(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】薄膜層の欠陥検出方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
H01L21/66 K
(21)【出願番号】P 2021510658
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(86)【国際出願番号】 GB2019052412
(87)【国際公開番号】W WO2020049273
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】521078528
【氏名又は名称】メムススター リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MEMSSTAR LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】オハラ,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ドライズデール,ダニエル
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-504805(JP,A)
【文献】特開2007-180485(JP,A)
【文献】特開2005-056883(JP,A)
【文献】特表2013-516063(JP,A)
【文献】特開平07-283282(JP,A)
【文献】特開2017-028291(JP,A)
【文献】特表2013-506284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/302
H01L 21/3065
C23F 1/02
C23F 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜層および犠牲層を含む構造サンプルの1つまたは複数の欠陥を検出する方法であって、
・前記薄膜層を気相エッチャントに暴露するステップであって、これにより前記
薄膜層の欠陥の下の前記犠牲層に空洞を作成し、前記気相エッチャントは、前記犠牲層をエッチングするが前記薄膜層はエッチングしないように選択されるステップと、
・前記薄膜層の画像を取得するステップと、
・前記画像を分析するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記薄膜層を気相エッチャントに曝露するステップにより、前記薄膜層に存在する欠陥が強調されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記薄膜層を気相エッチャントに曝露するステップは、前記薄膜層の欠陥の周りに応力領域を作成することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記方法がさらに、1つまたは複数の試験パラメータを最適化するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記1つまたは複数の試験パラメータは:温度;圧力;エッチャント蒸気密度;犠牲層の材料組成;気相エッチャントへの曝露時間;薄膜層の画像の解像度、の1つまたは任意の組み合わせを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記1つまたは複数の試験パラメータは、プロセス触媒(この場合は触媒の蒸気密度と触媒種のパラメータが追加される)をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記気相エッチャントはフッ化水素を含み、前記犠牲層は二酸化ケイ素を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、試験チャンバ内の圧力は、真空(0Pa)と大気圧(約100,000Pa)との間であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、試験チャンバ内の圧力は、約67Paから6,700Pa(約0.5から50Torr)の間であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、試験チャンバ内の温度は、摂氏約5度から摂氏100度の間であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、試験チャンバ内の温度は、摂氏約5度から摂氏45度の間であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、水またはアルコールが触媒であることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1乃至6のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記気相エッチャントは二フッ化キセノンを含み、前記犠牲層は、ゲルマニウム、モリブデン、および/または単結晶シリコン、多結晶シリコン、および/またはアモルファスシリコンなどのシリコン系材料を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、試験チャンバ内の圧力は、約67Paから6,700Pa(約0.5から50Torr)の間であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、試験チャンバの温度は、摂氏約15度から摂氏100度の間であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記薄膜層の画像を取得するステップは、前記薄膜層の第1の表面の画像を取得するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記薄膜層の画像を取得するステップは、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡および/または原子間力顕微鏡などの画像化機器を利用するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記画像化機器の機器解像度は、1つまたは複数の試験パラメータの最適化の要素となることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記画像を分析するステップは、前記薄膜層の第1の表面の画像内の欠陥を識別するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記画像を分析するステップは、前記薄膜層の第1の表面の画像内の任意の応力領域を識別するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項19または20に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記画像を分析するステップは、任意の欠陥のサイズおよび/または任意の応力領域のサイズを定量化するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記画像を分析するステップは、欠陥のサイズおよび/または応力領域のサイズが臨界サイズまたは閾値サイズ以上であるか、あるいは臨界サイズまたは閾値サイズよりも小さいかを判定するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記画像を分析するステップは、コンピュータプログラムによって実行されることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項1乃至23のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記画像を分析するステップは、画像強調技術を実行するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項1乃至24のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記画像を分析するステップは、自動化されていることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1乃至25のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記方法は、前記薄膜層の2以上の画像を取得するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、各画像は、同じ画像化機器を使用して、あるいは、異なる品質、解像度、および/またはタイプの2以上の画像化機器を使用して取得されることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26または27に記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記方法は、前記気相エッチャントへの曝露前の薄膜層の1つまたは複数の画像と、前記気相エッチャントへの曝露後の1つまたは複数の画像を取得するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項26乃至28のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記方法は、前記薄膜層の複数の画像を分析および比較するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項1乃至29のいずれかに記載の1つまたは複数の欠陥を検出する方法において、前記画像の分析結果は、1つまたは複数の試験パラメータの最適化に考慮されることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項1乃至30のいずれかに記載の方法に従って1つまたは複数の欠陥を検出するための試験システムであって、当該試験システムは、気相エッチャント送達システムと、構造サンプルを受け入れるように適合または構成された試験チャンバとを含むことを特徴とするシステム。
【請求項32】
構造サンプルを製造するための品質管理方法であって、請求項1乃至30のいずれかに記載の方法に従って構造サンプルの1つまたは複数の欠陥を検出するステップと、それに応じてサンプルを廃棄するか、または廃棄しないステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の構造サンプルを製造するための品質管理方法において、前記サンプルを廃棄するか、または廃棄しないステップは、
・欠陥のサイズや応力領域のサイズが臨界サイズまたはしきい値サイズ以上の場合、前記構造サンプルを破棄し、および/または、
・欠陥のサイズや応力領域のサイズが臨界サイズまたはしきい値サイズよりも小さい場合は、構造サンプルを破棄しない、ことを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜層処理の分野に関する。より具体的には、本発明は、薄膜層における欠陥の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜層は、基板層上に堆積されて構造を形成する。1つの構造は、複数の層を含み得る。1つの層は、それ自体で、または他の層と組み合わせて機能し得る。例えば、層は、導電性であるか、所望の機械的特性を有し得る。そのような構造は、例えば、電気機器、太陽電池、テレビ用のフラットパネルスクリーン、またはフォトマスクとして機能するか、またはその一部を形成し得る。信頼性の高い構造を生成するために、薄膜層に欠陥がないかどうかを判断する方法が、構造の故障を特定する手段として好ましい。薄膜層の欠陥の例はピンホールである。ピンホールは人間の目や顕微鏡でも見ることができないが、計測学による追加の処理と分析の助けを借りて、それらの可視性を高めることが可能である。これらのピンホールは通常、直径が1ミクロン未満であり、ナノメートルのオーダーの直径を持つ。
【0003】
特定の構造にピンホールが存在する場合、これは障害につながる可能性がある。テレビに用いるフラットパネルスクリーンの例では、ピンホールの欠陥が発見された場合、画像が表示されたときに画面上に黒い点として現れるデッドイメージ領域を含む最終製品の故障となり得る。欠陥の存在を早期に特定することにより、製造業者はパネルを生産から外し、潜在的な現場故障の数と製造コストを削減することができる。同様に、太陽電池では、欠陥を早期に特定することで、故障の可能性が高いセルをさらなる製造ステップから除外することができ、その結果、無駄なコストを最小限に抑えることができる。これらの故障は、故障領域では太陽光を吸収しないため、太陽光から電気へのエネルギー変換の大幅な低下を引き起こす。電気機器の場合、1回の工程で複数の機器を製造できる製造の性質上、欠陥を特定することで、故障の可能性が高い電気機器を最終的な製造段階から取り除いて装置の故障を排除することができる。これらの故障の態様は多数あり、多様であるが、それらが存在するとかなりのレベルの収益の損失を生じ得る。
【0004】
ピンホールの主な問題は、求められる最小検出可能ピンホールサイズが継続的に減少しているにも拘わらず、現在の検出方法が限界に達し始めていることである。現在の検出方法は、通常、構造の試験サンプルが(エッチング溶液中に)浸漬されるエッチング溶液を利用する。多くのエッチング溶液における1つの方法は、基板上に堆積された薄膜の欠陥を目立たせるためにフッ化水素酸を使用することである。すると、エッチング溶液は、デバイスがサンプル上の故障領域を際立たせる。現在の検出方法の主な問題は、通常は酸であるエッチング溶液への全体的な曝露であり、同じテストサンプルの他の場所の本来利用可能なデバイスに損傷を与える可能性がある。ピンホール検出プロセスは、エッチャントがピンホールを通って流れ、下の層の局所領域に変化を引き起こして、欠陥の位置を示すことができるように、ウェットエッチャントが十分に可動性を有することに依存する。実際には、検出可能な最小ピンホールサイズは、ウェットエッチャントの移動度によって制限され、この検出可能な最小ピンホールサイズは、薄膜層の欠陥を引き起こす可能性のあるすべての障害を検出するのに十分ではない場合がある。さらに、電子デバイスの寸法が縮小し続けているため、デバイスの故障を引き起こす可能性のあるピンホールの欠陥も小さくなる一方、電子デバイスの製造における許容誤差を大きくする必要がある。
【0005】
これは、各種製品またはデバイスに、障害が発生する可能性が高いと考えられる独自の「クリティカルピンホール」しきい値があることも意味する。欠陥検出に利用されている既存のウェットエッチングプロセスでは、プロセスのカスタマイズや制御ができない。さらに、既存のウェットエッチングプロセスの破壊的な性質により、テストサンプルは1つの方法のみでテスト可能である。本発明の一態様の目的は、当技術分野で知られている方法の前述の欠点の1つまたは複数を未然に防ぐか、または少なくとも軽減する、薄膜層の欠陥検出方法を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、薄膜層および犠牲層を含む構造サンプル中の1つまたは複数の欠陥を検出する方法が提供され、この方法は、
・前記薄膜層を気相エッチャントに暴露するステップと、
・前記薄膜層の画像を取得するステップと、
・前記画像を分析するステップと、を含む。
【0007】
有利なことに、気相エッチャントは、液相エッチャントと比較して高い移動度を有する。そのため、気相エッチャントは、薄膜層のはるかに小さな欠陥にアクセスすることができる。このような欠陥が存在する場合、気相エッチャントは隣接する犠牲層の局所領域をエッチングし、薄膜層に応力領域をもたらす。
【0008】
好ましくは、前記薄膜層を気相エッチャントに曝露するステップは、前記薄膜層に存在する欠陥を強調する。
【0009】
好ましくは、前記薄膜層を気相エッチャントに曝露するステップは、前記膜薄層の欠陥の下の犠牲層に空洞を作成する。
【0010】
好ましくは、前記薄膜層を気相エッチャントに曝露するステップは、前記薄膜層の欠陥の周りに応力領域を作成する。
【0011】
好ましくは、この方法は、1つまたは複数の試験パラメータを最適化するステップをさらに含む。
【0012】
薄膜層を気相エッチャントに曝露するときに試験パラメータを最適化できることの利点は、これを用いて検出可能な欠陥サイズを定義できることである。
【0013】
好ましくは、前記1つまたは複数の試験パラメータは、温度;圧力;エッチャント蒸気密度;犠牲層の材料組成;気相エッチャントへの曝露時間;薄膜層の画像の解像度;および必要に応じてプロセス触媒(触媒の蒸気密度と触媒種のパラメータが追加される)、の1つまたは任意の組み合わせを含む。
【0014】
最も好ましくは、前記気相エッチャントは犠牲層をエッチングするが、薄膜層はエッチングしない。したがって、この方法は、犠牲層をエッチングするが薄膜層をエッチングしない気相エッチャントを選択または提供するステップを含み得る。
【0015】
好ましくは、前記気相エッチャントはフッ化水素を含む。前記犠牲層は二酸化ケイ素を含み得る。好ましくは、試験チャンバ内の圧力は、典型的には、真空(0Pa)と大気圧(約100,000Pa)との間であり、最も好ましくは約67Paから6,700Pa(約0.5から50Torr)の間である。好ましくは、試験チャンバ内の温度は、典型的には摂氏~5度から摂氏100度の間であり、最も好ましくは摂氏~5度から摂氏45度の間である。場合により、水またはアルコールが触媒であり得る。
【0016】
あるいは、前記気相エッチャントは、二フッ化キセノンを含み得る。前記犠牲層は、ゲルマニウム、モリブデン、および/または単結晶シリコン、多結晶シリコン、および/またはアモルファスシリコンなどのシリコン系材料を含み得る。好ましくは、試験チャンバ内の圧力は、約67Paから6,700Pa(約0.5から50Torr)の間である。
好ましくは、試験チャンバの温度は、摂氏約15度から摂氏100度の間である。
【0017】
好ましくは、前記薄膜層の画像を取得するステップは、薄膜層の第1の表面の画像を取得するステップを含む。前記第1の表面は、好ましくは犠牲層の反対側である。
【0018】
好ましくは、前記薄膜層の画像を取得するステップは、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡および/または原子間力顕微鏡のような画像化機器を利用するステップを含む。
【0019】
最も好ましくは、前記画像化機器の機器解像度は、1つまたは複数の試験パラメータの最適化に考慮される。
【0020】
好ましくは、前記画像を分析するステップは、前記薄膜層の第1の表面の画像内の欠陥を識別するステップを含む。
【0021】
最も好ましくは、前記画像を分析するステップは、前記薄膜層の第1の表面の画像内の任意の応力領域を識別するステップを含む。任意選択で、前記画像を分析するステップは、任意の欠陥のサイズおよび/または任意の応力領域のサイズを定量化するステップをさらに含み得る。
【0022】
最も好ましくは、前記画像を分析するステップは、欠陥のサイズおよび/または応力領域のサイズが臨界サイズまたは閾値サイズ以上であるか、あるいは臨界サイズまたは閾値サイズよりも小さいかを判定するステップをさらに含む。
【0023】
任意選択で、前記画像を分析するステップは、コンピュータプログラムによって実行され得る。
【0024】
任意選択で、前記画像を分析するステップは、画像強調技術を実行するステップをさらに含み得る。
【0025】
任意選択で、前記画像を分析するステップは、自動化することができる。
【0026】
任意選択で、この方法は、前記薄膜層の2以上の画像を取得するステップを含む。
【0027】
各画像は、同じ画像化機器を使用して、あるいは、異なる品質、解像度、および/またはタイプの2以上の画像化機器を使用して取得することができる。
【0028】
任意選択で、この方法は、前記気相エッチャントへの曝露前の薄膜層の1つまたは複数の画像と、前記気相エッチャントへの曝露後の1つまたは複数の画像を取得するステップを含む。
【0029】
任意選択で、この方法は、前記薄膜層の複数の画像を分析および比較するステップをさらに含む。異なる品質、解像度、またはタイプの1つまたは複数のイメージング機器によって取得された複数の画像を用いると、測定の組み合わせの不確かさを最小限に抑えることによって欠陥を識別する精度が向上し、異なる画像化機器の異なるダイナミックレンジから利益を得ることができる。前記気相エッチャントへの曝露の前後に得られた画像間の差異を比較および特定すると、前記気相エッチャントへの曝露後に得られた単一の画像の検査よりも効果的に欠陥を特定し得る。そのような分析は、自動化され、および/またはソフトウェアなどによってアルゴリズム的に実行され得る。
【0030】
最も好ましくは、前記画像を分析する方法は、1つまたは複数の試験パラメータの最適化に考慮される。
【0031】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様の方法に従って欠陥を検出する試験システムが提供され、当該試験システムは、気相エッチャント送達システムと、構造サンプルを受け入れるように適合または構成された試験チャンバとを含む。
【0032】
好ましくは、前記気相エッチャント送達システムは、1つまたは複数のマスフローコントローラおよび/または液体流量計を含む。前記マスフローコントローラーと液体流量計は、試験チャンバを通過する蒸気エッチャント、触媒、またはキャリアガスの量を制御する。好ましくは、前記試験システムは、前記試験チャンバを介して前記気相エッチャント送達システムと流体連絡しているポンプを含む。
【0033】
好ましくは、前記気相エッチャント送達システムは、フッ化水素源、二フッ化キセノン源、窒素源および触媒源の1つまたは任意の組み合わせを含む。
【0034】
好ましくは、前記試験チャンバは台座を含む。前記構造サンプルは台座に配置され得る。
【0035】
好ましくは、前記試験チャンバは、1つまたは複数の温度制御されたヒータカートリッジを含む。当該1つまたは複数の温度制御されたヒータカートリッジは、チャンバ内の温度を能動的に制御および維持することができる。
【0036】
好ましくは、前記台座は、台座温度コントローラを含む。当該台座温度コントローラは、台座の温度を能動的に制御および維持することができる。
【0037】
好ましくは、前記試験チャンバは圧力計を含む。ポンプ、ポンプに接続されたスロットルバルブ、マスフローコントローラ、および圧力計の組み合わせにより、試験チャンバ内の圧力や蒸気エッチャント密度を制御できる。
【0038】
本発明の第2の態様の実施形態は、本発明の第1の態様の好ましいまたは任意の特徴を実施するための特徴を含むことができ、またはその逆も然りである。
【0039】
本発明の第3の態様によれば、構造サンプルを製造するための品質管理方法が提供され、この方法は、第1の態様の方法に従ってサンプルの欠陥を検出し、それに応じてサンプルを廃棄するか、または廃棄しないステップを含む。
【0040】
前記サンプルを廃棄するか、または廃棄しないステップには、
・欠陥のサイズや応力領域のサイズが臨界サイズまたはしきい値サイズ以上の場合、前記構造サンプルを破棄し、および/または、
・欠陥のサイズや応力領域のサイズが臨界サイズまたはしきい値サイズよりも小さい場合は、構造サンプルを破棄しない、ことが含まれる。
【0041】
本発明の第3の態様の実施形態は、本発明の第1および/または第2の態様の好ましいまたは任意の特徴を実装するための特徴を含むことができ、またはその逆も然りである。
【0042】
本発明の第4の態様によれば、第1の態様の方法に従って、構造サンプルの欠陥を検出するように適合された気相エッチングシステムが提供される。
【0043】
本発明の第4の態様の実施形態は、本発明の第1、第2、または第3の態様の好ましいまたは任意の特徴を実装するための特徴を含むことができ、またはその逆も然りである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
ここで、例としてのみ、図面を参照して本発明の様々な実施形態を説明する。
【
図1】
図1は、エッチャントがフッ化水素である本発明の実施形態による試験システムの概略図を示す。
【
図2】
図2は、エッチャントが二フッ化キセノンである本発明の代替実施形態による試験システムの概略図を示す。
【
図3】
図3は、気相エッチャントに曝露される前の構造サンプルの概略断面図を示す。
【
図4】
図4は、気相エッチャントに曝露された後の構造サンプルの概略断面図を示す。
【
図5】
図5は、気相エッチャントに曝露される前の薄膜層サンプルのSEM画像である。
【
図6】
図6は、気相エッチャントに曝露した後の薄膜層のSEM画像である。
【
図7】
図7は、気相エッチャントに曝された後の薄膜層のSEM画像であり、
図6のSEM画像よりも高い倍率である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の説明では、明細書および図面全体で同じ部品には同じ参照番号が付されている。図面は必ずしも原寸に比例しておらず、本発明の実施形態の詳細および特徴をよりよく説明するために、特定の部品の比率が拡大されている。
【0046】
以下に、本発明の説明を
図1から
図7を参照して説明する。
【0047】
第1の実施形態によれば、
図1は、試験チャンバ4を介して流体連絡するガス供給システム2aおよび真空ポンプ3を含むフッ化水素(HF)蒸気ベースの試験システム1を示す。
【0048】
ガス供給システム2aは、HF蒸気源5、水またはアルコール源の形態の触媒源6、窒素ガス源7、および気化器8を含む。試験チャンバ4内で使用するための触媒蒸気は、触媒源6を気化器8に接続することによって生成される。窒素ガス源7は、気化器8の標準要素であり、触媒蒸気を試験チャンバ4に輸送するのを補助するキャリアガスとして機能する。運用時、触媒蒸気は、HF蒸気エッチング中に使用される。マスフローコントローラまたは液体流量計(MFC/LFM)9および空気圧弁10は、好ましくは、ガス供給システム2aの各供給ライン内に提供されて、試験チャンバ4へのHF蒸気、触媒(水またはアルコール)蒸気および窒素ガスのガス流および方向を調節する。ガス供給システム2aは、HF蒸気、触媒(水またはアルコール)蒸気および窒素ガスを試験チャンバ4内に分配するシャワーヘッド11に接続されている。
【0049】
試験チャンバ4内の圧力を監視するために、圧力計(バラトロン)12が使用される。真空ポンプ3のポンプ速度およびMFC/LFM9の流量は、例えば、ポンプ制御弁13を調整して、試験チャンバ4内の設定された動作圧力を維持することによって制御することができる。
【0050】
試験チャンバ4の温度は、4つの温度制御されたヒータカートリッジ14によって制御される。これらのヒータカートリッジ14は、外部チャンバ温度制御ユニット15によって制御される熱電対を内蔵している。
【0051】
試験チャンバ4は、試験される構造サンプル17が配置される台座16をさらに含む。台座16の温度は、台座温度コントローラ18によって制御される。台座温度コントローラ18は、台座16の動作温度を設定および維持するための手段を提供する。より具体的には、台座温度コントローラ18は、断熱配管によって台座に接続された熱交換器の形態をとり得る。断熱配管は、脱イオン水とエチレングリコールの50:50混合物が含まれている。熱交換器は、試験チャンバ4の外部に配置され、それが出力する液体の温度を制御する内部熱電対を有する。これが後に台座16を冷却(または加熱)する。
【0052】
第2の実施形態によれば、
図2は、二フッ化キセノン(XeF
2)蒸気ベースの試験システム19を示す。このXeF
2蒸気ベースの試験システム19は、
図1に示されているHF蒸気ベースの試験システム1と同じか同等の機能を備えている。HF蒸気ベースの試験システム1とは対照的に、XeF
2蒸気ベースの試験システム19は、異なるガス供給システム2bを具える。このガス供給システム2bは、XeF
2バブラ20および窒素ガス源7を含む。XeF
2バブラ20は、XeF
2結晶を含む。窒素ガスがXeF
2結晶を通過すると、XeF
2が昇華し、窒素ガスによって試験チャンバ4に運ばれる。MFC9は、XeF
2バブラ20への窒素ガスの供給、試験チャンバ4への窒素ガスの供給、および試験チャンバ4へのXeF
2蒸気を伴う窒素ガスの供給を制御する。上記のように、真空ポンプ3および/またはMFC9のポンプ速度は、例えば、ポンプ制御弁13を調整して、試験チャンバ4内の設定された動作圧力を維持することによって制御することができる。上記のように、他の特徴および機能は、第1の実施形態に関連して説明された通りである。
【0053】
試験システム1、19はそれぞれ、HFおよびXeF2蒸気ベースのエッチングシステムと共通の特徴を共有していることに留意されたい。実際、そのようなシステム(および実際に他の機能的に同等のエッチングシステム)は、本発明の方法を実施するための試験システムとして適合、構成、または他の方法で使用され得ることが想定される。
【0054】
図3は、犠牲層または基板22上に堆積された、関心のある層である薄膜層21を含むサンプル構造17の断面概略図を示す。薄膜層21にはピンホール欠陥23があり、このピンホール欠陥23は、第1の表面24から犠牲層22まで、薄膜層21を通って延びている。
【0055】
本発明によれば、薄膜層17におけるピンホール欠陥19の存在を検出するために、薄膜層17は、例えば、試験システム1または19のいずれか、または上記で提案された実際に適切あるいは機能的同等物の試験チャンバ4の台座12上に構造サンプル17を配置することによって、気相エッチャントに曝される。
【0056】
当業者は、サンプル構造17がSi02犠牲層22を含む場合、例えば上記のHF蒸気ベースの試験システム1を使用して、HF気相エッチャントを使用することが適切であることを理解するであろう。
【0057】
HF蒸気ベースの試験システム1を運用するときの典型的であるが非限定的な試験パラメータは、以下の通りであり得る:試験チャンバ4内の圧力は、真空0Paと大気圧約67Paから6,700Pa(約0.5から50Torr)との間;試験チャンバ4内の温度は、摂氏約5度から摂氏100度の間、より具体的には、摂氏約5度から摂氏45度の間;(任意の)触媒は、水またはアルコールであり得る。HF蒸気ベースの試験システム1のガス供給システム2aの代替として、HF気相エッチャントに曝露するための同等の方法は、構造サンプル17を液体HF浴上に懸架し、自然蒸気を利用することによって実行することができる。
【0058】
同様に、当業者は、サンプル構造17の犠牲層22が単結晶シリコン、多結晶シリコン、および/またはアモルファスシリコンなどのシリコン系材料を含む場合、例えば上記のXeF2蒸気ベースの試験システム19を使用してXeF2蒸気エッチャントを用いることが適切であることを理解するであろう。そのようなエッチャントは、犠牲層22がゲルマニウムまたはモリブデンを含む場合にも適しているであろう。
【0059】
XeF2蒸気ベースの試験システム19を運用するときの典型的であるが非限定的な試験パラメータは、以下の通りであり得る:試験チャンバ4内の圧力は、約67Paから6,700Pa(約0.5から50Torr);試験チャンバ4の温度は、摂氏約15度から摂氏45度の間;触媒は必要ないことに留意されたい。
【0060】
上で示唆したように、本発明は、気相エッチャントは犠牲層19をエッチングするが薄膜層21をエッチングしないものが選択される条件において、任意の気相エッチャントを使用して実施できることが想定される。
【0061】
図4は、気相エッチャントに曝露された後のサンプル構造17の断面概略図を示し、欠陥を検出するための方法としての本発明の有効性を明確に強調している。気相エッチャント(例えばHF、XeF
2)は液相エッチャントよりも著しく移動度が高く、出願人は、この移動度の増加により、エッチャントが
図3に示すピンホール欠陥23のような小さな欠陥領域に液体エッチャントよりもアクセスできることを見出した。蒸気エッチャントは、ピンホール欠陥23を介して犠牲層22の局所領域にアクセスすることができる。そのようにして、
図4に示されるように、気相エッチャントは、ピンホール欠陥23の真下の犠牲層22内の空洞25をエッチングする。
【0062】
この空洞の直径がピンホール欠陥23の直径よりも大きい場合、空洞25がピンホール欠陥23を取り囲む薄膜層21の領域をアンダーカットする。薄膜層21のこの領域は、空洞25内へと落ち込み、空洞25の真上の薄膜層21の第1の表面24に応力領域26が生じる。ピンホール欠陥23自体は検出できなくても、この応力領域26は、典型的には、例えば光学顕微鏡顕微鏡学(すなわち、光学検査による検出)、走査型電子顕微鏡(SEM)、または原子間力顕微鏡(AFM)を使用することによって検出することができる。
【0063】
図5は、気相エッチャントに曝露される前の、薄膜層21の第1の表面24の幅1.28mmの領域の走査型電子顕微鏡画像27を示す。この画像27は、目に見えるピンホール欠陥を示していない。画像27の倍率は160倍である。
【0064】
図6は、本発明による気相エッチャントへの曝露後の薄膜層21の第1の表面24の1.30mmの正方形領域の走査型電子顕微鏡画像28を示す。この画像28は、5から20μmの領域に拡大され目に見えるようになった直径を有する多数のピンホール欠陥23を示している。画像28の倍率は163倍である。
【0065】
図7は、本発明による気相エッチャント(この場合はHF)への曝露後の薄膜層21の幅0.391mmの領域の走査型電子顕微鏡画像29を示す。この画像29では、ピンホール欠陥23が応力領域26に囲まれている。応力領域の直径(ピンホール欠陥の拡張直径と呼ばれることもある)は、ピンホールの直径の10倍のオーダーであるため、他の場合よりもはるかに簡単に検出することができる。画像29の倍率は710倍である。
【0066】
図6に示されるように、構造サンプル17は、様々な直径のピンホール欠陥23を含み得る。それを超えると構造サンプルの実現性が損なわれるしきい値を定量化するものとして臨界ピンホール直径を用いることができる。換言すると、臨界ピンホール直径を超える直径のピンホール欠陥は、製造の後続段階または完成した構造の運用中に構造サンプルの故障をもたらすこととなる。逆に、臨界ピンホール直径未満のピンホール欠陥は、構造サンプルの破損を引き起こさない。
【0067】
ただし、このパラメータは構造サンプルの使用目的、薄膜層の組成、製造プロセスなどの要因に依存するため、臨界ピンホールサイズの絶対値はない。上記の背景技術欄で説明したように、デバイスが小さくなり複雑になるにつれて、臨界ピンホールサイズは小さくなっている。
【0068】
例えば、いくつかのアプリケーションでは、直径50μm以上の比較的大きなピンホール欠陥を検出することが製造プロセスにとって重要な場合がある。これらの比較的大きなピンホール欠陥は、気相エッチャントに曝露しないでも検出可能である(すなわち、目に見える)可能性が高いことに留意されたい。この例では、構造サンプルは依然として直径50μm未満のピンホール欠陥を含んでいる可能性があるが、これらの欠陥23は構造サンプルの故障に大きく寄与しないため、製造公差内であると見なされる場合がある。このような場合、サンプルが合格か不合格かを判断するには(顕微鏡またはカメラを使用した)目視検査で十分となり得る。
【0069】
他のアプリケーションでは、数十ミクロン以下のオーダーのサイズまたは直径、さらにはサブミクロンのピンホール欠陥を検出することが重要な場合がある。これらのピンホール欠陥は、一般に、増強プロセスなしでは検出できないので、本発明によりそれらの位置特定が可能となる。
【0070】
試験プロセスは、試験チャンバ4の温度または台座温度、試験チャンバ4の圧力、ポンプ速度、試験チャンバ4のエッチャント蒸気密度、(必要な場合)プロセス触媒(追加パラメータとして触媒蒸気密度および触媒種)、犠牲層の材料組成、および/または気相エッチャントへの曝露時間などのパラメーターを調整することにより、最適化または調整することができる。例えば、試験プロセスは、気相エッチャントへの曝露時間を増加して生成される空洞のサイズ(深さおよび直径)を増大させ、薄膜層21上の応力領域26のコントラストまたは直径(または強化されたピンホール直径)を増加させることによって、比較的小さなピンホール欠陥を強調し、それによって検出(または検出可能に)するように適合させることができる。
【0071】
このため、試験プロセスは、臨界サイズを超える欠陥のみを検出可能に強調するように、試験パラメータを最適化または調整するステップを含み得ることが想定される。すなわち、上記を要約すると、試験パラメータを最適化または調整して、臨界サイズ未満の欠陥を後の画像化、検査、または分析で検出できないようにすることができる(多分に犠牲層のアンダーカットエッチングがないか、不十分であるため)。
【0072】
試験システムの試験パラメータを最適化する際に考慮すべきもう1つの要素は、ピンホールの欠陥を検出する能力が画像化機器(および/または方法)に依存することである。例えば、画像化機器の解像度は、機器の品質または画像化技術のタイプによってさえ変化し得る。したがって、薄膜層の画像撮影に比較的高解像度の光学顕微鏡装置を使用する場合、気相エッチャントは、ピンホール欠陥を検出可能にするために、低解像度の機器の場合のようにピンホール欠陥を大幅に増強または強調する必要がない場合がある。
【0073】
試験システムの試験パラメータを最適化する際に考慮すべきさらなる追加の要因は、画像化機器で撮影された画像のより高度な分析により、検出可能にするために要するピンホール欠陥の増強が最小化し得ることである。
【0074】
気相エッチャントへの曝露後のサンプルの分析は、例えば、目視検査を含んでもよい。例えば、薄膜層は欠陥および/または応力領域を視覚的に識別するために、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡または原子間力顕微鏡の下で、あるいは画像化機器なしで見てもよい。これには、得られた画像の欠陥を誇張するためのある程度の画像強調が含まれてもよい。あるいは、応力領域は、欠陥検出アルゴリズムなどのソフトウェアを使用して識別されてもよい。ソフトウェアを利用する場合、分析プロセスは自動化できる。
【0075】
代替または補完的な分析アプローチは、気相エッチャントに曝露する前にサンプルの画像を取得し、気相エッチャントに曝露した後にサンプルの画像を取得し、これらの画像を視覚的またはアルゴリズム的に比較することであり得る。これらの画像間の違いを特定することにより、気相エッチャントに曝露後のサンプルの単一の画像を単に検査するよりも簡単に欠陥を特定することができる。気相エッチャントへの曝露中に一連の画像を取得して、任意の応力領域の発達を監視できることも想定されている。
【0076】
さらなる代替または補完的な分析アプローチは、異なる画像化機器を使用して薄膜層の複数の画像を取得することであり得る。画像化機器は、品質や画像技術が異なる場合がある。複数の画像を比較すると、1つの画像を検討するよりも効率的に欠陥を特定できる場合がある。さらに、この分析アプローチは、異なるダイナミックレンジを持つ異なる画像化機器を利用することで恩恵を受ける場合がある。例えば、走査型電子顕微鏡は、光学顕微鏡よりもサブミクロンの欠陥をよりよく解像できる可能性がある。他方、光学顕微鏡は、走査型電子顕微鏡と比較して、巨視的欠陥を画像化するのにより速い可能性がある。
【0077】
誤解を避けるために、本発明は、ピンホール欠陥以外の欠陥の検出に適用可能であり、ピンホール欠陥は構造サンプルに存在し得る種類の欠陥の一例に過ぎない。したがって、特徴または利点がピンホール欠陥について説明される場合、これらは亀裂または空洞などの他の種類の欠陥にも適切であり適用可能であると理解されたい。
【0078】
ピンホール欠陥などの欠陥を検出するために気相エッチャントを利用することには、出願人が認識した多くの利点がある。第一に、気相エッチャントの移動性の高いガス分子は、当技術分野で現在知られている方法よりも著しく小さい欠陥にアクセスすることができる。第二に、気相エッチャントは、欠陥の下の犠牲層のみがエッチングされるという点で、より選択的である。薄膜層と犠牲層の未露光領域とは損傷を受けない。したがって、気相エッチャントへの曝露は、欠陥がない場合、または少なくとも薄膜層内の臨界サイズまたは閾値欠陥サイズを超えるものがない場合、非破壊的である。欠陥分析に合格しなかった構造サンプルは取り除けるが、欠陥分析に合格したサンプルは目的に適合しているため、デバイスの歩留まりとスループットが向上するとともに廃棄物が削減される。別の利点は、気相エッチャントの使用の柔軟性と適応性である。さまざまなサイズの欠陥を検出できるように、テストパラメータを変更することができる。試験パラメータの最適化に組み込むことができる要因には、構造サンプルの適用、薄膜層の材料組成、製造プロセス、および欠陥を検出するために使用される画像化技術および/または機器が含まれる。
【0079】
上記の本発明の背景で述べたように、既存の試験方法は破壊的であるが、本発明の試験方法は、試験されるサンプルが臨界欠陥サイズを超える欠陥がない限り、非破壊的である。
【0080】
薄膜層と犠牲層を有する構造サンプルの欠陥検出方法が開示されている。この方法は、薄膜層を気相エッチャントに曝露するステップと、薄膜層の画像を取得するステップと、その画像を分析するステップとを含む。気相エッチャントは、欠陥を通過し、犠牲層内に空洞をエッチングすることによって、薄膜層に存在する欠陥を増強する。この空洞は薄膜層をアンダーカットし、欠陥を囲む応力領域を生じさせる。気相エッチャントへの曝露後にもともと検出できなかった欠陥を検出可能にすることができる。気相エッチャントは、液相エッチャントがアクセスできない欠陥にアクセスできるように、移動性が高いという利点がある。さらに、液相エッチャントとは異なり、気相エッチャントを使用してサンプルを非破壊的にテストすることができる。
【0081】
明細書全体を通して、文脈上別段の要求がない限り、「具える」または「含む」という用語、または「含む」または「含んでいる」、「具える」または「具えている」などの変形語は、記載された数またはグループ数を含むことを意味すると理解されるが、他の数またはグループ数を除外するものではない。さらに、文脈上別段の要求がない限り、「または」という用語は、排他的ではなく包括的であると解釈される。
【0082】
本発明の上記説明は、例示および説明の目的で提示されており、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。記載された実施形態は、本発明の原理およびその実際の適用例を最もよく説明するために選択および説明され、それにより、当業者が様々な実施形態において、企図される特定の使用に適した様々な修正を加えて本発明を最もよく利用できるようにするものである。したがって、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、さらなる修正または改善を組み込むことができる。