(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 40/166 20200101AFI20240227BHJP
G06Q 50/18 20120101ALI20240227BHJP
【FI】
G06F40/166
G06Q50/18 310
(21)【出願番号】P 2023106762
(22)【出願日】2023-06-29
(62)【分割の表示】P 2023104173の分割
【原出願日】2023-06-26
【審査請求日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2023093691
(32)【優先日】2023-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519363649
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】奥村 光平
【審査官】木村 大吾
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2021-0013992(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0238987(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106155989(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00-40/58
G06Q 10/00-99/00
G06F 3/01
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムであって、
少なくとも一つのコンピュータに、次の各ステップを実行させ、
受付ステップでは、入力画面に対するユーザの入力を受け付け、ここで
前記入力は、複数の請求項の内容の記載と、前記請求項それぞれの階層関係
を識別する識別情報とを含み、
前記
入力には、前記請求項それぞれの、項番を示す請求項番号も引用先に関する説明も含まれず
、
出力ステップでは、前記ユーザによる、第1のオブジェクトに対する操作を受け付けた場合に、前記記載と前記
識別情報とに基づいて、前記請求項それぞれに対する、前記請求項番号と前記引用先に関する説明とを含む、特許請求の範囲、請求の範囲又は実用新案登録請求の範囲のドラフトファイルを出力する、プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
さらに、特定ステップでは、
前記
識別情報に基づいて、前記引用先を有する前記請求項である第1の請求項の、一つ上の階層にある第2の請求項のうち、前記第1の請求項よりも前にあり且つ前記第1の請求項と最も近い位置にある特定請求項を特定し、
前記特定請求項から前記第1の請求項の直前の前記請求項まで(ただし、前記直前の前記請求項が前記特定請求項の場合は、前記特定請求項のみ)を、前記引用先として特定する、プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載のプログラムにおいて、
前記出力ステップでは、特定された前記引用先が複数ある場合、前記特定請求項のみを前記引用先として前記ドラフトファイルを出力する、プログラム。
【請求項4】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記請求項それぞれのカテゴリを示す情報をカテゴリ情報と定義すると、前記引用先を有しない独立請求項の前記記載には、前記カテゴリ情報が含まれ、
さらに、管理ステップでは、
前記請求項それぞれの前記カテゴリ情報を管理し、
前記請求項が前記引用先を有する従属請求項であり且つその記載に前記カテゴリ情報が含まれない場合には、前記従属請求項が直接的に又は間接的に引用する前記独立請求項の前記カテゴリ情報を、前記従属請求項の前記カテゴリ情報として管理する、プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムにおいて、
前記請求項が前記従属請求項であり且つその記載に第1のカテゴリ情報が含まれ、さらに、前記第1のカテゴリ情報が、前記従属請求項が直接的に又は間接的に引用する前記独立請求項の第2のカテゴリ情報と異なる場合には、
前記出力ステップでは、前記第2のカテゴリ情報を有する前記請求項のすべてを前記引用先として、前記ドラフトファイルを出力する、プログラム。
【請求項6】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記請求項において、前記引用先に関する説明を前方に記載するか後方に記載するかは、前記ユーザの指示により決定される、プログラム。
【請求項7】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
さらに、変更ステップでは、前記ユーザによる所定の操作指示に応じて、前記入力画面に反映され
た請求項全体
の階層構造を変更する、プログラム。
【請求項8】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記
識別情報は、
前記請求項それぞれに対応する階層構造における階層レベル
を表す階層レベル識別子
を含む、プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムにおいて、
前記階層レベル識別子は、前記記載に対するインデントである、プログラム。
【請求項10】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記入力画面には、複数の領域が表形式で表示され、ここで、前記領域は、前記ユーザの前記入力を受け付けるように構成され
、
前記識別情報は、前記入力を受け付けた複数の前記領域の位置関係
を含む、プログラム。
【請求項11】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記入力画面には、複数の領域が木構造を含む形式で表示され、ここで、前記領域は、前記ユーザの前記入力を受け付けるように構成され
、
前記識別情報は、前記入力を受け付けた複数の前記領域の位置関係
を含む、プログラム。
【請求項12】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記入力画面には、
前記請求項それぞれに対応する階層構造における階層レベルを選択するための第2のオブジェクトを含み、
さらに、表示制御ステップでは、前記ユーザによる前記第2のオブジェクトの選択指示を受け付けた場合に
、前記入力画面を更新して表示させ
、前記入力画面には、前記選択指示に基づく前記識別情報を含む領域であって、前記記載を受け付ける前記領域が追加されている、プログラム。
【請求項13】
情報処理システムであって、
少なくとも一つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、請求項1~請求項12の何れか一つに記載のプログラムの各ステップがなされるように、前記プログラムを実行するように構成される、システム。
【請求項14】
情報処理方法であって、
請求項1~請求項12の何れか一つに記載のプログラムの各ステップを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本発明は、特許請求の範囲の分析方法及びその装置に関するもので、一実施例によれば、(a)特許文献の請求の範囲に記載された請求項を独立項と従属項に区分する段階、(b)上記独立項と上記従属項を、引用項と上記引用項の被引用項に区分して引用関係を分析する段階、(c)請求項番号及び引用関係により上記独立項及び上記従属項の座標を決定する段階、及び(d)上記(c)段階で決定された上記独立項及び上記従属項の座標によって請求項が配列される段階を含むことができる。本発明による特許請求の範囲の分析方法は、請求の範囲を階層的に構造化することにより、容易に特許請求の範囲を把握することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では上記事情に鑑み、より有益な情報処理システム等を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、プログラムが提供される。このプログラムは、少なくとも一つのコンピュータに、次の各ステップを実行させる。受付ステップでは、入力画面に対するユーザの入力を受け付ける。入力は、複数の請求項の内容の記載と、請求項それぞれの階層関係に関する情報とを含む。記載には、請求項それぞれの、項番を示す請求項番号も引用先に関する説明も含まれず、入力の結果は、請求項全体の階層構造を把握可能に、入力画面に反映される。出力ステップでは、ユーザによる、第1のオブジェクトに対する操作を受け付けた場合に、記載と階層構造とに基づいて、請求項それぞれに対する、請求項番号と引用先に関する説明とを含む、特許請求の範囲、請求の範囲又は実用新案登録請求の範囲のドラフトファイルを出力する。
【0006】
本発明の一つによれば、より有益な情報処理システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】サーバ2のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】情報処理装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】情報処理システム1によって実行される情報処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0009】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0010】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0011】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0012】
1.ハードウェア構成
本節では、ハードウェア構成について説明する。
【0013】
<情報処理システム1>
図1は、情報処理システム1を表す構成図である。情報処理システム1は、サーバ2と、情報処理装置3と、を備える。サーバ2と、情報処理装置3とは、電気通信回線を通じて通信可能に構成されている。情報処理システム1とは、一つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。仮に例えば、サーバ2のみからなる場合であれば、情報処理システム1はサーバ2となり、情報処理装置3のみからなる場合であれば、情報処理システム1は情報処理装置3となりうる。以下、これらの構成要素について説明する。
【0014】
<サーバ2>
図2は、サーバ2のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備え、これらの構成要素がサーバ2の内部において通信バス20を介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0015】
通信部21は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ2は、通信部21及びネットワークを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0016】
記憶部22は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部23によって実行されるサーバ2に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部22は、制御部23によって実行されるサーバ2に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0017】
制御部23は、サーバ2に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部23は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部23は、記憶部22に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、サーバ2に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部23によって具体的に実現されることで、後述の各機能に係る各ステップが実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部23は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部23を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0018】
<情報処理装置3>
図3は、情報処理装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、表示部34と、入力部35とを備え、これらの構成要素が情報処理装置3の内部において通信バス30を介して電気的に接続されている。通信部31、記憶部32及び制御部33の説明は、サーバ2における各部の説明と同様のため省略する。
【0019】
表示部34は、情報処理装置3筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部34は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、情報処理装置3の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0020】
入力部35は、情報処理装置3の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部35は、表示部34と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部35がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バス30を介して制御部33に転送され、制御部33が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0021】
2.サーバ2の機能構成
制御部23は、受付ステップと、出力ステップと、特定ステップと、管理ステップと、変更ステップと、表示制御ステップとを実行するように構成される。特定ステップと、管理ステップと、変更ステップと、表示制御ステップとは、省略してもよい。
【0022】
受付ステップは、入力画面に対するユーザの入力を受け付けるステップである。詳細は後述する。
【0023】
出力ステップは、ユーザによる、第1のオブジェクトに対する操作を受け付けた場合に、記載と階層構造とに基づいて、請求項それぞれに対する、請求項番号と引用先に関する説明とを含む、特許請求の範囲、請求の範囲又は実用新案登録請求の範囲のドラフトファイルを出力するステップである。詳細は後述する。
【0024】
特定ステップは、階層構造において、引用先を有する請求項である第1の請求項の、一つ上の階層にある第2の請求項のうち、第1の請求項よりも前にあり且つ第1の請求項と最も近い位置にある特定請求項を特定するステップである。詳細は後述する。
【0025】
管理ステップは、請求項それぞれのカテゴリ情報を管理し、請求項が引用先を有する従属請求項であり且つその記載にカテゴリ情報が含まれない場合には、従属請求項が直接的に又は間接的に引用する独立請求項のカテゴリ情報を、従属請求項のカテゴリ情報として管理するステップである。詳細は後述する。
【0026】
変更ステップは、ユーザによる所定の操作指示に応じて、入力画面に反映された請求項全体の階層構造を変更するステップである。詳細は後述する。
【0027】
表示制御ステップは、ユーザによる第2のオブジェクトの選択指示を受け付けた場合に、階層構造を把握可能に、入力画面を更新して表示させるステップである。具体的には、表示制御ステップは、画面、静止画又は動画を含む画像、アイコン、メッセージ等の視覚情報を、情報処理装置3の表示部34に表示させるように制御する。表示制御ステップは、情報処理装置3の表示部34に視覚情報を表示させるためのレンダリング情報だけを生成してもよい。詳細は後述する。
【0028】
3.情報処理の流れ
本節では、情報処理システム1が実行する情報処理方法の流れについて説明する。下記に示す通り、情報処理方法は、次の各ステップを備える。本実施形態のプログラムは、情報処理システム1の情報処理方法の各ステップを実行させるプログラムである。なお、処理の順番は適宜入れ替えることができ、複数の処理が同時に実行されてもよいし、一部の処理が省略されてもよい。
【0029】
3.1 条件例示
特許請求の範囲、請求の範囲又は実用新案登録請求の範囲(以下、特許請求の範囲等と記載する)には、請求項ごとに出願人が特許又は実用新案権を受けようとする発明又は考案を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。特許請求の範囲等の作成には、いくつかのルールが定められている。例えば、請求項に区分して、他の請求項を引用して請求項を記録するときは、その請求項は、原則として引用する請求項に続けて記録すること、引用した請求項番号は、「請求項1」のように記録すること等である。しかし、請求項の推敲段階においては、請求項の追加、削除、順序の入れ換え等が発生する。請求項の追加、削除、順番の入れ換え等を行う度に、ユーザが各請求項に記載した、請求項番号や引用先の記載等を修正することが行われている。
【0030】
本実施形態では、ユーザが表示部34の入力画面を介して複数の請求項の内容の記載と、前記請求項それぞれの階層関係に関する情報とを入力すると、制御部23が請求項番号と引用先に関する説明とを含む、特許請求の範囲等のドラフトファイルを出力する情報処理方法を説明する。
【0031】
3.2 流れの概要
【0032】
図4は、情報処理システム1によって実行される情報処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。以下、このアクティビティ図の各アクティビティに沿って、説明するものとする。
【0033】
まず、サーバ2の制御部23は、情報処理装置3の表示部34に、ユーザが視認可能な態様で入力画面を表示させる(アクティビティA101)。
【0034】
次に、制御部23は、表示部34に表示された入力画面を介して、受付ステップとして、ユーザの入力を受け付ける。入力画面に対するユーザの入力は、複数の請求項の内容の記載と、請求項それぞれの階層関係に関する情報とを含む。複数の請求項の内容の記載には、請求項それぞれの、項番を示す請求項番号も引用先に関する説明も含まれない(アクティビティA102)。
【0035】
次に、制御部23は、表示部34の入力画面に、入力の結果を反映する(アクティビティA103)。入力の結果は、請求項全体の階層構造を把握可能に、入力画面に反映される。
【0036】
請求項全体の階層構造とは、複数の請求項の引用関係を示すものである。特許請求の範囲等においては、先に記載された請求項を引用して、限定を加えた従属請求項を設ける。このように、特許請求の範囲等に含まれる複数の請求項の関係は、引用関係により階層的になる。ユーザは、入力画面に反映された、請求項全体の階層構造を確認し、必要に応じて階層構造の変更を指示するための所定の操作を行う。ユーザによる所定の操作指示は、例えば、マウス操作やキーボード操作、タッチ操作、音声による指示により行うことができる。
【0037】
次に、制御部23は、表示部34に表示された入力画面を介して、階層構造に関するユーザの所定の操作を受け付ける(アクティビティA104)。
【0038】
次に、制御部23は、変更ステップとして、ユーザによる所定の操作指示に応じて、入力画面に反映された請求項全体の階層構造を変更してもよい(アクティビティA105)。制御部23は、情報処理装置3の表示部34に表示された入力画面を介して、ユーザから階層構造の変更に関する指示を受け付け、階層構造を変更してもよい。このような態様によれば、ユーザは所定の操作により、請求項全体の階層構造を変更することができる。
【0039】
次に、制御部23は、表示部34に表示された入力画面を介して、ユーザから引用先の記載位置に関する指示を受け付ける(アクティビティA106)。すなわち、制御部23は、引用先の情報を前方に記載するか、後方に記載するかについて、ユーザの指示を受け付ける。換言すると、請求項において、引用先に関する説明を前方に記載するか後方に記載するかは、ユーザの指示により決定されてもよい。このような態様によれば、請求項の前方に引用に関する文字列を含むか、請求項の後方に引用に関する文字列を含むかは、ユーザの選択により決定することができる。
【0040】
次に、制御部23は、表示部34に表示された入力画面を介して、ユーザによる出力ボタンの押下を受け付ける(アクティビティA107)。
【0041】
次に、制御部23は、受け付けた複数の請求項に関する入力に対し、請求項番号を付与する(アクティビティA108)。例えば、入力画面において、記載された位置が上にあるものから順に「請求項1」,「請求項2」,「請求項3」等と請求項番号を付与してもよい。
【0042】
次に、制御部23は、入力画面を介して、受け付けた複数の請求項に関する入力のうち、一つの請求項を取得する(アクティビティA109)。例えば、制御部23は、「請求項1」を取得する。
【0043】
次に、制御部23は、取得した請求項に引用先があるか否かを判定する(アクティビティA110)。例えば、「請求項1」は、引用先がないと判定される。次に、制御部23は、「請求項1」が独立請求項であると特定する(アクティビティA111)。請求項が続く場合は、情報処理がアクティビティA110に戻る。
【0044】
次に、制御部23は、次の請求項である「請求項2」を取得し、次に、制御部23は、「請求項2」に引用先があるか否かを判定する。制御部23が、「請求項2」に引用先があると判定した場合、情報処理をアクティビティA112に進める。
【0045】
次に、制御部23は、「請求項2」の引用先を特定する(アクティビティA112)。制御部23は、所定のルールに基づき、引用先を特定する。例えば、制御部23は、「引用先を有する請求項である第1の請求項の、一つ上の階層にある第2の請求項のうち、第1の請求項よりも前にあり且つ第1の請求項と最も近い位置にある特定請求項を特定する特定請求項から第1の請求項の直前の請求項まで(ただし、直前の請求項が特定請求項の場合は、特定請求項のみ)を、引用先とする」というルールに基づき、引用先を特定する。具体的には、次のように特定する。「請求項2」の一つ上の階層にある請求項であって、「請求項2」よりも前にあり、且つ、「請求項2」に最も近い位置にある請求項は、「請求項1」である。この場合、特定請求項は、「請求項1」である。「請求項1」は、「請求項2」の直前の請求項であるため、制御部23は、「請求項1」のみを「請求項2」の引用先として特定する。
【0046】
換言すると、制御部23は、特定ステップとして、階層構造において、引用先を有する請求項である第1の請求項の、一つ上の階層にある第2の請求項のうち、第1の請求項よりも前にあり且つ第1の請求項と最も近い位置にある特定請求項を特定する。特定請求項から第1の請求項の直前の請求項まで(ただし、直前の請求項が特定請求項の場合は、特定請求項のみ)を、引用先として特定してもよい。
【0047】
次に、制御部23は、「請求項2」がカテゴリ情報を含むか否かを判定する(アクティビティA113)。ここで、請求項それぞれのカテゴリを示す情報をカテゴリ情報と定義する。例えば、制御部23は、カテゴリ情報に関する識別子を有するか否かにより、カテゴリ情報の有無を確認することができる。「請求項2」がカテゴリ情報に関する識別子を有しない場合、制御部23は、「請求項2」にはカテゴリ情報がないと判定し、情報処理をアクティビティA114に進める。
【0048】
次に、制御部23は、「請求項2」のカテゴリ情報を管理する(アクティビティA114)。すなわち、制御部23は、カテゴリ情報を記憶部22における作業メモリに書き出す。「請求項2」が独立請求項である「請求項1」を引用している場合、制御部23は、「請求項1」のカテゴリ情報を、「請求項2」のカテゴリ情報でもあるとして管理する。もしも、直接的に引用している請求項が独立請求項ではない場合には、間接的に引用する独立請求項のカテゴリ情報をその従属請求項のカテゴリ情報として管理してもよい。間接的に引用する独立請求項とは、引用先である上位の請求項を順に辿った際に、最終的に引用されている独立請求項のことを指している。換言すると、制御部23は、管理ステップとして、請求項それぞれのカテゴリ情報を管理してもよい。請求項が引用先を有する従属請求項であり且つその記載にカテゴリ情報が含まれない場合には、従属請求項が直接的に又は間接的に引用する独立請求項のカテゴリ情報を、従属請求項のカテゴリ情報として管理してもよい。
【0049】
次に、制御部23は、当該請求項の内容の記載と、請求項それぞれの階層関係に関する情報とに基づき、請求項番号と引用先に関する説明とを含む、請求項のドラフトを生成する(アクティビティA115)。
【0050】
次に、制御部23は、順々に次の請求項を取得する処理を繰り返す。制御部23が「請求項N」を取得し、アクティビティA113において、「請求項N」がカテゴリ情報を含むと判定した場合、制御部23は、情報処理をアクティビティA116に進める。
【0051】
次に、制御部23は、「請求項N」に含まれるカテゴリ情報が、直接的又は間接的に引用する独立請求項のカテゴリと異なるかを判定する(アクティビティA116)。制御部23は、「請求項N」のカテゴリ情報が引用する独立請求項のカテゴリと異なると判定した場合、情報処理をアクティビティA117に進める。なお、制御部23が、引用する独立請求項のカテゴリと異なるカテゴリ情報を含まないと判定した場合には、情報処理をアクティビティA114に進める。
【0052】
次に、制御部23は、第2のカテゴリ情報と紐づいた全ての請求項を引用先として含み、且つ、第1のカテゴリ情報を有する請求項Nのドラフトを生成する(アクティビティA117)。例えば、第2のカテゴリ情報は、独立請求項である「請求項1」のカテゴリ情報である。「請求項1」~「請求項M」のカテゴリ情報が「情報処理システム」であるとして管理されており、「請求項N」のカテゴリ情報が「情報処理方法」である場合、制御部23は、「情報処理方法であって、請求項1~請求項Mの何れか一つに記載の情報処理システムの各ステップを備える、方法。」のように、第2のカテゴリ情報の一例である「情報処理システム」と紐づいた全ての請求項を引用先として含み、且つ、第1のカテゴリ情報の一例である「情報処理方法」を有する「請求項N」のドラフトを生成する。
【0053】
換言すると、請求項が従属請求項であり且つその記載に第1のカテゴリ情報が含まれ、さらに、第1のカテゴリ情報が、従属請求項が直接的に又は間接的に引用する独立請求項の第2のカテゴリ情報と異なる場合には、制御部23は、出力ステップとして、第2のカテゴリ情報を有する請求項の全てを引用先として、ドラフトファイルを出力してもよい。
【0054】
制御部23が全ての請求項の内容の記載について取得を完了すると、次に、制御部23は、出力ステップとして、複数の請求項の内容の記載と階層構造とに基づいて、請求項それぞれに対する、請求項番号と引用先に関する説明とを含む、特許請求の範囲等のドラフトファイルを出力する(アクティビティA118)。
【0055】
以上をまとめると、プログラムは、少なくとも一つのコンピュータに、次の各ステップを実行させる。受付ステップでは、入力画面に対するユーザの入力を受け付ける。入力は、複数の請求項の内容の記載と、請求項それぞれの階層関係に関する情報とを含む。記載には、請求項それぞれの、項番を示す請求項番号も引用先に関する説明も含まれない。入力の結果は、請求項全体の階層構造を把握可能に、入力画面に反映される。出力ステップでは、ユーザによる、第1のオブジェクトの一例である出力ボタンに対する操作を受け付けた場合に、記載と階層構造とに基づいて、請求項それぞれに対する、請求項番号と引用先に関する説明とを含む、特許請求の範囲、請求の範囲又は実用新案登録請求の範囲のドラフトファイルを出力する。
【0056】
このような態様によれば、ユーザは、複数の請求項の内容の記載と、前記請求項それぞれの階層関係に関する情報とを含む入力を行えば、請求項それぞれの番号も引用先に関する説明も記載しなくても、請求の範囲のドラフトファイルを取得することができる。
【0057】
4.情報処理の詳細
本節では、上記概説した情報処理の詳細について補足する。
【0058】
図5は、入力画面の一例を示す概要図である。入力画面4は、領域41~49と、オブジェクトOb1とを含む。領域41~領域49は、請求項の内容の記載の入力を受け付ける領域である。オブジェクトOb1は、出力ボタンである。領域41~領域49は、請求項の内容の記載と、請求項の階層関係に関する情報とを含む。
【0059】
例えば、領域41における請求項の内容の記載は、「情報処理システムであって、次の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能なプロセッサを備え、〇〇ステップでは、~である、システム。」である。領域42における請求項の内容の記載は、「前記〇〇ステップは、~である。」である。このように、領域42の請求項の内容の記載は、請求項それぞれの、項番を示す請求項番号も引用先に関する説明も含まない。
【0060】
入力画面4において、請求項それぞれの階層関係に関する情報は、隅付き括弧の位置によりユーザから入力指示される。例えば、領域42に記載の請求項が領域41に記載の請求項を引用する場合、ユーザは、領域41の隅付き括弧よりも一つインデントを付与した隅付き括弧を領域42に入力する。このような態様により、ユーザは、隅付き括弧に付されたインデントの数により、階層関係を指示することができる。制御部23は、インデントが一つ付与された隅付き括弧を受け付けた場合、階層を一つ下げる指示であると把握する。換言すると、階層構造は、階層レベルの表す階層レベル識別子により、把握可能に構成されてもよい。
【0061】
入力画面4において、制御部23は、隅付き括弧とインデントとにより、請求項それぞれの階層関係に関する情報を受け付ける(アクティビティA102)。制御部23は、隅付き括弧の位置関係に基づき、請求項全体の階層構造を把握可能に入力画面4に反映する(アクティビティA103)。このような態様により、ユーザは、入力画面4に反映された請求項全体の階層構造を確認し、請求項全体の階層構造の推敲を行うことができる。
【0062】
ユーザは、入力画面4を介して、階層構造に関して、所定の操作により変更の指示を行うことができる。例えば、入力画面4において、領域45を領域42の後、領域43の前に変更する場合、ユーザは、領域45を選択し、領域45を切り取り、領域42の後に領域45を貼り付けることにより階層構造の変更指示を行うことができる。制御部23は、入力画面4を介して、変更指示を受け付け、階層構造を変更する。
【0063】
ユーザは、入力画面に反映された階層構造を確認し、変更指示の必要がない場合には、オブジェクトOb1を押下する。オブジェクトOb1の押下を受け付けた場合、制御部23は、アクティビティA108~A118の処理を実行し、特許請求の範囲等のドラフトファイルを出力する。
【0064】
アクティビティA108において、制御部23は、入力画面4の上部に表示された領域から順に請求項番号を付与する。すなわち、領域41は、「請求項1」であり、領域42は「請求項2」であり、領域43は「請求項3」であり、領域44は、「請求項4」であり、領域45は、「請求項5」であり、領域46は「請求項6」であり、領域47は「請求項7」であり、領域48は、「請求項8」であり、領域49は、「請求項9」である。
【0065】
アクティビティA109~A117において、制御部23は、請求項1に対応する領域41から順番に一つずつの請求項を取得し、それぞれの請求項のドラフトを生成する。ここで、生成するドラフトは、請求項それぞれに対する、請求項番号と引用先に関する説明とを含む。例えば、領域42には、項番を示す請求項番号も引用先に関する説明も含まれないが、領域42に基づいて制御部23が生成するドラフトは、請求項番号が「請求項2」であることと、引用先が「請求項1」であることとを含む。
【0066】
入力画面4において、隅付き括弧の次の行の末尾に「であって、」の文字列を含むと、制御部23は、カテゴリ情報を含むと判定する。制御部23は、「であって、」の前に記載された文字列をカテゴリ情報として管理する。
4.変形例
上記の実施形態に係る情報処理システム1に関して、以下のような態様を採用してもよい。
【0067】
特許請求の範囲等の作成において、検討段階ではマルチマルチクレームで記載した上で、出願前に、マルチマルチクレームを含まないように修正するケースもある。そこで、制御部23は、出力ステップとして、特定された引用先が複数ある場合、特定請求項のみを引用先としてドラフトファイルを出力してもよい。ユーザが行った請求項それぞれの階層関係に関する情報の入力がマルチマルチクレームを含むものであった場合に、制御部23は、特定請求項のみ引用する特許請求の範囲等のドラフトファイルを出力する。このような態様により、ユーザがマルチマルチクレームを含む、請求項同士の階層関係に関する情報を入力した場合であっても、制御部23は、マルチマルチクレームを含まない、特許請求の範囲等のドラフトファイルを出力することができる。
【0068】
入力画面は、入力画面5~8の形式であってもよい。もちろん、この限りではない。
【0069】
(入力画面5)
入力画面は、表形式であってもよい。
図6は、入力画面の別の一例を示す概要図である。入力画面5は、領域51とオブジェクトOb2とを含む。領域51は、複数のセルを含み、複数のセルのそれぞれは、水平方向の行と垂直方向の列により識別される。領域51の水平方向の行は、1~9までの行番号が付されており、領域51の垂直方向の列は、A~Iまでの列名が付されている。複数のセルは、それぞれユーザの入力を受け付けるように構成される。オブジェクトOb2は出力ボタンの一例である。
【0070】
例えば、領域51は、セル52~55を含む。セル52は、1行目のA列のセルであり、セル53は、2行目のA列のセルであり、セル54は、4行目のB列のセルであり、セル55は、5行目のB列のセルである。セル52とセル54とには隅付き括弧が入力され、隅付き括弧は、階層関係に関する情報を入力する識別子である。セル53とセル55とには請求項の内容の記載が入力されている。セル52とセル53とは、一つの請求項に関するユーザからの入力であり、セル54とセル55とは、別の一つの請求項に関するユーザからの入力である。入力画面5において、隅付き括弧は、請求項の内容の記載の1行上に記載され、制御部23は、この隅付き括弧の位置により、階層関係に関する情報を把握する。
【0071】
入力画面5において、制御部23は、階層関係に関する情報が入力されたセルの位置により引用関係を特定する。制御部23は、複数の階層関係に関する情報が入力されたセルに対し、行番号の数字が小さいセルから順に請求項番号を付与する。すなわち、入力画面5において1行目に位置するセル52は「請求項1」であり、行番号の数字が2番目に小さい4行目に位置するセル54は、「請求項2」である。また、入力画面5において、制御部23は、垂直方向の列の位置により、階層レベルを把握する。すなわちA列に記載されたセル52は、独立請求項である。B列に記載されたセル54は、独立請求項に従属する従属請求項である。入力されたセルが一列に右になる毎に、制御部23は、階層レベルが一つ下がったものとして把握する。
【0072】
換言すると、入力画面には、複数の領域が表形式で表示されてもよい。複数の領域は、ユーザの入力を受け付けるように構成される。入力の結果は、入力を受け付けた複数の領域の位置関係に応じて、請求項全体の階層構造を把握可能に入力画面に反映される。このような態様によれば、表形式で表示されたセルの中から、ユーザが入力するセルを選択して、請求項の内容の記載を含む入力をすることにより、ユーザは、当該請求項の階層レベルを指示することができる。
【0073】
(入力画面6)
表形式の入力画面においては、予め階層関係に関する情報の入力領域と、請求項の内容の記載の入力領域を設けてもよい。
図7は、入力画面の別の一例を示す概要図である。入力画面6は、領域61~70と、オブジェクトOb3とを含む。領域61は、請求項それぞれの階層関係に関する情報の入力を受け付ける領域である。領域62~領域70は、請求項の内容の記載の入力を受け付ける領域である。オブジェクトOb3は、出力ボタンである。
【0074】
領域61は、水平方向の行と垂直方向の列で構成される。水平方向の行は、1~11までの行番号が付されており、垂直方向の列は、A,B,Cの列名が付されている。ユーザは、水平方向の行により請求項の順番を指示することができ、垂直方向の列により、請求項の階層レベルを指示することができる。例えば、入力する請求項が独立請求項の場合には、ユーザはA列にチェックを入れ、入力する請求項が独立請求項を引用する請求項の場合には、ユーザはB列にチェックを入れ、入力する請求項が独立請求項を引用する請求項をさらに引用する請求項の場合には、ユーザはC列にチェックを入れる。入力画面6において、制御部23は、階層関係に関する情報が入力されたセルの位置により引用関係を特定することができる。
【0075】
領域61において、1~7行目には、「白丸」、8,9行目には、「黒四角」が入力されている。同一カテゴリの従属請求項には第1の識別子である「白丸」、異なるカテゴリの従属請求項には第2の識別子である「黒四角」が入力されている。制御部23は、請求項それぞれの階層関係に関する情報として、第1の識別子と異なる第2の識別子の入力を受け付ける。このような場合において、制御部23は、第2の識別子に対応する請求項の内容の記載は、異なるカテゴリ情報を含むと判定してもよい。
【0076】
領域69と領域70とは、隅付き括弧に囲われた文字列を含む。異なるカテゴリ情報を含むことを示す入力は、所定の識別子により、構成されてもよい。所定の識別子は、所定の記号や文字列であってもよいが、階層レベル識別子とは異なる態様であることが好ましい。
(入力画面7)
制御部23は、情報処理装置3の表示部34に、予め木構造の入力画面7を表示させてもよい。
図8は、入力画面の別の一例を示す概要図である。入力画面7は、領域71~79と、オブジェクトOb4と、オブジェクトOb5とを含む。領域71~79は、請求項の内容の記載の入力を受け付ける領域である。オブジェクトOb4は、従属請求項を入力するための領域の追加を受け付けるオブジェクトである。制御部23は、例えば、領域71の中にあるオブジェクトOb4の押下を受け付けると、領域71の一つ下の階層に、新たな領域を生成してもよい。オブジェクトOb5は、出力ボタンである。このような態様により、ユーザは視覚的に、請求項の引用関係を把握しながら、複数の請求項の内容の記載を入力することができる。なお、表示部34に表示された木構造の入力画面7において、ユーザが入力する領域を選択することが、階層関係に関する情報のユーザの入力指示に相当する。制御部23は、ユーザにより請求項の内容の記載が入力された領域の位置関係により引用関係を特定することができる。
【0077】
換言すると、入力画面には、複数の領域が木構造を含む形式で表示される。複数の領域は、ユーザの入力を受け付けるように構成されてもよい。入力の結果は、入力を受け付けた複数の領域の位置関係に応じて、請求項全体の階層構造を把握可能に入力画面に反映されてもよい。
【0078】
(入力画面8)
階層構造に関する情報の受付は、次のような態様を採用してもよい。
図9は、入力画面の別の一例を示す概要図である。入力画面8は、オブジェクト81と、領域82~85と、オブジェクト86~89と、オブジェクトOb6とを含む。オブジェクト81は、独立請求項を入力するための領域の追加を受け付けるオブジェクトである。領域82~85は、請求項の内容の記載の入力を受け付ける領域である。オブジェクト86~89は、従属請求項を入力するための領域の追加を受け付けるオブジェクトである。オブジェクトOb6は、出力ボタンである。
【0079】
換言すると、入力画面には、階層レベルを選択するための第2のオブジェクトを含む。オブジェクト81と、オブジェクト86~89とは、階層レベルを選択するための第2のオブジェクトの一例である。さらに、表示制御ステップでは、ユーザによる第2のオブジェクトの選択指示を受け付けた場合に、階層構造を把握可能に、入力画面を更新して表示させる。このような態様によれば、ユーザは視覚的に、請求項の引用関係を把握しながら、複数の請求項の内容の記載を入力することができる。
【0080】
上記の実施形態では、階層レベル識別子として、隅付き括弧とインデントとを使用したが、階層レベル識別子は、その他の記号や文字列を使用してもよい。記号は、特許庁への出願に際して特殊記号として取り扱われるものが好ましい。
【0081】
上記の実施形態では、階層レベル識別子として、隅付き括弧に対するインデントを使用したが、階層レベル識別子は、例えば、記載に対するインデントであってもよい。すなわち、請求項の内容の記載自体にインデントを付すことにより、階層レベル識別子としてもよい。
【0082】
上記の実施形態では、制御部23は、アクティビティA106において、表示部34に表示された入力画面を介して、ユーザから引用先の記載位置に関する指示を受け付けるとしたが、制御部23は、引用先に関する説明の記載ルールの指定を受け付けてもよい。例えば、制御部23は、前方に、「請求項○に記載の(カテゴリ情報)において」を記載するという記載ルールの指定を受け付けてもよい。このような態様により、制御部23は、ユーザがこれまで使用してきた記載ルールに合わせた引用先に関する説明の記載を生成することができる。
【0083】
上記の実施形態では、第1のオブジェクトは、入力画面上の出力ボタンであったが、第1のオブジェクトは、必ずしも入力画面上のボタンである必要はない。第1のオブジェクトは、ドラフトの出力を実行するための操作指示を受け付けるオブジェクトであれば、いかなる態様であってもよい。
【0084】
上記情報処理の態様はあくまで一例である。本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0085】
実施形態の別の一態様は、情報処理システムであってもよい。情報処理システムは、少なくとも一つのプロセッサを備える。プロセッサは、プログラムの各ステップがなされるように、プログラムを実行するように構成される。情報処理システムは、複数の装置で構成されてもよいし、一つの装置で構成されてもよい。特許請求の範囲等に記載の情報処理システムが一つの装置で構成され場合、その装置の一例はサーバ2である。この場合、少なくとも一つのプロセッサは、サーバ2の制御部23である。特許請求の範囲等に記載の情報処理システムが複数の装置で構成される場合、複数の装置の一例は、複数の情報処理装置である。この場合、少なくとも一つのプロセッサは、複数の情報処理装置それぞれの制御部である。
【0086】
図1に示す全体構成は一例であり、これに限られない。例えば、サーバ2は、2台以上の装置に分散されてもよいし、クラウドコンピューティングシステムに代替されてもよい。また、全ての処理がサーバ2で行われてもよいし、全ての処理が情報処理装置3で行われてもよい。情報処理装置3にアプリケーションをインストールし、情報処理装置3とサーバ2とが連携して上記したような処理を実行するようにしてもよい。
【0087】
サーバ2は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態のサーバ2としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上述の機能や処理を提供してもよい。
【0088】
上記実施形態では、サーバ2が種々の記憶・制御を行ったが、サーバ2に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。
【0089】
プログラムは、Microsoft Word(登録商標)又はMicrosoft Excel(登録商標)に付属のVBAによって実装されてよい。
【0090】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0091】
(1)プログラムであって、少なくとも一つのコンピュータに、次の各ステップを実行させ、受付ステップでは、入力画面に対するユーザの入力を受け付け、ここで前記入力は、複数の請求項の内容の記載と、前記請求項それぞれの階層関係に関する情報とを含み、前記記載には、前記請求項それぞれの、項番を示す請求項番号も引用先に関する説明も含まれず、前記入力の結果は、前記請求項全体の階層構造を把握可能に、前記入力画面に反映され、出力ステップでは、前記ユーザによる、第1のオブジェクトに対する操作を受け付けた場合に、前記記載と前記階層構造とに基づいて、前記請求項それぞれに対する、前記請求項番号と前記引用先に関する説明とを含む、特許請求の範囲、請求の範囲又は実用新案登録請求の範囲のドラフトファイルを出力する、プログラム。
【0092】
このような態様によれば、ユーザは、複数の請求項の内容の記載と、請求項それぞれの階層関係に関する情報とを含む入力を行う場合に、請求項それぞれの番号も引用先に関する説明も記載しなくても、請求項番号と引用先に関する説明とを含む特許請求の範囲等のドラフトファイルを出力することができる。
【0093】
(2)上記(1)に記載のプログラムにおいて、さらに、特定ステップでは、前記階層構造において、前記引用先を有する前記請求項である第1の請求項の、一つ上の階層にある第2の請求項のうち、前記第1の請求項よりも前にあり且つ前記第1の請求項と最も近い位置にある特定請求項を特定し、前記特定請求項から前記第1の請求項の直前の前記請求項まで(ただし、前記直前の前記請求項が前記特定請求項の場合は、前記特定請求項のみ)を、前記引用先として特定する、プログラム。
【0094】
このような態様によれば、引用する請求項を特定することができる。
【0095】
(3)上記(2)に記載のプログラムにおいて、前記出力ステップでは、特定された前記引用先が複数ある場合、前記特定請求項のみを前記引用先として前記ドラフトファイルを出力する、プログラム。
【0096】
このような態様によれば、ユーザが行った請求項それぞれの階層関係に関する情報の入力が「他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項(マルチクレーム)を引用する、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項」を含むものであった場合に、他の一つの請求項のみ引用する請求項を特定することができる。
【0097】
(4)上記(1)~(3)の何れか一つに記載のプログラムにおいて、前記請求項それぞれのカテゴリを示す情報をカテゴリ情報と定義すると、前記引用先を有しない独立請求項の前記記載には、前記カテゴリ情報が含まれ、さらに、管理ステップでは、前記請求項それぞれの前記カテゴリ情報を管理し、前記請求項が前記引用先を有する従属請求項であり且つその記載に前記カテゴリ情報が含まれない場合には、前記従属請求項が直接的に又は間接的に引用する前記独立請求項の前記カテゴリ情報を、前記従属請求項の前記カテゴリ情報として管理する、プログラム。
【0098】
このような態様によれば、従属請求項の記載においては、ユーザがカテゴリに関する情報を記載しなくても、引用先(直接又は間接を含む)の請求項に対して記載されたカテゴリ情報を含む特許請求の範囲、請求の範囲又は実用新案登録請求の範囲のドラフトファイルを出力することができる。
【0099】
(5)上記(4)に記載のプログラムにおいて、前記請求項が前記従属請求項であり且つその記載に第1のカテゴリ情報が含まれ、さらに、前記第1のカテゴリ情報が、前記従属請求項が直接的に又は間接的に引用する前記独立請求項の第2のカテゴリ情報と異なる場合には、前記出力ステップでは、前記第2のカテゴリ情報を有する前記請求項のすべてを前記引用先として、前記ドラフトファイルを出力する、プログラム。
【0100】
このような態様によれば、カテゴリの異なる請求項について、先に記載されたカテゴリの全ての請求項を引用した請求項のドラフトを出力することができる。
【0101】
(6)上記(1)~(5)の何れか一つに記載のプログラムにおいて、前記請求項において、前記引用先に関する説明を前方に記載するか後方に記載するかは、前記ユーザの指示により決定される、プログラム。
【0102】
このような態様によれば、請求項の前方に引用に関する文字列を含むか、請求項の後方に引用に関する文字列を含むかは、ユーザの選択により決定することができる。
【0103】
(7)上記(1)~(6)の何れか一つに記載のプログラムにおいて、さらに、変更ステップでは、前記ユーザによる所定の操作指示に応じて、前記入力画面に反映された前記請求項全体の前記階層構造を変更する、プログラム。
【0104】
このような態様によれば、ユーザは所定の操作により、入力画面に反映された記載の位置を入れ替えることにより、階層構造を変更することができる。ここで、ユーザによる所定の操作指示は、順番を入れ替えたい請求項を選択してドラッグアンドドロップすることや、削除したい請求項を削除すること等を含む。
【0105】
(8)上記(1)~(7)の何れか一つに記載のプログラムにおいて、前記階層構造は、階層レベルの表す階層レベル識別子により、把握可能に構成される、プログラム。
【0106】
このような態様によれば、ユーザは、階層レベル識別子により、階層レベルを指示することができる。
【0107】
(9)上記(8)に記載のプログラムにおいて、前記階層レベル識別子は、前記記載に対するインデントである、プログラム。
【0108】
このような態様によれば、ユーザは、インデントにより階層レベルを指示することができる。
【0109】
(10)上記(1)~(7)の何れか一つに記載のプログラムにおいて、前記入力画面には、複数の領域が表形式で表示され、ここで、前記領域は、前記ユーザの前記入力を受け付けるように構成され、前記入力の結果は、前記入力を受け付けた複数の前記領域の位置関係に応じて、前記請求項全体の前記階層構造を把握可能に前記入力画面に反映される、プログラム。
【0110】
このような態様によれば、表形式で表示されたセルの中から、ユーザが入力するセルを選択し、選択したセルに請求項の内容の記載を含む入力をすることにより、当該記載の階層レベルを指示することができる。
【0111】
(11)上記(1)~(7)の何れか一つに記載のプログラムにおいて、前記入力画面には、複数の領域が木構造を含む形式で表示され、ここで、前記領域は、前記ユーザの前記入力を受け付けるように構成され、前記入力の結果は、前記入力を受け付けた複数の前記領域の位置関係に応じて、前記請求項全体の前記階層構造を把握可能に前記入力画面に反映される、プログラム。
【0112】
このような態様によれば、入力画面に表示された階層構造を有する複数の領域に対し、ユーザが分岐の位置等に基づき入力する領域を選択し、選択した領域に請求項の内容の記載を含む入力をすることにより、当該記載の階層レベルを指示することができる。
【0113】
(12)上記(1)~(7)の何れか一つに記載のプログラムにおいて、前記入力画面には、階層レベルを選択するための第2のオブジェクトを含み、さらに、表示制御ステップでは、前記ユーザによる前記第2のオブジェクトの選択指示を受け付けた場合に、前記階層構造を把握可能に、前記入力画面を更新して表示させる、プログラム。
【0114】
このような態様によれば、ユーザは階層レベルを指定する第2のオブジェクトを選択することにより、階層レベルを指示することができる。
【0115】
(13)情報処理システムであって、少なくとも一つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、上記(1)~(12)の何れか一つに記載のプログラムの各ステップがなされるように、前記プログラムを実行するように構成される、システム。
【0116】
このような態様によれば、ユーザは、複数の請求項の内容の記載と、請求項それぞれの階層関係に関する情報とを含む入力を行う場合に、請求項それぞれの番号も引用先に関する説明も記載しなくても、請求項番号と引用先に関する説明とを含む特許請求の範囲等のドラフトファイルを出力することができる。
【0117】
(14)情報処理方法であって、上記(1)~(12)の何れか一つに記載のプログラムの各ステップを備える、方法。
【0118】
このような態様によれば、ユーザは、複数の請求項の内容の記載と、請求項それぞれの階層関係に関する情報とを含む入力を行う場合に、請求項それぞれの番号も引用先に関する説明も記載しなくても、請求項番号と引用先に関する説明とを含む特許請求の範囲等のドラフトファイルを出力することができる。
もちろん、この限りではない。
【0119】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0120】
1 :情報処理システム
2 :サーバ
20 :通信バス
21 :通信部
22 :記憶部
23 :制御部
3 :情報処理装置
30 :通信バス
31 :通信部
32 :記憶部
33 :制御部
34 :表示部
35 :入力部
4 :入力画面
41 :領域
42 :領域
43 :領域
44 :領域
45 :領域
46 :領域
47 :領域
48 :領域
49 :領域
5 :入力画面
51 :領域
52 :セル
53 :セル
54 :セル
55 :セル
6 :入力画面
61 :領域
62 :領域
63 :領域
64 :領域
65 :領域
66 :領域
67 :領域
68 :領域
69 :領域
70 :領域
7 :入力画面
71 :領域
72 :領域
73 :領域
74 :領域
75 :領域
76 :領域
77 :領域
78 :領域
79 :領域
8 :入力画面
81 :オブジェクト
82 :領域
83 :領域
84 :領域
85 :領域
86 :オブジェクト
87 :オブジェクト
88 :オブジェクト
89 :オブジェクト
Ob1 :オブジェクト
Ob2 :オブジェクト
Ob3 :オブジェクト
Ob4 :オブジェクト
Ob5 :オブジェクト
Ob6 :オブジェクト
【要約】 (修正有)
【課題】ユーザが、請求項夫々の番号も引用先に関する説明も記載しなくても、それらを含む特許請求の範囲等のドラフトファイルを出力ができるプログラム、情報処理システム及び方法を提供する。
【解決手段】プログラムは、コンピュータに、次の各ステップを実行させる。受付ステップでは、入力画面に対するユーザの入力を受け付ける。入力は、複数の請求項の内容の記載と、請求項それぞれの階層関係に関する情報とを含む。前記記載には、請求項それぞれの項番を示す請求項番号も引用先に関する説明も含まれず、入力の結果は、請求項全体の階層構造を把握可能に入力画面に反映される。出力ステップでは、ユーザによる第1のオブジェクトに対する操作を受け付けた場合に、前記記載と階層構造とに基づいて、請求項それぞれに対する請求項番号と引用先に関する説明とを含む、特許請求の範囲、請求の範囲又は実用新案登録請求の範囲のドラフトファイルを出力する。
【選択図】
図4