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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】保冷ユニット、保冷システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/10 20060101AFI20240227BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61F7/10 300E
A41D13/005 103
A41D13/005 108
A61F7/10 330P
A61F7/10 330R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019237266
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104232
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】518403539
【氏名又は名称】ブランテックインターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(72)【発明者】
【氏名】廣兼 美雄
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-521283(JP,A)
【文献】特表2008-514312(JP,A)
【文献】特開平06-178792(JP,A)
【文献】登録実用新案第3181763(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/10
A41D 13/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保冷剤と当該保冷剤を密封する密封部材とを有し、当該保冷剤を凍らせた状態で広げたり畳んだりすることが可能な保冷部材と、
凍らせられて畳まれた前記保冷部材を包装する包装部材と、
を備え、
前記保冷部材は、三角柱状である複数の柱状部を有し、当該柱状部は、畳んだ状態で外側に位置する1辺と内側に位置する2つの斜辺とを有し、当該2つの斜辺のなす角θは、当該柱状部の個数がn個とした場合には、360/n(度)となるように設定されており、
前記保冷部材は、広げたときの状態が平板状であり、隣接する前記柱状部における隣接する辺同士が当該平板状であるときよりも近づくように畳まれて、畳んだ状態が円柱状となることを特徴とする保冷ユニット。
【請求項2】
前記保冷部材の前記密封部材には、複数に分割することが可能なように連続した小穴が形成されている
請求項1に記載の保冷ユニット。
【請求項3】
前記包装部材は、前記保冷部材の周囲に巻き付けられたフィルムである
請求項1又は2に記載の保冷ユニット。
【請求項4】
前記包装部材は、円筒状の容器である
請求項1又は2のいずれか1項に記載の保冷ユニット。
【請求項5】
前記密封部材は、前記保冷剤を密封する本体と、当該本体における両端部それぞれから帯状に突出した一対の帯部と、を有し、
前記一対の帯部は、前記本体が首の後ろに配置された状態で、先端同士が首の前で交差する
請求項1~4のいずれか1項に記載の保冷ユニット。
【請求項6】
保冷剤と当該保冷剤を密封する密封部材とを有し、当該保冷剤が凍った状態で畳まれているとともに包装部材にて包装された保冷部材と、
前記保冷部材を収容する収容部を有する衣服と、
を備えることを特徴とする保冷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷ユニット、保冷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高温環境下で行動する際に、体温の上昇を抑えるための技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、メッシュ材で形成され、人の少なくとも上半身に対応する衣服本体と、その衣服本体において、人の少なくとも胸部、背部、左右の腹側部、首部に対応する位置にそれぞれ1個以上形成され、時間の経過とともに消尽する保冷材を収容するための複数のポケット部と、前記首部に対応する前記衣服本体で、少なくとも前記ポケット部を含む部分において配設され、人の首に接触する、前記メッシュ材より軟らかい軟質部材と、を含むことを特徴とする身体冷却用衣服が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-1669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷凍された保冷剤を有する保冷部材は、放熱に伴い、時間の経過とともにその冷却能力が低下する。それゆえ、高温環境下で長期間に亘って行動する場合には、数多くの保冷部材が必要となる。そのため、使用者に、保冷部材を手軽に手に入れることができるようにすることが望ましい。
本発明は、保冷部材を使用者に手軽に手に入れることができるようにすることができる保冷ユニット等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的のもと完成させた本発明は、保冷剤と当該保冷剤を密封する密封部材とを有し、当該保冷剤を凍らせた状態で広げたり畳んだりすることが可能な保冷部材と、凍らせられて畳まれた前記保冷部材を包装する包装部材と、を備え、前記保冷部材は、三角柱状である複数の柱状部を有し、当該柱状部は、畳んだ状態で外側に位置する1辺と内側に位置する2つの斜辺とを有し、当該2つの斜辺のなす角θは、当該柱状部の個数がn個とした場合には、360/n(度)となるように設定されており、前記保冷部材は、広げたときの状態が平板状であり、隣接する前記柱状部における隣接する辺同士が当該平板状であるときよりも近づくように畳まれて、畳んだ状態が円柱状となることを特徴とする保冷ユニットである。
また、前記保冷部材の前記密封部材には、複数に分割することが可能なように連続した小穴が形成されていても良い。
また、前記包装部材は、前記保冷部材の周囲に巻き付けられたフィルムであっても良い。
また、前記包装部材は、円筒状の容器であっても良い。
また、前記密封部材は、前記保冷剤を密封する本体と、当該本体における両端部それぞれから帯状に突出した一対の帯部と、を有し、前記一対の帯部は、前記本体が首の後ろに配置された状態で、先端同士が首の前で交差しても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、保冷剤と当該保冷剤を密封する密封部材とを有し、当該保冷剤が凍った状態で畳まれているとともに包装部材にて包装された保冷部材と、前記保冷部材を収容する収容部を有する衣服と、を備えることを特徴とする保冷システムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、保冷部材を使用者に手軽に手に入れることができるようにすることができる保冷ユニット等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る保冷ユニットの概略構成の一例を示す図である。
図2】保冷部材の概略構成の一例を示す斜視図である。
図3】保冷部材を冷凍する冷凍型の概略構成の一例を示す図である。
図4】(a)は、保冷部材が冷凍される前の状態の一例を示す図である。(b)は、保冷部材が冷凍型を用いて冷凍されているときの状態の一例を示す図である。
図5】保冷部材を包装する前の包装部材の形状の一例を示す図である。
図6】使用者が保冷部材を装着した状態を示す図である。
図7】冷凍装置の概略構成の一例を示す図であり、(a)は冷凍装置の概略構成の一例を示す平面図であり、(b)は冷凍装置の概略構成の一例を示す正面図である。
図8】製造システムの概略構成の一例を示す図である。
図9】(a)は、第2の実施形態に係る保冷部材が畳まれた状態の一例を示す図である。(b)は、保冷部材が冷凍型を用いて冷凍されているときの状態の一例を示す図である。
図10】第3の実施形態に係る保冷ユニットの保冷部材の概略構成の一例を示す図である。
図11】第4の実施形態に係る保冷ユニットの概略構成の一例を示す図である。
図12】(a)は、保冷システムの概略構成の一例の背面図である。(b)は、衣服の概略構成の一例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に示す形態は本発明の実施の形態の一例であり、本発明は、以下に示す形態に限定されない。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る保冷ユニット1の概略構成の一例を示す図である。
図2は、保冷部材10の概略構成の一例を示す斜視図である。
図3は、保冷部材10を冷凍する冷凍型70の概略構成の一例を示す図である。
図4(a)は、保冷部材10が冷凍される前の状態の一例を示す図である。図4(b)は、保冷部材10が冷凍型70を用いて冷凍されているときの状態の一例を示す図である。
保冷ユニット1は、人体が温まるのを防ぐ保冷部材10と、保冷部材10を包装する包装部材50と、を備えている。
【0010】
(保冷部材)
保冷部材10は、冷凍された保冷剤20と、保冷剤20を密封する密封部材30と、を備えている。保冷部材10を冷凍させる方法については後で詳述するが、保冷部材10は、保冷剤20を凍らせた状態で広げたり畳んだりすることが可能であり、畳まれた状態で包装部材50にて包装されている。
【0011】
(保冷剤)
保冷剤20は、食塩を水に溶解した溶液であることを例示することができる。水は、比熱及び凝固点潜熱が他の物質に比べて大きいため、保冷剤20を冷凍させることにより、大きな冷熱を蓄えることができる。また、食塩を水に溶解した食塩水は、飲むことができる。また、食塩水は、生理的食塩水(塩分濃度0.9(g/l))であることが好ましい。ただし、保冷剤20は、食塩水以外の溶液であっても良い。
【0012】
(密封部材)
密封部材30は、保冷剤20を密封する本体31と、本体31から突出した一対の帯部32と、を備えている。密封部材30は、保冷剤20が冷凍されていない状態、及び、保冷剤20が冷凍された状態で、屈曲させることができるように、可撓性を有する。密封部材30は、不透水性のフィルム又はシートから成形されることを例示することができる。また、密封部材30の材質は、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride)、ポリエチレン(polyethylene)であることを例示することができる。
【0013】
本体31は、保冷剤20が冷凍されていない状態においては、図4(a)に示すように、直方体状である。つまり、保冷剤20が冷凍されていない状態の保冷部材10を平らな面の上に置くと、この面に接触する本体31の一方側の面(図4(a)においては下面)である一方面311は平らとなり、保冷剤20に対して、一方面311とは反対側の面(図4(a)においては上面)である他方面312も平らとなる。一方面311及び他方面312は、略長方形である。また、一方面311と他方面312との間の大きさ(図4(a)においては上下方向の大きさ)は、一方面311及び他方面312の長手方向及び短手方向の大きさよりも小さく、冷凍されていない状態の保冷部材10は平板状である。
【0014】
一対の帯部32は、本体31における長手方向の一方の端部から長手方向に外側に延びるように突出した一方帯321と、本体31における長手方向の他方の端部から長手方向に外側に延びるように突出した他方帯322と、を有している。一方帯321、他方帯322のそれぞれの先端には、面的に着脱できる面ファスナを構成する一方ファスナ321f、他方ファスナ322fが設けられている。これら一方ファスナ321fと他方ファスナ322fとを押し付けることにより両者を貼り付けたり、剥がしたりすることが可能になっている。本実施の形態においては、一方ファスナ321f及び他方ファスナ322fのいずれか一方は、一方面311側に設けられ、他方は他方面312側に設けられている。図4(a)に示した例では、一方ファスナ321fが他方面312側に設けられ、他方ファスナ322fが一方面311側に設けられている。
【0015】
なお、密封部材30は、外表面が吸水材で覆われていても良い。吸水材は、布材に吸水性ポリマーを付着させたものであることを例示することができる。布材は、吸水性ポリマーを保持するためのものであれば材質を問わないが、合成繊維又は天然繊維等を接着剤や繊維自身の融着力により接合してなる不織布であることを例示することができる。その布材の繊維間に吸水性ポリマーが付着し、吸水性ポリマーが布材の繊維によって挟まれた状態となるため、使用時に吸水性ポリマーが保冷部材10の表面から落下することが抑制される。吸水性ポリマーは、一部架橋された澱粉変成ポリマー、例えば、澱粉とのグラフト共重合体のモノマー及びコポリマーとしてアクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸エステル、酢酸ビニル等の粉末が用いられ、その粉末の水溶液を布材に含浸させて乾燥することにより布材への付着がなされるものであることを例示することができる。
【0016】
保冷部材10は、図4(b)に示すように、冷凍型70にセットされた状態で冷凍される。冷凍型70は、保冷剤20を迅速に冷凍するために熱伝導度の高い材質、例えばアルミニウム合金等の金属であることを例示することができる。
冷凍型70は、図3及び図4(b)に示すように、対向して配置される一方型71と他方型72とを有している。一方型71と他方型72にて形成される内部空間に保冷部材10が配置される。他方型72の内面には内側に突出した凸部721が複数設けられている。凸部721は、短手方向に延びるとともに、短手方向に見た場合に先端が鋭角に尖っている。複数の凸部721は長手方向に等間隔に並んでいる。また、他方型72の内面における長手方向の両端部は、内側、言い換えれば凸部721側に傾斜した傾斜面722が形成されている。また、隣接する凸部721間、及び、凸部721と傾斜面722との間には、平坦面723が形成されている。他方型72における長手方向の両端部それぞれには、本体31を冷凍型70の内部に収容した状態で、一対の帯部32それぞれを冷凍型70の外部に露出させる切り欠き75が形成されている。
【0017】
一方型71の内面は、他方型72の内面よりも平坦であるが、隣接する凸部721の先端間における長手方向の中央部に対向する部位が最も凹み、凸部721の先端に対向する部位が最も高くなるように円弧状に凹んだ凹部711が、長手方向に等間隔に複数形成されている。
図3等に示したように、本実施の形態においては、凸部721は5個、凹部711が6個である。
【0018】
図2は、保冷部材10が冷凍された直後の状態の一例を示す図である。
冷凍型70から取り出された直後の保冷部材10は、冷凍型70を用いて冷凍されることにより、一方型71側に配置される一方面311には円弧状の一方側凸部311aが複数形成され、他方型72側に配置される他方面312には凸部721に対応する凹部312aが複数形成される。複数の凹部312aが形成されることにより、冷凍直後の保冷部材10には、凹部312aと凹部312aとの間に三角柱状の角柱部312bが複数(本実施の形態においては6個)形成される。角柱部312bは、短手方向に見た場合における2つの斜辺Lのなす角θは、角柱部312bの個数がn個とした場合には、360/n(度)となるように設定されている。例えば図2に示すようにn=6である場合にはなす角θは60(度)である。
【0019】
以上のように構成された保冷部材10は、図1に示すように、冷凍されたときの状態から、一方面311が外側、他方面312が内側となるように屈曲された状態、言い換えれば畳まれた状態で包装部材50にて包装されている。先ず、保冷部材10は、冷凍型70から取り外された後に、長手方向の一方の端部側から、隣接する角柱部312bの斜辺L同士が接触するように丸められる。これにより、保冷部材10は、円柱状になる。また、円柱状の中央には、両端それぞれに設けられた一対の帯部32が収納される。
【0020】
(包装部材)
包装部材50は、保冷部材10の周囲を包む、厚さ200μm以下のフィルムである。包装部材50の材質は、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリスチレン(polystyrene)であることを例示することができる。
図5は、保冷部材10を包装する前の包装部材50の形状の一例を示す図である。
包装部材50は、長方形状の側面部51と、側面部51における2つの長辺の内の一方の長辺から外側(図5においては上側)に突出した円形状の一方端部52と、他方の長辺から外側(図5においては下側)に突出した円形状の他方端部53と、を備えている。側面部51は、保冷部材10の一方面311の周囲に円筒状に巻かれた後に、側面部51の両端部が接着又は溶着される。一方端部52は、円筒状に巻かれた側面部51における一方側の開口部を塞ぐように変形された後に、側面部51に接着又は溶着される。他方端部53は、円筒状に巻かれた側面部51における他方側の開口部を塞ぐように変形された後に、側面部51に接着又は溶着される。
【0021】
(保冷ユニットの使用態様)
以上のように構成された保冷ユニット1は、円柱状の状態で、コーヒーやジュース等の飲料缶を販売する自動販売機で販売することが可能に構成されている。つまり、保冷ユニット1の大きさは、自動販売機の商品投入口から庫内に投入することができるとともに、商品取出口から排出することができる大きさに設定されている。また、包装部材50の表面は、庫内に投入する際、及び、庫内から排出する際に、詰りを生じることがないように十分な滑性を有している。ただし、保冷ユニット1が収容されている自動販売機の庫内は-1度以下に保たれることが必要である。
また、保冷ユニット1は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗に設置された冷凍庫内に陳列することが可能に構成されている。
【0022】
図6は、使用者が保冷部材10を装着した状態を示す図である。
保冷ユニット1を購入等した使用者は、包装部材50をはがして保冷部材10を取り出す。そして、使用者は、畳まれた保冷部材10を広げて平板状(図2に示した状態)とするとともに、一対の帯部32を露出させ、保冷部材10の一方面311を首の裏に配置した状態で、一方ファスナ321fと他方ファスナ322fとを押し付けて貼り付ける。これにより、使用者は、冷凍された保冷剤20を首の裏に配置した状態で、保冷部材10を保持することが可能になる。
【0023】
なお、一対の帯部32に、一方ファスナ321fと他方ファスナ322fとを設けていなくても良い。使用者は、一方帯321と他方帯322とを結ぶことで保冷部材10を保持するようにしても良いし、一方帯321と他方帯322とを例えばクリップ等で留めることで保冷部材10を保持するようにしても良い。
【0024】
(冷凍装置)
次に、実施の形態に係る保冷部材10を冷凍する冷凍装置100について説明する。
図7は、冷凍装置100の概略構成の一例を示す図である。(a)は冷凍装置100の概略構成の一例を示す平面図であり、(b)は冷凍装置100の概略構成の一例を示す正面図である。なお、図7においては、冷凍装置100を用いて冷凍される、冷凍型70にセットされた保冷部材10を簡易的に直方体状で示し、符号106を付している。以下では、冷凍型70にセットされた保冷部材10を、「被冷凍物106」と称する場合がある。
【0025】
冷凍装置100は、保冷部材10を冷凍する冷凍槽101と、冷凍槽101に氷スラリーを供給する供給部102と、氷スラリーを循環させる循環部103と、ブラインを抽出する抽出部104と、氷スラリーを製造する製造システム110とを備えている。
【0026】
ここで、ブラインとは、凝固点が0℃以下となる塩等の水溶液又は不凍液である。ブラインは、氷スラリーとして用いることができる。また、ブラインは、保冷剤20として用いることができる。凝固点は溶質の種類、濃度によって変化するが、保冷部材10を冷凍させるためのブラインは、保冷剤20の凝固点より低い凝固点となるように選定する。保冷剤20の凝固点と保冷剤20を冷凍するためのブライン(氷スラリー)の凝固点との間には、冷凍効率を確保するため少なくとも10℃以上温度差を設けることが好ましい。
【0027】
氷スラリーとは、後述するハイブリッドアイスをフレーク(剥片)状に加工したフレークアイス(固体)と、溶質を含有する水溶液(ブライン)とを予め定められた比率で混合させたシャーベット状の混合物であり、流動性を有している。これにより、保冷部材10に対し万遍なくフレークアイス(固体)を接触させることができるようになり、保冷部材10を急速冷凍することが可能となる。また、氷スラリーにフレークアイスを加えることにより、氷スラリーに含まれるフレークアイスとブラインとの構成比率を容易に調整することができる。
【0028】
ハイブリッドアイスとは、溶質を含有する水溶液(ブライン)を、溶質の濃度がほぼ均一となるように凝固させた氷である。ハイブリッドアイスは、少なくとも(a)融解完了時の温度が0℃未満、かつ、(b)融解過程で氷が融解した水溶液(ブライン)の溶質濃度の変化率(以下、「溶質濃度の変化率」と称する場合がある。)が30%以内という条件を満たし、被冷凍物を効率よく冷凍することができるという特性を有している。
【0029】
冷凍槽101は、その内部に、被冷凍物106である、冷凍型70にセットされた保冷部材10を収納するとともに、保冷部材10と氷スラリーとを予め定められた所定速度で接触させることにより、保冷部材10を冷凍する。より具体的には、冷凍槽101は、ラック105に収納させた被冷凍物106と、所定速度で冷凍槽101の内部を流れる氷スラリーとを接触させることにより保冷部材10を急速冷凍する。
ラック105には、複数(例えば100個)の被冷凍物106を収納することができる。冷凍槽101内には、複数の被冷凍物106を収納したラック105を挿入する。
【0030】
供給部102は、冷凍槽101に対し、氷スラリーを供給するとともに、被冷凍物106の冷熱量に応じて氷スラリーを適宜補充する。より具体的には、供給部102は、後述する製造システム110により製造された氷スラリーを、循環部103を介して冷凍槽101に供給する。氷スラリーに対する被冷凍物106の冷熱量が大きい場合には、追加の氷スラリーを追加補充する。
【0031】
供給部102は、氷スラリーの供給を行う際、冷凍槽101に設けられた氷スラリー表面位置センサ(不図示)によって氷スラリー量を測定し、冷凍槽101の内部を流動する氷スラリーの量(液面高さ)を適量となるように調節する。これにより、冷凍槽101において、氷スラリーの供給過多によって冷凍槽101から氷スラリーが溢れ出てしまう事態や、氷スラリーの供給不足によって冷凍槽101において保冷部材10に氷スラリーが接触しない部分が生じることを抑制することができる。
【0032】
循環部103は、冷凍槽101に氷スラリーを循環させる。より具体的には、循環部103は、スクリューコンベア108を回転させることにより、供給部102から供給された氷スラリーを冷凍槽101に循環させる。冷凍槽101に送られた氷スラリーは、冷凍槽101において被冷凍物106に接触し、その後、冷凍槽101から排出される。循環部103は、スクリューコンベア108を回転させることにより、冷凍槽101から排出された氷スラリーを再び冷凍槽101内に循環させる。
【0033】
なお、図7(a)には、循環部103の内部を示す部分断面を波線間に記載している。図7(a)に示した波線間の部分は、循環部103の一部に過ぎないが、循環部103の他の部分についても、波線間の部分と同様に、内部にスクリューコンベア108が配置されていても良い。
【0034】
循環部103には、氷スラリー中のフレークアイスの濃度(IPF:Ice Packing Factor)を計測する濃度計測部(不図示)が備えられている。濃度(IPF)は、(フレークアイスの質量)/(フレークアイスの質量+ブラインの質量)で算出される。
【0035】
氷スラリーのフレークアイスの濃度は、10%以上かつ60%以下であることが好ましい。製造システム110は、後述する製造装置120が製造するフレークアイスの量を制御することによって、フレークアイスの濃度を予め定められた目標値に保持することができる。フレークアイスの濃度の目標値は、冷凍しようとする物の種類によって適宜選択される。氷スラリーの温度は、フレークアイスを加えても(氷スラリーに冷熱を加えても)、逆に物を冷凍しても(氷スラリーから冷熱を取り去っても)、氷スラリーを生成するブラインの凝固点に保持されており、氷スラリーに対する熱授受によって氷スラリーのフレークアイスの濃度が変化する。従って、氷スラリーのフレークアイスの濃度を制御することで、氷スラリーの授受冷熱量、すなわち、被冷凍物106を冷凍させるために必要な合計冷熱量を制御することができる。
【0036】
濃度計測部(不図示)は、入口、出口を有する実質的なバイパス管内にヒータ及び温度計を備えている。濃度計測部は、計測時には入口及び出口を閉じ、入口と出口の間に計測しようとする氷スラリーのサンプルを採取する。濃度計測部は、ヒータで予め定められた熱量を当該サンプルに加え、当該サンプルの温度変化を計測するものであってよい。すなわち、氷スラリーのサンプルは、その中にフレークアイスが残っている間は凝固点温度を維持するため、その凝固点温度からの昇温タイミングはフレークアイスの濃度と関連するので(印加する熱量が一定の場合、フレークアイスの濃度が高いほど、昇温タイミングは遅くなる)、氷スラリーのサンプルの温度変化から氷スラリーの濃度を特定できる。
抽出部104は、循環部103により冷凍槽101から排出された氷スラリーに含まれるブラインを抽出し、このブラインを製造システム110に提供する。
【0037】
(製造システム)
図8は、製造システム110の概略構成の一例を示す図である。
製造システム110は、ブラインを貯留する貯留タンク111と、ポンプ112と、ブラインを流通させる配管113と、ブラインタンク114と、フレークアイスを貯留するアイスタンク115と、凍結点を調節する調節部116と、フレークアイスを製造する製造装置120と、を備えている。
【0038】
貯留タンク111は、ハイブリッドアイスの原料となるブラインを貯える。貯留タンク111に貯えられたブラインは、ポンプ112を作動させることにより、配管113を介して後述する噴射部123に供給される。噴射部123に供給されたブラインは、ハイブリッドアイスを生成するための原料となる。
【0039】
ブラインタンク114は、貯留タンク111内に貯留されたブラインが少なくなると、貯留タンク111に対しブラインを供給する。なお、後述するドラム121の内周面で凍結することなく流下したブラインは、貯留タンク111に貯えられ、ポンプ112が作動されることによって再び配管113を介して噴射部123に供給される。
【0040】
アイスタンク115は、製造装置120の直下に配置され、製造装置120のフレークアイス排出口から落下したフレークアイスを貯える。
アイスタンク115の氷スラリーのフレークアイスの濃度は、同様にアイスタンク115に設けられた濃度計測部(不図示)により計測され、それを製造装置120の運転にフィードバックさせることによって、予め定められた濃度(IPF)になるように制御されている。
【0041】
調節部116は、ブラインタンク114から貯留タンク111に供給されるブラインの凍結点を調節する。例えばブラインは濃度によって異なる。このため、調節部116は、貯留タンク111に貯えられているブラインの濃度を調節する。
【0042】
製造装置120は、円筒状のドラム121と、ドラム121に形成された、冷媒が流通する流通路125に、冷媒配管128を介して冷媒を供給する供給部127と、ドラム121の内周面にブラインを噴射する噴射部123と、を備えている。また、製造装置120は、配管113に流れるブラインを噴射部123に搬送するロータリージョイント124と、ロータリージョイント124の回転を制御する制御部126と、を備えている。
【0043】
供給部127は、流通路125に冷媒を供給し、ドラム121の内周面の温度を噴射部123が噴射するブラインの凍結点より-10℃程度低くなるように設定する。これにより、ドラム121の内周面に付着したブラインを凍結させることができる。
【0044】
ドラム121の内周面が冷却されると、ポンプ112は、貯留タンク111から配管113を介して、噴射部123にブラインを供給する。噴射部123にブラインが供給されると、噴射部123は、ドラム121の内周面に向けてブラインを噴射する。噴射部123から噴射されたブラインは、ドラム121の内周面に接触すると、溶質である塩と溶媒である水とに分離する時間を与えられる間もなく瞬時に凍結しハイブリッドアイスとなる。このようにしてハイブリッドアイスが生成される。ハイブリッドアイスは、ブラインを凍結させた氷であるため、融解過程における溶質の溶出速度の変化が少ないという特徴を有する。
【0045】
ドラム121の内周面に生成されたハイブリッドアイスは、ドラム121の内側を回転する剥取部(スクレーパ)によって剥ぎ取られる。剥取部によって剥ぎ取られたハイブリッドアイスは、フレークアイスとしてフレークアイス排出口から落下する。フレークアイス排出口から落下したフレークアイスは、製造装置120の直下に配置されたアイスタンク115内に貯えられる。
【0046】
上述したように、氷スラリーが製造装置120を含む製造システム110によって製造される。すなわち、製造装置120のフレークアイス排出口から落下したフレークアイスがアイスタンク115内に貯留され、このアイスタンク115内にブラインが混合されることで、氷スラリーが製造される。
【0047】
そして、以上説明した冷凍装置100により、実施の形態に係る保冷ユニット1の保冷部材10が急速冷凍される。つまり、冷凍装置100によれば、エアブラスト等の低温空気流を利用した冷凍技術と比較すると、氷スラリーの熱伝導度が空気の熱伝導度に比べて格段に大きいため、保冷部材10の冷凍時間を短縮することができる。すなわち、エアブラスト等の低温圧縮空気を利用した冷凍技術では、冷凍時間が10~30時間であるのに対して、冷凍装置100によれば冷凍時間を30分程度とすることが可能になる。
また、冷凍装置100によれば、装置サイズを、エアブラスト等の低温空気流を利用した冷凍技術を用いる装置よりも小さくすることが可能になる。
【0048】
以上説明したように、第1の実施形態に係る保冷ユニット1は、保冷剤20と保冷剤20を密封する密封部材30とを有し、保冷剤20を凍らせた状態で広げたり畳んだりすることが可能な保冷部材10と、凍らせられて畳まれた保冷部材10を包装する包装部材50と、を備える。このように構成された保冷ユニット1においては、凍った状態で畳まれた保冷部材10は、広げられた保冷部材10よりもコンパクトであるので、保冷ユニット1の供給者は、飲料缶を販売する自動販売機や店舗で販売し易くなる。その結果、保冷ユニット1によれば、使用者に、保冷ユニット1を手軽に手に入れさせることが可能になる。
【0049】
また、保冷部材10は、広げたときの状態が平板状であり(図2参照)、畳んだ状態が円柱状である(図1参照)。畳んだ状態が円柱状であるので、保冷ユニット1を、飲料缶を販売する自動販売機で販売することが可能になる。また、広げたときの状態が平板状であるので、保冷部材10を凍らせ易くすることができるとともに、冷却面積を大きくすることができる。
また、保冷部材10は、多角柱状である複数の柱状部の一例としての角柱部312bを有し、隣接する角柱部312bにおける隣接する辺の一例としての斜辺L同士が平板状であるときよりも近づくように畳まれている。保冷部材10がかかる形状であることにより、円柱状に畳むことが可能になる。
【0050】
また、包装部材50は、保冷部材10の周囲に巻き付けられたフィルムである。これにより、保冷部材10を簡易に包装することが可能になる。また、厚さが薄いフィルムを用いることにより、保冷ユニット1としての大きさをコンパクトにすることが可能になる。
また、密封部材30は、保冷剤20を密封する本体31と、本体31における両端部それぞれから帯状に突出した一対の帯部32と、を有し、一対の帯部32は、本体31が首の後ろに配置された状態で、先端同士が首の前で交差する。これにより、一対の帯部32の一方帯321に設けられた一方ファスナ321fと、他方帯322に設けられた他方ファスナ322fとを押し付けて両者を貼り付けることで、使用者は、保冷部材10を保持することが可能になる。また、使用者は、一対の帯部32の先端同士を結ぶことで保冷部材10を保持することが可能になる。また、使用者は、一対の帯部32の先端同士をクリップ等で留めることで保冷部材10を保持することが可能になる。
【0051】
また、保冷剤20は食塩水であるため、使用者は、保冷部材10の冷熱放出後等に、密封部材30を破いて保冷剤20を飲むことができる。
【0052】
なお、上述した実施形態においては、角柱部312bは6個であるが、角柱部312bの個数は6個に限定されない。保冷ユニット1の全体としての大きさに応じて角柱部312bの個数や大きさを設定すると良い。また、上述した実施形態においては、角柱部312bは三角柱状であるが、三角柱状に限定されない。また、三角柱状の角部をR状にしたり、角部に面取りを設けたりしても良い。
【0053】
また、上述した実施形態においては、保冷ユニット1は、飲料缶を販売する自動販売機にて販売可能な円柱状であるが、円柱状に限定されない。例えば、保冷部材10は、保冷剤20が凍った状態で畳まれた形状が直方体であり、直方体の状態で包装部材50にて包装されても良い。直方体状であっても、例えば、アイスクリームを販売する自動販売機にて販売することができる。また、直方体状であっても、コンビニエンスストア等の店舗に設置された冷凍庫内に陳列して販売することができる。
【0054】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る保冷ユニット2は、第1の実施形態に係る保冷ユニット1に対して、保冷部材10に相当する保冷部材210が異なる。以下、保冷ユニット2について、保冷ユニット1と異なる点について説明する。保冷ユニット2と保冷ユニット1とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0055】
図9(a)は、第2の実施形態に係る保冷部材210が畳まれた状態の一例を示す図である。図9(b)は、保冷部材210が冷凍型270を用いて冷凍されているときの状態の一例を示す図である。
第2の実施形態に係る保冷部材210は、短手方向に見た場合に、台形状の、角柱部312bに相当する台形状部211を8個有している。そして、保冷部材210は、包装部材50にて包装された状態で、図9(a)に示すように、8個の台形状部211の内の2個の台形状部211が、他の6個の台形状部211の内側に配置されることで円柱状に構成される。
【0056】
保冷部材210が図9(a)に示した形状を実現するのに用いられる冷凍型270は、図9(b)に示すように、対向して配置される一方型271と他方型272とを有している。他方型272の内面には内側に突出した凸部273が7個設けられている。7個の凸部273の内の6個の凸部273は、凸部721と同様に、短手方向に延びるとともに、短手方向に見た場合に先端が鋭角に尖っており、残り1個の凸部273は、先端が平坦である。そして、隣接する凸部273間には、保冷部材210の台形状部211の上底を形成する平坦面276が形成されている。
【0057】
保冷部材210がかかる形状であっても、畳んだ状態で、飲料缶を販売する自動販売機にて販売することができる円柱状にすることができる。その結果、保冷ユニット2によれば、使用者に、保冷ユニット2を手軽に手に入れさせることが可能になる。
【0058】
<第3の実施形態>
図10は、第3の実施形態に係る保冷ユニット3の保冷部材310の概略構成の一例を示す図である。
第3の実施形態に係る保冷ユニット3は、第1の実施形態に係る保冷ユニット1に対して、保冷部材10に相当する保冷部材310が異なる。以下、保冷ユニット3について、保冷ユニット1と異なる点について説明する。保冷ユニット3と保冷ユニット1とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0059】
保冷部材310は、保冷剤20を複数(図10においては2つ)の空間に区画された密封部材330を有している。
より具体的には、密封部材330の本体331は、保冷剤20を収容する空間が2つに区画されている。そして、図10に示すように、2つの空間である一方の空間333と他方の空間334との間に、一方の空間333を覆う部分と他方の空間334を覆う部分とを接続する接続部335が短手方向に延びるように形成されている。そして、接続部335には、切り離し易いように形成された連続した小穴336が形成されている。言い換えれば、接続部335にミシン目が形成されている。
【0060】
以上のように構成された保冷部材310においては、使用者は、密封部材330の接続部335に連続した小穴336が形成されているので、手で容易に2つに分割することが可能である。それゆえ、使用者は、保冷部材310の冷熱放出後等に、例えば時間差を設けて2回に分けて、保冷剤20を飲むことができる。また、使用者は、2つに分割した一方の保冷剤20を自分で飲み、他方の保冷剤20を他の者に譲渡することが可能になる。
【0061】
なお、上述した例では、密封部材330の本体331は2つに区画されているが、特に2つに限定されない。3以上に区画されていても良い。
【0062】
<第4の実施形態>
図11は、第4の実施形態に係る保冷ユニット4の概略構成の一例を示す図である。
第4の実施形態に係る保冷ユニット4は、第1の実施形態に係る保冷ユニット1に対して、包装部材50に相当する包装部材450が異なる。以下、保冷ユニット4について、保冷ユニット1と異なる点について説明する。保冷ユニット4と保冷ユニット1とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0063】
包装部材450は、保冷部材10を、畳まれた状態で収容する容器であり、有底円筒状の容器本体451と、容器本体451の開口部を覆う有底円筒状の蓋452と、を有している。容器本体451は、畳まれた状態の保冷部材10を収容可能な大きさである。蓋452は、容器本体451に保冷部材10が挿入された後に、容器本体451の開口部を覆うように取り付けられている。容器本体451と蓋452とは、蓋452が容器本体451から外れないように、テープ(不図示)で接着されている。これにより、保冷部材10は、容器本体451の内部から飛び出すことが抑制される。また、包装部材450は、保冷ユニット4を、飲料缶を販売する自動販売機の商品投入口から庫内に投入することができるとともに、商品取出口から排出することができる大きさに設定されている。また、包装部材450の表面は、飲料缶を販売する自動販売機の庫内に投入する際、及び、庫内から排出する際に、詰りを生じることがないように十分な滑性を有している。
【0064】
容器本体451及び蓋452の材質は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)等の樹脂や、紙であることを例示することができる。また、容器本体451及び蓋452の厚さは、0.5~3mmであることを例示することができる。
なお、蓋452は、有底円筒状ではなく円形状であっても良い。また、円形状である場合には、材質が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等のフィルムであって、厚さが200μm以下のフィルムから成形されていても良い。
【0065】
以上のように構成された保冷ユニット4においても、自動販売機や店舗で販売することができる。その結果、保冷ユニット4によれば、使用者に、保冷ユニット4を手軽に手に入れさせることが可能になる。
【0066】
<システムの実施形態>
図12(a)は、保冷システム500の概略構成の一例の背面図である。図12(b)は、衣服510の概略構成の一例の正面図である。
保冷システム500は、第1の実施形態に係る保冷ユニット1と、衣服510と、を備えている。
衣服510は、保冷ユニット1の保冷部材10の密封部材30の本体31を収容可能な収容部511を有している。収容部511は、使用者が衣服510を着た状態で、使用者の首の裏側又は首の裏側のやや下に対向する位置に形成されている。つまり、使用者は、収容部511に保冷部材10を収容した衣服510を着ると、保冷部材10が首の裏側又は首の裏側のやや下に位置する。収容部511は、内側に直方体状の空間512を形成するように形成されており、その空間512の肩幅方向の大きさは、保冷部材10の密封部材30の本体31の長手方向の大きさよりも大きく、その空間512の肩幅方向に直交する方向の大きさは、密封部材30の本体31の短手方向の大きさよりも大きい。
【0067】
衣服510は、軟質な部材、弾力性のある部材で形成されていると良い。例えば、衣服510の材質は、メッシュ材であることを例示することができる。
また、衣服510は、例えば、第4の実施形態に係る包装部材450に収容されて自動販売機にて販売されることを例示することができる。また、衣服510は、第4の実施形態に係る包装部材450に収容された状態で、又は、ハンガーに吊り下げられた状態で、店舗で販売されても良い。
【0068】
以上、説明したように、保冷システム500は、保冷剤20と保冷剤20を密封する密封部材30とを有し、保冷剤20が凍った状態で畳まれているとともに包装部材50にて包装された保冷部材10と、保冷部材10を収容する収容部511を有する衣服510と、を備える。
この保冷システム500によれば、使用者は、収容部511に保冷部材10を収容した衣服510を着用するだけで高温状態になることが抑制される。それゆえ、使用者は、高温環境下で、建設作業や農作業等の作業を行う場合、スポーツやレジャー等を行う場合等においても、体を容易に動かすことができるとともに体温の上昇を抑制することが可能となる。
なお、収容部511は、収容した保冷部材10が脱落しないようにホック止め又はファスナ止めをする構成であっても良い。これにより、使用者は、体を激しく動かすことが可能になる。
【0069】
なお、保冷システム500の保冷ユニット1は、密封部材30に、一対の帯部32を有していなくても良い。本体31を収容した衣服510を着ることで、保冷部材10が首の裏側に位置するので、一対の帯部32を用いて保冷部材10を保持する必要はないからである。
また、収容部511は、図12(b)に二点鎖線で示すように、衣服510における、心臓及び腸の少なくともいずれかに対向する位置に形成されていても良い。
また、保冷システム500は、第2の実施形態に係る保冷ユニット2、第3の実施形態に係る保冷ユニット3、又は、第4の実施形態に係る保冷ユニット4と、衣服510と、を備える構成であっても良い。
【符号の説明】
【0070】
1,2,3,4…保冷ユニット、10,210,310…保冷部材、20…保冷剤、30…密封部材、31…本体、32…一対の帯部、50…包装部材、70,270…冷凍型、100…冷凍装置、110…製造システム、312b…角柱部、336…小穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12