(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】触媒の製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/78 20060101AFI20240227BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20240227BHJP
B01J 37/16 20060101ALI20240227BHJP
B01J 35/57 20240101ALI20240227BHJP
C01B 3/26 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B01J23/78 M
B01J37/08
B01J37/16
B01J35/57 P
C01B3/26
(21)【出願番号】P 2020064319
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】501173461
【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山中 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】林 浩志
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 有平
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-117852(JP,A)
【文献】特開2006-122793(JP,A)
【文献】特開2004-263636(JP,A)
【文献】特開2005-008428(JP,A)
【文献】特表2012-527339(JP,A)
【文献】染川正一 他,カルシウムアルミネートの水和反応を利用した単体の作製とメタン分解による水素生成用Ni触媒への応用,第123回触媒討論会講演予稿集,Vol. 123,日本,触媒学会,2019年03月08日,p. 2P47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C01B 3/00-6/34
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素の直接分解反応に用いる触媒の製造方法であって、
(A)カルシウムアルミネートと、Ni、Pt、Pd、Ru、Rh、Co等の8族、9族及び10族から選ばれる元素の1種又は2種以上の遷移金属を含む水溶性の塩とを水に添加後、1~120分、攪拌することによって、カルシウムアルミネート粒子の表面にカルシウムアルミネート水和物が生成したカルシウムアルミネートと前記遷移金属を含む水性スラリーを作製する工程と、
(B)前記水性スラリーをセラミックス支持体表面にコーティングする工程と、
(C)前記セラミックス支持体を400~600℃の温度で熱処理して、12CaO・7Al
2O
3化合物粒子を前記セラミックス支持体上に生成させ、固定化する工程とを含む触媒の製造方法。
【請求項2】
さらに、(D)前記遷移金属を還元処理して触媒活性を付与する工程を含む請求項1に記載の触媒の製造方法。
【請求項3】
前記セラミックス支持体が、ハニカム構造を有するセラミックス支持体である請求項1または2に記載の触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、12CaO・7Al2O3化合物を含む触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
12CaO・7Al2O3化合物構造を有するカルシウムアルミネートは、格子中にフリー酸素を有するため、酸化触媒、イオン伝導体、助触媒として有用であることが知られている(特許文献1、2)。また、この12CaO・7Al2O3化合物は、その表面にNiやPt等の遷移金属を担持することにより、エンジン排ガス浄化用触媒、メタン等の炭化水素ガスから水素製造用触媒等が得られることも知られている(特許文献3、4、5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-3128号公報
【文献】特開2006-96571号公報
【文献】特開2018-143940号公報
【文献】特開2018-143941号公報
【文献】特開2003-190787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、環境浄化作用や自動車用も含め、現在産業界で実用化されている触媒のほとんどが粉体では用いず、種々の支持体に担持されて使用される。その理由は、粉体では目詰まりを起こしてガスの流通が困難になることや飛散による環境への影響が懸念されるからである。従って、本発明の触媒も支持体に担持して使用することが望まれる。しかしながら、12CaO・7Al2O3化合物を支持体に担持させる手法については十分検討がなされていない。さらに、12CaO・7Al2O3化合物粒子表面には、高い触媒活性を付与するため遷移金属を担持することが有効であるが、その手法についても十分な検討がなされていない。従って、本発明の課題は、12CaO・7Al2O3化合物を効率良くセラミック支持体上に固定化し、かつ触媒活性に優れる触媒の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、12CaO・7Al2O3化合物を用いた触媒について、製造方法を鋭意検討した結果、カルシウムアルミネートと遷移金属を含む水性スラリーを用い、セラミックス支持体上に固定化する方法によって、触媒活性に優れる触媒が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔4〕を提供するものである。
〔1〕(A)カルシウムアルミネートと遷移金属を含む水性スラリーを作製する工程と、(B)前記水性スラリーをセラミックス支持体表面にコーティングする工程と、(C)前記セラミックス支持体を400~600℃の温度で熱処理して、12CaO・7Al2O3化合物粒子を前記セラミックス支持体上に生成させ、固定化する工程とを含む触媒の製造方法。
〔2〕さらに、(D)前記遷移金属を還元処理して触媒活性を付与する工程を含む〔1〕の触媒の製造方法。
〔3〕前記セラミックス支持体が、ハニカム構造を有するセラミックス支持体である〔1〕または〔2〕の触媒の製造方法。
〔4〕セラミック支持体と、該セラミック支持体表面上に12CaO・7Al2O3化合物粒子を含むカルシウムアルミネート層を有し、該カルシウムアルミネート層全体に触媒活性を有する遷移金属が広く分散してなり、かつ該カルシウムアルミネート層内部にガス流通可能な間隙を含むことを特徴とする触媒。
【発明の効果】
【0007】
本発明方法によれば、触媒活性に優れる12CaO・7Al2O3化合物を含む触媒が得られる。本触媒は、工業的に有用な酸化触媒、還元触媒として利用でき、特に炭化水素の直接分解による水素製造用触媒として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】走査電子顕微鏡観察時の触媒断面の観察方向を示す。
【
図3】触媒断面のカルシウムの元素マッピング画像を示す。
【
図4】触媒断面のニッケルの元素マッピング画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の触媒の製造方法は、(A)カルシウムアルミネートと遷移金属を含む水性スラリーを作製する工程と、(B)前記水性スラリーをセラミックス支持体表面にコーティングする工程と、(C)前記セラミックス支持体を400~600℃の温度で熱処理して、12CaO・7Al2O3化合物粒子を前記セラミックス支持体上に生成させ、固定化する工程とを含む。以下、詳しく説明する。
【0010】
<工程(A)>
工程(A)に用いるカルシウムアルミネートとしては、各種カルシウムアルミネート化合物、非晶質カルシウムアルミネート、カルシウムアルミネート水和物が挙げられ、これら1種または2種以上でもよい。カルシウムアルミネート化合物としては、3CaO・Al2O3 、12CaO・7Al2O3 、CaO・Al2O3 等が挙げられる。また、カルシウムアルミネート水和物としては、3CaO・Al2O3・xH2O、2CaO・Al2O3・xH2O、4CaO・Al2O3・xH2Oなどが挙げられる。これらは1種または2種以上の混合物であってもよいが、熱処理後において、できるだけ12CaO・7Al2O3化合物を含むことが好ましい。その点から、カルシウムアルミネートとしては、CaO/Al2O3モル比で、1.4~2.0が好ましく、1.5~1.9がより好ましく、1.6~1.8がさらに好ましい。
【0011】
本発明におけるカルシウムアルミネートは粉体状で使用されるが、BET比表面積が1m2/g以上の微粉末であることが水性スラリー中での分散の点で望ましい。
【0012】
ここで、カルシウムアルミネートの粉末粒子を水に分散させて水性スラリーとすることにより、カルシウムアルミネート粒子の表面にカルシウムアルミネート水和物が生成する。カルシウムアルミネート粒子の表面に、カルシウムアルミネート水和物層が生成すると、それ以上カルシウムアルミネート粒子の水和は進まなくなる。カルシウムアルミネート粒子は表面にカルシウムアルミネート水和物層を有した状態で、水性スラリー中に分散した状態で存在する。水和物はセラミック支持体表面との親和性が良く、カルシウムアルミネート粒子表面にカルシウムアルミネート水和物が配することによって、セラミック支持体表面上に良好なコーティング層を生成することができる。
【0013】
水性スラリー中のカルシウムアルミネートの含有量は、水100質量部に対し、0.1~30質量部が好ましく、0.5~20質量部がより好ましく、1~10質量部がさらに好ましい。
【0014】
工程(A)に用いる遷移金属としては、Ni、Pt、Pd、Ru、Rh、Co等の8族、9族及び10族から選ばれる元素の1種又は2種以上が挙げられる。例えば、二元系、三元系等の不均一触媒でもよい。これらの遷移金属は、目的とする触媒活性により選択することができ、例えば水素製造用触媒の場合には、Ni、Pt、Pd、Ru、Rhがより好ましく、Niが特に好ましい。
【0015】
遷移金属は水性スラリー中に分散した状態であれば特に形態は限定されないが、安定した分散状態を確保するため、また、より粒子径の小さい遷移金属を12CaO・7Al2O3化合物に担持させることが望ましいため、水溶性の塩を用いるのが好ましい。例えば、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、クロム酸塩が挙げられ、特に水に対する溶解度の高いものが多い硝酸塩や酢酸塩が好ましい。具体的には、硝酸ニッケル六水和物もしくは酢酸ニッケル四水和物が好ましい。
【0016】
遷移金属は遷移金属塩で添加される場合、水に対する飽和溶解度で添加することが好ましい。水性スラリー中の遷移金属の含有量は、化合物種によって異なるため特に限定されるものではないが水100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、1~20質量部がより好ましい。
【0017】
ここで、カルシウムアルミネートと遷移金属を含む水性スラリーが、安定した分散した状態を保つことが必要であることから、少量の分散剤あるいは遅延剤を添加することは有効である。分散剤としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、セメント組成物に用いられるセメント用減水剤が挙げられる。また、遅延剤としては、クエン酸、酒石酸等のオキシカルボン酸等を用いることができる。
【0018】
水性スラリーを作製する方法としては、カルシウムアルミネート及び遷移金属(遷移金属塩)を水に添加後、撹拌羽根を用いる撹拌機、スターラ―等を用いて弱い力でゆっくり撹拌することが好ましい。カルシウムアルミネート粒子の表面が水和して、粒子表面にカルシウムアルミネート水和物の層が生成すれば十分であることから、必要以上に強い力で撹拌、混合する必要はない。撹拌時間は特に限定されるものではないが、1~120分が好ましく、5~90分がより好ましい。ここで水性スラリーの調製温度は、カルシウムアルミネートと遷移金属塩を添加した後の温度で0.1~30℃であればよい。
【0019】
<工程(B)>
前記水性スラリーをセラミックス支持体表面にコーティングする。ここで、セラミックス支持体としては、セラミックペレット、セラミックフォーム、セラミックハニカム、目封じタイプのセラミックハニカム等が挙げられるが、多量のカルシウムアルミネート粒子をコーティングできることからハニカム構造を有するセラミックス支持体がより好ましい。ここで、セラミックスとしては、炭化珪素、コージェライト、ムライト、アルミナ、ジルコニア、チタニア、リン酸チタン、アルミニウムチタネート、アルミノシリケート等が挙げられる。また、本発明におけるセラミック支持体は、支持体表面がセラミックスとしての性状を有するものも含まれる。例えば、鉄、アルミニウム、クロム、チタンやその合金などの表面に金属酸化物等のセラミックスの不動態の形成された金属等も使用可能である。
【0020】
セラミックス支持体表面上に前記水性スラリーをコーティングする方法としては、セラミックス支持体表面に塗布又は噴霧する方法、あるいは水性スラリー中にセラミックス支持体を浸漬する方法が挙げられる。浸漬時間は、10秒程度で十分であるが、浸漬温度は0.1~30℃が好ましい。
【0021】
水性スラリーをコーティング後、大気雰囲気にて乾燥させる。100℃で1時間程度乾燥させることが好ましい。さらに、必要に応じて、コーティングと乾燥を複数回繰り返し行い、コーティング層を厚くすることができる。本発明方法においては、遷移金属がカルシウムアルミネート中に分散した状態でコーティングされることから、コーティング層が厚くなっても、効率良く触媒活性を発現できる。コーティング層の厚さは特に限定されないが、1~200μmが好ましく、5~150μmがより好ましく、10~100μmがさらに好ましい。
【0022】
<工程(C)>
次いで、表面が水性スラリーでコーティングされたセラミックス支持体を400~600℃の温度で熱処理する。これによって、カルシウムアルミネート粒子表面のカルシウムアルミネート水和物は分解し、12CaO・7Al2O3化合物等のカルシウムアルミネートが生成する。これによって、遷移金属を含むカルシウムアルミネート粒子のコーティング層はセラミックス支持体上にしっかりと固定化する。また、水和物の分解によって12CaO・7Al2O3化合物を含むカルシウムアルミネート層内にガスが流通可能な間隙が生成することも好ましい。
【0023】
セラミックス支持体の熱処理は、前記カルシウムアルミネート水和物を12CaO・7Al2O3化合物に変化させ、かつ遷移金属の過度の凝集を防ぐ点から、400~600℃であるのが好ましく、400~500℃がより好ましい。熱処理時間は、同じく前記の要因を考慮し60分程度で十分である。
【0024】
<工程(D)>
熱処理の雰囲気は特に限定されないが、通常、大気中で実施することができる。なお、水素雰囲気とすることで、遷移金属の活性化処理を同時に行うこともできる。大気中で熱処理が行われた場合は、別途、水素雰囲気にて遷移金属の活性化処理を行うことが好ましい。
【0025】
<触媒>
本発明の製造方法によれば、セラミック支持体と、該セラミック支持体表面上に12CaO・7Al2O3化合物粒子を含むカルシウムアルミネート層を有し、当該カルシウムアルミネート層全体に触媒活性を有する遷移金属が広く分散してなり、かつ当該カルシウムアルミネート層内部にガス流通可能な間隙を含む触媒が得られる。本触媒は、触媒反応の際の遷移金属と反応対象物(炭化水素等)の接触において、コーティング層表面だけでなく、層内部の遷移金属とも反応対象物が接触しやすく、高い触媒活性を有する。
【実施例】
【0026】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0027】
<実施例1>
(12CaO・7Al2O3化合物粒子の作製)
酸化カルシウムとα型酸化アルミニウムがモル比〔(CaO)/(Al2O3)〕=1.63となる混合粉末を溶融炉にて溶融させた。溶融時の表面温度は最高で1800℃であり、40分間経過後全量溶融したことを確認し型枠に流し出した。その後自然冷却させ12CaO・7Al2O3化合物を得た。粉砕処理にはピンミルで粉砕後シングルトラックジェットミル(セイシン企業(株)製)を用いて粉砕を行った。この時得られた12CaO・7Al2O3化合物粉末の比表面積は1.8m2/gであった。比表面積測定には窒素ガス吸着測定装置(マイクロトラックベル(株)製BELsorp MAX)を用いBET比表面積として算出した。
【0028】
(触媒の作製)
得られた12CaO・7Al2O3化合物粉末と硝酸ニッケル六水和物(富士フィルム和光純薬(株))を蒸留水100質量部に対しそれぞれ2質量部および100質量部添加し、1時間撹拌して水性スラリーを得た。支持体として、1平方インチ当たり目の数が400のハニカム型コージエライトを用い、ハニカム面の鉛直方向に3cm×3cm×で水平方向に5cmに切り出して使用した。このハニカム支持体を水性スラリーに10秒間浸漬し、大気雰囲気にて100℃で1時間乾燥させた。同様の浸漬と乾燥の処理を合計4回繰り返し行った。その後大気雰囲気にて400℃で1時間熱処理を行い、触媒を得た。
【0029】
(メタン直接分解反応による触媒性能評価)
触媒を流通式反応管内に設置し400℃で1時間水素雰囲気で還元処理を行った後、700℃にてメタンガスを4.5L/hrで流通させ、その際の水素生成特性をガスクロマトグラフィーにて計測した。その結果、メタン流通初期のメタン転化率が56.1%、水素濃度が70.8%であった。
【0030】
<実施例2>
(触媒の作製)
実施例1と同様の手順で得られた12CaO・7Al2O3化合物粉末と硝酸ニッケル六水和物、さらにクエン酸粉末を蒸留水100質量部に対しそれぞれ2質量部、100質量部、0.01質量部添加し、1時間撹拌して水性スラリーを得た。実施例1と同様のハニカム支持体を用い、水性スラリーに10秒間浸漬し、大気雰囲気にて100℃で1時間乾燥させた。同様の浸漬と乾燥の処理を合計4回繰り返し行った。その後大気雰囲気にて400℃で1時間熱処理を行い、触媒を得た。
【0031】
(メタン直接分解反応による触媒性能評価)
触媒を流通式反応管内に設置し400℃で1時間水素雰囲気で還元処理を行った後、700℃にてメタンガスを4.5L/hrで流通させ、その際の水素生成特性をガスクロマトグラフィーにて計測した。その結果、メタン流通初期のメタン転化率が69.4%、水素濃度が81.6%であった。
【0032】
<比較例1>
(触媒の作製)
実施例1と同様の手順で得られた12CaO・7Al2O3化合物粉末を蒸留水100質量部に対しそれぞれ2質量部添加し、1時間撹拌して水性スラリーを得た。実施例1と同様のハニカム支持体を用い、水性スラリーに10秒間浸漬し、大気雰囲気にて100℃で1時間乾燥させた。同様の浸漬と乾燥の処理を合計4回繰り返し行った。その後、硝酸ニッケル六水和物を蒸留水100質量部に対し100質量部添加し、1時間撹拌して得た水溶液にハニカム支持体を10秒間浸漬し、大気雰囲気にて400℃で1時間熱処理を行い、触媒を得た。
【0033】
(メタン直接分解反応による触媒性能評価)
触媒を流通式反応管内に設置し400℃で1時間水素雰囲気で還元処理を行った後、700℃にてメタンガスを4.5L/hrで流通させ、その際の水素生成特性をガスクロマトグラフィーにて計測した。その結果、メタン流通初期のメタン転化率が36.2%、水素濃度が52.3%であった。
【0034】
<比較例2>
(触媒の作製)
実施例1と同様の手順で得られた12CaO・7Al2O3化合物粉末を蒸留水100質量部に対しそれぞれ2質量部添加し、1時間撹拌して水性スラリーを得た。実施例1と同様のハニカム支持体を用い、水性スラリーに10秒間浸漬し、大気雰囲気にて100℃で1時間乾燥させた。同様の浸漬と乾燥の処理を合計4回繰り返し行った。その後硝酸ニッケル六水和物を蒸留水100質量部に対し100質量部添加し1時間撹拌して得た水溶液にハニカム支持体を10秒間浸漬し、大気雰囲気にて100℃で1時間乾燥させた。同様の浸漬と乾燥の処理を合計4回繰り返し行った。その後、大気雰囲気にて400℃で1時間熱処理を行い、触媒を得た。
【0035】
(メタン直接分解反応による触媒性能評価)
触媒を流通式反応管内に設置し400℃で1時間水素雰囲気で還元処理を行った後、700℃にてメタンガスを4.5L/hrで流通させ、その際の水素生成特性をガスクロマトグラフィーにて計測した。その結果、メタン流通初期のメタン転化率が43.8%、水素濃度が60.6%であった。