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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】ホールソーアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B23B 51/04 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
B23B51/04 A
B23B51/04 E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020570052
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 IB2019054897
(87)【国際公開番号】W WO2019239336
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】2018902101
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520487705
【氏名又は名称】カイトリー,キム
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 緑
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(72)【発明者】
【氏名】カイトリー,キム
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03006147(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0179911(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02236230(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B51/00-51/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下から構成されるホールソーアセンブリであって、
アーバーと、
前記アーバーに取り外し可能なように結合されるホールソーと、
前記アーバーに取り外し可能なように結合されるパイロットドリルであって、ロックを受け止める溝を有し、前記ホールソーと同じ軸方向に伸びており、前記ホールソーから飛び出しているパイロットドリルと、
前記パイロットドリルに沿ってスライドするように構成された排出部と、を備え、
前記排出部は、
バイアス部と、
前記パイロットドリルと同軸方向に配置されるバレルと、
前記バレルと同軸方向に配置されるスリーブと、
前記バレル上に設置され、前記スリーブに対する前記バレルの動きを制限するストップリングと、
少なくとも一つのロック部と、を含み、
前記バレルと前記スリーブが前記パイロットドリルと同軸方向にスライドするように構成されており、
前記少なくとも一つのロック部は、少なくとも1つのロックを受け止める前記溝と係合するように構成され、係合すると前記パイロットドリルに対する前記バレルと前記スリーブの動きが制限されるようになる、ホールソーアセンブリ。
【請求項2】
前記アーバーは、アーバーシャフトと複数のアパーチャを有するアニュラスとを含む、請求項1に記載のホールソーアセンブリ
【請求項3】
前記ホールソーは、ボスと複数の切断用の歯を有するホールソーカップとを含む、請求項1に記載のホールソーアセンブリ。
【請求項4】
ボスが複数のピンを含み、前記複数のピンはアニュラスの複数のアパーチャと係合するように構成され、
これにより前記ホールソーと前記アーバーが結合される、請求項2又は3に記載のホールソーアセンブリ。
【請求項5】
前記排出部が2つのロック部を含み前記2つのロック部のそれぞれはスチール製のボールベアリングである、請求項1に記載のホールソーアセンブリ。
【請求項6】
前記スリーブは、第一のステップ、第二のステップ、空間を含み、
この空間は、前記第一のステップと前記第二のステップの間に形成され、前記ホールソーアセンブリの使用中に前記少なくとも1つのロック部を受け止めるように構成されている、請求項1に記載のホールソーアセンブリ
【請求項7】
前記バレルは、前記スリーブに向かって伸びるフランジ、中央を貫通するボア前記少なくとも1つのロックを受け止めるための穴とを含み、前記少なくとも一つのロック部は、前記少なくとも一つのロックを受け止める穴と係合して、前記少なくとも一つのロックを受け止める穴の中で自由に動くことができる請求項1に記載のホールソーアセンブリ。
【請求項8】
前記バレルに2つのロックを受け止める複数の穴が、径方向に180度だけ離れて形成されている、請求項7に記載のホールソーアセンブリ。
【請求項9】
前記スリーブが以下の間を移動し、
第一のポジションでは、第二のステップが少なくとも一つのロック部の隣に設置され、前記少なくとも一つのロック部は前記少なくとも一つのロックを受け止める前記溝に沿って下に下がり、前記パイロットドリル上で前記少なくとも一つのロックを受け止める前記溝と係合し、
第二のポジションでは、前記少なくとも一つのロック部が前記少なくとも一つのロックを受け止める前記溝から離れて自由に動き、前記少なくとも1つのロックを受け止める穴に移動して、前記バレルによって定義される空間に位置する、請求項6又は7に記載のホールソーアセンブリ。
【請求項10】
前記バイアス部がフランジと第二のステップの間に設置される、請求項6又は7に記載のホールソーアセンブリ。
【請求項11】
前記スリーブが前記少なくとも一つのロック部に対して前記バレルの中央に向かってバイアス力をかけることにより、前記少なくとも一つのロック部を受け止める前記パイロットドリルの溝と係合する、請求項1に記載のホールソーアセンブリ。
【請求項12】
前記パイロットドリル、前記ホールソー、前記アーバーおよび前記排出部が同軸に整列している、請求項1に記載のホールソーアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホールソーアセンブリに関するものである。より具体的には、ホールソーアセンブリの排出部として使用するものであり、ホールソーアセンブリで穴を開ける際に生成される切屑を排出するものである。
【背景技術】
【0002】
ホールソー、もしくはホールカッターは、木材、金属、プラスチック、コンクリートなどの様々な素材に対して、穴を開けたり、既存の穴を広げる際に使用される。こうしたホールソーは一般的に中空のシリンダーや管の形をしており、一端に切削のための歯を備えた円形のエッジがあり、他端を電動ドリルなどに取り付ける構造になっている。
【0003】
一般的には、ホールソーの歯により穴をあけると、材料に円形の切断部が生成され、これがホールソーの円柱形の内部に溜まることになる。このようなホールソーの中に溜まる切屑を取り除くための仕組みや構造、または簡単に取り除けるような仕組みや構造は従来考案されてきた。そうした仕組みの1つとして、ホールソーの円柱形の中にバネを取り付けて、切削中に生成される切屑を排出するものがある。しかしながら、切削によるホコリや細かい粒子により、ホールソーから切屑を排出するのに時間がかかったり、これを妨げることがある。本発明の目的は、こうした従来の課題を解決して、ホールソーから効果的に切屑を排出する仕組みや手法を提供することにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術が抱える課題を鑑みるに、本発明の目的は先行技術の優位点をすべて継承しつつ、先行技術が抱える課題を解消できるようなシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様として、ホールソーアセンブリを提供する。ホールソーアセンブリには、アーバー、ホールソー、パイロットドリル、排出部が含まれる。このアーバーは取り外しが可能な状態でホールソーに取り付けられる。またパイロットドリルも取り外しができる状態でアーバーに取り付けられる。パイロットドリルはホールソーと同じ軸方向に伸びており、ホールソーから飛び出している。排出部はパイロットドリルに沿ってスライドするように設置される。排出部はバイアス部材を含む。また排出部にはパイロットドリルと同軸方向に設置されるバレルも含む。さらに排出部にはバレルと同軸方向に設置されるスリーブも含む。このバレルとスリーブは、パイロットドリルに対するバレルおよびスリーブのスライドを制約するため、係合するための溝と接合される。アーバーはアーバーのシャフトと複数のアパーチャ(開口部)をもつアニュラス(環)を含むホールソーにはボスと複数の切削のための歯を備えたホールソーカップが含まれる。ボスには複数のピンが含まれる。このピンは、アニュラスのアパーチャと係合するように構成され、これによりホールソーやアーバーと接続される。排出部は2つのロック部が含まれる。ロック部はスティール製のボールベアリングである。スリーブには第一のステップ、第二のステップ、そして空間が含まれる。第一のステップと第二のステップの間の空間は、ホールソーアセンブリの使用中に少なくとも1つのロック部を受け止めるように構成される。
【0006】
ある実施形態では、バレルには、スリーブに向かって伸びるフランジ、中央を貫通するボア、少なくとも1つのロックを受け止めるための穴を含む。少なくとも一つのロック部は、少なくとも一つのロックを受け止める穴の内部と係合して、少なくとも一つのロックを受け止める穴の中で自由に動くことができる。バレルには2つのロックを受け止める穴が、半径で180度離れた場所に設置される。スリーブは、第一のポジションと第二のポジションの間を移動するように構成される。第一のポジションでは、第二のステップが少なくとも一つのロック部の隣に設置され、そのロック部はロックを受け止める溝に沿って下に下がり、パイロットドリルのロックを受け止める溝と係合する。第二のポジションでは、少なくとも一つのロック部がロックを受け止める溝から離れて自由に動き、少なくとも1つのロックを受け止める穴に移動して、バレルによって生成される空間に位置する。
【0007】
本発明の一側面として、排出部を提供する。排出部には、バレルと、そのバレルと同軸方向にスリーブが設置される。スリーブには内側の面と外側の面が含まれる。バレルは内側の面に設置される。排出部は、少なくとも1つのロック部を含む。排出部は、バレルとスリーブの間に提供されるバイアス部を含む
【0008】
本発明の別の側面として、ホールソーを使って穴を開けている最中に生成される切屑を取り除く手法を提供する。この手法にはアーバーからホールソーを取り外す方法が含まれる。さらに、排出部がパイロットドリルのロックを受け止める溝と係合するまで、ホールソーと排出部をパイロットドリルに沿ってスライドさせる方法も含まれる。さらに、パイロットドリルの一端に向かってホールソーをスライドさせて切り屑を露出させる手法も含む。また、切断作業中に形成された切屑を取り除く手法も含まれる。さらに、リセットキーをホールソーアセンブリに挿入して、パイロットドリルのロックを受ける溝から排出部を外す手法を含む。
【0009】
こうした本発明に関する側面はそれ以外の側面とともに、その新規性を持つ機能や特徴とともに、特許請求の範囲で主張する通り、発明の一部を構成するものである本発明について、そして機能上の優位点や、達成する目的についてよりよく理解していただくために、本発明を使用した実施形態の例を示した添付の図面及び説明をご参照いただきたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の優位点や機能については、以下の図や、説明、さらに特許請求の範囲を参照することでよりよく理解していただけると思う。ここで図の数字については、以下の通り同様の要素については同じ番号を振ってある。
図1図1A は、本発明の実施形態におけるホールソーアセンブリの透視図を示したものである。ここではアーバー、ホールソー、パイロットドリル、排出部がリセットポジションにあり、穴を開ける準備が整っている。図1Bは、本発明の実施形態における、図1Aのホールソーアセンブリの、線A-A'での断面図である。
図2図2Aは、本発明の実施形態におけるホールソーアセンブリを示したものである。ここでは穴を開けた後のアーバー、ホールソー、パイロットドリル、排出部が描かれており、ホールソーに切屑が残っている。図2Bは、本発明の実施形態における、 図2A のホールソーアセンブリの、線B-B'での断面図である。
図3図3Aは、本発明の実施形態におけるホールソーアセンブリの透視図を示したものである。ここではアーバー、ホールソー、パイロットドリルとともに、切削中に生成された切り屑を排出する排出部が描かれている。図3Bは、本発明の実施形態における、 図3Aのホールソーアセンブリの、線C-C'での断面図である。
図4図4Aは、本発明の実施形態におけるホールソーアセンブリを示したものである。ここではアーバー、ホールソー、パイロットドリル、排出部、リセットキーが描かれている。図4Bは、本発明の実施形態における、 図4Aのホールソーアセンブリの、線D-D'での断面図である。
図5図5Aは、本発明の実施形態におけるホールソーアセンブリを示したものである。ここではアーバー、ホールソー、パイロットドリル、排出部とともに、スリーブに対して押されているリセットキーが描かれている。図5Bは、本発明の実施形態における、 図5Aのホールソーアセンブリの、線E-E'での断面図である。
図6図6Aは、本発明の実施形態における、第一のポジションにあるパイロットドリルと排出部を示したものである。図6Bは、本発明の実施形態における、 図6Aのパイロットドリルと排出部の線F-F'での断面図である。
図7図7Aは、本発明の実施形態における、第二のポジションにあるパイロットドリルと排出部を示したものである。図7Bは、本発明の実施形態における、 図7Aのパイロットドリルと排出部の線 G-G'での断面図である。
図8図8は、本発明の実施形態における、ホールソーアセンブリを使用する際に切削中に生成される切屑の除去手法を示したものである。
【0011】
説明の全体を通じて、同様の番号は同様の部分を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明について完全に理解するために、添付の特許請求の範囲並びに図の簡単な説明のほかに、以下の詳細について参照していただきたい。本発明では様々な実施形態について触れているが、ここで説明するような特定の形態に限定することを意図するものではない。本発明と同等の機能のバリエーションや修正形が様々な形で考えられることは承知しているが、そういったバリエーションについても、また本発明の範囲や、発明のスピリッツが不可欠なものについては、本特許請求の範囲でカバーされているものと理解している。また、本明細書で使用する表現や用語は、説明を目的としたものであり、なんら限定する意図はないことを理解していただきたい。本明細書における「含む」、「構成される」、「有する」などの用語は、その後に記載する項目やそれと同等のものを抱合することを意味しており、また何かを追加することもまた意味しているものである。
【0013】
本明細書における「a」および「an」という用語(訳者注:英文の原文における冠詞に関する表記。)は、数量の制限を示すのではなく、その項目が少なくとも1つあることを示したものである。
【0014】
本発明はホールソーアセンブリに関するものである。このホールソーアセンブリにはアーバー、ホールソー、パイロットドリル、排出部が含まれる。このホールソーは取り外しが可能な状態でアーバーと結合される。このパイロットドリルは取り外しが可能な状態でアーバーと結合される。このパイロットドリルはホールソーと同じ軸方向に伸びており、ホールソーから飛び出している。排出部はパイロットドリルに沿ってスライドするように設置される。排出部はバイアス部材を含む。また排出部にはパイロットドリルと同軸方向に設置されるバレルも含む。さらに排出部にはバレルと同軸方向に設置されるスリーブも含む。このバレルとスリーブは、パイロットドリルに対するバレルおよびスリーブのスライドを制約するため、係合するための溝と接合される。
【0015】
本発明では、排出部もまた存在する。排出部には、バレルと、そのバレルと同軸方向にスリーブが設置される。スリーブには内側の面と外側の面が含まれる。バレルは内側の面に設置される。排出部は、少なくとも1つのロック部を含む。排出部は、バレルとスリーブの間に提供されるバイアス部を含む。
【0016】
本発明ではまた、ホールソーを使って穴を開けている最中に生成される切屑を取り除く手法を提供する。この手法にはアーバーからホールソーを取り外す方法が含まれる。さらに、排出部がパイロットドリルのロックを受け止める溝と係合するまで、ホールソーと排出部をパイロットドリルに沿ってスライドさせる方法も含まれる。さらに、パイロットドリルの一端に向かってホールソーをスライドさせて切り屑を露出させる手法も含む。また、切断作業中に形成された切屑を取り除く手法も含まれる。さらに、リセットキーをホールソーアセンブリに挿入して、パイロットドリルのロックを受ける溝から排出部を外す手法を含む。
【0017】
図1A、1B、 2A 、2Bは、ホールソー アセンブリ100を示したものである。このホールソーアセンブリ100にはアーバー102、ホールソー104、パイロットドリル106、排出部108が含まれる。アーバー102(以下、マンドレル102とも呼ぶ)は、ホールソーアセンブリ100と、その駆動に用いるドリルチャックと確実に係合させることを保証するものである。アーバー102には、アーバーシャフト110(シャンクとも呼ばれる)とアニュラス112(カラーとも呼ばれる)を含む。アーバーシャフト110は六角形であり、電動またはハンドドリルのチャックと係合するように構成される。図2Bで示す通りアニュラス112には複数のアパーチャ114が含まれる。この実施形態では、アニュラス112には2つのアパーチャが含まれている。
【0018】
このパイロットドリル 106 は取り外しが可能な状態でアーバー102と結合されるある方法では、 このパイロットドリル 106はアーバー102のアニュラス112の一端にある穴に着座する。このパイロットドリル106は、アーバーシャフト110に対して正反対の方向に延びる。パイロットドリル106は、切断面109、取り付け端111、ロックを受ける溝107からなる。切断面109は、取り付け端111の反対側に設置される。パイロットドリル106の取り付け端111は、アーバー102のアニュラス112の穴に着座する。パイロットドリル106はホールソー104と同軸方向に伸びており、ホールソー 104からはみ出している。これにより、使用中に、パイロットドリル102の切断面109が、穴を開ける対象となるコンクリートや、木材などの素材(図では示していない)の表面(図では示していない)と最初に係合することになる。ロックを受ける溝107は、パイロットドリル106の周囲に輪のように形成されている。また、ロックを受ける溝107は、切断面109の近くに配置される。
【0019】
ホールソー104には、ホールソーカップ114とボス116が含まれる。ホールソーカップ114は取り外しが可能な状態でボス116と結合される。ホールソーカップ114は円柱状の形状である。ホールソーカップ114はボス116と結合する端の反対端に複数の切削のための歯を備えている。ボス116には複数のピン120がある。この複数のピン120はアニュラス112に設けられた複数のアパーチャ114と結合もしくは結合解除でできるように構成される。これによりボス116とアーバー102は結合もしくは分離される。さらに、この複数のピン120は、ホールソーアセンブリ100で素材を切断中にホールソー 104がアーバー102に対して回転することを防ぐ。使用中にホールソーカップ114の切断のための歯は、穴を開ける素材に係合する第二の部分となる。
【0020】
ホールソーアセンブリ100の使用中に、材料の表面に穴(図示せず)があけられ、これによりホールソー104のホールソーカップ114の内に切屑122(以下、円形の切断部分122と呼ぶ)を生成する。ホールソーアセンブリ100には排出部108が含まれ、ホールソーカップ114の内に残った切屑122を取り除く。排出部108は、パイロットドリル106に沿ってスライドするように構成される。パイロットドリル106、ホールソー104、アーバー102、排出部材108は、ホールソーアセンブリ100の中心軸 X-X'(図1B参照)に沿って整列する。
【0021】
図2A、2B、6A、6B、7A、7Bは、バレル124、スリーブ126、少なくとも一つのロック部128、バイアス部130を含む排出部108を示している。この例では、少なくとも一つのロック部128に2つのスチールボールベアリングを備えている。また排出部108には2つのロック部128が備えられている。これ以外にも、排出部108には一つまたは複数のロック部128が備えれているが、これは本発明の範囲を制限するものではない。
【0022】
バレル124は、円柱状の形状であり、パイロットドリル106と同軸に整列している。バレル124はその長さに沿って中央を貫通するボア125を含む。中央を貫通するボア125の直径は、パイロットドリル106が中央を貫通するボア125にそって伸びるのに十分なサイズである。バレル124はパイロットドリル106の前後軸に沿って動く。スリーブ126はバレル124と同軸に整列する。スリーブ126は外側の面132と内側の面134が含まれる。バレル124はスリーブ126の内側の面134とパイロットドリル106の間に設置される。スリーブ126とバレル124は一つのユニットとしてパイロットドリル106に沿ってスライドする。さらに、スリーブ126およびバレル124は、互いに対してスライドするように構成される。バレル124は、ロック部128に対応する少なくとも1つのロックを受け止める穴144を含む。ロックを受け止める穴144は、外側の表面からバレル124の中心に向かって伸びる。少なくとも一つのロック部128がロックを受け止める穴144の内側に適合し、ロックを受け止める穴144とともに自由に移動することができる。図で示す例では、バレル124には2つのロックを受け止める穴144があり、2つのロック部128に対応している。バレル124は、バレル124からスリーブ126の内側の表面134に向かって延びるフランジ146を含む。排出部108には、バレル124に設置されたストップリング148が含まれ、これはスリーブ126に対するバレル124の動きを制限する。
【0023】
スリーブ126はバレル124を取り囲む。スリーブ126は第一のポジション(係合するポジション)と第二のポジション(分離するポジション)の間を移動する。スリーブ126は偏ることにより、ロック部128をロックを受け止める穴144の方へ押し、これによりパイロットドリル106のロックを受け止める溝107と係合する。スリーブ126には第一のステップ135、第二のステップ 137、そして空間136が含まれ(以後環状のチャンバ136と呼ぶ)、内側の環の形状の溝を形成する。スリーブ126の第一のステップ135、第二のステップ137はスリーブ126からバレル124に向かって内側に伸びる。第一のステップ135はバレル124のストップリング148と係合するように構成され、スリーブ126に対するバレル124の下向きの動きを制限する。空間136は第一のステップ135と第二のステップ137により定義される。空間136は前面140と背面142(図7B参照)を含む前面140は前方に収束するように傾斜し、スリーブ126の内側の表面134と隣接するように延びる。背面142は、後方に収束するように傾斜し、 スリーブ126の内側の表面134に沿って伸びる。第一のポジション( 図2B参照) における第二のステップ137は、少なくとも一つのロック部128に隣接し、それを下に移動させてロックを受け止める溝107の方向へ移動させ、パイロットドリル106と係合する。第二のポジションでは、少なくとも一つのロック部がロックを受け止める溝107から離れて自由に動き、パイロットドリル106の少なくとも1つのロックを受け止める穴144に移動して、バレル124によって生成される空間136に位置する。
【0024】
図の例では、バイアス部130は、圧縮したコイルバネを備えている。バイアス部130はバレル124とスリーブ126との間に配置される。バイアス部130は、バレル124とスリーブ126との間に必要とされるバイアス力を供給する。
【0025】
使用中にホールアセンブリ100によって穴が開けられると切屑122が形成され、ホールソーカップ114にのこる(図2A、2B参照)。切屑122を取り除くために、ホールソー 104がアーバー102から分離される。ホールソー104は排出部108とともに、前方方向F(図2B参照)パイロットドリル106の前面の端に向かってスライドする。スリーブ126の第二のステップ137は、スリーブ126の空間136とバレル124のロックを受け止める穴144にバイアスをかけて、パイロットドリル106のロックを受け止める溝107まで移動させる。これにより第一のポジション(図7A と7B参照)に排出部108がロックされる。切りくず122が取り外されると、リセットキー150または操作者の指により、スリーブ126が押される。これはスリーブ126とバレル124の間に設置されるバイアス部130のバイアスの力に反対する形になる。これにより、ロック部128がパイロットドリル106のロックを受けとめる溝部107から外れて、排出部108がパイロットドリル106の取り付け端111に向かって後方のB方向にスライドする(図5B参照)。
【0026】
図8ではホールソーアセンブリにより穴を開けた際に生じる切屑122の除去に関するメソッド200のフローチャートを示している。ステップ202ではホールソー104がアーバー102から切り離される。より具体的には、ホールソー104のボス116に設けられた複数のピン120が、アーバー102のアニュラス112に設置された複数のアパーチャ114から分離することにより、ホールソー104がパイロットドリル106に沿ってスライドできるようになる。
【0027】
ステップ204では、排出部108とともにホールソー104がパイロットドリル106に沿って、その前端に向かってスライドする。排出部108がロックを受け止める溝107に係合するとスライドが止まる。より具体的には、排出部108がホールソー104と共に移動すると、スリーブ126が第1ポジションに向かって移動する。この時スリーブ126の第2のステップ137は、少なくとも1つのロック部128に隣接しており、それを下に押し下げてロックを受け止める穴144をロックを受け止める溝107の方向に押してパイロットドリル106と係合する(図3A、3B参照)
【0028】
ステップ206では、ホールソー104が、パイロットドリル106の取り付け端111に向かってスライドすることにより、切屑122を露出させる(図3Aおよび3B参照)。ステップ208では、穴を開ける工程で生成された切屑122が取り除かれる。 ステップ210では、リセットキー150がホールソーアセンブリ100に挿入され、パイロットドリル106のロックを受ける溝107から排出部108が分離される。(図4A、4B、5A、5B参照)より具体的にいえば、スリーブ126が、第2のポジションの方向へ移動する。その第2のポジションでは、少なくとも1つのロック部がロックを受け止める溝107から離れて自由に移動できるようになり、ロックを受け止める穴144に向かって上に移動する。リセットキー150の代わりに操作者の指を使って排出部108をロックを受け止める溝107から分離させることも可能である。この点においては発明の範囲を制限するものではない。手法200は、穴を空ける過程で生成される切屑122の除去を可能とするものである。この手法を実施することにより、ホールソー104のホールソーカップ114内の切屑122を適切に取り除くことができる。
【0029】
ホールソーアセンブリ100と上述の方法200により、ホールソー104から、穴を空ける過程で生成された切屑122を効率的に取り除くことができる。ホールソーアセンブリ100の排出部108は、穴を空ける過程で生成された切屑122などの不必要な切屑122を取り除くための効率的で費用効果の高い解決策を提供するものである。
【0030】
ここで説明した本発明に関する実施形態は、あくまでも説明のためのものである。本発明の範囲や形態を限定することを意図したものではなく、前述の通り様々な修正形や、バリエーションが考えられる。ここで説明する実施形態は、本発明の原理をよりよく説明するためのものであり、また、同業者であれば本発明を利用して、特定の使用に適したものや修正形を実施することができるようにすることを目的にしたものである。本発明と同等の機能のバリエーションや修正形が様々な形で考えられることは承知しているが、そういったバリエーションについても、また本発明の範囲や、発明のスピリッツが不可欠なものについては、本特許請求の範囲でカバーされているものと理解している
【符号の説明】
【0031】
100:ホールアセンブリ
100:ホールソーアセンブリ
102:アーバー
102:マンドレル
104:ホールソー
106:パイロットドリル
107:ロックを受ける溝
107:溝
108:排出部
109:切断面
110:アーバーシャフト (シャンクとも呼ばれる)
111:取り付け端
112:アニュラス (カラーとも呼ばれる)
114:アパーチャ
114:ホールソーカップ
116:ボス
120:ピン
122:切屑(円形の切断部分と呼ぶ)
124:バレル
125:ボア
126:スリーブ
128:ロック部
130:バイアス部
132:外側の面
134:内側の表面
134:内側の面
135:第一のステップ
136:空間(環状のチャンバと呼ぶ)
137:第二のステップ
140:前面
142:背面
144:穴
146:フランジ
148:ストップリング
150:リセットキー
200:メソッド
202:ホールソー104がアーバー102から切り離される。
204:排出部108とともにホールソー104がパイロットドリル106に沿って、その前端に向かってスライドする。排出部108がロックを受け止める溝107に係合するとスライドが止まる。
206:ホールソー104が、パイロットドリル106の取り付け端111に向かってスライドすることにより、切屑122を露出させる(図3Aおよび3B参照)。
208:穴を開ける工程で生成された切屑122が取り除かれる。
210:リセットキー150がホールソーアセンブリ100に挿入され、パイロットドリル106のロックを受ける溝107から排出部108が分離される。(図4A、4B、5A、5B参照)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8