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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】無人航空機管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/646 20240101AFI20240227BHJP
   B64F 1/36 20240101ALI20240227BHJP
   B64U 10/14 20230101ALI20240227BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20240227BHJP
   G05D 1/46 20240101ALI20240227BHJP
【FI】
G05D1/646
B64F1/36
B64U10/14
G08G5/00 A
G05D1/46
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023160063
(22)【出願日】2023-09-25
【審査請求日】2023-09-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516318961
【氏名又は名称】有限会社村上不動産鑑定士事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(74)【代理人】
【識別番号】100192692
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 幸二郎
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-193022(JP,A)
【文献】特開2002-19603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/87
B64F 1/36
B64U 10/14
G08G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機と、当該無人航空機を制御する制御装置とを有する無人航空機管理システムであって、
前記無人航空機は、飛行可能であって、かつ予め設置されたガイドに沿って移動可能であり、
前記制御装置は、
前記無人航空機が飛行可能な飛行可能領域と、前記無人航空機の飛行が少なくとも一部の領域で制限される飛行制限領域とが設定された地図データを記録する記録手段と、
前記地図データに基づいて、前記飛行可能領域では前記無人航空機を飛行させ、前記飛行制限領域では予め設置されたガイドに沿って前記無人航空機を移動させるように、前記無人航空機を制御する制御手段と、を備え、
前記飛行制限領域は、当該飛行制限領域のうち、建物及び/又は人が他の領域よりも多く存在する保護領域を有し、
前記ガイドは、前記保護領域を囲う当該保護領域の周縁の少なくとも一部に配置される、
無人航空機管理システム。
【請求項2】
無人航空機と、当該無人航空機を制御する制御装置とを有する無人航空機管理システムであって、
前記無人航空機は、飛行可能であって、かつ予め設置されたガイドに沿って移動可能であり、
前記制御装置は、
前記無人航空機が飛行可能な飛行可能領域と、前記無人航空機の飛行が少なくとも一部の領域で制限される飛行制限領域とが設定された地図データを記録する記録手段と、
前記地図データに基づいて、前記飛行可能領域では前記無人航空機を飛行させ、前記飛行制限領域では予め設置されたガイドに沿って前記無人航空機を移動させるように、前記無人航空機を制御する制御手段と、を備え、
前記飛行制限領域は、当該飛行制限領域のうち、建物及び/又は人が他の領域よりも多く存在する保護領域を有し、
前記ガイドは、前記保護領域に存在する前記建物に配置される、
人航空機管理システム。
【請求項3】
無人航空機と、当該無人航空機を制御する制御装置とを有する無人航空機管理システムであって、
前記無人航空機は、飛行可能であって、かつ予め設置されたガイドに沿って移動可能であり、
前記制御装置は、
前記無人航空機が飛行可能な飛行可能領域と、前記無人航空機の飛行が少なくとも一部の領域で制限される飛行制限領域とが設定された地図データを記録する記録手段と、
前記地図データに基づいて、前記飛行可能領域では前記無人航空機を飛行させ、前記飛行制限領域では予め設置されたガイドに沿って前記無人航空機を移動させるように、前記無人航空機を制御する制御手段と、を備え、
前記ガイドは、前記無人航空機が当該ガイドに進入可能な進入ポート、及び/又は前記無人航空機が当該ガイドに離脱可能な離脱ポートを備え、
前記進入ポート及び/又は前記離脱ポートにおける前記ガイドは、略環形状である、
人航空機管理システム。
【請求項4】
前記ガイドは、前記飛行制限領域を囲う当該飛行制限領域の周縁の少なくとも一部に配置される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の無人航空機管理システム。
【請求項5】
前記無人航空機が前記ガイドに進入する場合、当該ガイドにおける進入予定位置に他の無人航空機が存在するか否かを判定し、
前記他の無人航空機が存在しないと判定した場合、前記無人航空機が前記ガイドにおける進入予定位置に進入する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の無人航空機管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無人航空機(所謂ドローン)が普及しつつあり、その一方で、上空を多くのドローンが縦横無尽に飛行することにより衝突などの事故が発生して、ドローンが墜落することが懸念される。また、飛行中に故障が発生したりすることも考えられる。
【0003】
このように、何らかの原因でドローンが飛行を継続できず、例えば、住宅地域や商業地域などに墜落してしまうと、人に大けがを負わせたり、住宅、店舗及び自動車などを破損させたりする可能性がある。
【0004】
例えば、特許文献1では、民家や道路等のような落下回避領域を判別し、そこに接近している場合には、飛行速度を上昇させるように制御することで、仮に故障により墜落する場合において落下回避領域よりも先に落下させるように制御している。このように、落下回避領域への落下を極力回避する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-210156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、上空における突発的な衝突事故や故障などにより落下回避領域への落下が回避できない状況が考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、住宅地域や商業地域などの落下回避領域では無人航空機の自由飛行を制限することにより、落下回避領域への落下をより適切に回避することができる無人航空機管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る無人航空機管理システムは、無人航空機と、当該無人航空機を制御する制御装置とを有する無人航空機管理システムであって、無人航空機は、飛行可能であって、かつ予め設置されたガイドに沿って移動可能であり、制御装置は、無人航空機が飛行可能な飛行可能領域と、無人航空機の飛行が少なくとも一部の領域で制限される飛行制限領域とが設定された地図データを記録する記録手段と、地図データに基づいて、飛行可能領域では無人航空機を飛行させ、飛行制限領域では予め設置されたガイドに沿って無人航空機を移動させるように、無人航空機を制御する制御手段と、を備える。
【0009】
上記態様において、ガイドは、飛行制限領域を囲う当該飛行制限領域の周縁の少なくとも一部に配置されてもよい。
【0010】
上記態様において、飛行制限領域は、当該飛行制限領域のうち、建物及び/又は人が他の領域よりも多く存在する保護領域を有し、ガイドは、保護領域を囲う当該保護領域の周縁の少なくとも一部に配置されてもよい。
【0011】
上記態様において、飛行制限領域は、当該飛行制限領域のうち、建物及び/又は人が他の領域よりも多く存在する保護領域を有し、ガイドは、保護領域に存在する建物に配置されてもよい。
【0012】
上記態様において、無人航空機がガイドに進入する場合、当該ガイドにおける進入予定位置に他の無人航空機が存在するか否かを判定し、他の無人航空機が存在しないと判定した場合、無人航空機がガイドにおける進入予定位置に進入してもよい。
【0013】
上記態様において、ガイドは、無人航空機が当該ガイドに進入可能な進入ポート、及び/又は無人航空機が当該ガイドから離脱可能な離脱ポートを備え、進入ポート及び/又は離脱ポートにおけるガイドは、略環形状であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、住宅地域や商業地域などの落下回避領域では無人航空機の自由飛行を制限することにより、落下回避領域への落下をより適切に回避することができる無人航空機管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るドローン(無人航空機)管理システム10における各機能を示す機能ブロック図である。
図2】地図データに基づいて設定される飛行可能領域及び飛行制限領域を説明するための図である。
図3】住宅地域において設定されるガイドレールの一例を示す図である。
図4】商業地域において設定されるガイドレールの一例を示す図である。
図5】建物に配置されるガイドレールの一例を示す図である。
図6】ガイドレールにおける進入ポート/離脱ポートの一例を示す図である。
図7】他の実施形態における飛行制限領域及びガイドレールを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
【0017】
<一実施形態>
[ドローン管理システムの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るドローン(無人航空機)管理システム10における各機能を示す機能ブロック図である。図1に示されるように、ドローン管理システム10は、制御装置100及びドローン(無人航空機)200を備え、当該ドローン200は、制御装置100によって制御される。
【0018】
ドローン200は、自由飛行が可能な小型の無人航空機であって、さらに、予め設置されたガイドレールに沿って走行可能でもある。ドローン200は、例えば、予め設定された飛行経路及びガイドレールに沿った走行経路に基づいて、プログラムにより自動的に目標位置まで移動してもよいし、リモートコントローラを用いて操作者に操作されることにより目標位置まで移動してもよい。
【0019】
制御装置100は、記録手段110と制御手段120とを備える。制御装置100は、複数のドローン200の動作を制御しつつ、それらを管理するコンピュータ(サーバ装置)であってもよいし、1つのドローン200毎に対応して当該1つのドローン200の動作を制御するコンピュータやリモートコントローラであってもよい。
【0020】
記録手段110は、ドローン200が飛行可能な飛行可能領域と、ドローンの飛行が少なくとも一部の領域で制限される飛行制限領域とが設定された地図データを記録する。
【0021】
ここで、飛行可能領域とは、ドローン200が縦横無尽に飛行することが許可されている領域であって、例えば、建物や人が少ない地域である。飛行可能領域では、ドローン200が落下した場合、その落下位置に建物や人が存在する可能性が低く、被害は小さくて済む。
【0022】
一方、飛行制限領域とは、ドローン200が縦横無尽に飛行することが許可されていない領域であって、例えば、建物や人が多い地域である。飛行制限領域では、ドローン200が落下した場合、その落下位置に建物や人が存在する可能性が高く、被害は大きくなる可能性がある。飛行制限領域は、例えば、建物や人が多い住宅地域や商業地域であってもよく、より具体的には、オフィス街、繁華街及び住宅街などが混在する都市部、郊外のうち比較的人の往来が多い、駅周辺、商業施設周辺及び住宅街などであってもよい。
【0023】
なお、飛行制限領域では、ガイドレールが配置されており、ドローン200は、当該ガイドレールに沿って走行する。ガイドレールの配置について、詳細は後述する。
【0024】
[飛行可能領域及び飛行制限領域について]
図2は、地図データに基づいて設定される飛行可能領域及び飛行制限領域を説明するための図である。図2に示されるように、複数の住宅が存在している住宅街及び複数のビルが存在しているオフィス街をそれぞれ飛行制限領域FL10及びFL20として設定している。
【0025】
例えば、単位面積当たりの住宅数やビル数が閾値以上である場合には、その領域における建物や人は、他の領域よりも多く存在すると判定し、飛行制限領域として設定するようにしてもよい。
【0026】
また、市、区、町及び村における人口密度が閾値以上である場合、その市、区、町及び村を飛行制限領域として設定するようにしてもよいし、さらに、昼間及び夜間の人口密度に応じて、飛行制限領域の設定を切り替えるようにしてもよい。なお、飛行制限領域を設定する単位としては、市、区、町及び村などに限定されるものではなく、それらよりも広い範囲又は狭い範囲を単位とする人口密度などに応じて、各単位において飛行制限領域を設定してもよい。
【0027】
なお、ドローン200は、自由飛行可能な機器であることから、飛行制限領域FL10及びFL20以外は、飛行可能領域として設定すればよい。
【0028】
このように、飛行制限領域及び飛行可能領域が設定された地図データが予めメモリなどの記録手段110に記録されている。なお、記録手段110は、制御手段120とともに制御装置100に備えられているが、これに限定されるものはなく、例えば、記録手段110は、制御手段120を備える制御装置(サーバ装置、コンピュータ又はリモートコントローラなど)とは別の記憶装置やデータベース装置などであってもよい。
【0029】
制御手段120は、記録手段110に記録されている、上述のように飛行制限領域及び飛行可能領域が設定された地図データに基づいて、飛行可能領域ではドローン200を飛行させ、飛行制限領域では予め設置されたガイドレールに沿ってドローン200を走行させるように、ドローン200を制御する。
【0030】
例えば、制御手段120は、予め設定された経路に基づいて、又はリモートコントローラを用いて操作者に操作されることにより、飛行可能領域ではドローン200を飛行させ、飛行制限領域ではガイドレールに沿ってドローン200を走行させて、目標位置に向かわせる。飛行可能領域を飛行しているドローン200は、目標位置に向かう方向に、飛行制限領域が存在する場合、当該飛行制限領域に近づいた際に、当該飛行制限領域に配置されているガイドレールに進入する。そして、ドローン200は、ガイドレールに沿って走行し、目標位置に近づいた位置において当該ガイドレールを離脱して、再度、飛行可能領域を飛行して、目標位置に向かう。換言すれば、ドローン200は、飛行制限領域を飛行せずに、飛行制限領域に配置されているガイドレールを走行することにより、当該飛行制限領域を通過する。
【0031】
また、目標位置が飛行制限領域内に存在する場合には、飛行可能領域を飛行しているドローン200は、当該飛行制限領域に近づいた際に、当該飛行制限領域に配置されているガイドレールに進入する。そして、ドローン200は、ガイドレールに沿って走行し、飛行制限領域内に存在する目標位置に近づいた位置において当該ガイドレールを離脱して、飛行制限領域内を飛行して、目標位置に向かう。換言すれば、ドローン200は、飛行制限領域に配置されているガイドレールを走行することにより、飛行制限領域内における飛行を軽減している。
【0032】
[ガイドレールについて]
図3は、住宅地域において設定されるガイドレールの一例を示す図である。図3に示されるように、住宅地域が飛行制限領域FL11として設定されており、当該飛行制限領域FL11を囲うように当該飛行制限領域FL11の周縁にガイドレールGR10が配置されている。
【0033】
飛行可能領域を飛行しているドローン200が飛行制限領域FL11に近づいて、ガイドレールGR10における進入位置P11から当該ガイドレールGR10に進入する。例えば、目標位置が飛行制限領域FL11の向こう側にある場合には、ドローン200は、ガイドレールGR10に沿って走行し、離脱位置P12で当該ガイドレールGR10を離脱して、再度、飛行可能領域を飛行して、目標位置に向かう。このように、ドローン200は、ガイドレールGR10を進入位置P11から離脱位置P12まで走行することにより、当該飛行制限領域FL11を通過する。
【0034】
また、例えば、目標位置Gが飛行制限領域FL11内に存在する場合には、ドローン200は、ガイドレールGR10に沿って走行し、当該ガイドレールGR10のうち目標位置Gに近い離脱位置P13で当該ガイドレールGR10を離脱して、飛行して目標位置Gに向かう。このように、ドローン200は、ガイドレールGR10を進入位置P11から離脱位置P13まで走行することにより、当該飛行制限領域FL11内における飛行を軽減している。
【0035】
なお、ここでは、ガイドレールGR10は、飛行制限領域FL11を囲うように当該飛行制限領域FL11の周縁に略円形状に配置されていたが、これに限定されるものではない。例えば、ガイドレールGR10は、略四角形状や多角形状、又は凹凸形状などで環形状を構成してもよいし、必ずしも環形状でなくてもよく(一部欠けていてもよく)、飛行制限領域の形状に応じて、当該飛行制限領域を概ね囲うように当該飛行制限領域の周縁に適切な形状でガイドレールを配置してもよい。
【0036】
また、ガイドレールは、飛行制限領域FL11の周縁のみならず、例えば、飛行制限領域FL11の内部に配置されてもよい。例えば、図3に示された飛行制限領域FL11の周縁に配置されたガイドレールGR10のうち2点を繋ぐようなガイドレールを配置してもよく、具体的には、進入位置P1と離脱位置P2とを繋ぐガイドレールを配置してもよい。これにより、ガイドレールに進入したドローン200は、飛行制限領域FL11の周縁を走行せず、短時間で離脱位置に移動することができる。
【0037】
さらに、ガイドレールは、複数の経路を構成してもよい。例えば、図3に示されたガイドレールGR10を上下方向に2つ、又は環形状の内側と外側とで2つ配置し、お互いのガイドレールにおいて異なる走行方向としてもよい。これにより、飛行制限領域FL11において複数のドローン200が走行する場合であっても衝突を回避することができる。
【0038】
なお、2つの経路は、1つのガイドレールで実現してもよい。具体的には、ガイドレールの上部側と下部側とにそれぞれに沿って、又はガイドレールの内側と外側とにそれぞれに沿って、ドローン200が走行できるガイドレール及びドローン200とすればよい。
【0039】
図4は、商業地域において設定されるガイドレールの一例を示す図である。図4に示されるように、商業地域が飛行制限領域FL21として設定されており、飛行制限領域FL21に存在するビルなどの屋上や側壁を利用して、当該飛行制限領域FL21にガイドレールGR20が配置されている。
【0040】
飛行可能領域を飛行しているドローン200が飛行制限領域FL21に近づいて、ガイドレールGR20における進入位置P21から当該ガイドレールGR20に進入する。例えば、目標位置が飛行制限領域FL21の向こう側にある場合には、ドローン200は、ガイドレールGR20に沿って走行し、離脱位置P22で当該ガイドレールGR20を離脱して、再度、飛行可能領域を飛行して、目標位置に向かう。このように、ドローン200は、ガイドレールGR20を進入位置P21から離脱位置P22まで走行することにより、当該飛行制限領域FL21を通過する。
【0041】
また、例えば、目標位置Gが飛行制限領域FL21内に存在する場合には、ドローン200は、ガイドレールGR20に沿って走行し、当該ガイドレールGR20のうち目標位置Gに近い離脱位置P23で当該ガイドレールGR20を離脱して、飛行して目標位置Gに向かう。このように、ドローン200は、ガイドレールGR20を進入位置P21から離脱位置P23まで走行することにより、当該飛行制限領域FL21内における飛行を軽減している。
【0042】
より具体的には、ドローン200は、車や人通りの多い道路の上空における飛行を軽減し、ガイドレールGR20に沿って走行することにより、車や人通りの多い道路に、万が一にも落下する可能性を軽減している。
【0043】
なお、図3で説明したのと同様に、ガイドレールGR20は、環形状のみならず、飛行制限領域FL21の内部に配置されてもよく、走行方向を制限して複数の経路を構成してもよく、1つのガイドレールで2つの経路を実現してもよい。
【0044】
図5は、建物に配置されるガイドレールの一例を示す図である。図5に示されるように、建物(ビル)の屋上及び側壁に複数のガイドレールGR31~GR36が配置されており、複数のドローン200が当該複数のガイドレールGR31~GR36に沿って走行している。
【0045】
ここでは、複数のガイドレールGR31~GR36において、複数のドローン200が走行しているが、各ガイドレールGR31~GR36は、走行方向が規定されていたり、ガイドレールが交差する位置では、一時停止や優先度が設定されていたり、また、ドローン200は、同一ガイドレールGR31~GR36において前後を走行する他のドローン200との間隔を所定距離維持しながら走行するように制御されている。具体的には、ドローン200の前を走行する他のドローン200との距離が閾値よりも小さくならないように、制御手段120は、当該ドローン200の速度を調整したり、停止させたりしてもよい。また、これらの制御は、制御手段120を備える制御装置によって、1つの建物(ビル)に配置されるガイドレールを走行する複数のドローン200の走行を集中管理してもよいし、ドローン200にセンサを搭載しておき、他のドローン200との距離を把握して当該ドローン200自身が制御してもよい。
【0046】
複数のガイドレールGR31~GR36が、ビルの側壁に沿って上層階から下層階まで上下方向に配置され、ビルの所定の高さ位置で横方向にも配置されている。例えば、ドローン200によって荷物が集配される場合、当該ドローン200は、複数のガイドレールGR31~GR36に沿って走行し、目標位置とするビルの部屋まで移動することもできるため、利便性の向上が期待できる。
【0047】
この時、ビルのすべての部屋に到達できるようにガイドレールを配置してもよいが、図5に示されるように、すべての部屋に対応するようにガイドレールが配置されていない場合であっても、ドローン200は、目標位置に近い位置まで複数のガイドレールGR31~GR36に沿って走行し、その後、最終目的位置(部屋)までは飛行してもよい。また、ビルのうち、例えば、複数のガイドレールGR31~GR36が配置されている部屋のうち少なくとも1つを特定の部屋として、当該ビルにおける荷物の集配位置としてもよい。
【0048】
このように、建物(ビル)の屋上及び側壁に配置された複数のガイドレールGR31~GR36に沿ってドローン200を走行させることにより、ドローン200が飛行する距離を軽減し、ドローン200の故障又は衝突などによって落下する可能性を軽減している。
【0049】
図3図5に示されたように、飛行制限領域に近づいたドローン200は、当該飛行制限領域に設置されているガイドレールに進入するが、ガイドレールのうちどこからでも進入可能であり、どこからでも離脱可能であってよい。ドローン200は、ガイドレールに進入する場合には、当該ガイドレールにおける進入予定位置に他のドローン200が存在するか否か(走行して来るか否か)を判定し、他のドローン200が存在しない(進入予定位置に走行して来ない)と判定した場合、進入予定位置に進入すればよい。当該ガイドレールにおける進入予定位置に他のドローン200が存在するか否か(走行して来るか否か)は、例えば、制御手段120を備える制御装置によって、他のドローン200の現在位置や走行による予測位置を把握してもよいし、ドローン200にセンサを搭載しておき、当該ドローン200によって、他のドローン200の存在を把握してもよい。
【0050】
また、ガイドレールのうち、進入/離脱可能な箇所である進入ポート/離脱ポートを設けてもよい。
【0051】
図6は、ガイドレールにおける進入ポート/離脱ポートの一例を示す図である。図6に示されるように、ビルの屋上から側壁にガイドレールGR41及びGR42が配置されており、ビルの屋上には、ガイドレールGR41における進入ポートIN41及びガイドレールGR42における離脱ポートOUT42が備えられている。
【0052】
ドローン200は、ガイドレールGR41に進入する際には、ビルの屋上に備えられた進入ポートIN41から進入することになる。当該ビルの屋上付近に到達したドローン200は、進入ポートIN41から順にガイドレールGR41に進入することになるため、ガイドレールGR41を走行中に、他のドローン200によって割り込みされない。これにより、ドローン200は、ガイドレールGR41を走行中に、速度を調整したり、停止させたりする機会が減少し、スムーズに走行することができる。また、衝突や故障発生の可能性も低減することができる。
【0053】
また、進入ポートIN41は、略環形状が好ましく、当該略環形状にすることにより、ドローン200は、多方向から進入ポートIN41に進入可能としてもよいし、複数のドローン200が進入ポートIN41に進入した場合には、他のドローン200と所定距離の間隔を保持するために、例えば、数秒間、ここで待機するようにしてもよい。
【0054】
ドローン200は、ガイドレールGR42から離脱する際には、ビルの屋上に備えられた離脱ポートOUT42から離脱することになる。ガイドレールGR42に沿って走行して当該ビルの屋上に到達したドローン200は、順に離脱ポートOUT42からガイドレールGR42から離脱して飛行すればよい。ドローン200は、ガイドレールを走行中に途中でガイドレールを離脱しないため、ガイドレールを離脱した直後(飛行開始直後)に、他のドローン200との突発的な衝突を回避することができる。
【0055】
また、離脱ポートOUT42は、略環形状が好ましく、当該略環形状にすることにより、ドローン200は、離脱ポートOUT42から多方向に離脱可能としてもよいし、複数のドローン200が離脱ポートOUT42から離脱する場合には、飛行開始直後における他のドローン200との衝突を回避するために、所定距離の間隔を保持するように、例えば、数秒間、ここで待機するようにしてもよい。
【0056】
なお、ここでは、1つのガイドレールに対して、1つの進入ポート又は1つの離脱ポートを備えている一例を説明したが、これに限定されるものではなく、1つのガイドレールに対して、複数の進入ポート及び/又は複数の離脱ポートを備えてもよい。
【0057】
以上のように、本発明の一実施形態に係るドローン管理システム10によれば、記録手段110は、住宅地域や商業地域などの落下回避領域について、ドローン200の飛行が制限される飛行制限領域FL10(FL11)及びFL20(FL21)が設定された地図データを記録する。制御手段120は、地図データに基づいて、飛行可能領域ではドローン200を飛行させ、飛行制限領域FL10及びFL20では予め設置されたガイドレールGR10及びGR20に沿ってドローン200を走行させるように、ドローン200を制御する。このように、住宅地域や商業地域などの落下回避領域ではドローン200の自由飛行を制限することにより、落下回避領域への落下をより適切に回避することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、例えば、車輪を備えたドローン200がガイドレール上を走行したり、所定の挟持部材を備えたドローン200がガイドレールを挟み込むようにしてガイドレールに沿ってスライド移動したり、所定の篏合部材を備えたドローン200がガイドレールの凸部又は凹部に篏合させてガイドレールに沿ってスライド移動したりすることを想定していたが、これに限定されるものではない。例えば、ガイドレール上を走行又はスライドせずに、超電導磁石、電磁石、コイル及び電磁気などを利用して、リニアモーターカーのように、ガイドレールから浮上した状態(離れた状態)で、当該ガイドレールに沿って移動するような構成であってもよい。また、例えば、ドローンが内部を移動可能な管路であってもよいし、ワイヤなどで吊るして移動可能なリフトやゴンドラのようなものであってもよい。
【0059】
さらに、上述したような、ガイドレール、管路及びワイヤは、チタン合金やマグネシウム合金などの軽金属を素材とした伸縮可能なアンテナ管状、内部にワイヤが内蔵された巻取り可能なチューブ状の構造であってもよい。このアンテナ管又はチューブ管が始点から、又は始点と終点との双方から延伸されて、例えば、道路を挟んで建物(ビル)間を橋渡しするようにアーチ形状に構成されてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、図3図5で示されたように、ガイドレールは、支柱や建物(ビル)により配置されていたが、これらに限定されるものではなく、例えば、建物の内部(壁・床や天井内部、及び電気・ガス配管領域などを含む)に配置されてもよいし、地下に配置されてもよい。
【0061】
<その他の実施形態>
ガイドレールは、ドローンの飛行が少なくとも一部の領域で制限される飛行制限領域に設定される以外に、例えば、高速道路や幹線道路などに沿って配置されてもよいし、隣接する飛行制限領域間に配置されてもよい。
【0062】
図7は、他の実施形態における飛行制限領域及びガイドレールを説明するための図である。図7に示されるように、ガイドレールGR40は、高速道路や幹線道路に沿って、及び隣接する飛行制限領域間にも配置されている。
【0063】
例えば、都市部から離れた地域は、比較的、人口密度も低いため飛行制限領域として設定されていない。それらの上空で飛行するドローンの数も膨大になる可能性も低いため、ドローンの衝突の可能性も低い。その一方で、ドローンの飛行距離が長くなれば、バッテリの消耗が大きくなることが考えられ、ドローンとしては、最短距離で移動することが好ましく、また、省エネルギーにて移動できることが好ましい。
【0064】
ガイドレールGR40は、既設の高速道路や幹線道路に沿って配置されており、ドローンは、都市部と、当該都市部から離れた地域とを移動する際には、飛行せずに、このガイドレールGR40に沿って走行することにより、適切な経路を省エネルギーにて移動してもよい。
【0065】
また、それ以外にも、ガイドレールGR40は、例えば、都市部において、飛行制限領域に限らず、既設の高速道路や幹線道路に沿って配置されていてもよい。飛行制限領域以外の領域では、ドローンは、自由飛行してもよいが、ガイドレールに沿って走行することにより、例えば、天候不良の場合やバッテリの残量が少ない場合には、より安全に省エネルギーにて移動することができる。
【0066】
すなわち、飛行可能領域であったとしても、例えば、ドローンは、搭載されているバッテリの残量が少なくなり、閾値以下になった場合には、ガイドレールに進入して、当該ガイドレールに沿って走行してもよいし、また、ガイドレールに充電スポットを設けておけば、そこで充電するようにしてもよい。また、ドローンは、強風や降雨などの天気情報(天気予報)を含む周辺環境に応じて、ガイドレールに沿って走行してもよく、より安全に移動することができる。
【0067】
さらに、図7に示されるように、飛行制限領域FL12において、その領域内に、さらに小さい飛行制限領域(保護領域)FL12a~FL12cが設定されている。飛行制限領域(保護領域)FL12a~FL12cは、飛行制限領域FL12のうち、建物及び/又は人が他の領域よりも多く存在する領域であり、例えば、図3及び図4を用いて説明したような住宅地域及び商業地域であってもよい。
【0068】
ガイドレールGR40は、飛行制限領域FL12を囲うように当該飛行制限領域FL12の周縁に配置され、飛行制限領域(保護領域)FL12a~FL12cを囲うように当該飛行制限領域(保護領域)FL12a~FL12cの周縁に配置され、さらには、飛行制限領域FL12及び飛行制限領域(保護領域)FL12a~FL12cを繋ぐように配置されていてもよい。
【0069】
これによれば、目標位置が飛行制限領域(保護領域)FL12a~FL12c内に存在する場合には、ドローンは、飛行制限領域FL12内において当該目標位置の近くまでガイドレールGR40に沿って走行することができ、飛行を軽減することができる。
【0070】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
10…ドローン(無人航空機)管理システム、100…制御装置、110…記録手段、120…制御手段、200…ドローン(無人航空機)、FL10,FL11,FL12,FL12a~FL12c,FL20,FL21…飛行制限領域(保護領域)、GR10,GR20,GR31~GR36,GR40~GR42…ガイドレール、IN41…進入ポート、OUT42…離脱ポート、G…目標位置、P1,P11,P21…進入位置、P2,P12,P13,P22,P23…離脱位置
【要約】
【課題】住宅地域や商業地域などの落下回避領域では無人航空機の自由飛行を制限することにより、落下回避領域への落下をより適切に回避することができる無人航空機管理システムを提供することである。
【解決手段】無人航空機(ドローン)管理システム10において、制御装置100は、ドローン200が飛行可能な飛行可能領域と、ドローン200の飛行が少なくとも一部の領域で制限される飛行制限領域FL10(FL11),FL20(FL21)とが設定された地図データを記録する記録手段110と、地図データに基づいて、飛行可能領域ではドローン200を飛行させ、飛行制限領域FL11,FL21では予め設置されたガイドレールGR10,GR20に沿ってドローン200を移動させるように、ドローン200を制御する制御手段120と、を備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7