(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240227BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2023107288
(22)【出願日】2023-06-29
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2022106746
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521425652
【氏名又は名称】株式会社ゼロボード
(72)【発明者】
【氏名】渡慶次 道隆
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-228196(JP,A)
【文献】特開2007-279862(JP,A)
【文献】特開2018-120256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶する排出係数記憶部と、
活動量の入力を受け付ける活動量入力部と、
時間情報に対応付けて前記活動量を記憶する活動量記憶部と、
前記活動量及び前記排出係数に基づいて前記排出量を算出する排出量計算部と、
前記活動量の正常範囲を特定するための
、前記活動量の前年同月比又は前年同週比により表される範囲特定情報を記憶する設定情報記憶部と、
前年同月又は前年同週に対応する、前記活動量記憶部に記憶された前記活動量及び受け付けた前記活動量
の比が前記正常範囲に含まれない場合に、入力間違いを指摘する旨を出力するエラー出力部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記活動量に係る活動ごとに前記活動量を集計する集計部と、
をさらに備え、
前記排出量計算部は、前記活動量の集計値と前記排出係数とに基づいて前記排出量を算出し、
前記エラー出力部は、前記活動量の集計値が前記正常範囲に含まれない場合に、前記入力間違いを指摘する旨を出力すること、
を特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶するステップと、
活動量の入力を受け付けるステップと、
時間情報に対応付けて前記活動量を活動量記憶部に記憶するステップと、
前記活動量及び前記排出係数に基づいて前記排出量を算出するステップと、
前記活動量の正常範囲を特定するための
、前記活動量の前年同月比又は前年同週比により表される範囲特定情報を記憶するステップと、
前年同月又は前年同週に対応する、前記活動量記憶部に記憶された前記活動量及び受け付けた前記活動量
の比が前記正常範囲に含まれない場合に、入力間違いを指摘する旨を出力するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶するステップと、
活動量の入力を受け付けるステップと、
時間情報に対応付けて前記活動量を活動量記憶部に記憶するステップと、
前記活動量及び前記排出係数に基づいて前記排出量を算出するステップと、
前記活動量の正常範囲を特定するための
、前記活動量の前年同月比又は前年同週比により表される範囲特定情報を記憶するステップと、
前年同月又は前年同週に対応する、前記活動量記憶部に記憶された前記活動量及び受け付けた前記活動量
の比が前記正常範囲に含まれない場合に、入力間違いを指摘する旨を出力するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の排出量を推定することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排出量の計算に係る入力データが間違っていることがある。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、温室効果ガスの排出量の算出に必要なデータを正確に入力することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、情報処理システムであって、温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶する排出係数記憶部と、活動量の入力を受け付ける活動量入力部と、前記活動量及び前記排出係数に基づいて前記排出量を算出する排出量計算部と、前記活動量の正常範囲を特定するための範囲特定情報を記憶する設定情報記憶部と、受け付けた前記活動量が前記正常範囲に含まれない場合に、入力間違いを指摘する旨を出力するエラー出力部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温室効果ガスの排出量の算出に必要なデータを正確に入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<システムの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の情報処理システムは、管理サーバ2を含んで構成される。管理サーバ2は、ユーザ端末1と通信ネットワークを介して通信可能に接続される。通信ネットワークは、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0011】
ユーザ端末1は、ユーザが操作するコンピュータである。ユーザ端末1は、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどとすることができる。
【0012】
管理サーバ2は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0013】
<管理サーバ>
図2は、管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する管理サーバ2の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ2の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0014】
図3は、管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ2は、排出係数記憶部231と、設定情報記憶部232と、活動量記憶部233と、活動量入力部211と、排出量計算部212と、エラー出力部213と、集計部214と、を備える。
【0015】
<記憶部>
排出係数記憶部231は、温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶する。排出係数は排出原単位とも呼ばれる。排出係数は、例えば、1リットルの燃料を内燃機関により燃焼した場合に排出される温室効果ガスの量を既定することができる。排出係数に活動量を乗じることにより温室効果ガスの排出量を算出することができる。
【0016】
設定情報記憶部232は、各種の設定情報を記憶する。設定情報には、活動量の正常範囲を特定するための範囲特定情報を含めることができる。範囲特定情報には、例えば、前月比、前年同月比、前年同週比など、比較対象となる標準値を計算するための情報(例えば、前月、前年同月、前年同週の値、あるいは過去5年間の平均など)と、標準値と現在の活動量とを比較した値(例えば、比や差など)の範囲(例えば下限値及び上限値)とを含めることができる。本実施形態では、範囲特定情報は前月比又は前年同月比の下限値及び上限値により表されるものとする。例えば、前月比又は前年同月比で-100%以下及び+100%以上を範囲特定情報として設定することができる。
【0017】
活動量記憶部233は、温室効果ガスを排出する活動に係る活動量を記憶する。活動量記憶部233は、時間情報に対応付けて活動量を記憶することができる。時間情報は、例えば、年月や年月日などとすることができる。活動量は、例えば、金額により表現してもよいし、物理量により表現してもよい。活動量記憶部233は、時間情報及び活動を特定する情報に紐付けて活動量を記憶することができる。活動量記憶部233は、活動量の単位を記憶することもできる。
【0018】
<機能部>
活動量入力部211は、活動量の入力を受け付ける。活動量入力部211は、例えば、ユーザ端末1から活動に係る時間情報と活動量との入力を受け付けることができる。活動量入力部211は、会計システムや販売システム、在庫管理システムなどの外部システムから活動量を取得するようにしてもよい。活動量入力部211は、活動を特定する情報(例えば、商品名やサービス名などとすることができる。)とともに、活動量を受け付けることができる。
【0019】
排出量計算部212は、活動量及び排出係数に基づいて排出量を算出する。排出量計算部212は、活動量に排出係数を乗じることにより排出量を計算することができる。排出量計算部212は、活動量に係る活動に対応する排出係数を排出係数記憶部231から読み出し、読み出した排出係数に活動量を乗じることができる。
【0020】
エラー出力部213は、活動量の入力間違い(エラー)を指摘する旨を出力する。エラー出力部213は、活動量入力部211が受け付けた活動量が正常範囲に含まれない場合に、入力間違いを指摘する旨を出力することができる。エラー出力部213は、活動量記憶部233から、受け付けた活動量の活動に対応する、前月又は前年同月の活動量(過去の活動量)を読み出し、設定情報記憶部232に記憶されている、受け付けた活動量の活動に対応する範囲特定情報に基づいて、読み出した過去の活動量(複数ある場合にはその平均値や中央値などの集計値としてもよい。)と、受け付けた活動量とを比較して、正常範囲内に含まれるか否かを判定することができる。
【0021】
集計部214は、活動量に係る活動ごとに活動量を集計することができる。排出量計算部212は、活動量の集計値と排出係数とに基づいて排出量を算出することができる。エラー出力部213は、活動量の集計値が正常範囲に含まれない場合に、入力間違いを指摘する旨を出力することができる。
【0022】
<動作>
図4は、管理サーバ2の動作を説明する図である。
【0023】
管理サーバ2は、活動量を受け付け(S301)、活動量に係る活動に対応する設定情報に基づいて、過去の活動量を読み出し(S302)、当該設定情報に基づいて、過去の活動量と受け付けた活動量とを比較して、受け付けた活動量が正常範囲に含まれるか否かを判定し(S303)、正常範囲に含まれない場合には(S304:NO)、エラーを出力する(S305)。
【0024】
以上のようにして、本実施形態の情報処理システムによれば、正確な活動量を取得することができる。
【0025】
<第2実施形態>
第2実施形態では、活動量の単位が正しいことを確認する。
【0026】
第2実施形態において、排出係数記憶部231は、排出係数に対応付けて、単位を示す情報を記憶する。排出係数記憶部231はまた、活動を特定する情報に対応付けて排出係数及び単位を記憶することができる。
【0027】
第2実施形態において、活動量入力部211は、活動を特定する情報及び活動量とともに、活動量の単位の入力を受け付ける。
【0028】
エラー出力部213は、排出係数記憶部231に記憶されている、受け付けた活動量の活動に対応する排出係数の単位の分母と、受け付けた活動量の単位とが一致しない場合に、入力間違いを指摘するエラーを出力することができる。
【0029】
なお、排出係数の単位の分母と活動量の単位とが一致しない場合には、活動量を単位変換するようにしてもよい。
【0030】
<第3実施形態>
第3実施形態では、活動量ではなく、排出量が正常範囲に含まれているかどうかを判定する。
【0031】
第3実施形態において、設定情報記憶部232が記憶する設定情報に含まれる範囲特定情報は、排出量の正常範囲を特定するための情報になる。また、設定情報は、活動を特定する情報に代えて、又は加えて、排出量の種類(例えばスコープ及び/又はカテゴリ)を含めることができる。
【0032】
エラー出力部213は、計算された排出量が、排出量に対応する設定情報の正常範囲に含まれない場合に、入力間違いを指摘するエラーを出力することができる。
【0033】
<第4実施形態>
第4実施形態では、推定されるスコープ及び/又はカテゴリが正しいか否かを判定する。
【0034】
第4実施形態において、活動量入力部211は、活動量とともに、活動のスコープ及び/又はカテゴリの指定を受け付ける。
【0035】
排出量計算部212は、受け付けたスコープ及び/又はカテゴリごとの排出量を計算する。
【0036】
エラー出力部213は、活動量に係る活動に基づいてスコープを推定することができる。エラー出力部213は、推定したスコープと受け付けたスコープとが一致しない場合に、入力間違いを指摘するエラーを出力することができる。
【0037】
<第5実施形態>
第5実施形態では、仕入商品や電力などのサプライヤが提供地域内のものかどうかを判定する。
【0038】
第5実施形態において、設定情報記憶部233は、温室効果ガスの排出主体の存在する地域を記憶することができる。設定情報記憶部233はまた、商品やサービスを提供するサプライヤごとに、当該サプライヤによる提供地域を記憶することができる。
【0039】
また、第5実施形態において、活動量入力部211は、電力や商品などの活動量が含まれた帳票データを受け付けることができる。帳票データは、例えば、会計システムから取得することができる。
【0040】
第5実施形態において、エラー出力部213は、帳票データを解析してサプライヤ及び活動量を抽出することができる。例えば、帳票データが画像データである場合には、いわゆるOCR機能により、帳票データに表された活動量と、その活動量に係るプロバイダ(例えば、電気料金の帳票データから、電力会社と消費電力量とを抽出することができる。
【0041】
エラー出力部213は、設定情報記憶部233を参照して、抽出したサプライヤに対応する提供地域及び排出主体の地域を特定し、特定したサプライヤによる提供地域に、当該排出主体の地域が含まれるか否かを判定し、含まれない場合には、入力間違いを指摘するエラーを出力することができる。
【0042】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0043】
<開示事項>
なお、本開示には、以下のような構成も含まれる。
[項目1]
温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶する排出係数記憶部と、
活動量の入力を受け付ける活動量入力部と、
前記活動量及び前記排出係数に基づいて前記排出量を算出する排出量計算部と、
前記活動量の正常範囲を特定するための範囲特定情報を記憶する設定情報記憶部と、
受け付けた前記活動量が前記正常範囲に含まれない場合に、入力間違いを指摘する旨を出力するエラー出力部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
時間情報に対応付けて前記活動量を記憶する活動量記憶部を備え、
前記範囲特定情報は前月比又は前年同月比により表され、
前記エラー出力部は、前月又は前年同月に対応する第1の前記活動量を前記活動量記憶部から読み出し、受け付けた第2の前記活動量と前記第1の活動量とを比較すること、
を特徴とする項目1に記載の情報処理システム。
[項目3]
前記活動量を記憶する活動量記憶部と、
前記活動量に係る活動ごとに前記活動量を集計する集計部と、
をさらに備え、
前記排出量計算部は、前記活動量の集計値と前記排出係数とに基づいて前記排出量を算出し、
前記エラー出力部は、前記活動量の集計値が前記正常範囲に含まれない場合に、前記入力間違いを指摘する旨を出力すること、
を特徴とする項目1に記載の情報処理システム。
[項目4]
温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶するステップと、
活動量の入力を受け付けるステップと、
前記活動量及び前記排出係数に基づいて前記排出量を算出するステップと、
前記活動量の正常範囲を特定するための範囲特定情報を記憶するステップと、
受け付けた前記活動量が前記正常範囲に含まれない場合に、入力間違いを指摘する旨を出力するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
[項目5]
温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶するステップと、
活動量の入力を受け付けるステップと、
前記活動量及び前記排出係数に基づいて前記排出量を算出するステップと、
前記活動量の正常範囲を特定するための範囲特定情報を記憶するステップと、
受け付けた前記活動量が前記正常範囲に含まれない場合に、入力間違いを指摘する旨を出力するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0044】
1 ユーザ端末
2 管理サーバ