面情報を受信し、保存する。
【0017】
ここで、プラント図面とは、プラントの建設、運転、および保守に用いる図面であって、例えば、デジタルデータで作成されたプラントの建屋図、配置図、P&ID、ECWD、IBD、単結線図、ソフトロジック図等である。
【0018】
(1-2-2.プラント図面表示処理)
第2に、プラント管理者端末20は、プラント図面を表示する(ステップS2)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラント図面をモニタ画面に表示する。
【0019】
(1-2-3.シンボル選択処理)
第3に、プラント管理者Oは、プラント管理者端末20を操作することによってシンボルを選択する(ステップS3)。例えば、プラント管理者Oは、プラント管理者端末20のモニタ画面に表示されたプラント図面中の制御機器のシンボルをクリック操作することによって、制御機器のシンボルを選択する。
【0020】
ここで、シンボルとは、プラントの構成要素を示す、プラント図面に記載される記号である。また、プラントの構成要素とは、プラントを構成するプラント機器(例:制御機器、通信機器、測定機器)や、プラント設備(例:タンク、炉)等である。
【0021】
(1-2-4.シンボル選択情報送信処理)
第4に、プラント管理者端末20は、シンボル選択情報をサーバ装置10-1に送信する(ステップS4)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oに選択された制御機器のシンボルの識別情報やプラント図面における位置情報をサーバ装置10-1に送信する。
【0022】
(1-2-5.シンボルパターン登録処理)
第5に、サーバ装置10-1は、シンボルパターンを登録する(ステップS5)。例えば、サーバ装置10-1は、プラント管理者端末20から受信したシンボル選択情報をもとにプラント図面情報を取得し、対応する制御機器のシンボルのデジタルデータからシンボルパターンを特定する。このとき、サーバ装置10-1は、特定したシンボルパターンをシンボルパターン情報として保存する。
【0023】
ここで、シンボルパターンとは、シンボルの形状を識別するための識別情報であって、例えば、シンボルの図形、線種、色等である。
【0024】
(1-2-6.シンボル検出処理)
第6に、サーバ装置10-1は、プラント図面からシンボルを検出する(ステップS6)。例えば、サーバ装置10-1は、取得したプラント図面情報を検索し、特定したシンボルパターンと一致、または類似するシンボルを検出する。このとき、サーバ装置10-1は、検出したシンボルを着色して強調表示したプラント図面であるシンボル検出図面を含むシンボル検出情報を生成し、保存する。また、サーバ装置10-1は、検出したシンボルの一覧を示すシンボル検出一覧を含むシンボル検出情報を生成し、保存する。
【0025】
サーバ装置10-1は、機械学習モデルである検出モデルDMを使用してシンボルを検出し、シンボル検出情報に検出漏れ、誤検出等の検出ミスがあった場合には、検出ミスをプラント管理者Oに通知してもよい。
【0026】
(1-2-7.シンボル検出情報送信処理)
第7に、サーバ装置10-1は、シンボル検出情報をプラント管理者端末20に送信する(ステップS7)。例えば、サーバ装置10-1は、シンボル検出図面やシンボル検出一覧を含むシンボル検出情報をプラント管理者端末20に送信する。
【0027】
(1-2-8.シンボル検出情報表示処理)
第8に、プラント管理者端末20は、シンボル検出情報を表示する(ステップS8)。例えば、プラント管理者端末20は、受信したシンボル検出情報に含まれるシンボル検出図面をモニタ画面に表示する。また、プラント管理者端末20は、受信したシンボル検出情報に含まれるシンボル検出一覧をモニタ画面に表示してもよい。
【0028】
(1-3.情報提供システム100-1全体の効果)
以下では、プラント図面の背景、参考技術の概要および問題点について説明した上で、情報提供システム100-1の効果について説明する。
【0029】
(1-3-1.プラント図面の背景)
近年、プラントに関する技術が注目されている。例えば、国際的なプラントエンジニアリングにおけるソフトウェア市場は、年々拡大しており、今後の拡大も予想されている。プラントの建設、運転、および保守には、プラントの建屋図、配置図、P&ID、IBD等のプラント図面が利用されている。
【0030】
ここで、プラント図面の歴史的経緯についてプラント図面であるP&IDを例にして説明する。まず、プラント図面の導入期や普及期では、紙のP&IDが使用され、次に、デジタルデータで作成された2次元CAD(Computer-Aided Design)によるP&IDが使用され、続いて、プラント機器のタグ情報等が付与されたインテリジェントP&IDが使用され、将来的には、さらに効率的なプラント図面である次世代型インテリジェントP&IDが使用されると考えられている。近年、P&IDは、紙のP&IDや2次元CADによるP&IDから、インテリジェントP&IDへの移行が進められている。
【0031】
プラントの建設、運転、および保守では、プラントの建屋図、配置図、P&ID、IBD等のプラント図面に記載されている機器や資材のリストを作る必要がある。しかしながら、例えば、プラント図面が2次元CADによるP&IDの場合には、プラント図面からエンジニア等が目視で機器や資材のシンボルを検出する必要があるので、非効率であり、かつヒューマンエラーも発生しやすい。
【0032】
そのため、プラントの建設、運転、および保守に用いるプラント図面にある複数のシンボルの中から所望するシンボルのパターンを登録して、プラント図面の中から登録したパターンの形状等が一致するすべてのシンボルを検出して提供する技術が求められている。
【0033】
(1-3-2.参考技術の概要)
ここで、プラント図面に関連する参考技術の概要について説明する。以下では、ラスタ形式図面を自動で構造化を可能とする参考技術1、図面に描かれたシンボルの認識の精度を向上させることができる図面構造化技術である参考技術2について説明する。
【0034】
参考技術1は、ラスタ形式図面をベクタ形式図面にベクタ変換し、ベクタ形式図面中の構造要素を構造化する際のルールを規定した構造化ルール定義データベースを保持し、構造化ルール定義データベースを参照して、ベクタ形式図面中の構造要素に属性情報および接続情報を付与して構造要素を構造化する。
【0035】
参考技術2は、シンボルの属性を示す属性情報およびシンボルと線分との接続関係を定義するためのルールが記憶された構造化ルール定義データベースを保持し、ラスタ形式図面に描かれているシンボルを認識し、ラスタ形式図面をベクタ形式図面に変換し、シンボルの認識結果に基づいて特定されたシンボルをベクタ形式図面に配置するとともに、構造化ルール定義データベースに記憶された属性情報とルールを用いて、シンボルに対して属性情報を付与してベクタ形式図面を構造化する。
【0036】
(1-3-3.参考技術の問題点)
しかしながら、参考技術1および参考技術2の技術では、プラントの建設、運転、および保守に用いるプラント図面にある複数のシンボルの中から所望するシンボルのパターンを登録して、プラント図面の中から登録したパターンの形状等が一致するすべてのシンボルを検出して提供することは困難であるという問題点がある。また、機械学習モデルを使用することによって、2次元CADによるP&ID等のプラント図面からシンボルを検出技術も知られているが、検出精度が低いという問題点がある。
【0037】
(1-3-4.情報提供システム100-1の概要)
情報提供システム100-1は、情報提供装置であるサーバ装置10-1とプラント管理者Oが使用するプラント管理者端末20とを備える。サーバ装置10-1は、プラントを構成する複数の構成要素それぞれを示す各シンボルを用いて生成されたプラント図面の図面データを受信し、プラント管理者端末20から、複数の構成要素のうち任意の構成要素の選択を受け付け、選択された構成要素を示すシンボルのシンボルパターンに基づいて、プラント図面に含まれる各シンボルからシンボルパターンが一致、または類似するシンボルを検出し、検出したシンボルに関するシンボル検出情報をプラント管理者端末20に送信する。このとき、サーバ装置10-1は、シンボル検出情報として、検出したシンボルを着色して強調表示したプラント図面であるシンボル検出図面や、検出したシンボルの一覧を示すシンボル検出一覧を送信し、プラント管理者端末20のモニタ画面に表示させる。
【0038】
(1-3-5.効果)
情報提供システム100では、プラントの建設、運転、および保守に用いるプラント図面から、効率的に機器や資材のシンボルを検出し、プラント図面の利用者であるプラント管理者O、プラントエンジニア、プラント建設事業者等に提供することができる。また、情報提供システム100-1では、機械学習モデルのみを用いたシンボル検出技術と比較して、より高精度なパターン抽出を実現することができる。
【0039】
上述してきたように、情報提供システム100-1では、プラントに関する図面からシンボルに関する情報を効率的に提供することが可能となるので、市場が拡大するプラント関連技術の発展に寄与することが期待できる。
【0040】
〔2.情報提供システム100-1の各装置の構成および処理〕
図2図9を用いて、図1に示した情報提供システム100-1が有する各装置の構成例および処理例について説明する。以下では、実施形態1に係る情報提供システム100-1全体の構成例について説明した上で、サーバ装置10-1の構成例および処理例、ならびにプラント管理者端末20の構成例および処理例について詳細に説明する。
【0041】
(2-1.情報提供システム100-1全体の構成例)
図2を用いて、図1に示した情報提供システム100-1全体の構成例について説明する。図2は、実施形態1に係る情報提供システム100-1の各装置の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、情報提供システム100-1は、情報提供装置であるサーバ装置10-1、および利用者端末であるプラント管理者端末20を有する。サーバ装置10-1は、プラント管理者端末20と、インターネットや専用線等で実現される通信網Nによって通信可能に接続されている。また、サーバ装置10-1は、クラウド環境、オンプレミス環境、エッジ環境等に設置される。
【0042】
(2-2.サーバ装置10-1の構成例および処理例)
図2を用いて、図1に示したサーバ装置10-1の構成例および処理例について説明する。サーバ装置10-1は、入力部11、出力部12、通信部13、記憶部14-1および制御部15を有する。以下では、サーバ装置10-1の構成例および処理例について説明するが、プラント管理者端末20も同様の処理を実行することができる。すなわち、情報提供システム100-1は、プラント管理者端末20のみであっても実現することができる。
【0043】
(2-2-1.入力部11)
入力部11は、当該サーバ装置10-1への各種情報の入力を司る。例えば、入力部11は、マウスやキーボード等で実現され、当該サーバ装置10-1への設定情報等の入力を受け付ける。
【0044】
(2-2-2.出力部12)
出力部12は、当該サーバ装置10-1からの各種情報の出力を司る。例えば、出力部12は、ディスプレイ等で実現され、当該サーバ装置10-1に記憶された設定情報等を出力する。
【0045】
(2-2-3.通信部13)
通信部13は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部13は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部13は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0046】
(2-2-4.記憶部14-1)
記憶部14-1は、制御部15が動作する際に参照する各種情報や、制御部15が動作した際に取得した各種情報を記憶する。記憶部14-1は、プラント図面情報記憶部14a、シンボルパターン情報記憶部14b、シンボル検出情報記憶部14c、および検出モデル記憶部14dを有する。ここで、記憶部14-1は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、図2の例では、記憶部14-1は、サーバ装置10-1の内部に設置されているが、サーバ装置10-1の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0047】
(2-2-4-1.プラント図面情報記憶部14a)
プラント図面情報記憶部14aは、プラント図面情報を記憶する。例えば、プラント図面情報記憶部14aは、後述する制御部15の取得部15aによって取得されたプラント図面情報を記憶する。ここで、図3を用いて、プラント図面情報記憶部14aが記憶するデータの一例を説明する。図3は、実施形態1に係るサーバ装置10-1のプラント図面情報記憶部14aの一例を示す図である。図3の例において、プラント図面情報記憶部14aは、「プラント管理者」、「プラント図面」といった項目を有する。
【0048】
「プラント管理者」は、プラント図面を利用する利用者を識別するための識別情報を示し、例えばプラント管理者Oの識別番号や識別記号である。「プラント図面」は、プラントに関する図面の図面データであって、例えば、プラントの建屋図、配置図、P&ID、ECWD、IBD、単結線図、ソフトロジック図等のデジタルデータである。
【0049】
すなわち、図3では、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20から受信した「プラント図面」として、{「プラント図面PD001」,「プラント図面PD002」,「プラント図面PD003」,・・・}であるデータが、プラント図面情報記憶部14aに記憶されている例が示されている。
【0050】
(2-2-4-2.シンボルパターン情報記憶部14b)
シンボルパターン情報記憶部14bは、シンボルパターン情報を記憶する。例えば、シンボルパターン情報記憶部14bは、後述する制御部15の検出部15cによって特定されたシンボルパターンを記憶する。ここで、図4を用いて、シンボルパターン情報記憶部14bが記憶するデータの一例を説明する。図4は、実施形態1に係るサーバ装置10-1のシンボルパターン情報記憶部14bの一例を示す図である。図4の例において、シンボルパターン情報記憶部14bは、「プラント管理者」、「シンボルパターン」といった項目を有する。
【0051】
「プラント管理者」は、プラント図面を利用する利用者を識別するための識別情報を示し、例えば、プラント管理者Oの識別番号や識別記号である。「シンボルパターン」は、シンボルの形状を識別するための識別情報であって、例えば、シンボルの図形、線種、色等である。
【0052】
すなわち、図4では、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20から受け付けられたシンボルの「シンボルパターン」として、{「シンボルパターンSP001」,「シンボルパターンSP002」,「シンボルパターンSP003」,・・・}であるデータが、シンボルパターン情報記憶部14bに記憶されている例が示されている。
【0053】
(2-2-4-3.シンボル検出情報記憶部14c)
シンボル検出情報記憶部14cは、シンボル検出情報を記憶する。例えば、シンボル検出情報記憶部14cは、後述する制御部15の検出部15cによって生成されたシンボル検出情報を記憶する。ここで、図5を用いて、シンボル検出情報記憶部14cが記憶するデータの一例を説明する。図5は、実施形態1に係るサーバ装置10-1のシンボル検出情報記憶部14cの一例を示す図である。図5の例において、シンボル検出情報記憶部14cは、「プラント管理者」、「シンボル検出情報」といった項目を有する。
【0054】
「プラント管理者」は、プラント図面を利用する利用者を識別するための識別情報を示し、例えば、プラント管理者Oの識別番号や識別記号である。「シンボル検出情報」は、検出部15cによって検出されたシンボルに関する情報(シンボル検出結果)であって、例えば、検出されたシンボルを着色して強調表示したプラント図面であるシンボル検出図面や、検出されたシンボルの一覧を示すシンボル検出一覧等である。
【0055】
すなわち、図5では、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20から受け付けられたシンボルの「シンボル検出情報」として、{「シンボル検出情報SD001」,「シンボル検出情報SD002」,「シンボル検出情報SD003」,・・・}であるデータが、シンボル検出情報記憶部14cに記憶されている例が示されている。
【0056】
(2-2-4-4.検出モデル記憶部14d)
検出モデル記憶部14dは、検出モデルDMを記憶する。例えば、検出モデル記憶部14dは、後述する制御部15の通知部15eによって使用される検出モデルDMを記憶する。ここで、図6を用いて、検出モデル記憶部14dが記憶するデータの一例を説明する。図6は、実施形態1に係るサーバ装置10-1の検出モデル記憶部14dの一例を示す図である。図6の例において、検出モデル記憶部14dは、「検出モデル」といった項目を有する。
【0057】
「検出モデル」は、機械学習モデルのモデルデータであって、例えば、検出モデルDMのアルゴリズムを実行するための実行データ、モデルパラメータ、ハイパーパラメータ等を含むデータである。
【0058】
すなわち、図6では、通知部15eによって使用される検出モデルDMのモデルデータとして、「検出モデルDM001」、・・・であるデータが、検出モデル記憶部14dに記憶されている例が示されている。
【0059】
(2-2-5.制御部15)
制御部15は、当該サーバ装置10-1全体の制御を司る。制御部15は、取得部15a、受付部15b、検出部15c、提供部15d、および通知部15eを有する。ここで、制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。
【0060】
(2-2-5-1.取得部15a)
取得部15aは、プラント図面情報取得処理を実行する。取得部15aは、プラントの建設、運転、および保守に用いる図面を取得する。例えば、取得部15aは、プラントを構成する複数の構成要素それぞれを示す複数のシンボルを用いて生成された構成図であるプラント図面を取得する。このとき、取得部15aは、プラント図面として、デジタルデータにより生成された複数のシンボルを含む図面データを取得する。また、取得部15aは、利用者端末であるプラント管理者端末20から送信された、利用者であるプラント管理者Oによって選択されたプラント図面の図面データであるプラント図面情報を取得する。なお、取得部15aは、取得したプラント図面情報をプラント図面情報記憶部14aに格納する。
【0061】
また、取得部15aは、プラント図面情報表示処理を実行する。例えば、取得部15aは、取得したプラントの建設、運転、および保守に用いるプラント図面を表示する。このとき、取得部15aは、プラント図面をプラント管理者端末20に表示させる。
【0062】
具体的な例について説明すると、取得部15aは、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20から取得したプラント図面情報として、{「プラント図面PD001」,「プラント図面PD002」,「プラント図面PD003」,・・・}を取得し、プラント図面情報記憶部14aに格納するとともに、プラント図面をプラント管理者端末20に表示させる。
【0063】
(2-2-5-2.受付部15b)
受付部15bは、シンボル選択情報受付処理を実行する。例えば、受付部15bは、表示されたプラント図面にある複数のシンボルの中から所望するシンボルの選択を示すシンボル選択情報を受け付ける。このとき、受付部15bは、シンボル選択情報として、プラント管理者端末20に表示されたプラント図面上で、プラント管理者Oの操作により選択されたシンボルを受け付ける。なお、受付部15bは、受け付けたシンボル選択情報を記憶部14-1に格納してもよい。
【0064】
また、受付部15bは、シンボルを検出する際の検出条件として、シンボルの向きに関するシンボル角度情報や、シンボルに付属するテキストに関するシンボルテキスト情報や、シンボルの図形、線種、色等に関するシンボル形状情報等を受け付けてもよい。
【0065】
具体的な例について説明すると、受付部15bは、プラント管理者Oがプラント管理者端末20のモニタ画面に表示されたプラント図面中の任意の制御機器「FC7100」のシンボルをクリック操作することによって選択され、プラント管理者端末20から受信したシンボル選択情報として、選択された制御機器「FC7100」のシンボルの識別情報である「FC7100-1」、プラント図面における位置情報である「プラント図面PD001(1,1)」等を受け付ける。
【0066】
また、受付部15bは、シンボルを検出する際の検出条件として、{シンボル角度情報:「完全一致するシンボルを検出」,シンボルテキスト情報:「テキストを含むシンボルを検出」,シンボル形状情報:「図形が完全一致するシンボルを検出」/「線種が完全一致するシンボルを検出」/「色を区別しない」}等を受け付ける。
【0067】
(2-2-5-3.検出部15c)
検出部15cは、シンボルパターン登録処理、シンボル角度特定処理、シンボルテキスト特定処理、シンボル検出処理、シンボル検出情報生成処理等を実行する。
【0068】
(シンボルパターン登録処理)
検出部15cは、デジタルデータを用いて、選択を受け付けられたシンボルのパターンとして、シンボルの図形、線種および色のうち少なくとも1つを特定する。なお、検出部15cは、特定したシンボルパターンをシンボルパターン情報記憶部14bに格納する。
【0069】
具体的な例について説明すると、検出部15cは、選択された制御機器「FC7100」のシンボルの識別情報である「FC7100-1」、プラント図面における位置情報である「プラント図面PD001(1,1)」が受け付けられた場合には、プラント図面情報記憶部14aから「プラント図面PD001」のプラント図面情報を取得し、識別情報および位置情報から制御機器「FC7100」のシンボルのデジタルデータを特定し、制御機器「FC7100」のシンボルのパターンとして、{図形:「円/線分/正方形」,線種:「実線」,色:「緑色」}を特定するとともに、シンボルパターン情報記憶部14bに格納することによって、シンボルパターンを登録する。
【0070】
(シンボル角度特定処理)
検出部15cは、デジタルデータを用いて、選択を受け付けられたシンボルの向きであるシンボル角度を特定する。なお、検出部15cは、特定したシンボル角度を記憶部14-1に格納してもよい。
【0071】
具体的な例について説明すると、検出部15cは、選択された制御機器「FC7100」のシンボルの識別情報である「FC7100-1」、プラント図面における位置情報である「プラント図面PD001(1,1)」が受け付けられた場合には、プラント図面情報記憶部14aから「プラント図面PD001」のプラント図面情報を取得し、識別情報および位置情報から制御機器「FC7100」のシンボルのデジタルデータを特定し、制御機器「FC7100」のシンボルの向きであるシンボル角度として、{シンボル角度:「180°」}を特定するとともに、記憶部14-1に格納する。
【0072】
(シンボルテキスト特定処理)
検出部15cは、デジタルデータを用いて、選択を受け付けられたシンボルに付属するテキストであるシンボルテキストを特定する。なお、検出部15cは、特定したシンボルテキストを記憶部14に格納してもよい。
【0073】
具体的な例について説明すると、検出部15cは、選択された制御機器「FC7100」のシンボルの識別情報である「FC7100-1」、プラント図面における位置情報である「プラント図面PD001(1,1)」が受け付けられた場合には、プラント図面情報記憶部14aから「プラント図面PD001」のプラント図面情報を取得し、識別情報および位置情報から制御機器「FC7100」のシンボルのデジタルデータを特定し、制御機器「FC7100」のシンボルに付属するテキストであるシンボルテキストとして、{シンボルテキスト:「FC」/「7100」}を特定するとともに、記憶部14-1に格納する。
【0074】
(シンボル検出処理)
検出部15cは、選択を受け付けられたシンボルのパターンに基づいて、プラント図面に含まれる複数のシンボルからシンボルを検出する。例えば、検出部15cは、表示されたプラント図面の中から、選択に用いたシンボルを含めて、登録されたパターンと形状が一致する全てのシンボルを検出する。また、検出部15cは、プラント図面に含まれる複数のシンボルから、向きが一致する全てのシンボルを検出する。また、検出部15cは、プラント図面に含まれる複数のシンボルから、テキストが一致する全てのシンボルを検出する。
【0075】
具体的な例について説明すると、検出部15cは、「プラント図面PD001」中の制御機器「FC7100」のシンボルを検出する際の検出条件として、{シンボル形状情報:「図形が完全一致するシンボルを検出」/「線種が完全一致するシンボルを検出」/「色を区別しない」}が受け付けられた場合には、プラント図面情報記憶部14aから「プラント図面PD001」のプラント図面情報を取得し、シンボルパターン情報記憶部14bから制御機器「FC7100」のシンボルパターン{図形:「円/線分/正方形」,線種:「実線」,色:「緑色」}を取得し、「プラント図面PD001」のプラント図面情報を検索し、シンボルパターン{図形:「円/線分/正方形」,線種:「実線」}が一致するシンボルを検出する。
【0076】
また、検出部15cは、「プラント図面PD001」中の制御機器「FC7100」のシンボルを検出する際の検出条件として、{シンボル角度情報:「完全一致するシンボルを検出」}が受け付けられた場合には、シンボルパターンが一致するシンボルのうち、さらにシンボル角度が「180°」であるシンボルを検出する。
【0077】
また、検出部15cは、「プラント図面PD001」中の制御機器「FC7100」のシンボルを検出する際の検出条件として、{シンボルテキスト情報:「テキストを含むシンボルを検出」}が受け付けられた場合には、シンボルパターンが一致するシンボルのうち、さらにシンボルテキストが「FC」/「7100」であるシンボルを検出する。
【0078】
(シンボル検出情報生成処理)
検出部15cは、検出したシンボルに関する検出結果であるシンボル検出情報を生成する。例えば、検出部15cは、シンボル検出情報として、検出したシンボルを強調表示したプラント図面であるシンボル検出図面を生成する。また、検出部15cは、検出したシンボルの一覧であるシンボル検出一覧を生成する。なお、検出部15cは、生成したシンボル検出情報をシンボル検出情報記憶部14cに格納する。
【0079】
シンボル検出図面の具体的な例について説明すると、検出部15cは、プラント図面情報記憶部14aから「プラント図面PD001」のプラント図面情報を取得し、検出した制御機器「FC7100」のシンボルを青色で着色することによって強調表示した「プラント図面PD001」のプラント図面情報をシンボル検出図面として生成し、シンボル検出情報記憶部14cに格納する。
【0080】
シンボル検出一覧の具体的な例について説明すると、検出部15cは、検出した制御機器「FC7100」の識別情報{「FC7100-1」,「FC7100-2」,・・・,「FC7100-6」}をシンボル検出一覧として生成し、シンボル検出情報記憶部14cに格納する。
【0081】
(2-2-5-4.提供部15d)
提供部15dは、シンボル検出情報送信処理を実行する。例えば、提供部15dは、検出部15cによって検出されたシンボルに関する検出結果であるシンボル検出情報をプラント管理者端末20に送信することによって、プラント管理者Oに提供する。
【0082】
具体的な例について説明すると、提供部15dは、シンボル検出情報として、検出された制御機器「FC7100」のシンボルを青色で着色することによって強調表示した「プラント図面PD001」のプラント図面情報であるシンボル検出図面、および検出された制御機器「FC7100」の識別情報{「FC7100-1」,「FC7100-2」,・・・,「FC7100-6」}であるシンボル検出一覧を、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20に送信する。
【0083】
(2-2-5-5.通知部15e)
通知部15eは、出力結果取得処理、検出ミス通知処理等を実行する。
【0084】
(出力結果取得処理)
通知部15eは、プラント図面のデジタルデータおよびシンボルパターンの入力に応じてプラント図面に含まれるシンボルを出力する学習済みの機械学習モデルを用いて、出力結果を取得する。
【0085】
具体的な例について説明すると、通知部15eは、プラント図面情報「プラント図面PD001」、シンボルパターン{図形:「円/線分/正方形」,線種:「実線」}を検出モデル記憶部14dの検出モデルDMに入力し、検出モデルDMの出力結果である{「FC7100-1」,「FC7100-2」,・・・,「FC7100-6」,「FC7100-7」}を取得する。
【0086】
(検出ミス通知処理)
通知部15eは、学習済みの機械学習モデルの出力結果を用いて、検出されたシンボルの検出漏れ、または誤検出をプラント管理者Oに通知する。
【0087】
具体的な例について説明すると、通知部15eは、検出部15cによって検出された制御機器「FC7100」のシンボル検出一覧{「FC7100-1」,「FC7100-2」,・・・,「FC7100-6」}と、検出モデルDMの出力結果である{「FC7100-1」,「FC7100-2」,・・・,「FC7100-6」,「FC7100-7」}とを比較し、識別情報「FC7100-7」である制御機器「FC7100」のシンボルの検出漏れがある可能性を判定し、「検出漏れがある可能性があります。」等のメッセージを検出ミス情報として生成し、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20に送信する。
【0088】
(2-3.プラント管理者端末20の構成例および処理例)
図2を用いて、プラント管理者端末20の構成例および処理例について説明する。プラント管理者端末20は、プラントを管理するプラント管理者Oが使用する端末であって、入出力部21、制御部22および通信部23を有する。
【0089】
(2-3-1.入出力部21)
入出力部21は、当該プラント管理者端末20への各種情報の入力を司る。例えば、入出力部21は、マウスやキーボードやタッチパネル等で実現され、当該プラント管理者端末20への設定情報等の入力を受け付ける。また、入出力部21は、当該プラント管理者端末20からの各種情報を表示する。例えば、入出力部21は、ディスプレイ等で実現され、当該プラント管理者端末20に記憶された設定情報等を表示する。
【0090】
入出力部21は、プラント管理者Oが閲覧するプラント図面を表示する。なお、プラント図面の詳細については、(2-3-4.プラント管理者端末20の表示画面の具体例1)にて後述する。また、入出力部21は、プラント管理者Oにシンボルの選択を可能とするシンボル選択画面を表示する。なお、シンボル選択画面の詳細については、(2-3-5.プラント管理者端末20の表示画面の具体例2)にて後述する。また、入出力部21は、プラント管理者Oが閲覧するシンボル検出図面を表示する。なお、シンボル検出図面の詳細については、(2-3-6.プラント管理者端末20の表示画面の具体例3)にて後述する。
【0091】
(2-3-2.制御部22)
制御部22は、各種情報を送信する。例えば、制御部22は、プラント管理者Oが選択したプラント図面のプラント図面情報をサーバ装置10-1に送信する。また、制御部22は、プラント管理者Oがシンボル選択画面において選択したシンボルのシンボル選択情報をサーバ装置10-1に送信する。
【0092】
制御部22は、各種情報を受信する。例えば、制御部22は、入出力部21によって表示されるシンボル検出図面、シンボル検出一覧等を含むシンボル検出情報をサーバ装置10-1から受信する。また、制御部22は、入出力部21によって表示される、シンボルの検出漏れ、または誤検出をプラント管理者Oに通知する検出ミス情報をサーバ装置10-1から受信する。
【0093】
(2-3-3.通信部23)
通信部23は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部23は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部23は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0094】
(2-3-4.プラント管理者端末20の表示画面の具体例1)
ここで、図7を用いて、プラント管理者端末20の入出力部21が出力する表示画面の具体例1について説明する。図7は、実施形態1に係るプラント管理者端末20の表示画面の具体例1を示す図である。以下では、プラント管理者Oが閲覧するプラント図面について説明する。
【0095】
(2-3-4-1.プラント図面)
図7の例に示すように、プラント管理者端末20は、プラントごとに、プラントの構成要素を示すシンボルと、プラントの構成要素を接続する接続要素を示すラインとによって作成されたプラント図面を表示する。図7の例では、「プラントPS001」のプラント図面において、プラント管理者Oが検出したい制御機器のシンボルが表示されている(図7(1)~(6)参照)。
【0096】
(2-3-4-2.シンボルの表示形式)
プラント管理者端末20は、シンボルとして、図形、線種、色等の形状が異なるシンボルの他、向きが異なるシンボル、テキストが付属するシンボル、線の太さが異なるシンボル等を表示することができる。このとき、プラント管理者端末20は、シンボルの前後関係を描画することによって、立体的なプラントの構成を示すプラント図面を表示することもできる。
【0097】
(2-3-5.プラント管理者端末20の表示画面の具体例2)
ここで、図8を用いて、プラント管理者端末20の入出力部21が出力する表示画面の具体例2について説明する。図8は、実施形態1に係るプラント管理者端末20の表示画面の具体例2を示す図である。以下では、プラント管理者Oによるシンボルの選択を可能とするシンボル選択画面について説明する。
【0098】
(2-3-5-1.シンボル選択画面)
図8の例に示すように、プラント管理者端末20は、プラント図面上でプラント管理者Oが検出したいシンボルの選択を可能とするシンボル選択画面を表示する。図8の例では、プラント管理者端末20は、「プラントPS001」のプラント図面において、プラント管理者Oが検出したい制御機器のシンボル(図8(1)参照)付近を拡大したプラント図面を表示している。このとき、プラント管理者Oは、検出したいシンボルをクリック操作することによって、当該シンボルを選択することができる。
【0099】
また、プラント管理者端末20は、プラント図面上でプラント管理者Oによって選択されたシンボルの拡大されたシンボルパターン(図8(2)参照)を表示している。このとき、プラント管理者Oは、表示されたシンボルパターンの図形を修正することもできるし、シンボルに付属しているテキストを削除することもできる。
【0100】
(2-3-5-2.検出条件の指定)
プラント管理者Oは、シンボルを検出する際の検出条件を指定することができる。例えば、プラント管理者Oは、シンボルパターンである図形、線種、および色のうち一致する条件、シンボルの向き、シンボルに付属しているテキストの有無等を検出条件として指定することができる。さらに、プラント管理者Oは、シンボルのサイズが完全一致した場合に検出する検出条件を指定することもできる。
【0101】
(2-3-6.プラント管理者端末20の表示画面の具体例3)
ここで、図9を用いて、プラント管理者端末20の入出力部21が出力する表示画面の具体例3について説明する。図9は、実施形態1に係るプラント管理者端末20の表示画面の具体例3を示す図である。以下では、プラント管理者Oが閲覧するシンボル検出図面について説明する。
【0102】
(2-3-6-1.シンボル検出図面)
図9の例に示すように、プラント管理者端末20は、検出されたシンボルを着色することによって強調されたプラント検出図面を表示する。図9の例では、プラント管理者端末20は、「プラントPS001」のプラント図面において、検出された制御機器のシンボルが青色で強調されたプラント図面であるシンボル検出図面を表示している(図9(1)~(6)参照)。このとき、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oによって選択された制御機器のシンボル(図9(1)参照)も含めて、全ての制御機器のシンボルを強調表示する。
【0103】
(2-3-6-2.シンボル検出一覧)
プラント管理者端末20は、検出されたシンボルの一覧であるシンボル検出一覧を表示することもできる。例えば、プラント管理者端末20は、シンボル検出一覧として、検出された制御機器の識別情報や位置情報を含むシンボルの一覧を表示することもできる。
【0104】
(2-3-6-3.検出ミス通知)
プラント管理者端末20は、検出されたシンボルの検出漏れや誤検出の可能性を示す検出ミス通知を表示することもできる。例えば、プラント管理者端末20は、検出ミス通知として、「検出漏れがある可能性があります。」等のメッセージを表示することもできる。
【0105】
〔3.情報提供システム100-1の処理の流れ〕
図10を用いて、実施形態1に係る情報提供システム100-1の処理の流れについて説明する。図10は、実施形態1に係る情報提供システム100-1の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。以下では、プラント図面登録処理、シンボルパターン登録処理、シンボル検出結果提供処理の順に説明する。なお、下記のステップS101~S116の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS101~S116の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0106】
(3-1.プラント図面登録処理)
情報提供システム100-1は、下記のステップS101~S103の処理で示されるプラント図面登録処理を実行する。
【0107】
第1に、プラント管理者端末20は、プラント図面選択処理を実行する(ステップS101)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラントのプラント図面を受け付ける。第2に、プラント管理者端末20は、プラント図面情報送信処理を実行する(ステップS102)。例えば、プラント管理者端末20は、サーバ装置10-1に、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラントのプラント図面のデジタルデータを送信する。第3に、サーバ装置10-1は、プラント図面情報保存処理を実行する(ステップS103)。例えば、サーバ装置10-1は、プラント管理者端末20から受信したプラント図面情報をプラント管理者Oごとに保存する。
【0108】
(3-2.シンボルパターン登録処理)
情報提供システム100-1は、下記のステップS104~S108の処理で示されるシンボルパターン登録処理を実行する。
【0109】
第1に、プラント管理者端末20は、プラント図面表示処理を実行する(ステップS104)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラントのプラント図面をモニタ画面に表示する。第2に、プラント管理者端末20は、シンボル選択処理を実行する(ステップS105)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によってプラント図面上で選択されたシンボルを受け付ける。第3に、プラント管理者端末20は、シンボル選択情報送信処理を実行する(ステップS106)。例えば、プラント管理者端末20は、サーバ装置10-1に、プラント管理者Oの操作によって選択されたシンボルの識別情報やプラント図面上での位置情報を送信する。第4に、サーバ装置10-1は、シンボルパターン特定処理を実行する(ステップS107)。例えば、サーバ装置10-1は、プラント管理者端末20から受信したシンボル選択情報をもとにプラント図面情報を参照し、プラント図面情報のデジタルデータからシンボルパターンを特定する。第5に、サーバ装置10-1は、シンボルパターン情報保存処理を実行する(ステップS108)。例えば、サーバ装置10-1は、特定したシンボルパターンを含むシンボルパターン情報をプラント管理者Oごとに保存する。
【0110】
(3-3.シンボル検出結果提供処理)
情報提供システム100-1は、下記のステップS109~S116の処理で示されるシンボル検出結果提供処理を実行する。
【0111】
第1に、サーバ装置10-1は、プラント図面取得処理を実行する(ステップS109)。例えば、サーバ装置10-1は、プラント管理者Oの操作によってシンボルの検出の要求を受け付け、保存したプラント図面情報を検索し、対応するプラントのプラント図面情報を取得する。第2に、サーバ装置10-1は、シンボルパターン情報取得処理を実行する(ステップS110)。例えば、サーバ装置10-1は、プラント管理者Oの操作によってシンボルの検出の要求を受け付け、保存したシンボルパターン情報を検索し、対応するシンボルのシンボルパターン情報を取得する。第3に、サーバ装置10-1は、シンボル検出処理を実行する(ステップS111)。例えば、サーバ装置10-1は、取得したプラント図面情報を検索し、取得したシンボルパターン情報のシンボルパターンと一致するシンボルを検出する。第4に、サーバ装置10-1は、シンボル検出情報生成処理を実行する(ステップS112)。例えば、サーバ装置10-1は、検出したシンボルを強調表示したシンボル検出図面や、検出したシンボルの一覧を示すシンボル検出一覧を生成する。第5に、サーバ装置10-1は、シンボル検出情報保存処理を実行する(ステップS113)。例えば、サーバ装置10-1は、生成したシンボル検出図面やシンボル検出一覧を含むシンボル検出情報をプラント管理者Oごとに保存する。第6に、サーバ装置10-1は、シンボル検出情報送信処理を実行する(ステップS114)。例えば、サーバ装置10-1は、プラント管理者端末20に、生成したシンボル検出図面やシンボル検出一覧を含むシンボル検出情報を送信する。第7に、プラント管理者端末20は、シンボル検出図面表示処理を実行する(ステップS115)。例えば、プラント管理者端末20は、サーバ装置10-1から受信したシンボル検出情報に含まれるシンボル検出図面をモニタ画面に表示する。第8に、プラント管理者端末20は、シンボル検出一覧表示処理を実行する(ステップS116)。例えば、プラント管理者端末20は、サーバ装置10-1から受信したシンボル検出情報に含まれるシンボル検出一覧をモニタ画面に表示する。
【0112】
〔4.実施形態1の効果〕
最後に、実施形態1の効果について説明する。以下では、実施形態1に係る処理に対応する効果1~5について説明する。
【0113】
(4-1.効果1)
第1に、上述した実施形態1に係る処理では、サーバ装置10-1は、プラントを構成する複数の構成要素それぞれを示す各シンボルを用いて生成されたプラント図面を受信し、プラント管理者端末20から、複数の構成要素のうち任意の構成要素の選択を受け付け、選択された構成要素を示すシンボルのシンボルパターンに基づいて、プラント図面に含まれる各シンボルからシンボルを検出し、検出したシンボルに関するシンボル検出情報をプラント管理者端末20に送信する。このため、実施形態1に係る処理では、プラント図面に含まれるシンボルに関する情報を効率的に提供することができる。
【0114】
(4-2.効果2)
第2に、上述した実施形態1に係る処理では、サーバ装置10-1は、プラント図面として、デジタルデータにより生成された各シンボルを含む図面データを受信し、プラント管理者端末20に表示されたプラント図面上で、プラント管理者Oの操作により選択された任意の構成要素を受け付け、デジタルデータを用いて選択されたシンボルのパターンとして、シンボルの図形、線種および色のうち少なくとも1つを特定し、プラント図面に含まれる各シンボルから、パターンが一致、または類似するシンボルを検出する。このため、実施形態1に係る処理では、プラント管理者Oが選択したシンボルに形状が一致、または類似するシンボルを検出することによって、プラント図面に含まれるシンボルに関する情報を効率的に提供することができる。
【0115】
(4-3.効果3)
第3に、上述した実施形態1に係る処理では、サーバ装置10-1は、選択されたシンボルの向きを特定し、プラント図面に含まれる各シンボルから、向きが一致するシンボルを検出する。このため、実施形態1に係る処理では、プラント管理者Oが選択したシンボルに形状が一致、または類似するシンボルであって、さらにシンボルの向きが一致するシンボルを検出することによって、プラント図面に含まれるシンボルに関する情報を効率的に提供することができる。
【0116】
(4-4.効果4)
第4に、上述した実施形態1に係る処理では、サーバ装置10-1は、選択されたシンボルに付属するテキストをさらに特定し、プラント図面に含まれる各シンボルから、テキストが一致するシンボルを検出する。このため、実施形態1に係る処理では、プラント管理者Oが選択したシンボルに形状が一致、または類似するシンボルであって、さらにシンボルに付属するテキストが一致するシンボルを検出することによって、プラント図面に含まれるシンボルに関する情報を効率的に提供することができる。
【0117】
(4-5.効果5)
第5に、上述した実施形態1に係る処理では、サーバ装置10-1は、シンボル検出情報として、検出したシンボルを強調表示したプラント図面、および検出したシンボルの一覧のうち少なくとも1つを生成する。このため、実施形態1に係る処理では、プラント図面に含まれるシンボルに関する情報として、シンボル検出図面やシンボル検出一覧を効率的に提供することができる。
【0118】
〔実施形態2〕
以下に、実施形態2に係るプラント図面ライン検出システムである情報提供システム100-2の構成および処理、情報提供システム100-2の各装置の構成および処理、情報提供システム100-2の処理の流れを順に説明し、最後に実施形態2の効果を説明する。なお、実施形態1と共通する構成や処理については説明を省略する。
【0119】
〔1.情報提供システム100-2の構成および処理〕
図11を用いて、実施形態2に係る情報提供システム100-2の構成および処理を詳細に説明する。図11は、実施形態2に係る情報提供システム100-2の構成例および処理例を示す図である。以下では、情報提供システム100-2全体の構成例、情報提供システム100-2の処理例、および情報提供システム100-2の効果について説明する。
【0120】
(1-1.情報提供システム100-2全体の構成例)
実施形態2に係る情報提供システム100-2全体の構成例について説明する。情報提供システム100-2は、情報提供装置(プラント図面ライン検出装置)であるサーバ装置10-2、およびプラント管理者Oが使用するプラント管理者端末20を有する。ここで、サーバ装置10-2とプラント管理者端末20とは、図示しない所定の通信網(ネットワーク)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、所定の通信網には、インターネットや専用線等の各種通信網を採用することができる。また、図11に示した情報提供システム100-2には、複数台のサーバ装置10-2または複数台のプラント管理者端末20が含まれてもよい。
【0121】
(1-2.情報提供システム100-2全体の処理例)
実施形態2に係る情報提供システム100-2全体の処理例について説明する。なお、下記のステップS11~S17の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS11~S17の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0122】
(1-2-1.プラント図面情報送信処理)
第1に、プラント管理者端末20は、プラント図面情報をサーバ装置10-2に送信する(ステップS11)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラント図面情報をサーバ装置10-2に送信する。このとき、サーバ装置10-2は、プラント図面情報を受信し、保存する。
【0123】
(1-2-2.プラント図面表示処理)
第2に、プラント管理者端末20は、プラント図面を表示する(ステップS12)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラント図面をモニタ画面に表示する。
【0124】
(1-2-3.ライン選択処理)
第3に、プラント管理者Oは、プラント管理者端末20を操作することによってラインを選択する(ステップS13)。例えば、プラント管理者Oは、プラント管理者端末20のモニタ画面に表示されたプラント図面中の配管のラインをクリック操作することによって、配管のラインを選択する。
【0125】
ここで、ラインとは、プラントの構成要素を接続する接続要素を示す、プラント図面に記載される記号である。また、接続要素とは、プラントを構成するプラント機器やプラント設備等を接続する配管(例:流体が流れる配管)や配線(例:電気が流れる配線)である。
【0126】
(1-2-4.ライン選択情報送信処理)
第4に、プラント管理者端末20は、ライン選択情報をサーバ装置10-2に送信する(ステップS14)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oに選択された配管のラインの識別情報やプラント図面における位置情報をサーバ装置10-2に送信する。
【0127】
(1-2-5.ラインパターン登録処理)
第5に、サーバ装置10-2は、ラインパターンを登録する(ステップS15)。例えば、サーバ装置10-2は、プラント管理者端末20から受信したライン選択情報をもとにプラント図面情報を取得し、対応する配管のラインのデジタルデータからラインパターンを特定する。このとき、サーバ装置10-2は、特定したラインパターンをラインパターン情報として保存する。
【0128】
ここで、ラインパターンとは、ラインの形状を識別するための識別情報であって、例えば、ラインの太さ、線種、色等である。
【0129】
(1-2-6.ライン検出処理)
第6に、サーバ装置10-2は、プラント図面からラインを検出する(ステップS16)。例えば、サーバ装置10-2は、取得したプラント図面情報を検索し、特定したラインパターンと一致、または類似するラインを検出する。このとき、サーバ装置10-2は、検出したラインを着色して強調表示したプラント図面であるライン検出図面を含むライン検出情報を生成し、保存する。また、サーバ装置10-2は、検出したラインの一覧を示すライン検出一覧を含むライン検出情報を生成し、保存する。
【0130】
サーバ装置10-2は、機械学習モデルである検出モデルDMを使用してラインを検出し、ライン検出情報に検出漏れ、誤検出等の検出ミスがあった場合には、検出ミスをプラント管理者Oに通知してもよい。
【0131】
(1-2-7.ライン検出情報送信処理)
第7に、サーバ装置10-2は、ライン検出情報をプラント管理者端末20に送信する(ステップS17)。例えば、サーバ装置10-2は、ライン検出図面やライン検出一覧を含むライン検出情報をプラント管理者端末20に送信する。
【0132】
(1-2-8.ライン検出情報表示処理)
第8に、プラント管理者端末20は、ライン検出情報を表示する(ステップS18)。例えば、プラント管理者端末20は、受信したライン検出情報に含まれるライン検出図面をモニタ画面に表示する。また、プラント管理者端末20は、受信したライン検出情報に含まれるライン検出一覧をモニタ画面に表示してもよい。
【0133】
(1-3.情報提供システム100-2全体の効果)
以下では、参考技術の問題点について説明した上で、情報提供システム100-2の効果について説明する。
【0134】
(1-3-1.参考技術の問題点)
実施形態1にて上述した参考技術1および参考技術2の技術では、プラントの建設、運転、および保守に用いるプラント図面にある複数のラインの中から所望するラインのパターンを登録して、プラント図面の中から登録したパターンの形状等が一致するすべてのラインを検出して提供することは困難であるという問題点がある。また、機械学習モデルを使用することによって、2次元CADによるP&ID等のプラント図面からラインを検出技術も知られているが、検出精度が低いという問題点がある。
【0135】
(1-3-2.情報提供システム100-2の概要)
情報提供システム100-2は、情報提供装置であるサーバ装置10-2とプラント管理者Oが使用するプラント管理者端末20とを備える。サーバ装置10-2は、プラントを構成する構成要素を接続する複数の接続要素を示す各ラインを用いて生成されたプラント図面の図面データを受信し、プラント管理者端末20から、複数の接続要素のうち任意の接続要素の選択を受け付け、選択された接続要素を示すラインのラインパターンに基づいて、プラント図面に含まれる各ラインからラインパターンが一致、または類似するラインを検出し、検出したラインに関するライン検出情報をプラント管理者端末20に送信する。このとき、サーバ装置10-2は、ライン検出情報として、検出したラインを着色して強調表示したプラント図面であるライン検出図面や、検出したラインの一覧を示すライン検出一覧を送信し、プラント管理者端末20のモニタ画面に表示させる。
【0136】
(1-3-3.効果)
情報提供システム100-2では、プラントの建設、運転、および保守に用いるプラント図面から、効率的に配管や信号線のラインを検出し、プラント図面の利用者であるプラント管理者O、プラントエンジニア、プラント建設事業者等に提供することができる。また、情報提供システム100では、機械学習モデルのみを用いたライン検出技術と比較して、より高精度なパターン抽出を実現することができる。
【0137】
上述してきたように、情報提供システム100では、プラントに関する図面からラインに関する情報を効率的に提供することが可能となるので、市場が拡大するプラント関連技術の発展に寄与することが期待できる。
【0138】
〔2.情報提供システム100-2の各装置の構成および処理〕
図12図17を用いて、図11に示した情報提供システム100-2が有する各装置の構成例および処理例について説明する。以下では、実施形態2に係る情報提供システム100-2全体の構成例について説明した上で、サーバ装置10-2の構成例および処理例、ならびにプラント管理者端末20の構成例および処理例について詳細に説明する。
【0139】
(2-1.情報提供システム100-2全体の構成例)
図12を用いて、図11に示した情報提供システム100-2全体の構成例について説明する。図12は、実施形態2に係る情報提供システム100-2の各装置の構成例を示すブロック図である。図12に示すように、情報提供システム100-2は、情報提供装置であるサーバ装置10-2、および利用者端末であるプラント管理者端末20を有する。サーバ装置10-2は、プラント管理者端末20と、インターネットや専用線等で実現される通信網Nによって通信可能に接続されている。また、サーバ装置10-2は、クラウド環境、オンプレミス環境、エッジ環境等に設置される。
【0140】
(2-2.サーバ装置10-2の構成例および処理例)
図12を用いて、図11に示したサーバ装置10-2の構成例および処理例について説明する。サーバ装置10-2は、入力部11、出力部12、通信部13、記憶部14-2および制御部15を有する。以下では、サーバ装置10-2の構成例および処理例について説明するが、プラント管理者端末20も同様の処理を実行することができる。すなわち、情報提供システム100-2は、プラント管理者端末20のみであっても実現することができる。なお、入力部11、出力部12、および通信部13の構成例ならびに処理例については、実施形態1と共通するので説明を省略する。
【0141】
(2-2-1.記憶部14-2)
記憶部14-2は、制御部15が動作する際に参照する各種情報や、制御部15が動作した際に取得した各種情報を記憶する。記憶部14-2は、プラント図面情報記憶部14a、ラインパターン情報記憶部14e、ライン検出情報記憶部14f、および検出モデル記憶部14dを有する。ここで、記憶部14-2は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、図12の例では、記憶部14-2は、サーバ装置10-2の内部に設置されているが、サーバ装置10-2の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0142】
(2-2-1-1.プラント図面情報記憶部14a)
プラント図面情報記憶部14aは、プラント図面情報を記憶する。なお、プラント図面情報記憶部14aが記憶するプラント図面情報については、実施形態1と共通するので説明を省略する。
【0143】
(2-2-1-2.ラインパターン情報記憶部14e)
ラインパターン情報記憶部14eは、ラインパターン情報を記憶する。例えば、ラインパターン情報記憶部14eは、後述する制御部15の検出部15cによって特定されたラインパターンを記憶する。ここで、図13を用いて、ラインパターン情報記憶部14eが記憶するデータの一例を説明する。図13は、実施形態2に係るサーバ装置10-2のラインパターン情報記憶部14eの一例を示す図である。図13の例において、ラインパターン情報記憶部14eは、「プラント管理者」、「ラインパターン」といった項目を有する。
【0144】
「プラント管理者」は、プラント図面を利用する利用者を識別するための識別情報を示し、例えば、プラント管理者Oの識別番号や識別記号である。「ラインパターン」は、ラインの形状を識別するための識別情報であって、例えば、ラインの太さ、線種、色等である。
【0145】
すなわち、図13では、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20から受け付けられたラインの「ラインパターン」として、{「ラインパターンLP001」,「ラインパターンLP002」,「ラインパターンLP003」,・・・}であるデータが、ラインパターン情報記憶部14eに記憶されている例が示されている。
【0146】
(2-2-1-3.ライン検出情報記憶部14f)
ライン検出情報記憶部14fは、ライン検出情報を記憶する。例えば、ライン検出情報記憶部14fは、後述する制御部15の検出部15cによって生成されたライン検出情報を記憶する。ここで、図14を用いて、ライン検出情報記憶部14fが記憶するデータの一例を説明する。図14は、実施形態2に係るサーバ装置10-2のライン検出情報記憶部14fの一例を示す図である。図14の例において、ライン検出情報記憶部14fは、「プラント管理者」、「ライン検出情報」といった項目を有する。
【0147】
「プラント管理者」は、プラント図面を利用する利用者を識別するための識別情報を示し、例えば、プラント管理者Oの識別番号や識別記号である。「ライン検出情報」は、検出部15cによって検出されたラインに関する情報(ライン検出結果)であって、例えば、検出されたラインを着色して強調表示したプラント図面であるライン検出図面や、検出されたラインの一覧を示すライン検出一覧等である。
【0148】
すなわち、図14では、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20から受け付けられたラインの「ライン検出情報」として、{「ライン検出情報LD001」,「ライン検出情報LD002」,「ライン検出情報LD003」,・・・}であるデータが、ライン検出情報記憶部14fに記憶されている例が示されている。
【0149】
(2-2-1-4.検出モデル記憶部14d)
検出モデル記憶部14dは、検出モデルDMを記憶する。なお、検出モデル記憶部14dが記憶する検出モデルDMについては、実施形態1と共通するので説明を省略する。
【0150】
(2-2-2.制御部15)
制御部15は、当該サーバ装置10-2全体の制御を司る。制御部15は、取得部15a、受付部15b、検出部15c、提供部15d、および通知部15eを有する。ここで、制御部15は、例えば、CPUやMPU等の電子回路やASICやFPGA等の集積回路により実現され得る。
【0151】
(2-2-2-1.取得部15a)
取得部15aは、プラント図面情報取得処理を実行する。例えば、取得部15aは、プラントを構成する構成要素を接続する複数の接続要素を示す複数のラインを用いて生成された構成図であるプラント図面を取得する。このとき、取得部15aは、プラント図面として、デジタルデータにより生成された複数のラインを含む図面データを取得する。また、取得部15aは、利用者端末であるプラント管理者端末20から送信された、利用者であるプラント管理者Oによって選択されたプラント図面の図面データであるプラント図面情報を取得する。なお、取得部15aは、取得したプラント図面情報をプラント図面情報記憶部14aに格納する。
【0152】
また、取得部15aは、プラント図面情報表示処理を実行する。例えば、取得部15aは、取得したプラントの建設、運転、および保守に用いるプラント図面を表示する。このとき、取得部15aは、プラント図面をプラント管理者端末20に表示させる。
【0153】
具体的な例について説明すると、取得部15aは、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20から取得したプラント図面情報として、{「プラント図面PD001」,「プラント図面PD002」,「プラント図面PD003」,・・・}を取得し、プラント図面情報記憶部14aに格納するとともに、プラント図面をプラント管理者端末20に表示させる。
【0154】
(2-2-2-2.受付部15b)
受付部15bは、ライン選択情報受付処理を実行する。例えば、受付部15bは、表示されたプラント図面にある複数のラインの中から所望するラインの選択を示すライン選択情報を受け付ける。このとき、受付部15bは、ライン選択情報として、プラント管理者端末20に表示されたプラント図面上で、プラント管理者Oの操作により選択されたラインを受け付ける。なお、受付部15bは、受け付けたライン選択情報を記憶部14-2に格納してもよい。
【0155】
また、受付部15bは、ラインを検出する際の検出条件として、ラインの向きに関するライン角度情報や、ラインに付属するラインナンバーに関するラインナンバー情報や、ラインの太さ、線種、色等に関するライン形状情報等を受け付けてもよい。
【0156】
具体的な例について説明すると、受付部15bは、プラント管理者Oがプラント管理者端末20のモニタ画面に表示されたプラント図面中の任意の配管「P7017」のラインをクリック操作することによって選択され、プラント管理者端末20から受信したライン選択情報として、選択された配管「P7017」のラインの識別情報である「P7017-1」、プラント図面における位置情報である「プラント図面PD001(0,1)」等を受け付ける。
【0157】
また、受付部15bは、ラインを検出する際の検出条件として、{ライン角度情報:「完全一致するラインを検出」,ラインナンバー情報:「ラインナンバーを含むラインを検出」,ライン形状情報:「太さが完全一致するラインを検出」/「線種が完全一致するラインを検出」/「色を区別しない」}等を受け付ける。
【0158】
(2-2-2-3.検出部15c)
検出部15cは、ラインパターン登録処理、ライン角度特定処理、ラインナンバー特定処理、ライン検出処理、ライン検出情報生成処理等を実行する。
【0159】
(ラインパターン登録処理)
検出部15cは、デジタルデータを用いて、選択を受け付けられたラインのパターンとして、ラインの太さ、線種および色のうち少なくとも1つを特定する。なお、検出部15cは、特定したラインパターンをラインパターン情報記憶部14eに格納する。
【0160】
具体的な例について説明すると、検出部15cは、選択された配管「P7017」のラインの識別情報である「P7017-1」、プラント図面における位置情報である「プラント図面PD001(0,1)」が受け付けられた場合には、プラント図面情報記憶部14aから「プラント図面PD001」のプラント図面情報を取得し、識別情報および位置情報から制御機器「P7017」のラインのデジタルデータを特定し、配管「P7017」のラインのパターンとして、{太さ:「1.0pt」,線種:「実線」,色:「赤色」}を特定するとともに、ラインパターン情報記憶部14eに格納することによって、ラインパターンを登録する。
【0161】
(ライン角度特定処理)
検出部15cは、デジタルデータを用いて、選択を受け付けられたラインの向きであるライン角度を特定する。なお、検出部15cは、特定したライン角度を記憶部14-2に格納してもよい。
【0162】
具体的な例について説明すると、検出部15cは、選択された配管「P7017」のラインの識別情報である「P7017-1」、プラント図面における位置情報である「プラント図面PD001(0,1)」が受け付けられた場合には、プラント図面情報記憶部14aから「プラント図面PD001」のプラント図面情報を取得し、識別情報および位置情報から配管「P7017」のラインのデジタルデータを特定し、配管「P7017」のラインの向きであるライン角度として、{ライン角度:「180°」}を特定するとともに、記憶部14-2に格納する。
【0163】
(ラインナンバー特定処理)
検出部15cは、デジタルデータを用いて、選択を受け付けられたラインに付属するラインナンバーを特定する。なお、検出部15cは、特定したラインナンバーを記憶部14-2に格納してもよい。
【0164】
具体的な例について説明すると、検出部15cは、選択された配管「P7017」のラインの識別情報である「P7017-1」、プラント図面における位置情報である「プラント図面PD001(0,1)」が受け付けられた場合には、プラント図面情報記憶部14aから「プラント図面PD001」のプラント図面情報を取得し、識別情報および位置情報から配管「P7017」のラインのデジタルデータを特定し、配管「P7017」のラインに付属するラインナンバーとして、{ラインナンバー:「P7017 B1 H30」}を特定するとともに、記憶部14-2に格納する。
【0165】
(ライン検出処理)
検出部15cは、選択を受け付けられたラインのパターンに基づいて、プラント図面に含まれる複数のラインからラインを検出する。例えば、検出部15cは、表示されたプラント図面の中から、選択に用いたラインを含めて、登録されたパターンと形状が一致する全てのラインを検出する。また、検出部15cは、プラント図面に含まれる複数のラインから、向きが一致する全てのラインを検出する。また、検出部15cは、プラント図面に含まれる複数のラインから、ラインナンバーが一致する全てのラインを検出する。
【0166】
具体的な例について説明すると、検出部15cは、「プラント図面PD001」中の配管「P7017」のラインを検出する際の検出条件として、{ライン形状情報:「太さが完全一致するラインを検出」/「線種が完全一致するラインを検出」/「色を区別しない」}が受け付けられた場合には、プラント図面情報記憶部14aから「プラント図面PD001」のプラント図面情報を取得し、ラインパターン情報記憶部14eから配管「P7017」のラインパターン{太さ:「1.0pt」,線種:「実線」,色:「赤色」}を取得し、「プラント図面PD001」のプラント図面情報を検索し、ラインパターン{太さ:「1.0pt」,線種:「実線」}が一致するラインを検出する。
【0167】
また、検出部15cは、「プラント図面PD001」中の配管「P7017」のラインを検出する際の検出条件として、{ライン角度情報:「完全一致するラインを検出」}が受け付けられた場合には、ラインパターンが一致、または類似するラインのうち、さらにライン角度が「180°」であるラインを検出する。
【0168】
また、検出部15cは、「プラント図面PD001」中の配管「P7017」のラインを検出する際の検出条件として、{ラインナンバー情報:「ラインナンバーを含むラインを検出」}が受け付けられた場合には、ラインパターンが一致、または類似するラインのうち、さらにラインナンバーが「P7017 B1 H30」であるラインを検出する。
【0169】
(ライン検出情報生成処理)
検出部15cは、検出したラインに関する検出結果であるライン検出情報を生成する。例えば、検出部15cは、ライン検出情報として、検出したラインを強調表示した構成図であるライン検出図面を生成する。また、検出部15cは、検出したラインの一覧であるライン検出一覧を生成する。なお、検出部15cは、生成したライン検出情報をライン検出情報記憶部14fに格納する。
【0170】
ライン検出図面の具体的な例について説明すると、検出部15cは、プラント図面情報記憶部14aから「プラント図面PD001」のプラント図面情報を取得し、検出した配管「P7017」のラインを青色で着色することによって強調表示した「プラント図面PD001」のプラント図面情報をライン検出図面として生成し、ライン検出情報記憶部14fに格納する。
【0171】
ライン検出一覧の具体的な例について説明すると、検出部15cは、検出した配管「P7017」の識別情報{「P7017-1」,「P7017-2」,・・・,「P7017-10」}をライン検出一覧として生成し、ライン検出情報記憶部14fに格納する。
【0172】
(2-2-2-4.提供部15d)
提供部15dは、ライン検出情報送信処理を実行する。例えば、提供部15dは、検出部15cによって検出されたラインに関する検出結果であるライン検出情報をプラント管理者端末20に送信することによって、プラント管理者Oに提供する。
【0173】
具体的な例について説明すると、提供部15dは、ライン検出情報として、検出された配管「P7017」のラインを青色で着色することによって強調表示した「プラント図面PD001」のプラント図面情報であるライン検出図面、および検出された配管「P7017」の識別情報{「P7017-1」,「P7017-2」,・・・,「P7017-10」}であるライン検出一覧を、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20に送信する。
【0174】
(2-2-2-5.通知部15e)
通知部15eは、出力結果取得処理、検出ミス通知処理等を実行する。
【0175】
(出力結果取得処理)
通知部15eは、プラント図面のデジタルデータおよびラインパターンの入力に応じてプラント図面に含まれるラインを出力する学習済みの機械学習モデルを用いて、出力結果を取得する。
【0176】
具体的な例について説明すると、通知部15eは、プラント図面情報「プラント図面PD001」、ラインパターン{太さ:「1.0pt」,線種:「実線」}を検出モデル記憶部14dの検出モデルDMに入力し、検出モデルDMの出力結果である{「P7017-1」,「P7017-2」,・・・,「P7017-10」,「P7017-11」}を取得する。
【0177】
(検出ミス通知処理)
通知部15eは、学習済みの機械学習モデルの出力結果を用いて、検出されたラインの検出漏れ、または誤検出をプラント管理者Oに通知する。
【0178】
具体的な例について説明すると、通知部15eは、検出部15cによって検出された配管「P7017」のライン検出一覧{「P7017-1」,「P7017-2」,・・・,「P7017-10」}と、検出モデルDMの出力結果である{「P7017-1」,「P7017-2」,・・・,「P7017-10」,「P7017-11」}とを比較し、識別情報「P7017-11」である配管「P7017」のラインの検出漏れがある可能性を判定し、「検出漏れがある可能性があります。」等のメッセージを検出ミス情報として生成し、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20に送信する。
【0179】
(2-3.プラント管理者端末20の構成例および処理例)
図12を用いて、プラント管理者端末20の構成例および処理例について説明する。プラント管理者端末20は、プラントを管理するプラント管理者Oが使用する端末であって、入出力部21、制御部22および通信部23を有する。
【0180】
(2-3-1.入出力部21)
入出力部21は、当該プラント管理者端末20への各種情報の入力を司る。例えば、入出力部21は、マウスやキーボードやタッチパネル等で実現され、当該プラント管理者端末20への設定情報等の入力を受け付ける。また、入出力部21は、当該プラント管理者端末20からの各種情報を表示する。例えば、入出力部21は、ディスプレイ等で実現され、当該プラント管理者端末20に記憶された設定情報等を表示する。
【0181】
入出力部21は、プラント管理者Oが閲覧するプラント図面を表示する。なお、プラント図面の詳細については、(2-3-4.プラント管理者端末20の表示画面の具体例1)にて後述する。また、入出力部21は、プラント管理者Oにラインの選択を可能とするライン選択画面を表示する。なお、ライン選択画面の詳細については、(2-3-5.プラント管理者端末20の表示画面の具体例2)にて後述する。また、入出力部21は、プラント管理者Oが閲覧するライン検出図面を表示する。なお、ライン検出図面の詳細については、(2-3-6.プラント管理者端末20の表示画面の具体例3)にて後述する。
【0182】
(2-3-2.制御部22)
制御部22は、各種情報を送信する。例えば、制御部22は、プラント管理者Oが選択したプラント図面のプラント図面情報をサーバ装置10-2に送信する。また、制御部22は、プラント管理者Oがライン選択画面において選択したラインのライン選択情報をサーバ装置10-2に送信する。
【0183】
制御部22は、各種情報を受信する。例えば、制御部22は、入出力部21によって表示されるライン検出図面、ライン検出一覧等を含むライン検出情報をサーバ装置10-2から受信する。また、制御部22は、入出力部21によって表示される、ラインの検出漏れ、または誤検出をプラント管理者Oに通知する検出ミス情報をサーバ装置10-2から受信する。
【0184】
(2-3-3.通信部23)
通信部23は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部23は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部23は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0185】
(2-3-4.プラント管理者端末20の表示画面の具体例1)
ここで、図15を用いて、プラント管理者端末20の入出力部21が出力する表示画面の具体例1について説明する。図15は、実施形態2に係るプラント管理者端末20の表示画面の具体例1を示す図である。以下では、プラント管理者Oが閲覧するプラント図面について説明する。
【0186】
(2-3-4-1.プラント図面)
図15の例に示すように、プラント管理者端末20は、プラントごとに、プラントの構成要素を示すシンボルと、プラントの構成要素を接続する接続要素を示すラインとによって作成されたプラント図面を表示する。図15の例では、「プラントPS001」のプラント図面において、プラント管理者Oが検出したい配管のラインが表示されている(図15(1)参照)。
【0187】
(2-3-4-2.ラインの表示形式)
プラント管理者端末20は、ラインとして、太さ、線種、色等の形状が異なるラインの他、向きが異なるライン、ラインナンバーが付属するライン等を表示することができる。このとき、プラント管理者端末20は、ラインの前後関係を描画することによって、立体的なプラントの構成を示すプラント図面を表示することもできる。
【0188】
(2-3-5.プラント管理者端末20の表示画面の具体例2)
ここで、図16を用いて、プラント管理者端末20の入出力部21が出力する表示画面の具体例2について説明する。図16は、実施形態2に係るプラント管理者端末20の表示画面の具体例2を示す図である。以下では、プラント管理者Oによるラインの選択を可能とするライン選択画面について説明する。
【0189】
(2-3-5-1.ライン選択画面)
図16の例に示すように、プラント管理者端末20は、プラント図面上でプラント管理者Oが検出したいラインの選択を可能とするライン選択画面を表示する。図16の例では、プラント管理者端末20は、「プラントPS001」のプラント図面において、プラント管理者Oが検出したい配管のライン(図16(1)参照)付近を拡大したプラント図面を表示している。このとき、プラント管理者Oは、検出したいラインをクリック操作することによって、当該ラインを選択することができる。
【0190】
また、プラント管理者端末20は、プラント図面上でプラント管理者Oによって選択されたラインの拡大されたラインパターン(図16(2)参照)を表示している。このとき、プラント管理者Oは、表示されたラインパターンの図形を修正することもできるし、ラインに付属しているラインナンバーを削除することもできる。
【0191】
(2-3-5-2.検出条件の指定)
プラント管理者Oは、ラインを検出する際の検出条件を指定することができる。例えば、プラント管理者Oは、ラインパターンである太さ、線種、および色のうち一致する条件、ラインの向き、ラインに付属しているラインナンバーの有無等を検出条件として指定することができる。さらに、プラント管理者Oは、ラインの長さが完全一致した場合に検出する検出条件を指定することもできる。
【0192】
(2-3-6.プラント管理者端末20の表示画面の具体例3)
ここで、図17を用いて、プラント管理者端末20の入出力部21が出力する表示画面の具体例3について説明する。図17は、実施形態2に係るプラント管理者端末20の表示画面の具体例3を示す図である。以下では、プラント管理者Oが閲覧するライン検出図面について説明する。
【0193】
(2-3-6-1.ライン検出図面)
図17の例に示すように、プラント管理者端末20は、検出されたラインを着色することによって強調されたプラント検出図面を表示する。図17の例では、プラント管理者端末20は、「プラントPS001」のプラント図面において、検出された配管のラインが青色で強調されたプラント図面であるライン検出図面を表示している(図17格子線部参照)。このとき、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oによって選択された配管のライン(図17(1)参照)も含めて、すべての配管のラインを強調表示する。
【0194】
(2-3-6-2.ライン検出一覧)
プラント管理者端末20は、検出されたラインの一覧であるライン検出一覧を表示することもできる。例えば、プラント管理者端末20は、ライン検出一覧として、検出された配管の識別情報や位置情報を含むラインの一覧を表示することもできる。
【0195】
(2-3-6-3.検出ミス通知)
プラント管理者端末20は、検出されたラインの検出漏れや誤検出の可能性を示す検出ミス通知を表示することもできる。例えば、プラント管理者端末20は、検出ミス通知として、「検出漏れがある可能性があります。」等のメッセージを表示することもできる。
【0196】
〔3.情報提供システム100-2の処理の流れ〕
図18を用いて、実施形態2に係る情報提供システム100-2の処理の流れについて説明する。図18は、実施形態2に係る情報提供システム100-2の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。以下では、プラント図面登録処理、ラインパターン登録処理、ライン検出結果提供処理の順に説明する。なお、下記のステップS201~S216の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS201~S216の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0197】
(3-1.プラント図面登録処理)
情報提供システム100-2は、下記のステップS201~S203の処理で示されるプラント図面登録処理を実行する。
【0198】
第1に、プラント管理者端末20は、プラント図面選択処理を実行する(ステップS201)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラントのプラント図面を受け付ける。第2に、プラント管理者端末20は、プラント図面情報送信処理を実行する(ステップS202)。例えば、プラント管理者端末20は、サーバ装置10-2に、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラントのプラント図面のデジタルデータを送信する。第3に、サーバ装置10-2は、プラント図面情報保存処理を実行する(ステップS203)。例えば、サーバ装置10-2は、プラント管理者端末20から受信したプラント図面情報をプラント管理者Oごとに保存する。
【0199】
(3-2.ラインパターン登録処理)
情報提供システム100-2は、下記のステップS204~S208の処理で示されるラインパターン登録処理を実行する。
【0200】
第1に、プラント管理者端末20は、プラント図面表示処理を実行する(ステップS204)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラントのプラント図面をモニタ画面に表示する。第2に、プラント管理者端末20は、ライン選択処理を実行する(ステップS205)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によってプラント図面上で選択されたラインを受け付ける。第3に、プラント管理者端末20は、ライン選択情報送信処理を実行する(ステップS206)。例えば、プラント管理者端末20は、サーバ装置10-2に、プラント管理者Oの操作によって選択されたラインの識別情報やプラント図面上での位置情報を送信する。第4に、サーバ装置10-2は、ラインパターン特定処理を実行する(ステップS207)。例えば、サーバ装置10-2は、プラント管理者端末20から受信したライン選択情報をもとにプラント図面情報を参照し、プラント図面情報のデジタルデータからラインパターンを特定する。第5に、サーバ装置10-2は、ラインパターン情報保存処理を実行する(ステップS208)。例えば、サーバ装置10-2は、特定したラインパターンを含むラインパターン情報をプラント管理者Oごとに保存する。
【0201】
(3-3.ライン検出結果提供処理)
情報提供システム100-2は、下記のステップS209~S216の処理で示されるライン検出結果提供処理を実行する。
【0202】
第1に、サーバ装置10-2は、プラント図面取得処理を実行する(ステップS209)。例えば、サーバ装置10-2は、プラント管理者Oの操作によってラインの検出の要求を受け付け、保存したプラント図面情報を検索し、対応するプラントのプラント図面情報を取得する。第2に、サーバ装置10-2は、ラインパターン情報取得処理を実行する(ステップS210)。例えば、サーバ装置10-2は、プラント管理者Oの操作によってラインの検出の要求を受け付け、保存したラインパターン情報を検索し、対応するラインのラインパターン情報を取得する。第3に、サーバ装置10-2は、ライン検出処理を実行する(ステップS211)。例えば、サーバ装置10-2は、取得したプラント図面情報を検索し、取得したラインパターン情報のラインパターンと一致するラインを検出する。第4に、サーバ装置10-2は、ライン検出情報生成処理を実行する(ステップS212)。例えば、サーバ装置10-2は、検出したラインを強調表示したライン検出図面や、検出したラインの一覧を示すライン検出一覧を生成する。第5に、サーバ装置10-2は、ライン検出情報保存処理を実行する(ステップS213)。例えば、サーバ装置10-2は、生成したライン検出図面やライン検出一覧を含むライン検出情報をプラント管理者Oごとに保存する。第6に、サーバ装置10-2は、ライン検出情報送信処理を実行する(ステップS214)。例えば、サーバ装置10-2は、プラント管理者端末20に、生成したライン検出図面やライン検出一覧を含むライン検出情報を送信する。第7に、プラント管理者端末20は、ライン検出図面表示処理を実行する(ステップS215)。例えば、プラント管理者端末20は、サーバ装置10-2から受信したライン検出情報に含まれるライン検出図面をモニタ画面に表示する。第8に、プラント管理者端末20は、ライン検出一覧表示処理を実行する(ステップS216)。例えば、プラント管理者端末20は、サーバ装置10-2から受信したライン検出情報に含まれるライン検出一覧をモニタ画面に表示する。
【0203】
〔4.実施形態2の効果〕
最後に、実施形態2の効果について説明する。以下では、実施形態2に係る処理に対応する効果1~5について説明する。
【0204】
(4-1.効果1)
第1に、上述した実施形態2に係る処理では、サーバ装置10-2は、プラントを構成する構成要素を接続する複数の接続要素を示す各ラインを用いて生成されたプラント図面を受信し、プラント管理者端末20から、複数の接続要素のうち任意の接続要素の選択を受け付け、選択された接続要素を示すラインのラインパターンに基づいて、プラント図面に含まれる各ラインからラインを検出し、検出したラインに関するライン検出情報をプラント管理者端末20に送信する。このため、実施形態2に係る処理では、プラント図面に含まれるラインに関する情報を効率的に提供することができる。
【0205】
(4-2.効果2)
第2に、上述した実施形態2に係る処理では、サーバ装置10-2は、プラント図面として、デジタルデータにより生成された各ラインを含む図面データを受信し、プラント管理者端末20に表示されたプラント図面上で、プラント管理者Oの操作により選択された任意の接続要素を受け付け、デジタルデータを用いて選択されたラインのパターンとして、ラインの太さ、線種および色のうち少なくとも1つを特定し、プラント図面に含まれる各ラインから、パターンが一致、または類似するラインを検出する。このため、実施形態2に係る処理では、プラント管理者Oが選択したラインに形状が一致、または類似するラインを検出することによって、プラント図面に含まれるラインに関する情報を効率的に提供することができる。
【0206】
(4-3.効果3)
第3に、上述した実施形態2に係る処理では、サーバ装置10-2は、選択されたラインの向きを特定し、プラント図面に含まれる各ラインから、向きが一致するラインを検出する。このため、実施形態2に係る処理では、プラント管理者Oが選択したラインに形状が一致、または類似するラインであって、さらにラインの向きが一致するラインを検出することによって、プラント図面に含まれるラインに関する情報を効率的に提供することができる。
【0207】
(4-4.効果4)
第4に、上述した実施形態2に係る処理では、サーバ装置10-2は、選択されたラインに付属するラインナンバーをさらに特定し、プラント図面に含まれる各ラインから、ラインナンバーが一致するラインを検出する。このため、実施形態2に係る処理では、プラント管理者Oが選択したラインに形状が一致、または類似するラインであって、さらにラインに付属するラインナンバーが一致するラインを検出することによって、プラント図面に含まれるラインに関する情報を効率的に提供することができる。
【0208】
(4-5.効果5)
第5に、上述した実施形態2に係る処理では、サーバ装置10-2は、ライン検出情報として、検出したラインを強調表示したプラント図面、および検出したラインの一覧のうち少なくとも1つを生成する。このため、実施形態2に係る処理では、プラント図面に含まれるラインに関する情報として、ライン検出図面やライン検出一覧を効率的に提供することができる。
【0209】
〔実施形態3〕
以下に、実施形態3に係るプラント図面シンボル検出システム、およびプラント図面ライン検出システムである情報提供システム100-3の構成および処理、情報提供システム100-3の各装置の構成および処理、情報提供システム100-3の処理の流れを順に説明し、最後に実施形態3の効果を説明する。なお、実施形態1または実施形態2と共通する構成や処理については説明を省略する。
【0210】
〔1.情報提供システム100-3の構成および処理〕
図19を用いて、実施形態3に係る情報提供システム100-3の構成および処理を詳細に説明する。図19は、実施形態3に係る情報提供システム100-3の構成例および処理例を示す図である。以下では、情報提供システム100-3全体の構成例、情報提供システム100-3の処理例、および情報提供システム100-3の効果について説明する。
【0211】
(1-1.情報提供システム100-3全体の構成例)
実施形態3に係る情報提供システム100-3全体の構成例について説明する。情報提供システム100-3は、情報提供装置(プラント図面シンボル検出装置、およびプラント図面ライン検出装置)であるサーバ装置10-3、およびプラント管理者Oが使用するプラント管理者端末20を有する。ここで、サーバ装置10-3とプラント管理者端末20とは、図示しない所定の通信網(ネットワーク)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、所定の通信網には、インターネットや専用線等の各種通信網を採用することができる。また、図19に示した情報提供システム100-3には、複数台のサーバ装置10-3または複数台のプラント管理者端末20が含まれてもよい。
【0212】
(1-2.情報提供システム100-3全体の処理例)
実施形態3に係る情報提供システム100-3全体の処理例について説明する。なお、下記のステップS21~S29の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS21~S29の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0213】
(1-2-1.プラント図面情報送信処理)
第1に、プラント管理者端末20は、プラント図面情報をサーバ装置10-3に送信する(ステップS21)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラント図面情報をサーバ装置10-3に送信する。このとき、サーバ装置10-3は、プラント図面情報を受信し、保存する。
【0214】
(1-2-2.プラント図面表示処理)
第2に、プラント管理者端末20は、プラント図面を表示する(ステップS22)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラント図面をモニタ画面に表示する。
【0215】
(1-2-3.シンボル・ライン選択処理)
第3に、プラント管理者Oは、プラント管理者端末20を操作することによってシンボルおよびラインを選択する(ステップS23)。例えば、プラント管理者Oは、プラント管理者端末20のモニタ画面に表示されたプラント図面中の制御装置のシンボルをクリック操作することによって、制御装置のシンボルを選択し、プラント管理者端末20のモニタ画面に表示されたプラント図面中の配管のラインをクリック操作することによって、配管のラインを選択する。
【0216】
(1-2-4.シンボル選択情報・ライン選択情報送信処理)
第4に、プラント管理者端末20は、シンボル選択情報およびライン選択情報をサーバ装置10-3に送信する(ステップS24)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oに選択された制御装置のシンボルの識別情報やプラント図面における位置情報をサーバ装置10-3に送信し、プラント管理者Oに選択された配管のラインの識別情報やプラント図面における位置情報をサーバ装置10-3に送信する。
【0217】
(1-2-5.シンボルパターン・ラインパターン登録処理)
第5に、サーバ装置10-3は、シンボルパターンおよびラインパターンを登録する(ステップS25)。例えば、サーバ装置10-3は、プラント管理者端末20から受信したシンボル選択情報をもとにプラント図面情報を取得し、対応する制御装置のシンボルのデジタルデータからシンボルパターンを特定する。このとき、サーバ装置10-3は、特定したシンボルパターンをシンボルパターン情報として保存する。また、サーバ装置10-3は、プラント管理者端末20から受信したライン選択情報をもとにプラント図面情報を取得し、対応する配管のラインのデジタルデータからラインパターンを特定する。このとき、サーバ装置10-3は、特定したラインパターンをラインパターン情報として保存する。
【0218】
(1-2-6.シンボル・ライン検出処理)
第6に、サーバ装置10-3は、プラント図面からシンボルおよびラインを検出する(ステップS26)。例えば、サーバ装置10-3は、取得したプラント図面情報を検索し、特定したシンボルパターンと一致、または類似するシンボルを検出する。このとき、サーバ装置10-3は、検出したシンボルを着色して強調表示したプラント図面であるシンボル検出図面を含むシンボル検出情報を生成し、保存する。また、サーバ装置10-3は、検出したシンボルの一覧を示すシンボル検出一覧を含むシンボル検出情報を生成し、保存する。
【0219】
また、サーバ装置10-3は、取得したプラント図面情報を検索し、特定したラインパターンと一致、または類似するラインを検出する。このとき、サーバ装置10-3は、検出したラインを着色して強調表示したプラント図面であるライン検出図面を含むライン検出情報を生成し、保存する。また、サーバ装置10-3は、検出したラインの一覧を示すライン検出一覧を含むライン検出情報を生成し、保存する。
【0220】
(1-2-7.流れ方向検出処理)
第7に、サーバ装置10-3は、プラント図面から流れ方向を検出する(ステップS27)。例えば、サーバ装置10-3は、取得したプラント図面情報を検索し、検出したシンボル、検出したライン、および流れ方向を示す記号をもとに、流体や信号等の流れを示す流れ方向を検出する。このとき、サーバ装置10-3は、検出した流れ方向を示す矢印付き曲線を重畳表示したプラント図面である流れ方向検出図面を含む流れ方向検出情報を生成し、保存する。また、サーバ装置10-3は、検出した流れ方向の一覧を示す流れ方向検出一覧を含む流れ方向検出情報を生成し、保存する。
【0221】
サーバ装置10-3は、機械学習モデルである検出モデルDMを使用して流れ方向を検出し、流れ方向検出情報に検出漏れ、誤検出等の検出ミスがあった場合には、検出ミスをプラント管理者Oに通知してもよい。
【0222】
(1-2-8.流れ方向検出情報送信処理)
第8に、サーバ装置10-3は、流れ方向検出情報をプラント管理者端末20に送信する(ステップS28)。例えば、サーバ装置10-3は、流れ方向検出図面や流れ方向検出一覧を含む流れ方向検出情報をプラント管理者端末20に送信する。
【0223】
(1-2-9.流れ方向検出情報表示処理)
第9に、プラント管理者端末20は、流れ方向検出情報を表示する(ステップS29)。例えば、プラント管理者端末20は、受信した流れ方向検出情報に含まれる流れ方向検出図面をモニタ画面に表示する。また、プラント管理者端末20は、受信した流れ方向検出情報に含まれる流れ方向検出一覧をモニタ画面に表示してもよい。
【0224】
(1-3.情報提供システム100-3全体の効果)
以下では、参考技術の問題点について説明した上で、情報提供システム100-3の効果について説明する。
【0225】
(1-3-1.参考技術の問題点)
実施形態1にて上述した参考技術1および参考技術2の技術では、プラントの建設、運転、および保守に用いるプラント図面にある複数のシンボルおよびラインの中から所望するシンボルおよびラインのパターンを登録して、プラント図面の中から登録したパターンの形状等が一致するすべてのシンボルおよびラインを検出して提供することは困難であるという問題点がある。また、機械学習モデルを使用することによって、2次元CADによるP&ID等のプラント図面からシンボルおよびラインを検出技術も知られているが、検出精度が低いという問題点がある。さらに、参考技術1および参考技術2の技術では、プラント図面からシンボルおよびラインを検出した上で、検出したシンボルおよびラインに流れる流体や信号の流れ方向を検出して提供することは困難であるという問題点がある。
【0226】
(1-3-2.情報提供システム100-3の概要)
情報提供システム100-3は、情報提供装置であるサーバ装置10-3とプラント管理者Oが使用するプラント管理者端末20とを備える。サーバ装置10-3は、実施形態1で上述したサーバ装置10-1の処理と同様に、選択された構成要素を示すシンボルのシンボルパターンに基づいて、プラント図面に含まれる各シンボルからシンボルパターンが一致、または類似するシンボルを検出する。また、サーバ装置10-3は、実施形態2で上述したサーバ装置10-2の処理と同様に、選択された接続要素を示すラインのラインパターンに基づいて、プラント図面に含まれる各ラインからラインパターンが一致、または類似するラインを検出する。そして、サーバ装置10-3は、検出したシンボル、検出したライン、およびプラント図面に含まれる流れ方向を示す記号を用いて、流れ方向を検出する。このとき、サーバ装置10-3は、流れ方向検出情報として、検出した流れ方向を示す矢印付き曲線を重畳表示したプラント図面である流れ方向検出図面や、検出した流れ方向の一覧を示す流れ方向検出一覧を送信し、プラント管理者端末20のモニタ画面に表示させる。
【0227】
(1-3-3.効果)
情報提供システム100-3では、プラントの建設、運転、および保守に用いるプラント図面から、効率的に流れ方向を検出し、プラント図面の利用者であるプラント管理者O、プラントエンジニア、プラント建設事業者等に提供することができる。また、情報提供システム100-3では、機械学習モデルのみを用いたシンボル検出技術、ライン検出技術等と比較して、より高精度なパターン抽出を実現することができる。
【0228】
上述してきたように、情報提供システム100-3では、プラントに関する図面から流れ方向に関する情報を効率的に提供することが可能となるので、市場が拡大するプラント関連技術の発展に寄与することが期待できる。
【0229】
〔2.情報提供システム100-3の各装置の構成および処理〕
図20図24を用いて、図19に示した情報提供システム100-3が有する各装置の構成例および処理例について説明する。以下では、実施形態3に係る情報提供システム100-3全体の構成例について説明した上で、サーバ装置10-3の構成例および処理例、ならびにプラント管理者端末20の構成例および処理例について詳細に説明する。
【0230】
(2-1.情報提供システム100-3全体の構成例)
図20を用いて、図19に示した情報提供システム100-3全体の構成例について説明する。図20は、実施形態3に係る情報提供システム100-3の各装置の構成例を示すブロック図である。図20に示すように、情報提供システム100-3は、情報提供装置であるサーバ装置10-3、および利用者端末であるプラント管理者端末20を有する。サーバ装置10-3は、プラント管理者端末20と、インターネットや専用線等で実現される通信網Nによって通信可能に接続されている。また、サーバ装置10-3は、クラウド環境、オンプレミス環境、エッジ環境等に設置される。
【0231】
(2-2.サーバ装置10-3の構成例および処理例)
図20を用いて、図19に示したサーバ装置10-3の構成例および処理例について説明する。サーバ装置10-3は、入力部11、出力部12、通信部13、記憶部14-3および制御部15を有する。以下では、サーバ装置10-3の構成例および処理例について説明するが、プラント管理者端末20も同様の処理を実行することができる。すなわち、情報提供システム100-3は、プラント管理者端末20のみであっても実現することができる。なお、入力部11、出力部12、および通信部13の構成例ならびに処理例については、実施形態1と共通するので説明を省略する。
【0232】
(2-2-1.記憶部14-3)
記憶部14-3は、制御部15が動作する際に参照する各種情報や、制御部15が動作した際に取得した各種情報を記憶する。記憶部14-3は、プラント図面情報記憶部14a、シンボルパターン情報記憶部14b、シンボル検出情報記憶部14c、ラインパターン情報記憶部14e、ライン検出情報記憶部14f、流れ方向検出情報記憶部14g、および検出モデル記憶部14dを有する。ここで、記憶部14-3は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、図20の例では、記憶部14-3は、サーバ装置10-3の内部に設置されているが、サーバ装置10-3の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0233】
(2-2-1-1.プラント図面情報記憶部14a)
プラント図面情報記憶部14aは、プラント図面情報を記憶する。なお、プラント図面情報記憶部14aが記憶するプラント図面情報については、実施形態1と共通するので説明を省略する。
【0234】
(2-2-1-2.シンボルパターン情報記憶部14b)
シンボルパターン情報記憶部14bは、シンボルパターン情報を記憶する。なお、シンボルパターン情報記憶部14bが記憶するシンボルパターン情報については、実施形態1と共通するので説明を省略する。
【0235】
(2-2-1-3.シンボル検出情報記憶部14c)
シンボル検出情報記憶部14cは、シンボル検出情報を記憶する。なお、シンボル検出情報記憶部14cが記憶するシンボル検出情報については、実施形態1と共通するので説明を省略する。
【0236】
(2-2-1-4.ラインパターン情報記憶部14e)
ラインパターン情報記憶部14eは、ラインパターン情報を記憶する。なお、ラインパターン情報記憶部14eが記憶するラインパターン情報については、実施形態2と共通するので説明を省略する。
【0237】
(2-2-1-5.ライン検出情報記憶部14f)
ライン検出情報記憶部14fは、ライン検出情報を記憶する。なお、ライン検出情報記憶部14fが記憶するライン検出情報については、実施形態2と共通するので説明を省略する。
【0238】
(2-2-1-6.流れ方向検出情報記憶部14g)
流れ方向検出情報記憶部14gは、流れ方向検出情報を記憶する。例えば、流れ方向検出情報記憶部14gは、後述する制御部15の検出部15cによって生成された流れ方向検出情報を記憶する。ここで、図21を用いて、流れ方向検出情報記憶部14gが記憶するデータの一例を説明する。図21は、実施形態3に係るサーバ装置10-3の流れ方向検出情報記憶部14gの一例を示す図である。図21の例において、流れ方向検出情報記憶部14gは、「プラント管理者」、「流れ方向検出情報」といった項目を有する。
【0239】
「プラント管理者」は、プラント図面を利用する利用者を識別するための識別情報を示し、例えば、プラント管理者Oの識別番号や識別記号である。「流れ方向検出情報」は、検出部15cによって検出された流れ方向に関する情報であって、例えば、検出された流れ方向を示す矢印付き曲線を重畳表示したプラント図面である流れ方向検出図面や、検出された流れ方向の一覧を示す流れ方向検出一覧等である。
【0240】
すなわち、図5では、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20から受け付けられたシンボルおよびラインが関与する「流れ方向検出情報」として、{「流れ方向検出情報FD001」,「流れ方向検出情報FD002」,「流れ方向検出情報FD003」,・・・}であるデータが、シンボル検出情報記憶部14fに記憶されている例が示されている。
【0241】
(2-2-1-7.検出モデル記憶部14d)
検出モデル記憶部14dは、検出モデルDMを記憶する。なお、検出モデル記憶部14dが記憶する検出モデルDMについては、実施形態1と共通するので説明を省略する。
【0242】
(2-2-2.制御部15)
制御部15は、当該サーバ装置10-3全体の制御を司る。制御部15は、取得部15a、受付部15b、検出部15c、提供部15d、および通知部15eを有する。ここで、制御部15は、例えば、CPUやMPU等の電子回路やASICやFPGA等の集積回路により実現され得る。
【0243】
(2-2-2-1.取得部15a)
取得部15aは、プラント図面情報受信処理を実行する。なお、取得部15aが実行するプラント図面情報受信処理については、実施形態1および実施形態2と共通するので説明を省略する。
【0244】
(2-2-2-2.受付部15b)
受付部15bは、シンボル選択情報受付処理、ライン選択情報受付処理等を実行する。なお、受付部15bが実行するシンボル選択情報受付処理については、実施形態1と共通するので説明を省略する。また、受付部15bが実行するライン選択情報受付処理については、実施形態2と共通するので説明を省略する。
【0245】
(2-2-2-3.検出部15c)
検出部15cは、シンボルパターン登録処理、シンボル角度特定処理、シンボルテキスト特定処理、シンボル検出処理、シンボル検出情報生成処理、ラインパターン登録処理、ライン角度特定処理、ラインナンバー特定処理、ライン検出処理、ライン検出情報生成処理、流れ方向検出処理、流れ方向検出情報生成処理等を実行する。なお、検出部15cが実行するシンボルパターン登録処理、シンボル角度特定処理、シンボルテキスト特定処理、シンボル検出処理、およびシンボル検出情報生成処理については、実施形態1と共通するので説明を省略する。また、検出部15cが実行するラインパターン登録処理、ライン角度特定処理、ラインナンバー特定処理、ライン検出処理、ライン検出情報生成処理については、実施形態2と共通するので説明を省略する。
【0246】
(流れ方向検出処理)
検出部15cは、プラントを構成する複数の構成要素それぞれを示す複数のシンボル、およびプラントを構成する構成要素を接続する複数の接続要素を示す複数のラインを用いて生成された構成図であるプラント図面における流体、または信号の流れ方向を検出する。例えば、検出部15cは、プラント図面に含まれる複数のシンボルから、シンボルパターンが一致する全てのシンボルを検出し、プラント図面に含まれる複数のラインから、ラインパターンが一致する全てのラインを検出し、検出したシンボル、検出したライン、およびプラント図面に含まれる方向を示す記号を用いて、流れ方向を検出する。
【0247】
具体的な例について説明すると、検出部15cは、「プラント図面PD001」中の制御機器「FC7100」を検出し、「プラント図面PD001」中の配管「P7017」のラインを検出した場合には、制御機器「FC7100」および配管「P7017」の「プラント図面PD001」における位置情報から接続関係を特定し、特定した接続関係における流体、または信号の流れ方向を検出する。このとき、検出部15cは、特定した接続関係から流れ方向が特定できる場合には、特定した流れ方向を検出する。また、検出部15cは、特定した接続関係から流れ方向が特定できない場合には、プラント図面上に記載された矢印、矢羽根図形等の流れ方向を示す記号にしたがって流れ方向を検出する。
【0248】
(流れ方向検出情報生成処理)
検出部15cは、検出した流れ方向に関する検出結果である流れ方向検出情報を生成する。例えば、検出部15cは、流れ方向検出情報として、検出したシンボル、および検出したラインを接続し、流れ方向を示す矢印付き曲線をシンボルおよびラインに重畳表示した構成図である流れ方向検出図面を生成する。また、検出部15cは、流れ方向検出情報として、検出したシンボル、検出したライン、および流れ方向の一覧である流れ方向検出一覧を生成する。なお、検出部15cは、生成した流れ方向検出情報を流れ方向検出情報記憶部14gに格納する。
【0249】
流れ方向検出図面の具体的な例について説明すると、検出部15cは、プラント図面情報記憶部14aから「プラント図面PD001」のプラント図面情報を取得し、検出した制御機器「FC7100」のシンボルおよび配管「P7017」のラインを青色で着色することによって強調表示し、さらに制御機器「FC7100」のシンボルおよび配管「P7017」のラインを流れる流体または信号の流れ方向を示す青色の矢印付き曲線をシンボルおよびラインに重畳表示した「プラント図面PD001」のプラント図面情報を流れ方向検出図面として生成し、流れ方向検出情報記憶部14gに格納する。
【0250】
ライン検出一覧の具体的な例について説明すると、検出部15cは、制御機器「FC7100」のシンボルおよび配管「P7017」のラインの接続関係、および流体または信号の流れ方向を示す一覧として、{「FC7100-6」→「P7017-2」→「FC7100-6」,・・・}を流れ方向検出一覧として生成し、流れ方向検出情報記憶部14gに格納する。
【0251】
(2-2-2-4.提供部15d)
提供部15dは、流れ方向検出情報送信処理を実行する。例えば、提供部15dは、検出部15cによって検出された流れ方向に関する検出結果である流れ方向検出情報をプラント管理者端末20に送信する。
【0252】
具体的な例について説明すると、提供部15dは、流れ方向検出情報として、検出された制御機器「FC7100」のシンボルおよび配管「P7017」のラインを青色で着色することによって強調表示し、さらに制御機器「FC7100」のシンボルおよび配管「P7017」のラインを流れる流体または信号の流れ方向を示す青色の矢印付き曲線をシンボルおよびラインに重畳表示した「プラント図面PD001」の流れ方向検出図面、および制御機器「FC7100」のシンボルおよび配管「P7017」のラインの接続関係、および流体または信号の流れ方向を示す流れ方向検出一覧{「FC7100-6」→「P7017-2」→「FC7100-6」,・・・}を、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20に送信する。
【0253】
(2-2-2-5.通知部15e)
通知部15eは、出力結果取得処理、検出ミス通知処理等を実行する。
【0254】
(出力結果取得処理)
通知部15eは、プラント図面のデジタルデータ、シンボルパターン、およびラインパターンの入力に応じてプラント図面に含まれる流れ方向を出力する学習済みの機械学習モデルを用いて、出力結果を取得する。
【0255】
具体的な例について説明すると、通知部15eは、プラント図面情報「プラント図面PD001」、シンボルパターン{図形:「円/線分/正方形」,線種:「実線」}、ラインパターン{太さ:「1.0pt」,線種:「実線」}を検出モデル記憶部14dの検出モデルDMに入力し、検出モデルDMの出力結果である{「FC7100-6」→「P7017-2」→「FC7100-6」→「P7017-3」→「FC7100-4」,・・・}を取得する。
【0256】
(検出ミス通知処理)
通知部15eは、学習済みの機械学習モデルの出力結果を用いて、検出された流れ方向の検出漏れ、または誤検出をプラント管理者Oに通知する。
【0257】
具体的な例について説明すると、通知部15eは、検出部15cによって検出された流れ方向検出一覧{「FC7100-6」→「P7017-2」→「FC7100-6」,・・・}と、検出モデルDMの出力結果である{「FC7100-6」→「P7017-2」→「FC7100-6」→「P7017-3」→「FC7100-4」,・・・}とを比較し、識別情報「P7017-3」である配管「P7017」のラインと識別情報「FC7100-4」である配管「FC7100」のシンボルとの間の流れ方向の検出漏れがある可能性を判定し、「検出漏れがある可能性があります。」等のメッセージを検出ミス情報として生成し、「プラント管理者PO001」によって識別されるプラント管理者Oのプラント管理者端末20に送信する。
【0258】
(2-3.プラント管理者端末20の構成例および処理例)
図20を用いて、プラント管理者端末20の構成例および処理例について説明する。プラント管理者端末20は、プラントを管理するプラント管理者Oが使用する端末であって、入出力部21、制御部22および通信部23を有する。
【0259】
(2-3-1.入出力部21)
入出力部21は、当該プラント管理者端末20への各種情報の入力を司る。例えば、入出力部21は、マウスやキーボードやタッチパネル等で実現され、当該プラント管理者端末20への設定情報等の入力を受け付ける。また、入出力部21は、当該プラント管理者端末20からの各種情報を表示する。例えば、入出力部21は、ディスプレイ等で実現され、当該プラント管理者端末20に記憶された設定情報等を表示する。
【0260】
入出力部21は、プラント管理者Oが閲覧するプラント図面を表示する。なお、プラント図面の詳細については、(2-3-4.プラント管理者端末20の表示画面の具体例1)にて後述する。また、入出力部21は、プラント管理者Oにシンボルおよびラインの選択を可能とするシンボル・ライン選択画面を表示する。なお、シンボル・ライン選択画面の詳細については、(2-3-5.プラント管理者端末20の表示画面の具体例2)にて後述する。また、入出力部21は、プラント管理者Oが閲覧するシンボル・ライン検出図面を表示する。なお、シンボル・ライン検出図面の詳細については、(2-3-6.プラント管理者端末20の表示画面の具体例3)にて後述する。
【0261】
(2-3-2.制御部22)
制御部22は、各種情報を送信する。例えば、制御部22は、プラント管理者Oが選択したプラント図面のプラント図面情報をサーバ装置10-3に送信する。また、制御部22は、プラント管理者Oがシンボル選択画面において選択したシンボルのシンボル選択情報をサーバ装置10-3に送信する。また、制御部22は、プラント管理者Oがライン選択画面において選択したラインのライン選択情報をサーバ装置10-3に送信する。
【0262】
制御部22は、各種情報を受信する。例えば、制御部22は、入出力部21によって表示されるシンボル検出図面、シンボル検出一覧等を含むシンボル検出情報をサーバ装置10-3から受信する。また、制御部22は、入出力部21によって表示されるライン検出図面、ライン検出一覧等を含むライン検出情報をサーバ装置10-3から受信する。また、制御部22は、入出力部21によって表示される流れ方向検出図面、流れ方向検出一覧等を含む流れ方向検出情報をサーバ装置10-3から受信する。また、制御部22は、入出力部21によって表示される、シンボル、ライン、流れ方向等の検出漏れ、または誤検出をプラント管理者Oに通知する検出ミス情報をサーバ装置10-3から受信する。
【0263】
(2-3-3.通信部23)
通信部23は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部23は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部23は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0264】
(2-3-4.プラント管理者端末20の表示画面の具体例1)
ここで、図22を用いて、プラント管理者端末20の入出力部21が出力する表示画面の具体例1について説明する。図22は、実施形態3に係るプラント管理者端末20の表示画面の具体例1を示す図である。以下では、プラント管理者Oが閲覧するプラント図面について説明する。
【0265】
(2-3-4-1.プラント図面)
図22の例に示すように、プラント管理者端末20は、プラントごとに、プラントの構成要素を示すシンボルと、プラントの構成要素を接続する接続要素を示すラインとによって作成されたプラント図面を表示する。図22の例では、「プラントPS001」のプラント図面において、プラント管理者Oが検出したい制御装置のシンボル、および配管のラインが表示されている。また、プラント管理者Oが検出したい流れ方向を特定するための記号である流れ方向特定記号として、矢印(図22(2)~(4)参照)、矢羽根図形(図22(1)参照)が表示されている。
【0266】
(2-3-4-2.流れ方向特定記号)
図22の例では、図22(1)の矢羽根図形は、図面において右から左に流体等が流れることを示し、図22(2)の矢印は、図面において上から下に流体等が流れることを示し、図22(3)の矢印は、図面において上から下に流体等が流れることを示し、図22(4)の矢印は、図面において上から下に流体等が流れることを示している。
【0267】
(2-3-5.プラント管理者端末20の表示画面の具体例2)
ここで、図23を用いて、プラント管理者端末20の入出力部21が出力する表示画面の具体例2について説明する。図23は、実施形態3に係るプラント管理者端末20の表示画面の具体例2を示す図である。以下では、プラント管理者Oによるシンボルおよびラインの選択を可能とするシンボル・ライン選択画面について説明する。
【0268】
(2-3-5-1.シンボル・ライン選択画面)
図23の例に示すように、プラント管理者端末20は、プラント図面上でプラント管理者Oが検出したいシンボルおよびラインの選択を可能とするシンボル・ライン選択画面を表示する。図23の例では、プラント管理者端末20は、「プラントPS001」のプラント図面において、プラント管理者Oが検出したい制御機器のシンボル(図23(1)参照)付近を拡大したプラント図面を表示している。このとき、プラント管理者Oは、検出したいシンボルをクリック操作することによって、当該シンボルを選択することができる。また、プラント管理者端末20は、「プラントPS001」のプラント図面において、プラント管理者Oが検出したい配管のライン(図23(2)参照)付近を拡大したプラント図面を表示している。このとき、プラント管理者Oは、検出したいラインをクリック操作することによって、当該ラインを選択することができる。
【0269】
また、プラント管理者端末20は、プラント図面上でプラント管理者Oによって選択されたシンボルの拡大されたシンボルパターン(図23(3)参照)を表示している。このとき、プラント管理者Oは、表示されたシンボルパターンの図形を修正することもできるし、シンボルに付属しているテキストを削除することもできる。また、プラント管理者端末20は、プラント図面上でプラント管理者Oによって選択されたラインの拡大されたラインパターン(図23(4)参照)を表示している。このとき、プラント管理者Oは、表示されたラインパターンの図形を修正することもできるし、ラインに付属しているラインナンバーを削除することもできる。
【0270】
(2-3-5-2.流れ方向特定記号の指定)
プラント管理者Oは、流れ方向を検出する際の流れ方向特定記号を指定することができる。例えば、プラント管理者Oは、プラント管理者Oが反映したい流れ方向特定記号として、任意の矢印や矢羽根図形をクリック操作することによって、当該流れ方向特定記号を指定することができる。
【0271】
(2-3-6.プラント管理者端末20の表示画面の具体例3)
ここで、図24を用いて、プラント管理者端末20の入出力部21が出力する表示画面の具体例3について説明する。図24は、実施形態3に係るプラント管理者端末20の表示画面の具体例3を示す図である。以下では、プラント管理者Oが閲覧する流れ方向検出図面について説明する。
【0272】
(2-3-6-1.流れ方向検出図面)
図24の例に示すように、プラント管理者端末20は、検出された制御機器のシンボルおよび配管のラインを青色で着色することによって強調表示し、さらに制御機器のシンボルおよび配管のラインを流れる流体または信号の流れ方向を示す青色の矢印付き曲線(図24(1)~(4)参照)をシンボルおよびラインに重畳表示した流れ方向検出図面を表示している。
【0273】
(2-3-6-2.流れ方向検出一覧)
プラント管理者端末20は、検出された流れ方向の一覧である流れ方向検出一覧を表示することもできる。例えば、プラント管理者端末20は、流れ方向検出一覧として、検出された制御装置の識別情報や位置情報、検出された配管の識別情報や位置情報、および制御装置と配管との間の流れ方向を示す流れ方向検出一覧を表示することもできる。
【0274】
(2-3-6-3.検出ミス通知)
プラント管理者端末20は、検出された流れ方向の検出漏れや誤検出の可能性を示す検出ミス通知を表示することもできる。例えば、プラント管理者端末20は、検出ミス通知として、「検出漏れがある可能性があります。」等のメッセージを表示することもできる。
【0275】
〔3.情報提供システム100-3の処理の流れ〕
図25を用いて、実施形態3に係る情報提供システム100-3の処理の流れについて説明する。図25は、実施形態3に係る情報提供システム100-3の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。以下では、プラント図面登録処理、シンボルパターン・ラインパターン登録処理、流れ方向検出結果提供処理の順に説明する。なお、下記のステップS301~S317の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS301~S317の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0276】
(3-1.プラント図面登録処理)
情報提供システム100-3は、下記のステップS301~S303の処理で示されるプラント図面登録処理を実行する。
【0277】
第1に、プラント管理者端末20は、プラント図面選択処理を実行する(ステップS301)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラントのプラント図面を受け付ける。第2に、プラント管理者端末20は、プラント図面情報送信処理を実行する(ステップS302)。例えば、プラント管理者端末20は、サーバ装置10-3に、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラントのプラント図面のデジタルデータを送信する。第3に、サーバ装置10-3は、プラント図面情報保存処理を実行する(ステップS303)。例えば、サーバ装置10-3は、プラント管理者端末20から受信したプラント図面情報をプラント管理者Oごとに保存する。
【0278】
(3-2.シンボルパターン・ラインパターン登録処理)
情報提供システム100-3は、下記のステップS304~S308の処理で示されるシンボルパターン・ラインパターン登録処理を実行する。
【0279】
第1に、プラント管理者端末20は、プラント図面表示処理を実行する(ステップS304)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によって選択されたプラントのプラント図面をモニタ画面に表示する。第2に、プラント管理者端末20は、シンボル・ライン選択処理を実行する(ステップS305)。例えば、プラント管理者端末20は、プラント管理者Oの操作によってプラント図面上で選択されたシンボルを受け付け、プラント管理者Oの操作によってプラント図面上で選択されたラインを受け付ける。第3に、プラント管理者端末20は、シンボル選択情報・ライン選択情報送信処理を実行する(ステップS306)。例えば、プラント管理者端末20は、サーバ装置10-3に、プラント管理者Oの操作によって選択されたシンボルの識別情報やプラント図面上での位置情報を送信し、プラント管理者Oの操作によって選択されたラインの識別情報やプラント図面上での位置情報を送信する。第4に、サーバ装置10-3は、シンボルパターン・ラインパターン特定処理を実行する(ステップS307)。例えば、サーバ装置10-3は、プラント管理者端末20から受信したシンボル選択情報をもとにプラント図面情報を参照し、プラント図面情報のデジタルデータからシンボルパターンを特定し、プラント管理者端末20から受信したライン選択情報をもとにプラント図面情報を参照し、プラント図面情報のデジタルデータからラインパターンを特定する。第5に、サーバ装置10-3は、シンボルパターン情報・ラインパターン情報保存処理を実行する(ステップS308)。例えば、サーバ装置10-3は、特定したシンボルパターンを含むシンボルパターン情報をプラント管理者Oごとに保存し、特定したラインパターンを含むラインパターン情報をプラント管理者Oごとに保存する。
【0280】
(3-3.流れ方向検出結果提供処理)
情報提供システム100-3は、下記のステップS309~S317の処理で示される流れ方向検出結果提供処理を実行する。
【0281】
第1に、サーバ装置10-3は、プラント図面情報取得処理を実行する(ステップS309)。例えば、サーバ装置10-3は、プラント管理者Oの操作によって流れ方向の検出の要求を受け付け、保存したプラント図面情報を検索し、対応するプラントのプラント図面情報を取得する。第2に、サーバ装置10-3は、シンボルパターン情報・ラインパターン情報取得処理を実行する(ステップS310)。例えば、サーバ装置10-3は、プラント管理者Oの操作によってシンボルおよびラインの検出の要求を受け付け、保存したシンボルパターン情報およびラインパターン情報を検索し、対応するシンボルのシンボルパターン情報、および対応するラインのラインパターン情報を取得する。第3に、サーバ装置10-3は、シンボル・ライン検出処理を実行する(ステップS311)。例えば、サーバ装置10-3は、取得したプラント図面情報を検索し、取得したシンボルパターン情報のシンボルパターンと一致するシンボルを検出し、取得したラインパターン情報のラインパターンと一致するラインを検出する。第4に、サーバ装置10-3は、流れ方向検出処理を実行する(ステップS312)。例えば、サーバ装置10-3は、検出したシンボル、検出したライン、および取得したプラント図面情報に含まれる流れ方向特定記号を用いて、流れ方向を検出する。第5に、サーバ装置10-3は、流れ方向検出情報生成処理を実行する(ステップS313)。例えば、サーバ装置10-3は、検出した流れ方向を示す矢印付き曲線を重畳表示したライン検出図面や、検出した流れ方向の一覧を示す流れ方向検出一覧を生成する。第6に、サーバ装置10-3は、流れ方向検出情報保存処理を実行する(ステップS314)。例えば、サーバ装置10-3は、生成した流れ方向検出図面や流れ方向検出一覧を含む流れ方向検出情報をプラント管理者Oごとに保存する。第7に、サーバ装置10-3は、流れ方向検出情報送信処理を実行する(ステップS315)。例えば、サーバ装置10-3は、プラント管理者端末20に、生成した流れ方向検出図面や流れ方向検出一覧を含む流れ方向検出情報を送信する。第8に、プラント管理者端末20は、流れ方向検出図面表示処理を実行する(ステップS316)。例えば、プラント管理者端末20は、サーバ装置10-3から受信した流れ方向検出情報に含まれる流れ方向検出図面をモニタ画面に表示する。第9に、プラント管理者端末20は、流れ方向検出一覧表示処理を実行する(ステップS317)。例えば、プラント管理者端末20は、サーバ装置10-3から受信した流れ方向検出情報に含まれる流れ方向検出一覧をモニタ画面に表示する。
【0282】
〔4.実施形態3の効果〕
最後に、実施形態3の効果について説明する。以下では、実施形態3に係る処理に対応する効果1~2について説明する。
【0283】
(4-1.効果1)
第1に、上述した実施形態3に係る処理では、サーバ装置10-3は、プラントを構成する複数の構成要素それぞれを示す各シンボルを用いて生成されたプラント図面を受信し、プラント管理者端末20から、複数の構成要素のうち任意の構成要素の選択を受け付け、選択された構成要素を示すシンボルのシンボルパターンに基づいて、プラント図面に含まれる各シンボルからシンボルを検出し、検出したシンボルに関するシンボル検出情報をプラント管理者端末20に送信する。さらに、サーバ装置10-3は、プラントを構成する構成要素を接続する複数の接続要素を示す各ラインを用いて生成されたプラント図面を受信し、プラント管理者端末20から、複数の接続要素のうち任意の接続要素の選択を受け付け、選択された接続要素を示すラインのラインパターンに基づいて、プラント図面に含まれる各ラインからラインを検出し、検出したラインに関するライン検出情報をプラント管理者端末20に送信する。このため、実施形態3に係る処理では、プラント図面に含まれるシンボルおよびラインに関する情報を効率的に提供することができる。
【0284】
(4-2.効果2)
第2に、上述した実施形態3に係る処理では、サーバ装置10-3は、プラント図面における流体、または信号の流れ方向を検出し、検出した流れ方向に関する情報をプラント管理者端末20に送信する。このため、実施形態3に係る処理では、このため、実施形態3に係る処理では、プラント図面に含まれるシンボル、ライン、および流れ方向に関する情報を効率的に提供することができる。
【0285】
〔システム〕
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0286】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0287】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0288】
〔ハードウェア〕
次に、サーバ装置10(10-1、10-2、10-3)のハードウェア構成例を説明する。図26は、実施形態1~実施形態3に係るハードウェア構成例を説明する図である。図26に示すように、サーバ装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、図26に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0289】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、図2図12、および図20に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0290】
プロセッサ10dは、図2図12、および図20に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、図2図12、および図20等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、サーバ装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、取得部15a、受付部15b、検出部15c、提供部15d、通知部15e等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、取得部15a、受付部15b、検出部15c、提供部15d、通知部15e等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0291】
このように、サーバ装置10は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する装置として動作する。また、サーバ装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、サーバ装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0292】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0293】
〔その他〕
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0294】
(1)プラントの建設、運転、および保守に用いる図面を取得し、取得した前記図面を表示し、表示した前記図面にある複数のラインの中から所望するラインの選択を受け付け、選択を受け付けた前記ラインのパターンを登録し、表示した前記図面の中から、選択に用いた前記ラインを含めて、登録した前記パターンと形状が一致する全てのラインを検出し、前記ラインに関する検出結果を、提供する、処理を実行する制御部を備えるプラント図面ライン検出システム。
【0295】
(2)前記制御部は、前記図面として、デジタルデータにより生成された複数のラインを含む図面データを取得し、利用者端末に表示された前記図面上で、利用者の操作により選択されたラインを受け付け、前記デジタルデータを用いて選択を受け付けたラインのパターンとして、ラインの太さ、線種および色のうち少なくとも1つを特定し、前記図面に含まれる複数のラインから、前記パターンが一致する全てのラインを検出する、(1)に記載のプラント図面ライン検出システム。
【0296】
(3)前記制御部は、選択を受け付けたラインの向きをさらに特定し、前記図面に含まれる複数のラインから、前記向きが一致する全てのラインを検出する、(2)に記載のプラント図面ライン検出システム。
【0297】
(4)前記制御部は、選択を受け付けたラインに付属するラインナンバーをさらに特定し、前記図面に含まれる複数のラインから、前記ラインナンバーが一致する全てのラインを検出する、(2)または(3)に記載のプラント図面ライン検出システム。
【0298】
(5)前記制御部は、シンボルに関する前記検出結果として、検出したラインを強調表示した前記図面、および検出したラインの一覧のうち少なくとも1つを生成する、(1)~(4)にいずれか1つに記載のプラント図面ライン検出システム。
【0299】
(6)前記制御部は、表示した前記図面にある複数のシンボルの中から所望するシンボルの選択を受け付け、選択を受け付けたシンボルのパターンを登録し、表示した前記図面の中から、選択に用いたシンボルを含めて、登録した前記パターンと形状が一致する全てのシンボルを検出し、シンボルに関する検出結果を提供する、(1)~(5)にいずれか1つに記載のプラント図面ライン検出システム。
【0300】
(7)前記制御部は、前記図面における流体、または信号の流れ方向を検出し、検出した前記流れ方向に関する検出結果を利用者に提供する、(6)に記載のプラント図面ライン検出システム。
【0301】
(8)前記制御部は、前記図面のデジタルデータおよびラインのパターンの入力に応じて前記図面に含まれるラインを出力する学習済みの機械学習モデルを用いて、検出したラインの検出漏れ、または誤検出を利用者に通知する、(1)~(7)にいずれか1つに記載のプラント図面ライン検出システム。
【0302】
(9)コンピュータが、プラントの建設、運転、および保守に用いる図面を取得し、取得した前記図面を表示し、表示した前記図面にある複数のラインの中から所望するラインの選択を受け付け、選択を受け付けたラインのパターンを登録し、表示した前記図面の中から、選択に用いたラインを含めて、登録した前記パターンと形状が一致する全てのラインを検出し、ラインに関する検出結果を提供する、処理を実行するプラント図面ライン検出方法。
【0303】
(10)コンピュータに、プラントの建設、運転、および保守に用いる図面を取得し、取得した前記図面を表示し、表示した前記図面にある複数のラインの中から所望するラインの選択を受け付け、選択を受け付けたラインのパターンを登録し、表示した前記図面の中から、選択に用いたラインを含めて、登録した前記パターンと形状が一致する全てのラインを検出し、ラインに関する検出結果を提供する、を実行させるプラント図面ライン検出プログラム。
【符号の説明】
【0304】
10、10-1、10-2、10-3 サーバ装置
11 入力部
12 出力部
13 通信部
14-1、14-2、14-3 記憶部
14a プラント図面情報記憶部
14b シンボルパターン情報記憶部
14c シンボル検出情報記憶部
14d 検出モデル記憶部
14e ラインパターン情報記憶部
14f ライン検出情報記憶部
14g 流れ方向検出情報記憶部
15 制御部
15a 取得部
15b 受付部
15c 検出部
15d 提供部
15e 通知部
20 プラント管理者端末
21 入出力部
22 制御部
23 通信部
100-1、100-2、100-3 情報提供システム
【要約】
【課題】プラントに関する図面からラインに関する情報を効率的に提供すること。
【解決手段】プラント図面ライン検出システムは、プラントの建設、運転、および保守に用いるプラント図面を取得し、取得したプラント図面を表示し、表示したプラント図面にある複数のラインの中から所望するラインの選択を受け付け、選択を受け付けたラインのラインパターンを登録し、表示したプラント図面の中から、選択に用いたラインを含めて、登録したラインパターンと形状が一致する全てのラインを検出し、ラインに関する検出結果を、提供する。
【選択図】図11
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
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