(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】二重螺旋留め具
(51)【国際特許分類】
A44B 15/00 20060101AFI20240227BHJP
F16B 2/24 20060101ALI20240227BHJP
A47G 29/10 20060101ALI20240227BHJP
E05B 19/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A44B15/00
F16B2/24 E
A47G29/10 B
E05B19/00 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022170214
(22)【出願日】2022-10-24
【審査請求日】2022-10-24
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2022-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522324174
【氏名又は名称】合謚實業股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HOEY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1F., No.6, Ln. 42, Sec. 2, Nankan Rd., Changxing Vil., Luzhu Dist., Taoyuan City 338, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】黄紀超
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-105277(JP,A)
【文献】特開2018-165469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 15/00
F16B 2/24
A47G 29/10
E05B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
留め具であって、
一体に形成された弾性を有する環状本体は、第1端部から下に螺旋状に巻かれて1つの上輪を形成し、さらに延長して第1端部と交差して第2端部で終端し、1つの長形の下輪を形成されることと、
環状本体は、該第1端部と該第2端部とからなる第1セグメントと、該第1セグメントに対する第2セグメントと、該第1セグメントと第2セグメントとを連結する2つの側縁とを有し、これに対して第1端部と第2端部とは、環状本体が力を受けていないときに上下方向に互いに当接するように構成され、
該下輪は実質的に上輪より大きくなっており、且つ、該下輪は該2つの側縁から第2セグメントに近くで該上輪と接して2つの支点を構成し、該上輪は、該第2セグメントで、該下輪との間にギャップを有しており、第2セグメントに面する押さえ部を構成しており、該押さえ部が力を受けて下輪に近づく時、該第1端部が上に押し上げられて第2端部から離れるようになっていることを特徴とする留め具。
【請求項2】
該環状本体はその完全な長さに沿って実質的に均一な厚さ及び実質的に長方形の断面を有するものを特徴とする請求項1に記載の留め具。
【請求項3】
前記環状本体が該厚さに垂直な幅を有し、かつ該厚さが前記幅より実質的に小さいことを特徴とする請求項2に記載の留め具。
【請求項4】
該第1端部と前記第2端部とが、該第1端部が該第2端部の上側に重なるように構成されていること特徴とする請求項3に記載の留め具。
【請求項5】
該第1端部と該第2端部とは、鈎状に構成され、それぞれほぼ該第2セグメントに実質的に向けられた自由端を有することを特徴とする請求項4に記載の留め具。
【請求項6】
該第1端部と該第2端部との間が、上下方向に局所的に離間されており、それにより、バックル又は鍵を挿入するための分離部が画定されていることを特徴とする請求項5に記載の留め具。
【請求項7】
該第1端部と該第2端部とが、前記分離部においてそれぞれ外側に反っていることを特徴とする請求項6に記載の留め具。
【請求項8】
該押さえ部は、該上輪が局部的に上方に反ることにより、該下輪から遠ざかるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の留め具。
【請求項9】
該上輪と該下輪とが該第2セグメントにおいて上下に重なっており、該支点が該第2セグメントと該2つの側縁との境界に位置することを特徴とする請求項5に記載の留め具。
【請求項10】
該上輪と該下輪は該第2セグメントにおいて上下に重ならないようにし、該支点が該2つの側縁上に位置するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の留め具。
【請求項11】
前記上輪は、
螺旋状に下方向に巻かれ、前記2つの側縁の1つと交差することによって該上輪を閉じる半周を備え、
前記半周は、上下方向に曲げられて少なくとも1つのストッパーを形成
しているとともに、該上下方向に実質的に垂直な水平方向にほぼ平行
し、
該少なくとも1つのストッパーは該2つの側縁の一方に接し、該下輪にセットされた物品が該上輪の中に不意に滑り込まないようにする
ことを特徴とする請求項5に記載の留め具。
【請求項12】
当該留め具の両側縁が互いに実質的に平行であることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の留め具。
【請求項13】
当該留め具の両側縁が互いに実質的に平行でないものを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の留め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックルや鍵等の物品を保持・収納するための留め具に関し、特に、外観では二重螺旋状環状本体を呈する一体成形の留め具であって、多くのバックルや鍵等の物品を容易かつ安定に保持するのに好適な留め具を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
一般では、住居の玄関の鍵や、ドアの鍵、自動車の鍵、会社の鍵など、機能の異なる鍵をいくつも持っているが、鍵の取り出しや収納の利便性のために、人々が1つのキーホルダーで、たくさんの鍵をまとめている。しかし、使い慣れたキーホルダーは普通、弾力性のある金属を数回巻き付けた簡単な輪でできているため、鍵をはめる自由端が輪に密着しており、指で輪の自由端をこじ開けてから鍵をはめることができ、何度も試してみなければならない。このような慣用キーホルダーは、製造が容易で低コストであるが、使用上に不便である。
【0003】
長い間、関連業界は上述の産業問題に対して、いくつかの解決方案を提出してきた。米国特許第3657909号によると、一体成形のキーホルダーは、同一平面に位置する2つの輪を含み、2つの輪の交わる部分を押さえすることによりキーホルダーの自由端を解放することができる。欧州特許第0389594号は平板状基部と、この基部から同一平面に沿って外向きに延びる2つの保持アームとを含むキーホルダーを開示した。この2つの保持アームの自由端は上下に当接して鍵をセットアップし、このキーホルダーは、基部にある作動機構を押すことで、2つの保持アームをそれぞれ上、下に向けて動かすことで自由端を開放し、鍵を出し入れすることができるが、構造が複雑すぎるという欠点がある。 中華民国発明特許公告番号I664929、中華民国の新型特許公告番号M551848、日本特許第6276463号及び米国特許第2410951号はそれぞれ二重螺旋輪体を有する一体成形のキーホルダー構造を開示したが、これらの構造における上下の輪はいずれも円形リング状で実質的に同一の大きさを有しており、上下の輪が重なり合っているため、使用上の弾力性が欠ける。
【0004】
そのため、関連技術分野では、使用上高い弾性を有し、構造が簡単で製造が容易な一体成形留め具に対して、切実な需要が存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような産業のニーズに応えるために本件発明者は努力して研究開発を行い、これにより、本件出願の発明が得られた。本発明は、一体成形された留め具について、見た目は長い二重螺旋状の輪体で、従来の線材加工プロセスで製作することができる。本発明で明らかになった留め具の構造では、上輪と下輪のサイズは実質的に異なり、両者の交わる所で互いに当接して支点を構成している。そのため、本発明は留め具構造の変形で、てこの原理を応用することにより、使用者が簡単に力を加えるだけで、鍵の入り口を開くことができ、耐久性と利便性に配慮した上で、より弾力性があり、数多のバックルや鍵等の物品を便利かつ安定的に保持することに適している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は留め具を提供し、それは、
それは第1端部から下に螺旋状に巻かれて1つの上輪を形成し、さらに延長して第1端部と交わり、第2端部で止まり、1つの長い形の下輪を形成することを含む一体に形成された弾性的環状本体はと、
第1端部と第2端部とからなる第1セグメントと、第1セグメントに対する第2セグメントと、第1セグメントと第2セグメントとを連結する2つの側縁とを有し、第1端部と第2端部とは、環状本体が力を受けていないときに上下方向に互いに当接するように構成されている該環状本体;および
該下輪は該上輪よりも実質的に大きくなっており、該下輪は、該2つの辺縁の第2セグメントの近くで該上輪と接して2つの支点を構成し、該上輪は、該第2セグメントで該下輪との間に隙間を有しており、第2セグメントに面する押さえ部を構成し、該押さえ部が力を受けて該下輪に近づくと、第1端部が上に押し上げられて第2端部から離れるようになっていることとを含む。
【0007】
好ましい態様として、該環状体はその完全な長さに沿って、該上下方向に実質的に均一な厚さと実質的に長方形の断面を呈している。更に好ましい態様としては、該環状体はその長方形の断面から見て、該厚さに垂直な幅を持ち、かつ該厚さは実質的に該幅より小さい。
【0008】
さらに好ましい態様として、該第1端部と第2端部では、該第1端部が第2端部の上に重なるように構成されている。さらに好ましい態様として、第1端部と第2端部は、鈎状に構成されており、それぞれが第2セグメントの方向にほぼ向いている自由端を有している。
【0009】
さらに好ましい態様として、第1端部と第2端部との間が上下方向に局所的に離間され、バックルまた鍵を挿入するための分離部が画定されている。さらに好ましい態様として、該第1端部と第2端部とは、バックルまたは鍵を挿入するために分離部においてそれぞれ外側に反り返っている。
【0010】
好ましい態様では、この押さえ部は、該上輪が局部的に上に反るようにして該下輪から遠ざかるように構成されている。
【0011】
好ましい態様において、該上輪と該下輪が該第2セクションで上下に重なり合って、該支点が該第2セグメントと両側縁の境界に位置するようにする。別の好ましい態様において、該上輪と該下輪が該第2セグメントで上下に重なり合わず、該支点が両側縁に位置するようにさせる。
【0012】
好ましい態様において、該2つの側縁は互いに実質的に平行であり、別の好ましい態様において、該2つの側縁は互いに実質的に平行ではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の上記の目的と他の目的との特徴と効果は、添付の図面と共に、以下のより良い具体例を参照することによって明らかになる、そのうち
【0014】
【
図1A】本発明に係わる第1実施形態の留め具を示す立体概略図。
【0015】
【
図1B】本発明に係わる第1実施形態の留め具を示す側面概略図。
【0016】
【
図1C】本発明に係わる第1実施形態の留め具を示す俯瞰概略図。
【0017】
【
図2】本発明に係わる第2実施形態の留め具を示す立体概略図。
【0018】
【
図3A】本発明に係わる第3実施形態の留め具を示す立体概略図。
【
図3B】本発明に係わる第3実施形態の留め具を示す立体概略図。
【0019】
【
図4A】本発明に係わる第3実施形態の留め具の嵌め込みフロー図。
【
図4B】本発明に係わる第3実施形態の留め具の嵌め込みフロー図。
【
図4C】本発明に係わる第3実施形態の留め具の嵌め込みフロー図。
【
図4D】本発明に係わる第3実施形態の留め具の嵌め込みフロー図。
【0020】
【
図5】本発明に係わる第3実施形態の留め具を示す使用状態概略図。
【0021】
【
図6A】本発明に係わる第4実施形態の留め具を示す立体概略図。
【
図6B】本発明に係わる第4実施形態の留め具を示す立体概略図。
【0022】
【
図7】本発明に係わる第4実施形態の留め具を示す状態概略図。
【0023】
【
図8A】
図1Cに示されるA-A線に沿う断面を示す左側概略図。
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
別に説明しない限り、本明細書及び各請求項において使用される以下の用語は、以下の定義を有する。本件明細書及び各請求項において使用されている単数形用語「一」は、1つ及び複数の記載事項をカバーすることを意図しており、例えば少なくとも1つ、少なくとも2つあるいは少なくとも3つは、1つの要素を持つということではない。本件の各請求項において使用された「含む」、「持つ」などのオープン接続詞は、請求項に記載されている部品や成分の組み合わせのうち、請求項に記載されていない他の要素又は構成成分を除外するものではない。また、「又は」という用語は、一般的に「及び/又は」を意味的に含むことに留意されたい。本明細書及び特許出願の範囲内で使用されている「実質的」及び「約」という用語は、多少変更可能な誤りを修飾するために使用されているが、このような多少の変更は、本発明の本質を変更するものではない。
【0026】
図1A~
図1Cは、本発明の第1実施形態の概略図である。留め具1は、弾性材料で作られた環状本体10を示す。本件に使用される用語「弾性」とは、力を受けたときに変形するが実質的には破断又は破損せず、力を受けなくなった後に実質的に元の形状に戻ることを意味する。適切な弾性を持つ材料にはプラスチック、金属等が含まれるがこれに限られない。好ましい実施例において、前記弾性材料にはステンレス鋼、真鍮、亜鉛合金などの金属線材例えば304型ステンレス鋼が含まれるがこの限りではない。さらに好ましいことは、この金属線材は実質的に一定の厚さ及び実質的に矩形を呈する断面を有しており、慣用金属ダイカスト、鍛造、裁断、メッキ工程により環状本体10を形成する。環状本体10は一体成形で、1本の線材を加工して作られていることを意味する。環状本体10はその全長に沿って実質的に均一な厚さと実質的に長方形の断面を有している。環状本体10の厚さは約0.6~約1.0mmであることが好ましい。さらに好ましくは、環状本体10は、その矩形断面から見てその厚さに垂直する幅を有し、その厚さはその幅よりも実質的に小さいので、螺旋状に巻かれた後に環状本体10が上下方向Xに弾性を有する。
【0027】
図1A~1Cに示される第1実施形態において、環状本体10は、ほぼ1つの螺旋状に2回巻回された長状の環状体であり、それは第1端部11が側縁12直線に沿って延び、さらに下に螺旋状に巻き回されて側縁12と交差して上輪13を形成し、更に下に螺旋状に巻き回されて、側縁12と平行でかつ上輪13と交差する別の直線側縁14に延びた後、第1端部11と交差して第2端部15まで止めて、下輪16を囲む。本件で使用されている用語「長形」とは、環状本体10の長さがその幅よりも明らかに長いことを意味し、これには長方形が含まれるが、これに限られない、楕円形(oval-shaped)や長楕円形(oblong-shaped)などの単純な幾何構造と、比較的複雑な長形構造である。この例では、下輪16はほぼ長い楕円形になり、環状本体10が外部輪輪郭から見ても長い楕円形を呈する。環状本体10は、第1セグメント21と、第1セグメント21に対向して配置された第2セグメント22と、第1セグメント21と第2セグメント22と連結する2つの側縁12、14とを有する。環状本体10の長い楕円形状の長軸は、3Cm~15Cmの範囲内の寸法を有することが好ましい。上輪13と下輪16の大きさは実質的に異なり、両者は交わる所で互いに当接して支点を構成している。
図1Aと1Cに示すように、上輪13はほぼ円形をしており、一方、下輪16は囲まれている面積は実質に上輪13に囲まれている面積よりに大きい。上輪13は、側縁12、14は第2セグメント22の近傍では、下輪16に当接して2つの支点23、24を構成する。上輪13と下輪16との間には、上下方向Xに隙間が存在することにより、上輪13に第2セグメント22に対向する押さえ部25が構成され、押さえ部25は、上輪13が局所的に上に反るように、下輪16から遠ざかるように形成されており、使用者が指で押さえやすくなっていることが好ましい
【0028】
本発明によれば、第1端部11と第2端部15とは、環状本体10が力を受けていないときに上下方向Xで互いに当接して第1セグメント21を構成するように構成されており、第2セグメント22に近接する押さえ部25が力を受けて下に向けて下輪16に接近すると、支点23、24の存在により、第1セグメント21に位置する第1端部11を第2端部15(図示せず)から遠ざけて上方に移動させる。そして、閉じていた第1セグメント21を開くことにより、鍵やバックル等を嵌め込むのに適したは嵌め込み口ができる。押さえ部25が力を受けなくなると、環状本体10弾性を有しているため、第1端部11と第2端部15とが元の位置に戻って当接する。このとき、第1セグメント21が再び閉じられ、嵌め込まれた鍵やバックルが外れるのを回避する。
【0029】
注意すべきことは、上記の構造によれば、支点23、24は第2セグメント22の近くに配置され、第1セグメント21を構成する第1端部11及び第2端部15からは相対的に離れている。第1セグメント21は、支点23、24間の距離が長いほど、第1端部11が第2端部15から離れるように押さえ部25に力を加えることによって生じる嵌め込み口は大きくなる。つまり、留め具1において、第1セグメント21から離れた支点23、24の構造的特徴は、下輪16の長い形状と相乗的に作用し、押さえ部25が力を受けたときに嵌め込み口を拡大する効果がある。また、環状本体10は、上下方向Xに弾性を有しているため、バックルや鍵が嵌め込み口に入ると、利用者がバックルや鍵を少しひねることにより、さらに嵌め込み口を拡大して、バックルや鍵を簡単にはめることができさせる。上輪13と下輪16の大きさと形状が異なり、第1セグメント21が第1端部11と第2端部15とから構成されているため、バックルや鍵が第1端部11と第2端部15とで画定された嵌め込み口に入った後、第1セグメント21に沿って180度以下にスライドすれば、下輪16に入って安定してセットされる。 これに対して、上輪と下輪円環状で実質的に同じ大きさの通常のキーホルダー構造において、上輪と下輪は上下方向にほぼ重なっているので、バックルや鍵が嵌め込み口に入った後、必ず上輪と下輪に沿って少なくとも約360度スライドして、二重環状構造に入ってしっかりと嵌め込まれることができる。
【0030】
本件の留め具1の好ましい実施例において、環状本体10に力が加わっていない時、第1端部11は第2端部15の上側に重ね合わせることにより、それらが嵌め込まれる鍵等の物品の重さを共に負担して、カバンやベルト等に掛けられるために第1セグメント21の機械的強度を高める。注意するのは、環状本体10の第1端部11と第2端部15とは、その幅方向で被せ物の重さを負担するようになっている 。従って、環状本体10の幅がその厚さよりも実質的に大きい好ましい実施形態において、第1端部11及び第2端部15は、耐重性に優れ、変形しにくい。第1端部11及び第2端部15は、いずれも鈎状に構成されていることが好ましい。 本明細書で使用される用語「鉤状」とは、第1端部11および第2端部15が、第2セグメント22の方向に実質的に向く自由端111、151を有するように曲げられ、被せ物の重量に耐えるための追加の機械的強度を提供することを意味する。曲げられる回数は制限されなく、第1端部11および第2端部15の形状にも多くの変化があり得る。
図1Aに示される第1実施形態において、第1端部11および第2端部15は一度折り曲げられて、円弧状の鈎状構造を呈する。
図2に示される第2実施形態において、第1端部11及び第2端部15は、二回折り曲げられている。折り曲げられた箇所は、
図1A及び
図2に示されるような滑らかな外形、鋭角な外形(図示せず)を呈することに面取りされてもよい。自由端111、151は、第2セグメント22に向かって適度に延びることができるが、通常は、物品が嵌め込み口に入るのを妨げないように、上輪13と接触しない。
【0031】
図1Aに示されるように、側縁12、14は互いに実質的に平行であってもよいし、
図2に示されるように、上輪13と下輪16が互いに当接して支点23、24を構成したり、支点23、24に沿ったてこ作用に影響を及ぼさない限り、側縁12、14は必ずしも直線的に伸びていなくても、曲がったり不規則な形状をしていてもよい。
【0032】
図3Aと
図3Bに示される本発明の第3実施形態において、留め具1の第1端部11と第2端部15は、力が加えられていないときに互いに当接し、しかし両者の間は上下方向Xに局所的間隔され、好ましく、第1端部11と第2端部15とが屈曲した箇所で間隔をあけられて、バックルや鍵を挿入するために、分離部26が画定されている。さらに好ましくは、バックルや鍵を挿入するために、第1端部11と第2端部15とが分離部26でそれぞれ外側に反っている。分離部26を設けることにより、本発明の留め具1は、
図4A-4Dに示されるように、別の方法で使用することができる。
【0033】
図4A-4Dでは、バックル30を例として、この場合の留め具1の使用手順を以下のように示される。まず
図4Aにおいて、第1端部11と第2端部15が明らかに力を受けていない状態で、バックル30を分離部26に挿入する。
図4Bにおいて、第1端部11と第2端部15とが力を受けて互いに離れている分離部26に沿ってバックル30を第1端部11の自由端に並進させ、バックル30の穴を第1端部11の自由端に合わせる。
図4Cでは、第1端部11と第2端部15とをさらに遠ざけ、バックル30を第1端部11の自由端に嵌め込むようにバックル30をねじり、そして、
図4Dでは、バックル30を分離部26に沿って平行移動させ、バックル30を下輪16または上輪13に進入させる。このとき、第1端部11と第2端部15は、本来の当接状態に戻り力を受けなくなる。
図5に示されるように、上記の嵌め込み手順により、本件の留め具1は複数のバックルや鍵を安定して保持することができ、さらにこれらのバックルを通してさらに多くのバックルや鍵を保持することができる。しかも、使用者は操作する時に押さえ部25を押さなくても嵌め込み口を開くことができ、使用上の利便性が向上する。
【0034】
第1、2実施形態に類似し、本発明の第3実施形態において、支点23、24は第2セグメント22に近づけ、第1セグメント21を構成する第1端部11および第2端部15から相対的に離れている。てこ原理により、第1セグメント21と支点23,24の間の距離が長いほど、
図4Bおよび
図4Cに示されるように、第1端部11を第2端部15から離すために必要な力は小さくなる。言い換えれば、本発明の第3実施形態では、第1セグメント21から離れた支点23、24の構造的特徴は、下輪16の長形構形と相乗作動により、バックルまたは鍵が分離部26に挿入されるときに、省力化された相乗的な技術的効果をもたらす。
【0035】
図1A~
図1Bに示される第1実施形態、
図2に示される第2実施形態、および
図3A~3Bに示される第3実施形態において、支点23、24が第2セグメント22と側縁12、14との境界に位置するように、上輪13が第2セグメント22と上下に重なるように配置される。しかしながら、
図6A~6Bに示される本発明の第4実施形態によれば、上輪13は、第2セグメント22と上下に重ならないように、支点23、24が側縁12、14上に位置し、上下方向Xと実質的に直交する水平方向Yに隙間27が形成されるように設置されることができる。この実施形態において、
図7に示されるように、上輪13と下輪16とが隙間27で上下に重ならないため、第1実施形態に比べて保持位置が多く、使用上の弾力性がある。
【0036】
図8Aは、
図1Cに示されるA-A線に沿った断面の左側図で、上輪13の半周131が下方向に螺旋状に側縁12と交差して上輪13を閉じることを示し、ここで、半周131は、上下方向Xに対して実質的に垂直な水平方向Zに対して角度をなしており、
図8Bは、
図8Aに示される断面の1つの変化例であり、ここで、上輪13は、半周131が水平方向Zと略平行となるように上下方向Xに折り曲げられてストッパ132、133が形成され、且つ、ストッパ132、133が側縁12、14にそれぞれ当接し、下輪16に嵌め込まれた物品が、上輪13内に誤って滑り込まないようになっている。
【0037】
本発明は上記の好ましい具体例を参照して説明してきたが、好ましい具体例は例示の目的のために与えられたものであって、本発明の範囲を限定する意図はなく、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、関連技術に精通している者にとって極めて明らかで様々な訂正と変更を行うことができることを認識すべきである。
【符号の説明】
【0038】
1……留め具
10……環状本体
11……第1端部
111……自由端
12……側縁
13……上輪
131……半周
132……ストッパー
133……ストッパー
14……側縁
15……第2端部
151……自由端
16……下輪
21……第1セグメント
22……第2セグメント
23……支点
24……支点
25……押さえ部
26……分離部
27……隙間
30……バックル
X……上下方向
Y……水平方向
Z……水平方向