(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20240227BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20240227BHJP
【FI】
A01G7/00 604Z
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2023093984
(22)【出願日】2023-06-07
【審査請求日】2023-08-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521233231
【氏名又は名称】株式会社AGRI SMILE
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】林 大祐
(72)【発明者】
【氏名】大堂 由紀子
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-066901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置
に含まれる1つ又は複数のプロセッサが、
非生物的ストレスに対する耐性を高める作用を有する資材又は原体の中の所定資材又は所定原体の第1機能に関する第1要求を取得すること、
前記第1要求により特定される前記第1機能
と同じ機能又は異なる機能のいずれかを含む第2機能に関する第2要求を取得すること、
記憶装置に記憶される管理情報であって、前記資材又は前記原体ごとに各機能の有無を関連付ける
前記管理情報から、前記第2要求
により特定される前記第2機能を有する1又は複数の原体を抽出すること、
抽出された1又は複数の原体の中から選択される原体と、前記所定資材又は前記所定原体との組み合わせを出力すること、
を実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記第1要求を取得することは、
前記管理情報に含まれる1又は複数の原体の1又は複数の機能の中から特定される前記第1機能に関する前記第1要求を取得することを含む、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記第2機能は、前記第1機能と同じ機能又は前記第1機能と異なる機能のいずれかが選択されて特定される、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記管理情報は、前記原体ごとに、前記資材の解析結果により特定される効果因子と前記効果因子に関する指標とが関連付けられる、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記効果因子は、遺伝子発現解析結果による遺伝子発現、元素解析による因子、植物ホルモン解析による因子の少なくとも1つを含む、請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記情報処理装置が、
前記資材の評価関数を用いて、前記組み合わせの資材の評価値を推定することをさらに実行する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記出力することは、
推定された前記評価値を用いて、前記組み合わせをレコメンドすることを含む、請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
情報処理装置
に含まれる1つ又は複数のプロセッサに、
非生物的ストレスに対する耐性を高める作用を有する資材又は原体の中の所定資材又は所定原体の第1機能に関する第1要求を取得すること、
前記第1要求により特定される前記第1機能
と同じ機能又は異なる機能のいずれかを含む第2機能に関する第2要求を取得すること、
記憶装置に記憶される管理情報であって、前記資材又は前記原体ごとに各機能の有無を関連付ける
前記管理情報から、前記第2要求
により特定される前記第2機能を有する1又は複数の原体を抽出すること、
抽出された1又は複数の原体の中から選択される原体と、前記所定資材又は前記所定原体との組み合わせを出力すること、
を実行させるプログラム。
【請求項9】
非生物的ストレスに対する耐性を高める作用を有する資材又は原体の中の所定資材又は所定原体の第1機能に関する第1要求を取得する取得部と、
前記第1要求により特定される前記第1機能
と同じ機能又は異なる機能のいずれかを含む第2機能に関する第2要求を取得する取得部と、
記憶装置に記憶される管理情報であって、前記資材又は前記原体ごとに各機能の有無を関連付ける
前記管理情報から、前記第2要求
により特定される前記第2機能を有する1又は複数の原体を抽出する抽出部と、
抽出された1又は複数の原体の中から選択される原体と、前記所定資材又は前記所定原体との組み合わせを出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バイオスティミュラントと呼ばれ得る、植物の非生物的ストレスに対する耐性を高める作用を持つ資材があり、この資材を植物に与え、植物の生育を促進し、農作物の収量又は品質の向上を図る試みがなされている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、植物に与えた資材を評価することが困難であった。例えば、使用する栽培環境や植物の生理周期の条件によって、適切な資材濃度や散布方法が異なるにもかかわらず、資材の作用の解明がなされておらず、資材を与えても生産現場での実利用時に効果が出ない場合が生じている。この点、資材を評価等するために、資材に含まれる原体の解析が行われると、この解析結果により作用の解明が進むことが考えられるが、これらの活用方法については何ら検討が進んでいないのが実情である。
【0005】
そこで、本開示の技術は、資材の解析結果を有効に活用する新たな仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、情報処理装置が、非生物的ストレスに対する耐性を高める作用を有する資材又は原体の中の所定資材又は所定原体の第1機能に関する第1要求を取得すること、前記第1要求により特定される前記第1機能に基づく第2機能に関する第2要求を取得すること、前記資材又は前記原体ごとに各機能の有無を関連付ける管理情報から、前記第2要求に応える1又は複数の原体を抽出すること、抽出された1又は複数の原体の中から選択される原体と、前記所定資材又は前記所定原体との組み合わせを出力すること、を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、資材の解析結果を有効に活用する新たな仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本開示における各因子項目情報(その1)の一例を示す図である。
【
図3】本開示における各因子項目情報(その2)の一例を示す図である。
【
図4】本開示におけるライブラリの一例を示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る情報処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の一実施形態における第1処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の一実施形態における第2処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本開示の一実施形態における第3処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、開示技術の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
[実施形態]
<システム>
図1は、本開示の一実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すとおり、情報処理システム1は、情報処理装置10と、各情報処理装置20A、20B、20C、20D(以下、「各情報処理装置20」とも表記する。)とを含み、各情報処理装置10、20は、ネットワークNを介して相互にデータの送受信が可能である。
【0011】
まず、本開示の技術において評価される資材について説明する。評価対象の資材は、バイオスティミュラント(以下、「BS」ともいう。)とも呼ばれる農業資材であり、植物や土壌により良い生理状態をもたらす様々な物質や微生物を含む生物刺激剤である。この資材は、植物やその周辺環境が本来持つ自然な力を活用することにより、植物の健全さ、ストレスへの耐性、収量と品質、収穫後の状態及び貯蔵などについて、植物に良好な影響を与える可能性があるものである。
【0012】
BSは通常、天然成分であったり、動植物由来の抽出物であったり、微生物起源の代謝産物などから作られる。BSはこれらの単体または複合物でもよい。また、BSは、農薬等と異なり、非生物的ストレスを緩和する効果のある資材を含む。
【0013】
BSの効果としては、例えば、活性酸素の抑制、光合成の活性化、開花・着果の促進、蒸散のコントロール、浸透圧の調節、根圏環境の改善、根量の増加・根の活性向上、などがあげられるが、全ての効果を有するというわけではない。
【0014】
次に、
図1に示す情報処理システム1により実現される新たなシステムの前提となる、植物に与えられるBSの効果を評価する手法の概要について説明する。例えば、本開示の評価手法は、植物の生理機能の視点から、生物刺激の因子になり得る項目を用いて、その項目の影響度による重み付けを行って、資材の効果を評価する指標(評価値)を求める。
【0015】
これにより、BSのような資材であって、その作用機序が解明されておらず、その効果も試してみないと分からないという資材について、生物刺激の因子になり得る因子項目を用いて、その因子項目の影響度による重み付けを行うことにより、資材の効果を適切に評価することが可能になる。
【0016】
次に、解析結果又は評価結果としてBSに含まれる、又は含まれ得る原体に対して、資材の効果又は機能の有無をデータとして集め、資材又は原体ごとに各機能の有無を関連付けた管理情報(ライブラリとも称する。)が生成される。
図1に示す情報処理システム1では、このライブラリを利用して、既存資材の改良、又は原体の組み合わせによる新資材の開発などを行うことが可能になる。
【0017】
上述した
図1に示す各情報処理装置10、20は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン等の携帯端末、タブレット端末、サーバ装置などであり、それぞれ第nの情報処理装置(n=1,2,3・・・)と表記し、それぞれを区別してもよい。
【0018】
また、情報処理装置10は、資材の各因子項目の測定値(解析値を含む)を入力され又は受信して取得し、資材の評価値を算出したり、資材の効果に基づいてライブラリを生成したり、ライブラリに基づいて、既存資材の改良、新資材の開発などを行ったりする。
【0019】
情報処理装置20は、情報処理装置10が保有するライブラリに対し、既存資材の改良のため、又は新資材の開発等のため、資材に関する機能のリクエストを送ったり、リクエスト結果を画面に表示したりしてもよい。
【0020】
<ライブラリの因子項目例>
ここで、ライブラリに含まれる原体に対する因子項目の解析内容について説明する。
図2は、本開示における資材の各因子項目情報(その1)の一例を示す図である。
図2に示す資材の各因子項目情報は、実験室において測定又は解析可能な各因子項目を含む。また、因子項目は、目的(大項目)、種別(中項目)、測定/解析(小項目)に分類され、評価方法が関連付けられる。
【0021】
図2に示す例では、大項目「目的」が「収量」の場合、中項目は「表現型:高温」、「表現型:平時」を含む。また、中項目の「表現型:高温」及び「表現型:平時」は、小項目「地上部重量」、「地上部長」、「総バイオマス量」、「根重量比率」、「根部重量」を含み、各小項目の解析値又は測定値は情報処理装置10のメモリに記憶される。「収量」に関する因子項目の評価方法は、例えば、コントロールとの比較値(比率)を含む。また、「地上部重量」及び「根部重量」は、例えば微量天秤を用いて実測により測定され、「地上部長」は例えば定規を用いて実測され、「総バイオマス量」及び「根重量比率」は、計算により求められ得る。
【0022】
なお、表現型は、ストレス試験ごとに、小項目を試験、評価してもよい。例えば、中項目の「表現型:浸透圧」、「表現型:酸化」、「表現型:乾燥」、「表現型:傷害」、「表現型:病害虫」、及び「表現型:要素」ごとに、小項目が試験、評価されてもよい。
【0023】
大項目「目的」が「ストレス」の場合、中項目は「発現した遺伝子」を含む。中項目の「発現した遺伝子」は、「浸透圧ストレス応答」、「病害虫ストレス応答」、「高温ストレス応答」、「要素ストレス応答」、「乾燥ストレス応答」、「傷害ストレス応答」、「酸化ストレス応答」を含み、各小項目は例えばオミクス解析により解析値が得られ、情報処理装置10のメモリに記憶される。「ストレス」に関する因子項目の評価方法は、例えば、該当数や「P-Valueによる加重平均」を含む。また、「発現した遺伝子」にかかる小項目(解析値)は、例えば遺伝子発現解析により取得され得る。
【0024】
大項目「目的」が「刺激応答」の場合、中項目は「植物ホルモン解析:根」、「植物ホルモン解析:葉」を含む。中項目の「植物ホルモン解析:根」及び「植物ホルモン解析:葉」は、「サリチル酸」、「オーキシン」、「ジベレリン(GA1)」、「ジベレリン(GA4)」、「アブシジン酸」、「サイトカイニン(tZ)」、「エチレン」、「ジャスモン酸」、「ストリゴラクトン」、「ブラシノステロイド」、「フロリゲン」を含み、各小項目の解析値又は測定値はメモリ130に記憶される。「刺激応答」に関する因子項目の評価方法は、例えば、解析による測定値を含む。「植物ホルモン解析」にかかる小項目(解析値又は測定値)は、例えばホルモン解析により取得され得る。
【0025】
大項目「目的」が「栄養吸収」の場合、中項目は「元素」を含む。中項目の「元素」は、「N」、「P」、・・・「Mn」などを含み、各小項目の解析値又は測定値は情報処理装置10のメモリに記憶される。「栄養吸収」に関する因子項目の評価方法は、例えば、コントロールとの比較値(比率)を含む。「元素」にかかる小項目(解析値又は測定値)は、元素解析により取得され得る。
【0026】
図3は、本開示における資材の各因子項目情報(その2)の一例を示す図である。
図3に示す各因子項目情報は、実圃場の試験において測定又は解析可能な各因子項目を含む。
図3に示す例では、大項目「目的」が「土壌改善」の場合、中項目は「土壌化学性解析」、「土壌物理性解析」、「土壌菌叢解析」を含む。
【0027】
中項目の「土壌化学性解析」は、小項目「N」、「P」、「K」、「その他微量元素」を含む。中項目の「土壌物理性解析」は、小項目「水分量」、「pH」、「EC(電気伝導度)」、「通気性」、「硬さ」を含む。中項目の「土壌菌叢解析」は、小項目「菌種別(多様性)」、「菌含有比率」を含む。各小項目の解析値又は測定値は情報処理装置10のメモリに記憶される。「土壌改善」に関する因子項目の評価方法は、例えば、前年度比較又は対象圃場の比較を含む。また、「土壌化学性解析」にかかる小項目は、サンプル採取による土壌解析により取得され、「土壌物理性解析」にかかる小項目は、各センサによる土壌分析により取得され、「土壌菌叢解析」にかかる小項目は、サンプル採取による土壌養分分析により取得され得る。
【0028】
大項目「目的」が「安定生産」の場合、中項目は「各種ストレス耐性」、「表現型」を含む。中項目の「各種ストレス耐性」は、小項目「病害耐性」、「高温耐性」、「乾燥耐性」、「塩害耐性」を含む。中項目の「表現型」は、小項目「収量」を含む。各小項目の解析値又は測定値は情報処理装置10のメモリに記憶される。「安定生産」に関する因子項目の評価方法は、例えば、前年度比較を含む。また、「各種ストレス耐性」にかかる小項目(測定値)は、観測、産地の栽培歴データを用いて取得され得る。「表現型」にかかる小項目(測定値)は、収穫量、産地の栽培歴データを用いて取得され得る。
【0029】
大項目「目的」が「収益性」の場合、中項目は「代謝物分析」を含む。中項目の「代謝物分析」は、小項目「糖度」、「機能性成分」、「アミノ酸」、「ビタミン」、「有機酸」、「苦味」を含む。各小項目の解析値又は測定値は情報処理装置10のメモリに記憶される。「収益性」に関する因子項目の評価方法は、例えば、コントロールとの比較値(比率)を含む。また、「代謝物分析」にかかる小項目(解析値又は測定値)は、代謝物分析により取得され得る。
【0030】
<重み付け、評価値の算出例>
情報処理装置10は、非生物的ストレスに対する耐性を高める作用を有する資材(例、BS)を与えられた植物から、この植物の生物刺激の因子に関する1又は複数の因子項目(
図2及び
図3等)の測定値又は解析値を取得する。例えば、情報処理装置10は、解析装置等により、各因子項目のデータを測定又は解析する処理が行われ、この処理で求められた測定値又は解析値を、ネットワーク通信インタフェース120を介して取得してもよい。また、実際に植物を測定するなどして求められる因子項目の場合、ユーザインタフェース150を介して、ユーザ等により測定値が入力されることで、情報処理装置10は、入力された測定値を取得してもよい。
【0031】
情報処理装置10は、取得された各因子項目の各測定値に対し、各重みを用いて重み付けする。例えば、各因子項目に対して優先度に基づき重みが設定される。優先度は、例えば、BSの収量への影響の度合い、植物の成長や刺激としての影響の度合い、植物生理の作用する順序などに基づいて、各因子項目に重みが付与される。
【0032】
ここで、重み付けについて、重み設定手順の一例について説明する。
1.資材が収量に与える影響の度合い、植物の成長や刺激に対する影響の度合い、植物生理の作用する順序等から、大項目の因子項目の優先度を決定する。
2.同一の大項目内の中項目(カテゴリA)を優先度順に並べる。
3.同一の中項目内の小項目(カテゴリB)を優先度順に並べる。
4.中項目に重みを設定する。
中項目の中で、最も優先度が高い項目を基準点として、他の中項目の相対的な重みを決定する。基準点が最も大きい数値とする。
5.小項目に重みを設定する。
小項目の中で、最も優先度が高い項目を基準点として、他の小項目の相対的な重みを決定する。基準点が最も大きい数値とする。
上述した重み設定は一例であって、この例に限られない。
【0033】
情報処理装置10は、各重みが重み付けされた各測定値又は各解析値を、BSなどの資材の評価に関する関数に入力して資材の評価値を算出する。例えば、情報処理装置10は、重み付けされた各測定値又は各解析値の総和を資材の評価値Eとして求めてもよい(式1)。
E=Σwi×si ・・・式1
i:因子項目
wi:因子項目iの重み
si:因子項目iの測定値又は各解析値
【0034】
また、情報処理装置10は、例えば、資材に対する各因子項目の測定値又は解析値のデータが所定値以上集まった場合には、各因子項目の測定値又は解析値を入力して評価値を予測する機械学習モデルを用いて、評価値を求めるようにしてもよい。一例として、算出部115は、各因子項目の測定値又は解析値とアノテーションされた評価値とを含む訓練データを用いて教師あり学習を行った学習済みモデルを用いることで、評価値を算出するようにしてもよい。また、情報処理装置10は、評価値の一例として標準偏差を算出してもよい。
【0035】
情報処理装置10は、上述のような評価値算出の際に、資材に含まれる、又は含まれ得る原体が有する各機能を取得することができる。例えば、アミノ酸の各原体(例、プロリン、グリシンなど)に対し、発現した遺伝子及び/又はその遺伝子の発現量と、各機能(例、高温ストレス、低温ストレス、浸透圧ストレス、障害ストレス、乾燥ストレス、酸化ストレス、病害虫ストレス、要素ストレスなど)とがライブラリに関連付けられる。具体例としては、ライブラリには、原体Aに、高温ストレス機能がある遺伝子aとその発現量a1、病害虫ストレス機能がある遺伝子bとその発現量b1などが関連付けられる。
【0036】
また、ライブラリには、BSが関連付けられてもよく、BSの1又は複数の原体と、そのBSが有する機能、その機能の要因となる効果因子、効果因子に関する指標、及び/又はBSの評価値が関連付けられてもよい。
【0037】
図4は、本開示におけるライブラリの一例を示す図である。
図4に示す例では、原体ごとに(M1,M2,M3,…)、各機能(ストレスA,ストレスB,ストレスC,…)を有する効果因子、例えば遺伝子発現解析結果に基づく遺伝子発現、元素解析による因子(機能の要因となる元素)、植物ホルモン解析による因子(機能の要因となるホルモン)が関連付けられる。また、各効果因子には、各因子に関する指標、例えば、遺伝子発現量などが関連付けられてもよい。また、各原体は、発揮しない機能があるため、空欄となる機能があってもよい。
【0038】
ライブラリの具体例として、アミノ酸のプロリン(例えば原体M1)は、高温ストレス機能(例えばストレスA)に対応する遺伝子Hsp101(例えばGA1)とその発現量(N1)を有し、病害虫ストレス機能(例えばストレスC)に対応する遺伝子EIN2(例えばGC1)とその発現量(N9)を有することなどがライブラリに登録される。また、解析が進むにつれて、各原体に対し、遺伝子発現解析により発現した遺伝子、ホルモン解析により効果が確認された植物ホルモン、元素解析により効果が確認された元素が、対応する機能の欄に登録される。また、発現した遺伝子がライブラリに登録される場合、遺伝子発現量が因子に関する指標として登録されてもよい。
【0039】
また、ライブラリには、
図2及び3の解析が行われ、評価値が算出された所定BSが登録されてもよい。例えば、ライブラリに含まれる原体Mn~Mmが所定資材に含まれる原体とし、各原体には、発揮される機能と、その効果因子とが関連付けられてもよい。
【0040】
なお、評価値算出は、情報処理装置10ではなく、他の情報処理装置が行い、情報処理装置10は、他の情報処理装置からライブラリを取得したり、原体ごとの機能や因子を取得してライブラリを構築したりしてもよい。
【0041】
<構成>
図5は、本開示の一実施形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示す図である。
図6は、本開示の一実施形態に係る情報処理装置20の構成の一例を示す図である。以下では、ライブラリの利用方法を例にして、各装置の処理について説明する。
【0042】
情報処理装置10は、1つ又は複数のプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)110、1つ又は複数のネットワーク通信インタフェース120、メモリ130、ユーザインタフェース150及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス170を含む。
【0043】
ユーザインタフェース150は、ディスプレイ、及び入力装置(キーボード及び/又はマウス、又は他の何らかのポインティングデバイス等)を含むが、必ずしも情報処理装置10に設けられる必要はなく、設けられる場合は外部装置として接続されてもよい。
【0044】
メモリ130は、例えば、DRAM、SRAM、他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ(主記憶装置)である。また、メモリ130は、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ(補助記憶装置)でもよい。
【0045】
また、メモリ130は、プログラム等を記憶した、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体でもよい。また、メモリ130は、主記憶装置(メモリ)又は補助記憶装置(ストレージ)のいずれかでもよく、あるいは両方を備えてもよい。
【0046】
また、メモリ130の他の例として、プロセッサ110から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置でもよい。ある実施形態において、メモリ130はプロセッサ110により実行されるプログラム、モジュール及びデータ構造、又はそれらのサブセットを格納する。
【0047】
メモリ130は、情報処理システム1により用いられるデータを記憶する。例えば、メモリ130は、資材に関する情報や、植物の生物刺激の因子に関する1又は複数の因子項目や、各因子項目の測定値や、資材を評価するのに用いる関数や、各資材の評価値や、資材に含まれる、又は含まれ得る原体の各機能をまとめたライブラリなどの情報を記憶する。なお、メモリ130は、他の情報処理装置から取得したライブラリのみを記憶してもよい。
【0048】
プロセッサ110は、メモリ130に記憶されるプログラムを実行することで、制御部112、第1取得部113、第2取得部114、抽出部115、決定部116、出力部117、推定部118を構成する。
【0049】
制御部112は、ライブラリを用いて資材を改良又は開発等する処理を制御する。制御部112は、第1取得部113、第2取得部114、抽出部115、決定部116、出力部117、推定部118の処理を制御する。
【0050】
第1取得部113は、非生物的ストレスに対する耐性を高める作用を有する資材又は原体の中の所定資材又は所定原体の第1機能に関する第1要求を取得する。例えば、第1取得部113は、既存資材又はある原体の第1機能(例、病害虫ストレス機能)が指定され、指定された第1機能に対する第1要求を情報処理装置20又はユーザインタフェース150から取得してもよい。
図4に記載のライブラリを例に用いると、第1取得部113は、情報処理装置20又はユーザインタフェース150からストレスBに対する第1要求を取得してもよい。
【0051】
また、第1取得部113は、既存資材又はある原体が指定され、指定された既存資材又はある原体を情報処理装置20又はユーザインタフェース150から取得し、既存資材又はある原体が有する第1機能を特定し、特定された第1機能に対する第1要求を取得してもよい。
図4に記載のライブラリを例に用いると、第1取得部113は、情報処理装置20又はユーザインタフェース150から原体M2を取得し、原体M2からストレスBを特定し、ストレスBに対する第1要求を取得してもよい。
【0052】
第2取得部114は、第1要求により特定される第1機能に基づく第2機能に関する第2要求を取得する。例えば、第2取得部114は、第1要求により特定される第1機能(例、浸透圧ストレス機能)と同じ機能、又は異なる機能のいずれかに関する第2要求を取得する。第1機能と同じ機能か、異なる機能かは事前に設定されていてもよい。
図4に記載のライブラリを例に用いると、第2取得部114は、ストレスB(第1機能)と同じ機能(ストレスB)又は異なる機能(例、ストレスA)に対する第2要求を取得する。また、第2機能は、複数の機能(例、ストレスA及びストレスC)が含まれてもよい。
【0053】
抽出部115は、資材又は原体ごとに各機能の有無を関連付ける管理情報(ライブラリ)から、第2要求に応える1又は複数の原体を抽出する。例えば、抽出部115は、第2要求により特定される第2機能を有する原体をライブラリから抽出する。
図4に記載のライブラリを例に用いると、抽出部115は、ストレスA(第2機能)を有する原体M1とM4とを抽出してもよい。また、抽出部115は、第2要求により特定される機能が複数ある場合は、全ての機能を有する原体、及び/又は少なくとも1つの機能を有する各原体を抽出してもよい。抽出される1又は複数の原体は、いずれの機能を有するかが識別可能であるとよい。
【0054】
決定部116は、抽出部115により抽出された1又は複数の原体の中から少なくとも1つの原体を選択する。例えば、決定部116は、少なくとも1つの原体について、ユーザ操作に基づいて選択してもよいし、効果因子に関する指標に基づいて選択してもよい。ユーザ操作に基づく場合、決定部116は、抽出された1又は複数の原体のリストを情報処理装置20に出力させ、情報処理装置20から選択された少なくとも1つの原体を取得してもよい。また、効果因子に関する指標に基づく場合、決定部116は、効果が高そうな順の上位所定数(少なくとも1つ以上)の原体を選択してもよい。
図4に記載のライブラリを例に用いると、決定部116は、効果因子GA1の指標N1と効果因子GA4の指標N4とを比較し、例えば効果が高そうなGA4を有する原体M4を選択してもよい。決定部116は、選択された原体と、所定資材又は所定原体との組み合わせを決定する。
【0055】
出力部117は、決定部116により決定された組み合わせ、すなわち、選択された原体と、所定資材又は所定原体との組み合わせを出力する。例えば、出力部117は、決定された組み合わせを、第1要求を出力した情報処理装置20に出力する。
図4に記載のライブラリを例に用いると、出力部117は、第2機能(ストレスA)を有する原体M4と、第1機能(ストレスB)を有する原体M2との組み合わせを出力する。この組み合わせは、新資材(新BS)になり得るもの、又はM2が既存資材の場合、既存資材を改良するものになり得る。また、出力部117は、組み合わせに含まれる原体が有する1又は複数の機能を、原体の組み合わせとともに出力してもよい。
【0056】
以上の処理により、資材の解析結果を有効に活用する新たな仕組みを提供することができる。例えば、資材の解析結果に基づき、資材に含まれる、又は含まれ得る原体ごとに、各機能の有無がまとめられたライブラリを構築することで、ライブラリを利用して所望の機能を組み合わせた新資材の開発、既存資材の改良などを行うことが可能になる。
【0057】
また、第1取得部113は、ライブラリ(管理情報の例)に含まれる1又は複数の原体の1又は複数の機能の中から特定される第1機能に関する第1要求を取得することを含んでもよい。例えば、
図4に記載のライブラリを例に用いれば、第1取得部113は、原体M1が指定されると原体M1が有する機能(ストレスA及びストレスC)に関する第1要求を取得する。第1要求は、両方の機能(ストレスA及びストレスC)を第1要求に含めてもよいし、より効果が高い機能(ストレスA及びストレスCの一方)を第1要求に含めてもよい。第1取得部113は、効果が高いか否かについて、効果因子に関する指標(測定値又は解析値)を用いて判断してもよい。また、複数の機能がある場合は、ユーザに1つの機能を選択させてもよい。
【0058】
以上の処理により、情報処理システム1は、資材に含まれる又は含まれ得る原体を指定することを許容し、原体を基点にして、ユーザ所望の機能を有する原体の組み合わせの新資材の開発を支援することが可能になる。
【0059】
また、上述したとおり、第2機能は、第1機能と同じ機能又は第1機能と異なる機能のいずれかが選択されて特定されてもよい。例えば、第2機能は、デフォルト設定により、第1機能と同じ機能又は第1機能と異なる機能のいずれかが第2取得部114により選択されて特定されてもよいし、ユーザ選択により、第1機能と同じ機能又は第1機能と異なる機能のいずれかが選択されて第2取得部114により特定されてもよい。
【0060】
以上の処理により、第1機能と第2機能が同じ機能の場合は、この機能を強化する資材を提案することが可能になり、第1機能と第2機能が異なる機能の場合は、所望の機能を組み合わせる新たな資材を提案することが可能になる。
【0061】
また、上述のとおり、管理情報(ライブラリ)は、原体ごとに、資材の解析結果により特定される効果因子と効果因子に関する指標とが関連付けられてもよい。例えば、ライブラリには、遺伝子発現解析により取得される発現した遺伝子、及びその遺伝子の発現量、元素解析により解析された元素、及びその元素の解析値(コントロールとの比較値)、並びに、ホルモン解析により解析されたホルモン、及びそのホルモンの解析値が関連付けられてもよい。
【0062】
これにより、例えば、同じ機能を有する複数の効果因子が存在する場合、効果因子に関する指標に基づいて原体の選択を行うことが可能になる。
【0063】
また、上述のとおり、効果因子は、遺伝子発現解析結果による遺伝子発現、元素解析による因子、植物ホルモン解析による因子の少なくとも1つを含んでもよい。また、土壌化学性解析や代謝物解析などにより得られる因子が効果因子に含まれてもよい。
【0064】
これにより、様々な解析結果をライブラリに含めることが可能になり、様々な因子に基づいて、原体の組み合わせ、又は組み合わせの候補を選択することが可能になる。
【0065】
また、推定部118は、資材の評価関数を用いて、原体を組み合わせた資材の評価値を推定する。例えば、推定部118は、組み合わされた原体が有する各効果因子の各指標(測定値又は解析値)を、上述の式(1)に代入して評価値の推定値を算出してもよい。
【0066】
以上の処理により、各原体を組み合わせた場合の資材の効果について、評価値の推定値を用いて予測することが可能になる。また、推定部118は、この推定値を用いることで、新資材や改良資材の効果に基づくランクを予測することが可能になる。
【0067】
また、出力部117は、推定部118により推定された評価値を用いて、各原体の組み合わせをレコメンドすることを含んでもよい。例えば、出力部117は、複数の組み合わせがある場合に、各組み合わせの各評価値の推定値を用いて、評価が一番高い組み合わせをレコメンドするようにしてもよい。
【0068】
以上の処理により、組み合わせが複数ある場合でも、評価値の推定値に基づくことで、最適と推定される組み合わせを自動で選択することが可能になり、レコメンド機能の信頼性を向上させることが可能になる。
【0069】
図6は、開示の一実施形態に係る情報処理装置20の一例を示す図である。情報処理装置20は、1つ又は複数のプロセッサ(例、CPU)210、1つ又は複数のネットワーク通信インタフェース220、メモリ230、ユーザインタフェース250、及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス270を含む。
【0070】
ユーザインタフェース250は、ディスプレイ、及び入力装置(キーボード及び/又はマウス、又は他の何らかのポインティングデバイス等)を含む。
【0071】
メモリ230は、例えば、DRAM、SRAM、他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ(主記憶装置)である。また、メモリ230は、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ(補助記憶装置)でもよい。また、メモリ230は、プログラム等を記憶した、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体でもよい。また、メモリ230は、主記憶装置(メモリ)又は補助記憶装置(ストレージ)のいずれかでもよく、あるいは両方を備えてもよい。
【0072】
メモリ230は、情報処理システム1により用いられるデータやプログラムを記憶する。例えば、メモリ230は、情報処理システム1における携帯端末用のアプリケーションプログラムなどを記憶する。
【0073】
プロセッサ210は、メモリ230に記憶されるプログラムを実行することで、資材に関するリクエスト等をクライアント側で制御する制御部212を構成する。例えば、制御部212は、ウェブブラウザ又は資材に関するリクエスト等を行うアプリケーションなどを含む。
【0074】
ウェブブラウザは、情報処理装置10により提供される既存資材の改良又は新資材の開発又は提案を行うプラットフォーム(ライブラリ活用プラットフォーム)のウェブページの閲覧を可能にする。ウェブブラウザは、適宜ウェブページの表示、遷移をし、情報の提供、データの送受信等を行う。例えば、ウェブブラウザは、ウェブページを用いて、ユーザにより設定又は入力されたリクエストを情報処理装置10に送信する。送信される情報は、例えば、所定資材、所定原体、又は所定機能を含む第1要求などの情報である。
【0075】
また、制御部212は、インストールされたクライアント用のアプリケーションの実行により、ライブラリ活用プラットフォームが提供する機能の実行を可能にしてもよい。制御部212は、本開示のライブラリ活用に関する処理をクライアント側で実行するため、通信制御部213、操作制御部214、表示制御部215を有する。
【0076】
通信制御部213は、情報処理装置10に対し、ユーザにより指定された所定資材、所定原体、又は第1機能に対する第1要求などを出力する。また、通信制御部213は、情報処理装置10から送信される各原体の組み合わせ結果等を取得する。
【0077】
操作制御部214は、各画面に表示されたUI部品やキー入力に対するユーザの操作を受け付け、操作情報を情報処理装置20のアプリケーションに伝達したり、情報処理装置10に向けて出力したりする。例えば、操作制御部214は、上述の第1要求を受け付け、この第1要求を情報処理装置10に向けて出力したりする。
【0078】
表示制御部215は、通信制御部213により取得された各画面情報に基づいて、ライブラリ活用プラットフォームに関する各画面をディスプレイ251に表示するよう制御する。例えば、表示制御部215は、第1要求画面や、組み合わせ結果画面などを表示制御する。
【0079】
<処理手順>
次に、情報処理システム1の各処理について説明する。
図7は、本開示の一実施形態に係る情報処理装置10の処理の一例を示すフローチャートである。
【0080】
ステップS102において、情報処理装置10の制御部112は、組み合わせの種類を取得する。組み合わせの種類とは、原体を組み合わせるための機能の種類を示し、制御部112は、同じ機能なのか、異なる機能なのかを示す設定値を取得する。なお、この設定値は、デフォルトでいずれかに設定されていてもよいし、ユーザにより選択されて設定されてもよい。また、このステップS102は、後述のステップS104の後に実行されてもよい。
【0081】
ステップS104において、情報処理装置10の第1取得部113は、非生物的ストレスに対する耐性を高める作用を有する資材又は原体の中の所定資材又は所定原体の第1機能に関する第1要求を取得する。
【0082】
ステップS106において、情報処理装置10の第2取得部114は、第1要求により特定される第1機能に基づく第2機能に関する第2要求を取得する。
【0083】
ステップS108において、情報処理装置10の抽出部115は、資材又は原体ごとに各機能の有無を関連付ける管理情報(ライブラリ)から、第2要求に応える1又は複数の原体を抽出する。
【0084】
ステップS110において、情報処理装置10の決定部116は、抽出部115により抽出された1又は複数の原体のリストの中から、少なくとも1つの原体を選択し、選択した原体と、所定資材又は所定原体との組み合わせを決定する。
【0085】
ステップS112において、情報処理装置10の出力部117は、決定部116により決定された組み合わせ、すなわち選択された原体と、所定資材又は所定原体との組み合わせを出力する。出力先は、例えば、第1要求を送信した情報処理装置20又は情報処理装置10のディスプレイである。
【0086】
次に、上述したステップS104~S110の各処理は、下記に示すとおり3パターンあるため、順に説明する。第1パターンがユーザ指定を受け付ける第1処理(
図8)、第2パターンが半自動で処理する第2処理(
図9)、第3パターンが自動で処理する第3処理(
図10)である。
【0087】
図8は、本開示の一実施形態における第1処理の一例を示すフローチャートである。
図8に示すステップS202において、第1取得部113は、ユーザから対象機能(第1機能)の指定を受け付け、第1機能に対する第1要求を取得する。ユーザは、情報処理装置10を利用するユーザでもよいし、情報処理装置20を利用するユーザでもよい。
【0088】
ステップS204において、第2取得部114は、第1要求により特定される対象機能と異なる機能又は同じ機能を、ステップ102の設定値により特定し、特定した機能(第2機能)に対する第2要求を取得する。
【0089】
ステップS206において、抽出部115は、ライブラリを参照し、第2要求に応える1又は複数の原体を抽出する。例えば、抽出部115は、第2要求により特定される第2機能を有する原体を抽出し、リスト化してディスプレイ等に表示する。出力先のディスプレイは、情報処理装置10のディスプレイでもよいし、情報処理装置20のディスプレイでもよい。
【0090】
ステップS208において、決定部116は、抽出リストの中から、ユーザ所望の原体の指定を受け付け、受け付けられた原体を選択し、選択された原体と、所定資材又は所定原体との組み合わせを決定する。
【0091】
以上の処理により、ユーザが所望する機能を有する資材を、ユーザが情報処理システム1を利用しながら特定することが可能になる。
【0092】
図9は、本開示の一実施形態における第2処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示すステップS302とS304は、
図8に示すステップS202とS204と同様であるため、説明を省略する。
【0093】
ステップS306において、決定部116は、抽出部115により抽出されたリストの中から、組み合わせを自動で決定し、組み合わせた資材の候補の一覧をディスプレイに表示する。このとき、決定部116は、推定部118により推定された評価値を用いて、評価値が高い順に組み合わせを表示するようにしてもよい。
【0094】
ステップS308において、決定部116は、組み合わせ候補の中から、ユーザ操作に基づき、ユーザ所望の組み合わせを受け付け、受け付けられた組み合わせを最終的な組み合わせとして決定する。
【0095】
以上の処理により、組み合わせの候補生成を自動化することができ、ユーザの選択の手間を省くことができる。また、評価値の推定値を用いることで、ユーザは、客観的な指標を用いて組み合わせ候補の選択が可能になる。
【0096】
図10は、本開示の一実施形態における第3処理の一例を示すフローチャートである。
図10に示すステップS404とS406は、
図9に示すステップS304(
図8に示すステップS204)とS306と同様であるため、説明を省略する。
【0097】
ステップS402において、第1取得部113は、対象機能(第1機能)を自動で選択し、第1機能に対する第1要求を取得する。例えば、第1取得部113は、ライブラリに登録されている原体又は既存資材の機能を、所定のタイミング(例えば月1回など)で順に選択したりする。
【0098】
ステップS408において、決定部116は、組み合わせ候補の中から、ユーザ所望の組み合わせを受け付け、受け付けられた組み合わせを最終的な組み合わせとして決定する。なお、決定部116は、推定部118により推定された評価値を用いて、自動で最適と予測される組み合わせを決定してもよい。
【0099】
以上の処理により、対象機能の選択、組み合わせの候補生成までを自動化することができ、あるいは、組み合わせの決定までを自動化することができ、ユーザの選択の手間を省くことができる。
【0100】
以上、本開示の一実施形態について詳述したが、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。例えば、本開示は、各情報処理装置10、20が実行する処理について、一部の処理を、他の情報処理装置に移行したり、複数の情報処理装置を適宜統合したりしてもよく、一つの装置で全ての処理を実行してもよい。また、各情報処理装置10、20は、一つの組織により管理されてもよく、それぞれ異なる組織に管理されてもよい。
【0101】
例えば、決定部116は、原体の組み合わせについて、評価値算出用に効果因子に関連付けられた優先度又は重みを用いて、優先度の高い又は重みが大きい効果因子を有する原体を優先的に組み合わせるようにしてもよい。また、上述したように、
図4に示す例のライブラリは、資材に含まれ得る各原体のデータと、情報処理装置10により要求に応じて検索される原体が有し得る機能項目と、情報処理装置10により各機能の効果が比較される因子項目とを含むデータ構造を有し、原体は、情報処理装置10により因子項目に基づいて選択され、資材の候補として1又は複数が組み合わされる。また、上述したように、因子項目には、因子項目に関する指標が関連づけられてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…情報処理システム、10、20…情報処理装置、110…プロセッサ、112…制御部、113…第1取得部、114…第2取得部、115…抽出部、116…決定部、117…出力部、118…推定部、130…メモリ、210…プロセッサ、230…メモリ、212…制御部、213…通信制御部、214…操作制御部、215…表示制御部
【要約】
【課題】資材の解析結果を有効に活用する新たな仕組みを提供する。
【解決手段】情報処理方法は、情報処理装置が、非生物的ストレスに対する耐性を高める作用を有する資材又は原体の中の所定資材又は所定原体の第1機能に関する第1要求を取得すること、第1要求により特定される第1機能に基づく第2機能に関する第2要求を取得すること、資材又は原体ごとに各機能の有無を関連付ける管理情報から、第2要求に応える1又は複数の原体を抽出すること、抽出された1又は複数の原体の中から選択される原体と、所定資材又は所定原体との組み合わせを出力すること、を実行する。
【選択図】
図7