(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】要介護者支援システム及び要介護者の支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/70 20180101AFI20240227BHJP
【FI】
G16H20/70
(21)【出願番号】P 2020074456
(22)【出願日】2020-04-19
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】518121471
【氏名又は名称】株式会社Aikomi
(74)【代理人】
【識別番号】100141427
【氏名又は名称】飯村 重樹
(72)【発明者】
【氏名】ハード ニコラス ウイリアム
(72)【発明者】
【氏名】加藤 潤一
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/212134(WO,A1)
【文献】特開2017-162442(JP,A)
【文献】特表2016-512622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行動心理症状に関する要介護者を支援する要介護者支援システムであって、
前記要介護者の五感のうちの少なくとも1の感覚に対する刺激についての刺激情報を格納する刺激情報格納手段と、
該刺激情報格納手段に格納された前記刺激情報を前記要介護者に提供する刺激情報提供手段と、
該刺激情報提供手段で提供する前記刺激情報による前記刺激に対する前記要介護者の反応を検知する反応検知手段と、を備え、
前記刺激情報格納手段に格納された前記刺激情報のうち前記要介護者の精神的な緊張を緩和する第1刺激情報を提供する第1ステップ、
前記刺激情報のうち前記要介護者の属性に基づいて前記刺激情報格納手段に格納された第2刺激情報のうち任意の第2刺激情報を提供し、提供した任意の前記第2刺激情報のうち前記要介護者が反応した第2刺激情報の属性を検出する第2ステップ、
該第2ステップで検出した前記第2刺激情報の前記属性と同一の属性を有する他の第2刺激情報を前記要介護者に提供する第3ステップ、を実行し、
前記刺激情報提供手段は、
前記第2刺激情報が前記要介護者による経験の繰り返しにより習得された技能に関する手続記憶に作用すると想定される場合に前記第2刺激情報が前記要介護者の経験に基づくイベントに関するエピソード記憶に作用しないと想定される状態で前記第2刺激情報を前記要介護者に提供する、
要介護者支援システム。
【請求項2】
前記第2刺激情報は、
前記要介護者の少なくとも視覚を刺激する映像であって、
該映像に人物が含まれる場合は前記人物の顔面が隠蔽された状態で前記映像に含まれる、請求項1に記載の要介護者支援システム。
【請求項3】
前記人物の前記顔面がモザイク処理によって隠蔽される、請求項2に記載の要介護者支援システム。
【請求項4】
前記第2刺激情報は、
前記属性に基づいて階層化されて前記刺激情報格納手段に格納される、請求項1~3のいずれか1項に記載の要介護者支援システム。
【請求項5】
前記第2ステップにおいて前記要介護者に前記第2刺激情報を提供した際の前記要介護者の反応及び前記要介護者が反応した前記第2刺激情報の前記属性が要介護者データとして記憶される、請求項1~4のいずれか1項に記載の要介護者支援システム。
【請求項6】
前記第2ステップにおいて前記要介護者に前記第2刺激情報を提供した際の前記要介護者の反応が特異な反応である場合に前記第2刺激情報の前記属性を検出する、請求項1~5のいずれか1項に記載の要介護者支援システム。
【請求項7】
行動心理症状に関する要介護者を支援する要介護者支援システムであって、
前記要介護者の五感のうちの少なくとも1の感覚に対する刺激についての刺激情報を格納する刺激情報格納手段と、
該刺激情報格納手段に格納された前記刺激情報を前記要介護者に提供する刺激情報提供手段と、
該刺激情報提供手段で提供する前記刺激情報による前記刺激に対する前記要介護者の反応を検知する反応検知手段と、を備え、
前記刺激情報のうち前記要介護者の属性に基づいて前記刺激情報格納手段に格納された任意の刺激情報を提供し、提供した任意の前記刺激情報のうち前記要介護者が反応した刺激情報の属性を検出するステップ、
検出した前記刺激情報の前記属性と同一の属性を有する他の刺激情報を前記要介護者に提供するステップ、を実行し、
前記刺激情報提供手段は、
前記刺激情報が前記要介護者による経験の繰り返しにより習得された技能に関する手続記憶に作用すると想定される場合に前記刺激情報が前記要介護者の経験に基づくイベントに関するエピソード記憶に作用しないと想定される状態で前記刺激情報を前記要介護者に提供する、
要介護者支援システム。
【請求項8】
行動心理症状に関する要介護者を支援する要介護者支援システムであって、
前記要介護者の五感のうちの少なくとも1の感覚に対する刺激についての刺激情報を前記要介護者に提供する刺激情報提供手段を備え、
該刺激情報提供手段は、
前記刺激情報が前記要介護者による経験の繰り返しにより習得された技能に関する手続記憶に作用すると想定される場合に前記刺激情報が前記要介護者の経験に基づくイベントに関するエピソード記憶に作用しないと想定される状態で前記刺激情報を前記要介護者に提供する、
要介護者支援システム。
【請求項9】
行動心理症状に関する要介護者を支援する要介護者の支援方法であって、
前記要介護者の五感のうちの少なくとも1の感覚に対する刺激についての刺激情報を格納する刺激情報格納手段、該刺激情報格納手段に格納された前記刺激情報を前記要介護者に提供する刺激情報提供手段、該刺激情報提供手段で提供する前記刺激情報による前記刺激に対する前記要介護者の反応を検知する反応検知手段、を備える要介護者支援システムを用いて、
前記刺激情報格納手段に格納された前記刺激情報のうち前記要介護者の精神的な緊張を緩和する第1刺激情報を提供する第1ステップと、
前記刺激情報のうち前記要介護者の属性に基づいて前記刺激情報格納手段に格納された第2刺激情報のうち任意の第2刺激情報を提供し、提供した任意の前記第2刺激情報のうち前記要介護者が反応した第2刺激情報の属性を検出する第2ステップと、
該第2ステップで検出した前記第2刺激情報の前記属性と同一の属性を有する他の第2刺激情報を前記要介護者に提供する第3ステップと、を実行し、
前記刺激情報提供手段は、
前記第2刺激情報が前記要介護者による経験の繰り返しにより習得された技能に関する手続記憶に作用すると想定される場合に前記第2刺激情報が前記要介護者の経験に基づくイベントに関するエピソード記憶に作用しないと想定される状態で前記第2刺激情報を前記要介護者に提供する、
要介護者の支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要介護者支援システム及び要介護者の支援方法、特に、行動心理症状を発症した要介護者を支援する要介護者支援システム及び行動心理症状を発症した要介護者を支援する要介護者の支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会の到来に伴って、介護支援者による介護や補助が必要な要介護者が増加している一方で、介護や補助の身体的及び精神的な負担が大きいこと等に起因して介護支援者の人員不足が恒常化しており、今後、高齢の要介護者の介護に関する取り組みを検討することは、我が国の喫緊の課題である。
【0003】
ところで、高齢の要介護者の増加に伴って、認知症の患者も増加している。認知症には、記憶機能や認知機能の低下といった中核症状と、この中核症状に伴って発生する行動心理症状とがある。
【0004】
行動心理症状には、徘徊や暴言あるいは暴行といった行動障害や、不安や不眠や幻覚あるいは妄想といった心理症状がみられ、このような障害や症状が表れる前あるいは表れた後に、運動療法や心理療法といった、薬物の投与によらない非薬物療法が第一次的に選択される。
【0005】
特許文献1には、音声入力手段に入力された発話者の音声に任意の処理を施し、その処理を施した音声を要介護者に聞かせることによって要介護者の気分を所望の気分に誘導して、行動心理症状の改善を図ることを目的とした技術が提案されている。
【0006】
このように、行動心理症状の改善を図るためには、特許文献1で提案される技術で示されるように要介護者の特定の感覚(例えば聴覚)を刺激する刺激情報を付与する、あるいは要介護者の個別の状態に応じて、聴覚以外の視覚や触覚といったさまざまな感覚を刺激する刺激情報を付与することも一策である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、記憶は、一般的に、個人の経験したイベントに関する記憶であるエピソード記憶と、個人が体得した技能や手続やノウハウ等に関する記憶である手続記憶とに大別される。
【0009】
ここで、行動心理症状の改善を図る観点から、要介護者の感覚を刺激する刺激情報を付与する場合において、要介護者によっては、付与された刺激情報が手続記憶に作用する刺激情報であるにも関わらず、これをエピソード記憶に作用する刺激情報であると混同してしまう場合がある。
【0010】
例えば、手続記憶に作用する刺激情報として、演者である人物がギターを演奏する映像を要介護者に提供したときに、人物の顔面に接すると、人物と要介護者とは全く繋がりがないにも関わらず、要介護者が、人物が自分の経験と関連のある人物であると混同してエピソード記憶をたどるような事態が生じる場合がある。
【0011】
このような混同が生じると、要介護者に好ましくない影響が及ぼされることとなり、行動心理症状の改善を図ることができないことが懸念される。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、行動心理症状を適切に改善することができる要介護者支援システム及び要介護者の支援方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る要介護者支援システムは、行動心理症状に関する要介護者を支援する要介護者支援システムであって、要介護者の五感のうちの少なくとも1の感覚に対する刺激についての刺激情報を格納する刺激情報格納手段と、刺激情報格納手段に格納された刺激情報を要介護者に提供する刺激情報提供手段と、刺激情報提供手段で提供する刺激情報による刺激に対する要介護者の反応を検知する反応検知手段と、を備え、刺激情報格納手段に格納された刺激情報のうち要介護者の精神的な緊張を緩和する第1刺激情報を提供する第1ステップ、刺激情報のうち要介護者の属性に基づいて刺激情報格納手段に格納された第2刺激情報のうち任意の第2刺激情報を提供し、提供した任意の第2刺激情報のうち要介護者が反応した第2刺激情報の属性を検出する第2ステップ、第2ステップで検出した第2刺激情報の属性と同一の属性を有する他の第2刺激情報を要介護者に提供する第3ステップ、を実行し、刺激情報提供手段は、第2刺激情報が要介護者による経験の繰り返しにより習得された技能に関する手続記憶に作用すると想定される場合に第2刺激情報が要介護者の経験に基づくイベントに関するエピソード記憶に作用しないと想定される状態で第2刺激情報を要介護者に提供するものである。
【0014】
この要介護者支援システムで要介護者に提供される第2刺激情報は、要介護者の少なくとも視覚を刺激する映像であって、映像に人物が含まれる場合は人物の顔面が隠蔽された状態で映像に含まれるものである。
【0015】
この要介護者支援システムによれば、要介護者の五感のうち少なくとも1の感覚を刺激する刺激情報を提供することによって、第2ステップにおいて、要介護者がいずれの感覚でどのような属性の第2刺激情報に特異な反応を示すのかを適切に検出することができる。
【0016】
さらに、第3ステップにおいて、反応を示した第2刺激情報の有する属性と同一の属性を有する他の第2刺激情報を提供することによって、この第2刺激情報に要介護者を没頭させることができる。
【0017】
特に、第2刺激情報のうち要介護者の手続記憶に作用すると想定される映像であってその映像に人物が含まれる場合には、人物の顔面が隠蔽されていることから、要介護者がその映像を起因としてエピソード記憶と混同してエピソード記憶をたどるような事態が生じることはない。
【0018】
したがって、要介護者に記憶の混同を生ぜしめることなく、関心のある属性を有する第2刺激情報に没頭させることで、その属性(例えば「音楽」)に関する自発的な行動が促されることから、薬物療法によらないで要介護者の行動心理症状を適切に改善することができる。
【0019】
しかも、第2ステップは、第1ステップによって要介護者の精神的な緊張が緩和された状態で実行されることから、要介護者が特異な反応を示す第2刺激情報の属性を正確に検出することができる。
【0020】
この要介護者支援システムで要介護者に提供される第2刺激情報は、人物の顔面がモザイク処理によって隠蔽されるものであってもよい。
【0021】
この要介護者支援システムで要介護者に提供される第2刺激情報は、属性に基づいて階層化されて刺激情報格納手段に格納されるものであってもよい。
【0022】
この要介護者支援システムでは、第2ステップにおいて要介護者に第2刺激情報を提供した際の要介護者の反応及び要介護者が反応した第2刺激情報の属性が要介護者データとして記憶される。
【0023】
さらに、この要介護者支援システムでは、第2ステップにおいて要介護者に第2刺激情報を提供した際の要介護者の反応が特異な反応である場合に第2刺激情報の属性を検出する。
【0024】
上記目的を達成するための本発明に係る要介護者支援システムは、行動心理症状に関する要介護者を支援する要介護者支援システムであって、要介護者の五感のうちの少なくとも1の感覚に対する刺激についての刺激情報を格納する刺激情報格納手段と、刺激情報格納手段に格納された刺激情報を要介護者に提供する刺激情報提供手段と、刺激情報提供手段で提供する刺激情報による刺激に対する要介護者の反応を検知する反応検知手段と、を備え、刺激情報のうち要介護者の属性に基づいて刺激情報格納手段に格納された任意の刺激情報を提供し、提供した任意の刺激情報のうち要介護者が反応した刺激情報の属性を検出するステップ、検出した刺激情報の前記属性と同一の属性を有する他の刺激情報を要介護者に提供するステップ、を実行し、刺激情報提供手段は、刺激情報が要介護者による経験の繰り返しにより習得された技能に関する手続記憶に作用すると想定される場合に刺激情報が要介護者の経験に基づくイベントに関するエピソード記憶に作用しないと想定される状態で刺激情報を要介護者に提供するものである。
【0025】
上記目的を達成するための本発明に係る要介護者支援システムは、行動心理症状に関する要介護者を支援する要介護者支援システムであって、要介護者の五感のうちの少なくとも1の感覚に対する刺激についての刺激情報を要介護者に提供する刺激情報提供手段を備え、刺激情報提供手段は、刺激情報が要介護者による経験の繰り返しにより習得された技能に関する手続記憶に作用すると想定される場合に刺激情報が要介護者の経験に基づくイベントに関するエピソード記憶に作用しないと想定される状態で刺激情報を要介護者に提供するものである。
【0026】
上記目的を達成するための本発明に係る要介護者支援の支援方法は、行動心理症状に関する要介護者を支援する要介護者の支援方法であって、要介護者の五感のうちの少なくとも1の感覚に対する刺激についての刺激情報を格納する刺激情報格納手段、刺激情報格納手段に格納された刺激情報を要介護者に提供する刺激情報提供手段、刺激情報提供手段で提供する刺激情報による刺激に対する要介護者の反応を検知する反応検知手段、を備える要介護者支援システムを用いて、刺激情報格納手段に格納された刺激情報のうち要介護者の精神的な緊張を緩和する第1刺激情報を提供する第1ステップと、刺激情報のうち要介護者の属性に基づいて刺激情報格納手段に格納された第2刺激情報のうち任意の第2刺激情報を提供し、提供した任意の第2刺激情報のうち要介護者が反応した第2刺激情報の属性を検出する第2ステップと、第2ステップで検出した第2刺激情報の属性と同一の属性を有する他の第2刺激情報を要介護者に提供する第3ステップと、を実行し、刺激情報提供手段は、第2刺激情報が要介護者による経験の繰り返しにより習得された技能に関する手続記憶に作用すると想定される場合に第2刺激情報が要介護者の経験に基づくイベントに関するエピソード記憶に作用しないと想定される状態で第2刺激情報を要介護者に提供するものでる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、行動心理症状を適切に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施の形態に係る要介護者支援システムの構成の概略を説明するブロック図である。
【
図2】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムのサーバの構成の概略を説明する図である。
【
図3】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムのサーバのストレージの構成の概略を説明する図である。
【
図4】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムのサーバのストレージに格納される支援プログラムの構成の概略を説明するブロック図である。
【
図5】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムのサーバのストレージに格納される第1記憶領域の構成の概略を説明するブロック図である。
【
図6】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムのサーバのストレージに格納される第1記憶領域の第1コンテンツライブラリの構成の概略を説明するブロック図である。
【
図7】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムのサーバのストレージに格納される第1記憶領域の第2コンテンツライブラリの構成の概略を説明するブロック図である。
【
図8】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムのサーバのストレージに格納される第1記憶領域の任意の第2コンテンツの構成の概略を説明するブロック図である。
【
図9】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムのサーバのストレージに格納される第1記憶領域の第3コンテンツライブラリの構成の概略を説明するブロック図である。
【
図10】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムのサーバのストレージに格納される第2記憶領域の構成の概略を説明するブロック図である。
【
図11】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムの施設装置の構成の概略を説明する図である。
【
図12】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムの施設装置における施設端末のストレージの構成の概略を説明する図である。
【
図13】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムの施設装置における施設端末の第2ステップ処理モジュールによって第2コンテンツがディスプレイに表示された場合の概略を説明する図である。
【
図14】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムの施設装置における施設端末の第2ステップ処理モジュールによって第2コンテンツがディスプレイに表示された場合の概略を説明する図である。
【
図15】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムを用いて、要介護者の行動心理症状を改善することを目的として実行される介護支援フローの概略を説明する図である。
【
図16】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムを用いて実行される介護支援準備フローの概略を説明する図である。
【
図17】同じく、本実施の形態に係る要介護者支援システムを用いて実行される定期介護支援フローの概略を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施の形態にについて、
図1~
図17に基づいて説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態に係る要介護者支援システムの構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、要介護者支援システム10は、運用事業者1に配備されるサーバ20、複数の介護施設2に配備される施設装置30を主要構成として備え、これらサーバ20と施設装置30とがインターネット100を介して互いに接続されている。
【0031】
この要介護者支援システム10は、本実施の形態では、介護支援者3が、行動心理症状を発症して介護施設2に入居した要介護者4に、施設装置30を介して刺激情報である任意のコンテンツを提供することによって介護する際に使用されるものである。
【0032】
このコンテンツは、要介護者4の五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)のうち少なくとも1の感覚に対して刺激を与えるものであって、本実施の形態では、視覚に刺激を与える映像や画像、聴覚に刺激を与える音楽や音声、及び嗅覚に刺激を与える香料によって構成される。
【0033】
図2は、本実施の形態に係る要介護者支援システム10のサーバ20の構成の概略を説明する図である。図示のように、サーバ20は、プロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、送受信部24、及び入出力部25を主要構成として備え、これらが互いにバス26を介して電気的に接続される。
【0034】
プロセッサ21は、サーバ20の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御や、アプリケーションプログラムの実行に必要な処理等を行う演算装置である。
【0035】
このプロセッサ21は、本実施の形態では例えばCPU(Central Processing Unit)であり、後述するストレージ23に格納されてメモリ22に展開されたアプリケーションプログラム等を実行して各処理を行う。
【0036】
メモリ22は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶装置、及びフラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶装置を備える。
【0037】
このメモリ22は、プロセッサ21の作業領域として使用される一方、サーバ20の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種の設定情報等が格納される。
【0038】
ストレージ23は、アプリケーションプログラムや各種の処理に用いられるデータ等が格納されている。本実施の形態では、各種の処理を行う支援プログラムが格納されている。この支援プログラムの詳細については、後述する。
【0039】
送受信部24は、サーバ20をインターネット100に接続する。この送受信部24は、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)といった近距離通信インターフェースを具備するものであってもよい。
【0040】
本実施の形態では、この送受信部24及びインターネット100を介して、サーバ20が施設装置30と接続される。
【0041】
入出力部25には、必要に応じて、キーボードやマウスといった情報入力機器やディスプレイ等の出力機器が接続される。
【0042】
バス26は、接続したプロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、送受信部24及び入出力部25の間において、例えばアドレス信号、データ信号及び各種の制御信号を伝達する。
【0043】
図3は、サーバ20のストレージ23の構成の概略を説明する図である。図示のように、ストレージ23は、支援プログラム23A、ストレージ23の提供する記憶領域として実現される刺激情報格納手段である第1記憶領域23B、及び同じくストレージ23の提供する記憶領域として実現される第2記憶領域23Cを備える。
【0044】
図4は、支援プログラム23Aの構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、支援プログラム23Aは、第1ステップ実行モジュール23Aa、第2ステップ実行モジュール23Ab、第3ステップ実行モジュール23Ac及び第4ステップ実行モジュール23Adを備える。
【0045】
第1ステップ実行モジュール23Aaは、本実施の形態では、施設装置30からの要求信号に基づいて、第1記憶領域23Bに格納された後述する第1コンテンツライブラリから任意のコンテンツを抽出するモジュールである。
【0046】
第2ステップ実行モジュール23Abは、本実施の形態では、第1記憶領域23Bに格納された後述する第2コンテンツライブラリから任意のコンテンツを抽出するモジュールである。
【0047】
この第2ステップ実行モジュール23Abは、本実施の形態では、抽出したコンテンツが施設装置30を介して要介護者4に提供された際に要介護者4が特異な反応を示し、この反応が施設装置30の後述する反応検知部に検知されると、要介護者4が反応を示したコンテンツの後述する属性を検出する。
【0048】
第3ステップ実行モジュール23Acは、本実施の形態では、第2ステップ実行モジュール23Abで検出した、要介護者4が反応を示したコンテンツの属性と同一の属性を有する任意の他のコンテンツを、第1記憶領域23Bに格納された第2コンテンツライブラリから抽出するモジュールである。
【0049】
第4ステップ実行モジュール23Adは、本実施の形態では、施設装置30からの要求信号に基づいて、第1記憶領域23Bに格納された後述する第3コンテンツライブラリから任意のコンテンツを抽出するモジュールである。
【0050】
図5は、第1記憶領域23Bの構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、第1記憶領域23Bは、第1コンテンツライブラリ23Ba、第2コンテンツライブラリ23Bb及び第3コンテンツライブラリ23Bcを備える。
【0051】
図6は、第1コンテンツライブラリ23Baの構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、第1コンテンツライブラリ23Baは、第1刺激情報である複数の第1コンテンツA~nによって構成される。
【0052】
これら各第1コンテンツA~nは、本実施の形態では、要介護者4の出身地の「地域イベント」や、要介護者4の幼少期の社会や世相を反映した「社会イベント」、あるいは要介護者4の家族に関する「家族イベント」等の要介護者関連データd1に基づいて、要介護者4の精神的な緊張を緩和させるものが選択される。
【0053】
具体的には、「地域イベント」としては例えば、要介護者4の小学校のときの運動会や校内行事の画像が想定され、「社会イベント」としては例えば、要介護者4の幼少期に開催された1964年の東京オリンピックの画像といったものが想定され、「家族イベント」としては例えば、要介護者4が家族と旅行に行った時の画像や家族との日常の画像といったものが想定される。
【0054】
図7は、第2コンテンツライブラリ23Bbの構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、第2コンテンツライブラリ23Bbは、第2刺激情報である複数の第2コンテンツA1~D6によって構成される。
【0055】
これら各第2コンテンツA1~D6は、本実施の形態では、要介護者4の「年齢」、「性別」、「家族構成」、「出身地の特徴」あるいは「趣味嗜好」といった要介護者4の有する属性によって構成される要介護者属性データd2に基づいて、要介護者4の関心を喚起させるものが選択される。
【0056】
要介護者属性データd2は、例えば、要介護者4の家族に対するヒアリング等によって生成される。
【0057】
各第2コンテンツA1~D6は、上記のように要介護者属性データd2に基づいて選択されることから、要介護者4の記憶に作用することが想定される。
【0058】
ここで、記憶は、一般的に、記憶の保持時間が短時間であって記憶量にも制限がある短期記憶と、記憶の保持時間が長時間であって記憶量にも制限がない長期記憶とに大別される。
【0059】
このうち長期記憶は、更に、経験したイベントに関する記憶であって、そのイベントを経験したときに一緒にいた人やイベントの場所等といった付加的な情報も含められた記憶であるエピソード記憶と、経験を繰り返すことによって習得された技能(手続やノウハウ等も含む)に関する記憶である手続記憶とに大別される。
【0060】
各第2コンテンツA1~D6は、本実施の形態では、要介護者属性データd2に基づいて選択されることから、長期記憶のうちのエピソード記憶あるいは手続記憶のいずれかにそれぞれ作用することが想定される。
【0061】
エピソード記憶に作用することが想定される第2コンテンツA1~D6は、例えば、要介護者4の家族の写真、食べ物あるいは要介護者4が馴染んでいたかつての風景等であって、画像、映像あるいは音楽といった媒体で構成されることが想定される。
【0062】
一方、手続記憶に作用することが想定される第2コンテンツA1~D6は、例えば、楽器を演奏している光景、料理をしている光景、手芸をしている光景あるいはスポーツをしている光景等であって、映像や音楽といった媒体で構成されることが想定される。
【0063】
本実施の形態では、第2コンテンツA1~D6のうち手続記憶に作用すると想定される第2コンテンツについては、エピソード記憶に作用しないと想定される状態で要介護者4に提供される。
【0064】
各第2コンテンツA1~D6のうちの第2コンテンツA1~A6は、本実施の形態では、要介護者属性データd2に基づいて選択された、要介護者4がかつて行ったことのある寺の画像や映像であって、例えば第2コンテンツA1が清水寺(京都)の画像であり、第2コンテンツA2が法隆寺(奈良)の画像である。
【0065】
これら第2コンテンツA1~A6は、「寺」という第2コンテンツA1~A6の有する属性に基づいて階層化されたうえで「カテゴリA」に分類されて、第2コンテンツライブラリ23Bbとして第1記憶領域23Bに格納される。
【0066】
各第2コンテンツA1~D6のうちの第2コンテンツB1~B4は、本実施の形態では、要介護者属性データd2に基づいて選択された、要介護者4の好きな音楽に関する映像である。
【0067】
図8は、第2コンテンツB1~B4の構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、第2コンテンツB1~B4は、例えば第2コンテンツB1が大正琴で楽曲1を演奏している映像、第2コンテンツB2が大正琴で楽曲2を演奏している映像、第2コンテンツB2が大正琴で楽曲3を演奏している映像、及び第2コンテンツB4が大正琴で楽曲4を演奏している映像である。
【0068】
本実施の形態では、例えば、要介護者4が大正琴の演奏を練習によって習得していたとすれば、これら第2コンテンツB1~B4は、要介護者4の手続記憶に作用すると想定される映像である。
【0069】
このような場合において、大正琴で楽曲を演奏する映像を要介護者4が視聴する際に、大正琴を演奏する人物の顔を見てしまうと、その人物と要介護者4とは全く繋がりがないにも関わらず、要介護者4は、その人物が自分の経験と関連のある人物であると混同して、エピソード記憶をたどってその人物を思い出そうとする事態が生じる可能性がある。
【0070】
このような事態が生じることを回避する観点から、本実施の形態では、各第2コンテンツB1~B4において、大正琴を演奏する人物の顔面が隠蔽される。
【0071】
本実施の形態では、例えば、
図8で示すように、各第2コンテンツB1~B4において、大正琴を演奏する人物の顔面はフレームから外れており、各第2コンテンツB1~B4は、人物が大正琴を演奏している手元を中心とした映像として編集されている。
【0072】
これら第2コンテンツB1~B4は、「音楽」という第2コンテンツB1~B4の有する属性に基づいて階層化されたうえで「カテゴリB」に分類されて、第2コンテンツライブラリ23Bbとして第1記憶領域23Bに格納される。
【0073】
各第2コンテンツA1~D6のうちの第2コンテンツC1~C5は、本実施の形態では、要介護者属性データd2に基づいて選択された、要介護者4の好きな花の画像や映像及びその花の匂いのする香料であって、例えば第2コンテンツC1がバラの画像とその匂いのする香料であり、第2コンテンツC2がコスモスの画像とその匂いのする香料である。
【0074】
これら第2コンテンツC1~C5は、「花」という第2コンテンツC1~C5の有する属性に基づいて階層化されたうえで「カテゴリC」に分類されて、第2コンテンツライブラリ23Bbとして第1記憶領域23Bに格納される。
【0075】
さらに、各第2コンテンツA1~D6のうちの第2コンテンツD1~D6は、本実施の形態では、要介護者属性データd2に基づいて選択された、要介護者4がかつてしたことのある旅行の映像や画像であって、例えば第2コンテンツD1が熊本に旅行したときの映像であり、第2コンテンツD2が香港に旅行したときの映像である。
【0076】
これら第2コンテンツD1~D6は、「旅行」という第2コンテンツD1~D6の有する属性に基づいて階層化されたうえで「カテゴリD」に分類されて、第2コンテンツライブラリ23Bbとして第1記憶領域23Bに格納される。
【0077】
本実施の形態では、これら各第2コンテンツA1~D6の有する属性である「寺」、「音楽」、「花」及び「旅行」が第2コンテンツ属性データd3として把握され、この第2コンテンツ属性データd3がメタデータとして各第2コンテンツA1~D6に付与される。
【0078】
図9は、第3コンテンツライブラリ23Bcの構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、第3コンテンツライブラリ23Bcは、第3刺激情報である複数の第3コンテンツA~nによって構成される。
【0079】
これら各第3コンテンツA~nは、本実施の形態では、例えば犬や猫の画像といった、第2コンテンツA1~D6に没頭する要介護者4を沈静させるものが選択される。
【0080】
図10は、第2記憶領域23Cの構成の概略を説明するブロック図である。図示のように、第2記憶領域23Cには、第2コンテンツ属性データd3、施設装置30の後述する反応検知部で検知した要介護者4の映像データd4、画像データd5及び音声データd6が要介護者データd7として記憶される。
【0081】
この要介護者データd7は、例えば、機械学習の学習用データとして用いることができる。
【0082】
図11は、本実施の形態に係る要介護者支援システム10の施設装置30の構成の概略を説明する図である。図示のように、施設装置30は、施設端末40、刺激情報提供手段であるコンテンツ提供部50、及び反応検知手段である反応検知部60を備える。
【0083】
この施設装置30は、本実施の形態では、いわゆるデスクトップ型あるいはノート型のコンピュータ、あるいはいわゆるタブレット型の携帯用情報端末等といった情報処理機器によって実装される。
【0084】
施設端末40は、プロセッサ41、メモリ42、ストレージ43、送受信部44、及び入出力部45を主要構成として備え、これらが互いにバス46を介して電気的に接続される。
【0085】
プロセッサ41は、施設端末40の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御や、アプリケーションプログラムの実行に必要な処理等を行う演算装置である。
【0086】
このプロセッサ41は、本実施の形態では例えばCPU(Central Processing Unit)であり、後述するストレージ43に格納されてメモリ42に展開されたアプリケーションプログラム等を実行して各処理を行う。
【0087】
メモリ42は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶装置、及びフラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶装置を備える。
【0088】
このメモリ42は、プロセッサ41の作業領域として使用される一方、施設端末40の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種の設定情報等が格納される。
【0089】
ストレージ43は、アプリケーションプログラムや各種の処理に用いられるデータ等が格納されている。本実施の形態では、要介護者4が発声する音量や要介護者4の挙動等の特徴量データが格納されるとともに、各種の処理を行う処理プログラムが格納される。この処理プログラムの詳細については、後述する。
【0090】
送受信部44は、サーバ20をインターネット100に接続する。この送受信部44は、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)といった近距離通信インターフェースを具備するものであってもよい。
【0091】
本実施の形態では、この送受信部44及びインターネット100を介して、施設端末40がサーバ20と接続される。
【0092】
入出力部45には、キーボードやマウスといった情報入力機器が接続されるほか、本実施の形態では、コンテンツ提供部50及び反応検知部60が接続される。
【0093】
バス46は、接続したプロセッサ41、メモリ42、ストレージ43、送受信部44及び入出力部45の間において、例えばアドレス信号、データ信号及び各種の制御信号を伝達する。
【0094】
コンテンツ提供部50は、ディスプレイ51、スピーカ52及び芳香器53を備える。ディスプレイ51は、第1コンテンツA~n、第2コンテンツA1~D6及び第3コンテンツA~nのうち、映像や画像からなるコンテンツを表示する。
【0095】
スピーカ52は、第1コンテンツA~n、第2コンテンツA1~D6及び第3コンテンツA~nのうち、音楽や音声からなるコンテンツあるいは音楽や音声が含まれるコンテンツのその音楽や音声を発生させる。
【0096】
芳香器53は、本実施の形態では香料が格納されており、第1コンテンツA~n、第2コンテンツA1~D6及び第3コンテンツA~nのうち、匂いからなるコンテンツあるいは匂いを発するコンテンツのその匂いを発生させる。
【0097】
反応検知部60は、本実施の形態では、撮像装置であるカメラ61、収音装置であるマイク62及びディスプレイ51に表示されるコマンド入力アイコン63a~63cを備える。
【0098】
カメラ61は、要介護者4を映像あるいは画像として撮像し、マイク62は、要介護者4の発する声やその他の音声を収音する。
【0099】
カメラ61及びマイク62は、本実施の形態では、任意のコンテンツを提供された要介護者4が特異な反応をした場合、例えば声を出したり、ディスプレイ51を注視したりといった反応をした場合に、要介護者4のこれらの反応を検知し、カメラ61及びマイク62がこれらの反応を検知すると、後述する第2ステップ処理モジュールが検知信号をサーバ20に送信する。
【0100】
これらカメラ61及びマイク62で検知した要介護者4の特異な反応は、本実施の形態では、映像データd4、画像データd5及び音声データd6として第2記憶領域23Cに記憶される。
【0101】
コマンド入力アイコン63a~63cの詳細は、後述する。
【0102】
図12は、施設端末40のストレージ43の構成の概略を説明する図である。図示のように、ストレージ43には処理プログラム43Aが格納され、この処理プログラム43Aは、第1ステップ処理モジュール43Aa、第2ステップ処理モジュール43Ab、第3ステップ処理モジュール43Ac及び第4ステップ処理モジュール43Adを備える。
【0103】
第1ステップ処理モジュール43Aaは、本実施の形態では、第1記憶領域23Bに格納された第1コンテンツライブラリ23Baから任意の第1コンテンツA~nの抽出を要求する要求信号をサーバ20に送信し、抽出された第1コンテンツA~nをディスプレイ51に表示するモジュールである。
【0104】
第2ステップ処理モジュール43Abは、本実施の形態では、第1記憶領域23Bに格納された第2コンテンツライブラリ23Bbから任意の第2コンテンツA1~D6の抽出を要求する要求信号をサーバ20に送信し、抽出された第2コンテンツA1~D6をディスプレイ51に表示するモジュールである。
【0105】
この第2ステップ処理モジュール43Abは、本実施の形態では、ストレージ43に格納された要介護者4が発声する音量や要介護者4の挙動等の特徴量データに基づいて、カメラ61及びマイク62が検知した要介護者4の反応が特異な反応であるか否かを判断し、特異な反応であると判断すると検知信号をサーバ20に送信する。
【0106】
図13は、第2ステップ処理モジュール43Abによって第2コンテンツA1~D6がディスプレイ51に表示された場合の概略を説明する図である。図示のように、ディスプレイ51には、例えば、大正琴で楽曲1を演奏する映像及び音楽からなる第2コンテンツB1が表示される。
【0107】
本実施の形態では、第2コンテンツB1は、大正琴を演奏する人物の顔面がフレームから外れて隠蔽されており、人物が大正琴を演奏している手元を中心とした映像として編集されている。
【0108】
ディスプレイ51には、コマンド入力アイコン63a~63cが表示され、コマンド入力アイコン63aが「関心あり」、コマンド入力アイコン63bが「関心なし」、及びコマンド入力アイコン63cが「どちらともいえない」をそれぞれ示すものである。
【0109】
第2ステップ処理モジュール43Abは、コマンド入力アイコン63a~63cが入力されると、この入力に基づいて検知信号をサーバ20に送信する。
【0110】
図12で示すように、第3ステップ処理モジュール43Acは、本実施の形態では、カメラ61及びマイク62が要介護者4の特異な反応を検知し、あるいはコマンド入力アイコン63a(「関心あり」)が入力されて、第1記憶領域23Bに格納された第2コンテンツライブラリ23Bbから第2コンテンツB1と同一の属性を有する他の第2コンテンツB2~B4が抽出されたときに、抽出されたコンテンツをディスプレイ51に表示するモジュールである。
【0111】
図14は、第3ステップ処理モジュール43Acによって第2コンテンツA1~D6がディスプレイ51に表示された場合の概略を説明する図である。図示のように、ディスプレイ51には、例えば、大正琴で楽曲2(楽曲1とは異なる楽曲であることが想定される。)を演奏する映像及び音楽からなる、第2コンテンツB1と同一の属性を有する第2コンテンツB2が表示される。
【0112】
本実施の形態では、第2コンテンツB2は、大正琴を演奏する人物の顔面がフレームから外れて隠蔽されており、人物が大正琴を演奏している手元を中心とした映像として編集されている。
【0113】
ディスプレイ51には、コマンド入力アイコン63a~63cが表示される。
【0114】
さらに、
図12で示すように、第4ステップ処理モジュール43Adは、本実施の形態では、第1記憶領域23Bに格納された第3コンテンツライブラリ23Bcから任意の第3コンテンツA~nの抽出を要求する要求信号をサーバ20に送信し、抽出された第3コンテンツA~nをディスプレイ51に表示するモジュールである。
【0115】
図15は、要介護者4の行動心理症状を改善することを目的として実行される介護支援フローの概略を説明する図である。図示のように、介護支援フローFは、要介護者4の緊張を緩和させる(Warm-up)第1ステップS1、要介護者4の関心事を検出する(Discovery)第2ステップS2、及び要介護者4を関心事に没頭させる(Meaningful Activity)第3ステップS3によって構成され、本実施の形態の要介護者支援システム10によって実行される。
【0116】
まず、第1ステップS1において、介護支援者3が施設端末40を操作して、処理プログラム43Aの第1ステップ処理モジュール43Aaを介して、サーバ20の支援プログラム23Aの第1ステップ実行モジュール23Aaに、第1コンテンツライブラリ23Baから任意の第1コンテンツA~nを抽出するように要求する要求信号を送信する。
【0117】
この要求信号に基づいて、第1ステップ実行モジュール23Aaは第1コンテンツライブラリ23Baから任意の第1コンテンツA~nを抽出する。第1コンテンツライブラリ23Baから任意の第1コンテンツA~nのいずれかが抽出されると、抽出された例えば第1コンテンツAが、第1ステップ処理モジュール43Aaによってディスプレイ51に表示されて、要介護者4に提供される。
【0118】
本実施の形態では、第1コンテンツA~nは任意の時間間隔(例えば10秒)をおいて、順送りあるいは順不同でディスプレイ51に表示されるように構成される。
【0119】
この第1コンテンツA~nは、本実施の形態では、例えば要介護者4の小学校のときの運動会の画像や要介護者4の幼少期に開催された東京オリンピックの画像等であって、これにより、要介護者4の精神的な緊張が緩和される(Warm-up)。
【0120】
第1ステップS1で要介護者4の精神的な緊張が緩和された後、第2ステップS2において、介護支援者3が施設端末40を操作して、処理プログラム43Aの第2ステップ処理モジュール43Abを介して、サーバ20の支援プログラム23Aの第2ステップ実行モジュール23Abに、第2コンテンツライブラリ23Bbから任意の第2コンテンツA1~D6を抽出するように要求する要求信号を送信する。
【0121】
この要求信号に基づいて、第2ステップ実行モジュール23Abは第2コンテンツライブラリ23Bbから任意の第2コンテンツA1~D6を抽出する。第2コンテンツライブラリ23Bbから任意の第2コンテンツA1~D6のいずれかが抽出されると、抽出された例えば第2コンテンツB1が、第2ステップ処理モジュール43Abによってディスプレイ51に表示されて、要介護者4に提供される。
【0122】
本実施の形態では、第2コンテンツA1~D6は、任意の時間間隔をおいて順送りあるいは順不同でディスプレイ51に表示されるように構成される。
【0123】
このとき、第2コンテンツA1~D6は、第2コンテンツA1~D6の有する属性に基づいて階層化されたうえで分類されて、第2コンテンツライブラリ23Bbとして第1記憶領域23Bに格納されていることから、第2コンテンツA1~D6をディスプレイ51に表示する処理がスムーズに実現される。
【0124】
ディスプレイ51に表示される第2コンテンツB1は、本実施の形態では、
図13で示した大正琴で楽曲1を演奏する映像及び音楽であり、第2コンテンツB1を見た要介護者4が特異な反応を示した場合、例えば声を出したり、ディスプレイ51を注視したりといった反応をした場合は、要介護者4は第2コンテンツB1の有する属性である「音楽」に関心があると考えられる。
【0125】
ここで、本実施の形態では、第2コンテンツB1では、大正琴を演奏する人物の顔面がフレームから外れて隠蔽されていることから、第2コンテンツB1が要介護者4の手続記憶に作用すると想定される映像である場合は、要介護者4が第2コンテンツB1を起因としてエピソード記憶をたどるような事態が生じることはない。
【0126】
カメラ61及びマイク62が、要介護者4のこれらの反応を検知すると、第2ステップ処理モジュール43Abによって、検知信号がサーバ20に送信される。
【0127】
これらカメラ61及びマイク62で検知した要介護者4の特異な反応は、本実施の形態では、映像データd4、画像データd5及び音声データd6として第2記憶領域23Cに記憶される。
【0128】
一方、本実施の形態では、第2コンテンツB1を見た要介護者4が上記のような特異な反応を示した場合において、介護支援者3がコマンド入力アイコン63a(「関心あり」)を入力することもできる。
【0129】
介護支援者3が、コマンド入力アイコン63aを入力すると、第2ステップ処理モジュール43Abによって、検知信号がサーバ20に送信される。
【0130】
このように、第2ステップ処理モジュール43Abによって、検知信号がサーバ20に送信されると、要介護者4が特異な反応を示した第2コンテンツB1の有する属性である「音楽」が、第2ステップ実行モジュール23Abによって第2コンテンツ属性データd3として検出され、第2記憶領域23Cに記憶される。これにより、要介護者4の関心事が検出される(Discovery)。
【0131】
本実施の形態では、カメラ61及びマイク62の検知に基づいて検知信号が送信される場合、あるいはコマンド入力アイコン63aの入力によって検知信号が送信される場合のいずれであっても、第2ステップ実行モジュール23Abによって第2コンテンツ属性データd3が検出される。
【0132】
なお、要介護者データd7が機械学習の学習用データとして用いられる場合は、例えば人工知能プログラムによって、要介護者1が関心を示す属性を有する第2コンテンツA1~D6を最適化してディスプレイ51に表示させるように構成することもできる。
【0133】
第2コンテンツ属性データd3が検知されると、第3ステップS3において、第3ステップ実行モジュール23Acによって、第1記憶領域23Bに格納された第2コンテンツライブラリ23Bbから第2コンテンツB1と同一の属性を有する他の第2コンテンツB2~B4が抽出される。
【0134】
このとき、第2コンテンツライブラリ23Bbから抽出された第2コンテンツB1と同一の属性を有する他の第2コンテンツB2~B4が、第3ステップ処理モジュール43Acによってディスプレイ51に表示されて、要介護者4に提供される。
【0135】
ディスプレイ51に表示される第2コンテンツB2~B4のうち第2コンテンツB2は、本実施の形態では、
図14で示した大正琴で楽曲2を演奏する映像及び音楽であり、第2コンテンツB3及びB4も、大正琴で例えば楽曲3及び楽曲4を演奏する映像及び音楽である。
【0136】
ここで、本実施の形態では、第2コンテンツB2では、大正琴を演奏する人物の顔面がフレームから外れて隠蔽されていることから、第2コンテンツB2が要介護者4の手続記憶に作用すると想定される映像である場合は、要介護者4が第2コンテンツB2を起因としてエピソード記憶をたどるような事態が生じることはない。
【0137】
このように、第2コンテンツB1の有する属性である「音楽」に関心があると考えられる要介護者4に対して、第2コンテンツB1と同一の属性を有する他の第2コンテンツB2~B4が提供されることによって、要介護者4が、例えば大正琴を弾く動作をしたり、音楽に合わせて手を叩いたりといった挙動をするのであれば、要介護者4は音楽に没頭している状態にあるといえる(Meaningful Activity)。
【0138】
第2コンテンツB1を見た要介護者4が任意の時間内に上記のような特異な反応を示さない場合は、要介護者4は第2コンテンツB1の有する属性である「音楽」に関心がないと考えられ、カメラ61及びマイク62が要介護者4の特異な反応を検知することもない。
【0139】
この場合、本実施の形態では、第2ステップS2において、第2コンテンツライブラリ23Bbから任意の第2コンテンツA1~D6が抽出されて、要介護者4が上記のような特異な反応を示すまで、抽出された任意の第2コンテンツA1~D6が任意の時間間隔をおいて順送りあるいは順不同で自動的にディスプレイ51に表示されて、要介護者4に提供される。
【0140】
一方、本実施の形態では、第2コンテンツB1を見た要介護者4が特異な反応を示さない場合は、介護支援者3がコマンド入力アイコン63b(「関心なし」)あるいはコマンド入力アイコン63c(「どちらともいえない」)を入力することもできる。
【0141】
この場合、要介護者4が上記のような特異な反応を示すまで、第2ステップS2において、介護支援者3が施設端末40を操作することによって、第2コンテンツライブラリ23Bbから任意の第2コンテンツA1~D6が抽出されて、抽出された任意の第2コンテンツA1~D6がディスプレイ51に表示されて、要介護者4に提供される。
【0142】
このような介護支援フローFを実行するにあたって、要介護者4が介護施設2に入居する際には、爾後、介護支援フローFを円滑かつ速やかに実行する観点から、
図16で示す介護支援準備フローF1が実行される。
【0143】
図示のように、介護支援準備フローF1は、要介護者4の緊張を緩和させる(Warm-up)第1ステップS1、要介護者4の関心事を検出する(Discovery)第2ステップS2、及び要介護者4を沈静させる(Cool down)第4ステップS4によって構成される。
【0144】
第1ステップS1で要介護者4の精神的な緊張が緩和され、第2ステップS2で要介護者4が特異な反応を示した第2コンテンツA1~D6のいずれかの第2コンテンツ属性データd3が検出されて要介護者4の関心事が検出された後、第4ステップS4を実行する。
【0145】
第4ステップS4では、介護支援者3が施設端末40を操作して、処理プログラム43Aの第4ステップ処理モジュール43Adを介して、サーバ20の支援プログラム23Aの第4ステップ実行モジュール23Adに、第3コンテンツライブラリ23Bcから任意の第3コンテンツA~nを抽出するように要求する要求信号を送信する。
【0146】
この要求信号に基づいて、第3ステップ実行モジュール23Acは第3コンテンツライブラリ23Bcから任意の第3コンテンツA~nを抽出する。第3コンテンツライブラリ23Bcから任意の第3コンテンツA~nのいずれかが抽出されると、抽出された例えば第3コンテンツAが、第3ステップ処理モジュール43Acによってディスプレイ51に表示されて、要介護者4に提供される。
【0147】
本実施の形態では、第3コンテンツA~nは任意の時間間隔(例えば10秒)をおいて、順送りあるいは順不同でディスプレイ51に表示されるように構成される。
【0148】
この第3コンテンツA~nは、本実施の形態では、例えば犬や猫の画像等であって、これにより、第2コンテンツA1~D6に没頭する要介護者4が沈静(Cool down)されて、介護支援準備フローF1が終了する。
【0149】
この介護支援準備フローF1は、例えば要介護者4が介護施設2に入居する際のオリエンテーションの一環として、比較的短時間(例えば30分程度)で実行されるものであって、要介護者4の関心事が検出されるまで、数日間に亘って複数回が実行されてもよい。
【0150】
一方、介護支援準備フローF1において要介護者4の関心事が検出された場合には、介護支援フローFの一環として、
図17で示す定期介護支援フローF2が日常的に実行される。
【0151】
図示のように、定期介護支援フローF2は、要介護者4の緊張を緩和させる(Warm-up)第1ステップS1、要介護者4の関心を喚起する(Switch on)関心喚起ステップS2a、要介護者4を関心事に没頭させる(Meaningful Activity)第3ステップS3、及び要介護者4を沈静させる(Cool down)第4ステップS4によって構成される。
【0152】
第1ステップS1で要介護者4の精神的な緊張が緩和された後、関心喚起ステップS2aを実行する。この関心喚起ステップS2aでは、例えば、第2ステップS2で要介護者4が特異な反応を示した第2コンテンツB1をディスプレイ51に表示して要介護者4を反応させて、第2コンテンツ属性データd3として把握される属性(「音楽」)に対する要介護者4の関心を喚起する(Switch on)。
【0153】
この関心喚起ステップS2aの実行手順は、第2ステップS2を実行する手順と同様である。
【0154】
関心喚起ステップS2aにおいて要介護者4の関心を喚起した後、第3ステップS3を実行して要介護者4を音楽に関する例えば第2コンテンツB2に没頭させ、しかる後、第4ステップS4を実行して要介護者4を沈静させて定期介護支援フローF2を終了させる。
【0155】
このように、本実施の形態によれば、要介護者4の五感のうち少なくとも1の感覚を刺激するコンテンツを提供することによって、第2ステップS2において、要介護者4がいずれの感覚でどのような属性の第2コンテンツA1~D6に特異な反応を示すのかを適切に検出することができる。
【0156】
さらに、第3ステップS3において、特異な反応を示した例えば第2コンテンツB1の有する属性と同一の属性を有する例えば他の第2コンテンツB2を提供することによって、この第2コンテンツB2に要介護者4を没頭させることができる。
【0157】
特に、本実施の形態では、第2コンテンツA1~D6のうち要介護者4の手続記憶に作用すると想定される映像であってその映像に人物が含まれる場合は、人物の顔面が隠蔽されていることから、要介護者4がその映像を起因としてエピソード記憶と混同してエピソード記憶をたどるような事態が生じることはない。
【0158】
したがって、要介護者4に記憶の混同を生ぜしめることなく、関心のある属性を有する第2コンテンツB2に没頭させることで、その属性(例えば「音楽」)に関する自発的な行動が促されることから、薬物療法によらないで要介護者の行動心理症状を適切に改善することができる。
【0159】
しかも、第2ステップS2は、第1ステップS1によって要介護者4の精神的な緊張が緩和された状態で実行されることから、要介護者4が特異な反応を示す第2コンテンツA1~D6の属性を正確に検出することができる。
【0160】
さらに、第2コンテンツA1~D6は、第2コンテンツA1~D6の有する属性に基づいて階層化されて第1記憶領域23Bに格納されることから、第2コンテンツA1~D6をディスプレイ51に表示する処理がスムーズに実現される。
【0161】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0162】
上記実施の形態では、要介護者支援システム10によって第1ステップS1、第2ステップS2及び第3ステップS3が実行される場合を説明したが、例えば、これら各ステップに基づくことなく、
図11で示したような施設装置の刺激情報提供手段であるコンテンツ提供部を用いて刺激情報であるコンテンツを要介護者4に提供する、要介護者支援システムを構成することもできる。
【0163】
このとき、要介護者4に提供するコンテンツが、要介護者4の手続記憶に作用すると想定されるコンテンツである場合は、エピソード記憶に作用しないと想定される状態で要介護者4に提供されるものであってもよい。
【0164】
例えば、手続記憶に作用すると想定されるコンテンツが映像であって、その映像に人物の顔が含まれる場合は、その人物の顔面がフレームから外れて隠蔽される。
【0165】
上記実施の形態では、第2コンテンツB1~B4が要介護者4の手続記憶に作用すると想定される映像であって、映像に含まれる人物の顔面がフレームから外れて隠蔽される場合を説明したが、人物の顔面を隠蔽する手法は種々のものが採用される。
【0166】
例えば、要介護者4の手続記憶に作用すると想定される第2コンテンツが、人物の顔面を表示せざるを得ないコーラスを合唱する映像であるような場合においては、人物の顔面にモザイク処理を施すことによって隠蔽するものであってもよい。
【0167】
さらに、第2コンテンツが要介護者4の手続記憶に作用すると想定される映像である場合においては、映像は実写によるもののみならず、アニメーション(コンピュータグラフィックスによるものも含む。)によるものであってもよい。
【0168】
上記実施の形態では、反応検知部60がカメラ61、マイク62及びコマンド入力アイコン63a~63cを具備する場合を説明したが、カメラ61及びマイク62、あるいはコマンド入力アイコン63a~63cのいずれか一のみを具備するように構成してもよい。
【0169】
さらに、反応検知部60に加速度センサや心拍数検知センサ等を具備して、要介護者4の運動量を検知するように構成してもよい。
【0170】
上記実施の形態では、第1コンテンツA~n、第2コンテンツA1~D6及び第3コンテンツA~nが、要介護者4の五感のうち視覚、聴覚あるいは嗅覚を刺激するコンテンツで構成されることを説明したが、触覚や味覚を刺激するコンテンツを有するものであってもよい。
【0171】
(参考例1)
上記実施の形態では、要介護者支援システム10を用いて介護支援フローF及び定期介護支援フローF2を実行することを説明したが、第2ステップS2で検出した属性に基づいて介護支援者3が介護計画を作成し、この介護計画に基づいて第3ステップS3を日常的に実行することも可能である。
【0172】
(参考例2)
上記実施の形態では、行動心理症状に関する要介護者4が対象であることを説明したが、例えば、自閉症の要介護者に対しても、上記実施の形態の要介護者システム10と同様の構成を有する要介護者支援システムを用いて第1ステップ~第3ステップを実行することによって、自閉症を適切に改善できることが期待される。
【符号の説明】
【0173】
1 運営事業者
2 介護施設
3 介護支援者
4 要介護者
10 要介護者支援システム
20 サーバ
23A 支援プログラム
23Ab 第2ステップ実行モジュール
23B 第1記憶領域(刺激情報格納手段)
30 施設装置
40 施設端末
43A 処理プログラム
50 コンテンツ提供部(刺激情報提供手段)
60 反応検知部(反応検知手段)
61 カメラ(撮像装置)
62 マイク(収音装置)
A~n 第1コンテンツ(第1刺激情報)、第3コンテンツ(第3刺激情報)
A1~D6 第2コンテンツ(第2刺激情報)
d3 第2コンテンツ属性データ