(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】ホールコンピュータ
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A63F7/02 332Z
A63F7/02 315A
(21)【出願番号】P 2022199237
(22)【出願日】2022-12-14
(62)【分割の表示】P 2020045848の分割
【原出願日】2020-03-16
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩原 康平
【審査官】袴田 知弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-119864(JP,A)
【文献】特許第7202014(JP,B2)
【文献】特開2020-025925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常遊技状態において遊技盤における所定領域を遊技媒体が通過した場合に遊技者に有利な大当り遊技状態に移行させるか否かを判定可能な判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じた識別情報を停止表示可能な表示手段と、
前記所定領域に遊技媒体が通過し難い第1状態と、当該第1状態よりも前記所定領域に遊技媒体が通過し易い第2状態とに変位可能な変位手段と、
前記大当り遊技状態の終了後において、前記通常遊技状態よりも前記変位手段が前記第2状態に変位し易い時短遊技状態としての特定時短遊技状態に制御可能であり、且つ、前記大当り遊技状態の終了後において、前記表示手段に前記大当り遊技状態に移行させないことを示す態様で識別情報が特定回数停止表示された場合に、前記時短遊技状態としての特別時短遊技状態に制御可能な遊技状態制御手段と、
遊技状態が前記大当り遊技状態である場合に第1情報を出力可能であり、且つ、遊技状態が前記時短遊技状態である場合に第2情報を出力可能な出力手段と、
を備える遊技機に対応して設けられる
ホールコンピュータにおいて、
前記第1情報及び前記第2情報の出力態様に基づいて、前記遊技機が前記特定時短遊技状態か前記特別時短遊技状態かを特定可能な時短遊技状態特定手段
と、
前記時短遊技状態特定手段により前記遊技機が前記特定時短遊技状態であると特定された場合、特定情報を報知可能な特定情報報知手段と、
前記時短遊技状態特定手段により、前記遊技機が前記特別時短遊技状態であると特定された場合、特別情報を表示可能な特別情報報知手段と、
操作者が操作可能な操作手段と、
を備え
、
前記特定情報報知手段は、
前記時短遊技状態特定手段により前記遊技機が前記特定時短遊技状態であると特定され、且つ、前記特定情報を報知していない状態において、操作者により前記操作手段が所定態様で操作された場合、前記特定情報を報知可能であり、
前記特別情報報知手段は、
前記時短遊技状態特定手段により前記遊技機が前記特別時短遊技状態であると特定され、且つ、前記特別情報を報知していない状態において、操作者により前記操作手段が所定態様で操作された場合、前記特別情報を報知可能である
ことを特徴とする
ホールコンピュータ。
【請求項2】
前記時短遊技状態特定手段は、
前記第1情報及び前記第2情報が出力されている態様から、前記第1情報と重複せずに前記第2情報が出力される態様に変化した場合、前記遊技機が前記特定時短遊技状態であることを特定可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の
ホールコンピュータ。
【請求項3】
前記時短遊技状態特定手段は、
前記第1情報及び前記第2情報が出力されていない態様から、前記第1情報と重複せずに前記第2情報が出力される態様に変化した場合、前記遊技機が前記特別時短遊技状態であることを特定可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の
ホールコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホールコンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機から出力される大当り情報が終了することで、遊技状態が時短中であることを特定する遊技用装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
また、遊技機における遊技状態ごとに異なる表示態様に制御することで、直感的に遊技機の遊技状態を特定できる遊技用装置が開示されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-95211号公報
【文献】特開2013-27430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊技用装置には、改良すべき余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のホールコンピュータは、通常遊技状態において遊技盤における所定領域を遊技媒体が通過した場合に遊技者に有利な大当り遊技状態に移行させるか否かを判定可能な判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じた識別情報を停止表示可能な表示手段と、前記所定領域に遊技媒体が通過し難い第1状態と、当該第1状態よりも前記所定領域に遊技媒体が通過し易い第2状態とに変位可能な変位手段と、前記大当り遊技状態の終了後において、前記通常遊技状態よりも前記変位手段が前記第2状態に変位し易い時短遊技状態としての特定時短遊技状態に制御可能であり、且つ、前記大当り遊技状態の終了後において、前記表示手段に前記大当り遊技状態に移行させないことを示す態様で識別情報が特定回数停止表示された場合に、前記時短遊技状態としての特別時短遊技状態に制御可能な遊技状態制御手段と、遊技状態が前記大当り遊技状態である場合に第1情報を出力可能であり、且つ、遊技状態が前記時短遊技状態である場合に第2情報を出力可能な出力手段と、を備える遊技機に対応して設けられるホールコンピュータにおいて、前記第1情報及び前記第2情報の出力態様に基づいて、前記遊技機が前記特定時短遊技状態か前記特別時短遊技状態かを特定可能な時短遊技状態特定手段と、前記時短遊技状態特定手段により前記遊技機が前記特定時短遊技状態であると特定された場合、特定情報を報知可能な特定情報報知手段と、前記時短遊技状態特定手段により、前記遊技機が前記特別時短遊技状態であると特定された場合、特別情報を表示可能な特別情報報知手段と、操作者が操作可能な操作手段と、を備え、前記特定情報報知手段は、前記時短遊技状態特定手段により前記遊技機が前記特定時短遊技状態であると特定され、且つ、前記特定情報を報知していない状態において、操作者により前記操作手段が所定態様で操作された場合、前記特定情報を報知可能であり、前記特別情報報知手段は、前記時短遊技状態特定手段により前記遊技機が前記特別時短遊技状態であると特定され、且つ、前記特別情報を報知していない状態において、操作者により前記操作手段が所定態様で操作された場合、前記特別情報を報知可能な構成としてある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】遊技用システムの各装置間の情報の流れを示すブロック図である。
【
図3】遊技用装置が収集する出力情報の一例を示す図である。
【
図4】遊技用装置(ホールコンピュータ)の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】遊技用装置が判定する異常を示しており、(a)はベース異常及び差数異常、(b)は天井時短不正移行異常及び天井時短未移行異常それぞれを示す図である。
【
図7】遊技機の遊技盤の構成の一例を示す図である。
【
図8】遊技機(ループタイプ)の仕様の一例を示す図である。
【
図9】天井時短の特定方法を説明するためのタイムチャート1である。
【
図10】遊技機からホールコンピュータに出力される出力情報の一例を示す図である。
【
図11】天井時短の特定方法を説明するためのタイムチャート2である。
【
図12】天井時短の特定方法を説明するためのタイムチャート3である。
【
図13】天井時短の特定方法を説明するためのタイムチャート4である。
【
図14】天井時短の特定方法を説明するためのタイムチャート5である。
【
図15】天井時短特定処理を示すフローチャート1である。
【
図16】天井時短特定処理を示すフローチャート2である。
【
図17】天井時短特定処理を示すフローチャート3である。
【
図18】天井時短特定処理を示すフローチャート4である。
【
図19】天井時短特定処理を示すフローチャート5である。
【
図20】遊技用装置の画面表示例を示し、遊技場内レイアウト画面の一例を示す図である。
【
図21】遊技用装置(呼出ランプ)の構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】遊技用装置の画面表示例を示し、(a)は大当り後の時短状態、(b)は天井時短状態それぞれを示す図である。
【
図23】遊技用装置の画面表示例を示し、(a)は通常遊技状態における天井時短ゲーム数、(b)は天井時短状態における時短回数それぞれを示す図である。
【
図24】天井時短ゲーム数までの残りゲーム数が特定値となった場合の遊技用装置の画面表示例を示す図である。
【
図25】天井時短状態における遊技用装置の画面表示例を示し、(a)は電源遮断時、(b)は電源復帰時それぞれを示す図である。
【
図26】遊技機(STタイプ)の仕様の一例を示す図である。
【
図27】遊技機(V-STループタイプ)の仕様の一例を示す図である。
【
図28】遊技機(一種二種混合タイプ)の仕様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、本発明の好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
【0008】
本実施形態に係る遊技用システム1は、
図1に示すように、パチンコ機などの遊技機10や複数の遊技用装置などで構成されている。
【0009】
遊技用装置としては、例えば、現金の投入(紙幣)と引き換えに遊技球などの遊技媒体を貸し出す台間機20、対を成す遊技機10に関する遊技情報の表示や店員の呼出機能を備える呼出ランプ30、台コンピュータ40、島コンピュータ50、遊技機10ごとの遊技情報を収集するホールコンピュータ60などを備えている。
また、特に図示しないが、遊技機10としてスロットマシン、台間機20としてメダルを貸し出すタイプのもの、遊技媒体を計数可能な計数装置、遊技機10で獲得した遊技媒体と所定の景品との交換を行う景品交換装置などの遊技用装置も設置されている。
これらの遊技用装置は、それぞれ通信手段を備え、所定のネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク)を介してデータ通信可能に接続されている。
【0010】
このような遊技用システム1は、遊技機10、台間機20などから出力される遊技情報、貸出情報に基づいて遊技機10ごとの遊技情報を収集する遊技情報収集システムとして構成されている。
【0011】
具体的には、遊技機10は、
図2に示すような流れで、
図3に示すような出力情報(信号)、外部端子板などの出力手段から遊技用装置に対して出力する。
出力手段から出力される出力情報には、遊技進行に応じて出力される様々な遊技情報がある。
例えば、遊技機10は、「アウト情報」(使用遊技価値数情報)、「セーフ情報」(付与遊技価値数情報)、「大当り1情報」(大当り情報)、「大当り2情報」(大当り情報、時短情報、特定情報)、「スタート情報」(図柄確定情報)、「始動口情報」、「天井時短情報」(時短情報、特別情報)などをそれぞれ出力する。
「アウト情報」は、使用される遊技球(例えば、10玉)ごとに出力され、この出力数を計数することで、遊技機10で使用される遊技球数(遊技価値数)が求められる。
「セーフ情報」は、入賞により付与される遊技球の所定数(例えば、10玉)ごとに出力され、この出力数を計数することで、遊技機10から付与される遊技球数(遊技価値数)が求められる。
「大当り1情報」は、「大当り遊技状態」の開始によりオフからオンに変化し、「大当り遊技状態」の終了によりオンからオフに変化する、すなわち大当り遊技状態中に出力される遊技情報である。
「大当り2情報」は、「大当り遊技状態」及び/又は「時短状態」の開始によりオフからオンに変化し、「大当り遊技状態」及び/又は「時短状態」の終了によりオンからオフに変化する、すなわち大当り遊技状態中及び/又は時短状態中に出力される遊技情報である。
また、「時短状態」では、後述する電サポ状態となり、遊技者は、持遊技球の減りが抑えられる。
「スタート情報」は、識別情報である特別図柄の変動が停止する度、すなわち1ゲーム(遊技)ごとに出力される遊技情報であり、この出力数を計数することで、ゲーム数が求められる。
「始動口情報」は、後述する始動口110,111に遊技球が1玉入賞する度に出力される遊技情報である(
図7参照)。
「天井時短情報」は、予め定めたゲーム数に到達した後に移行する「天井時短状態」の開始によりオフからオンに変化し、「天井時短状態」の終了によりオンからオフに変化する、すなわち「天井時短状態」において出力される遊技情報である。
天井とは、「大当り遊技状態」の終了後から大当り非当選の状態で、特定回数のゲームを行った後に、遊技者に有利な遊技状態に突入することをいう。
そして、以下の説明では、その特定回数の時短ゲーム数を、「天井時短ゲーム数」ともいう。
なお、「天井時短情報」を含むこれらの遊技情報が単独で遊技機10から出力される例について説明したが、これに限られず、遊技情報が単独で出力されない場合もあり、遊技機10の仕様によって決定される。
そのため、「天井時短情報」が単独で出力されない遊技機10であっても、後述するように他の遊技情報から「天井時短状態」を特定できる。
また、「天井時短情報」を含むこれらの遊技情報の開始又は終了による信号の立ち上がり又は立ち下がりの検出は、ワンショット回路などを用いても良く、さらにはソフトなどで処理しても良く、予め設定されている判定値と比較することにより行われる。
【0012】
これらの遊技情報は、重複して又は単独で出力され、これらの出力を監視することにより、「大当り遊技状態」と、「時短状態」と、「天井時短状態」と、これらの何れの遊技情報が出力されない「通常遊技状態」と、をそれぞれ識別できる。
また、台間機20からも、現金の投入やカードの挿入などの取引情報や現金などの投入額を示す「売上情報」などの貸出情報が、併設された遊技機10を特定可能な遊技機情報とともに出力される。
【0013】
また、遊技機10がパチンコ機の場合、「アウト情報」は、パチンコ機に併設されるアウトタンクに備える遊技球検知センサなどの出力手段から出力されるが、便宜上、遊技機10から出力されるものとして説明する。
【0014】
このような遊技情報は、ネットワークを介して台コンピュータ40、島コンピュータ50を中継してホールコンピュータ60に送信される。
遊技情報は、台コンピュータ40、島コンピュータ50、及びホールコンピュータ60のうち少なくともいずれかにおいて所定のデータ加工(例えば数値化処理)が行われ、ホールコンピュータ60に遊技機10ごとの遊技情報として順次蓄積される。
【0015】
ホールコンピュータ60は、遊技用装置の一例として動作し、例えば、
図4に示すように、キーボード、マウスなどの入力手段からなる操作部61、台コンピュータ40、島コンピュータ50などとデータ通信を行う通信部62、液晶表示装置などを有し、遊技機10ごとの遊技情報を表示する表示部63、ハードディスクなどの記憶手段からなる記憶部64、上記各部を制御する制御部65(コンピュータ)などを備え、主に遊技場の管理者や店員などにより操作される情報処理装置として構成されている。
【0016】
制御部65は、収集手段として機能することにより、通信部62を介して島コンピュータ50などから受信する遊技機10ごとの遊技情報を記憶部64に逐次記憶する。
【0017】
記憶部64に記憶される遊技情報には、例えば、「スタート情報」の入力数から求められる「スタート回数」、使用される遊技球の入力数から求められる「アウト数」、付与される遊技球の入力数から求められる「セーフ数」、始動口110,111への入賞数が求められる「始動口入賞数」などがある。
また、この他の遊技情報としては、「アウト数」に占める「セーフ数」の割合(例えば、百分率)を示す「ベース」、「アウト数」と「セーフ数」の差分を示す「差数(出玉ともいう)」、「大当り情報」の入力数から求められる「大当り回数」、スタート回数と大当り回数の比率を示す「大当り確率」、「確変/時短情報」の入力数から求められる「確変/時短回数」、「売上情報」の入力数から求められる「売上金額」などがある。
このような遊技情報が遊技機10ごと、所定時間(例えば、10分)ごと及び営業日(例えば、1日単位)ごとに対応付けて記憶されている。
【0018】
また、これらの遊技情報は、遊技機10の遊技状態別に区分けして記憶される。
遊技機10の遊技状態としては、遊技機10がパチンコ機の場合に、遊技者に有利な「大当り遊技状態(大当り状態、大当りともいう)」、大当りの発生確率が高確率状態となる「確変状態(確変ともいう)」、特別図柄の変動時間が短縮状態であり、電サポ状態となる「時短状態(時短ともいう)」などの遊技者にとって有利な状態と、遊技者にとって不利な遊技状態となる「通常遊技状態(通常状態、通常ともいう)」がある。
なお、「確変状態」は、時短状態と重複することもあり、「時短状態」は「確変状態」と重複しないこともある。
【0019】
また、「大当り遊技状態」には、「大当り遊技状態」の終了後に「時短状態」に移行しない「大当り1遊技状態」、「大当り遊技状態」の終了後に「時短状態」に移行する「大当り2遊技状態」がある。
また、「時短状態」には、「大当り遊技状態」の終了後に移行する「大当り後の時短状態(特定時短遊技状態)」、「大当り遊技状態」の終了後から大当り非当選の状態で、天井時短ゲーム数にわたり、識別情報(例えば、特別図柄)が停止表示された場合に移行する「天井時短状態(特別時短遊技状態)」がある。
【0020】
これらの遊技状態は、各種演算処理などを行うCPUなどで構成される遊技機10の制御手段(例えば、主基板)が遊技状態制御手段として機能することにより、実現される。
そして、ホールコンピュータ60は、特定時短遊技状態特定手段及び特別時短遊技状態特定手段として機能することにより、制御手段が遊技機10の遊技状態を「大当り遊技状態」に制御している場合には、遊技状態が「大当り遊技状態」であることを特定できる。
また、ホールコンピュータ60は、制御手段が遊技機10の遊技状態を「天井時短状態」又は「大当り後の時短状態」に制御している場合には、遊技状態が「天井時短状態」又は「大当り後の時短状態」であることを特定できる。
【0021】
また、ホールコンピュータ60は、収集した遊技情報に基づいて遊技機10の異常を監視する。
例えば、
図5(a)に示すように、ホールコンピュータ60は、時短状態中に収集された遊技情報に基づいて、「ベース異常」と「差数異常」の監視を行う。
「ベース異常」とは、「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」におけるベースが正常な値を示さずに異常な値を示すことをいう。
「差数異常」とは、「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」における差数(例えば、10分あたり)が正常な値を示さずに異常な値を示すことをいう。
このような監視を行うのは、時短の発生に基づいて、「通常遊技状態」よりもベースがアップするが、このときベースが必要以上にアップしていないかどうかの監視を行うためである。
【0022】
具体的には、制御部65は、「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」におけるベース及び差数がそれぞれ所定の判定値(値)を超えるか否かの判定を行う。
一般的な「大当り後の時短状態」のベースは、例えば、200~300の範囲内にあることから、「大当り後の時短状態」のベースがこの範囲内に該当するか否かを判定する。
また、「天井時短状態」のベースは、例えば、50~150の範囲内にあることから、「天井時短状態」のベースがこの範囲内に該当するか否かを判定する。
制御部65は、「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」それぞれのベースがこの範囲内に該当するときには、「正常」と判定し、この範囲内に該当しないときには、「異常」と判定する。
【0023】
同様に、「大当り後の時短状態」の差数は、例えば、10分あたり3000玉以内にあることから、「大当り後の時短状態」の差数がこの範囲内に該当するか否かを判定する。
また、「天井時短状態」の差数は、例えば、10分あたり2000玉以内にあることから、「天井時短状態」の差数がこの範囲内に該当するか否かを判定する。
そして、制御部65は、「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」それぞれの差数がこの範囲内に該当するときには、「正常」と判定し、この範囲内に該当しないときには、「異常」と判定する。
このように「天井時短状態」のベース異常及び差数異常の判定値は、「大当り後の時短状態」と比べ、低く設定されている。
これは、「天井時短状態」は、「大当り後の時短状態」よりも、普通電動役物108の制御による始動口111の入口が開放し難く、及び又は総開放時間も短い状態にある。
そのため、ベース異常及び差数異常の判定値は、「天井時短状態」及び「大当り後の時短状態」それぞれの時短状態に合わせて異ならせている。
なお、「天井時短状態」の方が「大当り後の時短状態」よりも、始動口111の入口が開放し易く、及び/又は総開放時間も長い場合には、「天井時短状態」のベース異常及び差数異常の判定値を、「大当り後の時短状態」よりも、高く設定する。
また、「天井時短状態」と「大当り後の時短状態」の始動口111の入口の開放のし易さ、及び/又は総開放時間が同一の場合には、ベース異常及び差数異常の判定値を同一に設定する。
また、ベース異常及び差数異常の判定値は、遊技場の管理者や店員などの操作者が、ホールコンピュータ60に備える操作部61を介して入力することにより、任意の値に設定できる。
また、上記のような時短状態のみならず、「通常遊技状態」、すなわち、非時短状態のベース異常及び差数異常も判定できる。
この場合、非時短状態(通常遊技状態)では、ベース異常及び差数異常の判定値は、時短状態よりも低くなるため、ベース異常の場合、例えば、10~50などにすることが好ましく、差数異常の場合、例えば、10分あたり500玉以内などにすることが好ましい。
【0024】
このように、制御部65は、遊技機10から出力される遊技情報に基づいて、「大当り後の時短状態」及び「天井時短状態」に関する異常が発生したか否かを判定する異常判定手段として機能する。
また、制御部65は、異常判定手段として機能することにより、「セーフ情報」と「アウト情報」とに基づいて算出される値に基づいて、「大当り後の時短状態」及び「天井時短状態」に関する異常が発生したか否かを判定できる。
また、このとき、制御部65は、「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」に関する異常が発生したか否かを判定するときに用いる判定値は、「大当り後の時短状態」(例えば、ベース異常の判定値:200~300)と「天井時短状態」(例えば、ベース異常の判定値:50~150)とで異なるように制御する。
【0025】
このように、制御部65が「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」に関する異常が発生したか否かを判定した判定結果は、表示部63により、報知が行われる。
制御部65は、表示部63を報知手段として機能させ、「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」のベースと差数がそれぞれ所定の判定値に基づく判定により所定の報知を行う。
具体的には、上記の異常を判定したときには、異常を示す旨の報知を行う。
異常を示す旨の報知は、表示部63の表示画面を通して行うことができ、例えば、「遊技機10の○○番台が「天井時短中に差数異常です。」などのメッセージを表示する。
これにより、遊技場の管理者は、○○番台の遊技機10が異常であることを認識できる。
なお、この異常を示す旨の報知は、「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」を識別できるように「大当り後の時短状態」と「天井時短状態」とで報知態様を変えることが好ましい。
【0026】
また、ホールコンピュータ60は、収集した遊技情報に基づいて天井時短への不正な移行異常を監視する。
例えば、
図5(b)に示すように、ホールコンピュータ60は、「天井時短情報」と「スタート情報」の関係性に基づいて監視を行う。
制御部65は、異常判定手段として機能することにより、例えば、「天井時短情報」と「スタート情報」をそれぞれ監視し、「天井時短情報」と「スタート情報」の関係性に異常があれば、「異常」と判定する。
具体的には、制御部65は、天井時短ゲーム数の「スタート情報」の出力数を検出していないにも関わらず、「天井時短情報」が出力された場合には、「異常」(天井時短不正移行異常)と判定する。
また、制御部65は、天井時短ゲーム数の「スタート情報」の出力数を検出したにも関わらず、「天井時短情報」が出力されない場合には、「異常」(天井時短未移行異常)と判定する。
【0027】
このような「天井時短状態」への不正な移行に対する異常判定処理は、制御部65が記憶部64に記憶されているプログラムを読み込んで実行することにより、実現される。
以下、このときの制御部65の機能について、
図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
ここでは、説明の便宜上、天井時短ゲーム数が固定値(例えば、100ゲーム)である遊技機10を一例として説明する。
なお、天井時短ゲーム数が固定値でなく、例えば、大当り図柄などで変動する遊技機10であっても、大当り遊技状態中における「セーフ情報」の総数や「大当り情報」の出力時間などから、天井時短ゲーム数を特定することで、異常判定処理を行うようにしても良い。
また、大当り図柄によって天井時短ゲーム数が変動し、大当り図柄を特定可能な遊技情報を出力できる遊技機10においては、大当り図柄に応じて、異常判定処理を行うようにしても良い。
【0028】
異常判定処理では、まず、制御部65は、「スタート情報」(図柄確定情報)の出力数と、記憶部64に記憶された天井時短ゲーム数(特定回数)を取得する(S10)。
次に、制御部65は、S10により取得した「スタート情報」の出力数と、天井時短ゲーム数とをそれぞれ比較して異常を判定する(S11)。
制御部65は、天井時短ゲーム数の「スタート情報」の出力数を検出していないにも関わらず、「天井時短状態」に移行した場合や、天井時短ゲーム数の「スタート情報」の出力数を検出したにも関わらず、「天井時短状態」に移行していない場合を、「異常」と判定する。
例えば、天井時短ゲーム数が「500ゲーム」のとき、「スタート情報」の出力数が「450回」にも関わらず、「天井時短状態」に移行した場合や「スタート情報」の出力数が「550回」にも関わらず、「天井時短状態」に移行していない場合を、制御部65は「異常」と判定する。
一方、制御部65は、天井時短ゲーム数の「スタート情報」の出力数を検出したときに、「天井時短状態」に移行した場合を、「正常」と判定する。
例えば、天井時短ゲーム数が「500ゲーム」のとき、「スタート情報」の出力数が「500回」に到達して、「天井時短状態」に移行した場合を、制御部65は「正常」と判定する。
そして、制御部65は、このような異常判定の結果を出力する(S12)。
例えば、異常判定の結果は、表示部63の表示画面を通してディスプレイ表示される。
以下、このとき、報知手段として機能する表示部63について説明する。
【0029】
異常と判定された場合には、ホールコンピュータ60では、制御部65が表示部63を報知手段として機能させ、異常の発生した遊技機10と異常の内容を特定可能な表示を行わせる。
具体的には、上記の異常を判定した場合には、異常を示す旨の報知を行う。
異常を示す旨の報知は、表示部63の表示画面を通して行うことができ、例えば、「遊技機10の○○番台が「天井時短状態に不正移行です。」などのメッセージを表示する。
これにより、遊技場の管理者は、○○番台の遊技機10が異常であることを認識できる。
【0030】
このように、ホールコンピュータ60は、制御部65が収集手段、異常判定手段として機能することにより、遊技情報を収集するとともに、天井時短ゲーム数の「スタート情報」が出力される前に、「天井時短情報」が出力された場合に、「異常」と判定できる。
また、制御部65は、異常判定手段として機能することにより、天井時短ゲーム数の「スタート情報」が出力された後にも関わらず、「天井時短情報」が出力されない場合に、「異常」と判定できる。
【0031】
図7は、時短状態中に出玉が増加する性能を有する遊技機10(パチンコ機)に備える遊技盤11の一例である。
また、
図8は、遊技機10の仕様を示す図である。
遊技盤11には、2つの始動口110,111、2つの特別図柄表示装置112,113、2つの大入賞口114,115、普通図柄作動ゲート116、普通図柄表示装置117、2つの普通入賞口120,121、アウト口122などが設けられている。
また、始動口111は、普通電動役物108(電動チューリップ)によって入口を構成されており、普通図柄表示装置117の当り表示により、入口が開放可能に構成されている。
そして、始動口111は、普通電動役物108が作動して、入口が開放した状態で無ければ、入賞しないように構成されている。
したがって、普通電動役物108は、変位手段として機能することにより、入口が開放せずに遊技球が通過し難い閉状態(第1状態)と、入口が開放して遊技球が通過し易い開状態(第2状態)とに変位可能である。
そして、時短状態は、「通常遊技状態」よりも、普通電動役物108の制御によって入口が開放して遊技球が通過し易い開状態に変位し易い状態であり、遊技盤11における所定領域109を遊技球が通過し易くして始動口111への入賞をサポートする、いわゆる電サポ状態にある。
また、表示器118は、演出用の表示装置であり、2つの特別図柄表示装置112,113の表示結果に関連する表示を行う表示手段として機能する。
例えば、表示器118には、関連する表示として、特別図柄表示装置112,113それぞれに対応する装飾図柄が設けられている。
なお、本発明では、普通電動役物108が作動して入口が開放した状態、すなわち開状態に変位しないと、始動口111に入賞しないように構成されているが、これに限られず、開状態に変位しなくても始動口111に入賞できる構成としても良い。
【0032】
このような構成により、始動口110(第1始動口ともいう)に入賞すると、特別図柄表示装置112(特
図1ともいう)の図柄(識別情報)が変動を開始し、所定時間経過後に変動が停止する。
停止した図柄が大当り図柄(例えば、「1」~「8」)を示すときには、大入賞口115が所定回数開放する「大当り遊技状態」となる。
また、入口が開放しているときに始動口111(第2始動口ともいう)に入賞すると、特別図柄表示装置113(特
図2ともいう)の図柄(識別情報)が変動を開始し、所定時間経過後に変動を停止する。
また、停止した図柄が大当り図柄(例えば、「9」~「16」)を示すときには、大入賞口114が所定回数開放する「大当り遊技状態」となる。
このとき、遊技機10の制御手段は、遊技状態を「大当り遊技状態」に移行させるか否かを判定する判定手段として機能する。
また、表示器118は、判定手段として機能する制御手段による判定結果に応じた図柄を停止表示する。
【0033】
また、大入賞口114,115の開放回数は、いわゆる、大当りラウンド数と称され、大当り図柄に応じて変化する。
そして、「大当り遊技状態」における1ラウンドは、大入賞口114,115が開放する。
例えば、特別図柄表示装置112が、「1」~「6」で停止した場合には、大入賞口115が5回開放する5ラウンド数大当りとなる。
また、特別図柄表示装置112が、「7」で停止した場合には、大入賞口115が7回開放する7ラウンド数大当りとなり、特別図柄表示装置112が、最も開放回数が多い「8」で停止した場合には、大入賞口115が10回開放する10ラウンド数大当りとなる。
【0034】
また、例えば、特別図柄表示装置113が、「9」~「11」,「13」,「14」で停止した場合には、大入賞口114が5回開放する5ラウンド数大当りとなる。
また、特別図柄表示装置113が、「15」で停止した場合には、大入賞口114が7回開放する7ラウンド数大当りとなり、特別図柄表示装置113が、最も開放回数が多い「12」,「16」で停止した場合には、大入賞口114が10回開放する10ラウンド数大当りとなる。
なお、上記の「1」~「16」の図柄と、当り図柄(例えば、「F」)を除くその他の図柄(例えば、「E」、「L」、「-」など)は、ハズレを示す図柄であり、これらが停止しても、大入賞口114,115が開放することはない。
【0035】
また、各入賞口、表示装置などの仕様は、例えば、以下の通りとすることができる。
[賞球数]
・始動口110:4個賞球
・始動口111:1個賞球
・大入賞口114:15個賞球
・大入賞口115:10個賞球
・普通入賞口120,121:5個賞球
[特別図柄・保留消化]
・2つの特別図柄表示装置112,113は、それぞれ4つの保留装置を有し、同時変動可能とする。
・一方の特別図柄表示装置で大当り(特別図柄当り)又は当り(普通図柄当り)図柄で停止した場合、他方の特別図柄表示装置はハズレになるか、大当り又は当りが終了するまで変動が中断される。
[大当り]
・1ラウンド中における大入賞口の最大開放時間:20秒
・1ラウンド中における大入賞口の入賞数の上限:8個
・大当り開始から大入賞口までのインターバル時間:1秒
・各ラウンド間のインターバル時間:1秒
・大当り終了時のインターバル時間:1秒
・1ラウンドにおける平均開放時間:8秒
【0036】
なお、上記各用語は、例えば、以下のように定義することができる。
・賞球:各種入賞口への遊技球の入賞により、遊技機10から払い出される玉数のこと。
・1ラウンド中における大入賞口の最大開放時間:大入賞口の1ラウンドあたりの最大開放可能時間であり、この時間が経過すると、入賞数に関わらず大入賞口が閉塞状態に移行する。
・1ラウンド中における大入賞口の入賞数の上限:大入賞口が入賞を許容する球数であり、当該球数分大入賞口に入賞すると、大入賞口における1ラウンドあたりの最大開放時間が経過する前でも、大入賞口が閉塞状態に移行する。
・各ラウンド間のインターバル時間:1ラウンドが終了してから次の1ラウンドが開始するまでの時間(ラウンド間の大入賞口が閉塞状態となる時間)。
・大当り終了時のインターバル時間:大当りの最終ラウンドが終了してから大当り終了までの時間。
【0037】
また、遊技機10は、確変機能を有している。
例えば、特別図柄表示装置112が「1」~「4」又は特別図柄表示装置113が「9」~「12」の大当り図柄で大当りとなる場合は、その大当り後、次回の大当りまで、特別図柄表示装置112,113が大当り図柄で停止する大当り確率は、1/319と低確率で変動し、割合は、何れの大当たり図柄においても、それぞれ5%となっている。
一方、特別図柄表示装置112が「5」~「8」又は特別図柄表示装置113が「13」~「16」の大当り図柄で大当りとなった場合は、大当り確率は、1/60で変動する高確率状態(確変状態)となり、割合は、何れの大当たり図柄においても、それぞれ20%となっている。
したがって、本実施形態における遊技機10は、高確率状態になると、事実上、次回も高確率で大当りが継続しやすい確変ループタイプの遊技機10といえる。
【0038】
また、特別図柄表示装置112が「1」又は特別図柄表示装置113が「9」,「13」の大当り図柄で大当りとなる以外は、時短状態でもあるため、普通図柄表示装置117が当り表示(例えば、「F」)となる確率が「通常遊技状態」よりも高くなるとともに、始動口111の開放時間が長くなる。
また、このとき、普通図柄表示装置117の図柄の変動時間は、「通常遊技状態」よりも短くなることが好ましく、その結果、始動口111への遊技球の入賞頻度が増加する。
そして、普通図柄表示装置117が当り表示となる確率は、時短状態では、例えば、1/1であり、当り表示となると、4.2秒間にわたり、始動口111の入口が開放されるため、遊技球が、始動口111に入賞しやすい状態になる。
これに対し、非時短状態において普通図柄表示装置117が当り表示となる確率は、例えば、1/40であり、当り表示となると、1.0秒間にわたり、始動口111の入口が開放されるため、時短状態に比べ、遊技球が、始動口111に入賞しにくい状態になる。
また、普通図柄表示装置117の当り表示の1回の当選においては、始動口111の最大入賞数は、8カウントである。
なお、普通図柄は、1種類のみならず、複数種類であっても良く、普通図柄の種別ごとに開閉パターン(開放時間、開閉回数など)が異なるようにしても良い。
以下、特別図柄表示装置112,113における大当り図柄ごとの時短状態について、複数例を用いて説明する。
【0039】
まず、例えば、特別図柄表示装置112が「2」,「5」又は特別図柄表示装置113が「10」,「14」の何れかの大当り図柄で大当りとなる場合は、遊技状態は、「天井時短状態」が付与される。
例えば、特別図柄表示装置112が「2」の場合には、「大当り遊技状態」の終了後から大当り非当選のまま、「500ゲーム」に到達した場合に「天井時短状態」に移行し、天井時短に到達後の「天井時短状態」において「300ゲーム」の時短が行われる。
そして、「天井時短状態」は、天井時短に到達後の天井時短状態のおける時短回数である「天井時短中の時短回数」の消化又は「大当り遊技状態への移行」により終了する。
なお、「天井時短状態」は、この他にも「大当り遊技状態の当選」によって終了しても良い。
【0040】
次に、例えば、特別図柄表示装置112が「7」,「8」又は特別図柄表示装置113が「15」,「16」の何れかの大当り図柄で大当りとなる場合、遊技状態は、その「大当り遊技状態」の終了後から次回の大当りまで、「大当り後の時短状態」が付与される。
例えば、特別図柄表示装置112が「7」のときには、「大当り遊技状態」の終了後から次回の大当りに移行するまでの間は、「大当り後の時短状態」が継続することになる。
【0041】
最後に、例えば、特別図柄表示装置112が「3」,「4」,「6」又は特別図柄表示装置113が「11」,「12」の何れかの大当り図柄で大当りとなる場合、遊技状態は、「天井時短状態」及び「大当り後の時短状態」の両方が付与される。
例えば、特別図柄表示装置112が「3」のときには、「大当り遊技状態」の終了後から「大当り後の時短状態」に移行し、「大当り後の時短状態」が「100ゲーム」に到達するまで継続する。
また、「大当り後の時短状態」が終了した後、「大当り遊技状態」の終了後から「600ゲーム」に到達した場合には、さらに「天井時短状態」に移行し、天井時短(遊タイム)中の時短回数である「200ゲーム」まで「天井時短状態」が継続する。
【0042】
そのため、「確変状態」であって時短状態である場合には、普通図柄表示装置117が当り表示となる確率が「通常遊技状態」よりも高くなるとともに、始動口111の開放時間が長くなる。
このように、本実施形態の遊技機10は、「確変状態」において、「天井時短状態」及び/又は「大当り後の時短状態」の場合がある。
また、「天井時短状態」又は「大当り後の時短状態」においては、「通常遊技状態」よりも始動口111の入口が開放し易くなり、始動口111への遊技球の入賞頻度が増加することになるが、この始動口111への遊技球の入賞頻度を増加させる方法は、上述した方法のみならず、普通図柄表示装置117が当り表示となる確率を「通常遊技状態」よりも高くすること、始動口111の開放時間を「通常遊技状態」よりも長くすること、普通図柄表示装置117の図柄の変動時間(停止時間を含めることもできる)を「通常遊技状態」よりも短くすることのうち、一又は二以上を任意に組合せた方法のいずれかでもよい。
なお、このとき、普通図柄表示装置117の図柄の変動時間が「通常遊技状態」よりも短くなることが好ましく、その結果、始動口111への遊技球の入賞頻度が増加する。
【0043】
次に、
図9を参照しながら、各遊技情報の出力態様を説明する。
遊技機10からは、上述の通り、「大当り1情報」、「大当り2情報」、「天井時短情報」、「アウト情報」、「セーフ情報」、「スタート情報」などの遊技情報が出力されている。
【0044】
図9に示すように、「大当り1情報」は、大当り1中(「大当り」区間)に亘って出力され、「大当り」の終了により、出力が停止する。
このような「大当り1情報」の出力期間から、ホールコンピュータ60では、「大当り遊技状態」を特定できる。
【0045】
「大当り2情報」は、大当り2中(「大当り」区間、「時短」区間)に亘って出力され、「大当り」及び「時短」双方の終了により、出力が停止する。
ホールコンピュータ60は、「大当り2情報」の出力期間から、「大当り遊技状態」及び/又は「時短状態」を特定できる。
なお、実際のホールコンピュータ60における「大当り2情報」は、「大当り1情報」との間にディレイが発生するが、説明の便宜上、「大当り1情報」と同期するものとして説明する。
【0046】
「天井時短情報」は、天井時短中(「天井時短」区間)に亘って出力され、天井時短の終了により、出力が停止する。
ホールコンピュータ60は、「天井時短情報」の出力期間から、「天井時短状態」を特定できる。
なお、仮に「天井時短情報」と「大当り2情報」が同じタイミング(点線で示す波形)で出力されても、ホールコンピュータ60は、「天井時短情報」の方を優先して処理するため、「天井時短状態」を特定できる。
【0047】
「アウト情報」は、遊技機10で遊技球を10玉使用されるごとに出力される。
遊技者が継続的に遊技球を使用している場合には、コンスタント(例えば、約1分間に約10回)に出力される。
【0048】
「セーフ情報」は、遊技機10で遊技球が10玉付与されるごとに出力される。
したがって、「天井時短」区間、「大当り」区間、「時短」区間は、払い出しの頻度が増加することから、「セーフ情報」の出力が集中する。
【0049】
「スタート情報」は、特別図柄表示装置112,113が1回作動して停止するごとに出力される。
このため、「大当り」区間は、特別図柄表示装置112,113の作動が常に停止していることから、大当り遊技状態中は出力されない。
【0050】
図10は、遊技機10(外部端子板)からホールコンピュータ60に出力される出力情報を示す図である。
遊技機10からは、「大当り情報」として、「大当り1情報」、「大当り2情報」がそれぞれ出力され、ホールコンピュータ60には、「大当り1情報」は大当り、「大当り2情報」は時短として、それぞれ接続される。
このとき、ホールコンピュータ60には、大当りを特定できる受信部(第1受信部)と、時短を特定できる受信部(第2受信部)がそれぞれ設けられており、「大当り1情報」は、第1受信部に出力され、「大当り2情報」は第2受信部に出力される。
そのため、ホールコンピュータ60は、第1受信部に出力された「大当り1情報」から「大当り遊技状態」を特定でき、第2受信部に出力された「大当り2情報」から「時短状態」を特定できる。
この他にも、遊技機10からは、「天井時短情報」、「アウト情報」、「特別図柄確定情報」が出力され、ホールコンピュータ60には、天井時短、アウト、スタートとして、それぞれ接続される。
そのため、ホールコンピュータ60は、「天井時短情報」から「天井時短状態」を特定できる。
このようにホールコンピュータ60は、遊技機10から出力される遊技情報を特定できるように接続することで、遊技機10の遊技状態を特定できる。
その結果、ホールコンピュータ60は、適切なデータ管理を行うことができることから、遊技機10の「異常」を正確に判定できる。
なお、「大当り2情報」は、ホールコンピュータ60において、時短として接続される例について説明したが、これに限られず、確変(時短)として接続して管理しても良く、遊技機10から出力される出力情報は、各ホールコンピュータ60の仕様によって異なる。
この場合も、ホールコンピュータ60では、「大当り2情報」が第2受信部に出力されることになるため、「大当り2情報」から「時短状態」を特定できる。
【0051】
続いて、「天井時短情報」が単独の出力端子(出力部)から出力されずに、「大当り2情報」と同一の出力端子から出力される場合について説明する。
この場合、「大当り2情報」の外部端子板の出力端子から「天井時短情報」も出力されることになる。
「天井時短情報」は、「大当り情報」と重複せずに出力される遊技情報である。
ホールコンピュータ60は、制御部65が特定時短遊技状態特定手段及び特別時短遊技状態特定手段として機能することで、「時短の種類」を特定でき、受信した「時短情報」が「天井時短情報」であることを特定できる。
【0052】
例えば、制御部65は、
図11に示すように、「大当り1情報」が出力されていない状態、すなわち「通常遊技状態」で「大当り2情報」が出力される場合を「天井時短状態」と特定できる。
このとき、制御部65は、通信部62を介して受信する「大当り2情報」のオフからオンまでの期間を計測し、かつ「大当り2情報」のオフからオンに切り替わるオフ時の遊技状態を特定する。
そして、制御部65は、「大当り2情報」のオフからオンに切り替わるオフ時の遊技状態が、「通常遊技状態」であれば、「天井時短状態」と特定できる。
【0053】
したがって、ホールコンピュータ60は、「天井時短情報」が単独の出力端子から出力されていない場合でも、「天井時短状態」を特定できる。
ホールコンピュータ60は、このような違いから、制御部65が特別時短遊技状態特定手段として機能することで、受信した「時短情報」が「天井時短情報」であることを特定できる。
すなわち、制御部65は、遊技機10から出力される「大当り(大当り1)情報」と重複して「時短(大当り2)情報」が出力された場合、遊技機10が「大当り後の時短状態」であることを特定可能な特定時短遊技状態特定手段として機能する。
また、制御部65は、遊技機10から出力される「大当り(大当り1)情報」と重複せずに「時短(大当り2)情報」が出力された場合、遊技機10が「天井時短状態」であることを特定可能な特別時短遊技状態特定手段として機能する。
このように、制御部65は、「時短情報」の出力から、遊技機10が「天井時短状態」であることを特定できる。
なお、この他にも、制御部65は、「大当り遊技状態」の終了後から「スタート情報」が一定回数以上出力された後に「大当り2情報」を受信した場合に「天井時短状態」と特定しても良い。
この場合、「天井時短状態」を特定する条件に、「スタート情報」の出力数も加えることになるため、制御部65は、さらに精度よく、「天井時短状態」を特定できる。
また、予め定めた天井時短ゲーム数と同一の「スタート情報」の出力数を検出した後に、何らかの当たり(例えば、大当り、大当り中の差玉/時間/払出し)を検出した場合を、「天井時短状態」として、特定しても良い。
この場合、「大当り遊技状態」の終了後から大当り非当選の状態で、天井時短ゲーム数のゲーム数が行われた場合で、かつ何らかの当たりを「天井時短状態」への移行条件にしている遊技機10に対しても「天井時短状態」を特定できる。
また、「天井時短状態」において、「大当り2情報」が出力される場合であっても、「大当り1情報」の出力開始時にオンからオフに切り替わらない遊技機10にも適用でき、このような遊技機10の場合、ホールコンピュータ60は、「大当り1情報」の出力開始時から、「大当り遊技状態」と特定できる。
【0054】
このように、遊技機10から遊技状態を示す遊技情報として、天井時短を特定する遊技情報(天井時短情報)が出力されているときには、その出力期間に亘って、「天井時短状態」を特定できる。
しかしながら、「天井時短状態」を特定可能な遊技情報が出力されていない場合もあることから、このような場合には、他の遊技情報から、「天井時短状態」であるか否かを特定する必要がある。
ホールコンピュータ60は、「天井時短状態」を特定する方法として、上述した「天井時短情報」を受信することで、遊技状態が「天井時短状態」であることを特定する以外にも、「天井時短情報」を受信することなく、他の遊技情報を受信することで遊技状態が「天井時短状態」であることを特定できる。
以下の説明においては、遊技機10から「天井時短状態」を特定可能な遊技情報が出力されず、他の遊技情報から「天井時短状態」を特定する方法について説明する。
【0055】
制御部65は、「大当り遊技状態」の終了後における「スタート情報」の出力数の多少から、遊技状態が「天井時短状態」であることを特定できる。
【0056】
例えば、制御部65は、
図12に示すように、「大当り遊技状態」の終了後における「スタート情報」の出力数を計数する。
以下、天井時短ゲーム数が固定値(例えば、100ゲーム)である遊技機10を一例として説明する。
この場合、制御部65は、「大当り遊技状態」の終了後、大当り非当選状態のまま、出力数が予め定めた天井時短ゲーム数と同一の「100回」に到達した場合に、遊技状態を「天井時短状態」として特定する。
これは、天井時短は、「大当り遊技状態」の終了後から、天井時短ゲーム数と同一のゲーム数が行われることで発生する遊技状態であるからである。
そのため、制御部65は、「大当り遊技状態」の終了後から天井時短ゲーム数と同一の「スタート情報」が出力されたときを、天井時短の移行タイミングとみなすことができる。
したがって、制御部65は、「通常遊技状態」おいて、「スタート情報」が天井時短ゲーム数に到達した時点から、「天井時短状態」と特定する。
このような天井時短発生時における遊技情報の特徴的な出力形態を利用することにより、ホールコンピュータ60は、制御部65が特別時短遊技状態特定手段として機能することにより、「天井時短状態」の発生を特定できる。
なお、この他にも、制御部65は、「大当り遊技状態」における「スタート情報」の出力数が、一定時間(例えば、3分間)の間に、予め定めた天井時短ゲーム数(例えば、20回)出力された場合に、遊技機10が「天井時短状態」として特定しても良い。
この場合、さらに精度良く、天井時短状態を特定できる。
また、天井時短ゲーム数及び一定時間は、遊技機10の機種ごとに「天井時短状態」における「スタート情報」が異なるため、機種ごとに任意に設定変更できる。
また、一定量の「アウト数」ごとの「スタート回数」を示す「スタート率」など、「スタート情報」と他の遊技情報との関係から「天井時短状態」を特定しても良い。
【0057】
また、制御部65は、「大当り遊技状態」の終了後における「ベース」から、遊技状態が「天井時短状態」であることを特定できる。
【0058】
例えば、制御部65は、
図13に示すように、「大当り遊技状態」の終了後における「アウト情報」及び「セーフ情報」の出力数をそれぞれ計数することで「ベース」を算出する。
「天井時短状態」では、始動口111の入賞により作動時間が延長され、「ベース」が上昇する、電サポ状態となるため、制御部65は、その「ベース」を監視して、「ベース」が一定値以上(例えば、100以上)の場合に遊技状態を、「天井時短状態」と特定する。
但し、玉詰まりやゴト行為などによる場合も、「ベース」の上昇が考えられるため、制御部65は、「ベース」と他の遊技情報との関係を含めて複合的に「天井時短状態」を特定することが好ましい。
また、この他にも、例えば、制御部65は、「スタート情報」が所定回数(例えば、5回)入力される間の、「セーフ情報」の出力数を監視し、「セーフ情報」の出力数が一定値(例えば、3回)を超える場合には、「天井時短状態」として特定としても良い。
なお、「セーフ情報」の入力数が3回とは、30玉以上の遊技球が遊技機10から払い出されたことと同義である。
また、特定値においては、遊技機10の機種ごとに天井時短状態における「ベース」が異なるため、機種ごと任意に設定変更できる。
【0059】
さらに、制御部65は、「大当り遊技状態」の終了後における「始動口情報」の出力数の多少から、遊技状態が「天井時短状態」であることを特定できる。
【0060】
例えば、制御部65は、
図14に示すように、「大当り遊技状態」の終了後における「始動口情報」の出力数を計数する。
天井時短状態では、始動口111の入賞回数が増加する電サポ状態となるため、それにともない始動口111の開閉回数も増加する。
そのため、制御部65は、「始動口情報」の出力数を監視して、一定時間(例えば、1分間)に、予め定めた所定回数以上(例えば、30回以上)となった場合に、遊技状態を「天井時短状態」として特定する。
このように、ホールコンピュータ60は、制御部65が特別時短遊技状態特定手段として機能することにより、「大当り遊技状態」の終了後において、「始動口情報」が所定回数以上出力された場合、遊技状態が「天井時短状態」であることを特定できる。
なお、ここでの所定回数及び一定時間においては、遊技機10の機種ごとに「天井時短状態」における始動口111の開閉回数が異なるため、機種ごと任意に設定変更できる。
また、「大当り遊技状態」の終了後において、「始動口情報」が所定回数以上出力された場合に、遊技状態が「天井時短状態」であることを特定できる例について説明したが、この他にも、大入賞口114,115などの開放回数、さらには、始動口111に遊技球が入賞する確率を示す入賞率などで特定しても良い。
【0061】
このように、ホールコンピュータ60は、「天井時短情報」を受信して「天井時短状態」を特定する以外にも、他の遊技情報を受信することで、「天井時短状態」を特定できる。
このように、大当り後の遊技状態を正確に判定することにより、遊技状態に適した判定値を設定することができ、最適な監視を行うことができる。
以上説明したような「天井時短状態」を特定する特徴的な機能は、記憶部64に備えるハードディスクなどの記憶手段に記憶されたプログラム(及びデータ)をコンピュータとして構成された制御部65(又はこれに備えるCPU)が実行することにより実現される。
【0062】
図15~
図19は、天井時短を特定するために制御部65が実行する処理であり、
図16は、
図15の続きのフローチャートである。
図15及び
図16は、遊技機10から「時短情報」を受信し、その「時短情報」が「天井時短情報」であることを特定された場合に実行できる天井時短特定処理である。
一方、
図17~
図19は、遊技機10から「時短情報」を受信するか否かに関わらず、すなわち「天井時短情報」を受信しない場合でも実行できる天井時短特定処理である。
ホールコンピュータ60では、遊技機10の機種に応じた処理が予め設定されており、
図15~
図19示す何れかの処理が遊技場の管理者によって単独又は複数で設定され実行できる。
そのため、ホールコンピュータ60は、遊技機10から受信できる遊技情報に合わせて、天井時短特定処理を選択することができ、「天井時短状態」を特定できる。
【0063】
まず、遊技機10から「時短情報」を受信し、その「時短情報」が「天井時短情報」であることを特定された場合に実行できる処理について説明する。
天井時短特定処理では、
図15に示すように、制御部65は、「時短情報」を受信したか否かの判定を行う(S100)。
「時短情報」を受信した場合には、S110に処理を進め(S100-Yes)、「時短情報」を受信しない場合には(S100-No)、処理を終了する。
本実施形態における時短情報には、上述の通り「天井時短情報」と「大当り後の時短情報」がある。
【0064】
次に、制御部65は、「天井時短状態」を特定する遊技情報である「天井時短情報」を受信したか否かの判定を行う(S110)。
「天井時短情報」を受信した場合には、S120に処理を進め(S110-Yes)、「天井時短状態」を受信しない場合には(S110-No)、処理を終了し、他の遊技情報から「天井時短状態」を特定する。
【0065】
S120の処理では、制御部65は、受信した「天井時短情報」が単独の出力端子から受信した遊技情報か否かの判定を行う(S120)。
「天井時短情報」を単独の出力端子から受信した場合には(S120-Yes)、遊技状態を「天井時短状態」と特定する(S130、
図9参照)。
【0066】
一方、「天井時短情報」を「大当り2情報」を出力する出力端子と同一の出力端子から受信した場合には(S120-No)、S200に処理を進める。
S200の処理では、
図16に示すように、制御部65は、「大当り1情報」を受信しない状態(通常遊技状態)で「時短情報」を受信したか否かの判定を行う(S200)。
制御部65は、遊技状態特定手段として機能することにより、「大当り2情報」のオンからオフの変化時におけるオン時の遊技状態を特定する。
「大当り1情報」を受信しない状態(通常遊技状態)のときに「時短情報」を受信した場合には(S200-Yes)、「時短情報」を「天井時短情報」と特定でき、遊技状態を「天井時短状態」と特定する(S210、
図11参照)。
このときの「時短情報」は、「大当り情報」と重複することなく単独で受信することになる。
【0067】
一方、「大当り1情報」を受信する状態のときに「時短情報」を受信した場合には、処理を終了する(S200-No)。
なお、制御部65は、「大当り1情報」を受信する状態、すなわち「大当り遊技状態」のときに「時短情報」を受信した場合には、「時短情報」を「大当り後の時短情報」と特定できる。
【0068】
制御部65は、「時短情報」及び「天井時短情報」を受信しない場合には(S100―No、S110-No)、他の遊技情報から「天井時短状態」を特定できる。
「天井時短状態」を特定する遊技情報としては、上述の通り「スタート情報」、「ベース」、「始動口情報」などを挙げることができる。
【0069】
次に、遊技機10から「時短情報」を受信するか否かに関わらず、すなわち「天井時短情報」を受信しない場合でも実行できる処理について説明する。
図17を参照しながら、「スタート情報」に基づく天井時短特定処理について説明する。
S300の処理では、制御部65は、「スタート情報」を特定回数以上受信したか否かの判定を行う。
制御部65は、大当り間(大当り1情報間)、すなわち「大当り1情報」がオンからオフに変化した後から次回の「大当り1情報」がオンするまでに遊技機10から出力される「スタート情報」の受信数の多少に基づいて、「時短の種類」の特定処理を行う。
そして、特定回数以上の「スタート情報」を受信した場合には(S300-Yes)、受信した「時短情報」を「天井時短情報」と特定でき、特定回数以上の「スタート情報」を受信しない場合には(S300-No)、処理を終了する。
このとき、制御部65は、「スタート情報」を特定回数以上受信した場合に、その特定回数以上になった時点から「天井時短状態」に移行したとみなす(S310、
図12参照)。
【0070】
次に、
図18に示す「ベース」に基づく天井時短特定処理について説明する。
S400の処理では、制御部65は、「ベース」が一定値以上であるか否かの判定を行う。
ここでも、制御部65は、大当り間(大当り1情報間)、すなわち「大当り1情報」がオンからオフに変化した後から次回の「大当り1情報」がオンするまでの「ベース」に基づいて、「時短の種類」の特定処理を行う。
一定値以上の「ベース」を受信した場合には(S400-Yes)、「天井時短状態」と特定し(S410、
図13参照)、一定値以上の「ベース」を受信しない場合には(S400-No)、処理を終了する。
ベースは、「大当り遊技状態」の終了後の遊技状態にて、遊技機10で使用される遊技価値数を示す「セーフ情報」と、その遊技状態における入賞により遊技機10から付与される遊技価値数を示す「アウト情報」から次式より算出する。
ベース=「セーフ情報」/「アウト情報」×100
この式からもわかるように、ベースは、遊技者が獲得した遊技価値数の増加量を示す遊技情報であり、ベースの数値が多いほど、遊技者が獲得した遊技価値数の数量が多いことを示している。
なお、「アウト情報」及び「セーフ情報」は、「大当り1情報」がオンからオフに変化した後から次回「大当り1情報」がオンするまでの遊技機10から出力された出力数(累計出力数)から求める。
また、「アウト情報」及び「セーフ情報」は、上述の通り、遊技球が所定数(例えば、10玉)使用されるごと、又は付与されるごとに1パルス出力されることから、「アウト情報」及び「セーフ情報」は、この出力数に所定数(10玉)を乗じて算出する。
【0071】
最後に、
図19に示す「始動口情報」に基づく天井時短特定処理について説明する。
S500の処理では、制御部65は、「始動口情報」を一定時間に所定回数以上受信したか否かの判定を行う。
制御部65は、大当り間(大当り1情報間)、すなわち「大当り1情報」がオンからオフに変化した後から次回の「大当り1情報」がオンするまでの遊技機10から出力される「始動口情報」の受信数の多少に基づいて、「時短の種類」の特定処理を行う。
一定時間に所定回数以上の「始動口情報」を受信した場合には(S500-Yes)、「天井時短状態」と特定し(S510、
図14参照)、一定時間に所定回数以上の「始動口情報」を受信しない場合には(S500-No)、処理を終了する。
【0072】
このように、
図15~19に示した制御部65の特徴的な機能により「天井時短状態」を特定できる。
また、ホールコンピュータ60は、「天井時短状態」を特定可能な遊技情報が出力されない遊技機10であっても、他の遊技情報に基づいて、「天井時短状態」を特定できるので、「天井時短状態」中と、「天井時短状態」中でない遊技状態とで、区分けして集計することができる。
その結果、時短状態ごと、すなわち「大当り後の時短状態」ごと、「天井時短状態」ごとに遊技情報を収集することができるとともに、時短状態に応じて最適な各種判定値を設定することができるため、異常などの判定を時短状態ごとに適切に行うことができる。
ホールコンピュータ60は、このような特定処理によって特定された時短状態を報知できる。
表示部63は、以下のような表示を行うことにより、天井時短に関する情報を報知できる。
【0073】
制御部65は、フロア全体の遊技機10の稼動状況を表示部63に表示することで、時短状態の遊技機10を報知するように制御する。
その結果、表示部63は、「天井時短状態」の遊技機10と、「大当り後の時短状態」の遊技機10を識別可能に表示できる。
図20に示すように、遊技場における遊技機10の位置を表示した遊技場内レイアウト画面では、各遊技機10の遊技状態などが図式化して表示される。
【0074】
また、ポップアップされた表示選択画面630において、表示したい遊技状態に対応するチェックボックス630aにチェックを入れることで、チェックを入れた遊技状態に該当する遊技機10が所定の色や記号などで施された状態で選択され、表示される。
これにより、従業員がフロアに設置された「時短状態」の遊技機10を容易に把握できる。
【0075】
具体的には、フロアに設置された遊技機10の中で、何れの遊技機10が「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」なのかを把握できる。
これは、ホールコンピュータ60が遊技機10から「大当り2情報」又は「天井時短情報」を受信すると、記憶部64に記憶されている遊技機10の位置情報に基づいて、受信した遊技機10を特定できるためである。
このため、記憶部64には、予め、遊技場における遊技機10の設置領域(位置、大きさ、範囲など)を特定可能な情報(位置情報)を記憶させておくことにより、遊技機10の設置領域を含む遊技場のレイアウトを表示部63に表示できる。
したがって、例えば、「天井時短状態」、「大当り後の時短状態」のチェックボックス630aにチェックを入れることで、「天井時短状態」の遊技機10は「〇」、「大当り後の時短状態」の遊技機10は「△」、のようにそれぞれ異なる表示態様で表示される。
このように、「大当り後の時短情報」と「天井時短情報」の表示態様を異ならせることで、遊技場の従業員は、遊技機10が何れの時短状態であるのかを容易に認識できる。
すなわち、表示部63は、遊技状態が「大当り後の時短状態」(特定時短遊技状態)であることを示す特定情報を報知可能な特定情報報知手段として機能する。
また、表示部63は、制御部65によって遊技機10が「天井時短状態」(特別時短遊技状態)であることを特定された場合、遊技機10が「天井時短状態」であることを示す特別情報を報知可能な特別情報報知手段として機能する。
なお、「天井時短状態」又は「大当り後の時短状態」において、異常が発生した場合には、表示部63の表示画面を通して遊技場の従業員に報知するようにしても良い。
また、表示選択画面630において、チェックボックス630aにチェックを入れる前においても、何れの遊技機10が「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」なのかを把握するように表示しても良い。
【0076】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
第1実施形態では、「大当り後の時短状態」及び「天井時短状態」における特定、報知、異常などを、遊技用装置として、ホールコンピュータ60を用いることで実現していた。
第2実施形態では、「大当り後の時短状態」及び「天井時短状態」における特定、報知、異常などを、遊技用装置として、呼出ランプ30を用いて実現している。
なお、以下の説明では、既に説明した第1実施形態におけるホールコンピュータ60と同様の構成となる説明を省略する。
【0077】
[呼出ランプ]
呼出ランプ30は、ホールコンピュータ60と同様に、遊技機10から出力される「大当り2情報」又は「天井時短情報」を受信し、この遊技情報を台コンピュータ40に送信する。
呼出ランプ30は、遊技場に設置される遊技機10に併設され、遊技情報を見やすいように具体的な数字など用いて、遊技者に有益な遊技情報として表示する。
また、呼出ランプ30は、遊技情報を表示する以外にも、遊技中にトラブルなどが発生したときに、遊技者が呼出ボタン301を押下するとその旨を遊技場の従業員及び周囲の遊技者に報知できる。
また、呼出ランプ30は、履歴ボタン300を押下することにより、データ制御部35の記憶手段(例えば、不揮発性ROMなど)に記憶された過去の遊技情報を表示することができる構成になっている。
【0078】
次に、
図21を参照して呼出ランプ30のハードウエア構成について説明する。
呼出ランプ30は、データ通信部31と、発光部32と、音出力部33と、データ表示部34と、これらを制御するデータ制御部35とをそれぞれ備えて構成されている。
【0079】
データ通信部31は、遊技機10や遊技者に遊技媒体を貸し出す台間機20から出力される遊技情報を受信するとともに、台コンピュータ40を介して、この遊技情報をホールコンピュータ60に送信する。
【0080】
発光部32は、多色(RGB)発光(フルカラー)のLEDと、LEDの点灯や点滅を制御するLEDドライバとを備え、データ制御部35は、このLEDの点灯や点滅などを所定の発光態様で行うように制御する。
そして、発光部32は、所定の発光態様により制御されることで、大当りなどの遊技状態や遊技機10で発生した異常状態を外部に報知することが可能になる。
また、発光部32は、呼出ランプ30の周縁に配置され、LEDが発光する光を拡散するためにカット(例えば、ダイヤカット)された無色又は有色透明な樹脂カバーで覆われているため、どこから見ても色鮮やかに報知することができる構成となっている。
【0081】
音出力部33は、例えば、スピーカ、PCM音源、アンプなどを備え、データ制御部35からの指示に従い、スピーカなどを駆動することにより、効果音、音声などの音データを出力し、その出力態様により大当りなどの遊技状態や遊技機10で発生した異常状態を外部に報知できる。
【0082】
データ表示部34は、例えば、液晶表示器、液晶駆動用ドライバ、画像制御用プロセッサ(VDPなど)、VRAM、画像データを記憶した画像ROMなどを備え、データ制御部35からの指示に従い、遊技情報を、数字、文字及び図形などの文字情報に変換して液晶表示器に表示する。
また、データ表示部34は、遊技者によるタッチ操作を検出するタッチパネルからなり、所定の表示領域をタッチ操作することにより、データ表示部34に表示される表示内容の変更できる。
また、所定の表示領域のタッチ操作により、数字や文字などの入力ができるテンキー画面が表示できる。
遊技者は、データ表示部34の所定の表示領域をタッチ操作した後、このテンキー画面において、例えば、確認したい年月日を入力することで、所望の年月日の遊技情報を確認できる構成になっている。
【0083】
また、データ表示部34は、
図22~
図25に示すように複数の表示領域34a~34eに区画され、各表示領域には、以下のような遊技情報がそれぞれ表示される。
【0084】
データ表示部34の表示領域34aには、例えば、本日、1日前、2日前におけるそれぞれの大当り回数(大当り遊技状態の発生回数)の累計が表示される。
したがって、遊技機10から出力される「大当り情報」の累計が表示される。
【0085】
表示領域34bには、本日中における開店時から現時点までに行われた累計の時短の発生回数が表示される。
したがって、遊技機10から出力される「大当り2情報」の累計が表示される。
なお、ここでの時短の発生回数は、「大当り後の時短」の発生回数が表示される。
【0086】
表示領域34cには、大当り間のスタート回数(累計のゲーム数)が表示される。
したがって、特別図柄表示装置112,113の図柄の変動が1ゲームとして扱われるため、遊技機10から出力される「スタート情報」の累計が表示される。
【0087】
表示領域34dには、現時点の遊技状態が表示される。
例えば、「大当り後の時短状態」では、「時短中」と表示され、「天井時短状態」では、「天井時短中」とそれぞれ表示される。
したがって、遊技機10から出力される「時短情報」としての「大当り2情報」又は「天井時短情報」の何れかが表示される。
【0088】
このように、遊技用装置として呼出ランプ30を用いても、「大当り後の時短状態」と「天井時短状態」との表示態様を異ならせて表示できる。
すなわち、データ表示部34は、データ制御部35が特定時短遊技状態特定手段として機能することにより、「大当り後の時短状態」であると特定された場合には、「大当り後の時短状態」であることを示す特定情報を報知可能な特定情報報知手段として機能する。
また、データ表示部34は、データ制御部35が特別時短遊技状態特定手段として機能することにより、「天井時短状態」であると特定された場合には、「天井時短状態」であることを示す特別情報を報知可能な特別情報報知手段として機能する。
【0089】
また、呼出ランプ30は、
図23に示すように、天井時短までの遊技回数、すなわち天井時短ゲーム数が固定値(例えば、100ゲーム)である場合には、天井時短に関する情報を表示できる表示領域34eを備えることもできる。
例えば、遊技状態が「通常遊技状態」のときには、表示領域34eに、天井時短までの残りゲーム数などが表示され、その値が0になると「天井時短状態」に移行することになる。
したがって、「大当り1情報」がオンからオフに変化した後で、天井時短ゲーム数から「スタート情報」が出力される度に減算され、カウントダウンされた値が表示される。
このとき、データ表示部34は、所定情報報知手段として機能することにより、天井時短ゲーム数までの残りゲーム数に関する所定情報を報知可能である。
【0090】
一方、遊技状態が「天井時短状態」のときには、表示領域34eに、「天井時短状態」における時短回数などが表示される。
したがって、「天井時短情報」がオフからオンに変化した後、天井時短ゲーム数から「スタート情報」が出力される度に減算された値が表示され、その値が0になると「天井時短状態」が終了することになる。
また、「天井時短情報」が「大当り2情報」と同一の出力端子から出力される場合には、大当り1情報を受信しない状態(通常遊技状態)で、「大当り2情報」がオフからオンに変化した後、天井時短ゲーム数から「スタート情報」が出力される度に減算された値が表示される。
また、「天井時短情報」以外の他の遊技情報から「天井時短状態」を特定する場合には、「天井時短状態」に移行されたとみなされた後、天井時短ゲーム数から「スタート情報」が出力される度に減算された値が表示される。
なお、表示領域34eに、「通常遊技状態」における「天井時短状態」までの残りゲーム数が表示される例を示して説明したが、この他にも、「通常遊技状態」における「大当り後の時短状態」までの残りゲーム数を表示しても良い。
また、「大当り後の時短状態」に移行できる遊技機10の場合には、「大当り後の時短状態」が終了してから「天井時短状態」までの残りゲーム数を表示しても良く、「大当り後の時短状態」に移行しない遊技機10の場合には、「大当り遊技状態」が終了してから「天井時短状態」までの残りゲーム数を表示しても良い。
【0091】
さらに、呼出ランプ30は、「天井時短状態」までの残りゲーム数が、所定値未満の値である特定値(例えば、100ゲーム以下)に到達した場合には、
図24に示すように表示領域34eの報知態様を変更できる。
例えば、「天井時短状態」までの残りゲーム数が100ゲーム以下の場合には、残りゲーム数の文字の大きさが、
図23(a)に示す200ゲームの場合と比べて、大きなものとなっている。
また、「天井時短状態」までの残りゲーム数が100ゲーム以下の場合には、表示領域34eの外周を太線で囲うなど強調して表示される。
【0092】
このように、「天井時短状態」までの残りゲーム数が特定値に到達した場合には、この残りゲーム数を大きく変化させるなどの強調表示(文字色、表示領域色の変更、文字・表示領域の強調など)することで、遊技者に「天井時短状態」に移行することの期待感をより一層与えることができる。
そして、遊技者に期待感を与えることで、大当り終了後に遊技をやめようと思っている遊技者を引き留めることが可能となり、これにより、遊技機10の稼動を維持できる。
すなわち、データ制御部35は、「天井時短状態」に移行する天井時短ゲーム数までの残りゲーム数が所定値未満の値である特定値(例えば、100ゲーム)に到達した場合、所定情報(例えば、残りゲーム数)を大きくするなどの報知態様を変更可能な所定情報報知手段として機能する。
【0093】
さらに、本実施形態における遊技用装置である呼出ランプ30は、停電などの電源遮断時における「大当り後の時短状態」及び「天井時短状態」それぞれの情報(例えば、遊技状態、天井時短ゲーム数)を記憶保持できる構成になっている。
そして、その記憶保持した電源遮断時における「大当り後の時短状態」及び「天井時短状態」それぞれの情報(特定時短遊技状態特定情報、特別時短遊技状態特定情報)を、電源復帰時に再現できる。
【0094】
具体的には、呼出ランプ30は、電源遮断時においても、データ制御部35が備える記憶部(特定時短遊技状態特定情報記憶手段、特別時短遊技状態特定情報記憶手段)(不図示)のバックアップ機能により、遊技機10から出力される遊技情報を記憶保持できる。
そのため、電源遮断時の「大当り後の時短状態」及び「天井時短状態」は、記憶部により記憶保持されるため、電源復帰時も同一の時短状態から再開できるようになっている。
したがって、呼出ランプ30が備える記憶部は、電源遮断された状態で、「大当り後の時短状態」であることを示す特定情報及び「天井時短状態」であることを示す特別情報を保持可能であり、電源復帰した場合にも、その記憶された特定情報及び特別情報を、データ表示部34により報知可能である。
なお、日付を変更して電源復帰した場合、遊技機10の確率設定値が変更された場合及びシステムリセットが行われた場合には、電源復帰時でも「通常遊技状態」から再開される。
【0095】
図25は、「天井時短状態」における呼出ランプ30の画面表示の一例であり、(a)は電源遮断時、(b)は電源復帰時それぞれを示している。
図25に示すように、例えば、表示領域34eに表示される「天井時短状態」における時短回数などは、電源遮断時と電源復帰時とで、同一の「150ゲーム」を示しており、停電などの異常が起きたときでも電源遮断時の状態から再開される。
このため、例えば、電源遮断時の時短回数が多い場合でも、電源復帰時にその電源遮断時の時短回数が多い状態を再現できるため、遊技者が損失を負うことを回避できる。
その結果、遊技者は、安心して遊技を行うことができるため、天井時短に対する期待感を維持でき、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、「大当り後の時短状態」及び「天井時短状態」ともに、電源遮断時の情報を記憶しておき、電源復帰時に電源遮断時の状態を再現できる例を示して説明したが、この他にも「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」の何れか一方のみの特定情報又は特別情報を記憶して、電源復帰時に電源遮断時の状態を再現できる。
【0096】
以上説明したように、本発明の遊技用装置によれば、遊技機10から出力される遊技情報に基づいて、「大当り遊技状態」の終了後から大当り非当選の状態で、特定回数のゲームを行った後に移行する「天井時短状態」を特定できる。
これにより、「大当り後の時短状態」と「天井時短状態」を区別することができるため、それぞれの表示態様を異ならせることができる。
また、遊技用装置は、異常判定手段を備えるため、「天井時短状態」における異常を判定できる。
【0097】
一方、特許文献1及び特許文献2に記載の遊技用装置では、「天井時短状態」を特定することができないため、「大当り後の時短状態」と「天井時短状態」を区別することができない。
そのため、現状の遊技状態を適切に把握したいと考える従業員や遊技者のニーズに応えることができなかった。
また、「天井時短状態」を特定することができないため、「天井時短状態」における異常を判定することができず、遊技場及び/又は遊技者に対して、不利益を与えてしまうことがあった。
本実施形態の遊技用装置によれば、従来の遊技用装置が改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決できる。
【0098】
以上、本発明の遊技用装置及びプログラムの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技用装置及びプログラムは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0099】
例えば、「大当り遊技状態」の終了後から特定回数のゲームを行った後に「天井時短状態」に移行する例について説明したが、この他にも特定回数のゲームを行った後に、さらに所定確率で当選する抽選に基づいて、「天井時短状態」に移行するようにしても良い。
また、天井時短への移行契機は、「大当り遊技状態」の終了後からゲームを行った後とする以外にも、予め定めた「特別図柄」(特定のハズレ図柄)が停止表示した場合を移行契機とすることができる。
また、「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」における時短回数は、抽選による特定のハズレ図柄の種別に応じて、異ならせても良い。
この場合、例えば、特定のハズレ図柄1の場合は100回、特定のハズレ図柄2の場合は50回、特定のハズレ図柄3の場合は30回とし、当選確率は、特定のハズレ図柄1<特定のハズレ図柄2<特定のハズレ図柄3の順で高くすることなどが考えられる
また、このときの特定のハズレ図柄は、1種類(例えば、特定のハズレ図柄2のみ)又は複数種類としても良く、さらには、「大当り後の時短状態」又は「天井時短状態」よりも少ない時短回数にすることができる。
また、天井時短は、「天井時短状態」における時短回数を特に定めること無く、「次回の大当りまで(無限)」継続する構成としても良い。
この場合、遊技機10において、「天井時短状態」として「有限」と「無限」がある場合には、遊技用装置において、「有限」と「無限」でデータを区分けして集計することが好ましい。
例えば、「有限」の天井時短の上限回数を超えて「時短情報」が出力される場合や、「有限」の天井時短の上限回数を超えた後にも関わらず、ベースの高い状態が続くときは、「無限」の「天井時短状態」であることを特定できることから、「有限」と「無限」でデータを区分けして集計することを実現できる。
これにより、適切な形で「時短状態」の種別ごとにデータを集計できる。
【0100】
また、「大当り後の時短状態」と「天井時短状態」の時短性能を異ならせても良い。
この場合、普通図柄表示装置117が当り表示となる確率、又は始動口111の開放時間のうち、少なくとも一方を「大当り後の時短状態」と「天井時短状態」とで異ならせることなどが考えられる。
このとき、遊技用装置にて、「大当り後の時短状態」と「天井時短状態」における各種判定値(例えば、ベース異常、差数異常など)を変更することにより、各々の時短状態での「異常」を適切に判定できる。
また、大当り間に1回のみの「天井時短状態」が発生する例について説明したが、この他にも、大当り間に複数回の「天井時短状態」が発生するように制御しても良い。
この場合、「大当り後の時短状態」を含めないで、複数回の「天井時短状態」に制御しても良く、さらには、遊技用装置にて、大当り間における時短回数を集計できるようにしても良い
また、「天井時短状態」における天井時短ゲーム数は、「大当り遊技状態」の終了後からカウントを開始する例を示して説明したが、この他にも「大当り後の時短状態」と「天井時短状態」双方の時短状態の終了後からカウントを開始しても良い。
この場合、遊技用装置において、適切に天井到達までの天井時短ゲーム数を管理できる。
また、「大当り後の時短状態」と「天井時短状態」の双方で、時短が付与される大当り図柄で大当りとなる場合には、時短回数を統一としても、異なるようにしても良い。
例えば、時短回数を統一とすることで、遊技用装置は、制御が簡素化されるため、高速化が可能になり、時短回数が異なる場合よりも、容易に「天井時短状態」の終了時期を示唆できる。
また、「大当り後の時短状態」と「天井時短状態」の双方で、時短が付与される大当り図柄を規定したが、この他にも何れかの「時短状態」のみ付与される構成としても良い。
例えば、「天井時短状態」が付与される場合、遊技用装置においては、「天井時短状態」における天井時短ゲーム数を管理できる。
【0101】
また、「ループタイプ」の遊技機10を用いた例を説明したが、この他にも
図26に示す仕様のような規定回数の特別図柄の変動が行われることに基づいて「確変状態」が終了する、いわゆる「STタイプ」の遊技機10を用いても良い。
この「STタイプ」の遊技機10は、遊技状況に応じて、時短状態の有無及び時短回数が異なり、さらに、「ループタイプ」の遊技機10の仕様とは異なり、「大当り後の時短」は、非時短中の大当りと時短中の大当りとで区分けされている。
また、「天井時短状態」に移行する大当りである、特別図柄表示装置112が「1」,「2」の大当り図柄で大当りとなる場合は、当該大当り後に時短が付与されることはない。
また、時短中に大当り図柄「1」,「2」の大当りが発生した場合に付与される大当り後の時短は、「確変状態」が終了するまでの大当り終了後50回転までであるため、「確変状態」が「天井時短状態」と重複することは無い。
そのため、「確変状態」での時短は、「大当り後の時短状態」となるように制御される。
すなわち、遊技用装置において、「大当り後の時短状態」における時短中は、「確変状態」であることを表示でき、「天井時短状態」における時短中は、「時短状態」であることを表示できる。
このように表示することで、同じ時短中であっても、「確変状態」であるか否かを特定して報知できる。
また、「STタイプ」の遊技機10の場合は、「確変状態」が大当り終了後50回転までであるため、「天井時短までのゲーム数」を大当り図柄1で「40ゲーム」とし、大当り図柄2で「20ゲーム」とすることで、「確変状態」と「時短状態」が重複する遊技状態を設けても良い。
このような「STタイプ」の遊技機10の場合、遊技用装置にて、例えば、「確変状態」と重複していない時短中を「時短中」と表示し、重複している時短中を「CHANCE」と表示するなどして、特
図1の大当り後の時短状態に、チャンスゾーンが到来しているかのような印象を与えることができる。
なお、「STタイプ」の遊技機10の仕様は、例えば以下のようにすることができる。
・大当り(特別図柄当り)確率:低確率=1/199、高確率=1/50
・当り(普通図柄当り)確率:低確率=1/40、高確率=1/1
・1ラウンド中における大入賞口114,115の最大開放時間:20秒
・1ラウンド中における大入賞口114,115の入賞数の上限:8個
・始動口111の電サポ開放時間:非時短中1.0秒、時短中4.2秒
・始動口111の入賞数の上限:8個
【0102】
また、
図27に示す仕様のような上述した「STタイプ」と、大当り中に開放されるアタッカー(大入賞口114)内に存在する特定領域(Vゾーン)に入賞することにより移行するものとし、特定領域を通過しなければ「確変状態」に移行しない、いわゆる「V確変機」とが組合わせられた「V-STタイプ」の遊技機10を用いても良い。
この「V-STタイプ」の遊技機10は、「ループタイプ」の遊技機10の仕様とは異なり、「大当り後の時短」は、非V入賞時とV入賞時とで区分けされている。
また、「V-STタイプ」の遊技機10は、「STタイプ」の遊技機10と同様に、「天井時短状態」に移行する大当りである、特別図柄表示装置112が「1」,「2」の大当り図柄で大当りとなる場合は、当該大当り中にV入賞が発生しない場合には、大当り後に時短が付与されることはない。
また、特別図柄表示装置112が「1」,「2」の大当り図柄が停止することにより発生する大当り中において、V入賞が発生した場合に付与される大当り後の時短は、「確変状態」が終了するまでであるため、「確変状態」が「天井時短状態」と重複することは無い。
そのため、「V-STタイプ」の遊技機10の場合、遊技用装置において、「大当り後の時短状態」における時短中は、「確変状態」であることを表示でき、「天井時短状態」における時短中は、「時短状態」であることを表示できる。
このように表示することで、同じ時短中であっても、「確変状態」であるか否かを特定して報知できる。
なお、「V-STタイプ」の遊技機10の仕様は、例えば以下のようにすることができる。
・大当り(特別図柄当り)確率:低確率=1/199、高確率=1/50
・当り(普通図柄当り)確率:低確率=1/40、高確率=1/1
・1ラウンド中における大入賞口114,115の最大開放時間:20秒
・1ラウンド中における大入賞口114,115の入賞数の上限:8個
・始動口111の電サポ開放時間:非時短中1.0秒、時短中4.2秒
・始動口111の入賞数の上限:8個
【0103】
また、
図28に示す仕様のような表示器118の数字が揃うと大当りとなる、いわゆる「デジパチ」と、羽根に入った後にV入賞すると大当りとなる、いわゆる「羽根モノ」とが組合わせられた「一種二種混合タイプ」の遊技機10でも良い。
「一種二種混合タイプ」の遊技機10の場合、遊技用装置において、「大当り後の時短状態」における時短中と、「天井時短状態」における時短中とで、表示態様を変えることにより、「通常遊技状態」が続いて遊技を行っている状態、いわゆるハマリによる「時短状態」か否かを明確に示すことができる。
なお、「一種二種混合タイプ」の遊技機10の仕様は、例えば以下のようにすることができる。
・大当り(特別図柄当り)確率:低確率=1/199、高確率=1/50
・当り(普通図柄当り)確率:低確率=1/40、高確率=1/1
・1ラウンド中における大入賞口114,115の最大開放時間:20秒
・1ラウンド中における大入賞口114,115の入賞数の上限:8個
・始動口111の電サポ開放時間:非時短中1.0秒、時短中4.2秒
・始動口111の入賞数の上限:8個
・保留数は、それぞれ4つずつ
【0104】
また、特別図柄表示装置113である特
図2において、高確率で小当りが発生することにより、「小当りRUSH搭載機」の遊技機10でも、本発明を適用できる。
小当りとは、始動口111への入賞に基づいて実行される抽選により小当りに当選すると、特
図2が、例えば「H」などの小当り図柄で停止し、大入賞口115が所定時間(例えば、1.8秒)開放する当り状態をいう。
この小当りは、遊技機10の制御手段により「時短状態」で頻出するように制御される。
「小当りRUSH搭載機」の遊技機10の場合、遊技用装置において、時短中の集計及び表示を「小当りRUSH」におけるものとする。
そして、1営業日などの所定時間における「小当りRUSH」への移行回数や「小当りRUSH」中における差数などの遊技情報を集計及び表示することで、「小当りRUSH」中における詳細な情報を把握できる。
【0105】
また、その他、「確変状態」において、所定確率(例えば、1/400)で非確変状態へ移行するか否かの転落抽選を行う、いわゆる「転落タイプ」や「リミットタイプ」としても良い。
遊技機10がこのような仕様の場合、遊技用装置において、時短中の集計及び表示を「高確率及び低落率の確変状態」におけるものとする。
このような転落抽選を行うことで、遊技者に対して、遊技性に関心を持たせることできるとともに変化を持たせることができる。
【0106】
また、「天井時短情報」と「スタート情報」の関係性に基づいて異常を判定する異常判定処理の一例について説明したが、この他にも「大当り遊技状態」が終了する度に、n回連続して「天井時短状態」に移行している場合や「天井時短状態」において大当りがn回連続して発生している場合を「異常」と判定できる。
また、これ以外にも大当りがn回連続して発生するのではなく、過去n回の大当たりの内、m回天井時短に移行することを「異常」と判定できる。
さらには、制御部65は、大当りがn回発生しているにも関わらず、一度も天井時短状態に移行していない場合を「異常」と判定できる。
このような場合、遊技機10が「V-STタイプ」においては、特に効果がある。
「V-STタイプ」の遊技機10は、一方のアタッカー(大入賞口114)内に存在する特定領域に遊技球が入賞すると、大当り遊技状態が終了した後に「確変状態」に移行する。
この「確変状態」は、次回の大当りが当選するまで継続するため、例えば、第1始動口110の確変突入率が50%、第2始動口111の確変突入率が100%などとしたとき、時短状態であれば、第2始動口111への入賞をサポートされる電サポ状態にあるため、確変突入率が実質的に100%になる。
そのため、「時短状態」である「天井時短状態」に移行する機会を意図的に増やすことで、確変突入率を高くして、大当り回数を増やすゴト行為などが起きたとき、制御部65は、このような不正を見逃さずに「異常」と判定できる。
【0107】
また、本実施形態では、本発明をホールコンピュータ60又は呼出ランプ30に適用した例を用いて説明したが、この他にも、台間機20、台コンピュータ40、島コンピュータ50、計数装置、景品交換装置、及び遊技情報表示装置などのその他の遊技用装置に適用することもできる。
また、遊技用装置は、天井時短ゲーム数が所定のゲーム数の場合、現在の遊技者が離席した後から次の遊技者が着席するまでの時間、いわゆる空き時間を記憶する構成としても良い。
この場合、遊技用装置は、天井時短ゲーム数と空き時間の関係を特定することで、天井時短がどれくらい魅力的であると遊技者が捉えているかの判断材料にすることができる。
【符号の説明】
【0108】
1 遊技用システム
10 遊技機
20 台間機
30 呼出ランプ
40 台コンピュータ
50 島コンピュータ
60 ホールコンピュータ
61 操作部
62 通信部
63 表示部
64 記憶部
65 制御部