(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】消臭、抗菌、抗アレルゲン、抗ウイルス、防ダニ性能を有する繊維布帛
(51)【国際特許分類】
D06M 13/256 20060101AFI20240227BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20240227BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20240227BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240227BHJP
D06M 11/36 20060101ALI20240227BHJP
D06M 11/79 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
D06M13/256
A61L9/00 Z
B32B27/12
B32B27/18 F
D06M11/36
D06M11/79
(21)【出願番号】P 2019129746
(22)【出願日】2019-07-12
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮村 佳成
(72)【発明者】
【氏名】前田 里恵
(72)【発明者】
【氏名】大澤 まゆみ
【審査官】中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/158013(WO,A1)
【文献】特開2019-093000(JP,A)
【文献】特開2019-019443(JP,A)
【文献】特表2014-520216(JP,A)
【文献】国際公開第2005/087059(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105442331(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0047086(US,A1)
【文献】特開2016-214575(JP,A)
【文献】特開2017-213078(JP,A)
【文献】国際公開第2020/261798(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M、A61L、B32B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛と、該布帛の下面
側に積層された樹脂層と、を備えた繊維布帛であって、
前記樹脂層は、
ベース樹脂と、
無期多孔質物質と、水酸化金属と、金属酸化物と、金属ケイ酸塩とを含む消臭組成物と、
防ダニ剤と、
酸性基を有する分散剤と、を含有し、
前記金属ケイ酸塩は銅ケイ酸塩であり、
前記酸性基を有する分散剤はアルファオレフィンスルホン酸塩であることを特徴とする繊維布帛。
【請求項2】
前記消臭組成物100質量部あたり、前記酸性基を有する分散剤を1質量部~30質量部含有する請求項1に記載の繊維布帛。
【請求項3】
前記消臭組成物100質量部あたり、前記防ダニ剤を5質量部~300質量部含有する請求項1又は2に記載の繊維布帛。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、消臭、抗菌、抗アレルゲン、抗ウイルス、防ダニ性能を有する繊維布帛に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人にとって生活臭の問題は大きな関心事となってきている。住宅のみならず、自動車、電車、旅客機の室内の様々な臭いに対して消臭を行うことが強く要求されるようになってきている。また、消臭だけが求められるのではなく、抗菌、アレルゲン、抗ウイルス性能も同時に有する繊維布帛が求められるようになってきている。
【0003】
そこで、出願人は特許文献1を出願しており、アミン化合物と、無機系消臭剤と、金属リン酸塩からなる第1塩と、無機系抗菌剤と、スルホン酸塩及びカルボン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の第2塩と、バインダー樹脂と、を含有することを特徴とする消臭抗菌組成物を開示している。
【0004】
さらに出願人は、特許文献2も出願しており、銀系、銅系、亜鉛系の中から選択される少なくとも1種を含む無機抗菌抗ウイルス剤と、無機層状鉱物からなるアレルゲン吸着剤と、キレート錯体とが、バインダー樹脂により少なくとも一部に固着していることを特徴とする繊維布帛を開示している。
【0005】
特許文献1は、消臭、抗菌性に優れた消臭抗菌布帛を提供することができる。特許文献2は、抗菌、抗ウイルスおよび抗アレルゲン機能を有する繊維布帛を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開WO2014/102980
【文献】特開2011-246859
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、消臭、抗菌、抗アレルゲン、抗ウイルス性能を有すると共に、防ダニ性能も同時に有する繊維布帛が求められるようになってきている。水系の消臭剤及び抗菌剤に、油系の防ダニ剤を混合させようとしても、水と油で、均一に混ぜることができなかった。
【0008】
本発明は、かかる技術的背景を鑑みてなされたものであって、水系の消臭組成物及び無機系抗菌剤に、油系の防ダニ剤を均一分散することができ、消臭、抗菌、抗アレルゲン、抗ウイルス、防ダニ性能を同時に有する繊維布帛を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1] 布帛と、該布帛の下面側に積層された樹脂層と、を備えた繊維布帛であって、前記樹脂層は、
ベース樹脂と、
無機多孔質物質と、水酸化金属と、金属酸化物と、金属ケイ酸塩とを含む消臭組成物と、
防ダニ剤と、
酸性基を有する分散剤と、を含有し、
前記金属ケイ酸塩は銅ケイ酸塩であり、
前記酸性基を有する分散剤はアルファオレフィンスルホン酸塩であることを特徴とする繊維布帛。
【0012】
[2] 前記消臭組成物100質量部あたり、酸性基を有する分散剤を1質量部~300質量部含有する前項1に記載の繊維布帛。
【0013】
[3] 前記消臭組成物100質量部あたり、前記防ダニ剤を5質量部~300質量部含有する前項1又は2に記載の繊維布帛。
【発明の効果】
【0014】
[1]の発明では、布帛と、該布帛の下面側に積層された樹脂層と、を備えた繊維布帛であって、樹脂層は、( a ) ベース樹脂と、( b ) 無機多孔質物質と、水酸化金属と、金属酸化物と、金属ケイ酸塩とを含む消臭組成物と、( c ) 防ダニ剤と、( d )酸性基を有する分散剤と、を含有するから、消臭、抗菌、抗アレルゲン、抗ウイルス、防ダニ性能を有する繊維布帛を提供することができる。( d )酸性基を有する分散剤を含有するから、水系の( a ) ベース樹脂及び( b ) 無機多孔質物質と、水酸化金属と、金属酸化物と、金属ケイ酸塩とを含む消臭組成物と、油系の( c ) 防ダニ剤とを、均一に分散することができる。なお、水酸化金属は抗アレルゲン効果も有しており、金属ケイ酸塩は抗ウイルス性及び抗菌性効果も有している。
【0016】
[2]の発明では、消臭組成物1 0 0 質量部あたり、酸性基を有する分散剤を1 質量部~3 0 質量部含有するから、水系の消臭剤と、油系の防ダニ剤とを均一に分散することができ、消臭、抗菌、抗アレルゲン、抗ウイルス性を有すると共に、防ダニ性能も有することができる。
【0017】
[3]の発明では、消臭組成物1 0 0 質量部あたり、防ダニ剤を5 質量部~ 3 0 0 質量部含有するから、消臭、抗菌、アレルゲン、ウイルス効果を有しながら、防ダニ効果も有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る繊維布帛の一実施形態を説明する。本実施形態の繊維布帛は、布帛と、該布帛の下面側に積層された樹脂層と、を備えた繊維布帛であって、前記樹脂層は、( a )ベース樹脂と、( b ) 無機多孔質物質と、水酸化金属と、金属酸化物と、金属ケイ酸塩とを含む消臭組成物と、( c ) 防ダニ剤と、( d )酸性基を有する分散剤と、を含有することを特徴とする。
【0019】
前記繊維布帛は、布帛と、該布帛の下面側に積層された樹脂層とを、備えている必要がある。繊維布帛としては、表面側が布帛となり、裏面側が樹脂層で使用されることが好ましい。
【0020】
前記布帛としては、特に限定されるものではないが、例えば、パイル布帛、編物、織物、不織布等が挙げられる。前記布帛を構成する繊維の樹脂種も特に限定されず、例えばポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維等が挙げられる。
【0021】
前記樹脂層は、( a ) ベース樹脂と、( b ) 無機多孔質物質と、水酸化金属と、金属酸化物と、金属ケイ酸塩とを含む消臭組成物と、( c ) 防ダニ剤と、( d )酸性基を有する分散剤と、を含有する必要がある。
【0022】
前記樹脂層の形成量(乾燥後)は、100g/m2~1000g/m2であることが好ましい。100g/m2以上であることで目止めと2次基布と貼り合せすることができ、1000g/m2以下であることで軽量化することができる。中でも、500g/m2~800g/m2であることがより好ましい。
【0023】
前記ベース樹脂(a)は、特に限定されるものではないが、例えば、アクリルラテックス、ウレタンラテックス、酢酸ビニルラテックス、ニトリル-ブタジエン-ゴム(NBRラテックス)、スチレン-ブタジエン-ゴム(SBRラテックス)等が挙げられ、中でも、スチレン-ブタジエン-ゴム(SBRラテックス)であることが好ましい。なお、前記ベース樹脂(a)は、水系である。
【0024】
前記ベース樹脂(a)には、充填剤、増粘剤、分散剤等を適宜配合しても構わない。
【0025】
前記消臭組成物(b)は、無機多孔質物質(b-1)と、水酸化金属(b-2)と、金属酸化物(b-3)と、金属ケイ酸塩(b-4)とを含んでいることが必要である。前記樹脂層に消臭組成物(b)を含んでいるから、消臭性を維持することができる。なお、前記消臭組成物(b)は、水系である。
【0026】
前記無機多孔質物質(b-1)は、例えば、ゼオライト、酸化ケイ素等が挙げられる。中でも、ゼオライトであることが好ましい。前記樹脂層に無機多孔質物質(b-1)を含むから、消臭性を維持することができ、中でも、アンモニア、トリメチルアミン等の塩基性ガスを消臭することができる。
【0027】
前記水酸化金属(b-2)は、例えば、水酸化ジルコニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第一鉄、水酸化銅等が挙げられ、中でも、水酸化ジルコニウムであることが好ましい。前記樹脂層に水酸化金属(b-2)を含むから、消臭性を維持することができ、中でも、酸性等の酸性ガスを消臭することができる。さらに、前記水酸化金属(b-2)は抗アレルゲン効果も有している。
【0028】
前記金属酸化物(b-3)は、例えば、酸化銅、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム等が挙げられ、中でも、酸化亜鉛であることが好ましい。前記樹脂層に金属酸化物(b-3)を含むから、消臭性を維持することができ、中でも、アンモニア、トリメチルアミン等の塩基性ガスを消臭することができる。
【0029】
前記金属ケイ酸塩(b-4)は、例えば、金属塩とケイ酸塩との複合体等が挙げられ、中でも、銅ケイ酸塩であることが好ましい。あるいは、銅と、亜鉛、マンガン、コバルト及びニッケルからなる群より選ばれる1種または2種以上の金属を構成であることが好ましい。前記樹脂層に金属ケイ酸塩(b-4)を含むから、消臭性を維持することができ、中でも、硫化水素等の硫黄系ガスを消臭することができる。さらに、前記金属ケイ酸塩(b-4)は、抗ウイルス性及び抗菌性も有することができる。
【0030】
前記樹脂層に、無機系抗菌剤を追加しても構わない。無機系抗菌剤としては、例えば、銀担持無機多孔質物質、亜鉛担持無機多孔質物質、銅担持無機多孔質物質等が挙げられる。中でも、銀担持無機多孔質物質であることが好ましい。前記樹脂層に無機系抗菌剤を含むから、抗菌性をさらに向上させることができる。なお、無機系抗菌剤は水系である。
【0031】
前記防ダニ剤(c)は、例えば、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等が挙げられる。中でも、芳香族カルボン酸エステルであることが好ましい。前記樹脂層に防ダニ剤(c)を含むから、防ダニ性を維持することができる。なお、防ダニ剤は油系である。
【0032】
前記酸性基を有する分散剤( d ) は、中でも、アルファオレフィンスルホン酸塩であることが好ましい。前記酸性基を有する分散剤( d ) を含有するから、前記樹脂層に、( a ) ベース樹脂(水系) と、( b ) 無機多孔質物質と、水酸化金属と、金属酸化物と、金属ケイ酸塩とを含む消臭組成物( 水系) と、( c ) 防ダニ剤( 油系) と、を均一に分散させることができる。また酸性基を有する分散剤( d ) を含有させることで、泡立ちやすくなり、発泡塗布させやすくなる。
【0033】
前記酸性基を有する分散剤( d ) ではなく、塩基性を有する分散剤を用いた場合、消臭組成物( b ) が増粘して固まる恐れがあり、本願発明には酸性基を有する分散剤( d ) が必須である。また、酸性基を有する分散剤( d ) を用いることで、発泡塗布する際に泡立ちやすくなる。
【0035】
乾燥状態において、前記消臭組成物1 0 0 質量部あたり、前記酸性基を有する分散剤(d ) を1 質量部~ 3 0 質量部含有することが好ましい。1 質量部以上であることで、( a) ベース樹脂( 水系) と、( b ) 無機多孔質物質と、水酸化金属と、金属酸化物と、金属ケイ酸塩とを含む消臭組成物( 水系) と、( c ) 防ダニ剤( 油系) と、を均一に分散させることができ、3 0 質量部以下であることで、発泡塗布する際に泡立ちやすくすることができる。中でも、2 ~ 1 0 質量部であることがより好ましい。
【0036】
乾燥状態において、前記消臭組成物100質量部あたり、前記防ダニ剤(c)を5質量部~300質量部含有することが好ましい。5質量部以上であることで防ダニ性能を得ることができ、300質量部以下であることで樹脂層の物性を維持することができる。中でも、80~200質量部であることがより好ましい。
【0037】
前記樹脂層を形成するための混合液を作成する方法としては、ベース樹脂( a ) を投入した後、無機多孔質物質と水酸化金属と金属酸化物と金属ケイ酸塩とを含む消臭組成物(b ) と、酸性基を有する分散剤( d ) とを投入及び撹拌した後、最後に、防ダニ剤( c )を投入することが好ましい。なお、消臭組成物( b ) と、酸性基を有する分散剤( d ) の投入する順番は特に限定されるものではない。
【0038】
前記布帛の下面側に樹脂層を形成するための混合液を塗布する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、コーティング、スプレー、浸漬等挙げられる。中でも、コーティングで行うことが好ましい。
【0039】
前記布帛の下面側に樹脂層を形成するための混合液を乾燥する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、テンター乾燥機等が挙げられる。
【実施例】
【0040】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0041】
< 使用材料>
( a ) ベース樹脂・・・( S B R ラテックス、固形分が7 0 % 、固形70 % のうち炭カルの割合が7 0 % )
( b ) 無機多孔質物質と、水酸化金属と、金属酸化物と、金属ケイ酸塩とを含む消臭組成物・・・無機多孔質物質( b - 1 ) がゼオライト、水酸化金属( b -2 ) が水酸化ジルコニウム、金属酸化物( b - 3 ) が酸化亜鉛、金属ケイ酸塩( b - 4 ) が銅ケイ酸塩。
( c ) 防ダニ剤・・・芳香族カルボン酸エステル
( d )酸性基を有する分散剤・・・アルファオレフィンスルホン酸塩
布帛・・・カーペット( ポリプロピレン、目付8 0 0 g / m 2 )
【0042】
< 実施例1 >
まず、樹脂層を形成するための混合液を作成するために1 0 0 0 m l のビーカーを準備した。ベース樹脂( a ) をビーカーに8 6 6 . 6 g 投入した。次に、ベース樹脂を投入したビーカーに消臭組成物( 無機多孔質物質が1 . 5 g 、水酸化金属が1 g 、金属酸化物が1 g 、金属ケイ酸塩が1 . 5 g 、水が2 0 g 分散している水溶液) を2 5 g 投入し、撹拌した。次に、消臭組成物を投入したビーカーに、酸性基を有する分散剤( アルファオレフィンスルホン酸塩が0 . 2 g 、水が0 . 2 g 分散している水溶液) を0 . 4 g 投入し、撹拌した。次に、防ダニ剤として芳香族カルボン酸エステルを8 g 投入し、撹拌し、樹脂層を形成するための混合液を作成した。次に、布帛の下面側に樹脂層を形成するための混合液をコーティングで塗布( W E T 塗布量9 0 0 g / m 2 ) し、1 3 0 ℃ × 1 0 分乾燥させて、繊維布帛を得た。
【0043】
< 実施例2 >
樹脂層を形成するための混合液を作成するために1 0 0 0 m l のビーカーを準備した。ベース樹脂( a ) をビーカーに8 7 1 . 3 g 投入した。次に、ベース樹脂を投入したビーカーに消臭組成物( 無機多孔質物質が1 . 5 g 、水酸化金属が1 g 、金属酸化物が1 g 、金属ケイ酸塩が3 g 、水が1 8 . 5 g 分散している水溶液) を2 5 g 投入し、撹拌した。次に、消臭組成物を投入したビーカーに、酸性基を有する分散剤( アルファオレフィンスルホン酸塩が0 . 1 g 、水が0 . 1 g 分散している水溶液) を0 . 2 g 投入し、撹拌した。次に、防ダニ剤として芳香族カルボン酸エステルを3 . 5 g 投入し、撹拌し、樹脂層を形成するための混合液を作成した以外は、実施例1 と同様にして、繊維布帛を得た。
【0044】
< 実施例3 >
樹脂層を形成するための混合液を作成するために1 0 0 0 m l のビーカーを準備した。ベース樹脂( a ) をビーカーに8 6 0 . 5 g 投入した。次に、ベース樹脂を投入したビーカーに消臭組成物( 無機多孔質物質が1 . 5 g 、水酸化金属が2 g 、金属酸化物が1 g 、金属ケイ酸塩が1 . 5 g 、水が1 9 g 分散している水溶液) を2 5 g 投入し、撹拌した。次に、消臭組成物を投入したビーカーに、酸性基を有する分散剤( アルファオレフィンスルホン酸塩が1 . 0 g 、水が1 . 0 g 分散している水溶液) を2 . 0 g 投入し、撹拌した。次に、防ダニ剤として芳香族カルボン酸エステルを1 2 . 5 g 投入し、撹拌し、樹脂層を形成するための混合液を作成した以外は、実施例1 と同様にして、繊維布帛を得た。
【0045】
<比較例1>
ベース樹脂(a)をビーカーに891.6g投入し、消臭組成物を含有しない設定にした以外は、実施例1と同様にして、繊維布帛を得た。
【0046】
<比較例2>
ベース樹脂(a)をビーカーに874.6g投入し、防ダニ剤を含有しない設定にした以外は、実施例1と同様にして、繊維布帛を得た。
【0047】
< 比較例3 >
ベース樹脂( a ) をビーカーに8 6 7 g 投入し、酸性基を有する分散剤を含有しない設定にした以外は、実施例1 と同様にして、繊維布帛を得た。
【0048】
【0049】
上記のようにして得られた繊維布帛に対して、下記評価方法に基づいて評価を行った。これらの評価結果を表1に示す。
【0050】
<消臭性評価法>
なお上記実施例、比較例における消臭性の測定は、ISO17299.2-2014(繊維製品の消臭試験方法-検知管法)に準拠して試験を行った。
【0051】
(硫化水素消臭性能)
試験試料(10cm×10cm)を内容量5Lの袋内に入れた後、袋内において濃度が4ppmとなるように硫化水素ガスを3L注入し、2時間経過後に硫化水素ガスの残存濃度を測定し、試験試料を入れない以外は同様にしてブランクを用意し、このブランクの硫化水素ガスの残存濃度を測定し、両者の測定値より硫化水素ガスを除去した総量を算出し、これより硫化水素ガスの除去率(%)を算出した。
【0052】
(トリメチルアミン消臭性能)
硫化水素に代えてトリメチルアミンガスを用いて袋内において濃度が28ppmとなるように注入した以外は、上記硫化水素消臭性能測定と同様にしてトリメチルアミンの除去率(%)を算出した。
【0053】
(アンモニア消臭性能)
硫化水素に代えてアンモニアガスを用いて袋内において濃度が100ppmとなるように注入した以外は、上記硫化水素消臭性能測定と同様にしてアンモニアの除去率(%)を算出した。
【0054】
そして、除去率が90%以上であるものを「◎」、除去率が80%以上90%未満であるものを「○」、除去率が70%以上80%未満であるものを「△」、除去率が70%未満であるものを「×」とし、「〇」以上を合格とした。
【0055】
<抗菌性評価法>
JIS L 1902-2008(繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果) に準拠して試験を行った。対象試験菌は、黄色ブドウ球菌である。静菌活性値は、下記算出式により算出し、下記判定基準に基づいて評価した。
静菌活性値= (Mb-Ma)-(Mc-Mo)
Mb : 無加工標準布帛の18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Ma : 無加工標準布帛の試験菌接種直後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mc : 抗菌加工布帛の18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mo : 抗菌加工布帛の試験菌接種直後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
(判定基準)
「◎」…静菌活性値が5以上
「○」… 静菌活性値が2.2以上~5未満
「×」… 静菌活性値が2.2未満
【0056】
<抗アレルゲン性評価法>
ダニアレルゲン溶液3.5mL中に繊維布帛(サンプルサイズ25cm2)を浸し、37℃で16時間経過後のアレルゲン量を、マイティーチェッカー(住友エンビロサイエンス社製)を用い測定した。発色の様子を目視で確認し、下記の4段階で評価し、評価「-」「+-」を合格とした。
(判定基準)
「-」・・◎(アレルゲンの汚染はない)
「+-」・・〇(ややアレルゲンに汚染されている程度)
「+」・・△(アレルゲンに汚染されている)
「++」・・×(非常にアレルゲンに汚染されている)
【0057】
<抗ウイルス評価法>
JIS-L-1922-2016「ウイルス感染価の測定方法」に準拠して、接触時間が24時間、試験対象菌種がインフルエンザウイルスの条件下で、抗ウイルス活性値を測定した。判断基準として、抗ウイルス活性値が3.0以上を「○」、3.0未満を「×」とし、「〇」以上を合格とした。
【0058】
<防ダニ性評価法>
JIS-L-1920-2007「侵入阻止法」に準拠して、忌避率を測定した。忌避率が50%以上を「〇」、50%未満を「×」とし、「〇」以上を合格とした。
【0059】
表1から明らかなように、本発明の実施例1~3の繊維布帛は、消臭、抗菌、抗アレルゲン、抗ウイルス、防ダニ性に優れていた。
【0060】
これに対して比較例1の繊維布帛は、消臭性、抗菌性、抗アレルゲン性、抗ウイルス性が劣っていた。比較例2の繊維布帛は、防ダニ性が劣っていた。比較例3の繊維布帛は、防ダニ剤が均一に分散しなかったため、物性値を測定することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る繊維布帛、例えば、快適性を有する室内、車内の内装材として好適である。