(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】出力方法、出力装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
F16T 1/48 20060101AFI20240227BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20240227BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20240227BHJP
G01M 3/24 20060101ALN20240227BHJP
【FI】
F16T1/48 Z
G06Q10/04
G06Q10/20
G01M3/24 A
(21)【出願番号】P 2023116105
(22)【出願日】2023-07-14
【審査請求日】2023-07-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特許第7349187(JP,B1)
【文献】特開2023-66620(JP,A)
【文献】特許第7411278(JP,B1)
【文献】特開2023-28297(JP,A)
【文献】特開2005-114366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1/48
G01M 3/24
G06Q 10/04
G06Q 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量に関する情報を出力する出力装置における出力方法であって、
第1蒸気トラップの直近の第1期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第1情報を取得し、
前記第1蒸気トラップと同じ型式の複数の第2蒸気トラップの前記第1期間よりも長い第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す複数の第2情報を取得し、
前記複数の第2情報のうち、前記第1期間と同じ長さの第3期間における蒸気の漏洩量の時間的推移が前記第1情報が示す蒸気の漏洩量の時間的推移と類似している第3情報を抽出し、
前記第3情報を出力する、
出力方法。
【請求項2】
更に、前記第1情報に基づいて、前記第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す近似関数を算出し、
更に、前記近似関数によって示される前記第1期間以降における蒸気の漏洩量と前記第3情報が示す前記第3期間以降における蒸気の漏洩量との平均値の時間的推移を示す第4情報を算出し、
更に、前記第4情報を出力する、
請求項1に記載の出力方法。
【請求項3】
更に、前記複数の第2情報のうち、前記第2期間における蒸気の漏洩量の増大率が最も大きいことを示す第5情報を抽出し、
更に、前記第5情報を出力する、
請求項1又は2に記載の出力方法。
【請求項4】
更に、前記第1情報に基づいて、前記第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す近似関数を算出し、
更に、前記近似関数によって示される前記第1期間以降における蒸気の漏洩量と前記第5情報が示す前記第3期間以降における蒸気の漏洩量との平均値の時間的推移を示す第6情報を算出し、
更に、前記第6情報を出力する、
請求項3に記載の出力方法。
【請求項5】
更に、前記近似関数によって示される前記第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第7情報を出力する、
請求項2に記載の出力方法。
【請求項6】
更に、前記近似関数によって示される前記第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第7情報を出力する、
請求項4に記載の出力方法。
【請求項7】
蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量に関する情報を出力する出力装置であって、
第1蒸気トラップの直近の第1期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第1情報を取得する第1取得部と、
前記第1蒸気トラップと同じ型式の複数の第2蒸気トラップの前記第1期間よりも長い第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す複数の第2情報を取得する第2取得部と、
前記複数の第2情報のうち、前記第1期間と同じ長さの第3期間における蒸気の漏洩量の時間的推移が前記第1情報が示す蒸気の漏洩量の時間的推移と類似している第3情報を抽出する抽出部と、
前記第3情報を出力する出力部と、
を備える出力装置。
【請求項8】
蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量に関する情報を出力する出力装置のプログラムであって、
前記出力装置に、
第1蒸気トラップの直近の第1期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第1情報を取得し、
前記第1蒸気トラップと同じ型式の複数の第2蒸気トラップの前記第1期間よりも長い第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す複数の第2情報を取得し、
前記複数の第2情報のうち、前記第1期間と同じ長さの第3期間における蒸気の漏洩量の時間的推移が前記第1情報が示す蒸気の漏洩量の時間的推移と類似している第3情報を抽出し、
前記第3情報を出力する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量を示す情報を出力する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気配管系を備えたプラントにおいては、配管系の適所に設置した蒸気トラップによって、熱交換又は放熱等により生じた復水(ドレン)を配管系の外部に排出している。経年劣化や作動不良等によって蒸気トラップの性能が損なわれると、配管系内の蒸気が蒸気トラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招く。このため、一年に一回等の定期的に、複数の担当者に特許文献1等に開示のような計測診断装置(以降、診断器)を持参させ、1日で約1000機の蒸気トラップの診断を分担して行っている。
【0003】
具体的には、診断器は、担当者による操作に応じて蒸気トラップの振動及び温度を測定し、その測定データに基づいて蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量を算出する。また、診断器は、算出した蒸気の漏洩量に基づき、蒸気トラップの状態(例えば、漏れなし、漏れ小、漏れ中、漏れ大、吹きっ放し等)を診断する。
【0004】
しかし、担当者の手作業による診断器を用いた蒸気トラップの診断には多大な時間を要する。このため、各蒸気トラップに測定装置を常設して、診断に必要な測定データをサーバ装置に送信するようにし、サーバ装置において各蒸気トラップを診断するシステムを採用するプラントも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、蒸気トラップを長期間使用すると、蒸気トラップ内に流入する蒸気や復水に含まれるカルシウムやマグネシウム、シリカ等の無機塩類化合物が析出したスケールや錆等の不純物によって蒸気トラップに偏摩耗が生じ得る。蒸気トラップに偏摩耗が生じると、蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量が偏摩耗の度合に応じて増大する。不純物の含有量は加速度的に増大することがある。このため、蒸気トラップに生じる偏摩耗の度合が加速度的に増大することがある。また、不純物の含有量が一定であっても、蒸気トラップの弁の開閉方式(以降、型式)に応じて、蒸気トラップに生じる偏摩耗の度合は異なる。したがって、将来の蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を正確に予測することは困難である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、将来の蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を適切に把握することができる出力方法、出力装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る出力方法は、蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量に関する情報を出力する出力装置における出力方法であって、第1蒸気トラップの直近の第1期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第1情報を取得し、前記第1蒸気トラップと同じ型式の複数の第2蒸気トラップの前記第1期間よりも長い第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す複数の第2情報を取得し、前記複数の第2情報のうち、前記第1期間と同じ長さの第3期間における蒸気の漏洩量の時間的推移が前記第1情報が示す蒸気の漏洩量の時間的推移と類似している第3情報を抽出し、前記第3情報を出力する。
【0009】
本構成では、複数の第2情報のうち、第1期間と同じ長さの第3期間における蒸気の漏洩量の時間的推移が第1情報が示す蒸気の漏洩量の時間的推移と類似している第3情報が抽出され、当該第3情報が出力される。このため、出力された第3情報が示す蒸気の漏洩量の時間的推移のうち、第3期間以降の蒸気の漏洩量の時間的推移を、第1期間以降の将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移として適切に把握することができる。
【0010】
上記の出力方法において、更に、前記第1情報に基づいて、前記第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す近似関数を算出し、更に、前記近似関数によって示される前記第1期間以降における蒸気の漏洩量と前記第3情報が示す前記第3期間以降における蒸気の漏洩量との平均値の時間的推移を示す第4情報を算出し、更に、前記第4情報を出力してもよい。
【0011】
本構成によれば、出力された第4情報が示す、近似関数によって示される第1蒸気トラップにおける第1期間以降の蒸気の漏洩量と第2蒸気トラップにおける第3期間以降の蒸気の漏洩量との平均値の時間的推移を、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移の他の一例として把握することができる。
【0012】
上記の出力方法において、更に、前記複数の第2情報のうち、前記第2期間における蒸気の漏洩量の増大率が最も大きいことを示す第5情報を抽出し、更に、前記第5情報を出力してもよい。
【0013】
本構成によれば、出力された第3情報が示す、第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移と、出力された第5情報が示す、複数の第2蒸気トラップの中で第2期間における蒸気の漏洩量の増大率が最も大きい第2蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移と、を対比することができる。
【0014】
上記の出力方法において、更に、前記第1情報に基づいて、前記第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す近似関数を算出し、更に、前記近似関数によって示される前記第1期間以降における蒸気の漏洩量と前記第5情報が示す前記第3期間以降における蒸気の漏洩量との平均値の時間的推移を示す第6情報を算出し、更に、前記第6情報を出力してもよい。
【0015】
本構成によれば、出力された第6情報が示す、近似関数によって示される第1蒸気トラップにおける第1期間以降の蒸気の漏洩量と複数の第2蒸気トラップの中で第2期間における蒸気の漏洩量の増大率が最も大きい第2蒸気トラップにおける第3期間以降の蒸気の漏洩量との平均値の時間的推移を、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移の他の一例として把握することができる。
【0016】
上記の出力方法において、更に、前記近似関数によって示される前記第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第7情報を出力してもよい。
【0017】
本構成によれば、出力された第7情報が示す、近似関数によって示される第1蒸気トラップにおける第1期間以降の蒸気の漏洩量の時間的推移を、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移の他の一例として把握することができる。
【0018】
本発明の別の一態様に係る出力装置は、蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量に関する情報を出力する出力装置であって、第1蒸気トラップの直近の第1期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第1情報を取得する第1取得部と、前記第1蒸気トラップと同じ型式の複数の第2蒸気トラップの前記第1期間よりも長い第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す複数の第2情報を取得する第2取得部と、前記複数の第2情報のうち、前記第1期間と同じ長さの第3期間における蒸気の漏洩量の時間的推移が前記第1情報が示す蒸気の漏洩量の時間的推移と類似している第3情報を抽出する抽出部と、前記第3情報を出力する出力部と、を備える。
【0019】
本構成によれば、上記出力方法と同様の作用効果が得られる。
【0020】
本発明の別の一態様に係るプログラムは、蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量に関する情報を出力する出力装置のプログラムであって、前記出力装置に、第1蒸気トラップの直近の第1期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第1情報を取得し、前記第1蒸気トラップと同じ型式の複数の第2蒸気トラップの前記第1期間よりも長い第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す複数の第2情報を取得し、前記複数の第2情報のうち、前記第1期間と同じ長さの第3期間における蒸気の漏洩量の時間的推移が前記第1情報が示す蒸気の漏洩量の時間的推移と類似している第3情報を抽出し、前記第3情報を出力する、処理を実行させる。
【0021】
本構成によれば、上記出力方法と同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、将来の蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を適切に把握することができる出力方法、出力装置及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】蒸気トラップ管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】サーバ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移の一例を示す図である。
【
図4】蒸気トラップ管理システムにおける診断作業時の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】報告書作成処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図7】第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第1報告書の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。尚、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0025】
<システムの構成>
図1は、蒸気トラップ管理システム100の構成を示すブロック図である。蒸気トラップ管理システム100は、診断装置1と、ノートパソコン又はタブレット端末等の情報処理装置2と、測定装置3と、クラウドサーバ等のサーバ装置4(出力装置)とを備えている。
【0026】
診断装置1と情報処理装置2とは、Bluetooth(登録商標)等の任意の通信方式によって相互に通信可能である。情報処理装置2とサーバ装置4とは、公衆回線網又はインターネット等の任意の通信ネットワーク9を介して、IP等の任意の通信方式によって相互に通信可能である。
【0027】
蒸気配管系を備えたプラントにおいては、配管系内に生じた復水(ドレン)を配管系の外部に排出するために、配管系の適所に複数の蒸気トラップが設置されている。経年劣化又は作動不良等によって蒸気トラップの性能が損なわれると、配管系内の蒸気が蒸気トラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招く。
【0028】
また、長期にわたる蒸気と配管の材質との反応によって配管内に蓄積した錆やスケール等の不純物が流通することで、蒸気トラップに偏摩耗が生じ、蒸気トラップの性能が損なわれることがある。スケールとは、配管内に流入する蒸気や復水に含まれるカルシウムやマグネシウム、シリカ等の無機塩類化合物が析出したものである。
【0029】
このため、一年に一回等の定期的に、複数の蒸気トラップを診断する作業(以降、診断作業)が行われる。尚、診断作業は、定期的に限らず、不定期に行われても良い。診断作業は、複数の作業者によって分担して行われる。各作業者は、診断装置1を携帯してプラント内を移動し、担当の一以上の蒸気トラップを診断装置1によって順次診断する。
【0030】
プラント内へのノートパソコン等の情報処理装置2の持ち込みが許可されている場合、作業者は、診断装置1と共に情報処理装置2を携帯して、各蒸気トラップを順に診断することもできる。この場合、診断装置1は、情報処理装置2及び通信ネットワーク9を介してサーバ装置4に、各蒸気トラップの診断結果をリアルタイムで送信することができる。一方、情報処理装置2の持ち込みが禁止されている場合、作業者は、営業車又は現場事務所等の待機場所に情報処理装置2を保管し、診断装置1のみを携帯して、担当の複数の蒸気トラップを診断装置1によって順次診断する。
【0031】
例えば、診断装置1は、作業者による操作に応じて蒸気トラップの振動及び温度を測定する。診断装置1は、振動及び温度の測定データに基づいて、蒸気トラップが正常状態であるか不良状態であるかを診断する。また、診断装置1は、振動及び温度の測定データに基づいて、蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量を算出する。診断装置1は、算出した蒸気の漏洩量に基づいて、蒸気トラップの状態(例えば、漏れなし、漏れ小、漏れ中、漏れ大、吹きっ放し等)を診断する。
【0032】
各蒸気トラップの診断結果は、診断装置1内のメモリに記憶される。作業者が待機場所に戻った後、診断装置1は、情報処理装置2及び通信ネットワーク9を介してサーバ装置4に、診断装置1内のメモリに記憶した担当の複数の蒸気トラップの診断結果を送信する。
【0033】
大規模なプラントでは数千個から数万個の蒸気トラップが設置されている場合がある。この場合、作業者による診断装置1を用いた手作業での各蒸気トラップの診断には多大な時間が必要になる。このため、通信ネットワーク9を介してサーバ装置4と相互に通信可能な測定装置3を、各蒸気トラップに常設しているプラントも存在する。
【0034】
測定装置3は、例えば一月に一回等の定期的に、各蒸気トラップの振動及び温度を測定し、振動及び温度の測定データをサーバ装置4に送信する。この場合、サーバ装置4が、診断装置1と同様に、受信した測定データに基づいて各蒸気トラップの診断を行う。
【0035】
サーバ装置4は、診断装置1から受信した複数の蒸気トラップの診断結果を示す情報、測定装置3から受信した測定データ、当該測定データに基づき診断した各蒸気トラップの診断結果を示す情報等の種々の情報を管理する。
【0036】
尚、サーバ装置4へのアクセス権を有する任意の情報処理装置(図略)は、通信ネットワーク9を介してサーバ装置4にアクセス可能である。これにより、当該情報処理装置において、サーバ装置4が管理している種々の情報を閲覧等することが可能となっている。
【0037】
<サーバ装置4の構成>
次に、サーバ装置4の構成の詳細について説明する。
図2は、サーバ装置4の構成の一例を示す図である。サーバ装置4は、通信部46、記憶部45及び制御部41を有している。
【0038】
通信部46は、IP等の任意の通信方式に対応した通信回路を用いて構成されている。通信部46は、通信ネットワーク9を介して情報処理装置2等の外部装置と通信を行う。
【0039】
記憶部45は、HDD、SSD、又はフラッシュメモリ等の書き換え可能な任意の記憶装置を用いて構成されている。記憶部45には、一以上のプラントのそれぞれの識別情報と対応付けて、各プラントの機器情報51が記憶されている。
【0040】
プラントの機器情報51とは、当該プラントで管理されている複数の蒸気トラップ及び配管系に関する情報である。プラントの機器情報51には、当該プラントが管理する複数の蒸気トラップのそれぞれの識別情報、位置情報、属性情報、条件情報及び特性情報が含まれる。また、プラントの機器情報51には、当該プラントが管理する各配管系を構成する配管の特性を示す配管特性情報と、当該機器情報51がサーバ装置4に記憶された時期を示す情報(以降、登録時期情報)と、が含まれる。
【0041】
配管特性情報には、各配管系を示すグループの識別情報と、各配管系を構成する配管に設置される正常状態の蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す関数(以降、漏洩量特性関数)が含まれている。漏洩量特性関数は、実験値等に基づき予め定められている。漏洩量特性関数は、時間の経過に応じて蒸気の漏洩量が線形的に増大する一次関数(線形関数)を示す。漏洩量特性関数が示す蒸気の漏洩量の増大率は、各配管系を構成する配管の材質に応じて異なっている。
【0042】
例えば、材質が低合金鋼(Cr-Mo鋼)の配管には、マグネタイトから成る水蒸気酸化スケールの層とスピネル酸化物から成る水蒸気酸化スケールの層とが略同じ厚さで平坦に蓄積する。低合金鋼の配管は、水蒸気酸化スケールが厚く蓄積するものの、水蒸気酸化スケールが配管から剥離することが少ないという特性を有する。
【0043】
一方、材質がオーステナイトステンレス鋼の配管には、配管中のクロム濃化層の影響を受けて、水蒸気酸化スケールが複雑な形状で蓄積する。このため、オーステナイトステンレス鋼の配管は、低合金鋼(Cr-Mo鋼)の配管よりも、水蒸気酸化スケールが配管から剥離され易いという特性を有する。
【0044】
したがって、オーステナイトステンレス鋼の配管によって構成された配管系の漏洩量特性関数が示す蒸気の漏洩量の増大率(漏洩量特性関数の傾き)は、低合金鋼(Cr-Mo鋼)の配管によって構成された配管系の漏洩量特性関数が示す蒸気の漏洩量の増大率よりも大きく定められている。
【0045】
記憶部45には、一以上のプラントのそれぞれの識別情報と対応付けて、各プラントにおける一以上の診断作業のそれぞれに対応する管理台帳52が記憶される。診断作業に対応する管理台帳52とは、当該診断作業における診断対象の複数の蒸気トラップのそれぞれの診断に必要な情報を含む管理台帳52である。
【0046】
管理台帳52には、診断作業を行う時期を示す情報(以降、時期情報)が含まれる。時期情報は、例えば、診断作業を行うときの年月日によって表される。ただし、時期情報は、診断作業を行うときの年月日に限らず、更に、午前、午後又は時刻を用いて表されてもよい。
【0047】
管理台帳52には、診断作業で診断する複数の蒸気トラップのそれぞれについて、診断順に、各蒸気トラップの識別情報、位置情報、属性情報、条件情報及び特性情報が記述されている。以降、蒸気トラップの識別情報、位置情報、属性情報、条件情報及び特性情報を総称する場合、蒸気トラップの管理情報と記載する
【0048】
識別情報は、診断対象の各蒸気トラップを識別する情報である。例えば、識別情報には、各蒸気トラップがプラントで管理する対象の蒸気トラップとして登録された順番を示すトラップナンバーが採用される。例えば、ある蒸気トラップが、プラントで管理する対象の蒸気トラップとして3番目に登録されたとする。この場合、当該蒸気トラップのトラップナンバー「3」が、当該蒸気トラップの識別情報として採用される。
【0049】
位置情報は、各蒸気トラップが設置されている位置を示す情報である。プラントに設置されている複数の配管系は、配管系を構成する配管の材質に応じて複数のグループに分類されている。配管の材質には、例えば、低合金(Cr-MO)鋼及びステンレス鋼等が含まれる。例えば、材質が低合金鋼の配管によって構成された配管系は、識別情報「低合金鋼」によって識別されるグループに分類されている。一方、材質がステンレス鋼の配管によって構成された配管系は、識別情報「ステンレス鋼」によって識別されるグループに分類されている。
【0050】
位置情報には、プラントを複数のエリアに区画したときの、各蒸気トラップが設置された場所を含むエリアの識別情報が含まれる。また、位置情報には、各エリアを複数行かつ複数列に並ぶ複数のグリッドに分割したときの、各蒸気トラップが設置されているグリッドの行番号及び列番号を示す情報が含まれる。
【0051】
属性情報は、各蒸気トラップの属性を示す情報である。例えば、属性情報には、各蒸気トラップの製造メーカ名、機種名、弁の開閉方式(以降、型式)を特定する情報及び復水の最大排出量を特定する情報(以降、モデル)が含まれる。
【0052】
条件情報は、各蒸気トラップの動作条件を示す情報である。例えば、条件情報には、各蒸気トラップの使用圧力及び設定温度が含まれる。
【0053】
特性情報は、各蒸気トラップの特性を示す情報である。例えば、特性情報には、各蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量と振動値との関係を示す情報(以降、振動特性)及び各蒸気トラップにおける蒸気の漏れ度合を判別するために用いる振動閾値等が含まれる。また、特性情報には、各蒸気トラップの状態を判別するために用いる温度閾値等が含まれる。
【0054】
各蒸気トラップの診断が終了すると、各蒸気トラップの診断を行った時期を示す情報(以降、診断時期情報)と各蒸気トラップの診断結果を示す情報(以降、診断結果情報)とが、管理台帳52に追記される。診断結果情報には、蒸気トラップが正常状態であるか不良状態であるかを示す情報、蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量、蒸気トラップにおける蒸気の漏れの状態等が含まれる。
【0055】
記憶部45の記憶領域の一部は、一以上のプラントのそれぞれの識別情報と対応付けて、各プラントにおける測定装置3が設置されている蒸気トラップの診断に関する情報を管理するための管理テーブル53として利用される。管理テーブル53には、各プラントにおける測定装置3が設置されている蒸気トラップの識別情報と、当該蒸気トラップの測定結果を示す測定データと、当該蒸気トラップの診断を行った時期を示す診断時期情報と、当該蒸気トラップの診断結果を示す診断結果情報と、が対応付けて記憶される。
【0056】
記憶部45には、複数の蒸気トラップの診断結果に関する報告書の定型フォーム54が記憶されている。例えば、記憶部45には、蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量に関する報告書の定型フォーム54として、漏洩量推移フォームF2(
図7)が記憶されている。
【0057】
制御部41は、CPU等を用いて構成されている。制御部41は、当該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、管理部411、診断部412、受付部413、取得部414(第1取得部、第2取得部)、算出部415、抽出部416、予測部417、作成部418及び出力部419を有している。
【0058】
管理部411は、管理台帳52を管理する。
【0059】
具体的には、あるプラントにおける診断作業に関する管理台帳52を通信部46が情報処理装置2から受信すると、管理部411は、当該管理台帳52を通信部46から取得する。管理部411は、当該管理台帳52(以降、取得台帳)に診断時期情報及び診断結果情報が含まれていない場合、当該取得台帳を新たな診断作業に対応する管理台帳52として、当該プラントの識別情報と対応付けて記憶部45に記憶する。
【0060】
一方、取得台帳に一以上の蒸気トラップの診断時期情報及び診断結果情報が含まれている場合、管理部411は、当該一以上の蒸気トラップの診断時期情報及び診断結果情報を、記憶部45に記憶されている取得台帳と同じ診断作業に対応する管理台帳52に追記する。これにより、管理部411は、記憶部45に記憶されている、取得台帳と同じ診断作業に対応する管理台帳52を更新する。
【0061】
具体的には、管理部411は、記憶部45に記憶されている、取得台帳と同じ時期情報を含み、且つ、取得台帳に含まれる診断時期情報及び診断結果情報に対応する一以上の蒸気トラップと同じ位置情報を含む管理台帳52を、取得台帳と同じ診断作業に対応する管理台帳52として特定する。管理部411は、特定した管理台帳52に、取得台帳に含まれる一以上の蒸気トラップの診断時期情報及び診断結果情報を追記する。
【0062】
管理部411は、更に管理テーブル53を管理する。
【0063】
具体的には、通信部46があるプラントに設置されている測定装置3から測定データ、当該プラントの識別情報、蒸気トラップの識別情報及び測定日時情報を受信すると、管理部411は、当該測定データ、プラントの識別情報、蒸気トラップの識別情報及び測定日時情報を通信部46から取得する。
【0064】
管理部411は、記憶部45に記憶されている、取得したプラントの識別情報に対応する一以上の機器情報51のうち、登録時期情報が示す時期が最新の機器情報51から、取得した蒸気トラップの識別情報を含む蒸気トラップの管理情報を抽出する。管理部411は、通信部46から取得した測定日時情報を診断時期情報とし、抽出した管理情報と、通信部46から取得した測定データと、当該診断時期情報と、を対応付けて、取得したプラントの識別情報に対応する管理テーブル53に記憶する。
【0065】
診断部412は、管理テーブル53に記憶されている測定データ及び当該測定データに対応する蒸気トラップの管理情報に基づいて、当該測定データに対応する蒸気トラップの診断を行う。測定データに対応する蒸気トラップとは、当該測定データをサーバ装置4に送信した測定装置3の測定対象の蒸気トラップである。
【0066】
具体的には、診断部412は、管理テーブル53において、診断に用いる対象の測定データ(以降、対象測定データ)に対応付けられている蒸気トラップの管理情報から、当該蒸気トラップの特性情報を取得する。診断部412は、当該特性情報に含まれる温度閾値と対象測定データに含まれる温度データとを比較し、また、当該特性情報に含まれる振動閾値と対象測定データに含まれる振動データとを比較する。診断部412は、これらの比較の結果に基づいて、対象測定データに対応する蒸気トラップが正常状態であるか不良状態であるかを診断する。
【0067】
また、診断部412は、取得した特性情報に含まれる振動特性と対象測定データに含まれる振動データとに基づいて、対象測定データに対応する蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量を算出する。診断部412は、算出した蒸気の漏洩量に応じて、当該蒸気トラップの状態(例えば、漏れなし、漏れ小、漏れ中、漏れ大、吹きっ放し等)を診断する。
【0068】
診断部412は、対象測定データに対応する蒸気トラップの診断を終了すると、当該対象測定データに対応する蒸気トラップの診断結果を示す診断結果情報を、当該対象測定データと対応付けて管理テーブル53に記憶する。
【0069】
受付部413は、報告書の作成を指示する情報(以降、作成指示情報)の入力を受け付ける。例えば、報告書には、指定されたプラントに設置されている指定された蒸気トラップ(以降、第1蒸気トラップ)における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す報告書(以降、第1報告書)等が含まれる。具体的には、通信部46が情報処理装置2等の外部装置から作成指示情報を受信した場合に、受付部413は、当該作成指示情報の入力を受け付ける。
【0070】
作成指示情報には、報告書の内容を特定する情報が含まれる。例えば、第1報告書の作成を指示する作成指示情報には、第1蒸気トラップの識別情報及び第1蒸気トラップが設置されているプラントの識別情報が含まれる。
【0071】
取得部414は、作成指示情報が示す報告書の作成に必要な蒸気トラップの診断結果を示す情報(以降、報告書に対応する結果情報)を取得する。
【0072】
例えば、受付部413が第1報告書の作成を指示する作成指示情報を受け付けたとする。この場合、取得部414は、第1蒸気トラップの直近の所定期間(以降、第1期間(例えば6年間))における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す情報(以降、第1情報)を、第1報告書に対応する結果情報として取得する。
【0073】
具体的には、取得部414は、第1報告書の作成を指示する作成指示情報から、第1蒸気トラップの識別情報及び第1蒸気トラップが設置されているプラントの識別情報を取得する。
【0074】
取得部414は、取得したプラントの識別情報と対応付けて記憶部45に記憶されている一以上の管理台帳52及び一以上の管理テーブル53において、第1蒸気トラップの識別情報と直近の第1期間内の時期を示す診断時期情報とに対応付けられている診断結果情報を参照する。
【0075】
取得部414は、当該診断結果情報に対応する診断時期情報と当該診断結果情報に含まれる第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量との組み合わせを、診断時期情報が示す時期が古いものから順番に取得する。これにより、取得部414は、取得した一以上の組み合わせを、第1蒸気トラップの直近の第1期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第1情報として取得する。
【0076】
取得部414は、更に、第1報告書に対応する結果情報として、第1蒸気トラップと同じ型式の複数の蒸気トラップ(以降、第2蒸気トラップ)のそれぞれについて、各第2蒸気トラップの第1期間よりも長い期間(以降、第2期間(例えば10年間))における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す情報(以降、第2情報)を取得する。
【0077】
具体的には、取得部414は、第1報告書の作成を指示する作成指示情報から、第1蒸気トラップの識別情報及び第1蒸気トラップが設置されているプラントの識別情報を取得する。取得部414は、記憶部45に記憶されている、当該プラントの識別情報に対応する機器情報51のうち、登録時期情報が示す時期が最新の機器情報51を参照する。取得部414は、第1蒸気トラップの識別情報に対応する属性情報から、第1蒸気トラップの型式を特定する情報を取得する。
【0078】
取得部414は、記憶部45に記憶されている、第1蒸気トラップの型式と同じ型式を特定する情報を属性情報に含んでいる一以上の管理台帳52及び一以上の管理テーブル53を参照する。
【0079】
取得部414は、当該一以上の管理台帳52及び一以上の管理テーブル53に含まれる、各蒸気トラップの識別情報と、当該識別情報に対応付けられた複数の診断時期情報のうち、最も古い時期を示す診断時期情報(以降、最古診断時期情報)及び最も新しい時期を示す診断時期情報(以降、最新診断時期情報)を参照する。
【0080】
取得部414は、最古診断時期情報が示す時期から最新診断時期情報が示す時期までの期間が第1期間よりも長い蒸気トラップの識別情報を、第2蒸気トラップの識別情報として取得する。
【0081】
取得部414は、取得した複数の第2蒸気トラップの識別情報のそれぞれについて、上記の参照した一以上の管理台帳52及び一以上の管理テーブル53において各第2蒸気トラップの識別情報と対応付けられている一以上の診断結果情報を参照する。
【0082】
取得部414は、参照した各診断結果情報に対応する診断時期情報と、参照した各診断結果情報に含まれる各第2蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量と、の組み合わせを、診断時期情報が示す時期が古いものから順番に取得する。これにより、取得部414は、取得した一以上の組み合わせを、各第2蒸気トラップの第1期間よりも長い第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第2情報として取得する。
【0083】
算出部415は、取得部414が取得した報告書に対応する結果情報に基づいて、当該報告書に関する統計処理を行う。
【0084】
例えば、算出部415は、取得部414が第1報告書に対応する結果情報として取得した第1情報に基づいて、第1報告書に関する統計処理を行う。具体的には、算出部415は、第1報告書に関する統計処理として、第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す近似関数を算出する。
【0085】
例えば、第1情報に含まれる診断時期情報が示す時期が遅くなるにつれて、第1情報に含まれる、当該診断時期情報に対応する第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量が線形的に増大しているとする。この場合、算出部415は、第1情報に含まれる診断時期情報が示す時期を説明変数とし、第1情報に含まれる、当該診断時期情報に対応する第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量を目的変数とした線形近似によってこれらの関係を示す一次関数を算出する。算出部415は、当該一次関数を、第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す近似関数として算出する。
【0086】
一方、第1情報に含まれる診断時期情報が示す時期が遅くなるにつれて、第1情報に含まれる、当該診断時期情報に対応する第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量が非線形的に増大しているとする。この場合、算出部415は、第1情報に含まれる診断時期情報が示す時期を説明変数とし、第1情報に含まれる、当該診断時期情報に対応する第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量を目的変数とした多項式近似によってこれらの関係を示す二次関数を算出する。算出部415は、当該二次関数を、第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す近似関数として算出する。
【0087】
抽出部416は、取得部414が取得した報告書に対応する結果情報から、当該報告書に関する種々の情報を抽出する。
【0088】
例えば、抽出部416は、取得部414が第1報告書に対応する結果情報として取得した複数の第2情報のうち、第1期間と同じ長さの期間(以降、第3期間)における蒸気の漏洩量の時間的推移が、取得部414が第1報告書に対応する結果情報として取得した第1情報が示す蒸気の漏洩量の時間的推移と類似している第2情報(以降、第3情報)を抽出する。
【0089】
具体的には、抽出部416は、複数の第2情報のうち、第2蒸気トラップの第1期間と同じ長さの何れかの期間における蒸気の漏洩量の増大量が、第1情報が示す第1期間における蒸気の漏洩量の増大量に最も近いことを示す第2情報を、第3情報として抽出する。
【0090】
尚、抽出部416による第3情報の抽出方法は、これに限らない。例えば、抽出部416は、ディープラーニング等の機械学習によって生成されたモデルを用いて、複数の第2情報から第3情報を抽出するようにしてもよい。
【0091】
具体的には、ある対象の蒸気トラップ(以降、第3蒸気トラップ)の直近の第1期間における蒸気の漏洩量の時間的推移(以降、第1時間的推移)と、第3蒸気トラップと同じ型式の複数の第4蒸気トラップのそれぞれについての第1期間よりも長い第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移(以降、複数の第2時間的推移)と、複数の第2時間的推移のうち、第1期間と同じ長さの第3期間における蒸気の漏洩量の時間的推移が第1時間的推移と類似している第2時間的推移(以降、第3時間的推移)と、の関係を機械学習したモデルを、記憶部45に予め記憶するようにしてもよい。
【0092】
この場合、抽出部416が、記憶部45から上記モデルを取得し、取得部414が取得した第1情報及び複数の第2情報を当該モデルに入力することによって、当該モデルが出力する第3時間的推移を示す情報を、第3情報として抽出するようにしてもよい。
【0093】
更に、抽出部416は、取得部414が第1報告書に対応する結果情報として取得した複数の第2情報のうち、全期間(第2期間)における蒸気の漏洩量の増大率が最も大きいことを示す第2情報(以降、第5情報)を抽出する。全期間(第2期間)における蒸気の漏洩量の増大率とは、第2期間の長さに対する、第2期間の開始時点から第2期間の終了時点までの間における蒸気の漏洩量の増大量の比率(=前記増大量/第2期間の長さ)である。
【0094】
予測部417は、取得部414が取得した報告書に対応する結果情報、算出部415による報告書に関する統計処理の結果及び抽出部416が抽出した報告書に関する種々の情報のうちの少なくとも一つに基づいて、報告書に関する種々の情報を予測する。
【0095】
例えば、予測部417は、取得部414が第1報告書に対応する結果情報として取得した第1情報と、算出部415が第1報告書に関する統計処理として算出した近似関数と、抽出部416が第1報告書に関する情報として抽出した第3情報及び第5情報と、に基づいて、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を予測する。
【0096】
図3は、第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移の一例を示す図である。
図3において、横軸は、時間を示し、縦軸は、第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量を示している。実線V511は、取得部414が取得した第1情報が示す、第1蒸気トラップの直近の第1期間T1における蒸気の漏洩量の時間的推移を示している。
【0097】
破線V512は、抽出部416が抽出した第3情報が示す、第2蒸気トラップの第2期間T2aにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示している。つまり、破線V512は、第1蒸気トラップと同じ型式の複数の第2蒸気トラップのうち、第1期間T1と同じ長さの第3期間T3における蒸気の漏洩量の時間的推移が、実線V511に示す、第1情報が示す蒸気の漏洩量の時間的推移と類似している第2蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示している。
【0098】
尚、
図3の例では、抽出部416が抽出した第3情報が示す、第2蒸気トラップの第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移が、破線V512に示すように、時間の増加に応じて蒸気の漏洩量が増大するものとなっている。しかし、第3情報が示す、第2蒸気トラップの第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移は、これに限らず、時間の増加に応じて蒸気の漏洩量が減少することを含む場合もある。
【0099】
角点線V513は、算出部415が算出した近似関数が示す、第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示している。
【0100】
二点鎖線V514は、抽出部416が抽出した第5情報が示す、第2蒸気トラップの第2期間T2bにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示している。つまり、二点鎖線V514は、第1蒸気トラップと同じ型式の複数の第2蒸気トラップのうち、第1期間T1よりも長い期間(第2期間T2b)における蒸気の漏洩量の増大率が最も大きい、第2蒸気トラップの蒸気の漏洩量の時間的推移を示している。
【0101】
尚、
図3の例では、抽出部416が抽出した第5情報が示す、第2蒸気トラップの第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移が、二点鎖線V514に示すように、時間の増加に応じて蒸気の漏洩量が増大するものとなっている。しかし、第5情報が示す、第2蒸気トラップの第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移は、これに限らず、時間の増加に応じて蒸気の漏洩量が減少することを含む場合もある。
【0102】
上記の場合、予測部417は、例えば、丸点線V515に示すように、算出部415が算出した近似関数によって示される第1期間T1以降における蒸気の漏洩量と、抽出部416が抽出した第3情報が示す、第3期間T3以降における蒸気の漏洩量と、の平均値の時間的推移を、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の一の時間的推移(以降、第1予測時間的推移)として予測(算出)する。
【0103】
具体的には、予測部417は、第1期間T1及び第3期間T3の終了時点からの経過時間が対応する複数のサンプル点における、近似関数によって示される蒸気の漏洩量と第3情報が示す蒸気の漏洩量との平均値を算出する。これにより、予測部417は、近似関数によって示される第1期間T1以降における蒸気の漏洩量と第3情報が示す第3期間T3以降における蒸気の漏洩量との平均値の時間的推移を算出する。
【0104】
また、予測部417は、例えば、一点鎖線V516に示すように、算出部415が算出した近似関数によって示される第1期間T1以降における蒸気の漏洩量と、抽出部416が抽出した第5情報が示す、第3期間T3以降における蒸気の漏洩量と、の平均値の時間的推移を、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の他の時間的推移(以降、第2予測時間的推移)として予測(算出)する。尚、予測部417は、第1予測時間的推移及び第2予測時間的推移のうちの何れか一方のみを予測するようにしてもよい。
【0105】
具体的には、予測部417は、第1期間T1及び第3期間T3の終了時点からの経過時間が対応する複数のサンプル点における、近似関数によって示される蒸気の漏洩量と第5情報が示す蒸気の漏洩量との平均値を算出する。これにより、予測部417は、近似関数によって示される第1期間T1以降における蒸気の漏洩量と第5情報が示す第3期間T3以降における蒸気の漏洩量との平均値の時間的推移を算出する。
【0106】
また、予測部417が、破線V512に示すように、抽出部416が抽出した第3情報が示す、第3期間T3以降における蒸気の漏洩量の時間的推移を、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移として予測するようにしてもよい。
【0107】
又は、予測部417が、二点鎖線V514に示すように、抽出部416が抽出した第5情報が示す、第3期間T3以降における蒸気の漏洩量の時間的推移を、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移として予測するようにしてもよい。
【0108】
又は、予測部417が、角点線V513に示すように、算出部415が算出した近似関数によって示される第1期間T1以降における蒸気の漏洩量の時間的推移を、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移として予測するようにしてもよい。
【0109】
作成部418は、記憶部45に記憶されている、受付部413が受け付けた作成指示情報が示す報告書の定型フォーム54に、当該作成指示情報、取得部414が取得した当該報告書に対応する結果情報、算出部415による当該報告書に関する統計処理の結果、抽出部416が抽出した当該報告書に関する種々の情報、及び予測部417が予測した当該報告書に関する種々の情報のうちの少なくとも一つを挿入する。これにより、作成部418は、受付部413が受け付けた作成指示情報が示す報告書を作成する。
【0110】
出力部419は、通信部46を用いて、作成指示情報を送信した外部装置に対し、作成部418が作成した報告書を示すデータ(以降、報告書データ)を返信(出力)する。尚、出力部419が、返信する報告書データを記憶部45に記憶(出力)するようにしてもよい。これにより、サーバ装置4にアクセス可能な情報処理装置2等の情報処理装置が、記憶部45に記憶されている報告書データを取得できるようにしてもよい。
【0111】
<診断作業の流れ>
次に、作業者が診断装置1を用いて複数の蒸気トラップの診断作業を行う場合に、蒸気トラップ管理システム100において行われる処理の流れについて説明する。
図4は、蒸気トラップ管理システム100における診断作業時の処理の流れを示すシーケンス図である。情報処理装置2は、作業者による操作に応じて、診断作業の対象となる複数の蒸気トラップに関する管理台帳52を作成する(ステップS1)。
【0112】
情報処理装置2は、診断作業の対象となる複数の蒸気トラップが設置されているプラントの識別情報と共に、ステップS1で作成された管理台帳52をサーバ装置4に送信する(ステップS2)。
【0113】
サーバ装置4において、通信部46は、情報処理装置2から送信されたプラントの識別情報及び管理台帳52を受信する。管理部411は、通信部46から当該プラントの識別情報及び管理台帳52を取得し、当該管理台帳52を当該プラントの識別情報と対応付けて記憶部45に記憶する(ステップS3)。
【0114】
情報処理装置2は、作業者による操作に応じて、ステップS1で作成された管理台帳52をフラッシュメモリに記憶する。作業者は、当該管理台帳52が記憶されたフラッシュメモリを、診断装置1に接続する(ステップS4)。
【0115】
管理台帳52が記憶されたフラッシュメモリが診断装置1に接続されると、診断装置1は、自動的に又は作業者による操作に応じて、当該フラッシュメモリから管理台帳52を取得し、当該管理台帳を記憶する(ステップS5)。
【0116】
尚、作業者が診断装置1と情報処理装置2とを携帯している場合、ステップS4において、情報処理装置2がステップS1で作成された管理台帳52を当該診断装置1に送信するようにしてもよい。そして、当該診断装置1が、情報処理装置2から送信された管理台帳52を受信すると、ステップS5において、当該管理台帳52を診断装置1が備えるメモリに記憶するようにしてもよい。
【0117】
作業者は、診断装置1(及び許可されている場合には情報処理装置2)を携帯してプラント内を移動することにより、診断装置1によって各蒸気トラップを順に診断する(ステップS6)。その際、作業者の操作により、診断装置1は、事前準備で記憶した管理台帳52を、自身が備える液晶ディスプレイ等の表示部に表示する。これにより、作業者は、複数の蒸気トラップの診断順と、各蒸気トラップの管理情報(識別情報、位置情報、属性情報及び特性情報)と、を認識することができる。
【0118】
尚、作業者が診断装置1と情報処理装置2とを携帯している場合、管理台帳52を情報処理装置2が備える液晶ディスプレイ等の表示部に表示させても良い。通常は診断装置1よりも情報処理装置2のほうが大きい表示部を有するため、管理台帳52を情報処理装置2の表示部に表示することにより、作業者による視認性が向上する。
【0119】
作業者は、表示された管理台帳52から認識できる診断順及び位置情報にしたがって、診断対象の蒸気トラップが設置されている場所に移動する。作業者は、診断装置1を操作して、管理台帳52に含まれている複数の蒸気トラップの中から今回の診断対象である一の蒸気トラップを選択する。
【0120】
次に、作業者は、診断装置1の探針(図略)を、今回の診断対象である蒸気トラップ(以降、対象蒸気トラップ)に押し当てる。これにより、診断装置1は、対象蒸気トラップの温度及び振動の測定を行う。診断装置1は、管理台帳52から、対象蒸気トラップの識別情報を含む管理情報を取得し、当該管理情報に含まれる特性情報及び対象蒸気トラップの温度及び振動の測定データに基づいて、対象蒸気トラップを診断する。診断装置1は、対象蒸気トラップの診断の結果を示す診断結果情報を表示部に表示する。
【0121】
診断装置1は、対象蒸気トラップの診断時期を示す診断時期情報と対象蒸気トラップの診断結果を示す診断結果情報とを、メモリに記憶されている管理台帳52に追記することで、当該管理台帳52を更新する(ステップS7)。
【0122】
作業者は、担当する一以上の蒸気トラップの診断作業を終了すると、診断装置1にフラッシュメモリを接続する。診断装置1にフラッシュメモリが接続されると、診断装置1は、自動的に又は作業者による操作に応じて、メモリに記憶されている更新後の管理台帳52を、フラッシュメモリに記憶する。作業者は、当該更新後の管理台帳52が記憶されたフラッシュメモリを、情報処理装置2に接続する(ステップS8)。
【0123】
情報処理装置2は、フラッシュメモリが接続されると、自動的に又は作業者による操作に応じて、当該フラッシュメモリから更新後の管理台帳52を取得する(ステップS9)。
【0124】
尚、作業者が診断装置1と情報処理装置2とを携帯している場合には、ステップS8において、診断装置1が、メモリに記憶されている更新後の管理台帳52を情報処理装置2に送信するようにしてもよい。そして、ステップS9では、情報処理装置2が、当該診断装置1から受信した更新後の管理台帳52を取得するようにしてもよい。
【0125】
次に、情報処理装置2は、ステップS9で取得した更新後の管理台帳52を、診断作業が行われた蒸気トラップが設置されているプラントの識別情報と共に、サーバ装置4に送信する(ステップS10)。
【0126】
サーバ装置4では、通信部46が情報処理装置2から更新後の管理台帳52及びプラントの識別情報を受信すると、管理部411は、通信部46が受信した更新後の管理台帳52及びプラントの識別情報を通信部46から取得する。管理部411は、取得した管理台帳52によって、当該取得したプラントの識別情報と対応付けて記憶部45に記憶されている、当該取得した管理台帳52と同じ診断作業に対応する管理台帳52を更新する(ステップS11)。
【0127】
尚、ステップS10において、情報処理装置2が、更新後の管理台帳52をサーバ装置4に送信することに替えて、更新後の管理台帳52に含まれる時期情報と、ステップS7で管理台帳52に追記された各蒸気トラップの診断時期情報及び診断結果情報と、当該診断時期情報及び診断結果情報に対応する蒸気トラップの位置情報と、をサーバ装置4に送信するようにしてもよい。
【0128】
これに応じて、サーバ装置4では、ステップS11において、管理部411が、通信部46が受信した、時期情報、各蒸気トラップの位置情報、診断時期情報及び診断結果情報を通信部46から取得するようにしてもよい。これに合わせて、管理部411が、取得した診断時期情報及び診断結果情報を、ステップS10で取得されたプラントの識別情報と対応付けて記憶部45に記憶されている、取得した時期情報と同じ時期情報を含み、且つ、取得した位置情報と同じ位置情報を含む管理台帳52に追記するようにしてもよい。
【0129】
<診断処理の流れ>
次に、蒸気トラップ管理システム100において行われる診断処理の流れについて説明する。診断処理とは、複数の測定装置3による複数の蒸気トラップの測定結果を示す測定データに基づいて、当該複数の蒸気トラップの診断を行う処理である。
図5は、診断処理の流れを示すシーケンス図である。
【0130】
複数の測定装置3は、それぞれ、定期的に測定処理を実行する(ステップS21)。各測定装置3は、測定処理による対象蒸気トラップの温度及び振動の測定結果を示す測定データ、対象蒸気トラップが設置されているプラントの識別情報、対象蒸気トラップの識別情報及び現在日時を示す測定日時情報をサーバ装置4へ送信する(ステップS22)。
【0131】
サーバ装置4において、管理部411は、通信部46が測定装置3から受信した測定データ、プラントの識別情報、対象蒸気トラップの識別情報及び測定日時情報を通信部46から取得する(ステップS23)。
【0132】
管理部411は、記憶部45に記憶されている、ステップS23で取得したプラントの識別情報に対応するプラントの機器情報51のうち、登録時期情報が最新の(過去の最も近い)時期を示すプラントの機器情報51を参照する。管理部411は、当該参照した機器情報51から、ステップS23で取得した対象蒸気トラップの識別情報を含む蒸気トラップの管理情報を抽出する(ステップS24)。
【0133】
管理部411は、ステップS23で取得した測定日時情報を診断時期情報とし、ステップS24で抽出した管理情報とステップS23で取得した測定データと当該診断時期情報とを対応付けて、記憶部45に記憶されている、ステップS23で取得したプラントの識別情報に対応する管理テーブル53に記憶する(ステップS25)。
【0134】
診断部412は、管理テーブル53に記憶されている測定データ及び当該測定データに対応する蒸気トラップの管理情報に基づいて、当該測定データに対応する蒸気トラップの診断を行う(ステップS26)。尚、ステップS26は、ステップS25の終了直後に行われてもよいし、ステップS25の終了後、所定時間が経過した時点で行われてもよい。
【0135】
診断部412は、ステップS26における、測定データに対応する蒸気トラップの診断結果を示す診断結果情報を、当該測定データと対応付けて管理テーブル53に記憶する(ステップS27)。
【0136】
<報告書作成処理の流れ>
次に、蒸気トラップ管理システム100において行われる報告書作成処理の流れについて説明する。報告書作成処理とは、情報処理装置2において入力された作成指示情報が示す報告書を作成する処理である。
図6は、報告書作成処理の流れを示すシーケンス図である。
【0137】
情報処理装置2において、作業者の操作に応じて、報告書を作成する作成指示情報が入力されると(ステップS31)、情報処理装置2は、サーバ装置4に当該作成指示情報を送信する(ステップS32)。
【0138】
受付部413は、通信部46が情報処理装置2から作成指示情報を受信した場合に、当該作成指示情報の入力を受け付ける(ステップS33)。取得部414は、ステップS33で受け付けられた作成指示情報が示す作成対象の報告書に対応する結果情報を取得する(ステップS34)。
【0139】
例えば、ステップS33において、受付部413が第1報告書の作成を指示する作成指示情報を受け付けたとする。この場合、ステップS34において、取得部414は、第1蒸気トラップの直近の第1期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第1情報を、第1報告書に対応する結果情報として取得する。また、ステップS34において、取得部414は、第1蒸気トラップと同じ型式の複数の第2蒸気トラップのそれぞれについて、各第2蒸気トラップの第1期間よりも長い第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第2情報を、第1報告書に対応する結果情報として取得する。
【0140】
算出部415は、ステップS34で取得された報告書に対応する結果情報に基づいて、当該報告書に関する統計処理を行う(ステップS35)。
【0141】
例えば、ステップS35において、算出部415は、ステップS34で第1報告書に対応する結果情報として取得された第1情報に基づいて、第1報告書に関する統計処理として、第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す近似関数を算出する。
【0142】
抽出部416は、ステップS34で取得された報告書に対応する結果情報から、当該報告書に関する種々の情報を抽出する(ステップS36)。
【0143】
例えば、ステップS36において、抽出部416は、ステップS34で第1報告書に対応する結果情報として取得された複数の第2情報のうち、第1期間と同じ長さの第3期間における蒸気の漏洩量の時間的推移が、ステップS34で第1報告書に対応する結果情報として取得された第1情報が示す蒸気の漏洩量の時間的推移と類似している第3情報を抽出する。更に、ステップS36において、抽出部416は、ステップS34で第1報告書に対応する結果情報として取得した複数の第2情報のうち、全期間(第2期間)における蒸気の漏洩量の増大率が最も大きいことを示す第5情報を抽出する。
【0144】
予測部417は、ステップS34で取得された報告書に対応する結果情報、ステップS5における当該報告書に関する統計処理の結果及びステップS36で抽出された当該報告書に関する種々の情報のうちの少なくとも一つに基づいて、当該報告書に関する種々の情報を予測する(ステップS37)。
【0145】
例えば、ステップS37において、予測部417は、ステップS34で取得された第1報告書に対応する結果情報と、ステップS35における第1報告書に関する統計処理の結果と、ステップS36で抽出された第3情報及び第5情報と、に基づいて、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を予測する。
【0146】
作成部418は、記憶部45に記憶されている、ステップS33で受け付けられた作成指示情報が示す報告書の定型フォーム54を取得する。作成部418は、当該定型フォーム54に、ステップS33で受け付けられた作成指示情報、ステップS34で取得された報告書に対応する結果情報、ステップS35における報告書に関する統計処理の結果、ステップS36で抽出された報告書に関する種々の情報、及びステップS37で予測された報告書に関する種々の情報のうちの少なくとも一つを挿入する。これによって、作成部418は、作成指示情報が示す報告書を作成する(ステップS38)。
【0147】
出力部419は、通信部46を用いて、ステップS33で受け付けられた作成指示情報を送信した情報処理装置2に対して、ステップS38で作成された報告書を示す報告書データを返信する(ステップS39)。
【0148】
情報処理装置2は、サーバ装置4から報告書データを受信すると、当該報告書データが示す報告書を、自身が備える表示部に表示する(ステップS40)。
【0149】
<報告書の具体例>
以下では、報告書作成処理において作成する報告書の具体例として、第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第1報告書について説明する。本説明において、ステップS38(
図6)における作成部418の処理内容の詳細について説明する。
【0150】
図7は、第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第1報告書R2の一例を示す図である。ステップS38(
図6)において、作成部418は、記憶部45に記憶されている、第1報告書R2の定型フォーム54(
図2)である漏洩量推移フォームF2を取得する。
【0151】
作成部418は、ステップS33(
図6)で受け付けられた作成指示情報と、ステップS34(
図6)で取得された第1情報と、ステップS35(
図6)で算出された近似関数と、を漏洩量推移フォームF2に挿入する。また、作成部418は、ステップS36(
図6)で抽出された第3情報及び第5情報と、ステップS37(
図6)で予測された第1予測時間的推移及び第2予測時間的推移と、を漏洩量推移フォームF2に挿入する。これにより、作成部418は、第1報告書R2を作成する。
【0152】
具体的には、
図7に示すように、漏洩量推移フォームF2には、タイトル領域T2と、グラフ領域A21と、凡例領域A22と、が設けられている。
【0153】
タイトル領域T2は、第1報告書R2のタイトルの挿入部である。作成部418は、作成指示情報に含まれるプラントの識別情報「プラントA」と、作成指示情報に含まれる第1蒸気トラップの識別情報「IDx」と、を用いて第1報告書R2のタイトル「プラントAの蒸気トラップ「IDx」の蒸気漏洩量推移」を作成し、当該タイトルをタイトル領域T2に挿入する。
【0154】
グラフ領域A21は、第1蒸気トラップの蒸気の漏洩量の時間的推移を示すグラフの挿入部である。グラフ領域A21の横軸は、時間を示し、グラフ領域A21の縦軸は、第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量を示している。尚、グラフ領域A21の縦軸に記載の「閉塞」は、閉塞状態の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の下限値を示している。グラフ領域A21の縦軸に記載の「漏れ大」は、蒸気の漏洩状態が「漏れ大」の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の下限値を示している。グラフ領域A21の横軸に記載の「現在」は、最も直近に第1蒸気トラップの診断が行われた時点を示している。
【0155】
作成部418は、ステップS34(
図6)で取得された第1情報を示すグラフG511及びステップS36(
図6)で抽出された第3情報を示すグラフG512を作成する。作成部418は、ステップS35(
図6)で算出された近似関数を示すグラフG513(第7情報)及びステップS36(
図6)で抽出された第5情報を示すグラフG514を作成する。作成部418は、ステップS37(
図6)で予測された第1予測時間的推移を示すグラフG515(第4情報)及びステップS37(
図6)で予測された第2予測時間的推移を示すグラフG516(第6情報)を作成する。作成部418は、作成した6個のグラフG511~G516をグラフ領域A21に挿入する。
【0156】
凡例領域A22は、グラフ領域A21に挿入される6個のグラフG511~G516の凡例の挿入部である。
【0157】
作成部418は、ステップS38(
図6)において、6個のグラフG511~G516の凡例を凡例領域A22に挿入する。具体的には、作成部418は、各グラフの線種を示す画像(実線、破線、角点線、二点鎖線、丸点線、一点鎖線)と各グラフの名称(「実績値」、「類似実績値」、「近似関数」、「最低実績値」、「近似関数&類似実績値の平均値」、「近似関数&最低実績値の平均値」)との組み合わせを作成する。作成部418は、作成した6個の組み合わせを、6個のグラフG511~G516の凡例として、凡例領域A22に挿入する。
【0158】
第1報告書R2によれば、グラフ領域A21に表示されたグラフG512~G516が示す「現在」以降の蒸気の漏洩量の時間的推移を、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移の一例として把握することができる。
【0159】
例えば、グラフG512が示す「現在」以降の蒸気の漏洩量の時間的推移を、理想的な将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移の一例として把握することができる。グラフG515が示す「現在」以降の蒸気の漏洩量の時間的推移を、現実的な将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移の一例として把握することができる。グラフG513が示す「現在」以降の蒸気の漏洩量の時間的推移を、理論上推定される将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移の一例として把握することができる。
【0160】
また、グラフG514が示す「現在」以降の蒸気の漏洩量の時間的推移を、第1蒸気トラップに例外的な不良が生じた場合における、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移の一例として把握することができる。グラフG516が示す「現在」以降の蒸気の漏洩量の時間的推移を、第1蒸気トラップに現実的な不良が生じた場合における、将来の第1蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移の一例として把握することができる。
【0161】
尚、作成部418が、グラフG513~G516のうち一以上のグラフをグラフ領域A21に挿入しないようにし、グラフ領域A21に挿入するグラフの凡例を作成して、凡例領域A22に挿入するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0162】
4 :サーバ装置(出力装置)
414 :取得部(第1取得部、第2取得部)
416 :抽出部
419 :出力部
T1 :第1期間
T2a :第2期間
T2b :第2期間
T3 :第3期間
【要約】
【課題】将来の蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量の時間的推移を適切に把握する。
【解決手段】出力方法は、蒸気トラップにおける蒸気の漏洩量に関する情報を出力する出力装置における出力方法であって、第1蒸気トラップの直近の第1期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す第1情報を取得し、第1蒸気トラップと同じ型式の複数の第2蒸気トラップの第1期間よりも長い第2期間における蒸気の漏洩量の時間的推移を示す複数の第2情報を取得し、複数の第2情報のうち、第1期間と同じ長さの第3期間における蒸気の漏洩量の時間的推移が第1情報が示す蒸気の漏洩量の時間的推移と類似している第3情報を抽出し、第3情報を出力する。
【選択図】
図3