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特許7442841金属積層物の集合体を自動的に形成するための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】金属積層物の集合体を自動的に形成するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
H02K15/02 F
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021528019
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 IB2019056328
(87)【国際公開番号】W WO2020021472
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】102018000007490
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521032760
【氏名又は名称】デマ エッセ.エッレ.エッレ.
【氏名又は名称原語表記】DEMA S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】リブリチ チェーザレ
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第0632567(EP,A2)
【文献】米国特許第4710085(US,A)
【文献】米国特許第4439100(US,A)
【文献】米国特許第3687303(US,A)
【文献】実開昭60-062868(JP,U)
【文献】特開昭48-059551(JP,A)
【文献】特開昭50-103068(JP,A)
【文献】特開2017-221085(JP,A)
【文献】特開昭54-120485(JP,A)
【文献】特開2004-023835(JP,A)
【文献】特開2018-042426(JP,A)
【文献】米国特許第4311424(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前設定された数の積層物のピックアップ及び分離で構成される積層物集合体(p’)の自動的な精密調量により、当該集合体(p’)自体の事前設定された高さに基づき、当該集合体(p’)より高い積層物スタック(p)から、電気機械のアーマチャ等を形成するための金属積層物の集合体を自動的に形成するための方法であって、
-前記積層物スタック(p)の一端で、前記積層物集合体(p’)の高さに応じて前記事前設定された数の前記積層物(L)を把持するステップと、
-前記集合体(p’)を前記積層物スタック(p)から事前設定された距離だけ軸方向において動かすことにより、前記集合体(p’)の前記数の前記積層物(L)を前記積層物スタック(p)から分離するステップと、
-前記積層物集合体(p’)の前記積層物スタック(p)側の端部に1つ又は複数の積層物(L’)がある場合には当該積層物(L’)を切り離す作業を行うステップと、ここで、最後になる可能性のある1つ又は複数の積層物が、前記集合体の最後の積層物となるべき前記積層物集合体(p’)の積層物に誤って付着したままであり、当該最後になる可能性のある1つ若しくは複数の積層物は、その厚さの一部によって不安定に挟まれており、又は、前記積層物スタックにおける分離された前記積層物集合体(p’)側の第1の積層物となるべき前記積層物集合体(p’)のうち最下部の積層物に適度に接着しており、
-切り離した積層物がある場合には、前記積層物スタックの前記集合体側の端部における前記スタック(p)の前記積層物と軸方向に整列した位置に当該積層物を収集するステップと、
を有する方法において、
前記切り離し作業は、
前記積層物集合体(p’)における前記積層物スタック(p)側の端部において、可能性のある1つ又は複数の積層物(L’)を離隔する方向に、スクレイピング作業によって部分的な切り離しを行う第1のステップと、ただし、当該スクレイピングは、前記積層物周部の1つの領域において前記積層物集合体の軸方向に沿って行われることにより、前記集合体(p’)の最後の積層物となるべき積層物から前記積層物を離隔させるギャップを形成し、当該ギャップは部分的にのみ前記積層物の周方向広がりに沿って延在し、
前記積層物集合体(p’)における前記積層物スタック(p)側の端部において前記1つ又は複数の積層物(L’)の切り離しを完了する第2の完了ステップと、
の2つの連続したステップにより行われ、
前記第2の完了ステップは、まず前記積層物集合体(p’)間、すなわち前記集合体(p’)の最後の積層物となるべき積層物と、当該積層物集合体(p’)における前記積層物スタック(p)側の端部の1つ又は複数の可能性のある積層物(L’)と、の間において前記離隔ギャップに分離ナイフを入れ、その後、当該ナイフを前記積層物周部の一部に沿って動かすことにより行われる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ナイフの変位は、前記積層物周部の一部であって前記周部広がりの少なくとも1/4から最大1/2の範囲の一部に相当する経路に沿って行われる、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記積層物は回転対称の周部を有し、とりわけ円形の周部を有し、
前記ナイフの経路は、前記積層物の円形の軸と同軸の円の円弧に沿って実施される、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記積層物スタック(p)の上端から前記積層物集合体(p’)をピックアップする間、前記積層物スタック(p)の向きは鉛直方向であり、
前記積層物集合体(p’)のために規定された最後の積層物に誤って付着したままの前記1つ又は複数の積層物(L’)は、重力による前記積層物スタック(p)の上端への落下により収集される、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記積層物集合体(p’)の最後の積層物に誤って付着した前記1つ又は複数の最後になる可能性のある積層物(L’)の分離後、前記積層物集合体(p’)の最後の積層物を定位置に保持するさらなるステップが設けられている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記各積層物集合体(p’)は、前記アーマチャを構成すべき前記積層物の総数のうち部分集合体を構成し、
複数の前記積層物集合体(p’)が順次形成され、
前記積層物集合体(p’)は互いに合同及び/又は同軸位置に積み重ねられて完成状態の前記アーマチャを構成する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記積層物は所定の回転角について回転対称であり、
前記各積層物集合体(p’)は、対称軸まわりに先行の前記集合体に対して前記回転角だけ又はその整数倍だけ回転された後、前記先行の集合体に重ねられる、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法によって、電気機械のアーマチャを形成するための金属積層物の集合体を自動的に形成するための装置であって、
重なる積層物の少なくとも1つのスタック(p)の少なくとも1つの鉛直方向貯蔵部と、
所定数の積層物を有する積層物集合体(p’)のソート分離ステーションと、
少なくとも一端が前記ソート分離ステーションに位置する、前記積層物スタック(p)の直進移動部と、
を備えており、
前記ソート分離ステーションは、前記積層物集合体(p’)を径方向に挟持するためのグリッパを備えており、前記グリッパは、前記積層物集合体(p’)の前記積層物の少なくとも一部を挟持する状態と、当該積層物と干渉しない状態と、に選択的に切り替え可能であり、
前記装置はさらに、
前記積層物集合体(p’)に対して規定された前記積層物の数に応じて前記積層物スタックの端部に対して前記グリッパを相対的に位置決めするため、前記挟持グリッパを前記積層物スタックに対して相対的に直進移動させるか又は前記積層物スタックを前記挟持グリッパに対して相対的に直進移動させる直進移動部と、
ネイル部又は切り離し/スクレイピングフィンガ部と、
を備えており、
前記ネイル部又はフィンガ部は、前記積層物集合体(p’)の最後の積層物となるべきであるが前記積層物集合体(p’)に不適切に付着した積層物(L’)を当該ネイル部又はフィンガ部が分離する経路に沿って可動であり、ここで、当該最後になる可能性のある1つ若しくは複数の積層物は、その厚さの一部によって不安定に挟まれており、又は、前記積層物スタックにおける分離された前記積層物集合体(p’)側の第1の積層物となるべき前記積層物集合体(p’)のうち最下部の積層物に適度に接着している、装置において、
前記ネイル部又は切り離し/スクレイピングフィンガ部は、前記積層物集合体(p’)の積層物の周部の一点のみと一致する当該積層物の周部の軸方向バンドと協働し、
分離ナイフが設けられて、前記積層物集合体(p’)の軸又は前記積層物スタック(p)の軸を基準として径方向に可動となるように、前記積層物周部の前記軸方向バンドと一致する位置又は前記軸方向バンドの隣の位置に支持されており、
前記ナイフはさらに、前記積層物集合体(p’)の軸まわり又は前記積層物スタックの軸まわりに前記積層物の外周の少なくとも一部に沿った経路にわたって角運動可能に支持されており、
前記直進移動部と、前記グリッパと、前記フィンガ部又は前記スクレイピングネイル部と、前記分離ナイフとを動作させる制御ユニットが設けられており、
前記制御ユニットは、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法により提供される機能を実行するための指令を備えた制御プログラムを実行する
ことを特徴とする装置。
【請求項9】
前記の積層物の平面視の形状は円形に成形可能であり、
前記ナイフは、前記円の軸と同軸の円の円弧に相当する経路上で角運動可能であるように支持されている、
請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記ソート分離ステーションは、前記積層物スタック(p)の上端に、当該上端から所定の距離をおいて設けられている、
請求項8又は9記載の装置。
【請求項11】
前記積層物スタック(p)の前記直進移動手段は、前記積層物スタックの前記鉛直方向貯蔵部の底壁を含み、
前記底壁は、鉛直方向ガイドにスライド可能に取り付けられていると共に、鉛直方向の双方向にスライドするように直進アクチュエータによって作動される、
請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記ソート分離ステーションは上部支持部を備えており、
前記上部支持部を起点として複数の支持アームが、前記積層物集合体(p’)を径方向に挟持する前記グリッパと、前記フィンガ部又は切り離し/スクレイピングネイル部と、前記分離ナイフとからそれぞれ径方向外向きに設けられている、
請求項8から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記分離ナイフの前記支持アームは、当該アームの長手方向の向きであるスライドガイドに沿ってスライドする前記キャリッジが当該アームに取り付けられている間、前記積層物スタック(p)若しくは前記積層物集合体(p’)の中心軸と一致する軸まわり又は前記積層物スタック(p)若しくは前記積層物集合体(p’)の軸と平行な軸まわりに角回転可能であり、
前記ナイフの自由先端が前記積層物集合体(p’)のシェル表面から離隔する径方向外側の終了位置と、前記積層物集合体(p’)の隣り合う2つの積層物間の中間位置で所定の長さだけ前記分離ナイフが突出する径方向内側の終了位置と、の2つの終了位置間で前記キャリッジを前記ガイドに沿って直進移動させるアクチュエータが設けられている、
請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記装置は環状の積層物と共に使用されるものであり、
前記積層物集合体(p’)の前記挟持グリッパは、当該積層物集合体(p’)のシェル壁の径方向外側の挟持部と、前記積層物集合体(p’)の径方向内側のシェル表面の径方向内側の対向挟持部と、を備えており、
前記2つの挟持部は、各対応する前記内側及び外側のシェルと接触する表面を有すると共に、当該表面は前記シェル表面の角度広がりの一部である所定の角度長を有し、相応の形状を有し、
前記2つの挟持部は、前記積層物集合体(p’)を間に挟む閉位置と、互いに離隔すると共に対応する前記内側及び外側のシェル壁から離隔する位置と、に径方向に変位可能である、
請求項8から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記積層物集合体(p’)から離隔する前記分離ナイフの分離ストロークと当該分離ナイフの径方向変位の両方が行われた後に作動される、前記積層物スタック(p)の他の取り外し可能な支持部が設けられており、
前記支持部は、角度方向のそれぞれ異なる位置に配置された少なくとも2つの径方向歯部から成り、当該歯部は好適には、前記積層物スタック(p)又は前記積層物集合体(p’)のシェル表面の軸を基準として互いに直径上に反対方向であると共に、直進アクチュエータによって、前記積層物集合体(p’)の最後の最下部の積層物の面と重なる重なり位置と、前記積層物スタック(p)及び/又は前記積層物集合体(p’)の外側シェル表面を基準として径方向外側に離隔した位置とに、共に径方向に変位可能である、
請求項8から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも2つの径方向歯部はそれぞれ径方向アームに取り付けられ、当該アームに固定されたスライドガイドに支持されており、前記径方向歯部の向きは、各対応するものの長手方向となっており、直進アクチュエータによって各対応する前記ガイドに沿って2つのスライド手法で制御される、
請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記積層物集合体(p’)の前記把持グリッパと、前記ネイル部又は切り離し/スクレイピングフィンガ部と、前記分離ナイフと、支持アームを備えた前記積層物集合体(p’)の前記少なくとも2つの取り外し可能な支持歯部と、前記直進ガイドと、直進及び回転アクチュエータとは、共に共通の支持フレームによって支持されており、
前記支持フレームはスライドガイドとスライドアクチュエータとを用いて、前記積層物集合体(p’)の前記ソート分離ステーションと、少なくとも1つの集合体(p’)に含まれる積層物の数以上の数の複数の積層物により構成される電気機械のアーマチャ等の組立ステーションとの間で変位可能となるように取り付けられている、
請求項8から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、所定の回転角で回転対称である積層物との関連で構成されており、少なくとも2つの前記積層物集合体から構成されるアーマチャの形成の際に、前記積層物集合体(p’)を把持するためのグリッパと、前記ネイル部又は切り離し/スクレイピングフィンガ部と、前記分離ナイフと、各対応する支持アームを備え前記積層物集合体(p’)を支持する少なくとも2つの取り外し可能な歯部と、前記直進ガイド並びに前記直進及び回転アクチュエータとから構成されたアセンブリ、すなわち共通の前記支持フレームはさらに、電動の回転支持部に取り付けられており、
前記回転支持部は、前記各積層物集合体(p’)を先行の前記集合体を基準として対称軸まわりに前記回転角又はその整数倍だけ回転させた後に先行の前記集合体に重ねることができるようにするため、前記アセンブリすなわち前記フレームを、前記積層物集合体の前記対称軸と一致する回転軸まわりに回転させるように構成されている、
請求項1から17までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
請求項8記載の装置との組み合わせで、電気機械等のアーマチャを製造するためのプラントであって、
積層物スタック(p)の列のフィーダであって、当該スタック(p)を当該スタック(p)の装填ステーションから積層物集合体(p’)のソート分離ステーションへ移動させるフィーダと、
積層物集合体(p’)をソート分離ステーションから、少なくとも2つの前記積層物集合体(p’)が軸方向に整列して配置され互いに一致する電気機械のアーマチャ等に複数の前記積層物集合体(p’)を重ね合わせて組み立てるための組立ステーションへ移送させるための移送部材と、
を備えており、
前記組立ステーションは、
少なくとも1つ以上の前記積層物集合体(p’)から成る前記アーマチャを組み立てるための貯蔵部であって、当該積層物のセンタリングガイドを備えた貯蔵部と、
前記貯蔵部において取り出された1つ又は複数の前記積層物集合体(p’)の前記積層物の軸方向押圧部と、
前記組立貯蔵部に設けられ互いに押圧された状態の前記積層物集合体(p’)の前記積層物を、前記貯蔵部における前記積層物集合体(p’)の軸方向に1つ又は複数の溶接ビードを生成する1つ又は複数の溶接部によって安定的に接続するためのツール
を備えており、
前記1つ又は複数の溶接部は、前記積層物集合体(p’)の軸に対して平行なガイド及び/又は当該軸を基準として径方向のガイドに沿って、作業距離又はスタンバイ距離に選択的に変位可能であるように支持されており、
前記組立ステーションはさらに、前記積層物を互いに安定的に相互接続した後に前記貯蔵部から前記積層物集合体(p’)を取り出すための把持部及びコンベヤを備えており、
前記積層物集合体(p’)の前記ソート分離ステーションに、請求項8から18までのいずれか1項記載の金属積層物集合体を自動的に形成するための装置が設けられている
ことを特徴とするプラント。
【請求項20】
前記積層物スタック(p)の前記フィーダは、それぞれ1つの前記積層物スタック(p)に対応する複数の角度的に等間隔の鉛直方向貯蔵部を分散した回転テーブルを備えており、
各異なる角度位置で前記回転テーブルは前記貯蔵部を1つずつ、積層物スタック(p)を貯蔵部と前記ソート分離ステーションとに供給/形成するための供給/形成ステーションへ移送する、
請求項19載のプラント。
【請求項21】
前記組立ステーションは、
回転テーブルであって、軸が当該回転テーブルの回転軸に対して平行である複数の角度的に等間隔の組立貯蔵部を分散させた回転テーブルと、
1つ又は複数の積層物集合体(p’)により構成される電気機械のアーマチャを組み立てるための複数の組立貯蔵部であって、各貯蔵部は前記テーブルの回転によって前記組立ステーションから、完成した前記アーマチャを各対応する前記組立貯蔵部から取り出すための取り出しステーションへそれぞれ直進移動される組立貯蔵部と、
を備えており、
前記取り出しステーションは把持/直進移動手段を備えていると共に、前記回転テーブルの回転を基準として前記組立ステーションとは異なる角度位置に配置されている、
請求項19又は20記載のプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事前設定された数の積層物のピックアップ及び分離で構成される積層物集合体(p’)の自動的な精密調量により、当該集合体(p’)自体の事前設定された高さに基づき、当該集合体(p’)より高い積層物スタック(p)から、電気機械のアーマチャ等を形成するための金属積層物の集合体を自動的に形成するための方法に関し、当該方法は、
-積層物スタック(p)の一端で、積層物集合体(p’)の高さに応じて事前設定された数の積層物(L)を把持するステップと、
-集合体(p’)を積層物スタック(p)から事前設定された距離だけ軸方向において動かすことにより、集合体(p’)の前記数の積層物(L)を積層物スタック(p)から分離するステップと、
-積層物集合体(p’)の積層物スタック(p)側の端部に1つ又は複数の積層物(L’)がある場合にはこれを切り離す作業を行うステップと、ここで、最後になる可能性のある1つ又は複数の積層物が、集合体の最後の積層物となるべき積層物集合体(p’)の積層物に誤って付着したままであり、当該最後になる可能性のある1つ若しくは複数の積層物は、その厚さの一部によって不安定に挟まれており、又は、積層物スタックにおける分離された積層物集合体(p’)側の第1の積層物となるべき積層物集合体(p’)のうち最下部の積層物に適度に接着しており、
-切り離した積層物がある場合には、積層物スタックの集合体側の端部におけるスタック(p)の積層物と軸方向に整列した位置に当該積層物を収集するステップと、
を有する。
【背景技術】
【0002】
この種の方法は、欧州特許第0632567号明細書から公知である。同文献には、事前設定された数の積層物のピックアップ及び分離で構成される積層物集合体の自動的な精密調量により、当該集合体自体の事前設定された高さに基づき、積層物スタックから、電気機械のアーマチャ等を製造するための金属ブランク積層物の集合体を自動的に形成するための方法及び装置が記載されており、積層物スタックの鉛直方向貯蔵部が設けられており、鉛直方向貯蔵部は底部が開口しており、鉛直方向貯蔵部の下端には、積層物集合体をピックアップするために昇降できるピックアップ底部が組み合わされている。同文献に記載の積層物集合体を形成するためのステップは、
-鉛直方向の積層物スタックの最下部の積層物から事前設定された距離にある上昇位置にピックアップ底部を変位させ、スタックの1つ又は複数の最下部の積層物自体の周縁と協働する少なくとも1つの挟持グリッパによって、ピックアップ底部に向かって重力による落下を防止するように拘束し、前記距離は、ピックアップすべき積層物集合体の事前設定された高さすなわちスタック(p)の積層物の特定の数に相当し、
-積層物スタックをピックアップするため、挟持グリッパを開いて積層物スタックの事前設定された高さ寸法に相当する程度までピックアップ底部に向かって挟持グリッパを重力によりスライドさせ、
-挟持グリッパを再び閉じて、ピックアップ底部を最初に下降させてからその後に上部の積層物スタックから積層物集合体を切り離すことにより、上部の積層物スタックから積層物集合体を分離し、
-次の集合体の最初の最下層となるべきであるが分離した集合体の最後になる可能性のある積層物であって、誤って厚さの一部について挟持グリッパにより不安定に挟持されたまま又は積層物スタックの最下部の積層物に適度に接着したままとなって底部で少なくとも一部が挟持グリッパ自体の下面から突出した積層物の切り離し作業を、挟持グリッパの直下又は不安定に誤って拘束された積層物に切り離し手段が作用することによって行う、
というものである。
【0003】
積層物スタックから分離すべき積層物集合体の調量は、様々な理由から困難となっている。
【0004】
第1の理由は、積層物集合体の事前設定された高さ寸法に対する当該積層物集合体を構成する積層物の数を知ることができず、集合体のうち最後に分離すべき上部の積層物と、スタックのうち次の集合体の最初の最下部の積層物となる最下部の積層物との間の分割線を決定することができない、というものである。これは、各個別の積層物をブランクにする元となるシートの厚さ公差に起因する。シートのかかる公差により、上部の積層物スタックから集合体を分離する際には、分離したスタックに未だ属する最後の上部の積層物が、これを貯蔵部にロックするための手段により、例えば当該手段がその厚さの僅かな一部についてのみ係合されて、上部の積層物スタックの下端部に未だ不安定に拘束される可能性がある。よって、かかる条件下では、分離した積層物集合体が一部の積層物を失って寸法不足になってしまう。
【0005】
他の1つの問題は、分離した集合体に属する最後の積層物であって不安定に拘束されている積層物が、不正確な時点で自ら切り離される可能性があること、又は、制御不能に落下することによって装置に損傷を与え及び/若しくは押し潰し得ることである。
【0006】
他の1つの理由は、分離した集合体の最後の積層物が、例えばブランク化用潤滑剤、酸化物、材料のアニール処理、又はこれらに類する他の原因等に起因する適度な接着作用又は付着によって、不安定に拘束され得ることに拠るものである。
【0007】
文献欧州特許第0632567号明細書に記載の解決手段は、積層物の寸法が特定の径限界以内に収まる限りにおいて、上記の問題を完璧に解決する。
【0008】
例えば電動ハイブリッド車等に用いられる電気モータのアーマチャ等において、各個別の積層物の径及び接触面が増加すると、欧州特許第0632567号明細書の解決手段により提供される切り離し作業では、積層物が集合体と誤って組み合わさったままであること、及び、実際に積層物集合体とは別個の切り離しフィンガ部により離隔していたことを保証するために十分ではなくなる。実際、切り離しフィンガ部の動作は、角度幅が比較的小さい積層物集合体の軸方向バンドに沿って行われ、積層物の寸法が比較的大きくなると、切り離しフィンガ部の動作のバンドから角度的に離隔した複数ポイントにおける付着力が、切り離してスタックに再配置すべきであった積層物を未だ集合体に付着した状態に維持するような付着力となり得る。
【0009】
さらに、文献欧州特許第0632567号明細書において提案されている解決手段は、積層物集合体を積層物スタックの底部から選択して分離するものである。これは、積層物の寸法の増大により積層物の重量が増加したときに不利となる。
【発明の概要】
【0010】
よって、本発明の第1の側面の課題は、積層物の寸法が大きい場合でも、製造サイクルの中断や装置へのいかなる損傷も回避して集合体の最大動作速度及び最大調量精度を達成するために、比較的簡単かつ低コストの手段を用いて上記の欠点を効果的に解消することを可能にする、冒頭に述べた種類の積層物集合体を形成するための方法を改善することである。
【0011】
本発明の上記の第1の側面の課題は、事前設定された数の積層物のピックアップ及び分離で構成される積層物集合体(p’)の自動的な精密調量により、当該集合体(p’)自体の事前設定された高さに基づき、当該集合体(p’)より高い積層物スタック(p)から、電気機械のアーマチャ等を形成するための金属積層物の集合体を自動的に形成するための方法であって、
-積層物スタック(p)の一端で、積層物集合体(p’)の高さに応じて事前設定された数の積層物(L)を把持するステップと、
-集合体(p’)を積層物スタック(p)から事前設定された距離だけ軸方向において動かすことにより、集合体(p’)の前記数の積層物(L)を積層物スタック(p)から分離するステップと、
-積層物集合体(p’)の積層物スタック(p)側の端部に1つ又は複数の積層物(L’)がある場合にはこれを切り離す作業を行うステップと、ここで、最後になる可能性のある1つ又は複数の積層物が、集合体の最後の積層物となるべき積層物集合体(p’)の積層物に誤って付着したままであり、当該最後になる可能性のある1つ若しくは複数の積層物は、その厚さの一部によって不安定に挟まれており、又は、積層物スタックにおける分離された積層物集合体(p’)側の第1の積層物となるべき積層物集合体(p’)のうち最下部の積層物に適度に接着しており、
-切り離した積層物がある場合には、積層物スタックの集合体側の端部におけるスタック(p)の積層物と軸方向に整列した位置に当該積層物を収集するステップと、
を有する方法であって、
切り離し作業は、
-積層物集合体(p’)における積層物スタック(p)側の端部において、可能性のある1つ又は複数の積層物(L’)を離隔する方向に、スクレイピング作業によって部分的な切り離しを行う第1のステップと、ただしスクレイピングは、積層物周部の1つの領域において積層物集合体の軸方向に沿って行われることにより、集合体(p’)の最後の積層物となるべき積層物から上記の積層物を離隔させるギャップを形成し、当該ギャップは部分的にのみ積層物の周方向の広がりに沿って延在し、
-積層物集合体(p’)における積層物スタック(p)側の端部において前記1つ又は複数の積層物(L’)の切り離しを完了する第2の完了ステップと、の2つの連続したステップにより行われ、
第2の完了ステップは、まず積層物集合体(p’)間、すなわち集合体(p’)の最後の積層物となるべき積層物と、当該積層物集合体(p’)における積層物スタック(p)側の端部の前記1つ又は複数の可能性のある積層物(L’)と、の間において前記離隔ギャップに分離ナイフを入れ、その後、当該ナイフを積層物周部の一部に沿って動かすことにより行われる。
【0012】
一実施形態では、ナイフの変位は積層物周部の一部であって周部の広がりの少なくとも1/4から最大1/2の範囲の一部に相当する経路に沿って行われる。
【0013】
一実施形態では前記方法は、回転対称の周部を有する積層物との組み合わせで、とりわけ円形の周部を有する積層物との組み合わせで実施され、ナイフ経路は、当該積層物の円形の軸と同軸の円の円弧に沿って実施される。
【0014】
一実施形態では、積層物スタック(p)の上端から積層物集合体(p’)をピックアップする間、積層物スタック(p)の向きは鉛直方向であり、積層物集合体(p’)のために規定された最後の積層物に誤って付着したままの前記1つ又は複数の積層物(L’)は、重力による積層物スタック(p)の上端への落下により収集される。
【0015】
本発明の方法は、上記のいずれか1つ又は複数の実施形態と組み合わせた上で、積層物集合体(p’)の最後の積層物に誤って付着した1つ又は複数の最後になる可能性のある積層物(L’)の分離後、積層物集合体(p’)の最後の積層物を定位置に保持するステップをさらに有することができる。
【0016】
さらに一実施形態では、各積層物集合体(p’)は、アーマチャを構成すべき積層物の総数のうち部分集合体を構成し、複数の積層物集合体(p’)が順次形成され、積層物集合体(p’)は互いに合同及び/又は同軸位置に積み重ねられて完成状態のアーマチャを構成する。
【0017】
有利には、可能な一改良形態では、積層物が所定の回転角について回転対称である場合、先行の集合体に重ねられている各積層物集合体(p’)を対称軸まわりに当該先行の集合体に対して当該回転角だけ又はその整数倍(full multiple)だけ回転させるのが有利である。
【0018】
また本発明は、上記の特徴及び実施形態並びにそのサブコンビネーションのうち1つ又は複数による方法によって、電気機械のアーマチャを形成するための金属積層物の集合体を自動的に形成するための装置も対象とし、当該装置は、
重なる積層物の少なくとも1つのスタック(p)の少なくとも1つの鉛直方向貯蔵部と、
所定数の積層物を有する積層物集合体(p’)のソート分離ステーションと、
少なくとも一端がソート分離ステーションに位置する、積層物スタック(p)の直進移動部と、
を備えており、
ソート分離ステーションは、積層物集合体(p’)を径方向に挟持するためのグリッパを備えており、グリッパは、積層物集合体(p’)の積層物の少なくとも一部を挟持する状態と、当該積層物と干渉しない状態と、に選択的に切り替え可能であり、
前記装置はさらに、
積層物集合体(p’)に対して規定された積層物の数に応じて積層物スタックの端部に対してグリッパを相対的に位置決めするため、挟持グリッパを積層物スタックに対して相対的に直進移動させるか又は積層物スタックを挟持グリッパに対して相対的に直進移動させる直進移動部と、
ネイル部又は切り離し/スクレイピングフィンガ部と、
を備えており、
ネイル部又はフィンガ部は、積層物集合体(p’)の最後の積層物となるべきであるが積層物集合体(p’)に不適切に付着した積層物(L’)を当該ネイル部又はフィンガ部が分離する経路に沿って可動であり、ここで、当該最後になる可能性のある1つ若しくは複数の積層物は、その厚さの一部によって不安定に挟まれており、又は、積層物スタックにおける分離された積層物集合体(p’)側の第1の積層物となるべき積層物集合体(p’)のうち最下部の積層物に適度に接着しており、
ネイル部又は切り離し/スクレイピングフィンガ部は、積層物集合体(p’)の積層物の周部の一点のみと一致する当該積層物の周部の軸方向バンドと協働し、
分離ナイフが設けられて、積層物集合体(p’)の軸又は積層物スタック(p)の軸を基準として径方向に可動となるように、積層物周部の軸方向バンドと一致する位置又は軸方向バンドの隣の位置に支持されており、
前記ナイフはさらに、積層物集合体(p’)の軸まわり又は積層物スタックの軸まわりに前記積層物の外周の少なくとも一部に沿った経路にわたって角運動可能に支持されており、
前記直進移動部と、前記グリッパと、前記フィンガ部又は前記スクレイピングネイル部と、前記分離ナイフとを動作させる制御ユニットが設けられており、
前記制御ユニットは、先行の請求項のうち一項又は複数項に記載の方法により提供される機能を実行するための指令を備えた制御プログラムを実行する。
【0019】
一実施形態では、平面視の形状が円形に成形可能(inscribable)である積層物が使用され、ナイフは、当該円の軸と同軸の円の円弧に相当する経路上で角運動可能であるように支持されている。
【0020】
一実施形態では、ソート分離ステーションは積層物スタック(p)の上端に、当該上端から所定の距離をおいて設けられている。
【0021】
さらに他の一実施形態では、積層物スタック(p)の直進移動手段は積層物スタックの鉛直方向貯蔵部の底壁を含み、底壁は鉛直方向ガイドにスライド可能に取り付けられていると共に、鉛直方向の双方向にスライドするように直進アクチュエータによって作動される。
【0022】
先行の実施形態と任意の組み合わせで実施できるさらに他の一実施形態では、ソート分離ステーションは上部支持部を備えており、上部支持部を起点として複数の支持アームが、積層物集合体(p’)を径方向に挟持するグリッパと、フィンガ部又は切り離し/スクレイピングネイル部と、分離ナイフとからそれぞれ径方向外向きに設けられている。
【0023】
一変形形態では、分離ナイフの支持アームは、当該アームの長手方向の向きであるスライドガイドに沿ってスライドするキャリッジが当該アームに取り付けられている間、積層物スタック(p)若しくは積層物集合体(p’)の中心軸と一致する軸まわり又は積層物スタック(p)若しくは積層物集合体(p’)の軸と平行な軸まわりに角回転可能であり、ナイフの自由先端が積層物集合体(p’)のシェル表面から離隔する径方向外側の終了位置と、積層物集合体(p’)の隣り合う2つの積層物間の中間位置で所定の長さだけ分離ナイフが突出する径方向内側の終了位置と、の2つの終了位置間でキャリッジを前記ガイドに沿って直進移動させるアクチュエータが設けられている。
【0024】
一実施形態では、前記装置は環状の積層物と共に使用されるものであり、積層物集合体(p’)の挟持グリッパは、当該積層物集合体(p’)のシェル壁の径方向外側の挟持部と、積層物集合体(p’)の径方向内側のシェル表面の径方向内側の対向挟持部と、を備えており、前記2つの挟持部は、各対応する内側及び外側のシェルと接触する表面を有すると共に、当該表面はシェル表面の角度広がりの一部である所定の角度長を有し、相応の形状を有し、2つの挟持部は、積層物集合体(p’)を間に挟む閉位置と、互いに離隔すると共に対応する内側及び外側のシェル壁から離隔する位置と、に径方向に変位可能である。
【0025】
1つ又は複数の先行の特徴と任意の組み合わせで実施可能な他の一特徴では、積層物集合体(p’)から離隔する分離ナイフの分離ストロークと当該分離ナイフの径方向変位の両方が行われた後に作動される、積層物スタック(p)の他の取り外し可能な支持部が設けられており、当該支持部は、角度方向のそれぞれ異なる位置に配置された少なくとも2つの径方向歯部から成り、当該歯部は好適には、積層物スタック(p)又は積層物集合体(p’)のシェル表面の軸を基準として互いに直径上に反対方向であると共に、直進アクチュエータによって、積層物集合体(p’)の最後の最下部の積層物の面と重なる重なり位置と、積層物スタック(p)及び/又は積層物集合体(p’)の外側シェル表面を基準として径方向外側に離隔した位置とに、径方向に共に変位可能である。
【0026】
一実施形態では、上記の少なくとも2つの径方向歯部はそれぞれ径方向アームに取り付けられ、当該アームに固定されたスライドガイドに支持されており、径方向歯部の向きは、各対応するものの長手方向となっており、直進アクチュエータによって各対応するガイドに沿って2つのスライド手法で制御される。
【0027】
一変形形態では、積層物集合体(p’)の把持グリッパと、ネイル部又は切り離し/スクレイピングフィンガ部と、分離ナイフと、支持アームを備えた積層物集合体(p’)の少なくとも2つの取り外し可能な支持歯部と、直進ガイドと、直進及び回転アクチュエータとは、共に共通の支持フレームによって支持されており、支持フレームはスライドガイドとスライドアクチュエータとを用いて、積層物集合体(p’)のソート分離ステーションと、少なくとも集合体(p’)に含まれる積層物の数以上の数の複数の積層物により構成される電気機械のアーマチャ等の組立ステーションとの間で変位可能となるように取り付けられている。
【0028】
有利には、積層物が所定の回転角で回転対称である場合、少なくとも2つの積層物集合体から構成されるアーマチャであって先行のスタックに重ねられた各積層物集合体(p’)が当該先行の集合体を基準として対称軸まわりに前記回転角やその整数倍だけ回転しているアーマチャの形成の際に、積層物集合体(p’)を把持するためのグリッパと、ネイル部又は切り離し/スクレイピングフィンガ部と、分離ナイフと、各対応する支持アームを備え積層物集合体(p’)を支持する少なくとも2つの取り外し可能な歯部と、直進ガイド並びに直進及び回転アクチュエータとから構成されたアセンブリ、すなわち共通の支持フレームはさらに、電動の回転支持部に取り付けられており、回転支持部はアセンブリすなわちフレームを、積層物集合体の対称軸と一致する回転軸まわりに回転させるように構成されている。
【0029】
本発明のさらに他の一側面の対象は、電気機械のアーマチャ等を製造するためのプラントであって、本方法の上記の各ステップのうち1つ又は複数のステップにより動作し、上記の特徴の組み合わせのうち1つ又は複数の装置を設けたプラントである。
【0030】
一実施形態ではプラントは、
積層物スタック(p)の列のフィーダであって、当該スタック(p)を当該スタック(p)の装填ステーションから積層物集合体(p’)のソート分離ステーションへ移動させるフィーダと、
積層物集合体(p’)をソート分離ステーションから、少なくとも2つの積層物集合体(p’)が軸方向に整列して配置され互いに一致する電気機械のアーマチャに複数の積層物集合体(p’)を重ね合わせて組み立てるための組立ステーションへ移送させるための移送部材と、
を備えており、
組立ステーションは、
少なくとも1つ以上の積層物集合体(p’)から成るアーマチャを組み立てるための貯蔵部であって、当該積層物のセンタリングガイドを備えた貯蔵部と、
貯蔵部において取り出された1つ又は複数の積層物集合体(p’)の積層物の軸方向押圧部と、
組立貯蔵部において事前設定され互いに押圧された状態の積層物集合体(p’)の積層物を安定的に接続するためのツール、例えば貯蔵部における積層物集合体(p’)の軸方向に1つ又は複数の溶接ビードを生成する1つ又は複数の溶接部等と、
を備えており、
1つ又は複数の溶接部は、積層物集合体(p’)の軸に対して平行なガイド及び/又は当該軸を基準として径方向のガイドに沿って、作業距離又はスタンバイ距離に選択的に変位可能であるように支持されており、
組立ステーションはさらに、積層物を互いに安定的に相互接続した後に積層物集合体(p’)を取り出すための把持部/コンベヤを備えている。
【0031】
本発明では、積層物集合体(p’)のソート分離ステーションに、上記の実施形態のうち1つ若しくは複数の実施形態又はこれらの実施形態の組み合わせの金属積層物集合体を自動的に形成するための装置が設けられている。
【0032】
一実施形態では、積層物スタック(p)のフィーダは、それぞれ1つの積層物スタック(p)に対応する複数の角度的に等間隔の鉛直方向貯蔵部を分散した回転テーブルを備えており、各異なる角度位置で回転テーブルは貯蔵部を1つずつ、積層物スタック(p)を貯蔵部とソート分離ステーションとに供給/形成するための供給/形成ステーションへ移送する。
【0033】
先行の実施形態のうち1つ又は複数の実施形態との任意の組み合わせで実施できる一実施形態では、組立ステーションは、回転テーブルであって、軸が当該回転テーブルの回転軸に対して平行である複数の角度的に等間隔の組立貯蔵部を分散させた回転テーブルと、1つ又は複数の積層物集合体(p’)により構成される電気機械のアーマチャを組み立てるための複数の組立貯蔵部であって、各貯蔵部は前記テーブルの回転によって組立ステーションから、完成したアーマチャを各対応する組立貯蔵部から取り出すための取り出しステーションへそれぞれ直進移動される組立貯蔵部と、を備えており、取り出しステーションは把持/直進移動手段を備えていると共に、回転テーブルの回転を基準として組立ステーションとは異なる角度位置に配置されている。
【0034】
上記の方法、装置及びプラントの特徴及び他の全ての特徴、並びに本発明の利点は、添付図面に示されている一部の実施形態例の以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態のプラントの斜視図である。
図2図1の実施形態のプラントの側面立面図である。
図3】積層物集合体のソート分離ステーションにおける積層物スタックの上端の第1の上昇ステップの斜視図である。
図4図3の第1の上昇ステップの側面図である。
図5】グリッパが集合体の積層物を把持している位置におけるグリッパの作動ステップを示す図である。
図6】挟持部が積層物集合体のシェル表面から離隔しているスタンバイステップにおけるグリッパの作動ステップを示す図である。
図7】集合体を積層物スタックから上昇させるステップを示す図である。
図8】スタックに戻すべき積層物と、積層物集合体を構成すべき最後の積層物と、の間に分離ナイフを挿入するステップの側面図である。
図9図8のステップを底部から見た軸面図である。
図10】スタックに戻すべき積層物と、積層物集合体を構成すべき最後の積層物と、の間に分離ナイフを挿入するステップであって、所定の角度幅を有する角度経路に沿ってナイフが角運動したステップの側面図である。
図11図10のステップを底部から見た軸面図である。
図12】積層物スタックを省略した側面図であって、ソート分離ステップ後に集合体を組立ステーションのアーマチャ組立貯蔵部へ移送させるために集合体の取り外し可能な支持部を作動させた状態の側面図である。
図13図12の状態を積層物集合体の底部から見た軸面図である。
図14】積層物集合体の最後の最下部の積層物に誤って付着したままの少なくとも1つの積層物の切り離しステップを簡素化して示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1及び図2を参照すると、両図は電気モータのアーマチャ等を製造するためのプラントを示している。当該機械は、それぞれ金属製又は導電性材料のシートをブランクにしたものである複数の積層物を積層物スタックから選択して動作するものであり、各積層物は同一の平面視形状を有し、ブランクを形成する元となるシートの厚さを有する。各個別の積層物は少なくとも1つの貯蔵部において積み重ねられており、複数の積層物によって形成される積層物集合体数は、このスタックから選択される。積層物集合体数はアーマチャの軸方向寸法に基づいて、各個別の積層物の厚さに応じて計算される。
【0037】
第1の解決手段では、積層物集合体はアーマチャの軸方向の全長に達するために必要な数の積層物を有することができる。
【0038】
一変形形態ではこれに代えて、アーマチャの全長の整数分の1に相当する数の積層物を有する積層物集合体を選択及び形成し、このようにして得られた各個別の積層物集合体を互いに位置合わせして重ね合わせる。
【0039】
その後、アーマチャを作製するために必要な集合体を構成する積層物は、化学的/物理的接続により互いに一体化して1つのブロックにし、例えば積層物集合体の軸方向の向きの複数の溶接線又は溶接ビードにより互いに一体化し、これらの溶接線又は溶接ビードは、アーマチャのための積層物集合体の外側及び/又は内側シェル表面の2つ以上の角度位置に設けられる。
【0040】
図1及び図2を参照すると、本実施形態例のプラントは、積層物スタックpの装填又は形成ステーションS1からソート分離ステーションS2へ積層物スタックpを供給/搬送するためのフィーダ/コンベヤを備えており、ソート分離ステーションS2は積層物スタックpから積層物集合体p’を分離するためのものである。
【0041】
図示の実施形態では、フィーダ/コンベヤは、モータM1によって中心軸まわりに回転動作する回転テーブル1を有する。
【0042】
一特徴では、回転テーブルは好適には水平方向であり、角度的に等間隔である複数の貯蔵部101を支持し、これらの貯蔵部101は多数の積層物スタックpに対応して回転テーブルに分散している。
【0043】
貯蔵部101は、スタックPの積層物を互いにセンタリングするための少なくとも2つのセンタリングガイドを備えており、これらのセンタリングガイドは、図示の例では鉛直方向ロッド201の形態となっている。具体的には、鉛直方向ロッド201は角度的に等間隔に分散していると共に、例えばガイドとして積層物の周部形状のセクタと協働等するように径方向に互いに離隔している。
【0044】
図示の実施形態は、最も頻度が高い形状の形状特徴を有する積層物を示しているが、これは限定列挙であると解すべきものではない。というのも、下記に示すガイド201の配置と、積層物と協働する他のパーツの配置とは、積層物の平面視形状によって定まり、ひいては、後者によって分離される積層物スタック又は積層物集合体のシェル壁の断面の形状によって定まるからである。
【0045】
図示の例では、積層物の平面視形状は環状及び円形であり、積層物は回転対称、とりわけ特定の回転角について回転対称である。かかる場合、ガイド及びセンタリングを行う鉛直方向ロッドは十字状の配置となっていると共に、少なくとも一部が、対応するロッド201と接触する領域における積層物スタックの断面すなわち積層物の内周縁の形状に相当する断面形状となっている。
【0046】
このようにして、1つのスタックpの積層物の全部が当該スタックの軸における横方向直進移動に関して、及び/又は当該スタックの軸に対して平行若しくはこれと一致する1つ又は複数の軸まわりの角変位に関して、互いに位置合わせされて一致した位置に維持される。
【0047】
ロッド201は底壁301を起点とする。
【0048】
一変形形態では、詳細には図示されていない電動のアクチュエータによって前記底壁301を鉛直方向に昇降できるように構成することができる。
【0049】
積層物集合体p’をソート及び分離するためのソート分離ステーションS2では、積層物スタックpと鉛直方向に整列した位置にソート/分離部材が設けられている。これらには全体として符号2が付されており、下記にて詳細に説明する。
【0050】
これらのソート/分離部材2は、共に共通のフレーム102に組み付けられている。フレーム102は、回転テーブル1の回転軸を基準として径方向にスライドする第1のキャリッジ202を備えている。直進移動はステーションS2と、キャリッジ202の径方向直進方向に沿って整列して設けられた他の組立ステーションS3と、の間で前後に行うことができる。
【0051】
キャリッジ202は対応するガイド302にスライド可能に、各ヘッド端部で取り付けられている。前進移動はモータM2によって制御される。
【0052】
鉛直方向ガイド502にスライド可能に取り付けられ電動のアクチュエータM3により作動される鉛直方向トラック402が、キャリッジ202に取り付けられている。
【0053】
トラック402の下端は複数のソート分離ツールを支持している。これらのソート分離ツールについては、下記にて具体的な実施形態例を用いて詳細に説明する。
【0054】
ステーションS3はキャリッジ202の径方向経路に対して径方向に整列した位置に設けられており、少なくとも1つの組立貯蔵部3を備えている。組立貯蔵部3は、積層物集合体のための中央のセンタリング群103を備えており、センタリング群103は、積層物集合体の内側シェル壁の少なくとも一部の形状に応じた形状となっており、センタリング群103には少なくとも1つの積層物集合体又は2つ以上の積層物集合体が配される。
【0055】
ステーションS3には、組立貯蔵部3すなわちここに配された積層物集合体と鉛直方向に整列し及び/又は組立貯蔵部3や積層物集合体と軸方向に一致する位置に押圧部材4が設けられており、この押圧部材4も、ソート/分離部材2を支持するキャリッジ202の径方向直進方向にキャリッジ401を用いて変位可能となっている。
【0056】
キャリッジ401はキャリッジ202と同様に、ガイド403に沿ってスライド可能な滑走部402を備えており、滑走部402は、押圧部材4の組立貯蔵部3に配された積層物集合体p’からの上昇及び当該積層物集合体p’に向かう下降を制御する。
【0057】
図1及び図2において明らかであるように、有利な一実施形態では2つのキャリッジ202及び401は、直進移動が共に行われ、そのストロークが組み合わされることにより、ソート/分離部材2がステーションS2に位置し、当該ステーションS2にある積層物スタックpと整列する作動位置にあるときには押圧部材4が作動位置にあり、組立貯蔵部3及びここに配された積層物集合体と鉛直方向に整列するように、作製することができる。よって、ステーションS2及びS3における2つの動作は並列実行することができる。
【0058】
それに対して、ソート/分離部材がステーションS3に変位し、作動位置におかれて組立貯蔵部と鉛直方向に整列されたときには、その中にある積層物集合体p’を取り出すため、押圧部材4はステーションS3の外部に変位してここに置かれる。
【0059】
図1及び図2において提示されているさらに他の特徴として、組立ステーションS3と完成したアーマチャ(両図では不図示)の少なくとも1つの取り出しステーションとの間で変位する複数の組立貯蔵部のコンベヤ/フィーダが、ステーションS3との組み合わせで設けられている。
【0060】
図示の実施形態例のコンベヤ/フィーダは、符号5により示されている回転テーブルを備えており、また水平となっており、この回転テーブルの周部バンドには、貯蔵部101のためのテーブル1と同様に、複数の組立貯蔵部3が角度方向に離隔して分散している。伝動機構を備えたモータM5が、テーブル5を回転動作させる。
【0061】
さらに他の一特徴として、ステーションS3に、又はステーションS3と取り出しステーション(これも詳細には図示されていない)との間の中間ステーションに、詳細には図示されていない1つ又は複数の溶接工具が設けられており、これは横断方向(cross direction)に、好適には組立貯蔵部3にあり押圧された状態にある積層物集合体の軸に対して平行な方向に、溶接線又は溶接ビードを設けるものである。
【0062】
積層物集合体の外側シェル表面の角度位置に、及び/又は場合によっては内側シェル表面の複数の角度位置に、1つ又は複数の溶接線又は2つ以上の溶接ビードを設けることができる。
【0063】
溶接工具は任意のタイプのものとすることができ、アークタイプ、プラズマタイプ、レーザタイプ又は他のタイプとすることができ、当該分野の従来技術において周知のものであり、また、積層物集合体に沿った可能な支持変位機構である。
【0064】
さらに他の一特徴として、ソート/分離部材2は同時に、ステーションS2で選択及び分離された積層物集合体p’を移送するためのさらに別個の移送手段を要することなく、当該積層物集合体p’をステーションS2からステーションS3へ移送する移送部材の機能も有する。下記でより分かりやすく記載されているように、これらのソート/分離部材2は、積層物集合体p’の底部を拘束するための取り外し可能な支持部と組み合わされて設けられており、取り外し可能な支持部は、集合体p’の積層物を選択してスタックpから集合体p’を選択するプロセスが完了した後に作動され、積層物集合体p’の底部を拘束するための取り外し可能な支持部と共にソート/分離部材2がステーションS3に直進変位する間、底部から積層物集合体p’を拘束する。
【0065】
また、さらに他の一特徴として、ソート/分離部材2と底部を拘束するための支持部とは、積層物集合体p’の軸まわりに所定の角度にわたって回転することにより複数の異なる角度位置で組立貯蔵部3に複数の積層物集合体p’を配置できるように取り付けられている。この特徴により、例えば各個別の積層物の厚さについての公差等に起因して積層物集合体p’の周方向の延在に沿って生じ得る厚さのばらつきを補償することができる。ランダムな配置を行うと、例えば、公差がある状態で厚さが大きい領域を有する積層物を整列して重ねてしまい、これが最終的には、積層物の複数の異なる領域間の厚さ差の拡大に寄与する可能性がある。各個別の積層物集合体を重ね合わせることによる角度的な配置のばらつきにより、上記の現象の補償を図ることができる。
【0066】
続く図3~13は、先の図にて全体的に符号2によって示されているソート/分離部材の細部を示している。
【0067】
図3及び図4は積層物スタックpの位置決めを示しており、この積層物スタックpの上端はソート分離ステーションに入っている。積層物スタックpは、上昇可能な底部301からガイド101,201に沿って鉛直方向に上昇することができ、又は、ソート/分離部材はスタックpの上端に向かって下降することができ、又は、スタックp及びソート/分離部材の両方を直進移動させることにより移動を行う。
【0068】
これらの部材は、スタックpの積層物Lの平面視形状すなわちスタックpの内側及び外側シェル表面の形状を基準とする所定の角度位置に、少なくとも1つの外側挟持部106及び少なくとも1つの内側挟持部206から構成されたグリッパ6を備えている。
【0069】
内側挟持部206は、形状結合によってスタックpの上端から所定数の積層物の軸方向バンドに付着する1つ又は複数の整合部品により構成されている。
【0070】
本例では、スタックpの内周壁すなわち積層物の平面視形状は、複数の径方向スロットを有し、挟持部206は2つの叉部306を有するフォークを形成し、各叉部306はそれぞれ異なるスロット7に形状結合により滑り込み、好適には、図9図10及び図13により分かりやすく示されているように互いに近傍の2つのスロット7に滑り込む。
【0071】
外側挟持部106は積層物スタックpの径方向に変位可能となっており、軸方向に延在する外側シェル表面の軸方向バンドと接触する表面を有し、この表面の高さは積層物の所定数に相当し、積層物スタックの周方向に、内側挟持部206すなわちその叉部306と径方向に一致するようにされている。
【0072】
図5及び図6はソート/分離部材2の側面の拡大図であり、図5では外側挟持部106は、積層物スタックpのシェル表面から離隔した後退位置にあり、図6では外側挟持部106は、積層物集合体p’の最下部分に設けられた所定数の積層物を、当該外側挟持部106と内側挟持部206との間で径方向に挟持するためにシェル表面に付着する位置にある。
【0073】
挟持部106は径方向アーム10によって支持され、リニアアクチュエータ406によって積層物集合体p’を径方向において双方向で、すなわち当該集合体のシェル表面p’に対して接離するよう直進移動させるように作動される。
【0074】
他の一特徴では、積層物スタックpの位置に対する挟持部106のストローク制限位置を調整するため、挟持部106を支持するリニアアクチュエータは、アーム10に対して平行なガイド12に沿って変位可能な滑走部11を用いて当該アーム10に取り付けられている。
【0075】
挟持部106の直下には、アーム10自体によって支持されリニアアクチュエータ151により作動されるソートフィンガ部15が設けられており、リニアアクチュエータ151は積層物スタックに向かう方向に当該フィンガ部15を、挟持部106の下面と直に揃う位置に変位させる。
【0076】
上述のフィンガ部は外向きに突出する角部を有するように作製されており、これにより、ある積層物の周縁が突出し、又は集合体p’の最下部の積層物となるべき積層物に付着したままである場合にこの突出又は付着した積層物に当接するネイル部215が形成されている。
【0077】
フィンガ部及び/又はネイル部215に対して複数の異なる移動経路を設けることができる。第1の実施形態では、フィンガ部及びこれに対応するネイル部は、積層物スタックpのシェル表面に向かう方向と当該シェル表面から離隔する方向のいずれかに選択的に、径方向直進移動のみを行う。
【0078】
さらに他の一実施形態ではフィンガ部15及びこれに対応するネイル部215は、集合体p’の最下部の積層物となるべき積層物Lに未だ誤って付着している積層物L’の周縁に当接すると、積層物集合体p’の軸方向に下方向移動を継続する。
【0079】
グリッパ6及びフィンガ部15すなわちネイル部215の軸方向の相対位置は調整可能に事前配置されるが固定され、それに対して集合体p’の高さすなわち積層物スタックpの上端に対するこれら2つの部品の軸方向位置は、各集合体p’について規定された積層物の数によって、その厚さに依存して定まり、グリッパ6はフィンガ部15と共に、積層物スタックpのソート/分離及び/又は上昇部材を軸方向に変位させるアクチュエータによって、スタックpの端部に対して軸方向に位置決めされる。
【0080】
ソート/分離部材はさらに分離ナイフ20も備えており、分離ナイフ20の刃部の向きは積層物面に対して平行であり、分離ナイフ20は径方向アーム120によって支持されている。径方向アーム120は、ステーションS2における積層物スタックpの軸すなわち積層物集合体p’の軸に対して平行又はこれと一致する回転軸まわりに回転可能に取り付けられている。さらにナイフは、径方向アーム120の長手方向すなわち径方向アーム120の回転軸を基準として径方向において変位可能な滑走部220を用いて、当該アーム120に取り付けられており、滑走部220は、ナイフ20の刃部の端部が積層物スタックp又は積層物集合体p’の外側シェル表面から離隔する比較的径方向外側の位置と、選択された集合体p’の最後の積層物となるべき積層物Lの面と、次の積層物集合体p’の第1の上部の積層物となるべきであるが誤って前記最後の積層物に付着したままの積層物又は第1の積層物と、の間に分離ナイフ20が介挿される分離位置との2つの終了位置間で、変位可能となっている。
【0081】
フィンガ部15及びこれに対応するネイル部215の切り離し作業を、集合体p’の最後の最下部の積層物Lに誤って付着したままの積層物に対して行った後、集合体p’の最後の積層物Lの下と当該最後の積層物Lに誤って付着したままの積層物の下とに貫通させるように、ナイフ20を径方向にアーム120の回転軸に向かって前進させる。次に、アーム120をその軸まわりに回転させ、ナイフを初期の角度位置から角度変位経路の最後の角度位置まで徐々に前進させることにより、ナイフは集合体p’の最後の積層物となるべき積層物Lに誤って付着したままの積層物L’を徐々に分離する。
【0082】
分離ナイフ20のこの動作により、集合体p’の最後の最下部の積層物となるべきであるが積層物Lに誤って付着したままであった積層物L’の領域であってフィンガ部15やネイル部215の動作ではこれら2つの積層物を互いに完全に分離するためには不十分であった領域が、効果的に分離される。
【0083】
図8~11の各図は、分離ナイフ20の側面図と、積層物集合体p’の軸方向において分離ナイフ20を下方から見た平面図であり、分離ナイフ20はそれぞれ最初の角度位置と最後の角度位置とにある。
【0084】
最後の角度位置に達した後、ナイフ20は径方向外側に直進移動することによって集合体p’から取り外され、回転して最初の角度位置に戻る。
【0085】
同図から明らかであるように、図示の実施形態では、ナイフ20の角度経路は積層物集合体p’の対称軸と同軸である。というのも、本例では積層物の平面視形状は回転対称だからである。
【0086】
径方向変位と角度変位との組み合わせが可能である場合には、径方向変位と角度変位とを組み合わせて行うことによっても、ナイフ20の経路を積層物の他の平面視形状に合わせて変えることができる。
【0087】
とりわけ、積層物の外形プロファイルを画定する周に沿って環状の経路を画定できることにより、それが何であれ、分離ナイフ20はいかなる平面視形状の積層物Lとも動作することができる。
【0088】
ソート/分離部材2は、とりわけ図12及び図13の実施形態では、他の取り外し可能な下部拘束部材を備えており、この下部拘束部材は、積層物集合体p’の最後の最下部の積層物Lとなるべき積層物に未だ誤って付着したままの積層物L’を、分離ナイフ20を用いて分離するためのプロセスの分離終了時に作動される。
【0089】
図示の実施形態では、上述の部材はそれぞれ2つのフォーク30により構成されている。これらのフォーク30は径方向アーム10,130によって、積層物集合体p’の軸又は積層物スタックの軸又はこれに平行な軸を挟んで直径上に反対側の位置まで運ばれる。有利には、径方向アームのうち1つは、グリッパ6の外側挟持部106と、ネイル部215を有する切り離し/スクレイピングフィンガ部15とを支持するアーム10により構成される。この場合、グリッパ6と同一のアーム10に取り付けられたフォーク30は切り離し/スクレイピングフィンガ部15に跨って配置される。すなわち、フィンガ部は当該フォーク30の2つの叉部間の介在スペースに収められる。
【0090】
直径上に互いに反対側にある2つのフォークは、積層物集合体p’から径方向に離隔するスタンバイ位置と、径方向に互いに接近するように、又は積層物集合体p’の中央軸に接近するように径方向に変位して積層物集合体p’の最後の積層物Lの最下側において重なる拘束又は支持位置と、の2つの位置間で径方向に変位可能となっている。この径方向変位は、対応するアーム10,130にそれぞれ取り付けられたリニアアクチュエータにより行われる。
【0091】
他の一特徴として、これら複数の径方向アームは全て、好適には互いに同軸に取り付けられると共に、グリッパ6は積層物集合体p’の軸と同軸となるようにシャフト506に回転可能に取り付けられており、これにより、同一の組立貯蔵部3に配されるべき2つの積層物集合体p’の角度位置のばらつきを許容することができる。
【0092】
他の径方向アームは、固定したままにすること又は共に回転することも可能であり、これにより全部の径方向アームが積層物集合体p’のソート分離ヘッドを構成する。
【0093】
上記の実施形態に関しては、ここで示されているアクチュエータ及びモータはそれぞれ、電気機械的アクチュエータ、電気的アクチュエータ、空圧アクチュエータ、液圧アクチュエータ、又はこれらの組み合わせの中から選択された任意の種類とすることができる。
【0094】
さらに、全ての自動機械又はプラントの場合と同様に、本事例でも、アクチュエータは電子制御ユニットによって制御される。有利な一実施形態では、プロセッサと、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのユーザ入/出力インタフェース、1つ又は複数のアクチュエータとやりとりしてこれを制御するための少なくとも1つのインタフェース及び制御ユニットと、メモリにロードされてプロセッサにより実行される制御プログラムと、を備えた電子ユニットを使用し、制御プログラムには、アクチュエータにより作動される部材の機能に応じて当該アクチュエータを制御するための指令であって、規定の処理ステップに従って当該機能を互いに同期して実行するための指令が符号化されている。
【0095】
図14A~14Fは、積層物スタックpから積層物集合体p’をソートして分離するための処理ステップをかなり概略化して示す図である。
【0096】
図14Aでは、積層物スタックがソート分離ステーションS2に送られ、積層物集合体p’の高さに応じて、すなわち積層物集合体p’を形成するために必要な積層物の数に応じて、グリッパ6と外側挟持部106と内側挟持部206とを基準として位置決めされる。
【0097】
厚さ公差等に起因して、正しくは集合体p’の最後の積層物となるべき積層物Lに積層物L’が誤って付着したままとなっている。
【0098】
一点鎖線で示されているように、さらに1つ又は複数の積層物L1’,L2’も誤ってこの積層物L’に付着したままとなり得る。
【0099】
積層物がグリッパ6により挟持されると、他の残りの積層物のスタックPが軸方向に離隔されて、積層物集合体p’から所定の程度まで移動するが、この積層物集合体p’には積層物L’と、場合によっては他の積層物L1’及びL2’が付着したままとなる。
【0100】
図14Bでは、ネイル部215を形成するように成形された切り離し/スクレイピングフィンガ部15が作動され、グリッパ6の外側挟持部106の最下側からはみ出した領域において誤って挟持された積層物L’の周縁と接触する。この動作は、次にフィンガ部15が軸方向下方に移動する場合、すなわち積層物L’が積層物Lから軸方向に離隔する方向に移動する場合にはこれと相俟って、少なくとも、当該フィンガ部15と一致する積層物集合体p’のシェル表面の領域において積層物L’が切り離される原因となる。さらに遠隔の領域では、積層物L’は潤滑剤又はアニール処理又は他の理由により、接合によって積層物Lに付着したままとなり得る。
【0101】
図14Dに示されているように、グリッパ6及び切り離し/スクレイピングフィンガ部15の直ぐ隣に設けられた分離ナイフを、径方向に前進させて、正しくは集合体p’の最後の積層物となるべき積層物Lと、分離ナイフ20の切り離し/スクレイピングフィンガ部15を用いて積層物Lから離隔した積層物L’との間の中間位置に移動させる。
【0102】
その後、積層物集合体p’から離隔し略直径上に反対側の角度位置に達するまで、積層物集合体p’の軸と同軸又はこれに対して平行な軸まわりに分離ナイフ20を回転させて前進させる。分離ナイフ20のこの角度変位により、積層物Lから積層物L’の特定の完全な切り離しが引き起こされ、積層物Lと、その下に他の積層物L1’及びL2’がある場合にはこれら他の積層物L1’及びL2’も、重力によって積層物スタックpの上端に落下する。
【0103】
その整列は、貯蔵部101の鉛直方向ガイド301、他に鉛直方向ガイド40が設けられている場合にはこの他の鉛直方向ガイド40、及び/又はグリッパ6の内側挟持部206によって保証される。ソート/分離部材及び/又はグリッパ6の内側挟持部206と組み合わせて設けられる他の軸方向ガイド40は、分離された積層物集合体p’の最下側から所定の程度だけはみ出して延長することができ、これにより、下に位置し集合体p’が分離された積層物スタックpを収める貯蔵部101の鉛直方向ガイド301と積層物L’及び/又は積層物L1’及びL2’が整列することを保証することができる。
【0104】
本発明の方法及び装置により、各集合体p’を構成する数の積層物の非常に精密なソートであって、積層物の厚さ公差及び/又は集合体p’の最下部の積層物への1つ若しくは複数の積層物の不所望の付着に起因する誤りを少なくとも部分的に無くし、又は補償できるソートが達成される。
【0105】
分離ナイフが存在することにより、積層物の表面積が大きい場合に、切り離し/スクレイピングフィンガ部が積層物において動作する領域又はその近傍領域に当該切り離し/スクレイピングフィンガ部の影響が限定され、分離すべき積層物が、積層物集合体p’の他の領域であって切り離しフィンガ部の進入領域と一致する領域から離隔した他の領域において積層物集合体p’に付着したままとなることを、回避することができる。
【0106】
分離ナイフ及びその機能は、積層物集合体のソート分離プロセスに複雑さや重大な減速を生じさせることはなく、電気機械のアーマチャを製造するためのプラントに本方法及び本装置を組み込むことにより、分離ナイフの動作による有効なフローステップにより、生じ得る時間延長を補償することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F