IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-携帯型スピーカーシステム 図1
  • 特許-携帯型スピーカーシステム 図2
  • 特許-携帯型スピーカーシステム 図3
  • 特許-携帯型スピーカーシステム 図4
  • 特許-携帯型スピーカーシステム 図5
  • 特許-携帯型スピーカーシステム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】携帯型スピーカーシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20240227BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
H04R1/02 101B
H04R3/00 310
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020066655
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021164111
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】高畠 智輝
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-028686(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0100023(US,A1)
【文献】特開平11-243591(JP,A)
【文献】特表2003-530799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00- 1/02
H04R 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウーファおよびツィータのスピーカーを取付け、かつ底部に開口が形成され、さらに音声信号を受け取るための第1の接続端子を含むハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記ウーファおよびツィータを駆動するための電子回路とを有し、
前記電子回路は、外部で再生された音声信号を無線通信により受信する無線通信部と、前記無線通信部で受信した音声信号または前記第1の接続端子で受信した音声信号を選択的に受け取り、受け取った音声信号を処理する信号処理部とを含み、
前記ハウジングの底部は、蓋部またはクレードルに接続可能であり、
前記クレードルにはバスレフ構造が設けられ、さらに音声信号供給端子が設けられ、前記クレードルが前記ハウジングの底部に接続されたとき、前記ハウジングの内部空間が前記クレードルの内部空間に結合され、かつ前記音声信号供給端子が前記第1の接続端子に接続される、携帯型スピーカーシステム。
【請求項2】
前記ハウジングはさらに、前記無線通信部および前記信号処理部に接続された第2の接続端子と、前記信号処理部に接続された第3の接続端子とを含み、
前記蓋部は、バッテリーおよび当該バッテリーに接続された第1の電力供給端子を含み、
前記クレードルはさらに第2の電力供給端子を含み、
前記蓋部が接続されたとき、前記第1の電力供給端子が前記第2の接続端子に接続され、前記クレードルが接続されたとき、前記第2の電力供給端子が前記第3の接続端子に接続される、請求項1に記載の携帯型スピーカーシステム。
【請求項3】
前記信号処理部は、前記音声信号供給端子を介して前記第1の接続端子から音声信号を受け取ったとき、高周波数領域を遮断し一定周波数以下の低周波数領域を生成するように音声信号を処理する、請求項1に記載の携帯型スピーカーシステム。
【請求項4】
前記信号処理部は、前記無線通信部から音声信号を受け取ったとき、ウーファおよびツィータが低音域から高音域までのフルレンジで音声を出力するように音声信号を処理する、請求項1に記載の携帯型スピーカーシステム。
【請求項5】
前記信号処理部は、音声信号を増幅するためのアンプを含む、請求項4に記載の携帯型スピーカーシステム。
【請求項6】
前記ハウジングの上部側に前記ウーファおよび前記ツィータが取り付けられ、前記クレードルは、前記ハウジングが直立するように前記ハウジングの底部を支持する、請求項記載の携帯型スピーカーシステム。
【請求項7】
前記クレードルの第2の電力供給端子は、車両のバッテリーに接続され、前記クレードルの音声信号供給端子は、車載装置の音声出力端子に接続される、請求項2に記載の携帯型スピーカーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型(ポータブルタイプ)のスピーカーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータやネットワーク等に接続して受信した音声信号を出力する携帯用のスピーカーシステムが実用化されている。例えば、特許文献1のスピーカーシステムは、小型でありながら良好な低音再生特性を提供するバスレフ型キャビネットを開示している。また、特許文献2の音響システムは、車載装置にスマートスピーカーが接続されると、車載装置は、車内の音場環境に不足している周波数帯域をスマートスピーカーに出力させる技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-28686号公報
【文献】特開2019-186764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1に従来の携帯型スピーカーシステムの外観を示す。図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。同図に示すように携帯型スピーカー10は概ね円筒状のハウジング20を有し、その頂部に、2つのスピーカー、すなわち低音再生用のウーファWfと高音再生用のツィータTwとが取り付けら、側部には持ち運び用の把持部30が取り付けられる。ハウジング20の内部空間には、スピーカーを駆動するためのアンプ、外部で再生された音声信号を受信するブルートゥースモジュール(以下、BTモジュール)、受信した音声信号を処理するDSP(Digital Signal Processor)等の電子回路を搭載した回路基板と、電子回路に電力を供給するバッテリーとが収容されている。
【0005】
携帯型スピーカーシステム10を屋内外で使用する場合、ハウジング20が大きすぎると持ち運びが不便である。一方、ハウジング20のサイズが小さくなると、内部空間の容積が減少し低音再生能力が低下する。携帯型スピーカーシステム10を屋外用スピーカーとして使用する場合、70~20kHz程度の帯域で音声を出力することができれば十分である。
【0006】
携帯型スピーカーシステム10を車内で使用する場合、車内の音場環境では、走行中のロードノイズやエンジンノイズなどにより低音域が影響を受け易いため、携帯型スピーカーシステム10がサブウーファとして機能することが望まれる。その場合、ウーファWfは、少なくとも50Hz~程度の低周波数領域の音声を出力する必要がある。しかしながら、従来のハウジング20の内部空間の容積は、50Hz~の音声を出力するには不十分であり、その反面、ハウジング20の容積を大きくしたり、あるいはハウジング20にバスレフ構造を持たせると、サイズが大きくなり持ち運びが不便になってしまう。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、持ち運び性に優れかつ屋外や車内の音場環境に適した携帯型スピーカーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯型スピーカーシステムは、ウーファおよびツィータのスピーカーを取付け、かつ底部に開口が形成されたハウジングと、前記ハウジング内に収容され、前記ウーファおよびツィータを駆動するための電子回路とを有し、前記ハウジングの底部は、蓋部またはクレードルに接続可能であり、前記クレードルにはバスレフ構造が設けられ、前記クレードルが前記ハウジングの底部に接続されたとき、前記ハウジングの内部空間が前記クレードルの内部空間に結合される。
【0009】
ある実施態様では、前記蓋部は、前記電子回路に電力を供給するためのバッテリーを含む。ある実施態様では、前記ハウジングの上部側に前記ウーファおよび前記ツィータが取り付けられる。ある実施態様では、前記蓋部が接続されたとき、前記電子回路は、外部で再生された音声信号を無線通信により受信し、かつ受信した音声信号を前記ウーファおよび前記ツィータから音声出力させ、前記クレードルが接続されたとき、前記電子回路は、前記クレードルの音声供給端子を介して音声信号を入力し、かつ入力された音声信号を前記ウーファから音声出力させる。ある実施態様では、前記クレードルは、車載装置で再生された音声信号を前記音声供給端子から供給する。ある実施態様では、前記クレードルは、車両のバッテリーから電力を供給する電力供給端子を含み、前記電子回路は、前記電力供給端子から供給される電力により動作可能である。ある実施態様では、前記クレードルが接続されたとき、前記電子回路は、一定周波数以下の低音域の周波数をアンプに出力するように音声信号を処理する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウーファおよびツィータを有するハウジングの底部に蓋部またはクレードルを接続可能にすることで、蓋部を接続されたときの全体のサイズを小さくして持ち運びを容易にし、他方、クレードルを接続したときのハウジングの内部空間の容積を拡張しかつクレードルのバスレフ構造を利用することで低音域の再生能力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の携帯型スピーカーの外観を示し、図1(A)は正面図、図1(B)は側面図である。
図2】本発明の実施例に係る携帯型スピーカーシステムを説明する図であり、図2(A)は、ハウジングの底部に蓋部が取り付けられた状態を示し、図2(B)は、ハウジングの底部から蓋部が取り外された状態を示し、図2(C)は、ハウジングがクレードルに接続された状態を示す。
図3】ハウジングにクレードルが接続されたときの概略断面を示す図である。
図4】本発明の実施例に係る携帯型スピーカーシステムをBTスピーカーとして使用するときの電気的な構成を説明する図である。
図5】本発明の実施例に係る携帯型スピーカーシステムを車内でサブウーファとして使用するときの電気的な構成を説明する図である。
図6】本発明の実施例に係る携帯型スピーカーシステムにより出力される音声の周波数特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の携帯型スピーカーシステムは、屋外や車内の音場環境に適した周波数特性で音声を出力することができ、かつ持ち運びが容易な構造を備えている。ある態様では、携帯型スピーカーを屋外で使用する場合には、ウーファおよびツィータにより低音域から高音域までのフルレンジで音声を出力し、車内で使用する場合には、車載装置の音場環境で不足する低音域を強調するウーファまたはサブウーファとして機能する。
【実施例
【0013】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。図2は、本発明の実施例に係る携帯型スピーカーシステムの概要を説明する図である。図2(A)は、携帯型スピーカーシステム100を通常の屋外で使用するとき、つまりハウジングの底部に蓋部が取り付けられた状態を示している。本実施例の携帯型スピーカーシステム100は、図1の携帯型スピーカー10と同様に、概ね円筒状のハウジング110と、ハウジング110の頂部に2つのスピーカーであるウーファWfとツィータTwとが取り付けられ、ハウジング110の側部には、持ち運びを容易にするための把持部112が取り付けられる。
【0014】
ハウジング110の内部には概ね円筒状の空間S1が形成され(図3を参照)、内部空間S1の所定位置には、スピーカーと電気的に接続された電子回路を搭載した回路基板等が実装される。ハウジング110の底部には、内部空間S1が露出するように円形状の開口114が形成される(図2(B)を参照)。さらに、ハウジングの底部には、後述するように、回路基板との電気的な接続を行うための金属製の接続端子T1、T2、T3(図4図5を参照)が設けられる。接続端子は、例えば、雄型の端子またはこれと反対に雄型の端子を受け取るための雌型の端子から構成される。
【0015】
ハウジング110の底部には、円盤状の蓋部120が着脱可能に取り付けられる。蓋部120の取り付け方法は特に限定されないが、例えば、蓋部120は、ハウジング110の底部の形状に嵌合または係合するような形状に加工されたり、あるいはハウジング110の底部の外周に形成されたネジに螺号するようにネジ部が形成されたり、あるいはネジやボルト等の締結部品を利用してハウジング110の底部に結合される。
【0016】
蓋部120の内部にはバッテリー(例えば、リチウムイオン等の二次電圧)が収容され、蓋部120がハウジング110の底部に取り付けられたとき、蓋部120は、ハウジング110の内部空間S1を閉じ、さらにバッテリーからの電力を接続端子を介してハウジング110内の電子回路に供給する。
【0017】
図2(B)は、携帯型スピーカーシステム100の底部の蓋部110を取り外した状態を示し、図2(C)は、携帯型スピーカーシステム100を車内で使用するとき、つまりハウジングをクレードルに接続した状態を示している。携帯型スピーカーシステム100を車内で使用する場合、先ず、図2(B)に示すように蓋部120がハウジング110の底部から取り外される。車内では高温になることがありバッテリーの破損等を回避するため、蓋部120のバッテリーを使用せず、車両側のバッテリーを使用する。蓋部120が取り外されたとき、ハウジング110の内部空間S1は、底部の開口114を介して外部に露出された状態となる。
【0018】
次に、図2(C)に示すように、ハウジング110の底部をクレードル130に接続する。クレードル130は、ハウジング110が直立するようにハウジング110の底部を支持する。図3は、ハウジング110がクレードル130に接続されたときの断面を模式的に示す図である。クレードル130は、中央に円形状の凹部134が形成されるように凹部134を取り囲む外周部132と、当該外周部132に接続され円筒状の内部空間S2を規定する本体部136とを含む。凹部134は、ハウジング110の底部を挿入する空間を提供し、凹部134には、本体部136の内部空間S2を露出するための円形状の開口134Aが形成される。ハウジング110の底部が凹部134に挿入されたとき、ハウジング110の底部は外周部132および凹部134によって支持され、さらにハウジング110の内部空間S1が、ハウジング110の底部の開口114および凹部134の開口134Aを介して本体部136の内部空間S2に結合される。このように、ハウジング110をクレードル130に接続したとき、ハウジング110の内部空間S1がクレードル130の内部空間S2の分だけ拡張され、これにより、スピーカーの低音域の再生能力が高められる。例えば、内部空間S1の容積は概ね4Lであり、内部空間S2の容積は概ね3Lであり、クレードル130を接続することで、両者の内部空間の容積が概ね7Lに拡張される。
【0019】
また、本体部136には、少なくとも1つのバスレフ構造140が取り付けられる。バスレフ構造140は、低音域の増強を図るものであり、本体部136には、ダクト、管またはチューブのような一定の開口幅がありかつ一定の奥行のある部材が取り付けられる。バスレフ構造140の大きさは、ハウジング110の内部空間S1の容積とクレードル130の内部空間S2の容積とを合算した容積および要求される低音域の再生能力(例えば、50Hz~)に基づき設計される。
【0020】
さらにクレードル130には、車両のバッテリーからの電力および車載装置で再生された音声信号をハウジング110内の電子回路に提供するための電気的なインターフェースが設けられる。ある態様では、図3に示すように、外周部132の内側に金属製の断面がL字型のガイドを兼ねた支持部材150が取り付けられる。この場合、支持部材150の周縁部152は、凹部134の開口134Aおよびハウジング110の底部の開口114と整合し、つまり、ハウジング110の内部空間S1とクレードル130の内部空間S2との結合の障害とならないような形状である。周縁部152には、車両のバッテリーの電力を供給するための電力供給端子VCC2や車載装置の音声信号を供給するための音声信号供給端子AUDとが接続される(図5を参照)。例えば、電力供給端子VCC2および音声信号供給端子AUDは、周縁部152に形成された開口内に収容される。
【0021】
ハウジング110の底部が凹部134内に挿入されたとき、ハウジング110の底部に設けられた接続端子T2、T3(図5を参照)が周縁部152の電力供給端子VCC2および音声信号供給端子AUDに接続される。これにより、車両側のバッテリーの電力および音声信号がハウジング110内の回路基板に実装された電子回路に供給される。
【0022】
次に、本実施例の携帯型スピーカーシステムの電気的な構成について説明する。図4は、携帯型スピーカーシステム100を屋外でBTスピーカーとして使用するときの構成を示している。ハウジング110内の回路基板上には、BTモジュール200、DSP210、アンプ220等の電子回路が実装される。これらの電子回路は、電力ラインを介して接続端子T1に接続される。ハウジング110の底部に蓋部120が取り付けられたとき、ハウジング110の接続端子T1は、蓋部120のバッテリーの電力供給端子VCC1に接続される。これにより、バッテリーからの電力がBTモジュール200、DSP210、アンプ220に供給される。
【0023】
BTモジュール210は、ペアリングされた外部の電子機器に接続され、当該電子機器で再生された音声信号がBTモジュール210により無線で受信される。BTモジュール210は、受信した音声信号をDSP210に提供する。DSP210は、音場環境に適した出力音声を得るため、音声信号の周波数特性を調整または変更する機能を備える。DSP210は、BTモジュール200から音声信号を受信したとき、屋外使用の音場環境を提供するため、ウーファWfおよびツィータTwが低音域から高音域までのフルレンジで音声を出力するように音声信号を処理する。DSP210で処理された音声信号は、アンプ220によって増幅され、ウーファWfおよびやツィータTwから音声が出力される。
【0024】
図5は、携帯型スピーカーシステム100を車内でサブウーファとして使用するときの構成を示している。この場合、蓋部120が取り外され、ハウジング110がクレードル130に接続される。クレードル130の電力供給端子VCC2は、車両のバッテリーに接続され、音声信号供給端子AUDは、車載装置HUの音声出力端子に接続される。電力供給端子VCC2がハウジング110の接続端子T2に接続され、音声信号供給端子AUDがハウジング110の接続端子T3に接続される。接続端子T2は、DSP210およびアンプ220に接続され、BTモジュール200には非接続である。このため、BTモジュール200は非動作となり、DSP210およびアンプ220が動作される。
【0025】
車載装置HUは、例えば、オーディオ機能、ビジュアル機能、ナビゲーション機能などを備えた電子装置である。車内には、車載装置HUで再生された音声信号を出力するための純正スピーカーが搭載され、純正スピーカーは、例えば、中音域の再生能力に優れたミドルレンジスピーカーや高音域の出力能力に優れたツィータを含んでいる。クレードル130は、車内の音場環境において不足しがちな低音域を補強するのに適した位置に設置される。例えば、特許文献2の図7図9に示すスマートスピーカー200の位置に設置することができる。
【0026】
BTモジュール200は非動作であり、DPS210には、車載装置HUで再生された音声信号が接続端子T3を介して入力される。DPS210は、接続端子T3から音声信号を入力したとき、音声信号をLPF処理し、つまり、高周波数領域を遮断し一定周波数以下の低周波数領域の音声信号をアンプ220に出力する。この結果、ツィータTwは事実上非動作となり、ウーファWfは、内部空間の容積の拡張およびバスレフ構造の作用により、より低音域の音声を出力する。
【0027】
図6は、本実施例の携帯型スピーカーシステムにより出力される音声の周波数特性を示すグラフである。ハウジング110の内部空間S1の容積を4L、クレードル130の内部空間S2の容積を3Lとし、実線は、蓋部120を取り付けたBTスピーカー使用時の出力を示し、破線は、クレードル130を接続した車内のサブウーファ使用時の出力を示している。再生可能音圧レベルの最小が68dBであるとき、BTスピーカー使用時では、62Hz~の低音域の再生が可能であるのに対し、クレードル使用時では、内部容積が7Lに拡張され、かつバスレフ構造の利用により42Hz~の低音域の再生が可能となり、サブウーファとして機能することができる。
【0028】
このように本実施例によれば、屋外でBTスピーカーとして使用する際は、携帯に便利なサイズでフルレンジの音声再生が可能であり、車内でサブウーファとして使用する際は、より低音域まで再生が可能となる。
【0029】
上記実施例では、ハウジング110やクレードル130の外観形状を円筒状にしたが、これらは一例であり、他の外観形状であってもよい。さらに上記実施例では、蓋部120内にバッテリーを収容させる例を示したが、バッテリーは必ずしも蓋部内ではなくハウジング内に収容するようにしてもよい。この場合、蓋部を取り外したときバッテリーからの電力供給を停止するようにしてもよいし、あるいは、蓋部の取り外しとは無関係にバッテリーからの電力が供給をし続けるようにしてもよい。後者の場合、クレードルが接続されたとき、ハウジング内のバッテリーが車内のバッテリーによって充電されるようにしてもよい。
【0030】
また、上記実施例では、BTモジュールにより再生信号を外部から受信する例を示したが、本発明は、BTモジュール以外の無線通信方式を利用して外部から再生信号を受信する構成にも適用することができる。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
100:携帯型スピーカーシステム 110:ハウジング
112:把持部 120:蓋部
130:クレードル 132:外周部
134:凹部 134A:開口
136:本体部 140:バスレフ構造
150:支持部材 152:周縁部
200:BTモジュール 210:DSP
220:アンプ T1、T2、T3:接続端子
VCC1、VCC2:電力供給端子 AUD:音声信号供給端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6