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  • 特許-包装機用のクランプ機構 図1
  • 特許-包装機用のクランプ機構 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】包装機用のクランプ機構
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/28 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
B65B43/28 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020103100
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021195158
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(72)【発明者】
【氏名】山根 義憲
(72)【発明者】
【氏名】砂田 徹
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-001707(JP,A)
【文献】特開2012-218783(JP,A)
【文献】特開2012-180106(JP,A)
【文献】特開2017-039518(JP,A)
【文献】特開昭59-074024(JP,A)
【文献】特開平08-133227(JP,A)
【文献】特開2007-118960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋を把持するためのクランプアームの先端にクランプを備え、前記クランプは、クランプアーム本体の先端内側に設けられた固定部と、外側に軸支されて前記固定部に対して開閉する可動部とからなり、前記可動部が固定部に対して開閉して前記固定部と可動部によって包装袋を把持又は開放する包装機用のクランプ機構であって、
前記固定部は、クランプアーム本体の先端内側に、固定座が内方に突出して設けられ、前記可動部は、クランプアーム本体の先端外側に取付座が設けられ、この取付座に回動ロッドが軸支し、
前記固定座の内側と回動ロッドの先端内側に対向して設けられた各々取付部に、包装袋を把持すると共に、搬送される包装袋が間欠停止した際に包装袋内の一側縁を伝って液体が跳ね上がるのを阻止する液止め部材が対向して取り付けられ、
前記液止め部材は、包装袋の幅方向中央に向かって取り付けられた薄板状又は直方体状の部材から構成され、前記液止め部材の一端部が前記取付部に固定され、他端は自由端である、
ことを特徴とする包装機用のクランプ機構。
【請求項2】
液止め部材の内面に包装袋の滑りを止める弾性材が取り付けられている請求項1に記載の包装機用のクランプ機構。
【請求項3】
前記液止め部材は、包装袋の幅方向中央に向かって水平に取り付けられるか、又は自由端が上、下いずれかの方向に傾斜して取り付けられている請求項1に記載の包装機用のクランプ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、包装袋に液体を充填して包装するロータリー包装機用のクランプ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタンドパックなどの包装袋に自動的に被包装物を充填して袋口をシールする包装機としてロータリー包装機が知られている。図1は、前記ロータリー包装機1の一例の平面図であって、円盤状のロータ3の外周部に、一対のクランプアーム4が複数組放射状に突き出て設けられ、前記一対のクランプアーム4間に包装袋5を吊り下げて、ロータ3が間欠回転する。
【0003】
一般的に、前記のようなロータリー包装機1で液体を包装袋5に充填して包装する場合、液体が流れ落ちる際に袋口内面のシール面に付着し、袋口のシールに悪影響を及ぼすおそれがあった。このため、特許文献1では、液体充填ノズルの下部に、気体噴射ノズルを設け、液体充填ノズルと気体噴射ノズルとを下降させて吐出口気体噴射口とを包装袋内へ入れた際に、液体の充填開始と同時或いはそれに先立って加圧気体を包装袋のシール面へ吹付け、包装袋内面に付着した液体を取り除いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-118157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ロータリー包装機1は、ロータ3が間欠回転して、停止すると、図5に示すように、液体が包装袋5内で大きく波打つ現象が生じ、液体が包装袋5の一側縁を上昇し、袋口から飛び出して袋表面を汚すおそれがあった。
【0006】
また、液体の流動性とロータ3の間欠運動周期、回転速度、加速度などの条件により液体が共振して大きく波打ち、予期せぬほど液体が飛び出し被包装物の量不足が発生するおそれもあった。
【0007】
本発明は前記課題を解決するために、ロータリー包装機において、液体を包装袋内に充填する場合及び間欠回転する場合に、充填する液体が包装袋のシール面付着することを防止し、間欠回転停止時に、包装袋内の液体が波立っても、包装袋外に飛び出すことのない包装機用のクランプ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の包装機用のクランプ機構は、包装袋を把持するためのクランプアームの先端にクランプを備え、前記クランプは、クランプアーム本体の先端内側に設けられた固定部と、外側に軸支されて前記固定部に対して開閉する可動部とからなり、前記可動部が固定部に対して開閉して前記固定部と可動部によって包装袋を把持又は開放する包装機用のクランプ機構であって、前記固定部は、クランプアーム本体の先端内側に、固定座が内方に突出して設けられ、前記可動部は、クランプアーム本体の先端外側に取付座が設けられ、この取付座に回動ロッドが軸支し、前記固定座の内側と回動ロッドの先端内側に対向して設けられた各々取付部に、包装袋を把持すると共に、搬送される包装袋が間欠停止した際に包装袋内の一側縁を伝って液体が跳ね上がるのを阻止する液止め部材が対向して取り付けられ、前記液止め部材は、包装袋の幅方向中央に向かって取り付けられた薄板状又は直方体状の部材から構成され、前記液止め部材の一端部が前記取付部に固定され、他端は自由端であることを特徴とする。
【0009】
前記液止め部材は、包装袋の両側上部を挟持して液体の跳ね上がる通り道を塞ぐことにより、液体が包装袋内の一側縁を伝って、跳ね上がるのを阻止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装機用のクランプ機構は、前記構成により、包装袋内の液体がシール面に付着するのを防ぐことができるとともに、包装袋外へ跳ねるのを有効に阻止できる。
【0011】
しかも、従来のクランプ機構のクランプに、液止め部材を取り付けるだけで実現できるので、容易にしかも極めて安価に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ロータリー包装機の平面図
図2】本発明の包装機用クランプ機構の底面図
図3】クランプアームの先端部の拡大図
図4】本発明の包装機用クランプ機構の使用状態図
図5】従来の包装機用クランプ機構の使用状態図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(ロータリー包装機)
まず、本発明の包装機用のクランプ機構を装備したロータリー包装機1について簡単に説明する。ただし、本発明はロータリー包装機1に限定されるものではなく、直線式の包装機であってもよい。図1は、後述する本発明の包装機用のクランプ機構2を備えたロータリー包装機1の平面図である。この図1において、3は、駆動装置によって間欠回転するロータであって、4は、包装袋5の両側上部を把持して吊り下げる一対のクランプアームであり、ロータ3の外周にクランプアーム4が8組、軸支されている。前記駆動装置の動力を、間欠回転伝達機構(図示省略)を介してロータ3の中心軸に伝えると、ロータ3は時計まわりに間欠回転する。このロータリー包装機1は、次に記載するように、ロータ3の円周方向に包装作業を行うセクションが割り振られており、この実施例では8セクションを有しているが、10セクションでもよく8セクションに限定されない。
【0014】
ロータ3の外周に記載する数字は各セクションを表し、(1)は、袋供給セクションで、袋供給機構(袋箱)6から包装袋5をクランプアーム4の先端のクランプに受け渡す。(2)は 、袋口開・印字セクションであって、包装袋5に日付や賞味期限等を印字し、袋口を開口すると共に、開口した袋口に開口機構7のフィンガー部を挿入して袋口を拡開する。(3)は 、充填セクションで、本発明の場合、液体充填ノズル8から液体を包装袋5内に注入する 。(4)(5)は、例えば粉体のような被包装物の場合は充填された包装袋5の形状を整えるセクションであるが、本発明のように液体の場合は特に必要が無いので通過する。(6)は、シールセクションで、袋口をシーラ9でシールする。(7)は、冷却セクションで、シールセクション(6)でシールした箇所を冷却装置10で冷却する。(8)は、搬出セクションで、シールが完了した包装袋5をコンベア等の搬出機構11により搬出する。
【0015】
次に、本発明の包装機用のクランプ機構2を構成するクランプアーム4について説明する。図2はロータリー包装機1のロータ3の底面に取り付けられた包装機用のクランプ機構2を示している。前記包装機用のクランプ機構2は、一対のクランプアーム4から構成され、この一対のクランプアーム4の先端にクランプ14を備えている。前記クランプ14により、包装袋5の両側上部を挟持して、一対のクランプアーム4に包装袋5を吊り下げる。一対のクランプアーム4に吊り下げられた包装袋5が、前記のようにロータリー包装機1の各セクションで包装作業が行われる。
【0016】
前記クランプアーム4は、クランプアーム本体15と、包装袋5を挟持する前記クランプ14から構成されている。クランプアーム本体15は、円筒形状をしており、基端部にはロータリー包装機1のロータ3に軸支するための軸受部16を備えている。前記クランプアーム本体15は内部が空洞で、クランプアーム本体15内の前記空洞に棒状の可動ロッド17が長手方向に往復動可能に挿入されている。前記可動ロッド17には、圧縮バネ18が外嵌しており、可動ロッド17を常時、クランプアーム本体15の基端側に付勢している。可動ロッド17の基端側近くには、ローラピン19が取付けられている。ローラピン19は、クランプアーム本体15の底面の楕円形の開口部20から下方に突き出ている。ロータリー包装機1の押圧機構(図示省略)により、圧縮バネ18の付勢力に抗しながら、前記ローラピン19を押圧する。この押圧により、可動ロッド17がクランプアーム本体15の先端方向に押され、クランプ14が開く。前記クランプアーム本体15の基端部には、ローラピン19を支持、案内するY形のガイド部材21が取り付けられている。
【0017】
図3は包装袋5を挟持するクランプ14の拡大図である。このクランプ14は、クランプアーム本体15の先端部の内側に設けられた固定部25と、外側に設けられた可動部26とから構成されている。前記固定部25は、クランプアーム本体15の先端内側に、一方の固定座25Aが内方に突出して一体に設けられ、前記固定座25Aの内側(可動部26と対向する側)に一方の取付部25Bが設けられている。前記の取付部25Bには、後述する固定部25側の液止め部材25Cがボルト及びナットからなる固定具25Dにより固定されている。
【0018】
前記可動部26は、クランプアーム本体15の外側に取付座26Aが設けられ、この取付座26Aに回動ロッド26Fが軸支している。図3に示すように、回動ロッド26Fの一端部は、取付座26Aの先端に軸26Gを介して回動可能に軸支されている。前記可動部26の先端内側には他方の取付部26Bが設けられ、この取付部26Bに、後述する可動部26側の液止め部材26Cがボルト及びナットからなる固定具26Dにより固定されている。
【0019】
前記の固定部25側の一方の液止め部材25Cと、可動部26側の他方の液止め部材26Cは、取付部25Bと取付部26Bに、対向して取り付けられている。一方の液止め部材25Cと、他方の液止め部材26Cは、包装袋5を把持すると共に、液体を充填する際の液体の跳ね上がりを阻止し、搬送される包装袋5が間欠停止した際に包装袋5内の一側縁を伝って、液体が跳ね上がるのを阻止する。前記一対の液止め部材25C,26Cは、薄板状又は直方体状の部材から構成されている。前記液止め部材25C,26Cの一端部は、前記取付部25B,26Bに固定され、他端は自由端である。前記液止め部材25C,26Cは、図4に示すように、包装袋5の幅方向中央に向かって、対向して水平に取り付けられる。ただし、液止め部材25C,26Cの自由端が上、下いずれかの方向に少し傾斜して取り付けられていてもよい。なお、液止め部材25C,26Cの長さは、包装袋5内の一側縁を伝って跳ね上がる液体を阻止する寸法とする。前記各液止め部材25C,26Cの内面に、包装袋5に密着して滑りを止める合成ゴムのような弾性材25E、26Eが取り付けられている。
【0020】
前記可動部26の中央部の内側と、前記可動ロッド17の先端とをリンク22により連結している。前記可動ロッド17の出退により、リンク22を介して可動部26が軸26Gを中心にして回動する。可動ロッド17が前端側に出た時にはクランプ14は開き、圧縮バネ18により可動ロッド17が基端側に退いた時には、クランプ14が閉じ、前記一方の液止め部材25Cと他方の液止め部材26Cにより包装袋5の表裏面を把持する。
【0021】
次に、前記構成の包装機用のクランプ機構2の使用状態について説明する。ロータリー式包装機1の充填セクション(3)で、液体充填ノズル8で液体を充填する際に、液体が跳ね上がるが液止め部材25C,26Cでシール面まで届かないように阻止する。液体を充填した後、ロータ3が間欠回転して、セクション4、5で間欠停止すると、液体が図5に示すように、包装袋5内の一側縁を伝って、跳ね上がる。このように、液体が跳ね上がってシール面に付着しても、シールセクション6でシールする場合にシールミスが発生するばかりではなく、包装袋5の表面が液体で汚れるので包装袋5の表面を拭く作業が必要となる。
【0022】
以上のように、本発明では、前記液止め部材25C,26Cで包装袋5の両側上部を挟持して塞ぐことにより、図4に示すように、液止め部材25C,26Cが包装袋5内の一側縁を伝って、液体が跳ね上がるのを阻止する。即ち、液止め部材25C,26Cで包装袋5の両側上部を挟持して塞ぐことにより、液体が慣性により跳ね上がっても液体の通路を塞ぐことになり、跳ね上がった液体を包装袋5内へと返すことができ、液体が外部に飛び出るのが防止できる。なお、被包装物である液体は、粘度の低いいわゆるさらさらした液体の他、ある程度粘度が高く、例えば台所洗剤やシャンプー原液などのように比較的粘度の高い流動性液体であっても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明はロータリー包装機のようなロータが間欠回転する過程で包装袋に液体を順次充填していく包装機の分野において有用である。
【符号の説明】
【0024】
1 ロータリー包装機
2 包装機用のクランプ機構
3 ロータ
4 クランプアーム
5 包装袋
6 袋供給機構(袋箱)
7 開口機構
8 液体充填ノズル
9 シーラ
10 冷却装置
11 搬出機構
14 クランプ
15 クランプアーム本体
16 軸受部
17 可動ロッド
18 圧縮バネ
19 ローラピン
20 開口部
21 ガイド部材
22 リンク
25 固定部
25A 固定座
25B 取付部
25C 液止め部材
25D 固定具
25E 弾性材
26 可動部
26A 取付座
26B 取付部
26C 液止め部材
26D 固定具
26E 弾性材
26F 回動ロッド
26G 軸
図1
図2
図3
図4
図5