(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】モニタリングシステム、モニタリング方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20240227BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20240227BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B25/10 A
G08B21/02
(21)【出願番号】P 2023184289
(22)【出願日】2023-10-26
(62)【分割の表示】P 2021511815の分割
【原出願日】2019-04-01
【審査請求日】2023-11-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513046294
【氏名又は名称】ビーサイズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】八木 啓太
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0180746(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0225196(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0117910(US,A1)
【文献】特表2015-535411(JP,A)
【文献】特開2013-105457(JP,A)
【文献】特開2002-269653(JP,A)
【文献】特開2012-221267(JP,A)
【文献】特開2014-179890(JP,A)
【文献】特開2018-195981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C21/00-21/36
23/00-25/00
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08B19/00-31/00
G08G1/00-99/00
G16Z99/00
H04B7/24-7/26
H04L51/00-51/58
67/00-67/75
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被見守り者によって携帯される第1の端末の位置情報に基づいて決定される、所定期間内における前記第1の端末の位置情報に対応する各位置がプロットされた地図情報を、前記被見守り者の移動履歴として第2の端末に表示するよう制御する
第1制御手段と、
前記第2の端末において表示された前記地図情報に対して、前記第2の端末の操作者によって指定された任意形状のエリアに基づいて、前記第1の端末の位置と前記エリアとの位置関係を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を、前記第2の端末へ通知する
第1通知部と
、
所定期間内に蓄積された前記第1の端末の位置情報に基づいて前記任意形状のエリアを決定する決定部と、
前記第2の端末から前記任意形状のエリアの更新に係る情報である更新情報を受信した場合に、前記更新情報に基づいて前記任意形状のエリアを更新する更新部とを備えた、モニタリングシステム。
【請求項2】
前記決定部は、所定期間内に蓄積された前記第1の端末の位置情報を包含する最小のエリアとして前記任意形状のエリアを決定し、
前記更新部は、前記第2の端末から、前記任意形状のエリアに対する前記第2の端末の操作者による拡大又は縮小に係る情報を前記更新情報として受信した場合に、受信した前記更新情報に基づいて前記任意形状のエリアを拡大又は縮小することによって、前記任意形状のエリアを更新する、請求項1に記載のモニタリングシステム。
【請求項3】
前記更新部は、前記任意形状のエリアの外周に中心を置いた円を前記外周に沿って移動させた際の前記円の軌跡に従って、前記任意形状のエリアを拡大又は縮小する、請求項2に記載のモニタリングシステム。
【請求項4】
前記更新部は、前記第2の端末から、前記任意形状のエリアの決定のために対象とされた前記第1の端末の位置情報に対する前記第2の端末の操作者による絞り込みに係る情報を前記更新情報として受信した場合に、前記第2の端末の操作者によって絞り込まれた前記第1の端末の位置情報に基づいて前記任意形状のエリアを再決定することによって、前記任意形状のエリアを更新する、請求項1から3のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項5】
前記任意形状のエリアの決定のために対象とされた前記第1の端末の位置情報に対応する各位置がプロットされると共に、前記第2の端末の操作者が前記任意形状のエリアを指定できる地図情報を前記第2の端末に表示するよう制御する第2制御手段をさらに備え、
前記更新部は、前記第2の端末から、前記第2制御手段によって表示するよう制御された地図情報に対する前記第2の端末の操作者による前記任意形状のエリアの指定に係る情報を前記更新情報として受信した場合に、前記更新情報に基づいて前記任意形状のエリアを更新する、請求項1から4のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項6】
前記第1の端末からアップロードされた情報に基づいて決定される前記第1の端末の位置情報を蓄積する情報蓄積部
をさらに備え、
前記第2の端末の操作者による操作に応じて、前記第1の端末が情報をアップロードするタイミング間のインタバルを指定するインタバル情報と、前記第1の端末のしきい加速度である所定値とを設定する設定
部に基づき、前記第1の端末が、前記インタバル情報で指定されたインタバル間に、前記所定値以上の加速度が検出されない場合にスリープし、前記スリープ中に前記所定値以上の加速度が検出された場合にアウェイクするよう制御する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項7】
前記第1の端末からアップロードされた情報に基づいて決定される前記第1の端末の位置情報を蓄積する情報蓄積部と
、
前記第1の端末からアップロードされたバッテリ残量情報が、所定量を下回っているか否かを判定するバッテリ残量把握部と、
前記バッテリ残量情報が、前記所定量を下回っていると判定された場合、前記バッテリ残量情報が、前記所定量を下回っていることを前記第2の端末へ通知する
第2通知部とを備えた、
請求項1から6のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項8】
前記第2の端末の操作者による操作に応じて、前記
第2通知部による通知の要不要を設定する設定部をさらに備えた、請求項
7に記載のモニタリングシステム。
【請求項9】
前記第2の端末の操作者による操作に応じて、前記第1の端末から情報がアップロードされるタイミング間のインタバルを変更する設定部をさらに備えた、請求項
7に記載のモニタリングシステム。
【請求項10】
前記第1の端末からアップロードされた情報に基づいて決定される前記第1の端末の位置情報を蓄積する情報蓄積部と
、
前記第1の端末からアップロードされたバッテリ残量情報が、所定量を下回っているか否かを判定するバッテリ残量把握部と、
前記第2の端末の操作者による操作に応じて、前記第1の端末から情報がアップロードされるタイミング間のインタバルを変更する設定部
とを備えた、
請求項1から8のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項11】
前記第1の端末からアップロードされた情報に基づいて決定される前記第1の端末の位置情報を蓄積する情報蓄積部と、
前記
情報蓄積部に蓄積された位置情報のうち、所定期間内に蓄積された位置情報に対応する各位置がプロットされた地図情報を、前記被見守り者の移動履歴として作成する地図情報作成部と、
前記
地図情報作成部が作成した地図情報にプロットされた各位置を実線又は点線で結ぶことによって、前記被見守り者の生活圏を決定する生活圏決定部と、
前記生活圏が特定され
た地図情報を、予め指定された第2の端末へ送信する通信部とを備えた、
請求項1から10のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【請求項12】
前記
第1の端末の位置は、同一または同一とみなせるタイムスタンプに対してGPS情報から決定される第1の位置情報と、WiFiルータのMACアドレスおよびWiFiルータからの電波強度に基づき位置決めサーバによって決定される第2の位置情報と、基地局からの電波強度に基づき前記位置決めサーバによって決定される第3の位置情報と、前記第1乃至第3の位置情報のうち複数の位置情報からの重み付けによって決定される第4の位置情報とのうちの何れかに基づき決定される、
請求項1から11のいずれか一項に記載のモニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、子供や徘徊老人を見守るために好適な見守り機能を備えたモニタリングシステム、モニタリング方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
子供が小学生になり、1人で行動することが多くなった場合、保護者の最大の関心事は子供の安全の確保である。また、徘徊癖のある老人の家族や介護施設等にとっても、最大の関心事はやはり、老人の安全の確保である。
【0003】
このため、子供や徘徊老人のように見守られる対象者(以下、「被見守り者」とも称する)の居場所を、保護者や、家族あるいは介護施設のスタッフ等の見守り者が、リアルタイムで把握するためのモニタリングシステムが実用化されている(例えば、https://dekiru.net/article/15964(2017年10月24日)参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】https://dekiru.net/article/15964(2017年10月24日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のモニタリングシステムを使用することによって、見守り者は、被見守り者の居場所をリアルタイムで把握できるのみならず、居場所を時系列的に追跡することによって、移動履歴を把握することもできる。
【0006】
これによって、例えば、保護者は、子供が、正しい通学路に沿って移動しているか、あるいは、いつもの公園で遊んでいるかといった、普段の行動範囲内、すなわち生活圏内にいることを把握したり、逆に、普段の行動範囲を超えて、すなわち生活圏から逸脱していることを把握することもできる。
【0007】
しかしながら、見守り者は、被見守り者の居場所を常時観察できるとは限らない。このため、被見守り者が生活圏から逸脱していても、常に直ちにそれを把握できるとは限らず、相当の時間を経過した後に気が付くという恐れもある。あるいは、見守り者が、被見守り者の居場所を常時観察している場合であっても、見守り者が、被見守り者の生活圏を把握していなければ、被見守り者が生活圏から逸脱していることに気が付かないという恐れもある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、被見守り者のための生活圏を決定するとともに、被見守り者と生活圏との位置関係を見守り者に通知することが可能なモニタリングシステム、モニタリング方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0010】
すなわち、本発明の第1の態様のモニタリングシステムは、被見守り者によって携帯される第1の端末の位置情報に基づいて決定される、所定期間内における第1の端末の位置情報に対応する各位置がプロットされた地図情報を、被見守り者の移動履歴として第2の端末に表示するよう制御する第1制御手段と、第2の端末において表示された地図情報に対して、第2の端末の操作者によって指定された任意形状のエリアに基づいて、第1の端末の位置とエリアとの位置関係を判定する判定部と、判定部による判定結果を、第2の端末へ通知する第1通知部と、所定期間内に蓄積された第1の端末の位置情報に基づいて任意形状のエリアを決定する決定部と、第2の端末から任意形状のエリアの更新に係る情報である更新情報を受信した場合に、更新情報に基づいて任意形状のエリアを更新する更新部とを備えている。
【0011】
また、本発明の第2の態様のモニタリングシステムは、第1の態様のモニタリングシステムにおいて、決定部は、所定期間内に蓄積された第1の端末の位置情報を包含する最小のエリアとして任意形状のエリアを決定し、第2の端末から、任意形状のエリアに対する第2の端末の操作者による拡大又は縮小に係る情報を更新情報として受信した場合に、受信した更新情報に基づいて任意形状のエリアを拡大又は縮小することによって、任意形状のエリアを更新する。
また、本発明の第3の態様のモニタリングシステムは、第2の態様のモニタリングシステムにおいて、更新部は、任意形状のエリアの外周に中心を置いた円を外周に沿って移動させた際の円の軌跡に従って、任意形状のエリアを拡大又は縮小する。
また、本発明の第4の態様のモニタリングシステムは、第1の態様から第3の態様のうちいずれか一つのモニタリングシステムにおいて、更新部は、第2の端末から、任意形状のエリアの決定のために対象とされた第1の端末の位置情報に対する第2の端末の操作者による絞り込みに係る情報を更新情報として受信した場合に、第2の端末の操作者によって絞り込まれた第1の端末の位置情報に基づいて任意形状のエリアを再決定することによって、任意形状のエリアを更新する。
また、本発明の第5の態様のモニタリングシステムは、第1の態様から第4の態様のうちいずれか一つのモニタリングシステムにおいて、任意形状のエリアの決定のために対象とされた第1の端末の位置情報に対応する各位置がプロットされると共に第2の端末の操作者が任意形状のエリアを指定できる地図情報を第2の端末に表示するよう制御する第2制御手段をさらに備え、更新部は、第2の端末から、第2制御手段によって表示するよう制御された地図情報に対する第2の端末の操作者による任意形状のエリアの指定に係る情報を更新情報として受信した場合に、前記更新情報に基づいて任意形状のエリアを更新する。
【0012】
さらに、本発明の第6の態様のモニタリングシステムは、第1の態様から第5の態様のうちいずれか一つのモニタリングシステムにおいて、第1の端末からアップロードされた情報に基づいて決定される第1の端末の位置情報を蓄積する情報蓄積部をさらに備え、第2の端末の操作者による操作に応じて、第1の端末が情報をアップロードするタイミング間のインタバルを指定するインタバル情報と、第1の端末のしきい加速度である所定値とを設定する設定部に基づき、第1の端末が、インタバル情報で指定されたインタバル間に、所定値以上の加速度が検出されない場合にスリープし、スリープ中に所定値以上の加速度が検出された場合にアウェイクするよう制御する。
【0013】
さらにまた、本発明の第7の態様のモニタリングシステムは、第1の態様から第6の態様のうちいずれか一つのモニタリングシステムにおいて、第1の端末からアップロードされた情報に基づいて決定される第1の端末の位置情報を蓄積する情報蓄積部と、第1の端末からアップロードされたバッテリ残量情報が、所定量を下回っているか否かを判定するバッテリ残量把握部と、バッテリ残量情報が、所定量を下回っていると判定された場合、バッテリ残量情報が、所定量を下回っていることを第2の端末へ通知する第2通知部とを備えている。
【0014】
本発明の第8の態様のモニタリングシステムは、第7の態様のモニタリングシステムにおいて、第2の端末の操作者による操作に応じて、第2通知部による通知の要不要を設定する設定部をさらに備えている。
【0015】
本発明の第9の態様のモニタリングシステムは、第7の態様のモニタリングシステムにおいて、第2の端末の操作者による操作に応じて、第1の端末から情報がアップロードされるタイミング間のインタバルを変更する設定部をさらに備えている。
【0016】
本発明の第10の態様のモニタリングシステムは、第1の態様から第8の態様のうちいずれか一つのモニタリングシステムにおいて、第1の端末からアップロードされた情報に基づいて決定される第1の端末の位置情報を蓄積する情報蓄積部と、第1の端末からアップロードされたバッテリ残量情報が、所定量を下回っているか否かを判定するバッテリ残量把握部と、第2の端末の操作者による操作に応じて、第1の端末から情報がアップロードされるタイミング間のインタバルを変更する設定部とを備えている。
【0017】
本発明の第11の態様のモニタリングシステムは、第1の態様から第10の態様のうちいずれか一つのモニタリングシステムにおいて、第1の端末からアップロードされた情報に基づいて決定される第1の端末の位置情報を蓄積する情報蓄積部と、情報蓄積部に蓄積された位置情報のうち、所定期間内に蓄積された位置情報に対応する各位置がプロットされた地図情報を、被見守り者の移動履歴として作成する地図情報作成部と、地図情報作成部が作成した地図情報にプロットされた各位置を実線又は点線で結ぶことによって、被見守り者の生活圏を決定する生活圏決定部と、生活圏が特定された前記地図情報を、予め指定された第2の端末へ送信する通信部とを備えている。
【0018】
本発明の第12の態様のモニタリングシステムは、第1の態様から第11の態様のうちいずれか一つのモニタリングシステムにおいて、第1の端末の位置は、同一または同一とみなせるタイムスタンプに対してGPS情報から決定される第1の位置情報と、WiFiルータのMACアドレスおよびWiFiルータからの電波強度に基づき位置決めサーバによって決定される第2の位置情報と、基地局からの電波強度に基づき位置決めサーバによって決定される第3の位置情報と、第1乃至第3の位置情報のうち複数の位置情報からの重み付けによって決定される第4の位置情報との何れかに基づき決定される。
【発明の効果】
【0019】
本発明のモニタリングシステム、モニタリング方法、およびプログラムによれば、以上のような手段を講じることにより、被見守り者のための生活圏を決定することが可能となる。さらには、被見守り者が生活圏から逸脱した場合、それを検知し、見守り者に通知することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るモニタリング方法が適用されたモニタリングシステムの概念を説明するための概念図である。
【
図2】ユーザ端末の機能構成例を示す概要図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るモニタリング方法が適用されたモニタリングシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図4】ユーザ登録DBの一例を示すデータ構造図である。
【
図5】アップロード情報DBの一例を示すデータ構造図である。
【
図6】生活圏の第1の決定手法の例を説明するための図である。
【
図7】生活圏の第1の決定手法の別の例を説明するための図である。
【
図8】生活圏の第2の決定手法の例を説明するための図である。
【
図9】生活圏の第3の決定手法の一例を説明するための図である。
【
図10】生活圏の第4の決定手法の一例を説明するための図である。
【
図11】生活圏の第5の決定手法の一例を説明するための図である。
【
図12】生活圏の第6の決定手法の一例を説明するための図である。
【
図14】生活圏の外周を規定する直線の一部を例示する模式図である。
【
図15】所定基準の設定のための、保護者端末の表示画面における表示例を示す模式図である。
【
図16】生活圏修正プログラムによる生活圏の設定方法を説明するための地図情報である。
【
図17】生活圏とユーザ端末の現在位置との位置関係を表示した地図情報の一例を示す概念図である。
【
図18】ユーザ端末の移動履歴が表示された地図情報の一例を示す模式図である。
【
図19】生活圏の決定およびユーザ端末と生活圏との位置関係の判定に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係るモニタリング方法が適用されたモニタリングシステムの概念を説明するための概念図である。
【0022】
モニタリングシステム10は、被見守り者(例えば、子供や老人等のように見守られる対象者)が携帯する端末100(以下、「ユーザ端末100」と称する)からアップロードされる情報に基づいて、ユーザ端末100の位置を把握し、ユーザ端末100の位置の履歴に基づいて被見守り者の生活圏を決定し、ユーザ端末100の現在の位置と、生活圏との位置関係を、見守り者(例えば、被見守り者の保護者や監督者。以降、「保護者」とも称する)の端末200(以下、「保護者端末200」と称する)へ通知する。
【0023】
図2は、ユーザ端末の機能構成例を示す概要図である。
【0024】
ユーザ端末100は、SIMカード110と、3G、LTE(登録商標)、4G、あるいは5G等のようなセルラ方式により基地局60を介してモニタリングシステム10と通信可能な送受信機能120と、GPS情報を取得するGPS機能130と、周辺のWiFiルータのMACアドレスを、該WiFiルータから受信した電波の受信強度(RSSI)を示す情報とともに取得するWiFi機能140と、ユーザ端末100の加速度を測定する加速度センサ150と、ユーザ端末100に電力を供給する充電可能な例えばリチウムイオン電池のようなバッテリ160とを備えている。これらはすべて周知の技術を適用しているので、ここでは、更なる詳細説明を避ける。
【0025】
また、ユーザ端末100は、送受信機能120によって、基地局60と直接的に通信することに限らず、
図1において破線で示すように、WiFiルータ61を介することによって、基地局60と間接的に通信してもよい。この場合、WiFiルータ61は、例えば、スマートフォンによって実現することができる。
【0026】
さらに、ユーザ端末100は、LPWA(Low Power Wide Area)のように、セルラ方式以外の通信方式を用いてモニタリングシステム10と通信してもよい。この場合、ユーザ端末100では、SIMカード110は不要となる。また、基地局60は、ゲートウェイに置き換えられる。このように、通信方式に応じて、60は、基地局またはゲートウェイとなるが、以下では、一例として、ユーザ端末100は、セルラ方式によって、すなわち、基地局60を介してモニタリングシステム10と通信する形態について説明する。
【0027】
ユーザ端末100は、子供や老人が携帯しても負担にならないように、軽量かつ小型サイズで構成されており、ユーザ端末100毎に、予め固有の識別番号が設定されている。
【0028】
モニタリングシステム10の使用を開始するためには、まず、ユーザ端末100をモニタリングシステム10にユーザ登録する必要がある。ユーザ登録は、例えばスマートフォンやPCである保護者端末200から、インターネット等の通信ネットワーク70を介して、モニタリングシステム10に、ユーザ端末100の識別番号aを送信することによってなされる。
【0029】
これに応じて、モニタリングシステム10は、この識別番号aを有するユーザ端末100を、モニタリング対象(見守り対象)のユーザ端末100として認識するとともに、保護者端末200が識別番号aを送信するために使用したメールアドレスを、保護者端末200のアドレスb(以下、「保護者アドレスb」とも称する)として認識する。このようにユーザ端末100および保護者端末200がモニタリングシステム10によって認識されると、ユーザ登録が完了する。
【0030】
ユーザ登録後、ユーザ端末100は、加速度センサ150が所定値以上の加速度を検出した場合、つまり、ユーザ端末100に動きがあった場合にアウェイクし、GPS機能130によって、例えばデフォルトで設定された1.5分毎のようなインタバルでGPS情報を取得する。なお、GPS情報には、位置情報のみならず、位置決定時の時刻を示すタイムスタンプも含まれている。
【0031】
ユーザ端末100はさらに、取得したGPS情報を、ユーザ端末100の識別番号aとともに、送受信機能120を使ってモニタリングシステム10へアップロードする。なお、この時、送受信機能120は、バッテリ160からバッテリ残量情報を取得し、さらにバッテリ残量情報を加えて、モニタリングシステム10へアップロードすることもできる。
【0032】
ところで、GPS機能130がGPS情報を取得できない場所にユーザ端末100が位置している場合もある。このような場合、ユーザ端末100は、WiFi機能140によって、周辺の複数のWiFiルータのMACアドレスを、各WiFiルータからの電波の受信強度情報とともに取得する。なお、この受信強度情報には、WiFiルータから電波が発信された時刻を示すタイムスタンプも含まれている。
【0033】
そして、ユーザ端末100は、GPS情報の代わりに、取得した複数のWiFiルータのMACアドレスおよび各WiFiルータからの電波の受信強度情報を、ユーザ端末100の識別番号aとともに、送受信機能120からモニタリングシステム10にアップロードする。WiFiルータのMACアドレスおよびWiFiルータからの電波の受信強度情報は、後述するように、位置決めサーバ40によってなされる位置決めのために使用される。
【0034】
また、GPS機能130がGPS情報を取得できない場所にユーザ端末100が位置している場合、ユーザ端末100はさらに、送受信機能120によって基地局60からの電波を受信し、GPS情報の代わりに、基地局60からの電波の受信強度情報を、ユーザ端末100の識別番号a、基地局60から電波を受信した時刻を示すタイムスタンプとともに、送受信機能120から基地局60を介してモニタリングシステム10へアップロードすることもできる。基地局60からの電波の受信強度情報もまた、後述するように、位置決めサーバ40によってなされる位置決めのために使用される。
【0035】
なお、ユーザ端末100は、GPS情報の代わりに、WiFiルータのMACアドレス、およびWiFiルータからの電波の受信強度情報と、基地局60からの電波の受信強度情報およびタイムスタンプとの何れかを選択的にモニタリングシステム10にアップロードするのではなく、両方ともにモニタリングシステム10にアップロードすることもできる。
【0036】
なお、ユーザ端末100は、GPS情報を取得できる場合であっても、GPS情報に加えて、WiFiルータのMACアドレス、およびWiFiルータからの電波の受信強度情報と、基地局60からの電波の受信強度情報、およびタイムスタンプを、モニタリングシステム10にアップロードしてもよい。
【0037】
これによって、モニタリングシステム10は、GPS情報から決定される位置情報のみならず、WiFiルータのMACアドレスと、WiFiルータからの電波の受信強度情報とに基づいて位置決めサーバ40によって決定される位置情報と、基地局60からの電波の電波強度に基づいて位置決めサーバ40によって決定される位置情報とのうちの何れかを、ユーザ端末100の位置決めのために使用することが可能となる。
【0038】
一方、ユーザ端末100は、加速度センサ150によって所定値以上の加速度が検出されない限り、つまり、ユーザ端末100に動きがない限り、GPS情報の取得も、WiFiルータからの電波の受信も、基地局60からの電波の受信も行わず、モニタリングシステム10へ情報をアップロードしない。このように、ユーザ端末100に動きがない場合には、ユーザ端末100はスリープする。これによって、バッテリ160の電力を節約することができる。
【0039】
なお、ユーザ端末100には、操作ボタンは存在しない。ユーザ端末100に対するすべての設定操作(例えば、アップロードのためのインタバルの設定や変更等)は、保護者端末200からの指示によって、モニタリングシステム10を介して遠隔的になされる。したがって、被見守り者が、ユーザ端末100を何ら操作せずとも、ユーザ端末100は、自動的にアウェイク/スリープし、アウェイク時には、設定されたインタバルで、モニタリングシステム10へ情報をアップロードする。
【0040】
図3は、本発明の実施形態に係るモニタリング方法が適用されたモニタリングシステムの構成例を示すブロック図である。
【0041】
モニタリングシステム10は、バス12によって互いに接続されたCPU14、通信部16、記憶装置20、およびメモリ30を備えている。
【0042】
CPU14は、コンピュータであって、メモリ30に記憶されている種々のプログラム31~39に従い、モニタリングシステム10の内部の動作を制御する。
【0043】
通信部16は、ユーザ端末100からアップロードされた情報を、基地局60を介して受信することができる。また、インターネット等の通信ネットワーク70を介して、位置決めサーバ40および保護者端末200と通信することができる。
【0044】
記憶装置20には、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等が使用され、保護者端末200から送信されたユーザ登録情報(識別番号a、保護者アドレスb)を管理するユーザ登録データベース22(以下、「ユーザ登録DB」22と称する)と、ユーザ端末100からアップロードされた情報および位置決めサーバ40によって決定された位置情報を蓄積するアップロード情報データベース24(以下、「アップロード情報DB」24と称する)とを記憶している。
【0045】
登録管理プログラム31は、前述したユーザ登録のための処理を行う。ユーザ登録は、例えばスマートフォンやPCである保護者端末200から、インターネット等の通信ネットワーク70を介して、モニタリングシステム10に、ユーザ端末100の識別番号aを送信することによってなされる。これによって、送信された識別番号aが通信部16によって受信されるとともに、保護者端末200が識別番号aを送信するために使用したメールアドレスが、通信部16によって認識される。
【0046】
図4は、ユーザ登録DBの一例を示すデータ構造図である。
【0047】
ユーザ登録DB22は、データ項目として、識別番号a、保護者アドレスb、および生活圏位置情報hを含んでいる。生活圏位置情報hは、後述するように、生活圏決定プログラム33によって決定され、書き込まれる。その他、
図4では省略しているが、保護者の住所や、ユーザ端末100の使用開始年月日等といった他の情報を、データ項目として適宜追加することができる。
【0048】
登録管理プログラム31は、通信部16によって受信された識別番号aを、ユーザ登録DB22に書き込む。また、認識された保護者端末200のメールアドレスを、保護者アドレスbとして、ユーザ登録DB22に書き込む。これによって、ユーザ登録処理を完了する。
【0049】
ユーザ登録処理が完了すると、モニタリングシステム10は、この識別番号aを有するユーザ端末100からアップロードされた情報を受信することが可能となる。アップロードされ得る情報は、識別番号a、GPS情報、WiFiルータのMACアドレス、WiFiルータからユーザ端末100が受信した電波の受信強度情報およびその受信時刻を示すタイムスタンプ、ならびに、基地局60からユーザ端末100が受信した電波の受信強度情報、バッテリ残量情報等を含むことができる。
【0050】
なお、ユーザ端末100は、GPS情報、WiFiルータからの電波、基地局60からの電波のうちの何れかを受信できない場合もある。したがって、例えば、ユーザ端末100がGPS情報を受信できない場合には、アップロードされる情報には、GPS情報は含まれない。一方、ユーザ端末100が、WiFiルータからの電波を受信できない場合には、アップロードされる情報には、WiFiルータのMACアドレスと、WiFiルータからの電波の受信強度情報とは含まれない。また、ユーザ端末100が、基地局60からの電波を受信できない場合には、アップロードされる情報には、基地局60からの電波の受信強度情報およびその受信時刻を示すタイムスタンプは含まれない。
【0051】
ユーザ端末100から、設定されたインタバルでアップロードされた情報は、通信部16によって受信される。なお、インタバルは、後述するように、保護者端末200からの指示に従って、設定プログラム36によって、任意に設定および変更することが可能である。
【0052】
情報蓄積プログラム32は、アップロードされた情報に基づいて、アップロード情報DB24で指定されている各データ項目に、該当する情報を書き込む。
【0053】
図5は、アップロード情報DBの一例を示すデータ構造図である。
【0054】
アップロード情報DB24は、データ項目として、タイムスタンプc、識別番号a、GPS位置情報d、WiFi位置情報e、基地局位置情報f、バッテリ残量情報g等を含んでいる。その他、
図5では省略しているが、WiFiルータのMACアドレス、WiFiルータからの電波の受信強度、基地局60からの電波の受信強度等を、データ項目として適宜追加してもよい。
【0055】
情報蓄積プログラム32は、アップロードされた情報に識別情報aおよびGPS情報が含まれている場合、識別番号aおよびGPS情報を、識別番号aおよびGPS位置情報dとしてアップロード情報DB24に蓄積する。また、GPS情報に含まれているタイムスタンプを、タイムスタンプcとしてアップロード情報DB24に蓄積する。
【0056】
一方、情報蓄積プログラム32は、アップロードされた情報に、WiFiルータのMACアドレス、およびWiFiルータからの電波の受信強度情報が含まれている場合、受信強度情報に含まれるタイムスタンプをタイムスタンプcとしてアップロード情報DB24に書き込むとともに、MACアドレスおよび受信強度情報を、通信部16から、通信ネットワーク70を介して位置決めサーバ40へ出力する。
【0057】
また、情報蓄積プログラム32は、アップロードされた情報に、基地局60からの電波の受信強度情報およびタイムスタンプが含まれている場合、このタイムスタンプをタイムスタンプcとしてアップロード情報DB24に書き込むとともに、基地局60からの電波の受信強度情報を、通信ネットワーク70を介して位置決めサーバ40へ出力する。
【0058】
位置決めサーバ40は、通信部16から、MACアドレスおよび受信強度情報が送信された場合、これら情報に基づいて、ユーザ端末100の位置を決定し、対応する位置情報(例えば、緯度経度情報)を、WiFi位置情報eとして、通信ネットワーク70を介して、通信部16へ返信する。
【0059】
また、位置決めサーバ40は、通信部16から、基地局60からの電波の受信強度情報が送信された場合、この情報に基づいて、ユーザ端末100の位置を決定し、対応する位置情報(例えば、緯度経度情報)を、基地局位置情報fとして、通信ネットワーク70を介して、通信部16へ返信する。
【0060】
モニタリングシステム10は、このような位置決めサーバ40を利用することによって、例えば地下鉄のプラットフォームのように、GPS信号を取得できない場所であっても、ユーザ端末100の位置を決定することが可能となる。このような位置決めサーバ40は、Google社が提供しているgeoLocationのような公知技術を使用して実現することができるので、更なる詳細説明を避ける。
【0061】
位置決めサーバ40から通信部16へWiFi位置情報eおよび/または基地局位置情報fが返信されると、情報蓄積プログラム32は、WiFi位置情報eおよび/または基地局位置情報fを、対応するタイムスタンプに関連付けてアップロード情報DB24に蓄積する。
【0062】
このようにして、ユーザ端末100から情報がアップロードされる毎に、ユーザ端末100の位置情報d、e、fのうちの少なくとも何れかが、タイムスタンプcに関連付けられてアップロード情報DB24に蓄積される。
【0063】
このように、モニタリングシステム10は、アップロード情報DB24において、各ユーザ端末100の位置情報を一括して蓄積するので、各ユーザ端末100は、必要最低限のメモリ容量のみを備えていればよく、ユーザ端末100のコストを抑えることができる。
【0064】
生活圏決定プログラム33は、タイムスタンプcに基づいて、アップロード情報DB24に蓄積された位置情報d、e、fのうち、所定期間内に蓄積された位置情報d、e、fを対象として、被見守り者の普段の行動範囲である生活圏を決定する。所定期間は、例えば過去30日間のようなデフォルト値が設定されているが、後述するように、設定プログラム36を使って、保護者端末200から必要な入力を行うことによって、任意の期間に設定および変更することができる。
【0065】
生活圏決定プログラム33はさらに、所定期間内に蓄積された位置情報d、e、fのうち、所定条件で蓄積された位置情報d、e、fを用いることによって、よりきめ細かく生活圏を決定することもできる。
【0066】
例えば、所定条件を、平日とすることによって、タイムスタンプcに基づいて、平日に蓄積された位置情報d、e、fのみを対象として、平日用の生活圏を決定することができる。また、所定条件を土日祝日とすることによって、タイムスタンプcに基づいて、土日祝日に蓄積された位置情報d、e、fのみを対象として、土日祝日用の生活圏を決定することができる。さらには、所定条件を、特定の曜日(例えば、金曜日)とすることによって、タイムスタンプcに基づいて、特定の曜日に蓄積された位置情報d、e、fのみを対象として、特定の曜日用の生活圏を決定することができるという具合である。
【0067】
さらには、所定条件として、さらに特定の時間帯を設定することもできる。これによって、タイムスタンプcに基づいて、上述したような曜日の設定に加えて、さらに、例えば、平日の朝(例えば、午前6時から午前10時)の生活圏、平日の昼間(例えば、午前10時から午後5時)の生活圏、平日の夜(例えば、午後5時から午後11時)の生活圏といった具合に、よりきめ細かく生活圏を決定することもできる。なお、所定条件として、曜日を設定せず、時間帯のみを設定することも可能である。
【0068】
普段の行動範囲は、一般に、平日と土日祝日、さらには、朝、昼、夜でも大きく異なるなど、一概に決定されるものではないので、生活圏決定プログラム33は、所定期間、所定条件、さらには後述する所定基準に応じて様々な生活圏を決定できるようになっている。
【0069】
所定期間、所定条件、および所定基準もまた、後述するように、設定プログラム36を使って、保護者端末200から必要な入力を行うことによって、設定および変更されてもよい。
【0070】
生活圏決定プログラム33によってなされる生活圏決定のための処理の具体例を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の例では、所定期間として、過去30日間に蓄積された位置情報d、e、fに基づいて生活圏を決定する場合について説明する。しかしながら、前述したように、曜日、あるいは時間帯のように、さらに所定条件を設定する場合においても、考慮する対象となる位置情報が異なるのみであり、生活圏決定のための処理は同様である。
【0071】
生活圏決定プログラム33は、アップロード情報DB24に蓄積された特定のユーザ端末100の位置情報d、e、fのうち、設定された所定期間(例えば、過去30日間)内に蓄積された位置情報d、e、fのみを対象とする。
【0072】
生活圏決定プログラム33は、所定期間内に蓄積された位置情報d、e、fのうちの何れかを用いて、以下に示すように、様々な手法で生活圏を決定することができる。
【0073】
なお、同一あるいは同一とみなせるタイプスタンプcに対して、GPS位置情報d、WiFi位置情報e、および基地局位置情報fのうちの2つ以上が蓄積されている場合、生活圏決定プログラム33は、何れか1つの位置情報を、あるいは、複数の位置情報から適切な重み付けによって決定される1つの位置情報を使用する。
【0074】
図6は、生活圏の第1の決定手法の一例を説明するための図である。
【0075】
第1の決定手法では、予め複数の区画に分割された地図を利用して生活圏を決定する。
【0076】
図6に例示する地図は、周知のUTMグリッド地図であり、例えば縦横100メートルに相当するサイズを有する複数の正方形状の区画によって分割されている。
【0077】
生活圏決定プログラム33は、このような地図における各区画のうち、所定期間内に蓄積された位置情報が、所定回数(例えば、2回)以上属する区画を、生活圏として決定する。
【0078】
例えば、
図6に例示する地図において、プロットP21~P30は、それぞれ所定期間内に蓄積された位置情報に対応しており、区画L3T3にはプロットP21、P22、P24が含まれ、区画L3T2にはプロットP28、P29、P30が含まれ、区画L4T2にはプロットP25、P26、P27が含まれている。
【0079】
すなわち、区画L3T3、区画L3T2、および区画L4T2には、所定期間内に蓄積された位置情報が、2回以上属しているので、生活圏決定プログラム33は、区画L3T3、区画L3T2、および区画L4T2を結合したエリアを生活圏Kとして決定する。
【0080】
一方、区画L3T4には、プロットP23しか含まれておらず、所定期間内に蓄積された位置情報が、例えば1回しか属していないので、生活圏Kとして見なされない。
【0081】
なお、生活圏決定プログラム33が、第1の決定手法で生活圏を決定する場合、利用する地図は、必ずしもUTMグリッド地図のように正方形状に区画された地図に限定されるものではなく、任意の形状に区画された地図を利用することもでき、例えば、住所区分図のように、住所毎に区画された地図を利用して生活圏を決定することもできる。これを、
図7を用いて説明する。
【0082】
図7は、生活圏の第1の決定手法の別の例を説明するための図である。
【0083】
図7に示す住所区分図では、説明のために、簡略的に、1丁目から5丁目までしか区画表示されていないことを了解されたい。
【0084】
図7に例示する地図においても、プロットP21~P30は、それぞれ所定期間内に蓄積された位置情報に対応しており、
図7に示す3丁目にはプロットP21~P24が含まれ、5丁目にはプロットP25~P30が含まれている。
【0085】
すなわち、3丁目および5丁目には、位置情報が、例えば2回以上属しているので、生活圏決定プログラム33は、3丁目および5丁目を結合したエリアを生活圏Kとして決定する。
【0086】
また、生活圏決定プログラム33は、以下に示すような第2の決定手法によっても、生活圏Kを決定することができる。
【0087】
図8は、生活圏の第2の決定手法の一例を説明するための図である。
【0088】
第2の決定手法では、
図6および
図7のように、区画に分割された地図を利用しても生活圏Kを決定することができるが、
図8のように、区画に分割されていない地図を利用しても生活圏Kを決定することができる。
【0089】
例えば、
図8に例示する地図において、プロットP21~P30は、それぞれ所定期間内に蓄積された位置情報に対応している。
【0090】
第2の決定手法では、生活圏決定プログラム33は、
図8に例示するように、地図上において表示されるすべてのプロットP21~P30を包含する最小の凸形状のエリアを、生活圏Kとして決定することができる。
【0091】
さらに、生活圏決定プログラム33は、以下に示すような第3の決定手法によっても、生活圏Kを決定することができる。
【0092】
図9は、生活圏の第3の決定手法の一例を説明するための図である。
【0093】
第3の決定手法でも、
図6および
図7のように、区画に分割された地図を利用しても生活圏Kを決定することができるが、
図9のように、区画に分割されていない地図を利用して生活圏Kを決定することもできる。
【0094】
例えば、
図9に例示する地図において、プロットP21~P30は、それぞれ所定期間内に蓄積された位置情報に対応している。
【0095】
第3の決定手法では、生活圏決定プログラム33は、
図9に例示するように、地図上において表示されるすべてのプロットP21~P30を包含する最小の円形状のエリアを、生活圏Kとして決定することもできる。
【0096】
さらにまた、生活圏決定プログラム33は、以下に示すような第4の決定手法によっても、生活圏Kを決定することができる。
【0097】
図10は、生活圏の第4の決定手法の一例を説明するための図である。
【0098】
第4の決定手法でも、
図6および
図7のように、区画に分割された地図を利用しても生活圏Kを決定することができるが、
図10のように、区画に分割されていない地図を利用して生活圏Kを決定することもできる。
【0099】
例えば、
図10に例示する地図において、プロットP21~P30は、それぞれ所定期間内に蓄積された位置情報に対応している。
【0100】
第4の決定手法では、生活圏決定プログラム33は、
図10に例示するように、地図上において表示されるすべてのプロットP21~P30を包含する最小の矩形形状で示されるエリアを、生活圏Kとして決定することができる。
【0101】
また、生活圏決定プログラム33は、以下に示すような第5の決定手法によっても、生活圏Kを決定することができる。
【0102】
図11は、生活圏の第5の決定手法の一例を説明するための図である。
【0103】
第5の決定手法でも、
図6および
図7のように、区画に分割された地図を利用しても生活圏Kを決定することができるが、
図11のように、区画に分割されていない地図を利用して生活圏Kを決定することもできる。
【0104】
例えば、
図11に例示する地図において、水滴マークで示されるプロットは、それぞれ所定期間内に蓄積された位置情報に対応している。
【0105】
第5の決定手法では、生活圏決定プログラム33は、
図11に例示するように、地図上において表示されるすべてのプロットを包含する最小のエリアを生活圏Kとして決定する。このために、表示されたプロットの中から、生活圏Kの最外部に位置することになるいくつかのプロットP11~P15を選択し、選択されたプロットのみを対象として、隣接するプロット間を直線Lで結ぶことによって形成されるエリアを、生活圏Kとして決定している。
【0106】
さらに、生活圏決定プログラム33は、以下に示すような第6の決定手法によっても、生活圏Kを決定することができる。
【0107】
図12は、生活圏の第6の決定手法の一例を説明するための図である。
【0108】
第6の決定手法では、生活圏決定プログラム33は、道路や鉄道の経路を利用して生活圏Kを決定する。したがって、道路や鉄道の経路の情報が含まれている地図を利用する必要がある。道路や鉄道の経路の情報が含まれていれば、
図6および
図7のように、区画に分割された地図を利用しても、あるいは、区画に分割されていない地図を利用しても生活圏Kを決定することができる。
【0109】
図12に例示する地図において、水滴マークで示されるプロットは、それぞれ所定期間内に蓄積された位置情報に対応している。
【0110】
第6の決定方法では、生活圏決定プログラム33は、地図上において表示されるすべてのプロットを対象として、隣接するプロット間を、道路や鉄道の経路に沿って結ぶことによって形成されるエリアを、生活圏Kとして決定する。したがって、隣接するプロット間を結ぶ線αは、
図11のように直線Lになるとは限らず、例えば、
図12に例示されるように、道路や鉄道の経路に沿って、直線になることも、曲線になることもあり得る。
【0111】
以上説明したような生活圏Kの決定手法はあくまで一例であり、何れかの決定手法の一部を変形して生活圏Kを決定しても、あるいは、複数の決定手法を組み合わせた手法で生活圏Kを決定しても、さらには、別の決定手法を採用して生活圏Kを決定しても良い。
【0112】
例えば、各プロットを中心としたある半径を有する円を描き、それを、複数の区画として、ある区画円の中に他のプロットがあれば、プロット間距離が、その半径以下であるということなので、その区画円を生活圏として決定することもできる。
【0113】
生活圏決定プログラム33は、このようにして決定された生活圏Kを定義する位置情報を、ユーザ登録DB22の、該当する識別番号aの生活圏位置情報hとして書き込む。
【0114】
地図情報作成プログラム34は、ユーザ登録DB22に書き込まれた生活圏位置情報hに基づいて、生活圏Kが地図上に特定された地図情報を作成する。そして、保護者端末200から要求があった場合、この地図情報を、通信部16から、通信ネットワーク70を介して、保護者端末200へ送信する。
【0115】
保護者は、保護者端末200へ送信された地図情報を、保護者端末200の表示画面から表示させることができる。これによって、保護者は、被見守り者の生活圏Kを視覚的に把握することができる。
【0116】
保護者は、このように決定された生活圏Kを、適切ではないと考え、修正したい場合、設定プログラム36を使って生活圏Kを修正することができる。
【0117】
設定プログラム36は、起動されると、
図13に示すような設定画面Mを、要求元の保護者端末200の表示画面から表示させる。
【0118】
【0119】
図13に示す設定画面Mには、一例として、インタバルi、所定期間t、所定条件u(平日u1、土日祝日u2、曜日u3、時間帯u4)、所定基準v(半径v1、長さv2、半径v3)、バッテリ残量オプションx、および強制スリープオプションyを入力するための各項目が示されている。
【0120】
保護者は、保護者端末200の入力機能を使って、設定画面Mから、数値を入力したり、あるいは、予め準備された選択肢の中から、所望する内容を選択することによって、インタバルi、所定期間t、所定条件u(平日u1、土日祝日u2、曜日u3、時間帯u4)、所定基準v(半径v1、長さv2、半径r3)、バッテリ残量オプションx、強制スリープオプションy等を、モニタリングシステム10に設定することができる。
【0121】
さらに、インタバルi、バッテリ残量オプションx、および強制スリープオプションyの設定内容は、通信部16を介して、モニタリングシステム10から、ユーザ端末100へ送信され、ユーザ端末100の送受信機能120によって受信され、ユーザ端末100に設定される。
【0122】
なお、設定画面Mに、
図13に例示された項目に加えて、必要な項目を適宜増やすことによって、モニタリングシステム10に対してさらに様々な設定を可能とするようにしてもよい。
【0123】
このような設定画面Mによる設定によって、モニタリングシステム10は、以下に説明するように、複数の生活圏Kを決定することも可能となる。
【0124】
一般に、生活パターンは、平日と土日祭日とでは異なる。このため、モニタリングシステム10は、平日用の生活圏、土日祝日用の生活圏、特定の曜日の生活圏、特定の時間帯における生活圏など、所定条件u毎に生活圏を決定できるようにしている。
【0125】
例えば、平日u1のボタンをオンに設定すれば、生活圏決定プログラム33は、所定期間t内の平日に、アップロード情報DB24にアップロードされた位置情報のみを対象として平日用の生活圏Kを決定することができる。同様に、土日祭日u2のボタンをオンに設定すれば、生活圏決定プログラム33は、所定期間t内の土日祭日に、アップロード情報DB24にアップロードされた位置情報のみを対象として平日用の生活圏Kを決定することができる。さらには、特定の曜日u3のボタンu31をオンに設定し、さらに入力欄u32において、所望の曜日(例えば、「火曜日」)を選択あるいは入力により指定することによって、所定期間t内の火曜日にアップロード情報DB24にアップロードされた位置情報のみを対象として、火曜日用の生活圏Kを決定することができる。なお、平日u1のボタンと、土日祭日u2のボタンと、特定の曜日u3の指定とは、同時にオンに設定できないようになっている。
【0126】
また、時間帯u4は、単独で設定することも、あるいは平日u1、土日祝日u2、特定の曜日u3のいずれかと組み合わせて設定することもできる。例えば、入力欄u32に、「火曜日」と指定し、さらに時間帯u4に、「10:00」~「17:00」と選択あるいは入力によって指定すれば、生活圏決定プログラム33は、所定期間t内の火曜日の10:00時から17:00時までの間にアップロード情報DB24にアップロードされた位置情報のみを対象として生活圏Kを決定することができる。
【0127】
このように、保護者は、設定画面Mの所定条件uに、所望する条件を指定すれば、設定プログラム36が、生活圏Kを決定するために対象とされる位置情報を絞り込み、生活圏決定プログラム33は、絞り込まれた位置情報を対象として生活圏Kを決定するので、時間的な条件に基づいて生活圏Kをきめ細かく設定することが可能となる。
【0128】
また、モニタリングシステム10は、決定された生活圏Kを拡大あるいは縮小することもできる。この機能について以下に説明する。
【0129】
一般に、子供は、成長とともに行動範囲が広くなる。逆に、老人は、年とともに行動範囲が狭くなる。したがって、保護者は、被見守り者が子供である場合、生活圏決定プログラム33によって決定された生活圏Kを、子供の成長にあわせて拡大したいと思うことがあるであろう。一方、逆に、被見守り者が老人である場合、生活圏決定プログラム33によって決定された生活圏Kを、縮小したいと思うことがあるであろう。
【0130】
このような状況に対処できるように、モニタリングシステム10は、生活圏決定プログラム33によって一旦決定された生活圏Kを、保護者端末200からの要求に応じて、拡大あるいは縮小できる機能を備えている。これは、設定プログラム36によって表示される設定画面Mの所定基準v欄(半径v1、長さv2、半径v3)に、値を設定することによって可能となる。具体例を、前述した
図9、
図10、および
図11を用いて説明する。
【0131】
図9には、最小の円形状によって規定された生活圏Kが示されている。
【0132】
図9に例示されるような円形状の生活圏Kを拡大または縮小する場合、設定画面Mにおける所定基準vの半径v1欄に、現状の生活圏Kの半径を大きくする場合には「+□□」(例えば、半径を100m大きくする場合「+100」)、小さくする場合には「-□□」(例えば、半径を100m小さくする場合「-100」)という具合に、指定入力を行う。指定入力がなされると、設定プログラム36は、生活圏決定プログラム33に対して、円形状の生活圏Kのサイズを、指定入力に応じて同心円状に変化させる。これによって、生活圏決定プログラム33は、円形状の生活圏Kを拡大あるいは縮小することによって、生活圏Kを再決定することができる。
図9には、生活圏Kを拡大することによって再決定された生活圏Kmaxが、再決定前の生活圏Kとともに例示されている。
【0133】
図10には、最小の矩形形状によって規定された生活圏Kが示されている。
【0134】
図10に例示されるような矩形形状の生活圏Kを拡大または縮小する場合、設定画面Mにおける所定基準vの長さv2欄に、現状の生活圏Kを外側に拡大する場合には「+□□」(例えば、外側に100m拡大する場合「+100」)、内側に縮小する場合には「-□□」(例えば、内側に100m縮小する場合「-100」)という具合に、指定入力を行う。指定入力がなされると、設定プログラム36は、生活圏決定プログラム33に対して、矩形状の生活圏Kのサイズを、指定入力に応じて変化させる。これによって、生活圏決定プログラム33は、矩形形状の生活圏Kを拡大あるいは縮小することによって、生活圏Kを再決定することができる。
図10には、生活圏Kを拡大することによって再決定された生活圏Kmaxが、再決定前の生活圏Kとともに例示されている。
【0135】
図11には、すべての位置情報を包含する最小のエリアとして規定された任意形状の生活圏Kが示されている。
【0136】
任意形状の生活圏Kの拡大または縮小を行う場合、設定画面Mにおける所定基準vの半径v3欄に、現状の生活圏Kを外側に拡大する場合には「+□□」(例えば、外側に100m拡大する場合「+100」)、内側に縮小する場合には「-□□」(例えば、内側に100m縮小する場合「-100」)という具合に、指定入力を行う。指定入力がなされると、設定プログラム36は、生活圏決定プログラム33に対して、以下のような処理を実行させることによって、任意形状の生活圏Kのサイズを、指定入力に応じて変化させる。
【0137】
具体的には、生活圏Kの外周を規定する直線Lに沿って円Rを移動させることによって、拡大された生活圏Kmaxや、縮小された生活圏Kminを決定する。これを、
図14を用いて一般的に説明する。
【0138】
図14は、生活圏の外周を規定する直線の一部を例示する模式図である。
【0139】
図14において、プロットP1とプロットP2とを結ぶ直線L1、および、プロットP2とプロットP3とを結ぶ直線L2は、生活圏Kの外周を規定する直線Lの一部である。
【0140】
ここで、プロットP1を中心に、半径v3を有する円R1を描き、円R1の中心を、直線L1に沿って、矢印Q1に示すように、隣接するプロットP2まで移動させると、円R1の外周が、直線Lmaxおよび直線Lminに示すような軌跡を描きながら、プロットP1からプロットP2へ移動する。同様に、プロットP2を中心に、半径v3を有する円R2を描き、円R2の中心を、直線L2に沿って、矢印Q2に示すように、隣接するプロットP3まで移動させると、円R2の外周が、直線Lmaxおよび直線Lminに示すような軌跡を描きながら、プロットP2からプロットP3へ移動する。
【0141】
このように得られる直線Lmaxによって生活圏Kmaxの外周を規定することによって、任意の形状である生活圏Kに対しても、拡大された生活圏Kmaxを決定することができる。また、直線Lminによって生活圏Kminの外周を規定することによって、任意の形状である生活圏Kに対しても、縮小された生活圏Kminを決定することができる。
【0142】
このようにして、生活圏決定プログラム33は、任意形状の生活圏Kであっても、サイズを拡大あるいは縮小することによって、生活圏Kを再決定することができる。
図11には、このような再決定により拡大された生活圏Kmaxおよび縮小された生活圏Kminが、再決定前の生活圏Kとともに例示されている。
【0143】
なお、上記では、設定画面Mにおける所定基準vの半径v1、長さv2、半径v3の各欄に、数値を入力して拡大または縮小の量を指定する例について説明したが、数値入力に代えて、他の手法で、所定基準vの半径v1、長さv2、半径v3の値を指定することも可能である。これを
図15を用いて説明する。
【0144】
図15は、所定基準の設定のための、保護者端末の表示画面における表示例を示す模式図である。
【0145】
図15は、設定プログラム36が起動されると、保護者端末200の表示画面から、設定画面Mの代替として利用される設定画面が表示された状態の一例を示している。この表示画面には、地図表示部M1と、スライダー表示部M2と、設定決定部M3とが表示されている。
【0146】
地図表示部M1には、
図9で例示したような円形状の生活圏Kが表示されている。
【0147】
スライダー表示部M2には、所定基準vの半径v1の値を設定するためのスライダーNが表示されている。
【0148】
保護者は、保護者端末200の入力機能(たとえば、タッチパネル機能)を使用してスライダーNを移動させることによって、半径v1の値を指定し、設定決定部M3の設定ボタンを押圧することによって、半径v1の値を、モニタリングシステム10へ送信することができる。
【0149】
送信された半径v1の値に応じて、生活圏決定プログラム33によって生活圏Kが再決定され、地図表示部M1から、拡大された生活圏Kmaxや縮小された生活圏Kminが表示される。
【0150】
なお、
図15では、スライダーNによって、半径v1の値を入力する例について説明したが、同様に、スライダーNによって、長さv2や半径v3の値を入力することもできる。
【0151】
このようにして、保護者は、生活圏Kを決定するための条件を入力することができる。
【0152】
モニタリングシステム10はさらにそれに加えて、保護者が、生活圏Kを任意に設定することを可能にするための生活圏修正プログラム35も提供している。
【0153】
図16は、生活圏修正プログラムによる生活圏の設定方法を説明するための地図情報である。
【0154】
保護者が、保護者端末200を操作して、生活圏修正プログラム35を起動すると、保護者端末200からは
図16に例示するように、生活圏Kの決定のために対象とされた位置情報に対応するプロットが示された地図情報Sが表示される。
【0155】
この地図情報Sに対して、保護者が、表示画面上を指でなぞることによって、生活圏Kの範囲B1~B8を指定することができる。この場合、保護者は、表示されているプロットを参考にして、生活圏Kの範囲B1~B8を指定することも、あるいは、表示されているプロットとは無関係に、生活圏Kの範囲B1~B8を任意に指定することもできる。
【0156】
その後、保護者は、このように生活圏Kの範囲B1~B8が指定された地図情報Sを、保護者端末200から、モニタリングシステム10へ送信する。
【0157】
範囲B1~B8が指定された地図情報Sは、通信部16によって受信される。また、通信部16では、送信元の保護者端末200の保護者アドレスbも認識される。
【0158】
生活圏修正プログラム35は、範囲B1~B8が指定された地図情報Sが、通信部16によって受信されると、ユーザ登録DB22を参照し、認識された保護者アドレスbの生活圏位置情報hを、指定された範囲B1~B8によって決定される生活圏位置情報に更新することによって、ユーザ登録DB22を更新する。
【0159】
このように、生活圏修正プログラム35によって、保護者は、生活圏Kを任意に決定することが可能となる。
【0160】
判定プログラム37は、上述したように生活圏K(拡大された生活圏Kmaxおよび縮小された生活圏Kminを含む)が決定された後、ユーザ端末100からアップロードされた情報に基づいて決定されるユーザ端末100の位置情報d、e、fに基づいて、ユーザ端末100の位置と、生活圏Kとの位置関係、例えば、ユーザ端末100の位置が、生活圏Kの内側であるか、生活圏Kの外側であるかを判定する。
【0161】
このため、判定プログラム37は、ユーザ端末100から新たな情報がアップロードされ、アッププロード情報DB24に新たな情報(タイムスタンプc、識別情報a、GPS位置情報d、WiFi位置情報e、基地局位置情報f、バッテリ残量情報g等)が書き込まれる毎に、ユーザ登録DB22を参照し、アッププロード情報DB24から、対応する識別番号aのユーザ端末100の生活圏位置情報hを取得する。そして、アッププロード情報DB24に書き込まれたGPS位置情報d、WiFi位置情報e、および基地局位置情報fのうちの少なくとも何れかと、生活圏位置情報hとを比較することによって、ユーザ端末100の位置が、生活圏Kの内側であるか、または生活圏Kの外側であるかを判定する。
【0162】
なお、同一あるいは同一とみなせるタイプスタンプcに対して、GPS位置情報d、WiFi位置情報e、および基地局位置情報fのうちの2つ以上が蓄積されている場合、判定プログラム37は、何れか1つの位置情報を、あるいは、複数の位置情報から、適切な重み付けによって決定される1つの位置情報を、生活圏位置情報hと比較することによって、ユーザ端末100の位置が、生活圏Kの内側であるか、または生活圏Kの外側であるかを判定する。
【0163】
アラーム通知プログラム38は、判定プログラム37によって、ユーザ端末100の位置が、生活圏Kの外側であると判定された場合、保護者端末200へ、音や表示によりアラームを通知する。これによって、保護者は、被見守り者が、生活圏Kを逸脱したことを迅速かつ確実に把握することができる。
【0164】
また、これに応じて、保護者端末200から、ユーザ端末100の現在位置の表示要求があった場合には、地図情報作成プログラム34が、
図17に例示されるように、生活圏Kと、ユーザ端末100の現在の位置Hとを表示した地図情報Sを作成し、通信部16を介して、保護者端末200へ送信する。
【0165】
図17は、生活圏とユーザ端末の現在位置との位置関係を表示した地図情報の一例を示す概念図である。
【0166】
なお、地図情報作成プログラム34は、判定プログラム37による判定結果に関わらず、保護者端末200からの要求に応じて、現在および過去の任意の時間および時間帯におけるユーザ端末100の位置Hを示す地図情報Sを作成し、通信部16を介して保護者端末200へ送信することもできる。これによって、保護者端末200は、ユーザ端末100の現在位置のみならず、ユーザ端末100のある期間(例えば、ある一日)の移動履歴(プロットP21→P22→・・・・→P30)を、地図上で確認することも可能となる。この例を
図18に示す。
【0167】
図18は、ユーザ端末の移動履歴が表示された地図情報の一例を示す模式図である。
【0168】
保護者は、保護者端末200の表示画面から、
図18に例示されるような地図情報Sを表示することによって、ユーザ端末100のある期間(例えば、ある一日)の移動履歴(プロットP21→P22→・・・・→P30)を確認することができる。
【0169】
このように、モニタリングシステム10は、被見守り者の生活圏Kを設定し、ユーザ端末100の位置が、生活圏Kの外側であることを保護者に通知する機能を有している。
【0170】
モニタリングシステム10はさらにオプション機能として、バッテリ残量オプションxや、強制スリープオプションyも備えている。
【0171】
バッテリ残量オプションxは、バッテリ残量把握プログラム39によって提供される。
【0172】
バッテリ残量把握プログラム39は、アップロード情報DB24を参照して、バッテリ残量情報gを取得する。そして、バッテリ残量情報gに基づいて、ユーザ端末100のバッテリ残量が、予め設定された所定量(例えば、残り20%)を下回っているか否かを判定する。
【0173】
図13に示す設定画面Mのバッテリ残量オプションx欄において、バッテリ残量が少なくなったら通知x1するように設定されている場合、バッテリ残量把握プログラム39によって、バッテリ残量が、所定量を下回っていると判定されると、アラーム通知プログラム38は、ユーザ登録DB22を参照して、対応する識別番号aの保護者アドレスbを認識し、保護者端末200に対して、例えば「バッテリ残量が少なくなりました」や、「充電してください」といったメッセージを通知する。
【0174】
保護者は、保護者端末200に送信されたこのメッセージによって、ユーザ端末100のバッテリ残量が少ないことを把握することができる。これに応じて、保護者は、ユーザ端末100のバッテリ160をその場で充電できる場合には、ユーザ端末100のバッテリ160を充電することができる。また、その場ですぐに充電できない場合には、保護者端末200から、設定プログラム36を起動して、バッテリ160の消費量を抑え、ユーザ端末100の動作時間を延ばすために、設定画面Mから、インタバルiを長くする(例えば、1.5分から3分にする)ように指示することもできる。あるいは、強制スリープオプションy欄から、ユーザ端末100を強制的にスリープさせる時間帯y2を設定することもできる。これによって、ユーザ端末100のバッテリ160の消費量を抑えるために、例えば、被見守り者が学校に居る間を、ユーザ端末100を強制的にスリープさせる時間帯y2として設定することも可能となる。
【0175】
一方、バッテリ160が十分に充電された場合、ユーザ端末100からの情報のアップロード時に、アップロード情報DB24のバッテリ残量情報gに、バッテリ160の残量情報が反映されるので、バッテリ残量把握プログラム39によって、バッテリ残量が十分になったことが認識される。なお、設定画面Mにおけるバッテリ残量オプションx欄において、バッテリ160の充電完了時にその旨を通知x2するように指定されている場合、アラーム通知プログラム38によって、ユーザ端末100に、「バッテリの充電が完了しました」というメッセージが保護者端末200へ通知される。
【0176】
次に、以上のように構成した本発明の実施形態に係るモニタリング方法が適用されたモニタリングシステムの動作例について説明する。
【0177】
ユーザ端末100の使用を開始するためには、まず、モニタリングシステム10にユーザ端末100の識別番号aを送信することによって、ユーザ登録する必要がある。ユーザ登録は、例えばスマートフォンやPCである保護者端末200から、インターネット等の通信ネットワーク70を介して、モニタリングシステム10に、ユーザ端末100の識別番号aを送信することによってなされる。
【0178】
送信された識別番号aは、通信部16によって受信されるとともに、保護者端末200のメールアドレスが、保護者アドレスbとして、通信部16によって認識される。通信部16によって受信された識別番号a、および認識された保護者アドレスbは、登録管理プログラム31によって、ユーザ登録DB22に書き込まれる。これによって、ユーザ登録処理が完了する。
【0179】
ユーザ登録処理が完了すると、ユーザ端末100から、モニタリングシステム10へ、例えば1.5分毎のような設定されたインタバルiで、識別番号、GPS情報、WiFiルータのMACアドレス、WiFiルータからの電波の受信強度情報、基地局60からの電波の受信強度情報、バッテリ残量情報等の情報をアップロードすることが可能となる。なお、インタバルiは、設定プログラム36によって表示される設定画面Mに、保護者端末200から所望の値を入力することによって設定することが可能である。
【0180】
ユーザ端末100からアップロードされた情報は、通信部16において受信され、情報蓄積プログラム32によって、アップロード情報DB24における各データ項目に、該当する情報が書き込まれる。
【0181】
なお、アップロードされた情報に、WiFiルータのMACアドレス、WiFiルータからの電波の受信強度情報、および基地局60からの電波の受信強度情報が含まれている場合、これら情報は、情報蓄積プログラム32によって、通信部16から、通信ネットワーク70を介して位置決めサーバ40へ出力される。
【0182】
位置決めサーバ40では、通信部16から、WiFiルータのMACアドレスと、WiFiルータからの電波の受信強度情報とが送信されると、これら情報に基づいて、ユーザ端末100の位置が決定され、対応する位置情報(例えば、緯度経度情報)が、WiFi位置情報eとして、通信ネットワーク70を介して、通信部16へ返信される。
【0183】
また、位置決めサーバ40では、通信部16から、基地局60からの電波の受信強度情報が送信されると、この情報に基づいて、ユーザ端末100の位置が決定され、対応する位置情報(例えば、緯度経度情報)が、基地局位置情報fとして、通信ネットワーク70を介して、通信部16へ返信される。
【0184】
位置決めサーバ40から返信されたWiFi位置情報eおよび/または基地局位置情報fは、情報蓄積プログラム32によって、対応するタイムスタンプcに関連付けられてアップロード情報DB24に蓄積される。
【0185】
このようにして、ユーザ端末100から情報がアップロードされる毎に、ユーザ端末100の位置情報d、e、fのうちの少なくとも何れかが、タイムスタンプcに関連付けられてアップロード情報DB24に蓄積される。
【0186】
このようにしてアップロード情報DB24に蓄積された位置情報に基づいて、生活圏決定プログラム33によって、生活圏Kが決定され、決定された生活圏Kに基づいて、判定プログラム37によって、ユーザ端末100と、生活圏Kとの位置関係が判定される。
【0187】
図19は、生活圏の決定およびユーザ端末と生活圏との位置関係の判定に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【0188】
先ず、アップロード情報DB24から、このユーザ端末100の識別番号aに関連付けられて記憶されている位置情報d、e、fのうち、次に、タイムスタンプcに基づいて、過去30日間のように、設定された所定期間t内に蓄積された位置情報d、e、fが抽出される(S1)。
【0189】
そして、ステップS1で抽出された位置情報を対象として生活圏が決定される(S2)。なお、このとき、同一あるいは同一とみなせるタイムスタンプcに、複数種類の位置情報(例えば、位置情報d、位置情報e、および位置情報fのうちの少なくとも2つ)が関連付けられている場合、何れか1つの位置情報が、あるいは、複数の位置情報から、適切な重み付けによって決定される1つの位置情報が対象とされる。
【0190】
生活圏の具体的な決定手法は、限定される訳ではなく、例えば、
図6や
図7を用いて説明したように、地図上における複数の区画のうち、所定期間内に蓄積された位置情報が、所定回数(例えば、2回)以上属する区画を結合することによって生活圏Kが決定される。
【0191】
あるいは、
図8を用いて説明したように、地図上において表示されるすべてのプロットP21~P30を包含する最小の凸形状のエリアが、生活圏Kとして決定される。
【0192】
あるいは、
図9を用いて説明したように、地図上において表示されるすべてのプロットP21~P30を包含する最小円で示されるエリアが、生活圏Kとして決定される。
【0193】
あるいは、
図10を用いて説明したように、地図上において表示されるすべてのプロットP21~P30を包含する最小の矩形形状で示されるエリアが、生活圏Kとして決定される。
【0194】
あるいは、
図11を用いて説明したように、生活圏Kの最外部に位置する代表的なプロットP11~P15が選択され、選択されたプロットP11~P15のみを対象として、隣接するプロット間が直線で、または道路あるいは鉄道の経路に沿って結ぶことによって、すべてのプロットを内部に含むエリアが、生活圏Kとして決定される。
【0195】
これら生活圏Kの決定手法はあくまで一例であり、前述した手法の一部を変形することも、適宜組み合わせることも、あるいは、別のアルゴリズムに従うことも可能である。
【0196】
また、モニタリングシステム10は、平日u1用の生活圏、土日祝日u2用の生活圏、特定の曜日u3の生活圏、特定の時間帯u4における生活圏など、所定条件毎に複数の生活圏を決定することもできる。
【0197】
このようにして、生活圏Kが決定されると、生活圏Kを定義する位置情報が、ユーザ登録DB22の、該当する識別番号aの生活圏位置情報hとして書き込まれる。
【0198】
その後、地図情報作成プログラム34によって、該当する識別番号aに従って、該ユーザについて登録された生活圏位置情報hが、ユーザ登録DB22から取得され、取得された生活圏位置情報hに基づいて、生活圏Kが地図上に特定された地図情報Sが作成され、保護者端末200からの要求に応じて、通信部16を介して、保護者端末200へ送信される(S3)。
【0199】
保護者端末200へ送信された地図情報Sは、保護者端末200の表示画面から表示される(S4)。これによって、保護者は、被見守り者の生活圏Kを視覚的に把握することができる。
【0200】
さらに、保護者は、このような地図情報Sを見て、生活圏Kを変更することもできる。変更しない場合(S5:Yes)には、生活圏Kが確定される(S7)。一方、保護者が、生活圏Kを変更したい場合(S5:No)、保護者は、
図13のような設定画面Mから、所定期間t、所定条件u、および所定基準vに値を入力したり、
図15のように、保護者端末200の表示画面から表示されている生活圏Kを、表示画面上から指でなぞって指定することによって、生活圏Kを変更することができる(S6)。
【0201】
その後、変更された生活圏Kに応じて、ユーザ登録DB22の生活圏位置情報hが更新され、ステップS3の処理に戻る。
【0202】
ステップS3からステップS6の処理が繰り返されることによって、最終的に生活圏Kが確定される(S7)と、アッププロード情報DB24に新たな情報(タイムスタンプc、識別情報a、GPS位置情報d、WiFi位置情報e、基地局位置情報f、バッテリ残量情報g等)が書き込まれる毎に、判定プログラム37によって、ユーザ端末100の位置情報が、生活圏位置情報hと比較されることによって、ユーザ端末100の位置が、生活圏Kの内側であるか、または生活圏Kの外側であるかが判定される(S8)。
【0203】
この判定の結果に応じて、地図情報作成プログラム34によって、
図17に例示されるように、生活圏Kと、ユーザ端末100の現在の位置Hとを表示した地図情報Sが作成され、通信部16を介して、保護者端末200へ送信される。これによって、保護者は、被見守り者の現在位置を把握することができる。
【0204】
さらには、この判定の結果が、ユーザ端末100の位置が、生活圏Kの外側にあるとの判定であった場合(S9:Yes)、アラーム通知プログラム38によって、保護者端末200へ、音や表示によりアラームが通知される(S10)。これによって、保護者は、被見守り者が、生活圏Kを逸脱したことを迅速かつ確実に把握し、必要な対応を講じることができる(S11)。
【0205】
一方、ユーザ端末100の位置が、生活圏Kの内側にあると判定された場合(S9:No)、ステップS8へ戻り、以降の処理が継続される。
【0206】
上述したように、本発明の実施形態に係るモニタリング方法が適用されたモニタリングシステム10よれば、上記のような作用により、被見守り者のための適切な生活圏Kを決定することができる。また、モニタリングシステム10は、保護者が、生活圏Kを決定するための所定期間t、所定条件u、および所定基準vを任意に設定するための機能を提供することができる。さらには、ユーザ端末100の位置が生活圏Kから逸脱した場合、それを検知し、アラーム等によって保護者に通知できるので、保護者は、被見守り者の普段の行動範囲外への移動をほぼリアルタイムで確実に把握することが可能となる。
【0207】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0208】
10 モニタリングシステム
12 バス
14 CPU
16 通信部
20 記憶装置
22 ユーザ登録データベース
24 アップロード情報データベース
30 メモリ
31 登録管理プログラム
32 情報蓄積プログラム
33 生活圏決定プログラム
34 地図情報作成プログラム
35 生活圏修正プログラム
36 設定プログラム
37 判定プログラム
38 アラーム通知プログラム
39 バッテリ残量把握プログラム
40 位置決めサーバ
60 基地局
61 WiFiルータ
70 通信ネットワーク
100 ユーザ端末
110 SIMカード
120 送受信機能
130 GPS機能
140 WiFi機能
150 加速度センサ
160 バッテリ
200 保護者端末