(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】穿孔用医療装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A61B18/12
(21)【出願番号】P 2022190957
(22)【出願日】2022-11-30
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0170876
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515223411
【氏名又は名称】スターメド カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】#B-1403, Daebang Triplaon, 158, Haneulmaeul-ro, Ilsandong-gu, Goyang-si, Gyeonggi-do 10355, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、キョン・フーン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン・ウン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨ・ハン
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-512569(JP,A)
【文献】特表2019-517832(JP,A)
【文献】特表2019-520958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れ得るチューブと、
前記チューブの近位端部に結合されるハンドル部と、
前記チューブの遠位端部に結合される電極チップと、
前記チューブ内に流体を注入するための流体注入部と、を含み、
前記電極チップには、前記チューブの中空と連通して流体が噴射される一つ以上の噴射溝が形成され
、
前記一つ以上の噴射溝は、前記電極チップの側面から前記チューブの中空に向けて半径方向内側に傾斜して形成されることを特徴とする、医療装置。
【請求項2】
前記一つ以上の噴射溝は、互いに向かい合う位置に対称に形成される第1噴射溝および第2噴射溝を含むことを特徴とする、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
流体が流れ得るチューブと、
前記チューブの近位端部に結合されるハンドル部と、
前記チューブの遠位端部に結合される電極チップと、
前記チューブ内に流体を注入するための流体注入部と、を含み、
前記電極チップには、前記チューブの中空と連通して流体が噴射される一つ以上の噴射溝が形成され、
前記一つ以上の噴射溝は、互いに向かい合う位置に対称に形成される第1噴射溝および第2噴射溝を含み、
前記チューブの内側に配置され、前記第1噴射溝および前記第2噴射溝に流体をガイドするためのガイド部をさらに含む
、医療装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記電極チップと一体に形成されることを特徴とする、請求項
3に記載の医療装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記第1噴射溝と前記第2噴射溝との間に備えられ、前記第1噴射溝および前記第2噴射溝に向けてそれぞれ傾く第1傾斜部および第2傾斜部を含むことを特徴とする、請求項
3に記載の医療装置。
【請求項6】
前記流体注入部を通して注入される流体の圧力を調節するための圧力調節部をさらに含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項7】
前記チューブは、近位端部の厚さよりも遠位端部の厚さがより薄く形成されるように、少なくとも一部の区間がテーパー状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
前記チューブは、前記ハンドル部が結合される第1チューブと前記電極チップが結合される第2チューブとを含み、前記第1チューブは、剛性(rigidity)の材質で形成され、前記第2チューブは、可撓性(flexibility)を有する材質で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の医療
装置。
【請求項9】
一端が前記電極チッ
プに連結され、他端が前記ハンドル部まで延びるワイヤをさらに含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項10】
前記ハンドル部にスライド移動または回転可能に設けられるワイヤ操作部をさらに含み、
前記ワイヤの他端は、前記ワイヤ操作部に連結されることを特徴とする、請求項
9に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関するものであり、より詳細には、穿孔(puncturing)および流体の注入が可能な医療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
組織を通して穿孔部またはチャンネルを形成するために様々な形態の穿孔(puncturing)装置が用いられる。前記装置は、様々な穿孔手段、例えば、機械的、電気的または光学的穿孔手段を用いることができる。典型的に前記装置が、拡張器(dilator)またはシース(sheath)のような管状装置を介して患者体内に挿入される。多数の適用例において、ユーザーは穿孔作業前、後または穿孔作業の間に前記装置を介して流体を挿入するかまたは抜き取ることを希望することがある。
【0003】
しかし、このために組織と当たる電極末端にホールが形成されるかまたは開放される場合、高周波(RF)で穿孔する際に、前記ホールまたは開放された部分に組織が残るコアリング(coring)現象が起り得る。このように組織が残る場合、該当組織が血管に沿って移動し、脳卒中のような深刻な副作用の原因となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-152938号公報
【文献】米国特許出願公開第2016/0158509号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、穿孔(puncturing)および流体の注入が可能な医療装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明が成そうとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていない別の技術的課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するための本発明の一実施例は、流体が流れ得るチューブと、前記チューブの近位端部に結合されるハンドル部と、前記チューブの遠位端部に結合される電極チップと、前記チューブ内に流体を注入するための流体注入部と、を含み、前記電極チップには、前記チューブの中空と連通して流体が噴射される一つ以上の噴射溝が形成されたことを特徴とする、医療装置を提供する。
【0008】
実施例によると、前記一つ以上の噴射溝は、前記電極チップの側面から前記チューブの中空に向けて半径方向内側に傾斜して形成されてもよい。
【0009】
実施例によると、前記一つ以上の噴射溝は、互いに向かい合う位置に対称に形成される第1噴射溝および第2噴射溝を含んでもよい。
【0010】
実施例によると、前記チューブの内側に配置され、前記一つ以上噴射溝に流体をガイドするためのガイド部をさらに含んでもよい。
【0011】
実施例によると、前記ガイド部は、前記電極チップと一体に形成されてもよい。
【0012】
実施例によると、前記ガイド部は、前記第1噴射溝と前記第2噴射溝との間に備えられ、前記第1噴射溝および前記第2噴射溝に向けてそれぞれ傾く第1傾斜部および第2傾斜部を含んでもよい。
【0013】
実施例によると、前記流体注入部を通して注入される流体の圧力を調節するための圧力調節部をさらに含んでもよい。
【0014】
実施例によると、前記チューブは、近位端部の厚さよりも遠位端部の厚さがより薄く形成されるように、少なくとも一部の区間がテーパー状に形成されてもよい。
【0015】
実施例によると、前記チューブは、前記ハンドル部が結合される第1チューブと前記電極チップが結合される第2チューブとを含み、前記第1チューブは、剛性(rigidity)の材質で形成され、前記第2チューブは、可撓性(flexibility)を有する材質で形成されてもよい。
【0016】
実施例によると、一端が前記電極チップまたは前記チューブの遠位端部に連結され、他端が前記ハンドル部まで延びるワイヤをさらに含んでもよい。
【0017】
実施例によると、前記ハンドル部にスライド移動または回転可能に設けられるワイヤ操作部をさらに含み、前記ワイヤの他端は、前記ワイヤ操作部に連結されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、穿孔(puncturing)作業とともに流体の注入が可能である。特に、流体が噴射される噴射溝がチューブの中空と連通することによって、具体的に電極チップの側面からチューブの中空に向けて半径方向内側に傾斜して形成されることによって、組織と当たる電極部分にはホールが形成されるかまたは開放されないので、高周波(RF)で穿孔する際に、組織が残るコアリング(coring)現象が起こらない。
【0019】
また、噴射溝がチューブの側面ではなく端部に形成され、チューブの内側から流体がガイド部によって噴射溝に向けてガイドされるので、流体の注入に必要な圧力が減少する。
【0020】
また、流体注入部を通して注入される流体の圧力を調節して流体が噴射される経路を調節することができる。
【0021】
本発明の効果は、前記効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載の発明の構成から推論可能なあらゆる効果を含むことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施例に係る医療装置を示す正面図。
【
図2】
図1の遠位端部側の一部を拡大して示す正面図。
【
図5】本発明の第2実施例に係る医療装置を示す正面図。
【
図6】
図5の近位端部側の一部を拡大して示す正面図。
【
図7】
図5の遠位端部側の一部を拡大して示す断面図。
【
図8】本発明の第3実施例に係る医療装置の遠位端部側の一部を拡大して示す断面図。
【
図9】本発明の医療装置を用いる方法を示すための簡略図。
【
図10】本発明の医療装置を用いる方法を示すための簡略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の医療装置に関する好ましい実施例を、添付の図面を参照して説明することにする。
【0024】
なお、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であって、これはユーザー、オペレーターの意図または慣例によって異なり、以下の実施例は、本発明の権利範囲を限定するものではなく、本発明の請求の範囲に提示された構成要素の例示的な事項に過ぎない。
【0025】
本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付すことにする。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素さらに備えることができることを意味する。
【0026】
まず、
図1~
図4を参考にして、本発明の第1実施例に係る医療装置1に関して説明することにする。
【0027】
本発明の第1実施例に係る医療装置1は大きく、チューブ100と、ハンドル部200と、電極チップ300と、ガイド部400と、流体注入部500と、電気エネルギー供給部600と、を含んでもよい。
【0028】
チューブ100は、流体を伝達するための部分で、中空を通して流体が流れることができ、近位端部102と遠位端部104とを有するように延びる。ここで、近位端部102は、医療装置を用いるユーザーに近い端部をいい、遠位端部104は、ユーザーから遠い端部をいう。ここで、チューブ100は、一つの管からなってもよいことはもちろん、複数個の管が互いに連結されて一つのチューブをなしてもよい。例えば、チューブ100は、2つの管からなるが、一つの管が他の一つの管に一定部分挿入されることによって連結されてもよい。
【0029】
チューブの近位端部102にはハンドル部200が結合されており、チューブの遠位端部104には電極チップ300が結合されている。ハンドル部200は、医療装置を用いる際に、体外に位置してユーザーが掴んだり操作するための部分に該当する。電極チップ300は、電気エネルギーの供給を受けて体内部位を焼灼して穿孔を形成するための部分で、少なくとも一部がチューブの遠位端部104から突出するように結合される 。
図2~4に示されるように、実施例において、電極チップ300は、丸いヘッドを有する円筒形に形成されており、チューブの遠位端部104に結合されている。具体的に、電極チップ300がチューブの遠位端部104と同一の直径を有するように形成され、互いに向かい合う面が溶接によって結合されてもよい。
【0030】
流体注入部500は、チューブ100内に流体を注入するための部分に該当するもので、チューブ100は、ハンドル部200の内部まで延び、流体注入部500もまたハンドル部200の内部まで延びてチューブ100と連通する。本実施例では、流体注入部500に注入される流体の圧力を調節するための圧力調節部700が連結されているが、これに限定されるものではなく、ユーザーが流体注入部500に注射器などを連結して流体を注入することもできる。
【0031】
電気エネルギー供給部600は、電極チップ300に電気エネルギーを供給するための部分に該当するもので、高周波(RF)発生器から発生する高周波(RF)電気エネルギーが供給部600を介して電極チップ300に供給される。高周波発生器は、患者の体内部位を穿孔するのに適した程度の高周波を発生させ、例えば、200kHz~3.3MHzの範囲で作動することができる。具体的に、電気エネルギー供給部600は、ハンドル部200の内部まで延びてチューブ100と電気的に連結されてもよい。例えば、電気エネルギー供給部600は、高周波発生器に電気的に連結されたプラグ(plug)と電気的に連結できるジャック(jack)であってもよいし、ジャックとチューブ100とは直接的に連結されてもよく、別の導電性ワイヤで連結されてもよい。これにより、高周波電気エネルギーが供給部600からチューブ100を経て電極チップ300まで伝達でき、電極チップ300を介して患者の体内部位に加えられて体内部位を貫通する穿孔を形成することである。このために、本実施例において、前記チューブ100は、生体適合性を有し、電極チップ300と同様に、電気伝導性材料で形成されてもよい。ここで、生体適合性(biocompatibility)とは、外科的治療過程の間に身体内で用いるのに適した材料を指す。前記チューブ100の材料は、例えば、ステンレス鋼、銅、チタンおよびニッケルチタン合金(例えば、ニチノール(NITINOL))を含む。しかし、これに限定されるものではなく、チューブが電気伝導性材料で形成されていない場合(例えば、チューブがプラスチックで形成される場合)には、電気エネルギー供給部から電極チップまで電気エネルギーを伝達するための別のワイヤがさらに備えられてもよい。
【0032】
本実施例では、チューブ100が電気伝導性材質で形成されているので、絶縁のために絶縁チューブ120がチューブ100を囲むように備えられている。しかし、これに限定されるものではなく、チューブ100は、絶縁体でコーティングされるが、ディップコーティング(dip coating)またははスプレーコーティング(spraycoating)または熱収縮チューブコーティング(heat shrink tubing)されてもよい。例えば、絶縁体は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、パリレン(parylene)、ポリイミド(polyimides)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterepthalate、PET)、ポリエーテルブロックアミド(polyether block amide)、およびポリエーテルエーテルケトン(Polyether ether ketone)のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせであってもよい。
【0033】
次に、
図2~4を参考にして、流体注入部500を通してチューブ100に注入された流体がチューブ100の外に噴射される構造を説明することにする。
【0034】
電極チップ300にはチューブ100の中空と連通して流体が噴射される一つ以上の噴射溝320が形成される。本実施例において、一つ以上の噴射溝320は互いに向かい合う位置に対称に形成される第1噴射溝320aおよび第2噴射溝320bを含んでいる。具体的に、第1噴射溝320aおよび第2噴射溝320bはそれぞれ電極チップ300の側面からチューブ100の中空に向けて半径方向内側に傾斜して形成される。特に、チューブ100と電極チップ300との十分な結合面積が確保できるように第1噴射溝320aおよび第2噴射溝320bの傾斜は凹状に形成されることが好ましい。これを通じて、チューブ100の中空が一部開放され、チューブ100内の流体を外部に噴射することができる。
【0035】
このとき、
図4に示されるように、チューブ100の内側には第1噴射溝320aおよび第2噴射溝320bにそれぞれ流体をガイドするためのガイド部400が配置されてもよい。本実施例において、ガイド部400は、電極チップ300と一体に形成され、第1噴射溝320aと第2噴射溝320bとの間で平らな形で備えられている。ガイド部400は、第1噴射溝320aに流体をガイドするために第1噴射溝320aに向けて傾く第1傾斜部420aと、第2噴射溝320bに流体をガイドするために第2噴射溝320bに向けて傾く第2傾斜部420bを含む。
【0036】
これにより、チューブの近位端部102から注入され、チューブの遠位端部104まで流れた流体が噴射溝320を通して噴射されるが、ガイド部の傾斜部420に沿って自然に噴射溝320に向けてガイドされる。このように、噴射溝320がチューブ100の側面ではなく端部に形成され、チューブ100の内側から流体がガイド部400によって噴射溝320に向けてガイドされるので、流体の注入に必要な圧力が減少する。
【0037】
さらに、圧力調節部700によって流体注入部500を通して注入される流体の圧力が調節されることによって流体が噴射される経路を調節することができる。具体的に、流体注入部500を通して注入される流体の圧力が一定値より低いと、噴射溝320を通して噴射される流体は電極チップ300の外部面に沿って流れるはずであり(
図4の経路A)、一定値より高いと、噴射溝320を通して噴射される流体は一直線に噴射され、より広い範囲まで噴射されるはずである(
図4の経路B)。
【0038】
本発明によると、穿孔(puncturing)作業とともに流体の注入が可能である。特に、流体が噴射される噴射溝320がチューブ100の中空と連通することによって、具体的に、電極チップ300の側面からチューブ100の中空に向けて半径方向内側に傾くように形成されることによって、組織と当たる電極チップ部分にはホールが形成されるかまたは開放されないので、高周波(RF)で穿孔する際に組織が残るコアリング(coring)現象が起こらない。
【0039】
次に、
図5~7を参考にして、本発明の第2実施例に係る医療装置2に関して説明することにする。
【0040】
本発明の第2実施例に係る医療装置2は大きく、チューブ2100と、ハンドル部2200と、電極チップ2300と、ガイド部2400と、流体注入部2500と、電気エネルギー供給部2600と、ワイヤ操作部2800と、ワイヤ2900と、を含んでもよい。ここで、チューブ2100と、電極チップ2300と、ガイド部2400と、流体注入部2500と、電気エネルギー供給部2600の構成は、前記で説明したものと同一であるので、異なる部分を中心に説明することにする。
【0041】
本実施例において、ハンドル部2200にはワイヤ操作部2800がスライド移動可能に設けられる。ワイヤ操作部2800は、以下で説明するように、ワイヤ2900を操作するための部分に該当するであって、ワイヤ2900の近位側端部が連結され、ワイヤ2900を引いたり押したりすることができる。具体的に、ハンドル部2200には一定長さのホールが形成されてもよく、前記ホールを通してワイヤ操作部2800がスライド移動可能に設けられてもよい。しかし、これに限定されるものではなく、ワイヤ操作部はハンドル部に回転可能に設けられてもよい。
【0042】
医療装置2は、ステアリング(steering)機能のために一端が電極チップ2300またはチューブの遠位端部2104に連結され、他端がハンドル部2200まで延びるワイヤ2900をさらに含む。本実施例において、ワイヤ2900は、近位側端部がワイヤ操作部2800に連結され、遠位側端部が電極チップ2300と一体に形成されるガイド部2400の末端に連結されている。これにより、ユーザーがワイヤ操作部2800をユーザー側に引くと、電極チップ2300の末端に連結されたワイヤ2900がともに引かれ、チューブの遠位端部2104がユーザー側により湾曲するようになる。
【0043】
このために、
図7に示されるように、チューブ2100は、近位端部2102の厚さよりも、遠位端部2104の厚さがより薄く形成されるように、少なくとも一部の区間2106がテーパー状に形成されてもよい。これに限定されるものではないが、
図7では、チューブの近位端部2102の厚さが、チューブの遠位端部2104の厚さの約2倍に該当するように示されている。これにより、チューブの近位端部2102は剛性を維持しながらも、チューブの遠位端部2104は可撓性が高くなり得るのである。
【0044】
次に、
図8を参考にして、本発明の第3実施例に係る医療装置を説明することにする。本発明の第3実施例に係る医療装置は、前記で説明した第2実施例に係る医療装置2とチューブの構造のみ異なっており、残りはいずれも同一であるので、チューブを重点的に説明することにする。
【0045】
本実施例において、チューブ3100は、ハンドル部が結合される第1チューブ3102と、電極チップ3300が結合される第2チューブ3104とを含み、第1チューブ3102は、剛性(rigidity)の材質で形成され、第2チューブ3104は、可撓性(flexibility)を有する材質で形成されてもよい。このとき、第1チューブ3102は、チューブの近位端部に該当するものであり、第2チューブ3104は、チューブの遠位端部に該当するものである。これにより、チューブの近位端部は剛性を維持して柱強度(column strength)を提供しながらも、チューブの遠位端部は湾曲できるように可撓性を提供することができる。ユーザーがワイヤ操作部をユーザー側に引くと、電極チップ3300と一体に形成されるガイド部3400の末端に連結されたワイヤ3800がともに引かれ、第2チューブ3104がユーザー側に湾曲することができる。例えば、前記第1チューブ3102は、ステンレス鋼で製造されてもよく、前記第2チューブ3104は、ニチノール(NITINOL)のようなニッケルチタン合金から製造されてもよい。
【0046】
以下では、
図9および10を参考にして、本発明の第1実施例に係る医療装置1を用いる方法に関して説明することにする。穿孔を形成するための体内部位は、患者の心臓内にある組織、例えば、心臓の心房中隔10であってもよい。このような目標部位は、下大静脈(IVC)を通して、例えば大腿静脈を通して接近できる。
【0047】
まず、
図9を参考にすると、ユーザーが下大静脈20を通してシース50および拡張器60を心臓の右心房中に挿入することができる。具体的に、ユーザーはガイドワイヤを大腿静脈、一般的に右側大腿静脈に導入して心臓内部に挿入させた後、シース50と拡張器60をガイドワイヤに沿って心臓内部に挿入させることができる。その後、ガイドワイヤは除去され、シース50および拡張器60の内部に本発明の医療装置1が挿入され、ユーザーは拡張器60の遠位端部が目標部位の心房中隔10に接するように位置決めすることができる。このとき、医療装置1の電極チップ300は、拡張器60の遠位端部と位置合わせられる。これを容易に行うために、電極チップ300は、白金(Pt)またはイリジウム(Ir)で形成されてもよい。白金、イリジウムはX線不透過性物質に該当するので、X線透視法下でユーザーが電極チップ300の位置を容易に確認することができるからである。
【0048】
拡張器60の遠位端部が心房中隔10の卵円窩に対して配列されると、電極チップ300が心房中隔10と接触し、電極チップ 300に電気エネルギーを供給する。すなわち、高周波発生器で発生する高周波電気エネルギーが供給部600からチューブ100を経て電極チップ300まで伝達されるようにする。これにより、電極チップ300によって心房中隔10にエネルギーが伝達されて焼灼することができ、心房中隔10には穿孔が形成される。
【0049】
図10に示されるように、穿孔が形成されると、医療装置1のチューブ100の遠位端部が穿孔を通過して左心房に到達することができる。その後、エネルギーの伝達は中止され、流体注入部500を通してチューブ100内に流体を注入することができる。流体は、例えば、造影剤であってもよいし、チューブ100内に注入された造影剤がチューブの遠位端部104に伝達され、電極チップ300の噴射溝320を通して左心房内に噴射される。
【0050】
本発明は、前述した特定の実施例および説明に限定されず、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも様々な変形実施が可能であり、そのような変形は本発明の保護範囲内にある。
本願の出願当初の特許請求の範囲の記載を以下に付記する。
[1]
流体が流れ得るチューブと、
前記チューブの近位端部に結合されるハンドル部と、
前記チューブの遠位端部に結合される電極チップと、
前記チューブ内に流体を注入するための流体注入部と、を含み、
前記電極チップには、前記チューブの中空と連通して流体が噴射される一つ以上の噴射溝が形成されたことを特徴とする、医療装置。
[2]
前記一つ以上の噴射溝は、前記電極チップの側面から前記チューブの中空に向けて半径方向内側に傾斜して形成されることを特徴とする、上記[1]に記載の医療装置。
[3]
前記一つ以上の噴射溝は、互いに向かい合う位置に対称に形成される第1噴射溝および第2噴射溝を含むことを特徴とする、上記[1]に記載の医療装置。
[4]
前記チューブの内側に配置され、前記第1噴射溝および前記第2噴射溝に流体をガイドするためのガイド部をさらに含む、上記[3]に記載の医療装置。
[5]
前記ガイド部は、前記電極チップと一体に形成されることを特徴とする、上記[4]に記載の医療装置。
[6]
前記ガイド部は、前記第1噴射溝と前記第2噴射溝との間に備えられ、前記第1噴射溝および前記第2噴射溝に向けてそれぞれ傾く第1傾斜部および第2傾斜部を含むことを特徴とする、上記[4]に記載の医療装置。
[7]
前記流体注入部を通して注入される流体の圧力を調節するための圧力調節部をさらに含む、上記[1]に記載の医療装置。
[8]
前記チューブは、近位端部の厚さよりも遠位端部の厚さがより薄く形成されるように、少なくとも一部の区間がテーパー状に形成されることを特徴とする、上記[1]に記載の医療装置。
[9]
前記チューブは、前記ハンドル部が結合される第1チューブと前記電極チップが結合される第2チューブとを含み、前記第1チューブは、剛性(rigidity)の材質で形成され、前記第2チューブは、可撓性(flexibility)を有する材質で形成されることを特徴とする、上記[1]に記載の医療機器。
[10]
一端が前記電極チップまたは前記チューブの遠位端部に連結され、他端が前記ハンドル部まで延びるワイヤをさらに含む、上記[1]に記載の医療装置。
[11]
前記ハンドル部にスライド移動または回転可能に設けられるワイヤ操作部をさらに含み、
前記ワイヤの他端は、前記ワイヤ操作部に連結されることを特徴とする、上記[10]に記載の医療装置。
【符号の説明】
【0051】
1、2:医療装置
100、2100、3100:チューブ
102、2102:近位端部
104、2104:遠位端部
120:絶縁チューブ
200、2200:ハンドル部
300、2300、3300:電極チップ
320、320a、320b:噴射溝
400、2400、3400:ガイド部
420、420a、420b:傾斜部
500、2500:流体注入部
600、2600:電気エネルギー供給部
700:圧力調節部
2800:ワイヤ操作部
2900、3900:ワイヤ
3102:第1チューブ
3104:第2チューブ