(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】コンソールのチルト構造
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
E02F9/16 B
(21)【出願番号】P 2023085324
(22)【出願日】2023-05-24
(62)【分割の表示】P 2019236073の分割
【原出願日】2019-12-26
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】391014000
【氏名又は名称】スターテング工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】石水 天美
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-146678(JP,A)
【文献】特開平04-140328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席の側部に配置されるコンソールの傾きを変化させるチルト構造であって、
座席の側部に配置された第1フレームと、
前記第1フレームの上部に上下に揺動可能に取り付けられた第2フレームと、
前記第1フレームと前記第2フレームとの間に配置された操作部材と、
を備え、
前記操作部材は、
棒状の軸部を備え、前記軸部は、第1の連結箇所において前記第2フレームに
軸回転可能に支持されるとともに、前記第1の連結箇所よりも下方に設けられた第2の連結箇所において前記第1フレームに連結されており、
前記操作部材を操作することで、前記第1の連結箇所の高さを調節可能であり、
前記第1の連結箇所の高さに応じて、前記第2フレームの傾きが変化するものであって、
前記第1フレームは、前記第2の連結箇所において前記
軸部を係合させるための複数の被係合部を備え、
前記
軸部は、前記複数の被係合部のうちのいずれか1つを選択して係合可能な係合部を備え、
前記操作部材を操作することで、前記複数の被係合部のうちのどの被係合部に前記係合部を係合させるかを切り替え可能であり、
前記軸部を軸として前記操作部材を軸回転させることで、前記係合部が前記複数の被係合部のうちのいずれかに係止されたロック状態と、前記係合部が前記被係合部から外れた解除状態と、を切り替え可能である、コンソールのチルト構造。
【請求項2】
前記
軸部の上端に、操縦者に掴ませて操作させるためのグリップ部
が回動軸を介して連結され、
前記グリップ部は、
前記回動軸を中心に回動可能であり、前記軸部を軸とした回動操作
が可能
となるように立ち上がった状態と、
前記軸部を軸とした回動操作
ができない
ように折り畳まれた状態とをとりうる
ように構成され、
前記回動軸は、前記軸部に対して直交している、請求項1記載のコンソールのチルト構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、座席の側部に配置されるコンソールの傾きを変化させるチルト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの建設機械においては、キャビン内に運転席が設けられ、この運転席に対して乗り降りするための乗降口が左右片側に設けられている。また、座席の側部にはコンソールが配置され、このコンソールに操縦用の操縦レバーが突出して設けられている。こうした座席への乗降を容易としたり、座席に座ったときの操縦レバーの高さを調節したりするために、コンソールの傾きを変化させるチルト構造を設けたものが存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、チルトブラケットに上下2本平行にロックピンがセットされ、上側のロックピンが第2フレーム側に固定され、下側のロックピンが第1フレーム側の歯溝部にロックされる構造が開示されている。この構造では、第1フレーム側の歯溝部に対する下側のロックピンの係合位置を変えることで、第2フレームの傾きを変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した特許文献1記載の構造は、第2フレームの傾きを変えるためにコンソールの内部に配置されたチルトブラケットを回転させる必要があった。このため、外部からコンソールの傾きを変えられるようにするためには、チルトブラケットを回転させる機構を設けなければならず、構造が複雑化するという問題があった。
そこで、本発明は、簡単な操作でコンソールの傾きを変えることができ、構成もシンプルなチルト構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、本発明は、座席の側部に配置されるコンソールの傾きを変化させるチルト構造であって、座席の側部に配置された第1フレームと、前記第1フレームの上部に上下に揺動可能に取り付けられた第2フレームと、前記第1フレームと前記第2フレームとの間に配置された操作部材と、を備え、前記操作部材は、第1の連結箇所において前記第2フレームに連結されるとともに、前記第1の連結箇所よりも下方に設けられた第2の連結箇所において前記第1フレームに連結されており、前記操作部材を操作することで、前記第1の連結箇所の高さを調節可能であり、前記第1の連結箇所の高さに応じて、前記第2フレームの傾きが変化するものであって、前記第1フレームは、前記第2の連結箇所において前記操作部材を係合させるための複数の被係合部を備え、前記操作部材は、前記複数の被係合部のうちのいずれか1つを選択して係合可能な係合部を備え、前記操作部材を操作することで、前記複数の被係合部のうちのどの被係合部に前記係合部を係合させるかを切り替え可能であり、前記操作部材を軸回転させることで、前記係合部が前記複数の被係合部のうちのいずれかに係止されたロック状態と、前記係合部が前記被係合部から外れた解除状態と、を切り替え可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記の通りであり、操作部材を操作することで第1の連結箇所の高さを調節可能であり、第1の連結箇所の高さに応じて第2フレームの傾きが変化するようになっている。よって、簡単な操作でコンソールの傾きを変えることができ、また、構成もシンプルにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る、座席およびコンソールの斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る、コンソールの傾きを変えた状態の座席およびコンソールの斜視図である。
【
図3】第1の実施形態に係る、コンソールの内部を説明する図である。
【
図4】第1の実施形態に係るコンソールの動きを説明する図であって、(a)第2フレームを上方に移動させた状態の側面図、(b)第2フレームを下方に移動させた状態の側面図である。
【
図5】第1の実施形態の変形例に係るコンソールの動きを説明する図であって、(a)第2フレームを上方に移動させた状態の側面図、(b)第2フレームを下方に移動させた状態の側面図である。
【
図6】第2の実施形態に係る、(a)コンソールの内部を説明する図、(b)操作部材の斜視図である。
【
図7】第2の実施形態に係るコンソールの動きを説明する図であって、(a)操作部材のグリップ部を立てた状態の図、(b)操作部材を回転させた状態の図である。
【
図8】第2の実施形態に係るコンソールの動きを説明する図であって、(a)操作部材のピンの係合位置を移動した状態の図、(b)操作部材のグリップ部を倒した状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、
図1~4を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、操縦者が座席10に着席したときの水平な正面方向を「前」方向とし、この「前」方向の反対方向を「後」方向として説明する。また、操縦者が座席10に着席して正面を向いた状態で、操縦者から見て左側を「左」方向とし、操縦者から見て右側を「右」方向として説明する。
【0010】
本実施形態に係るコンソール11は、油圧ショベル等の建設機械に使用される。こうした建設機械は、キャビン内に操縦者用の座席10が設けられており、この座席10の両側部にコンソール11が配置されている。このコンソール11には、
図1に示すように、操縦用の操縦レバー12が突出して設けられている。操縦者は、この操縦レバー12を両手で操作することにより、左右に旋回したり、アームを動かしたりといった操縦を行う。
【0011】
なお、特に図示しないが、座席10から見て片側のコンソール11(
図1においては左側のコンソール11)の更に奥には、座席10に対して乗り降りするための乗降口が設けられている。このため、座席10に着くためにはコンソール11の前を通過しなければならないようになっており、このコンソール11の前が座席10への乗降通路となっている。この片側のコンソール11には、操縦時における乗降を妨げるためのゲートレバー52が設けられており、作業中は乗降通路を遮断するとともに、乗降時にはゲートレバー52を跳ね上げることで乗降通路を開放できるようになっている。
【0012】
本実施形態に係るコンソール11は、座席10への乗降を容易としたり、座席10に座ったときの操縦レバー12の高さを調節したりするために、コンソール11の傾きを変化させるチルト構造を備えている。例えば、
図2に示すようにコンソール11の傾きを変えて、操縦レバー12の位置を高くすることができる。
【0013】
このコンソール11は、
図3に示すように、第1フレーム20と、第2フレーム25と、操作部材30と、を備えている。これらの部材は、
図1に示すように、フレームカバー51で覆われた内部に収容されており、操作可能な一部を除いて外部に露出しないようになっている。
【0014】
第1フレーム20は、座席10の側部に固定されるフレームである。この第1フレーム20は、床面に臨むように配置される。本実施形態に係る第1フレーム20は、金属板で形成された一対の側板部20aを備える。この一対の側板部20aは、円柱状の第2回転支持部22を回転可能に支持している。
【0015】
第2回転支持部22は、第1フレーム20の前端部寄りに配置されており、回転軸が水平となるように一対の側板部20aの間に架設されている。この第2回転支持部22には、第2回転支持部22の回転軸に対して直交する方向に貫通孔22aが貫通形成されている。この貫通孔22aには、後述する操作部材30の軸部32が挿通される。このため、第1フレーム20に支持された第2回転支持部22が軸回転すると、貫通孔22aの傾きが変化し、操作部材30が傾動する。
【0016】
また、この貫通孔22aの内周面には、後述する操作部材30の軸部32のネジ部32aと螺合するメネジが形成されている。このため、操作部材30が軸回転すると、貫通孔22aのメネジと操作部材30の軸部32のネジ部32aとのネジ作用により、操作部材30が第2回転支持部22に対して上下に進退するように構成されている。
【0017】
第2フレーム25は、第1フレーム20の上部に取り付けられ、第1フレーム20に対して上下に揺動可能に配置されるフレームである。本実施形態に係る第2フレーム25は、金属板で形成された一対の側板部25aを備える。この第2フレーム25の側板部25aの下端部は、第1フレーム20の側板部20aの上端部と重なり合うように配置されている。そして、これらの側板部20a、25aが後部において重なり合う位置に、両者を揺動可能に接続するための揺動軸21が設けられている。
【0018】
また、この第2フレーム25の一対の側板部25aは、円柱状の第1回転支持部26を回転可能に支持している。この第1回転支持部26は、第2回転支持部22よりも上方に配置されており、回転軸が水平となるように一対の側板部25aの間に架設されている。この第1回転支持部26には、第1回転支持部26の回転軸に対して直交する方向に貫通孔26aが貫通形成されている。この貫通孔26aには、後述する操作部材30の軸部32が挿通される。このため、第2フレーム25に支持された第1回転支持部26が軸回転すると、貫通孔26aの傾きが変化し、操作部材30が傾動する。
【0019】
操作部材30は、コンソール11の傾きを変えるときに操縦者に操作される棒状部材であり、第1フレーム20と第2フレーム25との間に配置されている。本実施形態に係る操作部材30は、操作部材30を回転操作させるためのグリップ部31と、グリップ部31の下部に連結される軸部32と、を備える。
【0020】
グリップ部31は、操作部材30の上端に設けられており、
図1等に示すように、操縦者が操作できるようにフレームカバー51の外部に露出している。操縦者は、このグリップ部31を把持して軸回転させることにより、第2フレーム25の傾きを変化させることができる。
【0021】
軸部32は、第1フレーム20と第2フレーム25とを接続するリンクであり、第1の連結箇所P1において第2フレーム25に連結されるとともに、第1の連結箇所P1よりも下方に設けられた第2の連結箇所P2において第1フレーム20に連結されている。
【0022】
本実施形態に係る第1の連結箇所P1は、第1回転支持部26によって構成されている。第1回転支持部26は、操作部材30の軸部32を軸回転可能に支持している。なお、操作部材30は、第1回転支持部26において軸方向に移動できないように保持されている。
【0023】
また、本実施形態に係る第2の連結箇所P2は、第2回転支持部22によって構成されている。第2回転支持部22は、操作部材30の軸部32を軸回転可能かつ軸方向に移動可能に支持している。すなわち、上記したように、操作部材30が軸回転したときのネジ作用により、操作部材30は第2の連結箇所P2において進退可能となっている。
【0024】
なお、既に説明したように、第1回転支持部26および第2回転支持部22は、第2フレーム25および第1フレーム20に対して回転可能である。第1回転支持部26および第2回転支持部22が回転することで、操作部材30は前後に傾動可能となっている。
【0025】
このような構成により、本実施形態に係るチルト構造は、操作部材30を回転操作することで、第1の連結箇所P1と第2の連結箇所P2との間隔を調節可能となっている。第1の連結箇所P1と第2の連結箇所P2との間隔が大きくなれば、第1の連結箇所の高さが高くなり、第1の連結箇所P1と第2の連結箇所P2との間隔が小さくなれば、第1の連結箇所の高さが低くなる。第1の連結箇所の高さが変われば、必然的に第2フレーム25の高さも変わるため、第1の連結箇所の高さに応じて、第2フレーム25の傾きが変化するようになっている。
【0026】
具体的には、操作部材30を所定の方向(例えば反時計回り)に軸回転させると、
図4(a)に示すように、操作部材30が第2の連結箇所P2において上方に持ち上げられる。これにより、第1の連結箇所P1と第2の連結箇所P2との間隔が広くなり、第2フレーム25が上方に持ち上げられるようになっている。
【0027】
また、これとは逆方向(例えば時計回り)に操作部材30を軸回転させると、
図4(b)に示すように、操作部材30が第2の連結箇所P2において下方に繰り出される。これにより、第1の連結箇所P1と第2の連結箇所P2との間隔が狭くなり、第2フレーム25が下方に移動するようになっている。
【0028】
なお、このような操作部材30の回転操作を補助するために、第2フレーム25を上方に付勢する付勢部材を設けてもよい。例えば、本実施形態においては、操作部材30の軸部32の外周に圧縮バネ33を装着し、第1回転支持部26と第2回転支持部22とを互いに離反する方向に付勢するようにしている。このような付勢手段(圧縮バネ33)を設けることにより、操作部材30を回転操作するときの操作荷重(特に第2フレーム25を持ち上げるときの操作荷重)を低減することができる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作部材30を操作することで第1の連結箇所P1と第2の連結箇所P2との間隔を調節可能であり、第1の連結箇所P1の高さに応じて第2フレーム25の傾きが変化するようになっている。よって、簡単な操作でコンソール11の傾きを変えることができ、また、構成もシンプルにすることができる。
【0030】
なお、本実施形態では、第2の連結箇所P2(第2回転支持部22)において操作部材30が進退可能である構成について説明したが、これに限らず、第1の連結箇所P1(第1回転支持部26)において操作部材30が進退可能であってもよい。
【0031】
すなわち、
図5に示すように、第1回転支持部26が、操作部材30の軸部32を軸回転可能かつ軸方向に移動可能に支持するようにし、操作部材30が軸回転したときのネジ作用により、操作部材30が第1の連結箇所P1において進退可能となっていてもよい。この場合、操作部材30は、第2の連結箇所P2(第2回転支持部22)において軸方向に移動できないように保持される。
【0032】
このような構成とすれば、操作部材30を所定の方向に軸回転させると、
図5(a)に示すように、第1回転支持部26(第1の連結箇所P1)が持ち上げられるので、第2フレーム25を上方に持ち上げることができる。
【0033】
また、これとは逆方向に操作部材30を軸回転させると、
図5(b)に示すように、第1回転支持部26(第1の連結箇所P1)が低くなるので、第2フレーム25を下方に移動させることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、
図6~8を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、重複する記載を避けて、上記した第1の実施形態と相違する箇所のみを説明する。
【0035】
本実施形態に係るコンソール11は、
図6に示すように、第1フレーム20と、第2フレーム25と、操作部材40と、を備えている。これらの機構は、フレームカバー51で覆われており、操作可能な一部を除いて外部に露出しないようになっている。
【0036】
第1フレーム20は、座席10の側部に固定されるフレームである。この第1フレーム20は、床面に臨むように配置される。本実施形態に係る第1フレーム20は、金属板で形成された一対の側板部20aを備える。この側板部20aは、後述する操作部材40を保持するためのガイドプレート24を備えている。本実施形態においては、一対の側板部20aのそれぞれがガイドプレート24を備えており、2枚のガイドプレート24が平行に配置されている。
【0037】
この一対のガイドプレート24には、後述する操作部材40のピン44を収容可能な係合溝24aが形成されている。この係合溝24aは、
図6(a)に示すように、操作部材40のピン44を係合させるための複数の被係合部24bを備えている。この被係合部24bは、ピン44を引っ掛けられるように、係合溝24aの一部を張り出して形成されている。係合溝24aに沿って移動したピン44がこの被係合部24bに入り込んで係止されることで、ピン44を被係合部24bに固定できるようになっている。
【0038】
上記した複数の被係合部24bは、上下に複数段で形成されており、これらの複数の被係合部24bの間をピン44が移動できるようになっている。そして、どの被係合部24bにピン44が係合するかによって、操作部材40(および操作部材40に結合された第2フレーム25)の高さが変わるようになっている。
【0039】
第2フレーム25は、第1フレーム20の上部に取り付けられ、第1フレーム20に対して上下に揺動可能に配置されるフレームである。本実施形態に係る第2フレーム25は、金属板で形成された側板部25aを備える。この第2フレーム25の側板部25aの下端部は、第1フレーム20の側板部20aの上端部と重なり合うように配置されている。そして、これらの側板部20a、25aが後部において重なり合う位置に、両者を揺動可能に接続するための揺動軸21が設けられている。なお、本実施形態においては、この揺動軸21の周囲にダンパー(図示せず)が配置されており、第1フレーム20および第2フレーム25の揺動に対して制動力が働くようになっている。このため、第2フレーム25が揺動可能な状態(後述する解除状態)となった場合でも、第2フレーム25が急激に揺動せず、緩やかに揺動するように構成されている。
【0040】
また、この第2フレーム25は、後述する操作部材40を軸回転可能に支持する回転支持部28を備えている。本実施形態に係る回転支持部28は、操作部材40を挿通可能な筒部を備えており、操作部材40はこの筒部によって回転自在に支持されている。
【0041】
操作部材40は、コンソール11の傾きを変えるときに操縦者に操作される棒状部材である。本実施形態に係る操作部材40は、
図6(b)に示すように、操作部材40を操作させるためのグリップ部41と、回動軸42を介してグリップ部41の下方に連結された軸部43と、を備える。
【0042】
グリップ部41は、操作部材40の上端に設けられており、操縦者が操作できるようにフレームカバー51の外部に露出している。本実施形態に係るグリップ部41は、不使用時に折り畳めるように、軸部43の上端に回動可能に取り付けられている。グリップ部41は回動軸42を中心に回動可能であり、不使用時には、
図6(a)に示すようにグリップ部41を倒して操作の邪魔にならないようにすることができる。また、操作部材40を操作するときには、
図7(a)に示すようにグリップ部41を立ち上げることで、操縦者がグリップ部41を掴んで操作できるようになっている。
【0043】
軸部43は、グリップ部41から下方に延設された棒状部であり、第1の連結箇所P1において第2フレーム25に連結されるとともに、第1の連結箇所P1よりも下方に設けられた第2の連結箇所P2において第1フレーム20に連結されている。この軸部43の先端付近には、
図6(b)に示すように、水平方向(左右方向)に突出するピン44(係合部)が固定されている。このピン44は、上記した係合溝24aに入り込んで、被係合部24bに係合可能となっている。
【0044】
本実施形態に係る第1の連結箇所P1は、上述した回転支持部28によって構成されている。回転支持部28は、操作部材40の軸部43を軸回転可能に支持している。なお、操作部材30は、回転支持部28において軸方向に移動できないように保持されている。
【0045】
また、本実施形態に係る第2の連結箇所P2は、上述した係合溝24a(複数の被係合部24b)およびピン44によって構成されている。ピン44は、複数の被係合部24bのうちのいずれか1つを選択して係合可能であり、操作部材40を操作することで、複数の被係合部24bのうちのどの被係合部24bにピン44を係合させるかを切り替え可能である。そして、複数の被係合部24bのうちのどの被係合部24bにピン44を係合させるかによって、第1の連結箇所P1(回転支持部28)の高さが変わり、第2フレーム25の傾きが変化するようになっている。
【0046】
ピン44の係合位置を変更する場合には、操作部材40を軸回転させればよい。操作部材40を軸回転させることで、ピン44が複数の被係合部24bのうちのいずれかに係止されたロック状態と、ピン44が被係合部24bから外れた解除状態と、を切り替え可能である。ロック状態においては、ピン44がロックされているため、第2フレーム25を第1フレーム20に対して揺動させることができない。しかしながら、解除状態においては、ピン44を係合溝24aに沿って移動させることができる。このようにピン44を係合溝24aに沿って移動させることことで、第2フレーム25を第1フレーム20に対して揺動させることができ、第2フレーム25の傾きを変化させることができる。
【0047】
具体的には、まず
図7(a)に示すように、操作部材40のグリップ部41を立ち上げて、グリップ部41を操作可能な状態とする。その後、
図7(b)に示すように、操作部材40を所定の方向(例えば時計回り)に軸回転させてピン44を被係合部24bから外し、解除状態とする。この状態で、第2フレーム25を上げ下げすることで、第2フレーム25の傾きを変化させることができる。第2フレーム25を任意の高さに設定したら、
図8(a)に示すように、操作部材40を先ほどとは逆方向(例えば反時計回り)に軸回転させる。これにより、ピン44が被係合部24bに入り込んでロック状態となるので、その高さで第2フレーム25が固定される。最後に、
図8(b)に示すように、操作部材40のグリップ部41を倒せば、グリップ部41が操縦レバー12の操作の邪魔にならず、グリップ部41の誤操作も防止できる。
【0048】
なお、本実施形態においては、バンパによって第2フレーム25が上方に付勢されているため、ピン44は被係合部24bの上縁に押し付けられて係合するようになっている。
【0049】
また、本実施形態においては、被係合部24bが一対のガイドプレート24のそれぞれに形成されており、この被係合部24bの張り出し方向は、左右のガイドプレート24でそれぞれ反対方向となっている。例えば、右側のガイドプレート24において、
図6(a)等に示すように、係合溝24aの一部を前方に張り出させて被係合部24bを形成した場合、左側のガイドプレート24においては、係合溝24aの一部を後方に張り出させて被係合部24bが形成されている。このように形成することで、ピン44が左右両側において被係合部24bに係止されるので、ピン44を安定してロックすることができる。
【0050】
このような構成により、本実施形態に係るチルト構造は、操作部材30を操作することで、第1の連結箇所P1(回転支持部28)の高さを調節可能となっている。そして、第1の連結箇所P1の高さに応じて、第2フレーム25の傾きが変化するようになっている。
【0051】
すなわち、操作部材30を操作して、ピン44を上の方の被係合部24bに係合させると、
図6(a)に示すように、回転支持部28と係合溝24aとが離れて、第1の連結箇所P1(回転支持部28)の高さが高くなり、第2フレーム25が上方に持ち上げられる。
【0052】
また、操作部材30を操作して、ピン44を下の方の被係合部24bに係合させると、
図8(b)に示すように、回転支持部28と係合溝24aとが接近して、第1の連結箇所P1(回転支持部28)の高さが低くなり、第2フレーム25が下方に移動する。
このように、本実施形態によれば、簡単な操作でコンソール11の傾きを変えることができ、また、構成もシンプルにすることができる。
【符号の説明】
【0053】
10 座席
11 コンソール
12 操縦レバー
20 第1フレーム
20a側板部
21 揺動軸
22 第2回転支持部
22a 貫通孔
24 ガイドプレート
24a 係合溝
24b 被係合部
25 第2フレーム
25a 側板部
26 第1回転支持部
26a 貫通孔
28 回転支持部
30 操作部材
31 グリップ部
32 軸部
32a ネジ部
33 圧縮バネ
40 操作部材
41 グリップ部
42 回動軸
43 軸部
44 ピン(係合部)
51 フレームカバー
52 ゲートレバー
P1 第1の連結箇所
P2 第2の連結箇所