(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】ワーク搬入出装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/04 20060101AFI20240227BHJP
B25J 18/04 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B23Q7/04 A
B23Q7/04 C
B23Q7/04 R
B25J18/04
(21)【出願番号】P 2020561234
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2019045216
(87)【国際公開番号】W WO2020129520
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2018240386
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591059445
【氏名又は名称】ホーコス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115831
【氏名又は名称】藤岡 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】池田 邦弘
【審査官】荻野 豪治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-030190(JP,A)
【文献】国際公開第2012/008321(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102975199(CN,A)
【文献】特開2013-193197(JP,A)
【文献】特開2008-260120(JP,A)
【文献】独国実用新案第202007010097(DE,U1)
【文献】特開2016-198865(JP,A)
【文献】独国特許発明第102007033908(DE,B3)
【文献】特開2003-305620(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105479451(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/04
B25J 9/06
B25J 18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインを構成する工作機械間や、工作機械と非加工ステーション間、非加工ステーション間で、一方側テーブル上のワークを搬出し、前記ワークを、他方側テーブル上に搬入させるワーク搬入出装置であって、
前記ワーク搬入出装置は、
基台と、
前記基台上に設けられる旋回中心部と、
前記旋回中心部の軸中心に、前記工作機械や前記非加工ステーションの上方かつ前方を水平旋回する旋回アームと、
前記旋回アームの先端部に垂下支持されるワークハンドと、
前記ワークの搬送軌道を決める軌道旋回機構と、
前記ワークハンドの姿勢を制御する回転制御機構と、を有し、
前記軌道旋回機構は、旋回駆動部と、軌道旋回伝達部と、軌道案内部とを有し、
前記回転制御機構は、回転規制伝達部と、回転制御部と、回転規制受け部とを有し、
前記旋回中心部と、前記旋回駆動部と、前記軌道旋回伝達部と、前記回転規制伝達部と、前記回転規制受け部とは、前記旋回アーム上に設けられ、
前記軌道案内部と前記回転制御部とは、少なくともいずれか一つが前記基台に設けられ、
前記回転規制受け部は、前記ワークハンドを回転可能に支持するワークハンド支持シャフトに設けられ、
前記回転規制伝達部と、前記回転規制受け部とは、連結部によって連結されて
おり、
前記回転制御部は、回転制御用プレートに設けられた回転制御用孔または回転制御用溝であることを特徴とするワーク搬入出装置。
【請求項2】
ラインを構成する工作機械間や、工作機械と非加工ステーション間、非加工ステーション間で、一方側テーブル上のワークを搬出し、前記ワークを、他方側テーブル上に搬入させるワーク搬入出装置であって、
前記ワーク搬入出装置は、
基台と、
前記基台上に設けられる旋回中心部と、
前記旋回中心部の軸中心に、前記工作機械や前記非加工ステーションの上方かつ前方を水平旋回する旋回アームと、
前記旋回アームの先端部に垂下支持されるワークハンドと、
前記ワークの搬送軌道を決める軌道旋回機構と、
前記ワークハンドの姿勢を制御する回転制御機構と、を有し、
前記軌道旋回機構は、旋回駆動部と、軌道旋回伝達部と、軌道案内部とを有し、
前記回転制御機構は、回転規制伝達部と、回転制御部と、回転規制受け部とを有し、
前記旋回中心部と、前記旋回駆動部と、前記軌道旋回伝達部と、前記回転規制伝達部と、前記回転規制受け部とは、前記旋回アーム上に設けられ、
前記軌道案内部と前記回転制御部とは、少なくともいずれか一つが前記基台に設けられ、
前記回転規制受け部は、前記ワークハンドを回転可能に支持するワークハンド支持シャフトに設けられ、
前記回転規制伝達部と、前記回転規制受け部とは、連結部によって連結されてり、
前記軌道案内部は、軌道案内用プレートと、前記軌道案内用プレートに設けられた軌道案内用孔であり、前記軌道旋回伝達部は、前記軌道案内用孔に係合するベアリングであることを特徴とするワーク搬入出装置。
【請求項3】
前記旋回アームは、前記旋回中心部に支持されるベースアーム部と、前記ベースアーム部に固定された直動案内機構と、前記直動案内機構によって、前記ベースアーム部上をスライドするスライディングアーム部とを有し、
前記軌道旋回伝達部と、前記回転規制伝達部は、前記スライディングアーム部上に設けられていることを特徴とする請求項1
または2に記載のワーク搬入出装置。
【請求項4】
前記回転規制伝達部は、前記回転規制伝達部の中心軸に設けられるスプロケットまたは歯車と、前記中心軸より偏心した位置に設けられるカムフォロアとを有し、
前記カムフォロアは、前記回転制御用孔または前記回転制御用溝に係合し、
前記回転規制受け部は、前記ワークハンド支持シャフトに設けられたスプロケットまたは歯車であり、
前記連結部は、前記スプロケットまたは歯車を連結するチェーンまたはベルトであることを特徴とする請求項
1に記載のワーク搬入出装置。
【請求項5】
前記旋回駆動部は、前記旋回中心部に設けられたモータであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のワーク搬入出装置。
【請求項6】
前記旋回アームには、旋回駆動補助部として流体圧シリンダが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のワーク搬入出装置。
【請求項7】
前記旋回駆動部は、前記軌道旋回伝達部の中心部に設けられたモータであることを特徴とする請求項1
乃至4のいずれか一つに記載のワーク搬入出装置。
【請求項8】
前記軌道旋回伝達部の中心軸と、前記回転規制伝達部の中心軸は同軸上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載のワーク搬入出装置。
【請求項9】
前記軌道旋回伝達部の中心軸と、前記回転規制伝達部の中心軸は別軸上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載のワーク搬入出装置。
【請求項10】
前記軌道旋回伝達部は、さらにスプロケットまたは歯車を有し、前記軌道案内用孔に沿って設けられたチェーンまたはベルトに前記スプロケットまたは歯車が係合することを特徴とする請求項
2に記載のワーク搬入出装置。
【請求項11】
前記軌道旋回伝達部は、ローラであり、前記軌道案内部は、軌道案内用レールであり、前記ローラが前記軌道案内用レールを挟んで進むことを特徴とする請求項1
及び3乃至9のいずれか一つに記載のワーク搬入出装置。
【請求項12】
前記軌道案内用孔と、回転制御用プレートに設けられた回転制御用孔または回転制御用溝とは、一枚のプレート上に設けられていることを特徴とする請求項
2または
10に記載のワーク搬入出装置。
【請求項13】
前記基台は、床上に立設される柱であることを特徴とする請求項1乃至
12のいずれか一つに記載のワーク搬入出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械またはワーク姿勢変換等の非加工ステーションのテーブルに載置されたワークを搬出し、この搬出したワークを、別の工作機械または非加工ステーションのテーブルに載置するワーク搬入出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動的にワークを搬送する手法して、工作機械の上部に軌道を設けてワークを搬送させるガントリのような上部トランスファーマシンが良く知られている。しかしながら、この上部トランスファーマシンは製造費に高いコストがかかること、また、機械全体の高さが高くなり、工場全体の見通しが悪くなり、安全性を重視する工場では、採用されないケースも多い。また、上部トランスファーマシンを採用したラインでは、工作機械の台数を増やすなど、後から機械を追加することに柔軟に対応できないという欠点がある。
【0003】
そこで、上部トランスファーマシンの使用を意図的に行わない加工ステーション(工作機械)が開発されている(特許文献1)。特許文献1では、テーブルが鉛直なY軸に沿って上下移動可能な工作機械を開示している。この工作機械は、ワークを加工する加工ユニットと、この加工ユニットの前方には、スタンドが設けられる。この加工ユニットは、主軸が水平方向のX軸とZ軸に案内されるようになっている。また、加工ユニット前方にスタンドが設けられ、このスタンドは、ワークを垂直方向(Y軸)に移動させる工作物キャリッジを支持しており、スタンドに支持された工作物キャリッジの下方部分をトランスファラインの一部としている。
【0004】
X軸(左右)方向に隣接させて配置された多数の工作機械は、ローラコンベアで構成された搬送軌道によって接続されている。そして、搬送軌道の一部を成すこのスタンド内には、スライドレールが設けられ、上流側から搬送されてきたワークが、このスライドレール上に案内され、工作物キャリッジに引き渡されるのである。加工を終えたワークは、再びスライドレールから、下流側のローラコンベアへと搬送される。このようにワークの搬入出が行われる。
【0005】
なお、特許文献1では、ワークは工作物支持体(いわゆるパレットのようなもの)に保持された状態で、搬送軌道上を搬送され、工作物キャリッジに引き渡され、そして加工される。このように、ワークとワークを把持する工作物支持体の双方が、工作物キャリッジに引き渡されることから、ワークだけの搬入出よりも、スタンド内の引渡箇所には、大きなスペースが必要となる。また、工作物キャリッジもより大型のものが必要となるため、機械全体が大型化し、機械の設置スペースが大きくなってしまう。
【0006】
そこで、特許文献2では、特許文献1の優れた機械構成を維持しつつ、上述した問題を解決する工作機械およびワーク着脱装置が開示されている。特許文献1と同じく、上部トランスファーマシンを使わず、さらに、テーブルが鉛直なY軸に沿って上下移動可能な工作機械を採用しているが、特許文献1と異なり、ワークが搬入出されるテーブルは、搬送軌道の一部となるスタンドではなく、ベッド上に、左右(X軸)方向に間隔をあけて立設された左右一対のコラムの前面に支持される。そのため、機械自体の設置面積は比較的小さくできる。
【0007】
また、テーブルにワークを搬入出させるワーク着脱装置は、テーブルの左右にワーク載置台と、テーブルの前方にX軸方向に平行な搬送軌道と、この搬送軌道上に配置される一対の把持アームとから構成されている。この一対の把持アームは、上流側のワーク載置台上のワークをテーブルに搬入する把持アームと、テーブル上のワークを下流側のワーク載置台上に搬出する把持アームとからなる。
【0008】
特許文献1と異なり、特許文献2に開示された工作機械とワーク着脱装置は、工作物支持体を省略し、ワークを直接テーブルに搬入出させるため、工作物支持体のためにテーブルやそれを支持するコラムの大型化を防ぎ、よって機械全体の大型化を免れる。また、ワークの重量と大きさのみであるため、テーブルにかかる慣性モーメントは、特許文献1に比して格段に小さくなり、そうした面でも機械全体の大型化を防ぐことができる。そのため、さらに、テーブルのY軸(上下)移動の速度も高めることができ、加工のサイクルタイムを短縮できるなど、優れた利点をさまざまに有している。
【0009】
しかしながら、特許文献2の工作機械は、機械自体の設置面積を省スペース化することはできるのであるが、ワークの搬入出のためのワーク着脱装置には、工作機械の前方に搬送軌道を設ける必要があり、別途その設置スペースが必要となる。さらに、すくなくとも一台の工作機械に対し、テーブルの左右(工作機械の上流側と下流側)にそれぞれワーク載置台を1台ずつ設置しなければならない。機械の左右方向に隣接させて多数の工作機械を設置して構成されるラインでは、機械と機械の間にワーク載置台のスペースが必ず必要となり、省スペース化が難しくなる。また、ワークの搬入出のために、ワークを一旦ワーク載置台に置かなければならず、多数の工作機械が並ぶラインにおいては、ワーク搬入出に要する時間を短縮することができない。
【0010】
また、工作機械1台に対し、ワーク搬入用の把持アームと、ワーク搬出用の把持アームとからなる一対の把持アームが必要とされる。1台の把持アームにはそれぞれ、ワーク着脱や搬送軌道上を移動するため、複数のモータ等の駆動部が必要とされている。さらに、ワーク載置台もワーク受け部が昇降可能に構成される場合にはこれも駆動部が必要とされるなど、ワーク着脱装置を構成する装置一つ一つにはそれなりの製造コストがかかる。特許文献2に係るワーク着脱装置は、工作機械を多数並べるラインに採用されるものであり、その製造費は高コスト化が避けられない。
【0011】
さらに、特許文献2に係るワーク着脱装置は、テーブルがY軸移動する構成の工作機械への使用に特化されており、それ以外の構成を有する工作機械に応用することができない。また、ラインには、工作機械だけでなく、ワーク姿勢を変換させるためのステーションや、ワークを洗浄するステーション、別ラインとワークを受け渡しするステーション、検査用のステーション、測定用のステーションが設置されており、工作機械間のほか、工作機械とこれら非加工ステーションとの間、非加工ステーションと非加工ステーションの間でワークを搬入出させることが多々行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】欧州特許第1380382号公報
【文献】特許第5885871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題点を解決するものであって、工作機械の設置スペースのほかに、ワーク搬入出装置のためのスペースを別途設ける必要がなく、隣接する機械と機械の間でワークを直接搬入出させることで、ワーク搬入出に要する時間を短縮させ、さらに、シンプルな構成で、かつ製造コストを抑えることができるワーク搬入出装置を提供することを課題としている。また、本発明の別の解決すべき課題は、テーブルがY軸移動する構成の工作機械のみならず、それ以外の構成を有する工作機械や非加工ステーションにも使用でき、かつライン構成の自由度を妨げることのないワーク搬入出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明は、ラインを構成する工作機械間や、工作機械と非加工ステーション間、非加工ステーション間で、一方側テーブル上のワークを搬出し、前記ワークを、他方側テーブル上に搬入させるワーク搬入出装置であって、前記ワーク搬入出装置は、基台と、前記基台上に設けられる旋回中心部と、前記旋回中心部の軸中心に、前記工作機械や前記非加工ステーションの上方かつ前方を水平旋回する旋回アームと、前記旋回アームの先端部に垂下支持されるワークハンドと、前記ワークの搬送軌道を決める軌道旋回機構と、前記ワークハンドの姿勢を制御する回転制御機構と、を有し、
前記軌道旋回機構は、旋回駆動部と、軌道旋回伝達部と、軌道案内部とを有し、
前記回転制御機構は、回転規制伝達部と、回転制御部と、回転規制受け部とを有し、
前記旋回中心部と、前記旋回駆動部と、前記軌道旋回伝達部と、前記回転規制伝達部と、前記回転規制受け部とは、前記旋回アーム上に設けられ、 前記軌道案内部と、前記回転制御部とは、少なくともいずれか一つが前記基台に設けられ、
前記回転規制受け部は、前記ワークハンドを回転可能に支持するワークハンド支持シャフトに設けられ、
前記回転規制伝達部と、前記回転規制受け部とは、連結部によって連結されている。
【0015】
そして、前記旋回アームは、前記旋回中心部に支持されるベースアーム部と、前記ベースアーム部に固定された直動案内機構と、前記直動案内機構によって、前記ベースアーム部上をスライドするスライディングアーム部とを有し、
前記軌道旋回伝達部と、前記回転規制伝達部は、前記スライディングアーム部上に設けられている。
【0016】
さらに、前記回転制御部は、回転制御用プレートに設けられた回転制御用孔または回転制御用溝である。
【0017】
また、前記回転規制伝達部は、前記回転規制伝達部の中心軸に設けられるスプロケットまたは歯車と、前記中心軸より偏心した位置に設けられるカムフォロアとを有し、
前記カムフォロアは、前記回転制御用孔または前記回転制御用溝に係合し、
前記回転規制受け部は、前記ワークハンド支持シャフトに設けられたスプロケットまたは歯車であり、
前記連結部は、前記スプロケットまたは歯車を連結するチェーンまたはタイミングベルトである。
【0018】
さらに、第一、第二、第四、第五実施形態に係るワーク搬入出装置の旋回駆動部は、旋回中心部に設けられたモータである。また、旋回アームには、旋回駆動補助部として流体圧シリンダを設けることもできる。
【0019】
また、第三、第六実施形態に係るワーク搬入出装置のように、前記モータを前記軌道旋回伝達部の中心軸とすることもできる。
【0020】
さらに、第一、第二、第三実施形態に係るワーク搬入出装置のように、前記軌道旋回伝達部の中心軸と、前記回転規制伝達部の中心軸を、同軸上に設けることもできる。
【0021】
あるいは、第四、第五、第六実施形態に係るワーク搬入出装置のように、前記軌道旋回伝達部の中心軸と、前記回転規制伝達部の中心軸は別軸上に設けてもよい。
【0022】
そして、第一、第三、第四、第六実施形態に係るワーク搬入出装置のように、前記軌道案内部に、軌道用プレートと、前記軌道用プレートに設けられた軌道案内孔を採用し、前記軌道旋回伝達部として、前記軌道案内孔に係合するベアリングを採用することもできる。
【0023】
あるいは、第三、第六実施形態に係るワーク搬入出装置のように、前記軌道旋回伝達部に、スプロケットまたは歯車を有し、前記軌道案内孔には、チェーンまたはベルトを前記軌道案内孔に設け、前記スプロケットまたは歯車が前記チェーンまたはベルトに係合するようにしてもよい。
【0024】
また、第二、第五実施形態に係るワーク搬入出装置のように、前記軌道旋回伝達部は、ローラであり、前記軌道案内部は、軌道用レールであり、前記ローラが前記軌道用レールを挟んで進むようにしてもよい。
【0025】
さらに、第四、第六実施形態に係るワーク搬入出装置のように、前記軌道用案内孔と、回転制御用プレートに設けられた回転制御用孔または回転制御用溝とは、一枚のプレート上に設けることもできる。
【0026】
なお、前述したワーク搬入出装置の基台は、床上に立設される柱であり、ワーク搬入出装置のために特別なスペースを要することがない。
【0027】
また、ワークハンド支持シャフトの長さは、工作機械や非加工ステーションの構成にあわせて決めることできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るワーク搬入出装置によれば、ワーク搬入出装置のために駆動部は非常に少なく、シンプルな構造であり、製造コストを抑えることができる。
【0029】
また、ラインを構成する工作機械の構成や非加工ステーションの種類に変化があっても柔軟に工作機械間、工作機械とステーションの間等でワークを搬入出することができ、ライン構成の変化に柔軟に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】2台の工作機械の間に本発明に係るワーク搬入出装置が設置されていることを示す外観図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るワーク搬入出装置の正面視断面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るワーク搬入出装置の平面視概略図である。
【
図5】本発明の第二実施形態に係るワーク搬入出装置の正面視断面図である。
【
図6】本発明の第二実施形態に係るワーク搬入出装置の平面図である。
【
図7】本発明の第三実施形態に係るワーク搬入出装置の正面視断面図である。
【
図8】本発明の第三実施形態に係るワーク搬入出装置の平面図である。
【
図9】本発明の第四実施形態に係るワーク搬入出装置の正面視断面図である。
【
図10】本発明の第四実施形態に係るワーク搬入出装置の平面図である。
【
図11】本発明の第五実施形態に係るワーク搬入出装置の正面視断面図である。
【
図12】本発明の第五実施形態に係るワーク搬入出装置の平面図である。
【
図13】本発明の第六実施形態に係るワーク搬入出装置の正面視断面図である。
【
図14】本発明の第六実施形態に係るワーク搬入出装置の平面図である。
【
図15】本発明のワーク支持シャフトが長尺で、非加工ステーションと
図1と異なる構成を有する工作機械との間でのワーク搬入出(ワーク搬出)を示す概略図である。
【
図16】本発明のワーク支持シャフトが長尺で、非加工ステーションと
図1と異なる構成を有する工作機械との間でのワーク搬入出(ワーク搬入)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、
図1から
図4を参照しながら、本発明に係る第一の実施形態について説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一の符号を付してある。
【0032】
図1は、工作機械Mや非加工ステーションSなどから構成されるラインのうち、2台の工作機械Mの間に設置されたワーク搬入出装置10を示す図である。本発明に係るワーク搬入出装置10が採用される工作機械Mは、主軸が水平に維持される横型工作機械である。主軸は、X軸(左右)方向、Y軸(上下)方向、Z軸(前後)方向の三方向に移動可能に設けられる。
図1の符合1は、工作機械Mの開閉カバーである。開閉カバー1が開いた状態でワークの搬入出が行われる。
【0033】
ワーク搬入出装置10は、
図2に示すように、工作機械M間の床上に立設される柱状の基台11と、基台11上に設けられる旋回中心部12と、旋回中心部12に支持される旋回アーム20と、ワークWを把持するワークハンド30と、ワークWの搬送軌道を決める軌道旋回機構40と、ワークハンド30の姿勢を制御する回転制御機構70とを有している。
【0034】
旋回アーム20は、旋回中心部12に支持されるベースアーム部21と、直動案内機構22と、スライディングアーム部23とを有する。
図3に示すように、ベースアーム部21とスライディングアーム部23は、断面視溝形鋼(コの字)のような形状を有しているが、ベースアーム部21の方が、スライディングアーム部23よりも幅広に設けられている。ベースアーム部21の両側面内部には、直動案内機構22のスライドレール22aが固定されている。また、スライディングアーム部23の両側面外部には、直動案内機構22のスライダー22bが固定されている。スライダー22bがスライドレール22a上をスライドする動きに合わせ、スライディングアーム部23がベースアーム部21上でスライドする。
【0035】
次に、ワークハンド30について説明する。スライディングアーム部23の先端部には、ワークハンド支持シャフト31が鉛直な回転軸31a中心に回転可能に設けられており、ワークハンド30を垂下支持している。ワークハンド30は、X軸方向に間隔をあけて設けられる一対の把持アーム部32と、この一対の把持アーム部32を連結するブラケット33と、把持アーム32の先端部でワークWを把持するチャック部34を有する。一対の把持アーム部32は、エアシリンダ35によって、左右方向へ開閉し、ワークWを着脱できるようになっている。把持アーム31の上端部にスライド部36が設けられて、連結ブラケット32に設けられた案内軌道37上を移動して左右へ開閉する。
【0036】
続いて、ワークWの搬送軌道を決める軌道旋回機構40について説明する。軌道旋回機構40は、旋回駆動部41と、軌道旋回伝達部51と、軌道案内部61を有する。
【0037】
旋回駆動部41は、基台11の旋回中心部12に設けられたモータ42である。モータ42は、鉛直方向に中心軸42aを有する回転部42bにおいて、旋回アーム20のベースアーム部21の後端部を支持し、旋回アーム20は、モータ42の回転によって旋回する。モータ中心軸42aは、旋回中心部の中心軸12aと同軸である。
【0038】
次に、軌道案内部61について説明する。
図4は、ワークWの搬送軌道を示す平面概略図である。符合W´は、ワークハンド30に把持されて工作機械M間を搬送されるワークWの最大の大きさを想定したものである。旋回アーム20が旋回中心部12を中心に、(紙面上向かって)左側から右側に向け、工作機械Mの上方かつ前方を旋回する際、ワークハンド30に把持されたワークW´が、工作機械Mにぶつかることなく搬送される必要がある。また、安全対策の観点から、ワークW´を把持するワークハンド30は、工作機械Mの前方に大きくはみ出すことのない軌道を通ることが望ましい。
【0039】
図4に示すように、軌道案内部61は、軌道案内プレート62と、軌道案内プレート62に設けられた軌道案内孔63を有する。旋回アーム20は、軌道案内孔63に沿って旋回しながら軌道を進む際、後述する軌道旋回伝達部51により、ワークハンド30が工作機械Mの前方に大きくはみ出さないよう、スライディングアーム部23のスライド量が調整される。
【0040】
次に、回転制御機構70について説明する。
図4に示す符合Pは、ワークW´が工作機械Mから搬出されたときの姿勢を維持したまま、次の工作機械Mに搬入されることを示す目印である。回転制御機構70は、ワークW´を同じ姿勢に保つため、ワークハンド30を支持するワークハンド支持シャフト31の回転を規制し、制御する。回転制御機構70は、回転規制伝達部71と、回転制御部81と、回転規制受け部91を有する。
【0041】
回転制御部81は、
図4に示すように、回転制御用プレート82と、回転制御用プレート82に設けられた回転制御用孔83を有している。また、回転規制伝達部71は、
図2に示すように、スライディングアーム部23の後端部に回転可能に支持され、鉛直方向に中心軸72aを有するシャフト72に嵌合されたプーリ73と、シャフト72の上端部に設けられたシャフト72より大きな径を有する大径部74に、中心軸72aより偏心した位置に鉛直方向に中心軸75aを有するカムフォロア75を有している。回転規制伝達部であるカムフォロア75は、回転制御部である回転制御用孔83に係合される。なお、回転制御用孔83は、溝(回転制御用溝)であってもよい。
【0042】
ここで、軌道旋回伝達部51について説明する。軌道旋回伝達部51は、回転規制伝達部71であるシャフト72の大径部74の外周に嵌め込まれたベアリング52であり、シャフト72の中心軸72aと同軸上に設けられる。軌道旋回伝達部であるベアリング52は、軌道案内部である軌道案内用孔63に係合し、旋回駆動部であるモータ42の回転によって、ベアリング52は軌道案内用孔63内を進行する。軌道案内用孔63の形状は平面視で略W字をしており、軌道案内用孔63に係合されたベアリング52が、スライディングアーム部23のスライド量を調整する。ワークハンド30が把持するワークW´が工作機械Mの加工室Rを出入りするときには、スライディングアーム部23のスライド量は大きくなって、工作機械Mとの干渉を避け、工作機械Mの前方を搬送されるときには、スライディングアーム部23のスライド量を小さくし、ワークW´がほぼX軸方向に平行に搬送軌道をたどるようにされている。
【0043】
このように旋回アーム20が軌道を案内されて旋回する動きに従い、回転制御用孔83に係合されたカムフォロア75は、回転制御用孔83内を進む。進行中、カムフォロア75の中心軸75aは、
図4に示すように、常に、シャフト72の中心軸72aの平面視右側(同じX軸線上)になるように維持され、シャフト72、プーリ73、大径部74の回転が規制・制御されるように、回転制御用孔83の形状は、軌道案内孔63の中心より平面視右側に偏心している。なお、
図4に示す目印Pは、中心軸72に対するカムフォロア75とその中心軸75aの位置関係を、ワークハンド支持シャフト31上に反映し、表現したものである。
【0044】
次に、回転規制受け部90について説明する。
図2に示すように、回転規制受け部90は、ワークハンド支持シャフト31の上部に嵌め込まれたプーリ91を有している。プーリ91は、回転規制伝達部であるプーリ73と同径かつ同じ高さ位置に設けられ、連結部95であるタイミングベルト96によって、回転規制伝達部であるプーリ73と連結される。そうして、回転規制伝達部であるプーリ73の回転に、回転規制受け部であるプーリ91の回転が同期し、プーリ91も回転規制を受ける。それに伴い、ワークハンド支持シャフト31も回転が規制・制御され、ワークハンド30は、工作機械MからワークW´を把持し搬出した時の姿勢を維持したまま、ワークW´は搬送され、次の工作機械Mに搬入される。
【0045】
ところで、
図4に示すように、軌道案内孔63内に係合され、進行するベアリング52は、軌道案内孔63の形状によっては、旋回駆動部であるモータ41の駆動力だけでは、スムーズに軌道案内用孔63内を進行できない箇所がある可能性がある。そこで、
図2、
図3に示すように、旋回駆動補助部45として、流体圧シリンダ46を旋回アーム20に設けることもできる。
【0046】
流体圧シリンダ46は、シリンダチューブなどのシリンダ本体部46aをベースアーム部21の底面内部に固定し、ピストンロッド部46bの端部46cをスライディングアーム部23の底面外部に固定している。軌道案内用孔63の位置によって、ピストンロッド部46bを伸縮させ、スライディングアーム部23のスライド方向をコントロールすることで、旋回アーム20がスムーズに旋回するよう補助する。
【0047】
次に、
図5、
図6を参照しながら、第二実施形態に係るワーク搬入出装置100について、特に、第一実施形態と異なる軌道旋回伝達部151、軌道案内部161、回転規制伝達部171について説明する。第一実施形態と同じものについては、同じ符合を用いる。
【0048】
図5に示すように、軌道旋回伝達部151は、スライディングアーム部23の後端部に回転可能に支持される回転体152と、回転体152に設けられたローラ153とを有する。回転体152は、鉛直方向の中心軸152aを有するシャフト部152bと、シャフト部152bの上部に設けられたフランジ部152cと、フランジ部152cにボルト等で連結された中空スペーサ152dとを有する。ローラ153は、フランジ部152bに固定・支持され、中空スペーサ152d内で回転できるように設けられる。
【0049】
次に他の実施形態について説明する。
【0050】
<第二実施形態>
第二実施形態における軌道案内部161は、丸棒などで形成されたレール162である。中空のスペーサ152dには、レール162が貫通できる図示しない貫通孔を有しており、軌道旋回伝達部であるローラ153が、このレール162を挟んで、軌道を進み、スライディングアーム部23のスライド量が調整される。
【0051】
次に、回転規制伝達部171について説明する。回転規制伝達部171は、軌道旋回伝達部151の回転体152である中空スペーサ152d内に、回転体152の中心軸152aと同軸に嵌め込まれたベアリング172と、ベアリング172の内輪部に嵌め込まれるプーリ173と、プーリ173の中心軸173aより偏心した位置に鉛直方向の中心軸175aを有するカムフォロア175とを有している。カムフォロア175は、回転制御部81である回転制御用孔83に係合され、回転規制伝達部171は回転を規制・制御される。
【0052】
<第三実施形態>
第三実施形態に係るワーク搬入出装置200について、
図7、
図8を参照しながら説明する。特に前述の実施形態と異なる、旋回駆動部241、軌道旋回伝達部251、軌道案内部261、回転規制伝達部271について、主に説明する。また、前述の実施形態と同じものについては、同じ符合を付している。
【0053】
図7に示すように、ワーク搬入出装置200における旋回駆動部241は、旋回中心部212でなく、スライディングアーム部23の後端部に設けられるモータ242である。旋回中心部212には、回転軸212aが設けられ、旋回アーム20が旋回可能に支持される。旋回駆動部であるモータ242は、非回転部242bと、鉛直方向の中心軸242a中心に回転する回転部242cを有し、非回転部242bがスライディングアーム部の後端部に設置される。
【0054】
モータ242の回転部242cの外周には、軌道旋回伝達部251が設けられる。軌道旋回伝達部251は、モータ回転部242cの外周に嵌合されるベアリング252とスプロケット253を有している。軌道案内部261は、軌道案内用プレート262と、軌道案内用プレート262に設けられた軌道案内用孔263と、軌道案内用孔263の外周に沿って設けられるチェーン264を有している。
【0055】
旋回駆動部であるベアリング252とスプロケット253は、それぞれ軌道案内部である軌道案内用孔263とチェーン264にそれぞれに係合し、モータ242の回転によって、軌道案内孔263内を進行し、旋回アーム20を旋回させる。
【0056】
第三実施形態の回転規制伝達部271は、モータ中心軸242aと同軸になるように設けられたベアリング272と、このベアリング272の内輪部に嵌め込まれたプーリ273と、プーリ273の中心軸273aから偏心した位置に延長方向の中心軸275aを有するカムフォロア275とを有する。ベアリング272は、モータ回転部242cの上部にスリーブ274を設置して、その内部にベアリング272を嵌め込み、ベアリング272の内輪部にプーリ273の軸部273bを嵌め込んでいる。カムフォロア275は、回転制御用溝83に係合して、プーリ273の回転が規制される。
【0057】
なお、第三実施形態の回転規制伝達部であるプーリ273は、モータ242の上部に設けられていることから前述の実施形態でのプーリ(73、173)より若干高めの位置に設置されているため、回転規制受け部であるプーリ91もこの高さ位置にあわせて設置されるように、ワークハンド支持シャフト231が前述の実施形態のものよりも長めに設けられている。
【0058】
また、第三実施形態のワーク搬入出装置200では、旋回駆動部241と、軌道旋回伝達部251と、回転規制伝達部271とが、すべてスライディングアーム部23の後端部に同軸状に設けられる。
【0059】
<第四実施形態>
第四実施形態のワーク搬入出装置300について、
図9、
図10を参照しながら説明する。特に、前述した実施形態と異なる軌道旋回伝達部351、回転規制伝達部371について主に説明する。第四実施形態では、第一、第二実施形態と同じく、旋回中心部12に旋回駆動部41であるモータ42が設けられている。前述の実施形態と同じものについては、同じ符合を付している。
【0060】
第四実施形態の軌道旋回伝達部351と回転規制伝達部371は、第一実施形態、第二実施形態および第三実施形態と同様に、どちらもスライディングアーム部23上に設けられているが、それぞれの中心軸は同軸上になく、別に設けられている。
図9に示すように、軌道旋回伝達部351は、スライディングアーム部23の最後端部に設けられ、回転規制伝達部371は、軌道旋回伝達部351より前方、つまりスライディングアーム部23の長手方向中心から若干後方に設けられている。
【0061】
軌道旋回伝達部351は、非回転シャフト352と、非回転シャフト352の上端部に設けられるローラ353を有する。非回転シャフト352は、鉛直方向に中心軸352aを有し、スライディングアーム部23の後端部に固定される。また、ローラ353は、非回転シャフト352の上端部に嵌合されたべアリング354の外輪部に回転可能に設けられた回転体355の上面に設けられる。第四実施形態に係る軌道案内部は、第二実施形態の軌道案内部161のレール162と同じである。
【0062】
また、第四実施形態に係る回転規制伝達部371は、スライディングアーム部23の長手方向中心から若干後方に設けられるシャフト372と、シャフト372に嵌合されるプーリ373と、プーリ373の上面に設けられるカムフォロア375を有している。シャフト372は、鉛直方向の中心軸372a中心に回転可能に支持されており、カムフォロア375は、この中心軸から偏心した位置に鉛直方向の中心軸375aを有して設けられる。
【0063】
カムフォロア375が係合して回転規制伝達部371の回転を規制する回転制御部381は、
図9および
図10に示すように、回転制御用プレート382と、回転制御用プレート382に設けられた回転制御用溝または孔383を有する。また、軌道旋回伝達部351と回転制御用プレート382の干渉を防ぐため、回転制御用プレート382には、軌道案内部であるレール162に沿った形状で、かつ回転体355が通れる大きさの孔363が設けられている。
【0064】
<第五実施形態>
第五実施形態のワーク搬入出装置400について、
図11、
図12を参照しながら説明する。特に前述の実施形態と異なる、軌道旋回伝達部451、軌道案内部461、回転制御部481について、主に説明する。前述の実施形態と同じものについては、同じ符合を付している。
【0065】
第五実施形態の軌道旋回伝達部451は、非回転シャフト452と、非回転シャフト352の上端部に設けられるベアリング453を有する。非回転シャフト452は、鉛直方向に中心軸452aを有し、スライディングアーム部23の最後端部に固定される。そして、軌道案内部461は、軌道案内用プレート462と軌道用案内孔463を有し、軌道旋回伝達部451が、軌道案内用孔463に係合する。第五実施形態において、軌道案内部461である軌道案内用プレート462は、回転制御部481である回転制御用プレート482も兼ねている。あるいは、回転制御部481である回転制御用プレート482が、軌道案内部461である軌道案内用プレート462を兼ねていると表現することもできるが、いずれにせよ、これら手段は一枚のプレート462(482)で兼用されている。回転規制伝達部371であるカムフォロア375は、一枚のプレート462(482)に設けられた回転制御用溝(または孔)483に係合される。
【0066】
<第六実施形態>
第六実施形態のワーク搬入出装置500について、
図13、
図14を参照しながら説明する。なお、第六実施形態は、第三実施形態と同じ旋回中心部212を有し、第四実施形態と第五実施形態と同じ回転制御伝達部371を有する。また、第六実施形態に係る軌道旋回伝達部は、第三実施形態の軌道旋回伝達部251と同じであるが、モータの上部に回転制御伝達部が設けられていない点が異なる。軌道案内用プレート462の軌道案内用孔463には、軌道旋回伝達部251のスプロケット253が係合するチェーン464が設けられている。その他、前述の実施形態と同じものについては、それと同じ符合を付している。
【0067】
<第七実施形態>
図15、
図16を参照しながら、第七実施形態に係るワーク搬入出装置600について説明する。ワーク搬入出装置600は、ワークWの姿勢を変換する姿勢変換ステーションなどの非加工ステーションSのワーク載置台(テーブル)3上に載置されているワークWを搬出し、工作機械M´のテーブル3´にワークWを搬入させる。
【0068】
第七実施形態に係るワーク搬入出装置600は、第一から第六実施形態のいずれの形態を採用することもできるが、これらの実施形態と異なるのは、ワークハンド支持シャフト631が長尺に設けられている点である。それ以外の構成は、第一から第六実施形態のいずれを採用してもよい。
【0069】
図15に示すように、旋回アーム20が旋回して、ワークハンド30が非加工ステーションSの作業室R´内のテーブル3上に位置すると、テーブル3上に設けられたワークWを昇降させる昇降部4がワークWをリフトアップする。リフトアップされたワークWは、テーブル3上の図示しない位置決めピンから外れ、ワークハンド30の把持アーム34に把持される。
【0070】
図16に示すように、ワークWを把持した旋回アーム20は反対方向に旋回し、工作機械M´の加工室R内のテーブル3´上に位置する。テーブル3´上の図示しない昇降部が上昇し、把持アーム34はワークWをアンクランプして、ワークWを載置する。昇降装置が下降するとワークWはテーブル3´上に載置される。
【0071】
第七実施形態に係るワーク搬入出装置600が採用される工作機械M´や非加工ステーションSは、テーブルの位置が低いものなどに採用できる。
【0072】
<その他の実施形態>
【0073】
本発明では、以上述べた実施形態以外にも、以下のような種々の実施形態を採
用することができる。
【0074】
第七実施形態では、ワークハンド支持シャフトに長尺なものを採用したが、特許文献1・2に記載された工作機械のように、上下移動するY軸機構にテーブルが支持される工作機械であれば、ワークハンド支持シャフトの長さは短くすることも出来る。いずれにしても、第一から第七実施形態におけるワークハンド支持シャフトは、テーブルの高さや、工作機械の構成によって決めることができる。なお、非加工ステーションSは、ワーク姿勢変換ステーションだけでなく、ワークを洗浄するステーション、別ラインとワークを受け渡しするステーション、検査用のステーション、測定用のステーションなどのような非加工ステーションであってもよい。
【0075】
また、第一から第六までの実施形態において、回転規制伝達部と回転規制受け部にプーリを採用した例を説明しているが、プーリに限らず、歯車やスプロケットなどを採用することもできる。その場合の連結部はベルトやチェーンとなる。
また、平面図に示された軌道案内用プレートや回転制御用プレートは、あくまで一例であり、図に示された形状に限定されず、基台で支持される支持部も様々な形態が可能であるため、詳細な説明は省略している。また、軌道案内用レールの支持部についても同様で、軌道案内用レールは、基台に支持されてもよく、回転制御用プレートに支持されてもよい。また、旋回駆動補助部は、流体圧シリンダとしているが、電気、油圧、空圧などいずれでもよい。また、軌道案内部であるレールは、丸棒を一例として挙げているが、これに限定されないことはいうまでもない。
【0076】
本国際出願は、2018年12月21日に出願された日本国特許出願である特願2018-240386号に基づく優先権を主張するものであり、当該日本国特許出願である特願2018-240386号の全内容は、本国際出願に援用される。
【0077】
本発明の特定の実施の形態についての上記説明は、例示を目的として提示したものである。それらは、網羅的であったり、記載した形態そのままに本発明を制限したりすることを意図したものではない。数多くの変形や変更が、上記の記載内容に照らして可能であることは当業者に自明である。
【符号の説明】
【0078】
1 開閉カバー
2 主軸
3、3´ テーブル(ワーク載置台)
4 ワーク昇降部
10、100、200、300、400、500、600 ワーク搬入出装置
11 基台
12、212 旋回中心部
20 旋回アーム(21 ベースアーム部;23 スライディングアーム部)
30 ワークハンド(31、231、631 ワークハンド支持シャフト)
40 軌道旋回機構
41、241 旋回駆動部(42、242 モータ)
45 旋回駆動補助部(46 流体圧シリンダ)
51、251、451 軌道旋回伝達部(52、252 ベアリング;253 スプロケット)
151、351 軌道旋回伝達部(153、353 ローラ)
61、261、461 軌道案内部(62、262、462 軌道案内用プレート;63、263、463 軌道案内用孔;264、464 チェーン)
161 軌道案内部(162 レール)
70 回転制御機構
71、171、271、371 回転規制伝達部(73、173、273、373 プーリ;75、175、275、375 カムフォロア)
81、381、481 回転制御部 (82、382、482 回転制御用プレート; 83,383、483 回転制御用孔(溝))
90 回転規制受け部 (91 プーリ)
95 連結部 (96 タイミングベルト)
M、M´工作機械
P 目印
S 非加工ステーション
R、R´ 加工室、作業室
W、W´ ワーク