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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】水質調整器
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/66 20230101AFI20240227BHJP
   E03B 3/02 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C02F1/66 521J
E03B3/02 Z
C02F1/66 510Z
C02F1/66 530B
C02F1/66 530K
C02F1/66 530P
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020073820
(22)【出願日】2020-04-17
(62)【分割の表示】P 2020070762の分割
【原出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021098188
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2019228741
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年12月5日株式会社和光製作所において公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】岩原 善行
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-275929(JP,A)
【文献】特開2005-013862(JP,A)
【文献】特開2007-007513(JP,A)
【文献】特公昭54-002625(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
1/66- 1/68
E03B 1/00-11/16
B01D 15/00-15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びて下方から上方に水流が形成されるものであり、上部内及び下部内にそれぞれメッシュフィルタが配置された円筒状の本体と、当該本体に収容され上部内の前記メッシュフィルタによって下流側への流出が防止されるとともに下部内の前記メッシュフィルタによって下方への落下が防止された多数の粒状のマグネシウムとを備え、
前記本体は、鉛直方向に対して15°~17°で傾斜されている水質調整器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質調整器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の雨水貯留装置は、屋根等の集水面から雨水が送られる補助槽と、清浄な雨水の貯水タンクと、雨水の電気伝導率を計測するために用いられる計測槽と、補助槽と雨水タンクとの間に配置された第1バルブと、補助槽と下水口との間に配置された第2バルブと、計測槽と補助槽との間に配置された第3バルブとを備えている。また、特許文献1の雨水貯留装置は、一定量の雨水を計量して計測槽へ送る雨量計と、計測槽に貯留された一定量の雨水の電気伝導率を計測する電気伝導率計と、制御部とを備えている。
【0003】
制御部は、電気伝導率計からの電気伝導率の信号を読み込むと、第3バルブを開放して計測槽の雨水を補助槽へと排出し、再度第3バルブを閉鎖して次回の電気伝導率の計測に備える。制御部は、読み込んだ電気伝導率の信号が所定値を下回った場合には、第2バルブを開放して補助槽の雨水を下水口へと排出する。そして、制御部は、補助槽を排水した後、第2バルブを閉鎖しかつ第1バルブを開放して、清浄な雨水が補助槽から貯水タンクへと送られるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-204934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、多数のマグネシウムの粒について、水質調整剤としての機能の持続が容易な水質調整器を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために請求項1の発明の水質調整器は、上下方向に延びて下方から上方に水流が形成される本体と、当該本体に収容された多数の粒状のマグネシウムとを備えている。
【0007】
請求項2の発明は請求項1において、前記本体は、鉛直方向に対して傾斜されている。また、請求項3の発明は請求項2において、前記本体は、鉛直方向に対して所定の角度で傾斜する下部と、前記下部とは反対方向へ前記角度だけ鉛直方向に対して傾斜する上部とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本体内において、下方から上方に向かう水流にさらされた多数のマグネシウムの粒は、当該水流によって踊らされて相互に衝撃的に衝突し、よって表面の被膜が除去されて、水質調整剤としての機能が持続される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態を示す図であって雨水貯留装置及び冷却水循環装置を示す模式図。
図2】制御部の処理手順を示すフローチャート。
図3】第2実施形態を示す図であって太陽光発電所の一部を示す模式図。
図4】太陽光発電所の他部を示す模式図。
図5】制御構成を示すブロック図。
図6】制御部の処理手順を示すフローチャートであってメインルーチンを示す図。
図7】制御部の処理手順を示すフローチャートであってサブルーチン(雨水貯留処理)を示す図。
図8】制御部の処理手順を示すフローチャートであってサブルーチン(雨水貯留処理)を示す図。
図9】制御部の処理手順を示すフローチャートであってサブルーチン(純水製造処理)を示す図。
図10】制御部の処理手順を示すフローチャートであってサブルーチン(純水製造処理)を示す図。
図11】制御部の処理手順を示すフローチャートであってサブルーチン(殺菌処理)を示す図。
図12】制御部の処理手順を示すフローチャートであってサブルーチン(太陽光パネル洗浄処理)を示す図。
図13】第3実施形態を示す図であって水質調整器を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した第1実施形態~第3実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、工場の屋根等が集水面101をなしており、集水面101に降った雨水は雨樋102によって受けられる。雨樋102には大径配管11が接続され、雨樋102に集められた雨水は大径配管11へと流入される。大径配管11は、下流側に向かって下降傾斜されている。
【0011】
大径配管11からは、第1オーバーフロー配管12が分岐されている。第1オーバーフロー配管12は、大径配管11を流れる雨水の一部を溢れさせて下水口103へと送る。大径配管11の下流側には、小径配管13が接続されている。小径配管13は、大径配管11に接続された水平部分13aと、水平部分13aよりも下流側に配置された垂直部分13bとを備えている。なお、水平部分13aには、下流側に向かって若干下降する勾配が付与されている。
【0012】
小径配管13において水平部分13aからは、第2オーバーフロー配管14が分岐されている。第2オーバーフロー配管14は、小径配管13を流れる雨水の一部を溢れさせて下水口103へと送る。小径配管13の垂直部分13bには、清浄な雨水を貯留するための雨水タンク15が接続されている。
【0013】
小径配管13の水平部分13aにおいて、第2オーバーフロー配管14が分岐された位置よりも下流側には、電磁弁等の電気的駆動弁よりなる開閉弁16が配置されている。小径配管13の水平部分13aにおいて、第2オーバーフロー配管14が分岐された位置よりも上流側には、水質センサとしての電気伝導率センサ17が配置されている。電気伝導率センサ17としては、交流2電極方式のものや、交流4電極方式のものや、電磁誘導方式のものが挙げられる。電気伝導率センサ17は、降雨の有無を検知するための降雨センサを兼ねている。
【0014】
制御部18は、コンピュータ類似の制御ユニットである。制御部18のI/Oには、開閉弁16及び電気伝導率センサ17が電気的に接続されている。制御部18は、電源が投入されると、予め記憶されたプログラムに従って処理を開始する。
【0015】
図2は、当該プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
ステップ201においては、電気伝導率センサ17からの降雨の計測信号が降雨状態を示すものであるのか否かが判断される。電気伝導率センサ17からの降雨の計測信号が降雨状態を示すものでなければ(No判定)、ステップ202に移行して開閉弁16が閉鎖状態とされるとともに、ステップ201において降雨の有無の監視が繰り返される。
【0016】
ステップ201において、電気伝導率センサ17からの降雨の計測信号が降雨状態を示すものであれば(Yes判定)、ステップ203に移行される。ステップ203においては、電気伝導率センサ17からの電気伝導率の計測信号が、所定値L以下であるのか否かが判断される。ステップ203において、電気伝導率センサ17からの電気伝導率の計測信号が所定値Lを超えていれば(No判定)、雨水は汚濁されていると判断して、ステップ202に移行して開閉弁16が閉鎖状態とされる。
【0017】
ステップ203において、電気伝導率センサ17からの電気伝導率の計測信号が所定値L以下であれば(Yes判定)、雨水が清浄であると判断して、ステップ204に移行される。ステップ204においては、開閉弁16が開放状態とされる。ステップ204からはリターンされて、ステップ201における降雨の有無の監視が繰り返されるか、ステップ201における降雨の有無の監視及びステップ203における電気伝導率の監視が繰り返される。
【0018】
なお、ステップ203にグラフで示すように、所定値Lは、閉鎖状態にある開閉弁16を開放状態とする電気伝導率のしきい値(第1所定値L1)と、開放状態にある開閉弁16を閉鎖状態とする電気伝導率のしきい値(第2所定値L2(>第1所定値L1))とがそれぞれ異なる、ヒステリシスな特性に設定されている。したがって、単一のしきい値のみが設定されている場合に発生しがちな開閉弁16の開放/閉鎖の瞬間多発を回避し、開閉弁16の制御が安定される。
【0019】
さて、通常の降雨時において初期の雨水は、空気中や屋根の汚濁物が混入しており、清浄とは言い難い状態にある。このような場合、電気伝導率センサ17からの電気伝導率の計測信号が例えば3mS/m~15mS/mと、所定値L(第1所定値L1(例えば1mS/m))を上回っているため、制御部18は開閉弁16を閉鎖状態として、汚濁した初期の雨水が雨水タンク15へと流入されないようにする。
【0020】
開閉弁16が閉鎖状態とされることで逃げ場を失った雨水は、第2オーバーフロー配管14によって小径配管13から溢れて下水口103へと排出されるため、小径配管13を逆流することはほとんどない。
【0021】
降雨が継続すれば、雨水に混入する汚濁物が少なくなるため、電気伝導率センサ17からの電気伝導率の計測信号が徐々に低下して、やがては所定値L(第1所定値L1)以下となる。したがって、制御部18は、閉鎖状態にある開閉弁16を開放状態として、清浄な雨水が雨水タンク15へと流入されるようにする。
【0022】
雨が止むか、或いは何らかの理由によって電気伝導率センサ17からの電気伝導率の計測信号が所定値L(第2所定値L2(例えば1.1mS/m))を上回ると、制御部18は開放状態にある開閉弁16を閉鎖状態とする。
【0023】
なお、通常の降雨時においては、単位時間あたりの降雨量がそれほど多くはないため、大径配管11では小径配管13との接続部分で雨水が停滞することはないか、或いは停滞したとしても第1オーバーフロー配管12から下水口103に至る量はそれほど多くない。
【0024】
次に、豪雨の場合について説明する。特に、海水を巻き上げる台風に起因した豪雨においては、汚濁(塩害)が酷いために、電気伝導率センサ17からの電気伝導率の計測信号が20mS/mを超えることがある。このような場合、前述した初期雨水の対応と同様に、制御部18は開閉弁16を閉鎖状態として、汚濁した雨水が雨水タンク15へ流入されないようにする。
【0025】
豪雨の場合、単位時間あたりの降雨量が多いため、大径配管11では小径配管13との接続部分における雨水の停滞量が多くなる。したがって、第1オーバーフロー配管12から下水口103に至る雨水の量が多くなる。大径配管11に接続された第1オーバーフロー配管12は、排水能力を高くすることが比較的容易である。よって、豪雨時においても、雨水が大径配管11を逆流して想定外の箇所で溢れ出ることを抑制できる。
【0026】
また、第1オーバーフロー配管12を備えることで、豪雨であっても大径配管11から小径配管13へと流入する雨水の量が抑えられる。したがって、小径配管13に接続された第2オーバーフロー配管14の排水能力が低くても、小径配管13を雨水が逆流して想定外の箇所で溢れ出ることを抑制できる。
【0027】
前記構成の雨水貯留装置によれば、小径配管13に配置される開閉弁16及び電気伝導率センサ17は小型のものでよい。また、当該雨水貯留装置によれば、タンク(槽)やバルブを複数必要としない。したがって、雨水貯留装置の大型化や複雑化の問題を回避しつつ、豪雨にも好適に対処が可能である。これらのことは、配管が上流側の大径配管11と下流側の小径配管13とで構成されているとともに、大径配管11に第1オーバーフロー配管12が、小径配管13に第2オーバーフロー配管14が、それぞれ設けられていることで成立する。
【0028】
次に、雨水貯留装置に併設された冷却水循環装置について説明する。冷却水循環装置は、工場内に設置された樹脂成型機等の製造装置(図示しない)を冷却するために用いられる。
【0029】
図1に示すように、冷却水循環装置は冷却水タンク31を備えている。冷却水タンク31と雨水貯留装置の雨水タンク15とは、供給配管32を介して接続されている。供給配管32はポンプ32aを備えている。雨水タンク15の清浄な雨水は、ポンプ32aの作用によって、供給配管32を介して冷却水タンク31へと供給される。
【0030】
冷却水タンク31と製造装置とは、行き側配管33を介して接続されている。行き側配管33はポンプ33aを備えている。冷却水タンク31の雨水(冷却水)は、ポンプ33aの作用によって、行き側配管33を介して製造装置へと供給される。
【0031】
製造装置と冷却水タンク31とは、戻り側配管34を介して接続されている。戻り側配管34はクーリングタワー34aを備えている。製造装置から戻ってきた高温の冷却水は、クーリングタワー34aによって冷却されつつ、戻り側配管34を介して冷却水タンク31へと戻される。
【0032】
行き側配管33においてポンプ33aよりも下流側には、分岐配管35が接続されている。分岐配管35は、行き側配管33と冷却水タンク31とを接続する。分岐配管35は、手動の開閉弁35aと水質調整器41とを備えている。水質調整器41は、冷却水のpH(水素イオン指数)を調整するための機能を有する。
【0033】
水質調整器41は、鉛直方向に延びる円筒状の本体42を備えている。本体42の上端には蓋42aが取り付けられている。本体42の中央部には、透明な窓部42bが設けられている。本体42の上部には、分岐配管35の下流側を構成する流出管43が接続されている。本体42の下端には、分岐配管35の上流側を構成する流入管44が接続されている。
【0034】
本体42内には、水質調整剤(pH調整剤)としての粒状のマグネシウム45が多数収容されている。本体42内の下端部には、マグネシウム45を受けて下方への落下を防止するメッシュフィルタ46が配置されている。流出管43には、マグネシウム45を受けて下流側への流出を防止するメッシュフィルタ47が配置されている。
【0035】
分岐配管35の開閉弁35aが開放された状態において、行き側配管33のポンプ33aが作動すると、冷却水タンク31から製造装置へと向かう冷却水の一部が、分岐配管35を介して水質調整器41へと送られる。水質調整器41へと流入された冷却水は、本体42の下方から上方に向かって移動され、粒状のマグネシウム45と混ざり合って化学反応される。
【0036】
したがって、弱酸性であった冷却水(雨水)は、水質調整器41から流出される際には弱アルカリ性となって、冷却水タンク31へと戻される。弱アルカリ性の冷却水によって、製造装置内の冷却水路にスケールを発生させ難くすることと、当該冷却水路を錆び難くすることとが高次元で両立される。
【0037】
本体42内において、下方から上方に向かう水流にさらされた多数のマグネシウム45の粒は、当該水流によって踊らされて相互に衝撃的に衝突し、よって表面の被膜が除去されて、水質調整剤としての機能が持続される。マグネシウム45の消耗度合は、本体42の窓部42bを介して確認できる。マグネシウム45の補充は、本体42の蓋42aを取り外して行われる。
【0038】
[第2実施形態]
図3及び図4は、太陽光パネル111を備えた太陽光発電所を示す。太陽光パネル111が発生する電気は、太陽光パネル111の付近に設置された蓄電池112で貯められる。太陽光パネル111の受光面111aが集水面をなしており、受光面111aに降った雨水は雨樋113によって受けられる。雨樋113には複数(本実施形態においては3つ)の第1大径配管51~第3大径配管53が接続され、雨樋113に集められた雨水は第1大径配管51~第3大径配管53へと流入される。
【0039】
第1大径配管51~第3大径配管53からは、それぞれ第1オーバーフロー配管54が分岐されている。各第1オーバーフロー配管54は、対応する第1大径配管51~第3大径配管53を流れる雨水の一部を溢れさせて下水口114へと送る。第1大径配管51~第3大径配管53の下流側には、小径配管55が接続されている。
【0040】
小径配管55は、第1大径配管51の付近から第2大径配管52の付近を経由して第3大径配管53の付近へと下降しつつ至る主管56と、第1大径配管51を主管56において上流側の端部に接続する第1支管57と、第2大径配管52と主管56とを接続する第2支管58と、第3大径配管53と主管56とを接続する第3支管59とを備えている。
【0041】
主管56において第1支管57と第2支管58との間からは、第1分岐管60が分岐されている。第1分岐管60には第1雨水タンク61が接続されている。主管56において第2支管58と第3支管59との間からは、第2分岐管62が分岐されている。第2分岐管62には第2雨水タンク63が接続されている。
【0042】
主管56において下流側の端部には、純水用サブタンク64が接続されている。第3支管59には第2オーバーフロー配管65が接続されており、第3支管59と第3大径配管53に対応した第1オーバーフロー配管54とは、第2オーバーフロー配管65によって接続されている。
【0043】
第1分岐管60には、電磁弁等の電気的駆動弁よりなる第1開閉弁70が配置されている。第2分岐管62には、電磁弁等の電気的駆動弁よりなる第2開閉弁71が配置されている。主管56において第3支管59が接続された位置よりも下流側には、電磁弁等の電気的駆動弁よりなる第3開閉弁72が配置されている。
【0044】
第3支管59において、第2オーバーフロー配管65が接続された位置よりも第3大径配管53側には、電気伝導率センサ73が配置されている。電気伝導率センサ73としては、交流2電極方式のものや、交流4電極方式のものや、電磁誘導方式のものが挙げられる。電気伝導率センサ73は、降雨の有無を感知するための降雨センサを兼ねている。
【0045】
第1雨水タンク61には第1水位センサ75が備えられている。第2雨水タンク63には第2水位センサ76が備えられている。純水用サブタンク64には第3水位センサ77が備えられている。
【0046】
取水配管80は、主管81と、主管81と第1雨水タンク61とを接続する第1支管82と、主管81と第2雨水タンク63とを接続する第2支管83と、主管81と純水用サブタンク64とを接続する第3支管84とを備えている。
【0047】
第1支管82には、電磁弁等の電気的駆動弁よりなる第4開閉弁85が配置されている。第2支管83には、電磁弁等の電気的駆動弁よりなる第5開閉弁86が配置されている。第3支管84には、電磁弁等の電気的駆動弁よりなる第6開閉弁87が配置されている。
【0048】
主管81において、第2支管83が接続された位置と第3支管84が接続された位置との間には、第1ポンプ88が配置されている。第3支管84において第6開閉弁87と純水用サブタンク64との間には、第2ポンプ89が配置されている。
【0049】
図4に示すように、取水配管80の主管81は、下流側の端部が純水用メインタンク91に接続されている。純水用メインタンク91には、第4水位センサ92が備えられている。純水用メインタンク91内には、紫外線殺菌器93が配置されている。
【0050】
主管81において、第3支管84(図3参照)が接続された位置と純水用メインタンク91との間には、純水製造器94が配置されている。純水製造器94は、上流側から順に、糸巻きフィルタ95、活性炭フィルタ96及びイオン交換樹脂97を備えている。
【0051】
図3及び図4に示すように、太陽光パネル111には、受光面111aに対向するようにして、複数(図面には一つのみ示す)の散水ノズル98が配置されている。図4に示すように、散水ノズル98と純水用メインタンク91とは、散水管99を介して接続されている。散水管99には第3ポンプ100が配置されている。
【0052】
図5に示すように、制御部120は、コンピュータ類似の制御ユニットである。制御部120のI/Oには、第1開閉弁70~第6開閉弁87、電気伝導率センサ73、第1水位センサ75~第4水位センサ92、第1ポンプ88~第3ポンプ100及び紫外線殺菌器93が電気的に接続されている。これら電気的機器は蓄電池112(図3参照)を電源とする。
【0053】
制御部120は、電源が投入されると、予め記憶されたプログラムに従って処理を開始する。図6図12は、当該プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【0054】
(メインルーチン)
図6はメインルーチンを示す。ステップ301においては、第1雨水タンク61、第2雨水タンク63及び純水用サブタンク64に清浄な雨水を溜めるための雨水貯留処理が行われる。ステップ302においては、第1雨水タンク61、第2雨水タンク63及び純水用サブタンク64に貯留された清浄な雨水を利用して純水を製造するとともに、製造された純水を純水用メインタンク91に溜めるための純水製造処理が行われる。
【0055】
ステップ303においては、純水用メインタンク91に貯留された純水を殺菌するための殺菌処理が行われる。ステップ304においては、純水用メインタンク91に貯留された純水を利用して、太陽光パネル111の受光面111aを洗浄するための太陽光パネル洗浄処理が行われる。
【0056】
(雨水貯留処理)
図7及び図8は雨水貯留処理を示す。
図7に示すように、ステップ401においては、電気伝導率センサ73からの降雨の計測信号が降雨状態を示すものであるのか否かが判断される。電気伝導率センサ73からの降雨の計測信号が降雨状態を示すものでなければ(No判定)、ステップ402に移行して第1開閉弁70~第3開閉弁72が閉鎖状態とされる。
【0057】
ステップ401において、電気伝導率センサ73からの降雨の計測信号が降雨状態を示すものであれば(Yes判定)、ステップ403に移行される。ステップ403においては、電気伝導率センサ73からの電気伝導率の計測信号が、所定値M1(例えば1mS/m)以下であるのか否かが判断される。
【0058】
ステップ403において、電気伝導率センサ73からの電気伝導率の計測信号が所定値M1を超えていれば(No判定)、雨水は汚濁されていると判断して、ステップ402に移行される。ステップ402においては、第1開閉弁70~第3開閉弁72が閉鎖状態とされる。
【0059】
したがって、雨水は、第1雨水タンク61、第2雨水タンク63及び純水用サブタンク64に流れ込むことが許容されない。第1雨水タンク61、第2雨水タンク63及び純水用サブタンク64に流れ込むことができない雨水は、第1オーバーフロー配管54及び/又は第2オーバーフロー配管65を介して下水口114へと送られる。
【0060】
一方、ステップ403において、電気伝導率センサ73からの電気伝導率の計測信号が所定値M1以下であれば(Yes判定)、雨水が清浄であると判断して、ステップ404に移行される。ステップ404においては、電気伝導率センサ73からの電気伝導率の計測信号が、所定値M2(<M1、例えば0.5mS/m)以下であるのか否かが判断される。
【0061】
ステップ404において、電気伝導率センサ73からの電気伝導率の計測信号が所定値M2以下であれば(Yes判定)、雨水の清浄度が高いと判断して、ステップ405に移行される。ステップ405においては、第3水位センサ77からの水位信号が所定値S3F未満であるのか否かが判断される。
【0062】
ステップ405において、第3水位センサ77からの水位信号が所定値S3F未満であれば(Yes判定)、純水用サブタンク64には雨水を流れ込ませるための空きがあると判断して、ステップ406に移行される。ステップ406においては、第1開閉弁70及び第2開閉弁71が閉鎖状態とされるとともに、第3開閉弁72が開放状態とされる。したがって、清浄度の高い雨水は、純水用サブタンク64にのみ流れ込むことが許容される。
【0063】
一方、ステップ405において、第3水位センサ77からの水位信号が所定値S3F以上であれば(No判定)、純水用サブタンク64には雨水を流れ込ませるための空きがないと判断して、図8に示すステップ407に移行される。ステップ407においては、第3開閉弁72が閉鎖状態とされる。したがって、雨水は、純水用サブタンク64に流れ込むことが許容されない。ステップ407からはステップ408に移行される。
【0064】
ステップ408においては、第1水位センサ75からの水位信号が所定値S1F未満であるのか否かが判断される。ステップ408において、第1水位センサ75からの水位信号が所定値S1F未満であれば(Yes判定)、第1雨水タンク61には雨水を流れ込ませるための空きがあると判断して、ステップ409に移行される。ステップ409においては、第1開閉弁70が開放状態とされるとともに第2開閉弁71が閉鎖状態とされる。したがって、雨水は、第1雨水タンク61にのみ流れ込むことが許容される。
【0065】
一方、ステップ408において、第1水位センサ75からの水位信号が所定値S1F以上であれば(No判定)、第1雨水タンク61には雨水を流れ込ませるための空きがないと判断して、ステップ410に移行される。ステップ410においては、第1開閉弁70が閉鎖状態とされる。したがって、雨水は、第1雨水タンク61に流れ込むことが許容されない。
【0066】
ステップ410からはステップ411に移行して、第2水位センサ76からの水位信号が所定値S2F未満であるのか否かが判断される。ステップ411において、第2水位センサ76からの水位信号が所定値S2F未満であれば(Yes判定)、第2雨水タンク63には雨水を流れ込ませるための空きがあると判断して、ステップ412に移行される。ステップ412においては、第2開閉弁71が開放状態とされる。したがって、雨水は、第2雨水タンク63にのみ流れ込むことが許容される。
【0067】
一方、ステップ411において、第2水位センサ76からの水位信号が所定値S2F以上であれば(No判定)、第2雨水タンク63には雨水を流れ込ませるための空きがないと判断して、ステップ413に移行される。ステップ413においては、第2開閉弁71が閉鎖状態とされる。したがって、雨水は、第2雨水タンク63に流れ込むことが許容されない。
【0068】
つまり、前記雨水貯留処理においては、清浄な雨水のうちのより清浄度の高い雨水を選別して純水用サブタンク64に貯留するようにしている。また、純水用サブタンク64が所謂「満タン」の場合には、清浄度の高い雨水を下水口114へ排出することなく有効活用するために、当該雨水を空きがある第1雨水タンク61及び/又は第2雨水タンク63に貯留するようにしている。
【0069】
さて、図7に示すように、前述したステップ404において、電気伝導率センサ73からの電気伝導率の計測信号が所定値M2を超えていれば(No判定)、つまり当該計測信号がM2を超えかつM1以下であれば、雨水の清浄度は中程度と判断され、図8に示すステップ407に移行して、前記と同様にしてステップ407~ステップ413が実行される。
【0070】
つまり、前記雨水貯留処理においては、清浄度が中程度の雨水を、第1雨水タンク61及び/又は第2雨水タンク63に貯留するようにしかつ純水用サブタンク64には貯留しないようにしている。
【0071】
なお、電気伝導率センサ73からの電気伝導率の計測信号がM2からM1の間において、雨水の清浄度(電気伝導率)に応じて、第1開閉弁70及び第2開閉弁71のうちの一方のみを開放状態とし他方は開放状態としないことで、第1雨水タンク61に貯留される雨水と第2雨水タンク63に貯留される雨水とで、清浄度を積極的に異ならせるようにしてもよい。
【0072】
(純水製造処理)
図9及び図10は純水製造処理を示す。
図9に示すように、ステップ501においては、第4水位センサ92からの水位信号が所定値S4F未満であるのか否かが判断される。ステップ501において、第4水位センサ92からの水位信号が所定値S4F以上であれば(No判定)、純水用メインタンク91には雨水が流れ込むための空きがないと判断して、ステップ502に移行される。
【0073】
ステップ502においては、第4開閉弁85~第6開閉弁87が閉鎖状態とされるとともに、第1ポンプ88及び第2ポンプ89が停止状態とされる。したがって、第1雨水タンク61、第2雨水タンク63及び純水用サブタンク64の雨水が、純水製造器94へと送られることはない。
【0074】
一方、ステップ501において、第4水位センサ92からの水位信号が所定値S4F未満であれば(Yes判定)、純水用メインタンク91には雨水が流れ込むための空きあると判断して、ステップ503に移行される。
【0075】
ステップ503においては、第3水位センサ77からの水位信号が所定値S3Eを超えているのか否かが判断される。ステップ503において、第3水位センサ77からの水位信号が所定値S3Eを超えていれば(Yes判定)、純水用サブタンク64の貯留量は多いと判断して、ステップ504に移行される。
【0076】
ステップ504においては、第4開閉弁85及び第5開閉弁86が閉鎖状態とされるとともに第6開閉弁87が開放状態とされ、第1ポンプ88が停止状態とされるとともに第2ポンプ89が稼働状態とされる。
【0077】
したがって、純水用サブタンク64の雨水は、第2ポンプ89の作用によって純水製造器94へと送られる。純水製造器94に送られた雨水は、糸巻きフィルタ95、活性炭フィルタ96及びイオン交換樹脂97の作用によって電気伝導率が低められる等して高純水(例えば電気伝導率が0.1mS/m以下の純水)とされた後、純水用メインタンク91へと流れ込む。
【0078】
一方、ステップ503において、第3水位センサ77からの水位信号が所定値S3E以下であれば(No判定)、純水用サブタンク64の貯留量が少ないと判断して、図10のステップ505に移行される。ステップ505においては、第1水位センサ75からの水位信号が所定値S1E以下であるのか否かが判断される。ステップ505において、第1水位センサ75からの水位信号が所定値S1Eを超えていれば(No判定)、第1雨水タンク61の貯留量は多いと判断して、ステップ506に移行される。
【0079】
ステップ506においては、第5開閉弁86及び第6開閉弁87が閉鎖状態とされるとともに第4開閉弁85が開放状態とされ、第2ポンプ89が停止状態とされるとともに第1ポンプ88が稼働状態とされる。
【0080】
したがって、第1雨水タンク61の雨水は、第1ポンプ88の作用によって純水製造器94へと送られる。純水製造器94に送られた雨水は、糸巻きフィルタ95、活性炭フィルタ96及びイオン交換樹脂97の作用によって電気伝導率が低められる等して高純水とされた後、純水用メインタンク91へと流れ込む。
【0081】
一方、ステップ505において、第1水位センサ75からの水位信号が所定値S1E以下であれば(Yes判定)、第1雨水タンク61の貯留量は少ないと判断して、ステップ507に移行される。ステップ507においては、第2水位センサ76からの水位信号が所定値S2E以下であるのか否かが判断される。ステップ507において、第2水位センサ76からの水位信号が所定値S2Eを超えていれば(No判定)、第2雨水タンク63の貯留量は多いと判断して、ステップ508に移行される。
【0082】
ステップ508においては、第4開閉弁85及び第6開閉弁87が閉鎖状態とされるとともに第5開閉弁86が開放状態とされ、第2ポンプ89が停止状態とされるとともに第1ポンプ88が稼働状態とされる。
【0083】
したがって、第2雨水タンク63の雨水は、第1ポンプ88の作用によって純水製造器94へと送られる。純水製造器94に送られた雨水は、糸巻きフィルタ95、活性炭フィルタ96及びイオン交換樹脂97の作用によって電気伝導率が低められる等して高純水とされた後、純水用メインタンク91へと流れ込む。
【0084】
一方、ステップ507において、第2水位センサ76からの水位信号が所定値S2E以下であれば(Yes判定)、第2雨水タンク63の貯留量は少ないと判断して、ステップ509に移行される。ステップ509においては、第4開閉弁85~第6開閉弁87が閉鎖状態とされるとともに、第1ポンプ88及び第2ポンプ89が停止状態とされる。
【0085】
つまり、前記純水製造処理においては、純水用サブタンク64に貯留されている清浄度の高い雨水を利用して高純水を製造することで、純水製造器94の負荷を低減して純水製造器94の性能低下を抑制するようにしている。また、純水用サブタンク64の貯留量が少ない場合には、清浄度が中程度である第1雨水タンク61及び第2雨水タンク63の雨水を利用して高純水を製造することで、純水用メインタンク91における潤沢な貯留量の確保と、純水製造器94の性能低下の抑制とを高次元で両立するようにしている。
【0086】
(殺菌処理)
図11は殺菌処理を示す。
ステップ601においては、第4水位センサ92からの水位信号が所定値S4Eを超えているのか否かが判断される。ステップ601において、第4水位センサ92からの水位信号が所定値S4Eを超えていれば(Yes判定)、純水用メインタンク91における高純水の貯留量は多いと判断して、ステップ602に移行される。ステップ602においては、紫外線殺菌器93が稼働状態とされて、純水用メインタンク91に貯留されている高純水の殺菌が行われる。
【0087】
一方、ステップ601において、第4水位センサ92からの水位信号が所定値S4E以下であれば(No判定)、純水用メインタンク91における高純水の貯留量は少ないと判断して、ステップ603に移行される。ステップ603においては、紫外線殺菌器93が停止状態とされて、無用な殺菌処理が回避される。
【0088】
(太陽光パネル洗浄処理)
図12は太陽光パネル洗浄処理を示す。
ステップ701においては、制御部120が内蔵するカレンダー機能及び時計機能に基づいて、予め定められたメンテナンスの時期が到来されたか否かが判断される。ステップ701において、メンテナンスの時期が到来されていないと判断した場合には(No判定)、太陽光パネル111の受光面111aを洗浄する必要はないと判断して、ステップ702に移行される。ステップ702においては、第3ポンプ100が停止状態とされる。
【0089】
一方、ステップ701において、メンテナンスの時期が到来したと判断された場合には(Yes判定)、ステップ703に移行される。ステップ703においては、第4水位センサ92からの水位信号が所定値S4Eを超えているのか否かが判断される。ステップ703において、第4水位センサ92からの水位信号が所定値S4E以下であれば(No判定)、純水用メインタンク91の貯留量は少ないと判断し、ステップ702に移行して第3ポンプ100が停止状態とされる。
【0090】
一方、ステップ703において、第4水位センサ92からの水位信号が所定値S4Eを超えていれば(Yes判定)、純水用メインタンク91の貯留量は多いと判断して、ステップ704に移行される。ステップ704においては、第3ポンプ100が稼働状態とされる。
【0091】
したがって、純水用メインタンク91の高純水は、第3ポンプ100の作用によって、散水管99を介して散水ノズル98へと送られる。散水ノズル98へと送られた高純水は、太陽光パネル111の受光面111aへと散布される。よって、太陽光パネル111の受光面111aが高純水によって洗浄される。
【0092】
高純水は、水道水等と比較して洗浄効果が高いため、太陽光パネル111の受光面111aを洗浄する際に、洗剤を使用しなくともよくて環境負荷が小さい。また、高純水は、水道水等と比較して不純物が少ないため、洗浄によって太陽光パネル111の受光面111aを傷付けることがない。さらに、太陽光パネル111に降った雨水を利用して、太陽光パネル111の近傍で高純水を製造するため、高純水を太陽光発電所まで運ぶ面倒がない。
【0093】
ステップ705においては、第3ポンプ100の稼働時間が所定時間未満であるのか否かが判断される。ステップ705において、第3ポンプ100の稼働時間が所定時間未満であると判断された場合には(Yes判定)、第3ポンプ100の稼働状態が継続される。
【0094】
一方、ステップ705において、第3ポンプ100の稼働時間が所定時間以上であると判断された場合には(No判定)、ステップ702に移行して第3ポンプ100が停止状態とされ、よって太陽光パネル111の洗浄が停止される。
【0095】
[第3実施形態]
図13は、例えば前記第1実施形態における水質調整器41(図1参照)の代替として用いられる水質調整器150を示す。水質調整器150は、円筒状をなしかつ外観が「く」字状に屈曲された本体151を備えている。
【0096】
本体151は、鉛直方向(紙面上下方向)に対して所定の角度θで傾斜する下部151aと、下部151aとは反対方向へ同じ角度θだけ鉛直方向に対して傾斜する上部151bとを備えている。上部151bが下部151aとは反対側に同じ角度θだけ傾斜する所謂カウンターバランスの作用によって、水質調整器150の姿勢が安定される。なお、当該傾斜の角度θは10°~30°に設定されている。
【0097】
本体151には、透明な窓部151cが設けられている。本体151の上部151bには、分岐配管35の下流側を構成する流出管43が接続されている。本体151の下部151aには、分岐配管35の上流側を構成する流入管44が接続されている。
【0098】
本体151内には、水質調整剤(pH調整剤)としての粒状のマグネシウム152が多数収容されている。本体151の下部151a内には、マグネシウム152を受けて下方への落下を防止するメッシュフィルタ153が配置されている。本体151の上部151b内には、マグネシウム152を受けて下流側への流出を防止するメッシュフィルタ154が配置されている。
【0099】
本実施形態の水質調整器150は、前記第1実施形態の水質調整器41と同様な作用を奏することで、弱酸性であった冷却水(雨水)を弱アルカリ性とする。このとき、本体151が鉛直方向に対して傾斜されていることから、下方から上方に向かう水流にさらされた多数のマグネシウム152の粒は、上昇し易くまた当該上昇の際の進路及び/又は重力降下の際の進路が乱れ易い。
【0100】
したがって、冷却水とマグネシウム152との混合つまりは化学反応が促進される。特に、本体151における傾斜の角度θは10°~30°に設定されている。したがって、冷却水とマグネシウム152との混合がより効果的に行われる。
【0101】
つまり、本体151における傾斜の角度θが10°未満であると、下方から上方に向かう水流にさらされたマグネシウム152の上昇が困難となる。また、本体151における傾斜の角度θが30°を超えると、下方から上方に向かう水流にさらされたマグネシウム152は、当該上昇の際の進路及び/又は重力降下の際の進路が乱れ難くなる。そういった意味において、当該傾斜の角度θは15°~17°がより好ましく、よって16°を狙う設計にするとよい。
【0102】
[別例]
前記実施形態は、例えば以下のように変更できる。
○前記第1実施形態において、小径配管13を下水口103に接続するとともに、第2オーバーフロー配管14を雨水タンク15に接続すること。この場合、制御部18は、降雨状態でかつ電気伝導率センサ17からの電気伝導率の計測信号が所定値L以下であると、開閉弁16を閉鎖状態とする。また、制御部18は、降雨状態でないか、或いは電気伝導率センサ17からの電気伝導率の計測信号が所定値Lを上回った状態であると、開閉弁16を開放状態とする。
【0103】
○前記第1実施形態において、開閉弁16を第2オーバーフロー配管14に配置すること。
【0104】
○前記第1実施形態において、雨水貯留装置に純水製造器を併設すること。純水製造器は、例えばイオン交換樹脂を備えており、雨水タンク15から供給された雨水をイオン交換樹脂に通すことで、当該雨水の電気伝導率を0.1mS/m以下とする。イオン交換樹脂を用いることで、純水製造器に供給した雨水のほぼ全量を高純水として無駄なく採取でき、例えば構造上、全量採水が困難な逆浸透膜を用いたものと比較して、低コストで大量の高純水を製造できる。
【0105】
〇前記第2実施形態において、純水用メインタンク91を複数とすること。また、取水配管80の主管81において、純水製造器94よりも下流側に水質センサ(例えば電気伝導率センサや比抵抗センサ)を配置するとともに、当該水質センサよりも下流側に流路切替弁を配置すること。
【0106】
そして、制御部120が前記水質センサからの計測信号に基づいて前記流路切替弁を制御することで、純水製造器94から流出される雨水の貯留先を、前記複数の純水用メインタンク91のうちのいずれか一つとすること。
【0107】
このようにすれば、異なる水質(例えば電気伝導率や比抵抗)の純水を、用途に応じて作り分けることができる。すなわち、例えば、半導体の洗浄等に使用される超純水と、精密部品の洗浄に使用される高純水と、一般洗浄や加湿器に使用される純水とを作り分けることができる。
【0108】
〇前記第1実施形態の水質調整器41又は前記第3実施形態の水質調整器150を浴室の浴槽に併設するとともに、水質調整器41又は水質調整器150を通過した湯水を当該浴槽へと供給することで、当該浴槽を所謂「水素風呂」「酸化還元水風呂」とすること。
【0109】
[付記]
前記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(1)清浄な雨水を採取し、当該雨水をイオン交換樹脂に通すことで電気伝導率が0.1mS/m以下の高純水を製造する方法。
【0110】
このようにすれば、例えば水道水を利用して高純水を製造する場合と比較して、安価に高純水を製造できる。すなわち、水道水の電気伝導率は10mS/m~20mS/mである地域が多いのに対して、清浄な雨水は0.2mS/m~1.0mS/mである。したがって、清浄な雨水を選別して採取すれば、雨水をイオン交換樹脂に何度も通したり、効率の悪い逆浸透膜を用いたりする必要がなく、製造コストを低減できる。
【0111】
より詳しくは、例えば、電気伝導率が約1.0mS/mの雨水から高純水を製造する場合には、水道水から高純水を製造する場合と比較して、製造コストは1/10~1/20程度となる。また、電気伝導率が約0.2mS/mの雨水から高純水を製造する場合には、水道水から高純水を製造する場合と比較して、製造コストは1/50~1/100程度となる。
【0112】
(2)太陽光パネルを備えた太陽光発電所であって、前記太陽光パネルの受光面が集水面をなしており、前記受光面に降った雨水から純水を製造する純水製造器が併設され、前記純水製造器により製造された純水によって前記受光面の洗浄を行う洗浄装置を備えた太陽光発電所。
【0113】
(3)上下方向に延びて下方から上方に水流が形成される本体と、当該本体に収容された多数の粒状のマグネシウムとを備えた水質調整器。
【0114】
(4)前記本体は、鉛直方向に対して傾斜されている技術的思想(3)に記載の水質調整器。
【0115】
(5)前記本体は、鉛直方向に対して所定の角度で傾斜する下部と、前記下部とは反対方向へ前記角度だけ鉛直方向に対して傾斜する上部とを備えている技術的思想(4)に記載の水質調整器。
【0116】
(6)集めた雨水が通る大径配管と、前記大径配管から分岐され前記大径配管の雨水を溢れさせるための第1オーバーフロー配管と、前記大径配管に接続された小径配管と、前記小径配管から分岐され前記小径配管の雨水を溢れさせるための第2オーバーフロー配管と、前記小径配管又は前記第2オーバーフロー配管に接続され清浄な雨水を貯留するための雨水タンクと、前記第2オーバーフロー配管又は前記小径配管において前記第2オーバーフロー配管が分岐された位置よりも下流側に配置された開閉弁と、前記小径配管において前記第2オーバーフロー配管が分岐された位置よりも上流側に配置された水質センサと、前記水質センサからの信号に基づいて前記開閉弁を制御することで、清浄な雨水が前記雨水タンクへと流入されるようにする制御部とを備えた雨水貯留装置。
【符号の説明】
【0117】
41…水質調整器、42…本体、45…マグネシウム、150…水質調整器、151…本体、151a…下部、151b…上部、152…マグネシウム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13