(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】充放電制御装置、及びバッテリ装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240227BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240227BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240227BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H02J7/10 J
(21)【出願番号】P 2019227616
(22)【出願日】2019-12-17
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前谷 文彦
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-141987(JP,A)
【文献】特開2010-166804(JP,A)
【文献】特開2017-083365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの一端が接続される第一電源端子と、前記バッテリの他端と放電FETのソースが接続される第二電源端子と、
前記放電FETのゲートが接続される放電制御端子と、充電FETのゲートが接続される充電制御端子と、
第一入力端子が前記第一電源端子に接続され、第二入力端子が前記第二電源端子に接続された電圧検出回路と、
第一入力端子が前記電圧検出回路の出力端子に接続され、放電FET制御端子が前記放電制御端子に接続され、充電FET制御端子が前記充電制御端子に接続された制御回路と、
入力端子が前記制御回路の出力端子に接続されたアラーム出力回路と、
前記アラーム出力回路の第一出力端子が接続されアラーム出力端子と、
入力端子が前記アラーム出力回路の第二出力端子に接続され、出力端子が前記制御回路の第二入力端子に接続されたタイマー回路と、を備え、
前記アラーム出力回路は、前記電圧検出回路が前記第一入力端子と前記第二入力端子間の電圧が
過充電電圧より低いアラーム信号出力電圧以上になったことを検出したことに基づいて、前記アラーム出力端子からアラーム信号を出力し、
前記タイマー回路は、前記アラーム信号が出力されたことに基づいて所定の時間を計数し、前記所定の時間を計数すると
、過充電状態か否かに関わらず、出力端子から前記制御回路に充電を禁止する信号を出力する
ことを特徴とする充放電制御装置。
【請求項2】
前記アラーム出力回路は、前記制御回路が出力する前記アラーム信号の出力を許可する信号を入力されると、前記アラーム出力端子から前記アラーム信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第一入力端子に前記電圧検出回路から前記第一入力端子と前記第二入力端子間の電圧が前記アラーム信号出力電圧以上になったことを検出した検出信号が入力されると、前記アラーム信号の出力を許可する信号を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の充放電制御装置。
【請求項4】
前記電圧検出回路は、前記アラーム信号出力電圧より低いアラーム信号解除電圧を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の充放電制御装置。
【請求項5】
前記バッテリと、
前記バッテリの一端に接続される第一外部端子と、
第二外部端子と、
前記バッテリの他端と前記第二外部端子と間に設けられ、互いのドレインが接続された放電FET及び充電FETと、
請求項1から4のいずれかに記載の充放電制御装置と、
前記充放電制御装置の前記アラーム出力端子に接続された第三外部端子と、
を備えたことを特徴とするバッテリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電制御装置、及びバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3に、従来のバッテリ装置のブロック図を示す。従来のバッテリ装置20は、バッテリ1と、放電制御FET3と、充電制御FET4と、充放電制御装置21と、外部端子EB+及びEB-と、外部端子ALMを備えている。充放電制御装置21は、電圧検出回路210と、制御回路211と、電源端子T1及びT2と、FET制御端子T3及びT4と、アラーム出力端子T5を備えている。
【0003】
バッテリ装置20は、バッテリ1の電圧が正常且つ過充電電圧未満の場合は、アラーム信号を出力しない。充電装置5は、バッテリ装置20の外部端子EB+及びEB-に接続されると、アラーム信号が入力されていない場合は、最大電流で充電を開始する。バッテリ装置20は、バッテリ1の電圧が過充電電圧以上になると、外部端子ALMからアラーム信号を出力する。充電装置5は、アラーム信号が入力されると、充電電流を順次減少させて充電する。
【0004】
以上のように構成したバッテリ装置20は、簡単な回路構成で、バッテリを満充電に近い電圧まで早く安全に充電することが出来る(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来のバッテリ装置では、最大電流で充電を開始した充電装置5に異常が発生した場合、バッテリ装置20がアラーム信号を出力しても、充電装置5がバッテリ1の電圧が高いにも関わらず最大電流で充電を続けるという状態が発生する。従って、バッテリ電圧が最大電圧付近で大電流充電を行う危険な状態を生じる可能性がある、という課題がある。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、最大電流で充電を開始した充電装置5に異常が発生しても、バッテリ1が過充電電圧以上になることを確実に防止して、安全性の高い充放電制御装置及びバッテリ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の充放電制御装置は、
バッテリの一端が接続される第一電源端子と、前記バッテリの他端と放電FETのソースが接続される第二電源端子と、
前記放電FETのゲートが接続される放電制御端子と、充電FETのゲートが接続される充電制御端子と、
第一入力端子が前記第一電源端子に接続され、第二入力端子が前記第二電源端子に接続された電圧検出回路と、
第一入力端子が前記電圧検出回路の出力端子に接続され、放電FET制御端子が前記放電制御端子に接続され、充電FET制御端子が前記充電制御端子に接続された制御回路と、
入力端子が前記制御回路の出力端子に接続されたアラーム出力回路と、
前記アラーム出力回路の第一出力端子が接続されアラーム出力端子と、
入力端子が前記アラーム出力回路の第二出力端子に接続され、出力端子が前記制御回路の第二入力端子に接続されたタイマー回路と、を備え、
前記アラーム出力回路は、前記電圧検出回路が前記第一入力端子と前記第二入力端子間の電圧がアラーム信号出力電圧以上になったことを検出したことに基づいて、前記アラーム出力端子からアラーム信号を出力し、
前記タイマー回路は、前記アラーム信号が出力されたことに基づいて所定の時間を計数し、前記所定の時間を計数すると出力端子から前記制御回路に充電を禁止する信号を出力する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の充放電制御装置によれば、アラーム出力回路がアラーム信号を出力する時間を監視するタイマー回路を備えたので、充電装置が異常な動作をしても、バッテリの最大電圧付近での大電流充電を確実に防止して、安全性の高い充放電制御装置及びバッテリ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態のバッテリ装置を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態のバッテリ装置の他の例を示すブロック図である。
【
図3】従来のバッテリ装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態のバッテリ装置10を示すブロック図である。バッテリ装置10は、バッテリ1と、放電制御FET3と、充電制御FET4と、充放電制御装置11と、外部端子EB+及びEB-と、外部端子ALMを備えている。
【0013】
バッテリ1は、正極端子が外部端子EB+に接続される。充放電制御装置11は、電源端子T1がバッテリ1の正極端子に接続され、電源端子T2がバッテリ1の負極端子に接続され、FET制御端子T3が放電制御FET3のゲート端子に接続され、FET制御端子T4が充電制御FET4のゲート端子に接続され、アラーム出力端子T5が外部端子ALMに接続されている。放電制御FET3は、ソース端子がバッテリ1の負極端子に接続され、ドレイン端子が充電制御FET4のドレイン端子に接続されている。充電制御FET4のソース端子は、外部端子EB-に接続されている。
【0014】
充放電制御装置11は、電圧検出回路110と、制御回路111と、アラーム出力回路112と、タイマー回路113と、電源端子T1及びT2と、FET制御端子T3及びT4と、アラーム出力端子T5を備えている。電圧検出回路110は、第一入力端子が電源端子T1に接続され、第二入力端子が電源端子T2に接続され、出力端子が制御回路111の第一入力端子に接続されている。制御回路111は、出力端子がアラーム出力回路112の入力端子に接続され、第二入力端子がタイマー回路113の出力端子に接続され、放電制御端子がFET制御端子T3に接続され、充電制御端子がFET制御端子T4に接続されている。アラーム出力回路112は、第一出力端子がアラーム出力端子T5に接続され、第二出力端子がタイマー回路113の入力端子に接続されている。タイマー回路113の出力端子は、制御回路111の第二入力端子に接続されている。
【0015】
次に、上記のように構成されたバッテリ装置10の動作について説明する。ここで、制御回路111が検出する電圧は、過充電電圧>アラーム信号出力電圧>過放電電圧とする。
【0016】
電圧検出回路110は、電源端子T1及びT2から入力されるバッテリ1の電圧を監視し、電圧に応じた信号を制御回路111に出力する。制御回路111は、電圧検出回路110から入力される信号に応じて、FET制御端子T3及びT4から信号を出力し、放電制御FET3及び充電制御FET4をオンオフする。
【0017】
充電装置5は、バッテリ装置10の外部端子EB+及びEB-に接続されると、バッテリ1の充電を開始する。この時、バッテリ1の電圧が過放電電圧以上且つアラーム信号出力電圧未満の時は、制御回路111は出力端子からアラーム出力回路112の入力端子に対してアラーム信号の出力を禁止する信号を出力する。充電装置5は、バッテリ装置10からアラーム信号が入力されない初期状態では、最大充電電流でバッテリ1の充電を開始する。即ち、バッテリ1は急速充電される。
【0018】
電圧検出回路110は、バッテリ1の電圧がアラーム信号出力電圧以上になったことを検出すると、出力端子から検出信号を制御回路111の第一入力端子に出力する。制御回路111は、電圧検出回路110から検出信号を入力されると、出力端子からアラーム出力回路112の入力端子に対してアラーム信号の出力を許可する信号を出力する。アラーム出力回路112は、出力端子から外部端子ALMを介して充電装置5にアラーム信号を出力する。充電装置5は、充電中にバッテリ装置10からアラーム信号を入力されると、充電電流を1段階減少させる。電圧検出回路110は、充電電流が減少するとバッテリ1の電圧が低下してアラーム信号出力電圧未満になるので、検出信号の出力を停止する。そして、アラーム出力回路112は、充電装置5へのアラーム信号を停止する。バッテリ装置10は、充電、アラーム信号出力、充電電流減少、アラーム信号停止を繰り返して、バッテリ1を安全且つ急速に充電する。
【0019】
ここで、タイマー回路113は、アラーム出力回路112から入力端子にアラーム信号が出力していることを示す信号が入力されている間、所定の時間を計数し、アラーム信号が停止すると、計数状態を初期化して、計数を停止する。そして、タイマー回路113は、所定の時間を計数すると、出力端子から異常検出信号を制御回路111の第二入力端子に出力する。タイマー回路113が計数する所定の時間は、アラーム出力回路112からアラーム信号が出力され、充電装置5が充電電流を1段階減少させ、電圧検出回路110がバッテリ1の電圧の減少を検出するために必要な時間以上に設定されている。
【0020】
制御回路111は、第二入力端子にタイマー回路113から異常検出信号が入力されると、電圧検出回路110の出力信号が過充電状態か否かに関わらず、FET制御端子T4から信号を出力し、充電制御FET4をオフし、充電を停止する。従って、例えば、最大充電電流でバッテリ1の急速充電を開始した充電装置5の動作に異常が発生したとしても、電圧検出回路110の出力信号が過充電状態か否かに関わらず、充電制御FET4をオフして充電を停止することが可能となる。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、段階的に充電電流を変化させる急速充電可能な充電装置に対応した、安全性の高い充放電制御装置、及びバッテリ装置を提供することが可能である。
【0022】
図2は、本実施形態のバッテリ装置の他の例を示すブロック図である。本発明は、
図2のバッテリ装置10のようにハイサイド充放電制御であっても、同様に適用することが可能である。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0024】
例えば、上記実施形態においては、アラーム出力回路112からタイマー回路113に入力するアラーム信号が出力していることを示す信号は、アラーム信号そのものでも良い。また例えば、本実施形態では、アラーム信号出力電圧に解除電圧を設けていないが、アラーム信号出力電圧にヒステリシスを設けて、即ちアラーム信号解除電圧を設けても良い。
【符号の説明】
【0025】
1 バッテリ
3 放電制御FET
4 充電制御FET
10 バッテリ装置
11 充放電制御装置
110 電圧検出回路
111 制御回路
112 アラーム出力回路
113 タイマー回路
T1、T2 電源端子
T3、T4 FET制御端子
T5 アラーム出力端子
EB+、EB- 外部端子