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  • 特許-輻射式燃焼装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】輻射式燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 5/00 20060101AFI20240227BHJP
   F23D 5/04 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
F24C5/00 F
F23D5/04 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020091267
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021188762
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003229
【氏名又は名称】株式会社トヨトミ
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 香代子
(72)【発明者】
【氏名】小林 英史
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-014058(JP,A)
【文献】特開2005-282922(JP,A)
【文献】特開2017-172927(JP,A)
【文献】実開平06-073603(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00-5/20
F23D 3/00-9/00
14/00-14/18
14/26-14/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体内の下部に配置した円筒状のバーナと、前記バーナの上部に連続する円筒状の燃焼筒と、前記燃焼筒内に配置された円筒状の赤熱体と、前記枠体の上部に配置して前記燃焼筒と連続する横長の熱交換器とを備え、
前記燃焼筒の上部の燃焼ガス流出口と前記熱交換器の底面の燃焼ガス流入口とを接続する連結部材を設け、前記燃焼筒の上端と前記連結部材のフランジ部との間にリング状のパッキンを介在させた燃焼装置において、
前記赤熱体の上部には前記燃焼筒の上端と同じ高さで外周縁部が前記燃焼筒の内側に当接もしくは近接するフランジ部が形成され、
前記パッキンは焼筒壁の上端と前記赤熱体の前記フランジ部の上に載置し、
前記連結部材は前記赤熱体の前記フランジ部および前記燃焼筒上端との間で前記パッキンを挟持し、
前記連結部材の外周縁部は前記パッキンの外周縁部よりも外側に位置して、下端が前記パッキンの底面より下方に位置する筒状部が形成され、
前記連結部材の前記筒状部の外周面に係合する環状カバーを設け、
前記環状カバーは前記連結部材の前記筒状部の下端よりも下方で屈曲もしくは湾曲し、前記環状カバーの下端が内側を向いて前記燃焼筒壁の外周面と当接する環状当接部を設けたことを特徴とする輻射式燃焼装置。
【請求項2】
前記環状カバーは周方向の一部が分断された形状であることを特徴とする請求項1記載の輻射式燃焼装置。
【請求項3】
前記環状カバーの分断された両端部には中心方向に向かって係止片をそれぞれ設け、一方の前記係止片が他方の前記係止片と重なった状態で前記連結部材の前記フランジ部に係止し、
固定手段によって前記連結部材の前記フランジ部に係合することを特徴とする請求項2に記載の輻射式燃焼装置。
【請求項4】
前記環状カバーの前記環状当接部は、内方に凸となるように湾曲して下端が外側を向くように形成し、前記環状当接部の曲面が前記燃焼筒壁に当接することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の輻射式燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バーナと熱交換器との間に配置された燃焼筒を耐熱ガラスで構成して熱線を放射する輻射タイプの燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外もしくは室内の空気を取り入れてバーナに供給し、バーナで発生した高温の燃焼ガスを熱交換器によって室内空気と熱交換し、低温となった排気ガスを屋外に排出する燃焼装置があり、バーナから熱交換器に至る燃焼空間を密閉するため、燃焼筒の上端と熱交換器との接続部にパッキンを取り付けている。
【0003】
このような燃焼装置の中には、燃焼筒を耐熱ガラスで構成して燃焼筒内に赤熱体を配置して熱線を放射する輻射タイプのものがある。輻射タイプの燃焼装置はガラス燃焼筒の上端がパッキンにくい込むためパッキンの破損が起こりやすく、パッキンの破片や粉が燃焼筒の外側に落下して、燃焼筒や反射板の底板を汚してしまう課題があった。
【0004】
そこで、ガラス燃焼筒の上端がパッキンにくい込むことを防止するため、パッキンとガラス燃焼筒の間に金属板で構成したパッキン抑えを配置し、パッキンの破損を起こりにくくしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平6-73603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パッキンとガラス燃焼筒の間にパッキン抑えを配置すると、ガラスと金属板との接触となるため、密閉性が低下してガス漏れの心配や、燃焼熱による熱膨張で金属板とガラス燃焼筒との接触面で滑りが生じて接触音を発生させることがある。
【0007】
特許文献1では金属板に耐熱塗装のコーティングを施すことで、金属板とガラス燃焼筒との接触面の滑りを抑え、密閉性の確保や接触音の発生を抑えているが、コスト上昇の要因となるものであった。また、パッキン抑えでガラス燃焼筒の上部が強く押さえつけられると燃焼筒の上端部のかけやひび割れなどを発生させる心配があった。
【0008】
本発明は、パッキンの破損が起こっても、パッキンの破片や粉が落下して燃焼筒壁や反射板の底板などを汚すことがないようにして、ガラスの燃焼筒と熱交換器との接続部をパッキンによって確実に密閉することができるようにすることを目的としている。
【0009】
また、ガラス燃焼筒は製造時における寸法誤差が生じやすいため、燃焼筒の寸法誤差を吸収して確実にパッキンの落下防止構造を設けることができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は上記の課題を解決するもので、枠体1内の下部に配置した円筒状のバーナ2と、前記バーナ2の上部に連続する円筒状の燃焼筒3と、前記燃焼筒3内に配置された円筒状の赤熱体4と、前記枠体1の上部に配置して前記燃焼筒3と連続する横長の熱交換器5とを備え、前記燃焼筒3の上部の燃焼ガス流出口3aと前記熱交換器5の底面の燃焼ガス流入口5aとを接続する連結部材6を設け、前記燃焼筒3壁の上端と前記連結部材6のフランジ部との間にリング状のパッキン7を介在させた燃焼装置において、前記赤熱体4の上部には焼筒3壁の上端と同じ高さで外周縁部が前記燃焼筒3壁の内側に当接もしくは近接するフランジ部4aが形成され、前記パッキン7は前記燃焼筒3壁の上端と前記赤熱体4の前記フランジ部4aの上に載置し、前記連結部材6は前記赤熱体4の前記フランジ部4aおよび前記燃焼筒3上端との間で前記パッキン7を挟持し、前記連結部材6の外周縁部は前記パッキン7の外周縁部よりも外側に位置して、下端が前記パッキン7の底面より下方に位置する筒状部6aが形成され、前記連結部材6の前記筒状部6aの外周面に係合する環状カバー8を設け、前記環状カバー8は前記連結部材6の前記筒状部6aの下端よりも下方で屈曲もしくは湾曲し、前記環状カバー8の下端が内側を向いて前記燃焼筒3壁の外周面と当接する環状当接部8aを設けたことを特徴とする燃焼装置である。
【0011】
また、前記環状カバー8は周方向の一部が分断された形状であるから、前記環状カバー8の内径寸法を調整しながら前記燃焼筒3に取り付けることができるものとなっている。
【0012】
また、前記環状カバー8の分断された両端部8cには中心方向に向かって係止片8dをそれぞれ設け、一方の前記係止片8dが他方の前記係止片8dと重なった状態で前記連結部材6の前記フランジ部6cに係止し、固定手段によって前記連結部材6の前記フランジ部6cに係合することにより、前記環状カバー8を取り付ける際の作業性を向上することができた。
【0013】
また、前記環状カバー8の前記環状当接部8aは、内方に凸となるように湾曲して下端が外側を向くように形成し、前記環状当接部8aの曲面が前記燃焼筒3壁に当接することにより、前記環状当接部8aと前記燃焼筒3壁との接触抵抗を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明の燃焼装置は、燃焼筒3と熱交換器5の連結部材6との間に配置されるパッキン7を直接燃焼筒3の上に載せることで、燃焼筒3と熱交換器5との間をパッキン7によって確実に密閉できるようにしたものである。パッキン7を直接燃焼筒3の上に載せると燃焼筒3の上端がパッキン7に食い込むためパッキン7の破損が起こりやすくなるが、燃焼筒3の外側に落下しようとするパッキン7の破片や粉をパッキン7の下方に配置した環状カバー8で受け止めて落下を阻止するので、燃焼筒3壁面や底反射板15などをパッキン7の破片や粉で汚すことがなくなった。
【0015】
また、環状カバー8は周方向の一部が分断された形状として、分断された端部8cの間隔を広げることで容易に連結部材6に取り付けることができ、製造時の寸法誤差によってガラス製の燃焼筒3の外径寸法にばらつきがあっても、分断された両端部8cの位置が変化して環状当接部8aが適切な力で燃焼筒3の外周面に当接するので、環状当接部8aが変形して外側に広がったり、燃焼筒3との間に隙間が生じたりすることがなく、パッキン7を確実に保護することができるものである。
【0016】
また、環状カバー8の分断された両端部8cには係止片をそれぞれ設けており、環状カバー8を取り付けるときには、係止片8dが連結部材6のフランジ部6cの上に載ることで、環状カバー8を手で支えなくても脱落することがないから、作業性が良いものとなった。そして、一方の係止片8dを他方の係止片8dの上に重ねて、固定手段を係止片8dと連結部材6のフランジ部6cに係合して環状カバー8を連結部材6に固定すると、環状当接部8aが燃焼筒3の外周面に当接するので、作業が簡単で安価に製造することができるものである。
【0017】
また、環状カバー8の環状当接部8aを下端が外側を向くように内方に凸となる湾曲した形状とし、環状当接部8aの湾曲面で燃焼筒3の外周面と当接する構成であれば、燃焼筒3の外周面と環状当接部8aとの接触抵抗が少なくなり、ガラス製の燃焼筒3と環状当接部8aとの間で接触音を発生させたり、環状当接部8aの端部でガラス製の燃焼筒3の外周面を傷つけたりする心配がなくなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施例を示す燃焼装置の断面図である。
図2】この発明の実施例を示す燃焼装置の燃焼筒部分の斜視図である。
図3】この発明の実施例を示す発明品の斜視図である。
図4】この発明の他の実施例を示す要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図に示す灯油を燃料とする液体燃料燃焼器の実施例によってこの発明を説明すると、1は燃焼装置の枠体、2は枠体1内の下部に配置されたバーナ、9はバーナ2に燃焼空気を供給する燃焼ファン、10は屋外もしくは屋内の燃焼装置の枠体外に設置された燃料タンクから燃料が送られる定油面器、11は定油面器10の上に取り付けられたバーナ2に燃料を供給するための燃料ポンプ、12はバーナ2の予熱兼点火ヒータであり、予熱兼点火ヒータ12に通電してバーナ2を予熱した後、燃焼ファン9と燃料ポンプ11が駆動してバーナ2に燃焼空気と燃料が供給され、高温のバーナ2と予熱兼点火ヒータ12の熱で燃料が気化し、燃焼空気と混合して燃焼を開始する。
【0020】
3はバーナ2の上部に配置された燃焼筒、4は燃焼筒3内に設けた赤熱体であり、燃焼筒3は耐熱ガラスで構成されており、バーナ2から燃焼筒3に送られる高温の燃焼炎と燃焼ガスによって赤熱体4が加熱されて赤熱し、熱線がガラス製の燃焼筒3壁を透過して放射される。
【0021】
5は燃焼筒3の上部に連続して配置される扁平な箱形状を2段重ねた熱交換器、13は熱交換器5から燃焼ガスを屋外に排出するための排気管であり、燃焼筒3を出た燃焼ガスは熱交換器5から排気管13を流れて屋外に排気される。
【0022】
14は燃焼筒3と熱交換器5の前方に形成された枠体1の前面開口、14aは前面開口14に取り付けたガード、15は燃焼筒3の前方を開口しながら燃焼筒3の側方と後方を湾曲状に囲むように配置された反射板、15aは反射板15の下部に接続する底反射板であり、赤熱体4から放射されて燃焼筒3を透過した熱線は前面開口14から前方に放射されると共に、側方や後方に向かう熱線は反射板15によって反射して前面開口14から前方に放射されて暖房している。
【0023】
16は反射板14の後方の枠体1の背面との間に配置された室内対流ファン、17は室内対流ファン16と前面開口14とを連通する送風路であり、燃焼筒3と熱交換器5が送風路17内に位置している。室内対流ファン16によって送風路17内に送られる室内空気は反射板15の上方から前方に向かい、熱交換器5と熱交換して温度が高められ、温風となって前面開口14から室内に吹出している。
【0024】
6は燃焼筒3の流出口3aと熱交換器5の下部の流入口5aに接続して燃焼筒3と熱交換器5とを連結する連結部材であり、連結部材6は、熱交換器5の流入口5aと接続する筒状の接続部6bと、接続部6bの下端に形成された環状のフランジ部6cと、フランジ部6cの外周縁部に形成された下向きの筒状体6aとで構成されている。
【0025】
4aは赤熱体4の上部に形成した環状のフランジ部であり、フランジ部4aは燃焼筒3の上端と同じ高さで、外周縁部が燃焼筒3壁の内側に近接しており、赤熱体4のフランジ部4aが連結部材6のフランジ部6cの底面と対向するように配置されている。
【0026】
7は燃焼筒3と連結部材6との間に取り付ける環状のパッキンであり、パッキン7は燃焼筒3の上端と赤熱体4のフランジ部4aの上に設置されており、パッキン7の上に連結部材6のフランジ部6cが設置される。赤熱体4のフランジ部4aと連結部材6のフランジ部6cにはネジ孔が設けてあり、ネジ孔に固定ネジを装着して連結部材6を赤熱体4に締め付けると、連結部材6でパッキン7が押圧されて赤熱体4と燃焼筒3の上端に密着して、燃焼筒3と連結部材6との間が密閉される。パッキン7の外周縁部は燃焼筒3の外側にはみだしているが、連結部材6の筒状部6aが燃焼筒3の外側にはみ出したパッキン7の側方を囲むように配置されている。
【0027】
8は連結部材6の筒状部6aに取り付けてパッキン7の側方と下方を囲む環状カバーであり、環状カバー8は連結部材6の筒状部6aの外側面に係合する筒状の係合部8bと、連結部材6の筒状部6aの下端よりも下方で屈曲して下端が内側を向くように形成した環状当接部8aとで構成しており、環状当接部8aの先端位置の内径寸法が燃焼筒3の外径寸法よりわずかに小さくなるように設定している。
【0028】
環状カバー8の係合部8bを連結部材6の筒状部6aに取り付けると、環状当接部8aの先端が燃焼筒3の壁面に当接して屈曲部分の弾性によって外側に広がり、環状当接部8aの先端が中心方向に向かって付勢され、燃焼筒3の壁面に当接した状態が保持される。燃焼筒3は燃焼熱によって熱膨張を起こして外径寸法が変化するが、環状カバー8の屈曲部分の弾性によって環状当接部8aの先端位置が変位して燃焼筒3から離れることはなく、環状当接部8aの先端と燃焼筒3との間に隙間が生じないものとなっている。
【0029】
パッキン7は燃焼筒3の熱膨張による寸法変化の影響を受けて徐々に劣化し、燃焼筒3の外側にはみ出したパッキン7の外周縁部の劣化が進んでボロボロになると、パッキン7の破片や粉が落下する。落下したパッキン7の破片や粉は環状カバー8で受け止められ、燃焼筒3の側壁や底反射板15aの上をパッキン7の破片や粉で汚すことがなくなった。このようにすると、燃焼筒3の上端がパッキン7に食い込むことを防止するための構造は不要となり、パッキン7を直接燃焼筒3の上に設置することで、燃焼筒3と連結部材6との接続部を確実に密閉することができ、ガス漏れの心配がないものである。
【0030】
環状カバー8は直接パッキン7と接触し保持するものではないため、環状カバー8は板厚をできるだけ薄くして、柔軟性を持たせることができ、環状カバー8の係合部8bを連結部材6の筒状部6aに取り付けたときに、環状当接部8aの先端位置が容易に変位して弱い力で燃焼筒3の壁面に当接させることができる。そのため、燃焼熱による熱膨張によって寸法変化があったときに、燃焼筒3や連結部材6との間で接触音の発生を抑えることができる。
【0031】
また、環状カバー8を周方向の一部が分断されたC型に構成してもよい。この構成では環状カバー8の分断された端部8cの間隔を広げながら連結部材6の筒状部6aに取り付けることができ、環状カバー8の係合部8bが連結部材6の筒状部6aに係合すると端部8c同士がくっついて、筒状カバー8の内径寸法が連結部材6の筒状部6aの外径寸法と一致するようになっている。環状カバー8は端部8cのつなぎ目が燃焼筒3の背面側に位置するように取り付けられ、製品を正面から見たときに目立たないようになっている。
【0032】
このように構成することによって、環状カバー8はより柔軟性のある形状となり、環状当接部8aの先端が燃焼筒3の壁面に当接して屈曲部分の弾性によって外側に広がると共に、燃焼筒3の外径寸法に対応して端部8cの位置が変化して先端位置の内径寸法が調整できるので、環状当接部8aの先端が燃焼筒3の外周面の全周に最適な力で当接することができるものとなる。このため、ガラスの燃焼筒3は製造時の寸法誤差によって外径寸法にばらつきが生じやすいが、燃焼筒3の外径寸法が大きいときでも容易に環状カバー8を取り付けることができ、環状当接部8aが外側に大きく広がりすぎて変形したり、環状当接部8aの先端が燃焼筒3壁に届かずに隙間ができてしまうといったことがないものである。また、燃焼熱による熱膨張によって寸法変化があったときに、燃焼筒3や連結部材6との間で接触音の発生を抑える効果が高まるものである。
【0033】
また、8d・8eは環状カバー8の係合部8bの上端から中心方向に向かって形成した複数個の係止片であり、分断された端部8cにそれぞれ配置した係止片8dと、この2つの係止片8dの他に所定の間隔で配置した3個の係止片8eとを備えており、端部8cに配置した2個の係止片8dにはネジ孔を設けてある。
【0034】
環状カバー8の係合部8bを連結部材6の筒状部6aの外周面に係合するように取り付けると、係止片8d・8eが連結部材6のフランジ部6aの上に載るので、環状カバー8から手を離しても連結部材6から脱落して落下することがない。
【0035】
環状カバー8は一方の係止片8dを他方の係止片8dの上に重ねるようにして、係止片8dのネジ孔の位置を合わせると、環状カバー8の端部8cがくっつくようになっている。そして上下に重ねた2つの係止片8dのネジ孔を、連結部材6のフランジ部6cのネジ孔の位置に合わせ、固定ネジを装着すると環状カバー8が連結部材6に固定され、環状当接部8aの先端が燃焼筒3壁の外周面に当接する。
【0036】
このようにすると、固定ネジを装着する前でも環状カバー8を手で支える必要はなく、両手が自由に使えるので作業性が良いものとなる。また、2個の係止片8dを重ねて係止片8dのネジ孔を連結部材6のネジ孔の位置に合わせるだけで、環状当接部8aの先端を燃焼筒3壁の外周面に当接させることができるので、特別な調整作業は必要なく容易に取り付け作業をすることができる。
【0037】
また、図4に示すこの発明の他の実施例では、環状カバー8の形状を、屈曲部分から先の環状当接部8aを内方に凸となるように湾曲して、環状当接部8aの先端が外側を向くように構成したものである。環状カバー8は屈曲部分と当接部8aの先端との間の湾曲面の外径寸法が燃焼筒3の外径寸法よりわずかに小さくなるように設定し、環状当接部8aの先端ではなく湾曲面が燃焼筒3壁に当接するようにしている。
【0038】
このようにすると、環状当接部8aの先端が燃焼筒3壁に当接するときに比べて、環状当接部3aと燃焼筒3壁との接触部分の抵抗を少なくすることができ、燃焼熱による熱膨張によって燃焼筒3の外径寸法に変化があったときに、環状当接部8aと燃焼筒3壁との間で接触音を発生させる可能性が低くなる。
【符号の説明】
【0039】
1 枠体
2 バーナ
3 燃焼筒
3a 燃焼ガス流出口
4 赤熱体
4a フランジ部
5 熱交換器
5a 燃焼ガス流入口
6 連結部材
6a 筒状部
7 パッキン
8 環状カバー
8a 環状当接部
8c 両端部
8d 係止片
図1
図2
図3
図4